JP2004207777A - アンテナ装置及びそれを用いた表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置10は、誘電体である絶縁基板2をストリップ電極3と接地電極1とで挟む構造のマイクロストリップアンテナを備えている。ストリップ電極3の平面形状は略長方形である。ストリップ電極短辺側寸法をWとし、ストリップ電極3と接地電極1とのギャップ幅寸法をdとした場合に、W/dが3よりも小さい。
【選択図】 図1
【解決手段】アンテナ装置10は、誘電体である絶縁基板2をストリップ電極3と接地電極1とで挟む構造のマイクロストリップアンテナを備えている。ストリップ電極3の平面形状は略長方形である。ストリップ電極短辺側寸法をWとし、ストリップ電極3と接地電極1とのギャップ幅寸法をdとした場合に、W/dが3よりも小さい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、UHF帯又はSHF帯を用いた、特にUWB(Ultra Wide Band)の用いた無線通信を送受信するためのアンテナ装置に関するものであり、特に、誘電体をストリップ電極と接地電極とで挟む構造のアンテナを備えたアンテナ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、無線通信技術の発達は目覚しく、ブルートゥース(Bluetooth)やIEEE802.11b、及びIEEE802.11a等の無線通信技術が一般的になってきている。これらの無線通信技術は、モバイル機器に搭載され、小型、軽量化、高性能化が一層強く要望されている。
【0003】
ところで、最近、UWB(Ultra Wide Band)技術が注目を集めている。例えば、非特許文献1にはUWB技術及び用途の概略が記載され、非特許文献2にはUWBを通信に用いた場合の詳細な記述がある。
【0004】
UWB技術は、1ns程度の短パルスを搬送波として送る通信手段に関するものであり、短距離通信ではあるが高速かつ低消費電力という利点を有している。
【0005】
通常、無線通信は情報を含んだベースバンド信号を搬送波に載せて送る。しかし、UWBは情報を含んだパルス信号そのものが搬送波となるために通信時の消費電力が低く、また、そのパルス信号は1ns程度の短パルスであるために高速伝送が可能となるのである。加えて、送信時にベースバンド信号を搬送波に載せて送る必要がなく、かつ受信時に搬送波とベースバンド信号と分離が不要であるため、送受信の回路が簡略化でき製造コストを安くすることができる。
【0006】
しかし、UWBは周波数領域では非常に広帯域であるため、その信号を捕らえるためのアンテナの作成が非常に難しい。従来、UWB技術は軍用技術として長年研究されてきており、その結果開発された上記非常に広帯域の周波数を捕らえるアンテナとして、ディスコーンアンテナやログペリオディックアンテナ、及びバイコニカルアンテナが有名である。しかし、これらのアンテナは大型であり、とても真のモバイル用途に用いることができる程度の小型化はできていなかった。
【0007】
ところで、アンテナの小型化へのアプローチとして、誘電体を電極で挟む構造のアンテナ(以下、「マイクロストリップアンテナ」と呼ぶ。)がある。
【0008】
上記マイクロストリップアンテナとして有名な方形マイクロストリップアンテナ70は、図11(a)(b)(c)に示すように、方形の接地電極71と、同じ大きさの誘電体72と、表面中央に設けられた電極73との3層構造にてなっている。また、電極73の中心近傍には、給電点74がある。
【0009】
上記電極73も正方形に形成されており、この電極73の1辺の長さをLとすると、共振周波数fは、電極73の長さLと誘電体72の比誘電率εrとで決まり、
f=C/(2d・εr 1/2)
で表される。ただし、dは誘電体72の厚さであり、Cは係数である。
【0010】
ここで、非特許文献3によると、一般的にマイクロストリップアンテナは以下の利点と限界とがある。
【0011】
利点は、
(1) 薄型、軽量、小型である。
(2) 作製のコストが安く、量産性に優れる。
(3) 単純な給電方法で直線偏波、円偏波を発生させることができる。
(4) 2通りの発振周波数を持たせたり、2通りの偏光を持たせたりすることが容易にできる。
(5) マイクロ波集積回路とアンテナの集積化とが容易にできる。
【0012】
限界は、
(1) 共振周波数の帯域が狭い。
(2) ゲインが小さい。
(3) 給電の構造体アレイでの抵抗によるロスが大きい。
(4) アンテナの電磁波からの放射が全方位では無く、半空間しかない。
(5) 偏波度が高くない。
(6) 大電力の放射ができない。
(7) マイクロストリップアンテナは通常、MMICとの集積化の兼ね合いで高誘電率の誘電体を用いるが、その結果、信号の取り出し効率が低く、共振周波数の帯域が狭い。
である。
【0013】
【非特許文献1】
「RECENT APPLICATION OF ULTRA WIDEBAND RADAR AND COMMUNICATIONS SYSTEMS」Robert J.Fontana ,Ultra-Wideband,Short-Pulse ElectromagneticsPLENUM PUBLISHING CORPORATION
【0014】
【非特許文献2】
「Ultra-Wideband Technology for Short-or Medium-Range Wireless Communications」Jeff Foerster 他,Intel Technology Journal Q2 2001
【0015】
【非特許文献3】
Ramesh Garg他著「Microstrip Antenna Design Handbook」
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
以上のことから、従来のマイクロストリップアンテナは、通常、UWBのアンテナに求められる、周波数領域で非常に広帯域な特性を持つには相性が良くなかったという問題点を有している。
【0017】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置及びそれを用いた表示装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のアンテナ装置は、上記課題を解決するために、誘電体をストリップ電極と接地電極とで挟む構造のアンテナを備えたアンテナ装置において、上記ストリップ電極の平面形状が略長方形であり、ストリップ電極短辺側寸法をWとし、上記ストリップ電極と接地電極とのギャップ幅寸法をdとした場合に、W/dが3よりも小さいことを特徴としている。
【0019】
従来、誘電体をストリップ電極と接地電極とで挟む構造の所謂マイクロストリップアンテナでは、ストリップ電極は方形であった。そして、この方形マイクロストリップアンテナは、UWBのアンテナに求められる、周波数領域で非常に広帯域な特性を持つには不十分であるという問題点を有していた。
【0020】
そこで、本発明では、ストリップ電極の平面形状を略長方形とし、かつ、ストリップ電極短辺側寸法をWとし、上記ストリップ電極と接地電極とのギャップ幅寸法をdとした場合に、W/dが3よりも小さいこととした。
【0021】
実験の結果、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことが確認できた。
【0022】
したがって、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置を提供することができる。
【0023】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記W/dは、1よりも大きく、かつ2よりも小さいことを特徴としている。
【0024】
すなわち、W/dが、1よりも大きく、かつ3よりも小さい場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でより大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。
【0025】
また、本発明のアンテナ装置は、上記課題を解決するために、第1の絶縁基板上に形成された接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極と、上記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成された誘電体から形成されているアンテナを備えていることを特徴としている。なお、本発明では、絶縁基板と誘電体との差異として、絶縁基板は製造プロセスの最初から存在しているものである一方、誘電体は製造プロセスの過程で作製されたものとして使い分けている。
【0026】
後述するように、例えば、ストリップ電極短辺側寸法Wを0.1mmよりも小さく形成することとなると、絶縁基板の両側に接地電極とストリップ電極を形成するという製造方法が使用し難くなる。すなわち、W/dが1よりも大きくかつ3よりも小さいという関係を保った状態で、ストリップ電極短辺側寸法Wを0.1mmよりも小さく形成するということは、絶縁基板の厚さが0.1mmよりも薄くなってしまうことを意味する。現在のところ、絶縁基板である例えばガラス基板を、0.1mmよりも薄くすることは非常に難しく、その結果、製造上、困難である。
【0027】
そこで、上記の発明によれば、アンテナの構成として、第1の絶縁基板上に形成された接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極と、上記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成された誘電体から形成されているとした。
【0028】
この構成であれば、液晶ディスプレイの製造プロセスの一部そのものであるので、容易にアンテナ装置を製造することができる。
【0029】
したがって、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置を確実に提供することができる。
【0030】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板上に形成された接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極とが絶縁基板を挟むことなく形成されていることを特徴としている。
【0031】
すなわち、従来のマイクロストリップアンテナは、絶縁基板の両面に接地電極とストリップ電極とを形成したものとなっており、そのタイプでは、例えば、ストリップ電極の幅を1mm以下に形成することが困難である。
【0032】
この点、本発明では、接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極とを絶縁基板を挟むことなく製造することができ、確実に製造が容易となる。
【0033】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さいことを特徴としている。
【0034】
上記の発明によれば、前記ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さい。すなわち、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でよりさらに大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。
【0035】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、ガラス製のファイバがスペーサとして使用されていることを特徴としている。
【0036】
上記の発明によれば、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、ガラス製のファイバがスペーサとして使用されているので、この方法により、ギャップ幅寸法が小さくても容易に隙間を形成することができる。
【0037】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、樹脂をフォトリソグラフィーにて成形したフォトスペーサが使用されていることを特徴としている。
【0038】
上記の発明によれば、第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、樹脂をフォトリソグラフィーにて成形したフォトスペーサが使用されているので、容易に隙間にスペーサを形成することができる。
【0039】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成される誘電体は、液晶ポリマーからなる誘電体層であることを特徴としている。
【0040】
すなわち、誘電体には、GHzオーダーでの誘電損失の少ないものを選ぶ必要がある。そして、誘電損失の少ないものは誘電率の小さいものが多い。
【0041】
この点、上記の発明によれば、第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成される誘電体は、液晶ポリマーからなる誘電体層であるので、この条件を満たす。
【0042】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成に形成される誘電体は、空気からなる誘電体層であることを特徴としている。
【0043】
上記の発明によれば、第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成に形成される誘電体は、空気からなる誘電体層であるので、GHzオーダーでの誘電損失が少ない誘電体となる。
【0044】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記ストリップ電極はステッパを用いて形成されていることを特徴としている。
【0045】
上述したように、例えば、前記ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さいストリップ電極を形成するためには、顕微鏡等を用いての製造が好ましい。
【0046】
この点、ストリップ電極を形成する際に、ステッパを用いれば、ストリップ電極のパターン形成、マスクを用いての露光工程等が、拡大された画面を見ながら行うことができるので、製造を容易に行うことができる。
【0047】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、上記記載のアンテナ装置のアンテナが、複数個並設されていることを特徴としている。
【0048】
上記の発明によれば、上記記載のアンテナ装置のアンテナが、複数個並設されている。
【0049】
したがって、上記の各アンテナを例えば方向を違えて配置することにより、全体としてアンテナ装置の指向性を広げることができる。
【0050】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記接地電極及びストリップ電極の形状が、第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向において互いに上下対称となる一対のアンテナが、上記第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できるように配置されていることを特徴としている。
【0051】
上記の発明によれば、前記接地電極及びストリップ電極の形状が、第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向において互いに上下対称となる一対のアンテナが、上記第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できるように配置されている。
【0052】
したがって、これにより、上記第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できる。
【0053】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置のアンテナが、それぞれ指向性を補うように平面的に配置されていることを特徴としている。
【0054】
上記の発明によれば、上記記載のアンテナ装置のアンテナが、それぞれ指向性を補うように平面的に配置されているので、上記記載のアンテナ装置のアンテナの配置の方向性を考慮して、平面的に配置することにより、所望の方向への指向性を補い、全体として指向範囲の広いアンテナ装置を提供することができる。
【0055】
また、本発明の表示装置は、上記記載のアンテナ装置が、各アンテナのストリップ電極の長辺方向がディスプレイの表示領域の縁に沿うように、該ディスプレイの非表示領域に並列して配置されていることを特徴としている。
【0056】
上記の発明によれば、表示装置には、各アンテナのストリップ電極の長辺方向がディスプレイの表示領域の縁に沿うように、該ディスプレイの非表示領域に並列して配置されている。したがって、ディスプレイの周りに指向性を考慮して、アンテナ装置を効率よく配置することができる。
【0057】
この結果、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置を用いた表示装置を提供することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0059】
本実施の形態のアンテナ装置10は、図1(a)(b)(c)に示すように、方形の接地電極1と、この接地電極1の上側に同じ大きさに形成されたガラスからなる誘電体からなる絶縁基板2と、この絶縁基板2の表面においてその中心から両側の端部に向かって長方形の短冊状に形成されたストリップ電極3との3層構造となっている。なお、上記のストリップ電極3の形状は、必ずしも長方形に限らず、長方形に近い形つまり略長方形であればよい。また、上記ストリップ電極3の両端からは、取り出し配線6・6がそれぞれ延びている。
【0060】
すなわち、上記アンテナ装置10は、誘電体である絶縁基板2を接地電極1とストリップ電極3とで挟む構造のマイクロストリップアンテナを備えたものとなっている。
【0061】
上記アンテナ装置10の製造方法について説明する。
【0062】
まず、例えば、コーニング社製「1737ガラス(商品名)」のガラスからなる誘電体としての絶縁基板2の片側にアルミニウム(Al)を成膜し、パターニングして接地電極1を形成する。このアルミニウム(Al)の成膜は、接地電極1と同じ大きさの方形である。
【0063】
その後、絶縁基板2の他の片側にアルミニウム(Al)を成膜し、パターニングしてストリップ電極3を形成する。なお、本実施の形態では、誘電体として機能する絶縁基板2として上記コーニング社製「1737ガラス(商品名)」を用いたが、必ずしもこれに限らず、例えば、アルミナ、フッ素系樹脂等の絶縁基板2でも良い。また、電極材料としてアルミニウム(Al)を用いたが、他の低抵抗金属として他のアルミニウム(Al)合金、又は銅(Cu)や銅(Cu)合金を用いても良い。さらに、上記ストリップ電極3は、ステッパを用いて形成することが可能である。なお、ステッパについては、実施の形態2において詳述する。
【0064】
本実施の形態では、絶縁基板2の厚みつまり接地電極1とストリップ電極3とのギャップ幅dは0.7mmであり、絶縁基板2の比誘電率は5.3である。
【0065】
ここで、本実施の形態では、上記ストリップ電極3の長辺側の長さLを17mmに固定するとともに、ストリップ電極3の短辺側の長さWを変化させて周波数特性を測定した。
【0066】
その結果、ストリップ電極3の短辺側の長さW=5.6mmの場合におけるアンテナ装置10の周波数特性は、図2に示すようになる。同図の縦軸はSパラメータのS11であり、横軸は周波数である。また、Sパラメータとは、「Scattering parameter」のことであり、本実施の形態で使用するSパラメータは、特にS11のことを示している。また、S11とは、反射係数〔(入力端から反射される電力)/(出力端に入射する電力)〕のことであり、ゼロに近づけば反射が少なくてよいことを意味する。目安は−10dB、望ましくは−20dBである。
【0067】
アンテナ装置10の理論上の共振周波数は、誘電体である絶縁基板2の比誘電率とストリップ電極3の長辺方向の長さLとで求まるが、その簡易計算で求まる周波数は3.8GHzなので理論上の共振周波数と良く一致していることが分かる。
【0068】
次に、アンテナ装置10におけるストリップ電極3の短辺側の長さWを0.5mmから5.6mmまで変化させて、その周波数特性を調べた。その結果、ストリップ電極3の短辺側の長さWを小さくしていけば、アンテナ装置10の共振周波数が広帯域していくことが分かった。そして、ストリップ電極3の短辺側の長さWにおける反射係数S11が−20dB以下の周波数帯域の幅を縦軸にとり、横軸をW/dで規格化したとき、図3に示すようになった。
【0069】
この結果、W/dが3よりも小さいところで、帯域幅は広がってきている。また、W/dは3よりも小さいところで帯域幅はさらに広くなり、1よりも大きくて、1に近づく程、帯域幅が広くなって行くことが分かった。
【0070】
具体的には、W/dが3よりも大きいところではW/d−帯域幅の曲線は直線的に緩やかに変化するのに対し、3よりも小さいところではW/dを小さくすることによって帯域幅の増加は増大し、トレンド直線の傾きが大きくなっている。
【0071】
また、W/dが2よりも小さく1よりも大きい領域では、トレンド曲線の傾きが大きく変化し、1の近傍に漸近線でも存在するかのように急激となっている。
【0072】
このように、ストリップ電極3を長方形又はそれに近い形とし、ストリップ電極3の短辺側の長さをW、2つの接地電極1及びストリップ電極3のギャップ幅寸法をdとする時、W/dが3よりも小さいこと、さらに望ましくは、W/dが1よりも大きくて2よりも小さい時に広帯域化していくことが分かった。
【0073】
また、本実施の形態では、上記の条件を満たす範囲において、ストリップ電極短辺側寸法Wを0.1mmよりも小さくして形成することもできる。
【0074】
以上に説明したように、本実施の形態のアンテナ装置10は、小型で、軽量で低コストなUWB用の送受信アンテナを提供するものである。
【0075】
また、マイクロストリップアンテナの送受信帯域を狭めるのは容易なので、UHF帯又はSHF帯の他の通信用の、小型かつ軽量で低コストな送受信アンテナを提供することもできる。
【0076】
さらに、短パルスの伝送用のマイクロストリップラインとしても良好な特性を提供できる。
【0077】
このように、本実施の形態のアンテナ装置10では、ストリップ電極3の平面形状を略長方形とし、かつ、ストリップ電極短辺側寸法をWとし、このストリップ電極3と接地電極1とのギャップ幅寸法をdとした場合に、W/dが3よりも小さいこととしている。
【0078】
実験の結果、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことが確認できた。
【0079】
したがって、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置10を提供することができる。
【0080】
また、本実施の形態のアンテナ装置10では、W/dが、1よりも大きく、かつ2よりも小さい場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でより大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。
【0081】
また、本実施の形態のアンテナ装置10は、上記記載のアンテナ装置において、前記ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さい。すなわち、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でよりさらに大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。
【0082】
また、本実施の形態のアンテナ装置10では、ストリップ電極3はステッパを用いて形成されている。
【0083】
すなわち、例えば、ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さいストリップ電極を形成するためには、顕微鏡等を用いての製造が好ましい。
【0084】
この点、ストリップ電極3を形成する際に、ステッパを用いれば、ストリップ電極3のパターン形成、マスクを用いての露光工程等が、拡大された画面を見ながら行うことができるので、製造を容易に行うことができる。
【0085】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図4ないし図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態で説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0086】
前記実施の形態1のアンテナ装置10によって、アンテナが広帯域化していくことは分かったが、アンテナ装置10を小型化するためには、ストリップ電極3の短辺側の長さWを小さくしなければならない。また、W/dが3よりも小さいこと、さらに望ましくはW/dを1よりも大きくて2よりも小さくするためには、ストリップ電極3の短辺側の長さWと共に、ギャップ幅寸法dを小さくしなければならない。
【0087】
また、アンテナの指向性に関しても実施の形態1のアンテナ装置10では満足できない。すなわち、前記図1のアンテナ装置10では、接地電極1からストリップ電極3に向かう方向4にのみ電磁波は放射される。
【0088】
さらに、同図1に示すように、方向5に偏波している電磁波に対してはアンテナ装置10はよく共振するが、その他の方向については、共振が不十分である。
【0089】
そこで、アンテナ装置10の指向性の改善のため、前記図1び示すアンテナ装置10のマイクロストリップアンテナを基本単位として、それを複数個使用して指向性を広げる必要がある。
【0090】
しかしながら、以上の要求を満たすためには、前記実施の形態1に示す誘電体である絶縁基板2の両面に電極材料を成膜する構造では困難である。
【0091】
そこで、本実施の形態のアンテナ装置20では、図4(a)(b)(c)に示すように、第1の絶縁基板としてのガラス21上に形成された接地電極1と、第2の絶縁基板としてのガラス23上に形成されたストリップ電極3とが、前記実施の形態1で述べた絶縁基板2を挟むことなく形成されている。
【0092】
具体的には、第1の絶縁基板としてのガラス21上に形成された接地電極1と、第2の絶縁基板としてのガラス23上に形成されたストリップ電極3と、これらガラス21とガラス23との隙間に存在する誘電体25から形成されているマイクロストリップアンテナを備えている。すなわち、本実施の形態の誘電体25は、前記の絶縁基板2とは異なる材質にてなっている。
【0093】
上記の誘電体25は、例えば、液晶ポリマーからなる誘電体層からなっている。なお、必ずしもこれに限らず、誘電体25として、単に、空気からなる誘電体層とすることができる。
【0094】
また、上述したように、誘電体25を液晶ポリマーからなる誘電体層又は単に、空気からなる誘電体層とする場合には、ガラス21とガラス23との隙間を形成するためのスペーサが必要である。
【0095】
そこで、本実施の形態では、ガラス21とガラス23との隙間には、ガラス製のファイバ26をスペーサとして使用している。ただし、スペーサは、必ずしもこれに限らず、樹脂をフォトリソグラフィーにて成形したフォトスペーサを設けることが可能である。
【0096】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、図4に示すように、ストリップ電極3はステッパを用いて形成されたものとなっている。このステッパとは、ステップアンドリピート方式の投影露光装置の総称であり、ステップアンドリピーター又は単にリピーターともいう。この方式では、ウエハを逐次移動(ステップ)しながら、同じパターンを繰り返し(リピート)露光していく。マスクのパターンを1:1の大きさで転写する等倍型やレンズ倍率を縮小して転写する縮小型がある。装置は、光源、レンズを含む光学系、レチクル搬送系、ウエハ搬送系、アライメントシステム等からなり、また、空調機を備えレンズを温度変化から保護する機構をもつ。全てのパターンを一括し転写する方式の一括転写に比べて、レンズを小さくでき、例えば、ウエハ1枚当りから取れる半導体チップの数を増やすことができる。レンズの中央を使用するため、レンズ収差を軽減でき、解像性の優れたレジストパターンを形成できる。
【0097】
上記アンテナ装置20の製造方法について説明する。
【0098】
まず、例えばコーニング社製「1737ガラス(商品名)」の第1の絶縁基板としてのガラス21の上側にアルミニウム(Al)を成膜し、パターニングして接地電極1を形成する。
【0099】
一方、例えばコーニング社製「1737ガラス(商品名)」の第2の絶縁基板としてのガラス23の上側にアルミニウム(Al)を成膜し、パターニングしてストリップ電極3を形成する。
【0100】
このとき、接地電極1及びストリップ電極3のいずれのパターニングにも露光装置にはステッパを用いる。なお、上記の説明では、接地電極1及びストリップ電極3の両方にステッパを用いたが、必ずしもこれに限らず、少なくともストリップ電極3にステッパを用いてもよい。
【0101】
その結果、加工精度が数μm以下となり、高周波の電磁波の位相に対しても正確に設計することができる。ここで、本実施の形態では、電極材料としてアルミニウム(Al)を用いたが、他の低抵抗金属として他のアルミニウム(Al)合金、又は銅(Cu)及び銅(Cu)合金を用いても良い。
【0102】
その後、接地電極1が搭載されているガラス21の上の当該接地電極1の存在しない部分にガラス製のファイバ26を混ぜる。その後、前記ガラス21の上に粉体形状の主鎖型ポリエステル系液晶ポリマーを乗せ、その温度を130℃程度に上昇させる。これにより、液晶ポリマーが溶融し、粘度の高い液体になる。この状態で、ストリップ電極3が搭載されているガラス23を貼り合せ、圧力を加える。その結果、このファイバ26の径によって誘電体25の厚さが決定される。その後、室温に戻れば誘電体25の層である液晶ポリマーは固化し、ガラス21とガラス23とは固定される。
【0103】
ここで、誘電体25の厚さを決定しているガラス製のファイバ26の替わりに、前述したように、樹脂をフォトリソグラフィーで成型したフォトスペーサを用いても良い。
【0104】
なお、上記図4(b)に示すように、製造工程においては、ガラス21及びガラス23は、大きいガラス基板が使用されるが、最終的には、各アンテナ装置20毎に方形に切断される。
【0105】
本実施の形態では、上記の液晶ポリマーは誘電率εr=2.9となっている。また、ストリップ電極3の長辺方向の長さLは23mmとした。
【0106】
ここで、誘電体25を構成する誘電体層として、空気とした場合には、空気の誘電率εr=1.0であので、ストリップ電極3の長辺方向の長さL=39mmと大きくする必要があるが、高周波時の誘電損失が限りなく0であるという利点もある。
【0107】
その条件つまり誘電体層として空気とした場合において、ストリップ電極3の短辺側の長さW=100μm(=0.1mm)及びギャップ幅寸法d=50μmのものと、ストリップ電極3の短辺側の長さW=50μm及びギャップ幅寸法d=25μmのものとを試作し、アンテナ装置20の周波数特性を評価した。
【0108】
その結果、ストリップ電極3の短辺側の長さW=100μm(=0.1mm)及びギャップ幅寸法d=50μmのアンテナ装置20の特性は、図5に示すように、周波数帯域がかなり広がっていることが分かる。
【0109】
一方、ストリップ電極3の短辺側の長さW=50μm及びギャップ幅寸法d=25μmのアンテナ装置20の特性は、図6に示すように、周波数帯域はかなり広がっていることに加え、3GHz〜10GHzまでゲインが略フラットになっており、UWB用のアンテナとしては理想的な特性を示していることが分かる。
【0110】
このように、本実施の形態のアンテナ装置20では、前記ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さい。すなわち、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でよりさらに大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。具体的には、W/d=2において、ストリップ電極短辺側寸法Wを0.1mmよりも小さくしたときの結果は、図5及び図6に示すものとなるが、この結果は、前記実施の形態1の図3の場合(ストリップ電極短辺側寸法Wは0.5mm以上)よりもさらに帯域幅が広がってることを示すものとなっている。
【0111】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ガラス21上に形成された接地電極1と、ガラス23上に形成されたストリップ電極3と、ガラス21とガラス23との隙間に形成された液晶ポリマー等の誘電体25から形成されているマイクロストリップアンテナを備えている。なお、本実施の形態では、絶縁基板と誘電体との差異として、絶縁基板は製造プロセスの最初から存在しているものである一方、誘電体は製造プロセスの過程で作製されたものとして使い分けている。
【0112】
このため、ストリップ電極短辺側寸法Wを0.1mmよりも小さく形成する場合あっても、容易にアンテナ装置20を製造することができる。
【0113】
したがって、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置20を確実に提供することができる。
【0114】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ガラス21上に形成された接地電極1と、ガラス23上に形成されたストリップ電極3とが絶縁基板を挟むことなく形成されている。
【0115】
すなわち、従来のマイクロストリップアンテナ及び前記実施の形態1のアンテナ装置10では、絶縁基板2の両面に接地電極1とストリップ電極3とを形成したものとなっており、そのタイプでは、例えば、ストリップ電極の幅を1mm以下に形成することが困難である。
【0116】
この点、本実施の形態では、接地電極1と、ガラス23上に形成されたストリップ電極3とを、絶縁基板2を挟むことなく製造することができ、確実に製造が容易となる。
【0117】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ガラス21とガラス23との隙間には、ガラス製のファイバ26がスペーサとして使用されている。このため、この方法により、ギャップ幅寸法dが小さくても容易に隙間を形成することができる。
【0118】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ガラス21とガラス23との隙間には、樹脂をフォトリソグラフィーにて成形したフォトスペーサを使用することが可能となっている。そのため、容易に隙間にスペーサを形成することができる。
【0119】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ガラス21とガラス23との隙間に形成される誘電体25は、液晶ポリマーからなる誘電体層である。
【0120】
すなわち、誘電体25には、GHzオーダーでの誘電損失の少ないものを選ぶ必要がある。そして、誘電損失の少ないものは誘電率の小さいものが多い。
【0121】
この点、本実施の形態では、ガラス21とガラス23との隙間に形成される誘電体25は、液晶ポリマーからなる誘電体層であるので、この条件を満たす。
【0122】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ガラス21とガラス23との隙間に形成に形成される誘電体25として、空気からなる誘電体層とすることができる。このため、GHzオーダーでの誘電損失が少ない誘電体25となる。
【0123】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ストリップ電極3はステッパを用いて形成されている。
【0124】
したがって、ストリップ電極3を形成する際に、ステッパを用いれば、ストリップ電極3のパターン形成、マスクを用いての露光工程等が、拡大された画面を見ながら行うことができるので、例えば、ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さいストリップ電極3であっても、製造を容易に行うことができる。
【0125】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について図7ないし図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態で説明すること以外の構成は、前記実施の形態1及び実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
前記実施の形態2で説明したアンテナ装置20では、前記図4に示すように、接地電極1からストリップ電極3に向かう方向4のみに電磁波が放射される。また、方向5に偏波している電磁波に対して、上記アンテナ装置20はよく共振する。
【0127】
そこで、本実施の形態のアンテナ装置30では、図7に示すように、前記アンテナ装置20のマイクロストリップアンテナを基本単位として用いる。
【0128】
すなわち、前記図4に示すアンテナ装置20のマイクロストリップアンテナにおける接地電極1とストリップ電極3との形状を入れ替えると、前記方向4とは逆側の方向に電磁波は放射される。つまり、ストリップ電極3から接地電極1に向かう方向にのみ電磁波が放射される。そのアンテナ装置20のマイクロストリップアンテナを基本単位として、図7に示すように、アンテナ装置20aのマイクロストリップアンテナとして表現する。
【0129】
そして、同図7に示すように、アンテナ装置20のマイクロストリップアンテナとアンテナ装置20aのマイクロストリップアンテナとを配線31にて電気的に接続すると図面鉛直方向の上下両方に指向性を持つアンテナ装置30ができる。
【0130】
同様にして、前記図4に示すアンテナ装置20のマイクロストリップアンテナを平面上で90°回転させたものをアンテナ装置20bのマイクロストリップアンテナとする。このアンテナ装置20bのマイクロストリップアンテナは、方向5と垂直方向に偏波している電磁波に対してよく共振する。
【0131】
そして、図8に示すように、上記アンテナ装置20のマイクロストリップアンテナとアンテナ装置20bのマイクロストリップアンテナとを配線31にて電気的に接続すると、図面鉛直上方のあらゆる方向から来る直線偏波の電磁波と共振できるアンテナ装置30aができる。
【0132】
また、上記図7に示すアンテナ装置30と、図8に示すアンテナ装置30aとを組み合わせると、図9に示すように、基板と同一平面上から来る電磁波以外のあらゆる方向からくる電磁波に対して受信でき、また発信できるアンテナ装置40が形成できる。
【0133】
なお、上記においては、異なる指向性のマイクロストリップアンテナを複数並べたが、必ずしもこれに限らず、例えば、同じ指向性のアンテナを複数(例えば、アンテナ装置20のマイクロストリップアンテナのみ複数)並べてもよい。この場合には、指向性の改善にはならないが、放射電力が大きい場合や受信感度が向上した場合には満足できる受信性能が得られる。
【0134】
このように、本実施の形態のアンテナ装置30、アンテナ装置30a及びアンテナ装置40では、アンテナ装置20・20a・20bのマイクロストリップアンテナが、複数個並設されている。
【0135】
したがって、上記の各マイクロストリップアンテナを例えば方向を違えて配置することにより、全体としてアンテナ装置30、アンテナ装置30a及びアンテナ装置40の指向性を広げることができる。
【0136】
また、本実施の形態のアンテナ装置30・40では、接地電極1及びストリップ電極3の形状が、ガラス21及びガラス23の鉛直方向において互いに上下対称となる一対のアンテナ装置20・20aのマイクロストリップアンテナが、ガラス21及びガラス23の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できるように配置されている。
【0137】
これにより、ガラス21及びガラス23の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できる。
【0138】
また、本実施の形態のアンテナ装置30aでは、アンテナ装置20・20bのマイクロストリップアンテナが、それぞれ指向性を補うように平面的に配置されている。
【0139】
このため、マイクロストリップアンテナの配置の方向性を考慮して、平面的に配置することにより、所望の方向への指向性を補い、全体として指向範囲の広いアンテナ装置30aを提供することができる。
【0140】
なお、本実施の形態では、実施の形態2のタイプのアンテナ装置20・20a・20bを平面的に配設したが、必ずしもこれに限らず、実施の形態1のタイプのアンテナ装置10を平面的に配設しても同様の効果を得ることができる。
【0141】
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施の形態について、図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態で説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜実施の形態3と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜実施の形態3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0142】
本実施の形態の表示装置50は、アンテナ装置20のマイクロストリップアンテナの基本単位では、図10に示すように、発信又は受信する電磁波の直線偏波の方向に長い形状をしている。
【0143】
そして、本実施の形態の表示装置50を液晶モジュールの周辺に配置する場合に、図10に示すように、アンテナの長辺方向がディスプレイとしてのフラットパネルディスプレイ51における表示領域の縁に並列するように、非表示領域に置く。これによって、広い指向性と大きい放射電力と高い受信感度を保ちつつ、省スペースに配置することができるものとなる。
【0144】
このように、本実施の形態の表示装置50では、各アンテナ装置20・20a・20bのマイクロストリップアンテナにおけるストリップ電極3の長辺方向がフラットパネルディスプレイ51の表示領域の縁に沿うように、該フラットパネルディスプレイ51の非表示領域に並列して配置されている。
【0145】
したがって、フラットパネルディスプレイ51の周りに指向性を考慮して、アンテナ装置20・20a・20bを効率よく配置することができる。
【0146】
この結果、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置20・20a・20bを用いた表示装置50を提供することができる。
【0147】
なお、本実施の形態では、実施の形態2のタイプのアンテナ装置20・20a・20bを、フラットパネルディスプレイ51の周りに並設したが、必ずしもこれに限らず、実施の形態1のタイプのアンテナ装置10を、フラットパネルディスプレイ51の周りに並設することが可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0148】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的手段に含まれる。
【0149】
【発明の効果】
本発明のアンテナ装置は、以上のように、ストリップ電極の平面形状が略長方形であり、ストリップ電極短辺側寸法をWとし、上記ストリップ電極と接地電極とのギャップ幅寸法をdとした場合に、W/dが3よりも小さいものである。
【0150】
それゆえ、実験の結果、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことが確認できた。
【0151】
したがって、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置を提供することができるという効果を奏する。
【0152】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記W/dは、1よりも大きく、かつ2よりも小さいものである。
【0153】
それゆえ、W/dが、1よりも大きく、かつ2よりも小さい場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でより大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。
【0154】
また、本発明のアンテナ装置は、以上のように、第1の絶縁基板上に形成された接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極と、上記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成された誘電体から形成されているアンテナを備えているものである。
【0155】
それゆえ、この構成であれば、液晶ディスプレイの製造プロセスの一部そのものであるので、容易にアンテナ装置を製造することができる。
【0156】
したがって、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置を確実に提供することができるという効果を奏する。
【0157】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板上に形成された接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極とが絶縁基板を挟むことなく形成されているものである。
【0158】
それゆえ、接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極とを絶縁基板を挟むことなく製造することができ、確実に製造が容易となるという効果を奏する。
【0159】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さいものである。
【0160】
それゆえ、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でよりさらに大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。
【0161】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、ガラス製のファイバがスペーサとして使用されているものである。
【0162】
それゆえ、この方法により、ギャップ幅寸法が小さくても容易に隙間を形成することができるという効果を奏する。
【0163】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、樹脂をフォトリソグラフィーにて成形したフォトスペーサが使用されているものである。それゆえ、容易に隙間にスペーサを形成することができるという効果を奏する。
【0164】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成される誘電体は、液晶ポリマーからなる誘電体層であるものである。
【0165】
それゆえ、第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成される誘電体は、液晶ポリマーからなる誘電体層であるので、この条件を満たすという効果を奏する。
【0166】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成に形成される誘電体は、空気からなる誘電体層であるものである。それゆえ、GHzオーダーでの誘電損失が少ない誘電体となるという効果を奏する。
【0167】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記ストリップ電極はステッパを用いて形成されているものである。
【0168】
それゆえ、ストリップ電極を形成する際に、ステッパを用いれば、ストリップ電極のパターン形成、マスクを用いての露光工程等が、拡大された画面を見ながら行うことができるので、製造を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0169】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、上記記載のアンテナ装置のアンテナが、複数個並設されているものである。
【0170】
それゆえ、各アンテナを例えば方向を違えて配置することにより、全体としてアンテナ装置の指向性を広げることができるという効果を奏する。
【0171】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記接地電極及びストリップ電極の形状が、第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向において互いに上下対称となる一対のアンテナが、上記第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できるように配置されているものである。
【0172】
それゆえ、上記第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できるという効果を奏する。
【0173】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置のアンテナが、それぞれ指向性を補うように平面的に配置されているものである。
【0174】
それゆえ、アンテナ装置のアンテナの配置の方向性を考慮して、平面的に配置することにより、所望の方向への指向性を補い、全体として指向範囲の広いアンテナ装置を提供することができるという効果を奏する。
【0175】
また、本発明の表示装置は、上記記載のアンテナ装置が、各アンテナのストリップ電極の長辺方向がディスプレイの表示領域の縁に沿うように、該ディスプレイの非表示領域に並列して配置されているものである。
【0176】
それゆえ、ディスプレイの周りに指向性を考慮して、アンテナ装置を効率よく配置することができる。
【0177】
この結果、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置を用いた表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるアンテナ装置の実施の一形態を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線端面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【図2】上記アンテナ装置において、ストリップ電極の短辺側の長さWを5.6mmとしたときの周波数特性を示すグラフである。
【図3】上記アンテナ装置において、ギャップ幅寸法dを0.7mmとしストリップ電極の短辺側の長さWを0.5mmから5.6mmまで変化させた時の共振帯域幅を示したグラフである。
【図4】本発明におけるアンテナ装置の他の実施の形態を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線端面図、(c)は(a)のD−D線断面図である。
【図5】上記アンテナ装置におけるストリップ電極の短辺側の長さWを100μm、ギャップ幅寸法d=50μmとしたときの周波数特性を示すグラフである。
【図6】上記アンテナ装置におけるストリップ電極の短辺側の長さWを50μmとし、ギャップ幅寸法d=25μmとしたときの周波数特性を示すグラフである。
【図7】本発明におけるアンテナ装置のさらに他の実施の形態を示すものであり、前記マイクロストリップアンテナを複数組み合わせるに際して、図面鉛直方向の上下両方に指向性を持つアンテナ装置を示す平面図である。
【図8】上記マイクロストリップアンテナを複数組み合わせるに際して、図面鉛直上方のあらゆる方向から来る直線偏波の電磁波と共振できるアンテナ装置を示す平面図である。
【図9】上記マイクロストリップアンテナを複数組み合わせるに際して、基板と同一平面上から来る電磁波以外のあらゆる方向からくる電磁波に対して受信でき、また発信できるアンテナ装置を示す平面図である。
【図10】上記マイクロストリップアンテナを複数組み合わせて、液晶モジュールの周辺に配置することにより構成した表示装置を示す平面図である。
【図11】従来のマイクロストリップアンテナの構造を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のE−E線端面図、(c)は(a)のF−F線断面図である。
【符号の説明】
1 接地電極
2 絶縁基板(誘電体)
3 ストリップ電極
4 接地電極からストリップ電極に向かう方向
5 アンテナが共振する偏波の方向
6 取り出し配線
10 アンテナ装置
20 アンテナ装置
20a アンテナ装置
20b アンテナ装置
21 ガラス(第1の絶縁基板)
23 ガラス(第2の絶縁基板)
25 誘電体
26 ファイバ(スペーサ)
30 アンテナ装置
30a アンテナ装置
40 アンテナ装置
50 表示装置
51 フラットパネルディスプレイ(ディスプレイ)
L ストリップ電極の長辺方向の長さ
W ストリップ電極の短辺側の長さ
【発明の属する技術分野】
本発明は、UHF帯又はSHF帯を用いた、特にUWB(Ultra Wide Band)の用いた無線通信を送受信するためのアンテナ装置に関するものであり、特に、誘電体をストリップ電極と接地電極とで挟む構造のアンテナを備えたアンテナ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、無線通信技術の発達は目覚しく、ブルートゥース(Bluetooth)やIEEE802.11b、及びIEEE802.11a等の無線通信技術が一般的になってきている。これらの無線通信技術は、モバイル機器に搭載され、小型、軽量化、高性能化が一層強く要望されている。
【0003】
ところで、最近、UWB(Ultra Wide Band)技術が注目を集めている。例えば、非特許文献1にはUWB技術及び用途の概略が記載され、非特許文献2にはUWBを通信に用いた場合の詳細な記述がある。
【0004】
UWB技術は、1ns程度の短パルスを搬送波として送る通信手段に関するものであり、短距離通信ではあるが高速かつ低消費電力という利点を有している。
【0005】
通常、無線通信は情報を含んだベースバンド信号を搬送波に載せて送る。しかし、UWBは情報を含んだパルス信号そのものが搬送波となるために通信時の消費電力が低く、また、そのパルス信号は1ns程度の短パルスであるために高速伝送が可能となるのである。加えて、送信時にベースバンド信号を搬送波に載せて送る必要がなく、かつ受信時に搬送波とベースバンド信号と分離が不要であるため、送受信の回路が簡略化でき製造コストを安くすることができる。
【0006】
しかし、UWBは周波数領域では非常に広帯域であるため、その信号を捕らえるためのアンテナの作成が非常に難しい。従来、UWB技術は軍用技術として長年研究されてきており、その結果開発された上記非常に広帯域の周波数を捕らえるアンテナとして、ディスコーンアンテナやログペリオディックアンテナ、及びバイコニカルアンテナが有名である。しかし、これらのアンテナは大型であり、とても真のモバイル用途に用いることができる程度の小型化はできていなかった。
【0007】
ところで、アンテナの小型化へのアプローチとして、誘電体を電極で挟む構造のアンテナ(以下、「マイクロストリップアンテナ」と呼ぶ。)がある。
【0008】
上記マイクロストリップアンテナとして有名な方形マイクロストリップアンテナ70は、図11(a)(b)(c)に示すように、方形の接地電極71と、同じ大きさの誘電体72と、表面中央に設けられた電極73との3層構造にてなっている。また、電極73の中心近傍には、給電点74がある。
【0009】
上記電極73も正方形に形成されており、この電極73の1辺の長さをLとすると、共振周波数fは、電極73の長さLと誘電体72の比誘電率εrとで決まり、
f=C/(2d・εr 1/2)
で表される。ただし、dは誘電体72の厚さであり、Cは係数である。
【0010】
ここで、非特許文献3によると、一般的にマイクロストリップアンテナは以下の利点と限界とがある。
【0011】
利点は、
(1) 薄型、軽量、小型である。
(2) 作製のコストが安く、量産性に優れる。
(3) 単純な給電方法で直線偏波、円偏波を発生させることができる。
(4) 2通りの発振周波数を持たせたり、2通りの偏光を持たせたりすることが容易にできる。
(5) マイクロ波集積回路とアンテナの集積化とが容易にできる。
【0012】
限界は、
(1) 共振周波数の帯域が狭い。
(2) ゲインが小さい。
(3) 給電の構造体アレイでの抵抗によるロスが大きい。
(4) アンテナの電磁波からの放射が全方位では無く、半空間しかない。
(5) 偏波度が高くない。
(6) 大電力の放射ができない。
(7) マイクロストリップアンテナは通常、MMICとの集積化の兼ね合いで高誘電率の誘電体を用いるが、その結果、信号の取り出し効率が低く、共振周波数の帯域が狭い。
である。
【0013】
【非特許文献1】
「RECENT APPLICATION OF ULTRA WIDEBAND RADAR AND COMMUNICATIONS SYSTEMS」Robert J.Fontana ,Ultra-Wideband,Short-Pulse ElectromagneticsPLENUM PUBLISHING CORPORATION
【0014】
【非特許文献2】
「Ultra-Wideband Technology for Short-or Medium-Range Wireless Communications」Jeff Foerster 他,Intel Technology Journal Q2 2001
【0015】
【非特許文献3】
Ramesh Garg他著「Microstrip Antenna Design Handbook」
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
以上のことから、従来のマイクロストリップアンテナは、通常、UWBのアンテナに求められる、周波数領域で非常に広帯域な特性を持つには相性が良くなかったという問題点を有している。
【0017】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置及びそれを用いた表示装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のアンテナ装置は、上記課題を解決するために、誘電体をストリップ電極と接地電極とで挟む構造のアンテナを備えたアンテナ装置において、上記ストリップ電極の平面形状が略長方形であり、ストリップ電極短辺側寸法をWとし、上記ストリップ電極と接地電極とのギャップ幅寸法をdとした場合に、W/dが3よりも小さいことを特徴としている。
【0019】
従来、誘電体をストリップ電極と接地電極とで挟む構造の所謂マイクロストリップアンテナでは、ストリップ電極は方形であった。そして、この方形マイクロストリップアンテナは、UWBのアンテナに求められる、周波数領域で非常に広帯域な特性を持つには不十分であるという問題点を有していた。
【0020】
そこで、本発明では、ストリップ電極の平面形状を略長方形とし、かつ、ストリップ電極短辺側寸法をWとし、上記ストリップ電極と接地電極とのギャップ幅寸法をdとした場合に、W/dが3よりも小さいこととした。
【0021】
実験の結果、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことが確認できた。
【0022】
したがって、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置を提供することができる。
【0023】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記W/dは、1よりも大きく、かつ2よりも小さいことを特徴としている。
【0024】
すなわち、W/dが、1よりも大きく、かつ3よりも小さい場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でより大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。
【0025】
また、本発明のアンテナ装置は、上記課題を解決するために、第1の絶縁基板上に形成された接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極と、上記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成された誘電体から形成されているアンテナを備えていることを特徴としている。なお、本発明では、絶縁基板と誘電体との差異として、絶縁基板は製造プロセスの最初から存在しているものである一方、誘電体は製造プロセスの過程で作製されたものとして使い分けている。
【0026】
後述するように、例えば、ストリップ電極短辺側寸法Wを0.1mmよりも小さく形成することとなると、絶縁基板の両側に接地電極とストリップ電極を形成するという製造方法が使用し難くなる。すなわち、W/dが1よりも大きくかつ3よりも小さいという関係を保った状態で、ストリップ電極短辺側寸法Wを0.1mmよりも小さく形成するということは、絶縁基板の厚さが0.1mmよりも薄くなってしまうことを意味する。現在のところ、絶縁基板である例えばガラス基板を、0.1mmよりも薄くすることは非常に難しく、その結果、製造上、困難である。
【0027】
そこで、上記の発明によれば、アンテナの構成として、第1の絶縁基板上に形成された接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極と、上記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成された誘電体から形成されているとした。
【0028】
この構成であれば、液晶ディスプレイの製造プロセスの一部そのものであるので、容易にアンテナ装置を製造することができる。
【0029】
したがって、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置を確実に提供することができる。
【0030】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板上に形成された接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極とが絶縁基板を挟むことなく形成されていることを特徴としている。
【0031】
すなわち、従来のマイクロストリップアンテナは、絶縁基板の両面に接地電極とストリップ電極とを形成したものとなっており、そのタイプでは、例えば、ストリップ電極の幅を1mm以下に形成することが困難である。
【0032】
この点、本発明では、接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極とを絶縁基板を挟むことなく製造することができ、確実に製造が容易となる。
【0033】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さいことを特徴としている。
【0034】
上記の発明によれば、前記ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さい。すなわち、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でよりさらに大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。
【0035】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、ガラス製のファイバがスペーサとして使用されていることを特徴としている。
【0036】
上記の発明によれば、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、ガラス製のファイバがスペーサとして使用されているので、この方法により、ギャップ幅寸法が小さくても容易に隙間を形成することができる。
【0037】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、樹脂をフォトリソグラフィーにて成形したフォトスペーサが使用されていることを特徴としている。
【0038】
上記の発明によれば、第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、樹脂をフォトリソグラフィーにて成形したフォトスペーサが使用されているので、容易に隙間にスペーサを形成することができる。
【0039】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成される誘電体は、液晶ポリマーからなる誘電体層であることを特徴としている。
【0040】
すなわち、誘電体には、GHzオーダーでの誘電損失の少ないものを選ぶ必要がある。そして、誘電損失の少ないものは誘電率の小さいものが多い。
【0041】
この点、上記の発明によれば、第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成される誘電体は、液晶ポリマーからなる誘電体層であるので、この条件を満たす。
【0042】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成に形成される誘電体は、空気からなる誘電体層であることを特徴としている。
【0043】
上記の発明によれば、第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成に形成される誘電体は、空気からなる誘電体層であるので、GHzオーダーでの誘電損失が少ない誘電体となる。
【0044】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記ストリップ電極はステッパを用いて形成されていることを特徴としている。
【0045】
上述したように、例えば、前記ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さいストリップ電極を形成するためには、顕微鏡等を用いての製造が好ましい。
【0046】
この点、ストリップ電極を形成する際に、ステッパを用いれば、ストリップ電極のパターン形成、マスクを用いての露光工程等が、拡大された画面を見ながら行うことができるので、製造を容易に行うことができる。
【0047】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、上記記載のアンテナ装置のアンテナが、複数個並設されていることを特徴としている。
【0048】
上記の発明によれば、上記記載のアンテナ装置のアンテナが、複数個並設されている。
【0049】
したがって、上記の各アンテナを例えば方向を違えて配置することにより、全体としてアンテナ装置の指向性を広げることができる。
【0050】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記接地電極及びストリップ電極の形状が、第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向において互いに上下対称となる一対のアンテナが、上記第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できるように配置されていることを特徴としている。
【0051】
上記の発明によれば、前記接地電極及びストリップ電極の形状が、第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向において互いに上下対称となる一対のアンテナが、上記第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できるように配置されている。
【0052】
したがって、これにより、上記第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できる。
【0053】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置のアンテナが、それぞれ指向性を補うように平面的に配置されていることを特徴としている。
【0054】
上記の発明によれば、上記記載のアンテナ装置のアンテナが、それぞれ指向性を補うように平面的に配置されているので、上記記載のアンテナ装置のアンテナの配置の方向性を考慮して、平面的に配置することにより、所望の方向への指向性を補い、全体として指向範囲の広いアンテナ装置を提供することができる。
【0055】
また、本発明の表示装置は、上記記載のアンテナ装置が、各アンテナのストリップ電極の長辺方向がディスプレイの表示領域の縁に沿うように、該ディスプレイの非表示領域に並列して配置されていることを特徴としている。
【0056】
上記の発明によれば、表示装置には、各アンテナのストリップ電極の長辺方向がディスプレイの表示領域の縁に沿うように、該ディスプレイの非表示領域に並列して配置されている。したがって、ディスプレイの周りに指向性を考慮して、アンテナ装置を効率よく配置することができる。
【0057】
この結果、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置を用いた表示装置を提供することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0059】
本実施の形態のアンテナ装置10は、図1(a)(b)(c)に示すように、方形の接地電極1と、この接地電極1の上側に同じ大きさに形成されたガラスからなる誘電体からなる絶縁基板2と、この絶縁基板2の表面においてその中心から両側の端部に向かって長方形の短冊状に形成されたストリップ電極3との3層構造となっている。なお、上記のストリップ電極3の形状は、必ずしも長方形に限らず、長方形に近い形つまり略長方形であればよい。また、上記ストリップ電極3の両端からは、取り出し配線6・6がそれぞれ延びている。
【0060】
すなわち、上記アンテナ装置10は、誘電体である絶縁基板2を接地電極1とストリップ電極3とで挟む構造のマイクロストリップアンテナを備えたものとなっている。
【0061】
上記アンテナ装置10の製造方法について説明する。
【0062】
まず、例えば、コーニング社製「1737ガラス(商品名)」のガラスからなる誘電体としての絶縁基板2の片側にアルミニウム(Al)を成膜し、パターニングして接地電極1を形成する。このアルミニウム(Al)の成膜は、接地電極1と同じ大きさの方形である。
【0063】
その後、絶縁基板2の他の片側にアルミニウム(Al)を成膜し、パターニングしてストリップ電極3を形成する。なお、本実施の形態では、誘電体として機能する絶縁基板2として上記コーニング社製「1737ガラス(商品名)」を用いたが、必ずしもこれに限らず、例えば、アルミナ、フッ素系樹脂等の絶縁基板2でも良い。また、電極材料としてアルミニウム(Al)を用いたが、他の低抵抗金属として他のアルミニウム(Al)合金、又は銅(Cu)や銅(Cu)合金を用いても良い。さらに、上記ストリップ電極3は、ステッパを用いて形成することが可能である。なお、ステッパについては、実施の形態2において詳述する。
【0064】
本実施の形態では、絶縁基板2の厚みつまり接地電極1とストリップ電極3とのギャップ幅dは0.7mmであり、絶縁基板2の比誘電率は5.3である。
【0065】
ここで、本実施の形態では、上記ストリップ電極3の長辺側の長さLを17mmに固定するとともに、ストリップ電極3の短辺側の長さWを変化させて周波数特性を測定した。
【0066】
その結果、ストリップ電極3の短辺側の長さW=5.6mmの場合におけるアンテナ装置10の周波数特性は、図2に示すようになる。同図の縦軸はSパラメータのS11であり、横軸は周波数である。また、Sパラメータとは、「Scattering parameter」のことであり、本実施の形態で使用するSパラメータは、特にS11のことを示している。また、S11とは、反射係数〔(入力端から反射される電力)/(出力端に入射する電力)〕のことであり、ゼロに近づけば反射が少なくてよいことを意味する。目安は−10dB、望ましくは−20dBである。
【0067】
アンテナ装置10の理論上の共振周波数は、誘電体である絶縁基板2の比誘電率とストリップ電極3の長辺方向の長さLとで求まるが、その簡易計算で求まる周波数は3.8GHzなので理論上の共振周波数と良く一致していることが分かる。
【0068】
次に、アンテナ装置10におけるストリップ電極3の短辺側の長さWを0.5mmから5.6mmまで変化させて、その周波数特性を調べた。その結果、ストリップ電極3の短辺側の長さWを小さくしていけば、アンテナ装置10の共振周波数が広帯域していくことが分かった。そして、ストリップ電極3の短辺側の長さWにおける反射係数S11が−20dB以下の周波数帯域の幅を縦軸にとり、横軸をW/dで規格化したとき、図3に示すようになった。
【0069】
この結果、W/dが3よりも小さいところで、帯域幅は広がってきている。また、W/dは3よりも小さいところで帯域幅はさらに広くなり、1よりも大きくて、1に近づく程、帯域幅が広くなって行くことが分かった。
【0070】
具体的には、W/dが3よりも大きいところではW/d−帯域幅の曲線は直線的に緩やかに変化するのに対し、3よりも小さいところではW/dを小さくすることによって帯域幅の増加は増大し、トレンド直線の傾きが大きくなっている。
【0071】
また、W/dが2よりも小さく1よりも大きい領域では、トレンド曲線の傾きが大きく変化し、1の近傍に漸近線でも存在するかのように急激となっている。
【0072】
このように、ストリップ電極3を長方形又はそれに近い形とし、ストリップ電極3の短辺側の長さをW、2つの接地電極1及びストリップ電極3のギャップ幅寸法をdとする時、W/dが3よりも小さいこと、さらに望ましくは、W/dが1よりも大きくて2よりも小さい時に広帯域化していくことが分かった。
【0073】
また、本実施の形態では、上記の条件を満たす範囲において、ストリップ電極短辺側寸法Wを0.1mmよりも小さくして形成することもできる。
【0074】
以上に説明したように、本実施の形態のアンテナ装置10は、小型で、軽量で低コストなUWB用の送受信アンテナを提供するものである。
【0075】
また、マイクロストリップアンテナの送受信帯域を狭めるのは容易なので、UHF帯又はSHF帯の他の通信用の、小型かつ軽量で低コストな送受信アンテナを提供することもできる。
【0076】
さらに、短パルスの伝送用のマイクロストリップラインとしても良好な特性を提供できる。
【0077】
このように、本実施の形態のアンテナ装置10では、ストリップ電極3の平面形状を略長方形とし、かつ、ストリップ電極短辺側寸法をWとし、このストリップ電極3と接地電極1とのギャップ幅寸法をdとした場合に、W/dが3よりも小さいこととしている。
【0078】
実験の結果、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことが確認できた。
【0079】
したがって、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置10を提供することができる。
【0080】
また、本実施の形態のアンテナ装置10では、W/dが、1よりも大きく、かつ2よりも小さい場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でより大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。
【0081】
また、本実施の形態のアンテナ装置10は、上記記載のアンテナ装置において、前記ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さい。すなわち、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でよりさらに大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。
【0082】
また、本実施の形態のアンテナ装置10では、ストリップ電極3はステッパを用いて形成されている。
【0083】
すなわち、例えば、ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さいストリップ電極を形成するためには、顕微鏡等を用いての製造が好ましい。
【0084】
この点、ストリップ電極3を形成する際に、ステッパを用いれば、ストリップ電極3のパターン形成、マスクを用いての露光工程等が、拡大された画面を見ながら行うことができるので、製造を容易に行うことができる。
【0085】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図4ないし図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態で説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0086】
前記実施の形態1のアンテナ装置10によって、アンテナが広帯域化していくことは分かったが、アンテナ装置10を小型化するためには、ストリップ電極3の短辺側の長さWを小さくしなければならない。また、W/dが3よりも小さいこと、さらに望ましくはW/dを1よりも大きくて2よりも小さくするためには、ストリップ電極3の短辺側の長さWと共に、ギャップ幅寸法dを小さくしなければならない。
【0087】
また、アンテナの指向性に関しても実施の形態1のアンテナ装置10では満足できない。すなわち、前記図1のアンテナ装置10では、接地電極1からストリップ電極3に向かう方向4にのみ電磁波は放射される。
【0088】
さらに、同図1に示すように、方向5に偏波している電磁波に対してはアンテナ装置10はよく共振するが、その他の方向については、共振が不十分である。
【0089】
そこで、アンテナ装置10の指向性の改善のため、前記図1び示すアンテナ装置10のマイクロストリップアンテナを基本単位として、それを複数個使用して指向性を広げる必要がある。
【0090】
しかしながら、以上の要求を満たすためには、前記実施の形態1に示す誘電体である絶縁基板2の両面に電極材料を成膜する構造では困難である。
【0091】
そこで、本実施の形態のアンテナ装置20では、図4(a)(b)(c)に示すように、第1の絶縁基板としてのガラス21上に形成された接地電極1と、第2の絶縁基板としてのガラス23上に形成されたストリップ電極3とが、前記実施の形態1で述べた絶縁基板2を挟むことなく形成されている。
【0092】
具体的には、第1の絶縁基板としてのガラス21上に形成された接地電極1と、第2の絶縁基板としてのガラス23上に形成されたストリップ電極3と、これらガラス21とガラス23との隙間に存在する誘電体25から形成されているマイクロストリップアンテナを備えている。すなわち、本実施の形態の誘電体25は、前記の絶縁基板2とは異なる材質にてなっている。
【0093】
上記の誘電体25は、例えば、液晶ポリマーからなる誘電体層からなっている。なお、必ずしもこれに限らず、誘電体25として、単に、空気からなる誘電体層とすることができる。
【0094】
また、上述したように、誘電体25を液晶ポリマーからなる誘電体層又は単に、空気からなる誘電体層とする場合には、ガラス21とガラス23との隙間を形成するためのスペーサが必要である。
【0095】
そこで、本実施の形態では、ガラス21とガラス23との隙間には、ガラス製のファイバ26をスペーサとして使用している。ただし、スペーサは、必ずしもこれに限らず、樹脂をフォトリソグラフィーにて成形したフォトスペーサを設けることが可能である。
【0096】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、図4に示すように、ストリップ電極3はステッパを用いて形成されたものとなっている。このステッパとは、ステップアンドリピート方式の投影露光装置の総称であり、ステップアンドリピーター又は単にリピーターともいう。この方式では、ウエハを逐次移動(ステップ)しながら、同じパターンを繰り返し(リピート)露光していく。マスクのパターンを1:1の大きさで転写する等倍型やレンズ倍率を縮小して転写する縮小型がある。装置は、光源、レンズを含む光学系、レチクル搬送系、ウエハ搬送系、アライメントシステム等からなり、また、空調機を備えレンズを温度変化から保護する機構をもつ。全てのパターンを一括し転写する方式の一括転写に比べて、レンズを小さくでき、例えば、ウエハ1枚当りから取れる半導体チップの数を増やすことができる。レンズの中央を使用するため、レンズ収差を軽減でき、解像性の優れたレジストパターンを形成できる。
【0097】
上記アンテナ装置20の製造方法について説明する。
【0098】
まず、例えばコーニング社製「1737ガラス(商品名)」の第1の絶縁基板としてのガラス21の上側にアルミニウム(Al)を成膜し、パターニングして接地電極1を形成する。
【0099】
一方、例えばコーニング社製「1737ガラス(商品名)」の第2の絶縁基板としてのガラス23の上側にアルミニウム(Al)を成膜し、パターニングしてストリップ電極3を形成する。
【0100】
このとき、接地電極1及びストリップ電極3のいずれのパターニングにも露光装置にはステッパを用いる。なお、上記の説明では、接地電極1及びストリップ電極3の両方にステッパを用いたが、必ずしもこれに限らず、少なくともストリップ電極3にステッパを用いてもよい。
【0101】
その結果、加工精度が数μm以下となり、高周波の電磁波の位相に対しても正確に設計することができる。ここで、本実施の形態では、電極材料としてアルミニウム(Al)を用いたが、他の低抵抗金属として他のアルミニウム(Al)合金、又は銅(Cu)及び銅(Cu)合金を用いても良い。
【0102】
その後、接地電極1が搭載されているガラス21の上の当該接地電極1の存在しない部分にガラス製のファイバ26を混ぜる。その後、前記ガラス21の上に粉体形状の主鎖型ポリエステル系液晶ポリマーを乗せ、その温度を130℃程度に上昇させる。これにより、液晶ポリマーが溶融し、粘度の高い液体になる。この状態で、ストリップ電極3が搭載されているガラス23を貼り合せ、圧力を加える。その結果、このファイバ26の径によって誘電体25の厚さが決定される。その後、室温に戻れば誘電体25の層である液晶ポリマーは固化し、ガラス21とガラス23とは固定される。
【0103】
ここで、誘電体25の厚さを決定しているガラス製のファイバ26の替わりに、前述したように、樹脂をフォトリソグラフィーで成型したフォトスペーサを用いても良い。
【0104】
なお、上記図4(b)に示すように、製造工程においては、ガラス21及びガラス23は、大きいガラス基板が使用されるが、最終的には、各アンテナ装置20毎に方形に切断される。
【0105】
本実施の形態では、上記の液晶ポリマーは誘電率εr=2.9となっている。また、ストリップ電極3の長辺方向の長さLは23mmとした。
【0106】
ここで、誘電体25を構成する誘電体層として、空気とした場合には、空気の誘電率εr=1.0であので、ストリップ電極3の長辺方向の長さL=39mmと大きくする必要があるが、高周波時の誘電損失が限りなく0であるという利点もある。
【0107】
その条件つまり誘電体層として空気とした場合において、ストリップ電極3の短辺側の長さW=100μm(=0.1mm)及びギャップ幅寸法d=50μmのものと、ストリップ電極3の短辺側の長さW=50μm及びギャップ幅寸法d=25μmのものとを試作し、アンテナ装置20の周波数特性を評価した。
【0108】
その結果、ストリップ電極3の短辺側の長さW=100μm(=0.1mm)及びギャップ幅寸法d=50μmのアンテナ装置20の特性は、図5に示すように、周波数帯域がかなり広がっていることが分かる。
【0109】
一方、ストリップ電極3の短辺側の長さW=50μm及びギャップ幅寸法d=25μmのアンテナ装置20の特性は、図6に示すように、周波数帯域はかなり広がっていることに加え、3GHz〜10GHzまでゲインが略フラットになっており、UWB用のアンテナとしては理想的な特性を示していることが分かる。
【0110】
このように、本実施の形態のアンテナ装置20では、前記ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さい。すなわち、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でよりさらに大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。具体的には、W/d=2において、ストリップ電極短辺側寸法Wを0.1mmよりも小さくしたときの結果は、図5及び図6に示すものとなるが、この結果は、前記実施の形態1の図3の場合(ストリップ電極短辺側寸法Wは0.5mm以上)よりもさらに帯域幅が広がってることを示すものとなっている。
【0111】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ガラス21上に形成された接地電極1と、ガラス23上に形成されたストリップ電極3と、ガラス21とガラス23との隙間に形成された液晶ポリマー等の誘電体25から形成されているマイクロストリップアンテナを備えている。なお、本実施の形態では、絶縁基板と誘電体との差異として、絶縁基板は製造プロセスの最初から存在しているものである一方、誘電体は製造プロセスの過程で作製されたものとして使い分けている。
【0112】
このため、ストリップ電極短辺側寸法Wを0.1mmよりも小さく形成する場合あっても、容易にアンテナ装置20を製造することができる。
【0113】
したがって、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置20を確実に提供することができる。
【0114】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ガラス21上に形成された接地電極1と、ガラス23上に形成されたストリップ電極3とが絶縁基板を挟むことなく形成されている。
【0115】
すなわち、従来のマイクロストリップアンテナ及び前記実施の形態1のアンテナ装置10では、絶縁基板2の両面に接地電極1とストリップ電極3とを形成したものとなっており、そのタイプでは、例えば、ストリップ電極の幅を1mm以下に形成することが困難である。
【0116】
この点、本実施の形態では、接地電極1と、ガラス23上に形成されたストリップ電極3とを、絶縁基板2を挟むことなく製造することができ、確実に製造が容易となる。
【0117】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ガラス21とガラス23との隙間には、ガラス製のファイバ26がスペーサとして使用されている。このため、この方法により、ギャップ幅寸法dが小さくても容易に隙間を形成することができる。
【0118】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ガラス21とガラス23との隙間には、樹脂をフォトリソグラフィーにて成形したフォトスペーサを使用することが可能となっている。そのため、容易に隙間にスペーサを形成することができる。
【0119】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ガラス21とガラス23との隙間に形成される誘電体25は、液晶ポリマーからなる誘電体層である。
【0120】
すなわち、誘電体25には、GHzオーダーでの誘電損失の少ないものを選ぶ必要がある。そして、誘電損失の少ないものは誘電率の小さいものが多い。
【0121】
この点、本実施の形態では、ガラス21とガラス23との隙間に形成される誘電体25は、液晶ポリマーからなる誘電体層であるので、この条件を満たす。
【0122】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ガラス21とガラス23との隙間に形成に形成される誘電体25として、空気からなる誘電体層とすることができる。このため、GHzオーダーでの誘電損失が少ない誘電体25となる。
【0123】
また、本実施の形態のアンテナ装置20では、ストリップ電極3はステッパを用いて形成されている。
【0124】
したがって、ストリップ電極3を形成する際に、ステッパを用いれば、ストリップ電極3のパターン形成、マスクを用いての露光工程等が、拡大された画面を見ながら行うことができるので、例えば、ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さいストリップ電極3であっても、製造を容易に行うことができる。
【0125】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について図7ないし図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態で説明すること以外の構成は、前記実施の形態1及び実施の形態2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
前記実施の形態2で説明したアンテナ装置20では、前記図4に示すように、接地電極1からストリップ電極3に向かう方向4のみに電磁波が放射される。また、方向5に偏波している電磁波に対して、上記アンテナ装置20はよく共振する。
【0127】
そこで、本実施の形態のアンテナ装置30では、図7に示すように、前記アンテナ装置20のマイクロストリップアンテナを基本単位として用いる。
【0128】
すなわち、前記図4に示すアンテナ装置20のマイクロストリップアンテナにおける接地電極1とストリップ電極3との形状を入れ替えると、前記方向4とは逆側の方向に電磁波は放射される。つまり、ストリップ電極3から接地電極1に向かう方向にのみ電磁波が放射される。そのアンテナ装置20のマイクロストリップアンテナを基本単位として、図7に示すように、アンテナ装置20aのマイクロストリップアンテナとして表現する。
【0129】
そして、同図7に示すように、アンテナ装置20のマイクロストリップアンテナとアンテナ装置20aのマイクロストリップアンテナとを配線31にて電気的に接続すると図面鉛直方向の上下両方に指向性を持つアンテナ装置30ができる。
【0130】
同様にして、前記図4に示すアンテナ装置20のマイクロストリップアンテナを平面上で90°回転させたものをアンテナ装置20bのマイクロストリップアンテナとする。このアンテナ装置20bのマイクロストリップアンテナは、方向5と垂直方向に偏波している電磁波に対してよく共振する。
【0131】
そして、図8に示すように、上記アンテナ装置20のマイクロストリップアンテナとアンテナ装置20bのマイクロストリップアンテナとを配線31にて電気的に接続すると、図面鉛直上方のあらゆる方向から来る直線偏波の電磁波と共振できるアンテナ装置30aができる。
【0132】
また、上記図7に示すアンテナ装置30と、図8に示すアンテナ装置30aとを組み合わせると、図9に示すように、基板と同一平面上から来る電磁波以外のあらゆる方向からくる電磁波に対して受信でき、また発信できるアンテナ装置40が形成できる。
【0133】
なお、上記においては、異なる指向性のマイクロストリップアンテナを複数並べたが、必ずしもこれに限らず、例えば、同じ指向性のアンテナを複数(例えば、アンテナ装置20のマイクロストリップアンテナのみ複数)並べてもよい。この場合には、指向性の改善にはならないが、放射電力が大きい場合や受信感度が向上した場合には満足できる受信性能が得られる。
【0134】
このように、本実施の形態のアンテナ装置30、アンテナ装置30a及びアンテナ装置40では、アンテナ装置20・20a・20bのマイクロストリップアンテナが、複数個並設されている。
【0135】
したがって、上記の各マイクロストリップアンテナを例えば方向を違えて配置することにより、全体としてアンテナ装置30、アンテナ装置30a及びアンテナ装置40の指向性を広げることができる。
【0136】
また、本実施の形態のアンテナ装置30・40では、接地電極1及びストリップ電極3の形状が、ガラス21及びガラス23の鉛直方向において互いに上下対称となる一対のアンテナ装置20・20aのマイクロストリップアンテナが、ガラス21及びガラス23の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できるように配置されている。
【0137】
これにより、ガラス21及びガラス23の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できる。
【0138】
また、本実施の形態のアンテナ装置30aでは、アンテナ装置20・20bのマイクロストリップアンテナが、それぞれ指向性を補うように平面的に配置されている。
【0139】
このため、マイクロストリップアンテナの配置の方向性を考慮して、平面的に配置することにより、所望の方向への指向性を補い、全体として指向範囲の広いアンテナ装置30aを提供することができる。
【0140】
なお、本実施の形態では、実施の形態2のタイプのアンテナ装置20・20a・20bを平面的に配設したが、必ずしもこれに限らず、実施の形態1のタイプのアンテナ装置10を平面的に配設しても同様の効果を得ることができる。
【0141】
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施の形態について、図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態で説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜実施の形態3と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜実施の形態3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0142】
本実施の形態の表示装置50は、アンテナ装置20のマイクロストリップアンテナの基本単位では、図10に示すように、発信又は受信する電磁波の直線偏波の方向に長い形状をしている。
【0143】
そして、本実施の形態の表示装置50を液晶モジュールの周辺に配置する場合に、図10に示すように、アンテナの長辺方向がディスプレイとしてのフラットパネルディスプレイ51における表示領域の縁に並列するように、非表示領域に置く。これによって、広い指向性と大きい放射電力と高い受信感度を保ちつつ、省スペースに配置することができるものとなる。
【0144】
このように、本実施の形態の表示装置50では、各アンテナ装置20・20a・20bのマイクロストリップアンテナにおけるストリップ電極3の長辺方向がフラットパネルディスプレイ51の表示領域の縁に沿うように、該フラットパネルディスプレイ51の非表示領域に並列して配置されている。
【0145】
したがって、フラットパネルディスプレイ51の周りに指向性を考慮して、アンテナ装置20・20a・20bを効率よく配置することができる。
【0146】
この結果、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置20・20a・20bを用いた表示装置50を提供することができる。
【0147】
なお、本実施の形態では、実施の形態2のタイプのアンテナ装置20・20a・20bを、フラットパネルディスプレイ51の周りに並設したが、必ずしもこれに限らず、実施の形態1のタイプのアンテナ装置10を、フラットパネルディスプレイ51の周りに並設することが可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0148】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的手段に含まれる。
【0149】
【発明の効果】
本発明のアンテナ装置は、以上のように、ストリップ電極の平面形状が略長方形であり、ストリップ電極短辺側寸法をWとし、上記ストリップ電極と接地電極とのギャップ幅寸法をdとした場合に、W/dが3よりも小さいものである。
【0150】
それゆえ、実験の結果、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことが確認できた。
【0151】
したがって、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置を提供することができるという効果を奏する。
【0152】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記W/dは、1よりも大きく、かつ2よりも小さいものである。
【0153】
それゆえ、W/dが、1よりも大きく、かつ2よりも小さい場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でより大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。
【0154】
また、本発明のアンテナ装置は、以上のように、第1の絶縁基板上に形成された接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極と、上記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成された誘電体から形成されているアンテナを備えているものである。
【0155】
それゆえ、この構成であれば、液晶ディスプレイの製造プロセスの一部そのものであるので、容易にアンテナ装置を製造することができる。
【0156】
したがって、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置を確実に提供することができるという効果を奏する。
【0157】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板上に形成された接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極とが絶縁基板を挟むことなく形成されているものである。
【0158】
それゆえ、接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極とを絶縁基板を挟むことなく製造することができ、確実に製造が容易となるという効果を奏する。
【0159】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さいものである。
【0160】
それゆえ、この条件の場合に、UWBのアンテナに求められる周波数領域でよりさらに大きい広帯域な特性を持つことが実験により確認できた。
【0161】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、ガラス製のファイバがスペーサとして使用されているものである。
【0162】
それゆえ、この方法により、ギャップ幅寸法が小さくても容易に隙間を形成することができるという効果を奏する。
【0163】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、樹脂をフォトリソグラフィーにて成形したフォトスペーサが使用されているものである。それゆえ、容易に隙間にスペーサを形成することができるという効果を奏する。
【0164】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成される誘電体は、液晶ポリマーからなる誘電体層であるものである。
【0165】
それゆえ、第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成される誘電体は、液晶ポリマーからなる誘電体層であるので、この条件を満たすという効果を奏する。
【0166】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成に形成される誘電体は、空気からなる誘電体層であるものである。それゆえ、GHzオーダーでの誘電損失が少ない誘電体となるという効果を奏する。
【0167】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記ストリップ電極はステッパを用いて形成されているものである。
【0168】
それゆえ、ストリップ電極を形成する際に、ステッパを用いれば、ストリップ電極のパターン形成、マスクを用いての露光工程等が、拡大された画面を見ながら行うことができるので、製造を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0169】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、上記記載のアンテナ装置のアンテナが、複数個並設されているものである。
【0170】
それゆえ、各アンテナを例えば方向を違えて配置することにより、全体としてアンテナ装置の指向性を広げることができるという効果を奏する。
【0171】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置において、前記接地電極及びストリップ電極の形状が、第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向において互いに上下対称となる一対のアンテナが、上記第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できるように配置されているものである。
【0172】
それゆえ、上記第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できるという効果を奏する。
【0173】
また、本発明のアンテナ装置は、上記記載のアンテナ装置のアンテナが、それぞれ指向性を補うように平面的に配置されているものである。
【0174】
それゆえ、アンテナ装置のアンテナの配置の方向性を考慮して、平面的に配置することにより、所望の方向への指向性を補い、全体として指向範囲の広いアンテナ装置を提供することができるという効果を奏する。
【0175】
また、本発明の表示装置は、上記記載のアンテナ装置が、各アンテナのストリップ電極の長辺方向がディスプレイの表示領域の縁に沿うように、該ディスプレイの非表示領域に並列して配置されているものである。
【0176】
それゆえ、ディスプレイの周りに指向性を考慮して、アンテナ装置を効率よく配置することができる。
【0177】
この結果、UWBのアンテナに求められる周波数領域で広帯域な特性を持つことができるアンテナ装置を用いた表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるアンテナ装置の実施の一形態を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線端面図、(c)は(a)のB−B線断面図である。
【図2】上記アンテナ装置において、ストリップ電極の短辺側の長さWを5.6mmとしたときの周波数特性を示すグラフである。
【図3】上記アンテナ装置において、ギャップ幅寸法dを0.7mmとしストリップ電極の短辺側の長さWを0.5mmから5.6mmまで変化させた時の共振帯域幅を示したグラフである。
【図4】本発明におけるアンテナ装置の他の実施の形態を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線端面図、(c)は(a)のD−D線断面図である。
【図5】上記アンテナ装置におけるストリップ電極の短辺側の長さWを100μm、ギャップ幅寸法d=50μmとしたときの周波数特性を示すグラフである。
【図6】上記アンテナ装置におけるストリップ電極の短辺側の長さWを50μmとし、ギャップ幅寸法d=25μmとしたときの周波数特性を示すグラフである。
【図7】本発明におけるアンテナ装置のさらに他の実施の形態を示すものであり、前記マイクロストリップアンテナを複数組み合わせるに際して、図面鉛直方向の上下両方に指向性を持つアンテナ装置を示す平面図である。
【図8】上記マイクロストリップアンテナを複数組み合わせるに際して、図面鉛直上方のあらゆる方向から来る直線偏波の電磁波と共振できるアンテナ装置を示す平面図である。
【図9】上記マイクロストリップアンテナを複数組み合わせるに際して、基板と同一平面上から来る電磁波以外のあらゆる方向からくる電磁波に対して受信でき、また発信できるアンテナ装置を示す平面図である。
【図10】上記マイクロストリップアンテナを複数組み合わせて、液晶モジュールの周辺に配置することにより構成した表示装置を示す平面図である。
【図11】従来のマイクロストリップアンテナの構造を示すものであり、(a)は平面図、(b)は(a)のE−E線端面図、(c)は(a)のF−F線断面図である。
【符号の説明】
1 接地電極
2 絶縁基板(誘電体)
3 ストリップ電極
4 接地電極からストリップ電極に向かう方向
5 アンテナが共振する偏波の方向
6 取り出し配線
10 アンテナ装置
20 アンテナ装置
20a アンテナ装置
20b アンテナ装置
21 ガラス(第1の絶縁基板)
23 ガラス(第2の絶縁基板)
25 誘電体
26 ファイバ(スペーサ)
30 アンテナ装置
30a アンテナ装置
40 アンテナ装置
50 表示装置
51 フラットパネルディスプレイ(ディスプレイ)
L ストリップ電極の長辺方向の長さ
W ストリップ電極の短辺側の長さ
Claims (14)
- 誘電体をストリップ電極と接地電極とで挟む構造のアンテナを備えたアンテナ装置において、
上記ストリップ電極の平面形状が略長方形であり、ストリップ電極短辺側寸法をWとし、上記ストリップ電極と接地電極とのギャップ幅寸法をdとした場合に、W/dが3よりも小さいことを特徴とするアンテナ装置。 - 前記W/dは、1よりも大きく、かつ2よりも小さいことを特徴とする請求項1記載のアンテナ装置。
- 第1の絶縁基板上に形成された接地電極と、
第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極と、
上記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成された誘電体から形成されているアンテナを備えていることを特徴とするアンテナ装置。 - 前記第1の絶縁基板上に形成された接地電極と、第2の絶縁基板上に形成されたストリップ電極とが絶縁基板を挟むことなく形成されていることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
- 前記ストリップ電極短辺側寸法Wが0.1mmよりも小さいことを特徴とする請求項1、2又は3記載のアンテナ装置。
- 前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、ガラス製のファイバがスペーサとして使用されていることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
- 前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間には、樹脂をフォトリソグラフィーにて成形したフォトスペーサが使用されていることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
- 前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成される誘電体は、液晶ポリマーからなる誘電体層であることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
- 前記第1の絶縁基板と第2の絶縁基板との隙間に形成に形成される誘電体は、空気からなる誘電体層であることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
- 前記ストリップ電極はステッパを用いて形成されていることを特徴とする請求項1〜3及び5のいずれか1項に記載のアンテナ装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンテナ装置のアンテナが、複数個並設されていることを特徴とするアンテナ装置。
- 前記接地電極及びストリップ電極の形状が、第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向において互いに上下対称となる一対のアンテナが、上記第1の絶縁基板及び第2の絶縁基板の鉛直方向の上下いずれにも電磁波を放射できるように配置されていることを特徴とする請求項3記載のアンテナ装置。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンテナ装置のアンテナが、それぞれ指向性を補うように平面的に配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
- 前記請求項13記載のアンテナ装置が、各アンテナのストリップ電極の長辺方向がディスプレイの表示領域の縁に沿うように、該ディスプレイの非表示領域に並列して配置されていることを特徴とする表示装置。
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Cited By (4)
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US7203103B2 (en) | 2004-07-14 | 2007-04-10 | Seiko Epson Corporation | Ferroelectric memory device and electronic apparatus |
JP2007241887A (ja) * | 2006-03-10 | 2007-09-20 | Fujitsu Component Ltd | キーボード |
CN113008939A (zh) * | 2019-12-18 | 2021-06-22 | 财团法人工业技术研究院 | 电磁特性测量装置与系统以及电磁特性测量方法 |
CN114204259A (zh) * | 2021-04-01 | 2022-03-18 | 友达光电股份有限公司 | 天线结构 |
-
2002
- 2002-12-20 JP JP2002370905A patent/JP2004207777A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
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