以下、本発明の着眼点および基本原理について説明する。
本件発明者は、無線伝送路を含むネットワークにおける伝送データの品質を改善する方法について鋭意研究した結果、V.Jacobsonヘッダ圧縮方式などの既存のヘッダ圧縮方式に代えて、伝送の対象となる圧縮パケットには、この圧縮パケットより先に送信されている非圧縮パケットに対応する伝送情報を用いて得られる差分情報を、圧縮された伝送情報として格納するヘッダ圧縮方式を用いることにより、無線伝送路での伝送データの品質を高めることができることを見出した。
なお、以下の各実施の形態では、データ通信については、図33にてデータの流れDfにより示すように、インターネット上のサーバSinから携帯無線端末装置(ビジュアル端末など)Tmoへの単一方向の伝送についてのみ説明するが、データ通信を行うサーバや端末機器等の通信装置を、それぞれ送信側と受信側の両方の機能を有する構成とすることにより、データを双方向に同時に通信するデータ通信処理が実現できる。なお、上記のようなインターネット上のサーバSinから携帯無線端末装置Tmoへのデータ通信では、ゲートウェイサーバSga(図33(b)参照)がインターネット上のサーバSinからデータを受信する受信処理と、受信したデータを端末機器Tmoへ送信する送信処理とを行い、携帯無線端末装置TmoがゲートウェイサーバSgaからのデータを受信する受信処理を行うこととなる。
また本発明の各実施の形態では、種々のヘッダ情報を含む伝送情報として、IPパケットPipb(図29(d)参照)に相当するRTP/UDP/IPパケットを、そのヘッダ情報を圧縮してPPPプロトコルにより伝送する場合について説明するが、伝送情報及びその伝送プロトコルは、上記RTP/UDP/IPパケット及びPPPプロトコルに限るものではない。
(実施の形態1)
図1ないし図11は本発明の実施の形態1によるデータ伝送方法を説明するための図である。なお、この実施の形態1は請求項1〜9,18〜21,32,33,36,37に対応している。
この実施の形態1のデータ伝送方法は、送信側装置から受信側装置へのデータ伝送をパケット単位で行いつつ、送信側装置では非圧縮パケット及び圧縮パケットを作成して送信し、受信側では送信側装置からのパケットを受信し、受信したパケットを順次復元するデータ伝送方法において、伝送の対象となる圧縮パケットには、これに対応する伝送情報として、該圧縮パケットより先に送信された、該圧縮パケットに最も近い非圧縮パケットに格納されている伝送情報に基づく差分情報を格納するものである。ここで、伝送対象としての圧縮パケットに格納される差分情報は、非圧縮パケットに格納される伝送情報を参照元情報として用いて、該参照元情報から、伝送対象の圧縮パケットにより伝送されるべき伝送情報を減算して得られたものである。
なお、以下の説明では、非圧縮パケットに格納される伝送情報を、非圧縮パケットに対応する伝送情報ともいい、また、圧縮パケットにより伝送されるべき伝送情報を、圧縮パケットに対応する伝送情報ともいう。
図1は、本発明の実施の形態1によるデータ伝送方法を説明するための図であり、該データ伝送方法にて利用される非圧縮パケット(図1(a))及び圧縮パケット(図1(b))のデータ構造を示している。なお、図1では、図30と同様、PPPパケットのデータ構造における、ヘッダ圧縮方式の説明に必要な部分を詳しく示している。
以下詳述すると、上記非圧縮パケットPaは、ヘッダ情報を格納したヘッダ部Hpaと、PPPプロトコルにより伝送される非圧縮情報Irを格納したデータ部Dpaとから構成されている。上記ヘッダ部Hpaにおける情報は、データ部Dpaにおける情報が圧縮されているか否かを示す圧縮/非圧縮識別子Ih1と、この非圧縮パケット自体を識別するためのパケット識別子(ID)Ih2aと、その他のヘッダ情報Ih3とから構成されている。ここで、この非圧縮パケットPaの圧縮/非圧縮識別子Ih1は非圧縮を示している。上記非圧縮情報Irは、該非圧縮パケットにより伝送される伝送情報(D)である。
一方、圧縮パケットPbは、ヘッダ情報を格納したヘッダ部Hpbと、PPPプロトコルにより伝送される圧縮情報Idを格納したデータ部Dpbとから構成されている。上記ヘッダ部Hpbにおける情報は、データ部Dpbにおける情報が圧縮されているか否かを示す圧縮/非圧縮識別子Ih1と、上記参照元情報として用いる伝送情報が格納されている非圧縮パケット(参照パケット)を識別するための参照パケット識別子(ID)Ih2bと、その他のヘッダ情報Ih3とから構成されている。ここで、上記圧縮パケットPbの圧縮/非圧縮識別子Ih1は圧縮を示している。上記圧縮情報Idは、該圧縮パケットPbより以前に伝送された、該圧縮パケットに最も近い非圧縮パケット(参照パケット)に対応する伝送情報(参照元情報)と、該圧縮パケットに対応する伝送情報との差分情報である。
なお、上記その他のヘッダ情報Ih3には、図29(e)に示すCRC符号Icrcが含まれていることは言うまでもない。
図2は、本実施の形態1のデータ伝送方法によりデータ伝送を行うデータ伝送システムにおけるデータ送信装置を説明するためのブロック図である。
このデータ送信装置101は、図33(a)に示すデータ伝送システムCs2におけるゲートウェイサーバSgaに相当するものである。このデータ送信装置101は、インターネットIn側から受信側(携帯無線端末機器Tmo)へ送信される伝送情報を含む第1の送信信号S1を受信し、該伝送情報を受信信号Srcとして出力する受信手段11と、該受信手段11からの伝送情報をPPPプロトコル等の伝送規格に基づいてパケット化して非圧縮パケットPaあるいは圧縮パケットPbを出力する圧縮/非圧縮パケット作成手段12と、該パケット作成手段12により作成されたパケットをW−CDMAなどの方式により第2の送信信号S2として受信側へ送信するパケット送信手段16とを有している。
また、上記データ送信装置101は、受信側から送信される、復元エラーが発生したことを示す復元エラー通知信号Neを受信してエラー通知受信信号Snを出力するエラー発生通知受信手段14と、上記パケット作成手段12にて作成されたパケットの種別を管理するとともに、該管理されているパケット種別情報と上記エラー通知受信信号Snとに基づいて、次に作成するパケットの種別を判定してパケット判定信号Jpを出力する圧縮/非圧縮判定手段13とを有している。ここで、上記判定手段13では、パケット種別の管理は、作成されたパケットの非圧縮/圧縮識別子Ih1を各パケットに対応付けて記録することにより行われる。また、上記判定手段13では、伝送開始後最初に作成するパケットの種別、及び上記エラー通知受信信号Snを受けた直後に作成するパケットの種別が非圧縮となり、それ以外のパケットの種別が圧縮となるよう、パケット種別が判定される。
さらに、上記データ送信装置101は、非圧縮パケットPaに非圧縮情報Irとして格納される伝送情報(D)と、上記非圧縮パケットを識別するためのパケット識別子(ID)Ih2aとを対応付けて送信側参照情報Im1として管理する参照情報管理手段15を有している。なお、上記送信側参照情報Im1は、上記パケット識別子(ID)Ih2aとその値が等しい識別子(ID)と、非圧縮パケットPaに対応する伝送情報(D)と等しい参照元情報(D)から構成されている。この管理手段15は、上記パケット作成手段12にて非圧縮パケットが作成される度に、該作成手段12からの送信側管理制御信号Cm1により、送信側参照情報Im1として記録されている識別子(ID)及び参照元情報(D)を更新する構成となっている。
そして、上記データ送信装置101では、上記圧縮/非圧縮パケット作成手段12により、上記パケット判定信号Jpに基づいて非圧縮パケットPa及び圧縮パケットPbのいずれかが作成されるようになっている。上記非圧縮パケットPaの作成の際には、そのデータ部Dpaには伝送情報(D)が非圧縮情報Irとして格納され、そのヘッダ部Hpaには、パケット識別子Ih2aとして、非圧縮パケットPaを特定する値(ID)が格納される。また、上記圧縮パケットPbの作成の際には、そのデータ部Dpbには、上記参照パケットとしての非圧縮パケットに対応する伝送情報(D)に基づく差分情報(ΔD)が圧縮情報Idとして格納され、そのヘッダ部Hpbには、参照パケット識別子Ih2bとして、上記参照パケットとしての非圧縮パケットPaを特定する値(ID)が格納される。
ここで、上記各圧縮パケットPbに対応する差分情報(ΔD)は、該圧縮パケットに対応する伝送情報と、参照パケットとしての非圧縮パケットに対応する伝送情報との差分情報である。なお、参照パケットとしての非圧縮パケットは、圧縮パケットPbの以前に作成された非圧縮パケットのうちで最後に作成された非圧縮パケットである。
図3は、上記実施の形態1のデータ伝送方法によりデータ伝送を行うデータ伝送システムにおけるデータ受信装置を説明するためのブロック図である。
このデータ受信装置201は、図33(a)に示すデータ伝送システムCs2における携帯無線端末装置Tmoに相当するものである。
このデータ受信装置201は、送信側から第2の送信信号S2として送信されたパケットをW−CDMAなどの方式により受信するパケット受信手段21と、該受信手段21の出力である受信パケットRpを受け、送信途中でエラーが発生したエラーパケットを検出するとともに、正常に送信された受信パケットRpを正常パケットPnoとして出力するエラーパケット検出手段22とを有している。
また、このデータ受信装置201は、該検出手段22からの正常パケットPnoを受け、該パケットPnoに対する復元処理を行って復元情報Irsを出力するとともに、復元エラーが発生したときにはエラー発生信号Seを出力するパケット復元手段23と、該エラー発生信号Seを受け、送信側に復元エラーが発生したことを通知する復元エラー通知信号Neを送信するエラー発生通知送信手段24と、該復元情報Irsである伝送情報(D)を出力信号S3として出力する出力手段26とを有している。
ここで、上記パケット復元手段23では、非圧縮パケットに対する復元処理として、PPPプロトコルなどに基づいて該非圧縮パケットPaのデータ部Dpaから伝送情報(D)を取り出す処理が行われる。また、圧縮パケットに対する復元処理として、PPPプロトコルなどに基づいて圧縮パケットPbのデータ部Dpbから差分情報Idを取り出し、参照パケットとしての非圧縮パケットに対応する伝送情報を参照して、この圧縮パケットに対応する伝送情報を復元する処理が行われる。
また、上記データ受信装置201は、上記復元手段23にて非圧縮パケットPaに対する復元処理が行われたとき、該復元処理の対象となった非圧縮パケットPaにおけるパケット識別子(ID)Ih2a及び伝送情報(D)を対応付けて、受信側参照情報Im2として管理する参照情報管理手段25を有している。なお、上記受信側参照情報Im2は、上記パケット識別子(ID)Ih2aとその値が等しい識別子(ID)と、非圧縮パケットPaに対応する伝送情報(D)と等しい参照元情報(D)から構成されている。この管理手段25は、上記パケット復元手段23にて非圧縮パケットに対する復元処理が行われる度に、該復元手段23からの受信側管理制御信号Cm2により、受信側参照情報Im2として記録されている識別子(ID)及び参照元情報(D)を更新する構成となっている。
そして、このデータ受信装置201では、上記パケット復元手段23により圧縮パケットに対する復元処理が行われる際、この圧縮パケットにおける参照パケット識別子(ID)及び該参照パケットに対応する伝送情報(D)がそれぞれ、参照情報管理手段25に管理されている識別子(ID)及びこれに対応する参照元情報(D)と照合されるようになっている。また上記照合の結果、識別子(ID)同士及び情報(D)同士がともに一致する場合以外には、つまり上記管理手段25に、復元処理の対象となる圧縮パケットの復元処理に必要とされる参照パケットの識別子(ID)及び伝送情報(D)のいずれか一方が蓄積されていないときには、復元エラーが発生したことを示すエラー発生信号Seがパケット復元手段23から上記エラー発生通知送信手段24へ出力される。
次に作用効果について説明する。
図4及び図5は、上記実施の形態1のデータ伝送方法を説明するための図である。図4は、正常伝送状態における送信側から受信側への複数のパケットの流れを示し、図5は、伝送エラーが発生した場合における送信側から受信側への複数のパケットの流れを示している。
ここで伝送情報(D1)〜(D4)は、パケット単位で伝送されるようまとめられた、各パケットに対応する情報であり、この実施の形態1では、伝送情報(D1)は圧縮されずに非圧縮パケットPa(1)により伝送され、伝送情報(D2)〜(D4)は圧縮されて、非圧縮パケットPa(1)に続く圧縮パケットPb(2)〜Pb(4)により順次伝送される。
送信側では、まず、上記非圧縮パケットPa(1)が生成され、該非圧縮パケットPa(1)が受信側に送信される。この際、非圧縮パケットPa(1)のデータ部Dpaには非圧縮情報Irとして伝送情報(D1)が格納され、そのヘッダ部Hpaには非圧縮を示す識別子Ih1,このパケットを識別するパケット識別子(ID=0)Ih2a,及びその他のヘッダ情報Ih3が格納される。
次に、上記圧縮パケットPb(2)が生成され、該圧縮パケットPb(2)が受信側に送信される。この際、該圧縮パケットPb(2)のデータ部Dpbには、圧縮情報Idとして差分情報(D1−D2)が格納され、そのヘッダ部Hpbには、圧縮を示す識別子Ih1,参照パケット識別子(ID=0)Ih2b,及びその他のヘッダ情報Ih3が格納される。なお、上記差分情報(D1−D2)は、参照パケットである非圧縮パケットPa(1)に対応する伝送情報(D1)から圧縮パケットPb(2)に対応する伝送情報(D2)を減算して得られる情報である。
続いて、上記圧縮パケットPb(3)が生成され、該圧縮パケットPb(3)が受信側に送信される。この際、該圧縮パケットPb(3)のデータ部Dpbには、圧縮情報Idとして差分情報(D1−D3)が格納され、そのヘッダ部Hpbには、圧縮を示す識別子Ih1b,参照パケット識別子(ID=0)Ih2b,及びその他のヘッダ情報Ih3が格納される。なお、上記差分情報(D1−D3)は、上記参照パケットである非圧縮パケットPa(1)に対応する伝送情報(D1)から圧縮パケットPb(3)に対応する伝送情報(D3)を減算して得られる情報である。
さらに、上記圧縮パケットPb(4)が生成され、該圧縮パケットPb(4)が受信側に送信される。この際、該圧縮パケットPb(4)のデータ部Dpbには、圧縮情報Idとして差分情報(D1−D4)が格納され、そのヘッダ部Hpbには、圧縮を示す識別子Ih1,参照パケット識別子(ID=0)Ih2b,及びその他のヘッダ情報Ih3が格納される。なお、上記差分情報(D1−D4)は、上記参照パケットである非圧縮パケットPa(1)に対応する伝送情報(D1)から圧縮パケットPb(4)に対応する伝送情報(D4)を減算して得られる情報である。
ここで、上記各圧縮パケットPb(2),Pb(3),Pb(4)のヘッダ部Hpbに格納されている参照パケット識別子(ID=0)Ih2bは、該各圧縮パケットに対する復元処理の際に必要となる参照パケットが上記非圧縮パケットPa(1)であることを示す識別子である。
上記のように送信側から順次送信された非圧縮パケットPa(1)及びこれに続く圧縮パケットPb(2)〜Pb(4)は、正常のデータ伝送状態では順次受信側で受信され、各パケットに対応する伝送情報(D1)〜(D4)が復元される。
つまり、受信側では、非圧縮パケットPa(1)が受信されると、そのデータ部Dpaから伝送情報(D1)が取り出される。続いて圧縮パケットPb(2)が受信されると、そのデータ部Dpbから差分情報(D1−D2)が取り出され、参照パケット識別子(ID=0)Ih2bにより参照パケットとして特定される非圧縮パケットPa(1)に対応する伝送情報(D1)を参照して、上記差分情報(D1−D2)から、圧縮パケットPb(2)に対応する伝送情報(D2)が復元される。
その後、圧縮パケットPb(3),(4)が受信されると、圧縮パケットPb(2)の場合と同様に、そのデータ部Dpbから差分情報(D1−D3),(D1−D4)が取り出され、参照パケット識別子(ID=0)Ih2bにより参照パケットとして特定される非圧縮パケットPa(1)に対応する伝送情報(D1)を参照して、差分情報(D1−D3),(D1−D4)から、圧縮パケットPb(3),(4)に対応する伝送情報(D3),(D4)が復元される。
そしてこの実施の形態1では、上記のようにパケットの伝送が行われている状態で、図5に示すように、圧縮パケットPb(2)の伝送エラーが発生した場合でも、上記圧縮パケットPb(2)に続く圧縮パケットPb(3),(4)が受信されると、該圧縮パケットPb(3),(4)に対応する伝送情報(D3),(D4)の復元は、正常に行われる。
つまり、本実施の形態1では、各圧縮パケットPbのデータ部Dpbに格納されている差分情報(ΔD)は、該各圧縮パケットPbに対応する伝送情報とその直前のパケットに対応する伝送情報との差分情報ではなく、上記各圧縮パケットPbに対応する伝送情報と、該圧縮パケットPbより前に伝送された最近の非圧縮パケットPaに対応する伝送情報との差分情報となっている。このため、本実施の形態1のデータ伝送システムでは、圧縮パケットの伝送エラーが発生した場合でも、この伝送エラーが、次に正常に受信された圧縮パケットの復元処理に影響することはない。従って、圧縮パケットの伝送エラーが発生した場合、エラーパケットのみが破棄され、受信側から送信側へ復元エラーの通知は行われない。
なお、パケットによる情報の伝送中に非圧縮パケットPa(1)の伝送エラーが発生した場合には、図32に示す手順と同様の手順で、復元エラー発生を示す通知信号Neが受信側から送信側へ伝送される。そして、送信側にて復元エラー通知信号Neが受信された直後には、送信側から非圧縮パケットが送信され、この非圧縮パケットに続いて圧縮パケットが順次送信される。また、このとき受信側では、エラーパケット及びこれに続く圧縮パケット、つまり上記伝送エラーの発生後、非圧縮パケットが正常に受信されるまでの間に受信されたエラーが破棄される。
次に、上記データ伝送システムにおけるデータ送信装置101の動作について説明する。
このデータ送信装置101では、図4あるいは図5に示すように、伝送情報(D1)〜(D4)が、対応する非圧縮パケット及び圧縮パケットにより順次受信側に送信される。
以下詳述すると、例えば、インターネット上のサーバSin(図33(a)参照)からイーサネット(登録商標)などの伝送方式により送信された伝送情報(D1)〜(D4)(図4参照)が、このデータ送信装置101に第1の送信信号S1として入力されると、その受信手段11にて、上記伝送方式によりこれらの伝送情報(D1)〜(D4)が受信される。そして受信された伝送情報(D1)〜(D4)は、受信信号Srcとして順にパケット作成手段12に出力される。
該パケット作成手段12では、各伝送情報を受信側に伝送するためのパケットがPPPプロトコルなどの伝送プロトコルに基づいて作成される。この際、圧縮/非圧縮判定手段13に対して、作成するパケットの種別が問い合わせられる。この問い合わせに対して、該判定手段13からはパケット種別を示すパケット判定信号Jpがパケット作成手段12に提供される。
具体的には、上記伝送情報(D1)が上記パケット作成手段12に入力された場合には、この場合が通信開始後に最初のパケットを作成する場合であるので、上記判定手段13からは、上記パケット判定信号Jpとして非圧縮パケットの作成を示す情報がパケット作成手段12に出力される。
すると、上記作成手段12では、上記パケット判定信号Jpに基づいて非圧縮パケットの作成が決定され、伝送情報(D1)が非圧縮情報Irとして格納された非圧縮パケットPa(1)が作成される。
このとき、上記非圧縮パケットPa(1)の圧縮/非圧縮識別子Ih1には値「非圧縮」が設定され、そのパケット識別子Ih2aには、上記非圧縮パケットPa(1)を示す識別子(ID=0)が設定される。また、上記作成手段12にて非圧縮パケットPa(1)が作成されたときには、参照情報管理手段15では、作成手段12からの送信側管理制御信号Cm1により、送信側参照情報Im1としての参照パケット識別子(ID)及び参照元情報(D)がそれぞれ、上記非圧縮パケットPa(1)を示す識別子(ID=0)及び上記非圧縮パケットPa(1)に対応する伝送情報(D1)に設定される。
そして上記非圧縮パケットPa(1)はパケット送信手段16へ出力され、該パケット送信手段16により所定の無線通信方式(例えばW−CDMAなど)により受信側へ送信される。
次に、上記受信手段11から出力された伝送情報(D2)が上記パケット作成手段12に入力された場合には、この場合が通信開始後に最初のパケットを作成する場合でも、受信側からの復元エラー通知信号を受信した後に最初のパケットを作成する場合でもないので、上記判定手段13では、上記パケット判定信号Jpとして圧縮パケットの作成を示す情報がパケット作成手段12に出力される。
すると、該作成手段12では、上記管理手段15に対して送信側参照情報Im1の問い合わせが行われる。この場合、上記管理手段15では、参照パケット識別子(ID)が識別子(ID=0)に、参照元情報(D)が伝送情報(D1)に設定されているため、該パケット作成手段12では、識別子(ID=0)が示す非圧縮パケットPa(1)に対応する伝送情報(D1)を参照元情報として用いて、伝送情報(D2)が圧縮される。これにより圧縮パケットに格納される圧縮情報Idとして、上記伝送情報(D1)と上記伝送情報(D2)との差分情報(D1−D2)が生成される。
続いて、上記パケット作成手段12では、伝送情報(D2)の圧縮情報Idとして差分情報(D1−D2)が格納された圧縮パケットPb(2)が生成される。この圧縮パケットPb(2)の圧縮/非圧縮識別子Ih1には値「圧縮」が設定され、その参照パケット識別子Ih2bには、この圧縮パケットPb(2)の復元処理に必要な参照パケットとして上記非圧縮パケットPa(1)を示す識別子(ID=0)が設定される。また、上記作成手段12にて圧縮パケットPb(2)が作成されたときには、参照情報管理手段15では、送信側参照識別Im1としての参照パケット識別子(ID)及び参照元情報(D)の更新は行われない。
そして、この圧縮パケットPb(2)はパケット送信手段16へ出力され、該パケット送信手段16により、所定の無線通信方式(例えばW−CDMAなど)により受信側(携帯無線端末装置)へ送信される。
その後、上記受信手段11から出力された伝送情報(D3),(D4)が上記パケット作成手段12に入力された場合には、上記伝送情報(D2)が入力された場合と同様にして、差分情報(D1−D3)が格納された圧縮パケットPb(3)及び差分情報(D1−D4)が格納された圧縮パケットPb(4)が生成される。
なお、図6は、上記パケット作成手段12における処理のフローを示しており、以下簡単に説明する。
上記パケット作成手段12では、受信手段11にて受信された伝送情報(D)が入力されると(ステップSa1)、非圧縮パケットと圧縮パケットのいずれのパケットを作成すべきかが判定手段13に問い合わせられ(ステップSa2)、該判定手段13からのパケット判別信号Jpに基づいて、作成すべきパケットの種別が判定される(ステップSa3)。
その結果、非圧縮パケットを作成すべき場合には、該非圧縮パケットにパケット識別子Ih2aとして識別子(ID)が割り当てられ、該パケット識別子Ih2aを含む非圧縮パケットPaが作成される(ステップSa7)。その後、パケット作成手段12からの指示(送信側管理制御信号Cm1)により、参照情報管理手段15にて管理されている送信側参照情報(つまり、識別子(ID)及び参照元情報(D))Im1が更新される(ステップSa8)。
一方、圧縮パケットを作成すべき場合には、パケット作成手段12から参照情報管理手段15に対して、該管理手段15にて送信側参照情報Im1として識別子(ID)及び参照元情報(D)が管理されているかが問い合わせられる(ステップSa4)。次に、該管理手段15からの送信側参照情報(識別子(ID)及び参照元情報(D))Im1に基づいて圧縮パケットPbのデータ部Dpbが作成される(ステップSa5)。さらに、参照パケット識別子Ih2bとして識別子(ID)が他のヘッダ情報Ih3とともにヘッダ部Hpbに格納されて、圧縮パケットPbが作成される(ステップSa6)。
そして、作成された非圧縮パケットPaあるいは圧縮パケットPbが送信手段16へ送られる(ステップSa9)。その後、作成手段12の処理は、ステップSa2の処理に戻る。
このような作成手段12の処理は、最後の伝送情報の送信が完了するまで行われる。
次に、上記データ伝送システムにおけるデータ受信装置201の動作について説明する。
このデータ受信装置201では、図4あるいは図5に示すように送信側から送信された非圧縮パケット及び圧縮パケットが順次受信され、各パケットに対する復元処理が行われる。
以下詳述すると、例えば、パケット受信手段21では、送信側から伝送された非圧縮パケットPa(1),圧縮パケットPb(2)〜Pb(4)が順に受信され、受信パケットRpがエラーパケット検出手段22に出力される。すると、エラーパケット検出手段22では、各受信パケットRpに対するエラー検出処理が行われる。その結果、受信パケットRpが正しく伝送されたことが確認された場合には、該受信パケットRpが正常パケットPnoとしてパケット復元手段23に出力される。一方、受信パケットRpが正しく伝送されたことが確認されない場合には、受信パケットRpは破棄される。ここでは、エラー検出方法について一般に広く利用されているCRC(Cyclic Redundancy Check)を用いているが、エラー検出方法はこれに限るものではない。
該復元手段23では、正常パケットPnoとして非圧縮パケットPa(1)が入力されると、正常パケットPnoのヘッダ部に含まれる圧縮/非圧縮識別子Ih1によって正常パケットPnoが圧縮パケットと非圧縮パケットのいずれであるかが判定される。この場合、該復元手段23が受信した正常パケットPnoが非圧縮パケットPa(1)であるので、該復元手段23では、非圧縮パケットPa(1)のデータ部Dpaから伝送情報(D1)を取り出す復元処理が行われる。
次に該管理手段25では、復元手段23からの指示(受信側管理制御情報)Cm2により、管理手段25に管理されている受信側参照情報(識別子(ID)及び参照元情報(D))Im2が更新される。これにより、管理手段25に記録されている識別子(ID)及び参照元情報(D)がそれぞれ、識別子(ID=0)及び伝送情報(D1)に変更される。その後、該復元手段23では、復元情報Irsである伝送情報(D1)が出力手段26に送られ、該伝送情報(D1)が出力手段26により出力される。
次に、上記復元手段23では、正常パケットPnoとして圧縮パケットPb(2)が入力されると、正常パケットPnoのヘッダ部に含まれる圧縮/非圧縮識別子Ih1によって正常パケットPnoが圧縮パケットと非圧縮パケットのいずれであるかが判定される。この場合、正常パケットPnoが圧縮パケットPb(2)であるので、復元手段23から参照情報管理手段25に対して、該圧縮パケットに参照パケット識別子Ih2bとして含まれている識別子(ID=0)、及びこの識別子(ID=1)に対応する参照元情報(D1)が、上記管理手段25に蓄積されているかが問い合わせられる。
この場合、上記管理手段25には上記識別子(ID=0)およびこれに対応する参照元情報(D1)が蓄積されているので、該復元手段23では、管理手段25に蓄積されている参照元情報(D1)と、圧縮パケットPb(2)に格納されている差分情報(D1−D2)を利用して、圧縮パケットPb(2)に対応する伝送情報(D2)が復元される。その後、該復元手段23から、差分情報(D1−D2)の復元情報Irsとして伝送情報(D2)が出力手段26に送られ、該伝送情報(D2)が上記出力手段26により出力される。
その後、上記正常パケットPnoとして圧縮パケットPb(3)及びPb(4)が上記パケット復元手段23に入力された場合には、上記圧縮パケットPb(2)が入力された場合と同様にして、差分情報(D1−D3)及び差分情報(D1−D4)に対する復元情報Irsとして、伝送情報(D3)及び(4)が生成される。そして該伝送情報(D3)及び(4)が出力手段26に送られ、上記出力手段26により出力される。
また、上記復元手段23に圧縮パケットとして入力された正常パケットPnoに格納されている識別子(ID=0)と、これに対応する参照元情報(D1)のいずれか一方が、該管理手段25に蓄積されていない場合は、上記復元手段23では、圧縮パケットとして入力された正常パケットPnoが破棄され、復元手段23からエラー発生通知手段24に、復元エラーが発生したことを示すエラー発生信号Seが出力される。
該通知手段24では、エラー発生信号Seが入力されたとき、該通知手段24から送信側に復元エラーが発生したことが復元エラー通知信号Neにより通知される。
なお、図7は、上記パケット復元手段23における処理のフローを示しており、以下簡単に説明する。
上記パケット復元手段23では、エラーパケット検出手段22から正常パケットPnoが入力されると(ステップSb1)、正常パケットPnoが非圧縮パケットであるか圧縮パケットであるかが判定される(ステップSb2)。
正常パケットPnoが非圧縮パケットPaである場合、非圧縮パケットPaに対する復元処理により、該非圧縮パケットPaのデータ部Dpaから伝送情報(D)が取り出される(ステップSb6)。そして、パケット復元手段23の指示(受信側管理制御信号Cm2)により、参照情報管理手段25における受信側参照情報Im2である識別子(ID)及び参照元情報(D)が更新される(ステップSb7)。また、非圧縮パケットPaのデータ部Dpaから取り出された伝送情報(D)は出力手段26に送られる(ステップSb10)。
一方正常パケットPnoが圧縮パケットPbである場合、パケット復元手段23から参照情報管理手段25に、受信側参照情報Im2として識別子(ID)及び参照元情報(D)が管理されているかが問い合わせられる(ステップSb3)。
次に、該圧縮パケットの差分情報を復元するために必要な参照パケットとしての非圧縮パケットが受信されているか否かが判定される(ステップSb4)。この判定は、圧縮パケットPbに参照パケット識別子Ih2bとして格納されている識別子(ID)及び該圧縮パケットPbに対応する伝送情報(D)と、参照情報管理手段25に蓄積されている識別子(ID)及びこれに対応する参照元情報(D)との照合により行われる。
そして、該圧縮パケットPbに対応する参照パケットとしての非圧縮パケットPaが受信されている場合には、参照情報管理手段25に蓄積されている参照元情報(D)を用いて、圧縮パケットPbに対応する伝送情報(D)が復元される(ステップSb5)。さらに、復元された伝送情報(D)が出力手段26に送られる(ステップSb10)。その後、復元手段23の処理は、ステップSb2の処理に戻る。
また上記ステップSb4での判定の結果、受信された圧縮パケットに対応する参照パケットとしての非圧縮パケットが受信されていない場合には、パケット復元手段23では、該受信された正常パケットPnoである圧縮パケットPbが破棄される(ステップSb8)。そして、エラー発生信号Seがエラー発生通知手段24に出力される(ステップSb9)。その後、復元手段23の処理は、ステップSb2の処理に戻る。
このような復元手段23の処理は、最後のパケットが受信されるまで行われる。
このように本実施の形態1のデータ伝送方式では、伝送情報を圧縮せずに格納した非圧縮パケットPaと伝送情報を圧縮して格納した圧縮パケットPbとを用いて、伝送情報をパケット単位で伝送する際、圧縮パケットPbに対応する伝送情報と、該圧縮パケット以前に伝送された最近の非圧縮パケットPaに対応する伝送情報との差分情報(ΔD)を、圧縮情報Idとして該圧縮パケットに格納するようにしたので、非圧縮パケットPaが正常に伝送されている状態では、圧縮パケットPbの伝送エラーが発生しても、エラーパケット以降の正常に伝送された圧縮パケットPbの差分情報(ΔD)は、非圧縮パケットPaの伝送情報を用いて復元することができる。このため、圧縮パケットの伝送エラーの発生により破棄される圧縮パケットの数が大きく低減されることとなる。この結果、無線区間を伝送されるデータの品質を改善することができる。言いかえると、データ伝送の実効速度を向上させることができ、復元できないパケットの伝送にかかる時間およびコストを大幅に削減することができる。
なお、上記実施の形態1では、圧縮パケットPbのヘッダ部Hpbに含まれる参照パケット識別子(ID)Ih2bは1つであるが、該ヘッダ部Hpbには、該参照パケット識別子(ID)を複数含めることも可能である。ただし、この場合は、非圧縮パケットを複数連続して送信する必要がある。
(実施の形態1の変形例1)
図8(a)は、上記圧縮パケットが2つの参照パケット識別子(ID)を2つ含む場合に用いられる非圧縮パケットPaaのデータ構造を示している。この場合は、該非圧縮パケットPaaは連続して2回送信される。
この非圧縮パケットPaaは、ヘッダ情報を格納したヘッダ部Hpaaと、PPPプロトコルにより伝送される非圧縮情報Irとして伝送情報(D)を格納したデータ部Dpaaとから構成されている。ここで、上記ヘッダ部Hpaaにおける情報は、上記圧縮/非圧縮識別子Ih1、パケット識別子(ID)Ih2a、及びその他のヘッダ情報Ih3から構成されている。また、この非圧縮パケットPaaの圧縮/非圧縮識別子Ih1は非圧縮を示している。
図8(b)は、上記参照パケット識別子(識別ID)を2つ含む圧縮パケットPbbのデータ構造を示している。
この圧縮パケットPbbは、ヘッダ情報を格納したヘッダ部Hpbbと、PPPプロトコルにより伝送される第1,第2の圧縮情報Id1,Id2を格納したデータ部Dpbbとから構成されている。ここで、上記ヘッダ部Hpbbにおける情報は、上記圧縮/非圧縮識別子Ih1、参照パケットとしての非圧縮パケットを識別するための第1,第2の参照パケット識別子(ID1,ID2)Ih2b1,Ih2b2、及びその他のヘッダ情報Ih3から構成されている。この圧縮パケットPbbの圧縮/非圧縮識別子Ih1は圧縮を示している。ここで上記第2の圧縮情報Id2は、該圧縮パケットPbbより以前に伝送された最近の非圧縮パケットPaaに対応する伝送情報と、該圧縮パケットPbbに対応する伝送情報との差分情報(Δ2D)である。また、上記第1の圧縮情報Id1は、該最近の非圧縮パケットPaaより1つ前に送信された非圧縮パケットPaaに対応する伝送情報と、該圧縮パケットPbbに対応する伝送情報との差分情報(Δ1D)である。
この場合、上記実施の形態1における図4に示す伝送情報(D1)〜(D4)は以下のように伝送される。
図9は、正常伝送状態における送信側から受信側への複数のパケットの流れを示している。
この実施の形態1の変形例1では、伝送情報(D1),(D2)は圧縮されずに非圧縮パケットPaa(1)及びPaa(2)により順次伝送され、伝送情報(D3),(D4)は圧縮されて、非圧縮パケットPaa(2)に続く圧縮パケットPb(3),Pb(4)により順次伝送される。
送信側では、まず、上記非圧縮パケットPaa(1)が生成され、該非圧縮パケットPaa(1)が受信側に送信される。この際、非圧縮パケットPaa(1)のデータ部Dpaaには非圧縮情報Irとして伝送情報(D1)が格納され、そのヘッダ部Hpaaには、非圧縮を示す識別子Ih1,このパケットを識別するパケット識別子(ID=0)Ih2a,及びその他のヘッダ情報Ih3が格納される。
続いて、上記非圧縮パケットPaa(2)が生成され、該非圧縮パケットPaa(2)が受信側に送信される。この際、非圧縮パケットPaa(2)のデータ部Dpaaには非圧縮情報Irとして伝送情報(D2)が格納され、そのヘッダ部Hpaaには非圧縮を示す識別子Ih1,このパケットを識別するパケット識別子(ID=1)Ih2a,及びその他のヘッダ情報Ih3が格納される。
その後、上記圧縮パケットPbb(3)が生成され、該圧縮パケットPbb(3)が受信側に送信される。この際、圧縮パケットPbb(3)のデータ部Dpbbには、伝送情報(D3)に対する第1,第2の圧縮情報Id1,Id2が格納され、そのヘッダ部Hpbbには、圧縮を示す識別子Ih1,第1の参照パケット識別子(ID=0)Ih2b1,第2の参照パケット識別子(ID=1)Ih2b2,及びその他のヘッダ情報Ih3が格納される。
ここで、上記第1の圧縮情報Id1は、上記非圧縮パケットPa(1)を参照パケットとして用いてこのパケットPaa(1)に対応する伝送情報(D1)から圧縮パケットPbb(3)に対応する伝送情報(D3)を減算して得られる差分情報(D1−D3)である。また、上記圧縮情報Id2は、上記非圧縮パケットPaa(2)を参照パケットとして用いてこのパケットPaa(2)に対応する伝送情報(D2)から圧縮パケットPbb(3)に対応する伝送情報(D3)を減算して得られる差分情報(D2−D3)である。
さらに、上記圧縮パケットPbb(4)が生成され、該圧縮パケットPbb(4)が受信側に送信される。この際、圧縮パケットPbb(4)のデータ部Dpbbには、伝送情報(D4)に対する第1,第2の圧縮情報Id1,Id2が格納され、そのヘッダ部Hpbbには、圧縮を示す識別子Ih1,第1の参照パケット識別子(ID=0)Ih2b1,第2の参照パケット識別子(ID=1)Ih2b2,及びその他のヘッダ情報Ih3が格納される。
ここで、上記第1の圧縮情報Id1は、上記非圧縮パケットPaa(1)を参照元パケットとして用いてこのパケットPaa(1)に対応する伝送情報(D1)から圧縮パケットPb(4)に対応する伝送情報(D4)を減算して得られる差分情報(D1−D4)である。また、上記第2の圧縮情報Id2は、上記非圧縮パケットPaa(2)を参照元パケットとして用いてこのパケットPaa(2)に対応する伝送情報(D2)から圧縮パケットPb(4)に対応する伝送情報(D4)を減算して得られる差分情報(D2−D4)である。
なお、上記各圧縮パケットPbb(3),Pbb(4)のヘッダ部Hpbbに格納されている第1のパケット識別子(ID=0)Ih2b1は、上記参照パケットが上記非圧縮パケットPaa(1)であることを示すものである。また、上記各圧縮パケットPbb(3),Pbb(4)のヘッダ部Hpbbに格納されている第2のパケット識別子(ID=1)Ih2b2は、上記参照パケットが上記非圧縮パケットPaa(2)であることを示すものである。
上記のように送信側から順次送信された非圧縮パケットPaa(1)及びPaa(2)とこれらに続く圧縮パケットPbb(3)及びPbb(4)は、正常のデータ伝送状態では順次受信側で受信され、各パケットに対応する伝送情報(D1)〜(D4)が復元される。
つまり、受信側では、非圧縮パケットPaa(1),Paa(2)が受信されると、そのデータ部Dpaaから伝送情報(D1),(D2)が取り出される。続いて圧縮パケットPbb(3)が受信されると、そのデータ部Dpbbから第2の差分情報(D2−D3)が取り出され、第2の参照パケット識別子(ID=1)Ih2b2により特定される第2の非圧縮パケットPa(2)に対応する伝送情報(D2)を参照して、差分情報(D2−D3)から、圧縮パケットPbb(3)に対応する伝送情報(D3)が復元される。
その後、圧縮パケットPbb(4)が受信されると、圧縮パケットPbb(3)の場合と同様に、そのデータ部Dpbbから差分情報(D2−D4)が取り出され、第2の参照パケット識別子(ID=1)Ih2b2により特定される非圧縮パケットPaa(2)に対応する伝送情報(D2)を参照して、差分情報(D2−D4)から、圧縮パケットPbb(4)に対応する伝送情報(D4)が復元される。
ここでは、各圧縮パケットPbb(3),Pbb(4)に対する参照パケットである非圧縮パケットPaa(1)及びPaa(2)がともに正常に受信されているため、各圧縮パケットに近い非圧縮パケットPaa(2)を参照パケットとしたが、各圧縮パケットに近い非圧縮パケットPaa(2)の伝送エラーが発生したときには、その前の非圧縮パケットPaa(1)を参照パケットとして、各圧縮パケットに対する復元処理が行われる。
このように連続して非圧縮パケットPaaを2つ送信し、これに続く圧縮パケットPbbとして、該両非圧縮パケットの伝送情報に基づく差分情報(Δ1D),(Δ2D)、及び該両非圧縮パケットが参照パケットであることを示す第1,第2の参照パケット識別子(ID1,ID2)Ih2b1,Ih2b2を格納したパケットを送信することにより、圧縮パケットにおける複数の識別子(ID1),(ID2)のうちの少なくとも一つの識別子、及びこの識別子に対応する参照元情報が参照情報管理手段25にて記憶されておれば、圧縮パケットの復元が可能となる。言いかえると、非圧縮パケットの伝送エラーのために破棄される圧縮パケットの数を削減することができる。
また、上記実施の形態1では、データ送信装置101における圧縮/非圧縮判定手段13は、通信開始直後およびエラー発生通知受信手段14からの復号エラー通知信号Neの受信直後には非圧縮パケットが作成され、その後は、復号エラー通知信号Neが受信されるまで、圧縮パケットが作成されるよう、パケット作成手段12を制御する構成となっているが、圧縮/非圧縮判定手段13は、このような構成に限らず、定期的に非圧縮パケットが送信されるようパケット作成手段12を制御する構成としてもよい。
つまりこの場合、受信側からの復元エラー発生の通知がない状態では、送信側では、予め決められた個数の圧縮パケットが送信される度に非圧縮パケットが1つ送信されるよう、圧縮/非圧縮判定手段13によりパケット作成手段12に対する指示が行われる。例えば、非圧縮パケットの送信間隔として予め決められた圧縮パケットの個数が3である場合、1つの非圧縮パケットの送信と、その後の3つの圧縮パケットの送信とが繰り返し行われる。
このような構成による効果について簡単に説明をする。
画像情報や音声情報、さらにそれらを伝送するのに必要なTCP/IPパケットやUDP/IPパケットなどのヘッダ情報は、PPPプロトコルにより伝送されるPPPパケット(つまり図1(a)及び図1(b)に示すパケット)のデータ部Dpa及びDpbに伝送情報として格納される。
ところが、通常、上記画像情報、音声情報、及びヘッダ情報の、連接する2つのパケット間における差分情報は非常に小さいか0であることが多いが、遠く離れたパケット間における差分情報は大きくなる傾向がある。このため、非圧縮パケットを定期的に送信することにより、無線により伝送されるデータの品質を向上させつつ、上記差分情報の平均値を小さくする、すなわちデータ部における情報の圧縮効率をも向上させることができる。
さらに、上記実施の形態1のデータ送信装置101における圧縮/非圧縮判定手段13は、圧縮パケットのデータ部に格納される差分情報の平均サイズmを求め、このサイズが一定の値xを超えた場合に非圧縮パケットを送信するようパケット作成手段12を制御する構成としてもよい。
ここで、差分情報の平均サイズmは、最後に非圧縮パケットを送信してから現時点までに送信された複数の圧縮パケットの差分情報の平均値として求められる。具体的には、最後に非圧縮パケットを送信してから現時点までに4つの圧縮パケットが送信され、これらの4つの圧縮パケットの差分情報のサイズがそれぞれ「2」,「4」,「4」,「6」である場合、現時点での差分情報の平均サイズmは、4=(2+4+4+6)/4となる。
この場合も、無線により伝送されるデータの品質を向上させつつ、差分情報の平均値を小さくする、すなわちデータ部における情報の圧縮効率をも向上させることができる。
なお、上記差分情報の平均サイズmの測定は、データ受信装置201で行うようにしてもよい。
具体的には、受信側では、パケット復元手段23を、差分情報の平均サイズmを測定し、この平均サイズmが一定の値xを超えたときエラー発生通知手段24にサイズ超過信号を出力する構成とする。また、該エラー発生通知送信手段24を、エラー発生信号Seを受けたときに復元エラー通知信号Neを送信側に伝送するだけでなく、該サイズ超過信号を受けたとき送信側へ非圧縮パケットの送信を要求するパケット要求信号を伝送する構成とする。
一方、送信側では、データ送信端末101におけるエラー発生通知手段14を、復元エラー通知信号Neを受けたときだけでなく、上記パケット要求信号を受けたときにも、エラー通知受信信号Snを圧縮/非圧縮判定手段13に出力する構成とする。
また、上記非圧縮パケットの送信は、上記のような差分情報の平均サイズxが一定値xを超えたときではなく、差分情報のサイズが一定値mを超えている圧縮パケットを送信あるいは受信したときに行うようにしてもよい。
例えば、データ送信装置101では、送信対象となる圧縮パケットに含まれる圧縮情報のサイズが一定の値を越えたとき、この送信対象としての圧縮パケットに続いて非圧縮パケットを送信するようにしてもよい。
また、データ受信装置201では、送信側から受信した復元処理の対象となる圧縮パケットに含まれる圧縮情報のサイズが一定の値を越えたとき、送信側へ非圧縮パケットの送信を要求し、データ送信装置101では、受信側から上記非圧縮パケットの送信要求を受け取った直後には受信側へ非圧縮パケットを送信するようにしてもよい。
(実施の形態1の変形例2)
さらに、上記実施の形態1では、圧縮パケットPbのデータ部Dpbには、図1に示すように、圧縮パケットに対応する伝送情報全体と、非圧縮パケットに対応する伝送情報全体との差分情報(ΔD)を格納するようにしているが、圧縮パケットPbのデータ部Dpbには、圧縮パケットに対応する伝送情報の一部のみを圧縮した情報を格納するようにしてもよい。
つまり、伝送情報を、圧縮の対象となる圧縮対象情報と、圧縮の対象とならない圧縮対象外情報とに区分し、圧縮パケットのデータ部には、非圧縮パケットに対応する伝送情報における圧縮対象情報と、圧縮パケットに対応する伝送情報における圧縮対象情報との差分情報を格納するとともに、圧縮パケットに対応する伝送情報における圧縮対象外情報を格納する。
図10(a)は、伝送情報が圧縮対象情報と圧縮対象外情報とから構成されている場合に用いられる非圧縮パケットPcのデータ構造を示している。
この非圧縮パケットPcは、ヘッダ情報を格納したヘッダ部Hpcと、PPPプロトコルにより伝送される非圧縮情報Irを格納したデータ部Dpcとから構成されている。該ヘッダ部Hpcにおける情報は、図1(a)に示す非圧縮パケットPaと同様、データ部における情報が圧縮されているか否かを示す圧縮/非圧縮識別子Ih1と、非圧縮パケットを識別するためのパケット識別子(ID)Ih2aと、その他のヘッダ情報Ih3とから構成されている。ここで、上記データ部Dpcには、圧縮されていない圧縮対象情報と、圧縮対象外情報Incとが格納されており、上記圧縮されていない圧縮対象情報は、第1,第2,第3の圧縮対象項目に対応する項目別非圧縮情報Ira,Irb,Ircから構成されている。具体的には、項目別非圧縮情報Ira,Irb,Ircはそれぞれ、非圧縮パケットに対応する伝送情報における、上記第1,第2,第3の圧縮対象項目に対応する情報(Da),(Db),(Dc)である。
図10(b)は、伝送情報が圧縮対象情報と圧縮対象外情報とから構成されている場合に用いられる圧縮パケットPdのデータ構造を示している。
この圧縮パケットPdは、ヘッダ情報を格納したヘッダ部Hpdと、PPPプロトコルにより伝送される部分的に圧縮された情報を格納したデータ部Dpbとから構成されている。ヘッダ部Hpbにおける情報は、図1(b)に示す圧縮パケットPbと同様、データ部における情報が圧縮されているか否かを示す圧縮/非圧縮識別子Ih1と、参照パケットを識別するための参照パケット識別子(ID)Ih2bと、その他のヘッダ情報Ih3とから構成されている。
ここで、上記データ部Dpbには、圧縮された圧縮対象情報と、圧縮対象外情報Incとが格納されており、上記圧縮された圧縮対象情報は、上記第1,第2,第3の圧縮対象項目に対応する項目別圧縮情報Ida,Idb,Idcから構成されている。具体的には、上記項目別圧縮情報Idaは、非圧縮パケットに対応する伝送情報における、第1の圧縮対象項目に対応する情報(Da)と、圧縮パケットに対応する伝送情報における、第1の圧縮対象項目に対応する情報(Da)との差分情報(ΔDa)である。上記項目別圧縮情報Idbは、非圧縮パケットに対応する伝送情報における、第2の圧縮対象項目に対応する情報(Db)と、圧縮パケットに対応する伝送情報における、第2の圧縮対象項目に対応する情報(Db)との差分情報(ΔDb)である。上記項目別圧縮情報Idcは、非圧縮パケットに対応する伝送情報における、第3の圧縮対象項目に対応する情報(Dc)と、圧縮パケットに対応する伝送情報における、第3の圧縮対象項目に対応する情報(Dc)との差分情報(ΔDc)である。
この場合、データ送信装置101における参照情報管理手段15は、参照パケット識別子(ID)と、各圧縮対象項目と、参照元情報(参照パケットにおける伝送情報)における該各圧縮対象項目に対応する情報(項目別参照元情報)とをテーブル化して記憶する構成とする。
また、データ受信装置201における参照情報管理手段25も、上記参照情報管理手段15と同様、上記参照パケット識別子(ID)と、上記各圧縮対象項目と、上記項目別参照元情報とをテーブル化して記憶する構成とする。
このような構成では、個々の圧縮対象項目ごとに、伝送情報に対する圧縮が行われることとなるので、情報圧縮により一定の情報量を削減できるという効果を保持しつつ、上記管理手段15および管理手段25に搭載されているRAM等のメモリの記憶容量を削減することができる。
(実施の形態1の変形例3)
さらに、上記実施の形態1及びその変形例1、あるいはその変形例2では、圧縮パケットのデータ部には、圧縮パケットに対応する伝送情報の全体あるいは一部を圧縮した情報として、図1(b)あるいは図10(b)に示すように、非圧縮パケットに対応する伝送情報の全体あるいは一部と、圧縮パケットに対応する伝送情報の全体あるいは一部との差分情報を格納しているが、この差分情報に代えてあるいはこの差分情報とともに、該差分情報を算出するための差分特定付加情報(K)を、圧縮パケットのヘッダ部あるいはデータ部に格納するようにしてもよい。
例えば、図1(b)に示す圧縮パケットPbでは、この差分情報に代えて、該差分情報を算出するための差分特定付加情報(K)を格納することができる。
また、図10(b)に示す圧縮パケットPdでは、複数の項目別圧縮情報のうちの少なくとも一部の項目別圧縮情報である差分情報に代えて、該差分情報を算出するための差分特定付加情報(K)を格納することができる。
図11は、このように差分特定付加情報(K)を圧縮パケットに格納する場合に用いられるパケットのデータ構造を説明するための図である。
図11(a)及び図11(b)はそれぞれ、この場合に用いられる非圧縮パケットPe及び圧縮パケットPfのデータ構造を示している。
上記非圧縮パケットPeは、ヘッダ情報を格納したヘッダ部Hpeと、PPPプロトコルにより伝送される伝送情報を格納したデータ部Dpeとから構成されており、上記図10(a)に示す非圧縮パケットPcと同一構成となっている。
また、圧縮パケットPfは、ヘッダ情報を格納したヘッダ部Hpfと、PPPプロトコルにより伝送される部分的に圧縮された情報を格納したデータ部Dpfとから構成されている。このヘッダ部Hpfには、図10(b)に示す圧縮パケットPdにおける圧縮/非圧縮識別子Ih1,参照パケット識別子(ID)Ih2b,及びその他のヘッダ情報Ih3に加えて、上記差分特定付加情報(K)Ih4が格納されている。また、上記データ部Dpfには、上記図10(b)に示す圧縮パケットPdと同様、3つの項目別圧縮情報Ida,Idb,Idcと、圧縮対象外情報Incとが含まれている。
ここでは、上記差分特定付加情報(K)は、圧縮パケットが、その復元処理の際に参照する非圧縮パケットから何番目に位置する圧縮パケットであるかを示すシーケンス番号となっている。また、上記項目別圧縮情報Ida及びIdbとしての差分情報(ΔDa)及び(ΔDb)は、上記差分特定付加情報(K)と等しくなっている。このため、差分情報(ΔDa)及び(ΔDb)のデータサイズは0byteとなっている。
以下、上記差分特定付加情報(K)を圧縮パケットに格納する場合について、RTP(Real Time Protocol)プロトコルを用いたデータ伝送を例に挙げて説明する。
具体的には、画像情報あるいは音声情報をRFC1889/1890で規定されるRTPプロトコルに従ってRTP形式のデータに変換し、さらに該RTP形式のデータをUDPプロトコル及びIPプロトコルに従ってUDP/IP形式のデータに変換し、RTP/UDP/IP形式のデータをデータ送信端末101からデータ受信端末201へ送信する場合について説明する。なお、このRTP/UDP/IP形式のデータは、図29(d)に示すIPパケットPipbに相当するものである。
通常、RTPパケットPrtpのヘッダHrtpに含まれるシーケンス番号Isn(図29(a)参照)は、RTPパケットが1つ作成される毎にその値が1ずつ増加するものである。また、IPパケットPipbのヘッダHipbに含まれているパケット識別ID(IPv4(Internet Protocol version 4)ID)(図示せず)もその値が、IPパケットが1つ作成される毎に1ずつ増加するものである。これらの値は、圧縮パケットに差分情報として格納する場合、圧縮パケットが、該圧縮パケットに対応する参照パケットとしての非圧縮パケットから数えて何番目に位置するパケットであるかが分れば、0にすることができる。
言いかえると、RTPパケットPrtpのヘッダ部Hrtpにおけるシーケンス番号Isnを、単純な差分情報として圧縮パケットに格納する場合、シーケンス番号Isnの情報量として常に1byte以上必要となるが、上記差分特定付加情報を用いることにより、上記シーケンス番号Isnに対応する差分情報のサイズは通常0byteとなり、圧縮効率を高めることができる。
例えば、差分特定付加情報(K)のサイズを1byteとした場合、RTPパケットのヘッダ部Hrtpにおけるシーケンス番号Isnの差分情報のサイズは通常0byteとなり、上記差分特定付加情報と上記差分情報の和は通常1byteとなる。この場合は、差分特定付加情報(K)を用いても、RTPパケットの情報量は変化がない。
しかし、上記計算方法(つまり差分特定付加情報と差分情報の和)と同一の計算方法を用いて復元できる圧縮対象情報が伝送情報に複数含まれている場合、例えば、上述したようにRTPパケットのヘッダ部におけるシーケンス番号およびIPパケットのヘッダ部におけるIPv4IDのように2種類の情報がある場合、上記差分特定付加情報を用いることによる実質的な効果が得られることとなり、圧縮効率の向上を図ることができる。
また、上記差分特定付加情報を変数として、処理の対象となる対象圧縮パケットの復元処理に用いられる参照パケット(非圧縮パケット)に対応する伝送情報から、該対象圧縮パケットに対応する差分情報を求める計算式を用いてもよい。
ここで、上記計算式としては、例えば、四則演算(加算、減算、積算、除算)や、sin,cosなどの関数演算を定義するものが考えられる。
また、上記差分特定付加情報を変数とする計算式は、事前に送信側と受信側であらかじめ決定されていても、一定の規則に従ってデータ伝送中に動的に変化させるようにしてもよい。これによって、PPPパケットにおけるデータ部に格納される伝送情報の圧縮効率をさらに向上させることが可能となり、無線伝送されるデータの品質及び実効伝送速度のさらなる向上を図ることができる。
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2によるデータ伝送方法を説明するためのブロック図であり、このデータ伝送方法を用いたデータ伝送システムにおけるデータ送信装置を示している。なお、この実施の形態2は、請求項1,2,10〜12,18〜21,32,33,36,37に対応している。
このデータ送信装置102は、上記実施の形態1のデータ送信装置101の構成に加えて、圧縮/非圧縮パケット作成手段12から出力される非圧縮パケットの受信側への送信回数を監視する非圧縮パケット送信回数監視手段31を備えたものである。この送信回数監視手段31は、圧縮/非圧縮パケット作成手段12からのパケットを受け、同一の非圧縮パケットPaを一定回数(ここでは2回)連続してパケット送信手段16に出力し、その後該非圧縮パケットPaに続く圧縮パケットPbをパケット送信手段16に出力する構成となっている。このデータ送信装置102のその他の構成は、上記実施の形態1のデータ送信装置101と同一である。
この実施の形態2のデータ伝送システムにおけるデータ受信装置は、実施の形態1のデータ伝送システムにおけるデータ受信装置201と同一構成となっている。
次に作用効果について説明する。
このような構成の実施の形態2のデータ送信装置102では、送信回数監視手段31により非圧縮パケットの送信回数が監視されており、パケット生成手段12から非圧縮パケットが送信回数監視手段31に出力されると、送信回数監視手段31からは、例えば図13に示すように、同一の非圧縮パケットPa(1)が所定回(ここでは2回)続けてパケット送信手段16に出力される。その後該非圧縮パケットに続く圧縮パケットPb(2),Pb(3),Pb(4)が順次パケット送信手段16に出力される。そして、パケット送信手段16では、送信回数監視手段31から供給されたパケットがW−CDMAなどの所定の無線伝送方式により順次送信される。
このデータ送信装置102におけるその他の動作は実施の形態1のデータ送信装置101と同様に行われる。
また、データ受信装置では、図13に示すように連続する2つの非圧縮パケットPa(1)が正常に受信されると、参照情報管理手段25では、順次、識別子(ID)及び参照元情報(D)が更新される。この結果、非圧縮パケットに続いて圧縮パケットPb(2),Pb(3),Pb(4)が受信されたときには、参照情報管理手段25に保持される識別子(ID=0)及び参照元情報(D1)が参照されることとなる。
また、連続する2つの非圧縮パケットPa(1)のうち一方が伝送エラーにより受信側に伝送されなかった場合でも、正常に伝送された非圧縮パケットがエラーパケット検出手段22を介してパケット復元手段23に入力されることとなる。このため、参照情報管理手段25では、受信側参照情報Im2である識別子(ID)及び参照元情報(D)は、非圧縮パケットPa(1)に対するものに更新される。
このように本実施の形態2では、実施の形態1の構成に加えて、非圧縮パケットPaを2回連続して送信し、その後該非圧縮パケットPaに続く圧縮パケットPbを伝送するようにしたので、複数送信した非圧縮パケットのひとつに伝送エラーが発生しても、受信側では後続する圧縮パケットの差分情報を正しく復元することができる。これにより、受信側にて復元エラーにより破棄される受信パケットの数が減少することとなり、無線伝送されるデータの品質を向上することができる。
なお、上記実施の形態2では、非圧縮パケットを連続して2回送信するようにしたが、非圧縮パケットの連続送信回数は3回以上であってもよい。
また、上記実施の形態2では、送信回数監視手段31は、非圧縮パケットそのものが複数回送信されるよう非圧縮パケットの送信回数を管理する構成となっているが、送信回数監視手段31は、非圧縮パケットが送信された後、該非圧縮パケットに対応するパケット識別子(ID)及び伝送情報(D)を格納した、該非圧縮パケットとは異なる補助パケットが1回以上の所定回数連続して送信されるようパケットの送信回数を管理する構成としてもよい。
この場合、パケット作成手段12では、非圧縮パケットの作成後、該非圧縮パケットに対応するパケット識別子(ID)及び伝送情報(D)を格納した補助パケットが作成される。その後、上記非圧縮パケットに対応する圧縮パケット(つまり上記非圧縮パケットの伝送情報を用いて作成した差分情報を格納した圧縮パケット)が複数作成される。そして上記非圧縮パケット,補助パケット及び各圧縮パケットがその作成順に送信回数監視手段31に供給されると、該送信回数監視手段31では、非圧縮パケットの送信が行われ、続いて、補助パケットが所定回数連続して送信される。その後、各圧縮パケットが順次送信される。
このような構成では、1つの非圧縮パケット及び所定個数の補助パケットにより、参照パケット識別子及び参照元情報が、該非圧縮パケットに対応する圧縮パケットが送信される前に少なくとも2回送信されることなるので、これらの非圧縮パケット及び補助パケットのひとつに伝送エラーが発生しても、受信側では後続する圧縮パケットの差分情報を正しく復元することができる。
これにより、受信側にて復元エラーにより破棄される受信パケットの数が減少することとなり、無線伝送されるデータの品質を向上することができる。
さらに、上記実施の形態2では、非圧縮パケットあるいは補助パケットを所定の回数連続して送信するようにしているが、非圧縮パケットあるいは補助パケットの連続送信回数は、受信側から送信側に対して行われる復元エラーの通知頻度に応じて変更するようにしてもよい。
例えば、非圧縮パケットの連続送信回数を変更する場合、圧縮/非圧縮送出判定手段13では、エラー発生通知受信手段14からのエラー通知受信信号Snが単位時間あたりに入力される回数がカウントされ、そのカウント値と一定の基準値Yとが比較され、該比較結果に応じて、該送信回数監視手段31に送信回数制御信号が出力される。該送信回数監視手段31では、この送信回数制御信号に基づいて、非圧縮パケットあるいは補助パケットの送信回数の増減が行われる。具体的には、上記カウント値が一定の基準値Yを超えたときには、非圧縮パケットあるいは補助パケットの送信回数が増加し、上記カウント値が該基準値Y以下となったときに、非圧縮パケットあるいは補助パケットの送信回数が減少する。
このような構成では、比較的伝送データの品質が安定しているときは、非圧縮パケットあるいは補助パケットの送信回数の減少により伝送効率を高めることができ、伝送データの品質が不安定であるときは、非圧縮パケットあるいは補助パケットの送信回数の増加により、復元エラーにより受信側で破棄されるパケットの数を減少させることができる。
(実施の形態3)
図14及び図15は、本発明の実施の形態3によるデータ伝送方法を説明するための図である。なお、この実施の形態3は、請求項1,2,13〜15,18〜21,32,33,36,37に対応している。
図14は、このデータ伝送方法によりデータ伝送を行うデータ伝送システムにおけるデータ送信装置を示すブロック図である。
このデータ送信装置103は、上記実施の形態1のデータ送信装置101の構成に加えて、圧縮/非圧縮パケット作成手段12から出力される非圧縮パケットPa及び圧縮パケットPbを受け、該非圧縮パケットPaに対して誤り訂正符号を付与するエラー訂正符号付加手段32を備え、該手段32にて誤り訂正符号(Error Correction Code)が付与されたECC付加非圧縮パケットPac及び該手段32を通過した圧縮パケットPbがパケット送信手段16に供給されるようにしたものである。そしてこの実施の形態3のデータ送信装置103におけるその他の構成は上記実施の形態1のデータ送信装置101と同一である。
図15は、実施の形態3のデータ伝送方法によりデータ伝送を行うデータ伝送システムにおけるデータ受信装置を示すブロック図である。
この実施の形態3のデータ受信装置203は、上記実施の形態1のデータ受信装置201の構成に加えて、パケット受信手段21から出力される受信パケットRpのうちの、エラー訂正符号が付与されている非圧縮パケットPacに対してエラー訂正処理を施して出力し、エラー訂正符号が付与されていない圧縮パケットPbをそのまま出力するエラー訂正手段41を備え、該エラー訂正手段41から出力されたパケットをエラーパケット検出手段22に供給するようにしたものである。このデータ受信装置203におけるその他の構成は上記実施の形態1のデータ受信装置201と同一である。
次に作用効果について説明する。
このような構成の実施の形態3のデータ送信装置103では、パケット作成手段12にて作成された非圧縮パケット、つまり圧縮パケットの復元処理に用いられる参照元情報が格納されているパケットが、エラー訂正符号付加手段32に入力されると、該エラー訂正符号付加手段32では非圧縮パケットPaにエラー訂正符号が付加され、エラー訂正符号が付加されたECC付加非圧縮パケットPacがパケット送信手段16に出力される。また、パケット作成手段12にて作成された圧縮パケットPbは、エラー訂正符号付加手段32では処理されずにそのままパケット送信手段16に出力される。データ送信装置103におけるその他の動作は実施の形態1のデータ送信装置101と同一である。
一方、データ受信装置203では、パケット受信手段21から出力された受信パケットRpがエラー訂正手段41に入力されると、受信パケットRpのうちの、エラー訂正符号が付与されているECC付加非圧縮パケットPacは、エラー訂正処理が施されてエラーパケット検出手段22に出力され、エラー訂正符号が付与されていない圧縮パケットPbはそのままエラーパケット検出手段22に出力される。このデータ受信装置203におけるその他の動作は実施の形態1のデータ送信装置201と同一である。
このように実施の形態3では、送信側にて非圧縮パケットPaにエラー訂正符号を付加してECC付加非圧縮パケットPacの送信を行い、受信側ではECC付加非圧縮パケットPacに対してエラー訂正符号を用いてエラー訂正処理を施すので、伝送エラーが発生しても、受信側では非圧縮パケットの多くはエラー訂正処理により救済されることとなり、伝送エラーに起因する不良な受信非圧縮パケットの発生を抑制することができる。
これにより、非圧縮パケットに後続する圧縮パケットの復元エラーにより破棄される受信パケットの数が減少することとなり、無線により伝送されるデータの品質を向上することができる。
なお、上記実施の形態3では、非圧縮パケットそのものにエラー訂正符号を付加するようにしているが、非圧縮パケットの一部、つまり後続する圧縮パケットの復元処理に必要となる参照情報(識別子(ID)及び参照元情報(D))を含む部分にのみエラー訂正符号を付加するようにしてもよい。
この場合には、受信側では少なくとも圧縮パケットの復元に必要な識別子(ID)および参照元情報(D)に対してはエラー訂正処理が施されることとなる。
これにより、非圧縮パケットに後続する圧縮パケットの復元エラーにより破棄される受信パケットの数が減少することとなり、無線により伝送されるデータの品質を向上することができる。
さらに、上記実施の形態3では、非圧縮パケットに常にエラー訂正符号を付与するようにしているが、受信側から送信側に対して行われる復元エラーの通知の頻度に応じて、上記非圧縮パケットにエラー訂正符号を付与するか否かを決定するようにしてもよい。
この場合、圧縮/非圧縮送出判定手段13では、エラー発生通知受信手段14からのエラー通知受信信号Snが単位時間あたりに入力される回数がカウントされ、そのカウント値と一定の基準値Yとが比較され、該比較結果に応じて、該作成手段12にエラー訂正制御信号が出力される。該作成手段12では、このエラー訂正制御信号に基づいて、非圧縮パケットにエラー訂正符号を付与するか否かがエラー訂正符号付加手段32に通知される。具体的には、上記カウント値が一定の基準値Yを超えたときには、エラー訂正符号付加手段32では非圧縮パケットはエラー訂正符号が付加されて該手段32から出力され、上記カウント値が該基準値Y以下となったときに、エラー訂正符号付加手段32では非圧縮パケットはエラー訂正符号が付与されずに該手段32から出力される。
このような構成では、比較的伝送データの品質が安定しているときは、非圧縮パケットをそのまま送信することにより、非圧縮パケット全体のサイズを小さく抑えてデータの実効伝送速度を高めることができ、伝送データの品質が不安定であるときは、非圧縮パケットに対するエラー訂正符号の付与により、復元エラーにより受信側で破棄されるパケットの数を減少させることができる。
(実施の形態4)
図16及び図17は、本発明の実施の形態4によるデータ伝送方法を説明するためのブロック図であり、図16は、この伝送方法を用いるデータ伝送システムにおけるデータ送信装置104を示している。なお、この実施の形態4は、請求項1,2,16〜21,32,33,36,37に対応している。
このデータ送信装置104は、上記実施の形態1のデータ送信装置101におけるエラー発生通知受信手段14に代えて、受信側からの非圧縮パケットの再送要求通知信号Nrを受信して再送要求受信信号Srを出力する再送要求通知受信手段14dを備え、上記再送要求受信信号Srに応じて非圧縮パケットの作成が行われるよう、上記データ送信装置101におけるパケット作成手段12及び圧縮/非圧縮送出判定手段13の構成を変更したものである。
つまり、このデータ送信装置104における圧縮/非圧縮送出判定手段13dは、上記パケット作成手段12dにて作成されるパケットの種別を示すパケット判定信号Jpをパケット作成手段12dに出力するとともに、再送要求受信信号Srを受けたときには、該パケット判定信号Jpに代えて、再送要求される非圧縮パケットが再度作成されるよう再作成指令信号Scをパケット作成手段12dに出力する構成となっている。
さらに、このデータ送信装置104におけるパケット作成手段12dは、パケット判定信号Jpに基づいて非圧縮パケット及び圧縮パケットの一方を作成し、上記再作成指令信号Scを受けたときには、参照管理手段15に格納されている識別子(ID)及び参照元情報(D)に基づいて、最後に作成した非圧縮パケットを再度作成する構成となっている。なお、上記再送要求通知信号Nr,再送要求受信信号Sr,及び再作成指令信号Scには、再送すべき非圧縮パケットを特定する識別子(ID)が含まれている。
そして、この実施の形態4のデータ送信装置104におけるその他の構成は、実施の形態1のデータ送信装置101と同一である。
また、図17は、この実施の形態4のデータ伝送システムにおけるデータ受信装置204を示している。
この実施の形態4のデータ受信装置204は、上記実施の形態1のデータ受信装置201の構成に加えて、受信された圧縮パケットのうちで、復元エラーパケットPreと判定された圧縮パケットを一時的に蓄積する復元待ち情報蓄積手段42を備え、再送された非圧縮パケットの参照情報に基づいて、復元エラーパケットPreと判定された圧縮パケットに対する復元処理を行うよう、上記データ受信装置201のエラー発生通知送信手段24及びパケット復元手段23を構成変更したものである。
つまり、このデータ受信装置204では、上記実施の形態1のデータ受信装置201におけるエラー発生通知送信手段24に代えて、復元エラーの発生時にはエラー発生信号Sreに基づいて、復元エラーパケットの復元処理に必要となる参照パケットとしての非圧縮パケットの再送を要求する信号(再送要求通知信号)Nrを送信側に出力する再送要求送信手段24dを備えている。
また、このデータ受信装置204におけるパケット復元手段23dは、受信された圧縮パケットの復元処理に必要な受信側参照情報Im2である識別子(ID)および参照元情報(D)が参照情報管理手段25に蓄積されていなかったとき、受信した圧縮パケットが復元エラーパケットあると判定し、上記エラー発生信号Sreを再送要求通知送信手段24dに出力する構成となっている。なお、上記エラー発生信号Sreには、再送すべき非圧縮パケットを特定する識別子(ID)が含まれている。
そして、このデータ受信装置204では、再送された非圧縮パケットの識別子(ID)及び伝送情報(D)に基づいて、復元エラーパケットPreと判定された圧縮パケットに対する復元処理が行われるようになっている。
この実施の形態のデータ受信装置204におけるその他の構成は上記実施の形態1におけるデータ受信装置201と同一である。
次に作用効果について説明する。
このような構成の実施の形態4のデータ伝送システムでは、圧縮パケットPbの復元エラーが発生した場合、受信側からの再送要求通知信号Nrにより、送信側から非圧縮パケットが再送される。
つまり、受信側では、パケット復元手段23dにて、圧縮パケットPbが、その復元処理に必要な受信側参照情報Im2である識別子(ID)及び参照元情報(D)が参照情報管理手段25に保持されていないことから復元エラーパケットPreと判定されたとき、この圧縮パケットPreがパケット復元手段23dから復元待ち情報蓄積手段42に出力されて一時保管される。またこのとき、該復元エラーパケットPreの参照パケット識別子(ID)を含むエラー発生信号Sreが再送要求通知手段24dに出力される。すると、再送要求通知送信手段24dでは、上記参照パケット識別子(ID)を含む再送要求通知信号Nrが送信側へ送信される。
データ送信装置104では、上記参照パケット識別子(ID)を含む再送要求通知信号Nrが受信手段14dにて受信されると、該受信手段14dから再送要求受信信号Srが判定手段13dに出力され、該判定手段13からは、参照パケット識別子により特定される非圧縮パケットの作成を指示する信号(再作成指令信号)Scがパケット作成手段12dに出力される。すると、パケット作成手段12dでは、参照情報管理手段15に蓄積されている送信側参照情報Im1である識別子(ID)及び参照元情報(D)に基づいて、復元エラーパケットの復元処理に必要な非圧縮パケットが再度作成され、作成された非圧縮パケットがパケット送信手段16により受信側へ再送される。
受信側では、再送された非圧縮パケットがパケット受信手段21にて受信されると、エラーパケット検出手段22を介してパケット復元手段23dに供給される。すると、パケット復元手段23dでは、再送非圧縮パケットから識別子(ID)及び伝送情報(D)が取り出され、該取り出された識別子(ID)及び伝送情報(D)に基づいて、復元待ち情報蓄積手段42に格納されている圧縮パケットの差分情報(ΔD)が復元される。一方、該取り出された識別子(ID)及び伝送情報(D)は参照情報管理手段25に供給され、これらの情報により受信側参照情報Im2である識別子(ID)及び参照元情報(D)が更新される。
このように本実施の形態4では、圧縮パケットの復元エラーが発生した場合、送信側では、受信側からの再送要求通知信号Nrに応じて、該圧縮パケットの復元処理に必要な非圧縮パケットの再送を行うようにしたので、受信側に、受信された圧縮パケットの復元処理に必要な受信側参照情報(識別子(ID)及び参照元情報(D))がないために受信圧縮パケットが復元エラーパケットと判定された場合でも、非圧縮パケットの再送処理完了後、該復元エラーパケットを正しく復元することができる。これにより圧縮パケットの復元エラーにより破棄される受信パケットの数が低減して、無線伝送されるデータの品質を向上することができる。
なお、上記実施の形態4では、参照情報管理手段15には、非圧縮パケットに含まれる識別子(ID)及び伝送情報(D)を蓄積するようにしているが、参照情報管理手段15には非圧縮パケットそのものを蓄積するようにしてもよい。
この場合、非圧縮パケットの再送を行う際に、パケット作成手段12dにおける非圧縮パケットの作成処理を省略することができる。
また、上記実施の形態4では、受信側からの再送要求に応じて非圧縮パケットそのものを再送するようにしているが、受信側からの再送要求があったときには、非圧縮パケットにおける識別子(ID)及び伝送情報(D)が含まれる部分のみを所定の再送用パケットに格納して再送するようにしてもよい。
この場合も、復元エラーパケットと判定された受信圧縮パケットに対する復元処理は、再送用パケットの送信後に可能となり、圧縮パケットの復元エラーにより破棄される受信パケットの数が低減して、無線伝送されるデータの品質を向上することができる。
さらに、上記実施の形態1ないし4では、圧縮パケットには、圧縮情報として、非圧縮パケットに対応する伝送情報と、圧縮パケットに対応する伝送情報との差分情報(第1の差分情報)を格納するようにしているが、圧縮パケットに格納する圧縮情報は、上記第1の差分情報と、その他の差分情報(第2の差分情報)との間で、パケットの伝送状況に応じて切り替えるようにしてもよい。
ここで、上記第2の差分情報としては、従来技術にて説明した、V.Jacobsonの文献に規定されている差分情報、つまり圧縮パケットに対応する伝送情報と、その直前に作成されたパケットに対応する伝送情報との差分情報(図31参照)が挙げられる。
以下、上述したように、圧縮パケットに格納する圧縮情報を、第1の差分情報と第2の差分情報との間で、パケットの伝送状況に応じて切り替えるデータ伝送方法を、実施の形態1のデータ伝送システムに適用する場合について、図2及び図3を用いて簡単に説明する。
この場合、データ受信装置101におけるエラー発生通知受信手段14は、受信側から伝送される単位時間あたりの復元エラー通知信号Neの受信頻度(z)が計算されるよう構成する。また、圧縮/非圧縮パケット作成手段12は、上記エラー発生通知受信手段14にて計算された受信頻度(z)を示す信号を受け、上記受信頻度(z)が一定の基準値Yを超えた場合には、圧縮パケットに格納する圧縮情報として上記第1の差分情報が作成され、一方、受信頻度(z)が上記基準値Yよりも小さくなった場合には、上記圧縮情報として上記第2の差分情報が作成されるよう構成する。
この場合の動作について簡単に説明する。
まず、受信側にて圧縮パケットに含まれる圧縮情報を復元する復元処理のエラーが発生したとき、受信側から送信側にエラー発生が通知される。すると、送信側では、エラー発生の通知頻度が一定値を超えたときは、受信側における復元処理を上記第1の差分情報を用いた復元処理に変更するよう受信側に対する処理変更通知が行われる。その後送信側では上記第1の差分情報を用いた圧縮処理が行われる。一方送信側では、エラー発生の通知頻度が一定値以下となったときは、受信側における復元処理を上記第2の差分情報を用いた復元処理に変更するよう受信側に対する処理変更通知が行われ、その後送信側では上記第2の差分情報を用いた圧縮処理が行われる。そして、受信側では、送信側での圧縮処理に対応した復元処理が行われる。
なお、この場合、圧縮パケットPbに、圧縮情報が上記第1及び第2の差分情報のいずれであるかを示す識別子を含めるようにしてもよい。
このように圧縮パケットPbに格納される圧縮情報Idを、上記第1の差分情報と第2の差分情報との間で切り替える方法では、以下のような効果が得られる。
つまり、通常、上記伝送情報(画像情報や音声情報)及びヘッダ情報といった情報の、連続する2つのパケット間における差分は非常に小さいか0であることが多いが、遠く離れたパケット間における差分は大きくなる傾向がある。このため、圧縮情報として上記第1の差分情報と第2の差分情報とを切り替えて用いることにより、無線により伝送されるデータの品質向上を図りつつ、差分情報の平均値の低減、つまりデータ部に格納される情報の圧縮効率の向上をも図ることができる。
また、上述した圧縮情報を上記第1の差分情報と第2の差分情報との間で切り替えて用いる方法では、送信側にて、第1及び第2の差分情報のいずれを用いるかを決定するようにしているが、圧縮情報として第1及び第2の差分情報のいずれを用いるかを受信側からの指令により決定するようにしてもよい。
この場合、第1の差分情報と第2の差分情報との切り替えは、例えば、単位時間あたりの伝送エラーの発生数に基づいて行うようにしてもよい。
この場合、単位時間あたりの伝送エラーの発生数(伝送エラーの発生率)は、データ受信装置のエラーパケット検出手段22にて求められ、求められた伝送エラー発生率がエラー発生通知手段24により送信側へ通知されるようにする。
さらに、上記第1の差分情報と第2の差分情報との切り替えは、受信側における復元エラー発生頻度に応じて行うようにしてもよい。
この場合、受信側のパケット復元手段23にて単位時間あたりの復元エラー発生頻度(z)を求めて、該復元エラー発生頻度(z)を一定の基準値Yと比較し、その比較結果を該エラー発生通知手段24により送信側へ通知し、送信側では、通知された比較結果に応じて、上記第1及び第2の差分情報の一方を圧縮情報として用いる。
この場合の動作について簡単に説明する。
受信側では、上記圧縮パケットに含まれる圧縮情報を復元する復元処理のエラーが発生するエラー発生頻度が所定値を超えたとき、送信側における圧縮処理を上記第1の差分情報を用いた圧縮処理に変更するよう送信側に対する処理変更要求が行われる。一方受信側では、上記復元処理のエラー発生頻度が所定値以下となったとき、送信側における圧縮処理を上記第2の差分情報を用いた圧縮処理に変更するよう送信側に対する処理変更要求が行われる。
そして送信側では、受信側からの処理変更要求に応じた差分情報を用いた圧縮処理が行われ、受信側においても、送信側に対して要求した差分情報を用いた圧縮処理に対応する復元処理が行われる。
(実施の形態5)
図18ないし図27は本発明の実施の形態5によるデータ伝送方法、及びこのデータ伝送方法を用いたデータ伝送システムを説明するための図である。なお、この実施の形態5は、請求項22〜31,34,35,38〜40に対応している。
この実施の形態5のデータ伝送システムは、情報をパケット単位で送信側から受信側へ伝送するシステムであって、送信側では、伝送情報を格納した非圧縮パケット及び圧縮された伝送情報を格納した圧縮パケットを作成する際、伝送情報を、非圧縮パケット及び特定の圧縮パケットに対応する伝送情報(参照元情報)を用いて圧縮し、受信側では圧縮されている伝送情報を上記参照元情報を用いて復元するものである。
図18は、この実施の形態5のデータ伝送システムにおいて用いられる非圧縮パケット(図18(a))及び圧縮パケット(図18(b))のデータ構造(フォーマット)を示す図である。
上記非圧縮パケットPgは、ヘッダ情報を格納したヘッダ部Hpgと、PPPプロトコルにより伝送される非圧縮情報Irを格納したデータ部Dpgとから構成されている。上記ヘッダ部Hpgの情報は、実施の形態1の非圧縮パケットPaにおけるヘッダ部Hpaと同様、データ部の情報が圧縮されているか否かを示す圧縮/非圧縮識別子Ih1と、非圧縮パケットを識別するためのパケット識別子(ID)Ih2aと、その他のヘッダ情報Ih3とから構成されている。ここで、上記非圧縮情報Irは、該非圧縮パケットにより伝送される伝送情報(D)である。
また、上記圧縮パケットPhは、ヘッダ情報を格納したヘッダ部Hphと、PPPプロトコルにより伝送される圧縮情報Idを格納したデータ部Dphとから構成されている。上記ヘッダ部Hphの情報は、データ部の情報が圧縮されているか否かを示す圧縮/非圧縮識別子Ih1と、上記圧縮情報Idの復元処理の際に必要となる参照パケットを示す参照パケット識別子(ID)Ih2bと、上記復元処理の際に用いられる参照元情報を更新するか否かを示す参照情報更新フラグIh5と、その他のヘッダ情報Ih3とから構成されている。
ここで、通常の圧縮パケットPhでは、上記参照情報更新フラグIh5は、参照元情報を更新しないことを示す値「Off」に設定されており、特定の圧縮パケットPhでは、上記参照情報更新フラグIh5は、参照元情報を更新することを示す値「On」に設定されている。また、上記圧縮情報Idは、伝送の対象となる圧縮パケットPb以前に伝送された、該圧縮パケットに最も近い非圧縮パケットあるいは特定の圧縮パケットに対応する伝送情報(D)と、該伝送の対象となる圧縮パケットに対応する伝送情報(D)との差分情報(ΔD)である。
なお、上記その他のヘッダ情報Ih3には、図27(e)に示すCRC符号Icrcが含まれていることは言うまでもない。
図19は、この実施の形態5のデータ伝送システムにおけるデータ送信装置を示すブロック図である。
このデータ送信装置105は、実施の形態1のデータ送信装置101と同様、伝送情報(D)を含む第1の送信信号S1を受信して受信信号Srcを出力する受信手段11と、該受信信号Srcを受け、上記伝送情報(D)を制御信号に基づいてパケット化して、非圧縮パケットPgあるいは圧縮パケットPhを作成する圧縮/非圧縮パケット作成手段12eと、該パケット作成手段12eにより作成されたパケットを第2の送信信号S2として受信側へ送信するパケット送信手段16とを有している。
さらに、上記データ送信装置105は、上記データ送信装置101と同様、受信側からの復元エラー通知信号Neを受信してエラー通知受信信号Snを出力するエラー発生通知受信手段14と、上記パケット作成手段12eにて作成されたパケットの種別を管理するとともに、該管理されているパケット種別情報と、上記エラー通知受信信号Snとに基づいて、次に作成するパケットの種別を判定してパケット判定信号Jpを上記制御信号としてパケット作成手段12eに出力する圧縮/非圧縮送出判定手段13とを有している。ここで、上記パケット作成手段12eでは、パケット判定信号Jpに応じて非圧縮パケットPg及び圧縮パケットPhのいずれかが作成される。
そして、上記データ送信装置105は、上記パケット作成手段12eからの圧縮/非圧縮識別子Ih1及び参照情報更新フラグIh5に基づいて、受信側へ伝送した圧縮パケットの送信履歴を管理して、圧縮パケット作成時に参照元情報を更新するか否かを判定する参照情報更新判定手段17を有している。ここで、上記参照情報更新判定手段17は、パケットをn回(例えば3回)作成する毎に、参照元情報の更新を指示する参照情報更新信号Jrを上記制御信号としてパケット作成手段12eに出力する構成となっている。上記パケット作成手段12eでは、制御信号として参照情報更新信号Jrが入力されたときには、圧縮パケットPhのヘッダ部Hphに、参照情報更新フラグIh5として、参照元情報の更新を行うことを示す値「On」が格納され、特定の圧縮パケットが作成される。一方、参照情報更新信号Jrが入力されないときには、圧縮パケットPhのヘッダ部Hphには、参照情報更新フラグIh5として、参照元情報の更新を行わないことを示す値「Off」が格納され、通常の圧縮パケットが作成される。
また、上記データ送信装置105は、各圧縮パケットに対応する圧縮情報を作成する際に参照される伝送情報(D)と、該伝送情報(D)に対応する参照パケットを示す参照パケット識別子(ID)とを対応付けて、送信側参照情報(参照元情報(D)及び識別子(ID))Im1として管理する参照情報管理手段15eを有している。この参照情報管理手段15eでは、非圧縮パケットが作成されるとき、あるいは更新判別フラグ「On」Ih5を含む特定の圧縮パケットが作成されるとき、パケット作成手段12eからの送信側管理制御信号Cm1により、送信側参照情報Im1である上記参照元情報(D)及び識別子(ID)が更新されるようになっている。
図20は、実施の形態5のデータ伝送システムにおけるデータ受信装置を説明するためのブロック図である。
このデータ受信装置205は、実施の形態1のデータ受信装置201と同様、送信側から第2の送信信号S2として送信されたパケットを受信して受信パケットRpを出力するパケット受信手段21と、該受信パケットRpを受け、エラーパケットの検出処理により、正常に送信された正常パケットPnoを出力するエラーパケット検出手段22と、該検出手段22からの正常パケットPnoを受け、各パケットに格納されている非圧縮情報あるいは圧縮情報を復元するパケット復元手段23eと、該復元処理により得られた復元情報(伝送情報(D))Irsを出力信号S3として出力する出力手段26とを有している。
また、上記データ受信装置205は、各圧縮パケットに対応する圧縮情報を復元する際に参照される伝送情報(D)と、該伝送情報(D)に対応する参照パケットを識別する参照パケット識別子(ID)とを対応付けて、受信側参照情報(参照元情報(D)及び識別子(ID))Im2として管理する参照情報管理手段25eを有している。この参照情報管理手段25eでは、非圧縮パケットに対する復元処理が行われたとき、あるいは更新判別フラグ「On」Ih5を含む特定の圧縮パケットに対する復元処理が行われたとき、パケット復元手段23eからの受信側管理制御信号Cm2により、受信側参照情報Im2である上記参照元情報(D)及び識別子(ID)が更新されるようになっている。
また、上記パケット復元手段23eでは、圧縮パケットPhに対する復元処理を行う場合には、圧縮パケットPhに格納されている参照パケット識別子(ID)及び該識別子(ID)に対応する参照元情報(D)が参照情報管理手段25eに保持されている否かが判定され、この判定結果に応じて、圧縮パケットに対する復元エラーが発生したことを示すエラー発生信号Seが出力される。
また、このデータ受信装置205は、復元エラーの発生を示すエラー発生信号Seをパケット復元手段23eから受け、受信側にて復元エラーが発生したことを復元エラー通知信号Neにより送信側へ伝えるエラー発生通知送信手段24を有している。
次に作用効果について説明する。
図21及び図22は、上記実施の形態5のデータ伝送方法を説明するための図である。図21は、正常伝送状態における送信側から受信側への複数のパケットの流れを示し、図22は、伝送エラーが発生した場合における送信側から受信側への複数のパケットの流れを示している。
ここで伝送情報(D1)〜(D11)は、パケット単位で伝送されるようまとめられた、各パケットに対応する情報であり、この実施の形態5では、伝送情報(D1)は圧縮されずに非圧縮パケットPg(1)により伝送され、伝送情報(D2)〜(D11)は圧縮されて、非圧縮パケットPg(1)に続く圧縮パケットPh(2)〜Ph(11)により順次伝送される。
送信側では、まず、上記非圧縮パケットPg(1)が生成され、該非圧縮パケットPg(1)が受信側に送信される。この際、該非圧縮パケットPg(1)のデータ部Dpgには伝送情報(D1)が非圧縮情報Irとして格納され、そのヘッダ部Hpgには非圧縮を示す識別子Ih1,このパケットを識別するパケット識別子(ID=0)Ih2a,及びその他のヘッダ情報Ih3が格納される。
その後は、圧縮パケットPh(2)〜Ph(11)が順次作成されて、受信側に送信される。
このような圧縮パケットの作成の際には、例えば、上記圧縮パケットPh(2)〜Ph(5)のヘッダ部Hphには、圧縮を示す識別子Ih1,参照パケット識別子(ID=0)Ih2b,参照情報更新フラグIh5,及びその他のヘッダ情報Ih3が格納される。また上記圧縮パケットPh(2)〜Ph(5)のデータ部Dphにはそれぞれ、差分情報(D1−D2),差分情報(D1−D3),差分情報(D1−D4)及び差分情報(D1−D5)が格納される。
但しこの実施の形態5では、パケットを3つ送信する度に参照元情報を更新するようにしているため、上記圧縮パケットPh(2)〜Ph(4)では、ヘッダ部Hphの参照情報更新フラグIh5の値は、参照元情報を更新しないことを示す値「Off」となっており、一方上記圧縮パケットPh(5)では、ヘッダ部Hphの参照情報更新フラグIh5の値は、参照元情報を更新するを示す値「On」となっている。つまり、上記圧縮パケットPh(5)の送信後、参照パケット識別子が圧縮パケットPh(5)を示す値(ID=1)に、参照元情報が参照パケットPh(5)に対応する伝送情報(D5)に更新される。
従って、圧縮パケットPh(5)に続く4つの圧縮パケットPh(6)〜Ph(9)のヘッダ部Hphには、圧縮を示す識別子Ih1,参照パケット識別子(ID=1)Ih2b,更新判別フラグIh5,及びその他のヘッダ情報Ih3が格納される。また上記圧縮パケットPh(6)〜Ph(9)のデータ部Dphにはそれぞれ、差分情報(D5−D6),差分情報(D5−D7),差分情報(D5−D8)及び差分情報(D5−D9)が格納される。
これらの圧縮パケットPh(6)〜Ph(8)では、ヘッダ部Hphの参照情報更新フラグIh5の値は、参照元情報を更新しないことを示す値「Off」となっており、一方上記圧縮パケットPh(9)では、ヘッダ部Hphの参照情報更新フラグIh5の値は、参照元情報を更新するを示す値「On」となっている。つまり、上記圧縮パケットPh(9)の送信後、参照パケット識別子が圧縮パケットPh(9)を示す値(ID=2)に、参照元情報が参照パケットPh(9)に対応する伝送情報(D9)に更新されている。
従って、圧縮パケットPh(9)に続く圧縮パケットPh(10)及びPh(11)のヘッダ部Hphには、圧縮を示す識別子Ih1,参照パケット識別子(ID=2)Ih2b,更新判別フラグIh5,及びその他のヘッダ情報Ih3が格納される。また上記圧縮パケットPh(10)及びPh(11)のデータ部Dphにはそれぞれ、差分情報(D9−D10)及び差分情報(D9−D11)が格納される。
これらの圧縮パケットPh(10)及びPh(11)では、ヘッダ部Hphの参照情報更新フラグIh5の値は、参照元情報を更新しないことを示す値「Off」となっている。
上記のように送信側から順次送信された非圧縮パケットPg(1)及びこれに続く圧縮パケットPh(2)〜Ph(11)は、正常のデータ伝送状態では順次受信側で受信され、各パケットに対応する伝送情報(D1)〜(D11)が復元される。
つまり、受信側では、非圧縮パケットPg(1)が受信されると、そのデータ部Dpgから非圧縮情報Irである伝送情報(D1)が取り出される。その後、圧縮パケットPh(2)〜Ph(11)が受信されると、そのデータ部Dphの差分情報が参照元情報に基づいて伝送情報に復元される。
具体的には、パケットPh(2),Ph(3),Ph(4),及びPh(5)の差分情報(D1−D2),(D1−D3),(D1−D4),(D1−D5)は、識別子(ID=0)により特定される非圧縮パケットPg(1)に対応する伝送情報(D1)を参照して復元される。
また、パケットPh(6),Ph(7),Ph(8),及びPh(9)の差分情報(D5−D6),(D5−D7),(D5−D8)及び(D5−D9)は、識別子(ID=1)により特定される圧縮パケットPh(5)に対応する伝送情報(D5)を参照して復元される。
さらに、パケットPh(10)及びPh(11)の差分情報(D9−D10)及び(D9−D11)は、識別子(ID=2)により特定される圧縮パケットPh(9)に対応する伝送情報(D9)を参照して復元される。
そして、上記のようにパケットの伝送が行われている状態で、図22に示すように、圧縮パケットPh(10)の伝送エラーが発生した場合、圧縮パケットPb(11)が受信されると、該圧縮パケットPb(11)に格納されている差分情報(D9−D11)の復元は、圧縮パケットPb(10)の伝送エラーが発生しなかった場合と同様に行われる。
つまり、本実施の形態5においても、実施の形態1と同様、各圧縮パケットPhに格納されている差分情報(ΔD)の復元処理の際には、参照元情報として、常に処理対象となる圧縮パケットの直前のパケットに対応する伝送情報を用いるのではなく、最初あるいは復元エラー発生直後に送信された非圧縮パケットに対応する伝送情報、及び所定数のパケットを送信する度に送信された特定の圧縮パケットに対応する伝送情報を用いるようにしている。
このため、本実施の形態5では、特定の圧縮パケット以外の圧縮パケットの伝送エラーが発生した場合でも、この伝送エラーが、次に正常に受信された圧縮パケットの復元処理に影響することはなく、この場合、受信側ではエラーパケットのみが破棄され、受信側から送信側へ復元エラーの通知は行われない。
なお、パケットによる情報の伝送中に非圧縮パケットPg(1)の伝送エラー、あるいは特定の圧縮パケットの伝送エラーが発生した場合には、図32に示す手順と同様の手順で復元エラー発生の通知が送信側へ伝送される。そして、送信側にて復元エラー発生の通知が受信された直後には、送信側から非圧縮パケットが送信され、その後は、通常の圧縮パケット及び特定の圧縮パケットが繰り返し送信される。また、このとき受信側では、エラーパケット及びこれに続く圧縮パケットが破棄される。
次に上記のようにデータ伝送が行われる場合のデータ送信装置105の動作について説明する。
例えば、情報提供側からイーサネット(登録商標)などの伝送方式より送信された連続する伝送情報(D1)〜(D11)(図21及び図22参照)が、このデータ送信装置105に第1の送信信号S1として入力されると、その受信手段11にて、上記伝送方式によりこれらの伝送情報(D1)〜(D11)が受信される。そして受信された伝送情報は、受信情報Srcとして順に圧縮/非圧縮パケット作成手段12eに出力される。
該パケット作成手段12eでは、各伝送情報を受信側に伝送するためのパケットがPPPプロトコルなどの伝送プロトコルに基づいて作成される。この際、圧縮/非圧縮送出判定手段13からのパケット判定信号Jp及び参照情報更新判定手段17からの参照情報更新信号Jrに応じて、非圧縮パケット,通常の圧縮パケット,及び特定の圧縮パケットのいずれかが作成される。このように作成された非圧縮パケットPg及び圧縮パケットPhは順次パケット送信手段16に出力され、該パケット送信手段16により第2の送信信号S2として受信側に送信される。
具体的には、通信が開始されたとき、およびエラー発生通知受信手段14からエラー通知受信信号Snが判定手段13に入力されたときには、パケット判定信号Jpにより、非圧縮パケットの作成が指示され、これら以外のときはパケット判定信号Jpにより、圧縮パケットの作成が指示される。
また、圧縮パケットの作成が指示された場合には、参照情報更新信号Jrが送信側参照情報Im1の更新を指示するときには圧縮パケットとして特定の圧縮パケットが作成され、参照情報更新信号Jrが送信側参照情報Im1の更新を指示しないときには圧縮パケットとして通常の圧縮パケットが作成される。
ここで、圧縮/非圧縮判定手段13では、作成された各パケットの圧縮/非圧縮識別子Ih1、及びエラー通知受信信号Snに基づいて、非圧縮パケット及び圧縮パケットのいずれを作成すべきかが判定され、作成すべきパケットの種別を示すパケット判定信号Jpが出力される。具体的には、通信が開始直後には、非圧縮パケットを作成すべきことを示すパケット判定信号Jpが出力され、通知受信信号Snが入力されたときには、圧縮パケットを作成すべきことを示すパケット判定信号Jpが出力される。
また、パケット作成手段12eでは、非圧縮パケットPgの作成は実施の形態1と同様に行われる。また、圧縮パケットPhは、参照情報管理手段15eにて管理されている送信側参照情報Im1(具体的には識別子(ID)及び参照元情報(D))に基づいて作成される。この際、通常の圧縮パケットのヘッダ部Hphには、値が「Off」に設定された参照情報更新フラグIh5が、圧縮/非圧縮識別子Ih1,参照パケット識別子Ih2b,及びその他のヘッダ情報Ih3とともに格納される。また、特定の圧縮パケットのヘッダ部Hphには、値が「On」に設定された参照情報更新フラグIh5が、圧縮/非圧縮識別子Ih1,参照パケット識別子Ih2b,及びその他のヘッダ情報Ih3とともに格納される。これらの圧縮パケットのデータ部Dphには、参照情報管理手段15eにて管理されている参照元情報に基づく差分情報(ΔD)が格納される。
また、上記非圧縮パケットPgあるいは特定の圧縮パケットPhが作成されたときには、参照情報管理手段15eでは、パケット作成手段12eからの送信側更新制御信号Cm1に基づいて、送信側参照情報Im1である識別子(ID)及び対応する参照元情報(D)が、上記パケットPgあるいはPhを識別するための参照パケット識別子(D)及び対応する伝送情報(D)に更新される。
また、参照情報更新判定手段17では、作成された各パケットの圧縮/非圧縮識別子Ih1、及び圧縮パケットの参照情報更新フラグIh5に基づいて、非圧縮パケットあるいは特定の圧縮パケットの送信後に送信された通常の圧縮パケットの数がカウントされる。そして、このカウント値が所定の値(ここでは3)になると、参照情報更新信号Jrが出力され、カウント値がリセットされる。上記カウント値が所定の値(ここでは3)未満であるときは、参照情報更新信号Jrは出力されない。
以下、上記パケット作成手段12eにおける処理を、図23に示すフローに従って説明する。
上記パケット作成手段12eでは、受信手段11にて受信された伝送情報が入力されると(ステップSc1)、非圧縮パケットと圧縮パケットのいずれのパケットを作成すべきかが判定手段13に問い合わせられ(ステップSc2)、判定手段13からのパケット判定信号Jpに基づいて、作成すべきパケットの種別が判定される(ステップSc3)。
その結果、非圧縮パケットを作成すべき場合には、該非圧縮パケットに対してこれを識別する識別子(ID)がパケット識別子Ih2aとして割り当てられ、該パケット識別子(ID)を含む非圧縮パケットPgが作成される(ステップSc11)。その後、パケット作成手段12eからの指示(送信側管理制御信号Cm1)により、参照情報管理手段15eにて送信側参照情報Im1として管理されている識別子(ID)及び対応する参照元情報(D)が更新される(ステップSc12)。
一方、圧縮パケットを作成すべき場合には、パケット作成手段12eから参照情報管理手段15に対して、該管理手段15に送信側参照情報Im1として管理されている識別子(ID)及び参照元情報(D)が問い合わせられる(ステップSc4)。そして、該問い合わせにより得られた識別子(ID)及び参照元情報(D)に基づいて圧縮パケットのデータ部Dphが作成される(ステップSc5)。
その後、上記パケット作成手段12eでは、送信側参照情報Im1を更新するか否かが判定手段17に問い合わせられ(ステップSc6)、判定手段17からの参照情報更新信号Jrに基づいて、送信側参照情報Im1を更新するか否かが判定される(ステップSc7)。
その結果、送信側参照情報Im1を更新すべき場合には、パケット作成手段12eからの指示により、参照情報管理手段15eにて管理されている識別子(ID)及び参照元情報(D)が更新され(ステップSc8)、特定の圧縮パケットPhが作成される(ステップSc9)。
一方、送信側参照情報Im1を更新すべきでない場合には、通常の圧縮パケットが作成される(ステップSc10)。
そして、上記各パケットが送信手段16に送られる(ステップSc13)。
その後、パケット作成手段12eの処理はステップSc2に戻る。このような処理は、最後のパケットが送信されるまで行われる。
次に、図21及び図22に示すようにパケットが順次伝送されるときのデータ受信装置205の動作について説明する。
パケット受信手段21では、送信側から伝送されるパケットPg(1),Ph(2)〜Ph(11)が順に受信され、エラーパケット検出手段22に出力される。エラーパケット検出手段22では、受信したパケットが正しく伝送されたことが確認された場合には、受信されたパケットが正常パケットPnoとしてパケット復元手段23eに出力される。受信されたパケットが正しく伝送されたことが確認されない場合には、受信されたパケットはエラーパケットとして破棄される。ここで、エラー検出方法について一般に広く利用されているCRC(Cyclic Redundancy Check)を利用しているが、エラー検出方法はこれに限るものではない。
上記パケット復元手段23eでは、受信された正常パケット(以下、正常受信パケットともいう。)Pnoのヘッダ部に含まれる圧縮/非圧縮識別子Ih1によって正常受信パケットPnoが圧縮パケットと非圧縮パケットのいずれであるかが判定される。
例えば、上記復元手段23eに入力された正常受信パケットPnoが非圧縮パケットPg(1)である場合、該復元手段23eでは、非圧縮パケットPg(1)のデータ部Dpgから伝送情報(D1)を取り出す復元処理が行われる。
次に上記管理手段25eでは、復元手段23eからの受信側管理制御信号Cm2により、受信側参照情報Im2として蓄積されている識別子(ID)及び参照元情報(D)が更新される。これにより、該管理手段25eに受信側参照情報Im2として記録されている識別子(ID)及び参照元情報(D)がそれぞれ、識別子(ID=0)及び伝送情報(D1)に変更される。その後、該復元手段23eでは、復元した情報である伝送情報(D1)が出力手段26に出力され、該出力手段26から伝送情報(D1)が出力される。
一方、該復元手段23eに入力されたパケットが、例えば特定の圧縮パケットPh(5)である場合、参照情報管理手段25eに対して、該圧縮パケットに含まれる参照パケット識別子(ID=0)およびこれに対応する参照元情報(D1)が蓄積されているかが問い合わせられる。該管理手段25eに上記参照パケット識別子(ID=0)及び対応する参照元情報(D1)が蓄積されている場合は、該復元手段23eでは参照元情報(D1)と差分情報(D1−D5)を利用して、このパケットに対応する伝送情報(D5)が復元される。
このとき、該管理手段25eに上記参照パケット識別子(ID=0)及び対応する参照元情報(D1)のいずれか一方が蓄積されていない場合は、受信した該圧縮パケットがエラーパケットとして破棄され、エラー発生通知手段24に復元エラーが発生したことを示すエラー発生信号Seが出力される。すると、該通知手段24からは、送信側に復元エラー通知信号Neが送信される。
さらに、該復元手段23eでは、ヘッダ部Hphの参照情報更新フラグIh5がチェックされ、これが受信側参照情報Im2を更新することを示している場合、受信側更新制御信号Cm2が参照情報管理手段25eに出力される。該管理手段25eでは、受信側更新制御信号Cm2により、蓄積されている識別子(ID)及び対応する参照元情報(D)が、新たな情報,例えば参照パケット識別子(ID=1)及び参照元情報(D5)に更新される。その後、該復元手段23eにて復元した伝送情報(D5)が出力手段26に出力され、該伝送情報(D5)が該出力手段26により受信信号S3として出力される。
なお、上記復元手段23eに入力されたパケットが通常の圧縮パケットである場合は、該復元手段23e及び参照情報管理手段25eでは、参照情報更新フラグIh5のチェック処理以外は実施の形態1と同様な処理が行われる。
以下、上記パケット復元手段23eにおける処理を、図24に示すフローに従って説明する。
上記パケット復元手段23eでは、エラーパケット検出手段22から正常受信パケットPnoが入力されると(ステップSd1)、正常受信パケットが非圧縮パケットであるか圧縮パケットであるかが判定される(ステップSd2)。
正常受信パケットが非圧縮パケットである場合、非圧縮パケットに対する復元処理により、該非圧縮パケットPgのデータ部Dpgから伝送情報(D)が取り出される(ステップSd12)。そして、パケット復元手段23eの指示により、参照情報管理手段25eにおける受信側参照情報Im2である識別子(ID)及び参照元情報(D)が、非圧縮パケットのパケット識別子及び伝送情報に更新される(ステップSd13)。また、上記非圧縮パケットのデータ部から取り出された伝送情報は出力手段26に送られる(ステップSd9)。
上記正常受信パケットが圧縮パケットである場合、パケット復元手段23eから、参照情報管理手段25eに、圧縮パケットに格納されている参照パケット識別子(ID)Ih2b及び該識別子Ih2bに対応する参照元情報(D)が記録されているか否かが問い合わせられ(ステップSd3)、これらが参照情報管理手段25eに格納されているかが判定される(ステップSd4)。
上記参照情報管理手段25eに上記参照パケット識別子(ID)Ih2b及び対応する参照元情報(D)が格納されていない場合には、正常受信パケットがエラーパケットとして破棄され(ステップSd10)、エラー発生信号Seがエラー発生通知送信手段24に出力される(ステップSd11)。その後、上記パケット復元手段23eによる処理はステップSd2の処理に戻る。
一方、上記参照情報管理手段25eに上記参照パケット識別子(ID)Ih2b及び対応する参照元情報(D)が格納されている場合には、圧縮パケットの差分情報が参照元情報に基づいて伝送情報に復元される(ステップSd5)。
次に、圧縮パケットに格納されている参照情報更新フラグIh5が、参照情報の更新することを示しているか否かが判定され(ステップSd6)、参照情報の更新することを示している場合は、参照情報管理手段25eに受信側参照情報Im2として格納されている識別子(ID)及び参照元情報(D)が新たな情報に更新される(ステップSd8)。その後、上記伝送情報が出力手段26に出力される(ステップSd9)。なお、上記ステップSd6での判定の結果、参照情報の更新することを示していない場合は、受信側参照情報Im2の更新を行うことなく、上記伝送情報が出力手段26に出力される(ステップSd9)
その後、パケット復元手段23eの処理はステップSd2に戻る。このような処理は、最後のパケットが受信されるまで行われる。
このように実施の形態5のデータ伝送方法では、伝送情報を圧縮せずに格納した非圧縮パケットと伝送情報を圧縮して格納した圧縮パケットとを用いて、伝送情報をパケット単位で伝送する際、圧縮パケットに対応する伝送情報を、先に送信された非圧縮パケットまたは特定の圧縮パケットに対応する伝送情報を参照元情報として用いて圧縮するようにしたので、非圧縮パケット及び特定の圧縮パケットが正常の伝送されている状態では、圧縮パケットの伝送エラーが発生しても、エラーパケット以降の正常に伝送された圧縮パケットの差分情報は、非圧縮パケットあるいは特定の圧縮パケットに対応する伝送情報を用いて復元することができる。このため、圧縮パケットの伝送エラーの発生により破棄される圧縮パケットの数が大きく低減されることとなる。この結果、無線区間を伝送されるデータの品質を改善することができる。言いかえると、データ伝送の実効速度を向上させることができ、復元できないパケット伝送にかかる時間およびコストを大幅に削減することができる。
なお、上記実施の形態5では、送信側及び受信側参照情報を更新するタイミング、言いかえると圧縮パケットを所定個数(3個)送信する度に特定圧縮パケットを1個送信することを送信側にて予め決めているが、特定圧縮パケットの送信は、一定時間(n秒)経過する度に行うようにしてもよく、また、圧縮パケットに格納される差分情報の大きさが一定のしきい値を超えたときに行うようにしてもよい。
また、特定圧縮パケットの送信は、受信側から参照元情報の更新要求を受け取った場合、あるいは差分情報の大きさのまたは差分情報の平均値が一定のしきい値を超えた場合などに行うようにしてもよい。
例えば、送信側では、上記特定の圧縮パケットの送信を受信側から要求されたとき、該特定の圧縮パケットを受信側に送出するようにする。
また、送信側では、受信側に送信する圧縮パケットに含まれる圧縮情報のサイズが一定の値を越えたとき、上記特定の圧縮パケットを送信する。
さらに、送信側処理では、受信側に送信する圧縮パケットに含まれる圧縮情報のサイズの平均値が一定の値を越えたとき、上記特定の圧縮パケットを送信するようにする。
またさらに、送信側及び受信側参照情報を更新するタイミングの決定方法は、上記のような方法を組み合わせたものでもよい。
上記のように送信側及び受信側参照情報を更新するタイミングを決定することにより以下のような効果が得られる。
通常、上記画像情報、音声情報、及びヘッダ情報の、連接する2つのパケット間における差分は非常に小さいか0であることが多いが、遠く離れたパケット間における差分は大きくなる傾向がある。このため、非圧縮パケットを定期的に送信することにより、無線により伝送されるデータの品質を向上させつつ、差分情報の平均値を小さくする、すなわちデータ部の圧縮効率をも向上させることが期待できる。
(実施の形態5の変形例)
さらに、上記実施の形態5では、圧縮パケットPhのデータ部Dphに格納する圧縮情報は、図18,図21,図22に示すように、圧縮パケットに対応する伝送情報全体と、非圧縮パケットに対応する伝送情報全体との差分情報(ΔD)としたが、圧縮パケットPhのデータ部Dphに格納する圧縮情報は、圧縮パケットに対応する伝送情報の一部のみを圧縮したものであってもよい。
つまり、伝送情報を、圧縮の対象となる複数の項目に対応する圧縮対象情報と、圧縮の対象とならない圧縮対象外情報とに区分し、圧縮パケットPhのデータ部Dphには、非圧縮パケットに対応する伝送情報における圧縮対象情報と、圧縮パケットに対応する伝送情報における圧縮対象情報との差分情報を項目別圧縮情報として格納するとともに、圧縮パケットに対応する伝送情報における圧縮対象外情報を格納する。
図25(a)は、伝送情報が圧縮対象情報と圧縮非対象情報とから構成されている場合に用いられる非圧縮パケットのデータ構造を示している。
この非圧縮パケットPiは、ヘッダ情報を格納したヘッダ部Hpiと、PPPプロトコルにより伝送される伝送情報(D)を非圧縮情報Irとして格納したデータ部Dpiとから構成されている。ヘッダ部Hpiは、図18(a)に示す非圧縮パケットPgと同様、データ部の情報が圧縮されているか否かを示す圧縮/非圧縮識別子Ih1と、非圧縮パケットを識別するためのパケット識別子(ID)Ih2aと、その他のヘッダ情報Ih3とから構成されている。ここで、上記非圧縮情報Irは、圧縮の対象となる4つの項目に対応する項目別圧縮対象情報Ira,Irb,Irc,Irdと、圧縮の対象とならない圧縮対象外情報Incとから構成されている。ここでは、上記項目別圧縮対象情報(項目別非圧縮情報)Ira,Irb,Irc,Irdとして、項目別伝送情報(Da),(Db),(Dc),(Dd)が格納されている。
図25(b)は、伝送情報が圧縮対象情報と圧縮対象外情報とから構成されている場合に用いられる圧縮パケットPjのデータ構造を示している。
圧縮パケットPjは、ヘッダ情報を格納したヘッダ部Hpjと、PPPプロトコルにより伝送される一部が圧縮された情報(ΔD)を格納したデータ部Dpjとから構成されている。ヘッダ部Hpjには、圧縮/非圧縮識別子Ih1と、参照パケット識別子(ID)Ih2bと、参照情報更新フラグIh5と、差分情報有無フラグIh6と、その他のヘッダ情報Ih3とが格納されている。ここで、上記差分情報有無フラグIh6は、圧縮された項目別圧縮対象情報として、その値が0でないものが圧縮パケットに含まれているか否かを示すフラグである。
ここで、上記データ部Dpjには、4つの圧縮対象項目に対応する項目別圧縮情報Ida,Idb,Idc,Iddと、圧縮されていない圧縮対象外情報Incとが含まれている。上記圧縮情報Idaは、非圧縮パケットに対応する伝送情報における項目別伝送情報(Da)と、圧縮パケットに対応する伝送情報における項目別伝送情報(Da)との差分(項目別差分情報(ΔDa))である。上記圧縮情報Idbは、非圧縮パケットに対応する伝送情報における項目別伝送情報(Db)と、圧縮パケットに対応する伝送情報における項目別伝送情報(Db)との差分(項目別差分情報(ΔDb))である。上記圧縮情報Idcは、非圧縮パケットに対応する伝送情報における項目別伝送情報(Dc)と、圧縮パケットに対応する伝送情報における項目別伝送情報(Dc)との差分(項目別差分情報(ΔDc))である。上記圧縮情報Iddは、非圧縮パケットに対応する伝送情報における項目別伝送情報(Dd)と、圧縮パケットに対応する伝送情報における項目別伝送情報(Dd)との差分(項目別差分情報(ΔDd))である。
この場合、データ送信装置105における参照情報管理手段15eは、参照パケット識別子(ID)と、圧縮の対象となる各圧縮対象項目を示す情報と、該各圧縮対象項目に対応する参照元圧縮(項目別参照元情報)とをテーブル化して、送信側参照情報Im1として記憶する構成とする。
また、データ受信装置205における参照情報管理手段25eも、上記参照情報管理手段15eと同様、参照パケット識別子(ID)と、圧縮の対象となる各圧縮対象項目を示す情報と、該各圧縮対象項目に対応する参照元圧縮(項目別参照元情報)とをテーブル化して、受信側参照情報Im2として記憶する構成とする。
図25(c)は、伝送情報D(Y)を圧縮して圧縮パケットPj(Y)を作成する処理を具体的に示している。
この場合、参照情報管理手段15eには、送信側参照情報Im1として、参照パケット識別子(ID=X)、及び項目別参照元情報(Da(X)),(Db(X)),(Dc(X)),(Dd(X))が格納されている。
また、各項目別差分情報(ΔDa),(ΔDb),(ΔDc),(ΔDd)は以下の(式1)〜(式4)に示すように、送信側参照情報Im1としての各項目別参照元情報(Da(X)),(Db(X)),(Dc(X)),(Dd(X))と、伝送情報(D(Y))における、対応する項目別伝送情報(Da(Y)),(Db(Y)),(Dc(Y)),(Dd(Y))との差分となっている。
ΔDa=Da(X)−Da(Y)=0 ・・・(式1)
ΔDb=Db(X)−Db(Y)≠0 ・・・(式2)
ΔDc=Dc(X)−Dc(Y)≠0 ・・・(式3)
ΔDd=Dd(X)−Dd(Y)=0 ・・・(式4)
このように項目別差分情報(ΔDa)及び(ΔDd)の値は0であるが、項目別差分情報(ΔDb)及び(ΔDc)の値は0でないので、上記圧縮パケットPj(Y)のヘッダ部Hjの差分情報有無フラグIh6には、複数の項目別差分情報の中にはその値が0でないものがあることを示す値「On」が設定されており、上記圧縮パケットPj(Y)のデータ部Djには項目別差分情報(ΔDb)及び(ΔDc)のみが格納されている。
図26は上記圧縮パケットPj(Y)の一部を拡大して示す図である。
また、各項目別差分情報には、これらに共通する情報(フォーマット)として、後続差分情報有無フラグと参照元情報種別フラグとが含まれている。ここでは、圧縮情報(項目別差分情報(ΔDb))Idbにおける後続差分情報有無フラグIco1の値は、データ部Dpjにはこの項目別差分情報(ΔDb)に続いて他の項目別差分情報が格納されていることを示す値「On」となっており、圧縮情報Idbにおける参照元情報種別フラグIco2は、その項目別差分情報Idbの復元の際に項目別伝送情報(Db)を参照すべきことを示している。また、圧縮情報(項目別差分情報(ΔDd))Idcにおける後続差分情報有無フラグIco1の値は、データ部Dpjにはこの項目別差分情報(ΔDd)に続く圧縮情報はないことを示す値「Off」となっており、圧縮情報Idcにおける参照元情報種別フラグIco2は、その圧縮情報の復元の際に項目別伝送情報(Dc)を参照すべきことを示している。
このように、各項目別差分情報に後続差分情報有無フラグIco1と参照元情報種別フラグIco2とを含めることにより、情報量が0でない項目別差分情報のみを圧縮パケットのデータ部に差分情報の構成要素として含めることができる。
これによって、伝送情報における個々の構成要素(各圧縮対象項目に対応する情報)毎に伝送情報の圧縮を行うことが可能となり、一定の圧縮効果を保持しつつ、送信側の参照情報管理手段15e及び受信側の参照情報管理手段25eにおけるRAM等からなる記憶領域を削減することができる。
さらに、項目別差分情報Idcには、共通情報(後続差分情報有無フラグと参照元情報種別フラグ)とは、別に独自の情報(フォーマット)として、差分情報長データIun1と圧縮方式種別フラグInu2とを持たせている。
ここで、差分情報長データIun1は、項目別差分情報Idcのデータサイズを示すものであり、圧縮方式種別フラグInu2は、該項目別差分情報Idcを復元するための復元方法を、複数の復元方法のうちから特定するものである。
このように項目別差分情報(ΔDc)に差分情報長データIun1を含めることによって、項目別差分情報(ΔDc)が小さい場合には、そのサイズを小さくすることが可能となり、圧縮効率をさらに高めることができる。
また、圧縮方式種別フラグIun2は、例えば2bitの情報からなり、その値に応じた圧縮方式を予め規定しておくことにより、圧縮効率をさらに高めることができる。
例えば、圧縮方式種別フラグIun2の値が「00」である場合は、項目別差分情報は参照元情報に対する差分(ΔDn)とし、その値が「01」である場合は、項目別差分情報を(ΔDn/2)とし、その値が「10」である場合は、項目別差分情報を(ΔDn/8)とし、その値が「11」である場合は、項目別差分情報を(ΔDn/64)する。
図27は、上記非圧縮パケットPi及び圧縮パケットPjに格納される具体的な情報を説明するための図であり、図27(a)は、上記パケットによる伝送の対象となるデータ(伝送情報)を示し、図27(b)は非圧縮パケットにおける伝送情報及び圧縮パケットにおける差分情報を示し、図27(c)は該差分情報である項目別圧縮情報Idaを示している。ここではRTPデータ(一部のみ記載)を伝送する場合を例に挙げている。
上記伝送情報は、図29(d)に示すIPパケット(RTP/UDP/IPデータ)Pipbであり、該伝送情報には、第1〜第4の圧縮対象項目K1〜K4に対応する情報が含まれている。第1,第2の圧縮対象項目K1,K2に対応する情報(図25(a)に示す圧縮対象情報Ira,Irb)はそれぞれ、RTPパケットのシーケンス番号(SN),タイムスタンプ(ST)であり、第3の圧縮対象項目K3に対応する情報(図25(a)に示す圧縮対象情報Irc)はIPパケットの識別子(ID)、第4の圧縮対象項目K4に対応する情報(図25(a)に示す圧縮対象情報Ird)はUDPポート番号(Port No.)である。なお、上記各伝送情報(D1)〜(D5)における各圧縮対象項目に対応する具体的な情報は、それぞれ図27(a)の表のNo.1〜No.5の欄に示す通りである。
実際に伝送情報(D1)〜(D5)として、RTP/UDP/IPデータを伝送する場合には、PPPプロトコルにより上記伝送情報がPPPパケット(非圧縮パケット及び圧縮パケット)に格納され、データ送信装置105からデータ受信装置205に伝送される。
このとき、非圧縮パケットPi(1)のデータ部Dpiには上記伝送情報(D1)における圧縮対象情報Ira,Irb,Irc,Irdが圧縮されずにそのまま格納される。また、そのヘッダ部Hpiには、1bitの圧縮/非圧縮識別子Ih1,5bitのパケット識別子(ID)Ih2a,Ih2bがその他のヘッダ情報Ih3(図27(b)では示していない)が格納されている。
また、圧縮パケットPj(2),Pj(3)のデータ部Dpjには、上記伝送情報(D2),(D3)における各圧縮対象項目に対応する項目別圧縮対象情報(項目別非圧縮情報)Ira,Irb,Irc,Irdが圧縮されて、項目別圧縮情報Ida,Idb,Idc,Iddが格納される。ここで、圧縮パケットPj(2),Pj(3)におけるシーケンス番号(SN)に対応する項目別圧縮情報Idaはそれぞれ、8bitの差分情報「1」,「2」となっている。圧縮パケットPj(2),Pj(3)におけるタイムスタンプ(ST)に対応する項目別圧縮情報Idbはそれぞれ、16bitの差分情報「50」,「100」となっている。圧縮パケットPj(2),Pj(3)におけるIPパケットの識別子(ID)に対応する項目別圧縮情報Idcはそれぞれ、8bitの差分情報「1」,「2」となっている。圧縮パケットPj(2),Pj(3)におけるUDPポート番号(Port No.)に対応する項目別圧縮情報Iddはそれぞれ、0bitとなっている。
また、圧縮パケットPj(2),Pj(3)のヘッダ部Hpjには、1bitの圧縮/非圧縮識別子Ih1と、5bitの参照パケット識別子(識別ID)Ih2bと、1bitの参照情報更新フラグIh5と、1bitの差分情報有無フラグIh6と、その他のヘッダ情報Ih3(図27(b)では示していない)が格納されている。
なお、上記図26および図27では、パケットのデータ構造として、参照情報種別フラグIco2,差分情報長データIun1,圧縮方式種別フラグIun2は、差分情報(ΔDn)の中に含まれているものについて示したが、これらを、参照元情報が更新されるとき、つまり非圧縮パケットPiが作成される時または特定の圧縮パケット(参照情報更新フラグIh5の値が「On」である圧縮パケット)Pjが作成される時に、そのヘッダ部Hpi,Hpjまたはデータ部Dpi,Dpjに付与してもよい。
この場合、送信側の参照情報管理手段15e及び受信側の参照情報管理手段25eを、項目別参照元情報毎に、差分情報長データIun1や圧縮方式種別フラグIun2を管理する構成とすることにより、受信側ではこれらのデータIun1及びフラグIun2に基づいて、圧縮パケットに対する復元処理を行うことが可能となる。
これにより、圧縮パケットにおける項目別差分情報(ΔDn)の中に、圧縮パケットを送信する度に差分情報長データIun1や圧縮方式種別フラグIun2を含める必要がなくなり、圧縮効率をさらに高めることができる。
上記のような項目別参照元情報が更新されるとき、非圧縮パケットまたは特定の圧縮パケットのヘッダ部またはデータ部に、参照情報種別フラグIco2,差分情報長データIun1,圧縮方式種別フラグIun2を付与する方法は、伝送情報に対する圧縮方式が複雑であってしかも複数あるが、一定間隔ごとにその圧縮方式が変化する場合などにおいては、特に有効であり、圧縮効率が高まるという効果はより一層大きくなることが期待できる。
なお、上記実施の形態5では、情報をパケット単位に対応する伝送情報毎に伝送するデータ伝送処理として、非圧縮パケット,特定の圧縮パケット,及び通常の圧縮パケットを用いる方法を示したが、データ伝送処理は、実施の形態5に示すデータ伝送方法とその他のデータ伝送方法とをパケットの伝送状況に応じて切り替えるようにしてもよい。
ここで、上記その他のデータ伝送方法としては、実施の形態1ないし4のデータ伝送方法あるいは従来のV.Jacobsonヘッダ圧縮方式を用いたデータ伝送方法(図31参照)を用いることができる。