JP2004158123A - Magnetic recording medium - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布型の磁気記録媒体に関する。特に本発明は、優れた電磁変換特性及び耐久性を有する高密度記録に適した磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、磁気記録媒体は、高記録密度化する傾向にあり、厚い磁性層を有する磁気記録媒体における出力低下に起因した記録時の自己減磁損失と再生時の厚み損失とが大きな問題となっている。これまでに磁性層の薄層化が盛んに行われているが、薄層(例えば2μm以下)の磁性層を直接支持体上に形成すると、磁性層表面に非磁性支持体の影響が表れやすくなり、電磁変換特性やドロップアウトの悪化する傾向がみられていた。
【0003】
このような状況に対し、これまで支持体と磁性層の間に、電子線などの放射線により硬化する官能基を有する化合物を塗設した後、放射線を照射して硬化させた平滑層を有する磁気記録媒体が報告されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
しかし、特許文献1〜4の磁気記録媒体では、平滑層と磁性層の密着性が弱く、例えばビデオテープをVTR内で繰り返し走行させると、磁性層の一部が剥離してドロップアウト等が多発し、電磁変換特性が低下すると共に、故障の原因となるという問題があった。
【0005】
一方、塗膜平滑性、電磁変換特性及び走行耐久性を向上するために、磁性層又は非磁性層に含まれる結合剤として放射線硬化型のポリウレタンを使用した磁気記録媒体が報告されている(例えば、特許文献5参照)。しかるに、特許文献5の磁気記録媒体では、磁性層の平滑性は未だ充分とは言えず、特に高記録密度化のために用いられる磁気記録媒体としては充分な電磁変換特性が得られないという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特公平5−57647号公報(特許請求の範囲、第2頁右欄第4行目〜第24行目)
【特許文献2】
特開昭60−133529号公報(特許請求の範囲(1)、第2頁右上欄第3行目〜第16行目)
【特許文献3】
特開昭60−133530号公報(特許請求の範囲(1)、第2頁右上欄第4行目〜欄第2〜第17行目)
【特許文献4】
特開昭60−133531号公報(特許請求の範囲(1)、第2頁右上欄第3行目〜欄第2〜第16行目)
【特許文献5】
特開2002−117521号公報(請求項1、2、第3頁段落[0008]〜[0010])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、優れた塗膜平滑性が得られ、かつ優れた電磁変換特性及び走行耐久性を有する磁気記録媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、塗布型の磁気記録媒体において、磁性層表面の平滑性を向上し、磁性層の密着性を高め、かつ優れた走行耐久性を得るための手段を鋭意検討した。その結果、優れた塗膜平滑性が得られ、かつ優れた電磁変換特性及び耐久性を有する磁気記録媒体の開発に成功し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の目的は、以下の磁気記録媒体により達成される。
(1)非磁性支持体上に、放射線硬化型樹脂を放射線硬化して得られた平滑層と、少なくとも強磁性粉末及びポリウレタンを含有する結合剤を含む磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体であって、前記ポリウレタンが脂肪族二塩基酸を含む二塩基酸とアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールから得られたポリエステルポリオールと、アルキル分岐側鎖を有する脂肪族ジオールと、ジイソシアネートとを重合して得られたものであることを特徴とする磁気記録媒体。
(2)非磁性支持体上に、放射線硬化型樹脂を放射線硬化して得られた平滑層と、非磁性粉末及び/又は強磁性粉末並びにポリウレタンを含有する結合剤を含む中間層と、強磁性粉末及び結合剤を含む磁性層とをこの順に有する磁気記録媒体であって、前記ポリウレタンが脂肪族二塩基酸を含む二塩基酸とアルキル分岐側鎖を有する環状構造を持たない脂肪族ジオールから得られたポリエステルポリオールと、アルキル分岐側鎖を有する脂肪族ジオールと、ジイソシアネートとを重合して得られたものであることを特徴とする磁気記録媒体。
(3)前記放射線硬化型樹脂の25℃における粘度が300mPa・sある(1)又は(2)に記載の磁気記録媒体。
(4)前記放射線硬化型化合物の分子量が2000以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(5)前記ポリウレタン樹脂のウレタン基濃度が2.5〜4.5mmol/gである(1)〜(4)に記載の磁気記録媒体。
(6)前記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量(Mw)が30,000〜150,000である(1)〜(5)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(7)前記ポリウレタン樹脂が−SO3M、−OSO3M、−PO3M2及び− COOM(但し、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムから選ばれる) から選ばれる少なくとも一種の極性基を1×10−5〜5×10−4eq/g含有 する(1)〜(6)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(8)前記ポリウレタン樹脂のガラス転移温度が30〜200℃である(1)〜(7)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
(9)磁性層に磁気記録された信号を磁気抵抗型磁気ヘッドで再生する磁気記録再生システムで用いるための(1)〜(8)のいずれかに記載の磁気記録媒体
。
(10)磁性層に磁気記録された信号をMRヘッドで再生する磁気記録再生システムで用いるための(1)〜(9)のいずれかに記載の磁気記録媒体。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の磁気記録媒体における実施の態様についてさらに詳細に説明する。
[平滑層]
本発明は、非磁性支持体上に放射線硬化型化合物を放射線硬化して得られた平滑層を有する。本発明では、この平滑層を有することにより、磁性層を極めて平滑な塗膜にすることができるため、優れた電磁変換特性が得られる。
【0011】
放射線硬化型化合物は、放射線、例えば、電子線、紫外線などによるエネルギーが与えられると重合又は架橋反応により高分子化し、かつ硬化する反面、これらのエネルギーが与えられない限り重合又は架橋反応が進まないという性質を有する化合物である。そのため、放射線硬化型化合物を含む塗布液は、放射線を照射しない限り粘度が安定しており、高い塗膜平滑性が得られる。さらに放射線硬化型化合物は、放射線による高いエネルギーにより瞬時に反応が進むため、高い塗膜強度も得られる。
【0012】
放射線硬化型化合物は、一般に数mPa・s〜300mPa・sという比較的低粘度の樹脂である。したがって、放射線硬化型化合物を含む平滑層用塗料を非磁性支持体上に塗布することにより、レベリング効果により非磁性支持体上の微小突起を遮蔽し、平滑な表面を有する非磁性支持体を得ることができる。そして、その平滑層上に非磁性層用塗料及び/又は磁性層用塗料を塗布することにより、優れた平滑性を有する磁性層が得られ、ひいては優れた電磁変換特性を有する磁気記録媒体が得られる。特に、この効果は、磁性層の厚みが2.0μm以下の比較的薄い場合に顕著であり、例えば、MRヘッドを用いた磁気記録においてノイズとなりやすい磁性層表面の微小突起を有効に低減できる。
【0013】
本発明における放射線硬化型化合物としては、放射線官能性二重結合を有する化合物であり、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリル酸エステル類、メタクリル酸アミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類などを挙げることができる。官能基数が多く、あるいは官能基濃度が高すぎると、放射線硬化した際に収縮が大きくなり、非磁性支持体との密着力が低下しすぎる。そこで、官能基数は2〜4程度であることが適当であり、2〜3程度であることが好ましく、中でも2官能のアクリレート化合物又はメタクリレート化合物が好ましい。
【0014】
本発明において放射線硬化型化合物の分子量は、2000以下であることが適当であり、1000以下であることが好ましく、200〜600であることがさらに好ましい。また、本発明において放射線硬化型化合物の粘度は、25℃において300mPa・s以下であり、5〜200mPa・sであることが好ましく、10〜100mPa・sであることがさらに好ましい。
【0015】
本発明で用いられる放射線硬化型化合物の具体例としては、例えば、以下のようなものを挙げることができる。
(1)官能基を2つ持つ放射線硬化型化合物
エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート;
シクロヘキサンジオールジアクリレート、シクロヘキサンジオールジメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールのジメタクリレート、水素化ビスフェノールAのジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジメタクリレート、水素化ビスフェノールFのジアクリレート、水素化ビスフェノールFのジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジメタクリレートなど脂環族ジオールのアクリレート化合物、メタクリレート化合物;
ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、などポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオーテルポリオールにアクリル酸又はメタクリル酸を付加したポリエーテルアクリレート、ポリエーテルメタクリレート。
【0016】
官能基を2つ持つ放射線硬化型化合物は、公知の二塩基酸、グリコールから得られたポリエステルポリオールにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレートを用いることもできる。さらに、公知のポリオール、ジオールとポリイソシアネートを反応させたポリウレタンにアクリル酸、メタクリル酸を付加させたポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタクリレートを用いてもよい。さらに、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールFやこれらのアルキレンオキサイド付加物にアクリル酸、メタクリル酸を付加させたものやイソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性ジメタアクリレートなども用いることもできる。
【0017】
(2)官能基を3つ持つ放射線硬化型化合物
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリメタクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ヒドロシキピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリメタクリレート。
【0018】
(3)官能基を4つ以上持つ放射線硬化型化合物
例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサアクリレートなど。
【0019】
上記の放射線硬化型化合物は、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジアクリレート、水素化ビスフェノールAのジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールのジメタクリレートを用いることが特に好ましい。
上記の放射線硬化型化合物は、任意の割合で混合して使用することができる。
【0020】
市販されている具体的な放射線硬化型化合物としては、例えば、日本化薬製KAYARAD R−684、共栄社化学製ライトアクリレートDCP−A、大日本インキ製LUMICURE DCA−200などを挙げることができる。
【0021】
本発明の平滑層では、上記の放射線硬化型化合物に加えて、さらに、「低エネルギー電子線照射の応用技術(2000年 (株)シーエムシー発行)」「UV・EB硬化技術(1982年 (株)総合技術センター発行)」などに記載されている公知の1官能アクリレート又はメタクリレート化合物を併用することができ、これらを反応性希釈剤として用いることができる。反応性希釈剤は、平滑層用塗料の物性や硬化反応を調整する機能を有する。
【0022】
併用可能な化合物の具体例としては、1分子中に放射線硬化官能基を1個有する1官能基アクリレート化合物が挙げられ、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリレートは、メタクリレート及びアクリレートを包含する意味で用いられる。
【0023】
併用可能な化合物の含有量は、本発明で用いられる放射線硬化型化合物100質量部に対して10〜90質量部、好ましくは、20〜50質量部であることが好ましい。
【0024】
本発明では、必要に応じて平滑層用塗料に溶媒を溶解することができる。そのような溶媒として、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、メタノール、エタノール、トルエン等を用いることが好ましい。
【0025】
上記の平滑層用塗料は、非磁性支持体上に塗布し、乾燥した後に放射線を照射して硬化するが、硬化後の平滑層のガラス転移温度(Tg)は、80〜150℃であることが好ましく、さらに好ましくは100〜130℃である。Tgが80℃以上であれば、塗布工程で粘着故障を起こさず、またTgが150℃以下であれば塗膜が脆くなることはない。
【0026】
本発明における平滑層は、上記の放射線硬化型化合物を含む平滑層用塗料を非磁性支持体上に塗布した後、放射線を照射して硬化して得られる。放射線照射により放射線硬化型化合物の重合又は架橋反応が進み、平滑層は高い塗膜強度が得られる。
本発明において使用される放射線は、上記したように電子線や紫外線であることができる。紫外線を使用する場合には平滑層用塗料に光重合開始剤を添加することが必要となる。電子線硬化の場合、重合開始剤は不要であり、透過深さも深いので好ましい。
【0027】
電子線加速器としては、スキャニング方式、ダブルスキャニング方式あるいはカーテンビーム方式が採用できる。好ましくは、比較的安価で大出力が得られるカーテンビーム方式である。電子線特性としては、加速電圧が通常、30〜1000kV、好ましくは50〜300kVであり、吸収線量として通常、0.5〜20Mrad、好ましくは2〜10Mradである。加速電圧が30kV以上であれば、エネルギーの透過量としては充分であり、300kV以下であれば、重合に用いられるエネルギー効率が低下して不経済となることはない。
【0028】
電子線を照射する雰囲気は、窒素パージにより酸素濃度を200ppm以下にすることが好ましい。酸素濃度200ppm以下であれば、放射線硬化型樹脂の表面近傍における架橋、硬化反応が阻害されることはない。
【0029】
紫外線光源としては、水銀灯が用いられる。水銀灯は20〜240W/cmのランプを用い、速度0.3〜20m/分で使用される。基体と水銀灯との距離は一般に1〜30cmであることが好ましい。
【0030】
紫外線硬化を行う場合、使用される光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤を挙げられる。詳細は、例えば「新高分子実験学第2巻 第6章 光・放射線重合」(共立出版1995発行、高分子学会編)記載されているものを使用できる。具体例としては、アセトフエノン、ベンゾフエノン、アントラキノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルメチルケタール、ベンジルエチルケタール、ベンゾインイソブチルケトン、ヒドロキシジメチルフエニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフエニルケトン、2−2ジエトキシアセトフエノンなどがある。
【0031】
光重合開始剤の含有量は、本発明で用いられる放射線硬化型樹脂100質量部に対し通常、0.5〜20質量部、好ましくは2〜15質量部、さらに好ましくは3〜10質量部である。
【0032】
本発明において、放射線照射は磁性層を塗布、乾燥、カレンダ処理した後に行うのが好ましい。放射線照射前の磁性層は柔らかくカレンダ処理により平滑化されやすい。カレンダ処理した後巻き取り、放射線を未照射の状態で長時間保存するとバック面の凹凸が転写して表面が粗くなることがある。したがって、カレンダ処理後、できるだけ早く放射線を照射し磁性層を硬化させることが好ましい。カレンダ処理と放射線照射工程を一貫で行うことはさらに好ましい。
【0033】
放射線硬化装置、条件などについては「UV・EB硬化技術」((株)総合技術センター発行)や「低エネルギー電子線照射の応用技術」(2000、(株)シーエムシー発行)などに記載されている公知のものを用いることができる。
【0034】
[ポリウレタン樹脂]
本発明において、上層磁性層又は中間層(非磁性層若しくは磁性層)で用いられる結合剤は、ポリエステルポリオールと鎖延長剤とジイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタン樹脂を含む。
前記ポリウレタン樹脂は、前述の平滑層との密着力が高く、例えば、テープ状磁気記録媒体の場合、テープをスリットする工程でのテープエッジ部における磁性層の剥離及び脱落を改善することができる。その結果、脱落した磁性層の微小片が記録再生特性に悪影響を及ぼすことも少なく、例えばコンピューター用のテープではエラーレートを低減し、またビデオテープではドロップアウト故障を低減することができる。
【0035】
前記ポリウレタン樹脂の原料となるポリエステルポリオールは、二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含む。脂肪族二塩基酸は、溶剤溶解性の低い環状構造をもたないので、溶剤中へ均一に溶解することができる。ポリエステルポリオールに用いることができる脂肪族二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸などを挙げることができる。これらのなかでも好ましいものは、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸である。ポリエステルポリオールの全二塩基酸成分のうち、脂肪族二塩基酸の含量が70モル%〜100モル%であることが、良好な溶解性を得るために好ましい。
【0036】
本発明において、上記ポリエステルポリオールに含まれるジオール成分は、アルキル分岐側鎖を有し、かつ環状構造をもたない脂肪族ジオールである。ポリエステルポリオール中のジオール成分にアルキル分岐側鎖を有することにより、ウレタン結合やエステル結合同士の会合を立体障害的に防止されるため、分子間相互作用が低減され結合剤の溶解性を向上することができる。また、芳香環やシクロヘキサン環などの溶解性の低い環状構造を持たないことによっても結合剤の溶解性を高めることができる。これにより、結合剤が溶剤中へ均一に溶解され、磁性体や非磁性粉末を高度に分散することが可能になる。
【0037】
ポリエステルポリオールのジオール成分として用いることができるアルキル分岐脂肪族ジオールとしては、例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−エチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジブチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジプロピル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジプロピル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、3−ブチル−3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、3−ブチル−1,5−ペンタンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2−プロピル−1,6−ヘキサンジオール、2−ブチル−1,6−ヘキサンジオール、5−エチル−1,9−ノナンジオール、5−プロピル−1,9−ノナンジオール、5−ブチル−1,9−ノナンジオールなどが挙げられる。
中でも好ましいものは、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールである。ポリエステルポリオールの全ジオール成分中の分岐側鎖を有する脂肪族ジオールの含量は、良好な溶解性を得るために、50〜100モル%が好ましく、さらに好ましくは70〜100モル%である。
【0038】
本発明の結合剤中のポリウレタン樹脂の原料となる鎖延長剤は、アルキル側鎖を持つ脂肪族ジオールを含む。アルキル分子側鎖を持つことにより、ウレタン結合やエステル結合同士の会合を立体障害的に防止することができるので分子間相互作用が低減され結合剤の溶解性を向上することができる。前記鎖延長剤は、アルキル分岐側鎖を有し、かつ環状構造を持たない脂肪族ジオールであることもできる。鎖延長剤が芳香環やシクロヘキサン環などの環状構造を持たないことにより、結合剤が溶剤中へ均一に溶解され、磁性体や非磁性粉末を高度に分散することが可能になる。本発明において、鎖延長剤は前記ポリエステルポリオールに含まれるジオール成分と同一であってもよく、異なるものであってもよい。
【0039】
本発明において、好ましい鎖延長剤としては、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールである。ポリウレタン樹脂中のアルキル分岐側鎖を有する脂肪族ジオールからなる鎖延長剤の含有量は、5〜30質量%が好ましく、10〜20質量%であることがさらに好ましい。
【0040】
結合剤中のポリウレタン樹脂の原料となるジイソシアネートは、公知のものを用いることができ、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2−ニトロジフェニル−4.4’−ジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、o−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,4−ジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネートなどを挙げることができる。好ましくは、TDI(トリレンジイソシアネート)、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)、p−フェニレンジイソシアネート、o−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどを用いることができる。
【0041】
本発明において、ポリウレタン樹脂中のイソシアネートの含有量は、下記のウレタン基濃度の範囲内になるように適宜設定することができる。
【0042】
上記ポリウレタン樹脂中のウレタン基濃度は、2.5〜4.5mmol/gであることが好ましく、より好ましくは3.0〜4,0mmol/gであることが適当である。ウレタン基濃度が2.5mmol/g以上であれば、塗膜のガラス転移温度(Tg)が向上し、耐久性が向上する。また、ウレタン基濃度が過度に高い場合には、必然的にポリオールを含有できなくなることにより分子量コントロールが困難になるなどの合成上の不都合が生じるため、かかる不都合を回避するために、ウレタン基濃度が4.5mmol/g以下であることが好ましい。
【0043】
結合剤中のポリウレタン樹脂は、重量平均分子量が30,000〜150,000であることが好ましく、より好ましくは40,000〜100,000であることが適当である。重量平均分子量が30,000以上であることにより、高い塗膜強度及び優れた耐久性を得ることができ、150,000以下であると溶剤への溶解性が良好であり結合剤の分散性を向上させることができる。
【0044】
本発明において、結合剤中のポリウレタン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、30〜200℃であることが好ましく、より好ましくは70〜180℃、さらに好ましくは80〜170℃であることが適当である。ガラス転移温度が40℃以上であれば、高温での塗膜強度が良好であり、200℃以下であれば、カレンダ成形性に優れ、電磁変換特性が良好である。
【0045】
上記ポリウレタン樹脂の極性基としては、−SO3M、−OSO3M、−P03M2、−COOM(但し、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモニウムから選ばれる)が好ましく、さらに好ましくは−SO3M、−OS03Mであることが適当である。極性基の含有量は、1×10−5〜5×10−4eq/gであることが好ましい。1×10−5eq/g以上であると、磁性体や非磁性粉体への吸着性が高く分散性が良好であり、5×10−4eq/g以下であることで高い溶剤溶解性を得ることができる。
【0046】
ポリウレタン樹脂中のOH基含有量は、1分子当たり2〜20個であることが好ましく、さらに好ましくは1分子当たり3〜15個であることが適当である。1分子当たり2個以上のOH基を含むことにより、磁性体や非磁性粉体への吸着性が高く分散性が良好であり、1分子当たりのOH基含有量が20個以下であることで高い溶剤溶解性を得ることができる。
【0047】
[その他の結合剤成分]
本発明において、結合剤には上記ポリウレタン樹脂以外に、その他の結合剤成分として、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独あるいは複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましい結合剤成分は、塩化ビニル系樹脂及びアクリル系樹脂である。
【0048】
上記結合剤成分には、磁性体、非磁性粉体の分散性を向上させるため、これらの粉体表面に吸着する官能基(極性基)を持つことが好ましい。好ましい官能基としては−SO3M、−SO4M、−PO(OM)2、−OPO(OM)2 、−COOM、>NSO3M、>NRSO3M、−NR1R2 、−N+R1R2R3X− などがある。ここでMは水素又はNa、Kなどのアルカリ金属、Rはアルキレン基、R1、R2、R3はアルキル基又はヒドロキシアルキル基又は水素、XはCl、Brなどのハロゲンである。結合剤中の官能基の量は10μeq/g〜200μeq/gが好ましく、さらに好ましくは30μeq/g〜120μeq/gであることが適当である。この範囲内であると、分散性が良好である。またこのほかに、OH基などの活性水素を持つ官能基を含んでいてもかまわない。
【0049】
塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルモノマーに種々のモノマーと共重合したものを用いることができる。共重合モノマーとしては酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル類、 メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどのアクリレート、メタクリレート類、アリルメチルエーテル、アリルエチルエーテル、アリルプロピルエーテル、アリルブチルエーテルなどのアルキルアリルエーテル類、その他スチレン、α−メチルスチレン、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、エチレン、ブタジエン、アクリルアミドを用いることができ、更に官能基をもつ共重合モノマーであるビニルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、3−ヒドロキシプロピルアリルエーテル、p−ビニルフェノール、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ホスホエチル(メタ)アクリレート、スルホエチル(メタ)アクリレート、p−スチレンスルホン酸、及びこれらのNa塩、K塩などを用いることができる。塩化ビニル系樹脂中の塩化ビニルモノマーの組成は60〜95質量%であることが好ましい。この範囲内であれば、力学強度が高く、さらに溶剤溶解性が高いため塗布液粘度が低く、分散性が良好である。
【0050】
吸着官能基(極性基)の導入方法は、上記の官能基含有モノマーを共重合しても良いし、塩化ビニル系樹脂を共重合した後、高分子反応で官能基を導入してもよい。好ましい重合度は200〜600であり、さらに好ましくは240〜450である。この範囲内であれば力学強度が高く、また、溶液粘度が低いため分散性が良好であり好ましい。
【0051】
上記ポリウレタン樹脂以外のその他の結合剤成分の分子量は、重量平均分子量(Mw)で20,000〜200,000であることが好ましく、さらに好ましくは20,000〜80,000であることが適当である。この範囲内であれば、塗膜強度及び塗布液粘度が良好である。
【0052】
上記ポリウレタン樹脂は、温度計、攪拌機及び還流式冷却器などを用いて、予め作製したポリエステルポリオールに鎖延長剤及びイソシアネートを反応させて作製することができる。ポリエステルポリオールは、所定のモル%の脂肪族二塩基酸とジオールを混合して触媒(例えば酢酸亜鉛、酢酸ナトリウムなど)の存在下で、エステル交換反応と重縮合反応により得ることができる。得られたポリエステルポリオールを鎖延長剤及びイソシアネートと重付加反応させることによりポリウレタン樹脂を得ることができる。
【0053】
本発明では、三層以上の層構成を有する場合、上記結合剤は、上層磁性層だけではなく、中間層磁性層又は中間層非磁性層の結合剤としても使用することができる。上記結合剤の含有量は、磁性層(上層及び中間層を含む)の場合は強磁性粉末100質量部に対して、非磁性層の場合は非磁性粉末100質量部に対して5〜30質量部が好ましく、さらに好ましくは10〜20質量部であることが適当である。
【0054】
次に、本発明の磁気記録媒体を構成する上層磁性層、中間層(非磁性又は磁性層)、非磁性支持体、バックコート層、層構成、製造方法、物理特性について説明する。
【0055】
[上層磁性層]
<強磁性粉末>
本発明において、上層磁性層に含まれる強磁性金属粉末としては、例えばα−Feを主成分とする強磁性金属粉末を挙げることができる。強磁性金属粉末には所定の原子以外にAl、Si、Ca、Mg、Ti、Cr、Cu、Y、Sn、Sb、Ba、W、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、Al、Ca、Mg、Y、Ba、La、Nd、Sm、Co、Niの少なくとも1つをα−Fe以外に含むことが好ましい。Coは、Feと合金を作ると飽和磁化が増加し、かつ減磁が改良されるので特に好ましい。Coの含有量はFeに対して1〜40原子%が好ましく、さらに好ましくは15〜35原子%、より好ましくは20〜35原子%である。
【0056】
Y等の希土類元素の含有量は、1.5〜12原子%であることが好ましく、3〜10原子%であることがより好ましく、4〜9原子%であることがさらに好ましい。Alは1.5〜12原子%であることが好ましく、3〜10原子%であることがより好ましく、4〜9原子%であることがさらに好ましい。Yを含む希土類やAlは焼結防止剤として機能しており、組み合わせて使用することでより高い焼結防止効果が得られる。これらの強磁性粉末にはあとで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。
【0057】
具体的には、特公昭44−14090号公報、特公昭45−18372号公報、特公昭47−22062号公報、特公昭47−22513号公報、特公昭46−28466号公報、特公昭46−38755号公報、特公昭47−4286号公報、特公昭47−12422号公報、特公昭47−17284号公報、特公昭47−18509号公報、特公昭47−18573号公報、特公昭39−10307号公報、特公昭46−39639号公報、米国特許第3026215号明細書、同3031341号明細書、同3100194号明細書、同3242005号明細書、同3389014号明細書等に記載されている。
【0058】
強磁性金属粉末には少量の水酸化物又は酸化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末の公知の製造方法により得られたものを用いることができ、下記の方法を挙げることができる。
焼結防止処理を行った含水酸化鉄、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFe又はFe−Co粒子などを得る方法、複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて粉末を得る方法などである。このようにして得られた強磁性金属粉末は、公知の徐酸化処理する。含水酸化鉄、酸化鉄を水素などの還元性気体で還元し、酸素含有ガスと不活性ガスの分圧、温度、時間を制御して表面に酸化皮膜を形成する方法が、減磁量が少なく好ましい。
【0059】
本発明において磁性層に含まれる強磁性金属粉末のBET法による比表面積(SBET)は、45〜80m2/gであり、好ましくは50〜70m2/gである。比表面積(SBET)が45〜80m2/gであれば、ノイズを抑えることができ、かつ平滑な表面を得ることができるため好ましい。本発明の上層磁性層における強磁性金属粉末の結晶子サイズは8〜35nm(80〜350Å)であり、好ましくは10〜25nm(100〜250Å)、さらに好ましくは14〜20nm(140〜200Å)である。強磁性金属粉末の平均長軸長は、0.02〜0.25μmであり、0.05〜0.15μmであることが好ましく、0.06〜0.1μmであることがさらに好ましい。
【0060】
強磁性金属粉末の平均針状比(長軸長/短軸長の平均)は、3〜15であることが好ましく、5〜12であることがさらに好ましい。強磁性金属粉末の飽和磁化σsは、通常、100〜180A・m2/kgであり、110〜170A・m2/kgであることが好ましく、125〜160A・m2/kgであることがさらに好ましい。強磁性金属粉末の抗磁力(Hc)は、111〜279kA/m(1400〜3500 Oe)が好ましく、143〜239kA/m(1800〜3000 Oe)であることがさらに好ましい。
【0061】
強磁性金属粉末の含水率は0.01〜2質量%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性金属粉末の含水率は最適化するのが好ましい。強磁性金属粉末のpHは、用いる結合剤との組み合わせにより最適化することが好ましい。その範囲は4〜12であるが、好ましくは6〜10である。強磁性金属粉末のSA(ステアリン酸)吸着量(表面の塩基性点の尺度)は1〜15μmol/m2であり、2〜10μmol/m2であることが好ましく、3〜8μmol/m2であることがさらに好ましい。ステアリン酸吸着量が多い強磁性金属粉末を使用する場合には、表面に強く吸着する有機物で表面修飾して磁気記録媒体を作成することが好ましい。強磁性粉末は必要に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表面処理を施してもかまわない。その量は強磁性粉末に対し0.1〜10%であることが適当であり、表面処理を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2以下になり好ましい。強磁性金属粉末には可溶性のNa、Ca、Fe、Ni、Sr、NH4、SO4、Cl、NO2、NO3などの無機イオンを含む場合がある。これらは、本質的にない方が好ましい。各イオンの総和が300ppm以下程度であれば、特性には影響しない。また、本発明に用いられる強磁性金属粉末は、空孔が少ない方が好ましく、その値は20容量%以下であり、5容量%以下であることがさらに好ましい。形状については、先に示した粉体サイズ、磁気特性を満足すれば針状、米粒状、紡錘状のいずれでもかまわない。強磁性金属粉末自体のSFD(switching field distribution)は小さい方が好ましく、0.8以下が適当であり、強磁性粉末のHc分布を小さくすることが好ましい。SFDが0.8以下であると、電磁変換特性が良好で、出力が高く、また、磁化反転がシャープでピークシフトも少なくなり、高密度デジタル磁気記録に好適である。抗磁力(Hc)分布を小さくするためには、強磁性金属粉末においてはゲータイトの粒度分布をよくする、単分散α−Fe2O3を使用する、粒子間の焼結を防止するなどの方法がある。
【0062】
<六方晶系フェライト強磁性粉末>
本発明の上層磁性層の強磁性粉末としては、六方晶系フェライト強磁性粉末も使用できる。六方晶系フェライト強磁性粉末としてバリウムフェライト、ストロンチウムフェライト、鉛フェライト、カルシウムフェライトの各置換体、Co置換体等がある。具体的には、マグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト、スピネルで粒子表面を被覆したマグネトプランバイト型フェライト、さらに一部スピネル相を含有したマグネトプランバイト型のバリウムフェライト及びストロンチウムフェライト等が挙げられ、その他所定の原子以外にAl、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、Mn、Zn、Ni、Sr、B、Ge、Nbなどの原子を含んでもかまわない。一般にはCo−Ti、Co−Ti−Zr、Co−Ti−Zn、Ni−Ti−Zn、Nb−Zn−Co、SbーZn−Co、Nb−Znなどの元素を添加した物を使用することができる。原料・製法によっては特有の不純物を含有するものもある。
【0063】
粒子サイズは六角板径で10〜200nm、好ましくは20〜100nmであることが適当である。10nm以上であれば熱揺らぎが少なく安定な磁化を得ることができ、200nm以下であればノイズが低減されるため、高密度磁気記録には好適である。なお、磁気抵抗ヘッドで再生する場合は、低ノイズにする必要があり、板径は40nm以下が好ましい。板状比(板径/板厚)は1〜15が好ましく、より好ましくは2〜7であることが適当である。板状比が小さいと磁性層中の充填性は高くなり好ましいが、十分な配向性が得られない。15より大きいと粒子間のスタッキングによりノイズが大きくなる。この粒子サイズ範囲のBET法による比表面積は10〜200m2/gを示す。前記比表面積は、概ね粒子板径と板厚からの算術計算値と一致する。結晶子サイズは50〜450Å、好ましくは100〜350Åである。粒子板径・板厚の分布は通常狭いほど好ましい。数値化は困難であるが粒子TEM写真より500粒子を無作為に測定することで比較できる。分布は正規分布ではない場合が多いが、計算して平均サイズに対する標準偏差で表すとσ/平均サイズ=0.1〜2.0である。粒子サイズ分布をシャープにするには粒子生成反応系をできるだけ均一にすると共に、生成した粒子に分布改良処理を施すことも行われている。例えば、酸溶液中で超微細粒子を選別的に溶解する方法等も知られている。磁性体で測定される抗磁力Hcは40〜400kA/m(500〜5000 Oe)程度まで作成できる。Hcは高い方が高密度記録に有利であるが、記録ヘッドの能力で制限される。通常64kA/m(800 Oe)から318kA/m(4000 Oe)程度であるが、好ましくは119kA/m(1500 Oe)以上、279kA/m(3500 Oe)以下である。ヘッドの飽和磁化が1.4テスラーを越える場合は、159kA/m(2000 Oe)以上にすることが好ましい。Hcは粒子サイズ(板径・板厚)、含有元素の種類と量、元素の置換サイト、粒子生成反応条件等により制御できる。飽和磁化σsは40〜80A・m2/kg(40〜80emu/g)である。飽和磁化σsは高い方が好ましいが、微粒子になるほど小さくなる傾向がある。飽和磁化σs改良のため、マグネトプランバイトフェライトにスピネルフェライトを複合すること、含有元素の種類と添加量の選択等がよく知られている。またW型六方晶フェライトを用いることも可能である。
【0064】
六方晶系フェライトを分散する際に六方晶系フェライトの表面を分散媒、ポリマーに合った物質で処理することも行われている。表面処理剤は無機化合物、有機化合物が使用される。主な化合物としてはSi、Al、P、等の酸化物または水酸化物、各種シランカップリング剤、各種チタンカップリング剤が代表例である。量は六方晶系フェライト強磁性粉末に対して0.1〜10%であることが適当である。六方晶系フェライトのPHも分散に重要である。通常4〜12程度で分散媒、ポリマーにより最適値があるが、媒体の化学的安定性、保存性から6〜10程度が選択される。磁性体に含まれる水分も分散に影響する。分散媒、ポリマーにより最適値があるが通常0.01〜2.0%が選ばれる。
【0065】
六方晶フェライトの製法としては、▲1▼酸化バリウム・酸化鉄・鉄を置換する金属酸化物とガラス形成物質として酸化ホウ素等を所望のフェライト組成になるように混合した後溶融し、急冷して非晶質体とし、次いで再加熱処理した後、洗浄・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得るガラス結晶化法、▲2▼バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後100℃以上で液相加熱した後洗浄・乾燥・粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る水熱反応法、▲3▼バリウムフェライト組成金属塩溶液をアルカリで中和し、副生成物を除去した後乾燥し1100℃以下で処理し、粉砕してバリウムフェライト結晶粉体を得る共沈法などがあるが、本発明は製法を選ばない。
【0066】
<結合剤>
本発明において、上層磁性層で使用できる結合剤としては、前記のポリウレタン樹脂を含有する結合剤のほか、さらに従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物を使用することができる。
熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子量が1,000〜200,000、好ましくは10,000〜100,000、重合度が約50〜1000程度のものを使用することができる。
【0067】
このような熱可塑性樹脂の例としては、塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル等を構成単位として含む重合体又は共重合体、各種ゴム系樹脂がある。また、熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アクリル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシーポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物等が挙げられる。これらの樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブック」に詳細に記載されている。
【0068】
これらの例とその製造方法については、特開昭62−256219号公報に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独又は組み合わせて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組み合わせ、又はこれらにポリイソシアネートを組み合わせたものが挙げられる。
【0069】
本発明に用いられるこれらの結合剤の具体例としては、塩化ビニル系共重合体として、ユニオンカ−バイト社製VAGH、VYHH、VMCH、VAGF、VAGD、VROH、VYES、VYNC、VMCC、XYHL、XYSG、PKHH、PKHJ、PKHC、PKFE、日信化学工業社製MPR−TA、MPR−TA5、MPR−TAL、MPR−TSN、MPR−TMF、MPR−TS、MPR−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000W、DX80、DX81、DX82、DX83、100FD、日本ゼオン社製MR−104、MR−105、MR110、MR100、MR555、400X−110A、ポリウレタン樹脂として日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N2302、N2304、大日本インキ社製パンデックスT−5105、T−R3080、T−5201、バ−ノックD−400、D−210−80、クリスボン6109、7209、東洋紡社製バイロンUR8200、UR8300、UR−8700、RV530、RV280、大日精化社製ポリカーボネートポリウレタン、ダイフェラミン4020、5020、5100、5300、9020、9022、7020、三菱化成社製ポリウレタン、MX5004、三洋化成社製ポリウレタン、サンプレンSP−150、旭化成社製ポリウレタン、サランF310、F210などが挙げられる。
【0070】
上層磁性層で用いられる結合剤は、強磁性粉末100質量部に対し、5〜30質量部、好ましくは10〜20質量部の範囲で用いることができる。
【0071】
上記の各成分を、通常、上層磁性層用塗料の調製の際に使用されているメチルエチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチルなどの溶剤とともに混練分散して上層磁性層用塗料とする。混練分散は通常の方法に従って行うことができる。尚、上層磁性層用塗料中には、上記成分以外に硬化剤、α−Al2O3、Cr2O3などの研磨剤、カーボンブラックなどの帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオイルなどの潤滑剤、分散剤など通常使用されている添加剤又は充填剤を含んでもよい。
【0072】
本発明の上層磁性層で用いられる硬化剤はイソシアネート系硬化剤であることが好ましい。具体的には3官能基以上のイソシアネート類を用いることが好ましい。
イソシアネート類の市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社製コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、武田薬品社製タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、住友バイエル社製デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL等があり、これらを単独又は硬化反応性の差を利用して2つ若しくはそれ以上の組み合わせて用いることができる。
【0073】
<カーボンブラック>
本発明の磁気記録媒体の上層磁性層で使用されるカーボンブラックとしては、ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を挙げることができる。比表面積は5〜500m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100g、平均粒子径は5〜300nm、pHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlであることが好ましい。
【0074】
本発明の上層磁性層に用いられるカーボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、700、VULCANXC−72、旭カーボン社製#80、#60、#55、#50、#35、三菱化成工業社製#2400B、#2300、#900、#1000、#30、#40、#10B、コンロンビアカーボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN 150、50、40、15などが挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用して表面の一部をグラファイト化したりしたものを使用してもかまわない。 また、カーボンブラックを磁性層用塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単独又は組合せで使用することができる。
【0075】
上層磁性層でカーボンブラックを使用する場合、強磁性粉末に対する含有量は、0.1〜30質量%で用いることが好ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これらは用いるカーボンブラックにより異なる。したがって本発明に使用されるこれらのカーボンブラックは上層、後述する中間層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。本発明の上層磁性層で使用できるカーボンブラックは、例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編を参考にすることができる。
【0076】
<研磨剤>
本発明において、上層磁性層では研磨剤を用いることができる。研磨剤としてはα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、人造ダイヤモンド、窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主としてモース硬度6以上の公知の材料が単独又は組み合わせで使用される。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。
【0077】
本発明における研磨剤には、主成分以外の化合物又は元素が含まれる場合もあるが、主成分が90%以上であれば効果に変わりはない。これら研磨剤の平均粒子径は、0.01〜2μmであることが好ましく、特に電磁変換特性(S/N)を高めるためには、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向上させるには、必要に応じて粒子径の異なる研磨剤を組み合わせ、あるいは単独の研磨剤でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも可能である。
【0078】
研磨剤のタップ密度は、0.3〜2g/ml、含水率は0.1〜5%、pHは2〜11、比表面積は1〜30m2/gであることが好ましい。本発明に用いられる研磨剤の形状は、針状、球状及びサイコロ状のいずれでもよいが、形状の一部に角を有するものは研磨性が高くて好ましい。
【0079】
本発明に用いられる研磨剤の具体的な例としては、住友化学社製AKP−20、AKP−30、AKP−50、HIT−50、HIT−100、日本化学工業社製G5、G7、S1、戸田工業社製TF−100、TF−140が挙げられる。本発明に用いられる研磨剤は、磁性層(上中間層)、非磁性層で種類、量及び組合せを替え、目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。これらの研磨剤はあらかじめ結合剤で分散処理したのち磁性塗料中に添加してもかまわない。本発明の磁気記録媒体の磁性層表面および磁性層端面に存在する研磨剤は5個/100μm2以上であることが好ましい。
【0080】
<添加剤>
本発明の上層磁性層で使用される添加剤としては、潤滑効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果などを有するものが使用され、組み合わせることにより総合的な性能向上が図れる。潤滑効果を示すものとしては、物質表面同士の摩擦により生じる凝着に著しい作用を示す潤滑剤が使用される。潤滑剤には2つの型のものがある。磁気記録媒体に使用される潤滑剤は、完全に流体潤滑か境界潤滑であるか判定することはできないが、一般的概念で分類すれば流体潤滑を示す高級脂肪酸エステル、流動パラフィン、シリコーン誘導体などや境界潤滑を示す長鎖脂肪酸、フッ素系界面活性剤、含フッ素系高分子などに分類される。塗布型媒体では、潤滑剤は結合剤に溶解した状態、また一部は強磁性粉末表面に吸着した状態で存在するものであり、磁性層表面に潤滑剤が移行してくるが、その移行速度は結合剤と潤滑剤との相溶性の良否によって決まる。結合剤と潤滑剤との相溶性が高いときは移行速度が小さく、相溶性の低いときには早くなる。相溶性の良否に対する一つの考え方として、両者の溶解パラメータの比較がある。流体潤滑には非極性潤滑剤が有効であり、境界潤滑には極性潤滑剤が有効である。
【0081】
本発明において、これら特性の異なる流体潤滑を示す高級脂肪酸エステルと境界潤滑を示す長鎖脂肪酸とを組み合わせることが好ましく、少なくとも3種組み合わせることがさらに好ましい。これらに組み合わせて固体潤滑剤を使用することもできる。
固体潤滑剤としては、例えば二硫化モリブデン、二硫化タングステングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛などが使用される。境界潤滑を示す長鎖脂肪酸としては、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、及びこれらの金属塩(Li、Na、K、Cuなど)が挙げられる。フッ素系界面活性剤、含フッ素系高分子としてはフッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、フッ素含有アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩などが挙げられる。流体潤滑を示す高級脂肪酸エステルとしては、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステル、ジ脂肪酸エステル又はトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキシド重合物のモノアルキルエ−テルの脂肪酸エステルなどが挙げられる。また流動パラフィン、そしてシリコーン誘導体としてジアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)、ジアルコキシポリシロキサン(アルコキシは炭素数1〜4個)、モノアルキルモノアルコキシポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個、アルコキシは炭素数1〜4個)、フェニルポリシロキサン、フロロアルキルポリシロキサン(アルキルは炭素数1〜5個)などのシリコーンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコーンなどが挙げられる。
【0082】
その他の潤滑剤として炭素数12〜22の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数12〜22のアルコキシアルコール(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、フッ素含有アルコールなどのアルコール、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレングリコール、ポリエチレンオキシドワックスなどのポリグリコール、アルキル燐酸エステル及びそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステル及びそのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪族アミンなどが挙げられる。
【0083】
これらの具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ステアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコールが挙げられる。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加体などのノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、複素環類、ホスホニウム又はスルホニウム類などのカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルホン酸、燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基などの酸性基を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等を挙げることができる。
【0084】
上記界面活性剤については、「界面活性剤便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されている。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。
【0085】
本発明において使用される潤滑剤は、特に脂肪酸と脂肪酸エステルであることが好ましい。具体的には、本発明で使用されるこれら潤滑剤の商品例としては、日本油脂社製NAA−102、NAA−415、NAA−312、NAA−160、NAA−180、NAA−174、NAA−175、NAA−222、NAA−34、NAA−35、NAA−171、NAA−122、NAA−142、NAA−160、NAA−173K、ヒマシ硬化脂肪酸、NAA−42、NAA−44、カチオンSA、カチオンMA、カチオンAB、カチオンBB、ナイミーンL−201、ナイミーンL−202、ナイミーンS−202、ノニオンE−208、ノニオンP−208、ノニオンS−207、ノニオンK−204、ノニオンNS−202、ノニオンNS−210、ノニオンHS−206、ノニオンL−2、ノニオンS−2、ノニオンS−4、ノニオンO−2、ノニオンLP−20R、ノニオンPP−40R、ノニオンSP−60R、ノニオンOP−80R、ノニオンOP−85R、ノニオンLT−221、ノニオンST−221、ノニオンOT−221、モノグリMB、ノニオンDS−60、アノンBF、アノンLG、ブチルステアレート、ブチルラウレート、エルカ酸、関東化学社製オレイン酸、竹本油脂社製FAL−205、FAL−123、新日本理化社製エヌジェルブLO、エヌジェルブIPM、サンソサイザーE4030、信越化学社製TA−3、KF−96、KF−96L、KF96H、KF410、KF420、KF965、KF54、KF50、KF56、KF907、KF851、X−22−819、X−22−822、KF905、KF700、KF393、KF−857、KF−860、KF−865、X−22−980、KF−101、KF−102、KF−103、X−22−3710、X−22−3715、KF−910、KF−3935、ライオンアーマー社製アーマイドP、アーマイドC、アーモスリップCP、ライオン油脂社製デュオミンTDO、日清製油社製BA−41G、三洋化成社製プロファン2012E、ニューポールPE61、イオネットMS−400、イオネットMO−200 イオネットDL−200、イオネットDS−300、イオネットDS−1000イオネットDO−200などが挙げられる。
【0086】
本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面活性剤は、個々に異なる物理的作用を有するものであり、その種類、量及び相乗的効果を生み出す潤滑剤の併用比率は、目的に応じ最適に定められるべきものである。上層磁性層及び後述する中間層で融点の異なる脂肪酸を用い表面への滲み出しを制御する、沸点、融点や極性の異なるエステル類を用い表面への滲み出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を中間層で多くして潤滑効果を向上させるなど考えられ、無論ここに示した例のみに限られるものではない。一般には潤滑剤の総量として磁性粉末、非磁性粉末又は磁性粉末及び非磁性粉末の100質量部に対し、0.1〜50質量部、好ましくは2〜25質量部の範囲で選択される。
【0087】
本発明で用いられる上記添加剤のすべて又はその一部は、磁性層用塗料(上中間層)及び平滑層用塗料製造のどの工程で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に磁性体と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤による混練工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。また、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時又は逐次塗布で、添加剤の一部又は全部を塗布することにより目的が達成される場合がある。また、目的によってはカレンダした後、またはスリット終了後、上層磁性層表面に潤滑剤を塗布することもできる。
【0088】
<有機溶媒>
本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフランなどのケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコールなどのエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼンなどの塩素化炭化水素類、N、N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等のものが使用できる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分がふくまれてもかまわない。これらの不純分は30%以下が好ましく、さらに好ましくは10%以下である。本発明で用いる有機溶媒は上層磁性層と後述する中間層でその種類は同じであることが好ましい。但し、その添加量は変えてもかまわない。中間層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性を上げる、具体的には上層溶剤組成の算術平均値が中間層溶剤組成の算術平均値を下回らないことが肝要である。分散性を向上させるためには、ある程度極性が強い方が好ましく、溶剤組成のうち、誘電率が15以上の溶剤が50%以上含まれることが好ましい。また、溶解パラメータは8〜11であることが好ましい。
【0089】
[中間層の非磁性粉末及び/又は強磁性粉末を含む層]
本発明の磁気記録媒体は、三層以上の構造を有する場合、支持体と上層磁性層との間に、非磁性粉末及び結合剤を含む層(中間層非磁性層)、強磁性粉末及び結合剤を含む層、又は非磁性粉末、磁性粉末及び結合剤を含む層(以下、これらをまとめて「中間磁性層」ともいう)が設けられる。以下にこれらの層について詳細に説明する。
【0090】
<非磁性粉末>
本発明において中間非磁性層は、非磁性粉末と結合剤とを主体とする層であることが好ましい。中間非磁性層に用いられる非磁性粉末としては、例えば、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物、等の無機質化合物から選択することができる。無機化合物としては例えばα化率90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単独又は組み合わせで使用される。特に好ましいのは、粒度分布の小ささ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、さらに好ましいのは二酸化チタン、α酸化鉄である。
【0091】
上記の非磁性粉末の平均粒子径は0.005〜2μmであることが好ましい。また、必要に応じて平均粒子径の異なる非磁性粉末を組み合わせることができ、さらに単独の非磁性粉末であっても粒径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは非磁性粉末の平均粒子径は0.01〜0.2μmである。特に、非磁性粉末が粒状金属酸化物である場合は、平均粒子径0.08μm以下であることが好ましく、針状金属酸化物である場合には、平均長軸長が0.3μm以下であることが好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。
【0092】
タップ密度は、通常、0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜1.5g/mlである。非磁性粉末の含水率は通常、0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、さらに好ましくは0.3〜1.5質量%である。非磁性粉末のpHは通常、2〜11であるが、pHは5.5〜10の間が特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は通常、1〜100m2/gであり、5〜80m2/gであることが好ましく、10〜70m2/gであることがさらに好ましい。非磁性粉末の結晶子サイズは、0.004〜1μmであることが好ましく、0.04〜0.1μmであることがさらに好ましい。DBP(ジブチルフタレート)を用いた吸油量は通常、5〜100ml/100gであり、10〜80ml/100gであることが好ましく、20〜60ml/100gであることがさらに好ましい。比重は、通常、1〜12であり、3〜6であることがさらに好ましい。形状は、針状、球状、多面体状、板状のいずれであってもよい。モース硬度は、4〜10であることが好ましい。非磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は、1〜20μmol/m2であり、2〜15μmol/m2、であることがより好ましく、3〜8μmol/m2であることがさらに好ましい。pHは、3〜6の間にあることが好ましい。
【0093】
これらの非磁性粉末の表面には、表面処理によりAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb2O3、ZnO、Y2O3が存在することが好ましい。特に分散性に好ましいのはAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2であるが、さらに好ましいのはAl2O3、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用してもよいし、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナを存在させた後にその表層にシリカを存在させる方法、又はその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0094】
上記非磁性粉末の具体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製HIT−100、ZA−G1、戸田工業社製α−ヘマタイトDPN−250、DPN−250BX、DPN−245、DPN−270BX、DBN−SA1、DBN−SA3、石原産業製酸化チタンTTO−51B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55S、TTO−55D、SN−100、α−ヘマタイトE270、E271、E300、E303、チタン工業製酸化チタンSTT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、α−ヘマタイトα−40、テイカ製MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−100F、MT−500HD、堺化学製FINEX−25、BF−1、BF−10、BF−20、ST−M、同和鉱業製DEFIC−Y、DEFIC−R、日本アエロジル製AS2BM、TiO2P25、宇部興産製100A、500A、及びそれを焼成したものが挙げられる。 特に好ましい非磁性粉末は二酸化チタンとα−酸化鉄である。
【0095】
<中間層用カーボンブラック>
本発明では、中間層(中間非磁性層又は中間磁性層)にカーボンブラックを混合させて公知の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率を小さくすることができるとともに、所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。また、中間層にカーボンブラックを含ませることで潤滑剤貯蔵の効果をもたらすことも可能である。カーボンブラックの種類はゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラックなど用いることができる。中間層のカーボンブラックは所望する効果によって、以下のような特性を最適化すべきであり、併用することでより効果が得られることがある。
【0096】
中間層のカーボンブラックの比表面積は100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gであることが適当である。カーボンブラックの粒子径は5〜80nm、好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmであることが適当である。カーボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlが好ましい。
【0097】
本発明において、中間層に用いられるカーボンブラックの具体的な例としてはキャボット社製 BLACKPEARLS 2000、1300、1000、900、800、880、700、VULCAN XC−72、三菱化成工業社製#3050B、#3150B、#3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600、MA−230、#4000、#4010、コンロンビアカーボン社製 CONDUCTEX SC、RAVEN 8800、8000、7000、5750、5250、3500、2100、2000、1800、1500、1255、1250、アクゾー社製ケッチェンブラックECなどが挙げられる。カーボンブラックを分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の一部をグラファイト化したものを使用したりしてもかまわない。また、カーボンブラックを塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは上記非磁性粉末又は後述する中間層で使用する磁性粉末の添加量に対して50質量%を越えない範囲、中間層総質量の40%を越えない範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単独又は組合せで使用することができる。本発明で使用できるカーボンブラックは例えば「カーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすることができる。
【0098】
また中間層には有機質粉末を目的に応じて添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂を使用することができる。その製法は特開昭62−18564号公報、特開昭60−255827号公報に記されているようなものが使用できる。
【0099】
<中間層用磁性粉末>
本発明の中間層では、上記非磁性粉末のほかに、磁性粉末を用いることもできる(中間層磁性層)。磁性粉末としては、γ−Fe2O3、Co変性γ−Fe2O3、α−Feを主成分とする合金、CrO2等が用いられる。特に、Co変性γ−Fe2O3が好ましい。本発明の中間層に用いられる磁性粉末は上層磁性層に用いられる強磁性粉末と同様な組成、性能を有することが好ましい。但し、目的に応じて、上中間層で性能を変化させることは公知の通りである。例えば、長波長記録特性を向上させるためには、中間層磁性層のHcは上層磁性層のそれより低く設定することが望ましく、また、中間層磁性層のBrを上層磁性層のそれより高くすることが有効である。それ以外にも、公知の重層構成を採ることによる利点を付与させることができる。
【0100】
本発明において中間層では、上記のポリウレタン樹脂を含む結合剤を使用する。またその他の、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法、含有量については、上記の上層磁性層のそれが適用できる。
【0101】
[非磁性支持体]
本発明で使用される支持体は、非磁性可撓性支持体であることが好ましく、支持体の面内各方向に対し、100℃30分での熱収縮率が0.5%以下であり、80℃30分での熱収縮率が0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下であることが好ましい。さらに前記支持体の100℃30分での熱収縮率及び80℃30分での熱収縮率が前記支持体の面内各方向に対し、10%以内の差で等しいことが好ましい。支持体は非磁性であることが好ましい。
これら支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、芳香族又は脂肪族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリアラミド、ポリベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用できる。ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドなどの高強度支持体を用いることが好ましい。また必要に応じて、磁性層面と支持体のベース面での表面粗さを変えることができ、例えば、特開平3−224127号公報に示されるような積層タイプの支持体を用いることもできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理などを行ってもよい。また本発明の支持体としてアルミ又はガラス基板を適用することも可能である。
【0102】
本発明の目的を達成するには、支持体としてWYKO社製HD−2000型を用いて測定した中心面平均表面粗さRaが、カットオフ値0.25mmにおいて3〜10nmのものを使用することが好ましい。また表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィラーの大きさと量により自由にコントロールされるものである。これらのフィラーとしては一例としてはCa、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系などの有機粉末が挙げられる。支持体の最大高さRmaxは1μm以下、十点平均粗さRzは0.5μm以下、中心面山高さRpは0.5μm以下、中心面谷深さRvは0.5μm以下、中心面面積率Srは10〜90%、平均波長λaは5〜300μmが好ましい。所望の電磁変換特性と耐久性を得るため、これら支持体の表面突起分布をフィラーにより任意にコントロールできるものであり、0.01〜1μmの大きさのもの各々を0.1mm2当り0〜2000個の範囲でコントロールすることができる。
【0103】
本発明に用いられる支持体のF−5値は、49〜490MPa(5〜50kg/mm2)であることが好ましい。また、支持体の100℃30分での熱収縮率は、3%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがさらに好ましい。80℃30分での熱収縮率は、1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。破断強度は、49〜980MPa(5〜100kg/mm2)であることが好ましい。また弾性率は、980〜19600MPa(100〜2000kg/mm2)であることが好ましい。温度膨張係数は10−4〜10−8/℃であり、10−5〜10−6/℃であることが好ましい。湿度膨張係数は10−4/RH%以下であり、好ましくは10−5/RH%以下である。これらの熱特性、寸法特性、機械強度特性は、支持体の面内各方向に対し10%以内の差でほぼ等しいことが好ましい。
【0104】
[バックコート層]
本発明の磁気記録媒体は、必要に応じて磁性層を有する面とは反対側の非磁性支持体上の面にバックコート層を設けることもできる。磁気ディスクでもバックコート層を設けることはできるが、例えばコンピューターデータ記録用の磁気テープの場合、ビデオテープ、オーディオテープに比較して、繰り返し走行性が強く要求される。このため、バックコート層には、無機粉末、結合剤のほか、カーボンブラック、研磨材、帯電防止剤などが含有されていることが好ましい。バックコート層でカーボンブラックを使用する場合、平均粒子径の異なる二種類のものを組み合わせて使用することが好ましい。なお、非磁性支持体の磁性層用塗料及びバックコート層用塗料の塗布面に接着剤層が設けられていてもよい。
【0105】
[層構成]
本発明の磁気記録媒体の厚み構成は、非磁性支持体が通常、1〜100μmであり、4〜80μmであることが好ましい。コンピューターテープの非磁性支持体は、3.0〜6.5μm(好ましくは、3.0〜6.0μm、さらに好ましくは、4.0〜5.5μm)の範囲の厚みのものが使用される。
【0106】
平滑層の厚みは、0.1〜1.0μmであることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜0.7μmである。0.1μm以上であれば、磁性層において良好な平滑性を得ることができる。また、1.0μm以下であれば、塗膜が乾燥しやすく、粘着故障を起こしにくい。
【0107】
本発明の磁気記録媒体の磁性層及び中間層の厚みは、用いるヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化される。本発明では磁性層(単一層の場合)又は上層磁性層(二層以上の場合)の厚みは、0.01〜1.0μmであることが好ましく、0.01〜0.5μmであることが好ましい。磁性層の厚みを1.0μm以下とすることで、自己減磁損失が小さく出力を向上することができ、かつ良好なオーバーライト特性が得られ、高密度記録に有利となる。また、磁性層の厚みが1.0μm以下であれば、表面電気抵抗を低減させることができるため、MRヘッドが静電破壊されることはない。
【0108】
また、中間層(中間磁性層又は中間非磁性層)の厚みは、通常0.5〜3μmであり、0.8〜2.0μmであることが好ましく、1.0〜1.5μmであることがさらに好ましい。
【0109】
バックコート層を有する場合、バックコート層の厚みは、通常0.1〜2μmであり、0.3〜1.0μmであることが好ましい。
【0110】
[製法]
本発明の磁気記録媒体の磁性塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、分散工程、及びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程は、それぞれ2段階以上に別れていてもかまわない。本発明の磁気記録媒体に使用する磁性粉末、非磁性粉末、放射線硬化型樹脂、結合剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などのすべての原料は、どの工程の最初又は途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入してもよい。
【0111】
本発明の目的を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工程として用いることができる。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。ニーダを用いる場合、磁性粉末又は非磁性粉末と結合剤のすべて又はその一部(但し、全結合剤の30%以上が好ましい)は、磁性粉末100質量部に対し15〜500質量部の範囲で混練処理される。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、磁性層用塗料及び非磁性層用塗料を分散させるには、ガラスビーズを用いることができるが、高比重の分散メディアであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最適化して用いられる。分散機は公知のものを使用することができる。
【0112】
本発明の磁気記録媒体の製造方法では、例えば、非磁性支持体上に平滑層を乾燥後の層厚が1.0μm以下となるように平滑層用塗料を塗布し、放射線硬化した後、平滑層表面上に磁性層の乾燥後の層厚が5.0μm以下となるよう、又は中間層の乾燥後の層厚が3μm以下とし、さらに中間層表面上に上層磁性層の乾燥後の層厚が0.5μm以下になるように塗布することができる。
【0113】
磁性層用塗料を塗布する塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。 これらについては例えば株式会社総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。
【0114】
なお、本発明で三層以上の重層構成の磁気記録媒体を塗布する場合、以下のような方式を用いることが好ましい。
(1)磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗布装置等により、まず中間層を塗布し、中間層がウェット状態のうちに特公平1−46186号公報や特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報に開示されている支持体加
圧型エクストルージョン塗布装置により上層を塗布する方法。
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されているような塗布液通液スリットを二つ内
蔵する一つの塗布ヘッドにより上中間層をほぼ同時に塗布する方法。
(3)特開平2−174965号公報に開示されているバックアップロール付き
エクストルージョン塗布装置により上中間層をほぼ同時に塗布する方法。
【0115】
なお、磁性粒子の凝集による磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62−95174号公報や特開平1−236968号公報に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗布液にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布液の粘度については、特開平3−8471号公報に開示されている数値範囲を満足する必要がある。
【0116】
ディスク状磁気記録媒体の場合、配向装置を用いず無配向でも十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コバルト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで交流磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用いることが好ましい。六方晶系フェライトは、一般的に面内及び垂直方向の3次元ランダムになりやすいが、面内2次元ランダムとすることも可能である。また異極対向磁石など公知の方法を用い、垂直配向とすることで円周方向に等方的な磁気特性を付与することもできる。特に高密度記録を行う場合は垂直配向が好ましい。また、スピンコートを用い円周配向としてもよい。
【0117】
テープ状磁気記録媒体の場合は、コバルト磁石やソレノイドを用いて長手方向に配向する。乾燥風の温度、風量、塗布速度を制御することで塗膜の乾燥位置を制御できるようにすることが好ましく、塗布速度は20〜1000m/分、乾燥風の温度は60℃以上が好ましい。また磁石ゾーンに入る前に適度の予備乾燥を行うこともできる。
カレンダ処理ロールとしてエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性のあるプラスチックロールまたは金属ロールで処理するが、特に両面磁性層とする場合は金属ロールどうしで処理することが好ましい。処理温度は、好ましくは60〜100℃の範囲、さらに好ましくは70〜100℃である。線圧力は好ましくは196kN/m(200kg/cm)以上、さらに好ましくは294kN/m(300kg/cm)以上である。
【0118】
[物理特性]
ディスク状磁気記録媒体の場合、角形比は2次元ランダムの場合、通常、0.55〜0.67であり、0.58〜0.64であることが好ましい。また、3次元ランダムの場合、角形比は0.45〜0.55であることが好ましい。垂直配向の場合、角形比は垂直方向に通常0.6以上であり、0.7以上であることが好ましい。また、反磁界補正を行った場合は、通常0.7以上であり、0.8以上であることが好ましい。2次元ランダム及び3次元ランダムとも配向度比は0.8以上であることが好ましい。2次元ランダムの場合、垂直方向の角形比、垂直方向のBr及び垂直方向のHcは面内方向の0.1〜0.5倍以内とすることが好ましい。テープ状磁気記録媒体の場合、角形比は0.7以上、好ましくは0.8以上である。
【0119】
本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩擦係数は、温度−10〜40℃、湿度0〜95%の範囲において、通常0.5以下であり、0.3以下であることが好ましい。表面固有抵抗は、磁性面104〜1012Ω/sqであることが好ましく、帯電位は−500V〜+500Vであることが好ましい。磁性層の0.5%伸びでの弾性率は、面内各方向で980〜19600MPa(100〜2000kg/mm2)であることが好ましく、破断強度は、98〜686MPa(10〜70kg/mm2)であることが好ましい。磁気記録媒体の弾性率は、面内各方向で980〜14700MPa(100〜1500kg/mm2)であることが好ましい。残留伸びは、0.5%以下であることが好ましく、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は、1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましい。
【0120】
磁性層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測定の損失弾性率の極大点)は、50〜120℃であることが好ましく、中間層(非磁性層)のそれは0〜100℃であることが好ましい。損失弾性率は、1×105〜8×108Paの範囲にあることが好ましく、損失正接は0.2以下であることが好ましい。損失正接が大きすぎると粘着故障が発生しやすい。これらの熱特性や機械特性は媒体の面内各方向で10%以内であり、かつ、ほぼ等しいことが好ましい。磁性層中に含まれる残留溶媒は、100mg/m2以下であることが好ましく、10mg/m2以下であることがさらに好ましい。塗布層が有する空隙率は、非磁性層、磁性層とも30容量%以下であることが好ましく、20容量%以下であることがさらに好ましい。空隙率は、高出力を果たすためには小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確保した方がよい場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるディスク状磁気記録媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は好ましいことが多い。
【0121】
本発明の磁性層における中心面平均表面粗さRa及び10点平均粗さRzは、前記のとおり、それぞれ5〜50nmである。また、磁性層の最大高さRmaxは0.5μm以下、中心面山高さRpは0.3μm以下、中心面谷深さRvは0.3μm以下、中心面面積率Srは20〜80%、平均波長λaは5〜300μmが好ましい。磁性層の表面の突起数は、前述のとおり10〜20nmの大きさのものを100μm2あたり5〜1000個の範囲であり、これによりサーマルアスペリティを小さくでき、電磁変換特性、摩擦係数を最適化することができる。これらは支持体のフィラーによる表面性のコントロールや磁性層に添加する粉体の粒径と量、カレンダ処理のロール表面形状などで容易にコントロールすることができる。カールは±3mm以内とすることが好ましい。本発明の磁気記録媒体は、目的に応じ非磁性層と磁性層でこれらの物理特性を変えることができるのは容易に推定されることである。例えば、磁性層の弾性率を高くし、走行耐久性を向上させると同時に非磁性層の弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りをよくするなどである。
【0122】
本発明の磁気記録媒体は、上記の平滑層を形成し、次いで、平滑層上に中間層(非磁性層又は磁性層)を形成した後に上層磁性層を形成して作製される。平滑層は支持体の少なくとも一方に設けられ、両方に設けることもできる。
【0123】
マルチメデイア社会になり、画像記録へのニーズは産業界のみならず家庭でも益々強くなっており、本発明の磁気記録媒体は単に文字、数字などのデータ以外に、画像記録用媒体としての機能/コストの要請に十分応えられる能力を持つものである。
本発明の磁気記録媒体は、磁気抵抗型の再生ヘッド(MRヘッド)を用いる磁気記録再生システムに好適に用いることができる。MRヘッドの種類には特に制限はなく、GMRヘッドやTMRヘッドを用いることもできる。記録に用いるヘッドに特に制限はないが、飽和磁化量が1.2T以上であることが好ましく、2.0T以上がさらに好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、コンピューターデータ記録用として好適である。
【0124】
【実施例】
以下に、本発明の具体的実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるべきものではない。なお、以下の「部」とは別段断らない限り「質量部」のことである。
【0125】
(実施例1)
1.ポリウレタン樹脂の合成
(1)ポリエステルポリオールの合成
温度計、攪拌機及び還流式冷却器を取り付けた反応容器に、表1に示した二塩基酸であるジメチルエステル及びジオールを仕込み、触媒として酢酸亜鉛4部及び酢酸ナトリウム6部を仕込み、160〜220℃で3時間、エステル交換反応を行い、さらに220〜280℃、1〜10mmHgの減圧下で4時間重縮合反応を行って、ポリエステルポリオールa〜dを得た。
得られたポリエステルポリオールのOH価から平均分子量を求め、さらにC13NMRから組成比を求めた。結果を表1に示す。
【0126】
【表1】
【0127】
(2)ポリウレタン樹脂の合成例
表2に示した組成のポリエステルポリオールと鎖延長剤(ジオール化合物)とを還流式冷却器、攪拌機を具備し、予め窒素置換した容器において、窒素気流下60℃でシクロヘキサノン30%溶液に溶解した。次いで表2に示されたジイソシアネート化合物を加えて、90℃で6時間加熱反応し、ポリウレタン樹脂溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂溶液はGPCを用いて重量平均分子量を測定した。結果を表2に示す。
【0128】
【表2】
【0129】
2.磁性層用及び非磁性層用塗料の調製
(1)磁性層用塗料の調製
強磁性合金粉末(組成:Fe 89atm%,Co 5atm%,Y 6atm%、Hc:151kA/m(1900Oe),結晶子サイズ:15nm,BET比表面積:60m2/g,長軸径:0.08μm,針状比:7,σs:150A・m2/kg(emu/g))100部をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで日本ゼオン(株)製塩化ビニル系樹脂MR110(重合度300)を10部及び表2のポリウレタンAのシクロヘキサノン溶液(固形分30%,SO3Na含量70μeq/g、重量平均分子量4万)を50部加えて60分間混練した。
【0130】
次いで、下記の成分を加えてサンドミルで120分間分散した。
研磨剤(Al2O3;粒子サイズ:0.3μm) 2部
カーボンブラック(粒子サイズ40μm) 2部
メチルエチルケトン/トルエン=1/1 200部
【0131】
さらに、下記の成分を加えて20分間攪拌混合した後、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層用塗料を得た。
ポリイソシアネート(日本ホ゜リウレタン製コロネート3041) 5部(固形分)
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
【0132】
(2)非磁性層用塗料(中間層用塗料)の調製
α−Fe2O3(平均粒径:0.15μm,SBET:52m2/g,表面処理Al2O3,SiO2,pH6.5〜8.0)100部 をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで日本ゼオン(株)製塩化ビニル系樹脂MR110(重合度300)を10部及び表2のポリウレタンAのシクロヘキサノン溶液(固形分30%、SO3Na含量70μeq/g、重量平均分子量4万)を50部を加えて60分間混練した。
【0133】
次いで、メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4を200部加えて、サンドミルで120分間分散した。これに
ポリイソシアネート(日本ホ゜リウレタン製コロネート3041) 5部(固形分)
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
メチルエチルケトン 50部
を加え、さらに20分間撹拌混合した後、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性層用塗料を調製した。
【0134】
3.テープ状磁気記録媒体の作製
表3に示した放射線硬化型化合物を30質量%溶液(MEK/トルエン=7/3)に調製したものを乾燥後の厚さが0.5μmになるようにコイルバーを用いて厚さ7μm、中心平均表面粗さRa6.2nmのポリエチレンテレフタレート支持体の表面に塗布して乾燥させた後、塗膜表面に加速電圧150KVの電子線を吸収線量が1Mradになるように照射して平滑層を硬化させた。
その直後に平滑層上に非磁性層用塗料を、さらにその上に磁性層用塗料を乾燥後の厚みがそれぞれ1.5μm、0.1μmになるように、リバースロールを用いて同時重層塗布した。磁性層用塗料が未乾燥の状態で500T・m(5000ガウス)のCo磁石と400T・m(4000ガウス)のソレノイド磁石で磁場配向を行い、溶剤を乾燥したものを金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せによるカレンダー処理を(速度100m/min、線圧300kg/cm、温度90℃)で行った後、3.8mm幅にスリットしてテープ状磁気記録媒体を得た。
【0135】
(実施例2〜4)
実施例1の放射線硬化型化合物を表3に示されたものに変更した以外は、実施例1と同様の方法により実施例2〜4及び比較例1、2のテープ状磁気記録媒体を作製した。
【0136】
(実施例5、6)
実施例1の放射線硬化型化合物を表3に示されたものに変更し、かつ非磁性層を塗設しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により実施例5及び6のテープ状磁気記録媒体を作製した。
【0137】
(比較例1及び2)
実施例1の非磁性層及び磁性層で使用したポリウレタン樹脂を表3に示されたものに変更した以外は、実施例1と同様の方法により比較例1及び2のテープ状磁気記録媒体を作製した。
【0138】
(比較例3)
実施例1において平滑層を非磁性支持体上に塗設しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により比較例3のテープ状磁気記録媒体を作製した。
【0139】
(比較例4)
実施例5において磁性層で使用したポリウレタン樹脂を表3に示されたものに変更した以外は、実施例5と同様の方法により比較例4のテープ状磁気記録媒体を作製した。
【0140】
(比較例5)
実施例5において平滑層を塗設しなかったこと以外は実施例5と同様の方法により比較例5のテープ状磁気記録媒体を作製した。
【0141】
<磁気記録媒体の評価>
(1)平滑層の表面粗さRaの測定
平滑層用塗料を非磁性支持体上に塗布した後、電子線を照射して硬化させて平滑層を塗設したサンプルの表面をデジタルオプティカルプロフィメーター(WYKO製)を用いて光干渉法によりカットオッフ0.25mmの条件で中心平均粗さRaを測定した。結果を表3に示す。
【0142】
(2)磁性層の表面粗さの測定
(1)と同様の方法でテープ状磁気記録媒体のサンプルの表面粗さRaを測定した。
【0143】
(3)電磁変換特性の測定
DDS4ドライブにて4.7MHzの単一周波数信号を最適記録電流で記録し、その再生出力を測定した。比較例3の再生出力を0dBとした相対値で示した。
【0144】
(4)剥離強度の測定
テープ状磁気記録媒体のサンプルにおける磁性層面を両面テープでガラス板に固定し、固定しない部分のテープを折り返し、180度剥離法で剥離時の強度(gf)を測定した。結果を表3に示す。
【0145】
(5)剥離面の観察
剥離面の顕微鏡観察を行い、剥離した界面を調べた。結果を表3に示す。
【0146】
(6)スリット後のテープエッジ観察
3.6mm幅にスリットした後のテープエッジを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、エッジ部にクラックが発生しているものを×、クラックが発生していないものを○とした。結果を表3に示す。
【0147】
(7)走行によるドロップアウト増加
23℃50%RH環境下で、DDS4ドライブを用いて10分長テープ状磁気記録媒体のサンプルを100回繰り返し走行させた。走行の前後におけるドロップアウト数をドロップアウトカウンターで1分間測定し、5秒以上初期出力に対して−5dB低下したものをドロップアウトとし、繰り返し走行前後でその個数の増加数を調べた。結果を表3に示す。
【0148】
【表3】
【0149】
表3より、ポリウレタン樹脂を原料となるジオールとしてアルキル分岐側鎖を有する脂肪族ジオールを使用した場合(実施例1、2)は、アルキル分岐側鎖を有しない脂肪族ジオールを使用した場合(比較例1、2)に比べて、剥離強度が増加し、テープエッジのクラックの発生はなく、さらに磁性層表面の表面粗さが小さくなり、ドロップアウト数が減少し、かつ再生出力が増加していた。
【0150】
一方、平滑層が設けられたテープ状磁気記録媒体(実施例1〜5)では、非磁性層が設けられた場合(実施例1〜4及び比較例3)及び設けられていない場合(実施例5、比較例4,5)のいずれの場合においても、平滑層が設けられていないテープ状磁気記録媒体(比較例3,4)よりも、剥離強度が遥かに増加し、テープエッジのクラックの発生はなく、さらに磁性層表面の表面粗さが小さくなり、ドロップアウト数が減少し、かつ再生出力が増加していた。
【0151】
これより、支持体上に平滑層を設け、さらに非磁性層において本発明の条件を満たすポリウレタン樹脂を含む結合剤を使用することにより、磁性層表面において良好な塗膜平滑性を示し、優れた電磁変換特性が得られると共に、磁性層の密着性が向上し、さらにドロップアウト数も減少できたことから走行耐久性が向上したことが分かる。
【0152】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上に放射線硬化型化合物を放射線硬化して得られた平滑層を有し、さらにこの平滑層上に塗設される層で使用される結合剤が、ポリエステルポリオールと鎖延長剤とジイソシアネートとの反応生成物であって、前記ポリエステルポリオールは二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオール成分がアルキル分岐側鎖を有し、かつ環状構造を持たない脂肪族ジオールを含み、前記鎖延長剤はアルキル分岐側鎖を持つ脂肪族ジオールを含むポリウレタン樹脂を含有する。
したがって、本発明であれば、磁性層表面において良好な表面平滑性が得られるため、優れた電磁変換特性を有し、かつ磁性層の密着性が向上するため、優れた走行耐久性を有する磁気記録媒体を提供することができる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a coating type magnetic recording medium. In particular, the present invention relates to a magnetic recording medium suitable for high density recording having excellent electromagnetic conversion characteristics and durability.
[0002]
[Prior art]
In recent years, magnetic recording media have tended to increase in recording density, and self-demagnetization loss during recording and thickness loss during reproduction due to a decrease in output in a magnetic recording medium having a thick magnetic layer have become major problems. Yes. The magnetic layer has been thinned so far, but if a thin magnetic layer (for example, 2 μm or less) is formed directly on the support, the influence of the nonmagnetic support is likely to appear on the surface of the magnetic layer. Therefore, there was a tendency for electromagnetic conversion characteristics and dropout to deteriorate.
[0003]
For this situation, a magnetic layer having a smooth layer that has been cured by irradiation with radiation after coating a compound having a functional group that is cured by radiation, such as an electron beam, between the support and the magnetic layer. Recording media have been reported (see, for example, Patent Documents 1 to 4).
[0004]
However, in the magnetic recording media of Patent Documents 1 to 4, the adhesion between the smooth layer and the magnetic layer is weak. For example, when a video tape is repeatedly run in a VTR, a part of the magnetic layer is peeled off, resulting in frequent dropouts. However, there is a problem that the electromagnetic conversion characteristics are deteriorated and a failure is caused.
[0005]
On the other hand, in order to improve coating film smoothness, electromagnetic conversion characteristics, and running durability, a magnetic recording medium using a radiation curable polyurethane as a binder contained in a magnetic layer or a nonmagnetic layer has been reported (for example, , See Patent Document 5). However, in the magnetic recording medium of Patent Document 5, the smoothness of the magnetic layer is not yet sufficient, and a problem that sufficient electromagnetic conversion characteristics cannot be obtained particularly as a magnetic recording medium used for increasing the recording density. was there.
[0006]
[Patent Document 1]
Japanese Examined Patent Publication No. 5-57647 (Claims, page 2, right column, lines 4 to 24)
[Patent Document 2]
JP-A-60-133529 (Claims (1), page 2, upper right column, lines 3 to 16)
[Patent Document 3]
JP-A-60-133530 (Claims (1), page 2, upper right column, line 4 to column 2, lines 2 to 17)
[Patent Document 4]
JP-A-60-133531 (Claims (1), page 2, upper right column, third line to column, second to sixteenth lines)
[Patent Document 5]
JP 2002-117521 A (Claims [0008] to [0010], claims 1 and 2, third page)
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention has been made to solve the above-described problems, and an object of the present invention is to provide a magnetic recording medium that has excellent coating smoothness and has excellent electromagnetic conversion characteristics and running durability. There is to do.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The inventors of the present invention have intensively studied means for improving the smoothness of the magnetic layer surface, improving the adhesion of the magnetic layer, and obtaining excellent running durability in the coating type magnetic recording medium. As a result, the present inventors have succeeded in developing a magnetic recording medium having excellent coating film smoothness and having excellent electromagnetic characteristics and durability, and completed the present invention.
[0009]
That is, the object of the present invention is achieved by the following magnetic recording medium.
(1) A magnetic recording medium having a smooth layer obtained by radiation-curing a radiation-curable resin on a nonmagnetic support, and a magnetic layer containing a binder containing at least ferromagnetic powder and polyurethane in this order. Wherein the polyurethane is a polyester polyol obtained from a dibasic acid containing an aliphatic dibasic acid and an aliphatic diol having no alkyl branched side chain, and an aliphatic diol having an alkyl branched side chain; A magnetic recording medium obtained by polymerizing diisocyanate.
(2) A smooth layer obtained by radiation-curing a radiation curable resin on a nonmagnetic support, an intermediate layer containing a binder containing nonmagnetic powder and / or ferromagnetic powder and polyurethane, and ferromagnetic A magnetic recording medium having a magnetic layer containing powder and a binder in this order, wherein the polyurethane is obtained from a dibasic acid containing an aliphatic dibasic acid and an aliphatic diol having no cyclic structure having an alkyl branched side chain. A magnetic recording medium obtained by polymerizing an obtained polyester polyol, an aliphatic diol having an alkyl branched side chain, and a diisocyanate.
(3) The magnetic recording medium according to (1) or (2), wherein the radiation curable resin has a viscosity at 25 ° C. of 300 mPa · s.
(4) The magnetic recording medium according to any one of (1) to (3), wherein the radiation curable compound has a molecular weight of 2000 or less.
(5) The magnetic recording medium according to any one of (1) to (4), wherein the polyurethane resin has a urethane group concentration of 2.5 to 4.5 mmol / g.
(6) The magnetic recording medium according to any one of (1) to (5), wherein the polyurethane resin has a weight average molecular weight (Mw) of 30,000 to 150,000.
(7) The polyurethane resin is -SO3M, -OSO3M, -PO3M2And -COOM (wherein M is selected from a hydrogen atom, an alkali metal, and ammonium) 1 x 10 at least one polar group selected from-5~ 5x10-4The magnetic recording medium according to any one of (1) to (6), which contains eq / g.
(8) The magnetic recording medium according to any one of (1) to (7), wherein the polyurethane resin has a glass transition temperature of 30 to 200 ° C.
(9) The magnetic recording medium according to any one of (1) to (8) for use in a magnetic recording / reproducing system for reproducing a signal magnetically recorded on the magnetic layer by a magnetoresistive magnetic head
.
(10) The magnetic recording medium according to any one of (1) to (9) for use in a magnetic recording / reproducing system for reproducing a signal magnetically recorded on the magnetic layer by an MR head.
[0010]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the magnetic recording medium of the present invention will be described in more detail.
[Smooth layer]
The present invention has a smooth layer obtained by radiation-curing a radiation-curable compound on a nonmagnetic support. In the present invention, by having this smooth layer, the magnetic layer can be made into a very smooth coating film, so that excellent electromagnetic conversion characteristics can be obtained.
[0011]
A radiation curable compound is polymerized and cured by polymerization or crosslinking reaction when given energy by radiation, for example, electron beam, ultraviolet ray, etc., but polymerization or crosslinking reaction does not proceed unless such energy is given. It is a compound having the property. Therefore, the coating liquid containing the radiation curable compound has a stable viscosity unless irradiated with radiation, and high coating smoothness can be obtained. Furthermore, since the radiation curable compound reacts instantaneously with high energy due to radiation, high coating strength can be obtained.
[0012]
The radiation curable compound is a resin having a relatively low viscosity of generally several mPa · s to 300 mPa · s. Therefore, by applying a coating for a smooth layer containing a radiation curable compound on a nonmagnetic support, fine projections on the nonmagnetic support are shielded by a leveling effect, and a nonmagnetic support having a smooth surface is obtained. be able to. Then, a magnetic layer having excellent smoothness can be obtained by coating the non-magnetic layer coating and / or the magnetic layer coating on the smooth layer, and thus a magnetic recording medium having excellent electromagnetic characteristics can be obtained. It is done. In particular, this effect is remarkable when the thickness of the magnetic layer is relatively thin, such as 2.0 μm or less. For example, minute projections on the surface of the magnetic layer that are likely to cause noise in magnetic recording using an MR head can be effectively reduced.
[0013]
The radiation curable compound in the present invention is a compound having a radiation functional double bond, for example, acrylic acid esters, acrylamides, methacrylic acid esters, methacrylic acid amides, allyl compounds, vinyl ethers, vinyl esters. And the like. If the number of functional groups is large or the functional group concentration is too high, the shrinkage becomes large when cured by radiation, and the adhesion with the nonmagnetic support is too low. Therefore, the number of functional groups is suitably about 2 to 4, preferably about 2 to 3, and a bifunctional acrylate compound or methacrylate compound is particularly preferable.
[0014]
In the present invention, the molecular weight of the radiation curable compound is suitably 2000 or less, preferably 1000 or less, and more preferably 200 to 600. In the present invention, the viscosity of the radiation curable compound is 300 mPa · s or less at 25 ° C., preferably 5 to 200 mPa · s, and more preferably 10 to 100 mPa · s.
[0015]
Specific examples of the radiation curable compound used in the present invention include the following.
(1) Radiation curable compound with two functional groups
Ethylene glycol diacrylate, propylene glycol diacrylate, butanediol diacrylate, hexanediol diacrylate, tetraethylene glycol diacrylate, neopentyl glycol diacrylate, ethylene glycol dimethacrylate, propylene glycol dimethacrylate, butanediol dimethacrylate, hexanediol di Methacrylate, neopentyl glycol dimethacrylate;
Cyclohexanediol diacrylate, cyclohexanediol dimethacrylate, cyclohexanedimethanol diacrylate, cyclohexanedimethanol dimethacrylate, hydrogenated bisphenol A diacrylate, hydrogenated bisphenol A dimethacrylate, hydrogenated bisphenol F diacrylate, hydrogenated Bisphenol F dimethacrylate, tricyclodecane dimethanol diacrylate, tricyclodecane dimethanol dimethacrylate and other alicyclic diol acrylate compounds, methacrylate compounds;
Diethylene glycol diacrylate, triethylene glycol diacrylate, dipropylene glycol diacrylate, tripropylene glycol diacrylate, diethylene glycol dimethacrylate, triethylene glycol dimethacrylate, tetraethylene glycol dimethacrylate, dipropylene glycol dimethacrylate, tripropylene glycol dimethacrylate, Polyether acrylates and polyether methacrylates obtained by adding acrylic acid or methacrylic acid to polyotell polyols such as polyethylene glycol, polypropylene glycol and polytetramethylene glycol.
[0016]
As the radiation curable compound having two functional groups, polyester acrylate or polyester methacrylate obtained by adding acrylic acid or methacrylic acid to a polyester polyol obtained from a known dibasic acid or glycol can also be used. Furthermore, polyurethanes obtained by adding acrylic acid or methacrylic acid to polyurethane obtained by reacting known polyols, diols and polyisocyanates may be used. Furthermore, bisphenol A, bisphenol F, hydrogenated bisphenol A, hydrogenated bisphenol F, and those obtained by adding acrylic acid or methacrylic acid to these alkylene oxide adducts, isocyanuric acid alkylene oxide modified diacrylate, isocyanuric acid alkylene oxide modified diacrylate Methacrylate can also be used.
[0017]
(2) Radiation curable compounds with three functional groups
Trimethylolpropane triacrylate, trimethylolethane triacrylate, trimethylolpropane alkylene oxide modified triacrylate, pentaerythritol triacrylate, dipentaerythritol triacrylate, isocyanuric acid alkylene oxide modified triacrylate, dipentaerythritol triacrylate propionate, hydro Shikipivalaldehyde-modified dimethylolpropane triacrylate, trimethylolpropane trimethacrylate, trimethylolpropane alkylene oxide modified trimethacrylate, pentaerythritol trimethacrylate, dipentaerythritol trimethacrylate, isocyanuric acid alkylene oxide modified trimethacrylate, propionic acid dipen Pentaerythritol trimethacrylate, hydroxyalkylcellulose pivalaldehyde modified dimethylol propane trimethacrylate.
[0018]
(3) Radiation curable compounds having 4 or more functional groups
For example, pentaerythritol tetraacrylate, ditrimethylolpropane tetraacrylate, dipentaerythritol pentaacrylate, dipentaerythritol tetraacrylate propionate, dipentaerythritol hexaacrylate, alkylene oxide-modified hexaacrylate of phosphazene, and the like.
[0019]
The above radiation curable compounds are diethylene glycol diacrylate, triethylene glycol diacrylate, dipropylene glycol diacrylate, tripropylene glycol diacrylate, hydrogenated bisphenol A diacrylate, hydrogenated bisphenol A dimethacrylate, tricyclodecanedi. It is particularly preferable to use methanol diacrylate or tricyclodecane dimethanol dimethacrylate.
The above-mentioned radiation curable compounds can be mixed and used at an arbitrary ratio.
[0020]
Specific examples of commercially available radiation curable compounds include KAYARAD R-684 manufactured by Nippon Kayaku, light acrylate DCP-A manufactured by Kyoeisha Chemical, and LUMICURE DCA-200 manufactured by Dainippon Ink.
[0021]
In the smooth layer of the present invention, in addition to the above-mentioned radiation curable compound, “low-energy electron beam irradiation applied technology (issued by CMC Co., Ltd. 2000)” “UV / EB curing technology (1982 Co., Ltd.) ) Issued by General Technical Center) ”or the like, and known monofunctional acrylate or methacrylate compounds can be used in combination, and these can be used as reactive diluents. The reactive diluent has a function of adjusting the physical properties and curing reaction of the coating material for the smooth layer.
[0022]
Specific examples of the compound that can be used in combination include a monofunctional acrylate compound having one radiation-curing functional group in one molecule. For example, cyclohexyl (meth) acrylate, isobornyl (meth) acrylate, tetrahydrofurfuryl (meta ) Acrylate and the like. Here, (meth) acrylate is used in the meaning including methacrylate and acrylate.
[0023]
The content of the compound that can be used in combination is 10 to 90 parts by mass, preferably 20 to 50 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the radiation curable compound used in the present invention.
[0024]
In this invention, a solvent can be melt | dissolved in the coating material for smooth layers as needed. As such a solvent, for example, methyl ethyl ketone (MEK), methanol, ethanol, toluene and the like are preferably used.
[0025]
The above smooth layer coating is applied on a nonmagnetic support, dried, and then cured by irradiation with radiation. The glass transition temperature (Tg) of the cured smooth layer is 80 to 150 ° C. Is more preferable, and it is 100-130 degreeC more preferably. If Tg is 80 ° C. or higher, adhesion failure does not occur in the coating step, and if Tg is 150 ° C. or lower, the coating film does not become brittle.
[0026]
The smooth layer in the present invention is obtained by applying a coating for smooth layer containing the above radiation curable compound on a nonmagnetic support, and then curing by irradiating with radiation. The polymerization or crosslinking reaction of the radiation curable compound proceeds by irradiation, and the smooth layer has high coating strength.
The radiation used in the present invention can be an electron beam or an ultraviolet ray as described above. When ultraviolet rays are used, it is necessary to add a photopolymerization initiator to the smooth layer coating material. In the case of electron beam curing, a polymerization initiator is unnecessary, and the penetration depth is also deep, which is preferable.
[0027]
As the electron beam accelerator, a scanning method, a double scanning method, or a curtain beam method can be adopted. The curtain beam method is preferable because it is relatively inexpensive and can provide a large output. As the electron beam characteristics, the acceleration voltage is usually 30 to 1000 kV, preferably 50 to 300 kV, and the absorbed dose is usually 0.5 to 20 Mrad, preferably 2 to 10 Mrad. If the acceleration voltage is 30 kV or more, the amount of energy transmission is sufficient, and if it is 300 kV or less, the energy efficiency used for the polymerization does not decrease and does not become uneconomical.
[0028]
The atmosphere in which the electron beam is irradiated preferably has an oxygen concentration of 200 ppm or less by nitrogen purge. When the oxygen concentration is 200 ppm or less, the crosslinking and curing reaction in the vicinity of the surface of the radiation curable resin is not inhibited.
[0029]
A mercury lamp is used as the ultraviolet light source. The mercury lamp is a 20 to 240 W / cm lamp and is used at a speed of 0.3 to 20 m / min. In general, the distance between the substrate and the mercury lamp is preferably 1 to 30 cm.
[0030]
When performing ultraviolet curing, the photopolymerization initiator used includes a photoradical polymerization initiator. For details, for example, those described in “New Polymer Experimental Science Vol. 2 Chapter 6 Light / Radiation Polymerization” (published by Kyoritsu Publishing 1995, edited by Polymer Society) can be used. Specific examples include acetophenone, benzophenone, anthraquinone, benzoin ethyl ether, benzyl methyl ketal, benzyl ethyl ketal, benzoin isobutyl ketone, hydroxydimethyl phenyl ketone, 1-hydroxycyclohexyl phenyl ketone, 2-2 diethoxyacetophenone, etc. There is.
[0031]
Content of a photoinitiator is 0.5-20 mass parts normally with respect to 100 mass parts of radiation curable resin used by this invention, Preferably it is 2-15 mass parts, More preferably, it is 3-10 mass parts. is there.
[0032]
In the present invention, the radiation irradiation is preferably performed after the magnetic layer is applied, dried, and calendered. The magnetic layer before irradiation is soft and easily smoothed by calendaring. When the calendering process is performed and the film is stored for a long time without being irradiated with radiation, irregularities on the back surface may be transferred to roughen the surface. Therefore, it is preferable to cure the magnetic layer by irradiating with radiation as soon as possible after the calendar treatment. It is more preferable to perform the calendar process and the radiation irradiation process consistently.
[0033]
Radiation curing equipment and conditions are described in “UV / EB curing technology” (published by General Technology Center Co., Ltd.) and “Applied technology for low energy electron beam irradiation” (2000, issued by CMC Co., Ltd.). Known ones can be used.
[0034]
[Polyurethane resin]
In the present invention, the binder used in the upper magnetic layer or intermediate layer (nonmagnetic layer or magnetic layer) includes a polyurethane resin that is a reaction product of a polyester polyol, a chain extender, and a diisocyanate.
For example, in the case of a tape-shaped magnetic recording medium, the polyurethane resin can improve the peeling and dropping of the magnetic layer at the tape edge portion in the process of slitting the tape. As a result, the small pieces of the magnetic layer that have dropped off do not adversely affect the recording / reproducing characteristics. For example, an error rate can be reduced with a computer tape, and a dropout failure can be reduced with a video tape.
[0035]
As for the polyester polyol used as the raw material of the said polyurethane resin, a dibasic acid contains an aliphatic dibasic acid. Since the aliphatic dibasic acid does not have a cyclic structure with low solvent solubility, it can be uniformly dissolved in the solvent. Examples of the aliphatic dibasic acid that can be used for the polyester polyol include succinic acid, adipic acid, azelaic acid, sebacic acid, malonic acid, glutaric acid, pimelic acid, and suberic acid. Among these, succinic acid, adipic acid, and sebacic acid are preferable. Of all dibasic acid components of the polyester polyol, the aliphatic dibasic acid content is preferably 70 mol% to 100 mol% in order to obtain good solubility.
[0036]
In the present invention, the diol component contained in the polyester polyol is an aliphatic diol having an alkyl branched side chain and having no cyclic structure. By having alkyl branched side chains in the diol component in the polyester polyol, the association between urethane bonds and ester bonds is prevented sterically hindered, so that the intermolecular interaction is reduced and the solubility of the binder is improved. Can do. Further, the solubility of the binder can also be improved by not having a cyclic structure with low solubility such as an aromatic ring or a cyclohexane ring. As a result, the binder is uniformly dissolved in the solvent, and the magnetic substance and the nonmagnetic powder can be highly dispersed.
[0037]
Examples of the alkyl branched aliphatic diol that can be used as the diol component of the polyester polyol include 2,2-dimethyl-1,3-propanediol, 3,3-dimethyl-1,5-pentanediol, and 2-methyl- 2-ethyl-1,3-propanediol, 3-methyl-3-ethyl-1,5-pentanediol, 2-methyl-2-propyl-1,3-propanediol, 3-methyl-3-propyl-1 , 5-pentanediol, 2-methyl-2-butyl-1,3-propanediol, 3-methyl-3-butyl-1,5-pentanediol, 2,2-diethyl-1,3-propanediol, 3, , 3-Diethyl-1,5-pentanediol, 2-ethyl-2-butyl-1,3-propanediol, 3-ethyl-3-butyl-1,5- Nthanediol, 2-ethyl-2-propyl-1,3-propanediol, 3-ethyl-3-propyl-1,5-pentanediol, 2,2-dibutyl-1,3-propanediol, 3,3- Dibutyl-1,5-pentanediol, 2,2-dipropyl-1,3-propanediol, 3,3-dipropyl-1,5-pentanediol, 2-butyl-2-propyl-1,3-propanediol, 3-butyl-3-propyl-1,5-pentanediol, 2-ethyl-1,3-propanediol, 2-propyl-1,3-propanediol, 2-butyl-1,3-propanediol, 3- Ethyl-1,5-pentanediol, 3-propyl-1,5-pentanediol, 3-butyl-1,5-pentanediol, 3-octyl-1,5-penta Diol, 3-Myristyl-1,5-pentanediol, 3-stearyl-1,5-pentanediol, 2-ethyl-1,6-hexanediol, 2-propyl-1,6-hexanediol, 2-butyl- Examples include 1,6-hexanediol, 5-ethyl-1,9-nonanediol, 5-propyl-1,9-nonanediol, and 5-butyl-1,9-nonanediol.
Among these, 2,2-dimethyl-1,3-propanediol, 2-ethyl-2-butyl-1,3-propanediol, and 2,2-diethyl-1,3-propanediol are preferable. The content of the aliphatic diol having a branched side chain in the total diol component of the polyester polyol is preferably from 50 to 100 mol%, more preferably from 70 to 100 mol%, in order to obtain good solubility.
[0038]
The chain extender used as a raw material for the polyurethane resin in the binder of the present invention contains an aliphatic diol having an alkyl side chain. By having an alkyl molecule side chain, the association of urethane bonds and ester bonds can be prevented sterically hindered, so that the intermolecular interaction is reduced and the solubility of the binder can be improved. The chain extender may be an aliphatic diol having an alkyl branched side chain and having no cyclic structure. Since the chain extender does not have a cyclic structure such as an aromatic ring or a cyclohexane ring, the binder is uniformly dissolved in the solvent, and the magnetic substance and the nonmagnetic powder can be highly dispersed. In the present invention, the chain extender may be the same as or different from the diol component contained in the polyester polyol.
[0039]
In the present invention, preferred chain extenders are 2-ethyl-2-butyl-1,3-propanediol and 2,2-diethyl-1,3-propanediol. The content of the chain extender composed of an aliphatic diol having an alkyl branched side chain in the polyurethane resin is preferably 5 to 30% by mass, and more preferably 10 to 20% by mass.
[0040]
As the diisocyanate used as a raw material for the polyurethane resin in the binder, known ones can be used. For example, 2,4-tolylene diisocyanate, 2,6-tolylene diisocyanate, xylene-1,4-diisocyanate, xylene-1 , 3-diisocyanate, 4,4′-diphenylmethane diisocyanate, 4,4-diphenyl ether diisocyanate, 2-nitrodiphenyl-4.4′-diisocyanate, 2,2′-diphenylpropane-4,4′-diisocyanate, 4,4 '-Diphenylpropane diisocyanate, o-phenylene diisocyanate, m-phenylene diisocyanate, p-phenylene diisocyanate, naphthylene-1,4-diisocyanate, naphthylene-1,5-diisocyanate, 3,3'-dimethoxy Aliphatic diisocyanates such as diphenyl-4,4′-diisocyanate, aliphatic diisocyanates such as tetramethylene diisocyanate, hexamethylene diisocyanate, lysine diisocyanate, isophorone diisocyanate, hydrogenated tolylene diisocyanate, hydrogenated diphenylmethane diisocyanate, etc. A diisocyanate etc. can be mentioned. Preferably, TDI (tolylene diisocyanate), MDI (diphenylmethane diisocyanate), p-phenylene diisocyanate, o-phenylene diisocyanate, m-phenylene diisocyanate, xylylene diisocyanate, hydrogenated xylylene diisocyanate, isophorone diisocyanate and the like can be used.
[0041]
In this invention, content of the isocyanate in a polyurethane resin can be suitably set so that it may become in the range of the following urethane group density | concentration.
[0042]
The urethane group concentration in the polyurethane resin is preferably 2.5 to 4.5 mmol / g, more preferably 3.0 to 4,0 mmol / g. If a urethane group density | concentration is 2.5 mmol / g or more, the glass transition temperature (Tg) of a coating film will improve, and durability will improve. In addition, if the urethane group concentration is excessively high, there will be inconveniences in the synthesis such as difficulty in controlling the molecular weight due to the inability to contain polyol. Is preferably 4.5 mmol / g or less.
[0043]
The polyurethane resin in the binder preferably has a weight average molecular weight of 30,000 to 150,000, more preferably 40,000 to 100,000. When the weight average molecular weight is 30,000 or more, high coating strength and excellent durability can be obtained. Can be improved.
[0044]
In the present invention, the glass transition temperature (Tg) of the polyurethane resin in the binder is preferably 30 to 200 ° C, more preferably 70 to 180 ° C, and further preferably 80 to 170 ° C. is there. If the glass transition temperature is 40 ° C. or higher, the coating film strength at high temperatures is good, and if it is 200 ° C. or lower, the calendar moldability is excellent and the electromagnetic conversion characteristics are good.
[0045]
As a polar group of the polyurethane resin, -SO3M, -OSO3M, -P03M2, -COOM (wherein M is selected from a hydrogen atom, an alkali metal, and ammonium), more preferably -SO3M, -OS03M is suitable. The content of polar groups is 1 × 10-5~ 5x10-4It is preferable that it is eq / g. 1 × 10-5If it is eq / g or more, the adsorptivity to the magnetic substance or nonmagnetic powder is high and the dispersibility is good, and 5 × 10 5-4High solvent solubility can be obtained because it is eq / g or less.
[0046]
The OH group content in the polyurethane resin is preferably 2 to 20 per molecule, and more preferably 3 to 15 per molecule. By containing two or more OH groups per molecule, the adsorptivity to a magnetic substance or nonmagnetic powder is high and the dispersibility is good, and the OH group content per molecule is 20 or less. High solvent solubility can be obtained.
[0047]
[Other binder components]
In the present invention, in addition to the above polyurethane resin, the binder includes, as other binder components, an acrylic resin copolymerized with polyester resin, polyamide resin, vinyl chloride resin, styrene, acrylonitrile, methyl methacrylate, and the like. Cellulose resins such as cellulose, epoxy resins, phenoxy resins, polyvinyl acetals, polyvinyl alkyl resins such as polyvinyl butyral, and the like can be used alone or in combination. Of these, preferred binder components are vinyl chloride resins and acrylic resins.
[0048]
The binder component preferably has a functional group (polar group) that is adsorbed on the surface of the powder in order to improve the dispersibility of the magnetic substance and nonmagnetic powder. A preferred functional group is -SO3M, -SO4M, -PO (OM)2, -OPO (OM)2 , -COOM,> NSO3M,> NRSO3M, -NR1R2, -N+R1R2R3X−and so on. Here, M is hydrogen or an alkali metal such as Na or K, R is an alkylene group, R1, R2, R3Is an alkyl group or a hydroxyalkyl group or hydrogen, and X is a halogen such as Cl or Br. The amount of the functional group in the binder is preferably 10 μeq / g to 200 μeq / g, and more preferably 30 μeq / g to 120 μeq / g. Within this range, the dispersibility is good. In addition, a functional group having an active hydrogen such as an OH group may be included.
[0049]
As the vinyl chloride resin, a vinyl chloride monomer copolymerized with various monomers can be used. Copolymerized monomers include vinyl acetate, fatty acid vinyl esters such as vinyl propionate, methyl (meth) acrylate, ethyl (meth) acrylate, isopropyl (meth) acrylate, butyl (meth) acrylate, acrylate such as benzyl (meth) acrylate Alkyl allyl ethers such as methacrylates, allyl methyl ether, allyl ethyl ether, allyl propyl ether, allyl butyl ether, other styrene, α-methyl styrene, vinylidene chloride, acrylonitrile, ethylene, butadiene, acrylamide can be used. Vinyl alcohol, 2-hydroxyethyl (meth) acrylate, polyethylene glycol (meth) acrylate, 2-hydroxy, which is a copolymerizable monomer having a functional group Propyl (meth) acrylate, 3-hydroxypropyl (meth) acrylate, polypropylene glycol (meth) acrylate, 2-hydroxyethyl allyl ether, 2-hydroxypropyl allyl ether, 3-hydroxypropyl allyl ether, p-vinylphenol, maleic acid , Maleic anhydride, acrylic acid, methacrylic acid, glycidyl (meth) acrylate, allyl glycidyl ether, phosphoethyl (meth) acrylate, sulfoethyl (meth) acrylate, p-styrene sulfonic acid, and their Na and K salts are used. be able to. The composition of the vinyl chloride monomer in the vinyl chloride resin is preferably 60 to 95% by mass. Within this range, the mechanical strength is high and the solvent solubility is high, so that the coating solution viscosity is low and the dispersibility is good.
[0050]
As the method for introducing the adsorptive functional group (polar group), the functional group-containing monomer may be copolymerized, or the functional group may be introduced by a polymer reaction after copolymerizing the vinyl chloride resin. A preferable degree of polymerization is 200 to 600, and more preferably 240 to 450. Within this range, the mechanical strength is high, and since the solution viscosity is low, the dispersibility is good, which is preferable.
[0051]
The molecular weight of other binder components other than the polyurethane resin is the weight average molecular weight (Mw) Is preferably 20,000 to 200,000, more preferably 20,000 to 80,000. Within this range, the coating film strength and the coating solution viscosity are good.
[0052]
The polyurethane resin can be prepared by reacting a polyester extender prepared in advance with a chain extender and isocyanate using a thermometer, a stirrer, a reflux condenser, or the like. The polyester polyol can be obtained by a transesterification reaction and a polycondensation reaction in the presence of a catalyst (for example, zinc acetate, sodium acetate, etc.) by mixing a predetermined mol% of an aliphatic dibasic acid and a diol. A polyurethane resin can be obtained by subjecting the obtained polyester polyol to a polyaddition reaction with a chain extender and an isocyanate.
[0053]
In the present invention, in the case of having a layer structure of three or more layers, the binder can be used not only as an upper magnetic layer but also as a binder for an intermediate magnetic layer or an intermediate nonmagnetic layer. In the case of a magnetic layer (including an upper layer and an intermediate layer), the content of the binder is 5 to 30 parts by mass with respect to 100 parts by mass of ferromagnetic powder, and in the case of a nonmagnetic layer, 100 parts by mass of nonmagnetic powder. Part is preferred, more preferably 10 to 20 parts by weight.
[0054]
Next, an upper magnetic layer, an intermediate layer (nonmagnetic or magnetic layer), a nonmagnetic support, a backcoat layer, a layer structure, a production method, and physical characteristics constituting the magnetic recording medium of the present invention will be described.
[0055]
[Upper magnetic layer]
<Ferromagnetic powder>
In the present invention, examples of the ferromagnetic metal powder contained in the upper magnetic layer include a ferromagnetic metal powder mainly composed of α-Fe. In addition to predetermined atoms, the ferromagnetic metal powder includes Al, Si, Ca, Mg, Ti, Cr, Cu, Y, Sn, Sb, Ba, W, La, Ce, Pr, Nd, P, Co, Mn, Zn , Ni, Sr, B, etc. may be included. In particular, at least one of Al, Ca, Mg, Y, Ba, La, Nd, Sm, Co, and Ni is preferably included in addition to α-Fe. Co is particularly preferable when making an alloy with Fe because saturation magnetization is increased and demagnetization is improved. The Co content is preferably 1 to 40 atom%, more preferably 15 to 35 atom%, and more preferably 20 to 35 atom% with respect to Fe.
[0056]
The content of rare earth elements such as Y is preferably 1.5 to 12 atomic%, more preferably 3 to 10 atomic%, and still more preferably 4 to 9 atomic%. Al is preferably 1.5 to 12 atomic%, more preferably 3 to 10 atomic%, and further preferably 4 to 9 atomic%. The rare earth and Al containing Y function as a sintering inhibitor, and a higher sintering prevention effect can be obtained by using them in combination. These ferromagnetic powders may be previously treated with a dispersant, lubricant, surfactant, antistatic agent, etc., which will be described later.
[0057]
Specifically, Japanese Patent Publication No. 44-14090, Japanese Patent Publication No. 45-18372, Japanese Patent Publication No. 47-22062, Japanese Patent Publication No. 47-22513, Japanese Patent Publication No. 46-28466, Japanese Patent Publication No. 46-38755. No. 47, No. 47-4286, No. 47-12422, No. 47-17284, No. 47-18509, No. 47-18573, No. 39-10307 No. 46-39639, US Pat. No. 3,026,215, US Pat. No. 3,303,341, US Pat. No. 3,100,194, US Pat. No. 3,342,005, US Pat. No. 3,389,014 and the like.
[0058]
The ferromagnetic metal powder may contain a small amount of hydroxide or oxide. What was obtained by the well-known manufacturing method of ferromagnetic metal powder can be used, and the following method can be mentioned.
Reduction of hydrous iron oxide and iron oxide with anti-sintering treatment using iron or other reducing gas to obtain Fe or Fe-Co particles, reduction of complex organic acid salt (mainly oxalate) and hydrogen A method of reducing with a reactive gas, a method of thermally decomposing a metal carbonyl compound, a method of reducing a ferromagnetic metal aqueous solution by adding a reducing agent such as sodium borohydride, hypophosphite or hydrazine, a metal at a low pressure For example, the powder is obtained by evaporating in an inert gas. The ferromagnetic metal powder thus obtained is subjected to a known slow oxidation treatment. A method of reducing the amount of demagnetization by reducing the hydrous iron oxide and iron oxide with a reducing gas such as hydrogen and controlling the partial pressure, temperature and time of the oxygen-containing gas and inert gas to form an oxide film on the surface. preferable.
[0059]
In the present invention, the specific surface area of the ferromagnetic metal powder contained in the magnetic layer by the BET method (SBET) Is 45-80m2/ G, preferably 50-70 m2/ G. Specific surface area (SBET) Is 45-80m2/ G is preferable because noise can be suppressed and a smooth surface can be obtained. The crystallite size of the ferromagnetic metal powder in the upper magnetic layer of the present invention is 8 to 35 nm (80 to 350 mm), preferably 10 to 25 nm (100 to 250 mm), more preferably 14 to 20 nm (140 to 200 mm). is there. The average major axis length of the ferromagnetic metal powder is 0.02 to 0.25 μm, preferably 0.05 to 0.15 μm, and more preferably 0.06 to 0.1 μm.
[0060]
The average acicular ratio (major axis length / average minor axis length) of the ferromagnetic metal powder is preferably 3 to 15, and more preferably 5 to 12. The saturation magnetization σs of the ferromagnetic metal powder is usually 100 to 180 A · m.2/ Kg, 110 to 170 A · m2/ Kg, preferably 125 to 160 A · m2More preferably, it is / kg. The coercive force (Hc) of the ferromagnetic metal powder is preferably 111 to 279 kA / m (1400 to 3500 Oe), more preferably 143 to 239 kA / m (1800 to 3000 Oe).
[0061]
The water content of the ferromagnetic metal powder is preferably 0.01-2% by mass. It is preferable to optimize the moisture content of the ferromagnetic metal powder depending on the type of the binder. The pH of the ferromagnetic metal powder is preferably optimized depending on the combination with the binder used. The range is 4-12, but preferably 6-10. The amount of SA (stearic acid) adsorbed on the ferromagnetic metal powder (a measure of the basic point of the surface) is 1 to 15 μmol / m.22-10 μmol / m2Preferably, 3-8 μmol / m2More preferably. When a ferromagnetic metal powder having a large amount of stearic acid adsorption is used, it is preferable to prepare a magnetic recording medium by modifying the surface with an organic substance that strongly adsorbs to the surface. The ferromagnetic powder may be surface-treated with Al, Si, P, or an oxide thereof as required. The amount is suitably 0.1 to 10% with respect to the ferromagnetic powder. When the surface treatment is applied, the adsorption of a lubricant such as a fatty acid is 100 mg / m 2.2The following is preferable. Ferromagnetic metal powder has soluble Na, Ca, Fe, Ni, Sr, NH4, SO4, Cl, NO2, NO3Inorganic ions such as These are preferably essentially free. If the total of each ion is about 300 ppm or less, the characteristics are not affected. In addition, the ferromagnetic metal powder used in the present invention preferably has fewer vacancies, and its value is 20% by volume or less, and more preferably 5% by volume or less. The shape may be needle-like, rice-grained, or spindle-shaped as long as the powder size and magnetic characteristics shown above are satisfied. The SFD (switching field distribution) of the ferromagnetic metal powder itself is preferably small, preferably 0.8 or less, and it is preferable to reduce the Hc distribution of the ferromagnetic powder. When the SFD is 0.8 or less, the electromagnetic conversion characteristics are good, the output is high, the magnetization reversal is sharp, the peak shift is small, and it is suitable for high-density digital magnetic recording. In order to reduce the coercive force (Hc) distribution, monodisperse α-Fe that improves the particle size distribution of goethite in the ferromagnetic metal powder.2O3And a method of preventing sintering between particles.
[0062]
<Hexagonal ferrite ferromagnetic powder>
As the ferromagnetic powder of the upper magnetic layer of the present invention, hexagonal ferrite ferromagnetic powder can also be used. Examples of hexagonal ferrite ferromagnetic powder include barium ferrite, strontium ferrite, lead ferrite, calcium ferrite substitution, and Co substitution. Specific examples include magnetoplumbite type barium ferrite and strontium ferrite, magnetoplumbite type ferrite whose particle surface is coated with spinel, and magnetoplumbite type barium ferrite and strontium ferrite partially containing a spinel phase. Other than the predetermined atoms, Al, Si, S, Sc, Ti, V, Cr, Cu, Y, Mo, Rh, Pd, Ag, Sn, Sb, Te, Ba, Ta, W, Re, Au, It may contain atoms such as Hg, Pb, Bi, La, Ce, Pr, Nd, P, Co, Mn, Zn, Ni, Sr, B, Ge, and Nb. In general, a material to which an element such as Co—Ti, Co—Ti—Zr, Co—Ti—Zn, Ni—Ti—Zn, Nb—Zn—Co, Sb—Zn—Co, or Nb—Zn is added is used. Can do. Some raw materials and manufacturing methods contain specific impurities.
[0063]
The particle size in terms of hexagonal plate diameter is 10 to 200 nm, preferably 20 to 100 nm. If it is 10 nm or more, there is little thermal fluctuation and stable magnetization can be obtained, and if it is 200 nm or less, noise is reduced, which is suitable for high-density magnetic recording. When reproducing with a magnetoresistive head, it is necessary to reduce the noise, and the plate diameter is preferably 40 nm or less. The plate ratio (plate diameter / plate thickness) is preferably from 1 to 15, more preferably from 2 to 7. When the plate ratio is small, the filling property in the magnetic layer is preferably high, but sufficient orientation cannot be obtained. When it is larger than 15, noise increases due to stacking between particles. The specific surface area of this particle size range by the BET method is 10 to 200 m.2/ G. The specific surface area generally corresponds to an arithmetic calculation value from the particle plate diameter and plate thickness. The crystallite size is 50 to 450 mm, preferably 100 to 350 mm. The distribution of the particle plate diameter and plate thickness is generally preferably as narrow as possible. Although numerical conversion is difficult, it can be compared by randomly measuring 500 particles from a particle TEM photograph. In many cases, the distribution is not a normal distribution, but when calculated and expressed as a standard deviation with respect to the average size, σ / average size = 0.1 to 2.0. In order to sharpen the particle size distribution, the particle generation reaction system is made as uniform as possible, and the generated particles are subjected to a distribution improvement process. For example, a method of selectively dissolving ultrafine particles in an acid solution is also known. The coercive force Hc measured with a magnetic material can be made up to about 40 to 400 kA / m (500 to 5000 Oe). A higher Hc is advantageous for high-density recording, but is limited by the capacity of the recording head. Usually, it is about 64 kA / m (800 Oe) to 318 kA / m (4000 Oe), preferably 119 kA / m (1500 Oe) or more and 279 kA / m (3500 Oe) or less. When the saturation magnetization of the head exceeds 1.4 Tessler, it is preferable to set it to 159 kA / m (2000 Oe) or more. Hc can be controlled by the particle size (plate diameter / plate thickness), the type and amount of the contained element, the substitution site of the element, the particle generation reaction conditions, and the like. The saturation magnetization σs is 40 to 80 A · m2/ Kg (40-80 emu / g). The saturation magnetization σs is preferably higher, but tends to be smaller as the particle becomes finer. In order to improve the saturation magnetization σs, it is well known to combine spinel ferrite with magnetoplumbite ferrite and to select the type and amount of elements contained. It is also possible to use W-type hexagonal ferrite.
[0064]
When the hexagonal ferrite is dispersed, the surface of the hexagonal ferrite is treated with a dispersion medium and a substance suitable for the polymer. As the surface treating agent, an inorganic compound or an organic compound is used. Typical examples of the main compound include oxides or hydroxides such as Si, Al, and P, various silane coupling agents, and various titanium coupling agents. The amount is suitably 0.1 to 10% with respect to the hexagonal ferrite ferromagnetic powder. The PH of hexagonal ferrite is also important for dispersion. Usually, about 4 to 12 has optimum values depending on the dispersion medium and polymer, but about 6 to 10 is selected from the chemical stability and storage stability of the medium. Water contained in the magnetic material also affects the dispersion. Although there is an optimum value depending on the dispersion medium and polymer, 0.01 to 2.0% is usually selected.
[0065]
The hexagonal ferrite is manufactured by mixing (1) metal oxides that replace barium oxide, iron oxide, and iron with boron oxide as a glass-forming substance so as to have a desired ferrite composition, and then melting and quenching. A glass crystallization method to obtain barium ferrite crystal powder by re-heating treatment after making it amorphous, (2) Barium ferrite composition metal salt solution is neutralized with alkali, and by-product After removal, liquid phase heating at 100 ° C or higher followed by washing, drying and grinding to obtain barium ferrite crystal powder, (3) neutralizing barium ferrite composition metal salt solution with alkali, by-product There is a coprecipitation method in which barium ferrite crystal powder is obtained by drying, treating at 1100 ° C. or less, and pulverizing, but the production method is not limited.
[0066]
<Binder>
In the present invention, as the binder that can be used in the upper magnetic layer, in addition to the above-mentioned binder containing a polyurethane resin, conventionally known thermoplastic resins, thermosetting resins, reactive resins, and mixtures thereof are used. be able to.
As the thermoplastic resin, those having a glass transition temperature of −100 to 150 ° C., a number average molecular weight of 1,000 to 200,000, preferably 10,000 to 100,000, and a polymerization degree of about 50 to 1000 are used. can do.
[0067]
Examples of such thermoplastic resins include vinyl chloride, vinyl acetate, vinyl alcohol, maleic acid, acrylic acid, acrylic ester, vinylidene chloride, acrylonitrile, methacrylic acid, methacrylic ester, styrene, butadiene, ethylene, vinyl butyral. In addition, there are polymers or copolymers containing vinyl acetal, vinyl ether and the like as structural units, and various rubber resins. Thermosetting resins or reactive resins include phenolic resins, epoxy resins, polyurethane curable resins, urea resins, melamine resins, alkyd resins, acrylic reactive resins, formaldehyde resins, silicone resins, epoxy-polyamide resins, polyester resins. And a mixture of an isocyanate prepolymer and the like. These resins are described in detail in “Plastic Handbook” published by Asakura Shoten.
[0068]
These examples and their production methods are described in detail in JP-A No. 62-256219. The above resins can be used alone or in combination, but preferred are vinyl chloride resin, vinyl chloride-vinyl acetate copolymer, vinyl chloride-vinyl acetate-vinyl alcohol copolymer, vinyl chloride-vinyl acetate-maleic anhydride copolymer. The combination of at least 1 sort (s) chosen from a polymer and a polyurethane resin, or what combined these with polyisocyanate is mentioned.
[0069]
Specific examples of these binders used in the present invention include, as vinyl chloride copolymers, VAGH, VYHH, VMCH, VAGF, VAGD, VROH, VYES, VYNC, VMCC, XYHL, XYSG, manufactured by Union Carbide. PKHH, PKHJ, PKHC, PKFE, MPS-TA, MPR-TA5, MPR-TAL, MPR-TSN, MPR-TMF, MPR-TS, MPR-TM, MPR-TAO, manufactured by Nissin Chemical Industry Co., Ltd. 1000W, DX80, DX81, DX82, DX83, 100FD, Nippon Zeon's MR-104, MR-105, MR110, MR100, MR555, 400X-110A, Nippon Polyurethane Nipporan N2301, N2302, N2304, Dainippon as polyurethane resin Made by Ink Ndex T-5105, T-R3080, T-5201, Barnock D-400, D-210-80, Crisbon 6109, 7209, Byron UR8200, UR8300, UR-8700, RV530, RV280, Dainichi Polycarbonate polyurethane, Daiferamin 4020, 5020, 5100, 5300, 9020, 9022, 7020, polyurethane made by Mitsubishi Kasei, MX5004, polyurethane made by Sanyo Kasei, Samprene SP-150, polyurethane made by Asahi Kasei, Saran F310, F210, etc. Can be mentioned.
[0070]
The binder used in the upper magnetic layer can be used in the range of 5 to 30 parts by mass, preferably 10 to 20 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the ferromagnetic powder.
[0071]
Each of the above components is kneaded and dispersed together with a solvent such as methyl ethyl ketone, dioxane, cyclohexanone, and ethyl acetate, which are usually used in the preparation of the upper magnetic layer coating material to obtain an upper magnetic layer coating material. The kneading and dispersing can be performed according to a usual method. In addition, in the coating for the upper magnetic layer, in addition to the above components, a curing agent, α-Al2O3, Cr2O3A commonly used additive or filler such as an abrasive such as carbon black, an antistatic agent such as carbon black, a lubricant such as fatty acid, fatty acid ester, and silicone oil, and a dispersant may be included.
[0072]
The curing agent used in the upper magnetic layer of the present invention is preferably an isocyanate curing agent. Specifically, it is preferable to use an isocyanate having three or more functional groups.
As commercially available product names of isocyanates, Nippon Polyurethane Coronate L, Coronate HL, Coronate 2030, Coronate 2031, Millionate MR, Millionate MTL, Takeda Pharmaceutical Takenate D-102, Takenate D-110N, Takenate D -200, Takenate D-202, Sumitomo Bayer's Death Module L, Death Module IL, Death Module N, Death Module HL, etc. They can be used in combination.
[0073]
<Carbon black>
Examples of the carbon black used in the upper magnetic layer of the magnetic recording medium of the present invention include rubber furnace, rubber thermal, color black, and acetylene black. Specific surface area is 5-500m2/ G, DBP oil absorption is 10 to 400 ml / 100 g, average particle size is 5 to 300 nm, pH is 2 to 10, moisture content is 0.1 to 10%, tap density is 0.1 to 1 g / ml. Is preferred.
[0074]
Specific examples of carbon black used for the upper magnetic layer of the present invention include BLACKPEARLS 2000, 1300, 1000, 900, 800, 700, VULCANXC-72, manufactured by Cabot Corporation, # 80, # 60, # 55 manufactured by Asahi Carbon Corporation. # 50, # 35, # 2400B, # 2300, # 900, # 1000, # 30, # 40, # 10B manufactured by Mitsubishi Chemical Industries, Ltd. CONDUCTEX SC, RAVEN 150, 50, 40, 15 manufactured by Conlongbia Carbon Is mentioned. Carbon black may be surface-treated with a dispersant or the like, or may be used by grafting with resin and graphitizing a part of the surface. Further, carbon black may be dispersed in advance with a binder before being added to the magnetic layer coating material. These carbon blacks can be used alone or in combination.
[0075]
When carbon black is used in the upper magnetic layer, the content with respect to the ferromagnetic powder is preferably 0.1 to 30% by mass. Carbon black functions to prevent the magnetic layer from being charged, reduce the coefficient of friction, impart light-shielding properties, and improve the film strength. These differ depending on the carbon black used. Therefore, these carbon blacks used in the present invention are changed in type, amount and combination in the upper layer and the intermediate layer described later, and based on the above-mentioned characteristics such as particle size, oil absorption, conductivity, pH, etc. Of course, it is possible to use properly according to the purpose. The carbon black that can be used in the upper magnetic layer of the present invention can be referred to, for example, “Carbon Black Handbook” edited by Carbon Black Association.
[0076]
<Abrasive>
In the present invention, an abrasive can be used in the upper magnetic layer. As an abrasive, α-alumina, β-alumina, silicon carbide, chromium oxide, cerium oxide, α-iron oxide, corundum, artificial diamond, silicon nitride, silicon carbide, titanium carbide, titanium oxide having an α conversion rate of 90% or more Known materials having a Mohs hardness of 6 or more, such as silicon dioxide and boron nitride, are used alone or in combination. Further, a composite of these abrasives (a product obtained by surface-treating an abrasive with another abrasive) may be used.
[0077]
The abrasive in the present invention may contain a compound or element other than the main component, but the effect remains unchanged as long as the main component is 90% or more. The average particle size of these abrasives is preferably 0.01 to 2 μm, and in order to improve electromagnetic conversion characteristics (S / N), it is preferable that the particle size distribution is narrow. Further, in order to improve the durability, it is possible to combine abrasives having different particle diameters as necessary, or to obtain the same effect by widening the particle size distribution even with a single abrasive.
[0078]
The tap density of the abrasive is 0.3-2 g / ml, the moisture content is 0.1-5%, the pH is 2-11, and the specific surface area is 1-30 m.2/ G is preferable. The shape of the abrasive used in the present invention may be any of acicular, spherical and dice, but those having a corner in a part of the shape are preferable because of high polishing properties.
[0079]
Specific examples of the abrasive used in the present invention include AKP-20, AKP-30, AKP-50, HIT-50, HIT-100, manufactured by Sumitomo Chemical Co., Ltd., G5, G7, S1, manufactured by Nippon Chemical Industry Co., Ltd. Examples include TF-100 and TF-140 manufactured by Toda Kogyo. Of course, the abrasive used in the present invention can be selected depending on the purpose by changing the type, amount and combination of the magnetic layer (upper intermediate layer) and the non-magnetic layer. These abrasives may be added to the magnetic paint after being dispersed with a binder in advance. The number of abrasives present on the magnetic layer surface and the end face of the magnetic recording medium of the present invention is 5/100 μm.2The above is preferable.
[0080]
<Additives>
As the additive used in the upper magnetic layer of the present invention, those having a lubricating effect, an antistatic effect, a dispersing effect, a plasticizing effect, and the like are used, and the overall performance can be improved by combining them. As a material that exhibits a lubricating effect, a lubricant that has a remarkable effect on adhesion caused by friction between the material surfaces is used. There are two types of lubricants. Lubricants used in magnetic recording media cannot be determined completely as fluid lubrication or boundary lubrication, but can be classified by general concepts such as higher fatty acid esters, liquid paraffin, silicone derivatives, etc. They are classified into long-chain fatty acids that exhibit boundary lubrication, fluorine-based surfactants, fluorine-containing polymers, and the like. In coated media, the lubricant exists in the state dissolved in the binder and partly adsorbed on the surface of the ferromagnetic powder, and the lubricant moves to the surface of the magnetic layer. Is determined by the compatibility of the binder and the lubricant. When the compatibility between the binder and the lubricant is high, the transition speed is low, and when the compatibility is low, the transition speed is low. One way of thinking about compatibility is to compare the solubility parameters of the two. Nonpolar lubricants are effective for fluid lubrication, and polar lubricants are effective for boundary lubrication.
[0081]
In the present invention, it is preferable to combine a higher fatty acid ester exhibiting fluid lubrication having different properties and a long chain fatty acid exhibiting boundary lubrication, and it is more preferable to combine at least three kinds. A solid lubricant can also be used in combination with these.
As the solid lubricant, for example, molybdenum disulfide, tungsten disulfide graphite, boron nitride, fluorinated graphite and the like are used. Examples of long-chain fatty acids exhibiting boundary lubrication include monobasic fatty acids having 10 to 24 carbon atoms (which may include unsaturated bonds or branched), and metal salts thereof (Li, Na, K, Cu etc.). Examples of the fluorine-containing surfactant and fluorine-containing polymer include fluorine-containing silicones, fluorine-containing alcohols, fluorine-containing esters, fluorine-containing alkyl sulfates, and alkali metal salts thereof. Higher fatty acid esters exhibiting fluid lubrication include monobasic fatty acids having 10 to 24 carbon atoms (which may include unsaturated bonds or branched) and monovalent or divalent carbon atoms having 2 to 12 carbon atoms. Mono fatty acid ester, di fatty acid ester or tri fatty acid ester, alkylene, consisting of any one of trivalent, tetravalent, pentavalent and hexavalent alcohols (which may contain unsaturated bonds or may be branched) Examples thereof include fatty acid esters of monoalkyl ethers of oxide polymers. Liquid paraffin and dialkylpolysiloxane (alkyl is 1 to 5 carbon atoms), dialkoxypolysiloxane (alkoxy is 1 to 4 carbon atoms), monoalkyl monoalkoxypolysiloxane (alkyl is 1 to carbon atoms) 5; alkoxy has 1 to 4 carbon atoms), silicone oil such as phenyl polysiloxane and fluoroalkylpolysiloxane (alkyl is 1 to 5 carbon atoms), silicone with polar group, fatty acid-modified silicone, fluorine-containing silicone, etc. Is mentioned.
[0082]
Other lubricants include monovalent, divalent, trivalent, tetravalent, pentavalent, and hexavalent alcohols having 12 to 22 carbon atoms (which may contain an unsaturated bond or may be branched), and 12 carbon atoms. Alkoxy alcohol of -22 (which may contain an unsaturated bond or may be branched), alcohol such as fluorine-containing alcohol, polyolefin such as polyethylene wax and polypropylene, polyglycol such as ethylene glycol and polyethylene oxide wax, alkyl Examples thereof include phosphate esters and alkali metal salts thereof, alkyl sulfate esters and alkali metal salts thereof, polyphenyl ethers, fatty acid amides having 8 to 22 carbon atoms, and aliphatic amines having 8 to 22 carbon atoms.
[0083]
Specific examples thereof include lauric acid, myristic acid, palmitic acid, stearic acid, behenic acid, butyl stearate, oleic acid, linoleic acid, linolenic acid, elaidic acid, octyl stearate, amyl stearate, isooctyl stearate, Examples include octyl myristate, butoxyethyl stearate, anhydrosorbitan monostearate, anhydrosorbitan distearate, anhydrosorbitan tristearate, oleyl alcohol, and lauryl alcohol. Also, nonionic surfactants such as alkylene oxide, glycerin, glycidol, and alkylphenol ethylene oxide adducts, cyclic amines, ester amides, quaternary ammonium salts, hydantoin derivatives, heterocyclics, phosphonium or sulfonium cations Surfactants, anionic surfactants containing acidic groups such as carboxylic acid, sulfonic acid, phosphoric acid, sulfuric acid ester group, and phosphoric acid ester group, amino acids, aminosulfonic acids, sulfuric acid or phosphoric acid esters of amino alcohols, alkylbedines Examples include amphoteric surfactants such as molds.
[0084]
The surfactant is described in detail in "Surfactant Handbook" (published by Sangyo Tosho Co., Ltd.). These lubricants, antistatic agents, and the like are not necessarily 100% pure, and may contain impurities such as isomers, unreacted materials, side reaction products, decomposed products, and oxides in addition to the main components. These impurities are preferably 30% or less, more preferably 10% or less.
[0085]
The lubricant used in the present invention is particularly preferably a fatty acid and a fatty acid ester. Specifically, examples of commercial products of these lubricants used in the present invention include NAA-102, NAA-415, NAA-312, NAA-160, NAA-180, NAA-174, NAA- manufactured by NOF Corporation. 175, NAA-222, NAA-34, NAA-35, NAA-171, NAA-122, NAA-142, NAA-160, NAA-173K, castor hardened fatty acid, NAA-42, NAA-44, cationic SA, cation MA, cation AB, cation BB, Naimine L-201, Naimine L-202, Naimine S-202, Nonion E-208, Nonion P-208, Nonion S-207, Nonion K-204, Nonion NS-202, Nonion NS -210, Nonion HS-206, Nonion L-2, Nonion S-2, Nonion S 4, Nonion O-2, Nonion LP-20R, Nonion PP-40R, Nonion SP-60R, Nonion OP-80R, Nonion OP-85R, Nonion LT-221, Nonion ST-221, Nonion OT-221, Monoguri MB, Nonion DS-60, Anon BF, Anone LG, Butyl stearate, Butyl laurate, Erucic acid, Oleic acid from Kanto Chemical Co., Inc. FAL-205, FAL-123 from Takemoto Yushi Co., Ltd. IPM, sansosizer E4030, Shin-Etsu Chemical TA-3, KF-96, KF-96L, KF96H, KF410, KF420, KF965, KF54, KF50, KF56, KF907, KF851, X-22-819, X-22 822, KF905, KF700, KF3 3, KF-857, KF-860, KF-865, X-22-980, KF-101, KF-102, KF-103, X-22-3710, X-22-3715, KF-910, KF- 3935, Lion Armor's Armide P, Armide C, Armoslip CP, Lion Oil & Fats Duomin TDO, Nisshin Oil's BA-41G, Sanyo Kasei Profan 2012E, New Pole PE61, Ionette MS-400, Ionette MO-200 Ionette DL-200, Ionet DS-300, Ionet DS-1000 Ionette DO-200, etc. are mentioned.
[0086]
These lubricants and surfactants used in the present invention have different physical actions, and the type, amount and combination ratio of lubricants that produce a synergistic effect are optimal depending on the purpose. It should be determined. Control the leaching to the surface using fatty acids with different melting points in the upper magnetic layer and the intermediate layer, which will be described later. By doing so, it is conceivable to improve the stability of coating and increase the lubricating effect by increasing the amount of lubricant added in the intermediate layer. Of course, it is not limited to the examples shown here. Generally, the total amount of the lubricant is selected in the range of 0.1 to 50 parts by mass, preferably 2 to 25 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the magnetic powder, nonmagnetic powder, or magnetic powder and nonmagnetic powder.
[0087]
All or part of the additives used in the present invention may be added in any step of magnetic layer coating (upper intermediate layer) and smooth layer coating production, for example, before the kneading step In the kneading step using a magnetic substance, a binder, and a solvent, in the dispersing step, in the case of adding after dispersion, and in the case of adding immediately before coating. Further, after applying the magnetic layer according to the purpose, the purpose may be achieved by applying a part or all of the additive by simultaneous or sequential application. Further, depending on the purpose, a lubricant can be applied to the surface of the upper magnetic layer after calendering or after completion of the slit.
[0088]
<Organic solvent>
The organic solvent used in the present invention is an arbitrary ratio of ketones such as acetone, methyl ethyl ketone, methyl isobutyl ketone, diisobutyl ketone, cyclohexanone, isophorone, tetrahydrofuran, methanol, ethanol, propanol, butanol, isobutyl alcohol, isopropyl alcohol, methylcyclohexanol. Alcohols such as methyl acetate, butyl acetate, isobutyl acetate, isopropyl acetate, ethyl lactate, glycol acetate, glycol ethers such as glycol dimethyl ether, glycol monoethyl ether, dioxane, benzene, toluene, xylene, cresol, Aromatic hydrocarbons such as chlorobenzene, methylene chloride, ethylene chloride, carbon tetrachloride, chloroform, ethyl Nkuroruhidorin, chlorinated hydrocarbons such as dichlorobenzene, N, N- dimethylformamide, those hexane and the like can be used. These organic solvents are not necessarily 100% pure, and may contain impurities such as isomers, unreacted materials, side reaction products, decomposition products, oxides, and moisture in addition to the main components. These impurities are preferably 30% or less, more preferably 10% or less. The organic solvent used in the present invention is preferably the same type in the upper magnetic layer and the intermediate layer described later. However, the amount added may be changed. It is important to increase the coating stability by using a high surface tension solvent (cyclohexanone, dioxane, etc.) for the intermediate layer. Specifically, it is important that the arithmetic average value of the upper layer solvent composition does not fall below the arithmetic average value of the intermediate layer solvent composition. is there. In order to improve dispersibility, it is preferable that the polarity is somewhat strong, and it is preferable that 50% or more of a solvent having a dielectric constant of 15 or more is included in the solvent composition. Moreover, it is preferable that a solubility parameter is 8-11.
[0089]
[Layer containing nonmagnetic powder and / or ferromagnetic powder in intermediate layer]
When the magnetic recording medium of the present invention has a structure of three or more layers, a layer containing a nonmagnetic powder and a binder (intermediate nonmagnetic layer), a ferromagnetic powder and a bond between the support and the upper magnetic layer A layer containing an agent or a layer containing non-magnetic powder, magnetic powder and a binder (hereinafter collectively referred to as “intermediate magnetic layer”) is provided. These layers are described in detail below.
[0090]
<Non-magnetic powder>
In the present invention, the intermediate nonmagnetic layer is preferably a layer mainly composed of nonmagnetic powder and a binder. The nonmagnetic powder used for the intermediate nonmagnetic layer can be selected from inorganic compounds such as metal oxides, metal carbonates, metal sulfates, metal nitrides, metal carbides, metal sulfides, and the like. Examples of inorganic compounds include α-alumina, β-alumina, γ-alumina, θ-alumina, silicon carbide, chromium oxide, cerium oxide, α-iron oxide, hematite, goethite, corundum, silicon nitride with an α conversion rate of 90% or more. , Titanium carbide, titanium oxide, silicon dioxide, tin oxide, magnesium oxide, tungsten oxide, zirconium oxide, boron nitride, zinc oxide, calcium carbonate, calcium sulfate, barium sulfate, molybdenum disulfide, etc. are used alone or in combination . Particularly preferred are titanium dioxide, zinc oxide, iron oxide and barium sulfate because of their small particle size distribution and many means for imparting functions, and more preferred are titanium dioxide and α-iron oxide.
[0091]
The average particle diameter of the nonmagnetic powder is preferably 0.005 to 2 μm. Further, if necessary, nonmagnetic powders having different average particle diameters can be combined, and even a single nonmagnetic powder can have the same effect by widening the particle size distribution. The average particle size of the nonmagnetic powder is particularly preferably 0.01 to 0.2 μm. In particular, when the nonmagnetic powder is a granular metal oxide, the average particle diameter is preferably 0.08 μm or less, and when the nonmagnetic powder is an acicular metal oxide, the average major axis length is 0.3 μm or less. It is preferably 0.2 μm or less.
[0092]
The tap density is usually 0.05 to 2 g / ml, preferably 0.2 to 1.5 g / ml. The moisture content of the nonmagnetic powder is usually 0.1 to 5% by mass, preferably 0.2 to 3% by mass, and more preferably 0.3 to 1.5% by mass. The pH of the nonmagnetic powder is usually 2 to 11, but the pH is particularly preferably between 5.5 and 10. The specific surface area of non-magnetic powder is usually 1-100m2/ G, 5 to 80 m2/ G, preferably 10 to 70 m2More preferably, it is / g. The crystallite size of the nonmagnetic powder is preferably 0.004 to 1 μm, and more preferably 0.04 to 0.1 μm. The oil absorption using DBP (dibutyl phthalate) is usually 5 to 100 ml / 100 g, preferably 10 to 80 ml / 100 g, and more preferably 20 to 60 ml / 100 g. The specific gravity is usually from 1 to 12, and more preferably from 3 to 6. The shape may be any of a needle shape, a spherical shape, a polyhedron shape, and a plate shape. The Mohs hardness is preferably 4-10. SA (stearic acid) adsorption amount of non-magnetic powder is 1-20 μmol / m22-15 μmol / m2More preferably, 3-8 μmol / m2More preferably. The pH is preferably between 3 and 6.
[0093]
The surface of these non-magnetic powders is Al treated by surface treatment.2O3, SiO2TiO2, ZrO2, SnO2, Sb2O3, ZnO, Y2O3Is preferably present. Particularly preferred for dispersibility is Al.2O3, SiO2TiO2, ZrO2More preferred is Al2O3, SiO2, ZrO2It is. These may be used in combination or may be used alone. Further, a co-precipitated surface treatment layer may be used depending on the purpose, and a method in which alumina is first present and then silica is present in the surface layer, or vice versa may be employed. The surface treatment layer may be a porous layer depending on the purpose, but it is generally preferable that the surface treatment layer is homogeneous and dense.
[0094]
Specific examples of the non-magnetic powder include Showa Denko Nano Tight, Sumitomo Chemical HIT-100, ZA-G1, Toda Kogyo α-Hematite DPN-250, DPN-250BX, DPN-245, DPN-270BX. , DBN-SA1, DBN-SA3, Ishihara Sangyo Titanium oxide TTO-51B, TTO-55A, TTO-55B, TTO-55C, TTO-55S, TTO-55D, SN-100, α-hematite E270, E271, E300 , E303, Titanium Industry Titanium Oxide STT-4D, STT-30D, STT-30, STT-65C, α-Hematite α-40, Teica MT-100S, MT-100T, MT-150W, MT-500B, MT -600B, MT-100F, MT-500HD, Sakai Chemical FINEX-25, BF 1, BF-10, BF-20, ST-M, Dowa Mining Ltd. DEFIC-Y, DEFIC-R, manufactured by Japan Aerosil AS2BM, TiO2P25, manufactured by Ube Industries, Ltd. 100A, 500A, and include those obtained by firing it. Particularly preferred nonmagnetic powders are titanium dioxide and α-iron oxide.
[0095]
<Carbon black for intermediate layer>
In the present invention, carbon black is mixed into the intermediate layer (intermediate nonmagnetic layer or intermediate magnetic layer) to reduce the surface electrical resistance Rs, which is a known effect, and to reduce the light transmittance, and to achieve a desired micro Vickers hardness can be obtained. Further, it is possible to bring about the effect of storing the lubricant by including carbon black in the intermediate layer. As the type of carbon black, furnace for rubber, thermal for rubber, black for color, acetylene black and the like can be used. The carbon black of the intermediate layer should be optimized for the following characteristics depending on the desired effect, and the effect may be obtained more when used in combination.
[0096]
The specific surface area of carbon black in the intermediate layer is 100-500m2/ G, preferably 150-400m2/ Pg, DBP oil absorption is 20 to 400 ml / 100 g, preferably 30 to 200 ml / 100 g. The particle size of carbon black is 5 to 80 nm, preferably 10 to 50 nm, more preferably 10 to 40 nm. Carbon black preferably has a pH of 2 to 10, a water content of 0.1 to 10%, and a tap density of 0.1 to 1 g / ml.
[0097]
In the present invention, specific examples of carbon black used for the intermediate layer include Cabot Corporation BLACKPEARLS 2000, 1300, 1000, 900, 800, 880, 700, VULCAN XC-72, Mitsubishi Kasei Kogyo Co., Ltd. # 3050B, # 3150B, # 3250B, # 3750B, # 3950B, # 950B, # 650B, # 970B, # 850B, MA-600, MA-230, # 4000, # 4010, CONDUCTEX SC, RAVEN 8800, 8000, manufactured by Konlonbia Carbon Co., Ltd. 7000, 5750, 5250, 3500, 2100, 2000, 1800, 1500, 1255, 1250, Ketjen Black EC made by Akzo, and the like. Carbon black may be surface-treated with a dispersant, or may be used after being grafted with a resin, or may be obtained by graphitizing a part of the surface. Moreover, before adding carbon black to a coating material, you may disperse | distribute with a binder beforehand. These carbon blacks can be used in a range not exceeding 50 mass% and not exceeding 40% of the total mass of the intermediate layer with respect to the amount of the non-magnetic powder or the magnetic powder used in the intermediate layer described later. These carbon blacks can be used alone or in combination. The carbon black that can be used in the present invention can be referred to, for example, “Carbon Black Handbook” (edited by Carbon Black Association).
[0098]
In addition, an organic powder can be added to the intermediate layer according to the purpose. Examples include acrylic styrene resin powder, benzoguanamine resin powder, melamine resin powder, phthalocyanine pigment, polyolefin resin powder, polyester resin powder, polyamide resin powder, polyimide resin powder, and polyfluorinated ethylene resin. Can be used. As the production method, those described in JP-A Nos. 62-18564 and 60-255827 can be used.
[0099]
<Magnetic powder for intermediate layer>
In the intermediate layer of the present invention, a magnetic powder can be used in addition to the nonmagnetic powder (intermediate magnetic layer). As magnetic powder, γ-Fe2O3Co-modified γ-Fe2O3, An alloy mainly composed of α-Fe, CrO2Etc. are used. In particular, Co-modified γ-Fe2O3Is preferred. The magnetic powder used for the intermediate layer of the present invention preferably has the same composition and performance as the ferromagnetic powder used for the upper magnetic layer. However, it is known that the performance is changed in the upper intermediate layer according to the purpose. For example, in order to improve the long wavelength recording characteristics, it is desirable to set the Hc of the intermediate magnetic layer lower than that of the upper magnetic layer, and to set the Br of the intermediate magnetic layer higher than that of the upper magnetic layer. Is effective. In addition, the advantage by taking a well-known multilayer structure can be provided.
[0100]
In the present invention, the intermediate layer uses a binder containing the above polyurethane resin. For other lubricants, dispersants, additives, solvents, dispersion methods, and contents, those of the above upper magnetic layer can be applied.
[0101]
[Non-magnetic support]
The support used in the present invention is preferably a non-magnetic flexible support, and has a thermal shrinkage rate of 0.5% or less at 100 ° C. for 30 minutes in each in-plane direction of the support. The thermal shrinkage at 80 ° C. for 30 minutes is preferably 0.5% or less, more preferably 0.2% or less. Furthermore, it is preferable that the heat shrinkage rate at 100 ° C. for 30 minutes and the heat shrinkage rate at 80 ° C. for 30 minutes of the support are equal to each other within 10% of the in-plane direction of the support. The support is preferably nonmagnetic.
These supports include known films such as polyesters such as polyethylene terephthalate and polyethylene naphthalate, polyolefins, cellulose triacetate, polycarbonate, aromatic or aliphatic polyamide, polyimide, polyamideimide, polysulfone, polyaramid, polybenzoxazole, etc. Can be used. It is preferable to use a high-strength support such as polyethylene naphthalate, polyethylene naphthalate, or polyamide. If necessary, the surface roughness of the magnetic layer surface and the base surface of the support can be changed. For example, a laminated type support as disclosed in JP-A-3-224127 can be used. These supports may be subjected in advance to corona discharge treatment, plasma treatment, easy adhesion treatment, heat treatment, dust removal treatment and the like. It is also possible to apply an aluminum or glass substrate as the support of the present invention.
[0102]
In order to achieve the object of the present invention, a support having a mean surface average surface roughness Ra of 3 to 10 nm at a cut-off value of 0.25 mm measured using a WYKO HD-2000 type as a support is used. Is preferred. The surface roughness shape is freely controlled by the size and amount of filler added to the support as required. Examples of these fillers include oxides and carbonates such as Ca, Si and Ti, and acrylic organic powders. The maximum height Rmax of the support is 1 μm or less, the ten-point average roughness Rz is 0.5 μm or less, the center surface peak height Rp is 0.5 μm or less, the center surface valley depth Rv is 0.5 μm or less, and the center surface area ratio Sr is preferably 10 to 90%, and the average wavelength λa is preferably 5 to 300 μm. In order to obtain desired electromagnetic conversion characteristics and durability, the distribution of surface protrusions of these supports can be arbitrarily controlled by a filler, each having a size of 0.01 to 1 μm is 0.1 mm.2It can be controlled in the range of 0 to 2000 per hit.
[0103]
The F-5 value of the support used in the present invention is 49 to 490 MPa (5 to 50 kg / mm2) Is preferable. Further, the thermal contraction rate of the support at 100 ° C. for 30 minutes is preferably 3% or less, and more preferably 1.5% or less. The heat shrinkage rate at 80 ° C. for 30 minutes is preferably 1% or less, and more preferably 0.5% or less. The breaking strength is 49 to 980 MPa (5 to 100 kg / mm2) Is preferable. The elastic modulus is 980-19600 MPa (100-2000 kg / mm2) Is preferable. The coefficient of thermal expansion is 10-4-10-8/ ° C, 10-5-10-6/ ° C is preferred. The humidity expansion coefficient is 10-4/ RH% or less, preferably 10-5/ RH% or less. These thermal characteristics, dimensional characteristics, and mechanical strength characteristics are preferably substantially equal with a difference of 10% or less in each in-plane direction of the support.
[0104]
[Back coat layer]
In the magnetic recording medium of the present invention, a backcoat layer can be provided on the surface on the nonmagnetic support opposite to the surface having the magnetic layer, if necessary. Although a back coat layer can be provided even on a magnetic disk, for example, in the case of a magnetic tape for computer data recording, repeatability is strongly required compared to a video tape and an audio tape. For this reason, the back coat layer preferably contains carbon black, an abrasive, an antistatic agent and the like in addition to the inorganic powder and the binder. When carbon black is used in the backcoat layer, it is preferable to use a combination of two types having different average particle sizes. In addition, the adhesive layer may be provided in the coating surface of the coating material for magnetic layers and the coating material for backcoat layers of a nonmagnetic support body.
[0105]
[Layer structure]
In the thickness structure of the magnetic recording medium of the present invention, the nonmagnetic support is usually 1 to 100 μm, and preferably 4 to 80 μm. The non-magnetic support for the computer tape has a thickness in the range of 3.0 to 6.5 [mu] m (preferably 3.0 to 6.0 [mu] m, more preferably 4.0 to 5.5 [mu] m). .
[0106]
The thickness of the smooth layer is preferably from 0.1 to 1.0 μm, more preferably from 0.3 to 0.7 μm. When the thickness is 0.1 μm or more, good smoothness can be obtained in the magnetic layer. Moreover, if it is 1.0 micrometer or less, a coating film will dry easily and it will be hard to raise | generate an adhesion failure.
[0107]
The thicknesses of the magnetic layer and the intermediate layer of the magnetic recording medium of the present invention are optimized depending on the saturation magnetization amount of the head used, the head gap length, and the recording signal band. In the present invention, the thickness of the magnetic layer (in the case of a single layer) or the upper magnetic layer (in the case of two or more layers) is preferably 0.01 to 1.0 μm, and preferably 0.01 to 0.5 μm. preferable. When the thickness of the magnetic layer is 1.0 μm or less, the self-demagnetization loss is small and the output can be improved, and good overwrite characteristics can be obtained, which is advantageous for high-density recording. Further, if the thickness of the magnetic layer is 1.0 μm or less, the surface electrical resistance can be reduced, so that the MR head is not electrostatically broken.
[0108]
The thickness of the intermediate layer (intermediate magnetic layer or intermediate nonmagnetic layer) is usually 0.5 to 3 μm, preferably 0.8 to 2.0 μm, and 1.0 to 1.5 μm. Is more preferable.
[0109]
When it has a backcoat layer, the thickness of the backcoat layer is usually 0.1 to 2 μm, and preferably 0.3 to 1.0 μm.
[0110]
[Production method]
The process for producing the magnetic coating material for the magnetic recording medium of the present invention comprises at least a kneading process, a dispersing process, and a mixing process provided as necessary before and after these processes. Each process may be divided into two or more stages. All raw materials such as magnetic powder, non-magnetic powder, radiation curable resin, binder, carbon black, abrasive, antistatic agent, lubricant, solvent, etc. used in the magnetic recording medium of the present invention It may be added in the middle. In addition, individual raw materials may be added in two or more steps. For example, polyurethane may be divided and added in a kneading step, a dispersing step, and a mixing step for adjusting the viscosity after dispersion.
[0111]
In order to achieve the object of the present invention, a conventional known manufacturing technique can be used as a partial process. In the kneading step, it is preferable to use a kneading force such as an open kneader, a continuous kneader, a pressure kneader, or an extruder. When a kneader is used, the magnetic powder or non-magnetic powder and all or part of the binder (preferably 30% or more of the total binder) are in the range of 15 to 500 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the magnetic powder. Kneaded. Details of these kneading treatments are described in JP-A-1-106338 and JP-A-1-79274. In order to disperse the coating material for the magnetic layer and the coating material for the nonmagnetic layer, glass beads can be used, but zirconia beads, titania beads, and steel beads, which are high specific gravity dispersion media, are suitable. The particle diameter and filling rate of these dispersion media are optimized. A well-known thing can be used for a disperser.
[0112]
In the method for producing a magnetic recording medium of the present invention, for example, a smooth layer coating is applied on a non-magnetic support so that the thickness of the smooth layer after drying is 1.0 μm or less, cured by radiation, and then smoothed. The layer thickness after drying of the magnetic layer on the surface of the layer is 5.0 μm or less, or the layer thickness after drying of the intermediate layer is 3 μm or less, and further the layer thickness after drying of the upper magnetic layer on the surface of the intermediate layer Can be applied so as to be 0.5 μm or less.
[0113]
As a coating machine for applying the magnetic layer paint, air doctor coat, blade coat, rod coat, extrusion coat, air knife coat, squeeze coat, impregnation coat, reverse roll coat, transfer roll coat, gravure coat, kiss coat, cast coat, Spray coating, spin coating, etc. can be used. For example, “Latest coating technology” (May 31, 1983) issued by the General Technology Center Co., Ltd. can be referred to.
[0114]
In the present invention, when a magnetic recording medium having three or more layers is applied, the following method is preferably used.
(1) An intermediate layer is first applied by a gravure coating, roll coating, blade coating, extrusion coating apparatus or the like generally used in the application of magnetic paint, and the intermediate layer is in a wet state. The support member disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 60-238179 and Japanese Patent Laid-Open No. 2-265672 is disclosed.
A method of applying an upper layer with a pressure type extrusion coating apparatus.
(2) Two coating liquid passage slits as disclosed in JP-A-63-88080, JP-A-2-17971, and JP-A-2-265672 are provided.
A method in which the upper intermediate layer is applied almost simultaneously with a single coating head.
(3) With a backup roll disclosed in JP-A-2-174965
A method of applying the upper intermediate layer almost simultaneously with an extrusion coating device.
[0115]
In order to prevent the deterioration of the electromagnetic conversion characteristics of the magnetic recording medium due to the aggregation of the magnetic particles, the inside of the coating head is formed by a method as disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open Nos. 62-95174 and 1-2236968. It is desirable to apply shear to the coating solution. Furthermore, the viscosity of the coating solution needs to satisfy the numerical range disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 3-8471.
[0116]
In the case of a disk-shaped magnetic recording medium, a sufficiently isotropic orientation may be obtained even without orientation without using an orientation device, but cobalt magnets are alternately arranged obliquely, and an alternating magnetic field is applied by a solenoid. It is preferable to use a known random orientation device. Hexagonal ferrite generally tends to be in-plane and vertical three-dimensional random, but can also be in-plane two-dimensional random. Further, isotropic magnetic characteristics can be imparted in the circumferential direction by using a well-known method such as a different-pole counter magnet and making the vertical orientation. In particular, when performing high density recording, vertical alignment is preferable. Moreover, it is good also as circumferential orientation using a spin coat.
[0117]
In the case of a tape-like magnetic recording medium, it is oriented in the longitudinal direction using a cobalt magnet or a solenoid. It is preferable that the drying position of the coating film can be controlled by controlling the temperature, air volume, and coating speed of the drying air, the coating speed is preferably 20 to 1000 m / min, and the temperature of the drying air is preferably 60 ° C. or higher. Moreover, moderate preliminary drying can also be performed before entering a magnet zone.
The calendering roll is treated with a heat-resistant plastic roll or metal roll such as epoxy, polyimide, polyamide, polyimideamide, etc. In particular, when a double-sided magnetic layer is used, it is preferably treated with metal rolls. Processing temperature becomes like this. Preferably it is the range of 60-100 degreeC, More preferably, it is 70-100 degreeC. The linear pressure is preferably 196 kN / m (200 kg / cm) or more, more preferably 294 kN / m (300 kg / cm) or more.
[0118]
[Physical properties]
In the case of a disk-shaped magnetic recording medium, the squareness ratio is usually 0.55 to 0.67 and preferably 0.58 to 0.64 in the case of two-dimensional randomness. In the case of three-dimensional randomness, the squareness ratio is preferably 0.45 to 0.55. In the case of vertical alignment, the squareness ratio is usually 0.6 or more in the vertical direction, and preferably 0.7 or more. Further, when demagnetizing field correction is performed, it is usually 0.7 or more, and preferably 0.8 or more. The orientation degree ratio is preferably 0.8 or more for both two-dimensional random and three-dimensional random. In the case of two-dimensional randomness, the squareness ratio in the vertical direction, Br in the vertical direction, and Hc in the vertical direction are preferably within 0.1 to 0.5 times the in-plane direction. In the case of a tape-like magnetic recording medium, the squareness ratio is 0.7 or more, preferably 0.8 or more.
[0119]
The coefficient of friction with respect to the head of the magnetic recording medium of the present invention is usually 0.5 or less and preferably 0.3 or less in the range of temperature -10 to 40 ° C. and humidity 0 to 95%. The surface resistivity is the magnetic surface 104-1012It is preferable that it is (omega | ohm) / sq, and it is preferable that a charging position is -500V-+ 500V. The elastic modulus at 0.5% elongation of the magnetic layer is 980 to 19600 MPa (100 to 2000 kg / mm in each in-plane direction).2The breaking strength is preferably 98 to 686 MPa (10 to 70 kg / mm).2) Is preferable. The elastic modulus of the magnetic recording medium is 980 to 14700 MPa (100 to 1500 kg / mm) in each in-plane direction.2) Is preferable. The residual elongation is preferably 0.5% or less, the thermal shrinkage at any temperature of 100 ° C. or less is preferably 1% or less, more preferably 0.5% or less, and 0% More preferably, it is 1% or less.
[0120]
The glass transition temperature of the magnetic layer (maximum point of loss elastic modulus in dynamic viscoelasticity measurement measured at 110 Hz) is preferably 50 to 120 ° C., and that of the intermediate layer (nonmagnetic layer) is 0 to 100 ° C. Preferably there is. Loss modulus is 1 × 105~ 8x108It is preferably in the range of Pa, and the loss tangent is preferably 0.2 or less. If the loss tangent is too large, adhesion failure is likely to occur. These thermal characteristics and mechanical characteristics are preferably within 10% in each in-plane direction of the medium, and are preferably substantially equal. The residual solvent contained in the magnetic layer is 100 mg / m2Or less, preferably 10 mg / m2More preferably, it is as follows. The porosity of the coating layer is preferably 30% by volume or less, and more preferably 20% by volume or less for both the nonmagnetic layer and the magnetic layer. The porosity is preferably small in order to achieve high output, but it may be better to ensure a certain value depending on the purpose. For example, in a disk-shaped magnetic recording medium where repetitive usage is important, a larger porosity is often preferable for running durability.
[0121]
As described above, the center plane average surface roughness Ra and the 10-point average roughness Rz in the magnetic layer of the present invention are 5 to 50 nm, respectively. In addition, the maximum height R of the magnetic layermaxIs 0.5 μm or less, the center surface peak height Rp is 0.3 μm or less, the center surface valley depth Rv is 0.3 μm or less, the center surface area ratio Sr is 20 to 80%, and the average wavelength λa is preferably 5 to 300 μm. As described above, the number of protrusions on the surface of the magnetic layer is 100 μm with a size of 10 to 20 nm.2The range is from 5 to 1000 per one, thereby making it possible to reduce the thermal asperity and optimize the electromagnetic conversion characteristics and the friction coefficient. These can be easily controlled by controlling the surface properties by the filler of the support, the particle size and amount of the powder added to the magnetic layer, the roll surface shape of the calendering process, and the like. The curl is preferably within ± 3 mm. In the magnetic recording medium of the present invention, it is easily estimated that these physical characteristics can be changed between the nonmagnetic layer and the magnetic layer according to the purpose. For example, the elastic modulus of the magnetic layer is increased to improve running durability, and at the same time, the elastic modulus of the nonmagnetic layer is made lower than that of the magnetic layer to improve the contact of the magnetic recording medium with the head.
[0122]
The magnetic recording medium of the present invention is produced by forming the above-described smooth layer, and then forming an upper magnetic layer after forming an intermediate layer (nonmagnetic layer or magnetic layer) on the smooth layer. The smooth layer is provided on at least one of the supports, and can be provided on both.
[0123]
The need for image recording has become stronger not only in the industrial world but also at home, and the magnetic recording medium of the present invention is not only data such as characters and numbers, but also functions as an image recording medium. It has the ability to fully meet the cost requirements.
The magnetic recording medium of the present invention can be suitably used in a magnetic recording / reproducing system using a magnetoresistive reproducing head (MR head). The type of MR head is not particularly limited, and a GMR head or a TMR head can also be used. The head used for recording is not particularly limited, but the saturation magnetization is preferably 1.2 T or more, and more preferably 2.0 T or more.
The magnetic recording medium of the present invention is suitable for computer data recording.
[0124]
【Example】
Specific examples of the present invention will be described below, but the present invention should not be limited thereto. In addition, the following “parts” means “parts by mass” unless otherwise specified.
[0125]
Example 1
1.Synthesis of polyurethane resin
(1) Synthesis of polyester polyol
A reaction vessel equipped with a thermometer, a stirrer and a reflux condenser was charged with dimethyl ester and diol, which are dibasic acids shown in Table 1, and charged with 4 parts of zinc acetate and 6 parts of sodium acetate as catalysts, 160-220 Transesterification was performed at 3 ° C. for 3 hours, and further polycondensation reaction was performed at 220 to 280 ° C. under reduced pressure of 1 to 10 mmHg for 4 hours to obtain polyester polyols a to d.
The average molecular weight is obtained from the OH value of the obtained polyester polyol, and C13The composition ratio was determined from NMR. The results are shown in Table 1.
[0126]
[Table 1]
[0127]
(2) Example of polyurethane resin synthesis
A polyester polyol and a chain extender (diol compound) having the composition shown in Table 2 were dissolved in a 30% cyclohexanone solution at 60 ° C. under a nitrogen stream in a vessel equipped with a reflux condenser and a stirrer and previously purged with nitrogen. Next, the diisocyanate compound shown in Table 2 was added, and the mixture was reacted by heating at 90 ° C. for 6 hours to obtain a polyurethane resin solution.
The obtained polyurethane resin solution was measured for weight average molecular weight using GPC. The results are shown in Table 2.
[0128]
[Table 2]
[0129]
2.Preparation of coating for magnetic layer and non-magnetic layer
(1) Preparation of coating material for magnetic layer
Ferromagnetic alloy powder (composition: Fe 89 atm%, Co 5 atm%, Y 6 atm%, Hc: 151 kA / m (1900 Oe), crystallite size: 15 nm, BET specific surface area: 60 m2/ G, major axis diameter: 0.08 μm, needle ratio: 7, σs: 150 A · m2/ Kg (emu / g)) 100 parts in an open kneader for 10 minutes, then 10 parts of vinyl chloride resin MR110 (degree of polymerization 300) manufactured by Nippon Zeon Co., Ltd. and a cyclohexanone solution of polyurethane A in Table 2 (solid 30% min, SO350 parts of Na content 70 μeq / g, weight average molecular weight 40,000) were added and kneaded for 60 minutes.
[0130]
Next, the following components were added and dispersed in a sand mill for 120 minutes.
Abrasive (Al2O3Particle size: 0.3 μm) 2 parts
Carbon black (particle size 40μm) 2 parts
Methyl ethyl ketone / toluene = 1/1 200 parts
[0131]
Further, the following components were added and stirred and mixed for 20 minutes, followed by filtration using a filter having an average pore size of 1 μm to obtain a coating material for a magnetic layer.
Polyisocyanate (Japan Polyurethane Coronate 3041) 5 parts (solid content)
Butyl stearate 2 parts
1 part of stearic acid
50 parts of methyl ethyl ketone
[0132]
(2) Preparation of coating for nonmagnetic layer (coating for intermediate layer)
α-Fe2O3(Average particle size: 0.15 μm, SBET: 52m2/ G, surface treatment Al2O3, SiO2, PH 6.5-8.0) 100 parts in an open kneader for 10 minutes, then 10 parts of vinyl chloride resin MR110 (degree of polymerization 300) manufactured by Nippon Zeon Co., Ltd. and cyclohexanone solution of polyurethane A in Table 2 ( Solid content 30%, SO350 parts of Na content 70 μeq / g, weight average molecular weight 40,000) was added and kneaded for 60 minutes.
[0133]
Next, 200 parts of methyl ethyl ketone / cyclohexanone = 6/4 was added, and the mixture was dispersed with a sand mill for 120 minutes. to this
Polyisocyanate (Japan Polyurethane Coronate 3041) 5 parts (solid content)
Butyl stearate 2 parts
1 part of stearic acid
50 parts of methyl ethyl ketone
After stirring for 20 minutes, the mixture was filtered using a filter having an average pore size of 1 μm to prepare a coating for a nonmagnetic layer.
[0134]
3.Fabrication of tape-like magnetic recording media
Thickness 7 μm, centered using a coil bar so that the radiation curable compound shown in Table 3 prepared in a 30% by mass solution (MEK / toluene = 7/3) is 0.5 μm after drying. After coating on the surface of polyethylene terephthalate support having an average surface roughness Ra of 6.2 nm and drying, the coating layer surface is irradiated with an electron beam with an acceleration voltage of 150 KV so that the absorbed dose is 1 Mrad to cure the smooth layer. It was.
Immediately after that, a non-magnetic layer coating was applied onto the smooth layer, and a magnetic layer coating was further applied onto the smooth layer using a reverse roll so that the thickness after drying would be 1.5 μm and 0.1 μm, respectively. . The magnetic layer paint is undried and magnetic field orientation is performed with a 500 T · m (5000 gauss) Co magnet and a 400 T · m (4000 gauss) solenoid magnet, and the solvent is dried. After performing calendar processing by a combination of roll, metal roll, metal roll, metal roll, and metal roll (speed 100 m / min, linear pressure 300 kg / cm, temperature 90 ° C.), slit into a width of 3.8 mm and tape-like A magnetic recording medium was obtained.
[0135]
(Examples 2 to 4)
Except that the radiation curable compound of Example 1 was changed to that shown in Table 3, tape-like magnetic recording media of Examples 2 to 4 and Comparative Examples 1 and 2 were produced in the same manner as in Example 1. .
[0136]
(Examples 5 and 6)
The tapes of Examples 5 and 6 were prepared in the same manner as in Example 1 except that the radiation-curable compound of Example 1 was changed to that shown in Table 3 and no nonmagnetic layer was applied. A magnetic recording medium was produced.
[0137]
(Comparative Examples 1 and 2)
The tape-like magnetic recording media of Comparative Examples 1 and 2 were prepared in the same manner as in Example 1 except that the polyurethane resin used in the nonmagnetic layer and magnetic layer of Example 1 was changed to that shown in Table 3. did.
[0138]
(Comparative Example 3)
A tape-like magnetic recording medium of Comparative Example 3 was produced in the same manner as in Example 1 except that the smooth layer was not coated on the nonmagnetic support in Example 1.
[0139]
(Comparative Example 4)
A tape-like magnetic recording medium of Comparative Example 4 was produced in the same manner as in Example 5 except that the polyurethane resin used in the magnetic layer in Example 5 was changed to that shown in Table 3.
[0140]
(Comparative Example 5)
A tape-like magnetic recording medium of Comparative Example 5 was produced in the same manner as in Example 5 except that no smooth layer was applied in Example 5.
[0141]
<Evaluation of magnetic recording media>
(1) Measurement of surface roughness Ra of smooth layer
After coating the smooth layer coating on the non-magnetic support, the surface of the sample coated with the smooth layer by irradiation with an electron beam is cut off by the optical interference method using a digital optical profilometer (manufactured by WYKO). The center average roughness Ra was measured under the condition of 0.25 mm. The results are shown in Table 3.
[0142]
(2) Measurement of surface roughness of magnetic layer
The surface roughness Ra of the sample of the tape-like magnetic recording medium was measured by the same method as (1).
[0143]
(3) Measurement of electromagnetic conversion characteristics
A single frequency signal of 4.7 MHz was recorded with an optimum recording current with a DDS4 drive, and the reproduction output was measured. The relative output when the reproduction output of Comparative Example 3 is 0 dB is shown.
[0144]
(4) Measurement of peel strength
The magnetic layer surface of the sample of the tape-shaped magnetic recording medium was fixed to a glass plate with a double-sided tape, and the unfixed portion of the tape was folded back, and the strength (gf) at the time of peeling was measured by a 180 ° peeling method. The results are shown in Table 3.
[0145]
(5) Observation of peeled surface
The peeled surface was observed with a microscope to examine the peeled interface. The results are shown in Table 3.
[0146]
(6) Tape edge observation after slitting
The tape edge after slitting to a width of 3.6 mm was observed with a scanning electron microscope (SEM). The case where a crack occurred in the edge portion was evaluated as x, and the case where no crack occurred was evaluated as ◯. The results are shown in Table 3.
[0147]
(7) Dropout increase due to running
A sample of a 10-minute long tape-like magnetic recording medium was repeatedly run 100 times using a DDS4 drive in an environment of 23 ° C. and 50% RH. The number of dropouts before and after running was measured with a dropout counter for 1 minute, and the dropout was reduced by -5 dB with respect to the initial output for 5 seconds or more. The results are shown in Table 3.
[0148]
[Table 3]
[0149]
From Table 3, when an aliphatic diol having an alkyl branched side chain is used as a diol using a polyurethane resin as a raw material (Examples 1 and 2), an aliphatic diol having no alkyl branched side chain is used (Comparison) Compared to Examples 1 and 2), the peel strength is increased, there is no occurrence of cracks at the tape edge, the surface roughness of the magnetic layer surface is reduced, the number of dropouts is reduced, and the reproduction output is increased. It was.
[0150]
On the other hand, in the tape-like magnetic recording medium (Examples 1 to 5) provided with the smooth layer, when the nonmagnetic layer is provided (Examples 1 to 4 and Comparative Example 3) and when not provided (Example) 5 and Comparative Examples 4 and 5), the peel strength is much higher than that of the tape-like magnetic recording medium (Comparative Examples 3 and 4) without a smooth layer, and cracks at the tape edge There was no occurrence, the surface roughness of the magnetic layer surface was reduced, the number of dropouts was reduced, and the reproduction output was increased.
[0151]
From this, by providing a smooth layer on the support and using a binder containing a polyurethane resin that satisfies the conditions of the present invention in the non-magnetic layer, the coating surface smoothness was excellent on the surface of the magnetic layer, and excellent It can be seen that the electromagnetic conversion characteristics were obtained, the adhesion of the magnetic layer was improved, and the number of dropouts was further reduced, so that the running durability was improved.
[0152]
【The invention's effect】
As described above, the magnetic recording medium of the present invention has a smooth layer obtained by radiation-curing a radiation-curable compound on a nonmagnetic support, and is a layer coated on the smooth layer. The binder used is a reaction product of a polyester polyol, a chain extender, and a diisocyanate, and the polyester polyol has a dibasic acid containing an aliphatic dibasic acid, and a diol component has an alkyl branched side chain. And an aliphatic diol having no cyclic structure, and the chain extender contains a polyurethane resin containing an aliphatic diol having an alkyl branched side chain.
Therefore, according to the present invention, good surface smoothness can be obtained on the surface of the magnetic layer, so that the magnetic layer has excellent electromagnetic conversion characteristics and the adhesion of the magnetic layer is improved. A recording medium can be provided.
Claims (9)
前記ポリウレタン樹脂がポリエステルポリオールと鎖延長剤とジイソシアネートとの反応生成物であり、前記ポリエステルポリオールは二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオール成分がアルキル分岐側鎖を有し、かつ環状構造を持たない脂肪族ジオールを含み、前記鎖延長剤はアルキル分岐側鎖を持つ脂肪族ジオールを含むことを特徴とする磁気記録媒体。A magnetic recording medium having a smooth layer obtained by radiation-curing a radiation-curable compound on a nonmagnetic support and a magnetic layer containing a binder containing at least one ferromagnetic powder and a polyurethane resin in this order. There,
The polyurethane resin is a reaction product of a polyester polyol, a chain extender, and a diisocyanate. The polyester polyol has a dibasic acid containing an aliphatic dibasic acid, a diol component has an alkyl branched side chain, and a cyclic structure. And a chain extender containing an aliphatic diol having an alkyl branched side chain.
前記ポリウレタン樹脂がポリエステルポリオールと鎖延長剤とジイソシアネートとの反応生成物であり、前記ポリエステルポリオールは二塩基酸が脂肪族二塩基酸を含み、ジオール成分がアルキル分岐側鎖を有し、かつ環状構造を持たない脂肪族ジオールを含み、前記鎖延長剤はアルキル分岐側鎖を持つ脂肪族ジオールを含むことを特徴とする磁気記録媒体。A smooth layer obtained by radiation-curing a radiation-curable compound on a non-magnetic support, an intermediate layer containing a binder containing non-magnetic powder and / or magnetic powder and polyurethane resin, ferromagnetic powder and bonding A magnetic recording medium having a magnetic layer containing an agent in this order,
The polyurethane resin is a reaction product of a polyester polyol, a chain extender, and a diisocyanate. The polyester polyol has a dibasic acid containing an aliphatic dibasic acid, a diol component has an alkyl branched side chain, and a cyclic structure. And a chain extender containing an aliphatic diol having an alkyl branched side chain.
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