JP2004170199A - 純セン断試験方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正方形の供試体1の4辺にそれぞれ供試体把持金物2を取り付け、扇形を成す2つの載荷板3を載荷板連結部材5の両端部付近でピン結合し、一体にした2つ1組の扇形載荷板3を、45°回転させた供試体1の上下にそれぞれ配置し、供試体把持金物2と載荷板3は、それぞれに設けたピン穴2a,3aに挿入した結合ピン4で結合される。圧縮試験機により4つの載荷板3に垂直力を加えて回転力を与えると、その載荷板3の回転力は、結合ピン4を介して供試体把持金物2に垂直方向と45°の角度で前記4辺に平行な接線方向力として伝達され、供試体把持金物2を介して供試体1の4辺に荷重が加えられる。供試体1の4辺に作用する荷重は共役セン断力と言い、供試体1が破壊した時の荷重より供試体1のセン断強度を算定する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モルタルやコンクリートのセン断強度測定試験に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のモルタルやコンクリートのセン断強度の測定方法は図3a乃至図3dに示す様々な方法で実施されていた。図3a乃至図3dに示す供試体10は、載荷板11を介して、図中に矢印で示す載荷重を受け、破線はその供試体10のセン断面を、Sはスプリングを示す。しかし、これらは、供試体10にセン断力だけが作用することはなく、圧縮応力や引張応力や曲げモーメント等が同時に作用するため、純粋なセン断強度を求めることは困難であった。
【0003】
他に、モルタルやコンクリートの圧縮強度と引張強度を試験より求めて、Mohr−Coulombの破壊包絡線からセン断強度を求める方法がある。しかし、この方法も直接セン断強度を測定する方法ではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
モルタルやコンクリートの供試体に純粋なセン断力を発生させる為には、図2に示す様に一定の厚さを有する正方形の供試体(断面正方形の直方体状の供試体)の4辺に平行な力を作用させる必要がある。この供試体の4辺に作用する荷重は共役セン断力と言い、供試体が破壊した時の荷重より供試体のセン断強度を算定するものである。
【0005】
この発明は、モルタルやコンクリートの圧縮試験に用いられる高精度の圧縮試験機を用いて、圧縮試験機の垂直力を45°方向の斜め上からの力と斜め下からの力に変換して供試体に作用させ、取り扱いが容易なモルタルやコンクリートの純セン断強度試験方法を提供する事を課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、モルタルやコンクリートの供試体はある一定厚さを有する正方形にする。供試体の正方形各辺に平行な力を作用させるために、モルタルやコンクリートの各辺に金属のプレートを貼り付け、この金属に力を加え供試体の各辺と平行な力が加わる様にする。金属のプレートは供試体把持金物である。供試体把持金物は供試体の背面に突起とそこにピンで連結するピン穴を持つ。供試体は垂直方向に対して45°回転させ、供試体の中心と4辺の供試体把持金物のピン穴の中心を結ぶ線は、各々垂直方向と45°の傾きを持つようにする。
【0007】
具体的には、円弧部が相対する2つの載荷板の回転中心を1本の水平な載荷板連結部材の両端部付近でピン結合した載荷板の水平部に垂直力を加え回転力を与える。左右の載荷板の対向部である外周付近に回転角45°の角度の位置にピン穴を設ける(そのピン穴と前記回転中心を結ぶ線は、それぞれ水平部に対して45°の角度を成す)。45°回転させたモルタルやコンクリートの供試体に接続させた供試体把持金物のピン穴と載荷板のピン穴とを結合ピンで結合させる。2つ1組の載荷板を供試体の上下に配置し、供試体の4辺(前記断面正方形の4辺)に接続する供試体把持金物の4本のピン穴の全てを載荷板のピン穴と接続する。
【0008】
載荷板の下側水平部に圧縮試験機からの垂直方向の下部載荷荷重を加えると、載荷板は上方の回転力が付与される。載荷板の回転力は結合ピンを介して供試体把持金物に垂直方向と45°の角度の接線方向力が伝達される。これにより下部の左右の供試体把持金物には45°方向の上向きの力が作用し、供試体把持金物に接続するモルタルやコンクリートの供試体に辺と平行な力が作用する。
【0009】
一般的に圧縮試験機を用いて圧縮試験を実施する方法は、供試体を下方から油圧シリンダの力でせり上がってくる台の上に設置し、供試体の上部を上下に移動可能な反力装置に接しさせる。荷重は下方の台がせり上がることにより加えられる。
【0010】
本試験も一般的な圧縮試験機を使用するもので、上方からの載荷荷重は下部載荷荷重の反力として発生するものである。
【0011】
故に供試体の上方からの力も、下方の力と同様の方法で同一の力が働き、供試体には図2に示す供試体の各辺と平行の力が作用する。
【0012】
以上の装置により、一般的な圧縮試験機を用いて、モルタルやコンクリートの正方形の供試体の4辺に力を作用させてモルタルやコンクリートのセン断強度を測定する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明を添付する図面に示す具体的実験例に基づいて、以下詳細に説明する。試験供試体1はある一定の厚さを有する正方形の形状(立方体)である。
【0014】
供試体1を作成する方法は、モルタルやコンクリートで所定の寸法の供試体1を作成した後、供試体把持金物2に接着剤で接続させる方法と、供試体把持金物2をモルタルやコンクリート打設の型枠として設置しておき、その内部にモルタルやコンクリートを打設し製作する方法の2通りで実施している。後者の場合はモルタルやコンクリートを打設する直前に供試体把持金物2の表面に接着剤を塗布したり供試体把持金物2の鉄板の表面にアンカー用のボルトを埋め込み、鉄板とモルタルやコンクリートとの付着性を向上させている。
【0015】
セン断強度試験装置は、供試体1とその4辺に取り付けた4つの供試体把持金物2と、2つの載荷板3を載荷板連結部材5で一体にしたものの2組により構成される。載荷板3は扇形を成し、その円弧部が相対する2つの載荷板3を1組として、それぞれの回転中心の要部を載荷板連結部材5の両端部付近でピン結合され、載荷板3は、ピンを中心として回転することができる。供試体把持金物と載荷板3は、各々結合用のピン穴を有し、結合ピン4で結合される。
【0016】
供試体1に加える荷重は、モルタルやコンクリートの圧縮試験に用いられる圧縮試験機を用いる。圧縮試験機による下部からの荷重8は、図1に示すように、載荷装置6,7により載荷板3に伝達される。上部の荷重9は、圧縮試験機の反力機構より得られるもので、下部からの荷重8と上部の荷重9は、同じ大きさの荷重となる。上部も下部と同様に載荷装置6,7により上部の載荷板3に荷重が載荷される。荷重が載荷されると4つの載荷板3は、載荷板連結部材5のピンを中心にして回転運動を開始する。
【0017】
載荷板3の回転運動により接線方向力が、結合ピン4を介して供試体把持金物2に伝達される。供試体把持金物2から供試体1に荷重が加えられる。この荷重の作用方向は供試体1の辺に平行になるようにしている。
【0018】
試験装置のセットは、先ず圧縮試験機の載荷台上に、下方の2つの載荷板3と載荷板連結部材5が一体となったものを設置する。次に供試体1と供試体把持金物2が一体となったものを、供試体把持金物2のピン穴2aと載荷板3のピン穴3aを合わせて結合ピン4を挿入させ接続する。次に上方の2個の載荷板3と載荷板連結部材5が一体となったものを、載荷板3のピン穴3aと供試体把持金物2のピン穴2aを合わせ結合ピン4で接続する。
【0019】
4本の結合ピン4等により結合し一体となった上下の載荷板3と供試体1と供試体把持金物2の全体を上方に持ち上げて、下部の載荷装置6,7を所定の位置に設置し、一体となった載荷板3と供試体1と供試体把持金物2の全体を載荷装置6,7の上に載せる。次に上部の載荷装置6,7を上部の載荷板3の上に設置し、圧縮試験機の上部反力梁を上部の載荷装置6,7の高さまで下げ、上部反力梁と上部載荷装置7を密着させ試験準備を完了させる。
【0020】
載荷試験は圧縮試験機の下方載荷版が油圧シリンダーの力で上方にせり上がり、上下の載荷板3に垂直力を付与し、回転力から45°の接線方向力を供試体1に作用させる。この状態で、供試体1がセン断破壊するまで荷重を増加させる。破壊した時の荷重を供試体1のモルタルやコンクリートの破壊面の断面積からモルタルやコンクリートのセン断強度を算定する。
【0021】
なお、この実施形態では、載荷板3を扇形としたが、この発明の効果を発揮しうるものであれば、扇形としなくてもよい。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、本供試体1に使用するモルタルやコンクリートの配合や使用材料や鉄筋やPC鋼線・鋼棒による補強に制限がなく、様々なモルタルやコンクリートのセン断強度を測定する事が可能である。又一般的に使用されている圧縮試験機を用いて試験をする事が出来るので、広く一般に本試験を行うことが出来る。試験の結果により得られたセン断強度はモルタルやコンクリート構造物のセン断強度の設計や検討を高精度なものに発展させるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る装置の構成図
【図2】共役セン断力の作用荷重の方向の説明図
【図3a】従来のモルタルやコンクリートのセン断強度測定方法の説明図(一面セン断試験)
【図3b】従来のモルタルやコンクリートのセン断強度測定方法の説明図(二面セン断試験)
【図3c】従来のモルタルやコンクリートのセン断強度測定方法の説明図(一面せん断試験、補強筋有り)
【図3d】従来のモルタルやコンクリートのセン断強度測定方法の説明図(一面せん断試験、補強筋・スプリング有り)
【符号の説明】
1 モルタルやコンクリートの供試体
2 供試体把持金物
2a,3a ピン穴
3 載荷板
4 結合ピン
5 載荷板連結部材
6 載荷装置
7 載荷装置
8 下部載荷加重
9 上部載荷加重
Claims (1)
- 相対する2つの載荷板3を1組にして、それぞれの回転中心を、1本の水平な載荷板連結部材5の両端部付近でピン結合し、左右の載荷板3の対向部付近に回転角45°の角度の位置にピン穴3aを設け、45°回転させたモルタルやコンクリートの供試体1に接続させた供試体把持金物2のピン穴2aと載荷板3のピン穴3aとを結合ピン4で結合させ、その2つ1組の載荷板3,3を前記供試体1の上下に配置し、供試体1の4辺に接続する供試体把持金物2の4本のピン穴2aの全てを載荷板3のピン穴3aに接続し、
前記載荷板3に垂直力を加えて回転力を与え、その回転力により載荷板3の上下に加えた垂直力が、左右に斜め45°の力に分割されてモルタルやコンクリートの供試体1の辺に、供試体1を純セン断力による破壊を可能にする4辺に平行な力を作用させることを可能にしたモルタルやコンクリートの純セン断試験方法。
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