JP2004189924A - 水溶性ポリウロン酸 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重量平均分子量が30,000、好ましくは50,000以上であり、D−グルクロン酸(或いはD−グルクロン酸のアルカリ金属塩)が、多数α−(1,4)−結合した、構造が明確、均一かつ高分子量で水溶性が良好なポリウロン酸である。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高分子量で構造が均一な水溶性ポリウロン酸の提供に関する。
【0002】
【従来の技術】
天然に存在するウロン酸としては、グルクロン酸、マンヌロン酸、ガラクツロン酸が主であり、ペクチンやアルギン酸等として植物の構造多糖類として存在したり、また動物体内にも存在し、生理的な重要な機能も果たしている。前記したペクチンは、主にα−D−ガラクツロン酸からなるポリウロン酸であり、アルギン酸はβ−(1,4)−D−マンヌロン酸とα−(1,4)−L−グルロン酸からなるポリウロン酸である。これらは、食品添加物、増粘剤、安定剤等として工業的に利用されている。
【0003】
また最近では、ポリウロン酸の安全性、生分解性、生体適合性、及びその生理的な機能など機能性を生かして、さらに、化学的・物理的修飾、誘導体化、他材料との複合化等、二次修飾することにより、高機能な新規材料を開発しようという検討も行われている。しかし、前記の天然に存在するポリウロン酸類は、殆どがヘテロ多糖類であり、不均一な構造ゆえに、機能に影響する化学構造の解析や、材料設計、及び材料物性の制御が困難であり、このような検討原料としては好ましくない。
【0004】
一方で安価なでんぷんやセルロース等の多糖類を酸化してポリウロン酸類を得る試みもなされている。ピラノース環のC6位の1級水酸基のみを選択的に酸化する手法は少なく、現在提案されている有効な酸化手法としては、二酸化窒素による酸化、及び2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(以下TEMPOと称する場合もある)等のN−オキシル化合物触媒による酸化が挙げられる。しかし、二酸化窒素による酸化では、ピラノース環のC6位の1級水酸基を全て酸化しようとすると、C2位やC3位の2級水酸基も酸化されてしまったり、重合度低下が大きいことが報告されている。
【0005】
またTEMPO触媒による酸化では、原料が、デンプンやアミロース、アミロペクチン等であれば、選択的にC6位の1級水酸基を殆ど全て酸化することができる(非特許文献1参照)が、約数万以上の高分子量を保ったままの酸化については明らかになっていない。
一方で多糖類をTEMPO酸化して、高分子量の高吸収性材料を得ることも報告されているが、この場合は、C6位の1級水酸基全てが酸化されている訳ではなく、水溶性の構造が均一なポリウロン酸が得られている訳ではない(特許文献1参照)。また、C6位の1級水酸基を選択に全て酸化して、かつ高分子量を維持するのは困難であった。
【0006】
さらに、前記したように、水溶性ポリウロン酸類を化学修飾して、高機能な新規材料を合成しようとするとき、原料のポリウロン酸は、解析と材料設計のために化学構造が明確・均一であることが重要であるとともに、修飾反応における低分子量化が避けられない場合もあり、できるだけ高分子量であることが求められている。またポリウロン酸の水溶液はガスバリア性コーティング剤としても利用できる。しかしこの場合も、材料の化学構造の均一性は、コーティング膜のガスバリア性に大きく影響し、材料の重合度(分子量)は、コーティング膜の耐湿性や保存安定性に大きく影響する(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【非特許文献1】
Carbohydrate Polymers 39(1999)361−367。
【特許文献1】
特開2002−226502号公報。
【特許文献2】
特開2001−334600号公報。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、生体適合性、生分解性等の安全性に優れ、かつ機能性材料としての物性にも優れ、さらに、食品、医療・医薬、化粧品等、各種機能材料の合成原料としても有用な、構造が明確・均一であり高分子量の水溶性ポリウロン酸を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、重量平均分子量が30,000以上である、下記化学式(1)で表わされる構造よりなる水溶性ポリウロン酸である。
【0010】
【化2】
【0011】
(式中、Xは水素又はアルカリ金属を示す)
【0012】
請求項2の発明は、前記重量平均分子量が50,000以上である、請求項1記載の水溶性ポリウロン酸である。
【0013】
請求項3の発明は、アミロースまたはでんぷんを原料に、N−オキシル化合物の触媒の存在下、臭化アルカリ金属と酸化剤を用いて、5℃以下の低温、水系で、pHを10〜11.5の範囲で一定に保ちながら酸化することにより得られた、請求項1または2記載の水溶性ポリウロン酸である。
【0014】
請求項4の発明は、前記N−オキシル化合物が、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシルであり、前記臭化アルカリ金属が臭化ナトリウムであり、前記酸化剤が次亜塩素酸ナトリウムである請求項3記載の水溶性ポリウロン酸である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明における水溶性ポリウロン酸は、下記化学式(1)に示す構造からなるもので、D−グルクロン酸(或いはD−グルクロン酸のアルカリ金属塩)が、多数α−(1,4)−結合したもので、化学構造が明確・均一であり、二次修飾する場合の合成原料として特に好ましい。また、化学式(1)中のXが、水素またはナトリウムであれば、25℃の蒸留水に対して、10%以上の溶解性を示すため、水系での反応原料として、及び水系のコーティング材料として有用であり、コーティング膜は高いガスバリア性を有する。
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、Xは水素又はアルカリ金属を示す)
【0018】
さらに本発明の水溶性ポリウロン酸は、その重量平均分子量が30,000以上、より好ましくは50,000以上であることを特徴とし、上記したように、化学構造が明確・均一であり、且つ高分子量である点が大きな特徴である。そのため、本発明のポリウロン酸水溶液をコーティング材料として用いる場合には、塗工性が向上し、コーティング膜の耐湿性や膜物性の向上に寄与できる。さらに本発明のポリウロン酸を原料に化学修飾する場合も、生成物の物性向上、及び物性の安定化が期待できる。
【0019】
ここに記載した重量平均分子量とは、標準物質としてプルランを用いて、サイズ排除クロマトグラフィー法により測定した、プルラン換算重量平均分子量である。
【0020】
さらに本発明の水溶性ポリウロン酸は、α−(1,4)−D−グルコースを主鎖とする多糖類を原料として、N−オキシル化合物触媒による酸化手法を用いることにより得られるが、本発明の特徴である均一な構造を有して且つ高分子量のポリウロン酸を得るためには、穏やかな反応条件下で、選択的な反応の進行に必要な薬剤が必要量だけ随時供給され、かつ出来るだけ短時間で酸化することが重要となる。つまり、N−オキシル化合物の触媒の存在下、臭化アルカリ金属と酸化剤を用いて、5℃以下の低温、水系で、pHを10〜11.5の範囲で一定に保ちながら酸化することにより、本発明のポリウロン酸が得られる。ここでN−オキシル化合物としては、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル(TEMPO)が、臭化アルカリ金属としては臭化ナトリウムが、酸化剤としては次亜塩素酸ナトリウムが特に好ましい。
【0021】
ここで上記酸化手法は、例えば、水に原料を溶解或いは均一に分散させて、TEMPOと臭化ナトリウムを溶解した水溶液を加え、系内を5℃以下に冷却、pHを10に調整する。ここに先ず少量の次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えると、一時pHは上昇するが、攪拌を続けると、系内のpHは徐々に低下してくるので、水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、系内のpHを10〜11.5の範囲で一定に保つ。さらに酸化剤である次亜塩素酸ナトリウム溶液を反応の進行具合に応じて調整しながら滴下することで、余剰の酸化剤が系内に存在し、副反応に作用することを抑える。また反応中は系内の温度を5℃以下に維持する。反応の進行に伴い、系内は均一な溶液となる。この反応条件においては、添加される水酸化ナトリウムの量は、ほぼ酸化により導入されたカルボキシル基の量に対応しており、原料のグルコース残基量と当モルの添加量に達した時点で、エタノールを添加して過剰の酸化剤を失活させ、過剰量のエタノール中で再沈させる。生成物はアセトンと水の混合溶液を用いて十分洗浄後、アセトンで脱水してから減圧乾燥することにより、本発明のポリウロン酸のナトリウム塩が得られる。
【0022】
なお上記により得られたポリウロン酸のナトリウム塩を水溶後酸処理し、上記のエタノールで再沈、洗浄、乾燥の操作を繰り返すことで、脱塩したポリウロン酸を得ることができる。
【0023】
この酸化反応の原料としては、α−(1,4)−D−グルコースからなるアミロースが好ましく用いられるが、1,6結合を含むアミロペクチン部分も含有するでんぷんを原料としても、同様にα−(1,4)−ポリグルクロン酸を得ることができる。つまり本酸化反応では、ピラノース環のC6位を選択的に酸化するだけではなく、機構はまだ明確ではないが、でんぷんの1,6結合部分を切断して、均一な構造のα−(1,4)−ポリグルクロン酸を生成することができる。この点も本発明の特徴の一つであり、原料として、でんぷんは極めて安価なため、工業的に利用する上では非常に好ましい。
【0024】
さらに、本発明のポリウロン酸は、構造が均一な、β−(1、4)−ポリウロン酸であるため、重水に溶解させて13C−NMRを測定すると、ピラノース環C6位の水酸基を持つ炭素に由来するピーク(δ=60〜65ppm付近)は見られず、カルボキシル基に由来するピーク(δ=170〜180ppm付近)を有し、さらに、C3位の2級水酸基の酸化により生じるケトンなどのピーク(δ=200〜210ppm付近)は検出されないことを特徴とする。
【0025】
【実施例】
以下実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。
【0026】
<実施例1>
とうもろこしでんぷん由来のアミロース(関東化学(株)製)1.0gを、5%濃度で蒸留水に均一に分散させた。ここに、TEMPO 19mg、臭化ナトリウム 0.25gを溶解させた水溶液を加え、アミロースの固形分濃度が約2wt%になるよう調製した。反応系を冷却し、11%次亜塩素酸ナトリウム水溶液3.0gを添加し、酸化反応を開始する。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.8付近に調整するとともに、さらに11%次亜塩素酸ナトリウム水溶液8.0gを反応の進行に応じて調整しながら滴下した。グルコース残基の全モル数に対し、100%のモル数に対応するアルカリ添加量に近づくと、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の滴下に関係なく、アルカリの添加速度は遅くなり、系内は完全に溶解して、黄色の均一な溶液となる。アルカリ添加量が前記の100%(12.34ml)に達した時点で、エタノールを添加して反応を停止させた。反応時間は2時間であった。この反応溶液は、濾過により不溶の不純物を除いてから、過剰量のエタノール中に投入して、生成物を再沈させた。さらに水:アセトン=1:7の溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水して、40℃減圧乾燥して、白色粉末状のポリウロン酸のナトリウム塩1.1gを得た。
【0027】
<実施例2>
水溶性でんぷん(ACROS社製)5.0gを、5%濃度で蒸留水に加熱溶解してから、溶液を冷却した。ここに、TEMPO 96mg、臭化ナトリウム 1.27gを溶解させた水溶液を加え、でんぷんの固形分濃度が約2wt%になるよう調製した。反応系を冷却し、11%次亜塩素酸ナトリウム水溶液17gを添加し、酸化反応を開始する。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.8付近に調整するとともに、さらに11%次亜塩素酸ナトリウム水溶液40gを反応の進行に応じて調整しながら滴下した。グルコース残基の全モル数に対し、100%のモル数に対応するアルカリ添加量に近づくと、次亜塩素酸ナトリウム水溶液の滴下に関係なく、アルカリの添加速度は遅くなった。アルカリ添加量が前記の100%(61.68ml)に達した時点で、エタノールを添加して反応を停止させた。反応時間は1時間40分であった。この反応溶液は、濾過により不溶の不純物を除いてから、過剰量のエタノール中に投入して、生成物を再沈させた。さらに水:アセトン=1:7の溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水して、40℃減圧乾燥して、白色粉末状のポリウロン酸のナトリウム塩5.7gを得た。
【0028】
<実施例3>
実施例1の原料をとうもろこしでんぷん(関東化学(株)製)に代えた以外、実施例1と同様に酸化処理を行い、白色粉末状のポリウロン酸のナトリウム塩1.1gを得た。反応時間は2時間であった。
【0029】
<実施例4>
実施例2のポリウロン酸のナトリウム塩2.0gを80mlの蒸留水に溶解し、攪拌しながら、pH1になるまで2N−塩酸を添加した。溶液は透明な溶液のままであった。この溶液を過剰量のエタノール中に投入し、生成物を再沈させた。さらに水:アセトン=1:7の溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水して、40℃減圧乾燥して、白色粉末状の脱塩したポリウロン酸1.6gを得た。
【0030】
<比較例1>
水溶性でんぷん(ACROS社製)5.0gを、5%濃度で蒸留水に加熱溶解してから、溶液を冷却した。ここに、TEMPO 96mg、臭化ナトリウム 1.27gを溶解させた水溶液を加え、でんぷんの固形分濃度が約2wt%になるよう調製した。反応系を冷却し、11%次亜塩素酸ナトリウム水溶液45gを添加し、酸化反応を開始する。反応温度は常に5℃以下に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.8付近に調整した。アルカリ添加量が、グルコース残基の全モル数に対し、80%のモル数に対応する添加量(49.34ml)に達した時点で、エタノールを添加して反応を停止させた。反応時間は50分であった。この反応溶液は、濾過により不溶の不純物を除いてから、過剰量のエタノール中に投入して、生成物を再沈させた。さらに水:アセトン=1:7の溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水して、40℃減圧乾燥して、比較例1の白色粉末状のポリウロン酸ナトリウム塩5.5gを得た。
【0031】
<比較例2>
水溶性でんぷん(ACROS社製)5.0gを、5%濃度で蒸留水に加熱溶解してから、溶液を冷却した。ここに、TEMPO 96mg、臭化ナトリウム 1.27gを溶解させた水溶液を加え、でんぷんの固形分濃度が約2wt%になるよう調製した。11%次亜塩素酸ナトリウム水溶液57gを添加し、酸化反応を開始する。反応温度は常に10℃〜20℃に維持した。反応中は系内のpHが低下するが、0.5N−NaOH水溶液を逐次添加し、pH10.8付近に調整した。アルカリ添加量が、グルコース残基の全モル数に対し、100%のモル数に対応する添加量(61.68ml)に達した時点で、エタノールを添加して反応を停止させた。反応時間は45分であった。この反応溶液は、濾過により不溶の不純物を除いてから、過剰量のエタノール中に投入して、生成物を再沈させた。さらに水:アセトン=1:7の溶液により充分洗浄した後、アセトンで脱水して、40℃減圧乾燥して、比較例2の白色粉末状のポリウロン酸ナトリウム塩5.6gを得た。
【0032】
<比較例3>
未酸化の水溶性でんぷん(ACROS社製)を比較例3として用いた。
【0033】
<評価>
(水溶性)
実施例1〜4、比較例1〜3のポリウロン酸(或いはでんぷん)1.0gを、25℃の蒸留水10mlに溶解させた。比較例3以外は、全て完全に溶解し、さらに高濃度での溶解も可能であった。
【0034】
(NMRによる構造分析)
実施例1、2、4、比較例1、3のサンプルを重水に溶解させ、13C−NMRを測定した。その結果を図1に示す。NMRスペクトルから、実施例のポリウロン酸は、ピラノース環C6位の水酸基をもつ炭素に由来するピーク(δ=60〜65ppm付近)が完全に消えて、カルボキシル基(δ=170〜180ppm付近)に変換しており、2位、3位の炭素に由来するピークは変化せず、ケトンなどのピーク(δ=200〜210ppm付近)は確認されなかった。従って、本発明のポリウロン酸は、ほぼ構造が均一な、α−(1,4)−ポリグルクロン酸であると言える。一方で、比較例1のポリウロン酸では、δ=170〜180ppm付近にカルボキシル基の炭素由来のピークが確認されているが、δ=60〜65ppm付近にピラノース環C6位の水酸基をもつ炭素に由来するピークが残存しており、均一なα−(1,4)−ポリグルクロン酸とはなっていない。
【0035】
(重量平均分子量の測定)
実施例1〜4、比較例1〜3のポリウロン酸(或いはでんぷん)の重量平均分子量(Mw)を、GPC法により測定した。カラムはTSK−gelG6000PWXL、TSK−gelG3000PWXLを用い、0.1M−NaClを溶離液とし、RI検出器を用い測定した。分子量既知の標準プルランから検量線を作成し、プルラン換算の重量平均分子量を算出した。その結果、実施例のポリウロン酸は、実施例1から順にMw=42,000、65,000、58,000、66,000といずれも分子量30,000以上のポリウロン酸であった。なお比較例のサンプルについては、比較例1から順にMw=92,000、22,000、134,000であった。
【0036】
(ガスバリア性の測定)
ウレタン系のアンカーコート層を設けた厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを基材として、実施例1、2、3、及び比較例1、2、3のポリウロン酸(或いはでんぷん)の5%水溶液を、それぞれバーコーターによりコーティングして、80℃オーブン中で乾燥し、乾燥膜厚1.5μmの被膜を形成した。これらポリウロン酸類のコーティングフィルムの酸素透過度を以下の様にして測定した。なお、40℃90%RH雰囲気下に1ヶ月保存後にも同様の測定を行った。結果を表1に示す。
(酸素透過度の測定方法)
酸素透過度測定装置(モダンコントロール社製、OXTRAN 10/40A)を用いて30℃70%RH雰囲気下、及び、30℃100%RH雰囲気下で測定した。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
以上より、本発明の水溶性ポリウロン酸は、構造が明確、均一かつ高分子量で水溶性が良好なことから、水系の反応原料として、及び水系のコーティング材料として好ましく用いることができる。特にガスバリア性コーティング剤とした場合には、高いガスバリア性とともに、耐湿性や保存安定性が向上する。さらに、食品、医療・医薬、化粧品等、様々な機能性材料としての応用も期待できる。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、2のポリウロン酸ナトリウム塩、及び実施例4のポリウロン酸、及び比較例1のポリウロン酸ナトリウム塩、及び比較例3のでんぷんを重水に溶解して測定した13C−NMRスペクトルである。
Claims (4)
- 前記重量平均分子量が50,000以上である、請求項1記載の水溶性ポリウロン酸。
- アミロースまたはでんぷんを原料に、N−オキシル化合物の触媒の存在下、臭化アルカリ金属と酸化剤を用いて、5℃以下の低温、水系で、pHを10〜11.5の範囲で一定に保ちながら酸化することにより得られた、請求項1または2記載の水溶性ポリウロン酸。
- 前記N−オキシル化合物が、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシルであり、前記臭化アルカリ金属が臭化ナトリウムであり、前記酸化剤が次亜塩素酸ナトリウムである請求項3記載の水溶性ポリウロン酸。
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