【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録に好適なインク組成物、特に、耐ブロンズ性に優れたインク組成物、それを用いたインクジェット記録方法及び該記録方法によって記録された記録物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、微細なノズルからインク組成物を小滴として吐出し、文字や画像(以下、単に「画像」ということもある。)を記録媒体表面に記録する方法である。インクジェット記録方式としては、電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換して、ノズルヘッド部分に貯えたインク組成物を断続的に吐出して記録媒体表面に文字や画像を記録する方法、ノズルヘッド部分に貯えたインク組成物を吐出部分に極近い一部を急速に加熱して泡を発生させて、その泡による体積膨張で断続的に吐出して、記録媒体表面に文字や画像を記録する方法等が実用化されている。
【0003】
また、インクジェット記録用のインク組成物としては、安全性や印字特性の面から各種染料を水または有機溶剤、あるいはそれらの混合液に溶解させたものが一般的であるが、様々な特性において、万年筆やボールペンの様な筆記具用インク組成物に比較し、より厳密な条件が要求される。
【0004】
インクジェット記録方法を用いてカラー画像を形成する場合、少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインクを用いるのが一般的である。これらのインクには、鮮やかで発色性の良好な画像を与えること、耐光性、耐水性等の堅牢性に優れていること、保存安定性に優れていること、目詰まりを生じにくいこと等の性能が要求される。
近年では特に、インクジェットプリンタを写真印刷用途に用いることが多くなり、室内に飾る機会が多くなっている。このような背景から光堅牢性に優れたインクが望まれるところである。
一般に金属錯体染料は光堅牢性に優れており、上記用途への使用は有望視されるところであるが、他方でベタ印刷(100%Dutyの塗りつぶし印刷)など高Dutyで印刷を行った部分に金属光沢を発生する現象(以下、「ブロンズ現象」という)が起こりやすい。このような場合、画像全体としての色バランスが不均一となって画像品質を低下させるため、その改善が望まれている。また、近年では写真調に近い味わいを持つ記録媒体として光沢紙が多く採用されるようになっているが、特定の色がブロンズ現象を起こすことにより印刷物表面での光沢感にバラツキが生じ、画像の味わいを著しく損ねてしまうことから、画像全体の光沢感を保つ観点からも、その改善が強く望まれるところである。
また、記録像の耐水性が向上し、良好な記録像濃度及び画質がえられる水性インクに関し、特に黒色系インクの場合に顕著な画像のブロンズ現象を防止できる水性インクであって、少なくとも水溶性染料と水と、塩基性アミノ酸を含有することを特徴とする水性インクが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−228810号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記のような事情を考慮してなされたものであって、その目的とするところは、印刷物堅牢性(主に耐光性性)に優れ、ブロンズ現象の点で改善されたインク組成物を提供すること、それを用いたインクジェット記録方法及び該記録方法によって記録された記録物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
インクジェット記録用インク組成物において、金属錯体染料等の水に対する溶解性の乏しい染料を用いた場合などにおいて、酸性度の強い記録媒体に印刷を行うと、いわゆるブロンズ化現象が起こることが知られている。
基本的にブロンズ化現象は紙表面でインク組成物が乾燥することによる、染料の結晶化が原因とされ、染料溶解性向上を目的に尿素等の溶解助剤を添加することにより、ブロンズ緩和が行われている。
しかし、残念ながら、本発明者らの種々の調査・研究の結果から、上記に記載されているような対策を用いても、本発明の課題とするところのC.I.ダイレクトイエロー98を用いたインク組成物においては、ブロンズ現象の解消・緩和にはなんら効果がないことが判明した。
本発明者らは、C.I.ダイレクトイエロー98を用いたインク組成物のブロンズ現象の防止策等について更なる調査・研究を続けた結果、インク組成物にピラゾール系化合物を添加したところ、ブロンズ現象に改善が見られることを見いだし、本発明を完成したものである。
【0008】
1.本発明に係るインク組成物は、少なくとも、C.I.ダイレクトイエロー98とピラゾール系化合物を含んでなることを特徴とする。
【0009】
2.本発明に係るインク組成物は、前記1に記載のインク組成物において、ピラゾール系化合物をインク組成物全量に対して0.1〜10重量%含んでなることを特徴とする。
【0010】
3.本発明に係るインク組成物は、上記1〜2のいずれかに記載のインク組成物において、前記C.I.ダイレクトイエロー98と、前記ピラゾール系化合物の含有比率が、1:0.5〜1:10の範囲であることを特徴とする。
【0011】
4.本発明に係るインク組成物は、前記1〜3に記載のインク組成物において、ピラゾール系化合物が、ピラゾールであることを特徴とする。
【0012】
5.本発明に係るインク組成物は、上記1〜4のいずれかに記載のインク組成物において、更に、ノニオン系界面活性剤を含んでなることを特徴とする。
【0013】
6.本発明に係るインク組成物は、前記5に記載のノニオン系界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤であることを特徴とする。
【0014】
7.本発明に係るインク組成物は、前記5または6に記載のノニオン系界面活性剤をインク組成物全量に対して0.1〜5重量%含んでなることを特徴とする。
【0015】
8.本発明に係るインク組成物は、上記1〜7のいずれかに記載のインク組成物において、更に、浸透促進剤を含んでなることを特徴とする。
【0016】
9.本発明に係るインク組成物は、前記8に記載の浸透促進剤が、グリコールエーテルであることを特徴とする。
【0017】
10.本発明に係るインク組成物は、上記1〜9のいずれかに記載のインク組成物において、20℃におけるインク組成物のpHが、8.0〜10.5であることを特徴とする。
【0018】
11.本発明に係るインク組成物は、インクジェット記録方法において用いられる1〜10のいずれか一項に記載のインク組成物であることを特徴とする。
【0019】
12.本発明に係るインク組成物は、前記11に記載のインクジェット記録方法が、電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法であることを特徴とする。
【0020】
13.本発明に係るインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として前記1〜12のいずれか一項に記載のインク組成物を使用することを特徴とする。
【0021】
14.本発明に係る記録方法は、前記13に記載の記録媒体が光沢系記録媒体であることを特徴とする。
【0022】
15.本発明に係る記録物は、前記1〜12のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて記録されたことを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明のインク組成物は、水又は、水と水溶性有機溶剤からなる水性媒体中に、少なくともC.I.ダイレクトイエロー98とピラゾール系化合物を含有し、必要に応じ、保湿剤、粘度調整剤、pH調整剤やその他の添加剤を含んでなることができる。
【0024】
本発明のインク組成物で使用される染料は、少なくともC.I.ダイレクトイエロー98を含んでなり、ブロンズ解消に格段の改善効果が得られるものである。
染料は、C.I.ダイレクトイエロー98を少なくとも含むが、発色性(色濃度や色相)の調整のため他の染料を併用して用いることもできる。
【0025】
一般に、金属錯体染料を含有したインク組成物を用いてインクジェット専用記録媒体(特に光沢系記録媒体)等にベタ印刷した場合に、ブロンズ現象が見られることがある。金属錯体染料は一般に紙上での凝集力が強く、結果高い印刷物堅牢性(特に耐光性)を示すと同時に、同様の理由で、紙上でのブロンズ現象が強くなる傾向がある。
本発明におけるC.I.ダイレクトイエロー98を少なくとも含むインク組成物に対し、ブロンズ現象がなく、高画質なインクジェット記録物を得るためには、更には、高い印刷物堅牢性を示すインクジェット記録物を得るためには、ピラゾール系化合物を含有せしめることにより達成することができる。
【0026】
C.I.ダイレクトイエロー98を含む染料の含有量は、併用される他の染料の種類、溶媒成分の種類等により決められるが、インク組成物全重量に対し、0.1〜10重量%、好ましくは、0.5〜5重量%の範囲である。0.1重量%より少ない場合には、記録媒体上での発色性又は画像濃度が確保できないという問題があり、10重量%より多い場合には、インク組成物の粘度調整が困難となったり吐出信頼性や目詰まり性等の特性が確保できないという問題がある。
【0027】
本発明のインク組成物は、C.I.ダイレクトイエロー98を含有したインク組成物を用いてベタ印刷した場合に見られるブロンズ現象を弱める、もしくは無くするために、ピラゾール系化合物を少なくとも1種含有する。
【0028】
本発明で使用されるピラゾール系化合物としては、分子構造中にピラゾールの構造を有する化合物あればいかなるものでも良い。
具体的には、ピラゾール、N−メチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−メチルピラゾール等が挙げられる。
【0029】
これらのピラゾール系化合物の含有量は、ピラゾール系化合物の種類、溶媒成分の種類等により決められるが、インク組成物全重量に対し、0.1〜10重量%、好ましくは、0.5〜5重量%の範囲である。
【0030】
本発明のインク組成物においては、C.I.ダイレクトイエロー98とピラゾール系化合物の含有比率は、1:0.5〜1:10、より好ましくは1:1〜1:6の範囲であることが好ましい。1:0.5よりもC.I.ダイレクトイエロー98の比率が高い場合には、ピラゾール系化合物によるブロンズ現象の改善効果が十分に得られず、また、1:10よりもピラゾール系化合物の比率が高くなると、目詰まり信頼性及びインク組成物が接する各種部材との耐材料性を悪化させるという問題がある。
【0031】
水性液媒体が酸性であると、染料の溶解性が低下するため、所定の染料量を安定して溶解させるためには、インク組成物のpH(20℃)を8.0以上とすることが好ましい。また、インク組成物が接する各種部材との耐材料性を考慮すると、インク組成物のpHを10.5以下とすることが好ましい。これらの事項をよりよく両立させるためには、インク組成物のpHを8.5〜10.0に調整することがより好ましい。
【0032】
本発明のインク組成物は、さらに蒸気圧が純水よりも小さい水溶性有機溶剤及び/又は糖類から選ばれる保湿剤を含むことができる。
保湿剤を含むことにより、インクジェット記録方式において、水分の蒸発を抑制してインクを保湿することができる。また、水溶性有機溶剤であれば、吐出安定性を向上させたり、インク特性を変化させることなく粘度を容易に変更することができる。
水溶性有機溶剤は、溶質を溶解する能力を持つ媒体を指しており、有機性で蒸気圧が水より小さい水溶性の溶媒から選ばれる。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、アセトニルアセトン等のケトン類、γ−ブチロラクトン、リン酸トリエチル等のエステル類、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、チオジグリコール等が望ましい。また、糖類は、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等が好ましい。
保湿剤は、インク組成物全量に対して5〜50重量%、より好ましくは、5〜30重量%、さらに好ましくは、5〜20重量%の範囲で添加されることが好ましい。5重量%以上であれば、保湿性が得られ、また、50重量%以下であれば、インクジェット記録に用いられる粘度に調整しやすい。
【0033】
また、本発明のインク組成物には、インクの速やかな定着(浸透性)を得ると同時に、1ドットの真円度を保つのに効果的な添加剤として、ノニオン系界面活性剤を含むことが好ましい。
【0034】
本発明に用いられるノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤として、具体的には、サーフィノール465、サーフィノール104、オルフィンSTG(以上、日信化学社製、商品名)等が挙げられる。その添加量は0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜2重量%である。添加量が0.1重量%未満であると、十分な浸透性が得られず、また、5重量%を越えると画像ににじみが発生し、画像品質の低下を招くため好ましくない。
【0035】
さらに、ノニオン系界面活性剤に加えて、浸透促進剤として、グリコールエーテル類を添加することにより、より浸透性が増すとともに、カラー印刷を行った場合の隣合うカラーインクとの境界のブリードが減少し、非常に鮮明な画像を得ることができる。
【0036】
本発明のグリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。その添加量は3〜30重量%、好ましくは5〜15重量%である。添加量が3重量%未満であると、ブリード防止の効果が得られない。また、30重量%を越えると画像ににじみが発生するばかりか、油状分離が起きるためにこれらのグリコールエーテル類の溶解助剤が必要となり、それに伴ってインクの粘度が上昇し、インクジェットヘッドでは吐出が難しくなる。
【0037】
さらに、本発明のインク組成物には、必要に応じて、トリエタノールアミンやアルカリ金属の水酸化物等のpH調整剤、アルギン酸ナトリウム等の水溶性ポリマー、水溶性樹脂、フッ素系界面活性剤、ヒドロトロピー剤としての尿素及びその誘導体、防カビ剤、防錆剤等が添加されてもよい。
【0038】
本発明のインク組成物の調製方法としては、たとえば、各成分を十分混合溶解し、孔径0.8μmのメンブランフィルターで加圧濾過したのち、真空ポンプを用いて脱気処理して調製する方法などがある。
【0039】
次に、上述のインク組成物を用いた本発明の記録方法について説明する。本発明の記録方法はインク組成物を微細孔から液滴として吐出させ、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方式がとりわけ好適に使用できるが、一般の筆記具用、記録計、ペンプロッター等の用途にも使用できることは言うまでもない。
【0040】
インクジェット記録方式としては、従来公知の方式はいずれも使用でき、特に圧電素子の振動を利用して液滴を吐出させる方法(電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法)や熱エネルギーを利用する方法においては優れた画像記録を行うことが可能である。
【0041】
【実施例】
次に、本発明の実施例と比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
なお、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
【0042】
<実施例1〜2>及び<比較例1〜2>
実施例1〜2及び比較例1〜2のインク組成物を表1に示す配合割合で各成分を混合して溶解させ、孔径1μmのメンブランフィルターにて加圧濾過を行なって、インク組成物を調製した。
【0043】
【表1】
なお、表中に示すインク組成物の各成分はインク組成物全量に対する各成分の重量%を示し、残量は水である。
【0044】
上記の実施例1〜2及び比較例1〜2に記載のインク組成物を、インクジェットプリンタPM800C(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、これの専用カートリッジ(イエロー室)に充填して、インクジェット専用記録媒体(フォトプリント紙2:セイコーエプソン株式会社製)に印字し、各評価を行なった。得られた結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
《ブロンズ評価》
上記のカートリッジを用い、1インチ平米当たり1.5〜2.2mgの打ち込み量になるようにベタ印字し得られた印刷物を、以下の判定基準に基づき目視により判定した。
【0047】
A:ブロンズ化現象が全く見られない。
B:ややブロンズ化現象が見られる。
C:ブロンズ化現象が目立つ。
【0048】
《耐光性評価》
上記のカートリッジを用い、OD(Optical Density)が、0.9〜1.1の 範囲に入るように印加Dutyを調整して印刷を行なって得られた印刷物を、Ci−5000(アトラスエレクトリックデバイス社製)を用いて、6日間暴露した。
暴露後、それぞれの印刷物のODを、濃度計(Spectrolino:Gretag社製)を用いて測定し、次式により光学濃度残存率(ROD)を求め、下記判定基準により、評価した。
【0049】
ROD(%)=(D/D0)×100
D:暴露試験後のOD
D0:暴露試験前のOD
(但し、測定条件は、Filter:Red,光源:D50,視野角:2度)
[判定基準]
評価A:RODが80%以上
評価B:RODが70%以上80%未満
評価C:RODが70%未満
【0050】
【発明の効果】
本発明は、以上詳記したとおり、インク組成物の着色剤としてC.I.ダイレクトイエロー98を使用し、ピラゾール系化合物を含有させることにより、該インク組成物を用いて記録したものは、印刷物堅牢性(耐光性)に優れ、ブロンズ現象の生じない画像が得られるという優れた効果を奏する。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an ink composition suitable for inkjet recording, particularly to an ink composition having excellent bronze resistance, an inkjet recording method using the same, and a recorded matter recorded by the recording method.
[0002]
[Prior art]
Ink jet recording is a method in which ink compositions are ejected from fine nozzles as small droplets, and characters and images (hereinafter sometimes simply referred to as “images”) are recorded on the surface of a recording medium. As an ink jet recording method, a method of converting an electric signal into a mechanical signal using an electrostrictive element, intermittently discharging an ink composition stored in a nozzle head portion, and recording a character or an image on a recording medium surface, A portion of the ink composition stored in the nozzle head portion, which is very close to the discharge portion, is rapidly heated to generate bubbles, which are intermittently discharged due to volume expansion due to the bubbles, thereby printing characters and images on the surface of the recording medium. Recording methods and the like have been put to practical use.
[0003]
In addition, as an ink composition for ink jet recording, various dyes are generally dissolved in water or an organic solvent, or a mixture thereof in terms of safety and printing characteristics, but in various characteristics, Stricter conditions are required as compared to ink compositions for writing implements such as fountain pens and ballpoint pens.
[0004]
When a color image is formed using an inkjet recording method, at least a yellow ink, a magenta ink, and a cyan ink are generally used. These inks provide images that are vivid and have good coloring properties, are excellent in light fastness, have excellent fastness such as water resistance, are excellent in storage stability, are unlikely to cause clogging, and the like. Performance is required.
In recent years, in particular, ink jet printers have been frequently used for photo printing, and there are many opportunities to decorate them indoors. From such a background, an ink excellent in light fastness is desired.
In general, metal complex dyes are excellent in light fastness and are expected to be used in the above-mentioned applications. On the other hand, metal complex dyes are used for printing at high duty such as solid printing (fill printing at 100% duty). A phenomenon that generates gloss (hereinafter, referred to as “bronze phenomenon”) is likely to occur. In such a case, the color balance of the entire image becomes non-uniform and the image quality is degraded. In recent years, glossy paper has been widely used as a recording medium having a taste close to a photographic tone.However, a specific color causes a bronze phenomenon, which causes variations in glossiness on the surface of a printed material, resulting in a variation in image quality. Since the taste of the image is significantly impaired, the improvement is strongly desired also from the viewpoint of maintaining the glossiness of the entire image.
In addition, the water resistance of a recorded image is improved, and a water-based ink capable of obtaining a good recorded image density and image quality is provided. An aqueous ink characterized by containing a dye, water and a basic amino acid is known (for example, see Patent Document 1).
[0005]
[Patent Document 1]
JP-A-7-228810
[Problems to be solved by the invention]
Accordingly, the present invention has been made in view of the above circumstances, and has as its object to improve the fastness of printed matter (mainly light fastness) and improve the bronze phenomenon. An object of the present invention is to provide an ink composition, an inkjet recording method using the same, and a recorded matter recorded by the recording method.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In the ink composition for ink jet recording, for example, when a dye having poor solubility in water such as a metal complex dye is used, when printing is performed on a recording medium having a strong acidity, it is known that a so-called bronzing phenomenon occurs. I have.
Basically, the bronzing phenomenon is caused by the crystallization of the dye due to the drying of the ink composition on the paper surface, and the addition of a dissolution aid such as urea to improve the solubility of the dye reduces bronze relaxation. Is being done.
However, unfortunately, based on the results of various investigations and studies by the present inventors, even if the above-described countermeasures are used, C.I. I. It was found that the ink composition using Direct Yellow 98 had no effect on eliminating or alleviating the bronzing phenomenon.
The present inventors have proposed C.I. I. As a result of continuing further investigations and studies on measures to prevent bronzing of the ink composition using Direct Yellow 98, it was found that when a pyrazole-based compound was added to the ink composition, the bronzing phenomenon was improved. The present invention has been completed.
[0008]
1. The ink composition according to the present invention contains at least C.I. I. It is characterized by comprising Direct Yellow 98 and a pyrazole compound.
[0009]
2. The ink composition according to the present invention is characterized in that, in the ink composition described in the above item 1, a pyrazole-based compound is contained in an amount of 0.1 to 10% by weight based on the total amount of the ink composition.
[0010]
3. The ink composition according to the present invention, wherein the C.I. I. The content ratio of Direct Yellow 98 to the pyrazole compound is in the range of 1: 0.5 to 1:10.
[0011]
4. The ink composition according to the present invention is characterized in that, in the ink composition according to any one of the above items 1 to 3, the pyrazole-based compound is a pyrazole.
[0012]
5. The ink composition according to the present invention is characterized in that the ink composition according to any one of the above items 1 to 4, further comprising a nonionic surfactant.
[0013]
6. The ink composition according to the present invention is characterized in that the nonionic surfactant described in 5 above is an acetylene glycol surfactant.
[0014]
7. The ink composition according to the present invention is characterized by comprising the nonionic surfactant described in 5 or 6 above in an amount of 0.1 to 5% by weight based on the total amount of the ink composition.
[0015]
8. The ink composition according to the present invention is characterized in that the ink composition according to any one of the above items 1 to 7, further comprising a penetration enhancer.
[0016]
9. The ink composition according to the present invention is characterized in that the penetration enhancer according to the above item 8 is a glycol ether.
[0017]
10. The ink composition according to the present invention is characterized in that in the ink composition according to any one of the above items 1 to 9, the pH of the ink composition at 20 ° C. is 8.0 to 10.5.
[0018]
11. The ink composition according to the present invention is the ink composition according to any one of 1 to 10, which is used in an inkjet recording method.
[0019]
12. The ink composition according to the present invention is characterized in that the ink jet recording method described in 11 above is a recording method using an ink jet head that forms ink droplets by mechanical deformation of an electrostrictive element.
[0020]
13. The ink jet recording method according to the present invention is an ink jet recording method in which droplets of an ink composition are ejected, and the droplets are attached to a recording medium to perform recording. A feature is that the ink composition according to any one of the first to third aspects is used.
[0021]
14. The recording method according to the present invention is characterized in that the recording medium described in 13 is a glossy recording medium.
[0022]
15. A recorded matter according to the present invention is characterized by being recorded using the ink composition according to any one of the above items 1 to 12.
[0023]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The ink composition of the present invention contains at least C.I. in water or an aqueous medium comprising water and a water-soluble organic solvent. I. It contains Direct Yellow 98 and a pyrazole compound, and may contain a humectant, a viscosity adjuster, a pH adjuster, and other additives as necessary.
[0024]
The dye used in the ink composition of the present invention contains at least C.I. I. Direct Yellow 98 is included, and a remarkable improvement in bronzing can be obtained.
The dye is C.I. I. It contains at least Direct Yellow 98, but can also be used in combination with other dyes for adjusting the color developability (color density and hue).
[0025]
In general, when a solid printing is performed on a recording medium exclusively for inkjet (particularly a glossy recording medium) using an ink composition containing a metal complex dye, a bronzing phenomenon may be observed. Metal complex dyes generally have a strong cohesive force on paper, resulting in high print fastness (especially light fastness), and for the same reason, tend to have a strong bronze phenomenon on paper.
In the present invention, C.I. I. With respect to an ink composition containing at least Direct Yellow 98, a pyrazole-based compound is used in order to obtain a high-quality ink-jet recorded matter free of bronzing phenomenon and further to obtain an ink-jet recorded matter exhibiting high print fastness. Can be achieved.
[0026]
C. I. The content of the dye containing Direct Yellow 98 is determined depending on the type of the other dye used in combination, the type of the solvent component, and the like, and is 0.1 to 10% by weight, preferably 0 to 10% by weight, based on the total weight of the ink composition. The range is from 0.5 to 5% by weight. If the amount is less than 0.1% by weight, there is a problem that the coloring property or the image density on the recording medium cannot be ensured. If the amount is more than 10% by weight, it becomes difficult to adjust the viscosity of the ink composition or to discharge. There is a problem that characteristics such as reliability and clogging properties cannot be secured.
[0027]
The ink composition of the present invention comprises C.I. I. In order to reduce or eliminate the bronzing phenomenon observed when solid printing is performed using the ink composition containing Direct Yellow 98, at least one pyrazole-based compound is contained.
[0028]
The pyrazole-based compound used in the present invention may be any compound as long as it has a pyrazole structure in the molecular structure.
Specific examples include pyrazole, N-methylpyrazole, 3-methylpyrazole, 4-methylpyrazole and the like.
[0029]
The content of these pyrazole-based compounds is determined by the type of the pyrazole-based compound, the type of the solvent component, and the like, but is 0.1 to 10% by weight, preferably 0.5 to 5% by weight based on the total weight of the ink composition. % By weight.
[0030]
In the ink composition of the present invention, C.I. I. The content ratio of Direct Yellow 98 to the pyrazole compound is preferably in the range of 1: 0.5 to 1:10, more preferably 1: 1 to 1: 6. 1: 0.5 or more than C.I. I. When the ratio of Direct Yellow 98 is high, the effect of improving the bronzing effect of the pyrazole-based compound cannot be sufficiently obtained, and when the ratio of the pyrazole-based compound is higher than 1:10, clogging reliability and ink composition There is a problem of deteriorating the material resistance with various members in contact with the object.
[0031]
When the aqueous liquid medium is acidic, the solubility of the dye is reduced. Therefore, in order to stably dissolve a predetermined amount of the dye, the pH (20 ° C.) of the ink composition must be 8.0 or more. preferable. In consideration of the material resistance to various members that come into contact with the ink composition, the pH of the ink composition is preferably 10.5 or less. In order to better satisfy these requirements, it is more preferable to adjust the pH of the ink composition to 8.5 to 10.0.
[0032]
The ink composition of the present invention can further include a humectant selected from a water-soluble organic solvent and / or a saccharide having a vapor pressure lower than that of pure water.
By including the humectant, the ink can be kept moist by suppressing evaporation of water in the ink jet recording system. Further, with a water-soluble organic solvent, the viscosity can be easily changed without improving the ejection stability or changing the ink characteristics.
The water-soluble organic solvent refers to a medium capable of dissolving solutes, and is selected from water-soluble organic solvents having a vapor pressure lower than that of water. Specifically, ethylene glycol, propylene glycol, butanediol, pentanediol, 2-butene-1,4-diol, 2-methyl-2,4-pentanediol, glycerin, 1,2,6-hexanetriol, diethylene glycol And polyhydric alcohols such as triethylene glycol and dipropylene glycol, ketones such as acetonylacetone, esters such as γ-butyrolactone and triethyl phosphate, furfuryl alcohol, tetrahydrofurfuryl alcohol, and thiodiglycol. . The saccharide is preferably maltitol, sorbitol, gluconolactone, maltose, or the like.
The humectant is preferably added in the range of 5 to 50% by weight, more preferably 5 to 30% by weight, and still more preferably 5 to 20% by weight based on the total amount of the ink composition. If it is 5% by weight or more, moisture retention is obtained, and if it is 50% by weight or less, it is easy to adjust the viscosity to be used for ink jet recording.
[0033]
In addition, the ink composition of the present invention contains a nonionic surfactant as an additive that is effective in obtaining quick fixing (penetration) of the ink and maintaining the roundness of one dot. Is preferred.
[0034]
The nonionic surfactant used in the present invention includes, for example, an acetylene glycol surfactant. Specific examples of the acetylene glycol-based surfactant include Surfynol 465, Surfynol 104, and Olfin STG (trade names, manufactured by Nissin Chemical Co., Ltd.). The addition amount is 0.1 to 5% by weight, preferably 0.5 to 2% by weight. If the addition amount is less than 0.1% by weight, sufficient permeability cannot be obtained, and if it exceeds 5% by weight, bleeding occurs in the image, and the image quality is deteriorated, which is not preferable.
[0035]
Furthermore, in addition to nonionic surfactants, the addition of glycol ethers as a penetration enhancer increases penetration and reduces bleeding at the border between adjacent color inks when color printing is performed. Thus, a very clear image can be obtained.
[0036]
As the glycol ethers of the present invention, ethylene glycol monobutyl ether, diethylene glycol monobutyl ether, triethylene glycol monoethyl ether, propylene glycol monomethyl ether, dipropylene glycol monoethyl ether, propylene glycol monobutyl ether, dipropylene glycol monobutyl ether, triethylene Glycol monobutyl ether and the like. The addition amount is 3 to 30% by weight, preferably 5 to 15% by weight. If the amount is less than 3% by weight, the effect of preventing bleeding cannot be obtained. On the other hand, if the content exceeds 30% by weight, not only bleeding of the image occurs but also oil separation occurs, so that a dissolving aid for these glycol ethers is required, and the viscosity of the ink is increased accordingly. Becomes difficult.
[0037]
Further, the ink composition of the present invention, if necessary, a pH adjuster such as triethanolamine or an alkali metal hydroxide, a water-soluble polymer such as sodium alginate, a water-soluble resin, a fluorine-based surfactant, Urea and its derivatives as a hydrotroping agent, a fungicide, a rust preventive, and the like may be added.
[0038]
Examples of the method for preparing the ink composition of the present invention include, for example, a method of mixing and dissolving each component sufficiently, filtering the mixture under pressure with a membrane filter having a pore size of 0.8 μm, and then performing degassing treatment using a vacuum pump. There is.
[0039]
Next, a recording method of the present invention using the above-described ink composition will be described. In the recording method of the present invention, an ink jet recording method in which the ink composition is ejected as droplets from micropores and the droplets are attached to a recording medium to perform recording is particularly preferably used. Needless to say, it can also be used for applications such as pen plotters.
[0040]
As the ink jet recording method, any of the conventionally known methods can be used. In particular, a method of ejecting liquid droplets by using the vibration of a piezoelectric element (using an ink jet head for forming ink droplets by mechanical deformation of an electrostrictive element). In the recording method) and the method using thermal energy, excellent image recording can be performed.
[0041]
【Example】
Next, the present invention will be specifically described with reference to Examples and Comparative Examples of the present invention.
The present invention is not limited by the following embodiments.
[0042]
<Examples 1-2> and <Comparative Examples 1-2>
The ink compositions of Examples 1 and 2 and Comparative Examples 1 and 2 were mixed and dissolved at the compounding ratio shown in Table 1, and pressure-filtered with a membrane filter having a pore size of 1 μm to obtain an ink composition. Prepared.
[0043]
[Table 1]
In addition, each component of the ink composition shown in the table indicates the weight% of each component with respect to the total amount of the ink composition, and the remaining amount is water.
[0044]
The ink compositions described in Examples 1 and 2 and Comparative Examples 1 and 2 were filled in a special cartridge (yellow chamber) using an ink jet printer PM800C (manufactured by Seiko Epson Corporation), and the ink composition was used for ink jet printing. Printing was performed on a recording medium (photo print paper 2: manufactured by Seiko Epson Corporation), and each evaluation was performed. Table 2 shows the obtained results.
[0045]
[Table 2]
[0046]
《Bronze evaluation》
Using the above-mentioned cartridge, a printed matter obtained by performing solid printing so as to give an ejection amount of 1.5 to 2.2 mg per square inch was visually determined based on the following criteria.
[0047]
A: No bronzing phenomenon is observed.
B: A slight bronzing phenomenon is observed.
C: The bronzing phenomenon is conspicuous.
[0048]
《Evaluation of light resistance》
Using the above-described cartridge, the printed matter obtained by performing printing by adjusting the applied duty so that the OD (Optical Density) is in the range of 0.9 to 1.1 is obtained by using a Ci-5000 (Atlas Electric Devices Co., Ltd.). For 6 days.
After the exposure, the OD of each printed matter was measured using a densitometer (Spectrolino: manufactured by Gretag), and the residual optical density (ROD) was obtained by the following formula, and evaluated according to the following criteria.
[0049]
ROD (%) = (D / D 0 ) × 100
D: OD after exposure test
D 0 : OD before exposure test
(However, measurement conditions are Filter: Red, light source: D50, viewing angle: 2 degrees)
[Judgment criteria]
Evaluation A: ROD is 80% or more Evaluation B: ROD is 70% or more and less than 80% Evaluation C: ROD is less than 70%
【The invention's effect】
As described in detail above, the present invention provides C.I. I. By using Direct Yellow 98 and containing a pyrazole-based compound, those recorded using the ink composition are excellent in print fastness (light fastness) and are excellent in that an image free of bronzing can be obtained. It works.