JP2004140692A - 画像補正装置および画像補正方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】画像補正装置1は、ヒストグラム生成部11とレベル補正部12とを含む輝度補正部10と、加算処理部20とを有する。輝度補正部10は、画像中の対象画素の輝度補正をするために、ヒストグラム生成部11で対象画素を含む部分領域の輝度ヒストグラムを生成して、レベル補正部12で輝度ヒストグラムを変形する。加算処理部20は、輝度補正部10で輝度補正された画像と、補正前の画像とを重み付け加算する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理技術に関するものであり、特に、画像の輝度を補正することにより画像の視認性を向上させるための画像補正技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、画像の視認性を向上させるための画像補正技術として、画像中の対象画素を含む部分領域の輝度分布に基づいてその対象画素の輝度を補正することにより画像を補正する技術が知られている。
【0003】
この画像補正技術では、対象画素を含む部分領域でレベル補正を行なうことによって、その対象画素の輝度を補正する。具体的には、画像中での画素の位置を(i,j)として、まず、補正対象画像F(i,j)中の部分領域Dにおける局所平均画像G(i,j)を式(1)により求める。次に、その部分領域Dでの局所分散画像σ2(i,j)を式(2)により求める。そして、その部分領域ごとに正規化された正規化画像H(i,j)を式(3)により求める。
【0004】
【数1】
【数2】
ただし、Nは部分領域Dに含まれる画素数である。
【数3】
【0005】
この画像補正によれば、画像中に輝度の高い部分と低い部分とが存在する場合に、それぞれの部分でダイナミックレンジが拡大される。その結果、画像の高輝度部分と低輝度部分の各々の部分で視認性を向上させることができる。
【0006】
この出願に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。このうち、上記の技術は、非特許文献1に記載されている。
【0007】
【非特許文献1】
河田聡著「科学計測のための画像データ処理」CQ出版、1994年4月30日、p.113−117
【特許文献1】
特開2000−3448号公報(第1頁、第2図)
【特許文献2】
特開2001−34748号公報(第1頁、第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記非特許文献1の画像補正技術では、部分領域が全体的に高輝度であるか、または全体的に低輝度である場合には、対象画素が中程度の輝度に補正される。これは、部分領域の輝度ヒストグラムが低輝度側または高輝度側に偏っている場合に、そのような部分領域にレベル補正を施すと、輝度のダイナミックレンジが広げられる結果、対象画素が中程度の輝度に補正されるからである。そして、輝度が中程度に補正される結果、画像の自然な感じが損なわれる可能性がある。
【0009】
例えば、画像中に窓の外の風景が映った明るい部分と、室内が映った暗い部分とがある場合を考える。非特許文献1の部分領域を使った補正技術によれば、明るい部分も暗い部分もそれぞれの領域の輝度分布に基づいて補正される。これにより、室内の暗い部分に例えば人が映っている場合に、その人をよりはっきりと認識することができる。その一方で、そのような暗い部分では、人やその周りを含む全体が灰色に近づき、その結果、自然な感じが損なわれてしまう。
【0010】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、画像の輝度補正によって画像が中程度の輝度に補正されることを抑制するための技術を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像補正装置は、画像中の対象画素を含む部分領域の輝度分布に基づいてその対象画素の輝度を補正することにより画像を補正する輝度補正手段と、前記輝度補正手段により補正された画像の輝度と補正前の画像の輝度とを重み付け加算する加算処理手段とを有している。
【0012】
この構成により、加算処理手段は、輝度補正手段によって補正された画像の輝度と補正前の画像の輝度とを重み付け加算するので、高輝度部分および低輝度部分の両部分の視認性を向上させるという輝度補正手段による補正の効果を得つつ、そのような高輝度部分および低輝度部分が中程度輝度化することを制限することができる。
【0013】
また、本発明の画像補正装置では、前記輝度補正手段は、前記部分領域をレベル補正することにより対象画素の輝度を補正する。
【0014】
この構成により、レベル補正による視認性向上の効果を得つつ、そのレベル補正による高輝度部分および低輝度部分の中程度輝度化を制限することができる。
【0015】
また、本発明の画像補正装置では、前記加算処理手段は、前記レベル補正に伴う高輝度部及び低輝度部の中程度輝度化を制限する重み付け係数を用いて、重み付け加算する。
【0016】
この構成により、レベル補正に伴う高輝度部及び低輝度部の中程度輝度化を制限するための重み付け係数が好適に設定される。
【0017】
本発明は、上述したような装置の態様に限定されない。本発明の別の態様は、画像補正方法、画像補正方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、およびそのプログラムを格納した記録媒体である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態の画像補正装置1を示す機能ブロック図である。図2は、本実施の形態の画像処理システム100の構成図である。図1の画像補正装置1は、図2に示す画像処理装置101に組み込まれる。
【0020】
以下、図2を参照して、画像処理装置101を含む画像処理システム100の全体の構成を説明し、それから、図1を参照して、画像処理装置101に組み込まれる画像補正装置1について説明する。
【0021】
図2に示すように、本実施の形態の画像処理システム100は、画像処理装置101と、その画像処理装置101に接続されるカメラ102およびモニタ103とを含む。画像処理装置101は、典型的には、CPU、ROMおよびRAMを含むコンピュータである。カメラ102は、被写体を撮影することにより画像データを生成する。画像処理装置101は、カメラ102が生成した画像データを取り込んで、種々の画像処理を施し、モニタ103に出力する。モニタ103は、画像処理装置101から受けた画像データを用いて画面上に画像を表示する。
【0022】
画像処理システム100は、典型的には、監視システムに応用される。この場合には、カメラ102は所定の位置に備え付けられ、カメラ102で撮影された画像が、画像処理装置101とモニタ103とを備えた監視位置において表示される。
【0023】
なお、カメラ102と画像処理装置101とは、ネットワークを介して接続されていてもよい。画像処理装置101およびモニタ103も同様に、ネットワークを介して接続されてもよい。さらに、画像処理装置101は、カメラ102またはモニタ103と無線通信で接続されてもよい。
【0024】
次に、図1を参照して、画像補正装置1を説明する。上記のように、画像補正装置1は、画像処理装置101に組み込まれる。すなわち、画像処理装置101のコンピュータが画像補正用のプログラムを実行することにより、画像補正装置1が実現される。
【0025】
画像補正装置1は、輝度補正部10、加算処理部20および係数記憶部21を含む。図1に示すように、画像補正装置1には、補正対象画像が入力される。輝度補正部10は、入力された補正対象画像中の対象画素を含む部分領域の輝度分布に基づいてその対象画素の輝度を補正することにより画像を補正する。本実施の形態では、輝度補正部10は、上記の非特許文献1と同様にして、部分領域ごとにレベル補正を行なうことにより画像の輝度を補正する。
【0026】
加算処理部20は、係数記憶部21に記憶された重み付け係数を用いて、輝度補正部10によって補正された画像と補正前の画像とを重み付け加算する。加算処理部20により生成された画像は、補正後の画像として出力される。
【0027】
なお、加算処理部20から出力された画像に対して更なる別の画像補正がされてもよいし、既に何らかの画像補正を受けた画像が輝度補正部10に入力されてもよいことはもちろんである。
【0028】
図3は、輝度補正部10による画像補正処理を示す図である。輝度補正部10は、対象画素を含む部分領域のレベル補正に基づいてその対象画素の輝度を補正し、そのような補正を画像全体の画素について行なうことにより、画像を補正する。
【0029】
輝度補正部10は、この画像補正のために、部分領域の輝度ヒストグラムを生成するヒストグラム生成部11と、生成された輝度ヒストグラムを変形することにより部分領域をレベル補正するレベル補正部12とを有する。
【0030】
図3に示すように、本実施の形態では、部分領域32の形状は矩形である(以下、「矩形領域32」と記す。)。そして、対象画素33に対してその画素を中心に含む位置に矩形領域32が設定される。
【0031】
また、本実施の形態では、補正対象画像31のサイズを縦Lドット×横Nドットとし、矩形領域32のサイズを縦Pドット×横Mドットとする。補正対象画像31のサイズは、例えば縦240ドット×横320ドットであり、矩形領域32のサイズは、例えば縦10ドット×横10ドットである。
【0032】
以下では、補正対象画像31の画素位置を、左上を(0,0)として、(i,j)により表し(i=0,1,・・・,N−1、j=0,1,・・・,L−1)、矩形領域32内の画素位置を、左上を(0,0)として(k,l)により表す(k=0,1,・・・,M−1、l=0,1,・・・,P−1)。
【0033】
ヒストグラム生成部11は、位置(i,j)の対象画素33を補正するために、(i,j)を中心とする矩形領域32を設定して、その矩形領域32に含まれる画素(k,l)のすべての輝度値を取得する。このために、ヒストグラム生成部11は、矩形領域32内で、kを0からM−1まで増加させていきながら右隣りの画素の輝度値を順に取得していく。そして、kがM−1まで達すると、lを増加させて下の行に移り、再び矩形領域32内でkを増加させながらその行の画素の輝度値を左から右に順に取得していく。このようにして、lを増加させていきながら一行ずつ輝度値を取得していき、lがP−1に達して最終行までくると、矩形領域32のすべての画素の輝度値が取得されたことになる。
【0034】
ヒストグラム生成部11は、上記のようにして、ある対象画素33を中心とする矩形領域32のすべての画素の輝度値を取得して、その矩形領域32の輝度ヒストグラムを生成する。レベル補正部12は、上記非特許文献1に記載の技術と同様に、前出の式(1)〜(3)に従ってレベル補正を行なう。原理的には、ヒストグラム変形によるレベル補正の計算が矩形領域32に対して行われる。ただし、実際に輝度値を補正するのは、対象画素のみである。すなわち、領域中心である対象画素の輝度補正値が、変形されたヒストグラムから採用される。この処理が、以下に説明するように、対象画素(および矩形領域)をずらしながら繰り返し行われる。
【0035】
すなわち、上記のようにして、ある対象画素33の輝度が補正されると、次にiを増加させて、その右隣りの画素を新たな対象画素33とする。ヒストグラム生成部11は、その新たな対象画素33を中心とする新たな矩形領域32に含まれる画素の輝度値を取得して輝度ヒストグラムを生成する。そして、レベル補正部12は、対象画素33の輝度値を、矩形領域32にレベル補正がされたときの対象画素33の輝度値に補正する。
【0036】
このようにして、補正対象画像31内でiを0〜N−1まで増加させていきながら右隣りの対象画素の輝度値を順に補正していく。そして、iがN−1まできたら、jを増加させて下の行に移り、その行の画素を左から右にiを増加させながら補正していく。このようにして、jを増加させていきながら一行ずつ輝度値を補正していき、jがL−1に達して最終行までくると、補正対象画像31の全ての画素の輝度が補正されたことになる。
【0037】
図4は、図3のレベル補正に伴う輝度ヒストグラムの変形を示す図である。図4は、異なる輝度分布を持った3つの部分領域の処理を例示している。
【0038】
図4(a)〜(c)において、上段は、いずれもヒストグラム生成部11により生成された補正前の矩形領域32の輝度ヒストグラムである。図4(a)は、中程度の輝度が多い輝度分布を持つ矩形領域32の輝度ヒストグラムであり、図4(b)および(c)は、それぞれ低輝度側および高輝度側に偏った輝度分布を持つ部分領域の輝度ヒストグラムである。画像中では、図4(b)が明るい部分に相当し、図4(c)が暗い部分に相当する。
【0039】
レベル補正部12によって図4(a)〜(c)それぞれの上段に示した輝度ヒストグラムにレベル補正を施すと、同図の下段に示した輝度ヒストグラムに変形される。図4に示すように、このレベル補正によって、輝度分布の範囲が広げられる。したがって、図4(b)や(c)のように矩形領域32の輝度分布が低輝度側または高輝度側に偏っている部分で、輝度分布の範囲が広げられ、画素間の輝度差が広げられ、その結果、画像の視認性が向上する。
【0040】
しかしながら、上記の視認性向上という利点が得られる反面、このような部分領域ごとのレベル補正を行なうと、図4(b)の低輝度部分や図4(c)の高輝度部分がより中程度の輝度に補正される傾向があるという問題がある。
【0041】
すなわち、図4(b)のように、矩形領域32の輝度分布が低輝度側に偏っている場合には、レベル補正によって輝度分布の範囲が広げられた結果、対象画素33も高輝度側に補正される可能性が高い。そして、このような領域を含んだ低輝度部分(画像中の暗い部分)の全体に、上記のレベル補正が行われる結果、その低輝度部分は本来の画像よりも全体的に高輝度側に補正された画像となってしまう。
【0042】
一方、図4(c)のように、矩形領域32の輝度分布が高輝度側に偏っている場合には、逆に、対象画素の輝度が低輝度側に補正される可能性が高い。その結果、図4(c)のような領域を含む高輝度部分(画像中の明るい部分)が、本来の画像よりも全体的に低輝度側に補正された画像となってしまう。
【0043】
画像の中程度輝度化とは、このように、画像中の低輝度部分が本来の画像よりも高輝度側に補正された画像となり、また、画像中の高輝度部分が本来の画像よりも低輝度側に補正された画像となることをいう。実際の画像では、本来は明るい白色の部分が少し暗い色になり、また、本来は黒色の部分が灰色がかることになる。
【0044】
このような画像の中程度輝度化は、画像を不自然にする。そこで、この画像の中程度輝度化を抑制するために、本実施の形態では、図1に示されるように、加算処理部20が設けられている。加算処理部20は、輝度補正部10により補正された画像の輝度と補正前の画像の輝度とを、係数記憶部21に記憶された重み付け係数によって重み付け加算する。
【0045】
具体的に、加算処理部20は、輝度補正部10により補正される前の画像の輝度値をA(i,j)、輝度補正部10により補正された画像の輝度値をB(i,j)として、重み付け係数をα(0<α<1)とすると、重み付け加算処理による画像の輝度値R(i,j)を式(4)により算出する。
【数4】
【0046】
ここで、係数記憶部21に記憶される重み付け係数αは、0<α<1の範囲で適宜に設定されてよい。重み付け係数αは、好適には、輝度補正部10によるレベル補正に伴って高輝度部及び低輝度部が中程度の輝度となることを制限する値に設定される。重み付け係数αは、好ましくは、0.3〜0.5の範囲に設定される。
【0047】
図5は、重み付け加算処理の例を示す図である。図5の例では、補正前画像41が輝度補正部10により補正されることで補正後画像42になる。図5に示すように、部分領域を用いたレベル補正により、補正前画像41の低輝度部分において認識が困難であった人の形が、補正後画像42では、人とその背景との輝度差が広がって、認識し易くなっている。その反面、補正前画像41の低輝度部分と、補正後画像42の低輝度部分とを比較すると、補正後の低輝度部分では、全体的に輝度が高くなっており、画像の自然な感じが損なわれている。
【0048】
そこで、より自然な画像を得るために、加算処理部20が補正前画像41と補正後画像42とを画素ごとに重み付け加算する。このとき、補正前画像41のある画素413と、その画素に対応する補正後画像42の画素423とが重み付け加算され、画素430となる。画素430の輝度値は、補正前の画素413の輝度値と補正後の画素423の輝度値との間の値となる。
【0049】
このようにして、補正前画像41の低輝度部分や高輝度部分の輝度補正による中程度輝度化を、補正前画像を用いた重み付け加算処理によって抑制することができる。
【0050】
ここで、加算処理部20は、輝度補正部10で補正された画素423に対して、補正前画像41のその画素に対応する画素413の輝度を重み付け加算するので、補正前の画素413が低輝度または高輝度であるほど、輝度補正部10で中程度に補正された輝度をより低輝度側またはより高輝度側に戻すことができる。その結果、オリジナル画像中の低輝度部分はより低輝度になるとともに、高輝度部分はより高輝度になるよう、画像全体の輝度が適切に補正される。
【0051】
図6は、上述した画像補正装置1により実行される画像補正処理のフローチャートである。なお、図6中のi、j等の記号は、図3に示されている。
【0052】
本実施の形態の画像補正処理は、まずヒストグラム生成部11で対象画素(i,j)を中心とする矩形領域32の輝度ヒストグラムを生成する(S10〜S16)。ヒストグラム生成部11は、矩形領域32内の画素(k,l)の輝度値を取得し(S10)、kがM−1に達したか否かを判断する(S11)。kがM−1に達していない場合は(S11でNO)、kに1を加えて(S12)、次に右隣りの画素の輝度を取得する。kがM−1に達した場合は(S11でYES)、kをリセットして(S13)、lがP−1に達したか否かを判断する(S14)。lがP−1に達していない場合は(S14でNO)、lに1を加えて次の行に移る(S15)。lがP−1に達した場合は(S14でYES)、lをリセットする(S16)。このようにして、矩形領域32内の全ての画素について輝度値が取得されて、その矩形領域32の輝度ヒストグラムが生成される。
【0053】
輝度ヒストグラムが生成されると、次に、その輝度ヒストグラムをレベル補正部12で変形して、その対象画素をレベル補正する(S17)。次に、その対象画素のレベル補正後の輝度値と、レベル補正前のその対象画素の輝度値とが加算処理部20によって重み付け加算される(S18)。以上のようにして、対象画素(i,j)の輝度値が算出される。
【0054】
次に、iがN−1に達したか否かを判断して(S19)、iがN−1に達していない場合は(S19でNO)、iに1を加えて(S20)、右隣りの画素を対象画素とする。一方、iがN−1に達した場合は(S19でYES)、iをリセットして(S21)、jがL−1に達したか否かを判断する(S22)。jがL−1に達していない場合は(S22でNO)、jに1を加えて次の行の画素を対象画素とする(S23)。jがL−1に達した場合は(S22でYES)、画像補正処理を終了する。
【0055】
以上説明した画像補正処理によって、対象画素は、図3に示すように、画像上で左から右に、そして、上から下に移動して、順に、輝度補正部10および加算処理部20による補正を受ける。
【0056】
以上のように、本実施の形態の画像補正装置1は、輝度補正部10が画像中の対象画素を含む部分領域の輝度分布に基づいてその対象画素の輝度を補正することにより画像を補正するので、この補正によって画像中の高輝度部分および低輝度部分の各々の部分で画素間の輝度差が広げられ、画像の視認性が向上する。画像補正装置1は、さらに、加算処理部20が輝度補正部10により補正された画像の輝度と補正前の画像の輝度とを重み付け加算するので、上記の部分領域を使った補正による視認性向上の効果を得つつ、低輝度部分はより低輝度に、かつ高輝度部分はより高輝度になるように画像の輝度を補正することができ、輝度の中程度輝度化を制限できる。その結果、より自然な画像が生成される。
【0057】
なお、本実施の形態の画像補正装置1は、好適には、画像の明るさを調整する機能を備えていないカメラによって撮影された画像を補正するために用いられる。そのようなカメラによって撮影された画像には、画像中に輝度の高い部分と低い部分とが存在して、高輝度部分が白くとび気味であったり、低輝度部分が黒くつぶれ気味になっていたりすることがある。本実施の形態の画像補正装置1によれば、そのような部分の画像の視認性を向上させることができるとともに、その画像の自然な感じを損なわないように補正することができる。
【0058】
また、上記の実施の形態では、部分領域を矩形の領域としたが、部分領域の形状は、矩形に限られず、円形や菱形であってもよい。また、部分領域は、対象画像を中心に含むように設定されなくてもよい。対象画素に対する部分領域の位置関係は、部分領域を使った輝度補正の効果が得られる範囲でどのような位置関係であってもよい。
【0059】
また、上記の画像補正装置1では、重み付け係数αを固定して係数記憶部21に記憶させたが、この重み付け係数αは可変であってよい。すなわち、重み付け係数αが補正対象画像ごとに選択的に設定されてもよいし、重み付け係数αが補正対象画像中の画素ごとまたは領域ごとに選択的に設定されてもよい。
【0060】
加算処理部20は、例えば以下のようにして重み付け係数αを可変設定する。ここでは、重み付け係数αが補正対象画像中の画素ごとに設定される。そして、加算処理部20は、ヒストグラム生成部11が生成した部分領域の輝度ヒストグラムであって、レベル補正部12により変形される前の輝度ヒストグラムに基づいて、その対象画素に対する重み付け係数αを設定する。このとき、輝度ヒストグラムが高輝度側又は低輝度側に偏っているほど補正前の画像の重みを大きくする(重み付け係数αを小さく設定する)。
【0061】
このように、重み付け係数を可変とすることによって、部分領域における輝度分布の低輝度側または高輝度側への偏りが大きいほど、輝度補正部10で中程度に補正された輝度を低輝度側または高輝度側に戻すという加算処理部20による効果をより好適に発揮させることができる。
【0062】
また、図6の画像補正処理では、輝度補正部10により対象画素の輝度補正をするごとにその対象画素に重み付け加算処理をしたが、本発明はこれに限られない。加算処理部20は、画像中の全ての画素について輝度補正部10により輝度補正をした後に、そのようにして輝度補正された画像全体と補正前の画像全体とを重み付け加算してもよい。このような処理によっても上記と同様の効果を得ることができる。
【0063】
また、上記の画像補正装置1の画像補正処理では、対象画素を一画素としたが、本発明はこれに限られず、数画素の塊を対象画素としてもよい。この場合には、輝度補正部10は、対象画素である数画素の塊を含む部分領域を設定してレベル補正することにより、その塊を構成する画素の輝度を補正する。このように、対象画素を数画素の塊とすることで、画像補正処理が高速化される。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は画像中の対象画素を含む部分領域の輝度分布に基づいてその対象画素の輝度を補正することにより画像を補正して、その補正された画像の輝度と補正前の画像の輝度とを重み付け加算することにより、画像の視認性を向上させるとともに、その画像をより自然に近い画像に補正するというすぐれた効果を有する画像補正装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の画像補正装置を示す機能ブロック図
【図2】画像補正装置が組み込まれるシステムの全体構成を示す図
【図3】輝度補正部による画像補正処理を示す図
【図4】レベル補正に伴う輝度ヒストグラムの変形を示す図であって、
(a)は、中程度の輝度が多い輝度分布を持つ部分領域のレベル補正を説明する図
(b)および(c)は、それぞれ低輝度側および高輝度側に偏った輝度分布を持つ部分領域のレベル補正を説明する図
【図5】重み付け加算処理の例を示す図
【図6】本発明の実施の形態の画像補正装置により実行される画像補正処理のフローチャート
【符号の説明】
1 画像補正装置
10 輝度補正部
11 ヒストグラム生成部
12 レベル補正部
20 加算処理部
21 係数記憶部
31 補正対象画像
32 部分領域
33 対象画素
101 画像処理装置
102 カメラ
103 モニタ
Claims (10)
- 画像中の対象画素を含む部分領域の輝度分布に基づいてその対象画素の輝度を補正することにより画像を補正する輝度補正手段と、
前記輝度補正手段により補正された画像の輝度と補正前の画像の輝度とを重み付け加算する加算処理手段と
を有することを特徴とする画像補正装置。 - 前記輝度補正手段は、前記部分領域をレベル補正することにより対象画素の輝度を補正することを特徴とする請求項1記載の画像補正装置。
- 前記加算処理手段は、前記レベル補正に伴う高輝度部及び低輝度部の中程度輝度化を制限する重み付け係数を用いて、重み付け加算することを特徴とする請求項2記載の画像補正装置。
- 画像中の対象画素を含む部分領域の輝度分布に基づいてその対象画素の輝度を補正することにより画像を補正する輝度補正ステップと、
前記輝度補正ステップにより補正された画像の輝度と補正前の画像の輝度とを重み付け加算する加算処理ステップと
を有することを特徴とする画像補正方法。 - 前記輝度補正ステップは、前記部分領域をレベル補正することにより対象画素の輝度を補正することを特徴とする請求項4記載の画像補正方法。
- 前記加算処理ステップは、前記レベル補正に伴う高輝度部及び低輝度部の中程度輝度化を制限する重み付け係数を用いて、重み付け加算することを特徴とする請求項5記載の画像補正方法。
- 画像中の対象画素を含む部分領域の輝度分布に基づいてその対象画素の輝度を補正することにより画像を補正する輝度補正ステップと、
前記輝度補正ステップにより補正された画像の輝度と補正前の画像の輝度とを重み付け加算する加算処理ステップと
をコンピュータに実行させるための画像補正プログラム。 - 前記輝度補正ステップは、前記部分領域をレベル補正することにより対象画素の輝度を補正することを特徴とする請求項7記載の画像補正プログラム。
- 前記加算処理ステップは、前記レベル補正に伴う高輝度部及び低輝度部の中程度輝度化を制限する重み付け係数を用いて、重み付け加算することを特徴とする請求項8記載のプログラム。
- 請求項7〜9のいずれか記載のプログラムを格納した、コンピュータにて読取可能な記録媒体。
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