JP2004140438A - 周波数変換回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】偶高調波ミキサのダイオードにインダクタンス素子を接続することにより、ダイオードの接合容量を補償して周波数変換時の損失を低減する。
【解決手段】偶高調波ミキサ1の非線形回路10を、分波回路2に対して互いに極性を逆向きにして並列に接続される一対のダイオード11,12と、これらのダイオード11,12にそれぞれ直列に接続されたコイル13,14とにより構成する。これにより、例えば高周波信号RFを中間周波信号IFにダウンコンバートするときには、ダイオード11,12の寄生的な接合容量Cjにより生じる容量性のリアクタンスをコイル13,14の誘導性リアクタンスによって打消すことができ、分波回路2と非線形回路10のインピーダンスを安定的に整合して周波数変換時の損失を低減することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】偶高調波ミキサ1の非線形回路10を、分波回路2に対して互いに極性を逆向きにして並列に接続される一対のダイオード11,12と、これらのダイオード11,12にそれぞれ直列に接続されたコイル13,14とにより構成する。これにより、例えば高周波信号RFを中間周波信号IFにダウンコンバートするときには、ダイオード11,12の寄生的な接合容量Cjにより生じる容量性のリアクタンスをコイル13,14の誘導性リアクタンスによって打消すことができ、分波回路2と非線形回路10のインピーダンスを安定的に整合して周波数変換時の損失を低減することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば高周波信号、中間周波信号等からなる交流信号の周波数を変換するのに好適に用いられる周波数変換回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、周波数変換回路としては、例えば無線信号に対してアップコンバート、ダウンコンバート等の信号処理を行う偶高調波ミキサ等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−78203号公報
【0004】
この種の従来技術による偶高調波ミキサは、高周波信号RF、中間周波信号IF及び局発信号LOを入力または出力する複数の信号端子を有し該各信号端子間に各種のフィルタが接続された分波回路と、この分波回路に接続された例えば2個のダイオードからなる非線形回路とを含んで構成されている。
【0005】
そして、例えばダウンコンバート用の偶高調波ミキサにおいては、無線の受信信号等からなる高周波信号RFと、搬送波となる局発信号LOとがそれぞれの信号端子に入力されると、これらの信号を非線形回路により混合してダウンコンバートし、中間周波信号IFを出力するものである。
【0006】
この場合、非線形回路を構成する2個のダイオードは、分波回路に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続され、所謂アンチパラレルダイオードペアを構成している。そして、この非線形回路は、分波回路から入力される高周波信号RFと局発信号LOとがそれぞれ周波数fRF,fLOをもつときに、下記数1の式により表される周波数foutの混合波を分波回路に出力する。
【0007】
【数1】
fout=|fRF±2mfLO|
但し、mは正数
【0008】
これにより、分波回路は、これらの混合波のうち、例えばfout=fRF−2fL Oとなる周波数の信号だけを各種のフィルタにより選択し、この信号を中間周波信号IFとして外部に出力する。
【0009】
また、アップコンバート用の偶高調波ミキサにおいては、中間周波信号IFと局発信号LOとが入力されることにより、これらの入力信号を混合してアップコンバートし、高周波信号RFを出力する。このように、偶高調波ミキサは、高周波信号RFと中間周波信号IFとの間で相互に周波数変換を行うものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、非線形回路をアンチパラレルダイオードペアにより構成している。しかし、ダイオードには、アノード側とカソード側の接合部位等に一定の接合容量が存在しているため、偶高調波ミキサ等の周波数変換回路においては、ダイオードの接合容量が原因となって分波回路と非線形回路との間にインピーダンスの不整合が生じ易い。
【0011】
このため、偶高調波ミキサによりアップコンバート、ダウンコンバート等の信号変換を行うときには、インピーダンスの不整合によって電力損失が大きくなることがあり、特に、設計上の理由等により接合容量の大きなダイオードを用いる場合には、変換効率の高い回路を形成するのが難しくなるという問題がある。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、例えばダイオードの接合容量等が大きい場合でも、回路内のインピーダンスを安定的に整合でき、インピーダンスの不整合による変換損失を低減できると共に、変換効率を向上できるようにした周波数変換回路を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために本発明は、高周波信号、中間周波信号及び局発信号を分離するための分波回路と、前記分波回路に接続され前記高周波信号と中間周波信号のうちの一方の信号が前記局発信号と一緒に入力されるときにこれらの入力信号の混合波を分波回路に出力する非線形回路とを備えた周波数変換回路に適用される。
【0014】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、非線形回路は、分波回路に対して互いに極性を逆向きにして並列に接続される2個のダイオードと、該2個のダイオードに対してそれぞれ直列に接続されたインダクタンス素子とにより構成したことにある。
【0015】
このように構成することにより、例えばダイオードに比較的大きな接合容量が存在する場合でも、この接合容量により生じる容量性のリアクタンスをインダクタンス素子の誘導性のリアクタンスによって打消すことができ、ダイオードの接合容量が原因で生じるインピーダンス成分をインダクタンス素子によって補償することができる。
【0016】
また、請求項2の発明によると、ダイオードはドレインとソースとを接続したFETにより構成している。
【0017】
これにより、非線形回路の製造時には、例えばFETを形成する汎用的な半導体プロセス等によってダイオードを形成することができる。また、FETを用いることにより、ダイオードとしての接合容量が比較的大きくなる場合でも、この接合容量が原因で生じるインピーダンス成分をインダクタンス素子によって打消すことができる。
【0018】
また、請求項3の発明によると、インダクタンス素子は、一端側をFETのドレイン、ソース及びゲートにそれぞれ接続して設け、前記ドレイン側のインダクタンス素子の他端と前記ソース側のインダクタンス素子の他端とを接続する構成としている。
【0019】
これにより、FETのドレイン、ソース及びゲートに接続されるリアクタンスの大きさを各インダクタ素子によって個別に調整することができる。また、例えば個々のインダクタンス素子をFETの配線等として利用することができる。
【0020】
また、請求項4の発明によると、ダイオードは半導体基板に搭載し、分波回路は誘電体基板に搭載し、前記ダイオードと前記誘電体基板側の電極パッドとを金属線により接続し、インダクタンス素子は該金属線により構成している。
【0021】
これにより、例えばダイオードのみを半導体基板に搭載し、ダイオード以外の部品を誘電体基板に搭載することができる。また、誘電体基板の近傍においては、その誘電率に応じて高周波信号等の波長が短くなるから、例えば所定の波長に対応した長さを有するスタブ等の伝送線路を誘電体基板に搭載することにより、半導体基板に搭載する場合と比較してスタブの長さを短くすることができる。また、例えばボンディングワイヤ等の金属線によってインダクタンス素子を形成することができる。
【0022】
さらに、請求項5の発明によると、分波回路と非線形回路とは無線通信装置の偶高調波ミキサを構成している。これにより、例えばアップコンバート用またはダウンコンバート用の偶高調波ミキサ等において、インダクタンス素子により分波回路と非線形回路のインピーダンスを安定的に整合させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による周波数変換回路を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
ここで、図1ないし図3は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、周波数変換回路として無線通信装置用の偶高調波ミキサを例に挙げて述べる。
【0025】
1は例えば無線通信装置等に搭載されるダウンコンバート用の偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ1は、後述の分波回路2と、非線形回路10とにより構成されている。
【0026】
そして、偶高調波ミキサ1は、例えばマイクロ波、ミリ波等の高周波の電磁波からなる高周波信号RFと、局発発信器(図示せず)等から出力される低周波の電磁波からなる局発信号LOとが入力されるときに、この局発信号LOの偶数倍の周波数をもつ信号と高周波信号RFとの差に対応する周波数をもつ中間周波信号IFを出力するものである。
【0027】
2は高周波信号RF、中間周波信号IF及び局発信号LOを分離するための分波回路で、該分波回路2は、高周波信号RFが入力される高周波信号端子3と、中間周波信号IFを出力する中間周波信号端子4と、局発信号LOが入力される局発信号端子5と、これらの信号端子3,4,5間に接続された後述のフィルタ6,7,8,9とを含んで構成されている。
【0028】
ここで、信号端子3,4,5は、図1中の点Pで互いに接続され、高周波信号端子3と点Pとの間には、高周波信号RFを通過させる帯域通過フィルタ6と、高周波信号RFを遮断する帯域阻止フィルタ7とが直列に接続されている。また、中間周波信号端子4と点Pとの間には、中間周波信号IFを通過させる低域通過フィルタ8が接続され、局発信号端子5と点Pとの間には、局発信号LOを通過させる高域通過フィルタ9が接続されている。
【0029】
10は例えば図1中の点Qで分波回路2のフィルタ6,7間に接続された非線形回路で、該非線形回路10は、後述のダイオード11,12と、コイル13,14とにより構成されている。
【0030】
11,12は非線形回路10を構成する一対のダイオードで、該ダイオード11,12は、分波回路2に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続され、所謂アンチパラレルダイオードペアを構成している。
【0031】
この場合、例えば図1中で左側に位置する一方のダイオード11は、アノードAとカソードKとからなる電極のうち、アノードAが後述のコイル13を介して分波回路2に接続され、カソードKがグランド側に接続されている。また、右側に位置する他方のダイオード12は、アノードAが他のコイル14を介してグランド側に接続され、カソードKが分波回路2に接続されている。
【0032】
そして、非線形回路10は、従来技術とほぼ同様に、高周波信号RF、局発信号LOが信号端子3,4に入力されると、これらの入力信号を混合し、分波回路2に混合波を出力する。また、分波回路2は、混合波のうち所定の周波数をもつ信号だけをフィルタ6〜9により選択し、中間周波信号端子4に伝送する。
【0033】
これにより、偶高調波ミキサ1は、例えば無線の受信信号等からなる高周波信号RFと、搬送波となる局発信号LOとを混合してダウンコンバートし、中間周波信号端子4から中間周波信号IFを出力するものである。
【0034】
ここで、ダイオード11,12の素子単体としての等価回路は、図2に示すようになり、アノード側とカソード側の接合部位の抵抗成分(接合抵抗)Rjと容量成分(接合容量)Cjとが内部抵抗Rsに対して直列に接続されたものと考えられる。このため、ダイオード11,12のそれぞれのインピーダンスZは、これらの内部抵抗Rs、接合抵抗Rj及び接合容量Cjを用いて、下記数2の式のように表すことができる。
【0035】
【数2】
【0036】
従って、ダイオード11,12のインピーダンスZのうち、接合容量Cjにより生じる容量性のリアクタンスXは、下記数3の式のように表すことができる。
【0037】
【数3】
【0038】
そして、本実施の形態による偶高調波ミキサ1は、ダイオード11,12の接合容量Cjにより生じる寄生的なリアクタンスXを、後述するコイル13,14によって打消し、これを補償するものである。
【0039】
13は非線形回路10の一部を構成する例えば2個のインダクタンス素子としてのコイルで、該コイル13,14のうち、例えば図1中で左側に位置するコイル13は、一方のダイオード11のアノードA側に直列に接続され、これらのコイル13とダイオード11との直列回路は、他方のダイオード12と並列に接続されている。また、右側に位置するコイル14は、他方のダイオード12のアノードA側に直列に接続され、これらのコイル14とダイオード12との直列回路は、一方のダイオード11と並列に接続されている。
【0040】
また、コイル13,14は、図3に示す如く、例えば非線形回路10を搭載する基板15の表面側に渦巻き状の金属膜(スパイラルインダクタ)等として形成され、絶縁膜16により覆われている。この場合、コイル13,14の一端側は、例えば配線17により絶縁膜16の外縁側から引出され、その他端側は、配線18により絶縁膜16の中央部位からスルーホール等を介して引出されている。
【0041】
そして、コイル13,14は、その巻き線数、形状等を調整することにより予め設定されたインダクタンスLを有し、このインダクタンスLは、例えば前記数3の式によるダイオード11,12のリアクタンスXを実験的に求めておくことにより、このリアクタンスXに対して下記数4の式のように定められている。
【0042】
【数4】
【0043】
これにより、ダイオード11とコイル13とを直列に接続した状態では、ダイオード11の接合容量Cjによる容量性のインピーダンス成分(−jX)と、コイル13の誘導性のインピーダンス成分(jωL=jX)とが相殺される。また、ダイオード12とコイル14のインピーダンス成分も相殺される。従って、非線形回路10の作動時には、ダイオード11,12の接合容量Cjによる影響をコイル13,14によって打消すことができるものである。
【0044】
本実施の形態による偶高調波ミキサ1は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0045】
まず、分波回路2の高周波信号端子3、局発信号端子5にそれぞれ高周波信号RF、局発信号LOが入力されると、偶高調波ミキサ1は、非線形回路10により入力信号(高周波信号RFと局発信号LO)を混合して周波数を変換し、高周波信号RFをダウンコンバートすることにより、中間周波信号端子4から中間周波信号IFを出力する。
【0046】
この場合、非線形回路10により周波数を変換するときには、ダイオード11,12の接合容量Cjによる容量性のインピーダンス成分(−jX)をコイル13,14のインダクタンスLによる誘導性のインピーダンス成分(jX)によって打消すことができる。
【0047】
かくして、本実施の形態によれば、非線形回路10のダイオード11,12には、コイル13,14をそれぞれ直列に接続する構成としたので、例えばダイオード11,12に比較的大きな接合容量Cjが存在する場合でも、この接合容量Cjが原因で生じる容量性のリアクタンスをコイル13,14によって補償でき、ダイオード11,12の接合容量Cjによって分波回路2と非線形回路10のインピーダンスが不整合となるのを確実に防止することができる。
【0048】
特に、マイクロ波、ミリ波等の高い周波数領域においては、ダイオード11,12の接合容量Cjによるインピーダンスの不整合が大きくなり、周波数変換時の損失が増大し易い。
【0049】
従って、非線形回路10にコイル13,14を付加することにより、無線用の高い周波数領域等においても、分波回路2と非線形回路10のインピーダンスを安定的に整合でき、インピーダンスの不整合により生じる変換損失を確実に低減することができる。これにより、変換効率の高い偶高調波ミキサ1を容易に実現でき、偶高調波ミキサ1から安定した信号出力を行うことができる。
【0050】
次に、図4は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、第1の実施の形態と異なる仕様の分波回路に適用したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0051】
21はダウンコンバート用の偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ21は、分波回路22と非線形回路10とからなり、分波回路22は、第1の実施の形態とほぼ同様の高周波信号端子23、中間周波信号端子24、局発信号端子25と、後述のフィルタ26,27,28とを含んで構成されている。
【0052】
ここで、信号端子23〜25は図4中の点P′で互いに接続され、これらの信号端子23,24,25と点P′との間には、高周波信号RFを通過させる帯域通過フィルタ26、中間周波信号IFを通過させる帯域通過フィルタ27、局発信号LOを通過させる帯域通過フィルタ28がそれぞれ接続されている。また、分波回路の点P′とグランド側との間には、非線形回路10が接続されている。
【0053】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、例えば3個の帯域通過フィルタ26,27,28を用いて分波回路22を形成でき、フィルタの種類と部品点数を削減できると共に、非線形回路10の適用回路を増やして設計自由度を高めることができる。
【0054】
次に、図5は本発明による第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、伝送線路(スタブ)を有する分波回路に適用したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0055】
31はダウンコンバート用の偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ31は、分波回路32と非線形回路10とからなり、分波回路32は、第1の実施の形態とほぼ同様の高周波信号端子33、中間周波信号端子34、局発信号端子35と、後述のフィルタ36,37、伝送線路38,39とにより構成されている。
【0056】
ここで、高周波信号端子33と中間周波信号端子34とは、図5中の点P1で互いに接続されている。そして、高周波信号端子33と点P1との間には、高周波信号RFを通過させる高域通過フィルタ36が接続され、中間周波信号端子34と点P1との間には、中間周波信号IFを通過させる低域通過フィルタ37が接続されている。また、局発信号端子35は、非線形回路10を介して点P2に接続されている。
【0057】
38は信号端子33,34間(フィルタ36,37間)の点P1に接続された伝送線路で、該伝送線路38は、例えばマイクロストリップ線路、コプレーナ線路、スロット線路等により構成され、例えば局発信号LOの1/4波長等に対応する線路長L1をもって形成されている。
【0058】
そして、伝送線路38は、局発信号LOに対して分波回路32の点P1を短絡状態に保持し、高周波信号RFと中間周波信号IFとに対して点P1を開放状態に保持するものである。
【0059】
39は伝送線路38とほぼ同様に形成された他の伝送線路で、該伝送線路39は、例えば局発信号LOの1/4波長等に対応する線路長L2を有し、その一端側が局発信号端子35と非線形回路10との間に位置する点P2に接続されると共に、他端側がグランド側に接続されている。そして、伝送線路39は、高周波信号RFと中間周波信号IFとに対して分波回路32の点P2を短絡状態に保持し、局発信号LOに対して点P2を開放状態に保持するものである。
【0060】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、伝送線路(スタブ)38,39を用いて分波回路32を構成したので、フィルタの種類と部品点数を削減して回路構成を簡略化することができる。
【0061】
次に、図6ないし図8は本発明による第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、非線形回路をFET(電界効果トランジスタ)によって構成したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0062】
41はダウンコンバート用の偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ41は、第1ないし第3の実施の形態とほぼ同様に形成された分波回路42と、後述の非線形回路43とによって構成されている。
【0063】
43は分波回路42に接続された非線形回路で、該非線形回路43は、例えばガリウム砒素等の半導体基板(図示せず)に高周波用の集積回路を設けたモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC=Monolithic Microwave Integrated Circuit)として形成され、後述のFET44,45と、コイル46,47とを含んで構成されている。
【0064】
44,45は非線形回路43を構成する一対のFETで、該FET44,45は、ドレインD、ソースS及びゲートGからなる電極のうち、ゲートGがドレインD及びソースSに対してショットキー接合され、この接合構造を利用したダイオードとして用いられている。
【0065】
また、FET44,45は、第1の実施の形態とほぼ同様に、分波回路42に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続され、所謂アンチパラレルダイオードペアを構成している。
【0066】
この場合、例えば図6中で左側に位置する一方のFET44は、そのドレインD及びソースSが互いに接続されてダイオードのカソードを構成し、これらはコイル46を介して分波回路42に接続されている。また、FET44のゲートGは、ダイオードのアノードを構成し、グランド側に接続されている。一方、右側に位置する他方のFET45は、そのドレインD及びソースSがコイル47を介してグランド側に接続され、そのゲートGが分波回路42に接続されている。
【0067】
46,47はFET44,45に対してそれぞれ直列に接続されたインダクタンス素子としてのコイルで、該コイル46,47は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば半導体基板上に渦巻き状の導体パターン等として形成されている。そして、コイル46,47のインダクタンスは、その巻き線数等に応じて予め適切な大きさに調整されている。
【0068】
この結果、偶高調波ミキサ41により周波数の変換を行うときには、FET44,45の接合容量による容量性のインピーダンス成分がコイル46,47の誘導性のインピーダンス成分によって打消されるため、分波回路42と非線形回路43のインピーダンスを安定的に整合でき、インピーダンスの不整合により生じる変換損失を確実に低減できるものである。
【0069】
ここで、図7及び図8を参照しつつ、コイルの巻き線数と周波数変換時の損失との関係について述べる。まず、図7において、48は非線形回路43を用いて形成された偶高調波ミキサのシミュレーション回路を示し、このシミュレーション回路48は、前記第3実施の形態による偶高調波ミキサ31とほぼ同様に、信号端子48A,48B,48Cと、インダクタ48D、コンデンサ48E、伝送線路48F,48Gとを有している。
【0070】
この場合、シミュレーション回路48は、偶高調波ミキサ31に対して非線形回路10、フィルタ36,37をそれぞれ非線形回路43、インダクタ48D、コンデンサ48Eに置換えたものであり、インダクタ48D、コンデンサ48E、伝送線路48F,48G等は、シミュレータの理想素子を使用している。
【0071】
また、非線形回路43のFET44,45としては、例えばゲートGの全長(総ゲート幅)が100μm程度のFETを想定し、コイル46,47としては、例えば一辺の長さ寸法が200μm程度の略正方形状をなした渦巻き状のコイルを想定している。さらに、高周波信号RFの周波数を5.01GHz程度、中間周波信号IFの周波数を10MHz程度、局発信号LOの周波数を2.5GHz程度の周波数値としてそれぞれ想定した。
【0072】
そして、このシミュレーション回路48を用いてコイル46,47の巻き線数と周波数変換時の損失との関係をシミュレーション演算すると、図8に示すようになった。この場合、変換損失は、例えばコイル46,47の巻き線数が5.75回のときに−7.8dB程度の最小値となり、コイル46,47が巻き線数=0で存在しないときには、−15.2dB程度の大きな値となる。従って、非線形回路43にコイル46,47を付加することにより、周波数変換時の損失を低減できることが確認できた。
【0073】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、FET44,45によりダイオードを構成したので、偶高調波ミキサ31の製造時には、例えばダイオード専用の素子を備えていないモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)等に対して、FET44,45を形成する汎用的な半導体プロセス等によってダイオードを容易に形成することができる。
【0074】
これにより、例えば既成の半導体プロセスにダイオード専用の素子形成工程を追加する場合と比較して、工程の管理項目等を少なくすることができ、偶高調波ミキサ31の製造工程を簡素化してコストダウンを図ることができる。
【0075】
また、FET44,45を用いることにより、ダイオードとしての接合容量が比較的大きくなる場合でも、この接合容量が原因で生じるインピーダンス成分をコイル46,47によって確実に打消すことができるから、偶高調波ミキサ41の変換効率を高め、その性能を向上させることができる。
【0076】
次に、図9は本発明による第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、FETのドレイン、ソース及びゲートにインダクタンス素子をそれぞれ設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0077】
51はダウンコンバート用の偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ51は、第1の実施の形態とほぼ同様に、分波回路2と、後述の非線形回路52とによって構成されている。
【0078】
52は例えば図9中の点Qで分波回路2のフィルタ6,7間に接続された非線形回路で、該非線形回路52は、アンチパラレルダイオードペアを構成する一対のFET53,54と、インダクタンス素子としての後述のコイル55,56,57,58とを含んで構成されている。そして、FET53,54は、前記第4の実施の形態とほぼ同様に、ドレインDとソースSとが接続され、分波回路2に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続されている。
【0079】
ここで、FET53には、そのドレインD及びソースSにコイル55の一端側がそれぞれ接続され、これらのコイル55の他端側は互いに接続されている。また、FET53のゲートGには、他のコイル56の一端側が設けられている。そして、FET53のドレインDとソースSとは、各コイル55を介して互いに接続されると共に、分波回路2に接続されている。また、FET53のゲートGは、コイル56を介してグランド側に接続されている。
【0080】
一方、FET54には、そのドレインD及びソースSにコイル57がそれぞれ設けられ、ゲートGに他のコイル58が設けられている。そして、FET54のドレインDとソースSとは、各コイル57を介して互いに接続されると共に、グランド側に接続されている。また、FET53のゲートGは、コイル58を介して分波回路2に接続されている。
【0081】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第4の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、FET53のドレインD及びソースSにコイル55を設け、ゲートGにコイル56を設けると共に、FET54のドレインD及びソースSにコイル57を設け、ゲートGにコイル58を設ける構成としている。
【0082】
これにより、FET53,54の各電極に接続されるリアクタンスの大きさを個々のコイル55〜58によって適切に調整でき、FET53,54の接合容量をより安定的に打消すことができる。また、例えば個々のコイル55〜58をFET53,54の配線として利用できるから、偶高調波ミキサ51の回路を簡略化できると共に、その設計自由度を高めることができる。
【0083】
次に、図10は本発明による第6の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、誘電体基板に搭載した分波回路と、半導体基板に搭載したダイオードとを金属線によって接続する構成としたことにある。
【0084】
61は本実施の形態による偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ61は、誘電体基板62に搭載された分波回路(図示せず)と、後述の非線形回路63とによって構成されている。この場合、誘電体基板62は、後述の半導体基板64等と比較して誘電率が高い材料を用いて形成され、その表面側には、例えば分波回路に接続された電極パッド62Aと、グランド側に接続された電極パッド62Bとが設けられている。
【0085】
63は分波回路に接続される非線形回路で、該非線形回路63は、誘電体基板62に実装された半導体基板64と、該半導体基板64に搭載された一対のダイオード65,66と、後述の金属線67,68,69,70とによって構成されている。
【0086】
ここで、半導体基板64には、ダイオード65,66のアノードAとカソードKとが個別に接続された例えば4個の電極パッド64Aが設けられている。また、ダイオード65,66は、金属線67〜70により分波回路に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続されている。この場合、一方のダイオード65は、例えばアノードAが金属線67等を用いて分波回路側の電極パッド62Aに接続され、カソードKが例えば複数本の金属線68等を用いてグランド側の電極パッド62Bに接続されている。また、他方のダイオード66は、例えばアノードAが金属線69等を用いてグランド側の電極パッド62Bに接続され、カソードKが金属線70等を用いて分波回路の電極パッド62Aに接続されている。
【0087】
67,68,69,70はインダクタンス素子としての金属線で、該金属線67,68,69,70は、例えばワイヤボンディング等の手段により誘電体基板62と半導体基板64との間に1本または複数本設けられ、電極パッド62A,64A間または電極パッド62B,64A間に接続されている。
【0088】
ここで、金属線67,68は、ダイオード65のアノードA、カソードKにそれぞれ直列に接続されている。そして、金属線67,68全体のインダクタンスは、その本数、長さ等に応じて予め適切な大きさに調整され、ダイオード65の接合容量によるインピーダンス成分を打消す構成となっている。また、金属線69,70は、ダイオード66のアノードA、カソードKにそれぞれ直列に接続され、そのインダクタンスは、金属線67,68の場合とほぼ同様に、ダイオード66の接合容量を打消すように予め適切な大きさに調整されている。
【0089】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、分波回路を誘電体基板62に搭載し、ダイオード65,66を半導体基板64に搭載すると共に、これらの間を金属線67〜70により接続する構成としたので、偶高調波ミキサ61の部品のうち、ダイオード65,66以外の部品を比較的安価な誘電体基板62に搭載することができる。これにより、半導体基板64の面積を可能な限り小さくすることができ、コストダウンを図ることができる。
【0090】
また、誘電体基板62の近傍においては、その誘電率に応じて高周波信号等の波長が短くなる。このため、例えば所定の波長に対応した長さを有するスタブ等の伝送線路を誘電体基板62に搭載することにより、半導体基板64に搭載する場合と比較してスタブの長さを短くすることができ、これによって偶高調波ミキサ61を小型化することができる。
【0091】
また、ボンディングワイヤ等の金属線67〜70を利用してインダクタンス素子を容易に形成できるから、基板62,64に専用のインダクタンス素子等を実装する必要がなくなり、これらの実装面積を小型化できると共に、偶高調波ミキサ61の部品点数を削減して回路構造や製造工程を簡略化することができる。
【0092】
次に、図11は本発明による第7の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、前記第6の実施の形態に対して誘電体基板と半導体基板とを取付板に搭載する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第6の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0093】
71は本実施の形態による偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ71は、そのベース部分を構成する取付板72を有し、該取付板72には、非線形回路63の半導体基板64と、例えば2個の誘電体基板73とが搭載されている。
【0094】
ここで、各誘電体基板73は、例えば第6の実施の形態による誘電体基板62を分割することにより形成され、電極パッド73A,73Bと、分波回路(図示せず)とが設けられている。そして、これらの電極パッド73A,73Bは、第6の実施の形態とほぼ同様に、金属線67〜70のいずれかを用いて半導体基板64と接続されている。
【0095】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第6の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、半導体基板64と各誘電体基板73のレイアウト設計を容易に行うことができ、設計自由度を高めることができる。
【0096】
次に、図12は本発明による第8の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、前記第6の実施の形態に対してダイオードをFETに置換える構成としたことにある。
【0097】
81は本実施の形態による偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ81は、第6の実施の形態とほぼ同様に、誘電体基板82に搭載された分波回路(図示せず)と、後述の非線形回路83とによって構成されている。また、誘電体基板82は、誘電率が比較的高い材料からなり、例えば分波回路に接続された電極パッド82Aと、グランド側に接続された電極パッド82Bとが設けられている。
【0098】
83は非線形回路で、該非線形回路83は、誘電体基板82に実装された半導体基板84と、該半導体基板84に搭載された一対のダイオードとしてのFET85,86と、後述の金属線87,88,89,90とにより構成されている。
【0099】
ここで、半導体基板84には、第6の実施の形態とほぼ同様に、例えば4個の電極パッド84Aが設けられている。また、FET85,86は、ドレインDとソースSとが接続され、金属線87〜90により分波回路に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続されている。
【0100】
この場合、一方のFET85は、例えばドレインD及びソースSが金属線87等を用いてグランド側の電極パッド82Bに接続され、ゲートGが例えば複数本の金属線88等を用いて分波回路側の電極パッド82Aに接続されている。また、他方のFET86は、例えばドレインD及びソースSが金属線89等を用いて分波回路側の電極パッド82Aに接続され、ゲートGが複数本の金属線90等を用いてグランド側の電極パッド82Bに接続されている。
【0101】
87,88,89,90はインダクタンス素子としての金属線で、該金属線87,88,89,90は、第6の実施の形態とほぼ同様に、例えばワイヤボンディング等の手段により基板82,84の電極パッド82A,84A間に設けられている。そして、金属線87〜90は、そのインダクタンスが金属線の本数、長さ等に応じて予め適切な大きさに調整され、FET85,86の接合容量によるインピーダンス成分を打消す構成となっている。
【0102】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第4,第6の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0103】
次に、図13は本発明による第9の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、前記第8の実施の形態に対して誘電体基板と半導体基板とを取付板に搭載する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第8の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0104】
91は本実施の形態による偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ91は、そのベース部分を構成する取付板92を有し、該取付板92には、非線形回路83の半導体基板84と、例えば2個の誘電体基板93とが搭載されている。
【0105】
ここで、各誘電体基板93は、例えば第8の実施の形態による誘電体基板82を分割することにより形成され、電極パッド93A,93Bと、分波回路(図示せず)とが設けられている。そして、これらの電極パッド93A,93Bは、第8の実施の形態とほぼ同様に、金属線87〜90のいずれかを用いて半導体基板84と接続されている。
【0106】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第7,第8の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0107】
次に、図14は本発明による第10の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、半導体基板に搭載したFETのドレイン、ソース及びゲートを、個別の金属線によって分波回路またはグランド側に接続する構成としたことにある。
【0108】
101は本実施の形態による偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ101は、第8の実施の形態とほぼ同様に、誘電体基板102に搭載された分波回路(図示せず)と、後述の非線形回路103とによって構成されている。また、誘電体基板102には、例えば分波回路に接続された電極パッド102Aと、グランド側に接続された電極パッド102Bとが設けられている。
【0109】
103は非線形回路で、該非線形回路103は、誘電体基板102に実装された半導体基板104と、該半導体基板104に搭載された一対のFET105,106と、後述の金属線107,108とにより構成されている。
【0110】
この場合、半導体基板104には、例えば6個の電極パッド104Aが設けられ、該各電極パッド104Aは、FET105,106のドレインD、ソースS及びゲートGに対してそれぞれ個別に接続されている。また、FET105,106は、金属線107,108により分波回路に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続されている。
【0111】
107はFET105側に配置されたインダクタンス素子としての例えば3本の金属線で、該各金属線107は、第8の実施の形態とほぼ同様に、例えばワイヤボンディング等の手段により誘電体基板102と半導体基板104との間に設けられ、電極パッド102A,104A間または電極パッド102B,104A間に接続されている。
【0112】
そして、各金属線107のうち2本の金属線は、例えばFET105のドレインD及びソースSをグランド側の電極パッド102Bに対してそれぞれ個別に接続し、他の金属線107は、FET105のゲートGを分波回路側の電極パッド102Aに接続している。
【0113】
108はFET106側に配置されたインダクタンス素子としての例えば3本の金属線で、該各金属線108のうち2本の金属線は、例えばFET106のドレインD及びソースSを分波回路側の電極パッド102Aに対してそれぞれ個別に接続し、他の金属線108は、FET106のゲートGをグランド側の電極パッド102Bに接続している。
【0114】
そして、これらの金属線107,108は、そのインダクタンスが金属線の本数、長さ等に応じて予め適切な大きさに調整され、FET105,106の接合容量によるインピーダンス成分を打消す構成となっている。
【0115】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第8の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、FET105のドレインD、ソースS及びゲートGに金属線107をそれぞれ設け、FET106のドレインD、ソースS及びゲートGに金属線108をそれぞれ設ける構成としたので、FET105,106の各電極に接続されるリアクタンスの大きさを複数本の金属線107,108によって個別に調整でき、FET105,106の接合容量をより安定的に打消すことができる。
【0116】
また、例えば個々の金属線107,108によりインダクタ素子を形成できるから、基板102,104に専用のインダクタンス素子等を実装する必要がなくなり、偶高調波ミキサ101の回路を簡略化できると共に、その設計自由度を高めることができる。
【0117】
次に、図15は本発明による第11の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、前記第10の実施の形態に対して誘電体基板と半導体基板とを取付板に搭載する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第10の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0118】
111は本実施の形態による偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ111は、そのベース部分を構成する取付板112を有し、該取付板112には、非線形回路103の半導体基板104と、例えば2個の誘電体基板113とが搭載されている。
【0119】
ここで、各誘電体基板113は、例えば第10の実施の形態による誘電体基板102を分割することにより形成され、電極パッド113A,113Bと、分波回路(図示せず)とが設けられている。そして、これらの電極パッド113A,113Bは、第10の実施の形態とほぼ同様に、金属線107,108のいずれかを用いて半導体基板104と接続されている。
【0120】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第7,第10の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0121】
次に、図16は本発明による第12の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、無線通信装置に搭載されるアップコンバート用とダウンコンバート用の偶高調波ミキサに適用したことにある。
【0122】
121は本実施の形態に適用される無線通信装置で、該無線通信装置121は、後述のアンテナブロック122、共用器ブロック123、送信ブロック124、受信ブロック125、発信器ブロック126等を含んで構成されている。
【0123】
122は無線通信装置121のアンテナブロックで、該アンテナブロック122は、電波の送信または受信を行うものである。
【0124】
123はアンテナ共用器をなす共用器ブロックで、該共用器ブロック123は共振器123A等を有し、アンテナブロック122、送信ブロック124及び受信ブロック125にそれぞれ接続されている。
【0125】
124はアンテナブロック122に向けて送信信号を出力する送信ブロックで、該送信ブロック124は、発信器ブロック126から出力される搬送波(局発信号LO)に中間周波信号IFを混合して送信信号(高周波信号RF)にアップコンバートする混合器124Aと、該混合器124Aによる送信信号から雑音を除去する帯域通過フィルタ124Bと、該帯域通過フィルタ124Bを通過した送信信号の電力を増幅する電力増幅器124Cとを含んで構成されている。
【0126】
ここで、アップコンバート用の混合器124Aは、第1ないし第11の実施の形態による偶高調波ミキサ1,21,31,41,51,61,71,81,91,101,111のいずれかによって構成されている。
【0127】
125はアンテナブロック122から受信信号が入力される受信ブロックで、該受信ブロック125は、低雑音増幅器125A、帯域通過フィルタ125B、ダウンコンバート用の混合器125C等を含んで構成されている。
【0128】
この場合、ダウンコンバート用の混合器125Cは、偶高調波ミキサ1,21,31,41,51,61,71,81,91,101,111のいずれかによって構成され、アンテナブロック122から入力される受信信号(高周波信号RF)に局発信号LOを混合して中間周波信号IFにダウンコンバートするものである。
【0129】
126は送信ブロック124と受信ブロック125とに接続された発信器ブロックで、該発信器ブロック126は、例えばマイクロ波、ミリ波等の所定周波数をもつ局発信号LOを、搬送波として送信ブロック124と受信ブロック125とに供給する。また、127は無線通信装置121の各部位を接続する伝送線路である。
【0130】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1ないし第11の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、無線通信装置121の混合器124A,125Cに適用する構成としたので、アップコンバート用の混合器124A及びダウンコンバート用の混合器125Cにおいて回路のインピーダンスを安定的に整合させることができる。
【0131】
従って、マイクロ波、ミリ波等の高い周波数領域においても、インピーダンスの不整合により生じる変換損失を確実に低減でき、送信及び受信時の変換効率が高い無線通信装置121を容易に実現することができる。
【0132】
なお、前記第1ないし第3の実施の形態では、ダイオード11,12のアノードAにコイル13,14を接続する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図17に示す第1の変形例のように構成してもよい。この場合、非線形回路10′のコイル13′,14′は、ダイオード11,12のカソードKに接続されている。
【0133】
また、図18に示す第2の変形例のように構成してもよい。この場合、非線形回路10″は、ダイオード11,12のアノードAにコイル13,14が接続されると共に、カソードKにコイル13″,14″が接続されている。
【0134】
また、第4の実施の形態では、FET44,45のドレインD及びソースSにコイル46,47を接続する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図19に示す第3の変形例のように構成してもよい。この場合、非線形回路43′のコイル46′,47′は、FET44,45のゲートGに接続されている。
【0135】
また、図20に示す第4の変形例のように構成してもよい。この場合、非線形回路43″は、FET44,45のドレインD及びソースSにコイル46,47が接続されると共に、ゲートGにコイル46″,47″が接続されている。
【0136】
また、実施の形態では、インダクタンス素子として、渦巻き状のコイル13(スパイラルインダクタ)や、ボンディングワイヤからなる金属線67等を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばメアンダインダクタ、高インピーダンス線路、リボン等を含めて誘導性リアクタンスを有する各種のインダクタ素子を用いることができる。
【0137】
さらに、実施の形態では、無線通信装置に用いられる偶高調波ミキサ1等を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、無線通信装置以外にも、各種の周波数変換回路に適用できるのは勿論である。
【0138】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、非線形回路の各ダイオードには、インダクタンス素子をそれぞれ直列に接続する構成としたので、ダイオードの接合容量が原因で生じる容量性のリアクタンスをインダクタンス素子の誘導性リアクタンスによって補償することができる。従って、例えばマイクロ波、ミリ波等の高い周波数領域においても、回路のインピーダンスを安定的に整合でき、インピーダンスの不整合により生じる変換損失を確実に低減できると共に、変換効率の高い周波数変換回路を容易に実現することができる。
【0139】
また、請求項2の発明によれば、ダイオードをFETによって構成したので、周波数変換回路の製造時には、例えばダイオード専用の素子を備えていない集積回路等に対して、FETを形成する汎用的な半導体プロセス等によってダイオードを容易に形成できるから、周波数変換回路の製造工程を簡素化でき、コストダウンを図ることができる。また、FETからなるダイオードの接合容量が比較的大きい場合でも、この接合容量による影響をインダクタンス素子によって確実に補償することができる。
【0140】
また、請求項3の発明によれば、インダクタンス素子は、一端側をFETのドレイン、ソース及びゲートにそれぞれ接続して設け、ドレイン側とソース側のインダクタンス素子の他端を互いに接続する構成としたので、FETの各電極に接続されるリアクタンスの大きさを個々のインダクタンス素子によって適切に調整でき、FETの接合容量をより安定的に打消すことができる。また、例えば各インダクタンス素子をFETの配線等として利用することにより、周波数変換回路を簡略化できると共に、その設計自由度を高めることができる。
【0141】
また、請求項4の発明によれば、分波回路は誘電体基板に搭載し、ダイオードは半導体基板に搭載し、インダクタンス素子を金属線により構成したので、ダイオード以外の部品を比較的安価な誘電体基板に搭載でき、半導体基板の面積を小さくしてコストダウンを図ることができる。また、誘電体基板の近傍で高周波信号等の波長が短くなるのを利用してスタブ等の伝送線路を短くすることができ、周波数変換回路を小型化することができる。また、ボンディングワイヤ等の金属線を利用してインダクタンス素子を容易に形成できるから、回路全体をより小型化できると共に、その部品点数を削減して回路構造や製造工程を簡略化することができる。
【0142】
さらに、請求項5の発明によれば、周波数変換回路を、無線通信装置の偶高調波ミキサとして構成したので、アップコンバート用やダウンコンバート用の偶高調波ミキサが作動するときには、インピーダンスの不整合により生じる変換損失を確実に低減でき、無線用の高い周波数領域においても、送信及び受信時の変換効率が高い無線通信装置を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図2】ダイオードの等価回路を示す回路図である。
【図3】図1中のインダクタンス素子を具体的に示す正面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図7】偶高調波ミキサによる周波数変換時の損失をシミュレーションするためのシミュレーション回路を示す回路構成図である。
【図8】図7のシミュレーション回路を用いて演算したインダクタンス素子の巻き線数と信号の変換効率との関係を示す特性線図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図12】本発明の第8の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図13】本発明の第9の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図14】本発明の第10の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図15】本発明の第11の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図16】本発明の第12の実施の形態に適用される無線通信装置を示す回路構成図である。
【図17】本発明の第1の変形例による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図18】本発明の第2の変形例による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図19】本発明の第3の変形例による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図20】本発明の第4の変形例による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【符号の説明】
1,21,31,41,51,61,71,81,91,101,111 偶高調波ミキサ(周波数変換回路)
2,22,32,42 分波回路
3,23,33 高周波信号端子
4,24,34 中間周波信号端子
5,25,35 局発信号端子
6,7,8,9,26,27,28,36,37,124B,125B フィルタ
10,10′,10″,43,43′,43″,52,63,83,103 非線形回路
11,12,65,66 ダイオード
13,13′,13″,14,14′,14″,46,46′,46″,47,47′,47″,55,56,57,58 コイル(インダクタンス素子)
38,39 伝送線路
44,45,53,54,85,86,105,106 FET(ダイオード)
62,73,82,93,102,113 誘電体基板
62A,62B,64A,73A,73B,82A,82B,84A,93A,93B,102A,102B,104A,113A,113B 電極パッド
64,84,104 半導体基板
67,68,69,70,87,88,89,90,107,108 金属線(インダクタンス素子)
121 無線通信装置
124 送信ブロック
124A,125C 混合器(偶高調波ミキサ)
125 受信ブロック
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば高周波信号、中間周波信号等からなる交流信号の周波数を変換するのに好適に用いられる周波数変換回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、周波数変換回路としては、例えば無線信号に対してアップコンバート、ダウンコンバート等の信号処理を行う偶高調波ミキサ等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−78203号公報
【0004】
この種の従来技術による偶高調波ミキサは、高周波信号RF、中間周波信号IF及び局発信号LOを入力または出力する複数の信号端子を有し該各信号端子間に各種のフィルタが接続された分波回路と、この分波回路に接続された例えば2個のダイオードからなる非線形回路とを含んで構成されている。
【0005】
そして、例えばダウンコンバート用の偶高調波ミキサにおいては、無線の受信信号等からなる高周波信号RFと、搬送波となる局発信号LOとがそれぞれの信号端子に入力されると、これらの信号を非線形回路により混合してダウンコンバートし、中間周波信号IFを出力するものである。
【0006】
この場合、非線形回路を構成する2個のダイオードは、分波回路に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続され、所謂アンチパラレルダイオードペアを構成している。そして、この非線形回路は、分波回路から入力される高周波信号RFと局発信号LOとがそれぞれ周波数fRF,fLOをもつときに、下記数1の式により表される周波数foutの混合波を分波回路に出力する。
【0007】
【数1】
fout=|fRF±2mfLO|
但し、mは正数
【0008】
これにより、分波回路は、これらの混合波のうち、例えばfout=fRF−2fL Oとなる周波数の信号だけを各種のフィルタにより選択し、この信号を中間周波信号IFとして外部に出力する。
【0009】
また、アップコンバート用の偶高調波ミキサにおいては、中間周波信号IFと局発信号LOとが入力されることにより、これらの入力信号を混合してアップコンバートし、高周波信号RFを出力する。このように、偶高調波ミキサは、高周波信号RFと中間周波信号IFとの間で相互に周波数変換を行うものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術では、非線形回路をアンチパラレルダイオードペアにより構成している。しかし、ダイオードには、アノード側とカソード側の接合部位等に一定の接合容量が存在しているため、偶高調波ミキサ等の周波数変換回路においては、ダイオードの接合容量が原因となって分波回路と非線形回路との間にインピーダンスの不整合が生じ易い。
【0011】
このため、偶高調波ミキサによりアップコンバート、ダウンコンバート等の信号変換を行うときには、インピーダンスの不整合によって電力損失が大きくなることがあり、特に、設計上の理由等により接合容量の大きなダイオードを用いる場合には、変換効率の高い回路を形成するのが難しくなるという問題がある。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、例えばダイオードの接合容量等が大きい場合でも、回路内のインピーダンスを安定的に整合でき、インピーダンスの不整合による変換損失を低減できると共に、変換効率を向上できるようにした周波数変換回路を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために本発明は、高周波信号、中間周波信号及び局発信号を分離するための分波回路と、前記分波回路に接続され前記高周波信号と中間周波信号のうちの一方の信号が前記局発信号と一緒に入力されるときにこれらの入力信号の混合波を分波回路に出力する非線形回路とを備えた周波数変換回路に適用される。
【0014】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、非線形回路は、分波回路に対して互いに極性を逆向きにして並列に接続される2個のダイオードと、該2個のダイオードに対してそれぞれ直列に接続されたインダクタンス素子とにより構成したことにある。
【0015】
このように構成することにより、例えばダイオードに比較的大きな接合容量が存在する場合でも、この接合容量により生じる容量性のリアクタンスをインダクタンス素子の誘導性のリアクタンスによって打消すことができ、ダイオードの接合容量が原因で生じるインピーダンス成分をインダクタンス素子によって補償することができる。
【0016】
また、請求項2の発明によると、ダイオードはドレインとソースとを接続したFETにより構成している。
【0017】
これにより、非線形回路の製造時には、例えばFETを形成する汎用的な半導体プロセス等によってダイオードを形成することができる。また、FETを用いることにより、ダイオードとしての接合容量が比較的大きくなる場合でも、この接合容量が原因で生じるインピーダンス成分をインダクタンス素子によって打消すことができる。
【0018】
また、請求項3の発明によると、インダクタンス素子は、一端側をFETのドレイン、ソース及びゲートにそれぞれ接続して設け、前記ドレイン側のインダクタンス素子の他端と前記ソース側のインダクタンス素子の他端とを接続する構成としている。
【0019】
これにより、FETのドレイン、ソース及びゲートに接続されるリアクタンスの大きさを各インダクタ素子によって個別に調整することができる。また、例えば個々のインダクタンス素子をFETの配線等として利用することができる。
【0020】
また、請求項4の発明によると、ダイオードは半導体基板に搭載し、分波回路は誘電体基板に搭載し、前記ダイオードと前記誘電体基板側の電極パッドとを金属線により接続し、インダクタンス素子は該金属線により構成している。
【0021】
これにより、例えばダイオードのみを半導体基板に搭載し、ダイオード以外の部品を誘電体基板に搭載することができる。また、誘電体基板の近傍においては、その誘電率に応じて高周波信号等の波長が短くなるから、例えば所定の波長に対応した長さを有するスタブ等の伝送線路を誘電体基板に搭載することにより、半導体基板に搭載する場合と比較してスタブの長さを短くすることができる。また、例えばボンディングワイヤ等の金属線によってインダクタンス素子を形成することができる。
【0022】
さらに、請求項5の発明によると、分波回路と非線形回路とは無線通信装置の偶高調波ミキサを構成している。これにより、例えばアップコンバート用またはダウンコンバート用の偶高調波ミキサ等において、インダクタンス素子により分波回路と非線形回路のインピーダンスを安定的に整合させることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による周波数変換回路を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
ここで、図1ないし図3は第1の実施の形態を示し、本実施の形態では、周波数変換回路として無線通信装置用の偶高調波ミキサを例に挙げて述べる。
【0025】
1は例えば無線通信装置等に搭載されるダウンコンバート用の偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ1は、後述の分波回路2と、非線形回路10とにより構成されている。
【0026】
そして、偶高調波ミキサ1は、例えばマイクロ波、ミリ波等の高周波の電磁波からなる高周波信号RFと、局発発信器(図示せず)等から出力される低周波の電磁波からなる局発信号LOとが入力されるときに、この局発信号LOの偶数倍の周波数をもつ信号と高周波信号RFとの差に対応する周波数をもつ中間周波信号IFを出力するものである。
【0027】
2は高周波信号RF、中間周波信号IF及び局発信号LOを分離するための分波回路で、該分波回路2は、高周波信号RFが入力される高周波信号端子3と、中間周波信号IFを出力する中間周波信号端子4と、局発信号LOが入力される局発信号端子5と、これらの信号端子3,4,5間に接続された後述のフィルタ6,7,8,9とを含んで構成されている。
【0028】
ここで、信号端子3,4,5は、図1中の点Pで互いに接続され、高周波信号端子3と点Pとの間には、高周波信号RFを通過させる帯域通過フィルタ6と、高周波信号RFを遮断する帯域阻止フィルタ7とが直列に接続されている。また、中間周波信号端子4と点Pとの間には、中間周波信号IFを通過させる低域通過フィルタ8が接続され、局発信号端子5と点Pとの間には、局発信号LOを通過させる高域通過フィルタ9が接続されている。
【0029】
10は例えば図1中の点Qで分波回路2のフィルタ6,7間に接続された非線形回路で、該非線形回路10は、後述のダイオード11,12と、コイル13,14とにより構成されている。
【0030】
11,12は非線形回路10を構成する一対のダイオードで、該ダイオード11,12は、分波回路2に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続され、所謂アンチパラレルダイオードペアを構成している。
【0031】
この場合、例えば図1中で左側に位置する一方のダイオード11は、アノードAとカソードKとからなる電極のうち、アノードAが後述のコイル13を介して分波回路2に接続され、カソードKがグランド側に接続されている。また、右側に位置する他方のダイオード12は、アノードAが他のコイル14を介してグランド側に接続され、カソードKが分波回路2に接続されている。
【0032】
そして、非線形回路10は、従来技術とほぼ同様に、高周波信号RF、局発信号LOが信号端子3,4に入力されると、これらの入力信号を混合し、分波回路2に混合波を出力する。また、分波回路2は、混合波のうち所定の周波数をもつ信号だけをフィルタ6〜9により選択し、中間周波信号端子4に伝送する。
【0033】
これにより、偶高調波ミキサ1は、例えば無線の受信信号等からなる高周波信号RFと、搬送波となる局発信号LOとを混合してダウンコンバートし、中間周波信号端子4から中間周波信号IFを出力するものである。
【0034】
ここで、ダイオード11,12の素子単体としての等価回路は、図2に示すようになり、アノード側とカソード側の接合部位の抵抗成分(接合抵抗)Rjと容量成分(接合容量)Cjとが内部抵抗Rsに対して直列に接続されたものと考えられる。このため、ダイオード11,12のそれぞれのインピーダンスZは、これらの内部抵抗Rs、接合抵抗Rj及び接合容量Cjを用いて、下記数2の式のように表すことができる。
【0035】
【数2】
【0036】
従って、ダイオード11,12のインピーダンスZのうち、接合容量Cjにより生じる容量性のリアクタンスXは、下記数3の式のように表すことができる。
【0037】
【数3】
【0038】
そして、本実施の形態による偶高調波ミキサ1は、ダイオード11,12の接合容量Cjにより生じる寄生的なリアクタンスXを、後述するコイル13,14によって打消し、これを補償するものである。
【0039】
13は非線形回路10の一部を構成する例えば2個のインダクタンス素子としてのコイルで、該コイル13,14のうち、例えば図1中で左側に位置するコイル13は、一方のダイオード11のアノードA側に直列に接続され、これらのコイル13とダイオード11との直列回路は、他方のダイオード12と並列に接続されている。また、右側に位置するコイル14は、他方のダイオード12のアノードA側に直列に接続され、これらのコイル14とダイオード12との直列回路は、一方のダイオード11と並列に接続されている。
【0040】
また、コイル13,14は、図3に示す如く、例えば非線形回路10を搭載する基板15の表面側に渦巻き状の金属膜(スパイラルインダクタ)等として形成され、絶縁膜16により覆われている。この場合、コイル13,14の一端側は、例えば配線17により絶縁膜16の外縁側から引出され、その他端側は、配線18により絶縁膜16の中央部位からスルーホール等を介して引出されている。
【0041】
そして、コイル13,14は、その巻き線数、形状等を調整することにより予め設定されたインダクタンスLを有し、このインダクタンスLは、例えば前記数3の式によるダイオード11,12のリアクタンスXを実験的に求めておくことにより、このリアクタンスXに対して下記数4の式のように定められている。
【0042】
【数4】
【0043】
これにより、ダイオード11とコイル13とを直列に接続した状態では、ダイオード11の接合容量Cjによる容量性のインピーダンス成分(−jX)と、コイル13の誘導性のインピーダンス成分(jωL=jX)とが相殺される。また、ダイオード12とコイル14のインピーダンス成分も相殺される。従って、非線形回路10の作動時には、ダイオード11,12の接合容量Cjによる影響をコイル13,14によって打消すことができるものである。
【0044】
本実施の形態による偶高調波ミキサ1は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0045】
まず、分波回路2の高周波信号端子3、局発信号端子5にそれぞれ高周波信号RF、局発信号LOが入力されると、偶高調波ミキサ1は、非線形回路10により入力信号(高周波信号RFと局発信号LO)を混合して周波数を変換し、高周波信号RFをダウンコンバートすることにより、中間周波信号端子4から中間周波信号IFを出力する。
【0046】
この場合、非線形回路10により周波数を変換するときには、ダイオード11,12の接合容量Cjによる容量性のインピーダンス成分(−jX)をコイル13,14のインダクタンスLによる誘導性のインピーダンス成分(jX)によって打消すことができる。
【0047】
かくして、本実施の形態によれば、非線形回路10のダイオード11,12には、コイル13,14をそれぞれ直列に接続する構成としたので、例えばダイオード11,12に比較的大きな接合容量Cjが存在する場合でも、この接合容量Cjが原因で生じる容量性のリアクタンスをコイル13,14によって補償でき、ダイオード11,12の接合容量Cjによって分波回路2と非線形回路10のインピーダンスが不整合となるのを確実に防止することができる。
【0048】
特に、マイクロ波、ミリ波等の高い周波数領域においては、ダイオード11,12の接合容量Cjによるインピーダンスの不整合が大きくなり、周波数変換時の損失が増大し易い。
【0049】
従って、非線形回路10にコイル13,14を付加することにより、無線用の高い周波数領域等においても、分波回路2と非線形回路10のインピーダンスを安定的に整合でき、インピーダンスの不整合により生じる変換損失を確実に低減することができる。これにより、変換効率の高い偶高調波ミキサ1を容易に実現でき、偶高調波ミキサ1から安定した信号出力を行うことができる。
【0050】
次に、図4は本発明による第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、第1の実施の形態と異なる仕様の分波回路に適用したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0051】
21はダウンコンバート用の偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ21は、分波回路22と非線形回路10とからなり、分波回路22は、第1の実施の形態とほぼ同様の高周波信号端子23、中間周波信号端子24、局発信号端子25と、後述のフィルタ26,27,28とを含んで構成されている。
【0052】
ここで、信号端子23〜25は図4中の点P′で互いに接続され、これらの信号端子23,24,25と点P′との間には、高周波信号RFを通過させる帯域通過フィルタ26、中間周波信号IFを通過させる帯域通過フィルタ27、局発信号LOを通過させる帯域通過フィルタ28がそれぞれ接続されている。また、分波回路の点P′とグランド側との間には、非線形回路10が接続されている。
【0053】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、例えば3個の帯域通過フィルタ26,27,28を用いて分波回路22を形成でき、フィルタの種類と部品点数を削減できると共に、非線形回路10の適用回路を増やして設計自由度を高めることができる。
【0054】
次に、図5は本発明による第3の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、伝送線路(スタブ)を有する分波回路に適用したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0055】
31はダウンコンバート用の偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ31は、分波回路32と非線形回路10とからなり、分波回路32は、第1の実施の形態とほぼ同様の高周波信号端子33、中間周波信号端子34、局発信号端子35と、後述のフィルタ36,37、伝送線路38,39とにより構成されている。
【0056】
ここで、高周波信号端子33と中間周波信号端子34とは、図5中の点P1で互いに接続されている。そして、高周波信号端子33と点P1との間には、高周波信号RFを通過させる高域通過フィルタ36が接続され、中間周波信号端子34と点P1との間には、中間周波信号IFを通過させる低域通過フィルタ37が接続されている。また、局発信号端子35は、非線形回路10を介して点P2に接続されている。
【0057】
38は信号端子33,34間(フィルタ36,37間)の点P1に接続された伝送線路で、該伝送線路38は、例えばマイクロストリップ線路、コプレーナ線路、スロット線路等により構成され、例えば局発信号LOの1/4波長等に対応する線路長L1をもって形成されている。
【0058】
そして、伝送線路38は、局発信号LOに対して分波回路32の点P1を短絡状態に保持し、高周波信号RFと中間周波信号IFとに対して点P1を開放状態に保持するものである。
【0059】
39は伝送線路38とほぼ同様に形成された他の伝送線路で、該伝送線路39は、例えば局発信号LOの1/4波長等に対応する線路長L2を有し、その一端側が局発信号端子35と非線形回路10との間に位置する点P2に接続されると共に、他端側がグランド側に接続されている。そして、伝送線路39は、高周波信号RFと中間周波信号IFとに対して分波回路32の点P2を短絡状態に保持し、局発信号LOに対して点P2を開放状態に保持するものである。
【0060】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、伝送線路(スタブ)38,39を用いて分波回路32を構成したので、フィルタの種類と部品点数を削減して回路構成を簡略化することができる。
【0061】
次に、図6ないし図8は本発明による第4の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、非線形回路をFET(電界効果トランジスタ)によって構成したことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0062】
41はダウンコンバート用の偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ41は、第1ないし第3の実施の形態とほぼ同様に形成された分波回路42と、後述の非線形回路43とによって構成されている。
【0063】
43は分波回路42に接続された非線形回路で、該非線形回路43は、例えばガリウム砒素等の半導体基板(図示せず)に高周波用の集積回路を設けたモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC=Monolithic Microwave Integrated Circuit)として形成され、後述のFET44,45と、コイル46,47とを含んで構成されている。
【0064】
44,45は非線形回路43を構成する一対のFETで、該FET44,45は、ドレインD、ソースS及びゲートGからなる電極のうち、ゲートGがドレインD及びソースSに対してショットキー接合され、この接合構造を利用したダイオードとして用いられている。
【0065】
また、FET44,45は、第1の実施の形態とほぼ同様に、分波回路42に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続され、所謂アンチパラレルダイオードペアを構成している。
【0066】
この場合、例えば図6中で左側に位置する一方のFET44は、そのドレインD及びソースSが互いに接続されてダイオードのカソードを構成し、これらはコイル46を介して分波回路42に接続されている。また、FET44のゲートGは、ダイオードのアノードを構成し、グランド側に接続されている。一方、右側に位置する他方のFET45は、そのドレインD及びソースSがコイル47を介してグランド側に接続され、そのゲートGが分波回路42に接続されている。
【0067】
46,47はFET44,45に対してそれぞれ直列に接続されたインダクタンス素子としてのコイルで、該コイル46,47は、第1の実施の形態とほぼ同様に、例えば半導体基板上に渦巻き状の導体パターン等として形成されている。そして、コイル46,47のインダクタンスは、その巻き線数等に応じて予め適切な大きさに調整されている。
【0068】
この結果、偶高調波ミキサ41により周波数の変換を行うときには、FET44,45の接合容量による容量性のインピーダンス成分がコイル46,47の誘導性のインピーダンス成分によって打消されるため、分波回路42と非線形回路43のインピーダンスを安定的に整合でき、インピーダンスの不整合により生じる変換損失を確実に低減できるものである。
【0069】
ここで、図7及び図8を参照しつつ、コイルの巻き線数と周波数変換時の損失との関係について述べる。まず、図7において、48は非線形回路43を用いて形成された偶高調波ミキサのシミュレーション回路を示し、このシミュレーション回路48は、前記第3実施の形態による偶高調波ミキサ31とほぼ同様に、信号端子48A,48B,48Cと、インダクタ48D、コンデンサ48E、伝送線路48F,48Gとを有している。
【0070】
この場合、シミュレーション回路48は、偶高調波ミキサ31に対して非線形回路10、フィルタ36,37をそれぞれ非線形回路43、インダクタ48D、コンデンサ48Eに置換えたものであり、インダクタ48D、コンデンサ48E、伝送線路48F,48G等は、シミュレータの理想素子を使用している。
【0071】
また、非線形回路43のFET44,45としては、例えばゲートGの全長(総ゲート幅)が100μm程度のFETを想定し、コイル46,47としては、例えば一辺の長さ寸法が200μm程度の略正方形状をなした渦巻き状のコイルを想定している。さらに、高周波信号RFの周波数を5.01GHz程度、中間周波信号IFの周波数を10MHz程度、局発信号LOの周波数を2.5GHz程度の周波数値としてそれぞれ想定した。
【0072】
そして、このシミュレーション回路48を用いてコイル46,47の巻き線数と周波数変換時の損失との関係をシミュレーション演算すると、図8に示すようになった。この場合、変換損失は、例えばコイル46,47の巻き線数が5.75回のときに−7.8dB程度の最小値となり、コイル46,47が巻き線数=0で存在しないときには、−15.2dB程度の大きな値となる。従って、非線形回路43にコイル46,47を付加することにより、周波数変換時の損失を低減できることが確認できた。
【0073】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、FET44,45によりダイオードを構成したので、偶高調波ミキサ31の製造時には、例えばダイオード専用の素子を備えていないモノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)等に対して、FET44,45を形成する汎用的な半導体プロセス等によってダイオードを容易に形成することができる。
【0074】
これにより、例えば既成の半導体プロセスにダイオード専用の素子形成工程を追加する場合と比較して、工程の管理項目等を少なくすることができ、偶高調波ミキサ31の製造工程を簡素化してコストダウンを図ることができる。
【0075】
また、FET44,45を用いることにより、ダイオードとしての接合容量が比較的大きくなる場合でも、この接合容量が原因で生じるインピーダンス成分をコイル46,47によって確実に打消すことができるから、偶高調波ミキサ41の変換効率を高め、その性能を向上させることができる。
【0076】
次に、図9は本発明による第5の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、FETのドレイン、ソース及びゲートにインダクタンス素子をそれぞれ設ける構成としたことにある。なお、本実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0077】
51はダウンコンバート用の偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ51は、第1の実施の形態とほぼ同様に、分波回路2と、後述の非線形回路52とによって構成されている。
【0078】
52は例えば図9中の点Qで分波回路2のフィルタ6,7間に接続された非線形回路で、該非線形回路52は、アンチパラレルダイオードペアを構成する一対のFET53,54と、インダクタンス素子としての後述のコイル55,56,57,58とを含んで構成されている。そして、FET53,54は、前記第4の実施の形態とほぼ同様に、ドレインDとソースSとが接続され、分波回路2に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続されている。
【0079】
ここで、FET53には、そのドレインD及びソースSにコイル55の一端側がそれぞれ接続され、これらのコイル55の他端側は互いに接続されている。また、FET53のゲートGには、他のコイル56の一端側が設けられている。そして、FET53のドレインDとソースSとは、各コイル55を介して互いに接続されると共に、分波回路2に接続されている。また、FET53のゲートGは、コイル56を介してグランド側に接続されている。
【0080】
一方、FET54には、そのドレインD及びソースSにコイル57がそれぞれ設けられ、ゲートGに他のコイル58が設けられている。そして、FET54のドレインDとソースSとは、各コイル57を介して互いに接続されると共に、グランド側に接続されている。また、FET53のゲートGは、コイル58を介して分波回路2に接続されている。
【0081】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第4の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、FET53のドレインD及びソースSにコイル55を設け、ゲートGにコイル56を設けると共に、FET54のドレインD及びソースSにコイル57を設け、ゲートGにコイル58を設ける構成としている。
【0082】
これにより、FET53,54の各電極に接続されるリアクタンスの大きさを個々のコイル55〜58によって適切に調整でき、FET53,54の接合容量をより安定的に打消すことができる。また、例えば個々のコイル55〜58をFET53,54の配線として利用できるから、偶高調波ミキサ51の回路を簡略化できると共に、その設計自由度を高めることができる。
【0083】
次に、図10は本発明による第6の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、誘電体基板に搭載した分波回路と、半導体基板に搭載したダイオードとを金属線によって接続する構成としたことにある。
【0084】
61は本実施の形態による偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ61は、誘電体基板62に搭載された分波回路(図示せず)と、後述の非線形回路63とによって構成されている。この場合、誘電体基板62は、後述の半導体基板64等と比較して誘電率が高い材料を用いて形成され、その表面側には、例えば分波回路に接続された電極パッド62Aと、グランド側に接続された電極パッド62Bとが設けられている。
【0085】
63は分波回路に接続される非線形回路で、該非線形回路63は、誘電体基板62に実装された半導体基板64と、該半導体基板64に搭載された一対のダイオード65,66と、後述の金属線67,68,69,70とによって構成されている。
【0086】
ここで、半導体基板64には、ダイオード65,66のアノードAとカソードKとが個別に接続された例えば4個の電極パッド64Aが設けられている。また、ダイオード65,66は、金属線67〜70により分波回路に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続されている。この場合、一方のダイオード65は、例えばアノードAが金属線67等を用いて分波回路側の電極パッド62Aに接続され、カソードKが例えば複数本の金属線68等を用いてグランド側の電極パッド62Bに接続されている。また、他方のダイオード66は、例えばアノードAが金属線69等を用いてグランド側の電極パッド62Bに接続され、カソードKが金属線70等を用いて分波回路の電極パッド62Aに接続されている。
【0087】
67,68,69,70はインダクタンス素子としての金属線で、該金属線67,68,69,70は、例えばワイヤボンディング等の手段により誘電体基板62と半導体基板64との間に1本または複数本設けられ、電極パッド62A,64A間または電極パッド62B,64A間に接続されている。
【0088】
ここで、金属線67,68は、ダイオード65のアノードA、カソードKにそれぞれ直列に接続されている。そして、金属線67,68全体のインダクタンスは、その本数、長さ等に応じて予め適切な大きさに調整され、ダイオード65の接合容量によるインピーダンス成分を打消す構成となっている。また、金属線69,70は、ダイオード66のアノードA、カソードKにそれぞれ直列に接続され、そのインダクタンスは、金属線67,68の場合とほぼ同様に、ダイオード66の接合容量を打消すように予め適切な大きさに調整されている。
【0089】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、分波回路を誘電体基板62に搭載し、ダイオード65,66を半導体基板64に搭載すると共に、これらの間を金属線67〜70により接続する構成としたので、偶高調波ミキサ61の部品のうち、ダイオード65,66以外の部品を比較的安価な誘電体基板62に搭載することができる。これにより、半導体基板64の面積を可能な限り小さくすることができ、コストダウンを図ることができる。
【0090】
また、誘電体基板62の近傍においては、その誘電率に応じて高周波信号等の波長が短くなる。このため、例えば所定の波長に対応した長さを有するスタブ等の伝送線路を誘電体基板62に搭載することにより、半導体基板64に搭載する場合と比較してスタブの長さを短くすることができ、これによって偶高調波ミキサ61を小型化することができる。
【0091】
また、ボンディングワイヤ等の金属線67〜70を利用してインダクタンス素子を容易に形成できるから、基板62,64に専用のインダクタンス素子等を実装する必要がなくなり、これらの実装面積を小型化できると共に、偶高調波ミキサ61の部品点数を削減して回路構造や製造工程を簡略化することができる。
【0092】
次に、図11は本発明による第7の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、前記第6の実施の形態に対して誘電体基板と半導体基板とを取付板に搭載する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第6の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0093】
71は本実施の形態による偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ71は、そのベース部分を構成する取付板72を有し、該取付板72には、非線形回路63の半導体基板64と、例えば2個の誘電体基板73とが搭載されている。
【0094】
ここで、各誘電体基板73は、例えば第6の実施の形態による誘電体基板62を分割することにより形成され、電極パッド73A,73Bと、分波回路(図示せず)とが設けられている。そして、これらの電極パッド73A,73Bは、第6の実施の形態とほぼ同様に、金属線67〜70のいずれかを用いて半導体基板64と接続されている。
【0095】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第6の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、半導体基板64と各誘電体基板73のレイアウト設計を容易に行うことができ、設計自由度を高めることができる。
【0096】
次に、図12は本発明による第8の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、前記第6の実施の形態に対してダイオードをFETに置換える構成としたことにある。
【0097】
81は本実施の形態による偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ81は、第6の実施の形態とほぼ同様に、誘電体基板82に搭載された分波回路(図示せず)と、後述の非線形回路83とによって構成されている。また、誘電体基板82は、誘電率が比較的高い材料からなり、例えば分波回路に接続された電極パッド82Aと、グランド側に接続された電極パッド82Bとが設けられている。
【0098】
83は非線形回路で、該非線形回路83は、誘電体基板82に実装された半導体基板84と、該半導体基板84に搭載された一対のダイオードとしてのFET85,86と、後述の金属線87,88,89,90とにより構成されている。
【0099】
ここで、半導体基板84には、第6の実施の形態とほぼ同様に、例えば4個の電極パッド84Aが設けられている。また、FET85,86は、ドレインDとソースSとが接続され、金属線87〜90により分波回路に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続されている。
【0100】
この場合、一方のFET85は、例えばドレインD及びソースSが金属線87等を用いてグランド側の電極パッド82Bに接続され、ゲートGが例えば複数本の金属線88等を用いて分波回路側の電極パッド82Aに接続されている。また、他方のFET86は、例えばドレインD及びソースSが金属線89等を用いて分波回路側の電極パッド82Aに接続され、ゲートGが複数本の金属線90等を用いてグランド側の電極パッド82Bに接続されている。
【0101】
87,88,89,90はインダクタンス素子としての金属線で、該金属線87,88,89,90は、第6の実施の形態とほぼ同様に、例えばワイヤボンディング等の手段により基板82,84の電極パッド82A,84A間に設けられている。そして、金属線87〜90は、そのインダクタンスが金属線の本数、長さ等に応じて予め適切な大きさに調整され、FET85,86の接合容量によるインピーダンス成分を打消す構成となっている。
【0102】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第4,第6の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0103】
次に、図13は本発明による第9の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、前記第8の実施の形態に対して誘電体基板と半導体基板とを取付板に搭載する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第8の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0104】
91は本実施の形態による偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ91は、そのベース部分を構成する取付板92を有し、該取付板92には、非線形回路83の半導体基板84と、例えば2個の誘電体基板93とが搭載されている。
【0105】
ここで、各誘電体基板93は、例えば第8の実施の形態による誘電体基板82を分割することにより形成され、電極パッド93A,93Bと、分波回路(図示せず)とが設けられている。そして、これらの電極パッド93A,93Bは、第8の実施の形態とほぼ同様に、金属線87〜90のいずれかを用いて半導体基板84と接続されている。
【0106】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第7,第8の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0107】
次に、図14は本発明による第10の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、半導体基板に搭載したFETのドレイン、ソース及びゲートを、個別の金属線によって分波回路またはグランド側に接続する構成としたことにある。
【0108】
101は本実施の形態による偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ101は、第8の実施の形態とほぼ同様に、誘電体基板102に搭載された分波回路(図示せず)と、後述の非線形回路103とによって構成されている。また、誘電体基板102には、例えば分波回路に接続された電極パッド102Aと、グランド側に接続された電極パッド102Bとが設けられている。
【0109】
103は非線形回路で、該非線形回路103は、誘電体基板102に実装された半導体基板104と、該半導体基板104に搭載された一対のFET105,106と、後述の金属線107,108とにより構成されている。
【0110】
この場合、半導体基板104には、例えば6個の電極パッド104Aが設けられ、該各電極パッド104Aは、FET105,106のドレインD、ソースS及びゲートGに対してそれぞれ個別に接続されている。また、FET105,106は、金属線107,108により分波回路に対して互いに極性を逆向きにした状態で並列に接続されている。
【0111】
107はFET105側に配置されたインダクタンス素子としての例えば3本の金属線で、該各金属線107は、第8の実施の形態とほぼ同様に、例えばワイヤボンディング等の手段により誘電体基板102と半導体基板104との間に設けられ、電極パッド102A,104A間または電極パッド102B,104A間に接続されている。
【0112】
そして、各金属線107のうち2本の金属線は、例えばFET105のドレインD及びソースSをグランド側の電極パッド102Bに対してそれぞれ個別に接続し、他の金属線107は、FET105のゲートGを分波回路側の電極パッド102Aに接続している。
【0113】
108はFET106側に配置されたインダクタンス素子としての例えば3本の金属線で、該各金属線108のうち2本の金属線は、例えばFET106のドレインD及びソースSを分波回路側の電極パッド102Aに対してそれぞれ個別に接続し、他の金属線108は、FET106のゲートGをグランド側の電極パッド102Bに接続している。
【0114】
そして、これらの金属線107,108は、そのインダクタンスが金属線の本数、長さ等に応じて予め適切な大きさに調整され、FET105,106の接合容量によるインピーダンス成分を打消す構成となっている。
【0115】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第8の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、FET105のドレインD、ソースS及びゲートGに金属線107をそれぞれ設け、FET106のドレインD、ソースS及びゲートGに金属線108をそれぞれ設ける構成としたので、FET105,106の各電極に接続されるリアクタンスの大きさを複数本の金属線107,108によって個別に調整でき、FET105,106の接合容量をより安定的に打消すことができる。
【0116】
また、例えば個々の金属線107,108によりインダクタ素子を形成できるから、基板102,104に専用のインダクタンス素子等を実装する必要がなくなり、偶高調波ミキサ101の回路を簡略化できると共に、その設計自由度を高めることができる。
【0117】
次に、図15は本発明による第11の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、前記第10の実施の形態に対して誘電体基板と半導体基板とを取付板に搭載する構成としたことにある。なお、本実施の形態では、第10の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0118】
111は本実施の形態による偶高調波ミキサで、該偶高調波ミキサ111は、そのベース部分を構成する取付板112を有し、該取付板112には、非線形回路103の半導体基板104と、例えば2個の誘電体基板113とが搭載されている。
【0119】
ここで、各誘電体基板113は、例えば第10の実施の形態による誘電体基板102を分割することにより形成され、電極パッド113A,113Bと、分波回路(図示せず)とが設けられている。そして、これらの電極パッド113A,113Bは、第10の実施の形態とほぼ同様に、金属線107,108のいずれかを用いて半導体基板104と接続されている。
【0120】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1,第7,第10の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0121】
次に、図16は本発明による第12の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、無線通信装置に搭載されるアップコンバート用とダウンコンバート用の偶高調波ミキサに適用したことにある。
【0122】
121は本実施の形態に適用される無線通信装置で、該無線通信装置121は、後述のアンテナブロック122、共用器ブロック123、送信ブロック124、受信ブロック125、発信器ブロック126等を含んで構成されている。
【0123】
122は無線通信装置121のアンテナブロックで、該アンテナブロック122は、電波の送信または受信を行うものである。
【0124】
123はアンテナ共用器をなす共用器ブロックで、該共用器ブロック123は共振器123A等を有し、アンテナブロック122、送信ブロック124及び受信ブロック125にそれぞれ接続されている。
【0125】
124はアンテナブロック122に向けて送信信号を出力する送信ブロックで、該送信ブロック124は、発信器ブロック126から出力される搬送波(局発信号LO)に中間周波信号IFを混合して送信信号(高周波信号RF)にアップコンバートする混合器124Aと、該混合器124Aによる送信信号から雑音を除去する帯域通過フィルタ124Bと、該帯域通過フィルタ124Bを通過した送信信号の電力を増幅する電力増幅器124Cとを含んで構成されている。
【0126】
ここで、アップコンバート用の混合器124Aは、第1ないし第11の実施の形態による偶高調波ミキサ1,21,31,41,51,61,71,81,91,101,111のいずれかによって構成されている。
【0127】
125はアンテナブロック122から受信信号が入力される受信ブロックで、該受信ブロック125は、低雑音増幅器125A、帯域通過フィルタ125B、ダウンコンバート用の混合器125C等を含んで構成されている。
【0128】
この場合、ダウンコンバート用の混合器125Cは、偶高調波ミキサ1,21,31,41,51,61,71,81,91,101,111のいずれかによって構成され、アンテナブロック122から入力される受信信号(高周波信号RF)に局発信号LOを混合して中間周波信号IFにダウンコンバートするものである。
【0129】
126は送信ブロック124と受信ブロック125とに接続された発信器ブロックで、該発信器ブロック126は、例えばマイクロ波、ミリ波等の所定周波数をもつ局発信号LOを、搬送波として送信ブロック124と受信ブロック125とに供給する。また、127は無線通信装置121の各部位を接続する伝送線路である。
【0130】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、第1ないし第11の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。そして、特に本実施の形態では、無線通信装置121の混合器124A,125Cに適用する構成としたので、アップコンバート用の混合器124A及びダウンコンバート用の混合器125Cにおいて回路のインピーダンスを安定的に整合させることができる。
【0131】
従って、マイクロ波、ミリ波等の高い周波数領域においても、インピーダンスの不整合により生じる変換損失を確実に低減でき、送信及び受信時の変換効率が高い無線通信装置121を容易に実現することができる。
【0132】
なお、前記第1ないし第3の実施の形態では、ダイオード11,12のアノードAにコイル13,14を接続する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図17に示す第1の変形例のように構成してもよい。この場合、非線形回路10′のコイル13′,14′は、ダイオード11,12のカソードKに接続されている。
【0133】
また、図18に示す第2の変形例のように構成してもよい。この場合、非線形回路10″は、ダイオード11,12のアノードAにコイル13,14が接続されると共に、カソードKにコイル13″,14″が接続されている。
【0134】
また、第4の実施の形態では、FET44,45のドレインD及びソースSにコイル46,47を接続する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図19に示す第3の変形例のように構成してもよい。この場合、非線形回路43′のコイル46′,47′は、FET44,45のゲートGに接続されている。
【0135】
また、図20に示す第4の変形例のように構成してもよい。この場合、非線形回路43″は、FET44,45のドレインD及びソースSにコイル46,47が接続されると共に、ゲートGにコイル46″,47″が接続されている。
【0136】
また、実施の形態では、インダクタンス素子として、渦巻き状のコイル13(スパイラルインダクタ)や、ボンディングワイヤからなる金属線67等を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばメアンダインダクタ、高インピーダンス線路、リボン等を含めて誘導性リアクタンスを有する各種のインダクタ素子を用いることができる。
【0137】
さらに、実施の形態では、無線通信装置に用いられる偶高調波ミキサ1等を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、無線通信装置以外にも、各種の周波数変換回路に適用できるのは勿論である。
【0138】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、非線形回路の各ダイオードには、インダクタンス素子をそれぞれ直列に接続する構成としたので、ダイオードの接合容量が原因で生じる容量性のリアクタンスをインダクタンス素子の誘導性リアクタンスによって補償することができる。従って、例えばマイクロ波、ミリ波等の高い周波数領域においても、回路のインピーダンスを安定的に整合でき、インピーダンスの不整合により生じる変換損失を確実に低減できると共に、変換効率の高い周波数変換回路を容易に実現することができる。
【0139】
また、請求項2の発明によれば、ダイオードをFETによって構成したので、周波数変換回路の製造時には、例えばダイオード専用の素子を備えていない集積回路等に対して、FETを形成する汎用的な半導体プロセス等によってダイオードを容易に形成できるから、周波数変換回路の製造工程を簡素化でき、コストダウンを図ることができる。また、FETからなるダイオードの接合容量が比較的大きい場合でも、この接合容量による影響をインダクタンス素子によって確実に補償することができる。
【0140】
また、請求項3の発明によれば、インダクタンス素子は、一端側をFETのドレイン、ソース及びゲートにそれぞれ接続して設け、ドレイン側とソース側のインダクタンス素子の他端を互いに接続する構成としたので、FETの各電極に接続されるリアクタンスの大きさを個々のインダクタンス素子によって適切に調整でき、FETの接合容量をより安定的に打消すことができる。また、例えば各インダクタンス素子をFETの配線等として利用することにより、周波数変換回路を簡略化できると共に、その設計自由度を高めることができる。
【0141】
また、請求項4の発明によれば、分波回路は誘電体基板に搭載し、ダイオードは半導体基板に搭載し、インダクタンス素子を金属線により構成したので、ダイオード以外の部品を比較的安価な誘電体基板に搭載でき、半導体基板の面積を小さくしてコストダウンを図ることができる。また、誘電体基板の近傍で高周波信号等の波長が短くなるのを利用してスタブ等の伝送線路を短くすることができ、周波数変換回路を小型化することができる。また、ボンディングワイヤ等の金属線を利用してインダクタンス素子を容易に形成できるから、回路全体をより小型化できると共に、その部品点数を削減して回路構造や製造工程を簡略化することができる。
【0142】
さらに、請求項5の発明によれば、周波数変換回路を、無線通信装置の偶高調波ミキサとして構成したので、アップコンバート用やダウンコンバート用の偶高調波ミキサが作動するときには、インピーダンスの不整合により生じる変換損失を確実に低減でき、無線用の高い周波数領域においても、送信及び受信時の変換効率が高い無線通信装置を容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図2】ダイオードの等価回路を示す回路図である。
【図3】図1中のインダクタンス素子を具体的に示す正面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図7】偶高調波ミキサによる周波数変換時の損失をシミュレーションするためのシミュレーション回路を示す回路構成図である。
【図8】図7のシミュレーション回路を用いて演算したインダクタンス素子の巻き線数と信号の変換効率との関係を示す特性線図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図12】本発明の第8の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図13】本発明の第9の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図14】本発明の第10の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図15】本発明の第11の実施の形態による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図16】本発明の第12の実施の形態に適用される無線通信装置を示す回路構成図である。
【図17】本発明の第1の変形例による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図18】本発明の第2の変形例による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図19】本発明の第3の変形例による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【図20】本発明の第4の変形例による偶高調波ミキサを示す回路構成図である。
【符号の説明】
1,21,31,41,51,61,71,81,91,101,111 偶高調波ミキサ(周波数変換回路)
2,22,32,42 分波回路
3,23,33 高周波信号端子
4,24,34 中間周波信号端子
5,25,35 局発信号端子
6,7,8,9,26,27,28,36,37,124B,125B フィルタ
10,10′,10″,43,43′,43″,52,63,83,103 非線形回路
11,12,65,66 ダイオード
13,13′,13″,14,14′,14″,46,46′,46″,47,47′,47″,55,56,57,58 コイル(インダクタンス素子)
38,39 伝送線路
44,45,53,54,85,86,105,106 FET(ダイオード)
62,73,82,93,102,113 誘電体基板
62A,62B,64A,73A,73B,82A,82B,84A,93A,93B,102A,102B,104A,113A,113B 電極パッド
64,84,104 半導体基板
67,68,69,70,87,88,89,90,107,108 金属線(インダクタンス素子)
121 無線通信装置
124 送信ブロック
124A,125C 混合器(偶高調波ミキサ)
125 受信ブロック
Claims (5)
- 高周波信号、中間周波信号及び局発信号を分離するための分波回路と、前記分波回路に接続され前記高周波信号と中間周波信号のうちの一方の信号が前記局発信号と一緒に入力されるときにこれらの入力信号の混合波を前記分波回路に出力する非線形回路とを備えた周波数変換回路において、
前記非線形回路は、前記分波回路に対して互いに極性を逆向きにして並列に接続される2個のダイオードと、該2個のダイオードに対してそれぞれ直列に接続されたインダクタンス素子とにより構成したことを特徴とする周波数変換回路。 - 前記ダイオードはドレインとソースとを接続したFETにより構成してなる請求項1に記載の周波数変換回路。
- 前記インダクタンス素子は、一端側を前記FETのドレイン、ソース及びゲートにそれぞれ接続して設け、前記ドレイン側のインダクタンス素子の他端と前記ソース側のインダクタンス素子の他端とを接続する構成としてなる請求項2に記載の周波数変換回路。
- 前記ダイオードは半導体基板に搭載し、前記分波回路は誘電体基板に搭載し、前記ダイオードと前記誘電体基板側の電極パッドとを金属線により接続し、前記インダクタンス素子は該金属線により構成してなる請求項1,2または3に記載の周波数変換回路。
- 前記分波回路と非線形回路とは無線通信装置の偶高調波ミキサを構成してなる請求項1,2,3または4に記載の周波数変換回路。
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