JP2004169667A - 多段フィルタの監視装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】第1段フィルタの劣化に連鎖して性能の影響を受ける第2段フィルタの交換時期を適正化すること。
【解決手段】第1フィルタ4と、第1フィルタ4より下流側に配置され、第1フィルタ4より捕集効率の点で優れ、且つ、第1フィルタ4より高価である第2フィルタ5と、第2フィルタ5を通過する空気流量VMに基づいて既知式から第2フィルタ5の目詰まり傾向係数Kを計算する計算器2とから構成されている。圧力計で計測される圧力損失ΔPは、前段フィルタ4の圧力損失の影響を受ける。既知式から絶対的に計算により求められるこのような絶対値に基づいて高価な第2フィルタの適正交換時期が高精度に推定される。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多段フィルタの監視装置に関し、特に、タービンに付属して配置される多段フィルタの監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
タービン吸気の流路には、フィルタが介設される。フィルタには、その捕集の高効率化とともに捕集の高精度化と長寿命化が求められる。そのような要求に応えて、フィルタの配置が多段化される。ガスタービンでは、第1段フィルタはプレフィルタといわれ、大部分のダストは第1段フィルタで捕集される。下流側にある第2段フィルタとしては、高効率(高性能)フィルタが用いられ、第1段フィルタで捕集し切れない微細なダストを捕集する。第2段フィルタは、第1段フィルタに比べて一般的に高価である。運転中のフィルタ交換は、下流側に配置されるタービンの側に異物が流入することを防止する観点から、主として第1段フィルタに限られる。第2段フィルタは、これが高価であり、更に、運転中の交換が困難であることからガスタービンが停止する定期の際に交換されるように計画される。高効率フィルタは、経済性からその長時間使用が求められ、毎定期点検時の交換が回避されることが求められている。
【0003】
フィルタに関してそのメンテナンス周期の適正化は、後掲特許文献1で知られている。フィルタ交換時期の予測技術は、後掲特許文献2で知られている。その技術は、フィルタ前後の差圧検出により、フィルタの劣化を予測している。このような公知の技術は、第2段フィルタの差圧が第1段フィルタの差圧変化に影響されることまでは考慮していない。
【0004】
第1段フィルタの劣化に連鎖して通過風量の影響を受ける下流側フィルタの交換時期の適正化とその交換の時期を高精度に予測することが今後の技術として期待される。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−313851号
【特許文献2】
特開平9−313852号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、第1段フィルタの劣化に連鎖して通過風量の影響を受ける下流側フィルタの交換時期を適正化する多段フィルタの監視装置を提供することにある。
本発明の他の課題は、第1段フィルタの劣化に連鎖して通過風量の影響を受ける下流側フィルタの交換時期を適正化し、且つ、その交換時期を高精度に予測する多段フィルタの監視装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
その課題を解決するための手段が、下記のように表現される。その表現中に現れる技術的事項には、括弧()つきで、番号、記号等が添記されている。その番号、記号等は、本発明の実施の複数の形態又は複数の実施例のうちの少なくとも1つの実施の形態又は複数の実施例を構成する技術的事項、特に、その実施の形態又は実施例に対応する図面に表現されている技術的事項に付せられている参照番号、参照記号等に一致している。このような参照番号、参照記号は、請求項記載の技術的事項と実施の形態又は実施例の技術的事項との対応・橋渡しを明確にしている。このような対応・橋渡しは、請求項記載の技術的事項が実施の形態又は実施例の技術的事項に限定されて解釈されることを意味しない。
【0008】
本発明による多段フィルタの監視装置は、第1フィルタ(4)と、第1フィルタ(4)より下流側に配置され、第1フィルタ(4)より捕集効率の点で優れ、且つ、第1フィルタ(4)より高価である第2フィルタ(5)と、第2フィルタ(5)を通過する通過空気の流量VMに基づいて既知式から第2フィルタ(5)の目詰まり傾向(係数)を計算する計算器(2)とから構成されている。
【0009】
圧力計で計測される圧力損失ΔPは、前段のフィルタ(4)の圧力損失の影響を受ける。本発明による多段フィルタの監視装置の目詰まり傾向は、既知式から絶対的に計算により求められ、このような絶対値に基づいて高価な第2フィルタの適正交換時期が高精度に推定される。
【0010】
第1フィルタ(4)と第2フィルタ(5)はタービンの軸流路に介設される。タービンに用いられる第2フィルタは第1フィルタに比べて格段に高価であり、本発明による多段フィルタの監視装置はタービンに適用されて特に有用である。
【0011】
空気流量VMは、大気圧、吸気温度、湿度を含む大気条件と、各部差圧と、圧縮機特性と、ガスタービン熱収支から計算され得るが、直接の計測により知られ得る。
【0012】
目詰まり傾向(係数)K、又は、圧力損失が規定値を越える際に警報を発する警報器を更に構成することは、監視作業を便利にする。計算器(2)が目詰まり傾向K、圧力損失ΔPと交換適正時期の対応を示すテーブル又は関数を有することは有用である。
【0013】
【発明の実施の形態】
図に対応して、本発明による多段フィルタの監視装置は、風量と圧力損失との関数関係の変化を追跡する関数関係追跡計算器が風量出力器とともに設けられている。その風量出力器1は、図1に示されるように、関数関係追跡計算器2に接続している。風量出力器1が出力する風量データ3は、関数関係追跡計算器2に入力される。風量出力器1には、大気圧力、吸気温度、湿度のような大気条件、各部差圧、圧縮機特性、ガスタービン熱収支データのような吸気流量算出のために必要であるデータ又は吸気流量計測値が入力される。
【0014】
図2は、タービンの軸流系に介設されている2段フィルタと差圧検出器とを示している。その2段フィルタは、第1段フィルタ4と第2段フィルタ5とから形成されている。第1段フィルタ4は第2段フィルタ5より上流側に配置されている。第1段フィルタ4と第2段フィルタ5は、それぞれに更に多段化され得る。その差圧検出器は、第1段差圧検出器6と第2段差圧検出器7とから形成されている。第1段差圧検出器6は、第1段フィルタ4の両側間圧力差である第1両側間差圧ΔP1を検出する。第2段差圧検出器7は、第2段フィルタ5の第2段両側間差圧ΔP2を検出する。
【0015】
図1に示されるように、風量出力器1には既知データ8と第1両側間差圧ΔP1とが入力される。風量出力器1は、第2段フィルタ5の上流側端面近傍の圧力である第2段フィルタ前圧力Pを次式により計算する。
P=(Pamb−ΔP1)・・・(1)
ΔP1=ΔP1(kPa)/1000(1000は単位換算係数)
Pamb:大気圧力計測値(リアルタイムに計測される計測値が用いられ、簡易的には0.101322MPaA)
【0016】
空気標準比重量は、γN(0゜C)で表される。:
γN=1.293kg/立方m
使用状態の温度(第2段フィルタ5の前端面近傍温度)は、T1C(当該部を直接に計測していない場合には下流側又は上流側の温度が代用される)で表される。使用状態の空気比重量γMは、下記式で計算される。
γM={1.293×(0.101322−ΔP1/1000)×273.15}/{0.101322×(273.15+T1C)}・・・(2)
γMの単位は、kg/立方mで表されている。
【0017】
第2段フィルタ5のフィルタエレメント1個当たりの空気流量VMは、下記式で計算される。
VM(立方m/min/エレメント1個)={G1(kg/s)×60/γM}/フィルタエレメント数・・・(3)
式(1)と式(2)と式(3)とは、風量出力器1で計算される。ここでは便宜上、フィルタエレメント1個当たりで整理されている。
【0018】
式(3)で計算された空気流量VM(風量データ3)は、風量出力器1から出力されて関数関係追跡計算器2に入力される。下記関係式が、対数目盛で両軸が表される図3に示されるように見出されている。:
K=Log(ΔP2)−A×Log(VM)・・・(4)
式(4)では、無次元化定数は省略されている。流量の対数と差圧の対数とは、線形関係にあることが知られている。傾きの係数Aは、フィルタ特性によりほぼ定まっている。その係数は、実機で測定可能である。ΔP2は第2段フィルタ5の劣化度合いに対応しているので、ΔP2を知ることにより、第2段フィルタ5の適正交換時期を知ることができる。
【0019】
図3は、フィルタエレメントの代表的な圧力損失(Pa)と風量との関係を示している。差圧ΔP2は、圧力損失に対応する値である。従って、圧力損失の対数と風量の対数とは線形関係に整理される。式(4)で表される差圧−風量の関係は、両対数グラフ上では直線9で表され、風量軸(X軸)と圧力損失軸(Y軸)で交わる。式(4)は、次式に書き換えられる。
Y0=Y−AX・・・(5)
【0020】
第1段フィルタ4の差圧ΔP1が変動すれば、図4に示されるように、第2段フィルタ5の差圧ΔP2が変動する。図4は、第1段フィルタ4の差圧の変動曲線11と第2段フィルタ5の差圧の変動曲12を示している。第1段フィルタ4の差圧が増大すれば第2段フィルタ5の差圧が減少し、且つ、第2段フィルタ5の差圧が減少すれば第2段フィルタ5の差圧が増大する。このようなダイナミックな連動的変動は、第1段フィルタの差圧変動からくる吸気流量、圧力変化に起因していて、第2段フィルタの劣化(詰まりによる抵抗係数の変化)がなければ直線9上を動くことになる。関数関係追跡計算器2は、差圧−風量関係直線9のそのような変位を追跡する。第2段フィルタによる差圧−風量関係直線9の変位は、特性上、傾きAが概ね一定であるためY軸方向の平行移動になる。そのため、Y切片Y0、又は、X切片X0の変動の追跡に等価になる。差圧−風量関係直線9がY軸正方向に変位することは、第2段フィルタ5の純然たる詰まりの増加(抵抗係数の増加)に対応する。Y切片Y0(又は、X切片X0)の設定値到達は、第2段フィルタ5の適正交換時期に対応する。
【0021】
目詰まり傾向係数K、圧力損失ΔP2が規定値を越える際に警報を発する警報器が追加されることが好ましい。計算器2は、目詰まり傾向係数K、圧力損失ΔP2と交換適正時期の対応を示すテーブル又は関数を有することが好ましい。
【0022】
第2段フィルタ5として用いられるフィルタは、複合高性能フィルタであり、多種多様であるがその仕様例としては下記表で示される。
枠材:SGCC
濾材:ガラス繊維ペーパ
メディアガード:亜鉛鉄線/ステンレス
セパレータ:防食加工アルミ
シール材:ウレタン樹脂
ガスケット:ウレタンフォーム
圧力損失(Pa):
初期:402/470
最終:686
計数法効率(%):99.97
【0023】
このような仕様データで示される複合高性能フィルタの圧力損失性能は、図5で示されている。その粒径別捕集効率(風量50立方m/min)は、図6に示されている。その粉塵保持量(g/1台)は、図7に示されている。このように、複合高性能フィルタは粉塵の捕獲性能と捕獲保持性能を高精度に保持する。
【0024】
【発明の効果】
本発明による多段フィルタの監視装置は、第1段フィルタの劣化に連鎖して性能の影響を受ける第2段フィルタの交換時期を適正化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明による多段フィルタの監視装置の実施の形態を示す計算器ブロック図である。
【図2】図2は、軸流径のフィルタ配置を示す断面図である。
【図3】図3は、風量と圧力損失を示すグラフである。
【図4】図4は、差圧変動を示すグラフである。
【図5】図5は、圧力損失仕様を示すグラフである。
【図6】図6は、捕集効率仕様を示すグラフである。
【図7】図7は、粉塵保持量を示すグラフである。
【符号の説明】
2…計算器
4…第1段フィルタ
5…第2段フィルタ

Claims (7)

  1. 第1フィルタと、
    前記第1フィルタより下流側に配置され、前記第1フィルタより捕集効率の点で優れ、且つ、前記第1フィルタより高価であり前記第1フィルタより下流側に配置される第2フィルタと、
    前記第2フィルタを通過する空気の流量VMと前記第2フィルタの差圧とに基づいて既知式から前記第2フィルタの目詰まり傾向を計算する計算器とを構成し、
    前記第2フィルタの適正交換時期は前記目詰まり傾向に基づいて推定される
    多段フィルタの監視装置。
  2. 前記第1フィルタと前記第2フィルタはタービンの軸流路に介設されている
    請求項1の多段フィルタの監視装置。
  3. 前記目詰まり傾向は数値的にKで表され、前記既知式は、
    K=Log(ΔP)−A×Log(VM)
    で表される
    請求項1の多段フィルタの監視装置。
  4. 前記空気流量VMは、大気圧、吸気温度、湿度を含む大気条件と、各不の差圧と、圧縮機特性と、ガスタービン熱収支から演算される
    請求項3の多段フィルタの監視装置。
  5. 前記空気流量VMは計測される
    請求項3の多段フィルタの監視装置。
  6. 前記目詰まり傾向が規定値を越える際に警報を発する警報器を更に構成する
    請求項1〜5から選択される1請求項の多段フィルタの監視装置。
  7. 前記計算器は、前記目詰まり傾向と前記交換適正時期の対応を示すテーブル又は関数を形成する
    請求項6の多段フィルタの監視装置。
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