JP2004205531A - 非線形光学結晶の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】過飽和溶液から溶質を析出させ結晶成長させる非線形光学結晶の製造方法を提供する。
【解決手段】非線形光学結晶を析出させる過飽和溶液を結晶化セル2に入れ、温度制御システム3により、結晶化セル2の過飽和溶液の温度をチェックし、結晶化セル2の過飽和溶液が所定温度に達したところで、核の発生を効率的に行わせるために種結晶を入れ、結晶化セル2を磁場機構10の載置台11の上に載置して、水平な一方向に磁場をかけて、非線形光学結晶を配向させて結晶成長させる。
【選択図】 図1
【解決手段】非線形光学結晶を析出させる過飽和溶液を結晶化セル2に入れ、温度制御システム3により、結晶化セル2の過飽和溶液の温度をチェックし、結晶化セル2の過飽和溶液が所定温度に達したところで、核の発生を効率的に行わせるために種結晶を入れ、結晶化セル2を磁場機構10の載置台11の上に載置して、水平な一方向に磁場をかけて、非線形光学結晶を配向させて結晶成長させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非線形光学結晶の製造方法に係り、特に、過飽和溶液から溶質を析出させ磁場方向に配向させて結晶成長させる非線形光学結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、非線形光学結晶の製造法として、有機または無機の非線形光学物質の過飽和溶液を作り、これを冷却して溶質を析出させてることは公知である(例えば、非特許文献1参照)。また本発明者等は、過飽和溶液から溶質を析出させ結晶成長する化合物結晶の方向を所定方向に揃えることについて研究を行い、析出する結晶の配向を磁場により制御し、溶液中の結晶を配向させる方法について提案した(特許文献1参照)。
【特許文献1】特願2001−263210
【非特許文献1】社団法人 日本化学会編集 「非線形光学のための有機材料」 1992年7月25日発行、第103〜105頁
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の非線形光学結晶の製造法では、過飽和溶液から析出、結晶成長した非線形光学結晶は、結晶の方向がアトランダムであり、また溶媒等をインクルージョンとして結晶内に取り込んでしまい、成長した非線形光学結晶は、充分にその機能が発揮されないという問題があった。
また、先に提案した析出する結晶の配向を磁場により制御して結晶を配向させる方法について、さらに研究を進め、配向された非線形光学結晶の製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、過飽和溶液から溶質を析出させ結晶成長させる非線形光学結晶の製造方法において、結晶成長を水平な一方向の磁場を作用させて非線形光学結晶を配向させて成長させることを特徴とする非線形光学結晶の製造方法である。
また、本発明の非線形光学結晶の製造方法は、水平な一方向の磁場が、0.01T〜10T(テスラ)の磁場であることを特徴とするものであり、作用させる磁場は、超伝導磁石により発生される磁場である。
【0005】
また、本発明の非線形光学結晶の製造方法は、過飽和溶液が、4−N,N−ジメチルアミノ−4’−N’−メチル−スチルパゾリウム p−トルエンスルホネート(4−N,N−Dimethylamino−4’−N’−methyl−syilbazolium p−toluenesulfonate,以下「DAST」と表現する)のメタノール過飽和溶液であり、その析出させ結晶成長させた結晶の[100]方向が磁場方向と平行に配向された成長結晶であることを特徴とするものである。
【0006】
【作用】
本発明の過飽和溶液から溶質を析出させ結晶成長させる非線形光学結晶の製造方法において、結晶成長過程で水平な一方向の磁場を作用させることにより、発生した結晶または種結晶の表面に構成粒子が、重力の影響なく配向を保ったまま付着し、結晶成長させることができ、非線形光学結晶として充分にその機能が発揮されることができるものである。
本発明において、結晶成長過程で作用させる磁場は、超伝導磁石により発生されるような強い磁場で、0.01T〜10T(テスラ)の水平な一方向の磁場により、非線形光学結晶を配向させて成長させることができるものである。
【0007】
また、本発明の過飽和溶液から溶質を析出させ結晶成長させる非線形光学結晶の製造方法において、非線形光学結晶の核発生及び成長過程で、あるいは結晶成長過程で水平な一方向の磁場を作用させることで、その分子状態から配向させ、成長結晶の構造あるいは形状を制御することができる。
すなわち、非線形光学結晶の構造は、構成分子もその状態から結晶成長過程で水平な一方向の磁場の方向に配向し、磁場を作用させない通常の場合の構造に比べて結晶構成分子が高密度に配向した結晶構造に成長される。
また、非線形光学結晶の形状は、磁場の強度により結晶の成長速度が異なるものであり、0.01T〜10T(テスラ)の水平な一方向の磁場の作用により制御することができるものである。
また、溶液の過飽和度も結晶の成長速度に影響を与える大きな因子であるので、温度制御により、より機能が発現される形状および構造の結晶を得ることができるものである。
また、本発明の過飽和溶液から析出する非線形光学結晶の成長を水平な一方向の磁場による非線形光学結晶の製造方法は、非接触操作により制御して結晶成長を行うので、高い純度の非線形光学結晶を得ることができるものであり、生産性の観点からも有用なものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の非線形光学結晶の製造方法においては、例えば、過飽和溶液はDASTに代表される有機非線形光学結晶の過飽和溶液、KH2PO4(Potasium Dihydro Phosphate,以下「KDP」と表現する)に代表される無機非線形光学結晶の過飽和溶液である。
具体的には、過飽和溶液がDASTの過飽和溶液では、結晶成長過程で水平な一方向の磁場を作用させることにより、析出したDAST結晶は、その[100]方向が磁場方向と平行に配向しながら結晶成長するものであり、この[100]方向に配向されて結晶成長したDASTの非線形光学結晶は、充分にその機能が発揮されるものである。なお、DASTの結晶は、図4の模式図に示すような結晶であり、磁場の方向と平行にDAST結晶の[100]が配向するものである。
【0009】
また、有機非線形光学結晶としては、DASTの他に、m−ニトロアニリン(m−NA)、メチルー(2,4−ジニトロフェニル)−アミノプロパネート(MAP)、2−アセタミドー4−ニトローN,N−ジメチルアニリン(DAN)、4−ニトロフェニルカルバミン酸イソプロピルエステル(PCNB)、N−(4−ニトロフェニル)−L−プロリノール(NPP)、2−メトキシー5−ニトロフェノール(MNP)、2−メチルー4−ニトロアニリン(MNA)、2−アダマンチルアミノー5−ニトロピリジン(AANP)、3,5−ジメチルー1−(4−ニトロフェニル)ピラゾール(DMNP)、O−メトキシベンズマロノニトリル(DIVA)、4−ブロモー4‘−メトキシカルコン(BMC)、3−メチルー4−メトキシー4’−ニトロスチルべン(MMONS)、メロシアニン−p−トルエンスルホン酸、4‘−ニトロベンジリデンー3−アセタミノー4−メトキシアニリン(MNBA)、[4−(ジメチルアミノ)スチリル]−1−ドコシルピリジニウム ブロマイド、2−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]−1−エチルピリジニウム アイオダイド、2−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]−1−メチルピリジニウム アイオダイド、トランスー4−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]−1−メチルピリジニウム アイオダイド、2−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]−1−メチルキノリウム アイオダイド、2−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]−3−エチルベンゾチアゾリウム アイオダイド、2−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]ピリジン、4−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]ピリジン、あるいはそれら他の塩等が挙げられる。
また、無機非線形光学結晶としては、KDPの他には、KTiOPO4(Potassium Titanyl Phosphate,以下「KTP」と表現する)、LiNbO3(Litium Niobate,LN)、あるいはそれらの他の塩等が挙げられる。
【0010】
本発明の非線形光学結晶の製造方法において、過飽和溶液がDASTのメタノール飽和溶液では、DASTを飽和溶液より過剰な量をメタノールに入れ、高温に保持して飽和状態になるまで充分攪拌し、DASTの懸濁結晶を沈降させた後、上澄み液をろ過し、その溶液をDASTのメタノール飽和溶液として用いる。
これにより、溶液の純度および濃度を確かなものとし、また不純物混入等による影響がないようにすることで、水平な一方向の磁場が結晶成長に有効に作用するものである。
また、本発明の過飽和溶液から溶質を析出させ結晶成長させる非線形光学結晶の製造方法において、作用させる水平な一方向の磁場は0.01T〜10T(テスラ)の磁場で、非線形光学結晶が水平な一方向の磁場方向に配向さされるものであり、超伝導磁石により発生される磁場で行うことが好ましい。
【0011】
具体的には、過飽和度15℃のDASTの過飽和溶液から析出させ、結晶成長した非線形光学結晶としてのDAST結晶では、その[100]方向が水平な一方向の磁場方向に配向される割合は、磁場強度0.01T(テスラ)で35%、0.05T(テスラ)で55%、0.1T(テスラ)で80%、0.2T(テスラ)で96%、1T(テスラ)で98%、5T(テスラ)でほぼ100%であった。これは、DAST非線形光学結晶では、水平な一方向に作用させる磁場強度は、0.01T〜10T(テスラ)、好ましくは0.05T〜10T(テスラ)、より好ましくは0.2T〜10T(テスラ)であり、さらに1T〜10T(テスラ)が好ましいものである。なお、DASTの[100]方向が水平な一方向の磁場方向に配向しているとは、DAST結晶の[100]方向が、磁場方向と10度以内の結晶を磁場方向に揃っているものとした。
【0012】
本発明の結晶成長過程で水平な一方向に磁場を作用させる非線形光学結晶を製造する方法について、図1(a)を参照して説明する。
図1(a)に示すように、超伝導磁石を有する円筒状の磁場機構10、結晶化セル2、温度制御システム3を備えており、過飽和溶液から結晶核を発生させ、その成長過程で水平な一方向の磁場1をかけるものである。温度制御システム3は結晶化セル2の温度制御手段(その概略を図示したもの)で、結晶化セル2は温度制御システム3に連結されている。例えば温度制御システム3は、ジャケット付きビーカーに入れた温度制御システムで、所定温度の水を循環させるものである。これにより結晶化セル2の溶液温度を設定温度に制御するものである。
【0013】
磁場機構10には、超伝導コイル部、冷却部、磁場部および制御部から成る強磁場発生装置(例えば、ジャパンマグネットテクノロジー製)を備えており、0〜10(テスラ)の範囲で磁場強度を変動させることができるものである。
また、図示していないが、結晶化セル2の溶液の状況を観察するために、CCDのカメラ及びモニターを備えた観察システムを設けてもよい。
【0014】
本発明の非線形光学結晶の製造方法は、具体的には、非線形光学結晶を析出させる過飽和溶液を結晶化セル2に入れ、温度制御システム3により、結晶化セル2の過飽和溶液の温度をチェックし、結晶化セル2の過飽和溶液が所定温度に達したところで、核の発生を効率的に行わせるために種結晶を入れる。その結晶化セル2を磁場機構10の載置台11の上に載置して、水平な一方向に磁場をかけて、非線形光学結晶を配向させて結晶成長させるものである。
なお、過飽和溶液からの核の発生を磁場機構10内で行うようにしてもよい。
また、本発明の非線形光学結晶の製造方法は、2液界面で行ってもよい。すなわち、非線形光学結晶を析出させる過飽和溶液よりも比重の大きく、互いに不溶である液体を結晶化セル2に入れ、そこに過飽和溶液を静かに注ぎ入れ、これを温度制御システム3により温度をチェックし、水平な一方向に磁場をかけて、非線形光学結晶を配向させて結晶成長させるものであり、この方法で行うと、結晶が容器の底に触れることなく2液界面で浮遊して成長するので、さらに好ましい。具体的には、例えば非線形光学結晶としてDAST結晶を2液界面で製造する場合には、DASTのメタノール過飽和溶液よりも比重の大きく、互いに不溶である液体としてフロリナートTM(住友スリーエム(株))を用いる。このフローリナートTMを過飽和溶液と同じ温度に加温し、結晶化セル2に入れ、ここにDASTのメタノール過飽和溶液を静かに注ぎ入れ、これを温度制御システム3により温度をチェックし、水平な一方向に磁場をかけて、DAST結晶を2液界面で浮遊して、配向させ結晶成長させるものである。
【0015】
【実施例1】
実施例1は、非線形光学結晶としてDAST結晶について示すもので、DASTのメタノール過飽和溶液を用い、水平な一方向に磁場をかけてDAST結晶の[100]方向を磁場の方向と平行に配向させ結晶を成長させることについて、図1(a)(b)、図2(a)(b)、図3(c)を参照して説明する。
図2(a)(b)、図3(c)に過飽和度15℃の場合の結晶の観察結果を示す。図には、水平な一方向の磁場H、サイズ0.1mmを表示した。
まず、DASTの40℃過飽和メタノール溶液を準備する。所定飽和温度より数度高い溶液を結晶化セルに入れ、これを所定温度のジャケット付きビーカーに入れたものを2つ用意した。
図1(a)に示すように、1つの結晶化セル2を磁場機構10の載置台11の上に載置する。磁場Hは矢印1のように水平な一方向にかける。
また、図1(b)に示すように、もう1つの結晶化セル2は、磁場の外に設置した。
結晶化セル2に入れたDASTの飽和メタノール溶液を結晶化温度まで冷却しながら、溶液が飽和温度以下に達した時点(過飽和状態)で、種結晶を入れ、DASTの2次核結晶を発生させ成長させた。
【0016】
図2(a)は、磁場の外に設置(図1(b)に示したもの)した結晶化セル2で成長させた結晶である。この無磁場で成長させた結晶は、DAST結晶の[100]の方向はランダムなものであった。
図2(b)は、磁場機構10の載置台11の上に載置し、5T(テスラ)の水平な一方向の磁場を作用させた結晶化セル2の結晶であり、磁場磁場の方向にDAST結晶の[100]が配向して成長しているものであった。
図3(c)も、磁場機構10の載置台11の上に載置し、5T(テスラ)の水平な一方向の磁場を作用させた結晶化セル2の析出結晶であり、これも磁場の方向にDAST結晶の[100]が配向して成長しているものであった。
図2(b)、図3(c)から明らかなように、水平な一方向の磁場を作用させることにより、DAST結晶は、その[100]方向に、重力の影響なく配向を保ったまま配向して結晶成長していることが確認された。
なお、重力の影響なく配向を保ったまま結晶成長するとは、図4に示したDAST結晶で説明すると、水平な一方向の磁場の作用によりDAST結晶の[100]方向は、重力の影響があっても、水平な磁場の作用で、[100]方向が水平を保ったままで、磁場の方向に配向させながら結晶成長させることができるということである。
【0017】
【実施例2】
実施例2は、非線形光学結晶としてDAST結晶について示すもので、DASTメタノール過飽和溶液を結晶化セル2に入れ、図1(a)に示すように、磁場機構10の載置台11の上に載置する。5Tの磁場Hを矢印1のように水平な一方向にかける。このDASTメタノール過飽和溶液から過飽和度7℃、5T磁場中で15時間成長させた。図5に成長結晶の観察結果の一例を示す。
このように得られたDAST結晶の中には、磁場の方向に2つのDAST結晶が[100]方向に配向して結晶成長しているものもあり、全体として1つの厚みのある結晶となっている。
この超伝導磁石による5Tのような強い磁場を水平な一方向にかけて、成長させたDAST結晶は、非線形光学結晶として充分にその機能が発揮されるものであった。
【0018】
【実施例3】
実施例2のように、5T(テスラ)の水平な一方向の磁場を作用させて成長させて得られたDAST結晶(2×2×0.5mm3)と、無磁場で成長させたDAST結晶(1×1×0.2mm3)について、それぞれの結晶をEOサンプリングプローバー(安藤電気製)にて90kHzの電界を与えて電気光学効果を測定し、感度を比較した。
感度を比較するリファレンスとして、無磁場で成長させたKTP(KTiOPO4)を用いた。
その結果、リファレンスのKTPのS/Nが37dBであったのに対し、5Tの水平な一方向の磁場を作用させて成長させたDAST結晶は、S/Nが49.1dBであり、リファレンスのKTPに対し4.03倍の感度を示した。
無磁場で析出させたDAST結晶は、リファレンスのKTPのS/Nが37dBと同等の感度であった。
このように、超伝導磁石による5Tのような強い磁場を水平な一方向にかけて、成長させたDAST結晶は、非線形光学結晶として充分にその機能が発揮されるものであった。
【0019】
【実施例4】
実施例4は、非線形光学結晶としてDAST結晶について示すもので、DASTメタノール過飽和溶液を結晶化セル2に入れ、そこに5Tの水平な一方向磁場中で製造した約1×1×0.3mm3のDAST結晶を2個入れて、図1(a)に示すように、磁場機構10の載置台11の上に載置する。5Tの磁場Hを矢印1のように水平な一方向にかける。このようにしてDASTメタノール過飽和溶液から過飽和度2℃、5T磁場中で3.5日間成長させ、図6に示すような、[100]方向に配向して成長した、厚さ2mmで、長さ60mmと55mmの大型のDAST結晶を製造することができた。
【0020】
【実施例5】
実施例5は、非線形光学結晶としてDAST結晶について示すもので、磁場中、2液界面で結晶成長を行ったものである。DASTのメタノール過飽和溶液よりも比重が大きく互いに不溶である液体としてフロリナートを用い、このフロリナート100mlを40℃に加温し、これを結晶化セル2に入れ、ここに40℃のDASTメタノール過飽和溶液100mlを静かに注ぎ入れ、さらに5Tの水平な一方向磁場中で製造した約1×1×0.3mm3のDAST結晶を1個入れて、図1(a)に示すように、磁場機構10の載置台11の上に載置する。5Tの磁場Hを矢印1のように水平な一方向にかける。このDASTメタノール過飽和溶液から過飽和度2℃、5T磁場中で3.5日間成長させ、上記実施例4と同様に、[100]方向に配向して結晶成長した大型のDAST結晶を製造することができた。
なお、図2、図3、図5は顕微鏡写真を図示し、図6は写真を図示したものである。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の配向された非線形光学結晶の製造方法は、結晶成長過程で水平な一方向の磁場を作用させることにより、配向を保ったまま結晶成長させることができ、非線形光学結晶として充分にその機能が発揮されるという効果を有し、また構成分子もその状態から結晶成長過程で磁場方向に配向し、非線形光学結晶の構成分子が高密度に配向した結晶構造が形成され、また非接触操作により制御できるので、高い純度で析出した非線形光学結晶を得ることができるものであり、工業的に生産性よく製造できるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明する図
【図2】本発明の実施例1を説明する図
【図3】本発明の実施例1を説明する図
【図4】本発明の実施の形態を説明する図
【図5】本発明の実施例2を説明する図
【図6】本発明の実施例4を説明する図
【符号の説明】
1 水平方向の磁場
2 結晶化セル
3 温度制御システム
10 磁場機構
11 載置台
【発明の属する技術分野】
本発明は、非線形光学結晶の製造方法に係り、特に、過飽和溶液から溶質を析出させ磁場方向に配向させて結晶成長させる非線形光学結晶の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、非線形光学結晶の製造法として、有機または無機の非線形光学物質の過飽和溶液を作り、これを冷却して溶質を析出させてることは公知である(例えば、非特許文献1参照)。また本発明者等は、過飽和溶液から溶質を析出させ結晶成長する化合物結晶の方向を所定方向に揃えることについて研究を行い、析出する結晶の配向を磁場により制御し、溶液中の結晶を配向させる方法について提案した(特許文献1参照)。
【特許文献1】特願2001−263210
【非特許文献1】社団法人 日本化学会編集 「非線形光学のための有機材料」 1992年7月25日発行、第103〜105頁
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の非線形光学結晶の製造法では、過飽和溶液から析出、結晶成長した非線形光学結晶は、結晶の方向がアトランダムであり、また溶媒等をインクルージョンとして結晶内に取り込んでしまい、成長した非線形光学結晶は、充分にその機能が発揮されないという問題があった。
また、先に提案した析出する結晶の配向を磁場により制御して結晶を配向させる方法について、さらに研究を進め、配向された非線形光学結晶の製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、過飽和溶液から溶質を析出させ結晶成長させる非線形光学結晶の製造方法において、結晶成長を水平な一方向の磁場を作用させて非線形光学結晶を配向させて成長させることを特徴とする非線形光学結晶の製造方法である。
また、本発明の非線形光学結晶の製造方法は、水平な一方向の磁場が、0.01T〜10T(テスラ)の磁場であることを特徴とするものであり、作用させる磁場は、超伝導磁石により発生される磁場である。
【0005】
また、本発明の非線形光学結晶の製造方法は、過飽和溶液が、4−N,N−ジメチルアミノ−4’−N’−メチル−スチルパゾリウム p−トルエンスルホネート(4−N,N−Dimethylamino−4’−N’−methyl−syilbazolium p−toluenesulfonate,以下「DAST」と表現する)のメタノール過飽和溶液であり、その析出させ結晶成長させた結晶の[100]方向が磁場方向と平行に配向された成長結晶であることを特徴とするものである。
【0006】
【作用】
本発明の過飽和溶液から溶質を析出させ結晶成長させる非線形光学結晶の製造方法において、結晶成長過程で水平な一方向の磁場を作用させることにより、発生した結晶または種結晶の表面に構成粒子が、重力の影響なく配向を保ったまま付着し、結晶成長させることができ、非線形光学結晶として充分にその機能が発揮されることができるものである。
本発明において、結晶成長過程で作用させる磁場は、超伝導磁石により発生されるような強い磁場で、0.01T〜10T(テスラ)の水平な一方向の磁場により、非線形光学結晶を配向させて成長させることができるものである。
【0007】
また、本発明の過飽和溶液から溶質を析出させ結晶成長させる非線形光学結晶の製造方法において、非線形光学結晶の核発生及び成長過程で、あるいは結晶成長過程で水平な一方向の磁場を作用させることで、その分子状態から配向させ、成長結晶の構造あるいは形状を制御することができる。
すなわち、非線形光学結晶の構造は、構成分子もその状態から結晶成長過程で水平な一方向の磁場の方向に配向し、磁場を作用させない通常の場合の構造に比べて結晶構成分子が高密度に配向した結晶構造に成長される。
また、非線形光学結晶の形状は、磁場の強度により結晶の成長速度が異なるものであり、0.01T〜10T(テスラ)の水平な一方向の磁場の作用により制御することができるものである。
また、溶液の過飽和度も結晶の成長速度に影響を与える大きな因子であるので、温度制御により、より機能が発現される形状および構造の結晶を得ることができるものである。
また、本発明の過飽和溶液から析出する非線形光学結晶の成長を水平な一方向の磁場による非線形光学結晶の製造方法は、非接触操作により制御して結晶成長を行うので、高い純度の非線形光学結晶を得ることができるものであり、生産性の観点からも有用なものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の非線形光学結晶の製造方法においては、例えば、過飽和溶液はDASTに代表される有機非線形光学結晶の過飽和溶液、KH2PO4(Potasium Dihydro Phosphate,以下「KDP」と表現する)に代表される無機非線形光学結晶の過飽和溶液である。
具体的には、過飽和溶液がDASTの過飽和溶液では、結晶成長過程で水平な一方向の磁場を作用させることにより、析出したDAST結晶は、その[100]方向が磁場方向と平行に配向しながら結晶成長するものであり、この[100]方向に配向されて結晶成長したDASTの非線形光学結晶は、充分にその機能が発揮されるものである。なお、DASTの結晶は、図4の模式図に示すような結晶であり、磁場の方向と平行にDAST結晶の[100]が配向するものである。
【0009】
また、有機非線形光学結晶としては、DASTの他に、m−ニトロアニリン(m−NA)、メチルー(2,4−ジニトロフェニル)−アミノプロパネート(MAP)、2−アセタミドー4−ニトローN,N−ジメチルアニリン(DAN)、4−ニトロフェニルカルバミン酸イソプロピルエステル(PCNB)、N−(4−ニトロフェニル)−L−プロリノール(NPP)、2−メトキシー5−ニトロフェノール(MNP)、2−メチルー4−ニトロアニリン(MNA)、2−アダマンチルアミノー5−ニトロピリジン(AANP)、3,5−ジメチルー1−(4−ニトロフェニル)ピラゾール(DMNP)、O−メトキシベンズマロノニトリル(DIVA)、4−ブロモー4‘−メトキシカルコン(BMC)、3−メチルー4−メトキシー4’−ニトロスチルべン(MMONS)、メロシアニン−p−トルエンスルホン酸、4‘−ニトロベンジリデンー3−アセタミノー4−メトキシアニリン(MNBA)、[4−(ジメチルアミノ)スチリル]−1−ドコシルピリジニウム ブロマイド、2−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]−1−エチルピリジニウム アイオダイド、2−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]−1−メチルピリジニウム アイオダイド、トランスー4−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]−1−メチルピリジニウム アイオダイド、2−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]−1−メチルキノリウム アイオダイド、2−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]−3−エチルベンゾチアゾリウム アイオダイド、2−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]ピリジン、4−[4−(ジメチルアミノ)スチリル]ピリジン、あるいはそれら他の塩等が挙げられる。
また、無機非線形光学結晶としては、KDPの他には、KTiOPO4(Potassium Titanyl Phosphate,以下「KTP」と表現する)、LiNbO3(Litium Niobate,LN)、あるいはそれらの他の塩等が挙げられる。
【0010】
本発明の非線形光学結晶の製造方法において、過飽和溶液がDASTのメタノール飽和溶液では、DASTを飽和溶液より過剰な量をメタノールに入れ、高温に保持して飽和状態になるまで充分攪拌し、DASTの懸濁結晶を沈降させた後、上澄み液をろ過し、その溶液をDASTのメタノール飽和溶液として用いる。
これにより、溶液の純度および濃度を確かなものとし、また不純物混入等による影響がないようにすることで、水平な一方向の磁場が結晶成長に有効に作用するものである。
また、本発明の過飽和溶液から溶質を析出させ結晶成長させる非線形光学結晶の製造方法において、作用させる水平な一方向の磁場は0.01T〜10T(テスラ)の磁場で、非線形光学結晶が水平な一方向の磁場方向に配向さされるものであり、超伝導磁石により発生される磁場で行うことが好ましい。
【0011】
具体的には、過飽和度15℃のDASTの過飽和溶液から析出させ、結晶成長した非線形光学結晶としてのDAST結晶では、その[100]方向が水平な一方向の磁場方向に配向される割合は、磁場強度0.01T(テスラ)で35%、0.05T(テスラ)で55%、0.1T(テスラ)で80%、0.2T(テスラ)で96%、1T(テスラ)で98%、5T(テスラ)でほぼ100%であった。これは、DAST非線形光学結晶では、水平な一方向に作用させる磁場強度は、0.01T〜10T(テスラ)、好ましくは0.05T〜10T(テスラ)、より好ましくは0.2T〜10T(テスラ)であり、さらに1T〜10T(テスラ)が好ましいものである。なお、DASTの[100]方向が水平な一方向の磁場方向に配向しているとは、DAST結晶の[100]方向が、磁場方向と10度以内の結晶を磁場方向に揃っているものとした。
【0012】
本発明の結晶成長過程で水平な一方向に磁場を作用させる非線形光学結晶を製造する方法について、図1(a)を参照して説明する。
図1(a)に示すように、超伝導磁石を有する円筒状の磁場機構10、結晶化セル2、温度制御システム3を備えており、過飽和溶液から結晶核を発生させ、その成長過程で水平な一方向の磁場1をかけるものである。温度制御システム3は結晶化セル2の温度制御手段(その概略を図示したもの)で、結晶化セル2は温度制御システム3に連結されている。例えば温度制御システム3は、ジャケット付きビーカーに入れた温度制御システムで、所定温度の水を循環させるものである。これにより結晶化セル2の溶液温度を設定温度に制御するものである。
【0013】
磁場機構10には、超伝導コイル部、冷却部、磁場部および制御部から成る強磁場発生装置(例えば、ジャパンマグネットテクノロジー製)を備えており、0〜10(テスラ)の範囲で磁場強度を変動させることができるものである。
また、図示していないが、結晶化セル2の溶液の状況を観察するために、CCDのカメラ及びモニターを備えた観察システムを設けてもよい。
【0014】
本発明の非線形光学結晶の製造方法は、具体的には、非線形光学結晶を析出させる過飽和溶液を結晶化セル2に入れ、温度制御システム3により、結晶化セル2の過飽和溶液の温度をチェックし、結晶化セル2の過飽和溶液が所定温度に達したところで、核の発生を効率的に行わせるために種結晶を入れる。その結晶化セル2を磁場機構10の載置台11の上に載置して、水平な一方向に磁場をかけて、非線形光学結晶を配向させて結晶成長させるものである。
なお、過飽和溶液からの核の発生を磁場機構10内で行うようにしてもよい。
また、本発明の非線形光学結晶の製造方法は、2液界面で行ってもよい。すなわち、非線形光学結晶を析出させる過飽和溶液よりも比重の大きく、互いに不溶である液体を結晶化セル2に入れ、そこに過飽和溶液を静かに注ぎ入れ、これを温度制御システム3により温度をチェックし、水平な一方向に磁場をかけて、非線形光学結晶を配向させて結晶成長させるものであり、この方法で行うと、結晶が容器の底に触れることなく2液界面で浮遊して成長するので、さらに好ましい。具体的には、例えば非線形光学結晶としてDAST結晶を2液界面で製造する場合には、DASTのメタノール過飽和溶液よりも比重の大きく、互いに不溶である液体としてフロリナートTM(住友スリーエム(株))を用いる。このフローリナートTMを過飽和溶液と同じ温度に加温し、結晶化セル2に入れ、ここにDASTのメタノール過飽和溶液を静かに注ぎ入れ、これを温度制御システム3により温度をチェックし、水平な一方向に磁場をかけて、DAST結晶を2液界面で浮遊して、配向させ結晶成長させるものである。
【0015】
【実施例1】
実施例1は、非線形光学結晶としてDAST結晶について示すもので、DASTのメタノール過飽和溶液を用い、水平な一方向に磁場をかけてDAST結晶の[100]方向を磁場の方向と平行に配向させ結晶を成長させることについて、図1(a)(b)、図2(a)(b)、図3(c)を参照して説明する。
図2(a)(b)、図3(c)に過飽和度15℃の場合の結晶の観察結果を示す。図には、水平な一方向の磁場H、サイズ0.1mmを表示した。
まず、DASTの40℃過飽和メタノール溶液を準備する。所定飽和温度より数度高い溶液を結晶化セルに入れ、これを所定温度のジャケット付きビーカーに入れたものを2つ用意した。
図1(a)に示すように、1つの結晶化セル2を磁場機構10の載置台11の上に載置する。磁場Hは矢印1のように水平な一方向にかける。
また、図1(b)に示すように、もう1つの結晶化セル2は、磁場の外に設置した。
結晶化セル2に入れたDASTの飽和メタノール溶液を結晶化温度まで冷却しながら、溶液が飽和温度以下に達した時点(過飽和状態)で、種結晶を入れ、DASTの2次核結晶を発生させ成長させた。
【0016】
図2(a)は、磁場の外に設置(図1(b)に示したもの)した結晶化セル2で成長させた結晶である。この無磁場で成長させた結晶は、DAST結晶の[100]の方向はランダムなものであった。
図2(b)は、磁場機構10の載置台11の上に載置し、5T(テスラ)の水平な一方向の磁場を作用させた結晶化セル2の結晶であり、磁場磁場の方向にDAST結晶の[100]が配向して成長しているものであった。
図3(c)も、磁場機構10の載置台11の上に載置し、5T(テスラ)の水平な一方向の磁場を作用させた結晶化セル2の析出結晶であり、これも磁場の方向にDAST結晶の[100]が配向して成長しているものであった。
図2(b)、図3(c)から明らかなように、水平な一方向の磁場を作用させることにより、DAST結晶は、その[100]方向に、重力の影響なく配向を保ったまま配向して結晶成長していることが確認された。
なお、重力の影響なく配向を保ったまま結晶成長するとは、図4に示したDAST結晶で説明すると、水平な一方向の磁場の作用によりDAST結晶の[100]方向は、重力の影響があっても、水平な磁場の作用で、[100]方向が水平を保ったままで、磁場の方向に配向させながら結晶成長させることができるということである。
【0017】
【実施例2】
実施例2は、非線形光学結晶としてDAST結晶について示すもので、DASTメタノール過飽和溶液を結晶化セル2に入れ、図1(a)に示すように、磁場機構10の載置台11の上に載置する。5Tの磁場Hを矢印1のように水平な一方向にかける。このDASTメタノール過飽和溶液から過飽和度7℃、5T磁場中で15時間成長させた。図5に成長結晶の観察結果の一例を示す。
このように得られたDAST結晶の中には、磁場の方向に2つのDAST結晶が[100]方向に配向して結晶成長しているものもあり、全体として1つの厚みのある結晶となっている。
この超伝導磁石による5Tのような強い磁場を水平な一方向にかけて、成長させたDAST結晶は、非線形光学結晶として充分にその機能が発揮されるものであった。
【0018】
【実施例3】
実施例2のように、5T(テスラ)の水平な一方向の磁場を作用させて成長させて得られたDAST結晶(2×2×0.5mm3)と、無磁場で成長させたDAST結晶(1×1×0.2mm3)について、それぞれの結晶をEOサンプリングプローバー(安藤電気製)にて90kHzの電界を与えて電気光学効果を測定し、感度を比較した。
感度を比較するリファレンスとして、無磁場で成長させたKTP(KTiOPO4)を用いた。
その結果、リファレンスのKTPのS/Nが37dBであったのに対し、5Tの水平な一方向の磁場を作用させて成長させたDAST結晶は、S/Nが49.1dBであり、リファレンスのKTPに対し4.03倍の感度を示した。
無磁場で析出させたDAST結晶は、リファレンスのKTPのS/Nが37dBと同等の感度であった。
このように、超伝導磁石による5Tのような強い磁場を水平な一方向にかけて、成長させたDAST結晶は、非線形光学結晶として充分にその機能が発揮されるものであった。
【0019】
【実施例4】
実施例4は、非線形光学結晶としてDAST結晶について示すもので、DASTメタノール過飽和溶液を結晶化セル2に入れ、そこに5Tの水平な一方向磁場中で製造した約1×1×0.3mm3のDAST結晶を2個入れて、図1(a)に示すように、磁場機構10の載置台11の上に載置する。5Tの磁場Hを矢印1のように水平な一方向にかける。このようにしてDASTメタノール過飽和溶液から過飽和度2℃、5T磁場中で3.5日間成長させ、図6に示すような、[100]方向に配向して成長した、厚さ2mmで、長さ60mmと55mmの大型のDAST結晶を製造することができた。
【0020】
【実施例5】
実施例5は、非線形光学結晶としてDAST結晶について示すもので、磁場中、2液界面で結晶成長を行ったものである。DASTのメタノール過飽和溶液よりも比重が大きく互いに不溶である液体としてフロリナートを用い、このフロリナート100mlを40℃に加温し、これを結晶化セル2に入れ、ここに40℃のDASTメタノール過飽和溶液100mlを静かに注ぎ入れ、さらに5Tの水平な一方向磁場中で製造した約1×1×0.3mm3のDAST結晶を1個入れて、図1(a)に示すように、磁場機構10の載置台11の上に載置する。5Tの磁場Hを矢印1のように水平な一方向にかける。このDASTメタノール過飽和溶液から過飽和度2℃、5T磁場中で3.5日間成長させ、上記実施例4と同様に、[100]方向に配向して結晶成長した大型のDAST結晶を製造することができた。
なお、図2、図3、図5は顕微鏡写真を図示し、図6は写真を図示したものである。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の配向された非線形光学結晶の製造方法は、結晶成長過程で水平な一方向の磁場を作用させることにより、配向を保ったまま結晶成長させることができ、非線形光学結晶として充分にその機能が発揮されるという効果を有し、また構成分子もその状態から結晶成長過程で磁場方向に配向し、非線形光学結晶の構成分子が高密度に配向した結晶構造が形成され、また非接触操作により制御できるので、高い純度で析出した非線形光学結晶を得ることができるものであり、工業的に生産性よく製造できるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を説明する図
【図2】本発明の実施例1を説明する図
【図3】本発明の実施例1を説明する図
【図4】本発明の実施の形態を説明する図
【図5】本発明の実施例2を説明する図
【図6】本発明の実施例4を説明する図
【符号の説明】
1 水平方向の磁場
2 結晶化セル
3 温度制御システム
10 磁場機構
11 載置台
Claims (3)
- 過飽和溶液から溶質を析出させ結晶成長させる非線形光学結晶の製造方法において、結晶成長を水平な一方向の磁場を作用させて非線形光学結晶を配向させて成長させることを特徴とする非線形光学結晶の製造方法。
- 水平な一方向の磁場が、0.01T〜10T(テスラ)の磁場であることを特徴とする請求項1に非線形光学結晶の製造方法。
- 過飽和溶液が、4−N,N−ジメチルアミノ−4’−N’−メチル−スチルパゾリウム p−トルエンスルホネートのメタノール過飽和溶液であり、その析出させ結晶成長させた結晶の[100]方向が磁場方向と平行に配向された成長結晶であることを特徴とする請求項1または2に記載の非線形光学結晶の製造方法。
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JP2002335362A JP2004205531A (ja) | 2002-11-05 | 2002-11-19 | 非線形光学結晶の製造方法 |
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Cited By (2)
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JP2009192275A (ja) * | 2008-02-12 | 2009-08-27 | Arkray Inc | 有機光学結晶のレーザー被照射耐性の評価方法および評価された有機光学結晶 |
JP2013076709A (ja) * | 2012-12-19 | 2013-04-25 | Arkray Inc | 有機光学結晶のレーザー被照射耐性の評価方法および評価された有機光学結晶 |
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2002
- 2002-11-19 JP JP2002335362A patent/JP2004205531A/ja active Pending
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