JP2004161636A - 軽度認知障害または注意欠陥多動性障害治療剤 - Google Patents

軽度認知障害または注意欠陥多動性障害治療剤 Download PDF

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Masaomi Miyamoto
政臣 宮本
Keisuke Hirai
圭介 平井
Yuji Ishihara
雄二 石原
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Abstract

【課題】優れた軽度認知障害または注意欠陥多動性障害の治療剤を提供する。
【解決手段】3−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノンまたはその塩を含有してなる、軽度認知障害または注意欠陥多動性障害の治療剤。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽度認知障害または注意欠陥多動性障害の治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)は、軽症記憶障害ともいわれる。MCIをもつ患者は、正常でもなく、痴呆でもないと認識され、これらの患者の認知状態はその中間である。一般に、当該患者は、軽度の記憶障害、軽度の認識障害、および日常生活機能におけるごく小さな機能不全を有する。最近の報告によればMCIをもつ患者は着実に痴呆状態が悪化していき、神経の病理状態もほとんどの場合がアルツハイマー病と類似しているので、軽度認知障害はアルツハイマー病の初期段階ないしはアルツハイマー病への過渡的状態とみなせるとされている(例えば、下記の非特許文献1参照)。
しかしながら、MCIをもつ患者の中が全てアルツハイマー病へ移行するのではないので、MCIはアルツハイマー病の単なる初期段階であるとは言い難い。
特開平5−140149号公報(下記特許文献1)には、式
【化1】
Figure 2004161636
〔式中、XはR−N<(Rは水素原子、置換基を有していてもよい炭化水素基または置換基を有していてもよいアシル基を示す)、酸素原子または硫黄原子を示し、Rは水素原子または置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、環A は置換基を有していてもよいベンゼン環を、kは0〜3の整数を、mは1〜8の整数を、nは1〜6の整数を示す。〕で表される化合物がアルツハイマー病等の予防および治療に有効であることが記載されている。
また、特開2000−7568号公報(特許文献2)には、当該化合物が神経栄養因子様作用、神経栄養因子活性化作用、およびコリンアセチルトランスフェラーゼ活性賦活作用等を有し、神経栄養因子が関与する、アルツハイマー病等の神経変性疾患および記憶障害等の予防・治療に有用であることが記載されている。
しかし、これらの化合物がMCIの治療に有効であることは何ら開示されていない。
MCIをもつ患者は多数存在しているが、これまでMCIを疾患と認めて積極的に治療することは、まだ広く行われてはいない。
したがって、MCIの治療に有効な化合物の開発が求められている。
【0003】
注意欠陥多動性障害(ADHD:Attention−Deficit/Hyperactivity Disorder)とは、不注意、多動性および衝動性を特徴とする精神疾患で、幼年期にこれらの症状が不適応的で、発達の水準に相応しないものをさす。注意欠陥多動性障害の症状としては、不注意(注意欠陥)、ならびに多動性および衝動性が見られる。不注意の症状としては、例えば、課題等で注意を持続することがしばしば困難である;(反抗的な行動または指示を理解できないのではなく)指示に従えず、しばしば業務等をやり遂げることができない;外からの刺激によってしばしば容易に注意をそらされる、というようなものが挙げられる。
上記特許文献1および特許文献2には、上記化合物が注意欠陥多動性障害の治療に有用であることは記載されていない。
注意欠陥多動性障害の治療に有用な化合物の開発もまた求められている。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−140149号公報
【特許文献2】
特開2000−7568号公報
【非特許文献1】
アーカイブス オブ ニューロロジー(Arch Neurol.),2001年,58巻,p.397−405
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、軽度認知障害または注意欠陥多動性障害の治療剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、軽度認知障害または注意欠陥多動性障害の治療について鋭意研究を重ねた結果、3−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノンまたはその塩が軽度認知障害の治療および注意欠陥多動性障害の治療に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
(1)3−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノンまたはその塩を含有してなる、軽度認知障害または注意欠陥多動性障害の治療剤;
(2)3−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノン・フマル酸塩を含有してなる上記(1)記載の治療剤;および
(3)軽度障害群のラットのCR率の向上に有効な化合物を含有してなる軽度認知障害または注意欠陥多動性障害の治療剤等を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本明細書における「軽度認知障害」とは、ニューロロジー(Neurology)、43巻、2412−2414(1993)に記載のクリニカル ジメンシャ レイティング(clinical dementia rating (CDR):記憶力、見当識、判断力などの6カテゴリーについて0(正常)〜3(重症)まで5段階評価し、それらに基づき一定のアルゴリズムに従い最終的スコアーを出す)での臨床状態が0.5レベルの障害を主として意味する(上記Arch Neurol.、58巻、397−405頁(2001))。軽度認知障害としては、例えば、老化に伴う軽度認知障害、アルツハイマー病の前段階としての軽度認知障害、脳血流障害による軽度認知障害などが挙げられる。
本明細書における「注意欠陥多動性障害」とは、DSM−VI(米国精神医学会)のADHD診断基準に該当するものを主として意味する。当該「注意欠陥多動性障害」は、混合型、不注意優性型、多動性−衝動性優勢型に分類される。
【0009】
3−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノン[以下、化合物Aと略記する場合がある。]またはその塩は、特開平5−140149号公報等に記載されている公知化合物である。
化合物Aまたはその塩は、特開平5−140149号公報に記載されている方法等の公知の方法に従って製造することができる。
【0010】
化合物Aの塩としては、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが用いられる。中でも、有機酸との塩が好ましい。
無機酸との塩の好適な例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が用いられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が用いられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が用いられる。
これらの塩のなかでも、薬学的に許容し得る塩が好ましい。例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩などの無機塩または、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩などの有機塩が用いられる。とりわけ、塩酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩等の塩が好ましく、フマル酸塩が最も好ましい。
【0011】
化合物Aまたはその塩は、軽度認知障害の治療に有用である。
また、化合物Aは、注意欠陥多動性障害の治療にも有用である。
化合物Aまたはその塩は、他の薬剤と併用してもよい。例えば、軽度認知障害の治療において、例えばアルツハイマー病治療薬(例、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、コリンエステラーゼ阻害剤やイデベノン、メマンチン、ビンポセチン等の脳機能賦活薬)、抗パーキンソン薬(例、L−ドーパ、デプレニル、カルビドパ+レボドパ、ペルゴライド、ロピニロール、カベルゴリン、プラミペキソール、エンタカプロン、ラザベミド等)、筋萎縮性脊髄側索硬化症治療薬(例、リルゾール、メカセルミン、ガバペンチン等)、神経栄養因子、抗うつ薬(例、フルオキセチン、サートラリン、パロキセチン、ベンラファキシン、ネファゾドン、レボキセチン、塩酸イミプラミン、デュロキセチン等)、精神分裂病治療薬(例、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、イロペリドン等)、抗不安薬(例、アルプラゾラム、ブロマゼパム、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、エチゾラム、フルトプラゼパム、ロラゼパム等)、睡眠薬(例えばブロチゾラム、エスタゾラム、フルラゼパム、ニトラゼパム、トリアゾラム等)、抗高脂血症薬(例、シンバスタチン、フルバスタチン、プラバスタチン、アトロバスタチン等)、血圧降下薬(例、カプトプリル、デラプリル、エナラプリル、ニフェジピン、ニカルジピン、アムロジピン、アルプレノロール、プロプラノロール、メトプロロール、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン等)、抗血小板薬(例、チクロピジン、ヘパリン、ウロキナーゼ、アルテプラーゼ、チソキナーゼ、ナサルプラーゼ、シロスタゾール等)、抗酸化薬(例、リノレン酸、アスコルビン酸、イコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、トコフェロール等)、ビタミン類(例、トコフェロール、アスコルビン酸等)、性ホルモン(例、エストロゲン、エストロン、エストラジオール等)、抗炎症薬(例、プレドニゾロン、ベタメタゾン、デキサメタゾン等)、非ステロイド性抗炎症薬(例、インドメタシン、イブプロフェン、アセチルサリチル酸、ジクロフェナク、ナプロキセン、ピロキシカム等)、COX−2阻害薬(例、セレコキシブ、ロフェコキシブ等)、脳循環代謝改善薬(例、ニセルゴリン、イブジラスト、イフェンプロジル等)、抗痙攣薬(例、カルバマゼピン、バルプロ酸、クロナゼパム、ビガバトリン、ラモトリジン、ガバペンチン等)およびこれらの薬理学的に許容される塩等と組み合わせて用いることもできる。
【0012】
化合物Aまたはその塩は毒性が低いので、安全に、哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ウシ、サル、ヒトなど)の軽度認知障害または注意欠陥多動性障害の治療剤として用いることができる。
【0013】
本発明の治療剤は、必要に応じて、化合物Aまたはその塩の他に、薬理学的に許容される添加剤を含んでいてもよい。
【0014】
上記添加剤としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が挙げられ、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等が挙げられる。また、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を用いることもできる。
賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム粉末等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
溶剤としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油等が挙げられる。
溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
等張化剤としては、例えばブドウ糖、ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、マンニトール等が挙げられる。
緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
無痛化剤としては、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。
防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸等が挙げられる。
【0015】
ただし、化合物Aの有機酸塩を用いて固形製剤を製造する場合、製剤の安定性の観点から乳糖以外の賦形剤が好ましく、マンニトールが特に好ましい。当該マンニトールとしては、通常製剤賦形剤として用いられているいずれのマンニトールを用いてもよく、その形状もα,β,δ型のいずれの結晶あるいはアモルファスでもよい。
マンニトールの配合量としては、化合物Aの有機酸塩(以下、単に活性成分と略記することもある)の50重量%以上が好ましく、さらに好ましくは活性成分と等量以上、とりわけ4倍以上添加することが好ましい。
マンニトールの配合量の上限は、特に限定されないが、通常、活性成分の2000重量倍、好ましくは800重量倍、さらに好ましくは100重量倍程度である。
化合物Aの有機酸塩は乳糖の存在下で不安定であるので、本発明の治療剤としては乳糖を実質的に含有しない製剤、すなわち乳糖の含量が実質的に0重量%である製剤が望ましい。例えばマンニトールと乳糖を併用する場合、乳糖の割合は少ないほど良いが、その添加割合がマンニトールの配合量に対して0.001〜30重量%、好ましくは0.001〜1重量%であり、かつ製剤中でマンニトールと共存していれば、マンニトールの安定化作用により実質的に影響しない。
【0016】
本発明の治療剤は、上記のような諸成分を配合し、その剤型に応じた公知の方法に従って製造することができる。本発明の治療剤の形態は、特に限定されるものではなく、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、ドライシロップ剤、細粒剤、丸剤カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等を包含する。
【0017】
例えば固形製剤の場合、上記のような諸成分を均一に混合したのち、混合物を公知の手段に従い、錠剤、カプセル剤、散剤、ドライシロップ剤、顆粒剤、細粒剤、および丸剤などの経口投与に適した各種固形製剤に製剤化することができる。
ここにおいて、顆粒剤の粒径分布は、例えば500〜1410μmの粒子90重量%以上、177μm以下の粒子5重量%以下である。また、細粒剤の粒径分布は、例えば10〜500μmの粒子75重量%以上、500μm以上の粒子5重量%以下、10μm以下の粒子10重量%以下である。好ましい細粒剤の粒径分布は、105〜500μmの粒子75重量%以上、500μm以上の粒子5重量%以下、74μm以下の粒子10重量%以下である。
【0018】
錠剤、顆粒剤、細粒剤に関しては耐光性を持たせる遮光のため、腸溶性あるいは持続性の目的のため公知の方法でコーティングしてもよい。コーティング剤としては、例えばエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、アクリル系樹脂(メタアクリル酸・アクリル酸コポリマー、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー等)、シェラック、ポリビニルアセテートフタレート、ポリエチレングリコール、タルク、軽質無水ケイ酸、白糖、アラビアゴム、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、可塑剤としてポリエチレングリコール、および遮光剤として酸化チタン、ベンガラ(黄色三二酸化鉄)等の色素等が用いられる。
コーティング剤の被覆量は、固形製剤の種類に応じて選択すればよい。固形製剤に対するコーティング量は、例えば錠剤では0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜10重量%程度であり、顆粒剤および丸剤では0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%程度であり、細粒剤では0.1〜100重量%、好ましくは1〜50重量%程度である。
【0019】
コーティングに際しては、必要に応じて、一般的に用いられる前記添加剤をコーティング剤に添加して被覆してもよく、コーティング剤と前記添加剤をそれぞれ別々に用いて被覆してもよい。この際、添加剤の使用量は、例えばコーティング剤の固形分に対して約0.1〜70重量%、好ましくは約1〜50重量%、さらに好ましくは約20〜50重量%である。
コーティング方法としては、公知の方法、例えばパンコーティング法、流動コーティング法、転動コーティング法などが採用できる。コーティング剤が、水または有機溶媒を含む溶液または分散液である場合には、スプレーコーティング法も採用できる。有機溶媒の種類は特に限定されず、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等アルコール類;アセトン等のケトン類;クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロンメタン等のハロゲン化炭化水素類等が使用できる。
コーティングの際の温度は、通常25〜60℃、好ましくは25〜40℃である。
また、コーティングに要する時間は、コーティング方法、コーティング剤の特性や使用量、固形製剤の特性などを考慮して適宜選択できる。
【0020】
具体的には、本発明の治療剤は、例えばフィルム錠を得る場合の1例を挙げると、次の方法によって製造することができる。化合物Aまたはその有機酸塩をマンニトール、トウモロコシデンプンと共に結合剤であるヒドロキシプロピルセルロースで造粒し、乾燥する。得られた造粒物を解砕して整粒末とする。この整粒末に滑沢剤であるステアリン酸マグネシウムを加え、混合して打錠用顆粒とする。この顆粒を打錠し裸錠とする。得られた裸錠に、ヒドロキシメチルセルロースを溶解、酸化チタン、黄色三二酸化鉄を分散した液を噴霧しフィルム錠を得る。
【0021】
このようにして得られる軽度認知障害または注意欠陥多動性障害の治療剤は、化合物Aまたはその有機酸塩が変質しにくく、安定である。
【0022】
本発明の治療剤は、その剤形に応じた適当な方法で、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。
本発明の治療剤は、症状、剤形などに応じて、主薬成分の投与量が一般的に成人(体重60kg)において一日につき約0.1ないし約200mg、好ましくは約1ないし約100mg、更に好ましくは約2ないし約50mgとなる範囲で、1回または2〜3回に分けて投与される。
【0023】
本明細書中、「軽度障害群のラット」とは、下記実験例1の実験系において遅延時間を変化させて各正反応率を測定した場合に、遅延時間が0秒では高い正反応(5〜6ヵ月齢の若齢の正反応率の平均値との差が約20%以内)を示すが、遅延時間の延長とともに正反応率が低下するラットとして定義される。
本明細書中、「CR率」とは、当該正反応率として定義される。
本明細書中、「軽度障害群のラットのCR率の向上に有効な化合物」とは、かかる「軽度障害群」に投与した場合(好ましくは約5mg/kg以下、さらに好ましくは約2mg/kg以下、特に好ましくは約1mg/kg以下で投与した場合)に当該CR率が向上する化合物、具体的には、遅延時間5秒、10秒、および20秒でCR率を測定した場合に、無投与(または溶媒投与)と比較して、CR率が有意(P<0.05、paired t検定、Holm法)に向上する(好ましくは差で5%以上、さらに好ましくは差で10%以上向上する)化合物、として定義される。当該化合物の例としては、上記化合物Aまたはその塩が挙げられる。当該化合物は、軽度認知障害および/または注意欠陥多動性障害の治療に有用である。当該化合物は、例えば、化合物Aに準じた方法で製剤化し、投与することができる。
【0024】
【実施例】
更に参考例、実施例、および実験例によって本発明を更に詳しく説明するが、これらは単なる例であって、本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0025】
参考例1
3−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−1−(1−アセチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノンの合成
1−アセチル−4−ピペリジンプロパン酸14.0gをジクロロメタン80mlに懸濁し、15〜25℃に保ちながら塩化チオニル6mlを滴下して、同温で約10分撹拌した。1−アセチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン13.3g及び塩化アルミニウム30gを添加し、溶媒を加熱留去して90〜100℃で約3時間反応した。その後冷却し、反応生成物をジクロロメタン140mlを加えて溶解した。溶解液を氷水140mlに添加し分液した後、水層をジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせて純水で洗浄した。溶媒を濃縮後、酢酸エチルにより再結晶して、3−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−1−(1−アセチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノンを得た。
収量 17.0g
融点 133〜134℃
H−NMR(300MHz,CDCl)単位:ppm
7.82(1H,dd,J=7.85,1.72Hz), 7.74(1H,d,J=1.65Hz), 7.36(1H,d,J=7.87Hz), 4.73(1H,d,J=13.56Hz), 4.62(1H,d,J=13.10Hz), 3.82(1H,d,J=13.44Hz), 3.04(1H,td,J=13.08,2.02Hz), 2.99(2H,t,J=7.43Hz), 2.80(2H,t,J=5.36Hz), 2.56(2H,q,J=14.18Hz), 2.10−1.52(8H,m), 2.09(3H,s), 1.87(3H,s), 1.48−1.30(1H,m), 1.28−1.07(2H,m)
【0026】
参考例2
3−(ピペリジン−4−イル)−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノン・2塩酸塩の合成
参考例1で得た3−(1−アセチルピペリジン−4−イル)−1−(1−アセチル−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノン14.0gに6N塩酸60mlを加えて、加熱還流下約26時間反応した。反応液を冷却して析出する結晶をろ取しアセトンで洗浄して、3−(ピペリジン−4−イル)−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノン・2塩酸塩を得た。
収量 13.2g
H−NMR(300MHz,DO+DMSO)単位:ppm
8.09(1H,dd,J=7.93,1.68Hz), 8.00(1H,d,J=1.59Hz), 7.62(1H,d,J=7.97Hz), 3.51(2H,t,J=5.59Hz), 3.47(2H,d,J=15.75Hz), 3.20(2H,t,J=7.24Hz), 3.10(2H,t,J=5.86Hz), 3.01(2H,td,J=15.69,0.01Hz), 3.10(2H,quintet,J=5.23Hz), 2.04(2H,d,J=13.47Hz), 1.86(2H,quintet,J=5.26Hz), 1.74(2H,t,J=5.85Hz), 1.77−1.71(1H,brs), 1.46(2H,quartet doublet,J=13.06,3.80Hz)
【0027】
参考例3
3−[1−(フェニルメチル)ピペリジン−4−イル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノンの合成
参考例2で得た3−(ピペリジン−4−イル)−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノン・2塩酸塩12.0gをアセトン120mlに懸濁し、炭酸カリウム10.2gを添加した。還流下、純水20ml及びベンジルクロライド4.7gを滴下し、約2時間反応した。反応液に水を加え、室温まで冷却して析出する結晶をろ取し、水−アセトンで洗浄、酢酸エチルから再結晶して、3−[1−(フェニルメチル)ピペリジン−4−イル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノンを得た。
収量 12.2g
融点 117〜118℃
H−NMR(300MHz,CDCl)単位:ppm
7.38(1H,dd,J=7.73,1.66Hz), 7.32(1H,d,J=1.69Hz), 7.32−7.20(5H,m), 7.15(1H,d,J=7.74Hz), 3.91(1H,brs), 3.48(2H,s), 3.05(2H,t,J=5.06Hz), 2.91(2H,t,J=7.45Hz), 2.88(2H,d,J=14.50Hz), 2.80(2H,t,J=5.60Hz), 1.93(2H,t,J=11.26Hz), 1.86−1.76(2H,m), 1.76−1.58(6H,m), 1.40−1.20(3H,m)
【0028】
参考例4
3−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノン・フマル酸塩の合成
参考例3で得た3−[1−(フェニルメチル)ピペリジン−4−イル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノン11.3g及びフマル酸3.7gをエタノール110mlに懸濁し、加熱還流下純水6mlを滴下し溶解した。溶解液を活性炭脱色後、冷却晶出して析出する結晶をろ取し、エタノールで洗浄し減圧乾燥して、3−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノン・フマル酸塩を得た。
収量 13.3g
融点 177〜178℃
H−NMR(300MHz,DMSO)単位:ppm
7.41(1H,d,J=1.59Hz), 7.37−7.23(5H,m), 7.29(1H,dd,J=8.13,1.73Hz), 7.14(1H,d,J=7.81Hz), 6.59(2H,s), 3.61(2H,s), 2.97−2.84(6H,m), 2.70(2H,t,J=4.87Hz), 2.10(2H,t,J=11.49Hz), 1.73−1.63(4H,m), 1.62−1.48(4H,m), 1.40−1.15(3H,m)
【0029】
実施例1
流動層造粒乾燥機(FD−5S,(株)パウレック)中で化合物Aのフマル酸塩(以下、化合物A’と略記する) 440g、マンニトール4070gおよびトウモロコシデンプン605gを均一に混合後、機内で、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)165gを溶解した水溶液を噴霧して造粒し、ついで流動層造粒乾燥機中で乾燥した。得られた造粒物を、パワーミルを用い、1.5mmφパンチングスクリーンで解砕して整粒末とした。この整粒末を4704gとり、これにトウモロコシデンプン161.7gとステアリン酸マグネシウム34.3gを加え、タンブラー混合機で混合して打錠用顆粒とする。この顆粒を打錠機で6.5mmφの杵を用いて重量100mgで打錠し、裸錠とした。得られた裸錠に、ドリアコーターコーティング機中でヒドロキシプロピルメチルセルロース2910(TC−5)を溶解、酸化チタン、黄色三二酸化鉄を分散した液を噴霧し、1錠当たり化合物A’を8mg含有する下記処方のフィルム錠約42000錠を得た。
【表1】
Figure 2004161636
【0030】
実施例2
実施例1に準じて、1錠当たり化合物A’を4mg含有する下記処方のフィルム錠約42000錠を得た。
【表2】
Figure 2004161636
【0031】
実施例3
実施例1に準じて、1錠当たり化合物A’を16mg含有する下記処方のフィルム錠約42000錠を得た。
【表3】
Figure 2004161636
【0032】
実験例1 軽度認知障害の実験モデルの構築
ラットの遅延位置合わせ反応障害に対する老化の影響を試験し、軽度認知障害の実験モデルの構築を行った。
[方法] 5〜6ヵ月齢の若齢および28〜29ヵ月齢の老齢F344雄性ラットを用いた。若齢群10匹、老齢群21匹のラットを使用した。実験に先だって食餌制限を行い常に空腹状態にして実験を行った。実験に用いたオペラント実験箱を図1に示す(図中、符号5はルームランプを示す)。オペラント実験箱の前面パネル1には、3つの大きなサンプル刺激用ランプ2と、そのすぐ下に出し入れが自由なレバー3が設置されている。上記3つのサンプル刺激ランプのうちどれか1つが5秒間点灯したのち、一定の遅延時間をおいて上記3つのレバーが装置内へ出される。ラットは点灯したランプのすぐ下のレバーを押せば1個の餌ペレット(45mg)をフィーダー4から与えられる。最終訓練は72試行からなり、試行間隔を30秒、遅延時間を0、5、10または20秒とした。各遅延時間の試行をランダムに各18試行ずつ行った。若齢ラットおよび老齢ラットともに十分訓練を施したのちテストした。テストでは各遅延時間での正反応率およびレバーが装置内へ出されてからラットがレバーを押すまでの反応潜時について測定した。
[成績]若齢群(10例)と老齢群(21例)の遅延位置合わせ反応を図2に示す(図中のバーは標準誤差を示す)。若齢ラットは遅延時間0秒では約90%の正反応率を示した。遅延時間の延長により、正反応率は若干低下するが20秒の遅延時間でも平均78.3%の高い正反応率を示した。一方、老齢ラットは遅延時間0秒でもすでに74.6%と若齢群に比較し低下し、その低下は遅延時間の延長とともに顕著に低下した。すべての試行での平均正反応率は若齢群で83.2%、老齢群で61.8%であり群間に顕著な差があった(P<0.01、Student’s t検定)。また、レバー提示からレバー押しまでの平均潜時についても、若齢群が0.51秒であったのに対し、0.91秒と有意に延長した(P<0.01、Student’s t検定)。
老齢ラット21例は3つのタイプに分けられた。第一群は若齢群と同じようにすべての遅延時間で高い正反応率を示す群であった(6例)。第二群は遅延時間が0秒では高い正反応を示すが、遅延時間の延長とともに正反応率が低下する軽度障害群であった(9例)。第三群は遅延時間0秒から20秒までいずれの遅延時間でも正反応率が著しく低下している高度障害群である(6例)。老齢ラット3群の遅延位置合わせ反応について図3に示す(図中のバーは標準誤差を示す)。総試行における平均正反応率を比較すると、若齢群の83.2%に対し非障害群79.2%、軽度障害群60.0%、高度障害群46.8%であり、若齢群に比較し軽度障害群および高度障害群において有意な低下が認められた(いずれもP<0.025、 Williamsの片側検定)。総試行での平均反応潜時は、若齢群の0.51秒に対して非障害群0.63秒、軽度障害群1.0秒、高度障害群0.89秒であり、軽度および高度障害群において有意な潜時延長が認められた(いずれもP<0.025、Williamsの片側検定)。
遅延時間に関わらず正反応率が低い高度障害群と異なり、遅延時間の延長とともに正反応率が低下する軽度障害群の挙動は、上記のように定義される軽度認知障害を有するヒトの挙動(症状)に類似するものであり、これにより、軽度認知障害の実験モデルが構築された。特に、本モデルは記憶力、見当識、および判断力の軽度の障害をよく現している。また、この挙動は注意欠陥多動性障害における上記のような不注意(注意欠陥)の症状と類似するものであり、この実験モデルで有効な薬剤は注意欠陥多動性障害の不注意の症状の改善作用を持つと考えられる。
【0033】
実験例2 老齢ラットの軽度認知障害に対する化合物A’、ドネペジルおよびタクリンの作用
[方法] 28〜29ヵ月齢の老齢F344雄性ラットを用いた。実験に先だって食餌制限を行い常に空腹状態にして実験を行った。実験例1のオペラント実験箱を用いて、遅延位置合わせ反応課題を行った。実験例1における老齢ラットのうち軽度障害群のラットを本実験に用いた。化合物A’、ならびにアルツハイマー病治療薬であるドネペジルおよびタクリンの3化合物の評価を独立して行った。各化合物の評価実験は同一のラットが溶媒、化合物の各用量のすべてを経験するようにランダムに3ないし4回にわたって反復して実験を行った。各薬物は試行の開始1時間前に経口投与した。各実験は72試行からなり、試行間隔を30秒とし、遅延時間を0、5、10または20秒とした。各遅延時間の試行をランダムに各18試行ずつ行った。テストでは各遅延時間での正反応率およびレバーが装置内へ出されてからラットがレバーを押すまでの反応潜時について測定した。
[成績]老齢ラットの遅延位置合わせ反応障害に対する化合物A’の作用を平均正反応率(±標準誤差)によって図4に示す。図4から明らかなように、化合物A’投与は老齢ラットの遅延時間延長時の正反応率低下を改善する傾向を示した。総試行での平均正反応率は、溶媒投与対照群が51.2%であったのに対し、化合物A’投与群の0.5、1および2mg/kg投与群ではそれぞれ63.2、69.4および65.9%の正反応率であった。溶媒投与群と比較すると、1mg/kg投与群では有意な改善が認められ(P<0.05、paired t検定、Holmの調整済み)、2 mg/kg投与群では改善傾向が認められた(P<0.1、paired t検定、Holmの調整済み)。
軽度認知障害ラットの反応潜時に対する溶媒、化合物A’(0.5、1および2 mg/kg)投与群の総試行における平均反応潜時は、それぞれ0.92、1.0、0.90および0.88秒であり、軽度認知障害ラットの反応潜時延長に対しては有意な作用を示さなかった。
一方、図5にドネペジル(図5A)およびタクリン(図5B)の作用を平均正反応率(±標準誤差)によって示す。ドネペジル(0.3および1mg/kg)およびタクリン(1および3mg/kg)投与はいずれも軽度認知障害老齢ラットの遅延位置合わせ反応障害に対し、有意な改善作用を示さなかった。また、老齢ラットの反応潜時延長にも無影響であった。
本実験から、化合物A’が軽度認知障害の治療に有効であることが明らかになった。また、アルツハイマー病治療薬が必ずしも軽度認知障害の治療に有効ではないことが確認された。さらに、本実験から、化合物A’が注意欠陥多動性障害の治療に有効であることも推認される。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、有効な軽度認知障害または注意欠陥多動性障害の治療剤が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例で使用されるオペラント実験箱を示す図である。
【図2】若齢群と老齢群の遅延位置合わせ反応を示すグラフである。
【図3】老齢ラット3群の遅延位置合わせ反応を示すグラフである。
【図4】軽度障害ラットの遅延位置合わせ反応障害に対する化合物A’の作用の試験結果を示すグラフである。
【図5】Aは軽度障害ラットに対するドネペジルの作用の試験結果を、およびBは同じくタクリンの作用の試験結果を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 3−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノンまたはその塩を含有してなる、軽度認知障害または注意欠陥多動性障害の治療剤。
  2. 3−[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニル]−1−(2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1−ベンズアゼピン−8−イル)−1−プロパノン・フマル酸塩を含有してなる請求項1記載の治療剤。
  3. 軽度障害群のラットのCR率の向上に有効な化合物を含有してなる軽度認知障害または注意欠陥多動性障害の治療剤。
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