【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度変化により架橋形成および架橋解離を繰り返し再現しうる特性(以下、単に「リサイクル性」という場合がある)を有する熱可塑性エラストマー組成物に関する。特に、リサイクル性および形状保持率等の物性を損なわず、室温下において高硬度であり、さらに加熱時においては粘度が低減する熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護や省資源等の立場から、使用済み材料の再利用が望まれている。加硫ゴムは、高分子物質と加硫剤とが共有結合した安定な三次元網目構造を有し、非常に高い強度を示すが、強い共有結合による架橋のため再成形が難しい。一方、熱可塑性エラストマーは、物理的架橋を利用するものであり、予備成形等を含む煩雑な加硫・成形工程を必要とせずに、加熱溶融により容易に成形加工することができる。
このような熱可塑性エラストマーの典型例としては、樹脂成分とゴム成分とを含み、常温では微結晶樹脂成分が三次元網目構造の架橋点の役割を果たすハードセグメントとなり、ゴム成分(ソフトセグメント)の塑性変形を阻止し、昇温により樹脂成分の軟化または融解により塑性変形する熱可塑性エラストマーが知られている。しかし、このような熱可塑性エラストマーでは、樹脂成分を含んでいるためゴム弾性が低下しやすい。そのため、樹脂成分を含まずに熱可塑性が付与できる材料が求められている。
【0003】
かかる課題に対し、本発明者らは先に、水素結合を形成しうる反応部位を有するエラストマーと、前記エラストマーの前記反応部位と水素結合を形成しうる反応部位を有する化合物とを含有するエラストマー組成物が、水素結合を利用して温度変化により架橋形成と架橋解離とを繰り返すことができることを提案している(特許文献1参照。)。また、本発明者らは、同様な効果が期待される、カルボニル基含有基と複素環アミン含有基とを側鎖に有するエラストマー性ポリマーからなる水素結合性の熱可塑性エラストマーを提案している(特許文献2参照。)。
さらに、上記課題を解決する技術として、側鎖にカルボニル基含有基と含窒素複素環含有基とを含み、含窒素複素環含有基が窒素原子に対して2位で直接に、または有機基を介して主鎖と結合している有機重合体が提案されている(特許文献3参照。)。
【0004】
これらのエラストマー(組成物)または有機重合体は、変性を受けていないオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂の成形温度で十分に溶融流動性を示すことができ、低温では架橋形成による優れた破断強度等の機械的強度を有し、温度変化により架橋形成および架橋解離(軟化)を繰り返し再現できる。
このような特性を有する熱可塑性エラストマーは、その産業上の利用価値、および環境保護上の価値は極めて高く、更に高い架橋強度が得られるとともに、架橋形成および架橋解離を繰り返しても物性変化のない、リサイクル性に優れた材料として期待されている。
【0005】
ところで、上述したような熱可塑性エラストマー(組成物)または有機重合体は、物質特性において、加重した際の形状保持率、所定時間加重後に除重した際の圧縮永久歪が十分ではない場合がある。
また、上記有機重合体は、主鎖にエラストマーを用いた場合、硬度が非常に低く、ゴム材としての使用等、弾性部材として使用するにはその特性に不十分な点がある(特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−209524号公報
【特許文献2】特開2000−169527号公報
【特許文献3】特開平8−239583号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題を解決する技術として、本発明者は、側鎖にカルボニル含有基と含窒素n員環含有基(n≧3)とを有し、前記含窒素n員環含有基がその3位〜n位で直接に、または有機基を介して主鎖と結合する熱可塑性エラストマーと、周期律表の第2A族、第3A族、第4A族、第5A族、第6A族、第7A族、第8族、第1B族、第2B族、第3B族、第4B族および第5B族から選択される少なくとも1つの金属の化合物とを含むことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物が、優れたリサイクル性を損なうことなく、弾性部材として使用するのに十分な硬度を有し、形状保持率が改善された、温度変化により硬化および流動化を繰り返し再現しうる熱可塑性エラストマー組成物を提案した(特願2001−122598号明細書)。
しかし、近年の技術革新、材料等の最適化、製造工程の簡素化、短縮化等により、熱可塑性エラストマー組成物に要求される物性、特徴等が高度化する現状においては、リサイクル性および形状保持率等の物性を保持したまま、室温下における硬度および加熱時における粘度等の物性がさらに改善された熱可塑性エラストマー組成物が求められている。
【0008】
したがって、本発明は、リサイクル性および形状保持率等の物性を損なわず、室温下において高硬度であり、さらに加熱時においては粘度が低減する熱可塑性エラストマー組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、側鎖にカルボニル含有基と含窒素複素環とを有する熱可塑性エラストマーと、特定のオイルゲル化剤とを含有する組成物が、リサイクル性および形状保持率等の物性を損なわず、室温下において高硬度であり、加熱時において粘度が低減することを知見し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の(I)〜(VI)を提供する。
【0010】
(I)側鎖にカルボニル含有基と含窒素複素環とを有する熱可塑性エラストマーと、
オイルゲル化剤と、
を含有する熱可塑性エラストマー組成物。
【0011】
(II)前記側鎖が、下記式(1)で表される構造を有する、上記(I)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【化3】
(式中、Aは含窒素複素環であり、Bは単結合;酸素原子、窒素原子またはイオウ原子;あるいはこれらの原子を含んでもよい有機基である。)
【0012】
(III)前記側鎖が、α位またはβ位で主鎖に結合する下記式(2)または(3)で表される構造を有する、上記(I)または(II)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【化4】
(式中、Aは含窒素複素環であり、BおよびDはそれぞれ単結合;酸素原子、窒素原子またはイオウ原子;あるいはこれらの原子を含んでもよい有機基である。)
【0013】
(IV)前記含窒素複素環が、5または6員環である、請求項(I)〜(III)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【0014】
(V)前記含窒素複素環が、トリアゾール環、チアジアゾール環またはピリジン環である、請求項(IV)に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【0015】
(VI)前記オイルゲル化剤が、イソフォロンジイソシアネート−2−エチルヘキシルアミン付加体、1,2,3,4−ジベンジリデン−D−ソルビトール、12−ヒドロキシステアリン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ビス−n−ブチルアミド、スピンラベル化ステロイド、コレステロール誘導体、ジアルキルリン酸アルミニウム、脂肪酸アルミニウム、フェノール系環状オリゴマー、2,3−ビス−n−ヘキサデシロキシアントラセンおよび環状デプシペプチドよりなる群から選択される1種以上の化合物である、請求項(I)〜(V)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【0016】
(VII)前記熱可塑性エラストマー100質量部に対して、さらにカーボンブラックおよび/またはシリカを1〜200質量部含有する、請求項(I)〜(VI)のいずれかに記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物(以下、単に「本発明の組成物」という場合がある。)は、側鎖にカルボニル含有基と含窒素複素環とを有する熱可塑性エラストマーと、オイルゲル化剤とを含有する熱可塑性エラストマー組成物である。
【0018】
本発明の組成物が、リサイクル性および形状保持率等の物性を損なわず、室温下において高硬度であり、さらに加熱時において粘度が低減する理由は明らかではないが、本発明者は以下のように考えている。
熱可塑性エラストマー組成物中にオイルゲル化剤を含有させることにより、得られる本発明の組成物がリサイクル性および形状保持率等の物性を損なわず、室温下において高硬度であり、さらに加熱時においては粘度が低減する熱可塑性エラストマー組成物となる。
これは、上記オイルゲル化剤が、水素結合などの分子間相互作用により該オイルゲル化剤同士で繊維状の会合体を形成し、これが巨大会合体へと成長し、さらに、該巨大会合体がファンデルワールス力などの相互作用により束になって網目状に絡まってできたものを形成し、これが熱可塑性エラストマーを取り囲むことにより、形状保持率および室温下における硬度が改善され、加熱時においては該会合体が崩壊して液状化し、粘度が低減するためであると考えられる。
以下、本発明の組成物に用いられるオイルゲル化剤について説明する。
【0019】
上記オイルゲル化剤とは、油性成分をゲル化させることのできる物質である。本発明においては、従来公知のオイルゲル化剤を用いることができる。また、該オイルゲル化剤は、▲1▼水素結合などの分子間相互作用による巨大繊維状会合体の形成、▲2▼ファンデルワールス力などによる繊維状会合体の結合・三次元化、▲3▼準安定状態であるゲルを安定化させ結晶化を妨げる要因、の3つを満たす化合物であると考えられている。
オイルゲル化剤の具体例としては、イソフォロンジイソシアネート−2−エチルヘキシルアミン付加体、1,2,3,4−ジベンジリデン−D−ソルビトール、12−ヒドロキシステアリン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ビス−n−ブチルアミド、スピンラベル化ステロイド、コレステロール誘導体、ジアルキルリン酸アルミニウム、脂肪酸アルミニウム、フェノール系環状オリゴマー、2,3−ビス−n−ヘキサデシロキシアントラセンおよび環状デプシペプチド等が挙げられ、これらを1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、イソフォロンジイソシアネート−2−エチルヘキシルアミン付加体、1,2,3,4−ジベンジリデン−D−ソルビトール、12−ヒドロキシステアリン酸を用いることが、得られる本発明の組成物の硬度が高く、リサイクル性に優れる理由から好ましい。
【0020】
ここで、「イソフォロンジイソシアネート−2−エチルヘキシルアミン付加体」とは、具体的には、下記式(4)で表される化合物であり、「コレステロール誘導体」とは、例えば、下記式(5)または(6)で表される化合物であり、「フェノール系環状オリゴマー」とは、例えば、下記式(7)で表される化合物であり、「環状デプシペプチド」とは、例えば、下記式(8)で表される化合物である。
また、これら以外の上記オイルゲル化剤、すなわち、1,2,3,4−ジベンジリデン−D−ソルビトール、12−ヒドロキシステアリン酸、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−α,γ−ビス−n−ブチルアミド、スピンラベル化ステロイド、ジアルキルリン酸アルミニウム、脂肪酸アルミニウムおよび2,3−ビス−n−ヘキサデシロキシアントラセンは、それぞれ下記式(9)〜(15)で表される化合物である。
【0021】
【化5】
【0022】
上記式(6)中、R1 は、炭素数1〜35、好ましくは1〜20の分岐していてもよい有機基であり、SO2 、O、NおよびSからなる群より選択される少なくとも1種のヘテロ元素を含んでいてもよい。
ここで、上記炭素数1〜35の有機基としては、炭素数1〜20の1価炭化水素基が好適に例示され、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基またはペンタトリアコンチル基等の炭素数1〜35のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデシル基、シクロヘプタデシル基、シクロオクタデシル基、シクロノナデシル基、シクロエイコシル基、2,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロインデニル基、2−ノルボルニル基、5−ノルボルネン−2−イル基またはアダマンチル基等の炭素数3〜35のシクロアルキル基;ビニル基、イソプロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基またはエイコセニル基等の炭素数2〜35のアルケニル基;エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘキサデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、ノナデシニル基またはエイコシニル基等の炭素数2〜35のアルキニル基;フェニル基、トリル基、2−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ノニルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、4−ビニルフェニル基、4−イソプロペニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、5−メチル−1−ナフチル基、6−ビニル−2−ナフチル基、アントラセン−1−イル基、フェナントレン−1−イル基、1−(1−ナフチル)−2−ナフチル基、4−クロロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、2,6−ジブロモフェニル基、2,4−ジヨードフェニル基、5−フルオロ−1−ナフチル基または6−ブロモ−2−ナフチル基等の炭素数6〜35のアリール基等が挙げられ、これらを組み合わせて形成される置換基であってもよい。
これらのうち、上記有機基としては、メチル基、エチル基、フェニル基であることが好ましい。
【0023】
上記式(14)中、R2 は、炭素数1〜30、好ましくは3〜20の1価の脂肪族炭化水素基を表し、複数のR2 はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
ここで、上記炭素数1〜30の1価の脂肪族炭化水素基としては、具体的には、例えば、炭素数1〜30の直鎖状または分岐していてもよいアルキル基、アルケニル基等が挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等の直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、イソヘプタデシル基等の分岐状のアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−メチルアリル基、9−デセン−1−イル基、cis−8−ヘプタデセン−1−イル基、8,11−ヘプタデカジエン−1−イル基、(Z,Z,Z)−8,11,14−ヘプタデカトリエン−1−イル基等のアルケニル基が挙げられる。これらのうち、R2 は、1−エチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、ヘプタデシル基であることが好ましい。
また、上記式(14)で表される脂肪酸アルミニウムとしては、具体的には、2−エチルヘキサン酸アルミニウム、3−エチルヘプチル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、パルミチン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、ノナデカン酸アルミニウム、ベヘニン酸アルミニウム等が好適に例示され、これらを単独で用いてもよく、2種以上を併用(例えば、2−エチルヘキサン酸およびステアリン酸の混酸アルミニウム)してもよい。
【0024】
また、本発明の組成物は、上述したように、上記例示したオイルゲル化剤を1種単独で含有していてもよく、2種以上を併用して含有していてもよい。オイルゲル化剤を2種以上併用する場合の該オイルゲル化剤同士の混合比は、本発明の組成物が用いられる用途、および要求される物性等に応じて、任意の比率とすることができる。
また、上記オイルゲル化剤の含有量は、後述する熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜30質量部、特に好ましくは10質量部程度である。オイルゲル化剤の含有量がこの範囲であれば、得られる本発明の組成物の硬度が高くなり過ぎず、加熱時の粘度低減が良好となるため好ましい。
【0025】
本発明の組成物は、側鎖にカルボニル含有基と含窒素複素環とを有する熱可塑性エラストマーを含有する。
熱可塑性エラストマーは、天然高分子または合成高分子のエラストマー性ポリマーの側鎖にカルボニル含有基と含窒素複素環とを有する。
ここで本発明において、「側鎖」とはエラストマー性ポリマーの側鎖および末端をいう。また「側鎖にカルボニル含有基と含窒素複素環とを有する」とは、エラストマー性ポリマーの主鎖を形成する原子(通常炭素)に、カルボニル含有基と含窒素複素環が化学的に安定な結合(共有結合)をしていることを意味する。
【0026】
熱可塑性エラストマーの主鎖となるエラストマー性ポリマーは、特に限定されず、一般的に公知の天然高分子または合成高分子であればよいが、そのガラス転移点が室温(25℃)以下のポリマー、つまりエラストマーであるのが好ましい。このようなエラストマー性ポリマーとして、具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のジエン系ゴム;エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)、クロロスルホン化ポリエチレン、アクリルゴム、フッ素ゴム、ポリエチレンゴム、ポリプロピレンゴム等のオレフィン系ゴム;エピクロロヒドリンゴム;多硫化ゴム;シリコーンゴム;ウレタンゴム等が挙げられる。
【0027】
また主鎖となるエラストマー性ポリマーは、樹脂成分を含むエラストマー性ポリマー(熱可塑性エラストマー)であってもよく、例えば、水添されていてもよいポリスチレン系エラストマー性ポリマー(SBS、SIS、SEBS等)、ポリオレフィン系エラストマー性ポリマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー性ポリマー、ポリウレタン系エラストマー性ポリマー、ポリエステル系エラストマー性ポリマー、ポリアミド系エラストマー性ポリマー等が挙げられる。
【0028】
上記エラストマー性ポリマーは、液状または固体状であってもよい。その分子量は特に限定されず、組成物の使用目的、組成物に要求される架橋密度等の物性に応じて適宜選択することができる。
本発明の組成物を加熱(脱架橋)した時の流動性を重視する場合は、上記エラストマー性ポリマーは液状であるのが好ましく、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等のジエン系ゴムでは、重量平均分子量が1,000〜100,000であるのが好ましく、1,000〜50,000程度が特に好ましい。一方、本発明の組成物の強度を重視する場合は、上記エラストマー性ポリマーは固体ゴムであるのが好ましく、例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等のジエン系ゴムでは、重量平均分子量が100,000〜2,000,000であることが好ましく、500,000〜1,500,000が特に好ましい。
【0029】
本発明においては、上記エラストマー性ポリマーを2種以上混合して用いることができる。この場合の混合比は、組成物が用いられる用途、組成物に要求される物性等に応じて、任意の比率とすることができる。
また、本発明で用いるエラストマー性ポリマーのガラス転移点が25℃以下であるのが好ましく、該ポリマーが2以上のガラス転移点を有する場合または2種以上のポリマーを併用する場合はガラス転移点の少なくとも1つは25℃以下であるのが好ましい。この範囲であると組成物を調整する時の混練がしやすくなり加工性に優れる。また組成物(組成物中の架橋)を熱解離させた時の取り扱い性(以下、単に「取り扱い性」という)にも優れる。
【0030】
エラストマー性ポリマーは、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴム;エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)等のオレフィン系ゴムであるのが特に好ましい。これらのポリマーはガラス転移温度が25℃以下であるため加工性および取り扱い性に優れる。またジエン系ゴムを用いると後述する無水マレイン酸での変性が容易であり、オレフィン系ゴムを用いると組成物が架橋した時の引張強度により優れ、組成物の劣化が抑制される。
【0031】
本発明において、上記スチレン−ブタジエンゴム(SBR)の結合スチレン量、水添エラストマー性ポリマー等の水添率等は、特に限定されず、本発明の組成物が用いられる用途、本発明の組成物に要求される物性等に応じて任意の比率に調整できる。
熱可塑性エラストマーの主鎖にEPM、EPDM、EBMを用いる場合は、そのエチレン含量は、好ましくは10〜80mol%であり、より好ましくは、40〜60mol%である。この範囲であれば、組成物としたときの機械的強度、形状保持率に優れる。
【0032】
本発明の熱可塑性エラストマーは、エラストマー性ポリマーの側鎖にカルボニル含有基と含窒素複素環とを有する。
カルボニル含有基としては、カルボニル基を含むものであれば特に限定されず、例えば、アミド、エステル、イミド、カルボキシ基、カルボニル基等が挙げられる。このような基を導入しうる化合物としては特に限定されず、例えば、ケトン、カルボン酸およびその誘導体等が挙げられる。
カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の炭化水素基を有する有機酸が挙げられ、該炭化水素基は、脂肪族、脂環族、芳香族等のいずれであってもよい。またカルボン酸誘導体としては、例えば、カルボン酸無水物、アミノ酸、チオカルボン酸(メルカプト基含有カルボン酸)、エステル、アミノ酸、ケトン、アミド類、イミド類、ジカルボン酸およびそのモノエステル等が挙げられる。
【0033】
カルボン酸およびその誘導体等としては、具体的に、例えば、マロン酸、マレイン酸、スクシン酸、グルタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、p−フェニレンジ酢酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸、メルカプト酢酸等のカルボン酸および置換基含有カルボン酸;無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸等の酸無水物;マレイン酸エステル、マロン酸エステル、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、酢酸エチル等の脂肪族エステル;フタル酸エステル、イソフタル酸エステル、テレフタル酸エステル、エチル−m−アミノベンゾエート、メチル−p−ヒドロキシベンゾエート等の芳香族エステル;キノン、アントラキノン、ナフトキノン等のケトン;グリシン、チロシン、ビシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、スレオニン、リシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、システイン、メチオニン、プロリン、N−(p−アミノベンゾイル)−β−アラニン等のアミノ酸;マレインアミド、マレインアミド酸(マレインモノアミド)、コハク酸モノアミド、5−ヒドロキシバレルアミド、N−アセチルエタノールアミン、N,N’−ヘキサメチレンビス(アセトアミド)、マロンアミド、シクロセリン、4−アセトアミドフェノール、p−アセトアミド安息香酸等のアミド類;マレインイミド、スクシンイミド等のイミド類が挙げられる。
これらのうち、カルボニル基を導入しうる化合物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸等の環状酸無水物が好ましく、特に無水マレイン酸が好ましい。
【0034】
熱可塑性エラストマーの側鎖に含有する含窒素複素環は、直接または有機基を介して主鎖に導入される。
該含窒素複素環は、複素環内に窒素原子を含むものであれば複素環内に窒素原子以外のヘテロ原子、例えば、イオウ原子、酸素原子、リン原子等を有するものでも用いることができる。ここで複素環化合物を用いるのは、複素環構造を有すると後述する架橋を形成する水素結合が強くなり組成物の引張強度が向上するためである。
また該複素環は置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、ヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子からなる基;シアノ基;アミノ基;芳香族炭化水素基;エステル基;エーテル基;アシル基;チオエーテル基等が挙げられ、これらを組合せて用いることもできる。
これらの置換基の置換位置は特に限定されず、また置換基数も限定されない。また、該複素環は、芳香族性を有していても、有していなくてもよいが、芳香族性を有していると架橋時の引張強度がより高まり組成物の強度がより向上するので好ましい。
【0035】
このような含窒素複素環としては、5員環または6員環であることが好ましい。
含窒素複素環として、例えば、ピロロリン、ピロリドン、オキシインドール(2−オキシインドール)、インドキシル(3−オキシインドール)、ジオキシインドール、イサチン、インドリル、フタルイミジン、β−イソインジゴ、モノポルフィリン、ジポルフィリン、トリポルフィリン、アザポルフィリン、フタロシアニン、ヘモグロビン、ウロポルフィリン、クロロフィル、フィロエリトリン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾリン、イミダゾロン、イミダゾリドン、ヒダントイン、ピラゾリン、ピラゾロン、ピラゾリドン、インダゾール、ピリドインドール、プリン、シンノリン、ピロール、ピロリン、インドール、インドリン、オキシルインドール、カルバゾール、フェノチアジン、インドレニン、イソインドール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール、フェナントロリン、オキサジン、ベンゾオキサジン、フタラジン、プテリジン、ピラジン、フェナジン、テトラジン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、アントラニル、ベンゾチアゾール、ベンゾフラザン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、アントラゾリン、ナフチリジン、チアジン、ピリダジン、ピリミジン、キナゾリン、キノキサリン、トリアジン、ヒスチジン、トリアゾリジン、メラミン、アデニン、グアニン、チミン、シトシン等が挙げられる。このような含窒素複素環のうち、特に含窒素5員環については、下記の化合物が好ましく例示される。これらは上記した種々の置換基を有していてもよいし、水素付加または脱離されたものであってもよい。
【0036】
【化6】
【0037】
また、含窒素6員環については、下記の化合物が好ましく例示される。これらについても上記した種々の置換基を有していてもよいし、水素付加または脱離されたものであってもよい。
【0038】
【化7】
【0039】
また、上記含窒素複素環とベンゼン環または含窒素複素環同士が縮合したものも用いることができ、例えば下記の縮合環が好ましく例示される。
【0040】
【化8】
【0041】
上記した含窒素複素環の中でも、トリアゾール環、ピリジン環またはチアジアゾール環であるのが、熱可塑性エラストマー組成物としたときの機械的強度、形状保持率、加工性およびリサイクル性に優れるため好ましい。
【0042】
本発明の熱可塑性エラストマーは、上記含窒素複素環が直接または有機基を介して主鎖に導入されるが、好ましくは有機基を介して主鎖に導入される。
また、本発明の熱可塑性エラストマーは、カルボニル含有基および含窒素複素環が、互いに独立の側鎖として主鎖に導入されていてもよく、またカルボニル含有基と含窒素複素環とが互いに異なる基を介して1つの側鎖に結合し主鎖に導入されていてもよい。
カルボニル含有基および含窒素複素環が、下記式(1)で表される1つの側鎖として上記ポリマー主鎖に導入されるのが好ましい。
【0043】
【化9】
(式中、Aは含窒素複素環であり、Bは単結合;酸素原子、窒素原子またはイオウ原子;あるいはこれらの原子を含んでもよい有機基である。)
【0044】
ここで、含窒素複素環Aは、具体的には上記した含窒素複素環である。
置換基Bは、単結合;酸素原子、窒素原子もしくはイオウ原子;あるいはこれらの原子を含んでもよい有機基であり、具体的には、例えば、単結合;酸素原子、イオウ原子またはアミノ基NR(Rは水素原子または炭素数1〜10のアルキル基);これらの原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基またはアラルキレン基;これらの原子を末端に有する、炭素数1〜20のアルキレンエーテル基(アルキレンオキシ基、例えば、−O−CH2 CH2 −基)、アルキレンアミノ基(例えば、−NH−CH2 CH2 −基等)またはアルキレンチオエーテル基(アルキレンチオ基、例えば、−S−CH2 CH2 −基);これらの原子を末端に有する、炭素数1〜20のアラルキレンエーテル基(アラルキレンオキシ基)、アラルキレンアミノ基またはアラルキレンチオエーテル基;等が挙げられる。
【0045】
ここで、炭素数1〜10のアルキル基としては、異性体を含む、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
上記置換基Bの酸素原子、イオウ原子およびアミノ基、ならびに、酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレンエーテルまたはアラルキレンエーテル基等の酸素原子、窒素原子およびイオウ原子は、隣接するカルボニル基と組み合わされ共役系のエステル基、アミド基、イミド基、チオエステル基等を形成するのが好ましい。
置換基Bは、上記した中でも、共役系を形成する、酸素原子、イオウ原子またはアミノ基;これらを末端に有する、炭素数1〜20のアルキレンエーテル基、アルキレンアミノ基またはアルキレンチオエーテル基が好ましく、アミノ基(NH)、アルキレンアミノ基(−NH−CH2 −基、−NH−CH2 CH2 −基、−NH−CH2 CH2 CH2 −基)、アルキレンエーテル基(−O−CH2 −基、−O−CH2 CH2 −基、−O−CH2 CH2 CH2 −基)が特に好ましい。
【0046】
カルボニル基と含窒素複素環は、下記式(2)または(3)で表される1つの側鎖として、そのα位またはβ位で上記ポリマー主鎖に導入されるのがより好ましい。
【0047】
【化10】
(式中、Aは含窒素複素環であり、BおよびDはそれぞれ単結合;酸素原子、窒素原子またはイオウ原子;あるいはこれらの原子を含んでもよい有機基である。)
【0048】
ここで、含窒素複素環Aは上記式(1)の含窒素複素環Aと基本的に同様であり、置換基BおよびDはそれぞれ上記式(1)の置換基Bと基本的に同様である。
ただし、上記式(3)における置換基Dは、上記式(1)の置換基Bで例示した中でも、単結合;酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレン基またはアラルキレン基の共役系を形成するものであるのが好ましく、単結合が特に好ましい。すなわち、上記式(3)のイミド窒素と共に、酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を含んでもよい炭素数1〜20のアルキレンアミノ基またはアラルキレンアミノ基を形成するのが好ましく、上記式(3)のイミド窒素に含窒素複素環が直接結合する(単結合)のが特に好ましい。具体的には、置換基Dは、単結合;上記した酸素原子、イオウ原子またはアミノ基を末端に有する炭素数1〜20のアルキレンエーテルまたはアラルキレンエーテル基等;異性体を含む、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、フェニレン基、キシリレン基等が挙げられる。
【0049】
熱可塑性エラストマーに含有される上記カルボニル含有基と上記含窒素複素環との割合は特に限定されないが、2:1(上記式(3)のイミド構造等の場合は1:1)であると相補的な相互作用を形成しやすくなり、また、容易に製造できるため好ましい。
【0050】
カルボニル含有基と含窒素複素環とを有する側鎖は、主鎖部分100mol%に対して、0.1〜50mol%の割合(導入率)で導入されていることが好ましく、1〜30mol%の割合で導入されていることがより好ましい。
0.1mol%未満では架橋時の強度が十分でない場合があり、50mol%を超えると架橋密度が高くなりゴム弾性が失われる場合がある。すなわち、上記した範囲内であれば、熱可塑性エラストマーの側鎖同士の相互作用が、分子間または分子内で起こり、これらがバランスがよく形成されるため、組成物としたときに、架橋時の引張強度が非常に高く、かつリサイクル性に優れる。
上記導入率は、カルボニル含有基と含窒素複素環が独立に導入されている場合には、上記カルボニル含有基と上記含窒素複素環との割合に従って、両基を一組として考えればよく、何れかの基が過剰の場合は、多い方の基を基準として考えればよい。
この導入率は、例えば主鎖部分がエチレン−プロピレンゴムである場合には、エチレンおよびプロピレンモノマー単位100ユニット当り、側鎖部分の導入されたモノマーが、0.1〜50ユニット程度である。
【0051】
該熱可塑性エラストマーは、そのガラス転移点が25℃以下であるのが好ましく、該エラストマーが2以上のガラス転移点を有する場合または2種以上のエラストマーを併用する場合はガラス転移点の少なくとも1つは25℃以下であるのが好ましい。ガラス転移点が25℃以下であれば、加工性および取り扱い性に優れる。
【0052】
熱可塑性エラストマーの製造方法は特に限定されず、通常の方法を選択することができる。
熱可塑性エラストマーのうちでも、カルボニル含有基と含窒素複素環とを同一側鎖に有するものは、例えば、エラストマー性ポリマーのカルボニル含有基変性ポリマーを、含窒素複素環を導入しうる化合物と反応させることにより得られる。
具体的には、ブタジエンゴム等のジエン系ゴムと、無水マレイン酸あるいはメルカプト酢酸を含むトルエン溶液とを、あるいは、EPM等のオレフィン系ゴム、例えば、プロピレン等のα−オレフィンと、メルカプト酢酸を含むトルエン溶液とを、室温または加熱下で窒素雰囲気下反応させ、カルボニル含有基で変性されたエラストマーを得、このエラストマーと含窒素複素環を導入しうる化合物とを反応させることにより得られる。
【0053】
ここで、含窒素複素環を導入しうる化合物とは、含窒素複素環そのものであってもよく、無水マレイン酸等のカルボニル含有基と反応する置換基(例えば、水酸基、チオール基、アミノ基等)を有する含窒素複素環であってもよい。また、含窒素複素環を導入しうる化合物は、カルボニル含有基変性エラストマーのカルボニル含有基の一部または全量と反応させればよい。一部とは、カルボニル含有基100mol%に対して1mol%以上であるのが好ましく、50mol%以上であるのがより好ましく、80mol%以上であるのが特に好ましい。この範囲であれば、含窒素複素環を導入した効果が発現し、架橋時の引張強度がより高まる。引張強度、形状保持率、加工性に優れる点で、カルボニル含有基の全量(100mol%)を該化合物と反応させるのが特に好ましい。
【0054】
上記カルボニル含有基で変性されたエラストマーは、市販品を使用することもでき、例えば、LIR−403(クラレ社製)、LIR−410A(クラレ社試作品)等の無水マレイン酸変性イソプレンゴム、LIR−410(クラレ社製)等の変性イソプレンゴム、クライナック110、221、231(ポリサー社製)等のカルボキシル変性ニトリルゴム、CPIB(日石化学社製)、HRPIB(日石化学ラボ試作品)等のカルボキシ変性ポリブテン、ニュクレル (三井デュポンポリケミカル社製) 、ユカロン(三菱化学社製)、タフマーM(MA8510、三井化学社製)等の無水マレイン酸変性エチレン−プロピレンゴム、タフマーM(MH7020、三井化学社製)等の無水マレイン酸変性エチレン−ブテンゴム、アドマー(LF128等、三井化学社製)等の無水マレイン酸変性ポリエチレン、アドマー(QB550、三井化学社製)等の無水マレイン酸変性ポリプロピレン等を挙げることができる。
【0055】
また、カルボニル含有基と含窒素複素環とを導入しうる化合物同士を反応させた後、エラストマー性ポリマーの側鎖に導入してもよい。
【0056】
カルボニル含有基と含窒素複素環とを、それぞれ独立して側鎖に有する熱可塑性エラストマーを合成する場合には、該エラストマー性ポリマーの主鎖を形成しうるモノマーと、カルボニル含有基を含むモノマーと含窒素複素環を含むモノマーとを共重合させて、上記熱可塑性エラストマーを直接製造してもよく、あらかじめ重合等により主鎖(エラストマー性ポリマー)を形成し、次いで、上記カルボニル含有基でグラフト変性してもよい。
上記の各製造方法においては、熱可塑性エラストマーの側鎖の各基は、独立に結合しているか、または互いに結合したものであるかは、NMR、IRスペクトル等の通常用いられる分析手段により確認することができる。
【0057】
熱可塑性エラストマーは、上記の製造方法でも、まずカルボニル含有基を導入したカルボニル含有基変性エラストマー性ポリマーを合成し、次に、含窒素複素環を導入しうる化合物と反応させて含窒素複素環を導入する方法が好ましく、特に環状酸無水物を側鎖に有するエラストマー性ポリマーと、含窒素複素環を導入しうる化合物とを、含窒素複素環を導入しうる化合物が環状酸無水物基と化学結合(例えば共有結合、イオン結合)しうる温度にて反応させることにより、カルボニル含有基と含窒素複素環とをエラストマー性ポリマーの主鎖に導入(環状酸無水物基は開環する)させるのが好ましい。該エラストマーの製造に関して、具体的な点については、特開2000−169527号公報に記載されている。
【0058】
本発明の窒素複素環を便宜上「含窒素n員環化合物(n≧3)」とし、含窒素複素環の結合位置について説明する。
以下説明する結合位置(「1〜n位」)は、IUPAC命名法に基づくものである。例えば、非共有電子対を有する窒素原子を3個有する化合物の場合、IUPAC命名法に基づく順位によって結合位置を決定する。具体的には、上記例示した5員環、6員環および縮合環の含窒素複素環に結合位置を記した。
熱可塑性エラストマーでは、直接または有機基を介して主鎖と結合する含窒素n員環化合物の結合位置は、特に限定されず、いずれの結合位置(1位〜n位)でもよい。好ましくは、その1位または3位〜n位である。
含窒素複素環内に含まれる窒素原子が1個(例えば、ピリジン環等)の場合は、分子内でキレートが形成されやすく組成物としたときの引張強度等の物性に劣るため、1位または2位は好ましくない。
【0059】
含窒素n員環化合物がその1位または3位〜n位で主鎖と結合していると、同一側鎖にカルボニル基と含窒素複素環を有していても、含窒素複素環の窒素原子とカルボニル基との距離が離れているため、分子内でのキレートが形成されにくく、分子間キレートおよびイオン結合の形成による架橋強度(組成物としたときの引張強度)の向上が期待でき、また、架橋密度が向上する。含窒素複素環が5員環である場合には、3または4位が好ましく、3位が特に好ましい。
含窒素複素環の結合位置を選択することにより熱可塑性エラストマーは、該熱可塑性エラストマー同士の分子間で、または、該熱可塑性エラストマーと会合した上記オイルゲル化剤の間で、水素結合、イオン結合、配位結合等による架橋が形成されやすく、組成物としたときのリサイクル性および形状保持率等の物性を損なわず、室温下において高硬度であり、さらに加熱時においては粘度が低減する。
【0060】
本発明の組成物は、上記熱可塑性エラストマーを1種以上を含有する。2種以上含有する場合の混合比は、組成物が用いられる用途、組成物に要求される物性等に応じて、任意の比率とすることができる。
【0061】
本発明の組成物は、補強剤としてカーボンブラックおよび/またはシリカを含有するのが好ましい。
カーボンブラックの含量(カーボンブラック単独で用いる場合)は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜200質量部であり、好ましくは10〜100質量部であり、より好ましくは20〜80質量部である。
該カーボンブラックの種類は、用途に応じて適宜選択される。一般に、カーボンブラックは粒子径に基づいて、ハードカーボンブラックとソフトカーボンブラックとに分類される。ソフトカーボンブラックはゴムに対する補強性が低く、ハードカーボンブラックはゴムに対する補強性が強い。本発明では、特に、補強性の強いハードカーボンブラックを用いるのが好ましい。
【0062】
シリカは、特に限定されず、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、けいそう土等が挙げられ、その含量(シリカ単独で用いる場合)は熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜200質量部であり、好ましくは10〜100質量部であり、より好ましくは20〜80質量部である。このなかでも、沈降シリカが好ましい。
補強剤としてシリカを用いる場合には、シランカップリング剤を併用できる。シランカップリング剤としては、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(Si69)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(Si75)、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0063】
カーボンブラックおよびシリカを併用する場合の含量(カーボンブラックおよびシリカの合計量)は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、1〜200質量部であり、好ましくは10〜100質量部であり、より好ましくは20〜80質量部である。
【0064】
本発明の組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損わない範囲で、本発明のエラストマー性ポリマー以外のポリマー、カーボンブラックおよびシリカ以外の補強剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、溶剤、界面活性剤(レベリング剤を含む)、分散剤、脱水剤、防錆剤、接着付与剤、帯電防止剤、フィラー等の各種添加剤等を含有することができる。
【0065】
上記添加剤等は、一般に用いられるものを使用することができ、以下に具体的に、その一部を例示するが、これら例示したものに限られない。
本発明のエラストマー性ポリマー以外のポリマーとしては、上記した理由と同様にガラス転移温度が25℃以下のポリマーが好ましく、特に本発明の主鎖として用いるもののうちの何れかであるのが好ましい。より好ましくは、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−ブテンゴム(EBM)であり、特にIIR、EPM、EBMの不飽和結合を有さないポリマーまたは不飽和結合の少ないポリマー(例えば、EPDM)を用いるのが好ましい。該他のポリマーは1種または2種以上を含有させてもよい。該ポリマーの含量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.1〜100質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。
【0066】
カーボンブラックおよびシリカ以外の補強剤としては、例えば、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー等が挙げられ、これらの含量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、10〜100質量部が好ましく、20〜80質量部がより好ましい。
老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、脂肪族および芳香族のヒンダードアミン系等の化合物が挙げられ、その含量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
【0067】
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられ、その含量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
顔料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料等が挙げられ、その含量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
【0068】
可塑剤としては、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバチン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、クエン酸等の誘導体をはじめ、ポリエステル、ポリエーテル、エポキシ系等が挙げられる。
揺変性付与剤としては、ベントン、無水ケイ酸、ケイ酸誘導体、尿素誘導体等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸エステル系等が挙げられる。
難燃剤としては、TCP等のリン系、塩素化パラフィン、パークロルペンタシクロデカン等のハロゲン系、酸化アンチモン等のアンチモン系、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0069】
溶剤としては、ヘキサン、トルエン等の炭化水素系;テトラクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系;酢酸エチル等のエステル系等が挙げられる。
界面活性剤(レベリング剤)としては、ポリブチルアクリレート、ポリジメチルシロキサン、変性シリコーン化合物、フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
脱水剤としては、ビニルシラン等が挙げられる。
【0070】
防錆剤としては、ジンクホスフェート、タンニン酸誘導体、リン酸エステル、塩基性スルホン酸塩、各種防錆顔料等が挙げられる。
接着付与剤としては、公知のシランカップリング剤、アルコキシシリル基を有するシラン化合物、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤等が挙げられる。より具体的には、例えば、トリメトキシビニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
帯電防止剤としては、一般的に、第4級アンモニウム塩、あるいはポリグリコールやエチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物が挙げられる。
可塑剤の含量は、上記熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.1〜50質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましい。その他の添加剤の含量は、0.1〜10質量部が好ましく、1〜5質量部がより好ましい。
【0071】
本発明の熱可塑性エラストマーは自己架橋できるものもあるが、本発明の目的を損わない範囲で加硫剤、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤等を併用することもできる。
加硫剤としては、イオウ系、有機過酸化物系、金属酸化物系、フェノール樹脂、キノンジオキシム等の加硫剤が挙げられる。
イオウ系加硫剤としては、例えば、粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等が挙げられる。
有機過酸化物系の加硫剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が挙げられる。
その他として、酸化マグネシウム、リサージ、p−キノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、ポリ−p−ジニトロソベンゼン、メチレンジアニリン等が挙げられる。
【0072】
加硫助剤としては、アセチル酸、プロピオン酸、ブタン酸、ステアリン酸、アクリル酸、マレイン酸等の脂肪酸;アセチル酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、ブタン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、アクリル酸亜鉛、マレイン酸亜鉛等の脂肪酸亜鉛等が挙げられる。
加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)等のチウラム系;ヘキサメチレンテトラミン等のアルデヒド・アンモニア系;ジフェニルグアニジン等のグアニジン系;ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)等のチアゾール系;シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系;等が挙げられる。さらにアルキルフェノール樹脂やそのハロゲン化物等を用いることもできる。
加硫遅延剤としては、例えば、無水フタル酸、安息香酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸等の有機酸;N−ニトロソージフェニルアミン、N−ニトロソーフェニル−β−ナフチルアミン、N−ニトロソ−トリメチル−ジヒドロキノリンの重合体等のニトロソ化合物;トリクロルメラニン等のハロゲン化物;2−メルカプトベンツイミダゾール;サントガードPVI等が挙げられる。
これら加硫剤等の含量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
【0073】
本発明の組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、上記熱可塑性エラストマー、オイルゲル化剤および必要に応じて各種添加剤等を、ロール、ニーダー、押出し機、万能攪拌機等により混合すればよい。
【0074】
本発明の組成物を(加硫剤により)永久架橋させる場合の硬化条件は、配合する各種成分等に応じて適宜選択することができ、特に制限されない。例えば、130〜200℃の温度で、5〜30分で硬化させる硬化条件が好ましい。
【0075】
本発明の組成物は、約80℃以上に加熱することにより三次元の架橋結合(架橋構造)が解離して軟化し、流動性が付与される。これは、オイルゲル化剤が溶解して液状化したことによると考えられる。また、分子間または分子内で形成されている側鎖同士または側鎖とオイルゲル化剤との相互作用が弱まるためであると考えられる。
【0076】
本発明の組成物は、例えばゴム弾性を活用して種々のゴム用途に使用することができる。またホットメルト接着剤として、またはこれに含ませる添加剤として使用すると、耐熱性およびリサイクル性を向上させることができるので好ましい。特に自動車周り等に好適に用いることができる。
【0077】
上記自動車周りとしては、具体的には、例えば、タイヤのトレッド、カーカス;外装のラジエータグリル、サイドモール、ガーニッシュ(ピラー、 リア、カウルトップ)、エアロパーツ(エアダム、スポイラー)、ホイールカバー、ウェザーストリップ、カウベルトグリル、エアアウトレット・ルーバー、エアスクープ、フードバルジ、換気口部品、防触対策部品(オーバーフェンダー、サイドシールパネル、モール(ウインドー、フード、ドアベルト))、マーク類;ドア、ライト、ワイパーのウェザーストリップ、グラスラン、グラスランチャンネル等の内装窓枠用部品;エアダクトホース、ラジエターホース、ブレーキホース;クランクシャフトシール、バルブステムシール、ヘッドカバーガスケット、A/Tオイルクーラーホース、ミッションオイルシール、P/Sホース、P/Sオイルシール等の潤滑油系部品;燃料ホース、エミッションコントロールホース、インレットフィラーホース、タイヤフラム類等の燃料系部品;エンジンマウント、インタンクポンプマウント等の防振用部品;CVJブーツ、ラック&ピニオンブーツ等のブーツ類;A/Cホース、A/Cシール等のエアコンデショニング用部品;タイミングベルト、補機用ベルト等のベルト部品;ウィンドシールドシーラー、ビニルプラスチゾルシーラー、嫌気性シーラー、ボディシーラー、スポットウェルドシーラー等のシーラー類;等が挙げられる。
【0078】
またゴムの改質剤として、例えば流れ防止剤として、室温でコールドフローを起こす樹脂あるいはゴムに含ませると、押出し時の流れやコールドフローを防止することができる。
さらに本発明の組成物は、カーボンブラックおよび/またはシリカ等を含むことにより、引張強度、引裂き強度、曲げ強度が向上し、特にタイヤ、ホース、ベルト、シート、防振ゴム、ローラー、ライニング、ゴム引布、シール材、手袋、防舷材等の用途に特に好適に用いることができる。
【0079】
本発明の組成物は、オイルゲル化剤を含有するため、リサイクル性および形状保持率等の物性を保持し、硬度および加熱時の粘度低減が良好な組成物となるため有用である。
【0080】
【実施例】
次に、実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1〜6、比較例1>
熱可塑性エラストマー1を以下の方法により合成した。
市販の無水マレイン酸変性イソプレンゴム(LIR−410A、クラレ(株)製、無水マレイン酸変性率2.7mol%)12.73g(6.55mmol)に、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール0.551g(6.55mmol)を加え、160℃で1時間加熱撹拌して反応物を得た。
得られた反応物は、NMR、IRにより、下記式(16)に示す構造の熱可塑性エラストマー1であることを確認した。
【0081】
【化11】
【0082】
オイルゲル化剤1(イソフォロンジイソシアネート−2−エチルヘキシルアミン付加体)を以下の方法により合成した。
アセトン200mlに2−エチルヘキシルアミン90.44g(0.70mol)を溶解させた溶液に、該溶液を氷浴下、撹拌させた状態で、イソフォロンジイソシアネート77.81g(0.35mol)をゆっくり滴下し、滴下終了後、室温で24時間撹拌して反応物を得た。得られた反応物は、IRによりイソシアネートの消失とウレタン結合の存在を確認し、NMRにより下記式(4)に示す構造のイソフォロンジイソシアネート−2−エチルヘキシルアミン付加体であることを確認した。
【0083】
【化12】
【0084】
オイルゲル化剤2として、アルドリッチケミカル(株)製の1,2,3,4−ジベンジリデン−D−ソルビトールを用いた。
オイルゲル化剤3として、東京化成(株)製の12−ヒドロキシステアリン酸を用いた。
【0085】
次に、上記熱可塑性エラストマー1および上記オイルゲル化剤1〜3を、下記表1に示す質量比で混合し、下記表1に示す反応条件で加熱撹拌することにより熱可塑性エラストマー組成物を得た。
得られた各熱可塑性エラストマー組成物の硬度、粘度、リサイクル性(繰り返し成形試験)および形状保持率を測定し、それぞれについて評価した。その結果を下記表1に示す。
【0086】
<JIS A硬度>
得られた各熱可塑性エラストマー組成物を100℃で20分間プレス成型した後、直径29mm、厚さ12.5mmの円筒状のサンプルを作製した。作製した各サンプルのJIS A硬度を、JIS K6253に準拠して測定した。
【0087】
<形状保持率>
得られた各熱可塑性エラストマー組成物を100℃で20分間プレス成型した後、直径29mm、厚さ12.5mmの円筒状のサンプルを作製した。作製した各サンプル上にガラス板を置き、その上に500gの分銅をのせて、所定時間経過後の各サンプルの厚さを48時間後まで測定し、形状保持率を下記式を用いて求めた。
形状保持率(%)=(所定時間経過後の厚さ/測定開始時の厚さ)×100
【0088】
<粘度>
得られた各熱可塑性エラストマー組成物の100℃における粘度測定を以下に示す方法で行った。
粘度測定は、JIS K7117−1に準拠して行った。B型粘度計(東京計器社製)を用い、各熱可塑性エラストマー組成物を100℃にて30分間溶融した後、3号ローターを用いて回転させ、10rpmにおける粘度を測定した。
【0089】
<リサイクル性(軟化温度)>
得られた各熱可塑性エラストマー組成物を100℃で20分間プレス成型した後、直径29mm、厚さ12.5mmの円筒状のサンプルを作製した。作製した各サンプルを10℃/minの昇温速度で加熱していき、該リュプケサンプルが軟化して形状を保持しなくなった温度を軟化温度として測定した。この軟化温度が250℃以下であれば、軟化して再成形することができ、リサイクル性に優れる。
【0090】
【表1】
【0091】
表1に示す結果より、本発明の組成物はリサイクル性および形状保持率の物性を損なわず、室温下において高硬度であり、さらに加熱時においては粘度が低減することが分かった。
【0092】
【発明の効果】
本発明により、リサイクル性および形状保持率の物性を損なわず、室温下において高硬度であり、さらに加熱時においては粘度が低減する熱可塑性エラストマー組成物を提供できるため有用である。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a thermoplastic elastomer composition having characteristics capable of repeatedly reproducing cross-linking and cross-linking dissociation by a change in temperature (hereinafter, may be simply referred to as “recyclability”). In particular, the present invention relates to a thermoplastic elastomer composition that does not impair physical properties such as recyclability and shape retention, has high hardness at room temperature, and has a reduced viscosity when heated.
[0002]
[Prior art]
In recent years, reuse of used materials has been desired from the standpoints of environmental protection and resource saving. Vulcanized rubber has a stable three-dimensional network structure in which a polymer substance and a vulcanizing agent are covalently bonded, and exhibits extremely high strength, but is difficult to remold due to crosslinkage due to strong covalent bonding. On the other hand, thermoplastic elastomers utilize physical crosslinking, and can be easily molded by heating and melting without the need for complicated vulcanization and molding steps including preliminary molding.
As a typical example of such a thermoplastic elastomer, a resin component and a rubber component are included, and at normal temperature, the microcrystalline resin component becomes a hard segment serving as a crosslinking point of a three-dimensional network structure, and a rubber component (soft segment). 2. Description of the Related Art Thermoplastic elastomers that prevent plastic deformation and soften or melt a resin component when the temperature rises and are plastically deformed are known. However, since such a thermoplastic elastomer contains a resin component, the rubber elasticity tends to decrease. Therefore, a material that can impart thermoplasticity without containing a resin component is required.
[0003]
To address this problem, the present inventors have previously described an elastomer composition containing an elastomer having a reactive site capable of forming a hydrogen bond and a compound having a reactive site capable of forming a hydrogen bond with the reactive site of the elastomer. It has been proposed that a product can repeat cross-link formation and cross-link dissociation by temperature change using hydrogen bonding (see Patent Document 1). Further, the present inventors have proposed a hydrogen-bonding thermoplastic elastomer comprising an elastomeric polymer having a carbonyl group-containing group and a heterocyclic amine-containing group in a side chain, which is expected to have the same effect ( See Patent Document 2.).
Further, as a technique for solving the above-mentioned problem, a carbonyl group-containing group and a nitrogen-containing heterocyclic group-containing group are contained in a side chain, and the nitrogen-containing heterocyclic group-containing group is directly substituted with a 2-position to a nitrogen atom or an organic group. There has been proposed an organic polymer bonded to the main chain through a polymer (see Patent Document 3).
[0004]
These elastomers (compositions) or organic polymers can exhibit sufficient melt fluidity at the molding temperature of a thermoplastic resin such as an unmodified olefin resin, and have excellent breaking strength at low temperatures due to crosslinking. And the like, and can repeatedly reproduce crosslink formation and crosslink dissociation (softening) by a change in temperature.
Thermoplastic elastomers having such properties have extremely high industrial utility value and environmental protection value, and can obtain higher crosslink strength and have no change in physical properties even after repeated crosslink formation and crosslink dissociation. It is expected as a material with excellent recyclability.
[0005]
By the way, the thermoplastic elastomer (composition) or the organic polymer as described above may not have sufficient material properties such as a shape retention rate when weighted and a permanent compression set when weighted after a predetermined time of weighting. .
Further, when an elastomer is used for the main chain, the organic polymer has a very low hardness, and its properties are insufficient for use as an elastic member such as use as a rubber material (Patent Document 3) reference.).
[0006]
[Patent Document 1] JP-A-11-209524
[Patent Document 2] JP-A-2000-169527
[Patent Document 3] Japanese Patent Application Laid-Open No. 8-2399583
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
As a technique for solving the above problem, the present inventor has a carbonyl-containing group and a nitrogen-containing n-membered ring-containing group (n ≧ 3) in the side chain, and the nitrogen-containing n-membered ring-containing group has 3 to a thermoplastic elastomer bonded to the main chain directly at the n-position or via an organic group, and a group 2A, 3A, 4A, 5A, 6A, 7A, or 7A of the periodic table; A thermoplastic elastomer composition characterized by containing a compound of at least one metal selected from Group 8, Group 1B, Group 2B, Group 3B, Group 4B, and Group 5B. We have proposed a thermoplastic elastomer composition that has sufficient hardness to be used as an elastic member without impairing recyclability, has improved shape retention, and is capable of repeatedly repeating curing and fluidization by temperature changes ( Japanese Patent Application No. 2001-122598).
However, due to recent technological innovations, optimization of materials, etc., simplification and shortening of the manufacturing process, the physical properties and characteristics required of thermoplastic elastomer compositions are becoming more sophisticated, so that recyclability and shape retention are maintained. There is a need for a thermoplastic elastomer composition having further improved properties such as hardness at room temperature and viscosity upon heating while maintaining properties such as modulus.
[0008]
Accordingly, an object of the present invention is to provide a thermoplastic elastomer composition which does not impair physical properties such as recyclability and shape retention rate, has high hardness at room temperature, and has a reduced viscosity when heated.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies to solve such problems, and as a result, a composition containing a thermoplastic elastomer having a carbonyl-containing group and a nitrogen-containing heterocyclic ring in a side chain and a specific oil gelling agent has been recycled. The inventors have found that they do not impair physical properties such as properties and shape retention, have high hardness at room temperature, and reduce viscosity during heating, and have completed the present invention. That is, the present invention provides the following (I) to (VI).
[0010]
(I) a thermoplastic elastomer having a carbonyl-containing group and a nitrogen-containing heterocyclic ring in a side chain;
An oil gelling agent,
A thermoplastic elastomer composition containing:
[0011]
(II) The thermoplastic elastomer composition according to (I), wherein the side chain has a structure represented by the following formula (1).
Embedded image
(In the formula, A is a nitrogen-containing heterocyclic ring, and B is a single bond; an oxygen atom, a nitrogen atom or a sulfur atom; or an organic group which may contain these atoms.)
[0012]
(III) The thermoplastic elastomer according to the above (I) or (II), wherein the side chain has a structure represented by the following formula (2) or (3) bonded to the main chain at the α-position or the β-position. Composition.
Embedded image
(In the formula, A is a nitrogen-containing heterocycle, and B and D are each a single bond; an oxygen atom, a nitrogen atom, or a sulfur atom; or an organic group which may contain these atoms.)
[0013]
(IV) The thermoplastic elastomer composition according to any one of (I) to (III), wherein the nitrogen-containing heterocycle is a 5- or 6-membered ring.
[0014]
(V) The thermoplastic elastomer composition according to (IV), wherein the nitrogen-containing heterocycle is a triazole ring, a thiadiazole ring, or a pyridine ring.
[0015]
(VI) The oil gelling agent is isophorone diisocyanate-2-ethylhexylamine adduct, 1,2,3,4-dibenzylidene-D-sorbitol, 12-hydroxystearic acid, N-lauroyl-L-glutamic acid-α , Γ-bis-n-butylamide, spin-labeled steroids, cholesterol derivatives, aluminum dialkylphosphates, aluminum fatty acids, phenolic cyclic oligomers, 2,3-bis-n-hexadecyloxyanthracene and cyclic depsipeptides The thermoplastic elastomer composition according to any one of claims (I) to (V), wherein the composition is one or more compounds.
[0016]
(VII) The thermoplastic elastomer composition according to any one of (I) to (VI), further containing 1 to 200 parts by mass of carbon black and / or silica with respect to 100 parts by mass of the thermoplastic elastomer. .
[0017]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
The thermoplastic elastomer composition of the present invention (hereinafter sometimes simply referred to as “the composition of the present invention”) comprises a thermoplastic elastomer having a carbonyl-containing group and a nitrogen-containing heterocyclic ring in a side chain, an oil gelling agent, Is a thermoplastic elastomer composition containing:
[0018]
The reason that the composition of the present invention does not impair physical properties such as recyclability and shape retention rate, has high hardness at room temperature, and further reduces the viscosity at the time of heating is not clear. I think.
By containing an oil gelling agent in the thermoplastic elastomer composition, the obtained composition of the present invention does not impair physical properties such as recyclability and shape retention, has high hardness at room temperature, and further has The resulting thermoplastic elastomer composition has a reduced viscosity.
This is because the oil gelling agent forms a fibrous aggregate between the oil gelling agents by intermolecular interaction such as hydrogen bonding, which grows into a giant aggregate, and further, the giant aggregate becomes a fan-like aggregate. A bundle formed by interaction such as Delwars force and the like is formed in a network and entangled in a network, and this surrounds the thermoplastic elastomer, thereby improving shape retention and hardness at room temperature. This is probably because the aggregates collapse and liquefy, reducing the viscosity.
Hereinafter, the oil gelling agent used in the composition of the present invention will be described.
[0019]
The oil gelling agent is a substance that can gel an oily component. In the present invention, conventionally known oil gelling agents can be used. In addition, the oil gelling agent can be used for (1) formation of a giant fibrous aggregate by intermolecular interaction such as hydrogen bond, (2) binding and three-dimensional formation of the fibrous aggregate by van der Waals force, etc. It is considered that the compound satisfies the following three factors: stabilizing the gel in a metastable state and hindering crystallization.
Specific examples of the oil gelling agent include isophorone diisocyanate-2-ethylhexylamine adduct, 1,2,3,4-dibenzylidene-D-sorbitol, 12-hydroxystearic acid, N-lauroyl-L-glutamic acid-α , Γ-bis-n-butylamide, spin-labeled steroids, cholesterol derivatives, aluminum dialkylphosphates, aluminum fatty acids, phenolic cyclic oligomers, 2,3-bis-n-hexadecyloxyanthracene, cyclic depsipeptides and the like, One of these may be used alone, or two or more thereof may be used in combination. Of these, the use of isophorone diisocyanate-2-ethylhexylamine adduct, 1,2,3,4-dibenzylidene-D-sorbitol, or 12-hydroxystearic acid can improve the hardness of the composition of the present invention obtained. High and preferred for reasons of excellent recyclability.
[0020]
Here, the “isophorone diisocyanate-2-ethylhexylamine adduct” is specifically a compound represented by the following formula (4), and the “cholesterol derivative” is, for example, a compound represented by the following formula (5) Or a compound represented by (6), the “phenolic cyclic oligomer” is, for example, a compound represented by the following formula (7), and the “cyclic depsipeptide” is, for example, a compound represented by the following formula (8) It is a compound represented by these.
Further, other oil gelling agents other than the above, that is, 1,2,3,4-dibenzylidene-D-sorbitol, 12-hydroxystearic acid, N-lauroyl-L-glutamic acid-α, γ-bis-n-butylamide , Spin-labeled steroids, aluminum dialkylphosphates, aluminum fatty acids and 2,3-bis-n-hexadecyloxyanthracene are compounds represented by the following formulas (9) to (15), respectively.
[0021]
Embedded image
[0022]
In the above formula (6), R 1 Is an optionally branched organic group having 1 to 35 carbon atoms, preferably 1 to 20 carbon atoms; 2 , O, N, and S, may be included.
Here, as the organic group having 1 to 35 carbon atoms, a monovalent hydrocarbon group having 1 to 20 carbon atoms is preferably exemplified. Specifically, for example, a methyl group, an ethyl group, a propyl group, a butyl group , Pentyl, hexyl, heptyl, octyl, nonyl, decyl, undecyl, dodecyl, tridecyl, tetradecyl, pentadecyl, hexadecyl, heptadecyl, octadecyl, nonadecyl, eicosyl, heneicosyl Group, docosyl group, tricosyl group, tetracosyl group, pentacosyl group, hexacosyl group, heptacosyl group, octacosyl group, nonacosyl group, triacontyl group, hentriacontyl group, dotriacontyl group, tritriacontyl group or pentatriacontyl group An alkyl group of Formulas 1 to 35; a cyclopropyl group, Cyclobutyl, cyclopentyl, cyclohexyl, cycloheptyl, cyclooctyl, cyclononyl, cyclodecyl, cycloundecyl, cyclododecyl, cyclotridecyl, cyclotetradecyl, cyclopentadecyl, cyclohexadecyl Group, cycloheptadecyl group, cyclooctadecyl group, cyclononadecyl group, cycloeicosyl group, 2,3,4,5,6,7-hexahydroindenyl group, 2-norbornyl group, 5-norbornen-2-yl group Or a cycloalkyl group having 3 to 35 carbon atoms such as an adamantyl group; a vinyl group, an isopropenyl group, an allyl group, a 1-butenyl group, a 2-butenyl group, a 3-butenyl group, a 1-pentenyl group, a 2-pentenyl group, Hexenyl, heptenyl, octenyl, nonenyl, decenyl An alkenyl group having 2 to 35 carbon atoms such as a group, undecenyl group, dodecenyl group, tridecenyl group, tetradecenyl group, pentadecenyl group, hexadecenyl group, heptadecenyl group, octadecenyl group, nonadecenyl group or eicosenyl group; ethynyl group, propynyl group, butynyl group Pentynyl group, hexynyl group, heptynyl group, octynyl group, noninyl group, decynyl group, undecinyl group, dodecynyl group, tridecynyl group, tetradecynyl group, pentadecynyl group, hexadecynyl group, heptadecynyl group, octadecynyl group, nonadecynyl group or eicosinyl group Alkynyl group having 2 to 35 carbon atoms; phenyl group, tolyl group, 2-ethylphenyl group, 4-tert-butylphenyl group, 4-nonylphenyl group, 2-cyclohexylphenyl group, 4-vinyl Phenyl, 4-isopropenylphenyl, 3-phenylphenyl, 1-naphthyl, 2-naphthyl, 5-methyl-1-naphthyl, 6-vinyl-2-naphthyl, anthracen-1-yl Phenanthren-1-yl group, 1- (1-naphthyl) -2-naphthyl group, 4-chlorophenyl group, pentafluorophenyl group, 2,6-dibromophenyl group, 2,4-diiodophenyl group, 5- Examples thereof include an aryl group having 6 to 35 carbon atoms, such as a fluoro-1-naphthyl group and a 6-bromo-2-naphthyl group, and a substituent formed by combining them.
Among these, the organic group is preferably a methyl group, an ethyl group, or a phenyl group.
[0023]
In the above formula (14), R 2 Represents a monovalent aliphatic hydrocarbon group having 1 to 30, preferably 3 to 20 carbon atoms; 2 May be the same or different.
Here, as the monovalent aliphatic hydrocarbon group having 1 to 30 carbon atoms, specifically, for example, an alkyl group or an alkenyl group having 1 to 30 carbon atoms which may be linear or branched. Is mentioned. More specifically, methyl, ethyl, propyl, butyl, pentyl, hexyl, heptyl, octyl, nonyl, decyl, undecyl, dodecyl, tridecyl, tetradecyl, pentadecyl , Hexadecyl group, heptadecyl group, octadecyl group, nonadecyl group, eicosyl group, heneicosyl group, docosyl group, tricosyl group, tetracosyl group, pentacosyl group, hexacosyl group, heptacosyl group, octacosyl group, nonacosyl group, triacontyl group, etc. Alkyl group; isopropyl, isobutyl, sec-butyl, tert-butyl, isopentyl, neopentyl, tert-pentyl, 1-methylbutyl, 1-methylheptyl, 1-ethylpentyl, 2- Ethylhexyl group, isohex Branched alkyl groups such as tadecyl group; vinyl group, allyl group, isopropenyl group, 2-methylallyl group, 9-decene-1-yl group, cis-8-heptadecen-1-yl group, 8,11-heptadecadiene Alkenyl groups such as a -1-yl group and a (Z, Z, Z) -8,11,14-heptadecatrien-1-yl group; Of these, R 2 Is preferably a 1-ethylpentyl group, a 2-ethylhexyl group, or a heptadecyl group.
In addition, as the fatty acid aluminum represented by the above formula (14), specifically, aluminum 2-ethylhexanoate, aluminum 3-ethylheptylate, aluminum laurate, aluminum palmitate, aluminum oleate, aluminum stearate , Aluminum nonadecanoate, aluminum behenate and the like are preferably used, and these may be used alone or in combination of two or more (for example, a mixed acid of 2-ethylhexanoic acid and stearic acid).
[0024]
Further, as described above, the composition of the present invention may contain one kind of the above-described oil gelling agent alone, or may contain two or more kinds thereof in combination. When two or more oil gelling agents are used in combination, the mixing ratio between the oil gelling agents may be any ratio depending on the use of the composition of the present invention, required physical properties, and the like.
Further, the content of the oil gelling agent is preferably 1 to 50 parts by mass, more preferably 5 to 30 parts by mass, and particularly preferably about 10 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the thermoplastic elastomer described later. It is. When the content of the oil gelling agent is within this range, the hardness of the obtained composition of the present invention does not become too high, and the viscosity reduction upon heating becomes favorable, which is preferable.
[0025]
The composition of the present invention contains a thermoplastic elastomer having a carbonyl-containing group and a nitrogen-containing heterocyclic ring in a side chain.
The thermoplastic elastomer has a carbonyl-containing group and a nitrogen-containing heterocyclic ring in a side chain of a natural polymer or a synthetic polymer elastomeric polymer.
Here, in the present invention, the “side chain” refers to a side chain and a terminal of the elastomeric polymer. Further, “having a carbonyl-containing group and a nitrogen-containing heterocyclic ring in the side chain” means that the carbonyl-containing group and the nitrogen-containing heterocyclic ring are chemically stable at an atom (usually carbon) forming the main chain of the elastomeric polymer. It means that it has a bond (covalent bond).
[0026]
The elastomeric polymer serving as the main chain of the thermoplastic elastomer is not particularly limited, and may be a generally known natural polymer or synthetic polymer, and a polymer having a glass transition point of room temperature (25 ° C.) or lower, That is, it is preferably an elastomer. Specific examples of such an elastomeric polymer include, for example, natural rubber (NR), isoprene rubber (IR), butadiene rubber (BR), 1,2-butadiene rubber, styrene-butadiene rubber (SBR), acrylonitrile- Diene rubbers such as butadiene rubber (NBR), chloroprene rubber, butyl rubber (IIR), ethylene-propylene-diene rubber (EPDM); ethylene-propylene rubber (EPM), ethylene-butene rubber (EBM), chlorosulfonated polyethylene, and acrylic rubber Olefin rubbers such as fluorinated rubber, polyethylene rubber and polypropylene rubber; epichlorohydrin rubber; polysulfide rubber; silicone rubber; urethane rubber.
[0027]
Further, the elastomeric polymer serving as the main chain may be an elastomeric polymer (thermoplastic elastomer) containing a resin component, for example, a polystyrene-based elastomeric polymer (SBS, SIS, SEBS, etc.) which may be hydrogenated. , A polyolefin elastomeric polymer, a polyvinyl chloride elastomeric polymer, a polyurethane elastomeric polymer, a polyester elastomeric polymer, a polyamide elastomeric polymer, and the like.
[0028]
The elastomeric polymer may be liquid or solid. The molecular weight is not particularly limited, and can be appropriately selected according to the purpose of use of the composition and physical properties such as a crosslinking density required for the composition.
When importance is placed on fluidity when the composition of the present invention is heated (decrosslinked), the elastomeric polymer is preferably in a liquid state. For example, in the case of diene rubbers such as isoprene rubber and butadiene rubber, the weight average The molecular weight is preferably from 1,000 to 100,000, particularly preferably from 1,000 to 50,000. On the other hand, when importance is placed on the strength of the composition of the present invention, the elastomeric polymer is preferably a solid rubber. For example, a diene rubber such as isoprene rubber and butadiene rubber has a weight average molecular weight of 100,000 to It is preferably 2,000,000, and particularly preferably 500,000 to 1,500,000.
[0029]
In the present invention, two or more of the above elastomeric polymers can be used in combination. The mixing ratio in this case can be an arbitrary ratio depending on the use in which the composition is used, the physical properties required for the composition, and the like.
Further, the glass transition point of the elastomeric polymer used in the present invention is preferably 25 ° C. or lower. When the polymer has two or more glass transition points or when two or more kinds of polymers are used in combination, the glass transition point of It is preferable that at least one of them is 25 ° C. or lower. When it is in this range, kneading at the time of adjusting the composition is easy and the processability is excellent. In addition, the composition (crosslinking in the composition) is also excellent in handleability (hereinafter, simply referred to as "handleability") when thermally dissociated.
[0030]
Elastomeric polymers include natural rubber (NR), isoprene rubber (IR), butadiene rubber (BR), 1,2-butadiene rubber, styrene-butadiene rubber (SBR), ethylene-propylene-diene rubber (EPDM), and butyl rubber (IIR). ), And olefin rubbers such as ethylene-propylene rubber (EPM) and ethylene-butene rubber (EBM). Since these polymers have a glass transition temperature of 25 ° C. or less, they are excellent in workability and handleability. When a diene rubber is used, modification with maleic anhydride, which will be described later, is easy. When an olefin rubber is used, the composition is more excellent in tensile strength when crosslinked, and deterioration of the composition is suppressed.
[0031]
In the present invention, the amount of bound styrene of the styrene-butadiene rubber (SBR), the hydrogenation rate of the hydrogenated elastomeric polymer, and the like are not particularly limited, and the use of the composition of the present invention and the composition of the present invention The ratio can be adjusted to an arbitrary ratio according to the physical properties and the like required for the above.
When EPM, EPDM, or EBM is used for the main chain of the thermoplastic elastomer, the ethylene content thereof is preferably 10 to 80 mol%, and more preferably 40 to 60 mol%. Within this range, the composition has excellent mechanical strength and shape retention.
[0032]
The thermoplastic elastomer of the present invention has a carbonyl-containing group and a nitrogen-containing heterocycle in the side chain of the elastomeric polymer.
The carbonyl-containing group is not particularly limited as long as it contains a carbonyl group, and examples thereof include an amide, ester, imide, carboxy group, and carbonyl group. The compound into which such a group can be introduced is not particularly limited, and examples thereof include ketones, carboxylic acids and derivatives thereof.
Examples of the carboxylic acid include an organic acid having a saturated or unsaturated hydrocarbon group, and the hydrocarbon group may be any of aliphatic, alicyclic, aromatic and the like. Examples of the carboxylic acid derivatives include carboxylic anhydrides, amino acids, thiocarboxylic acids (carboxylic acids containing a mercapto group), esters, amino acids, ketones, amides, imides, dicarboxylic acids and monoesters thereof.
[0033]
Specific examples of carboxylic acids and derivatives thereof include, for example, malonic acid, maleic acid, succinic acid, glutaric acid, phthalic acid, isophthalic acid, terephthalic acid, p-phenylenediacetic acid, p-hydroxybenzoic acid, p-hydroxybenzoic acid and p-hydroxybenzoic acid. Carboxylic acids such as aminobenzoic acid and mercaptoacetic acid and substituent-containing carboxylic acids; succinic anhydride, maleic anhydride, glutaric anhydride, phthalic anhydride, propionic anhydride, and benzoic anhydride; and acid anhydrides such as maleic acid ester; Aliphatic esters such as malonic esters, succinic esters, glutaric esters, and ethyl acetate; aromatic esters such as phthalic esters, isophthalic esters, terephthalic esters, ethyl-m-aminobenzoate, and methyl-p-hydroxybenzoate A ketone such as quinone, anthraquinone and naphthoquinone Amino acids such as glycine, tyrosine, bicine, alanine, valine, leucine, serine, threonine, lysine, aspartic acid, glutamic acid, cysteine, methionine, proline, N- (p-aminobenzoyl) -β-alanine; maleamide, maleamide Acid (maleic monoamide), succinic monoamide, 5-hydroxyvaleramide, N-acetylethanolamine, N, N'-hexamethylenebis (acetamide), malonamide, cycloserine, 4-acetamidophenol, p-acetamidobenzoic acid and the like Amides: Examples include imides such as maleimide and succinimide.
Among these, as the compound into which a carbonyl group can be introduced, cyclic acid anhydrides such as succinic anhydride, maleic anhydride, glutaric anhydride, and phthalic anhydride are preferable, and maleic anhydride is particularly preferable.
[0034]
The nitrogen-containing heterocycle contained in the side chain of the thermoplastic elastomer is introduced into the main chain directly or via an organic group.
As the nitrogen-containing heterocyclic ring, those having a hetero atom other than a nitrogen atom in the hetero ring, for example, a sulfur atom, an oxygen atom, a phosphorus atom or the like can be used as long as the hetero ring contains a nitrogen atom. The reason for using a heterocyclic compound here is that when the compound has a heterocyclic structure, the hydrogen bond for forming a crosslink described later is strengthened and the tensile strength of the composition is improved.
The heterocyclic ring may have a substituent, for example, an alkyl group such as a methyl group, an ethyl group, an (iso) propyl group, and a hexyl group; an alkoxy group such as a methoxy group, an ethoxy group, and an (iso) propoxy group. A group consisting of a halogen atom such as a fluorine atom, a chlorine atom, a bromine atom and an iodine atom; a cyano group; an amino group; an aromatic hydrocarbon group; an ester group; an ether group; an acyl group; Can also be used in combination.
The substitution position of these substituents is not particularly limited, and the number of substituents is not limited. Further, the heterocyclic ring may or may not have aromaticity, but if it has aromaticity, the tensile strength at the time of crosslinking is increased and the strength of the composition is further improved. Is preferred.
[0035]
Such a nitrogen-containing heterocycle is preferably a 5- or 6-membered ring.
Examples of the nitrogen-containing heterocycle include pyrrololine, pyrrolidone, oxindole (2-oxindole), indoxyl (3-oxindole), dioxindole, isatin, indolyl, phthalimidine, β-isoindigo, monoporphyrin, diporphyrin, Triporphyrin, azaporphyrin, phthalocyanine, hemoglobin, uroporphyrin, chlorophyll, phyloerythrin, imidazole, pyrazole, triazole, tetrazole, benzimidazole, benzopyrazole, benzotriazole, imidazoline, imidazolone, imidazolidone, hydantoin, pyrazolone, pyrazolone, pyrazolone, pyrazolone Indazole, pyridoindole, purine, cinnoline, pyrrole, pyrroline, indole, indoline, oki Ruindole, carbazole, phenothiazine, indolenine, isoindole, oxazole, thiazole, isoxazole, isothiazole, oxadiazole, thiadiazole, oxatriazole, thiatriazole, phenanthroline, oxazine, benzoxazine, phthalazine, pteridine, pyrazine, phenazine, Tetrazine, benzoxazole, benzisoxazole, anthranil, benzothiazole, benzofurazan, pyridine, quinoline, isoquinoline, acridine, phenanthridine, anthrazolin, naphthyridine, thiazine, pyridazine, pyrimidine, quinazoline, quinoxaline, triazine, histidine, triazolidine, melamine, Adenine, guanine, thymine, cytosine and the like can be mentioned. Among such nitrogen-containing heterocycles, particularly for a nitrogen-containing 5-membered ring, the following compounds are preferably exemplified. These may have the various substituents described above, or may be hydrogenated or eliminated.
[0036]
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[0037]
As the nitrogen-containing 6-membered ring, the following compounds are preferably exemplified. These may also have the various substituents described above, and may be hydrogenated or eliminated.
[0038]
Embedded image
[0039]
In addition, those obtained by condensing the above-mentioned nitrogen-containing heterocyclic ring with a benzene ring or a nitrogen-containing heterocyclic ring can also be used. Preferred examples thereof include the following condensed rings.
[0040]
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[0041]
Among the above-mentioned nitrogen-containing heterocycles, a triazole ring, a pyridine ring or a thiadiazole ring is preferable because of its excellent mechanical strength, shape retention, processability and recyclability when a thermoplastic elastomer composition is obtained.
[0042]
In the thermoplastic elastomer of the present invention, the nitrogen-containing heterocycle is introduced into the main chain directly or via an organic group, but is preferably introduced into the main chain via an organic group.
Further, in the thermoplastic elastomer of the present invention, the carbonyl-containing group and the nitrogen-containing heterocycle may be introduced into the main chain as independent side chains, and the carbonyl-containing group and the nitrogen-containing heterocycle may be different groups. And may be introduced into the main chain by bonding to one side chain.
It is preferable that the carbonyl-containing group and the nitrogen-containing heterocycle are introduced into the polymer main chain as one side chain represented by the following formula (1).
[0043]
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(In the formula, A is a nitrogen-containing heterocyclic ring, and B is a single bond; an oxygen atom, a nitrogen atom or a sulfur atom; or an organic group which may contain these atoms.)
[0044]
Here, the nitrogen-containing heterocycle A is specifically the nitrogen-containing heterocycle described above.
Substituent B is a single bond; an oxygen atom, a nitrogen atom or a sulfur atom; or an organic group which may contain these atoms. Specifically, for example, a single bond; an oxygen atom, a sulfur atom or an amino group NR ( R is a hydrogen atom or an alkyl group having 1 to 10 carbon atoms); an alkylene group or an aralkylene group having 1 to 20 carbon atoms which may contain these atoms; an alkylene ether having 1 to 20 carbon atoms having these atoms at the terminals. Group (alkyleneoxy group, for example, -O-CH 2 CH 2 -Group), an alkyleneamino group (e.g., -NH-CH 2 CH 2 Group) or an alkylenethioether group (alkylenethio group, for example, -S-CH 2 CH 2 -Groups); aralkylene ether groups having 1 to 20 carbon atoms (aralkyleneoxy groups), aralkylene amino groups or aralkylene thioether groups having these atoms at the terminals.
[0045]
Here, examples of the alkyl group having 1 to 10 carbon atoms include methyl group, ethyl group, propyl group, butyl group, pentyl group, hexyl group, heptyl group, octyl group, nonyl group, decyl group and the like, including isomers. No.
An oxygen atom, a nitrogen atom and a sulfur atom such as an oxygen atom, a sulfur atom and an amino group of the substituent B, and an alkylene ether or aralkylene ether group having 1 to 20 carbon atoms which may contain an oxygen atom, a nitrogen atom or a sulfur atom; The atom is preferably combined with an adjacent carbonyl group to form a conjugated ester group, amide group, imide group, thioester group or the like.
The substituent B is, among the above, an oxygen atom, a sulfur atom or an amino group which forms a conjugated system; an alkylene ether group having 1 to 20 carbon atoms, an alkylene amino group or an alkylene thioether group having these at the terminal, Amino group (NH), alkyleneamino group (-NH-CH 2 -Group, -NH-CH 2 CH 2 -Group, -NH-CH 2 CH 2 CH 2 -Group), an alkylene ether group (-O-CH 2 -Group, -O-CH 2 CH 2 -Group, -O-CH 2 CH 2 CH 2 -Group) is particularly preferred.
[0046]
The carbonyl group and the nitrogen-containing heterocyclic ring are more preferably introduced into the polymer main chain at the α-position or β-position as one side chain represented by the following formula (2) or (3).
[0047]
Embedded image
(In the formula, A is a nitrogen-containing heterocycle, and B and D are each a single bond; an oxygen atom, a nitrogen atom, or a sulfur atom; or an organic group which may contain these atoms.)
[0048]
Here, the nitrogen-containing heterocycle A is basically the same as the nitrogen-containing heterocycle A of the above formula (1), and the substituents B and D are basically the same as the substituent B of the above formula (1), respectively. is there.
However, the substituent D in the above formula (3) is a single bond; an alkylene group having 1 to 20 carbon atoms which may contain an oxygen atom, a nitrogen atom or a sulfur atom, as exemplified for the substituent B in the above formula (1). Alternatively, it is preferable to form a conjugated system of an aralkylene group, and a single bond is particularly preferable. That is, it is preferable to form an alkyleneamino group or an aralkyleneamino group having 1 to 20 carbon atoms which may contain an oxygen atom, a nitrogen atom or a sulfur atom together with the imide nitrogen of the above formula (3). It is particularly preferred that the nitrogen-containing heterocycle is directly bonded to the imide nitrogen (single bond). Specifically, the substituent D is a single bond; an alkylene ether or aralkylene ether group having 1 to 20 carbon atoms having an oxygen atom, a sulfur atom or an amino group at the terminal described above; a methylene group including isomers; Examples include an ethylene group, a propylene group, a butylene group, a hexylene group, a phenylene group, and a xylylene group.
[0049]
The ratio between the carbonyl-containing group and the nitrogen-containing heterocyclic ring contained in the thermoplastic elastomer is not particularly limited, but is complementary to 2: 1 (1: 1 in the case of the imide structure of the above formula (3)). This is preferable because a simple interaction can be easily formed and it can be easily manufactured.
[0050]
The side chain having a carbonyl-containing group and a nitrogen-containing heterocyclic ring is preferably introduced at a ratio (introduction ratio) of 0.1 to 50 mol% to 100 mol% of the main chain portion, and 1 to 30 mol%. More preferably, they are introduced in a ratio.
If it is less than 0.1 mol%, the strength at the time of crosslinking may not be sufficient, and if it exceeds 50 mol%, the crosslinking density may increase and rubber elasticity may be lost. That is, if within the above-mentioned range, the interaction between the side chains of the thermoplastic elastomer occurs between molecules or within the molecules, and these are formed in a well-balanced manner. Very high tensile strength and excellent recyclability.
The introduction rate may be considered as a set of two groups according to the ratio of the carbonyl-containing group and the nitrogen-containing heterocycle when the carbonyl-containing group and the nitrogen-containing heterocycle are independently introduced. If such groups are in excess, it may be considered based on the larger group.
For example, when the main chain portion is an ethylene-propylene rubber, the introduction ratio of the monomer into which the side chain portion is introduced is about 0.1 to 50 units per 100 units of ethylene and propylene monomer units.
[0051]
The thermoplastic elastomer preferably has a glass transition point of 25 ° C. or lower, and when the elastomer has two or more glass transition points or when two or more elastomers are used in combination, at least one of the glass transition points is used. Is preferably 25 ° C. or less. When the glass transition point is 25 ° C. or lower, workability and handleability are excellent.
[0052]
The method for producing the thermoplastic elastomer is not particularly limited, and an ordinary method can be selected.
Among thermoplastic elastomers, those having a carbonyl-containing group and a nitrogen-containing heterocyclic ring on the same side chain include, for example, reacting a carbonyl-containing group-modified polymer of an elastomeric polymer with a compound capable of introducing a nitrogen-containing heterocyclic ring. It can be obtained by:
Specifically, a diene rubber such as butadiene rubber and a toluene solution containing maleic anhydride or mercaptoacetic acid, or an olefin rubber such as EPM, for example, an α-olefin such as propylene, and mercaptoacetic acid It is obtained by reacting a toluene solution with a toluene solution at room temperature or under heating under a nitrogen atmosphere to obtain an elastomer modified with a carbonyl-containing group, and reacting the elastomer with a compound capable of introducing a nitrogen-containing heterocycle.
[0053]
Here, the compound into which the nitrogen-containing heterocyclic ring can be introduced may be the nitrogen-containing heterocyclic ring itself, or a substituent that reacts with a carbonyl-containing group such as maleic anhydride (for example, a hydroxyl group, a thiol group, an amino group, ) May be a nitrogen-containing heterocycle. The compound capable of introducing a nitrogen-containing heterocyclic ring may be reacted with a part or all of the carbonyl-containing group of the carbonyl-containing group-modified elastomer. A part is preferably 1 mol% or more, more preferably 50 mol% or more, and particularly preferably 80 mol% or more, based on 100 mol% of the carbonyl-containing group. Within this range, the effect of introducing the nitrogen-containing heterocyclic ring is exhibited, and the tensile strength at the time of crosslinking is further increased. It is particularly preferable to react the entire amount (100 mol%) of the carbonyl-containing group with the compound in terms of excellent tensile strength, shape retention, and workability.
[0054]
As the elastomer modified with the carbonyl-containing group, commercially available products can be used. For example, maleic anhydride-modified isoprene rubber such as LIR-403 (manufactured by Kuraray Co., Ltd.) and LIR-410A (produced by Kuraray Co., Ltd.), LIR Modified isoprene rubber such as -410 (manufactured by Kuraray), carboxyl-modified nitrile rubber such as Clinac 110, 221, 231 (manufactured by Policer), CPIB (manufactured by Nisseki Chemical), HRPIB (prototype of Nisseki Chemical Lab), etc. Maleic anhydride-modified ethylene-propylene rubber such as carboxy-modified polybutene, Nucrel (manufactured by Du Pont-Mitsui Polychemicals), Yucaron (manufactured by Mitsubishi Chemical), Tuffmer M (MA8510, manufactured by Mitsui Chemicals), Tuffmer M (MH7020, Mitsui) Maleic anhydride-modified ethylene-butene rubber, Admer (L 128, etc., maleic anhydride-modified polyethylene manufactured by Mitsui Chemicals, Inc.) and the like, can be cited ADMER (QB550, manufactured by Mitsui Chemicals, Inc.) maleic anhydride modified polypropylene or the like, and the like.
[0055]
Further, after reacting compounds capable of introducing a carbonyl-containing group and a nitrogen-containing heterocycle, the compounds may be introduced into a side chain of the elastomeric polymer.
[0056]
When synthesizing a thermoplastic elastomer having a carbonyl-containing group and a nitrogen-containing heterocycle each independently in a side chain, a monomer capable of forming a main chain of the elastomeric polymer and a monomer having a carbonyl-containing group The thermoplastic elastomer may be directly produced by copolymerizing with a monomer containing a nitrogen-containing heterocycle to form a main chain (elastomeric polymer) in advance by polymerization or the like, and then graft-modified with the carbonyl-containing group. May be.
In each of the above production methods, whether each group of the side chain of the thermoplastic elastomer is independently bonded or bonded to each other is confirmed by commonly used analytical means such as NMR and IR spectrum. be able to.
[0057]
In the thermoplastic elastomer, even in the above-described production method, first, a carbonyl-containing group-modified elastomeric polymer having a carbonyl-containing group introduced therein is first synthesized, and then reacted with a compound capable of introducing a nitrogen-containing heterocycle to form a nitrogen-containing heterocycle. The method of introducing a compound is particularly preferable.Especially, an elastomeric polymer having a cyclic acid anhydride in a side chain and a compound capable of introducing a nitrogen-containing heterocyclic ring are obtained by chemically converting a compound capable of introducing a nitrogen-containing heterocyclic ring to a cyclic acid anhydride group. The carbonyl-containing group and the nitrogen-containing heterocycle are introduced into the main chain of the elastomeric polymer (the cyclic acid anhydride group is opened) by reacting at a temperature at which a bond (for example, a covalent bond or an ionic bond) can be formed. Is preferred. Regarding the production of the elastomer, specific points are described in JP-A-2000-169527.
[0058]
The nitrogen heterocycle of the present invention is referred to as “nitrogen-containing n-membered ring compound (n ≧ 3)” for convenience, and the bonding position of the nitrogen-containing heterocycle will be described.
The binding positions ("positions 1 to n") described below are based on IUPAC nomenclature. For example, in the case of a compound having three nitrogen atoms having an unshared electron pair, the bonding position is determined according to the order based on IUPAC nomenclature. Specifically, the bonding position is described in the nitrogen-containing heterocyclic ring of the 5-membered ring, the 6-membered ring and the condensed ring exemplified above.
In the thermoplastic elastomer, the bonding position of the nitrogen-containing n-membered ring compound bonded to the main chain directly or via an organic group is not particularly limited, and may be any bonding position (position 1 to position n). Preferably, it is the 1st or 3rd to the nth position.
When the nitrogen-containing heterocyclic ring contains one nitrogen atom (for example, a pyridine ring or the like), a chelate is easily formed in the molecule, resulting in poor physical properties such as tensile strength when the composition is used. Position 2 is not preferred.
[0059]
When the nitrogen-containing n-membered ring compound is bonded to the main chain at the 1- or 3-position to the n-position, even if the same side chain has a carbonyl group and a nitrogen-containing heterocycle, the nitrogen of the nitrogen-containing heterocycle Since the distance between the atom and the carbonyl group is large, it is difficult to form a chelate in the molecule, and it can be expected to improve the cross-linking strength (tensile strength as a composition) by forming intermolecular chelates and ionic bonds. Further, the crosslink density is improved. When the nitrogen-containing heterocyclic ring is a 5-membered ring, the 3- or 4-position is preferable, and the 3-position is particularly preferable.
By selecting the bonding position of the nitrogen-containing heterocyclic ring, the thermoplastic elastomer is formed between the thermoplastic elastomer molecules, or between the oil gelling agent associated with the thermoplastic elastomer, a hydrogen bond, an ionic bond, Crosslinking due to coordination bonds or the like is easily formed, and the composition has high hardness at room temperature without impairing physical properties such as recyclability and shape retention, and further has reduced viscosity during heating.
[0060]
The composition of the present invention contains one or more of the above-mentioned thermoplastic elastomers. The mixing ratio when two or more types are contained can be an arbitrary ratio according to the use in which the composition is used, the physical properties required for the composition, and the like.
[0061]
The composition of the present invention preferably contains carbon black and / or silica as a reinforcing agent.
The content of carbon black (when carbon black is used alone) is 1 to 200 parts by mass, preferably 10 to 100 parts by mass, more preferably 20 to 80 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the thermoplastic elastomer. It is.
The type of the carbon black is appropriately selected depending on the application. Generally, carbon black is classified into hard carbon black and soft carbon black based on the particle size. Soft carbon black has low reinforcement to rubber, and hard carbon black has high reinforcement to rubber. In the present invention, it is particularly preferable to use hard carbon black having a strong reinforcing property.
[0062]
The silica is not particularly limited, and includes, for example, fumed silica, calcined silica, precipitated silica, pulverized silica, fused silica, diatomaceous earth, and the like (when silica is used alone) in a content of 100 parts by mass of the thermoplastic elastomer. Is 1 to 200 parts by mass, preferably 10 to 100 parts by mass, more preferably 20 to 80 parts by mass. Of these, precipitated silica is preferred.
When silica is used as the reinforcing agent, a silane coupling agent can be used in combination. Examples of the silane coupling agent include bis (triethoxysilylpropyl) tetrasulfide (Si69), bis (triethoxysilylpropyl) disulfide (Si75), γ-mercaptopropyltrimethoxysilane, and vinyltrimethoxysilane.
[0063]
When carbon black and silica are used in combination, the content (total amount of carbon black and silica) is 1 to 200 parts by mass, preferably 10 to 100 parts by mass, based on 100 parts by mass of the thermoplastic elastomer. Preferably it is 20 to 80 parts by mass.
[0064]
The composition of the present invention, if necessary, within a range not to impair the purpose of the present invention, a polymer other than the elastomeric polymer of the present invention, a reinforcing agent other than carbon black and silica, an antioxidant, an antioxidant, Pigments (dyes), plasticizers, thixotropic agents, ultraviolet absorbers, flame retardants, solvents, surfactants (including leveling agents), dispersants, dehydrating agents, rust inhibitors, adhesion promoters, antistatic agents, Various additives such as a filler can be contained.
[0065]
As the above-mentioned additives and the like, generally used ones can be used, and specific examples thereof are shown below, but the present invention is not limited to these examples.
As the polymer other than the elastomeric polymer of the present invention, a polymer having a glass transition temperature of 25 ° C. or lower is preferable for the same reason as described above, and it is particularly preferable to use any of those used as the main chain of the present invention. More preferably, natural rubber (NR), isoprene rubber (IR), butadiene rubber (BR), 1,2-butadiene rubber, styrene-butadiene rubber (SBR), butyl rubber (IIR), ethylene-propylene-diene rubber (EPDM) , Ethylene-propylene rubber (EPM), and ethylene-butene rubber (EBM), and particularly, a polymer having no unsaturated bond or a polymer having little unsaturated bond (eg, EPDM) of IIR, EPM, and EBM is preferably used. . The other polymer may contain one kind or two or more kinds. The content of the polymer is preferably from 0.1 to 100 parts by mass, more preferably from 1 to 50 parts by mass, based on 100 parts by mass of the thermoplastic elastomer.
[0066]
Reinforcing agents other than carbon black and silica include, for example, iron oxide, zinc oxide, titanium oxide, barium oxide, magnesium oxide, calcium carbonate, magnesium carbonate, zinc carbonate, pyrite clay, kaolin clay, calcined clay and the like. The content thereof is preferably from 10 to 100 parts by mass, more preferably from 20 to 80 parts by mass, based on 100 parts by mass of the thermoplastic elastomer.
Examples of the anti-aging agent include hindered phenol compounds, aliphatic and aromatic hindered amine compounds and the like, and the content thereof is 0.1 to 10 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the thermoplastic elastomer. Preferably, it is 1 to 5 parts by mass.
[0067]
Examples of the antioxidant include butylhydroxytoluene (BHT), butylhydroxyanisole (BHA), and the like, and the content thereof is preferably 0.1 to 10 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the thermoplastic elastomer. 1 to 5 parts by mass is more preferred.
Examples of the pigment include inorganic pigments such as titanium dioxide, zinc oxide, ultramarine blue, red iron, lithopone, lead, cadmium, iron, cobalt, aluminum, hydrochloride and sulfate, azo pigments, and organic pigments such as copper phthalocyanine pigment. The content is preferably from 0.1 to 10 parts by mass, more preferably from 1 to 5 parts by mass, based on 100 parts by mass of the thermoplastic elastomer.
[0068]
Examples of the plasticizer include benzoic acid, phthalic acid, trimellitic acid, pyromellitic acid, adipic acid, sebacic acid, fumaric acid, maleic acid, itaconic acid, citric acid, and other derivatives, polyesters, polyethers, epoxies, etc. Is mentioned.
Examples of the thixotropic agent include bentone, silicic anhydride, silicic acid derivatives, urea derivatives and the like.
Examples of the ultraviolet absorber include 2-hydroxybenzophenone-based, benzotriazole-based, and salicylic acid ester-based.
Examples of the flame retardant include phosphorus compounds such as TCP, chlorinated paraffins, halogen compounds such as perchlorpentacyclodecane, antimony compounds such as antimony oxide, and aluminum hydroxide.
[0069]
Examples of the solvent include hydrocarbons such as hexane and toluene; halogenated hydrocarbons such as tetrachloromethane; ketones such as acetone and methyl ethyl ketone; ethers such as diethyl ether and tetrahydrofuran; and esters such as ethyl acetate. Can be
Examples of the surfactant (leveling agent) include polybutyl acrylate, polydimethylsiloxane, a modified silicone compound, and a fluorine-based surfactant.
Examples of the dehydrating agent include vinylsilane.
[0070]
Examples of the rust preventive include zinc phosphate, tannic acid derivatives, phosphates, basic sulfonates, various rust preventive pigments, and the like.
Examples of the adhesion-imparting agent include a known silane coupling agent, a silane compound having an alkoxysilyl group, a titanium coupling agent, a zirconium coupling agent, and the like. More specifically, for example, trimethoxyvinylsilane, vinyltriethoxysilane, vinyltris (2-methoxyethoxy) silane, γ-methacryloxypropyltrimethoxysilane, 3-glycidoxypropyltrimethoxysilane and the like can be mentioned.
Examples of the antistatic agent generally include a quaternary ammonium salt or a hydrophilic compound such as polyglycol or an ethylene oxide derivative.
The content of the plasticizer is preferably from 0.1 to 50 parts by mass, more preferably from 1 to 30 parts by mass, based on 100 parts by mass of the thermoplastic elastomer. The content of the other additives is preferably 0.1 to 10 parts by mass, more preferably 1 to 5 parts by mass.
[0071]
Although the thermoplastic elastomer of the present invention can be self-crosslinkable, a vulcanizing agent, a vulcanization aid, a vulcanization accelerator, a vulcanization retarder and the like can be used in combination within a range not to impair the purpose of the present invention. .
Examples of the vulcanizing agent include vulcanizing agents such as sulfur-based, organic peroxide-based, metal oxide-based, phenolic resin, and quinone dioxime.
Examples of the sulfur vulcanizing agent include powdered sulfur, precipitated sulfur, highly dispersible sulfur, surface-treated sulfur, insoluble sulfur, dimorpholine disulfide, and alkylphenol disulfide.
Examples of the organic peroxide vulcanizing agent include benzoyl peroxide, t-butyl hydroperoxide, 2,4-dichlorobenzoyl peroxide, and 2,5-dimethyl-2,5-di (t-butyl peroxide). Oxy) hexane, 2,5-dimethylhexane-2,5-di (peroxyl benzoate) and the like.
Other examples include magnesium oxide, litharge, p-quinone dioxime, tetrachloro-p-benzoquinone, p-dibenzoylquinone dioxime, poly-p-dinitrosobenzene, and methylene dianiline.
[0072]
As vulcanization aids, fatty acids such as acetyl acid, propionic acid, butanoic acid, stearic acid, acrylic acid and maleic acid; zinc acetylate, zinc propionate, zinc butanoate, zinc stearate, zinc acrylate, maleic acid And fatty acid zinc such as zinc.
Examples of the vulcanization accelerator include thiurams such as tetramethylthiuram disulfide (TMTD) and tetraethylthiuram disulfide (TETD); aldehydes and ammonia such as hexamethylenetetramine; guanidines such as diphenylguanidine; dibenzothiazyl disulfide (DM ); Sulfenamides such as cyclohexylbenzothiazylsulfenamide; and the like. Further, an alkylphenol resin or a halide thereof may be used.
Examples of the vulcanization retarder include organic acids such as phthalic anhydride, benzoic acid, salicylic acid, and acetylsalicylic acid; N-nitrosodiphenylamine, N-nitrosophenyl-β-naphthylamine, and N-nitroso-trimethyl-dihydroquinoline. Nitroso compounds such as polymers; halides such as trichlormelanin; 2-mercaptobenzimidazole; Santogard PVI and the like.
The content of these vulcanizing agents and the like is preferably from 0.1 to 20 parts by mass, more preferably from 1 to 10 parts by mass, based on 100 parts by mass of the thermoplastic elastomer.
[0073]
The method for producing the composition of the present invention is not particularly limited.For example, the thermoplastic elastomer, the oil gelling agent, and various additives as necessary may be mixed with a roll, a kneader, an extruder, a universal stirrer, or the like. .
[0074]
The curing conditions when the composition of the present invention is permanently crosslinked (with a vulcanizing agent) can be appropriately selected according to various components to be blended, and are not particularly limited. For example, curing conditions for curing at a temperature of 130 to 200 ° C. for 5 to 30 minutes are preferable.
[0075]
When the composition of the present invention is heated to about 80 ° C. or more, three-dimensional cross-linking (cross-linking structure) is dissociated and softened, and fluidity is imparted. This is probably because the oil gelling agent was dissolved and liquefied. It is also considered that the interaction between the side chains formed between molecules or within the molecule or between the side chains and the oil gelling agent is weakened.
[0076]
The composition of the present invention can be used for various rubber applications by utilizing, for example, rubber elasticity. It is preferable to use it as a hot-melt adhesive or as an additive to be contained therein, since heat resistance and recyclability can be improved. In particular, it can be suitably used around automobiles.
[0077]
Specific examples of the surroundings of the automobile include a tread of a tire, a carcass; a radiator grill of an exterior, a side molding, a garnish (pillar, rear, cowl top), aero parts (air dam, spoiler), a wheel cover, a weather strip. , Cow belt grille, air outlet louver, air scoop, food bulge, ventilation opening parts, anti-fouling parts (over fender, side seal panel, molding (window, hood, door belt)), marks, doors, lights, wipers Parts for interior window frames such as weather strip, glass run, glass run channel, etc .; air duct hose, radiator hose, brake hose; crankshaft seal, valve stem seal, head cover gasket, A / T oil cooler hose, Lubricating oil parts such as transmission oil seals, P / S hoses, P / S oil seals; fuel parts such as fuel hoses, emission control hoses, inlet filler hoses, tire flams; engine mounts, in-tank pump mounts, etc. Anti-vibration parts; Boots such as CVJ boots, rack & pinion boots; Air conditioning parts such as A / C hoses and A / C seals; Belt parts such as timing belts and auxiliary equipment belts; Wind shield sealers; Sealers such as a vinyl plastisol sealer, an anaerobic sealer, a body sealer, and a spot weld sealer;
[0078]
In addition, when a rubber or a flow inhibitor is contained in a resin or rubber that causes cold flow at room temperature, the flow during extrusion and the cold flow can be prevented.
Furthermore, the composition of the present invention contains carbon black and / or silica to improve tensile strength, tear strength, and bending strength. Particularly, tires, hoses, belts, sheets, vibration-proof rubbers, rollers, linings, and rubbers It can be particularly suitably used for applications such as drawing cloths, sealing materials, gloves, and fenders.
[0079]
Since the composition of the present invention contains an oil gelling agent, it is useful because it retains physical properties such as recyclability and shape retention, and has good hardness and reduced viscosity upon heating.
[0080]
【Example】
Next, the present invention will be described more specifically with reference to Examples, but the present invention is not limited thereto.
<Examples 1 to 6, Comparative Example 1>
Thermoplastic elastomer 1 was synthesized by the following method.
3-amino-1,2,4-triazole was added to 12.73 g (6.55 mmol) of a commercially available maleic anhydride-modified isoprene rubber (LIR-410A, manufactured by Kuraray Co., Ltd., maleic anhydride modification ratio: 2.7 mol%). 0.551 g (6.55 mmol) was added, and the mixture was heated and stirred at 160 ° C. for 1 hour to obtain a reaction product.
The obtained reaction product was confirmed to be a thermoplastic elastomer 1 having a structure represented by the following formula (16) by NMR and IR.
[0081]
Embedded image
[0082]
Oil gelling agent 1 (isophorone diisocyanate-2-ethylhexylamine adduct) was synthesized by the following method.
77.81 g (0.35 mol) of isophorone diisocyanate was slowly dropped into a solution of 90.44 g (0.70 mol) of 2-ethylhexylamine dissolved in 200 ml of acetone while stirring the solution in an ice bath. After the addition, the mixture was stirred at room temperature for 24 hours to obtain a reaction product. The obtained reaction product was confirmed by IR for disappearance of isocyanate and the presence of a urethane bond, and was confirmed by NMR to be an isophorone diisocyanate-2-ethylhexylamine adduct having a structure represented by the following formula (4).
[0083]
Embedded image
[0084]
As the oil gelling agent 2, 1,2,3,4-dibenzylidene-D-sorbitol manufactured by Aldrich Chemical Co., Ltd. was used.
As the oil gelling agent 3, 12-hydroxystearic acid manufactured by Tokyo Chemical Industry Co., Ltd. was used.
[0085]
Next, the thermoplastic elastomer 1 and the oil gelling agents 1 to 3 were mixed at a mass ratio shown in Table 1 below, and heated and stirred under the reaction conditions shown in Table 1 below to obtain a thermoplastic elastomer composition. .
The hardness, viscosity, recyclability (repeated molding test) and shape retention of each of the obtained thermoplastic elastomer compositions were measured and evaluated. The results are shown in Table 1 below.
[0086]
<JIS A hardness>
After press molding each of the obtained thermoplastic elastomer compositions at 100 ° C. for 20 minutes, a cylindrical sample having a diameter of 29 mm and a thickness of 12.5 mm was prepared. The JIS A hardness of each prepared sample was measured in accordance with JIS K6253.
[0087]
<Shape retention>
After press molding each of the obtained thermoplastic elastomer compositions at 100 ° C. for 20 minutes, a cylindrical sample having a diameter of 29 mm and a thickness of 12.5 mm was prepared. A glass plate was placed on each of the prepared samples, a weight of 500 g was placed on the glass plate, and the thickness of each sample after a lapse of a predetermined time was measured up to 48 hours, and the shape retention was determined using the following equation. .
Shape retention (%) = (thickness after elapse of predetermined time / thickness at start of measurement) × 100
[0088]
<Viscosity>
The viscosity of each of the obtained thermoplastic elastomer compositions at 100 ° C. was measured by the method described below.
The viscosity was measured according to JIS K7117-1. Each thermoplastic elastomer composition was melted at 100 ° C. for 30 minutes using a B-type viscometer (manufactured by Tokyo Keiki Co., Ltd.), and then rotated with a No. 3 rotor to measure the viscosity at 10 rpm.
[0089]
<Recyclability (softening temperature)>
After press molding each of the obtained thermoplastic elastomer compositions at 100 ° C. for 20 minutes, a cylindrical sample having a diameter of 29 mm and a thickness of 12.5 mm was prepared. Each of the prepared samples was heated at a heating rate of 10 ° C./min, and the temperature at which the Lupke sample became soft and did not retain its shape was measured as the softening temperature. When the softening temperature is 250 ° C. or lower, the material can be softened and reshaped, and the recyclability is excellent.
[0090]
[Table 1]
[0091]
From the results shown in Table 1, it was found that the composition of the present invention did not impair the physical properties of recyclability and shape retention, had high hardness at room temperature, and decreased in viscosity during heating.
[0092]
【The invention's effect】
INDUSTRIAL APPLICABILITY The present invention is useful because it can provide a thermoplastic elastomer composition which does not impair the physical properties of recyclability and shape retention, has high hardness at room temperature, and has a reduced viscosity when heated.