JP2004190269A - スライムの中性固化方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高圧噴射注入工法の施工に伴い副次的に地表に排出されるスライムを短時間かつ安価に中性固化する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、高圧噴射注入工法の施工に伴い副次的に地表に排出されるアルカリ性スライムの中性固化方法であって、上記スライムをポンプで吸い上げ、圧送配管中を連続的に圧送する工程と、上記圧送中のスライムに酸化剤を注入する工程と、上記酸化剤とスライムとを混合攪拌し両者間の中和反応を完結させる工程と、上記圧送配管排出端から排出される中和処理後のスライムを中性固化材と混練して固化する工程とを有することを特徴とする。
本発明の方法によれば、圧送配管内で中和処理反応を完結させることができ、中性固化により得られる改良土の局所的pHのばらつきを抑制することが可能となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルカリ性泥土、特に高圧噴射注入工法を施工することにより発生するアルカリ性を呈するスライムの中性固化方法、より具体的には、圧送配管中を圧送されるスライムを該配管内で酸化剤を加えて撹拌混合しながら中和した後に、該中和処理後のスライムを中性固化材を用いて固化し、短時間のうちに必要とされる性状を備えた改良土を得る中性固化方法に関する。
【従来の技術】
わが国は、国土面積が狭い上に平地部が少ない。また、その平地部は軟弱地盤を形成していることが多く、一般に地下水位が高い。地盤条件の良好なところはすでに開発されており、新たに構造物の建設工事を始めようとするところは、地盤改良工事を必要とするところが多い。このような地盤改良工法の一つに、高圧噴射注入工法(高圧噴射撹拌工法、ジェットコラム工法とも呼ばれる)があり、かかる工法は多くの建設工事に用いられている(非特許文献1参照)。
【0002】
かかる工法は、深層地盤の地盤改良を目的とするものであり、セメントと水とを混合して混練したセメントミルクを、地中を回転しているパイプに導入し、高圧で噴射し、地盤を改良する工法であり、大きく2種類に大別される。その一つは、圧縮空気を伴った超高圧のセメントミルクを、地盤中に回転しながら噴射して、地盤を切削すると同時に、掘削に伴って発生する掘削土とセメントミルク等が混合されたスライムを地表に排出し、円柱状のパイル(硬化体)を造成するJSG工法といわれる工法であり、もう一つは、圧縮空気を伴った超高圧水を地盤中に回転して噴射させ地盤を切削し、そのスライムを地表に排出させるとともにセメントミルクを同時充填し、JSG工法より硬化体径の大きい円柱状のパイルを造成するコラムジェットグラウト工法である。この地表に排出されたスライムは、地表に設けられたスライムピット内に一旦溜められる。
【0003】
このスライムは、非常に高い含水率を有し流動性を示すことから、そのままではダンプカーやトラック等による輸送が困難であるとともに、上記のようにセメントミルクと泥土との混合物であり、強アルカリ性を呈するため、そのままでは植生に適さず、またアルカリ性の水が地下に浸透し、地下水を汚染することになる。そのため、スライムは、産業廃棄物として最終処分場に投棄しなければならないこととされており、従来よりスライムをスラリーポンプ等によってタンク車にくみ上げ、一旦上記スライムを中間処理場に輸送し、当該地で数日間放置し、ある程度の水切り又は脱水処理を行い、含水率を低下させた上で産業廃棄物として最終処分場に投棄されてきた。
【0004】
近年最終処分場の逼迫等の事情から、このような中間処理場に運ばれたスライムに中和(中性化)処理を施し、無害化して他の用途、例えば埋め戻し土、盛土、客土等として利用することが行われている(特許文献1参照)。この中和処理には、硫酸、燐酸等の鉱酸、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物、硫酸第一鉄等の酸化剤をスライム上に撒布し、土木建設機械を用いて混合する方法が行われている(特許文献2参照)。また、中性固化材と上記酸化剤の混合物を予め調製しておき、上記の中間処理場において該混合物をスライム上に撒布し、撹拌混合することにより、水切り等の時間をかけずに短時間でスライムの処理を行う方法も提案されている(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−256157号公報
【特許文献2】
特開2000−119651号公報
【特許文献3】
特開2002−1397号公報
【非特許文献1】
日本材料学会 土質安定材料委員会編「地盤改良工法便覧」、第447頁〜第463頁
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような酸化剤を撒布し、土木建設機械によりスライムと混合する場合、混合直後のスライムには、局所的に上記中和反応の未反応部分が生じるという問題があった。特に、中性固化材と粉末酸化剤との混合物をスライムと混合する場合には、この未反応部分が顕著に残存し長期にわたりアルカリ性を呈し、上記したような環境へ悪影響を及ぼすことから、大きな問題となっていた。
【0007】
また、高圧噴射注入工法の施工地において発生したスライムを従来の技術で中和、固化処理する場合、スライムを輸送した後に中和処理を施し、再利用可能な改良土とするために該中和処理物に固化材を混合して処理を行う必要があり、3段階の工程を経なければならないため、中性固化処理が完了するまでにかなりの長時間を要するのみならず、中和処理のための混合にもかなりの長時間を要していた。一方、粉末酸化剤と中性固化材との混合物をスライムに添加する方法では、1工程短縮できる点では優れるが、上記のような局所的な未反応部分が残存しやすいため中和反応をほぼ完結するにはかなりの長時間を要し、大量のスライムの連続処理には適さないという問題があった。
【0008】
更に、中間処理場までスライムを搬送するのに1台のタンク車をリースし、稼働させるのにかなりの費用がかかるにも拘わらず、一度に搬送可能なスライム量も限られているため、大量のスライムの処理には複数台のタンク車を稼働させなければならず、多額の費用がかかるという問題があった。そして、上記のような高含水のスライム上に撒布し、混合して中和するには、バックホー等の土木建設機械を使用しなければならず、このような土木建設機械をリースし、稼働させるのにも多額の費用がかかるという問題があった。
【0009】
また、中間処理場でスライム上に酸化剤を撒布、混合する方法では、スライムとの十分な混合を期待して中和に要する理論当量よりも多量に酸化剤を添加するのが一般的であり、必要以上に酸化剤のコストがかかるという問題があった。
【0010】
本発明者らは、かる事情に鑑み、スライムの輸送や中性固化、特にその効率的な処理について検討を重ね、圧送配管中のスライムの挙動から一定の条件にて該圧送配管内で中和処理反応をほぼ完結させることができ、輸送や中性固化処理にタンク車や土木建設機械を用いる従来技術の問題点を解決できるとの知見を得て、本発明を完成したものである。
【0011】
従って、本発明の目的は、スライムの輸送中にスライム中のアルカリ成分であるセメントの中和(中性化)処理をほぼ完結させることにより、中和反応の未反応部分の局所的な残存を防止するとともに、タンク車や土木建設機械等を使用することなく短時間且つ安価にスライムを中性固化処理する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、高圧噴射注入工法の施工に伴い副次的に地表に排出されるアルカリ性スライムの中性固化方法であって、上記スライムをポンプで吸い上げ、圧送配管中を連続的に圧送する工程と、上記圧送中のスライムに酸化剤を注入する工程と、上記酸化剤とスライムとを混合攪拌し両者間の中和反応を完結させる工程と、上記圧送配管排出端から排出される中和処理後のスライムを中性固化材と混練して固化する工程とを有することを特徴とするスライムの中性固化方法である。
【0012】
本発明におけるスライムの中性固化方法(以下、本発明という)では、高含水のスライムをポンプで吸い上げ、該ポンプ吐出口に接続された圧送配管内を連続的に圧送し、圧送配管内のスライムの流れを連続した乱流の状態に維持することで、上記圧送配管内でスライムが剪断力を受け、十分に混合攪拌される。このような剪断力によりスライムが十分な混合攪拌作用を受ける条件下において、該スライムの流れに液体又は懸濁液の状態で酸化剤を注入することで、該酸化剤とスライムとの間の中和反応を促進させるとともに、上記中和反応を完結させるものである。
【0013】
これにより、スライム中のアルカリ成分、即ち未反応成分の残存を無くし、スライムの圧送と中和処理を同時に行えることから、スライムの中性固化処理に要する時間を短縮することができる。また、大型の土木建設機械を用いる必要がなく、pHを連続的に計測し、これにより酸化剤流量をフィードバック制御することにより、酸化剤の使用量を理論当量に近づけることができ、酸化剤コストを安価にすることができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明におけるスライムとは、前記の通り高圧噴射注入工法の施工に伴い副次的に地表に排出される高含水のセメントと泥土との混合物であり、pH12程度の強アルカリ性を呈するものである。その成分は、施工地の地質や使用される固化材若しくは施工条件等により異なるが、セメント分、土砂分、水分に大別すると、凡そセメント分が10〜20重量%、土砂分が40〜50重量%、残りが水分であり、30〜50重量%程度となる。本発明は、この高含水のスライム中のセメント成分を酸化剤を用いて中和処理した後に、当該中和処理後のスライムを中性固化材を用いて固化処理することにより、最終的に埋め戻し土や盛土として再使用可能な改良土を得ようとするものである。
[スライムをポンプで吸上げ、圧送配管内を連続的に圧送する工程]
本発明においては、先ずスライムをポンプで吸上げ、圧送配管内を連続的に圧送する。
【0015】
本発明において使用することができるポンプとしては、上記のスライムや汚泥、高含水土壌等の輸送に適したものであれば、いずれの種類であってもよい。例えば、サンドポンプ、プランジャーポンプ、超高圧スラリーポンプ等を使用することができる。その揚泥能力については、施工地の土質や後述するスライムの圧送中の流速や圧送距離等を考慮して適宜決定することができる。
【0016】
また、圧送配管としては、高圧に耐え、且つ耐酸性を有するもの、例えば、高圧ゴムホースやステンレス鋼管等を使用することができる。その配管径は、上記したスライム圧送用ポンプの揚泥能力、処理量、スライム中の土砂の粒径やその流速等を考慮して、適宜決定することができる。その圧送配管は、略水平かつ直線的に敷設されることが望ましいが、配管内のスライムの圧送に支障がない程度に鉛直方向、水平方向に曲管部を設けることができる。上記したゴムホースを使用するような場合には、該ゴムホースには、地表面の地形に合わせて多少の起伏や蛇行があっても構わない。また、スライムの圧送距離は、後述する酸化剤注入後の酸化剤とスライムとの間の撹拌混合に必要な距離が確保できさえすれば、任意に設定することができる。
【0017】
上記圧送配管中を圧送されるスライムの流速としては、圧送配管内での乱流効果による十分な混合攪拌が得られる条件であれば、特に限定されない。この混合物が圧送配管内で乱流状態を維持するためには、該管内を圧送されるスライムの流速が重要な因子であり、過度にこの流速が低下すると、上記混合物の流れは乱流状態から層流状態に遷移することになり、上記したような混合攪拌が行われず望ましくない。このことは、スライムの圧送に要する時間も大きく伸びることを意味する。また、この圧送配管中のスライムの流速は、ポンプの揚泥能力のみならず、スライムの含水比、スライム中の泥土の性状等によっても影響を受けるため、ある程度の安全を見込んだ範囲に設定する必要がある。具体的には、圧送配管内のスライムの流速は、凡そ2m/秒以上を目安とすることが好ましい。
【0018】
かかる圧送配管内の流速を直接測定することは、被測定物が上記したようなスライムでは困難なため、圧送距離および/又は圧送時間で規定する方が便利である。このような観点から、本発明における中性固化方法においては、圧送距離は20m以上に設定することができる。また、圧送時間は、10秒以上となるように、スライムの流速を設定することができる。圧送配管内のスライムの流れが乱流状態であれば、上記の圧送距離、圧送時間の双方を上記設定範囲に設定しないまでも、これらのいずれかを上記各設定範囲に設定することにより、上記スライムは十分な混合攪拌作用を受けることになる。
【0019】
また、スライムの土質等によっては、圧送配管内の圧力損失が過大となり、ポンプが圧送しきれず、高負荷となることがある。この場合、ポンプ後の圧送配管にはスライムの流れ方向に略並行に圧縮空気の吹き込み口を少なくとも1箇所設け、輸送中のスライム内に適当量圧縮空気を吹き込むことができる。この圧縮空気の圧力については特に限定されず、通常土木建設現場で使用されるコンプレッサー圧力程度であればよい。この圧縮空気の吹き込みにより、圧送配管中のスライムの圧送を助け、ポンプの負荷を下げることができる。
[圧送中のスライムに酸化剤を注入し、中和反応を生ぜしめる工程]
本発明における圧送中のスライムに酸化剤を注入し、スライム中のセメント分と酸化剤との間で中和反応を生ぜしめる工程について説明する。
【0020】
本発明で使用することができる酸化剤としては、硫酸、硝酸、過酸化水素、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸又はこれらの水溶性塩類を使用することができるが、その入手しやすさ、価格等の点から硫酸が特に好ましい。これらの酸化剤は、液状であればそのまま又は水に希釈して使用することができ、粉粒状の固体の場合には、水に溶解するか又は懸濁させた状態で使用することができる。このような液体又は懸濁液の状態での酸化剤の濃度は、50〜100%とするのがよい。上記範囲未満では、液状等とした酸化剤の添加量が増加し、所定の性状を示す改良土を得るために後続する固化処理工程での固化剤使用量が増し経済的でない。また、酸化剤のスライムに対する添加量は、好ましくは最終的に得られる改良土のpHが5.8〜8.6の範囲とするのに必要な量であるが、上記した組成のスライムに対しては、酸化剤の濃度によりスライム100重量部当たり約5〜15重量部程度となる。
【0021】
かかる酸化剤注入口は、圧送配管内への酸化剤注入後圧送配管排出端から排出されるまでの間に圧送配管内における乱流効果によりスライムと上記酸化剤とが十分に混合攪拌されるような位置に少なくとも1箇所配置する。具体的には、上記したように圧送配管内におけるスライムの流れを乱流状態に維持しつつ、圧送距離20m以上及び/又は圧送時間10秒以上が確保できるような位置に上記注入口を設ける。例えば、圧送土量から求めた圧送配管内のスライムの流速が2m/秒である場合、その排出端から少なくとも圧送距離にして20m以上若しくは圧送時間にして10秒以上を確保できる位置、又はこれらの両条件を満足する位置に任意に酸化剤注入口を設けることができる。実際には、この場合この酸化剤注入口は、上記圧送配管のポンプ側の一端から上記排出口上流側20mまでの位置又は酸化剤注入後の圧送時間10秒以上を確保できる位置に任意に設けることができる。また、この注入口は、上記範囲に複数箇所配置し、これら複数の注入口から酸化剤を分割して注入することもできる。一方、酸化剤注入後の圧送距離が上記設定範囲内にない場合、又は酸化剤注入後の圧送時間が上記設定範囲にない場合には、スライムを十分に混合攪拌することができず、中和反応が不十分となり未反応のアルカリ成分や酸化剤が残留することになる。
【0022】
尚、本発明では、例えばスライムの圧送距離が長い場合等に対応して、スライムの圧送ルートに一定間隔に揚泥ポンプを直列に配置し、これらの各ポンプを上記圧送配管で接続し、該圧送配管内における流れを乱流状態を維持しつつスライムを圧送しながら中和処理を行うこともできる。また、本発明では、上記のような揚泥ポンプの代わりに、又は該ポンプと併用して少なくとも1基の混合機を設置し、スライムに対して圧送配管及び混合機による2段階の混合攪拌を行うことができる。
[中和処理後のスライムと中性固化材との混合工程]
次に、本発明のスライムの中性固化方法におけるスライムと中性固化材とを混合して固化処理を行う工程について説明する。
【0023】
この混合工程では、上記圧送配管から排出された一定量のスライムを該スライムに対して所定量の中性固化材とともに、混合装置に投入してバッチ方式で混合を行ってもよいが、多量のスライムを処理する場合には、スライムを連続的に投入して中性固化材と混合することができることが好ましい。従って、本発明における混合装置としては、土木建設業界で慣用されている混合装置、例えばモルタルミキサーや二軸ミキサーといった装置を使用することができるが、スライム発生量が多い場合には、特にこれらのうち連続混合運転に適した構造のものであるのが好ましい。
【0024】
中性固化材としては、石膏系土壌固化材を使用することができる。この石膏系土壌固化材は、半水石膏又は無水石膏のいずれか1種又はこれらの混合物を主材とするものである。また、この石膏系土壌固化材には、二水石膏を含んでいてもよい。更に、この石膏系土壌固化材は、半水石膏等の凝結調整剤、減水剤、空気連行剤等の薬剤、ガラス繊維、紙繊維等の繊維状物質や紙片等を含んだものであっても問題なく使用することができる。ここで、半水石膏及び無水石膏は、二水石膏としての燐酸石膏、排脱石膏、中和石膏、チタン石膏等の化学石膏、天然石膏、石膏模型廃材や石膏ボード廃材の粉砕品を単独で又は組み合わせて焼成して得られたものであり、この焼成温度を変化させることにより、半水石膏又は無水石膏単味又は種々の混合比率の半水石膏、無水石膏の混合物を得ることができるものである。また、半水石膏としては、α型若しくはβ型のいずれか1種又はこれらの混合物を使用することができる。また、天然に産出される無水石膏や化学工場等において無水石膏の形態で副産されるものを上記半水石膏に混合したものであってもよく、これらはいずれも本発明における中性固化材として使用することができる。尚、二水石膏の焼成は、慣用されている窯、ロータリーキルン、気流焼成器、オートクレーブ等を用いて行うことができる。
【0025】
上記中性固化方法材の添加量は、スライム1m当たり80〜200kg、好ましくは100〜180kgとし、スライムの含水率に応じてこの範囲で可変して添加、混合するのがよい。
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に具体的に図面を参照して説明する。図1は、本実施例に係る中性固化方法を実施するためのシステムの概念図を示す。
[実施例1]
高圧噴射注入工法の施工において、ボーリング機1を設置し、直径4m、深さ20mのパイルを造成することとした。上記ボーリング機1のロッドを地中20mの深さ(目標深度)に削孔、貫入した上で、セメントミルクを400kg/cm2の圧力で上記貫入孔内に伸びるパイプに流量600L/分で導入、地中に噴射し、パイル(固結体)の造成を試みた。尚、使用したセメントミルクは、特殊セメント(住友大阪セメント製)550重量部及び水822重量部を混合して調製した。また、この高圧噴射注入工法の施工に伴い、地表に排出されたスライムは、以下のように一定の性状を示した。
【0026】
組成 セメントミルク:泥土=50:100
含水比 100%
密度 1.3〜1.5t/m3
pH 12.1
ここで、含水比とはスライム中の土粒子等の固体粒子の乾燥重量に対する水の重量の比を百分率で表示したものであり、110℃の恒温乾燥炉中で24時間放置することによる減量分をスライムの乾燥重量で除して求めた。
【0027】
スライムの吸上げ用に超高圧スラリーポンプ2を使用し、該スラリーポンプ(圧送能力780L/分、吐出口径4インチ)2の吐出口に内径4インチの高圧ゴムホース(長さ50m)3を接続し、スライムを連続的に圧送することとした。また、上記高圧ゴムホース3の上記ポンプ吐出端31より2mの位置に圧縮空気の吹き込み口4を設け、必要に応じて圧縮空気をホース内のスライム流れ方向に向かって圧入することができるようにした。また、上記高圧ゴムホース3の上記スラリーポンプ吐出口31から約30mの位置に酸化剤としての硫酸の注入口5を設置し、硫酸貯蔵タンク51より注入経路52より注入するようにした。更に、高圧ゴムホース3の排出端32の上流側1mの位置に連続測定用pHメーター6を設置し、スライムのpHを連続的に計測することができるようにした。また、制御装置7設け、このpH計測信号により、スライムpH調節計6を介して硫酸注入経路5に設置された電磁バルブ53の開度を制御することができるようにした。このpH調節計6では、スライムpHの目標値を7〜8.5の範囲に設定し、スライムpHがこの範囲に入るように硫酸注入量を制御するようにした。なお、図中55は酸化剤の注入箇所を2箇所にする場合の注入経路を示し、制御装置7により電磁バルブ56を制御して注入できるようにしている。
【0028】
実際には、この流量制御によりスライム100重量部当たり希硫酸10.2重量部注入していた。尚、硫酸としては、70%濃度の工業用硫酸を用いた。
【0029】
中和処理後のスライムのpHは、上記圧送配管の排出口より処理後のスライムが排出されるようになってから、該排出口より10分間隔に1kgずつ、計30個のpH測定用資料を採取した。
【0030】
次に、高圧ゴムホース3の排出端32から排出される中和処理後のスライムをホッパー付二軸ミキサー8で連続的に受け、半水石膏計量用ベルトスケールから該スライム1m当たり100kgの割合で半水石膏を上記二軸ミキサー8内に投入し、混合した。この固化処理後のスライムは、予め上記二軸ミキサー8に隣接した地表面に野積みし、ショベルローダーで地表より0.5mの高さの堆積層となるように均した。その堆積層から固化処理後の土を採取し、コーン指数測定用モールド(内径100mm、高さ127.3mmの円筒形)内に3層に分けてランマー(25kg)を用いて各層ごとに30cmの高さから25回突き固めて充填した。
【0031】
この結果、圧縮空気の吹き込みを行うことなく、ほぼ上記ポンプの揚泥能力通りにスライムを圧送することができ(圧送土量実測値760L/分)、圧送配管内のスライムの流速は1.6m/秒、酸化剤注入後の撹拌混合時間は、12.5秒となった。
【0032】
また、コーン指数は、ポータブルコーンペネトロメータを用いて24時間経過後のモールドについて測定した。その結果、コーン指数420kN/mを得た。
【0033】
pH平均値は、pH7.5、標準偏差0.30であった。
[比較例1]
実施例1の高圧噴射注入工法の施工により造成したパイルに近接して、実施例1と同様の条件にて高圧噴射注入工法の施工を行い、同様のパイルを造成することとした。このスライムの圧送に30mの高圧ゴムホースを使用し、実施例1と同様に高圧スラリーポンプ吐出端より20mの距離に酸化剤注入口を設け、酸化剤注入後の有効距離を10mとした以外は、実施例1と同様にスライムの中性固化処理を行った。pH及びコーン指数の測定も、実施例1と同様に行った。地表に排出されたスライムの性状は、実施例1と同様であり、圧送土量は実施例1と同様760L/分であった。従って、この圧送土量より求めた圧送配管内のスライム流速は、実施例1と同様に1.6m/秒となった。
【0034】
この結果、pH平均値は、pH7.5、標準偏差0.52であり、コーン指数は、430kN/mであった。
[比較例2]
比較例1の高圧噴射注入工法の施工により造成したパイルに近接して、実施例1と同様の条件にて高圧噴射注入工法の施工を行った。地表に排出されたスライムをショベルローダーで搬送し、地表面にスライムを野積みし、適当な層高さとなるように均した。このスライム堆積層の上に実施例1と同様の工業用硫酸をスライム100重量部当たり12.5重量部の割合で撒布した後、上記ショベルローダ−で十分に混合した。この時点で、上記均し作業後の堆積層よりランダムに30個のpH測定用試料を採取した。更に、実施例1と同様の添加量となるように半水石膏をこの堆積層上に撒布して、ショベルローダーで更に30分間混合した。こうして固化処理の修了したスライムについて、実施例1と同様に、コーン指数の測定を行った。
【0035】
その結果、pH7.8(平均値)、標準偏差1.13、コーン指数410kN/mとなった。
【0036】
以上の結果から、本発明において圧送配管内のスライム流速及び酸化剤注入後の撹拌混合時間を上記範囲とすることで、pHの標準偏差は小さくなることが明らかである。また、本発明を用いることにより、撒布、混合する従来技術と比較して、pH平均値及びコーン指数に大きな差は認められないが、pH標準偏差が約1/4となっており、従来技術を用いた場合よりも局所的なpHのばらつきは著しく減少し、未反応成分の残留量が著しく減少していることがわかる。また、本発明では、従来の撒布、混合による方法と比較して同様のpH値を得るためには工業用硫酸を約2割低減させることができることが分かる。
【発明の効果】
本発明のスライムの中性固化方法によると、圧送配管内を圧送されるスライムへ酸化剤を注入した後の混合を十分に行わせる条件を維持することにより、スライム中のセメント分と酸化剤との間の中和反応を従来よりも短時間でほぼ完結させることができ、中和処理後のスライムpHの標準偏差(局所的なpHのばらつき)を小さくすることができる。
【0037】
また、従来の酸化剤撒布、混合による中性固化方法と比較しても、大型の土木建設機械を稼働させることなく、得られる改良土の局所的なpHのばらつきを著しく低減させることができるとともに、酸化剤のスライムへの添加量も低減することができるため、酸化剤のコストを適正額に抑えることができ、その分安価な中和固化処理が可能となる。
【0038】
尚、本発明のスライムの中性固化方法は、更に石灰安定処理工法や深層混合処理工法等により発生する建設汚泥のようなpHが8.6以上の汚泥にも適用することができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるスライムの中性固化方法を説明するためのシステム図である。
【符号の説明】
1 ボーリング機
2 スラリーポンプ
3 高圧ゴムホース
4 圧縮空気吹き込み口
5 硫酸注入口
6 pHメーター
7 制御装置
8 二軸混合機

Claims (5)

  1. 高圧噴射注入工法の施工に伴い副次的に地表に排出されるアルカリ性スライムの中性固化方法であって、
    上記スライムをポンプで吸い上げ、圧送配管中を連続的に圧送する工程と、上記圧送中のスライムに酸化剤を注入する工程と、上記酸化剤とスライムとを混合攪拌し両者間の中和反応を完結させる工程と、上記圧送配管排出端から排出される中和処理後のスライムを中性固化材と混練して固化する工程とを有することを特徴とするスライムの中性固化方法。
  2. 上記酸化剤とスライムとを混合攪拌させる工程が、上記圧送配管中において連続的に両者の中和反応を完結させるのに必要な圧送距離及び/又は圧送時間を経て行われる請求項1に記載のスライムの中性固化方法。
  3. 上記圧送距離が、20m以上である請求項2記載のスライムの中性固化方法。
  4. 上記圧送時間が、10秒以上である請求項2記載のスライムの中性固化方法。
  5. 上記圧送配管排出端近傍にpH計を設置し、圧送される中和処理後のスライムのpHを連続的に計測する工程と、該計測信号に基づいて酸化剤注入量をフィードバック制御する工程とを更に含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のスライムの中性固化方法。
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