【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オフセット印刷機における圧胴汚れを防止する方法に関するものであり、さらに詳しくは、オフセット印刷機の圧胴に対して特定の材料を用いて表面処理することにより、簡単な作業で、かつ圧胴汚れを持続して防止することのできるオフセット印刷機における圧胴汚れを防止する方法に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
オフセット印刷機は、平版の印刷で、版胴に巻装された印刷版上のインキ画像を一度ゴム胴面に転写し、紙その他の被印刷物をゴム胴と圧胴の間に通して、ゴム胴上の転写像をさらに該紙その他の被印刷物に転写し、印刷物を連続して印刷するための印刷機であり、版胴、ゴム胴（ブランケット胴）、圧胴の３胴の組み合わせによって構成されている。平版印刷の特徴として、印刷版面に水分を与えるための湿し装置が付設されている。オフセット印刷機では、ゴム胴が介在するため、画像の伸縮、プレ・ギア目などの問題が起こりがちで、胴張りの選定には細心の注意を要し、歯車は高い精度を要するものである。一方、これらに対し版胴とゴム胴にあるまくらは重要な役割を持っている。
【０００３】
オフセット印刷においては、通常、印刷版ごとに印刷枚数が異なるとともに印刷される用紙サイズも異なる場合が往々にしてあり、一定枚数を印刷した後、印刷版の交換をする必要がある。一般的に、版胴には一定サイズの印刷版が巻装され、印刷が行われるが、直前の印刷における用紙サイズが大きく、次の印刷が小さい場合、用紙サイズの差分に相当する圧胴表面では印刷版の非画線部に付着したインキがゴム胴、圧胴へと転移し、ついには圧胴表面にインキが堆積されることなる。さらに、インキの堆積された状態の圧胴のまま、大きな印刷用紙を用いて印刷する場合、圧胴表面に堆積されたインキが印刷用紙の非印刷面に逆転写し、印刷品質に多大な悪影響を及ぼすことになる。
【０００４】
このような問題を未然に防ぐために、通常、印刷用紙のサイズを変更するたびに圧胴表面を清拭し、圧胴表面に付着されたインキの除去作業が行われている。また、除去作業には、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの有機溶剤を用いて清拭するなど、作業環境上問題となっている。
【０００５】
このような問題の解決のために、従来より、種々の提案がなされている。例えば、圧胴に対して表面処理するものとして、離型性シリコーン、フッ素樹脂などによる離型処理（例えば、特許文献１参照。）、シリコン系樹脂の被覆（例えば、特許文献２参照。）、フッソ系樹脂、シリコーン樹脂の被覆、フッ化黒鉛の分散メッキの被覆（例えば、特許文献３参照。）、などが挙げられる。しかし、これらの公報では、圧胴表面への処理が離型性を備えた樹脂類を圧胴表面に塗布し、高温硬化処理して被覆層を形成するなど、予め圧胴を取り外す必要があり、時間と作業性に問題があり、また被覆層の耐久性においても十分とはいえず未だ改善の余地があった。
【０００６】
また、転写胴クリーニング装置が転写胴（ブランケット胴）に付設され、該装置によって供給されたクリーニング液を転写胴から圧胴に転写してクリーニングするという方法（例えば、特許文献４参照。）、圧胴下部に設置された清拭用の布をロール状巻いた送りロールにより圧胴を洗浄する方法（例えば、特許文献５参照。）、圧胴の外周面に圧接して設けられた当接部材（ローラー）から構成された装置であり、該ローラーが親油性の高い素材で構成され、該ローラーの駆動によって圧胴汚れを除去する方法（例えば、特許文献６参照。）、印刷胴（圧胴など）の外周面に洗浄液噴射ノズルを備えた洗浄装置を設置して印刷胴を洗浄する方法（例えば、特許文献７参照。）、などが挙げられる。しかし、これらの公報では、圧胴の洗浄装置を新たに取り付ける必要があり、オフセット印刷機の余剰スペースを確保しなければならず、また保守点検など経済的にも負担を要することから多岐にわたって配慮しなければならず、多くの問題があった。
【０００７】
【特許文献１】
特開昭５０−５９１１１号公報
【特許文献２】
特開昭６２−９４３９２号公報
【特許文献３】
特開平１−１３９２９７号公報
【特許文献４】
特開昭５７−８００６２号公報
【特許文献５】
特開昭６４−３４７４２号公報
【特許文献６】
特開平３−７５１５０号公報
【特許文献７】
特開平１−７０６４１号公報
【特許文献８】
特開昭５７−５１７９５号公報
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を解決し、簡単な作業で、かつ圧胴汚れを持続して防止することのできるオフセット印刷機における圧胴よごれを防止する方法を提供するものである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記に鑑み鋭意検討した結果、本発明のオフセット印刷機における圧胴汚れを防止する方法を発明するに至った。
【００１０】
すなわち、本発明のオフセット印刷機における圧胴汚れを防止する方法は、ブランケット胴に付着された残インキが圧胴表面に転写する圧胴汚れに対して、圧胴表面にポリエーテル系合成油を塗布して親水化処理することにより残インキの圧胴への転写を防止することを特徴とするものである。
【００１１】
また、本発明のオフセット印刷機における圧胴汚れを防止する方法は、ブランケット胴に付着された残インキが圧胴表面に転写する圧胴汚れに対して、圧胴表面にポリエーテル系合成油および親水性樹脂からなる混合物を被覆して親水化処理することにより残インキの圧胴への転写を防止することを特徴とするものである。
【００１２】
また、上記発明において、親水性樹脂としては、アラビアゴム、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースから選ばれる１種以上であることが好ましい。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のオフセット印刷機における圧胴汚れを防止する方法について、詳細に説明する。
【００１４】
本発明は、オフセット印刷機における圧胴汚れを圧胴表面に特定の材料を用いて表面処理することにより、印刷胴からブランケット胴に転移し、圧胴へと転写されるインキによる圧胴汚れを圧胴表面の撥油化により防止するものである。
【００１５】
本発明は、印刷版から転移し、ブランケット胴に付着された残インキが圧胴表面に転写するのを、圧胴表面にポリエーテル系合成油を塗布して圧胴表面を親水化処理することにより残インキの圧胴表面への転写を防止するものである。
【００１６】
一般にオフセット印刷機における圧胴は、その表面がクロムメッキ処理されており、印刷版の非画線部に付着された残インキは、ブランケット胴に転移し、容易に圧胴表面へと転写する。ブランケット胴に付着された残インキは、圧胴表面に転写され、連続印刷では圧胴表面の同一箇所に堆積されることで、視覚可能なまで圧胴汚れとして現れてくる。圧胴表面に堆積されたインキは、印刷サイズを替えた場合に、印刷用紙の非印刷面（裏面）に転写して折角の印刷物も不良品となってしまう。
【００１７】
本発明においては、圧胴表面にポリエーテル系合成油を塗布することにより、圧胴表面がポリエーテル系合成油からなる親水化層を形成し、撥油効果によってブランケット胴からのインキを付着させることがない。
【００１８】
本発明に用いられるポリエーテル系合成油としては、上記特許文献８に記載されているような該合成油であり、例えば、日本油脂社製の商品名「ニッサン・ユニルーブの５０ＭＢシリーズ」として、水溶性タイプである５０ＭＢ−２、５０ＭＢ−５、５０ＭＢ−１１、５０ＭＢ−２６、５０ＭＢ−７２、５０ＭＢ−１６８などが挙げられる。
【００１９】
ここで、上記ポリエーテル系合成油の塗布に当たっては、予め圧胴表面を洗浄し、布などのウエスにポリエーテル系合成油を含浸させて該圧胴表面に塗布するだけで撥油効果を発揮する。
【００２０】
本発明において、ポリエーテル系合成油の塗布量（乾燥固形分）としては、０．００５〜０．０５ｇ／ｍ２であり、好ましくは０．０１〜０．０３ｇ／ｍ２である。ここで、０．００５ｇ／ｍ２未満では、親水化の効果がなく、また０．０５ｇ／ｍ２を超えて多いとベタついて印刷物に悪影響を及ぼすことから好ましくない。
【００２１】
また、本発明は、印刷版から転移し、ブランケット胴に付着された残インキが圧胴表面に転写するのを、圧胴表面にポリエーテル系合成油および親水性樹脂を被覆して圧胴表面を親水化処理することにより残インキの圧胴表面への転写を防止するものである。
【００２２】
上記発明におけるポリエーテル系合成油と親水性樹脂との混合物を用いて圧胴表面に被覆した場合、より一層圧胴汚れを防止する効果がある。これは、親水性樹脂による保水性被膜の形成とともに、ポリエーテル系合成油による水分保持能力との相乗効果が期待される。
【００２３】
本発明においては、圧胴表面にポリエーテｊＳル系合成油および親水性樹脂を被覆することにより、圧胴表面に親水性樹脂の被膜層を形成し、撥油効果によってブランケット胴からのインキを付着させることがない。
【００２４】
本発明に用いられる親水性高分子としては、アラビアゴム、カゼイン、グアーガム、ゼラチンなどの天然高分子；カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロースなどのセルロース誘導体；ポリビニルアルコール、イソブチレン無水マレイン酸共重合物、ポリビニルメチルエーテル などの合成高分子；などが挙げられ、その中でもアラビアゴム、カゼイン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースが好ましく、アラビアゴムがさらに好ましい。
【００２５】
特に好ましく用いられるアラビアゴムは、ゴムとしては粘度が低く、しかも金属とよく接着し、保水性の優れた被膜を形成する。この接着しやすいという理由は、アラビアゴムが分子中に遊離したカルボキシル基を有することに起因するもので、このカルボキシル基によってアラビアゴムと金属である圧胴表面とかたく結合するものと考えられる。
【００２６】
ここで、上記親水性樹脂の被覆に当たっては、予め圧胴表面を洗浄し、布などのウエスに親水性樹脂を溶解させた水溶液を含浸させて該圧胴表面に塗布し、乾燥させ、圧胴表面に親水性樹脂の被覆層を形成することにより、圧胴汚れの防止効果を発揮する。
【００２７】
本発明において、親水性樹脂の被覆層の厚さとしては、１０〜１００μｍであり、好ましくは２０〜６０μｍである。ここで、１０μｍ未満では、親水化の効果がなく、また１００μｍを超えて多いと被覆層が剥がれやすくなることから好ましくない。
【００２８】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明の効果を詳細に説明するが、これによって本発明が何ら限定されるものではない。なお、実施例中の％は質量％を示す。
【００２９】
実施例１
印刷機として菊判、４色刷、クロムメッキ処理された圧胴を備えたオフセット印刷機を用いた。圧胴は、予めインプレッションクリーナー（大日精化社製）を含浸させたウエスを用いて圧胴表面に付着された油膜を清拭して除去し、続いて、ポリエーテル系合成油として、ニッサン・ユニルーブ５０Ｂ−２（日本油脂社製）をウエスに含浸させて圧胴表面に塗布量０．０２ｇ／ｍ２となるように均一に塗布して湿潤膜を形成させた。この表面処理された圧胴を備えたオフセット印刷機により、菊半サイズ（４６９ｍｍ×６３６ｍｍ）の印刷用紙を用いて５万枚の印刷を行った。次に、印刷版を交換し、菊判サイズ（９３９ｍｍ×６３６ｍｍ）の印刷用紙を用いて５万枚の印刷を行い、圧胴汚れおよび印刷物を観察した。
【００３０】
実施例２
実施例１で用いたポリエーテル系合成油をニッサン・ユニルーブ５０Ｂ−２６（日本油脂社製）に代えた以外は、実施例１と同様にして印刷し、圧胴汚れおよび印刷物を観察した。
【００３１】
実施例３
実施例１で用いたポリエーテル系合成油と親水性樹脂としてアラビアゴム水溶液とを１：２の混合割合とする１０％水溶液として、圧胴表面に被覆し、乾燥させて２０μｍの被覆層を形成させた以外は、実施例１と同様にして印刷し、圧胴汚れおよび印刷物を観察した。
【００３２】
実施例４
実施例３で用いたアラビアゴムをカルボキシメチルセルロース（ＣＭＣ）水溶液に代えた以外は、実施例３と同様にして印刷し、圧胴汚れおよび印刷物を観察した。
【００３３】
比較例１
印刷機としてＡ倍判、４色刷、クロムメッキ処理された圧胴を備えたオフセット印刷機を用いた。圧胴は、予めインプレッションクリーナー（大日精化社製）を含浸させたウエスを用いて圧胴表面に付着された油膜を清拭して除去し、この油膜を除去した以外は表面に塗布処理をしていない圧胴を備えたオフセット印刷機により、菊半サイズ（４６９ｍｍ×６３６ｍｍ）の印刷用紙を用いて５万枚の印刷を行った。次に、印刷版を交換し、菊判サイズ（９３９ｍｍ×６３６ｍｍ）の印刷用紙を用いて５万枚の印刷を行い、圧胴汚れおよび印刷物を観察した。
【００３４】
上記実施例１〜４および比較例１によりオフセット印刷機の圧胴に表面処理した後、これを用いて印刷を行い、下記の評価方法により圧胴表面および印刷物を観察し、その結果を表１に湿した。
【００３５】
＜圧胴汚れ＞
印刷用紙のサイズを変えて２回目の印刷を行った後、圧胴表面の汚れを目視観察した。○；圧胴汚れが全くない、△；ごくわずかに汚れが観察されるが支障なし、×；圧胴汚れが目立つ。
【００３６】
＜印刷物＞
印刷用紙のサイズを変えて２回目の印刷を行った後、印刷物の印刷面とその裏面を目視観察した。○；印刷面とその裏面ともに汚れなし、△；印刷物裏面にごくわずかに汚れあるが支障なし、×；印刷面とその裏面ともに汚れが目立つ。
【００３７】
【表１】
【００３８】
評価；
実施例１〜２では、それぞれポリエーテル系合成油の種類を代え、実施例３では実施例１のポリエーテル合成油にアラビアゴムを混合、実施例４では実施例２のポリエーテル合成油にＣＭＣを混合して圧胴表面に塗布または被覆処理したものであり、圧胴および印刷物への汚れがなかった。特に、実施例３および４のポリエーテル系合成油および親水性樹脂を用いたものでは、５万枚の印刷でも被覆層が安定しており、水分保持能力に優れていた。一方、比較例１では、圧胴表面を処理しなかった場合であるが、圧胴および印刷物とも汚れが顕著であり、好ましくなかった。
【００３９】
【発明の効果】
上述したとおり、本発明は、オフセット印刷機の圧胴表面を簡便な作業により親水化処理することで、圧胴表面への汚れを防止することができ、印刷作業の効率化が図れる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for preventing dirt on an impression cylinder in an offset printing press, and more specifically, by performing a surface treatment using a specific material on an impression cylinder of an offset printing press, with a simple operation, The present invention also relates to a method for preventing impression cylinder stains in an offset printing press capable of continuously preventing impression cylinder stains.
[0002]
[Prior art]
Offset printing presses use lithographic printing to temporarily transfer the ink image on the printing plate wound around the plate cylinder to the blanket cylinder surface, and then pass paper or other printed material between the blanket cylinder and impression cylinder to release the rubber image. A printing machine for transferring a transfer image on a cylinder further to the paper or other printing material and continuously printing the printed material, and is configured by a combination of a plate cylinder, a rubber cylinder (blanket cylinder), and an impression cylinder. Have been. As a feature of lithographic printing, a dampening device for giving moisture to the printing plate surface is additionally provided. In an offset printing press, problems such as expansion and contraction of images and pre-gearing tend to occur due to the presence of a blanket cylinder. Care must be taken in selecting the body tension, and gears require high precision. . On the other hand, the pillows on the plate cylinder and blanket cylinder play an important role.
[0003]
In offset printing, the number of prints and the size of paper to be printed are often different for each printing plate, and it is necessary to replace the printing plate after printing a certain number of sheets. Generally, a printing plate of a certain size is wound around the plate cylinder and printing is performed. When the paper size in the previous printing is large and the next printing is small, the impression cylinder surface corresponding to the difference in the paper size is used. In this case, the ink adhering to the non-image area of the printing plate is transferred to the blanket cylinder and the impression cylinder, and eventually the ink is deposited on the surface of the impression cylinder. Furthermore, when printing on a large printing paper with the impression cylinder in which ink has been deposited, the ink accumulated on the impression cylinder surface is reversely transferred to the non-printing surface of the printing paper, which has a great adverse effect on print quality. Will have an effect.
[0004]
In order to prevent such a problem, usually, the surface of the impression cylinder is wiped every time the size of the printing paper is changed to remove the ink adhered to the surface of the impression cylinder. Moreover, the removal operation has a problem in the work environment, such as wiping using an organic solvent such as toluene, xylene, methyl ethyl ketone, and methyl isobutyl ketone.
[0005]
Various proposals have hitherto been made to solve such a problem. For example, as a surface treatment for the impression cylinder, release treatment with release silicone, fluororesin or the like (for example, see Patent Document 1), coating with a silicon-based resin (for example, see Patent Document 2), Coating with a fluorine resin, silicone resin, and dispersion plating of fluorinated graphite (for example, see Patent Document 3). However, in these publications, it is necessary to remove the impression cylinder in advance by applying a resin having releasability to the impression cylinder surface and applying a high-temperature curing treatment to form a coating layer on the impression cylinder surface. However, there is a problem in time and workability, and the durability of the coating layer is not sufficient, and there is still room for improvement.
[0006]
Further, a transfer cylinder cleaning device is attached to the transfer cylinder (blanket cylinder), and a cleaning liquid supplied by the transfer device is transferred from the transfer cylinder to the impression cylinder for cleaning (for example, see Patent Document 4). A method of cleaning an impression cylinder by a feed roll in which a wiping cloth installed in a lower part of the cylinder is wound in a roll shape (for example, see Patent Document 5), a contact member provided in pressure contact with an outer peripheral surface of the impression cylinder. (Roller), a method in which the roller is made of a highly lipophilic material, and a method of removing dirt on the impression cylinder by driving the roller (for example, see Patent Document 6). (For example, see Patent Literature 7). However, in these publications, it is necessary to newly install a cleaning device for the impression cylinder, it is necessary to secure an extra space for the offset printing press, and it is economically burdensome to perform maintenance and inspection. And had many problems.
[0007]
[Patent Document 1]
JP-A-50-59111 [Patent Document 2]
JP-A-62-94392 [Patent Document 3]
JP-A-1-139297 [Patent Document 4]
JP-A-57-80062 [Patent Document 5]
JP-A-64-34742 [Patent Document 6]
JP-A-3-75150 [Patent Document 7]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 1-70641 [Patent Document 8]
JP-A-57-51795
[Problems to be solved by the invention]
SUMMARY OF THE INVENTION An object of the present invention is to solve the above-mentioned problems and to provide a method for preventing impression cylinder dirt in an offset printing press which can easily prevent impression cylinder contamination with a simple operation.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies in view of the above, the present inventors have invented a method for preventing impression cylinder contamination in an offset printing press of the present invention.
[0010]
That is, the method for preventing impression cylinder stains in an offset printing press of the present invention employs a polyether-based synthetic oil on the impression cylinder surface against impression cylinder stains in which residual ink attached to the blanket cylinder is transferred to the impression cylinder surface. It is characterized in that transfer of the remaining ink to the impression cylinder is prevented by applying and hydrophilizing.
[0011]
Further, the method for preventing impression cylinder stains in an offset printing machine of the present invention is directed to a method for preventing impression cylinder stains in which residual ink attached to a blanket cylinder is transferred to the impression cylinder surface. The method is characterized in that transfer of the remaining ink to the impression cylinder is prevented by coating the mixture comprising a hydrophilic resin and performing a hydrophilic treatment.
[0012]
In the above invention, the hydrophilic resin is preferably at least one selected from gum arabic, casein, carboxymethylcellulose, and hydroxyethylcellulose.
[0013]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, a method for preventing impression cylinder contamination in the offset printing press of the present invention will be described in detail.
[0014]
According to the present invention, an impression cylinder stain in an offset printing machine is transferred to a blanket cylinder from a printing cylinder by performing a surface treatment on the impression cylinder surface using a specific material, thereby removing the impression cylinder stain due to ink transferred to the impression cylinder. This is prevented by making the surface of the impression cylinder oil-repellent.
[0015]
In the present invention, the transfer of the residual ink attached to the blanket cylinder to the impression cylinder surface after transferring from the printing plate is performed by applying a polyether-based synthetic oil to the impression cylinder surface and hydrophilizing the impression cylinder surface. This prevents the transfer of the remaining ink to the surface of the impression cylinder.
[0016]
In general, the surface of an impression cylinder in an offset printing press is chrome-plated, and the residual ink attached to the non-image area of the printing plate is transferred to a blanket cylinder and easily transferred to the surface of the impression cylinder. The residual ink adhered to the blanket cylinder is transferred to the impression cylinder surface, and is deposited at the same location on the impression cylinder surface in continuous printing, so that the impression appears as impression cylinder stains until it becomes visible. When the printing size is changed, the ink deposited on the surface of the impression cylinder is transferred to the non-printing surface (back surface) of the printing paper, and the printed matter at the angle is also defective.
[0017]
In the present invention, a polyether-based synthetic oil is applied to the surface of the impression cylinder to form a hydrophilized layer composed of the polyether-based synthetic oil on the impression cylinder surface, and the ink from the blanket cylinder is adhered by an oil-repellent effect. Nothing.
[0018]
The polyether-based synthetic oil used in the present invention is such a synthetic oil as described in Patent Document 8 mentioned above. For example, a water-soluble synthetic oil such as Nissan Unilube's 50 MB series manufactured by NOF Corporation Sex types, such as 50 MB-2, 50 MB-5, 50 MB-11, 50 MB-26, 50 MB-72, and 50 MB-168.
[0019]
Here, when applying the polyether-based synthetic oil, the surface of the impression cylinder is washed in advance, and a cloth or other waste cloth is impregnated with the polyether-based synthetic oil and applied to the surface of the impression cylinder to exhibit an oil-repellent effect. I do.
[0020]
In the present invention, the application amount (dry solid content) of the polyether-based synthetic oil is 0.005 to 0.05 g / m 2 , and preferably 0.01 to 0.03 g / m 2 . Here, it is less than 0.005 g / m 2, not desirable since it adversely affects the printed matter sticky with no effect of the hydrophilic and often exceed 0.05 g / m 2.
[0021]
The present invention also relates to a method for controlling the transfer of the residual ink adhered to the blanket cylinder to the impression cylinder surface by transferring from the printing plate to the impression cylinder surface by coating the impression cylinder surface with a polyether-based synthetic oil and a hydrophilic resin. Is subjected to a hydrophilic treatment to prevent the transfer of the residual ink to the surface of the impression cylinder.
[0022]
When the surface of the impression cylinder is coated with the mixture of the polyether-based synthetic oil and the hydrophilic resin in the above invention, there is an effect of further preventing the impression cylinder from being stained. This is expected to have a synergistic effect with the formation of a water-retentive film made of a hydrophilic resin and the water retention ability of a polyether-based synthetic oil.
[0023]
In the present invention, a coating layer of a hydrophilic resin is formed on the surface of the impression cylinder by coating the surface of the impression cylinder with a polyether jS-based synthetic oil and a hydrophilic resin, and the ink from the blanket cylinder adheres due to an oil-repellent effect. I will not let you.
[0024]
Examples of the hydrophilic polymer used in the present invention include natural polymers such as gum arabic, casein, guar gum, and gelatin; celluloses such as carboxymethyl cellulose, hydroxyethyl cellulose, hydroxypropyl cellulose, methyl cellulose, ethyl cellulose, ethyl hydroxyethyl cellulose, and carboxymethyl ethyl cellulose. Derivatives; synthetic polymers such as polyvinyl alcohol, isobutylene maleic anhydride copolymer, and polyvinyl methyl ether; and the like. Among them, gum arabic, casein, carboxymethyl cellulose, and hydroxyethyl cellulose are preferable, and gum arabic is more preferable.
[0025]
Gum arabic, which is particularly preferably used, has a low viscosity as rubber and adheres well to metals to form a film having excellent water retention. The reason that the adhesion is easy is that gum arabic has a free carboxyl group in the molecule, and it is considered that the gum arabic is firmly bonded to the surface of the impression cylinder which is a metal by the carboxyl group.
[0026]
Here, in coating the hydrophilic resin, the surface of the impression cylinder is washed in advance, and a waste such as a cloth is impregnated with an aqueous solution in which the hydrophilic resin is dissolved, applied to the surface of the impression cylinder, dried, and dried. By forming a coating layer of a hydrophilic resin on the surface, the effect of preventing impression cylinder contamination is exhibited.
[0027]
In the present invention, the thickness of the coating layer of the hydrophilic resin is from 10 to 100 μm, preferably from 20 to 60 μm. Here, when the thickness is less than 10 μm, there is no effect of hydrophilization, and when it exceeds 100 μm, the coating layer is easily peeled off, which is not preferable.
[0028]
【Example】
Hereinafter, the effects of the present invention will be described in detail with reference to Examples, but the present invention is not limited thereto. In the examples,% indicates mass%.
[0029]
Example 1
An offset printing press equipped with a chrysanthemum, four-color printing, and a chrome-plated impression cylinder was used as the printing press. The impression cylinder was removed by wiping the oil film adhered to the impression cylinder surface using a waste impregnated with an impression cleaner (manufactured by Dainichi Seika) in advance. Then, as a polyether synthetic oil, Nissan. Unilube 50B-2 (manufactured by NOF CORPORATION) was impregnated into a waste cloth and uniformly applied to the surface of the impression cylinder at a coating amount of 0.02 g / m 2 to form a wet film. Using an offset printing machine equipped with this surface-treated impression cylinder, 50,000 sheets were printed on a chrysanthemum half-size (469 mm × 636 mm) printing paper. Next, the printing plate was replaced, and printing was performed on 50,000 sheets using printing paper of chrysanthemum size (939 mm × 636 mm), and impression cylinder stains and printed matter were observed.
[0030]
Example 2
Printing was performed in the same manner as in Example 1 except that the polyether-based synthetic oil used in Example 1 was changed to Nissan Unilube 50B-26 (manufactured by NOF CORPORATION), and impression cylinder stains and printed matter were observed.
[0031]
Example 3
The polyether-based synthetic oil used in Example 1 and the arabic gum aqueous solution as a hydrophilic resin were coated on the impression cylinder surface as a 10% aqueous solution having a mixing ratio of 1: 2, and dried to form a coating layer of 20 μm. Printing was performed in the same manner as in Example 1 except that the printing was performed, and impression cylinder stains and printed matter were observed.
[0032]
Example 4
Printing was performed in the same manner as in Example 3 except that the gum arabic used in Example 3 was replaced with an aqueous solution of carboxymethyl cellulose (CMC), and impression cylinder stains and printed matter were observed.
[0033]
Comparative Example 1
As the printing press, an A-size, four-color printing, offset printing press equipped with a chrome-plated impression cylinder was used. The impression cylinder was cleaned by removing the oil film adhered to the surface of the impression cylinder using a rag impregnated with an impression cleaner (manufactured by Dainichi Seika) in advance, and the surface was coated except for removing the oil film. 50,000 sheets were printed on a chrysanthemum half-size (469 mm × 636 mm) printing paper by an offset printing machine equipped with an unprinted impression cylinder. Next, the printing plate was replaced, and printing was performed on 50,000 sheets using printing paper of chrysanthemum size (939 mm × 636 mm), and impression cylinder stains and printed matter were observed.
[0034]
After performing surface treatment on the impression cylinder of the offset printing machine according to Examples 1 to 4 and Comparative Example 1, printing was performed using the impression cylinder, and the impression cylinder surface and printed matter were observed by the following evaluation method. Wet.
[0035]
<Imprint cylinder dirt>
After changing the size of the printing paper and performing the second printing, dirt on the impression cylinder surface was visually observed. ；: No impression cylinder dirt, Δ: very slight dirt observed but no problem, ×: impression cylinder dirt is conspicuous.
[0036]
<Printed matter>
After the second printing was performed while changing the size of the printing paper, the printed surface and the back surface of the printed matter were visually observed. ；: No stain on the printed surface and the back surface thereof; △: very slight stain on the back surface of the printed matter but no problem; x; stains on both the printed surface and the back surface are conspicuous.
[0037]
[Table 1]
[0038]
Evaluation;
In Examples 1 and 2, the kind of the polyether synthetic oil was changed. In Example 3, gum arabic was mixed with the polyether synthetic oil of Example 1, and in Example 4, CMC was added to the polyether synthetic oil of Example 2. Was mixed and applied or coated on the impression cylinder surface, and there was no stain on the impression cylinder and printed matter. In particular, in the case of using the polyether-based synthetic oil and the hydrophilic resin of Examples 3 and 4, the coating layer was stable even after printing 50,000 sheets, and was excellent in water retention ability. On the other hand, in Comparative Example 1, the impression cylinder surface was not treated, but both the impression cylinder and the printed matter were remarkably stained, which was not preferable.
[0039]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, the surface of the impression cylinder of the offset printing press is subjected to a hydrophilic treatment by a simple operation, so that the surface of the impression cylinder can be prevented from being stained, and the printing operation can be performed more efficiently.
