JP2004135867A - 異常陰影候補検出方法及び異常陰影候補検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異常陰影候補検出方法及び装置において、異常陰影候補の誤検出を低減し、検出効率、検出精度を向上させる。
【解決手段】任意の異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データP0,Pa,Pbを3次元画像データから生成し、各断面画像データに対してアイリスフィルタやモフォロジーフィルタ等による異常陰影候補検出処理90を行う。評価手段2は、結果取得手段1が取得した断面画像データ毎の検出結果データR0,Ra,Rbを統合、評価し、最終的な異常陰影候補を検出し、最終結果データRを出力する。
【選択図】 図3
【解決手段】任意の異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データP0,Pa,Pbを3次元画像データから生成し、各断面画像データに対してアイリスフィルタやモフォロジーフィルタ等による異常陰影候補検出処理90を行う。評価手段2は、結果取得手段1が取得した断面画像データ毎の検出結果データR0,Ra,Rbを統合、評価し、最終的な異常陰影候補を検出し、最終結果データRを出力する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、異常陰影候補検出方法及び異常陰影候補検出装置に関し、より詳細には、3次元画像データに基づいて異常陰影候補を検出する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医療分野においては、被写体の放射線画像を読影して病変部を発見し、またその病変部の状態を観察して、疾病の有無や進行状況の診断を行うことが一般的に行われている。しかしながら、放射線画像の読影は読影者の経験や画像読影能力の高低によって左右され、必ずしも客観的なものとはいえなかった。
【0003】
例えば、乳癌の検査を目的として撮影されたマンモグラフィ(乳房を被写体とした診断用放射線画像)においては、その画像から癌化部分の特徴の一つである腫瘤陰影や微小石灰化陰影等の異常陰影を検出することが必要であるが、読影者によっては必ずしも的確にその異常陰影の範囲を指定することができるとは限らない。このため、読影者の技量に依存することなく、腫瘤陰影や微小石灰化陰影を始めとする異常陰影を的確に検出することが求められていた。
【0004】
この要望に応えるものとして、診断用画像として取得された被写体の画像データに基づき、その画像データが表す画像中の異常陰影の候補を計算機を用いて自動的に検出する異常陰影候補検出処理システム(計算機支援画像診断装置)が提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【0005】
この異常陰影候補検出処理システムは、異常陰影の濃度分布の特徴や形態的な特徴に基づいて、計算機を用いて自動的に異常陰影候補の検出を行うものであり、主として腫瘤陰影を検出するのに適したアイリスフィルタ処理や、主として微小石灰化陰影を検出するのに適したモフォロジーフィルタ処理等を利用して異常陰影の候補領域を検出する(例えば、特許文献1,2)。
【0006】
アイリスフィルタ処理は、画像信号の濃度勾配の集中度の最大値を表すアイリスフィルタ出力値と所定の閾値とを比較することにより、画像中における乳癌の特徴的形態の一つである腫瘤陰影の候補領域を検出するのに有効な手法であり、一方、モフォロジーフィルタ処理は、画像信号に対して、検出しようとする微小石灰化陰影よりも大きいサイズの構造要素を用いたモフォロジー演算処理の出力値と所定の閾値とを比較することにより、画像中における乳癌の特徴的形態の一つである微小石灰化陰影の候補領域を検出するのに有効な手法である(例えば、特許文献1,2)。
【0007】
また、アイリスフィルタ処理やモフォロジーフィルタ処理により得られた異常陰影の候補領域のうち、悪性の異常陰影である蓋然性が高い異常陰影をさらに検出するために、検出された候補領域の形状、内部、辺縁の特徴を表す特徴量を用いてその候補領域の悪性度合いを判定し、より確定的な異常陰影候補を最終的に検出する方法が提案されている(例えば、特許文献3、4)。
【0008】
この他、被写体を少なくとも2つの異なる方向から撮影して、それぞれ得られた2以上の放射線画像について異常陰影候補の検出処理を行うことによって、より信頼性の高い異常陰影候補を検出する方法及びシステムも提案されている(例えば、特許文献5)。
【0009】
一方、従来の2次元の放射線画像データだけでなく、3次元のCT画像データを読影して病変部を発見し、またその病変部の状態を観察して、疾病の有無や進行状況の診断を行うことも行われている。この3次元のCT画像データは、2次元の放射線画像データと比較して、被写体についてより多くの情報を有しているため、任意の方向における断面画像を読影することにより、精度の高い診断が可能となってきている。
【0010】
また、これらの異常陰影候補検出方法及び装置を3次元画像データに基づく任意の断面画像に対して適用することも有効と考えられ、ある断面画像から異常陰影候補となりうる領域が検出された場合に、その画像の前後でスライスした断面画像でも同様の異常陰影候補検出処理を繰り返すことによって、その領域が異常陰影候補であるかどうかを判断するコンピュータ断層撮影装置が知られている(例えば、特許文献6)。
【0011】
【特許文献1】
特開平8−294479号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平8−287230号公報
【0013】
【特許文献3】
特開平9−167238号公報
【0014】
【特許文献4】
特開2002−109510号公報
【0015】
【特許文献5】
特開2001−346786号公報
【0016】
【特許文献6】
特開平7−88109号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、異常陰影候補検出処理システムは、上述のように各種の検出処理や判定処理を用いて異常陰影候補を最終的に検出するものであるが、これらの処理は異常陰影の形状等の特徴に基づいて計算機(コンピュータ)が自動処理するものであるから、あくまでも検出結果は診断支援情報としての異常陰影候補であって、誤検出や検出漏れの可能性を持つものである。従って、実際には、検出漏れの防止のため、異常陰影候補の検出条件を緩やかに設定していることが多く、その結果として、異常陰影候補の検出率が高くなるとともに、誤検出率も高くなっている。
【0018】
この点について、特許文献5の異常陰影候補検出方法及び装置では、複数の2次元の放射線画像データを使用することによって検出の信頼性の向上を図っているが、この場合、異常の有無にかかわらず複数の放射線画像データを準備するか、若しくは異常陰影候補が検出された場合に、再度、別の角度からの放射線画像の撮影を行う必要があり、コストや被検者の負担の点で問題になる。また、複数の画像データ間での位置の対応関係を判断することにも困難を伴う。
【0019】
さらに、3次元のCT画像データは、その情報量の多さゆえに、診断者に大量の読影による過大な負担を強いることになり、異常陰影候補の見落としの恐れもある。また、特許文献6のコンピュータ断層撮影装置においても、大量の異常陰影候補検出処理が必要になり、処理の負荷、効率の面で問題となる。
【0020】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、検出の誤りが少なく、検出処理効率が高く、さらに、検出精度が高い異常陰影候補検出方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明による異常陰影候補検出方法は、複数の断面画像データに対して異常陰影候補検出処理を行った結果を統合、評価する機能を備えたものである。すなわち、任意に選択した異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データに対して異常陰影候補検出処理を行って得られる前記断面画像データ毎の検出結果を取得し、前記断面画像データ毎の前記検出結果を統合して、前記選択をした異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価をすることを特徴とする。
【0022】
ここで、「任意に選択した異常陰影候補」(以下、第1次異常陰影候補と呼ぶ)とは、3次元CT画像データ等の被写体を表す3次元画像データの読影によって、若しくは、3次元画像データから生成した断面画像データに対する異常陰影候補検出処理によって検出された異常陰影候補の中から、任意に選択した1つの異常陰影候補をいう。
【0023】
「異常陰影候補検出処理」とは、アイリスフィルタやモフォロジーフィルタ等による異常陰影候補検出処理が考えられる。
【0024】
「異常陰影」とは、アイリスフィルタ処理により検出される腫瘤陰影や、モフォロジーフィルタ処理により検出される微小石灰化陰影等を意味する。
【0025】
「検出結果」とは、第1次異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データに対しての異常陰影候補検出処理の結果であるが、前記評価において、最終的な異常陰影候補を判断するための基礎となるものであればいかなるものでもよい。具体的には、アイリスフィルタ処理の場合、アイリスフィルタの出力値だけでなく、検出された異常陰影候補領域の形状、内部、辺縁の特徴を表す特徴量、さらにこれらの特徴量から算出されるマハラノビス距離等、種々の副次的指標値を採用することができる。モフォロジーフィルタ処理の場合においても同様であり、モフォロジーフィルタの出力値だけでなく、石灰化密度等の副次的指標値を採用することができる。
【0026】
「検出結果を取得」とは、検出結果が格納されている記憶媒体から検出結果を読み込んでもよいし、前記異常陰影候補検出処理を行う装置等から直接入力されてもよい。
【0027】
「前記断面画像データ毎の前記検出結果を統合して、前記選択をした異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価をする」とは、第1次異常陰影候補を別の方向から診たときにも異常陰影候補となるかどうかについて、断面画像データ毎の検出結果に基づいて評価することをいう。断面画像データ毎の検出結果に基づいて、第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補となるかどうか評価していればいかなる方法であってもよい。
【0028】
例えば、まず、断面画像データ毎の検出結果の各々について検出結果として採用された出力値や副次的指標値が所定の閾値を超えているかどうかの判定を行い、断面画像データ毎の検出結果の各々に含まれている異常陰影候補を決定する。次に、第1次異常陰影候補点(領域)が、他の方向から診たときの検出結果でも異常陰影候補として検出されているかを判定し、所定の条件を満たしていれば、第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価する(図1(A)参照)。ここで、「所定の条件」とは、検出結果の全てにおいてその第1次異常陰影候補を異常陰影候補であると判定した場合に、最終的な異常陰影候補と評価するものであってもよいし、検出結果の過半数においてその第1次異常陰影候補を異常陰影候補と判定した場合に、最終的な異常陰影候補と評価するものであってもよい。また、前記評価の前に、前記検出結果に基づきその第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するための条件の設定を受け付け、そこで設定された条件に基づいて評価されるものであってもよい。「条件の設定」とは、具体的には、個々の検出結果データの判定結果を統合、評価する条件(例えば、検出結果の60%以上で第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と判定すること)だけでなく、個々の検出結果データにおいて着目する値(出力値、特徴量等)やその閾値、判定条件(閾値との大小関係)の設定を行うことをいう。
【0029】
若しくは、断面画像データ毎の検出結果中の第1次異常陰影候補点(領域)における出力値や副次的指標値が所定の閾値を超えているかを判定し、各判定結果に基づいて第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補になるかどうかを評価してもよい(図1(B)参照)。この他、断面画像データ毎の検出結果の各々について閾値との比較を行わず、断面画像データ毎の検出結果中の第1次異常陰影候補点(領域)における出力値や副次的指標値から全検出結果の平均値等の新たな総合的指標値を求め、その指標値が所定の閾値を超えているかどうかの判定を行うことによって、第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補かどうかを評価してもよい(図1(C)参照)。
【0030】
また、本発明による異常陰影候補検出方法は、前記評価の結果と前記最終的な異常陰影候補の少なくとも一方を出力するものであってもよい。
【0031】
次に本発明による異常陰影候補検出装置は、任意に選択した異常陰影候補(第1次異常陰影候補)を通る互いに異なる複数の断面画像データに対して異常陰影候補検出処理を行って得られる前記断面画像データ毎の検出結果を取得する結果取得手段と、該結果取得手段が取得した前記断面画像データ毎の前記検出結果を統合して、前記選択をした異常陰影候補(第1次異常陰影候補)が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価をする評価手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0032】
また、前記結果取得手段が、任意に選択した異常陰影候補(第1次異常陰影候補)を通る互いに異なる複数の断面画像データを取得する第1のデータ取得手段と、該第1のデータ取得手段が取得した前記断面画像データ毎に異常陰影候補の検出を行う第1の異常陰影候補検出手段とからなるものであることも考えられる。
【0033】
さらに、前記第1のデータ取得手段が、被写体を表す3次元画像データと、該3次元画像データから任意に選択した異常陰影候補(第1次異常陰影候補)を含む断面画像データとを取得する第2のデータ取得手段と、該第2のデータ取得手段が取得した前記3次元画像データと前記選択をした異常陰影候補を含む断面画像データとに基づき、前記選択をした異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データを生成するデータ生成手段とからなるものであることも考えられる。
【0034】
この他、前記第2のデータ取得手段が、被写体を表す3次元画像データから任意に選択した断面画像データを取得する第3のデータ取得手段と、該第3のデータ取得手段が取得した前記3次元画像データから任意に選択した断面画像データについて異常陰影候補の検出を行う第2の異常陰影候補検出手段とを備え、前記第2の異常陰影候補検出手段が異常陰影候補(第1次異常陰影候補)を検出した場合に、該異常陰影候補を含む、前記3次元画像データから任意に選択した断面画像データを取得するものであることも考えられる。
【0035】
ここで、「被写体をあらわす3次元画像データ」とは、各画素の位置が3次元空間に定義される画像データであり、具体的には、肺CT画像等が考えられる。
【0036】
「異常陰影候補検出手段」としては、アイリスフィルタやモフォロジーフィルタ等による異常陰影候補検出処理が考えられる。
【0037】
前記データ生成手段は、予め設定された断面の方向等の条件に基づき、被写体を表す3次元画像データから第1次異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データを生成するものであってもよいし、前記複数の断面画像データの生成条件を設定する断面条件設定手段をさらに備え、そこで設定された条件に基づき、第1次異常陰影候補を通る断面画像データを生成するものであってもよい。なお、生成される互いに異なる複数の断面画像データは、互いに直交する3平面であることが効果的と考えられるが(図2参照)、断面画像データ数は2以上であればいくつであってもよく、断面の方向についても、第1次異常陰影候補の特性に応じて任意の方向を指定してもよい。
【0038】
なお、前記評価手段が、前記検出結果の全てにおいて、第1次異常陰影候補を異常陰影候補と判断した場合に、第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するものであってもよいし、前記検出結果の過半数において、第1次異常陰影候補を異常陰影候補と判断した場合に、第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するものであってもよい。また、前記検出結果に基づき第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するための条件を設定する評価条件設定手段をさらに備え、そこで設定した評価条件に基づいて前記評価手段が検出結果の統合及び評価を行うものであってもよい。具体的には、評価手段に入力される個々の検出結果データにおいて着目する値(出力値、特徴量等)やその閾値、判定条件(閾値との大小関係)、個々の検出結果データの判定結果を統合、評価する条件(例えば、検出結果の60%以上で第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と判定すること)の設定を行う。
【0039】
また、前記評価の結果と前記最終的な異常陰影候補の少なくとも一方を出力する結果出力手段をさらに備えることも望ましい。
【0040】
【発明の効果】
本発明の異常陰影候補検出方法及び装置によれば、第1次異常陰影候補に対して、複数の方向から最終的な異常陰影候補となりうるかの評価をすることが可能になり、異常陰影候補の誤検出が減少し、診断効率が向上する。
【0041】
例えば、アイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理では、ある方向の断面画像データにおいて血管等の細長い陰影同士が交差している場合、その交差部分はその方向においては第1次異常陰影候補として検出されうるが(特許文献3の図2参照)、同じ交差部分であっても、他の方向の断面画像データにおいては交差せずに血管等の細長い陰影として投影されていれば異常陰影候補としては検出されない。従って、この場合には第1次異常陰影候補は最終的な異常陰影候補と評価されず、誤検出が回避される。
【0042】
また、3次元画像データを使用すれば、各画素が3次元空間上の位置情報を有するため、複数の断面画像データ間の位置関係の特定が容易になり、異常陰影候補の検出精度が高まる。
【0043】
さらに、複数の方向からの断面画像データに対して検出処理を行うことにより、同一方向の多数のスライス画像に対して検出処理を行うよりも効率的に異常陰影候補の検出を行うことができる。
【0044】
請求項4記載の最終的な異常陰影候補と評価するための条件の設定を受け付けを行う異常陰影候補検出方法の場合には、診断目的や診断者の要望等に応じて柔軟な異常陰影候補の検出が可能になり、診断効率が向上する。
【0045】
請求項5記載の前記評価の結果と前記最終的な異常陰影候補の少なくとも一方の出力を行う異常陰影候補検出方法の場合には、結果出力までの処理の自動化、効率化を図ることができる。
【0046】
請求項6記載の結果取得手段と評価手段とを備えた異常陰影候補検出装置によれば、既存の異常陰影候補検出装置による異常陰影候補検出処理の結果を利用することが可能になり、投資コストの軽減を図ることができる。
【0047】
請求項7記載の第1のデータ取得手段と第1の異常陰影候補検出手段を備えた異常陰影候補検出装置の場合は、複数の断面画像データからの異常陰影候補の検出と検出結果の評価を連動して行うことが可能になる。また、請求項8記載の第2のデータ取得手段とデータ生成手段を備えた異常陰影候補検出装置の場合は、3次元画像データからの複数の断面データの生成から評価までを連動して行うことが可能になる。さらに、請求項9記載の第3のデータ取得手段と第2の異常陰影候補検出手段を備えた異常陰影候補検出装置の場合は、第1次異常陰影候補の検出から評価までを連動して行うことが可能になる。従って処理の自動化、効率化を図ることができ効果的である。同様に、請求項14記載の結果出力手段をさらに備えた異常陰影候補検出装置の場合も、結果出力までの処理の自動化、効率化を図ることができる。
【0048】
請求項10記載の断面条件設定手段をさらに備えた異常陰影候補検出装置の場合には、第1次異常陰影候補の所見に応じて、互いに直行する3平面のような客観的に想到しうる断面だけでなく、診断者の経験や勘にも基づき断面画像データの数や方向を柔軟に設定することが可能になり、検出精度を個別的に高めることができる。
【0049】
請求項13記載の評価条件設定手段をさらに備えた異常陰影候補検出装置の場合、診断目的や診断者の要望等に応じて柔軟な異常陰影候補の検出が可能になり、診断効率が向上する。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0051】
本発明の第1の実施の形態となる異常陰影候補検出装置Aは、第1次異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データに対して異常陰影候補検出処理を行った結果を評価する機能を備えたものであり、図3は、同装置Aの構成を示したブロック図である。図3において、同装置Aは結果取得手段1と評価手段2を備えている。
【0052】
診断者は、同装置Aへの入力データとして、第1次異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データP0,Pa,Pbに対してアイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理90を行った検出結果データR0,Ra,Rbを準備する。検出結果データR0,Ra,Rbには、検出された異常陰影候補領域の3次元空間上の位置情報とアイリスフィルタ出力値が含まれている。また、検出結果データR0は第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)も有している。アイリスフィルタ出力値とは検出された異常陰影候補領域について所定の方法で算出される濃度勾配の集中度の最大値である。なお、アイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理及びその出力値の算出方法の詳細については、前記特許文献1から4等に開示されている。
【0053】
結果取得手段1は、検出結果データR0,Ra,Rbを入力データとして取得する。具体的には、同装置Aが備えている、若しくは、ネットワークを介して接続されている異常陰影候補検出処理90を行った装置等が備えている、検出結果データR0,Ra,Rbが格納されている記憶媒体(図示なし)から読み込む。
【0054】
評価手段2は、第1次異常陰影候補が、読み込まれた検出結果データRa,Rbの全てにおいて検出されているかどうかの判定を行う。具体的には、検出結果データRa,Rbのアイリスフィルタ出力値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより異常陰影候補領域の検出を行い、全ての検出結果データから異常陰影候補領域が検出された場合には、各異常陰影候補領域について、検出結果データR0が有する第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)が含まれているかどうかを判定する。そして、全ての検出結果データに、第1次異常陰影候補の位置情報が含まれている場合には、その位置を含む異常陰影候補領域を最終的な異常陰影候補として検出し、最終結果データRを出力する。なお、判定においては、第1次異常陰影候補が、読み込まれた検出結果データR0,Ra,Rbの過半数において検出されているかどうかを判定してもよい。
【0055】
最終結果データRは、最終的な異常陰影候補が検出された場合には、その旨と検出結果データR0,Ra,Rbを含むものであり、最終的な異常陰影候補が検出されなかった場合には、その旨のみを含むものである。
【0056】
なお、本実施形態では、3つの断面画像データから3つの検出結果データを得た場合を例にして説明を行ったが、断面画像データ(検出結果データ)は2以上あればいくつでもよい。
【0057】
異常陰影候補検出処理90はモフォロジーフィルタによる異常陰影候補検出処理であってもよい。
【0058】
検出結果データR0,Ra,Rbは、アイリスフィルタ処理の場合、アイリスフィルタの出力値だけでなく、検出された異常陰影候補領域の形状の特徴を表す円形度等(特許文献4参照)や、異常陰影候補領域内部の濃度ヒストグラムの特徴を表す分散値、コントラスト、角モーメント等(特許文献3、4参照)、異常陰影候補領域辺縁の特徴を表す分散値、偏り、相関値、モーメント、エントロピー等(特許文献3、4参照)の特徴量、さらにこれらの特徴量から算出されるマハラノビス距離等(特許文献3、4参照)、種々の副次的指標値を採用することができる。モフォロジーフィルタ処理の場合においても同様であり、モフォロジーフィルタの出力値(特許文献1,2参照)だけでなく、石灰化密度等(特開2002−133396号公報参照)の副次的指標値を採用することができる。
【0059】
評価手段2では、検出結果データRa,Rbの各々について、第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値や副次的指標値が所定の閾値を超えているかを判定し、その判定結果に基づいて第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価を行ってもよい。若しくは、検出結果データRa,Rbについて個別に閾値比較を行わずに評価を行ってもよい。例えば、検出結果データR0,Ra,Rb中の第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値の平均値を求め、その平均値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより、第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補かどうかを評価してもよい。また、検出結果データR0,Ra,Rb中の第1次異常陰影候補点における円形度等の種々の特徴量について全検出結果データの平均値を各々求め、その特徴量の平均値に基づき正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。この他、各検出結果データを別個の特徴量として捉え、例えば、検出結果データR0,Ra,Rb各々のアイリスフィルタ出力値を別個の特徴量として正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。
【0060】
このように本発明の第1の実施形態となる異常陰影候補検出装置Aによれば、第1次異常陰影候補に対して、複数の方向から最終的な異常陰影候補となりうるかの評価をすることが可能になり、異常陰影候補の誤検出が減少し、診断効率が向上する。
【0061】
また、既存の異常陰影候補検出装置による異常陰影候補検出処理の結果を利用することが可能になり、投資コストの軽減を図ることができる。
【0062】
本発明の第2の実施の形態となる異常陰影候補検出装置Bは、最終的な異常陰影候補検出のための評価条件を設定する機能と、異常陰影候補検出処理機能を同装置Aに付加したものであり、図4は同装置Bの構成を示したブロック図である。図4において、同装置Bは、同装置Aの結果取得手段1が第1のデータ取得手段4と異常陰影候補検出手段5を備え、評価条件設定手段3を同装置Aに付加したものとなっている。
【0063】
従って、同装置Bでは、診断者は、第1次異常陰影候補を含む断面画像データP0と、第1次異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データPa,Pbを入力データとして準備しておく必要がある。なお、断面画像データP0が複数の第1次異常陰影候補を含んでいる場合には、その中から任意の1つを選び、異常陰影候補毎に後続の処理を行う必要がある。
【0064】
また、診断者は、評価条件設定手段3により、評価手段2において最終的な異常陰影候補と評価するための条件を設定する。具体的には、評価手段2に入力される個々の検出結果データにおいて着目する値(出力値、特徴量等)やその閾値、判定条件(閾値との大小関係)、個々の検出結果データの判定結果を統合、評価する条件(例えば、検出結果の60%以上で第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と判定すること)の設定を行う。
【0065】
第1のデータ取得手段4は、断面画像データP0,Pa,Pbを異常陰影候補検出手段5への入力データとして取得する。具体的には、同装置Bが備えている、若しくは、ネットワークを介して接続されている他の装置等が備えている記憶媒体(図示なし)から読み込む。
【0066】
異常陰影候補検出手段5は、読み込まれた断面画像データP0,Pa,Pbの各々についてアイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理を行い、検出結果データR0,Ra,Rbを出力する。ここで、検出結果データR0は第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)も有しているものとする。
【0067】
評価手段2は、検出結果データR0,Ra,Rbが評価条件設定手段3で設定した条件を満たしているかどうかの判定を行う。具体的には、まず、検出結果データRa,Rbのアイリスフィルタ出力値が、評価条件設定手段3によって設定された閾値を超えているかどうかを判定することによって異常陰影候補領域の検出を行い、全ての検出結果データから異常陰影候補領域が検出された場合には、各異常陰影候補領域について、検出結果データR0が有する第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)が含まれているかどうかを判定する。そして、評価条件設定手段3によって設定した個々の検出結果データの判定結果を統合、評価する条件(例えば、検出結果データの60%以上で第1次異常陰影候補が検出されていること)を満たしているかどうか判定する。そして、条件を満たす場合には、その位置を含む異常陰影候補領域を最終的な異常陰影候補として検出し、最終結果データRを出力する。
【0068】
最終結果データRは、最終的な異常陰影候補が検出された場合には、その旨と検出結果データR0,Ra,Rbを含むものであり、最終的な異常陰影候補が検出されなかった場合には、その旨のみを含むものである。
【0069】
なお、本実施形態では、3つの断面画像データから3つの検出結果データを得た場合を例にして説明を行ったが、断面画像データ(検出結果データ)は2以上あればいくつでもよい。
【0070】
異常陰影候補検出手段5の処理はモフォロジーフィルタによる異常陰影候補検出処理であってもよい。
【0071】
検出結果データR0,Ra,Rbは、アイリスフィルタ処理の場合、アイリスフィルタの出力値だけでなく、検出された異常陰影候補領域の形状の特徴を表す円形度等(特許文献4参照)や、異常陰影候補領域内部の濃度ヒストグラムの特徴を表す分散値、コントラスト、角モーメント等(特許文献3、4参照)、異常陰影候補領域辺縁の特徴を表す分散値、偏り、相関値、モーメント、エントロピー等(特許文献3、4参照)の特徴量、さらにこれらの特徴量から算出されるマハラノビス距離等(特許文献3、4参照)、種々の副次的指標値を採用することができる。モフォロジーフィルタ処理の場合においても同様であり、モフォロジーフィルタの出力値(特許文献1,2参照)だけでなく、石灰化密度等(特開2002−133396号公報参照)の副次的指標値を採用することができる。
【0072】
評価手段2では、検出結果データRa,Rbの各々について、第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値や副次的指標値が所定の閾値を超えているかを判定し、その判定結果に基づいて第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価を行ってもよい。若しくは、検出結果データRa,Rbについて個別に閾値比較を行わずに評価を行ってもよい。例えば、検出結果データR0,Ra,Rb中の第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値の平均値を求め、その平均値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより、第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補かどうかを評価してもよい。また、検出結果データR0,Ra,Rb中の第1次異常陰影候補点における円形度等の種々の特徴量について全検出結果データの平均値を各々求め、その特徴量の平均値に基づき正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。この他、各検出結果データを別個の特徴量として捉え、例えば、検出結果データR0,Ra,Rb各々のアイリスフィルタ出力値を別個の特徴量として正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。
【0073】
第1次異常陰影候補を含む断面画像データP0について、既に異常陰影候補検出処理が行われたものであり、その検出結果データR0が評価手段2に直接入力可能なものであれば、この断面画像データP0については、第1のデータ取得手段4への入力を省略することができる。
【0074】
このように本発明の第2の実施形態となる異常陰影候補検出装置Bによれば、第1次異常陰影候補に対して、複数の方向から最終的な異常陰影候補となりうるかの評価をすることが可能になり、異常陰影候補の誤検出が減少し、診断効率が向上する。
【0075】
また、複数の断面画像データからの異常陰影候補の検出と検出結果の評価を連動して行うことが可能になり、処理の自動化、効率化を図ることができる。さらに、評価条件設定手段3により、診断目的や診断者の要望等に応じて柔軟な異常陰影候補の検出が可能になり、診断効率が向上する。
【0076】
本発明の第3の実施の形態となる異常陰影候補検出装置Cは、第1次異常陰影候補を含む断面画像データに基づき、第1次異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データを、診断者による条件設定に応じて、もととなる3次元CT画像データから生成する機能を同装置Bに付加したものであり、図5は同装置Cの構成を示したブロック図である。図5において、同装置Cは、同装置Bの第1のデータ取得手段4が、第2のデータ取得手段6とデータ生成手段7、断面条件設定手段8を備えたものとなっている。なお、同装置Bに備わっている評価条件設定手段3は同装置Cには示されていないが、評価条件設定手段3をさらに備えたものであることも考えられる。
【0077】
同装置Cでは、診断者は、第1次異常陰影候補を含む断面画像データP0とそのもととなる3次元CT画像データPを入力データとして準備しておく必要がある。
【0078】
次に、断面画像データP0の所見に基づき、異常陰影候補検出処理を行う断面画像データの生成条件を断面条件設定手段8によって設定する。具体的には、生成する断面画像データの断面の方向を指定する。この際、診断者は生成する断面画像データが、第1次異常陰影候補を通るものとなるように留意する必要がある。
【0079】
第2のデータ取得手段6は、断面画像データP0と3次元CT画像データPをデータ生成手段7への入力データとして取得する。具体的には、同装置Cが備えている、若しくは、ネットワークを介して接続されている他の装置等が備えている記憶媒体(図示なし)から読み込む。
【0080】
データ生成手段7は、断面条件設定手段8によって設定された条件に基づき、複数の断面画像データを生成する。ここでは、Pa,Pb,Pcの3つの断面画像データを新たに生成するように設定されていたものとする。
【0081】
異常陰影候補検出手段5は、断面画像データP0,Pa,Pb,Pcの各々についてアイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理を行い、検出結果データR0,Ra,Rb,Rcを出力する。ここで、検出結果データR0は第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)も有しているものとする。
【0082】
評価手段2は、第1次異常陰影候補が、検出結果データRa,Rb,Rcの全てにおいて検出されているかどうかの判定を行う。具体的には、検出結果データRa,Rb,Rcのアイリスフィルタ出力値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより異常陰影候補領域の検出を行い、全ての検出結果データから異常陰影候補領域が検出された場合には、各異常陰影候補領域について、検出結果データR0が有する第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)が含まれているかどうかを判定する。そして、全ての検出結果データに、第1次異常陰影候補の位置情報が含まれている場合には、その位置を含む異常陰影候補領域を最終的な異常陰影候補として検出し、最終結果データRを出力する。なお、判定においては、第1次異常陰影候補が、読み込まれた検出結果データR0,Ra,Rb,Rcの過半数において検出されているかどうかを判定してもよい。
【0083】
最終結果データRは、最終的な異常陰影候補が検出された場合には、その旨と検出結果データR0,Ra,Rb,Rcを含むものであり、最終的な異常陰影候補が検出されなかった場合には、その旨のみを含むものである。
【0084】
なお、本実施形態では、4つの断面画像データから4つの検出結果データを得た場合を例にして説明を行ったが、断面画像データ(検出結果データ)は2以上あればいくつでもよい。
【0085】
異常陰影候補検出手段5の処理はモフォロジーフィルタによる異常陰影候補検出処理であってもよい。
【0086】
検出結果データR0,Ra,Rb,Rcは、アイリスフィルタ処理の場合、アイリスフィルタの出力値だけでなく、検出された異常陰影候補領域の形状の特徴を表す円形度等(特許文献4参照)や、異常陰影候補領域内部の濃度ヒストグラムの特徴を表す分散値、コントラスト、角モーメント等(特許文献3、4参照)、異常陰影候補領域辺縁の特徴を表す分散値、偏り、相関値、モーメント、エントロピー等(特許文献3、4参照)の特徴量、さらにこれらの特徴量から算出されるマハラノビス距離等(特許文献3、4参照)、種々の副次的指標値を採用することができる。モフォロジーフィルタ処理の場合においても同様であり、モフォロジーフィルタの出力値(特許文献1,2参照)だけでなく、石灰化密度等(特開2002−133396号公報参照)の副次的指標値を採用することができる。
【0087】
評価手段2では、検出結果データR0,Ra,Rb,Rcの各々について、第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値や副次的指標値が所定の閾値を超えているかを判定し、その判定結果に基づいて第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価を行ってもよい。若しくは、検出結果データRa,Rb,Rcについて個別に閾値比較を行わずに評価を行ってもよい。例えば、検出結果データR0,Ra,Rb,Rc中の第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値の平均値を求め、その平均値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより、第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補かどうかを評価してもよい。また、検出結果データR0,Ra,Rb,Rc中の第1次異常陰影候補点における円形度等の種々の特徴量について全検出結果データの平均値を各々求め、その特徴量の平均値に基づき正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。この他、各検出結果データを別個の特徴量として捉え、例えば、検出結果データR0,Ra,Rb,Rc各々のアイリスフィルタ出力値を別個の特徴量として正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。
【0088】
第1次異常陰影候補を含む断面画像データP0について、既に異常陰影候補検出処理が行われたものであり、その検出結果データR0が評価手段2に直接入力可能なものであれば、この断面画像データP0については、第2のデータ取得手段6への入力を省略することができる。
【0089】
このように本発明の第3の実施形態となる異常陰影候補検出装置Cによれば、第1次異常陰影候補に対して、複数の方向から最終的な異常陰影候補となりうるかの評価をすることが可能になり、異常陰影候補の誤検出が減少し、診断効率が向上する。
【0090】
また、3次元画像データからの複数の断面データの生成から評価までを連動して行うことが可能になり、処理の自動化、効率化を図ることができる。
【0091】
さらに、断面条件設定手段8により、任意に選択した異常陰影候補の所見に応じて、互いに直行する3平面のような客観的に想到しうる断面だけでなく、診断者の経験や勘にも基づき断面画像データの数や方向を柔軟に設定することが可能になり、検出精度を個別的に高めることができる。
【0092】
本発明の第4の実施の形態となる異常陰影候補検出装置Dは、第1次異常陰影候補の検出を行う機能及び結果出力機能を同装置Cに付加したものであり、図6は同装置Dの構成を示したブロック図である。図6において、同装置Dは、第3のデータ取得手段9が異常陰影候補検出手段5への入力手段として同装置Cに付加され、さらに、第2の評価手段10、結果出力手段11も付加されている。なお、同装置Cに備わっている断面条件設定手段8は同装置Dには示されていないが、断面条件設定手段8をさらに備えたものであることも考えられる。
【0093】
同装置Dは、請求項9により特定される発明と対応するものであるが、請求項9の第1、第2の異常陰影候補検出手段を同装置Dでは共通化しているため、請求項9でいう第2のデータ取得手段は、同装置Dでは、第2のデータ取得手段6と、第3のデータ取得手段9、異常陰影候補検出手段5、第2の評価手段10を組み合わせたものと対応する。
【0094】
同装置Dでは、診断者は、任意の断面画像データP0´を入力データとして準備しておく必要がある。ただし、断面画像データP0´が異常陰影候補を含むかどうかは問わない。
【0095】
次に、第3のデータ取得手段9が断面画像データP0´を異常陰影候補検出手段5への入力データとして取得する。具体的には、同装置Dが備えている、若しくは、ネットワークを介して接続されている他の装置等が備えている記憶媒体(図示なし)から読み込む。
【0096】
異常陰影候補検出手段5は、読み込まれた断面画像データP0´についてアイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理を行い、第2の評価手段10は異常陰影候補が検出されているかを評価する。具体的には、アイリスフィルタ出力値が所定の閾値を超えているかどうかを判定し、所定の閾値を超えていれば第1次異常陰影候補と評価し、第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)を含む検出結果データR0を出力する。
【0097】
以下では、断面画像データP0´は第1次異常陰影候補を含む断面画像データP0であるものとして説明を行う。
【0098】
第2のデータ取得手段6は、断面画像データP0と検出結果データR0、3次元CT画像データPをデータ生成手段7への入力データとして取得する。具体的には、同装置Dが備えている、若しくは、ネットワークを介して接続されている他の装置等が備えている記憶媒体(図示なし)から読み込む。
【0099】
データ生成手段7は、検出結果データR0から第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)を取得し、その異常陰影候補点を通り断面画像データP0に直交する2つの断面画像データPa,Pbを生成する。なお、検出結果データR0に複数の第1次異常陰影候補点が含まれている場合には、第1次異常陰影候補点毎に断面データの生成、後続の処理を行う。
【0100】
異常陰影候補検出手段5は、断面画像データPa,Pbの各々についてアイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理を行い、検出結果データRa,Rbを出力する。
【0101】
(第1の)評価手段2は、第1次異常陰影候補が、読み込まれた検出結果データRa,Rbの全てにおいて検出されているかどうかの判定を行う。具体的には、まず、検出結果データRa,Rbのアイリスフィルタ出力値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより異常陰影候補領域の検出を行い、全ての検出結果データから異常陰影候補領域が検出された場合には、各異常陰影候補領域について、検出結果データR0に示された第1次異常陰影候補点を含んでいるかどうかを判定する。そして、検出結果データRa,Rbの各々に、その第1次異常陰影候補点が含まれていると判断された場合には、その点を含む異常陰影候補領域を最終的な異常陰影候補として検出し、最終結果データRを出力する。なお、判定においては、その第1次異常陰影候補点が、読み込まれた検出結果データR0,Ra,Rbの過半数において異常陰影候補として検出されているかどうかを判定してもよい。
【0102】
最終結果データRは、最終的な異常陰影候補が検出された場合には、その旨と検出結果データR0,Ra,Rbを含むものであり、最終的な異常陰影候補が検出されなかった場合には、その旨のみを含むものである。
【0103】
結果出力手段11は、複数の断面画像データP0,Pa,Pb及び、最終結果データR(検出結果データR0,Ra,Rbを含む)を取得し、異常陰影候補を含む局所領域の画像を全体画像(P0,Pa,Pb)とは別個に表示する(特許文献1参照)。なお、結果の出力方法はこれに限らず、各断面画像を並べて表示し、各断面画像中の異常陰影候補領域を強調表示する方法や、異常陰影候補領域の特徴量等の副次的指標値を表示する方法(特許文献4参照)等、さまざまな方法が考えられる。また、検出結果データR0に複数の第1次異常陰影候補が含まれていた場合には、出力すべき異常陰影候補領域が複数になる場合も考えられる。この場合には、どの異常陰影候補領域を表示するかを選択する機能を設けることが望ましい。
【0104】
なお、本実施形態では、3つの断面画像データから3つの検出結果データを得た場合を例にして説明を行ったが、断面画像データ(検出結果データ)は2以上あればいくつでもよい。
【0105】
異常陰影候補検出手段5の処理はモフォロジーフィルタによる異常陰影候補検出処理であってもよい。
【0106】
検出結果データR0,Ra,Rbは、アイリスフィルタ処理の場合、アイリスフィルタの出力値だけでなく、検出された異常陰影候補領域の形状の特徴を表す円形度等(特許文献4参照)や、異常陰影候補領域内部の濃度ヒストグラムの特徴を表す分散値、コントラスト、角モーメント等(特許文献3、4参照)、異常陰影候補領域辺縁の特徴を表す分散値、偏り、相関値、モーメント、エントロピー等(特許文献3、4参照)の特徴量、さらにこれらの特徴量から算出されるマハラノビス距離等(特許文献3、4参照)、種々の副次的指標値を採用することができる。モフォロジーフィルタ処理の場合においても同様であり、モフォロジーフィルタの出力値(特許文献1,2参照)だけでなく、石灰化密度等(特開2002−133396号公報参照)の副次的指標値を採用することができる。
【0107】
(第1の)評価手段2では、検出結果データRa,Rbの各々について、第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値や副次的指標値が所定の閾値を超えているかを判定し、その判定結果に基づいて第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価を行ってもよい。若しくは、検出結果データRa,Rbについて個別に閾値比較を行わずに評価を行ってもよい。例えば、検出結果データR0,Ra,Rb中の第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値の平均値を求め、その平均値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより、第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補かどうかを評価してもよい。また、検出結果データR0,Ra,Rb中の第1次異常陰影候補点における円形度等の種々の特徴量について全検出結果データの平均値を各々求め、その特徴量の平均値に基づき正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。この他、各検出結果データを別個の特徴量として捉え、例えば、検出結果データR0,Ra,Rb各々のアイリスフィルタ出力値を別個の特徴量として正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。
【0108】
このように本発明の第4の実施形態となる異常陰影候補検出装置Dによれば、第1次異常陰影候補に対して、複数の方向から最終的な異常陰影候補となりうるかの評価をすることが可能になり、異常陰影候補の誤検出が減少し、診断効率が向上する。
【0109】
また、第1次異常陰影候補の検出から結果の出力までを連動して行うことが可能になり、処理の自動化を図ることができるとともに、処理資源、時間を要する異常陰影候補検出処理を最低限に抑え、その結果を再利用することで、処理の効率化を図ることができる。
【0110】
なお、本発明においては、3次元画像データから第1次異常陰影候補となり得る点を最初に発見しておく必要があり、その方法が問題となる。これについては、例えば、一定の厚さをもつ互いに異なる複数の断面画像データを3次元画像データから生成し、これらの断面画像データについて異常陰影候補検出処理を行うことにより、異常陰影候補となりうる点の概略の位置を発見することができ、その結果に基づいて、本発明における異常陰影候補検出装置の入力データとなる第1次異常陰影候補を含む断面画像データを取得することができると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価する方法の例を示す図
【図2】1の異常陰影候補を通る互いに異なる3つの断面画像データの例を示す図
【図3】本発明の第1の実施の形態による異常陰影候補検出装置Aの構成を示すブロック図
【図4】本発明の第2の実施の形態による異常陰影候補検出装置Bの構成を示すブロック図
【図5】本発明の第3の実施の形態による異常陰影候補検出装置Cの構成を示すブロック図
【図6】本発明の第4の実施の形態による異常陰影候補検出装置Dの構成を示すブロック図
【符号の説明】
1 結果取得手段
2 (第1の)評価手段
3 評価条件設定手段
4 第1のデータ取得手段
5 異常陰影候補検出手段
6 第2のデータ取得手段
7 データ生成手段
8 断面条件設定手段
9 第3のデータ取得手段
10 第2の評価手段
11 結果出力手段
90 異常陰影候補検出処理(外部装置)
P0 第1次異常陰影候補を通る断面画像データ(Pa,Pb,Pcとは異なる)
Pa 第1次異常陰影候補を通る断面画像データ(P0,Pb,Pcとは異なる)
Pb 第1次異常陰影候補を通る断面画像データ(P0,Pa,Pcとは異なる)
Pc 第1次異常陰影候補を通る断面画像データ(P0,Pa,Pb,とは異なる)
P0 任意の断面画像データ
P 3次元CT画像データ
R0 断面画像データP0について異常陰影候補検出処理を行った結果データ(第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報を含む)
Ra 断面画像データPaについて異常陰影候補検出処理を行った結果データ
Rb 断面画像データPbについて異常陰影候補検出処理を行った結果データ
Rc 断面画像データPcについて異常陰影候補検出処理を行った結果データ
R 検出結果データR0、RaからRcを統合、評価した最終結果データ(R0、RaからRcを含む)
【発明の属する技術分野】
本発明は、異常陰影候補検出方法及び異常陰影候補検出装置に関し、より詳細には、3次元画像データに基づいて異常陰影候補を検出する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医療分野においては、被写体の放射線画像を読影して病変部を発見し、またその病変部の状態を観察して、疾病の有無や進行状況の診断を行うことが一般的に行われている。しかしながら、放射線画像の読影は読影者の経験や画像読影能力の高低によって左右され、必ずしも客観的なものとはいえなかった。
【0003】
例えば、乳癌の検査を目的として撮影されたマンモグラフィ(乳房を被写体とした診断用放射線画像)においては、その画像から癌化部分の特徴の一つである腫瘤陰影や微小石灰化陰影等の異常陰影を検出することが必要であるが、読影者によっては必ずしも的確にその異常陰影の範囲を指定することができるとは限らない。このため、読影者の技量に依存することなく、腫瘤陰影や微小石灰化陰影を始めとする異常陰影を的確に検出することが求められていた。
【0004】
この要望に応えるものとして、診断用画像として取得された被写体の画像データに基づき、その画像データが表す画像中の異常陰影の候補を計算機を用いて自動的に検出する異常陰影候補検出処理システム(計算機支援画像診断装置)が提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【0005】
この異常陰影候補検出処理システムは、異常陰影の濃度分布の特徴や形態的な特徴に基づいて、計算機を用いて自動的に異常陰影候補の検出を行うものであり、主として腫瘤陰影を検出するのに適したアイリスフィルタ処理や、主として微小石灰化陰影を検出するのに適したモフォロジーフィルタ処理等を利用して異常陰影の候補領域を検出する(例えば、特許文献1,2)。
【0006】
アイリスフィルタ処理は、画像信号の濃度勾配の集中度の最大値を表すアイリスフィルタ出力値と所定の閾値とを比較することにより、画像中における乳癌の特徴的形態の一つである腫瘤陰影の候補領域を検出するのに有効な手法であり、一方、モフォロジーフィルタ処理は、画像信号に対して、検出しようとする微小石灰化陰影よりも大きいサイズの構造要素を用いたモフォロジー演算処理の出力値と所定の閾値とを比較することにより、画像中における乳癌の特徴的形態の一つである微小石灰化陰影の候補領域を検出するのに有効な手法である(例えば、特許文献1,2)。
【0007】
また、アイリスフィルタ処理やモフォロジーフィルタ処理により得られた異常陰影の候補領域のうち、悪性の異常陰影である蓋然性が高い異常陰影をさらに検出するために、検出された候補領域の形状、内部、辺縁の特徴を表す特徴量を用いてその候補領域の悪性度合いを判定し、より確定的な異常陰影候補を最終的に検出する方法が提案されている(例えば、特許文献3、4)。
【0008】
この他、被写体を少なくとも2つの異なる方向から撮影して、それぞれ得られた2以上の放射線画像について異常陰影候補の検出処理を行うことによって、より信頼性の高い異常陰影候補を検出する方法及びシステムも提案されている(例えば、特許文献5)。
【0009】
一方、従来の2次元の放射線画像データだけでなく、3次元のCT画像データを読影して病変部を発見し、またその病変部の状態を観察して、疾病の有無や進行状況の診断を行うことも行われている。この3次元のCT画像データは、2次元の放射線画像データと比較して、被写体についてより多くの情報を有しているため、任意の方向における断面画像を読影することにより、精度の高い診断が可能となってきている。
【0010】
また、これらの異常陰影候補検出方法及び装置を3次元画像データに基づく任意の断面画像に対して適用することも有効と考えられ、ある断面画像から異常陰影候補となりうる領域が検出された場合に、その画像の前後でスライスした断面画像でも同様の異常陰影候補検出処理を繰り返すことによって、その領域が異常陰影候補であるかどうかを判断するコンピュータ断層撮影装置が知られている(例えば、特許文献6)。
【0011】
【特許文献1】
特開平8−294479号公報
【0012】
【特許文献2】
特開平8−287230号公報
【0013】
【特許文献3】
特開平9−167238号公報
【0014】
【特許文献4】
特開2002−109510号公報
【0015】
【特許文献5】
特開2001−346786号公報
【0016】
【特許文献6】
特開平7−88109号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、異常陰影候補検出処理システムは、上述のように各種の検出処理や判定処理を用いて異常陰影候補を最終的に検出するものであるが、これらの処理は異常陰影の形状等の特徴に基づいて計算機(コンピュータ)が自動処理するものであるから、あくまでも検出結果は診断支援情報としての異常陰影候補であって、誤検出や検出漏れの可能性を持つものである。従って、実際には、検出漏れの防止のため、異常陰影候補の検出条件を緩やかに設定していることが多く、その結果として、異常陰影候補の検出率が高くなるとともに、誤検出率も高くなっている。
【0018】
この点について、特許文献5の異常陰影候補検出方法及び装置では、複数の2次元の放射線画像データを使用することによって検出の信頼性の向上を図っているが、この場合、異常の有無にかかわらず複数の放射線画像データを準備するか、若しくは異常陰影候補が検出された場合に、再度、別の角度からの放射線画像の撮影を行う必要があり、コストや被検者の負担の点で問題になる。また、複数の画像データ間での位置の対応関係を判断することにも困難を伴う。
【0019】
さらに、3次元のCT画像データは、その情報量の多さゆえに、診断者に大量の読影による過大な負担を強いることになり、異常陰影候補の見落としの恐れもある。また、特許文献6のコンピュータ断層撮影装置においても、大量の異常陰影候補検出処理が必要になり、処理の負荷、効率の面で問題となる。
【0020】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、検出の誤りが少なく、検出処理効率が高く、さらに、検出精度が高い異常陰影候補検出方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明による異常陰影候補検出方法は、複数の断面画像データに対して異常陰影候補検出処理を行った結果を統合、評価する機能を備えたものである。すなわち、任意に選択した異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データに対して異常陰影候補検出処理を行って得られる前記断面画像データ毎の検出結果を取得し、前記断面画像データ毎の前記検出結果を統合して、前記選択をした異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価をすることを特徴とする。
【0022】
ここで、「任意に選択した異常陰影候補」(以下、第1次異常陰影候補と呼ぶ)とは、3次元CT画像データ等の被写体を表す3次元画像データの読影によって、若しくは、3次元画像データから生成した断面画像データに対する異常陰影候補検出処理によって検出された異常陰影候補の中から、任意に選択した1つの異常陰影候補をいう。
【0023】
「異常陰影候補検出処理」とは、アイリスフィルタやモフォロジーフィルタ等による異常陰影候補検出処理が考えられる。
【0024】
「異常陰影」とは、アイリスフィルタ処理により検出される腫瘤陰影や、モフォロジーフィルタ処理により検出される微小石灰化陰影等を意味する。
【0025】
「検出結果」とは、第1次異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データに対しての異常陰影候補検出処理の結果であるが、前記評価において、最終的な異常陰影候補を判断するための基礎となるものであればいかなるものでもよい。具体的には、アイリスフィルタ処理の場合、アイリスフィルタの出力値だけでなく、検出された異常陰影候補領域の形状、内部、辺縁の特徴を表す特徴量、さらにこれらの特徴量から算出されるマハラノビス距離等、種々の副次的指標値を採用することができる。モフォロジーフィルタ処理の場合においても同様であり、モフォロジーフィルタの出力値だけでなく、石灰化密度等の副次的指標値を採用することができる。
【0026】
「検出結果を取得」とは、検出結果が格納されている記憶媒体から検出結果を読み込んでもよいし、前記異常陰影候補検出処理を行う装置等から直接入力されてもよい。
【0027】
「前記断面画像データ毎の前記検出結果を統合して、前記選択をした異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価をする」とは、第1次異常陰影候補を別の方向から診たときにも異常陰影候補となるかどうかについて、断面画像データ毎の検出結果に基づいて評価することをいう。断面画像データ毎の検出結果に基づいて、第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補となるかどうか評価していればいかなる方法であってもよい。
【0028】
例えば、まず、断面画像データ毎の検出結果の各々について検出結果として採用された出力値や副次的指標値が所定の閾値を超えているかどうかの判定を行い、断面画像データ毎の検出結果の各々に含まれている異常陰影候補を決定する。次に、第1次異常陰影候補点(領域)が、他の方向から診たときの検出結果でも異常陰影候補として検出されているかを判定し、所定の条件を満たしていれば、第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価する(図1(A)参照)。ここで、「所定の条件」とは、検出結果の全てにおいてその第1次異常陰影候補を異常陰影候補であると判定した場合に、最終的な異常陰影候補と評価するものであってもよいし、検出結果の過半数においてその第1次異常陰影候補を異常陰影候補と判定した場合に、最終的な異常陰影候補と評価するものであってもよい。また、前記評価の前に、前記検出結果に基づきその第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するための条件の設定を受け付け、そこで設定された条件に基づいて評価されるものであってもよい。「条件の設定」とは、具体的には、個々の検出結果データの判定結果を統合、評価する条件(例えば、検出結果の60%以上で第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と判定すること)だけでなく、個々の検出結果データにおいて着目する値(出力値、特徴量等)やその閾値、判定条件(閾値との大小関係)の設定を行うことをいう。
【0029】
若しくは、断面画像データ毎の検出結果中の第1次異常陰影候補点(領域)における出力値や副次的指標値が所定の閾値を超えているかを判定し、各判定結果に基づいて第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補になるかどうかを評価してもよい(図1(B)参照)。この他、断面画像データ毎の検出結果の各々について閾値との比較を行わず、断面画像データ毎の検出結果中の第1次異常陰影候補点(領域)における出力値や副次的指標値から全検出結果の平均値等の新たな総合的指標値を求め、その指標値が所定の閾値を超えているかどうかの判定を行うことによって、第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補かどうかを評価してもよい(図1(C)参照)。
【0030】
また、本発明による異常陰影候補検出方法は、前記評価の結果と前記最終的な異常陰影候補の少なくとも一方を出力するものであってもよい。
【0031】
次に本発明による異常陰影候補検出装置は、任意に選択した異常陰影候補(第1次異常陰影候補)を通る互いに異なる複数の断面画像データに対して異常陰影候補検出処理を行って得られる前記断面画像データ毎の検出結果を取得する結果取得手段と、該結果取得手段が取得した前記断面画像データ毎の前記検出結果を統合して、前記選択をした異常陰影候補(第1次異常陰影候補)が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価をする評価手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0032】
また、前記結果取得手段が、任意に選択した異常陰影候補(第1次異常陰影候補)を通る互いに異なる複数の断面画像データを取得する第1のデータ取得手段と、該第1のデータ取得手段が取得した前記断面画像データ毎に異常陰影候補の検出を行う第1の異常陰影候補検出手段とからなるものであることも考えられる。
【0033】
さらに、前記第1のデータ取得手段が、被写体を表す3次元画像データと、該3次元画像データから任意に選択した異常陰影候補(第1次異常陰影候補)を含む断面画像データとを取得する第2のデータ取得手段と、該第2のデータ取得手段が取得した前記3次元画像データと前記選択をした異常陰影候補を含む断面画像データとに基づき、前記選択をした異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データを生成するデータ生成手段とからなるものであることも考えられる。
【0034】
この他、前記第2のデータ取得手段が、被写体を表す3次元画像データから任意に選択した断面画像データを取得する第3のデータ取得手段と、該第3のデータ取得手段が取得した前記3次元画像データから任意に選択した断面画像データについて異常陰影候補の検出を行う第2の異常陰影候補検出手段とを備え、前記第2の異常陰影候補検出手段が異常陰影候補(第1次異常陰影候補)を検出した場合に、該異常陰影候補を含む、前記3次元画像データから任意に選択した断面画像データを取得するものであることも考えられる。
【0035】
ここで、「被写体をあらわす3次元画像データ」とは、各画素の位置が3次元空間に定義される画像データであり、具体的には、肺CT画像等が考えられる。
【0036】
「異常陰影候補検出手段」としては、アイリスフィルタやモフォロジーフィルタ等による異常陰影候補検出処理が考えられる。
【0037】
前記データ生成手段は、予め設定された断面の方向等の条件に基づき、被写体を表す3次元画像データから第1次異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データを生成するものであってもよいし、前記複数の断面画像データの生成条件を設定する断面条件設定手段をさらに備え、そこで設定された条件に基づき、第1次異常陰影候補を通る断面画像データを生成するものであってもよい。なお、生成される互いに異なる複数の断面画像データは、互いに直交する3平面であることが効果的と考えられるが(図2参照)、断面画像データ数は2以上であればいくつであってもよく、断面の方向についても、第1次異常陰影候補の特性に応じて任意の方向を指定してもよい。
【0038】
なお、前記評価手段が、前記検出結果の全てにおいて、第1次異常陰影候補を異常陰影候補と判断した場合に、第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するものであってもよいし、前記検出結果の過半数において、第1次異常陰影候補を異常陰影候補と判断した場合に、第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するものであってもよい。また、前記検出結果に基づき第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するための条件を設定する評価条件設定手段をさらに備え、そこで設定した評価条件に基づいて前記評価手段が検出結果の統合及び評価を行うものであってもよい。具体的には、評価手段に入力される個々の検出結果データにおいて着目する値(出力値、特徴量等)やその閾値、判定条件(閾値との大小関係)、個々の検出結果データの判定結果を統合、評価する条件(例えば、検出結果の60%以上で第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と判定すること)の設定を行う。
【0039】
また、前記評価の結果と前記最終的な異常陰影候補の少なくとも一方を出力する結果出力手段をさらに備えることも望ましい。
【0040】
【発明の効果】
本発明の異常陰影候補検出方法及び装置によれば、第1次異常陰影候補に対して、複数の方向から最終的な異常陰影候補となりうるかの評価をすることが可能になり、異常陰影候補の誤検出が減少し、診断効率が向上する。
【0041】
例えば、アイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理では、ある方向の断面画像データにおいて血管等の細長い陰影同士が交差している場合、その交差部分はその方向においては第1次異常陰影候補として検出されうるが(特許文献3の図2参照)、同じ交差部分であっても、他の方向の断面画像データにおいては交差せずに血管等の細長い陰影として投影されていれば異常陰影候補としては検出されない。従って、この場合には第1次異常陰影候補は最終的な異常陰影候補と評価されず、誤検出が回避される。
【0042】
また、3次元画像データを使用すれば、各画素が3次元空間上の位置情報を有するため、複数の断面画像データ間の位置関係の特定が容易になり、異常陰影候補の検出精度が高まる。
【0043】
さらに、複数の方向からの断面画像データに対して検出処理を行うことにより、同一方向の多数のスライス画像に対して検出処理を行うよりも効率的に異常陰影候補の検出を行うことができる。
【0044】
請求項4記載の最終的な異常陰影候補と評価するための条件の設定を受け付けを行う異常陰影候補検出方法の場合には、診断目的や診断者の要望等に応じて柔軟な異常陰影候補の検出が可能になり、診断効率が向上する。
【0045】
請求項5記載の前記評価の結果と前記最終的な異常陰影候補の少なくとも一方の出力を行う異常陰影候補検出方法の場合には、結果出力までの処理の自動化、効率化を図ることができる。
【0046】
請求項6記載の結果取得手段と評価手段とを備えた異常陰影候補検出装置によれば、既存の異常陰影候補検出装置による異常陰影候補検出処理の結果を利用することが可能になり、投資コストの軽減を図ることができる。
【0047】
請求項7記載の第1のデータ取得手段と第1の異常陰影候補検出手段を備えた異常陰影候補検出装置の場合は、複数の断面画像データからの異常陰影候補の検出と検出結果の評価を連動して行うことが可能になる。また、請求項8記載の第2のデータ取得手段とデータ生成手段を備えた異常陰影候補検出装置の場合は、3次元画像データからの複数の断面データの生成から評価までを連動して行うことが可能になる。さらに、請求項9記載の第3のデータ取得手段と第2の異常陰影候補検出手段を備えた異常陰影候補検出装置の場合は、第1次異常陰影候補の検出から評価までを連動して行うことが可能になる。従って処理の自動化、効率化を図ることができ効果的である。同様に、請求項14記載の結果出力手段をさらに備えた異常陰影候補検出装置の場合も、結果出力までの処理の自動化、効率化を図ることができる。
【0048】
請求項10記載の断面条件設定手段をさらに備えた異常陰影候補検出装置の場合には、第1次異常陰影候補の所見に応じて、互いに直行する3平面のような客観的に想到しうる断面だけでなく、診断者の経験や勘にも基づき断面画像データの数や方向を柔軟に設定することが可能になり、検出精度を個別的に高めることができる。
【0049】
請求項13記載の評価条件設定手段をさらに備えた異常陰影候補検出装置の場合、診断目的や診断者の要望等に応じて柔軟な異常陰影候補の検出が可能になり、診断効率が向上する。
【0050】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0051】
本発明の第1の実施の形態となる異常陰影候補検出装置Aは、第1次異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データに対して異常陰影候補検出処理を行った結果を評価する機能を備えたものであり、図3は、同装置Aの構成を示したブロック図である。図3において、同装置Aは結果取得手段1と評価手段2を備えている。
【0052】
診断者は、同装置Aへの入力データとして、第1次異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データP0,Pa,Pbに対してアイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理90を行った検出結果データR0,Ra,Rbを準備する。検出結果データR0,Ra,Rbには、検出された異常陰影候補領域の3次元空間上の位置情報とアイリスフィルタ出力値が含まれている。また、検出結果データR0は第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)も有している。アイリスフィルタ出力値とは検出された異常陰影候補領域について所定の方法で算出される濃度勾配の集中度の最大値である。なお、アイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理及びその出力値の算出方法の詳細については、前記特許文献1から4等に開示されている。
【0053】
結果取得手段1は、検出結果データR0,Ra,Rbを入力データとして取得する。具体的には、同装置Aが備えている、若しくは、ネットワークを介して接続されている異常陰影候補検出処理90を行った装置等が備えている、検出結果データR0,Ra,Rbが格納されている記憶媒体(図示なし)から読み込む。
【0054】
評価手段2は、第1次異常陰影候補が、読み込まれた検出結果データRa,Rbの全てにおいて検出されているかどうかの判定を行う。具体的には、検出結果データRa,Rbのアイリスフィルタ出力値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより異常陰影候補領域の検出を行い、全ての検出結果データから異常陰影候補領域が検出された場合には、各異常陰影候補領域について、検出結果データR0が有する第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)が含まれているかどうかを判定する。そして、全ての検出結果データに、第1次異常陰影候補の位置情報が含まれている場合には、その位置を含む異常陰影候補領域を最終的な異常陰影候補として検出し、最終結果データRを出力する。なお、判定においては、第1次異常陰影候補が、読み込まれた検出結果データR0,Ra,Rbの過半数において検出されているかどうかを判定してもよい。
【0055】
最終結果データRは、最終的な異常陰影候補が検出された場合には、その旨と検出結果データR0,Ra,Rbを含むものであり、最終的な異常陰影候補が検出されなかった場合には、その旨のみを含むものである。
【0056】
なお、本実施形態では、3つの断面画像データから3つの検出結果データを得た場合を例にして説明を行ったが、断面画像データ(検出結果データ)は2以上あればいくつでもよい。
【0057】
異常陰影候補検出処理90はモフォロジーフィルタによる異常陰影候補検出処理であってもよい。
【0058】
検出結果データR0,Ra,Rbは、アイリスフィルタ処理の場合、アイリスフィルタの出力値だけでなく、検出された異常陰影候補領域の形状の特徴を表す円形度等(特許文献4参照)や、異常陰影候補領域内部の濃度ヒストグラムの特徴を表す分散値、コントラスト、角モーメント等(特許文献3、4参照)、異常陰影候補領域辺縁の特徴を表す分散値、偏り、相関値、モーメント、エントロピー等(特許文献3、4参照)の特徴量、さらにこれらの特徴量から算出されるマハラノビス距離等(特許文献3、4参照)、種々の副次的指標値を採用することができる。モフォロジーフィルタ処理の場合においても同様であり、モフォロジーフィルタの出力値(特許文献1,2参照)だけでなく、石灰化密度等(特開2002−133396号公報参照)の副次的指標値を採用することができる。
【0059】
評価手段2では、検出結果データRa,Rbの各々について、第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値や副次的指標値が所定の閾値を超えているかを判定し、その判定結果に基づいて第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価を行ってもよい。若しくは、検出結果データRa,Rbについて個別に閾値比較を行わずに評価を行ってもよい。例えば、検出結果データR0,Ra,Rb中の第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値の平均値を求め、その平均値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより、第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補かどうかを評価してもよい。また、検出結果データR0,Ra,Rb中の第1次異常陰影候補点における円形度等の種々の特徴量について全検出結果データの平均値を各々求め、その特徴量の平均値に基づき正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。この他、各検出結果データを別個の特徴量として捉え、例えば、検出結果データR0,Ra,Rb各々のアイリスフィルタ出力値を別個の特徴量として正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。
【0060】
このように本発明の第1の実施形態となる異常陰影候補検出装置Aによれば、第1次異常陰影候補に対して、複数の方向から最終的な異常陰影候補となりうるかの評価をすることが可能になり、異常陰影候補の誤検出が減少し、診断効率が向上する。
【0061】
また、既存の異常陰影候補検出装置による異常陰影候補検出処理の結果を利用することが可能になり、投資コストの軽減を図ることができる。
【0062】
本発明の第2の実施の形態となる異常陰影候補検出装置Bは、最終的な異常陰影候補検出のための評価条件を設定する機能と、異常陰影候補検出処理機能を同装置Aに付加したものであり、図4は同装置Bの構成を示したブロック図である。図4において、同装置Bは、同装置Aの結果取得手段1が第1のデータ取得手段4と異常陰影候補検出手段5を備え、評価条件設定手段3を同装置Aに付加したものとなっている。
【0063】
従って、同装置Bでは、診断者は、第1次異常陰影候補を含む断面画像データP0と、第1次異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データPa,Pbを入力データとして準備しておく必要がある。なお、断面画像データP0が複数の第1次異常陰影候補を含んでいる場合には、その中から任意の1つを選び、異常陰影候補毎に後続の処理を行う必要がある。
【0064】
また、診断者は、評価条件設定手段3により、評価手段2において最終的な異常陰影候補と評価するための条件を設定する。具体的には、評価手段2に入力される個々の検出結果データにおいて着目する値(出力値、特徴量等)やその閾値、判定条件(閾値との大小関係)、個々の検出結果データの判定結果を統合、評価する条件(例えば、検出結果の60%以上で第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と判定すること)の設定を行う。
【0065】
第1のデータ取得手段4は、断面画像データP0,Pa,Pbを異常陰影候補検出手段5への入力データとして取得する。具体的には、同装置Bが備えている、若しくは、ネットワークを介して接続されている他の装置等が備えている記憶媒体(図示なし)から読み込む。
【0066】
異常陰影候補検出手段5は、読み込まれた断面画像データP0,Pa,Pbの各々についてアイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理を行い、検出結果データR0,Ra,Rbを出力する。ここで、検出結果データR0は第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)も有しているものとする。
【0067】
評価手段2は、検出結果データR0,Ra,Rbが評価条件設定手段3で設定した条件を満たしているかどうかの判定を行う。具体的には、まず、検出結果データRa,Rbのアイリスフィルタ出力値が、評価条件設定手段3によって設定された閾値を超えているかどうかを判定することによって異常陰影候補領域の検出を行い、全ての検出結果データから異常陰影候補領域が検出された場合には、各異常陰影候補領域について、検出結果データR0が有する第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)が含まれているかどうかを判定する。そして、評価条件設定手段3によって設定した個々の検出結果データの判定結果を統合、評価する条件(例えば、検出結果データの60%以上で第1次異常陰影候補が検出されていること)を満たしているかどうか判定する。そして、条件を満たす場合には、その位置を含む異常陰影候補領域を最終的な異常陰影候補として検出し、最終結果データRを出力する。
【0068】
最終結果データRは、最終的な異常陰影候補が検出された場合には、その旨と検出結果データR0,Ra,Rbを含むものであり、最終的な異常陰影候補が検出されなかった場合には、その旨のみを含むものである。
【0069】
なお、本実施形態では、3つの断面画像データから3つの検出結果データを得た場合を例にして説明を行ったが、断面画像データ(検出結果データ)は2以上あればいくつでもよい。
【0070】
異常陰影候補検出手段5の処理はモフォロジーフィルタによる異常陰影候補検出処理であってもよい。
【0071】
検出結果データR0,Ra,Rbは、アイリスフィルタ処理の場合、アイリスフィルタの出力値だけでなく、検出された異常陰影候補領域の形状の特徴を表す円形度等(特許文献4参照)や、異常陰影候補領域内部の濃度ヒストグラムの特徴を表す分散値、コントラスト、角モーメント等(特許文献3、4参照)、異常陰影候補領域辺縁の特徴を表す分散値、偏り、相関値、モーメント、エントロピー等(特許文献3、4参照)の特徴量、さらにこれらの特徴量から算出されるマハラノビス距離等(特許文献3、4参照)、種々の副次的指標値を採用することができる。モフォロジーフィルタ処理の場合においても同様であり、モフォロジーフィルタの出力値(特許文献1,2参照)だけでなく、石灰化密度等(特開2002−133396号公報参照)の副次的指標値を採用することができる。
【0072】
評価手段2では、検出結果データRa,Rbの各々について、第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値や副次的指標値が所定の閾値を超えているかを判定し、その判定結果に基づいて第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価を行ってもよい。若しくは、検出結果データRa,Rbについて個別に閾値比較を行わずに評価を行ってもよい。例えば、検出結果データR0,Ra,Rb中の第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値の平均値を求め、その平均値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより、第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補かどうかを評価してもよい。また、検出結果データR0,Ra,Rb中の第1次異常陰影候補点における円形度等の種々の特徴量について全検出結果データの平均値を各々求め、その特徴量の平均値に基づき正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。この他、各検出結果データを別個の特徴量として捉え、例えば、検出結果データR0,Ra,Rb各々のアイリスフィルタ出力値を別個の特徴量として正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。
【0073】
第1次異常陰影候補を含む断面画像データP0について、既に異常陰影候補検出処理が行われたものであり、その検出結果データR0が評価手段2に直接入力可能なものであれば、この断面画像データP0については、第1のデータ取得手段4への入力を省略することができる。
【0074】
このように本発明の第2の実施形態となる異常陰影候補検出装置Bによれば、第1次異常陰影候補に対して、複数の方向から最終的な異常陰影候補となりうるかの評価をすることが可能になり、異常陰影候補の誤検出が減少し、診断効率が向上する。
【0075】
また、複数の断面画像データからの異常陰影候補の検出と検出結果の評価を連動して行うことが可能になり、処理の自動化、効率化を図ることができる。さらに、評価条件設定手段3により、診断目的や診断者の要望等に応じて柔軟な異常陰影候補の検出が可能になり、診断効率が向上する。
【0076】
本発明の第3の実施の形態となる異常陰影候補検出装置Cは、第1次異常陰影候補を含む断面画像データに基づき、第1次異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データを、診断者による条件設定に応じて、もととなる3次元CT画像データから生成する機能を同装置Bに付加したものであり、図5は同装置Cの構成を示したブロック図である。図5において、同装置Cは、同装置Bの第1のデータ取得手段4が、第2のデータ取得手段6とデータ生成手段7、断面条件設定手段8を備えたものとなっている。なお、同装置Bに備わっている評価条件設定手段3は同装置Cには示されていないが、評価条件設定手段3をさらに備えたものであることも考えられる。
【0077】
同装置Cでは、診断者は、第1次異常陰影候補を含む断面画像データP0とそのもととなる3次元CT画像データPを入力データとして準備しておく必要がある。
【0078】
次に、断面画像データP0の所見に基づき、異常陰影候補検出処理を行う断面画像データの生成条件を断面条件設定手段8によって設定する。具体的には、生成する断面画像データの断面の方向を指定する。この際、診断者は生成する断面画像データが、第1次異常陰影候補を通るものとなるように留意する必要がある。
【0079】
第2のデータ取得手段6は、断面画像データP0と3次元CT画像データPをデータ生成手段7への入力データとして取得する。具体的には、同装置Cが備えている、若しくは、ネットワークを介して接続されている他の装置等が備えている記憶媒体(図示なし)から読み込む。
【0080】
データ生成手段7は、断面条件設定手段8によって設定された条件に基づき、複数の断面画像データを生成する。ここでは、Pa,Pb,Pcの3つの断面画像データを新たに生成するように設定されていたものとする。
【0081】
異常陰影候補検出手段5は、断面画像データP0,Pa,Pb,Pcの各々についてアイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理を行い、検出結果データR0,Ra,Rb,Rcを出力する。ここで、検出結果データR0は第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)も有しているものとする。
【0082】
評価手段2は、第1次異常陰影候補が、検出結果データRa,Rb,Rcの全てにおいて検出されているかどうかの判定を行う。具体的には、検出結果データRa,Rb,Rcのアイリスフィルタ出力値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより異常陰影候補領域の検出を行い、全ての検出結果データから異常陰影候補領域が検出された場合には、各異常陰影候補領域について、検出結果データR0が有する第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)が含まれているかどうかを判定する。そして、全ての検出結果データに、第1次異常陰影候補の位置情報が含まれている場合には、その位置を含む異常陰影候補領域を最終的な異常陰影候補として検出し、最終結果データRを出力する。なお、判定においては、第1次異常陰影候補が、読み込まれた検出結果データR0,Ra,Rb,Rcの過半数において検出されているかどうかを判定してもよい。
【0083】
最終結果データRは、最終的な異常陰影候補が検出された場合には、その旨と検出結果データR0,Ra,Rb,Rcを含むものであり、最終的な異常陰影候補が検出されなかった場合には、その旨のみを含むものである。
【0084】
なお、本実施形態では、4つの断面画像データから4つの検出結果データを得た場合を例にして説明を行ったが、断面画像データ(検出結果データ)は2以上あればいくつでもよい。
【0085】
異常陰影候補検出手段5の処理はモフォロジーフィルタによる異常陰影候補検出処理であってもよい。
【0086】
検出結果データR0,Ra,Rb,Rcは、アイリスフィルタ処理の場合、アイリスフィルタの出力値だけでなく、検出された異常陰影候補領域の形状の特徴を表す円形度等(特許文献4参照)や、異常陰影候補領域内部の濃度ヒストグラムの特徴を表す分散値、コントラスト、角モーメント等(特許文献3、4参照)、異常陰影候補領域辺縁の特徴を表す分散値、偏り、相関値、モーメント、エントロピー等(特許文献3、4参照)の特徴量、さらにこれらの特徴量から算出されるマハラノビス距離等(特許文献3、4参照)、種々の副次的指標値を採用することができる。モフォロジーフィルタ処理の場合においても同様であり、モフォロジーフィルタの出力値(特許文献1,2参照)だけでなく、石灰化密度等(特開2002−133396号公報参照)の副次的指標値を採用することができる。
【0087】
評価手段2では、検出結果データR0,Ra,Rb,Rcの各々について、第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値や副次的指標値が所定の閾値を超えているかを判定し、その判定結果に基づいて第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価を行ってもよい。若しくは、検出結果データRa,Rb,Rcについて個別に閾値比較を行わずに評価を行ってもよい。例えば、検出結果データR0,Ra,Rb,Rc中の第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値の平均値を求め、その平均値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより、第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補かどうかを評価してもよい。また、検出結果データR0,Ra,Rb,Rc中の第1次異常陰影候補点における円形度等の種々の特徴量について全検出結果データの平均値を各々求め、その特徴量の平均値に基づき正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。この他、各検出結果データを別個の特徴量として捉え、例えば、検出結果データR0,Ra,Rb,Rc各々のアイリスフィルタ出力値を別個の特徴量として正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。
【0088】
第1次異常陰影候補を含む断面画像データP0について、既に異常陰影候補検出処理が行われたものであり、その検出結果データR0が評価手段2に直接入力可能なものであれば、この断面画像データP0については、第2のデータ取得手段6への入力を省略することができる。
【0089】
このように本発明の第3の実施形態となる異常陰影候補検出装置Cによれば、第1次異常陰影候補に対して、複数の方向から最終的な異常陰影候補となりうるかの評価をすることが可能になり、異常陰影候補の誤検出が減少し、診断効率が向上する。
【0090】
また、3次元画像データからの複数の断面データの生成から評価までを連動して行うことが可能になり、処理の自動化、効率化を図ることができる。
【0091】
さらに、断面条件設定手段8により、任意に選択した異常陰影候補の所見に応じて、互いに直行する3平面のような客観的に想到しうる断面だけでなく、診断者の経験や勘にも基づき断面画像データの数や方向を柔軟に設定することが可能になり、検出精度を個別的に高めることができる。
【0092】
本発明の第4の実施の形態となる異常陰影候補検出装置Dは、第1次異常陰影候補の検出を行う機能及び結果出力機能を同装置Cに付加したものであり、図6は同装置Dの構成を示したブロック図である。図6において、同装置Dは、第3のデータ取得手段9が異常陰影候補検出手段5への入力手段として同装置Cに付加され、さらに、第2の評価手段10、結果出力手段11も付加されている。なお、同装置Cに備わっている断面条件設定手段8は同装置Dには示されていないが、断面条件設定手段8をさらに備えたものであることも考えられる。
【0093】
同装置Dは、請求項9により特定される発明と対応するものであるが、請求項9の第1、第2の異常陰影候補検出手段を同装置Dでは共通化しているため、請求項9でいう第2のデータ取得手段は、同装置Dでは、第2のデータ取得手段6と、第3のデータ取得手段9、異常陰影候補検出手段5、第2の評価手段10を組み合わせたものと対応する。
【0094】
同装置Dでは、診断者は、任意の断面画像データP0´を入力データとして準備しておく必要がある。ただし、断面画像データP0´が異常陰影候補を含むかどうかは問わない。
【0095】
次に、第3のデータ取得手段9が断面画像データP0´を異常陰影候補検出手段5への入力データとして取得する。具体的には、同装置Dが備えている、若しくは、ネットワークを介して接続されている他の装置等が備えている記憶媒体(図示なし)から読み込む。
【0096】
異常陰影候補検出手段5は、読み込まれた断面画像データP0´についてアイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理を行い、第2の評価手段10は異常陰影候補が検出されているかを評価する。具体的には、アイリスフィルタ出力値が所定の閾値を超えているかどうかを判定し、所定の閾値を超えていれば第1次異常陰影候補と評価し、第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)を含む検出結果データR0を出力する。
【0097】
以下では、断面画像データP0´は第1次異常陰影候補を含む断面画像データP0であるものとして説明を行う。
【0098】
第2のデータ取得手段6は、断面画像データP0と検出結果データR0、3次元CT画像データPをデータ生成手段7への入力データとして取得する。具体的には、同装置Dが備えている、若しくは、ネットワークを介して接続されている他の装置等が備えている記憶媒体(図示なし)から読み込む。
【0099】
データ生成手段7は、検出結果データR0から第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報(座標)を取得し、その異常陰影候補点を通り断面画像データP0に直交する2つの断面画像データPa,Pbを生成する。なお、検出結果データR0に複数の第1次異常陰影候補点が含まれている場合には、第1次異常陰影候補点毎に断面データの生成、後続の処理を行う。
【0100】
異常陰影候補検出手段5は、断面画像データPa,Pbの各々についてアイリスフィルタによる異常陰影候補検出処理を行い、検出結果データRa,Rbを出力する。
【0101】
(第1の)評価手段2は、第1次異常陰影候補が、読み込まれた検出結果データRa,Rbの全てにおいて検出されているかどうかの判定を行う。具体的には、まず、検出結果データRa,Rbのアイリスフィルタ出力値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより異常陰影候補領域の検出を行い、全ての検出結果データから異常陰影候補領域が検出された場合には、各異常陰影候補領域について、検出結果データR0に示された第1次異常陰影候補点を含んでいるかどうかを判定する。そして、検出結果データRa,Rbの各々に、その第1次異常陰影候補点が含まれていると判断された場合には、その点を含む異常陰影候補領域を最終的な異常陰影候補として検出し、最終結果データRを出力する。なお、判定においては、その第1次異常陰影候補点が、読み込まれた検出結果データR0,Ra,Rbの過半数において異常陰影候補として検出されているかどうかを判定してもよい。
【0102】
最終結果データRは、最終的な異常陰影候補が検出された場合には、その旨と検出結果データR0,Ra,Rbを含むものであり、最終的な異常陰影候補が検出されなかった場合には、その旨のみを含むものである。
【0103】
結果出力手段11は、複数の断面画像データP0,Pa,Pb及び、最終結果データR(検出結果データR0,Ra,Rbを含む)を取得し、異常陰影候補を含む局所領域の画像を全体画像(P0,Pa,Pb)とは別個に表示する(特許文献1参照)。なお、結果の出力方法はこれに限らず、各断面画像を並べて表示し、各断面画像中の異常陰影候補領域を強調表示する方法や、異常陰影候補領域の特徴量等の副次的指標値を表示する方法(特許文献4参照)等、さまざまな方法が考えられる。また、検出結果データR0に複数の第1次異常陰影候補が含まれていた場合には、出力すべき異常陰影候補領域が複数になる場合も考えられる。この場合には、どの異常陰影候補領域を表示するかを選択する機能を設けることが望ましい。
【0104】
なお、本実施形態では、3つの断面画像データから3つの検出結果データを得た場合を例にして説明を行ったが、断面画像データ(検出結果データ)は2以上あればいくつでもよい。
【0105】
異常陰影候補検出手段5の処理はモフォロジーフィルタによる異常陰影候補検出処理であってもよい。
【0106】
検出結果データR0,Ra,Rbは、アイリスフィルタ処理の場合、アイリスフィルタの出力値だけでなく、検出された異常陰影候補領域の形状の特徴を表す円形度等(特許文献4参照)や、異常陰影候補領域内部の濃度ヒストグラムの特徴を表す分散値、コントラスト、角モーメント等(特許文献3、4参照)、異常陰影候補領域辺縁の特徴を表す分散値、偏り、相関値、モーメント、エントロピー等(特許文献3、4参照)の特徴量、さらにこれらの特徴量から算出されるマハラノビス距離等(特許文献3、4参照)、種々の副次的指標値を採用することができる。モフォロジーフィルタ処理の場合においても同様であり、モフォロジーフィルタの出力値(特許文献1,2参照)だけでなく、石灰化密度等(特開2002−133396号公報参照)の副次的指標値を採用することができる。
【0107】
(第1の)評価手段2では、検出結果データRa,Rbの各々について、第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値や副次的指標値が所定の閾値を超えているかを判定し、その判定結果に基づいて第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価を行ってもよい。若しくは、検出結果データRa,Rbについて個別に閾値比較を行わずに評価を行ってもよい。例えば、検出結果データR0,Ra,Rb中の第1次異常陰影候補点におけるアイリスフィルタ出力値の平均値を求め、その平均値が所定の閾値を超えているかどうかを判定することにより、第1次異常陰影候補が最終的な異常陰影候補かどうかを評価してもよい。また、検出結果データR0,Ra,Rb中の第1次異常陰影候補点における円形度等の種々の特徴量について全検出結果データの平均値を各々求め、その特徴量の平均値に基づき正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。この他、各検出結果データを別個の特徴量として捉え、例えば、検出結果データR0,Ra,Rb各々のアイリスフィルタ出力値を別個の特徴量として正常/異常陰影パターンとのマハラノビス距離を各々算出し、両距離の比較により評価を行ってもよい(特許文献3、4参照)。
【0108】
このように本発明の第4の実施形態となる異常陰影候補検出装置Dによれば、第1次異常陰影候補に対して、複数の方向から最終的な異常陰影候補となりうるかの評価をすることが可能になり、異常陰影候補の誤検出が減少し、診断効率が向上する。
【0109】
また、第1次異常陰影候補の検出から結果の出力までを連動して行うことが可能になり、処理の自動化を図ることができるとともに、処理資源、時間を要する異常陰影候補検出処理を最低限に抑え、その結果を再利用することで、処理の効率化を図ることができる。
【0110】
なお、本発明においては、3次元画像データから第1次異常陰影候補となり得る点を最初に発見しておく必要があり、その方法が問題となる。これについては、例えば、一定の厚さをもつ互いに異なる複数の断面画像データを3次元画像データから生成し、これらの断面画像データについて異常陰影候補検出処理を行うことにより、異常陰影候補となりうる点の概略の位置を発見することができ、その結果に基づいて、本発明における異常陰影候補検出装置の入力データとなる第1次異常陰影候補を含む断面画像データを取得することができると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1次異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価する方法の例を示す図
【図2】1の異常陰影候補を通る互いに異なる3つの断面画像データの例を示す図
【図3】本発明の第1の実施の形態による異常陰影候補検出装置Aの構成を示すブロック図
【図4】本発明の第2の実施の形態による異常陰影候補検出装置Bの構成を示すブロック図
【図5】本発明の第3の実施の形態による異常陰影候補検出装置Cの構成を示すブロック図
【図6】本発明の第4の実施の形態による異常陰影候補検出装置Dの構成を示すブロック図
【符号の説明】
1 結果取得手段
2 (第1の)評価手段
3 評価条件設定手段
4 第1のデータ取得手段
5 異常陰影候補検出手段
6 第2のデータ取得手段
7 データ生成手段
8 断面条件設定手段
9 第3のデータ取得手段
10 第2の評価手段
11 結果出力手段
90 異常陰影候補検出処理(外部装置)
P0 第1次異常陰影候補を通る断面画像データ(Pa,Pb,Pcとは異なる)
Pa 第1次異常陰影候補を通る断面画像データ(P0,Pb,Pcとは異なる)
Pb 第1次異常陰影候補を通る断面画像データ(P0,Pa,Pcとは異なる)
Pc 第1次異常陰影候補を通る断面画像データ(P0,Pa,Pb,とは異なる)
P0 任意の断面画像データ
P 3次元CT画像データ
R0 断面画像データP0について異常陰影候補検出処理を行った結果データ(第1次異常陰影候補点の3次元空間上の位置情報を含む)
Ra 断面画像データPaについて異常陰影候補検出処理を行った結果データ
Rb 断面画像データPbについて異常陰影候補検出処理を行った結果データ
Rc 断面画像データPcについて異常陰影候補検出処理を行った結果データ
R 検出結果データR0、RaからRcを統合、評価した最終結果データ(R0、RaからRcを含む)
Claims (14)
- 任意に選択した異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データに対して異常陰影候補検出処理を行って得られる前記断面画像データ毎の検出結果を取得し、
前記断面画像データ毎の前記検出結果を統合して、前記選択をした異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価をすることを特徴とする異常陰影候補検出方法。 - 前記評価が、前記検出結果の全てにおいて、前記選択をした異常陰影候補を異常陰影候補と判断した場合に、前記選択をした異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するものであることを特徴とする請求項1記載の異常陰影候補検出方法。
- 前記評価が、前記検出結果の過半数において、前記選択をした異常陰影候補を異常陰影候補と判断した場合に、前記選択をした異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するものであることを特徴とする請求項1記載の異常陰影候補検出方法。
- 前記評価の前に、前記検出結果に基づき前記選択をした異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するための条件の設定を受け付けることを特徴とする第1項記載の異常陰影候補検出方法。
- 前記評価の結果と前記最終的な異常陰影候補の少なくとも一方を出力することを特徴とする第1項から第4項のいずれか1項に記載の異常陰影候補検出方法。
- 任意に選択した異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データに対して異常陰影候補検出処理を行って得られる前記断面画像データ毎の検出結果を取得する結果取得手段と、
該結果取得手段が取得した前記断面画像データ毎の前記検出結果を統合して、前記選択をした異常陰影候補が最終的な異常陰影候補であるかどうかの評価をする評価手段とを備えたことを特徴とする異常陰影候補検出装置。 - 前記結果取得手段が、
任意に選択した異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データを取得する第1のデータ取得手段と、
該第1のデータ取得手段が取得した前記断面画像データ毎に異常陰影候補の検出を行う第1の異常陰影候補検出手段とからなるものであることを特徴とする請求項6記載の異常陰影候補検出装置。 - 前記第1のデータ取得手段が、
被写体を表す3次元画像データと、該3次元画像データから任意に選択した異常陰影候補を含む断面画像データとを取得する第2のデータ取得手段と、
該第2のデータ取得手段が取得した前記3次元画像データと前記選択をした異常陰影候補を含む断面画像データとに基づき、前記選択をした異常陰影候補を通る互いに異なる複数の断面画像データを生成するデータ生成手段とからなるものであることを特徴とする請求項7記載の異常陰影候補検出装置。 - 前記第2のデータ取得手段が、
被写体を表す3次元画像データから任意に選択した断面画像データを取得する第3のデータ取得手段と、
該第3のデータ取得手段が取得した前記3次元画像データから任意に選択した断面画像データについて異常陰影候補の検出を行う第2の異常陰影候補検出手段とを備え、
前記第2の異常陰影候補検出手段が異常陰影候補を検出した場合に、該異常陰影候補を含む、前記3次元画像データから任意に選択した断面画像データを取得するものであることを特徴とする請求項8記載の異常陰影候補検出装置。 - 前記複数の断面画像データの生成条件を設定する断面条件設定手段をさらに備えたことを特徴とする請求項8または9に記載の異常陰影候補検出装置。
- 前記評価手段が、前記検出結果の全てにおいて、前記選択をした異常陰影候補を異常陰影候補と判断した場合に、前記選択をした異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するものであることを特徴とする第6項から第10項のいずれか1項に記載の異常陰影候補検出装置。
- 前記評価手段が、前記検出結果の過半数において、前記選択をした異常陰影候補を異常陰影候補と判断した場合に、前記選択をした異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するものであることを特徴とする第6項から第10項のいずれか1項に記載の異常陰影候補検出装置。
- 前記評価手段において、前記検出結果に基づき前記選択をした異常陰影候補を最終的な異常陰影候補と評価するための条件を設定する評価条件設定手段をさらに備えたことを特徴とする第6項から第10項のいずれか1項に記載の異常陰影候補検出装置。
- 前記評価の結果と前記最終的な異常陰影候補の少なくとも一方を出力する結果出力手段をさらに備えたことを特徴とする第6項から第13項のいずれか1項に記載の異常陰影候補検出装置。
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