JP2004147060A - ネットワークシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】ネットワークの負荷を効率よく分散して、伝送品質の向上を図る。
【解決手段】入口ノードR1、R6は、ネットワーク2の入口エッジに配置され、負荷分散指示にもとづき、トラヒックを複数の経路に振り分ける。出口ノードR3、R8は、ネットワーク2の出口エッジに配置される。統計情報収集部11は、ネットワーク2内のノードと通信を行って統計情報を収集する。管理データベース12は、統計情報を格納管理する。負荷分散制御部13は、管理データベース12内の統計情報にもとづいて、入口ノードR1、R6と出口ノードR3、R8間の経路31、41の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により管理データベース12内の統計情報を更新する。
【選択図】 図1
【解決手段】入口ノードR1、R6は、ネットワーク2の入口エッジに配置され、負荷分散指示にもとづき、トラヒックを複数の経路に振り分ける。出口ノードR3、R8は、ネットワーク2の出口エッジに配置される。統計情報収集部11は、ネットワーク2内のノードと通信を行って統計情報を収集する。管理データベース12は、統計情報を格納管理する。負荷分散制御部13は、管理データベース12内の統計情報にもとづいて、入口ノードR1、R6と出口ノードR3、R8間の経路31、41の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により管理データベース12内の統計情報を更新する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はネットワークシステムに関し、特にネットワークの負荷分散を行うネットワークシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネットの爆発的な普及に伴って、転送されるパケットの量(トラヒック)が増加し続けている。また、近年のインターネットへのアクセスは、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)やCATV(Cable Television)、光ファイバなどの高速広帯域な回線を通してアクセスできるようになってきており、インターネット利用のボトルネックは、アクセス部分からネットワーク内部(コア)へ移ってきている。
【0003】
このような状況の中で、ネットワーク内の負荷は急激に増加しており、負荷に耐え切れずにネットワークがダウンすることのないように、ネットワーク負荷を効率よく分散させる負荷分散制御の重要性がますます高まってきている。
【0004】
現在、IP(Internet Protocol)ネットワークでパケットを転送するための経路を決定するための仕組みには、RIP(Routing Information Protocol)やOSPF(Open Shortest Path First)などのルーティングプロトコルがある。
【0005】
これらの既存のルーティングプロトコルは、ネットワークのリンクのコスト(メトリック)が与えられたときに、宛先までに通るリンクのコストの和が最小になるような最短経路を選択してパケット転送を行うものである。したがって、宛先が同じであるトラヒックは単一の経路しか通らないため、あるリンクにトラヒックが集中して輻輳が起こりやすい。
【0006】
このため、OSPFでは等コストマルチパス(Equal Cost Multipath)という技術を用いて負荷分散を行っている。これは宛先に至るまでの経路として、コストが等しくなるような経路が複数存在する場合に、その複数経路でパケットを分散させて転送する技術である。ところが、これはあくまでコストが等しくなる経路がたまたま存在するときのみ可能であり、常に輻輳を回避することができなかった。
【0007】
また、リンクのコストを負荷状態に応じて動的に変化させて、輻輳しているリンクを経路として選ばれにくくして負荷分散を行う技術もあるが、リンクのコストを変えただけで、ルーティングはホップごとに行われるので、この場合、トラヒックがどのような経路で流れるのかを予測するのは困難であり、負荷分散の効果も限られていた。
【0008】
一方、近年になって、従来のルーティングプロトコルにとらわれずに負荷分散を行うことのできる技術としてトラヒックエンジニアリングが注目されている。トラヒックエンジニアリングは、既存のルーティングプロトコルが決定する経路にはとらわれない任意の経路を用いてパケットを転送することで、ネットワーク内の輻輳回避を行ったり、あるいはネットワーク資源の効率的な利用を目指す技術である。
【0009】
トラヒックエンジニアリングを具体的に行うためのアーキテクチャとしては、MPLS(Multi−Protocol Label Switching)がある。MPLSは、LSP(Label Switched Path)と呼ばれる固定長ラベルをパケットに付けてパケット転送を行う方式である。
【0010】
このLSPの経路は、既存のルーティングプロトコルにしたがった経路にもできるし、既存のルーティングプロトコルには依存しないで任意の経路を明示的に設定することもできる。したがって、MPLSを利用して、ある宛先まで複数のLSPを設定し、トラヒックをその複数のLSPにうまく分散して流すことで、輻輳を回避するような負荷分散が可能となる。
【0011】
従来のトラヒックエンジニアリングによる負荷分散技術としては、トラヒック特性を収集して負荷を演算し、演算結果により伝送経路を追加/削除して負荷を分散する装置などが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−320420号公報(段落番号〔0010〕〜〔0019〕,第1図)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
トラヒックエンジニアリングによる負荷分散では、入口(Ingress)ルータと出口(Egress)ルータ間に複数のパスを設定し、入力トラヒックを複数パス間に分散させることによって、負荷を単一ルートへ集中することを回避する。
【0014】
負荷分散計算は入出力ペア(Ingress−Egressペア)を単位にして行われるが、従来では、いくつもの入出力ペアが、負荷が低いリンクに一度にトラヒックを移動させてしまう場合があり、これがあらたな輻輳を生む可能性があるといった問題があった。
【0015】
また、上記の従来技術(特開2001−320420号公報)では、トラヒック特性を収集した後に負荷を演算して、負荷分散を行っている。このため、頻繁にトラヒック特性の収集制御を行うことになり(なぜなら、収集したトラヒック特性で負荷分散を行う場合、正確な負荷分散を行うためには、常に新しいトラヒック特性の情報が必要となるから)、オーバヘッドが大きくなるといった問題があった。
【0016】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ネットワークの負荷を効率よく分散して、伝送品質の向上を図ったネットワークシステムを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような、ネットワーク2の負荷分散を行うネットワークシステム1において、ネットワーク2の入口エッジに配置され、負荷分散指示にもとづき、トラヒックを複数の経路に振り分ける入口ノードR1、R6と、ネットワーク2の出口エッジに配置される出口ノードR3、R8と、ネットワーク2内のノードと通信を行って統計情報を収集する統計情報収集部11と、統計情報を格納管理する管理データベース12と、管理データベース12内の統計情報にもとづいて、入口ノードR1、R6と出口ノードR3、R8間の経路31、41の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により管理データベース12内の統計情報を更新する負荷分散制御部13と、から構成されるネットワーク制御装置10と、を有することを特徴とするネットワークシステム1が提供される。
【0018】
ここで、入口ノードR1、R6は、ネットワーク2の入口エッジに配置され、負荷分散指示にもとづき、トラヒックを複数の経路に振り分ける。出口ノードR3、R8は、ネットワーク2の出口エッジに配置される。統計情報収集部11は、ネットワーク2内のノードと通信を行って統計情報を収集する。管理データベース12は、統計情報を格納管理する。負荷分散制御部13は、管理データベース12内の統計情報にもとづいて、入口ノードR1、R6と出口ノードR3、R8間の経路31、41の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により管理データベース12内の統計情報を更新する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明のネットワークシステムの原理図である。ネットワークシステム1は、ネットワーク2内のノードR1〜R8と、ネットワーク制御装置10とを含み、ネットワーク2のトラヒックの負荷分散を行うシステムである。
【0020】
ノードR1、R6は、ネットワーク2の入口エッジに配置される入口(Ingress)ノードであり、ノードR3、R8は、ネットワーク2の出口エッジに配置される出口(Egress)ノードである。その他のノードR2、R4、R5、R7はコアノードである。
【0021】
なお、ネットワーク制御装置10は、ノードR1〜ノードR8と論理的に接続して、各ノードと通信を行う(物理的な接続は、ネットワーク2内のどれか1台のノードと接続すればよい)。
【0022】
統計情報収集部11は、ネットワーク2内のノードR1〜R8と通信(例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)などを利用しての通信)を行って、一定の周期で統計情報を収集する。
【0023】
統計情報とは、トラヒック量またはリンク使用率のことである。例えば、リンク(“リンク”はノード間をつなぐ物理的な伝送路と定義する)の物理帯域が100Mbpsのとき、トラヒック量が70Mbpsなら、このリンク使用率は70%として表せる。
【0024】
ただし、トラヒック量は、必ずしも負荷の高低を正確に表すとは限らない。なぜなら、帯域100Mbpsのリンクのトラヒック量が70Mbpsならば負荷は高いが、帯域1Gbpsのリンクのトラヒック量が70Mbpsならば負荷は高いとはいえないからである。
【0025】
したがって、ノード間の各リンクの帯域が異なる場合には、統計情報としてはリンク使用率を用いることになるが、以降では説明を簡潔に行うために、統計情報はすべてトラヒック量を意味するものとして説明する。
【0026】
管理データベース12は、統計情報収集部11で収集した統計情報、または負荷分散制御部13が予測した統計情報を格納し管理する。管理形式としては、入出力(Ingress/Egress)ノードのペア毎に流れるトラヒック(トラヒック量)、ノードが設定する経路(“経路”とはノード間の論理的な伝送路と定義する。なお、“経路”と“パス”とは同じ意味として以降用いる)毎に流れるトラヒック、ノードを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として管理する。詳細は後述する。
【0027】
負荷分散制御部13は、管理データベース12内の統計情報にもとづいて、入口ノードR1と出口ノードR3間の経路31及び入口ノードR6と出口ノードR8間の経路41の負荷分散制御を行う。
【0028】
すなわち、管理データベース12内の統計情報にもとづいて、入口ノードR1と出口ノードR3間の経路31及び入口ノードR6と出口ノードR8間の経路41の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を入口ルータR1、R6に出力する。なお、この場合、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により管理データベース12内の統計情報を更新する。
【0029】
一方、入口ノードR1、R6は、ネットワーク制御装置10からの負荷分散指示にしたがって、入力してくる情報(パケット)を各パス(負荷分散経路)に振り分け、これにより負荷分散を実現する。
【0030】
図では、経路31は、入口ノードR1→ノードR2→出口ノードR3であり、経路31の負荷分散経路32は、入口ノードR1→ノードR4→ノードR5→出口ノードR3となっている。また、経路41は、入口ノードR6→ノードR7→出口ノードR8であり、経路41の負荷分散経路42は、入口ノードR6→ノードR4→ノードR5→出口ノードR8となっている。
【0031】
なお、負荷分散経路32、42は、最初から設定しておいてもよいし、トラヒックの負荷状態を随時監視して、ある経路の負荷が大きくなったときに、同じ宛先へ向かう代替経路を検索して負荷分散経路として設定してもよい。負荷分散制御の詳細な動作については図4以降で説明する。
【0032】
次に本発明が解決すべき問題点として、負荷分散後にあらたな輻輳が生じることについて詳しく説明する。図2はネットワークの負荷分散前の状態を示す図である。ネットワーク2には、ルータR101〜R108が配置されている。
【0033】
ルータR101をIngress、ルータR103をEgressとし、このペア(入出力ペアp1と呼ぶ)間に、経路31(ルータR101→ルータR102→ルータR103)のパスと、負荷分散のための負荷分散経路32(ルータR101→ルータR104→ルータR105→ルータR103)のパスとが張られている。
【0034】
また、ルータR106をIngress、ルータR108をEgressとし、このペア(入出力ペアp2と呼ぶ)間に、経路41(ルータR106→ルータR107→ルータR108)のパスと、負荷分散のための負荷分散経路42(ルータR106→ルータR104→ルータR105→ルータR108)のパスが張られている。
【0035】
今、トラヒック量が50Mbps以上を輻輳状態であるとし、入出力ペアp1の経路31に70Mbps、入出力ペアp2の経路41に50Mbpsのトラヒックがそれぞれ流れており、負荷分散経路32、42にはトラヒックが流れていないとする。このとき、経路31、41が輻輳し、負荷分散経路32、42の各リンクが空いていることになるので、入出力ペアp1、p2に対する負荷分散制御によりトラヒックの移動が行われる。
【0036】
従来では、まず入出力ペアp1に対する負荷分散制御の際に、経路31と負荷分散経路32の負荷が均等になるように、経路31から負荷分散経路32へ35Mbpsのトラヒックを移動するように制御する。また、入出力ペアp2に対する負荷分散制御では、経路41と負荷分散経路42の負荷が均等になるように、経路41から負荷分散経路42へ25Mbpsのトラヒックを移動するように制御する。
【0037】
図3はネットワークの負荷分散後の状態を示す図である。上記のような負荷分散制御を行うと、経路31は35Mbps、経路41は25Mbpsとなって、経路31、41の輻輳は回避される。
【0038】
ところが、ルータR104−ルータR105間のリンクには、負荷分散経路32の35Mbpsと、負荷分散経路42の25Mbpsとが合わさって、60Mbpsのトラヒックが流れることになり、ルータR104−ルータR105間のリンクにあらたな輻輳が発生してしまう。
【0039】
このように、従来では、複数の入出力ペアが、負荷が低いリンクに一度にトラヒックを移動させると、あらたな輻輳を生むといった問題があった。本発明では、トラヒック移動時にあらたな輻輳を生むことなく負荷分散し、かつ全体のオーバヘッドを低減して、ネットワークの伝送品質の向上を図るものである。
【0040】
次に入出力ペア毎に流れるトラヒック量を統計情報とした場合の本発明の負荷分散制御について詳しく説明する。図4はネットワークシステムの構成を示す図である。基本構成は図1と同じであるが、以降では、ネットワーク2をIPネットワーク2a、ノードR1〜R8をルータR1〜R8として、MPLSパケット転送時の負荷分散を行うものとして説明する。
【0041】
ルータR1をIngress、出口ルータR3をEgressとし、このペア(入出力ペアP1と呼ぶ)間に、経路31(ルータR1→ルータR2→ルータR3)のパスと、負荷分散のための負荷分散経路32(ルータR1→ルータR4→ルータR5→ルータR3)のパスとが張られている。
【0042】
また、ルータR6をIngress、ルータR8をEgressとし、このペア(入出力ペアP2と呼ぶ)間に、経路41(ルータR6→ルータR7→ルータR8)のパスと、負荷分散のための負荷分散経路42(ルータR6→ルータR4→ルータR5→ルータR8)のパスが張られている。なお、以降の説明ではわかりやすいように、図中のルータ間の各リンクに符号L1〜L9を付しておく。
【0043】
今、トラヒック量が50Mbps以上を輻輳状態であるとし、負荷分散前の状態として、入出力ペアP1の経路31に70Mbps、入出力ペアP2の経路41に50Mbpsのトラヒックがそれぞれ流れており、負荷分散経路32、負荷分散経路42にはトラヒックが流れていないとする。
【0044】
図5は管理データベース12内部で管理されるデータテーブルを示す図である。入出力ペア毎に流れるトラヒック量を統計情報とした場合、管理データベース12は、リンク、入出力ペア、トラヒック量の項目から構成されるデータテーブルT1を管理する。
【0045】
図6はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT1−1には、統計情報収集部11により収集された、負荷分散前の統計情報が記載されている。経路31は70Mbpsであるから、リンクL1、L2の入出力ペアP1のトラヒック量には70Mbpsと記載され、経路41は50Mbpsであるから、リンクL8、L9の入出力ペアP2のトラヒック量には50Mbpsと記載される。また、リンクL3〜リンクL7には、パケットは流れてないので、入出力ペアは“なし”、トラヒック量は“0”と記載される。
【0046】
ここで、負荷分散制御部13は、データテーブルT1−1を参照して、入出力ペアP1、P2に輻輳が発生していることを認識すると、まず、1回目の負荷分散制御として、データテーブルT1−1にもとづいて入出力ペアP1に対する負荷分散制御を行う。
【0047】
すなわち、入出力ペアP1間には経路31と負荷分散経路32が張られているので、負荷分散計算として70Mbpsを2分割して35Mbps(<50Mbps)を求める。そして、入口ルータR1に対して、経路31に流している70Mbpsのトラヒックの35Mbps分を、負荷分散経路32に流すように、負荷分散指示を与える。入口ルータR1は、この負荷分散指示を受け取ると、経路31から35Mbpsのパケット、負荷分散経路32から35Mbpsのパケットを流すようにする。
【0048】
図7はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT1−2は、負荷分散制御部13によって更新されたテーブルである。負荷分散制御部13は、上述のような負荷分散指示を入口ルータR1に与えると、トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する(データテーブルT1−1を更新し、データテーブルT1−2を作成する)。
【0049】
ここで、“トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する”とは、統計情報収集部11が各ルータと通信して得た実際の統計情報の収集及び統計情報収集部11によるデータテーブルの書き替えを待たずに、負荷分散制御部13は、負荷分散計算した値(予測値)にもとづき、データテーブルの内容を書き替えるということである。
【0050】
データテーブルT1−2には、負荷分散制御部13が1回目に負荷分散制御を行った際のデータ(予測値)が記載される。経路31と負荷分散経路32は、35Mbpsになっているはずであるから、リンクL1〜L5の入出力ペアP1のトラヒック量には35Mbpsと記載される。その他は図6のデータテーブルT1−1と同じ内容である。
【0051】
図8は1回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。1回目の負荷分散制御後、経路31、負荷分散経路32、経路41、負荷分散経路42にはそれぞれ、35Mbps、35Mbps、50Mbps、0Mbpsのトラヒックが流れることになる。また、経路31は50Mbps→35Mbpsとなり、輻輳は回避されている。
【0052】
次に負荷分散制御部13は、更新後の図7のデータテーブルT1−2を参照する。すると、入出力ペアP2が輻輳しているので、2回目の負荷分散制御として、データテーブルT1−2にもとづいて入出力ペアP2に対する負荷分散制御を行う。
【0053】
ここでは、入出力ペアP2間には経路41と負荷分散経路42が張られているが、データテーブルT1−2から経路41の負荷は50Mbpsであり、負荷分散経路42(リンクL4部分)の負荷は35Mbpsと認識する。
【0054】
したがって、負荷分散計算では、経路41及び負荷分散経路42がそれぞれ50Mbpsを超えないように、例えば、経路41から負荷分散経路42へのトラヒック移動量として、7.5Mbpsを求める(したがって、リンクL4は42.5(=35+7.5)Mbpsとなるから、あらたな輻輳状態にはならない)。
【0055】
そして、負荷分散制御部13は、入口ルータR6に対して、経路41に流している50Mbpsのトラヒックの7.5Mbps分を、負荷分散経路42に流すように、負荷分散指示を与える。入口ルータR6は、この負荷分散指示を受け取ると、経路41から42.5Mbpsのパケット、負荷分散経路42から7.5Mbpsのパケットを流すようにする。
【0056】
図9はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT1−3は、負荷分散制御部13によって更新されたテーブルである。負荷分散制御部13は、上述のような負荷分散指示を入口ルータR6に与えた後、トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する(データテーブルT1−2を更新し、データテーブルT1−3を作成する)。
【0057】
データテーブルT1−3には、負荷分散制御部13が2回目に負荷分散制御を行った際のデータ(予測値)が記載される。リンクL1〜L3、L5の各情報は、データテーブルT1−2と同様であり、リンクL4、L6〜L9の各情報が更新されることになる。
【0058】
リンクL4は、入出力ペアP1、P2に共に用いられ、入出力ペアP1は35Mbps、入出力ペアP2は7.5Mbpsと記載する。リンクL6、L7は入出力ペアP2で7.5Mbps、リンクL8、L9は、入出力ペアP2で42.5Mbpsとなる。
【0059】
図10は2回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。2回目の負荷分散制御後のトラヒック量としては、経路31のトラヒック量は35Mbpsであり、負荷分散経路32のトラヒック量は、リンクL3=リンクL5=35Mbps、リンクL4=42.5Mbps(35Mbps分が入出力ペアP1)である。また、経路41のトラヒック量は42.5Mbpsであり、負荷分散経路42のトラヒック量は、リンクL6=リンクL7=7.5Mbps、リンクL4=42.5Mbps(7.5Mbps分が入出力ペアP2)である。
【0060】
次に統計情報の収集周期と負荷分散の制御周期の関係について説明する。図11は統計情報収集周期と負荷分散制御周期の関係を示す概念図である。従来の場合の周期関係を示している。
【0061】
収集周期Cy1〜Cy5それぞれで、各ルータと通信を行った後、統計情報を収集し、収集した統計情報を参照して、負荷分散制御が行われる。例えば、収集周期Cy1で各ルータと通信を行って統計情報を収集し、データベース120−1に格納する。そして、データベース120−1に格納された統計情報を参照して負荷分散制御を行う。同様に、収集周期Cy2で各ルータと通信を行って統計情報を収集し、データベース120−2に格納する(データベース120−1を更新してデータベース120−2とする)。そして、データベース120−2に格納された統計情報を参照して負荷分散制御を行う。以降同様である。このように、従来では各ルータと通信を行って統計情報を収集し、収集した統計情報を参照して負荷分散制御を行っている。
【0062】
図12は統計情報収集周期と負荷分散制御周期の関係を示す概念図である。本発明の場合の周期関係を示している。本発明では、収集周期Cy1、Cy3、Cy5それぞれで、各ルータと通信を行った後、統計情報を収集する。また、収集した統計情報を参照して負荷分散制御を行った後は、次の統計情報の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづき負荷分散制御を行う。
【0063】
例えば、収集周期Cy1で各ルータと通信を行って統計情報を収集し、管理データベース12−1に格納する。負荷分散制御部13は、管理データベース12−1に格納された統計情報を参照して負荷分散制御を行い、このときの予測値(負荷分散計算値)で管理データベース12−1内のデータを更新する(更新されたデータを含むデータベースを管理データベース12−1aとする)。そして、次の負荷分散制御は、管理データベース12−1aを参照して負荷分散制御を行う。
【0064】
同様に、収集周期Cy2で各ルータと通信を行って統計情報を収集し、管理データベース12−2に格納する。負荷分散制御部13は、管理データベース12−2に格納された統計情報を参照して負荷分散制御を行い、このときの予測値(負荷分散計算値)で管理データベース12−2内のデータを更新する(更新されたデータを含むデータベースを管理データベース12−2aとする)。そして、次の負荷分散制御は、管理データベース12−2aを参照して負荷分散制御を行う。以降同様である。
【0065】
このように、本発明では、一定の周期で統計情報を収集し、負荷分散制御部13は、収集した統計情報にもとづいて負荷分散制御を行った後は、次の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづいて負荷分散制御を行う構成とした。これにより、統計情報の収集回数を削減することができ(ネットワーク内の各ルータとの通信回数を削減することができ)、全体のオーバヘッドを低減することが可能になる。
【0066】
次にルータが設定する経路毎に流れるトラヒック量を統計情報とした場合の本発明の負荷分散制御について詳しく説明する。図4に示したネットワークの状態にもとづき説明する。
【0067】
図13は管理データベース11内部で管理されるデータテーブルを示す図である。経路毎に流れるトラヒック量を統計情報とした場合、管理データベース12は、リンク、経路(パス)、トラヒック量の項目から構成されるデータテーブルT2を管理する。
【0068】
図14はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT2−1には、統計情報収集部11により収集された、負荷分散前の統計情報が記載されている。経路31は70Mbpsであるから、リンクL1、L2の経路31のトラヒック量には70Mbpsと記載され、経路41は50Mbpsであるから、リンクL8、L9の経路41のトラヒック量には50Mbpsと記載される。また、リンクL3〜リンクL7には、パケットは流れてないので、経路は“なし”、トラヒック量は“0”と記載される。
【0069】
ここで、負荷分散制御部13は、データテーブルT2−1を参照して、経路31、41に輻輳が発生していることを認識すると、まず、1回目の負荷分散制御として、データテーブルT2−1にもとづいて経路31に対する負荷分散制御を行う。
【0070】
すなわち、経路31に対して、負荷分散計算として70Mbpsを2分割して35Mbps(<50Mbps)を求める。そして、入口ルータR1に対して、経路31に流している70Mbpsのトラヒックの35Mbps分を、負荷分散経路32に流すように、負荷分散指示を与える。入口ルータR1は、この負荷分散指示を受け取ると、経路31から35Mbpsのパケット、負荷分散経路32から35Mbpsのパケットを流すようにする。
【0071】
図15はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT2−2は、負荷分散制御部13によって更新されたテーブルである。負荷分散制御部13は、上述のような負荷分散指示を入口ルータR1に与えると、トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する(データテーブルT2−1を更新し、データテーブルT2−2を作成する)。
【0072】
データテーブルT2−2には、負荷分散制御部13が1回目に負荷分散制御を行った際のデータ(予測値)が記載される。経路31と負荷分散経路32は、35Mbpsになっているはずであるから、リンクL1、L2の経路31のトラヒック量には35Mbpsと記載され、リンクL3〜L5の負荷分散経路32のトラヒック量には35Mbpsと記載される。その他は図14のデータテーブルT2−1と同じ内容である。
【0073】
このような制御により、ネットワーク状態は図8のようになる。すなわち、1回目の負荷分散制御後、経路31、負荷分散経路32、経路41、負荷分散経路42にはそれぞれ、35Mbps、35Mbps、50Mbps、0Mbpsのトラヒックが流れることになる。また、経路31は70Mbps→35Mbpsとなり、輻輳は回避されている。
【0074】
次に負荷分散制御部13は、更新後の図15のデータテーブルT2−2を参照する。すると、経路41が輻輳しているので、2回目の負荷分散制御として、データテーブルT2−2にもとづいて経路41に対する負荷分散制御を行う。
【0075】
ここでは、経路41に対し、データテーブルT2−2から経路41の負荷は50Mbpsであり、負荷分散経路42(リンクL4部分)の負荷は35Mbpsと認識する。
【0076】
したがって、負荷分散計算では、経路41及び負荷分散経路42がそれぞれ50Mbpsを超えないように、例えば、経路41から負荷分散経路42へのトラヒック移動量として、7.5Mbpsを求める(リンクL4は42.5(=35+7.5)Mbpsであるから、あらたな輻輳状態にはならない)。
【0077】
そして、入口ルータR6に対して、経路41に流している50Mbpsのトラヒックの7.5Mbps分を、負荷分散経路42に流すように、負荷分散指示を与える。入口ルータR6は、この負荷分散指示を受け取ると、経路41から42.5Mbpsのパケット、負荷分散経路42から7.5Mbpsのパケットを流すようにする。
【0078】
図16はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT2−3は、負荷分散制御部13によって更新されたテーブルである。負荷分散制御部13は、上述のような負荷分散指示を入口ルータR6に与えた後、トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する(データテーブルT2−2を更新し、データテーブルT2−3を作成する)。
【0079】
データテーブルT2−3には、負荷分散制御部13が2回目に負荷分散制御を行った際のデータ(予測値)が記載される。リンクL1〜L3、L5の各情報は、データテーブルT2−2と同様であり、リンクL4、L6〜L9の各情報が更新されることになる。
【0080】
リンクL4は、負荷分散経路32、42共に用いられ、負荷分散経路32のトラヒック量は35Mbps、負荷分散経路42のトラヒック量は7.5Mbpsと記載する。リンクL6、L7は負荷分散経路42でトラヒック量は7.5Mbps、リンクL8、L9は、経路41でトラヒック量は42.5Mbpsとなる。
【0081】
このような制御により、ネットワーク状態は図10のようになる。すなわち、2回目の負荷分散制御後のトラヒック量としては、経路31のトラヒック量は35Mbpsであり、負荷分散経路32のトラヒック量は、リンクL3=リンクL5=35Mbps、リンクL4=42.5Mbps(35Mbps分が負荷分散経路32)である。また、経路41のトラヒック量は42.5Mbpsであり、負荷分散経路42のトラヒック量は、リンクL6=リンクL7=7.5Mbps、リンクL4=42.5Mbps(7.5Mbps分が負荷分散経路42)である。
【0082】
次にルータを通過するフロー毎に流れるトラヒック量を統計情報とした場合の本発明の負荷分散制御について詳しく説明する。図17はネットワークシステムの構成を示す図である。基本構成は図4と同じであるが、経路31には、フローf1、f2が流れている。フローf1、f2は共に35Mbpsであり、経路31(70Mbps)は輻輳している。また、経路41には、フローf3〜f5が流れている。フローf3は30Mbps、フローf4は12.5Mbps、フローf5は7.5Mbpsであり、経路41(50Mbps)は輻輳している。
【0083】
図18は管理データベース12内部で管理されるデータテーブルを示す図である。フロー毎に流れるトラヒック量を統計情報とした場合、管理データベース12は、リンク、フロー、トラヒック量の項目から構成されるデータテーブルT3を管理する。
【0084】
図19はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT3−1には、統計情報収集部11により収集された、負荷分散前の統計情報が記載されている。70Mbpsの経路31に対し、リンクL1、L2のフローf1のトラヒック量には35Mbpsと記載され、リンクL1、L2のフローf2のトラヒック量には35Mbpsと記載される。
【0085】
また、50Mbpsの経路41に対し、リンクL8、L9のフローf3のトラヒック量には30Mbpsと記載され、リンクL8、L9のフローf4のトラヒック量には12.5Mbpsと記載され、リンクL8、L9のフローf5のトラヒック量には7.5Mbpsと記載される。また、リンクL3〜リンクL7には、パケットは流れてないのでフローは“なし”、トラヒック量は“0”と記載される。
【0086】
ここで、負荷分散制御部13は、データテーブルT3−1を参照して、経路31、41に輻輳が発生していることを認識すると、まず、1回目の負荷分散制御として、データテーブルT3−1にもとづいて経路31に対する負荷分散制御を行う。
【0087】
すなわち、経路31に対して、負荷分散計算として70Mbpsをフローf1、f2のそれぞれ35Mbpsに分割する。そして、入口ルータR1に対して、経路31にはフローf1を、負荷分散経路32にはフローf2を流すように、負荷分散指示を与える。入口ルータR1は、この負荷分散指示を受け取ると、経路31から35Mbpsのフローf1のパケット、負荷分散経路32から35Mbpsのフローf2のパケットを流すようにする。
【0088】
図20はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT3−2は、負荷分散制御部13によって更新されたテーブルである。負荷分散制御部13は、上述のような負荷分散指示を入口ルータR1に与えると、トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する(データテーブルT3−1を更新し、データテーブルT3−2を作成する)。
【0089】
データテーブルT3−2には、負荷分散制御部13が1回目に負荷分散制御を行った際のデータ(予測値)が記載される。経路31のリンクL1、L2はフローf1でありトラヒック量は35Mbps、負荷分散経路32のL3〜L5はフローf2でありトラヒック量は35Mbpsと記載される。その他は図19のデータテーブルT3−1と同じ内容である。
【0090】
図21は1回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。1回目の負荷分散制御後、経路31のリンクL1、L2にはフローf1の35Mbps、負荷分散経路32のリンクL3〜L5にはフローf2の35Mbpsのトラヒックが流れ、経路41、負荷分散経路42にはそれぞれ、50Mbps、0Mbpsのトラヒックが流れることになる。また、経路31は50Mbps→35Mbpsとなり、輻輳は回避されている。
【0091】
次に負荷分散制御部13は、更新後の図20のデータテーブルT3−2を参照する。すると、経路41が輻輳しているので、2回目の負荷分散制御として、データテーブルT3−2にもとづいて経路41に対する負荷分散制御を行う。
【0092】
ここでは、経路41に対し、データテーブルT3−2から経路41の負荷は50Mbpsであり、負荷分散経路42(リンクL4部分)の負荷は35Mbpsと認識する。
【0093】
したがって、負荷分散計算では、経路41及び負荷分散経路42がそれぞれ50Mbpsを超えないように、例えば、経路41から負荷分散経路42へのトラヒック移動量として、フローf5を負荷分散経路42へ流すようにする。
【0094】
そして、入口ルータR6に対して、経路41に流している7.5Mbpsのフローf5を、負荷分散経路42に流すように、負荷分散指示を与える。入口ルータR6は、この負荷分散指示を受け取ると、経路41からフローf3の30Mbpsのパケット及びフローf4の12.5Mbpsのパケットを流し、負荷分散経路42からフローf5の7.5Mbpsのパケットを流すようにする。
【0095】
図22はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT3−3は、負荷分散制御部13によって更新されたテーブルである。負荷分散制御部13は、上述のような負荷分散指示を入口ルータR6に与えた後、トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する(データテーブルT2−2を更新し、データテーブルT2−3を作成する)。
【0096】
データテーブルT3−3には、負荷分散制御部13が2回目に負荷分散制御を行った際のデータ(予測値)が記載される。リンクL1〜L3、L5の各情報は、データテーブルT3−2と同様であり、リンクL4、L6〜L9の各情報が更新されることになる。
【0097】
リンクL4は、フローf2、f5共に用いられ、フローf2はトラヒック量は35Mbps、フローf5はトラヒック量は7.5Mbpsと記載する。リンクL6、L7のフローf5のトラヒック量は7.5Mbpsであり、リンクL8、L9はフローf3、f4共に用いられ、フローf3は30Mbps、フローf4は12.5Mbpsである。
【0098】
図23は2回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。2回目の負荷分散制御後のトラヒック量としては、経路31のトラヒック量は35Mbpsであり、負荷分散経路32のトラヒック量は、リンクL3=リンクL5=35Mbps、リンクL4=42.5Mbps(35Mbps分がフローf2)である。また、経路41のトラヒック量は42.5Mbpsであり、負荷分散経路42のトラヒック量は、リンクL6=リンクL7=7.5Mbps、リンクL4=42.5Mbps(7.5Mbps分がフローf5)である。
【0099】
以上説明したように、本発明によれば、入出力ルータのペア毎に流れるトラヒック、ルータが設定する経路毎に流れるトラヒック、ルータを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として管理し、これらの統計情報に対して、入口/出口ルータ間の経路の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により統計情報を更新する構成とした。これにより、ネットワークの負荷を効率よく分散し、かつ統計情報の収集間隔を伸ばせるのでオーバヘッドを削減することができ、伝送品質の向上を図ることが可能になる。
【0100】
次に本発明の変形例について説明する。上記の説明では、ネットワーク制御装置10が統計情報収集部11、管理データベース12、負荷分散制御部13を有することで、ネットワーク制御装置10が負荷分散制御を集中的に行う構成としたが、本発明の変形例では、ネットワーク制御装置10には管理データベース12のみを持たせ、入口ルータに統計情報収集部11及び負荷分散制御部13を持たせて、入口ルータ側で自律分散的に負荷分散制御を行うものである。
【0101】
図24は本発明の変形例であるネットワークシステムの構成を示す図である。ネットワークシステム1aは、ネットワーク2内のルータR1〜R8と、ネットワーク制御装置10とを含む。入口ルータ50(ルータR1、R6)は、統計情報収集部51と負荷分散制御部53から構成され、ネットワーク制御装置10は管理データベース12を含む。
【0102】
統計情報収集部51は、ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集し、ネットワーク制御装置10と通信を行って、管理データベース12へ収集した統計情報を格納する。負荷分散制御部53は、ネットワーク制御装置10と通信を行って、管理データベース12内の統計情報にもとづいて、入口と出口のルータ間の経路の負荷分散計算を行い、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により管理データベース12内の統計情報を更新する。
【0103】
このように、統計情報収集部51と負荷分散制御部53を入口ルータ側に持たせることにより、ネットワーク制御装置10の処理負荷を軽減することが可能になる。
【0104】
以上説明したように、本発明によれば、従来の負荷分散にあった、あるリンクの輻輳を解消するためにトラヒックを移動させると、別のリンクが輻輳してしまうといった現象をなくすことが可能になる。また、入口ルータと出口ルータ間に複数のパスを設定し、入力トラヒックを複数パス間に分散させることによって、負荷を単一ルートへ集中することを回避でき、またネットワーク全体の利用効率向上と長期的な輻輳の回避を図ることができる。
【0105】
さらに、統計情報の予測値で管理データベース内の情報を更新し、更新したデータで負荷分散制御を行うので、統計情報の収集間隔を大きくしても適切な制御を行うことができ、統計情報収集のオーバヘッドを少なくすることができる。
【0106】
(付記1) ネットワークの負荷分散を行うネットワークシステムにおいて、
ネットワークの入口エッジに配置され、負荷分散指示にもとづき、トラヒックを複数の経路に振り分ける入口ノードと、
ネットワークの出口エッジに配置される出口ノードと、
ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集する統計情報収集部と、統計情報を格納管理する管理データベースと、前記管理データベース内の統計情報にもとづいて、前記入口ノードと前記出口ノード間の経路の負荷分散計算を行って、前記負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により前記管理データベース内の統計情報を更新する負荷分散制御部と、から構成されるネットワーク制御装置と、
を有することを特徴とするネットワークシステム。
【0107】
(付記2) 前記統計情報収集部は、一定の周期で統計情報を収集し、前記負荷分散制御部は、収集した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行った後は、次の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行うことを特徴とする付記1記載のネットワークシステム。
【0108】
(付記3) 前記管理データベースは、入出力ノードのペア毎に流れるトラヒック、ノードが設定する経路毎に流れるトラヒック、ノードを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として格納管理することを特徴とする付記1記載のネットワークシステム。
【0109】
(付記4) 前記負荷分散制御部は、リンクを複数のパスが共有する場合には、前記リンクが輻輳しないように負荷分散計算を行って、前記パスに負荷を割り当てることを特徴とする付記1記載のネットワークシステム。
【0110】
(付記5) ネットワークの負荷分散を行うネットワーク制御装置において、ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集する統計情報収集部と、
統計情報を格納管理する管理データベースと、
前記管理データベース内の統計情報にもとづいて、入口ノードと出口ノード間の経路の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により前記管理データベース内の統計情報を更新する負荷分散制御部と、
を有することを特徴とするネットワーク制御装置。
【0111】
(付記6) 前記統計情報収集部は、一定の周期で統計情報を収集し、前記負荷分散制御部は、収集した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行った後は、次の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行うことを特徴とする付記5記載のネットワーク制御装置。
【0112】
(付記7) 前記管理データベースは、入出力ノードのペア毎に流れるトラヒック、ノードが設定する経路毎に流れるトラヒック、ノードを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として格納管理することを特徴とする付記5記載のネットワーク制御装置。
【0113】
(付記8) 前記負荷分散制御部は、リンクを複数のパスが共有する場合には、前記リンクが輻輳しないように負荷分散計算を行って、前記パスに負荷を割り当てることを特徴とする付記5記載のネットワーク制御装置。
【0114】
(付記9) ネットワークの負荷分散を行うネットワークシステムにおいて、
統計情報を格納管理する管理データベースを含むネットワーク制御装置と、
ネットワークの出口エッジに配置される出口ノードと、
ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集し、前記管理データベースへ格納する統計情報収集部と、前記管理データベース内の統計情報にもとづいて、入口と出口ノード間の経路の負荷分散計算を行い、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により前記管理データベース内の統計情報を更新する負荷分散制御部と、から構成され、ネットワークの入口エッジに配置されてトラヒックを複数の経路に振り分ける入口ノードと、
を有することを特徴とするネットワークシステム。
【0115】
(付記10) 前記統計情報収集部は、一定の周期で統計情報を収集し、前記負荷分散制御部は、収集した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行った後は、次の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行うことを特徴とする付記9記載のネットワークシステム。
【0116】
(付記11) 前記管理データベースは、入出力ノードのペア毎に流れるトラヒック、ノードが設定する経路毎に流れるトラヒック、ノードを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として格納管理することを特徴とする付記9記載のネットワークシステム。
【0117】
(付記12) 前記負荷分散制御部は、リンクを複数のパスが共有する場合には、前記リンクが輻輳しないように負荷分散計算を行って、前記パスに負荷を割り当てることを特徴とする付記9記載のネットワークシステム。
【0118】
(付記13) ネットワーク管理を行うネットワーク制御装置において、
ネットワーク内のノードと通信を行う通信部と、
送信された統計情報を格納管理する管理データベースと、
を有することを特徴とするネットワーク制御装置。
【0119】
(付記14) 前記管理データベースは、入出力ノードのペア毎に流れるトラヒック、ノードが設定する経路毎に流れるトラヒック、ノードを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として格納管理することを特徴とする付記13記載のネットワーク制御装置。
【0120】
(付記15) ネットワークの入口エッジに配置されトラヒックを複数の経路に振り分ける入口ノードにおいて、
ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集し、管理データベースへ格納する統計情報収集部と、
前記管理データベース内の統計情報にもとづいて、入口と出口ノード間の経路の負荷分散計算を行い、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により前記管理データベース内の統計情報を更新する負荷分散制御部と、
を有することを特徴とする入口ノード。
【0121】
(付記16) 前記統計情報収集部は、一定の周期で統計情報を収集し、前記負荷分散制御部は、収集した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行った後は、次の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行うことを特徴とする付記15記載の入口ノード。
【0122】
(付記17) 前記負荷分散制御部は、リンクを複数のパスが共有する場合には、前記リンクが輻輳しないように負荷分散計算を行って、前記パスに負荷を割り当てることを特徴とする付記15記載の入口ノード。
【0123】
(付記18) ネットワークの負荷分散を行う負荷分散方法において、
ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集し、
管理データベースにより統計情報を格納管理し、
前記管理データベース内の統計情報にもとづいて、ノード間の経路の負荷分散計算を行い、1つの負荷分散計算が終わる毎に統計情報の予測値により前記管理データベース内の統計情報を更新することを特徴とする負荷分散方法。
【0124】
(付記19) 一定の周期で統計情報を収集し、収集した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行った後は、次の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行うことを特徴とする付記18記載の負荷分散方法。
【0125】
(付記20) 前記管理データベースは、入出力ノードのペア毎に流れるトラヒック、ノードが設定する経路毎に流れるトラヒック、ノードを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として格納管理することを特徴とする付記18記載の負荷分散方法。
【0126】
(付記21) リンクを複数のパスが共有する場合には、前記リンクが輻輳しないように負荷分散計算を行って、前記パスに負荷を割り当てることを特徴とする付記18記載の負荷分散方法。
【0127】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のネットワークシステムは、ネットワーク制御装置に対し、管理データベース内の統計情報にもとづいて、入口ノードと出口ノード間の経路の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により管理データベース内の統計情報を更新する構成とした。これにより、ネットワークの負荷を効率よく分散し、かつ統計情報の収集間隔を伸ばせるのでオーバヘッドを削減することができ、伝送品質の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のネットワークシステムの原理図である。
【図2】ネットワークの負荷分散前の状態を示す図である。
【図3】ネットワークの負荷分散後の状態を示す図である。
【図4】ネットワークシステムの構成を示す図である。
【図5】管理データベース内部で管理されるデータテーブルを示す図である。
【図6】データテーブルの内容を示す図である。
【図7】データテーブルの内容を示す図である。
【図8】1回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。
【図9】データテーブルの内容を示す図である。
【図10】2回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。
【図11】統計情報収集周期と負荷分散制御周期の関係を示す概念図である。
【図12】統計情報収集周期と負荷分散制御周期の関係を示す概念図である。
【図13】管理データベース内部で管理されるデータテーブルを示す図である。
【図14】データテーブルの内容を示す図である。
【図15】データテーブルの内容を示す図である。
【図16】データテーブルの内容を示す図である。
【図17】ネットワークシステムの構成を示す図である。
【図18】管理データベース内部で管理されるデータテーブルを示す図である。
【図19】データテーブルの内容を示す図である。
【図20】データテーブルの内容を示す図である。
【図21】1回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。
【図22】データテーブルの内容を示す図である。
【図23】2回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。
【図24】本発明の変形例であるネットワークシステムの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ネットワークシステム
2 ネットワーク
10 ネットワーク制御装置
11 統計情報収集部
12 管理データベース
13 負荷分散制御部
31、41 経路
32、42 負荷分散経路
R1〜R8 ノード
【発明の属する技術分野】
本発明はネットワークシステムに関し、特にネットワークの負荷分散を行うネットワークシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネットの爆発的な普及に伴って、転送されるパケットの量(トラヒック)が増加し続けている。また、近年のインターネットへのアクセスは、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)やCATV(Cable Television)、光ファイバなどの高速広帯域な回線を通してアクセスできるようになってきており、インターネット利用のボトルネックは、アクセス部分からネットワーク内部(コア)へ移ってきている。
【0003】
このような状況の中で、ネットワーク内の負荷は急激に増加しており、負荷に耐え切れずにネットワークがダウンすることのないように、ネットワーク負荷を効率よく分散させる負荷分散制御の重要性がますます高まってきている。
【0004】
現在、IP(Internet Protocol)ネットワークでパケットを転送するための経路を決定するための仕組みには、RIP(Routing Information Protocol)やOSPF(Open Shortest Path First)などのルーティングプロトコルがある。
【0005】
これらの既存のルーティングプロトコルは、ネットワークのリンクのコスト(メトリック)が与えられたときに、宛先までに通るリンクのコストの和が最小になるような最短経路を選択してパケット転送を行うものである。したがって、宛先が同じであるトラヒックは単一の経路しか通らないため、あるリンクにトラヒックが集中して輻輳が起こりやすい。
【0006】
このため、OSPFでは等コストマルチパス(Equal Cost Multipath)という技術を用いて負荷分散を行っている。これは宛先に至るまでの経路として、コストが等しくなるような経路が複数存在する場合に、その複数経路でパケットを分散させて転送する技術である。ところが、これはあくまでコストが等しくなる経路がたまたま存在するときのみ可能であり、常に輻輳を回避することができなかった。
【0007】
また、リンクのコストを負荷状態に応じて動的に変化させて、輻輳しているリンクを経路として選ばれにくくして負荷分散を行う技術もあるが、リンクのコストを変えただけで、ルーティングはホップごとに行われるので、この場合、トラヒックがどのような経路で流れるのかを予測するのは困難であり、負荷分散の効果も限られていた。
【0008】
一方、近年になって、従来のルーティングプロトコルにとらわれずに負荷分散を行うことのできる技術としてトラヒックエンジニアリングが注目されている。トラヒックエンジニアリングは、既存のルーティングプロトコルが決定する経路にはとらわれない任意の経路を用いてパケットを転送することで、ネットワーク内の輻輳回避を行ったり、あるいはネットワーク資源の効率的な利用を目指す技術である。
【0009】
トラヒックエンジニアリングを具体的に行うためのアーキテクチャとしては、MPLS(Multi−Protocol Label Switching)がある。MPLSは、LSP(Label Switched Path)と呼ばれる固定長ラベルをパケットに付けてパケット転送を行う方式である。
【0010】
このLSPの経路は、既存のルーティングプロトコルにしたがった経路にもできるし、既存のルーティングプロトコルには依存しないで任意の経路を明示的に設定することもできる。したがって、MPLSを利用して、ある宛先まで複数のLSPを設定し、トラヒックをその複数のLSPにうまく分散して流すことで、輻輳を回避するような負荷分散が可能となる。
【0011】
従来のトラヒックエンジニアリングによる負荷分散技術としては、トラヒック特性を収集して負荷を演算し、演算結果により伝送経路を追加/削除して負荷を分散する装置などが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0012】
【特許文献1】
特開2001−320420号公報(段落番号〔0010〕〜〔0019〕,第1図)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
トラヒックエンジニアリングによる負荷分散では、入口(Ingress)ルータと出口(Egress)ルータ間に複数のパスを設定し、入力トラヒックを複数パス間に分散させることによって、負荷を単一ルートへ集中することを回避する。
【0014】
負荷分散計算は入出力ペア(Ingress−Egressペア)を単位にして行われるが、従来では、いくつもの入出力ペアが、負荷が低いリンクに一度にトラヒックを移動させてしまう場合があり、これがあらたな輻輳を生む可能性があるといった問題があった。
【0015】
また、上記の従来技術(特開2001−320420号公報)では、トラヒック特性を収集した後に負荷を演算して、負荷分散を行っている。このため、頻繁にトラヒック特性の収集制御を行うことになり(なぜなら、収集したトラヒック特性で負荷分散を行う場合、正確な負荷分散を行うためには、常に新しいトラヒック特性の情報が必要となるから)、オーバヘッドが大きくなるといった問題があった。
【0016】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ネットワークの負荷を効率よく分散して、伝送品質の向上を図ったネットワークシステムを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明では上記課題を解決するために、図1に示すような、ネットワーク2の負荷分散を行うネットワークシステム1において、ネットワーク2の入口エッジに配置され、負荷分散指示にもとづき、トラヒックを複数の経路に振り分ける入口ノードR1、R6と、ネットワーク2の出口エッジに配置される出口ノードR3、R8と、ネットワーク2内のノードと通信を行って統計情報を収集する統計情報収集部11と、統計情報を格納管理する管理データベース12と、管理データベース12内の統計情報にもとづいて、入口ノードR1、R6と出口ノードR3、R8間の経路31、41の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により管理データベース12内の統計情報を更新する負荷分散制御部13と、から構成されるネットワーク制御装置10と、を有することを特徴とするネットワークシステム1が提供される。
【0018】
ここで、入口ノードR1、R6は、ネットワーク2の入口エッジに配置され、負荷分散指示にもとづき、トラヒックを複数の経路に振り分ける。出口ノードR3、R8は、ネットワーク2の出口エッジに配置される。統計情報収集部11は、ネットワーク2内のノードと通信を行って統計情報を収集する。管理データベース12は、統計情報を格納管理する。負荷分散制御部13は、管理データベース12内の統計情報にもとづいて、入口ノードR1、R6と出口ノードR3、R8間の経路31、41の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により管理データベース12内の統計情報を更新する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明のネットワークシステムの原理図である。ネットワークシステム1は、ネットワーク2内のノードR1〜R8と、ネットワーク制御装置10とを含み、ネットワーク2のトラヒックの負荷分散を行うシステムである。
【0020】
ノードR1、R6は、ネットワーク2の入口エッジに配置される入口(Ingress)ノードであり、ノードR3、R8は、ネットワーク2の出口エッジに配置される出口(Egress)ノードである。その他のノードR2、R4、R5、R7はコアノードである。
【0021】
なお、ネットワーク制御装置10は、ノードR1〜ノードR8と論理的に接続して、各ノードと通信を行う(物理的な接続は、ネットワーク2内のどれか1台のノードと接続すればよい)。
【0022】
統計情報収集部11は、ネットワーク2内のノードR1〜R8と通信(例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)などを利用しての通信)を行って、一定の周期で統計情報を収集する。
【0023】
統計情報とは、トラヒック量またはリンク使用率のことである。例えば、リンク(“リンク”はノード間をつなぐ物理的な伝送路と定義する)の物理帯域が100Mbpsのとき、トラヒック量が70Mbpsなら、このリンク使用率は70%として表せる。
【0024】
ただし、トラヒック量は、必ずしも負荷の高低を正確に表すとは限らない。なぜなら、帯域100Mbpsのリンクのトラヒック量が70Mbpsならば負荷は高いが、帯域1Gbpsのリンクのトラヒック量が70Mbpsならば負荷は高いとはいえないからである。
【0025】
したがって、ノード間の各リンクの帯域が異なる場合には、統計情報としてはリンク使用率を用いることになるが、以降では説明を簡潔に行うために、統計情報はすべてトラヒック量を意味するものとして説明する。
【0026】
管理データベース12は、統計情報収集部11で収集した統計情報、または負荷分散制御部13が予測した統計情報を格納し管理する。管理形式としては、入出力(Ingress/Egress)ノードのペア毎に流れるトラヒック(トラヒック量)、ノードが設定する経路(“経路”とはノード間の論理的な伝送路と定義する。なお、“経路”と“パス”とは同じ意味として以降用いる)毎に流れるトラヒック、ノードを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として管理する。詳細は後述する。
【0027】
負荷分散制御部13は、管理データベース12内の統計情報にもとづいて、入口ノードR1と出口ノードR3間の経路31及び入口ノードR6と出口ノードR8間の経路41の負荷分散制御を行う。
【0028】
すなわち、管理データベース12内の統計情報にもとづいて、入口ノードR1と出口ノードR3間の経路31及び入口ノードR6と出口ノードR8間の経路41の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を入口ルータR1、R6に出力する。なお、この場合、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により管理データベース12内の統計情報を更新する。
【0029】
一方、入口ノードR1、R6は、ネットワーク制御装置10からの負荷分散指示にしたがって、入力してくる情報(パケット)を各パス(負荷分散経路)に振り分け、これにより負荷分散を実現する。
【0030】
図では、経路31は、入口ノードR1→ノードR2→出口ノードR3であり、経路31の負荷分散経路32は、入口ノードR1→ノードR4→ノードR5→出口ノードR3となっている。また、経路41は、入口ノードR6→ノードR7→出口ノードR8であり、経路41の負荷分散経路42は、入口ノードR6→ノードR4→ノードR5→出口ノードR8となっている。
【0031】
なお、負荷分散経路32、42は、最初から設定しておいてもよいし、トラヒックの負荷状態を随時監視して、ある経路の負荷が大きくなったときに、同じ宛先へ向かう代替経路を検索して負荷分散経路として設定してもよい。負荷分散制御の詳細な動作については図4以降で説明する。
【0032】
次に本発明が解決すべき問題点として、負荷分散後にあらたな輻輳が生じることについて詳しく説明する。図2はネットワークの負荷分散前の状態を示す図である。ネットワーク2には、ルータR101〜R108が配置されている。
【0033】
ルータR101をIngress、ルータR103をEgressとし、このペア(入出力ペアp1と呼ぶ)間に、経路31(ルータR101→ルータR102→ルータR103)のパスと、負荷分散のための負荷分散経路32(ルータR101→ルータR104→ルータR105→ルータR103)のパスとが張られている。
【0034】
また、ルータR106をIngress、ルータR108をEgressとし、このペア(入出力ペアp2と呼ぶ)間に、経路41(ルータR106→ルータR107→ルータR108)のパスと、負荷分散のための負荷分散経路42(ルータR106→ルータR104→ルータR105→ルータR108)のパスが張られている。
【0035】
今、トラヒック量が50Mbps以上を輻輳状態であるとし、入出力ペアp1の経路31に70Mbps、入出力ペアp2の経路41に50Mbpsのトラヒックがそれぞれ流れており、負荷分散経路32、42にはトラヒックが流れていないとする。このとき、経路31、41が輻輳し、負荷分散経路32、42の各リンクが空いていることになるので、入出力ペアp1、p2に対する負荷分散制御によりトラヒックの移動が行われる。
【0036】
従来では、まず入出力ペアp1に対する負荷分散制御の際に、経路31と負荷分散経路32の負荷が均等になるように、経路31から負荷分散経路32へ35Mbpsのトラヒックを移動するように制御する。また、入出力ペアp2に対する負荷分散制御では、経路41と負荷分散経路42の負荷が均等になるように、経路41から負荷分散経路42へ25Mbpsのトラヒックを移動するように制御する。
【0037】
図3はネットワークの負荷分散後の状態を示す図である。上記のような負荷分散制御を行うと、経路31は35Mbps、経路41は25Mbpsとなって、経路31、41の輻輳は回避される。
【0038】
ところが、ルータR104−ルータR105間のリンクには、負荷分散経路32の35Mbpsと、負荷分散経路42の25Mbpsとが合わさって、60Mbpsのトラヒックが流れることになり、ルータR104−ルータR105間のリンクにあらたな輻輳が発生してしまう。
【0039】
このように、従来では、複数の入出力ペアが、負荷が低いリンクに一度にトラヒックを移動させると、あらたな輻輳を生むといった問題があった。本発明では、トラヒック移動時にあらたな輻輳を生むことなく負荷分散し、かつ全体のオーバヘッドを低減して、ネットワークの伝送品質の向上を図るものである。
【0040】
次に入出力ペア毎に流れるトラヒック量を統計情報とした場合の本発明の負荷分散制御について詳しく説明する。図4はネットワークシステムの構成を示す図である。基本構成は図1と同じであるが、以降では、ネットワーク2をIPネットワーク2a、ノードR1〜R8をルータR1〜R8として、MPLSパケット転送時の負荷分散を行うものとして説明する。
【0041】
ルータR1をIngress、出口ルータR3をEgressとし、このペア(入出力ペアP1と呼ぶ)間に、経路31(ルータR1→ルータR2→ルータR3)のパスと、負荷分散のための負荷分散経路32(ルータR1→ルータR4→ルータR5→ルータR3)のパスとが張られている。
【0042】
また、ルータR6をIngress、ルータR8をEgressとし、このペア(入出力ペアP2と呼ぶ)間に、経路41(ルータR6→ルータR7→ルータR8)のパスと、負荷分散のための負荷分散経路42(ルータR6→ルータR4→ルータR5→ルータR8)のパスが張られている。なお、以降の説明ではわかりやすいように、図中のルータ間の各リンクに符号L1〜L9を付しておく。
【0043】
今、トラヒック量が50Mbps以上を輻輳状態であるとし、負荷分散前の状態として、入出力ペアP1の経路31に70Mbps、入出力ペアP2の経路41に50Mbpsのトラヒックがそれぞれ流れており、負荷分散経路32、負荷分散経路42にはトラヒックが流れていないとする。
【0044】
図5は管理データベース12内部で管理されるデータテーブルを示す図である。入出力ペア毎に流れるトラヒック量を統計情報とした場合、管理データベース12は、リンク、入出力ペア、トラヒック量の項目から構成されるデータテーブルT1を管理する。
【0045】
図6はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT1−1には、統計情報収集部11により収集された、負荷分散前の統計情報が記載されている。経路31は70Mbpsであるから、リンクL1、L2の入出力ペアP1のトラヒック量には70Mbpsと記載され、経路41は50Mbpsであるから、リンクL8、L9の入出力ペアP2のトラヒック量には50Mbpsと記載される。また、リンクL3〜リンクL7には、パケットは流れてないので、入出力ペアは“なし”、トラヒック量は“0”と記載される。
【0046】
ここで、負荷分散制御部13は、データテーブルT1−1を参照して、入出力ペアP1、P2に輻輳が発生していることを認識すると、まず、1回目の負荷分散制御として、データテーブルT1−1にもとづいて入出力ペアP1に対する負荷分散制御を行う。
【0047】
すなわち、入出力ペアP1間には経路31と負荷分散経路32が張られているので、負荷分散計算として70Mbpsを2分割して35Mbps(<50Mbps)を求める。そして、入口ルータR1に対して、経路31に流している70Mbpsのトラヒックの35Mbps分を、負荷分散経路32に流すように、負荷分散指示を与える。入口ルータR1は、この負荷分散指示を受け取ると、経路31から35Mbpsのパケット、負荷分散経路32から35Mbpsのパケットを流すようにする。
【0048】
図7はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT1−2は、負荷分散制御部13によって更新されたテーブルである。負荷分散制御部13は、上述のような負荷分散指示を入口ルータR1に与えると、トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する(データテーブルT1−1を更新し、データテーブルT1−2を作成する)。
【0049】
ここで、“トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する”とは、統計情報収集部11が各ルータと通信して得た実際の統計情報の収集及び統計情報収集部11によるデータテーブルの書き替えを待たずに、負荷分散制御部13は、負荷分散計算した値(予測値)にもとづき、データテーブルの内容を書き替えるということである。
【0050】
データテーブルT1−2には、負荷分散制御部13が1回目に負荷分散制御を行った際のデータ(予測値)が記載される。経路31と負荷分散経路32は、35Mbpsになっているはずであるから、リンクL1〜L5の入出力ペアP1のトラヒック量には35Mbpsと記載される。その他は図6のデータテーブルT1−1と同じ内容である。
【0051】
図8は1回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。1回目の負荷分散制御後、経路31、負荷分散経路32、経路41、負荷分散経路42にはそれぞれ、35Mbps、35Mbps、50Mbps、0Mbpsのトラヒックが流れることになる。また、経路31は50Mbps→35Mbpsとなり、輻輳は回避されている。
【0052】
次に負荷分散制御部13は、更新後の図7のデータテーブルT1−2を参照する。すると、入出力ペアP2が輻輳しているので、2回目の負荷分散制御として、データテーブルT1−2にもとづいて入出力ペアP2に対する負荷分散制御を行う。
【0053】
ここでは、入出力ペアP2間には経路41と負荷分散経路42が張られているが、データテーブルT1−2から経路41の負荷は50Mbpsであり、負荷分散経路42(リンクL4部分)の負荷は35Mbpsと認識する。
【0054】
したがって、負荷分散計算では、経路41及び負荷分散経路42がそれぞれ50Mbpsを超えないように、例えば、経路41から負荷分散経路42へのトラヒック移動量として、7.5Mbpsを求める(したがって、リンクL4は42.5(=35+7.5)Mbpsとなるから、あらたな輻輳状態にはならない)。
【0055】
そして、負荷分散制御部13は、入口ルータR6に対して、経路41に流している50Mbpsのトラヒックの7.5Mbps分を、負荷分散経路42に流すように、負荷分散指示を与える。入口ルータR6は、この負荷分散指示を受け取ると、経路41から42.5Mbpsのパケット、負荷分散経路42から7.5Mbpsのパケットを流すようにする。
【0056】
図9はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT1−3は、負荷分散制御部13によって更新されたテーブルである。負荷分散制御部13は、上述のような負荷分散指示を入口ルータR6に与えた後、トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する(データテーブルT1−2を更新し、データテーブルT1−3を作成する)。
【0057】
データテーブルT1−3には、負荷分散制御部13が2回目に負荷分散制御を行った際のデータ(予測値)が記載される。リンクL1〜L3、L5の各情報は、データテーブルT1−2と同様であり、リンクL4、L6〜L9の各情報が更新されることになる。
【0058】
リンクL4は、入出力ペアP1、P2に共に用いられ、入出力ペアP1は35Mbps、入出力ペアP2は7.5Mbpsと記載する。リンクL6、L7は入出力ペアP2で7.5Mbps、リンクL8、L9は、入出力ペアP2で42.5Mbpsとなる。
【0059】
図10は2回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。2回目の負荷分散制御後のトラヒック量としては、経路31のトラヒック量は35Mbpsであり、負荷分散経路32のトラヒック量は、リンクL3=リンクL5=35Mbps、リンクL4=42.5Mbps(35Mbps分が入出力ペアP1)である。また、経路41のトラヒック量は42.5Mbpsであり、負荷分散経路42のトラヒック量は、リンクL6=リンクL7=7.5Mbps、リンクL4=42.5Mbps(7.5Mbps分が入出力ペアP2)である。
【0060】
次に統計情報の収集周期と負荷分散の制御周期の関係について説明する。図11は統計情報収集周期と負荷分散制御周期の関係を示す概念図である。従来の場合の周期関係を示している。
【0061】
収集周期Cy1〜Cy5それぞれで、各ルータと通信を行った後、統計情報を収集し、収集した統計情報を参照して、負荷分散制御が行われる。例えば、収集周期Cy1で各ルータと通信を行って統計情報を収集し、データベース120−1に格納する。そして、データベース120−1に格納された統計情報を参照して負荷分散制御を行う。同様に、収集周期Cy2で各ルータと通信を行って統計情報を収集し、データベース120−2に格納する(データベース120−1を更新してデータベース120−2とする)。そして、データベース120−2に格納された統計情報を参照して負荷分散制御を行う。以降同様である。このように、従来では各ルータと通信を行って統計情報を収集し、収集した統計情報を参照して負荷分散制御を行っている。
【0062】
図12は統計情報収集周期と負荷分散制御周期の関係を示す概念図である。本発明の場合の周期関係を示している。本発明では、収集周期Cy1、Cy3、Cy5それぞれで、各ルータと通信を行った後、統計情報を収集する。また、収集した統計情報を参照して負荷分散制御を行った後は、次の統計情報の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづき負荷分散制御を行う。
【0063】
例えば、収集周期Cy1で各ルータと通信を行って統計情報を収集し、管理データベース12−1に格納する。負荷分散制御部13は、管理データベース12−1に格納された統計情報を参照して負荷分散制御を行い、このときの予測値(負荷分散計算値)で管理データベース12−1内のデータを更新する(更新されたデータを含むデータベースを管理データベース12−1aとする)。そして、次の負荷分散制御は、管理データベース12−1aを参照して負荷分散制御を行う。
【0064】
同様に、収集周期Cy2で各ルータと通信を行って統計情報を収集し、管理データベース12−2に格納する。負荷分散制御部13は、管理データベース12−2に格納された統計情報を参照して負荷分散制御を行い、このときの予測値(負荷分散計算値)で管理データベース12−2内のデータを更新する(更新されたデータを含むデータベースを管理データベース12−2aとする)。そして、次の負荷分散制御は、管理データベース12−2aを参照して負荷分散制御を行う。以降同様である。
【0065】
このように、本発明では、一定の周期で統計情報を収集し、負荷分散制御部13は、収集した統計情報にもとづいて負荷分散制御を行った後は、次の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづいて負荷分散制御を行う構成とした。これにより、統計情報の収集回数を削減することができ(ネットワーク内の各ルータとの通信回数を削減することができ)、全体のオーバヘッドを低減することが可能になる。
【0066】
次にルータが設定する経路毎に流れるトラヒック量を統計情報とした場合の本発明の負荷分散制御について詳しく説明する。図4に示したネットワークの状態にもとづき説明する。
【0067】
図13は管理データベース11内部で管理されるデータテーブルを示す図である。経路毎に流れるトラヒック量を統計情報とした場合、管理データベース12は、リンク、経路(パス)、トラヒック量の項目から構成されるデータテーブルT2を管理する。
【0068】
図14はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT2−1には、統計情報収集部11により収集された、負荷分散前の統計情報が記載されている。経路31は70Mbpsであるから、リンクL1、L2の経路31のトラヒック量には70Mbpsと記載され、経路41は50Mbpsであるから、リンクL8、L9の経路41のトラヒック量には50Mbpsと記載される。また、リンクL3〜リンクL7には、パケットは流れてないので、経路は“なし”、トラヒック量は“0”と記載される。
【0069】
ここで、負荷分散制御部13は、データテーブルT2−1を参照して、経路31、41に輻輳が発生していることを認識すると、まず、1回目の負荷分散制御として、データテーブルT2−1にもとづいて経路31に対する負荷分散制御を行う。
【0070】
すなわち、経路31に対して、負荷分散計算として70Mbpsを2分割して35Mbps(<50Mbps)を求める。そして、入口ルータR1に対して、経路31に流している70Mbpsのトラヒックの35Mbps分を、負荷分散経路32に流すように、負荷分散指示を与える。入口ルータR1は、この負荷分散指示を受け取ると、経路31から35Mbpsのパケット、負荷分散経路32から35Mbpsのパケットを流すようにする。
【0071】
図15はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT2−2は、負荷分散制御部13によって更新されたテーブルである。負荷分散制御部13は、上述のような負荷分散指示を入口ルータR1に与えると、トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する(データテーブルT2−1を更新し、データテーブルT2−2を作成する)。
【0072】
データテーブルT2−2には、負荷分散制御部13が1回目に負荷分散制御を行った際のデータ(予測値)が記載される。経路31と負荷分散経路32は、35Mbpsになっているはずであるから、リンクL1、L2の経路31のトラヒック量には35Mbpsと記載され、リンクL3〜L5の負荷分散経路32のトラヒック量には35Mbpsと記載される。その他は図14のデータテーブルT2−1と同じ内容である。
【0073】
このような制御により、ネットワーク状態は図8のようになる。すなわち、1回目の負荷分散制御後、経路31、負荷分散経路32、経路41、負荷分散経路42にはそれぞれ、35Mbps、35Mbps、50Mbps、0Mbpsのトラヒックが流れることになる。また、経路31は70Mbps→35Mbpsとなり、輻輳は回避されている。
【0074】
次に負荷分散制御部13は、更新後の図15のデータテーブルT2−2を参照する。すると、経路41が輻輳しているので、2回目の負荷分散制御として、データテーブルT2−2にもとづいて経路41に対する負荷分散制御を行う。
【0075】
ここでは、経路41に対し、データテーブルT2−2から経路41の負荷は50Mbpsであり、負荷分散経路42(リンクL4部分)の負荷は35Mbpsと認識する。
【0076】
したがって、負荷分散計算では、経路41及び負荷分散経路42がそれぞれ50Mbpsを超えないように、例えば、経路41から負荷分散経路42へのトラヒック移動量として、7.5Mbpsを求める(リンクL4は42.5(=35+7.5)Mbpsであるから、あらたな輻輳状態にはならない)。
【0077】
そして、入口ルータR6に対して、経路41に流している50Mbpsのトラヒックの7.5Mbps分を、負荷分散経路42に流すように、負荷分散指示を与える。入口ルータR6は、この負荷分散指示を受け取ると、経路41から42.5Mbpsのパケット、負荷分散経路42から7.5Mbpsのパケットを流すようにする。
【0078】
図16はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT2−3は、負荷分散制御部13によって更新されたテーブルである。負荷分散制御部13は、上述のような負荷分散指示を入口ルータR6に与えた後、トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する(データテーブルT2−2を更新し、データテーブルT2−3を作成する)。
【0079】
データテーブルT2−3には、負荷分散制御部13が2回目に負荷分散制御を行った際のデータ(予測値)が記載される。リンクL1〜L3、L5の各情報は、データテーブルT2−2と同様であり、リンクL4、L6〜L9の各情報が更新されることになる。
【0080】
リンクL4は、負荷分散経路32、42共に用いられ、負荷分散経路32のトラヒック量は35Mbps、負荷分散経路42のトラヒック量は7.5Mbpsと記載する。リンクL6、L7は負荷分散経路42でトラヒック量は7.5Mbps、リンクL8、L9は、経路41でトラヒック量は42.5Mbpsとなる。
【0081】
このような制御により、ネットワーク状態は図10のようになる。すなわち、2回目の負荷分散制御後のトラヒック量としては、経路31のトラヒック量は35Mbpsであり、負荷分散経路32のトラヒック量は、リンクL3=リンクL5=35Mbps、リンクL4=42.5Mbps(35Mbps分が負荷分散経路32)である。また、経路41のトラヒック量は42.5Mbpsであり、負荷分散経路42のトラヒック量は、リンクL6=リンクL7=7.5Mbps、リンクL4=42.5Mbps(7.5Mbps分が負荷分散経路42)である。
【0082】
次にルータを通過するフロー毎に流れるトラヒック量を統計情報とした場合の本発明の負荷分散制御について詳しく説明する。図17はネットワークシステムの構成を示す図である。基本構成は図4と同じであるが、経路31には、フローf1、f2が流れている。フローf1、f2は共に35Mbpsであり、経路31(70Mbps)は輻輳している。また、経路41には、フローf3〜f5が流れている。フローf3は30Mbps、フローf4は12.5Mbps、フローf5は7.5Mbpsであり、経路41(50Mbps)は輻輳している。
【0083】
図18は管理データベース12内部で管理されるデータテーブルを示す図である。フロー毎に流れるトラヒック量を統計情報とした場合、管理データベース12は、リンク、フロー、トラヒック量の項目から構成されるデータテーブルT3を管理する。
【0084】
図19はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT3−1には、統計情報収集部11により収集された、負荷分散前の統計情報が記載されている。70Mbpsの経路31に対し、リンクL1、L2のフローf1のトラヒック量には35Mbpsと記載され、リンクL1、L2のフローf2のトラヒック量には35Mbpsと記載される。
【0085】
また、50Mbpsの経路41に対し、リンクL8、L9のフローf3のトラヒック量には30Mbpsと記載され、リンクL8、L9のフローf4のトラヒック量には12.5Mbpsと記載され、リンクL8、L9のフローf5のトラヒック量には7.5Mbpsと記載される。また、リンクL3〜リンクL7には、パケットは流れてないのでフローは“なし”、トラヒック量は“0”と記載される。
【0086】
ここで、負荷分散制御部13は、データテーブルT3−1を参照して、経路31、41に輻輳が発生していることを認識すると、まず、1回目の負荷分散制御として、データテーブルT3−1にもとづいて経路31に対する負荷分散制御を行う。
【0087】
すなわち、経路31に対して、負荷分散計算として70Mbpsをフローf1、f2のそれぞれ35Mbpsに分割する。そして、入口ルータR1に対して、経路31にはフローf1を、負荷分散経路32にはフローf2を流すように、負荷分散指示を与える。入口ルータR1は、この負荷分散指示を受け取ると、経路31から35Mbpsのフローf1のパケット、負荷分散経路32から35Mbpsのフローf2のパケットを流すようにする。
【0088】
図20はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT3−2は、負荷分散制御部13によって更新されたテーブルである。負荷分散制御部13は、上述のような負荷分散指示を入口ルータR1に与えると、トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する(データテーブルT3−1を更新し、データテーブルT3−2を作成する)。
【0089】
データテーブルT3−2には、負荷分散制御部13が1回目に負荷分散制御を行った際のデータ(予測値)が記載される。経路31のリンクL1、L2はフローf1でありトラヒック量は35Mbps、負荷分散経路32のL3〜L5はフローf2でありトラヒック量は35Mbpsと記載される。その他は図19のデータテーブルT3−1と同じ内容である。
【0090】
図21は1回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。1回目の負荷分散制御後、経路31のリンクL1、L2にはフローf1の35Mbps、負荷分散経路32のリンクL3〜L5にはフローf2の35Mbpsのトラヒックが流れ、経路41、負荷分散経路42にはそれぞれ、50Mbps、0Mbpsのトラヒックが流れることになる。また、経路31は50Mbps→35Mbpsとなり、輻輳は回避されている。
【0091】
次に負荷分散制御部13は、更新後の図20のデータテーブルT3−2を参照する。すると、経路41が輻輳しているので、2回目の負荷分散制御として、データテーブルT3−2にもとづいて経路41に対する負荷分散制御を行う。
【0092】
ここでは、経路41に対し、データテーブルT3−2から経路41の負荷は50Mbpsであり、負荷分散経路42(リンクL4部分)の負荷は35Mbpsと認識する。
【0093】
したがって、負荷分散計算では、経路41及び負荷分散経路42がそれぞれ50Mbpsを超えないように、例えば、経路41から負荷分散経路42へのトラヒック移動量として、フローf5を負荷分散経路42へ流すようにする。
【0094】
そして、入口ルータR6に対して、経路41に流している7.5Mbpsのフローf5を、負荷分散経路42に流すように、負荷分散指示を与える。入口ルータR6は、この負荷分散指示を受け取ると、経路41からフローf3の30Mbpsのパケット及びフローf4の12.5Mbpsのパケットを流し、負荷分散経路42からフローf5の7.5Mbpsのパケットを流すようにする。
【0095】
図22はデータテーブルの内容を示す図である。データテーブルT3−3は、負荷分散制御部13によって更新されたテーブルである。負荷分散制御部13は、上述のような負荷分散指示を入口ルータR6に与えた後、トラヒック移動による統計情報を予測して、予測値にもとづきデータテーブルを更新する(データテーブルT2−2を更新し、データテーブルT2−3を作成する)。
【0096】
データテーブルT3−3には、負荷分散制御部13が2回目に負荷分散制御を行った際のデータ(予測値)が記載される。リンクL1〜L3、L5の各情報は、データテーブルT3−2と同様であり、リンクL4、L6〜L9の各情報が更新されることになる。
【0097】
リンクL4は、フローf2、f5共に用いられ、フローf2はトラヒック量は35Mbps、フローf5はトラヒック量は7.5Mbpsと記載する。リンクL6、L7のフローf5のトラヒック量は7.5Mbpsであり、リンクL8、L9はフローf3、f4共に用いられ、フローf3は30Mbps、フローf4は12.5Mbpsである。
【0098】
図23は2回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。2回目の負荷分散制御後のトラヒック量としては、経路31のトラヒック量は35Mbpsであり、負荷分散経路32のトラヒック量は、リンクL3=リンクL5=35Mbps、リンクL4=42.5Mbps(35Mbps分がフローf2)である。また、経路41のトラヒック量は42.5Mbpsであり、負荷分散経路42のトラヒック量は、リンクL6=リンクL7=7.5Mbps、リンクL4=42.5Mbps(7.5Mbps分がフローf5)である。
【0099】
以上説明したように、本発明によれば、入出力ルータのペア毎に流れるトラヒック、ルータが設定する経路毎に流れるトラヒック、ルータを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として管理し、これらの統計情報に対して、入口/出口ルータ間の経路の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により統計情報を更新する構成とした。これにより、ネットワークの負荷を効率よく分散し、かつ統計情報の収集間隔を伸ばせるのでオーバヘッドを削減することができ、伝送品質の向上を図ることが可能になる。
【0100】
次に本発明の変形例について説明する。上記の説明では、ネットワーク制御装置10が統計情報収集部11、管理データベース12、負荷分散制御部13を有することで、ネットワーク制御装置10が負荷分散制御を集中的に行う構成としたが、本発明の変形例では、ネットワーク制御装置10には管理データベース12のみを持たせ、入口ルータに統計情報収集部11及び負荷分散制御部13を持たせて、入口ルータ側で自律分散的に負荷分散制御を行うものである。
【0101】
図24は本発明の変形例であるネットワークシステムの構成を示す図である。ネットワークシステム1aは、ネットワーク2内のルータR1〜R8と、ネットワーク制御装置10とを含む。入口ルータ50(ルータR1、R6)は、統計情報収集部51と負荷分散制御部53から構成され、ネットワーク制御装置10は管理データベース12を含む。
【0102】
統計情報収集部51は、ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集し、ネットワーク制御装置10と通信を行って、管理データベース12へ収集した統計情報を格納する。負荷分散制御部53は、ネットワーク制御装置10と通信を行って、管理データベース12内の統計情報にもとづいて、入口と出口のルータ間の経路の負荷分散計算を行い、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により管理データベース12内の統計情報を更新する。
【0103】
このように、統計情報収集部51と負荷分散制御部53を入口ルータ側に持たせることにより、ネットワーク制御装置10の処理負荷を軽減することが可能になる。
【0104】
以上説明したように、本発明によれば、従来の負荷分散にあった、あるリンクの輻輳を解消するためにトラヒックを移動させると、別のリンクが輻輳してしまうといった現象をなくすことが可能になる。また、入口ルータと出口ルータ間に複数のパスを設定し、入力トラヒックを複数パス間に分散させることによって、負荷を単一ルートへ集中することを回避でき、またネットワーク全体の利用効率向上と長期的な輻輳の回避を図ることができる。
【0105】
さらに、統計情報の予測値で管理データベース内の情報を更新し、更新したデータで負荷分散制御を行うので、統計情報の収集間隔を大きくしても適切な制御を行うことができ、統計情報収集のオーバヘッドを少なくすることができる。
【0106】
(付記1) ネットワークの負荷分散を行うネットワークシステムにおいて、
ネットワークの入口エッジに配置され、負荷分散指示にもとづき、トラヒックを複数の経路に振り分ける入口ノードと、
ネットワークの出口エッジに配置される出口ノードと、
ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集する統計情報収集部と、統計情報を格納管理する管理データベースと、前記管理データベース内の統計情報にもとづいて、前記入口ノードと前記出口ノード間の経路の負荷分散計算を行って、前記負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により前記管理データベース内の統計情報を更新する負荷分散制御部と、から構成されるネットワーク制御装置と、
を有することを特徴とするネットワークシステム。
【0107】
(付記2) 前記統計情報収集部は、一定の周期で統計情報を収集し、前記負荷分散制御部は、収集した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行った後は、次の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行うことを特徴とする付記1記載のネットワークシステム。
【0108】
(付記3) 前記管理データベースは、入出力ノードのペア毎に流れるトラヒック、ノードが設定する経路毎に流れるトラヒック、ノードを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として格納管理することを特徴とする付記1記載のネットワークシステム。
【0109】
(付記4) 前記負荷分散制御部は、リンクを複数のパスが共有する場合には、前記リンクが輻輳しないように負荷分散計算を行って、前記パスに負荷を割り当てることを特徴とする付記1記載のネットワークシステム。
【0110】
(付記5) ネットワークの負荷分散を行うネットワーク制御装置において、ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集する統計情報収集部と、
統計情報を格納管理する管理データベースと、
前記管理データベース内の統計情報にもとづいて、入口ノードと出口ノード間の経路の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により前記管理データベース内の統計情報を更新する負荷分散制御部と、
を有することを特徴とするネットワーク制御装置。
【0111】
(付記6) 前記統計情報収集部は、一定の周期で統計情報を収集し、前記負荷分散制御部は、収集した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行った後は、次の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行うことを特徴とする付記5記載のネットワーク制御装置。
【0112】
(付記7) 前記管理データベースは、入出力ノードのペア毎に流れるトラヒック、ノードが設定する経路毎に流れるトラヒック、ノードを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として格納管理することを特徴とする付記5記載のネットワーク制御装置。
【0113】
(付記8) 前記負荷分散制御部は、リンクを複数のパスが共有する場合には、前記リンクが輻輳しないように負荷分散計算を行って、前記パスに負荷を割り当てることを特徴とする付記5記載のネットワーク制御装置。
【0114】
(付記9) ネットワークの負荷分散を行うネットワークシステムにおいて、
統計情報を格納管理する管理データベースを含むネットワーク制御装置と、
ネットワークの出口エッジに配置される出口ノードと、
ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集し、前記管理データベースへ格納する統計情報収集部と、前記管理データベース内の統計情報にもとづいて、入口と出口ノード間の経路の負荷分散計算を行い、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により前記管理データベース内の統計情報を更新する負荷分散制御部と、から構成され、ネットワークの入口エッジに配置されてトラヒックを複数の経路に振り分ける入口ノードと、
を有することを特徴とするネットワークシステム。
【0115】
(付記10) 前記統計情報収集部は、一定の周期で統計情報を収集し、前記負荷分散制御部は、収集した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行った後は、次の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行うことを特徴とする付記9記載のネットワークシステム。
【0116】
(付記11) 前記管理データベースは、入出力ノードのペア毎に流れるトラヒック、ノードが設定する経路毎に流れるトラヒック、ノードを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として格納管理することを特徴とする付記9記載のネットワークシステム。
【0117】
(付記12) 前記負荷分散制御部は、リンクを複数のパスが共有する場合には、前記リンクが輻輳しないように負荷分散計算を行って、前記パスに負荷を割り当てることを特徴とする付記9記載のネットワークシステム。
【0118】
(付記13) ネットワーク管理を行うネットワーク制御装置において、
ネットワーク内のノードと通信を行う通信部と、
送信された統計情報を格納管理する管理データベースと、
を有することを特徴とするネットワーク制御装置。
【0119】
(付記14) 前記管理データベースは、入出力ノードのペア毎に流れるトラヒック、ノードが設定する経路毎に流れるトラヒック、ノードを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として格納管理することを特徴とする付記13記載のネットワーク制御装置。
【0120】
(付記15) ネットワークの入口エッジに配置されトラヒックを複数の経路に振り分ける入口ノードにおいて、
ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集し、管理データベースへ格納する統計情報収集部と、
前記管理データベース内の統計情報にもとづいて、入口と出口ノード間の経路の負荷分散計算を行い、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により前記管理データベース内の統計情報を更新する負荷分散制御部と、
を有することを特徴とする入口ノード。
【0121】
(付記16) 前記統計情報収集部は、一定の周期で統計情報を収集し、前記負荷分散制御部は、収集した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行った後は、次の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行うことを特徴とする付記15記載の入口ノード。
【0122】
(付記17) 前記負荷分散制御部は、リンクを複数のパスが共有する場合には、前記リンクが輻輳しないように負荷分散計算を行って、前記パスに負荷を割り当てることを特徴とする付記15記載の入口ノード。
【0123】
(付記18) ネットワークの負荷分散を行う負荷分散方法において、
ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集し、
管理データベースにより統計情報を格納管理し、
前記管理データベース内の統計情報にもとづいて、ノード間の経路の負荷分散計算を行い、1つの負荷分散計算が終わる毎に統計情報の予測値により前記管理データベース内の統計情報を更新することを特徴とする負荷分散方法。
【0124】
(付記19) 一定の周期で統計情報を収集し、収集した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行った後は、次の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行うことを特徴とする付記18記載の負荷分散方法。
【0125】
(付記20) 前記管理データベースは、入出力ノードのペア毎に流れるトラヒック、ノードが設定する経路毎に流れるトラヒック、ノードを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として格納管理することを特徴とする付記18記載の負荷分散方法。
【0126】
(付記21) リンクを複数のパスが共有する場合には、前記リンクが輻輳しないように負荷分散計算を行って、前記パスに負荷を割り当てることを特徴とする付記18記載の負荷分散方法。
【0127】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のネットワークシステムは、ネットワーク制御装置に対し、管理データベース内の統計情報にもとづいて、入口ノードと出口ノード間の経路の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により管理データベース内の統計情報を更新する構成とした。これにより、ネットワークの負荷を効率よく分散し、かつ統計情報の収集間隔を伸ばせるのでオーバヘッドを削減することができ、伝送品質の向上を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のネットワークシステムの原理図である。
【図2】ネットワークの負荷分散前の状態を示す図である。
【図3】ネットワークの負荷分散後の状態を示す図である。
【図4】ネットワークシステムの構成を示す図である。
【図5】管理データベース内部で管理されるデータテーブルを示す図である。
【図6】データテーブルの内容を示す図である。
【図7】データテーブルの内容を示す図である。
【図8】1回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。
【図9】データテーブルの内容を示す図である。
【図10】2回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。
【図11】統計情報収集周期と負荷分散制御周期の関係を示す概念図である。
【図12】統計情報収集周期と負荷分散制御周期の関係を示す概念図である。
【図13】管理データベース内部で管理されるデータテーブルを示す図である。
【図14】データテーブルの内容を示す図である。
【図15】データテーブルの内容を示す図である。
【図16】データテーブルの内容を示す図である。
【図17】ネットワークシステムの構成を示す図である。
【図18】管理データベース内部で管理されるデータテーブルを示す図である。
【図19】データテーブルの内容を示す図である。
【図20】データテーブルの内容を示す図である。
【図21】1回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。
【図22】データテーブルの内容を示す図である。
【図23】2回目の負荷分散制御後のトラヒック状態を示す図である。
【図24】本発明の変形例であるネットワークシステムの構成を示す図である。
【符号の説明】
1 ネットワークシステム
2 ネットワーク
10 ネットワーク制御装置
11 統計情報収集部
12 管理データベース
13 負荷分散制御部
31、41 経路
32、42 負荷分散経路
R1〜R8 ノード
Claims (5)
- ネットワークの負荷分散を行うネットワークシステムにおいて、
ネットワークの入口エッジに配置され、負荷分散指示にもとづき、トラヒックを複数の経路に振り分ける入口ノードと、
ネットワークの出口エッジに配置される出口ノードと、
ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集する統計情報収集部と、統計情報を格納管理する管理データベースと、前記管理データベース内の統計情報にもとづいて、前記入口ノードと前記出口ノード間の経路の負荷分散計算を行って、前記負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により前記管理データベース内の統計情報を更新する負荷分散制御部と、から構成されるネットワーク制御装置と、
を有することを特徴とするネットワークシステム。 - 前記統計情報収集部は、一定の周期で統計情報を収集し、前記負荷分散制御部は、収集した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行った後は、次の収集周期までは、予測・更新した統計情報にもとづいて負荷分散計算を行うことを特徴とする請求項1記載のネットワークシステム。
- 前記管理データベースは、入出力ノードのペア毎に流れるトラヒック、ノードが設定する経路毎に流れるトラヒック、ノードを通過するフロー毎のトラヒック、のいずれかを統計情報として格納管理することを特徴とする請求項1記載のネットワークシステム。
- 前記負荷分散制御部は、リンクを複数のパスが共有する場合には、前記リンクが輻輳しないように負荷分散計算を行って、前記パスに負荷を割り当てることを特徴とする請求項1記載のネットワークシステム。
- ネットワークの負荷分散を行うネットワーク制御装置において、
ネットワーク内のノードと通信を行って統計情報を収集する統計情報収集部と、
統計情報を格納管理する管理データベースと、
前記管理データベース内の統計情報にもとづいて、入口ノードと出口ノード間の経路の負荷分散計算を行って、負荷分散指示を出力し、1つの負荷分散計算が終わる毎に、統計情報の予測値により前記管理データベース内の統計情報を更新する負荷分散制御部と、
を有することを特徴とするネットワーク制御装置。
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