JP2004197592A - 推力発生方法及び装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】宇宙航行体を姿勢制御する際の推力発生方法及びその実施に使用する装置であって、特に、ピコ型又はマイクロ型の人工衛星に好適な推力発生方法及び装置を提供する。
【解決手段】人工衛星2が備える推進用のノズル45から圧力ガスを噴射することによって人工衛星2の推力を得る推力発生装置において、固相状態の昇華物質(相変化物質50)を収容するケース43と、該ケース43内の相変化物質50を加熱するヒータ46とを備え、ヒータ46により加熱され、昇華した昇華ガスをノズル45から噴射することによって人工衛星2の推力を得るように構成してある。
【選択図】 図18

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工衛星の如き宇宙航行体の姿勢制御の際の推力発生方法及びその実施に使用する装置に関し、特に、ピコ型又はマイクロ型の人工衛星に好適な推力発生方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
人工衛星は、その質量が1000kg以上のものを大型、500kg〜1000kgのものを小型、100kg〜500kgのものをミニ型、10kg〜100kgのものをマイクロ型、10kg以下のものをピコ型と分類されることがある。かかる人工衛星のうち大型、小型、及びミニ型のものは、その人工衛星の打ち上げ専用のロケットの頭部に設けられたフェアリングに収納され、該ロケットにて目的の時刻に、目的の高度及び軌道まで移送されて、移送途中でフェアリングが廃棄された後、この軌道に投入される。
【0003】
一旦軌道上での運用を開始した人工衛星は、予定していたミッションの実施が不可能となるような不具合が発生した場合であっても、地上設備のように簡単に修理、改修を行うことができない。このため、人工衛星用の機器類は、軌道上で可及的に不具合が発生しないように、打ち上げ前に綿密な試験及び検査を受け、その信頼性が確保される。
【0004】
特に大型及び小型の人工衛星はシステムが複雑であり、ミッションも多岐に亘り、また搭載される機器類の数も多いため、信頼性確保のための多数の試験及び検査が複合的且つ長期間に亘って実施されることとなる。また、このような人工衛星の組み立てに供された装置等にも、同様に多くの試験及び検査が必要である。
【0005】
一方、ピコ型及びマイクロ型の人工衛星にあっては、システムが比較的単純であり、その多くが単一のミッション専用のものであり、また機器類の数が比較的少ないため、大型及び小型の人工衛星に比べて必要とする試験及び検査の数及び期間が少なく、開発期間及び開発コストが少なくてすむという利点がある。
【0006】
また、例えば地球観測衛星及び通信衛星は、地球環境の急変及び人工衛星の搭載機器の技術的な陳腐化等に対応するため、可及的にその開発期間を短縮することが要望されており、従って、これらの用途に供されるピコ型及びマイクロ型の人工衛星の需要が高まっている。
【0007】
かかるピコ型及びマイクロ型の人工衛星は、他の大型又は小型の人工衛星の打ち上げ用のロケットに、所謂ピギーバック方式で搭載されて打ち上げられる。このピギーバック方式の打ち上げ方法は、他の大型又は小型の人工衛星が収納されているフェアリング内部の余剰空間にピコ型又はマイクロ型の人工衛星を艤装し、大型又は小型の人工衛星をロケット本体から離脱させるときに、併せてピコ型又はマイクロ型の人工衛星も、大型又は小型の人工衛星に艤装したまま又は単独で離脱させるものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなピギーバック方式のロケットでは、ピコ型又はマイクロ型の人工衛星の打ち上げ時を、ロケット打ち上げの主たる目的の大型又は小型の人工衛星の打ち上げ時に合わせる必要があるため、ピコ型又はマイクロ型の人工衛星を幾ら短期間に開発することができたとしても、早期に打ち上げることができない場合も多く、開発期間短縮の利益を十分に享受できない。
【0009】
また、ピギーバック方式のロケットにあっては、大型又は小型の人工衛星をロケット本体から切り離すときに、併せてピコ型又はマイクロ型の人工衛星も切り離す構成であるため、ピコ型又はマイクロ型の人工衛星を最適な高度及び軌道に投入できない場合があった。
【0010】
また、ピギーバック方式のロケットでは、ピコ型又はマイクロ型の人工衛星と大型又は小型の人工衛星とのインタフェースが複雑であり、ピコ型又はマイクロ型の人工衛星の艤装空間にも制限が多く、このようなインタフェース及び艤装空間の調整に多大な時間及び費用を必要としていた。加えて、艤装空間の形状により、多くのピコ型又はマイクロ型の人工衛星を艤装することができないという不便も生じていた。
【0011】
更に、ロケット全体に対する人工衛星の質量比は概ね1%程度であり、しかもロケット全体に対するロケット燃料の質量比は90%程度であることから、大型又は小型の人工衛星の打ち上げ用のロケットは、大型のものとなり、また多くのロケット燃料を必要とするため、その打ち上げ費用が嵩んでいた。
【0012】
一方、ピコ型又はマイクロ型の人工衛星の打ち上げ専用の小型のロケットは既存のものとして存在せず、かかる小型ロケットの開発が期待されている。
【0013】
また、ピコ型又はマイクロ型の人工衛星は、サイズが非常に小さいため、従来からより大型の人口衛星に利用されている、液体燃料を燃焼させて推力を得る方式、液体窒素等の物質を噴射させて推力を得る方式等の大規模な姿勢制御用の推力発生装置を搭載することができないという問題もあった。
【0014】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、宇宙航行体を姿勢制御する際の推力発生方法及びその実施に使用する装置であって、特に、ピコ型又はマイクロ型の人工衛星に好適な推力発生方法及び装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る推力発生方法は、宇宙航行体が備える推進ノズルから圧力ガスを噴射することによって前記宇宙航行体の推力を得る推力発生方法において、固相状態の昇華物質を収容する容器内で該固相状態の昇華物質を加熱し、加熱して昇華した圧力ガスを前記推進ノズルから噴射することによって前記宇宙航行体の推力を得ることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る推力発生装置は、宇宙航行体が備える推進ノズルから圧力ガスを噴射することによって前記宇宙航行体の推力を得る推力発生装置において、固相状態の昇華物質を収容する容器と、該容器内の前記昇華物質を加熱する第1のヒータとを備え、前記第1のヒータにより加熱され、昇華した圧力ガスを前記推進ノズルから噴射することによって前記宇宙航行体の推力を得るように構成してあることを特徴とする。
【0017】
なお、本発明において、宇宙航行体は、地球大気圏近傍及び大気圏外において航行する全ての航行体を含み、従来技術の欄で説明した如き人工衛星に限定するものではない。
【0018】
上記発明においては、推力発生源として昇華物質を利用し、その昇華ガス(圧力ガス)を噴射することによって宇宙航行体の推力を得る。また、本発明では、昇華物質を必要なときに必要な量だけ加熱して使用し、それまでは固相状態で保管しておくため体積を小さくでき、宇宙航行体自体のサイズ及び質量を低減することができる。この宇宙航行体自体のサイズ及び質量の低減は、例えば、宇宙航行体を地上から打ち上げるロケットのサイズ及び質量の大幅な低減に寄与し、更には、その開発にかかる時間、コスト、及び労力の大幅な低減に寄与することが可能である。従って、本発明によれば、従来から実現が困難であった二段型ロケットによりピコ型又はマイクロ型の人工衛星を軌道上に運ぶことが可能となる。
【0019】
本発明では、昇華物質を必要なときに必要な量だけ加熱して使用するためには、例えば、容器内に収納された昇華物質を第1のヒータで加熱し、容器内の圧力が所定の圧力に達した場合に、バルブで開放して、昇華ガスの推進ノズルからの噴射を得ることが可能である。前記バルブは、例えば、容器と推進ノズルとを連通する通流経路の何れかの位置に設けられ、流量を調節可能な種類のもの、所定の開度で開閉を行なう種類のもの等、様々な種類のものを使用することが可能である。また、上記圧力の検出にも、圧力計、容器の変形を検出する歪ゲージ等、様々な種類のものを使用することが可能である。なお、上記所定の圧力は、使用する容器の耐圧設計の程度、宇宙航行体の姿勢制御に必要な推力の程度等を鑑みて設定すればよい。
【0020】
昇華ガスを通流経路を通じて推進ノズルから噴射する際には、昇華物質の断熱膨張により通流経路及び推進ノズルの温度が急激に低下するため、これらを加熱する第2のヒータを設けることが望ましい。この第2のヒータは、通流経路及び推進ノズルの両方を加熱する必要はなく、少なくとも何れか一方を過熱できればよい。この第2のヒータは、常に加熱するように構成することも可能であるが、その効率の観点から、例えば、通流経路又は推進ノズルの温度を検出し、検出した温度が所定の温度以下になった場合に、作動させることが望ましい。
【0021】
本発明において利用される昇華物質としては、比較的小規模なヒータでも十分な圧力を得ることができるように、比較的低い沸点(例えば、300K程度)を有した物質が望ましく、例えば、沸点が309Kであるエイコサンを利用することが可能である。
【0022】
このように、本発明においては、固相状態で昇華物質を確保しておく構成のため、昇華物質を収納する容器、又は昇華室として利用する容器は、特別な耐圧容器である必要はなく、前述のように設定される上記所定の圧力に耐え得る構造を有していればよい。上述したように、本発明における容器は、昇華物質を収容する容器、及び昇華室として利用する容器は、一体であっても別体であってもよい。
【0023】
以上のように、本発明に係る推力発生方法を実施するための装置は、構成が簡易であり、小型軽量にすることが可能であるため、人工衛星、特に、小さい推力で姿勢制御(高度及び速度等の制御)をすることが可能なピコ型又はマイクロ型の人工衛星に好適である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係る人工衛星を搭載した2段型ロケットについて、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る2段型ロケットの全体構成を示す側面図である。図1に示す如く、本発明の実施の形態に係る2段型ロケット1は、本発明に係る人工衛星2と、第1段固体モータ3と、第2段固体モータ4と、段間部5とから主として構成されている。
【0025】
人工衛星2は、2段型ロケット1の頭部を構成しており、概ね円筒形状のシュラウド部分2a(図2参照)と、該シュラウド部分2aの上端に連なった丸みを帯びた円錐形状のノーズ部分2b(図2参照)とから構成されている。また、人工衛星2の質量は例えば45kgであり、マイクロ型人工衛星に分類されるものである。かかる人工衛星2の下方には、段間部5を介して第1段固体モータ3が連結されている。
【0026】
また、段間部5は前記人工衛星2の円筒と略同径の円筒形状をなしており、その内部には第2段固体モータ4が支持されている。
【0027】
第1段固体モータ3は可動式ノズルを有しており、このノズルの噴射方向を変えることによって飛行制御を行うようになっている。また、第2段固体モータ4は特段の飛行制御を行う構造は有していない。
【0028】
かかる人工衛星2の打ち上げ工程は次のようなものである。まず、第1段固体モータ3の燃焼を開始することによって、2段型ロケット1が極付近の射場から上昇を開始する。このとき、2段型ロケット1の打ち上げ時における2段型ロケット1の機軸と地平線とのなす角度は90°とする。即ち、2段型ロケット1は鉛直上方へ打ち上げられる。第1段固体モータ3は40秒間燃焼し続け、燃焼終了時にはその飛翔高度は高度約45kmに至る。次に、第1段固体モータ3の燃焼終了時、即ち打ち上げ開始から40秒経過後、可及的速やかに第1段固体モータ3が切り離され、そして第2段固体モータ4の燃焼を開始する。第2段固体モータ4は39秒間燃焼し続け、燃焼終了時の飛翔速度は最高飛翔速度である約7.7km/sに、飛翔高度は高度約240kmに至る。第2段固体モータ4の燃焼終了後、第2段固体モータ4及び段間部5が人工衛星2から切り離され、人工衛星2が弾道軌道に投入される。
【0029】
更に、かかる人工衛星2の打ち上げ工程の他の例として、次のようなものもある。まず、第1段固体モータ3の燃焼を開始することによって、赤道付近の射場から2段型ロケット1が上昇を開始する。このとき、2段型ロケット1の打ち上げ時における2段型ロケット1の機軸と地平線とのなす角度は90°とする。即ち、2段型ロケット1は鉛直上方へ打ち上げられる。
【0030】
第1段固体モータ3の燃焼開始約39秒後、2段型ロケット1は約2°/秒のピッチで東側に重力ターンを開始する。第1段固体モータ3は燃焼開始40秒後に燃焼を終了し、その後可及的速やかに2段型ロケット1から分離される。
【0031】
第1段固体モータ3の燃焼終了約2秒後に第2段固体モータ4が燃焼を開始する。第2段固体モータ4は燃焼開始約39秒後に燃焼を終了し、そのときの2段型ロケット1の機軸と地平線とのなす角度は0°であり、また速度は8.1km/sに達する。また、このときの到達高度は約185kmであり、ここで人工衛星2が軌道に投入される。人工衛星2を更に軽量化すれば、到達高度を更に大きくすることが可能である。
【0032】
このような2段型ロケット1は、従来の3段以上の多段型ロケットの飛翔速度に比して大幅に高い速度で飛翔することとなる。従って、飛翔時に2段型ロケット1が受ける加熱率、動圧及びエンタルピ等の飛翔環境は、3段以上の多段型ロケットが飛翔時に受けるそれよりも非常に過酷なものとなる。本願発明者らの試算によれば、極付近の射場から打ち上げられ弾道飛行する2段型ロケット1の最大空力加熱率は約2.6MW/m2であり、最大動圧は約13気圧であり、また最大加速度は約31Gである。これらは、宇宙開発事業団が開発したH2Aロケットの如き大型ロケットの場合と比して夫々10倍以上の大きさとなっており、本実施の形態に係る2段型ロケット1の飛翔環境が如何に過酷なものであるかが判る。
【0033】
このような厳しい飛翔環境に耐え得るために、本実施の形態に係る人工衛星2は以下に説明するような構成となっている。図2は、本発明の実施の形態に係る人工衛星2の構成の概略を示す模式的断面図である。図2に示す如く、人工衛星2はその外殻構造としてフェアリング(ノーズフェアリング)6を有している。即ち、本実施の形態に係る人工衛星2は、フェアリング6と一体的に形成されている。このフェアリング6は、人工衛星2が軌道に投入される前に廃棄されず、人工衛星2の外殻として使用されるようになっている。
【0034】
フェアリング6は複数の層から構成されており、外側から順に低太陽光吸収率層7,アブレータ層8,断熱層9及び金属シート層10が積層された構造となっている。低太陽光吸収率層7は、2段型ロケット1の飛翔時における空力加熱に対して十分な耐性を有する白色系の塗料を使用する。このように、フェアリング6の略全体を、低い太陽光吸収率を有する低太陽光吸収率層7にて被覆することにより、フェアリング6が太陽光に晒されたときに、太陽熱の吸収を可及的に抑制し、フェアリング6の内部の温度上昇を可及的に抑制することができる。
【0035】
なお、ここでいう白色系とは、無彩色及び有彩色を問わず、その明度の比較的高いもののことである。即ち、白色系には、例えば若干青みがかった白色等を含んでいる。また、本実施の形態においては、低太陽光吸収率層7を白色系の層とする構成としたが、これに限定されるものではなく、フェアリング6が太陽光に晒されたときに、フェアリング6の内部空間を、内部に設けられる機器が許容する温度に維持することができる程度に低い太陽光吸収率を有する層であれば、低太陽光吸収率層7の色は問わないことは言うまでもない。
【0036】
アブレータ層8は、例えばCFRPのようなロケットのアブレータとして使用される材料によって構成されている。本実施の形態においては、アブレータ層8はCFRPによって構成されているものとしている。図3は、本発明の実施の形態に係るアブレータ層8の構成を示す断面図である。図3に示す如く、アブレータ層8は更に熱防御層8a及び構造層8bの2層に分かれている。外側の層である熱防御層8aは、カーボン繊維が布状に織り込まれたものを短冊状に裁断して得た多数の短冊状布体を合成樹脂に埋め込んだCFRPから構成されており、高い熱防御性能を実現すると共に、熱応力を低く抑えることができるような構造となっている。
【0037】
一方、アブレータ層8の内側の層である構造層8bは、カーボン繊維が連続した布状に織り込まれたものを複数積層したCFRPから構成されており、高温下において例え炭化したとしても高比強度及び高比剛性を維持することが可能であるような構造となっている。このような構造とすることにより、フェアリング6に金属製の構造層を設ける必要がなく、軽量でありながら金属製のフェアリングに匹敵する強度及び剛性を実現することができる。
【0038】
断熱層9は、無機材料の断熱材によって構成されている。図2に示す如く、アブレータ層8及び断熱層9は、フェアリング6の先端部である淀み点部6aで最も厚く、ここから後方へ向かうに従って薄くなるように構成されている。これは、淀み点部6aにおいて、飛翔時の空力加熱が最大となり、後方へ向かうに従って低くなることから、フェアリング6の先端部に近い部分ほど、空力加熱に対する耐性が要求されるためである。また、フェアリング6の後方へ向かうに従って、アブレータ層8及び断熱層9の厚みを薄くすることにより、フェアリング6の更なる軽量化に寄与することができるという効果もある。
【0039】
また、金属シート層10には、アルミニウム製シートが用いられている。
【0040】
フェアリング6の内部には、機器搭載パネル11,12,13が設けられており、これらの機器搭載パネル11〜13の夫々に、各種センサ、オンボードコンピュータ、記憶装置、及びアンテナ類等の人工衛星の内部機器14が搭載されている。これらの内部機器14は金属シート層10との間で放射熱交換を行うようになっており、これにより内部機器14の温度が、例えば一般的な電子機器の許容温度範囲である−15℃〜45℃の範囲内にあるように適切に維持される。
【0041】
図4は、本発明の実施の形態に係る2段型ロケット1の飛翔時におけるフェアリング6の表面温度、金属シート層10の温度、及び内部機器14の温度の推移を示すグラフである。図4に示すように、フェアリング6の表面温度は最高で約1690℃に達する。2段型ロケット1の飛翔時には、このような高温にフェアリング6が晒されることにより、熱防御層8aから熱分解ガスが発生し、このときの吸熱反応によりフェアリング6の内部の温度上昇が防止され、これと共に熱分解ガスがフェアリング6の表面を覆うことにより、人工衛星2の更なる加熱が防止される。
【0042】
また、フェアリング6がこのような空力加熱を受けた場合、熱防御層8aが炭化し、黒色に変色することとなる。ここで、低太陽光吸収率層7が設けられていない場合には、フェアリング6の表面が全体に亘って黒色に変色し、人工衛星2の軌道運用時において、太陽光を吸収して、人工衛星2の内部温度が異常に高まることが考えられる。本実施の形態に係るフェアリング6においては、アブレータ層8の表面に低太陽光吸収率層7を積層しており、前述の如くかかる低太陽光吸収率層7が空力加熱に対する十分な耐性を有する塗料を用いたものであるので、2段型ロケット1の飛翔時に低太陽光吸収率層7が空力加熱によって消失することがなく、フェアリング6の表面が白色系に維持される。このため、人工衛星2の表面の太陽光吸収率を低くすることができ、人工衛星2の内部温度の上昇を抑制することができる。なお、表面温度が耐熱性塗料の使用上限温度を超えると予想される空力加熱の高い一部の箇所については、耐熱性塗料を塗布しなくてもよい。
【0043】
図5は、本発明の実施の形態に係る低太陽光吸収率層7の構成を示すフェアリング6の部分斜視図であり、図6は、フェアリング6の模式的部分断面図である。図3、図5及び図6に示す如く、低太陽光吸収率層7には多数の通気孔15が設けられている。つまり、フェアリング6の表面のうち通気孔15の部分だけは熱防御層8aが露出している。前述の如く、フェアリング6が空力加熱を受けている間、熱防御層8aからは熱分解ガスが発生する。図6に示す如く、この熱分解ガスは通気孔15を通過して、人工衛星2の外部へ放出される。これに対して低太陽光吸収率層7に通気孔15が設けられていない場合には、空力加熱を受けることによって熱防御層8aから発生した熱分解ガスの逃げ道がなくなり、低太陽光吸収率層7に亀裂又は剥離が発生することとなる。従って、低太陽光吸収率層7に通気孔15を形成した構成とすることにより、低太陽光吸収率層7の亀裂又は剥離の発生を抑制することができる。
【0044】
即ち、フェアリング6を以上の如き構成とすることにより、2段型ロケット1の飛翔時の空力加熱による発生熱が人工衛星2の機内に侵入することを防止すると共に、人工衛星2の軌道運用時における内部機器14からの発生熱を機外に放出することが可能であり、2段型ロケット1の飛翔時及び人工衛星2の軌道運用時において、内部機器14の温度を適正に保つことが可能となっている。
【0045】
また、本実施の形態においては、通気孔15の直径を1mmとし、相隣する2つの通気孔15の間の距離を25mmとしている。なお、通気孔15の直径を3mmとし、相隣する2つの通気孔15の間の間隔を5mmとする等、通気孔15は、熱防御層8aの露出面積を可及的に小さくしつつ、熱分解ガスを外部に放出するという所望の性能を発揮する構成であれば、他の寸法構成としてもよいことは言うまでもない。
【0046】
次に、本発明の実施の形態に係るフェアリング6の製造方法の一例について説明する。図7は、フェアリング6の塗装の前工程の一例を説明する模式図であり、(a)はその第1段階を、(b)はその第2段階を、(c)はその第3段階を、(d)はその第4段階を示している。まず、フェアリング6の形状に成型されたアブレータ層8,断熱層9及び金属シート層10の積層体であるフェアリング材料16を製造しておく。そして、以下のようにして、フェアリング材料16の表面に低い太陽光吸収率を有する(例えば白色系の)塗料を塗布する。
【0047】
図7(a)に示す如く、本例におけるフェアリング6の塗装の前工程の第1段階では、予めフェアリング6の外形に合わせて製作されている粘着性を有するシール材17を、同様に予めフェアリング6の外形に合わせて製作されている雌型冶具18に被せる。この雌型冶具18には、フェアリング6の低太陽光吸収率層7に設ける通気孔15の位置に合わせて、予め多数の孔18aが設けられている。
【0048】
次に第2段階では、図7(b)に示す如く、雌型冶具18をフェアリング材料16に被せる。
【0049】
第3段階では、図7(c)に示す如く、シール材17の上に、予めフェアリング6の外形に合わせて製作されている雄型冶具19を被せる。この雄型冶具19の内面には、フェアリング6の低太陽光吸収率層7に設ける通気孔15の位置に合わせて、予め多数の突起19aが設けられている。そして、突起19aが孔18aに挿入されるように位置合わせを行い、雄型冶具19をフェアリング材料16に押し付ける。このとき、シール材17の突起19aに重なる部分が孔18aを貫通してフェアリング材料16の表面に接触し、フェアリング材料16の通気孔15に相当する位置にのみシール材17が貼着せしめられる。
【0050】
第4段階では、図7(d)に示す如く、雄型冶具19,シール材17及び雌型冶具18をフェアリング材料16から取り外す。このとき、シール材17のうちフェアリング材料16の多数の貼着部分だけがフェアリング材料16の表面にマスキング(マスキング部分)17aとして残り、アブレータ層8のこの部分が隠れた状態となる。これで、フェアリング6の塗装の前工程が終了する。
【0051】
このようにして得たフェアリング材料16の外面に対して、低い太陽光吸収率を有する耐熱性塗料を塗布する。その後、マスキング17aをフェアリング材料16から取り除き、フェアリング6が完成する。
【0052】
次に、本発明の実施の形態に係るフェアリング6の製造方法の他の例について説明する。図8は、フェアリング6の塗装の前工程の他の例を説明する模式図であり、(a)はその第1段階を、(b)はその第2段階を示している。
【0053】
図8(a)に示す如く、本例におけるフェアリング6の塗装の前工程の第1段階では、予めフェアリング6の内側形状に合わせて製作されている電磁石20をフェアリング材料16の内側に配置する。
【0054】
図9は、本発明の実施の形態に係る電磁石20の構成を示す部分断面図である。電磁石20は、複数のコイル(図示せず)がその内部に設けられた、前記フェアリング材料16を縮小した略相似形状をなす本体部分21と、該本体部分21の外側及び内側に夫々配されたハニカム構造部分22,23とから構成されている。外側のハニカム構造部分22の外形は、フェアリング材料16の内部形状と略同一となっており、フェアリング材料16の内部に電磁石20を配したとき、フェアリング材料16の内面にハニカム構造部分22の外面が略全体に亘って密着することとなる。
【0055】
ハニカム構造部分22,23は、金属製とされており、複数の六角形状の孔が厚さ方向に貫通し、恰も蜂の巣状に形成された構造となっている。かかるハニカム構造部分22,23により、電磁石20を軽量且つ高剛性のものとすることができる。
【0056】
また、本体部分21に設けられたコイルは、本体部分21の厚さ方向を中心軸としたものであり、該コイルに直流を通電することにより、例えば図9に示す如く、本体部分21の外側をN極、内側をS極とした磁界を発生することができるようになっている。
【0057】
なお、本実施の形態においては、電磁石20をフェアリング材料16の内側に配置するものとしたが、これに限定されるものではなく、電磁石20の代わりに永久磁石を配置してもよい。また、電磁石20がハニカム構造部分22,23を有する構成としたが、これに限定されるものではなく、フェアリング材料16の内部形状と略同一の外形を有する金属製又は金属と合成樹脂との複合材製のハウジング内部に複数のコイルを収納した構成としてもよい。
【0058】
次に本例の第2段階では、図8(b)に示す如く、内部が予めフェアリング6の外形に概ね合わせて製作されている塗料供給装置24をフェアリング材料16の外側に被せる。
【0059】
図10は、本発明の実施の形態に係る塗料供給装置24の構成を示す部分斜視図である。塗料供給装置24は、可撓性を有する材料によって形成された、前記フェアリング材料16より大きい袋状の本体部分25と、該本体部分25の内面の複数箇所から夫々突設された多数の塗料噴射チューブ26と、前記本体部分25の内面の塗料噴射チューブ26の突設箇所とは異なる複数の箇所から突設された支柱27とから主として構成されている。
【0060】
本体部分25は内部空間28を有しており、該内部空間28に外部から供給された、低い太陽光吸収率を有する耐熱性塗料を通流させることが可能となっている。この本体部分25は、前述した如く可撓性を有しており、また概ねフェアリング材料16の外形に沿った形状に形成されている。従って、塗料供給装置24でフェアリング材料16を覆った場合に、フェアリング材料16の外形に合わせて本体部分25が変形し、フェアリング材料16の略全体に亘って本体部分25を覆い被せることが可能である。
【0061】
図11は、本発明の実施の形態に係る塗料噴射チューブ26の構成を示す模式的側面図である。塗料噴射チューブ26は、その一端が内部空間28と連通しており、他端が略円盤状の永久磁石からなるマスキング部29によって閉塞されている。また、塗料噴射チューブ26の中間部分には、複数のノズル30が設けられており、内部空間28から供給された耐熱性塗料をノズル30から噴射することが可能となっている。このとき、塗料噴射チューブ26の他端がマスキング部29によって閉塞されていることにより、この他端から耐熱性塗料が噴出されることがない。
【0062】
また、本体部分25の内面からは高透磁率材料からなる支柱27が突設されている。支柱27の一端は本体部分25の内面に固着されており、他端にはマスキング部32が取り付けられている。このマスキング部32も永久磁石とされている。また、マスキング部29,32は、例えば電磁石20が本体部分21の外側をN極、内側をS極とした磁界を発生する場合には、本体部分25の近接側をN極、離反側をS極とした磁界を発生するように夫々塗料噴射チューブ26及び支柱27に取り付けられる。
【0063】
第2段階で塗料供給装置24をフェアリング材料16に被せるときには、フェアリング材料16の外面のうち、通気孔15を設けたい部分にマスキング部29,32を載置する。そして、電磁石20によって磁界を発生し、この磁界によってマスキング部29,32をフェアリング材料16の外面に吸着させる。これで、フェアリング6の塗装の前工程が終了する。
【0064】
続いて、塗料供給装置24の外部から本体部分25へ前記耐熱性塗料を供給し、ノズル30から耐熱性塗料を噴射する。ノズル30は、フェアリング材料16の表面へ向けて耐熱性塗料を噴射するように傾斜して設けられており、これによってフェアリング材料16の外面のマスキング部29,32が載置されている部分を除いた略全体に亘って耐熱性塗料が塗布されることとなる。
【0065】
更に、電磁石20の磁界の発生を停止し、電磁石20及び塗料供給装置24をフェアリング材料16から取り外す。これによって、フェアリング6が完成する。
【0066】
以上説明したように、フェアリング6を外殻として一体化した人工衛星2を構成することにより、従来の人工衛星のように人工衛星とは別にフェアリングを用意し、人工衛星を該フェアリングと共にロケットに搭載する必要がなくなる。人工衛星には外殻構造が必要であり、人工衛星全体が十分な強度及び剛性を確保するために、従来の人工衛星の場合では強度部材等も必要としていた。本実施の形態に係る人工衛星2は、フェアリング6が外殻構造を兼ね、また前述の如く該フェアリング6が十分な強度及び剛性を確保しているので、別途強度部材等を設ける必要がない。
【0067】
また、本願発明者らが試算を行った結果、金属に比して比重が小さいCFRPによって主として構成された本発明の実施の形態に係るフェアリング6は、同じ内部機器を搭載した従来の人工衛星を3段型ロケットによって打ち上げる場合に使用される金属製のフェアリングと比して、両者を同程度の強度及び剛性を確保するように構成した場合には、同程度の質量となることが判った。即ち、本発明に係る人工衛星2は、従来の人工衛星及び金属製のフェアリングの合計質量と比較して、人工衛星に搭載する内部機器が同じである場合には、従来の人工衛星が必要とする外殻構造及び強度部材の質量分だけ軽量なものとすることが可能である。例えば従来の人工衛星の質量が50kgである場合、該人工衛星が必要とする外殻構造及び強度部材の質量は約15kgとなるので、同じ内部機器を搭載した本実施の形態に係る人工衛星2では、従来の人工衛星及びフェアリングの合計質量より15kgの軽量化が可能である。
【0068】
このような人工衛星(及びフェアリング)の軽量化によって、これを宇宙空間まで搬送するロケット自体をも小型のものとすることができる。また、本実施の形態のように、従来の3段以上の多段型ロケットではなく、2段型ロケット1として構成することにより、構造を大幅に簡略化することができ、よって開発コスト及び開発期間等の大幅な低減が実現できる。
【0069】
このように、フェアリング6を人工衛星2に一体化した場合には、従来の人工衛星とフェアリングとが別個に搭載し、フェアリングを分離及び放擲するように構成されたロケットと同一のロケットを用いて、前記人工衛星よりも約15kgも質量が大きい人工衛星2を打ち上げることが可能となる。逆説的に言えば、従来のフェアリングを分離及び放擲する構成の人工衛星と同一質量のフェアリング一体型の人工衛星においては、従来より大幅に小型のロケットで打ち上げることが可能である。
【0070】
また、前述したように、2段型ロケット1は従来の3段以上の多段型ロケットと比べて大幅に高速に飛翔する。例えば第1段固体モータ3の燃焼開始39秒後に、約2°/sの重力ターンを開始し、第2段固体モータ4の燃焼終了時に迎角が90°となるように構成した場合、第2段固体モータ4の燃焼終了時における2段型ロケット1の水平移動距離は約180kmとなり、その10秒後に人工衛星2を放出するとしたときの同放出時における2段型ロケット1(人工衛星2)の水平移動距離は約260kmとなる。
【0071】
このように、人工衛星2の打ち上げ開始から放出時までの水平移動距離は約260kmであり、この距離は従来の人工衛星の打ち上げ開始から放出時までの水平移動距離に比べて極めて短いものである。従って、従来の3段型ロケットによる人工衛星の打ち上げ時には、例えば日本国内の射場から打ち上げた後で、日本国内の観測所によって人工衛星の打ち上げから放出までを観測することができないことがあったが、本発明に係る人工衛星2を搭載した2段型ロケット1を種子島宇宙センター射場の小型ロケット射点から打ち上げた場合、人工衛星2の放出までの2段型ロケット1の飛翔状況を種子島宇宙センター及び小笠原追跡所の2箇所で観測することができ、観測に外国の設備を必要としない。このように、日本国内の設備だけで2段型ロケット1の打ち上げから人工衛星2の軌道投入までの観測を行うことができるので、従来に比してロケットの打ち上げ作業を極めて簡素なものとすることができる。
【0072】
また、前述した本発明に係る人工衛星2の打ち上げ開始から放出時までの水平移動距離(約260km)は、1つの観測所によって2段型ロケット1の打ち上げから人工衛星2の軌道投入までを観測することができる距離でもある。従って、1つの観測所で2段型ロケット1の打ち上げから人工衛星2の軌道投入までを一貫して観測した場合には、更にロケットの打ち上げ作業を簡素なものとすることができ、より一層コスト及び手間を低減することが期待できる。
【0073】
前述の如く、本実施の形態2に係る2段型ロケット1はフェアリング6のアブレータ層8が空力加熱によって炭化する。このとき、アブレータ層8のうちの表面近傍の部分にはカーボン繊維が重なった状態で残留する。図12は、本発明の実施の形態に係るアブレータ層8の空力加熱を受けたときの状態を説明する模式的断面図である。アブレータ層8のうちの熱防御層8aは、2段型ロケット1の打ち上げ初期の段階で炭化する。図12に示すように、炭化して熱防御層8aに残留したカーボン繊維8cは、繊維長手方向が様々な方向へ向いた状態で重なり合う。各カーボン繊維8cの結合力は比較的弱く、外部から力が作用した場合には互いにずれるように微小に移動する。
【0074】
ここで、本実施の形態に係る2段型ロケット1は、前述したようにその飛翔時に従来に比して極めて高い動圧を受けることとなる。従って、2段型ロケット1には飛翔時に強い振動が発生し、フェアリング6に加わる振動が内部機器14にそのまま伝われば、これが内部機器14の故障を引き起こす可能性がある。
【0075】
しかし、前記カーボン繊維8b(及び構造層8cが炭化した場合にこの層に残留するカーボン繊維)が3次元的に互いに微小に移動することによって、アブレータ層8が免震構造として機能し、フェアリング6の表面に加わる振動が内部にそのまま伝わることが防止される。これにより、内部機器14には外部の振動が伝わりにくくなり、内部機器14の故障の発生を抑制できる。
【0076】
また、人工衛星2の軌道投入時に、人工衛星2から第2段固体モータ4及び段間部5が切り離されるが、このときにも人工衛星2に対して衝撃が加わる。この衝撃も、前述したフェアリング6の免震機能によって人工衛星2の内部において緩和され、内部機器14の故障の発生が抑制されることとなる。
【0077】
次に、人工衛星2の構成をより詳細に説明する。図13は、本発明の実施の形態に係る人工衛星2の構成を示すシュラウド部分2aにおける横断面図である。図13に示す如く、人工衛星2のシュラウド部分2aの後端から所定長さ前方までの部分においては、フェアリング6の周方向の一部が欠落しており、この欠落部分33を閉塞するように展開型の太陽電池パドル34が設けられている。
【0078】
太陽電池パドル34は、2つの板状の太陽電池パネル35,36が突き合わされて互いにヒンジ結合された構成となっている。一方の太陽電池パネル35の一端は略L字状に屈曲せしめられており、この屈曲部分34bの先端が欠落部分33の一端に枢着されている。これによって、太陽電池パネル35は、欠落部分33を閉塞した状態からこの枢着部分を中心として外側に回動することが可能となっている。
【0079】
太陽電池パネル35の他端は太陽電池パネル36の一端とヒンジ部34aによってヒンジ結合されている。そして、2段型ロケット1の打ち上げ前には、太陽電池パネル35,36は重ね合わされた状態で欠落部分33を閉塞するように収納されている。
【0080】
図14は、本発明の実施の形態に係る太陽電池パドル34の構成を示す断面図である。図14に示すように、一方(基端側)の太陽電池パネル35は、セル取付板35aの一面に太陽電池セル35bが取り付けられた構造となっている。また、前記欠落部分33を閉塞するようにラジエータ35cが設けられており、該ラジエータ35cは人工衛星2の内部と宇宙空間との隔壁として機能する。内部機器14の発熱の機外への排出はこのラジエータ35cによって行われる。ラジエータ35cの光学特性及び面積は、内部機器14の発熱量により設定される。また、太陽電池パドル34の収納時には、セル取付板35aの他面がラジエータ35cの機外側の面に対向し、太陽電池セル35bが機外側に配置されるようになっている。
【0081】
なお、本実施の形態においては、ラジエータ35cを人工衛星2の内部と宇宙空間との隔壁として設ける構成について述べたが、これに限定されるものではなく、内部機器14の発熱量が、ラジエータによる排熱が不要である程度に小さい場合には、ラジエータ35cに代えて、例えばCFRP等の複合材料製の隔壁を設ける構成としてもよい。
【0082】
また、他方(先端側)の太陽電池パネル36はセル取付板36aを有しており、太陽電池パドル34の収納時において、前記太陽電池セル35bに対向するように太陽電池セル36bがセル取付板36aの一面に取り付けられている。即ち、太陽電池セル36bはセル取付板36aの機内側の面に取り付けられている。また、セル取付板36aの他面(機外側の面)には、アブレータ層及び断熱層等から構成された熱防御板36cが取り付けられている。これによって、2段型ロケット1の飛翔時に受ける空力加熱に対して熱防御機能を発揮し、内部機器14の温度を過度に上昇させないようにすることが可能となっている。また、太陽電池パドル34の収納時には、熱防御板36cが最外部に位置することとなるため、2段型ロケット1の飛翔時に受ける空力加熱から太陽電池セル35b,36bが保護される。
【0083】
図13に示す如く、人工衛星2の内部には2つの電動モータ37,38が設けられている。一方の電動モータ37の出力軸にはワイヤ37aの一端が接続されており、該ワイヤ37aの他端は太陽電池パネル35とフェアリング6とを枢着している枢軸35dに接続されている。またワイヤ37aは一端側が電動モータ37の出力軸に巻回されており、他端側が枢軸35dにこれとは反対向きに巻回されている。また、枢軸35dは太陽電池パネル35に固着されており、ワイヤ37aの他端側の枢軸35dに対する巻回方向は、枢軸35dからワイヤ37aを引き出した場合に、太陽電池パネル35に機外側へ回動する方向のトルクが発生する方向(即ち、図13中で反時計方向)とされている。これによって、電動モータ37を動作させ、出力軸を前記ワイヤ37aを巻き取る方向に回転させた場合には、枢軸35dからワイヤ37aが引き出され、太陽電池パネル35に機外側へ回動する方向のトルクが作用することとなる。
【0084】
一方、電動モータ38の出力軸にも同様にワイヤ38aの一端側が巻回されている。またこのワイヤ38aの他端はヒンジ部34aに接続されている。そして、太陽電池パドル34がフェアリング6に収納されているときには、ワイヤ38aは所定の張力が作用するように電動モータ38の出力軸によって固定された状態となっている。また、ロック機構によって太陽電池パドル34が展開しないようにフェアリング6に係止され、人工衛星2の軌道投入の際に前記ロック機構が解除される構成としてもよい。
【0085】
また、人工衛星2の内部には、電動モータ37,38の動作を夫々制御するモータコントローラ39と、該モータコントローラ39に接続された加速度センサ40とが設けられている。
【0086】
また、太陽電池パネル35,36の間には図示しないバネが設けられており、このバネによって太陽電池パネル35,36が互いに展開する方向へ付勢されている。更に、太陽電池パネル35,36の間には、図示しないストッパが設けられており、太陽電池パドル34がフェアリング6に収納されているときには、前記ストッパが係合することによって太陽電池パネル35,36が前記バネによる付勢力に抗して重ね合わされた状態を維持するようになっている。
【0087】
次に、太陽電池パドル34の展開動作について説明する。図15及び図16は、本発明の実施の形態に係る太陽電池パドル34の展開の流れを説明するための模式図である。第2段固体モータ4の燃焼が終了したとき、前記加速度センサ40がこれを検出し、検出信号をモータコントローラ39へ送信する。これと同時に第2段固体モータ4及び段間部5が人工衛星2から切り離され、人工衛星2が軌道上に放出される。モータコントローラ39は、前記検出信号を受信した後に、その出力軸がワイヤ37aの巻き取り方向に回転するように電動モータ37を動作させつつ、出力軸がワイヤ38aを緩める方向に回転するように電動モータ38を動作させる。これによって、太陽電池パドル34が枢軸35dを中心として機外側へ回動することとなる。また、太陽電池パドル34が回動した場合には、欠落部分33は前記ラジエータ35cだけで閉塞された状態となる。
【0088】
図15に示す如く、モータコントローラ39は、太陽電池パドル34が丁度90°だけ回動するまで電動モータ37,38を駆動する。そして、太陽電池パドル34が回動開始から90°回動したとき、前記ストッパの係合が解除されるようになっており、前述したバネの付勢力によって太陽電池パネル36がヒンジ部34aを中心として太陽電池パネル35から離反する方向へ回動することとなる(図16参照)。慣性力により太陽電池パネル36の回動は更に進行し、太陽電池パネル36が180°回動して太陽電池パネル35,36が直線的に並んだ状態となったとき、太陽電池パネル35,36の近接部分に設けられたストッパ(図示せず)が係合するようになっており、これによって太陽電池パネル35,36が直線的に並んだ状態を維持するようになっている。これにより、太陽電池パドル34の展開作業が完了する。
【0089】
このように、軽量なワイヤ37a,38aによって電動モータ37.38と太陽電池パドル34とを接続し、電動モータ37,38を駆動することにより太陽電池パドル34の展開を行う構成としたので、ギヤ等の機構を使用して電動モータ(アクチュエータ)37,38の出力軸の回転運動を太陽電池パドル34に伝達する構成に比して、人工衛星2の大幅な軽量化が可能となる。
【0090】
図17は、本発明の実施の形態に係る人工衛星2の軌道運用時の様子を示す斜視図である。図17に示す如く、太陽電池パドル34の太陽電池セル36bの先端近傍には、太陽センサ41が設けられている。該太陽センサ41は、太陽放射強度に応じた電気信号を出力するようになっており、その出力先が前記モータコントローラ39となっている。更に詳しく太陽センサ41の構成を説明すると、該太陽センサ41には、所謂粗センサ(CSSA;Coarse Sun Senser Assembly)が使用され、このセンサはスリットを通して太陽光を入射させ、この太陽光の入射角のスリットに直交方向の成分のみを計る構成であり、公知のものである。この太陽センサ41は、太陽電池パドル34の受光面とその受光面とが平行となるように配置されている。モータコントローラ39は、太陽センサ41の受光面が太陽に向かうように電動モータ37,38を駆動するようになっており、これによって太陽電池パドル34の受光面が太陽に向くように太陽電池パドル34の展開角度が制御されることとなる。このとき、太陽電池パドル34の受光面を完全に太陽に正対させることが望ましいが、軌道面と太陽光ベクトルとの関係により、完全に正対させる場合は少ないが、可及的に太陽と正対するように前記太陽電池パドル34の展開角度は制御される。そして、太陽電池セル35b,36bは太陽放射及び地球のアルベド(太陽放射の地球反射成分)を受けて発電し、太陽電池セル35b,36bによって得られた電力は、内部機器14に供給されるようになっている。
【0091】
人工衛星2の質量を45kgとした場合、過去の人工衛星の質量と内部機器が使用する電力との関係についての統計結果から、必要電力は約20Wと推定できる。太陽電池セル35b,36bは夜側軌道では発電することができないため、昼側軌道時間と夜側軌道時間とが同一であるとした場合、必要発電量は必要電力の2倍の約40Wとなる。宇宙での使用実績が豊富な太陽電池セルには、高価であるが高効率のガリウム砒素型のものと、安価であるが比較的発電効率が低いシリコン型のものとの2つがある。仮に、太陽電池セル35b,36bとしてシリコン型の太陽電池セルを使用する場合、必要発電量に安全率として2を乗じた値である80Wの発電に必要な受光面面積は約0.6m2となる。本願発明者らの試算の結果、質量が45kgの人工衛星2の太陽電池パドル34の面積は0.9m2程度とすることが可能であるため、シリコン型の太陽電池セルを使用しても必要量の電力を得ることが可能である。
【0092】
また、人工衛星2の軌道投入時には、太陽電池パドル34の展開とともに、必要があれば人工衛星2の内部に収納していたSバンドアンテナ又は重力傾斜ビーム等を展開し(図示せず)、人工衛星2の軌道投入が完了する。
【0093】
図17に示す如く、人工衛星2はノーズ部分2bの先端方向へ進行することとなるが、人工衛星2の周囲の空間には僅かではあるが大気が存在しており、人工衛星2は空気抵抗を受けることとなる。従来の人工衛星のように、人工衛星本体が六面体又は円筒形状をなしている場合には、このような空気抵抗の影響は大きく、人工衛星が減速することとなり、遠心力と重力との均衡が崩れ、人工衛星の高度が低下することとなる。一方、本発明に係る人工衛星2においては、人工衛星本体であるフェアリング6が流線形状をなしているため、従来の人工衛星に比して空気抵抗を受け難く、人工衛星2の空気抵抗による減速が可及的に抑制される。
【0094】
しかしながら、本発明に係る人工衛星2が若干の空気抵抗を受け続けて減速し、高度低下した分については、推力発生装置によって発生した推力により上昇させる必要がある。従来の大型、小型、又はミニ型の人工衛星は、液体燃料を燃焼させる構成又は液体窒素等を噴射させる構成の推力発生装置を使用していた。人工衛星の目標運用寿命として1年以上を設定した場合、人工衛星の高度を維持するためには多くの燃料又は噴射用物質が必要となる。加えてこのような推力発生装置は構成が複雑であり、装置自体のサイズ及び質量が大きい。従って、大型、小型、又はミニ型の人工衛星は機器搭載容積が比較的大きく、かかる従来の推力発生装置を搭載することも比較的容易であるが、本実施の形態に係る人工衛星2の如きマイクロ型又はピコ型の人工衛星は機器搭載容積が小さく、マイクロ型又はピコ型の人工衛星にこれらの推力発生装置を搭載することは容易ではない。
【0095】
そこで、本実施の形態に係る人工衛星は、以下に説明するような推力発生装置を搭載している。図18は、本実施の形態に係る推力発生装置の構成を示す模式的断面図である。図18に示す如く、本実施の形態に係る推力発生装置42は、ケース43,配管44,ノズル45,ヒータ46,開閉弁47,温度センサ48a,48b及び圧力センサ49によって主として構成されている。ケース43は直方体の箱型をなしており、その内部に相変化物質50が収納されている。相変化物質50には、エイコサン等の融点が300K程度と低いものが利用される。
【0096】
ケース43の一面は開口しており、この開口から配管44が延設されている。配管44の終端には略円錐形状に拡径されたノズル45の頂点部分が接続されている。また、配管44の中途部分には開閉弁47が設けられており、該開閉弁47が閉塞されているときには、ケース43及び配管44のケース43との接続箇所から開閉弁47に至るまでの部分が閉空間を構成し、開閉弁47が開放されているときには、ケース43内の空間が配管44及びノズル45を通じて外部に連通することとなる。
【0097】
また、ケース43,配管44及びノズル45の外周面の略全体を覆うように、ヒータ46が設けられている。ヒータ46には電熱線の如き電力を熱に変換する形態のものが使用され、外部から電力の供給を受けることによりケース43,配管44及びノズル45を加熱するようになっている。
【0098】
また、ケース43の内部には温度センサ48a及び圧力センサ49が設けられており、配管44のノズル45と開閉弁47との中途部分にも温度センサ48bが設けられている。
【0099】
次に、本実施の形態に係る推力発生装置42の動作について説明する。人工衛星2に推力が必要であると、人工衛星2に内蔵されたオンボードコンピュータ(図示せず)によって判断された場合には、ヒータ46に外部から電力が供給され、ケース43,配管44及びノズル45が加熱される。ケース43の内部空間の温度は上昇し、相変化物質50の昇華ガス51が発生(増加)して、ケース43の内圧が増大する。圧力センサ49によってケース43の内圧に応じた電気信号がオンボードコンピュータに送信され、該オンボードコンピュータはケース43の内圧が所定値以上になった場合にヒータ46への電力供給を停止し、これと共に開閉弁47を開放させるべく動作制御する。開閉弁47が開放されたときには、ケース43内の昇華ガス51がノズル45から噴射されて、昇華ガス51の噴射方向とは逆向きの推力が発生する。
【0100】
昇華ガス51の噴射後、オンボードコンピュータは温度センサ48a,48bの出力値をモニタし、ケース43,配管44,ノズル45,及び開閉弁47が気体の断熱膨張により所定の低温側許容温度以下に急冷されないように、必要であればヒータ46によってこれらを加熱させる。また、昇華ガス51の噴射後には、オンボードコンピュータが開閉弁47を閉塞させ、更に温度センサ48aの出力値をモニタして、相変化物質50を適切な範囲で温度制御すべく、必要があればヒータ46によってケース43を加熱する。
【0101】
次に、相変化物質50の必要量について試算した結果を説明する。以下の説明では、進行方向から見た断面積が0.7m2の人工衛星2の高度を空気抵抗が比較的大きい高度350kmとした場合について試算した結果を示す。本願発明者の計算によれば、人工衛星の質量を45kgとした場合には、15gの昇華ガス51の噴出によって1日当たりの減速分を打ち消すことが可能である。この場合であって、人工衛星2の運用寿命を100日としたときには、必要な相変化物質50の質量は1.5kgとなる。例えば相変化物質50にエイコサンを使用すると、エイコサンの密度は830kg/m3であるので、ケース43の必要容積は1.8×10-33となり、これは人工衛星2に十分に搭載可能な大きさである。
【0102】
また、本実施の形態に係る推力発生装置42の発生推力は、従来の推力発生装置のそれと比して大幅に小さいものであるが、人工衛星2の質量が高々数十kgであるので、この人工衛星2の高度及び速度を維持するのに使用する分には十分にその目的を達成することができるものである。
【0103】
次に、本実施の形態に係る人工衛星2の軌道運用時における姿勢制御に係る構成について説明する。図19は、本発明の実施の形態に係る人工衛星2のピッチング方向の姿勢制御機構の構成の一例を示す模式的斜視図である。太陽電池パネル35,36の前側端(人工衛星2の進行方向下流側端)には、太陽電池パネル35,36の前端縁に沿って夫々角管状のガイドチューブ52a,52bが設けられており、同様に太陽電池パネル35,36の後側端(人工衛星2の進行方向上流側端)には、太陽電池パネル35,36の後端縁に沿って夫々ガイドチューブ53a,53bが設けられている。図19に示す如く、ガイドチューブ52a,52bは、太陽電池パドル34が展開された状態のときに、直線的に並べられるように構成されており、同様にガイドチューブ53a,53bもまた、太陽電池パドル34が展開された状態のときに直線的に並べられるようになっている。直線的に並べられたガイドチューブ52a,52bの内部には、ワイヤ52cが挿通されており、ワイヤ52cの機内側端は人工衛星2の機内に設けられた電動モータ54の出力軸に取り付けられている。また、ワイヤ52cの機外側端には、ウェイト52dが取り付けられている。
【0104】
同様に、直線的に並べられたガイドチューブ53a,53bの内部には、ワイヤ53cが挿通されており、ワイヤ53cの機内側端は人工衛星2の機内に設けられた電動モータ55の出力軸に取り付けられている。また、ワイヤ53cの機外側端には、ウェイト53dが取り付けられている。
【0105】
電動モータ54,55は、人工衛星2に内蔵されているモータコントローラ(図示せず)に接続されており、該モータコントローラによって動作制御されるように構成されている。図17に示す如く、人工衛星2から地球側へ向けて突出するように、地球センサ56が設けられており、この地球センサ56に前記モータコントローラが接続されている。
【0106】
地球センサ56は、人工衛星2の地球に対するロール角及びピッチ角の夫々に応じた電気信号を出力するようになっており、このうちピッチ角を表す出力信号をモータコントローラが受けて、モータコントローラがワイヤ52c,53cの引き出し長さを調節すべく、電動モータ54,55の動作を制御する。更に具体的には、地球センサ56によって検出された人工衛星のピッチ角が所定の目標のピッチ角(即ち、本実施の形態の場合では0°のピッチ角)に近づくように、例えば比例制御、PI制御、PID制御、又はファジィ制御等の公知の制御方法を用いて電動モータ54,55の回転方向及び回転速度を制御する。ウェイト52d,53dが夫々地球の重力を受けるので、ワイヤ52c,53cは夫々地球側へ垂下することとなる。電動モータ54,55が動作制御されることにより、ワイヤ52cがワイヤ53cよりも長く引き出された場合には、ウェイト52dがウェイト53dよりも地球に近付くこととなる。これにより、ウェイト52dの方がウェイト53dよりも地球からの重力を強く受けることとなり、結果として人工衛星2の重心位置が前方へ移動し、人工衛星2の先端側が地球へ近付き、また後端側が地球から離反するように、人工衛星2のピッチング方向の姿勢制御が行われる。一方、電動モータ54,55が動作制御されて、ワイヤ53cがワイヤ52cよりも長く引き出された場合には、人工衛星2の重心位置が後方へ移動し、人工衛星の先端側が地球から離反し、また後端側が地球へ近付くように、人工衛星2のピッチング方向の姿勢制御が行われる。
【0107】
そして、地球センサ56が常に地球の中心を向くように人工衛星2のピッチング方向の姿勢を維持すべく、電動モータ54,55の動作制御が行われるように構成されている。
【0108】
また、前記ガイドチューブ52a,52b,53a,53bは、太陽電池パドル34の強度部材としても利用され得る。
【0109】
図20は、本発明の実施の形態に係る人工衛星2のピッチング方向の姿勢制御機構の構成の他の例を示す模式的斜視図である。本例においては、図20に示す如く、太陽電池パドル34の人工衛星2の機外側の端縁、即ち太陽電池パネル36のヒンジ部分34aの反対側の端縁に、移動ウェイト57が設けられている。移動ウェイト57は、太陽電池パネル36の該端縁の全長に亘って設けられた固定子58aと走行子58bとを有するリニアモータ58の前記走行子58bに取り付けられており、前記固定子58aに沿って走行子58bと一体的に移動することが可能に構成されている。
【0110】
リニアモータ58は、モータコントローラ(図示せず)に接続されており、地球センサ56からの人工衛星2のピッチ角に係る出力信号に応じてモータコントローラがリニアモータ58の動作制御を行うようになっている。ここでも前述の如き公知の制御方法により、リニアモータ58の動作制御を行う構成としている。そして、移動ウェイト57が人工衛星2の前後方向へ移動することにより、人工衛星2の重心位置が移動し、これによって人工衛星2のピッチング方向の姿勢制御が行われるように構成されている。
【0111】
なお、フェアリング6の内部に前後方向へ移動することが可能な移動ウェイトを設ける構成としてもよい。
【0112】
また、人工衛星2のローリング方向の姿勢制御は、モータコントローラ39が電動モータ37,38の動作制御を行うことによる、太陽電池パドル34の展開角度調節によって行われる。具体的には、地球センサ56からの人工衛星2のロール角を表す出力信号をモータコントローラ39が受け、このモータコントローラ39が、検出された人工衛星2のロール角を所定の目標ロール角(本実施の形態の場合では0°のロール角)に近づけるように、例えば比例制御、PI制御、PID制御、又はファジィ制御等の公知の制御方法を用いて電動モータ37,38の回転方向及び回転速度を制御する。このとき、人工衛星2が地球の中心に対して傾いてる方向の逆側へ太陽電池パドル34を傾け、これによって人工衛星2の横方向の重心位置を移動させ、結果的にロール角を0°に近づける方向へ人工衛星2を傾けることにより、人工衛星2のローリング方向の姿勢制御を行う。
【0113】
更に、人工衛星2の軌道運用中において、前記モータコントローラ39が電動モータ37,38の動作制御を行うことにより、太陽電池パドル34の受光面が太陽に向くように太陽電池パドル34の展開角度が制御される。これにより、太陽電池パドル34を単独で動作させて、その受光面を太陽に向けることができ、従来のように太陽電池パドルの受光面を太陽に向けるために人工衛星自体の姿勢制御を行う必要がない。
【0114】
【発明の効果】
本発明に係る高速飛翔体及びこれに使用されるフェアリングによる場合は、従来のようにフェアリングと頭部本体(人工衛星、観測装置等)とを別個に構成する場合に比して、従来廃棄していたフェアリングを人工衛星等の高速飛翔体の頭部の外殻の一部として使用するため、人工衛星等の頭部を別個に設けられたフェアリングに収納する必要がなく、従って頭部全体の質量を軽減化することができ、従来の人工衛星打ち上げ用のロケットに比して高速飛翔体全体を大幅に小型化及び軽量化することが可能となる。また、フェアリングを前記頭部の外殻として使用することにより、人工衛星等たる前記頭部の構造部分を前記フェアリングで兼用することができるため、別途強度部材等の構造部分を設ける必要がなく、人工衛星自体を軽量化することが可能となる。
【0115】
また、このように小型且つ軽量な高速飛翔体を構成することにより、該高速飛翔体の打ち上げ用燃料の量を大幅に低減することができる。
【0116】
また、高速飛翔体を小型且つ軽量に構成することができるため、高速飛翔体の開発、製造、及び打ち上げに係るコストを従来に比して大幅に低減することができ、よってピコ型又はマイクロ型の人工衛星の打ち上げ専用にこれを使用することができる。
【0117】
また、人工衛星だけでなく、ロケット等の高速飛翔体に搭載され、高空にて該高速飛翔体から離脱され、離脱直後から重力により地上に落下し、落下途中で各種の地球環境観測等に使用される観測装置の打ち上げ専用にも、当該高速飛翔体を使用することができる。
【0118】
更に、かかる高速飛翔体は、従来に比して大幅に小型且つ軽量であるため、従来の人工衛星打ち上げ用の3段以上の多段型ロケットに比して飛翔速度が大幅に高速となり、前記フェアリングが空力加熱に晒されることとなるが、該フェアリングを空力加熱に対する耐熱構造を具備する構成としたので、高速飛翔することによる過酷な飛翔環境下においても、フェアリング内部の機器及び部品を空力加熱によって破損させることなく確実に目的の高度まで移送することができる。
【0119】
また、本発明に係るフェアリングの製造方法においては、アブレータ層が露出されたフェアリング材料に対して、マスキング部によって塗布しない部分を確保した状態で白色系等の低い太陽光吸収率を有する耐熱性塗料を塗布することができ、容易且つ確実に、通気孔が設けられた低太陽光吸収率層を有するフェアリングを製造することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る2段型ロケットの全体構成を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る人工衛星の構成の概略を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るアブレータ層の構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る2段型ロケットの飛翔時におけるフェアリングの表面温度、金属シート層の温度、及び内部機器の温度の推移を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の形態に係る低太陽光吸収率層の構成を示すフェアリングの部分斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るフェアリングの模式的部分断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るフェアリングの塗装の前工程の一例を説明する模式図であり、(a)はその第1段階を、(b)はその第2段階を、(c)はその第3段階を、(d)はその第4段階を夫々示す模式図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るフェアリングの塗装の前工程の他の例を説明する模式図であり、(a)はその第1段階を、(b)はその第2段階を夫々示す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る電磁石の構成を示す部分断面図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る塗料供給装置の構成を示す部分斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る塗料噴射チューブの構成を示す模式的側面図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るアブレータ層の空力加熱を受けたときの状態を説明する模式的断面図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る人工衛星の構成を示すシュラウド部分における横断面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る太陽電池パドルの構成を示す断面図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る太陽電池パドルの展開の流れを説明するための模式図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る太陽電池パドルの展開の流れを説明するための模式図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る人工衛星の軌道運用時の様子を示す斜視図である。
【図18】本発明の実施の形態に係る推力発生装置の構成を示す模式的断面図である。
【図19】本発明の実施の形態に係る人工衛星のピッチング方向の姿勢制御機構の構成の一例を示す模式的斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態に係る人工衛星のピッチング方向の姿勢制御機構の構成の他の例を示す模式的斜視図である。
【符号の説明】
1 2段型ロケット
2 人工衛星
2a シュラウド部分
2b ノーズ部分
3 第1段固体モータ
4 第2段固体モータ
5 段間部
6 フェアリング
6a 淀み点部
7 低太陽光吸収率層
8 アブレータ層
8a 熱防御層
8b 構造層
8c カーボン繊維
9 断熱層
10 金属シート層
11〜13 機器搭載パネル
14 内部機器
15 通気孔
16 フェアリング材料
17 シール材
17a マスキング
18 雌型冶具
18a 孔
19 雄型冶具
19a 突起
20 電磁石
21 本体部分
22,23 ハニカム構造部分
24 塗料供給装置
25 本体部分
26 塗料噴射チューブ
27 支柱
28 内部空間
29 マスキング部
30 ノズル
32 マスキング部
33 欠落部分
34 太陽電池パドル
34a ヒンジ部
34b 屈曲部分
35,36 太陽電池パネル
35a,36a セル取付板
35b,36b 太陽電池セル
35c ラジエータ
35d 枢軸
36c 熱防御板
37,38 電動モータ
37a,38a ワイヤ
39 モータコントローラ
40 加速度センサ
41 太陽センサ
42 推力発生装置
43 ケース
44 配管
45 ノズル
46 ヒータ
47 開閉弁
48a,48b 温度センサ
49 圧力センサ
50 相変化物質
51 昇華ガス
52a,52b,53a,53b ガイドチューブ
52c,53c ワイヤ
52d,53d ウェイト
54,55 電動モータ
56 地球センサ
57 移動ウェイト
58 リニアモータ
58a 固定子
58b 走行子

Claims (8)

  1. 宇宙航行体が備える推進ノズルから圧力ガスを噴射することによって前記宇宙航行体の推力を得る推力発生方法において、
    固相状態の昇華物質を収容する容器内で該固相状態の昇華物質を加熱し、加熱して昇華した圧力ガスを前記推進ノズルから噴射することによって前記宇宙航行体の推力を得ることを特徴とする推力発生方法。
  2. 宇宙航行体が備える推進ノズルから圧力ガスを噴射することによって前記宇宙航行体の推力を得る推力発生装置において、
    固相状態の昇華物質を収容する容器と、
    該容器内の前記昇華物質を加熱する第1のヒータと
    を備え、
    前記第1のヒータにより加熱され、昇華した圧力ガスを前記推進ノズルから噴射することによって前記宇宙航行体の推力を得るように構成してあることを特徴とする推力発生装置。
  3. 前記容器内の圧力を検出する圧力検出器と、
    前記容器と前記推進ノズルとの間における前記圧力ガスの通流経路に設けられたバルブと
    を更に備え、
    前記第1のヒータにより過熱されて上昇する前記容器内の圧力が所定の圧力に達したことを前記圧力検出器が検出した場合に、前記バルブを開くように構成してあることを特徴とする請求項2に記載の推力発生装置。
  4. 前記推進ノズル及び前記通流経路の少なくとも一方の温度を検出する温度検出器と、
    前記推進ノズル及び前記ガスの通流経路の少なくとも一方を加熱する第2のヒータと
    を更に備え、
    前記通流経路を通じて前記推進ノズルから前記圧力ガスが噴射される際の断熱膨張で低下する前記推進ノズル又は前記通流経路の温度が所定の温度以下になったことを前記温度検出器が検出した場合に、前記第2のヒータを作動するように構成してあることを特徴とする請求項3に記載の推力発生装置。
  5. 前記昇華物質は、沸点が約300Kであることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の推力発生装置。
  6. 前記昇華物質は、エイコサンであることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載の推力発生装置。
  7. 前記容器は、非耐圧容器であることを特徴とする請求項2乃至6の何れかに記載の推力発生装置。
  8. 前記宇宙航行体は、人工衛星であることを特徴とする請求項2乃至7の何れかに記載の推力発生装置。
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