JP2004133285A - 分波器及びそれを用いた光スイッチング装置 - Google Patents

分波器及びそれを用いた光スイッチング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】選択波長のバンド幅が可変であり、選択波長バンド幅中心波長を選択波長バンド幅と独立に制御可能な分波器、及びそれを用いた光スイッチング装置を提供する。
【解決手段】分波器の媒質屈折率制御を、液晶、及び、電気光学効果を示す材料への電圧印加、光、温度、ミラーの形状変化、及び屈折率変調多層構造の層数変化により行うことで、選択波長のバンド幅を可変とすることができ、選択波長バンド幅中心波長を制御する機構をそれとは独立に設けることから、選択波長のバンド幅と選択波長バンド幅中心波長を独立に制御可能な分波器とすることが可能である。光スイッチング装置に前記分波器を搭載することにより、分波器の波長パスバンド及び波長パスバンド中心波長を任意に制御可能であることから、需要に応じたパスバンド設定、パスバンド中心波長設定が可能な光スイッチング装置とすることが可能である。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光周波数多重通信(光波長多重通信)において、周波数多重(波長多重)された光信号を分波する、分波器、及びそれを用いた光スイッチング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
昨今のインターネットトラフィックの増大に伴い、光通信にはますますの高速化、大容量化が要求されている。一般に、光通信の大容量化を実現するための技術として用いられている高密度波長多重通信(DWDM)技術では、あるノードにおいて特定の波長バンド内に複数の波長を多重化した光を合波器によって合波して1本の光ファイバで送信し、その光を受信ノードにおいて分波器により分波している。受信ノードにおいて分波された光は、ルーティング、スイッチング等が施され、宛先ごとに振り分けられる。
【0003】
このような分波、合波、スイッチング、ルーティング等の機能を担うOXC(Optical cross connect)、OADM(Optical add−drop multiplexer)等のノード構成は、ノード装置に要求されるパフォーマンス、分波器やスイッチ等の要素技術の仕様(損失等)、及びそれらのコスト等を考慮して、さまざまな構成が提案されている。その中でも、昨今注目されているのが、波長バンド単位でスイッチングを行う光スイッチと、波長変換を行う電気スイッチを融合した階層構成による、トランスペアレント・オプティカルクロスコネクト(Transparent OXC)装置である。
【0004】
図34は、トランスペアレントOXC装置の一般的な構成を示す図である。図34を参照すると、トランスペアレントOXC装置は、波長バンド単位でスイッチを行う光スイッチ(波長バンドスイッチ)102と、波長変換を行う電気スイッチ103を融合した階層構成からなる。光スイッチ102は、波長単位又は波長バンド単位でスイッチングが行われる。光スイッチ102は波長変換機能を有さない。光スイッチ102のadd−drop(アド−ドロップ)ポートには、電気スイッチ103や3R再生中継を行うトランスポンダを介してクライアント装置105が接続される。
【0005】
このような階層構成にすることにより、クライアント装置105にドロップ(drop)する信号、及びクライアント装置105からアド(add)される信号のみ、オペイク(OEO)スイッチポートを仲介し、ノードをスルーする信号に関しては、オペイク(OEO)スイッチポートを仲介することなくスイッチングを行うことができるため、コスト的に高価となるオペイク(OEO)スイッチを全ポート数分用意する必要がなく、低コスト化を図れる等のメリットがある。
【0006】
トランスペアレントOXC装置において、分波器(フィルタ)104は、波長多重された光信号を複数の波長バンドへ分割する機能を担っており、その分割の仕方によっていくつかのタイプに分けられる。
【0007】
図35に示すインターリーバーは「波長スプリッタ」とも呼ばれ、図35に示すように、複数の波長を2つの隔波長群へ分割する。インターリーバーに関しては以下の文献が参照される(例えば特許文献1、2)。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第6, 130, 971号明細書
【特許文献2】
米国特許第6, 208, 444号明細書
【0009】
トップフラット((Top−flat)AWG回路は、図36に示すように、ある一定数の波長(図36では、2つ)ずつ、複数の波長バンドへの分割を行う。Top−flat
AWGの詳細に関しては、例えば以下の文献が参照される。
【0010】
【非特許文献1】
K. Okamoto, et al., “Flat spectral response arrayed−waveguide gratingmultiplexer with parabolic waveguide horns” Electoron. Lett., Vol 32 No. 18 pp.1661−1662, August 1996.
【0011】
図37に示すバンドフィルタは、図示のように、短波長側、長波長側の2つの波長バンドへ分割する。
【0012】
なお、AWGは、透過バンドプロファイルが矩形に近いTop−flatタイプのみではなく、透過バンドプロファイルがガウシアン(Gaussian)タイプのGaussian AWGも、装置の仕様に応じて用いられ得る。AWGに関しては、例えば、以下の文献が参照される。
【0013】
【非特許文献2】
H. Takahashi, et al., “Arrayed−waveguide grating for wavelength division multi/demultiplexer with nanometre resolution” Electoron. Lett., Vol 26 No. 2 pp.87−88, 1990.
【0014】
このように、図34のトランスペアレントOXC装置に用いられる分波器104としては、種々の形態があり、通常は、要求されるノード装置のパフォーマンス、各分波器の損失等の仕様、及びコスト等を考慮して、選択されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上に示したような従来の分波器では、いずれの分波器でも波長バンド幅は分波器固有のものであり、この波長バンド幅を変化させることは、いずれの分波器でも不可能である。例えば、図38に示すように、波長多重された8つの波長λ1〜λ8を、低波長側から2つずつ、4つのパスバンドに分割する分波器を例にとると、図示されたバンド1(BAND1)〜バンド4(BAND4)の4つのパスバンドは、光スイッチ102(図34参照)で進路を切り替えられて4つのファイバ1(fiber1)〜ファイバ4(fiber4)のいずれかに出力されるが、4つのファイバのいずれに出力される波長(群)も、そのパスバンドは、分波器104(図34参照)の固有パスバンドで決定されてしまう。
【0016】
即ち、パスバンドを変更することが不可能であるため、例えば図39に示すように、バンド1、2は、図38と同様であるが、バンド3を縮小し、バンド4を拡大して、バンド3の選択波長を1つ、バンド4の選択波長を4つに変更するような分波は、不可能であった。そして、このことが、現在、ネットワークの柔軟で効率的な運用の妨げになっている。
【0017】
もし、限られた波長バンド(図38、図39で言えば、λ1〜λ8までの全体の波長バンド)を、複数の波長パスバンドに分割する際、複数のパスバンドの担うバンドをスケーラブルに任意に設定することができれば、すなわち、例えば、図38に示すパスバンド設定から、図39に示すパスバンド設定への変更、又はその逆の変更を任意に行うことができれば、限られた波長バンドを出力先の需要に応じて臨機応変に変更可能な、柔軟で効率的なネットワーク運用が可能であり、コスト的にも大変有利になる。
【0018】
さらに、分波後の複数の波長パスバンドのバンド幅と、波長パスバンドの中心波長が独立に制御可能であれば、ネットワーク運用の観点からは、さらに有利になる。
【0019】
したがって、本発明の主たる目的は、分波後の波長パスバンドをスケーラブルに任意に設定可能とし、波長バンド単位でスイッチを行う光スイッチと、波長変換を行う電気スイッチを融合した階層構成からなるトランスペアレントOXC装置に用いて好適な分波器及び該分波器を用いた光スイッチング装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の1つのアスペクトに係る分波器は、定められた波長帯域内に波長多重された複数の光を分波する際、選択波長の波長バンド幅が可変とされるか、又は、選択波長と選択波長の波長バンド幅が独立に制御可能とされる。
【0021】
本発明において、上記分波器は屈折率変調多層構造からなり、分波器の透過光又は反射光を選択波長として用いる。
【0022】
そして、本発明において、上記分波器は、バルク型、ファイバ型、導波路型のいずれかである。
【0023】
本発明において、バルク型、導波路型の分波器に関しては、媒質の屈折率制御を電気、光、温度、ミラー形状変化により行う。本発明において、電気による制御として液晶への電圧印加、及び、電気光学効果を示す材料への電圧印加が用いられる。本発明において、温度制御手段は、好ましくは複数設けられる。
【0024】
本発明において、ファイバ型の分波器に関しては、媒質の屈折率制御を光、温度、ミラー形状変化により行う。温度制御手段、ミラー形状変化手段は、望ましくはそれぞれ複数設けられる。
【0025】
また、バルク型の分波器に関しては、屈折率変調多層構造ミラー反射率制御を、屈折率変調多層構造の層数を変化させることによっても行う。
【0026】
さらに、上記目的を達成する本発明の他のアスペクトにおいて、上記分波器のうち、いずれか複数の分波器と光スイッチを組み合わせた分波モジュールが提供され、さらに該分波モジュールを用いて光スイッチング装置が提供される。
【0027】
また、上記目的を達成する本発明の他のアスペクトにおいて、上記分波器のうち、いずれかの分波器を用いた光スイッチング装置が提供される。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
[第一の実施の形態]
本発明の第一の実施の形態の構成及び動作の概略について説明する。図1は、本実施の形態の分波器の構成を説明するための斜視図である。図1に示されるように、本発明の第一の実施の形態における分波器は、屈折率変調多層構造からなり、その屈折率変調制御機構をもつ光学フィルタ部1001と、アクチュエータ1002と、光ファイバ1003とを備え、これらは、実装パッケージ1004に実装されている。
【0030】
図2は、本発明の第一の実施の形態の分波器を説明するための斜視図である。図3は、本発明の第一の実施の形態の分波器の構成を説明するための平面図である。図4は、本発明の第一の実施の形態の分波器の波長フィルタ部の上面(レイアウト)を示す図である。
【0031】
図2、図3に示されるように、本実施の形態に係る分波器は、実装パッケージ4に実装された、光学フィルタ部1と、アクチュエータ2と、光ファイバ3からなる。光ファイバ3と光学フィルタ部1は、実装の際、光の結合効率が最大となるように、光学レンズ(不図示)等を介して、又は、光ファイバ3の先端をレンズ状に加工するなどして結合される。また、必要により、光学フィルタ部1と光ファイバ3間での光の不要な共振を抑えるため、光学フィルタ部1及び光ファイバ3の端面には、AR(反射防止)コートがなされる。
【0032】
また、光学フィルタ部1は、図4に示されるように、可動ミラー部11と、固定ミラー部12と、可動ミラー部11内にそれぞれ充填された液晶21A〜21Dへ電圧を印加するために対向配置される透明電極13A及び13B〜16A及び16Bと、固定ミラー部12内にそれぞれ充填された液晶21F〜21Hへ電圧を印加するために対向配置される透明電極17A及び17B〜透明電極20A及び20Bを備えている。
【0033】
可動ミラー部11及び固定ミラー部12内に充填された液晶21A〜液晶21Hに、透明電極13A及び13B〜透明電極20A及び20Bを介して、電圧を印加することにより、液晶21A〜液晶21Hの屈折率を変化させ、可動ミラー部11及び固定ミラー部12全体の反射率を変化させることにより、光学フィルタ部1を透過する波長パスバンドを変化させる。これにより、可動ミラー部11に入射する波長多重された入射信号光λ1〜λnのうち、固定ミラー部12から出射される透過出力信号光λのパスバンドを変化させることができる。
【0034】
[構成要素ごとの働き]
次に本発明の第一の実施の形態に係る分波器の構成要素ごとの働きを詳細に説明する。
【0035】
まず、本発明の分波器の波長フィルタ部(図2の光学フィルタ部1)について詳細に説明する。
【0036】
本実施の形態において、分波器の光学フィルタ部は、波長フィルタとして良く知られているファブリペロー・エタロン構造を取っている。ファブリペロー干渉型光学フィルタでは、平行に対向した2枚のミラーの間隙(キャビティ)に位相条件の合致する波長光だけが共鳴透過する。そして、2枚のミラーの反射率が、透過光スペクトルの波長パスバンドを決定する。共振器を構成する一対のミラーは、規則的な屈折率変調周期構造を持っており、このような構造は、「フォトニック結晶」と呼ばれている。
【0037】
フォトニック結晶中の光の振る舞いは、半導体中の電子のエネルギーバンドに相当するフォトニックバンドという概念を用いて説明される。半導体中では、周期的ポテンシャルの存在により、電子が固有のモードを持ち得ない周波数領域が存在するのと同様に、フォトニック結晶中では、光が固有のモードを持ち得ない周波数領域である、フォトニックバンドギャップが存在する。このフォトニックバンドギャップは、一般に、屈折率周期構造の屈折率変調が強いほど、広帯域に渡って開く。
【0038】
図4において、可動ミラー部11に、波長多重光λ〜λが入射されると、フォトニックバンドギャップ内にある波長帯域において、(1)式を満足する波長λの信号光のみが共鳴透過して、固定ミラー部12から出射される。
【0039】
λ=2L/m          …(1)
【0040】
ここで、Lは、一対のミラー間(光学)距離、即ちキャビティ長であり、mは、整数である。
【0041】
フォトニック結晶からなる可動ミラー部11又は固定ミラー部12を、図5に示す。可動ミラー部11又は固定ミラー部12は、矩形型の空孔が形成された構造材層30と、当該空孔に充填された液晶31との周期構造からなる1次元フォトニック結晶からなっている。各層厚dは、フィルタ動作帯域の真空中での中心波長をλ、各層の屈折率をnとして、(2)式のように決定される。
【0042】
=kλ/4n          …(2)
【0043】
ここで、λが、分波器の波長パスバンドの中心波長となる。kは、奇数の整数である。
【0044】
1次元フォトニック結晶からなるミラー部を、ミラーとして機能させるためには、kは奇数であることが必要である。
【0045】
固定ミラー部12(図4参照)から出射される光の波長パスバンドは、可動ミラー部11及び固定ミラー部12(図4参照)の反射率で決定される。具体的には、ミラーの反射率が大きいほど、波長パスバンドは狭小化し、ミラーの反射率が小さいほど、波長パスバンドは拡大化する。そして、ミラーの反射率は、構造材層30(図5参照)と、空孔に充填された液晶31(図5参照)間の、屈折率変調の強さ、繰り返し周期構造の数、及び、上式(2)のkの値により決定される。
【0046】
この屈折率変調の強さ、周期構造の数、及びkの値は、実際には、要求される波長パスバンドの可変帯域、繰り返し周期構造作製プロセス上の制限事項(プロセスアスペクト比他)などの諸条件を勘案した上で、選択される。
【0047】
以上のようなミラーを構成する構造材層30(図5参照)として何を選ぶかについては、本発明に係る分波器の用途、及び作製プロセスに応じて適宜選択される。即ち、可動ミラー部11及び固定ミラー部12(図4参照)のフォトニックバンドギャップが、光通信の波長帯域(Cバンド、Lバンド、及びSバンド)全体を十分にカバーする必要があるため、構造材層30と液晶31(図5参照)間の屈折率変調の強さは、十分大きいことが必要である。このことに加え、作製プロセスにより、ミラー作製の可能な材料であることが必要である。即ち、採用されるプロセスにより、最適な材料が異なりうる。例えば、マイクロマシーニングによる加工プロセスならば、既に半導体微細加工技術の分野において十分な実績があり、かつ、高屈折率を有するSiが好適とされる。また、GaAs、InP等も、Siに準ずる材料として用いることができる。また、スパッタリングによる作製プロセスならば、Si等が好適である。
【0048】
また、液晶31(図5参照)に要求される特性としては、構造材層30との屈折率変調によって生成されるフォトニックバンドギャップが、光通信波長帯域を十分にカバー可能であり、かつ、所望の波長パスバンド変化量が得られるだけの屈折率異方性の大きさを備えたものであることが必要である。具体的には、ネマチック液晶、コレステリック液晶、強誘電性液晶などがあげられる。配向の変化による屈折率変化が大きいという意味では、ネマチック液晶が望ましいが、これは、要求される屈折率変化の大きさ如何によって、他の液晶材料も適宜、選択しうることは勿論である。
【0049】
さらに、透明電極13A及び13B〜透明電極20A及び20B(図4参照)の材質としては、酸化スズをドープした酸化インジウムや酸化スズの薄膜を用いることが出来る。
【0050】
なお、構造材層30、液晶31(図4参照)に好適であるとして、説明した上記の材料及びその特性は、本発明において、所望の機能をもつ波長フィルタを実現するための一例であり、本発明はかかる材料及び特性にのみに限定されるものでないことは勿論である。例えばSiよりもさらに高屈折率を有する材料を、高アスペクト比に精度良く作製するプロセスが開発されれば、それに合致した構造材層、及び液晶が適宜、選択されうる。
【0051】
また、本実施の形態では、ミラー部の液晶の屈折率を電圧を印加することにより変化させて用いるため、屈折率の値により、(2)式のd値(図5のdlc)が異なってくる。このため、設計時のdlc物理長は、可変とする液晶の屈折率の範囲内のいずれかの場合のdlc物理長とする。
【0052】
このように設計した後、実際に液晶の屈折率を変化させると、dlcにずれが生じてくるため、波長パスバンドばかりでなく、波長パスバンド中心波長λまでが変化するという事態が生じる。このため、この波長パスバンド中心波長λの変化を相殺する方向に、キャビティ長を変化させることにより、波長パスバンド中心波長λの位置を保持する。この点については、後述する本実施の形態の動作の説明で詳細に説明する。
【0053】
次に、本実施形態における分波器のアクチュエータ部(図2、図3の2)について説明する。
【0054】
本実施形態の分波器のアクチュエータ部に要求される特性としては、光通信用途での所望波長パスバンド中心波長λの変化量を賄いうるアクチュエート機構であり、かつ、そのアクチュエート範囲内で、十分なミラー平行精度を確保できるようなアクチュエート機構であればよい。具体的には、電極間に働く静電引力及び斥力を用いた静電駆動型アクチュエータ、電磁誘導の原理により磁化された磁性体間に働く磁気力を利用する電磁駆動によるアクチュエータ等が、適宜、選択される。
【0055】
また、本発明においては、上記したように、可動ミラー部11と固定ミラー部12(図4参照)間の間隙をアクチュエータによりメカニカルに変化させる構成に限定されるものでない。例えば以下の(a)乃至(d)なども、適宜、選択可能である。
【0056】
(a)可動ミラー部11と固定ミラー部12間の間隙を、液晶を充填可能な構成として、液晶を充填した後、当該液晶に電圧を印加することにより、間隙間の実効光路長を変化させて、所望の波長パスバンドの中心波長λを変化させる。
【0057】
(b)可動ミラー部11と固定ミラー部12間の間隙間に、電圧の印加により屈折率変化を生じる電気光学効果(ポッケルス効果)を示す材料、例えばLiNbO結晶を用いて、同様に間隙間の実効光路長を変化させて所望の波長パスバンドの中心波長λを変化させる。
【0058】
(c)可動ミラー部11と固定ミラー部12間の間隙間に光の照射によって屈折率変化を生じる材料、例えばスピロ有機化合物等を充填して、光の照射により間隙間の実効光路長を変化させて所望の波長パスバンドの中心波長λを変化させる。
【0059】
(d)可動ミラー部11と固定ミラー部12間の間隙間に温度変化によって屈折率変化を生じる材料、例えばシリコンオイル等を充填して、温度変化により間隙間の実効光路長を変化させて所望の波長パスバンドの中心波長λを変化させる。
【0060】
[製造方法の説明]
次に、本実施の形態の分波器の製造方法の一具体例について説明する。図6は、本実施の形態の分波器の断面構成を模式的に示す図である。
【0061】
図6に示すように、まず、使用波長帯域(今の場合、光通信の波長帯域)で透明な材料、例えばガラスで構成された基板40を用意し、ガラス基板40上にSi41A、酸化スズによる透明電極42A、SiO酸化層43A、酸化スズによる透明電極42Bをスパッタリングにより作製する。この作製プロセスを4周期繰り返し、最後に、Si41Eを製膜する。Si層厚d、SiO層厚dlcは、以下の通りとした。
【0062】
即ち、分波器の波長パスバンドの中心波長λ((2)式のλ)を、光通信での使用波長1.55μmとし、Siの屈折率3.5、後述する液晶の電圧印加時屈折率1.1より、(2)式のm=1として、
=0.111μm
lc=0.352μm
とした。
【0063】
透明電極42A、42Bの層厚は、光損失の観点から、電圧印加のためのワイヤボンディングを行える範囲内で、なるべく薄くすることが好ましい。なお、スパッタリングによる製膜レート他の製膜条件は、膜表面の平滑性に大きく影響する。一般に、ファブリペロー・エタロン型の波長フィルタにおけるミラー表面は、波長の1/100程度の平坦度が要求される。このことから、本実施の形態では、0.01〜0.02μmレベルの平滑性を達成しうる製膜条件で、製膜を行った。
【0064】
上記のように製膜した多層膜44に、図8に示すように溝を作製した。そして、溝を作製した多層膜44をHF水溶液に浸し、酸化膜(SiO膜)をエッチングにより除去した。この際、溝の上部の位置の酸化膜が除去された段階でエッチングを終了し、溝の上部以外の部分の酸化膜がスペーサーとして残るよう注意する。
【0065】
スペーサを含む多層膜を、図8に示すように切り出し、犠牲層エッチングにより空隙となったスペースに、液晶を毛管力により充填した。ここで、液晶は、ネマチック液晶の一つとして知られる図13の分子構造のものを用いた。
【0066】
なお、上記液晶の屈折率の電圧による変化は、上記と同様のスペース内に充填した液晶による光の回折ピークの移動量を測定することにより、予め測定しておく。測定の結果、ここでは電圧無印加時の屈折率1.5から、電圧60V印加時の屈折率1.1まで変化することが分かった。
【0067】
以上のように作製したミラーを2つ用意し、図9のミラー46、47とする。
【0068】
上記ミラー46、47のうちいずれか一方、この実施の形態では、ミラー46を、図9に示すように、アクチュエータ48に実装した。本実施形態で採用したアクチュエータ48は、静電駆動型で2対の固定電極及び可動電極をもつ櫛歯構造のものとした。電極を2対としたのは、1対の場合よりも、アクチュエート精度が高く、ミラー平行精度が確保し易いためである。
【0069】
また、もう一方のミラー、すなわちこの実施の形態では、ミラー47を、ミラー46と平行に対向し、距離dcav隔てて固定した。
【0070】
cavは想定波長λ=1.55μmの2倍、即ち、
cav=3.10μm
とした。
【0071】
ミラー46を実装したアクチュエータ48及び光ファイバを、図9に示すように、パッケージ48−1に実装した。なお、本実施形態は、ファイバ端面をレンズ状に加工した光ファイバ49を採用し、また光ファイバ端面、及びミラー端面にARコートを施した。
【0072】
[動作の説明]
次に、本実施の形態の分波器の動作を具体的に説明する。図10は、本実施の形態の分波器の動作を説明するための図であり、図9の分波器にレーザ光を入射し、分光器の出力(透過光)をスペクトル分析するものである。図10を参照すると、可動ミラー46(図9参照)に相対する光ファイバ49の、可動ミラー46に相対する側の端面と反対側の端面から、波長可変レーザ161を用いて、波長λ=1.45μm〜1.62μmの光を連続的に入射し、固定ミラー47に相対する光ファイバ49の、固定ミラー47に相対する側の端面と反対側の端面を、光スペクトラムアナライザ162と接続した。そして、波長可変レーザ161により掃引させた波長λ=1.45μm〜1.62μmの光のうち、フィルタによって透過した光の成分及びそのパワーを、光スペクトラムアナライザ162で測定した。
【0073】
まず始めに、アクチュエータ48(図9参照)に電圧を印加せず、ミラー間キャビティ長dcavを、3.10μmに保ち、8つの液晶層を挟む8対の透明電極に同様に60Vを印加した状態で、フィルタによる透過光スペクトルを測定した。透過光スペクトルの測定結果を図11(A)に示す。図11(A)に示すとおり、透過光スペクトルは、設計通り、中心波長λ=1.55μmにピークを持つ透過光スペクトルとなった。このとき、スペクトルの半値幅は約0.1nmであった。
【0074】
次に、8つの液晶層を挟む8対の透明電極に印加していた電圧を除去し、その状態でフィルタによる透過光スペクトルを測定した。結果を図11(B)に合わせて示す。図11(B)に示すとおり、透過光スペクトルの中心波長は、λ=1.59μmにシフトした。これは、ミラー46、47のdlc長を、液晶に電圧を印加しない状態での液晶の屈折率を基準に設計したため、液晶に電圧を印加した場合の屈折率の変化により、最適なdlc長が変化したためである。この中心波長のシフトは、アクチュエータに電圧を印加することにより、ミラー間キャビティ長を変化させて補償した。即ち、この場合、固定電極、可動電極間に、キャビティ長を狭小化させる方向に電圧を印加し、図11(C)に示すように、中心波長を1.55μmに移動させた。また、このとき、スペクトルの半値幅は、約0.28nmであった。
【0075】
以上のように、本発明の第一の実施の形態の分波器によれば、中心波長を維持したまま、透過光スペクトルの半値幅、即ち、波長パスバンドを変化させることが可能である。この実施の形態では、液晶の屈折率変域の最小値と最大値の場合のパスバンドを測定したが、液晶に印加する電圧を最大値以下の任意の値に設定することにより、液晶の屈折率を任意に、スケーラブルに変化させることが可能である。かかる構成により、波長パスバンドも約0.1nm〜約0.28nmの間で任意に、スケーラブルに設定可能となる。
【0076】
なお、液晶は、上記した分子構造の液晶に限定されるものでなく、電圧の印加により所望の屈折率変化を生じる他の液晶材料も、適宜、選択しうる。
【0077】
なお上記実施の形態では、波長パスバンド中心波長λ=1.55μmとしての動作であるが、アクチュエータの稼働により、波長パスバンド中心波長λを独立にシフト可能なため、アクチュエータの稼働範囲内で、他の中心波長で波長パスバンド変更可能な分波器として用いることも可能である。但し、その場合は上記本発明の実施の形態の動作の説明に述べたように、設計上の中心波長(今の場合、λ=1.55μm)で用いる場合よりも、スペクトルの半値幅が若干拡大化するため、このことを考慮して、分波器の適用が行われる。
【0078】
以上、波長フィルタが、バルク型の場合について説明したが、上記した実施の形態と同様の作用効果は、導波路型の波長フィルタの屈折率変調多層構造に、上記と同様にして、液晶を充填し、該液晶の屈折率を変化させることによっても、得られる。
【0079】
また、本実施の形態の分波器では、フィルタの波長パスバンド帯域内の波長光が除かれた多重光を改めて入力ポートに入力すると、その多重光は当然ながらフィルタによって全反射させられるので、その際に、フィルタの出力ポートから逆に、波長パスバンド帯域内の波長光を入力させると、フィルタによる反射光に、出力ポートから入力した波長パスバンド内波長光が重畳される形となるため、合波器として用いることも可能である。この用途は、後述する光スイッチング装置としての実施の形態で有効となる。
【0080】
[第二の実施の形態]
本発明の第二の実施の形態について説明する。本発明の第二の実施の形態の分波器の、[構成及び動作の概略]、[構成要素ごとの働き]は、前記第一の実施の形態で説明したものと同様であるため、その説明は省略する。
【0081】
本実施の形態では、前記第一の実施の形態で液晶の屈折率変化によりミラーの反射率を変化させた代わりに、液晶と同様に、電圧の印加により屈折率変化が生じる、電気光学効果を示す代表的な強誘電体であるLiNbO結晶を用いている。LiNbO結晶を用いて分波器を構成した場合の、製造方法、及び動作について詳細に述べる。
【0082】
[製造方法の説明]
本実施の形態の分波器の製造方法について以下に説明する。図12及び図13は、本実施の形態の製造方法を説明するための工程断面図である。
【0083】
まず、フィルタのミラー反射率を変化させるための、LiNbO導波路の作製方法について、図12(a)〜図12(g)の工程断面図を参照しながら説明する。
【0084】
まず、LiNbO基板110上へTi膜の導波路パターンを形成する。Ti膜パターンの形成は、Ti膜111をスパッタリングによりコーティングした後(図12(b)参照)、フォトレジスト112を塗布し(図12(c)参照)、通常のフォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成し、Ti膜111をエッチングすることにより行った。すなわちマスク113を介してパターン露光し(図12(d)参照)、その後、フォトレジストを現像して感光部分を除去し(ポジ型レジスト)(図12(e)参照)、フォトレジスト112をマスクとして下地膜であるTi膜111をエッチングし(図12(f)参照)、フォトレジスト112を除去する(図12(g)参照)。Ti膜111の膜厚は20nmとした。また、導波路長は、0.194μmとした。この導波路長の理由については後述する。
【0085】
図13(a)乃至図13(d)は、LiNbO基板中へのTiの拡散から電極形成までの工程を説明するための図である。
【0086】
LiNbO基板110中へのTiの拡散(図13(a)参照)を、以下の条件により行った。
【0087】
拡散温度:1000℃
拡散時間:8h
雰囲気 :大気(空気)
【0088】
Tiの拡散を行った導波路部の屈折率を、ウェハ状態のままでルチル(TiO)プリズムを用いて測定した(図13(b)の工程)。その結果、導波路部の屈折率は2.0であった。
【0089】
続いて、Tiの拡散を行ったLiNbO基板110上に、SiOバッファー膜114を、スパッタリングにより膜厚100nmで形成した(図13(c)参照)。
【0090】
さらに、SiOバッファー膜114の上に、Ti拡散部を跨ぐようにAl電極膜115を2μm形成した(図13(d)参照)。その際、Al電極膜115の密着性を増すために、Cr下地電極を利用した。
【0091】
Ti拡散導波路を作り込んだ上記LiNbO基板110をダイシングし、上記導波路長をもつチップを切り出した。このチップを10個用意した。
【0092】
次に、フィルタ部及びアクチュエータ部のマイクロマシーニングによる作製プロセスについて説明する。
【0093】
本実施の形態におけるフィルタ部及び本アクチュエータ部は、Si層の層厚が4μm、埋め込みSiO酸化膜の膜厚が2μmのSOI(Silicon On Insulator)基板を用いて、本願出願時未公開の文献(文献3)に記載されているマイクロマシーニングによる作製方法と同等の作製方法で、一括形成された。
【0094】
【文献3】
特願2001−204213号
【0095】
一括形成後の光学フィルタ部120及びアクチュエータ部121の斜視図を図14に示す。また、光学フィルタ部120のミラー部の上面図を図15に示す。
【0096】
光学フィルタ部120のミラー部のSi層厚d、マイクロマシーニングプロセスにより形成した空隙長d、及び設定キャビティ長dcavは、以下の通りとした。
【0097】
=0.111μm
=0.194μm
cav=3.10μm
【0098】
長は、後に実装するLiNbO導波路の屈折率が、前述したとおり、2.0であったことから、前記第一の実施の形態で説明した(2)式によって決定した。また、光学フィルタ部120のミラー部の周期構造は、図15に示すように、マイクロマシーニングプロセスにより5つの空隙を形成した。
【0099】
また、この実施の形態でも、アクチュエータは、静電駆動型を採用し、アクチュエート精度を十分確保するため、前記第一の実施の形態の場合と同様に、電極を2対とした。
【0100】
以上のように、アクチュエータ部121と共に一括形成された光学フィルタ部120に、Ti拡散導波路を作り込んだLiNbOチップ10個を実装した。実装後のフィルタ部120を拡大した上面図を、図16に示す。
【0101】
LiNbOチップが実装された光学フィルタ部120と、アクチュエータ部121(一体化されている)を、図9と同様の光ファイバと共に、図9と同様のパッケージに実装した。なお、この実施の形態においても、ファイバ端面をレンズ状に加工した光ファイバを採用し、光ファイバ端面、及びミラー端面にARコートを施した。
【0102】
[動作の説明]
次に、本実施の形態の分波器の動作を具体的に説明する。
【0103】
本発明の実施の形態の分波器の光学特性評価系は、第一の実施の形態の動作の説明で用いた、図10に示す測定系をそのまま用いた。
【0104】
まず始めに、アクチュエータ、及びAl電極132A、132B間〜141A、141B(図16参照)間に電圧を印加せず、ミラー間キャビティ長dcavを3.10μmに保ち、かつ、LiNbO導波路部の屈折率が2.0の状態で、フィルタによる透過光スペクトルを測定した。測定結果を図17に示す。図17(A)に示すとおり、透過光スペクトルは設計通り、中心波長λ=1.55μmにピークを持つ透過光スペクトルとなった。このとき、スペクトルの半値幅は約0.2nmであった。
【0105】
次に、Al電極132A、132B間〜141A、141B間に、電圧60Vを印加し、その状態でフィルタによる透過光スペクトルを測定した。結果を図17(B)に合わせて示す。図17(B)に示すとおり、透過光スペクトルの中心波長は、λ=1.57μmにシフトした。この波長シフトの原因は、第一の実施の形態の動作の説明中で述べた。そして、この波長シフトを相殺する方向、即ち今の場合、アクチュエータの固定電極、可動電極間にキャビティ長を狭小化させる方向に電圧を印加し、中心波長を1.55μmに移動させた。また、このとき、図17(C)に示すとおり、スペクトルの半値幅は約0.72nmであった。
【0106】
透過光スペクトル半値幅の増大、及び中心波長のシフトは、LiNbO導波路部に電圧が印加されたため、電気光学効果(ポッケルス効果)によって、LiNbO導波路部の屈折率が増大したためである。
【0107】
以上のように、本発明の第二の実施の形態の分波器によれば、中心波長を維持したまま、透過光スペクトルの半値幅、即ち波長パスバンドを変化させることが可能である。ここでも、第一の実施の形態の分波器の場合と同様に、Al電極間に印加する電圧を任意の値に設定することにより、LiNbO導波路部の屈折率を任意に、スケーラブルに変化させることが可能である。このことにより、波長パスバンドも約0.2nm〜約0.72nmの間で任意に、スケーラブルに設定可能となる。
【0108】
なお、電気光学効果を示す材料として利用する材料は、本実施の形態で用いたLiNbO結晶に限定されるわけではなく、電圧の印加により屈折率変化を生じる他の電気光学効果を示す材料、例えば、LiTaO結晶、BaTiO結晶他も所望の屈折率変化量を勘案した上で、適宜、選択されうる。また電気光学効果を示す材料としては結晶に限定されず、非晶質その他であってもよい。
【0109】
なお、本実施の形態の場合も、前記第一の実施の形態の場合と同様に、アクチュエータの稼働により波長パスバンド中心波長λを独立にシフト可能なため、設計上の中心波長(今の場合、λ=1.55μm)で用いる場合よりも、スペクトルの半値幅が若干拡大化することを考慮した上で、他の中心波長で波長パスバンド変更可能な分波器として用いることも可能である。
【0110】
以上、波長フィルタとしてバルク型を基本とし、それに電気光学効果を示す導波路構造を実装した場合について説明したが、屈折率変調多層構造をもつ波長フィルタ全体が電気光学効果を示す導波路型の場合にも、同様な効果が得られる。
【0111】
また、本実施の形態の分波器は、フィルタの波長パスバンド帯域内の波長光が除かれた多重光を改めて入力ポートに入力すると、その多重光は当然ながらフィルタによって全反射させられるので、その際にフィルタの出力ポートから逆に波長パスバンド帯域内の波長光を入力させると、フィルタによる反射光に出力ポートから入力した波長パスバンド内波長光が重畳される形となるため、合波器として用いることも可能である。この用途は、後述する光スイッチング装置としての実施の形態で有効となる。
【0112】
[第三の実施の形態]
本実施の形態の分波器の、構成及び動作の概略、構成要素ごとの働きは、全て前記第一、及び第二の実施の形態のそれらに準ずる。本実施の形態では、前記第一、及び第二の実施の形態で行ったミラーの反射率の変化を、光の照射によって、屈折率変化の生じる有機化合物分子会合体を用いて、本発明の分波器を構成した場合の、本発明の分波器の製造方法、及び動作について詳細に述べる。
【0113】
[製造方法の説明]
本実施の形態の分波器の製造方法を説明する。
【0114】
本実施の形態の分波器のフィルタ部、及びアクチュエータ部は、前記第二の実施の形態の製造方法の説明の項で説明した、マイクロマシーニングによる作製プロセスで製作された。
【0115】
本実施の形態では、前記第二の実施の形態での光フィルタ部120(図14、図15参照)に相当するフィルタのミラー部のSi層厚d、マイクロマシーニングプロセスにより形成した空隙長d、及び設定キャビティ長dcavは、以下の通りとした。
【0116】
=0.111μm
=0.215μm
cav=3.10μm
【0117】
長は、後に、空隙部に充填する有機化合物分子(後述)の光未照射時の屈折率が、後述するとおり1.8であったことから、前記第一の実施の形態中に述べた(2)式によって決定した。
【0118】
また、フィルタ部120のミラー部の、マイクロマシーニングプロセスにより形成した空隙数は、前記第二の実施の形態の場合(図15参照)よりも一つ少ない、4とした。
【0119】
また、アクチュエータは、前記第二の実施の形態と同プロセスにより作製し、電極2対の静電駆動型である。
【0120】
ミラー部の空隙に充填する有機化合物は、図18に示すような、スピロ化合物210とした。化合物分子構造と光反応を、図18に示す。
【0121】
図18に示すように、この実施の形態で採用されたスピロ化合物スピロピランは、波長400nm以下の紫外光を照射することによりメロシアニンに異性化し、更に約35℃に熱することでJ会合体を形成する。約35℃の環境で上記紫外光を照射すれば、スピロピランからJ会合体を形成することが可能である。また、J会合体は、約120℃に熱することで、スピロピランに戻すことができる。
【0122】
図18に示したスピロ化合物の屈折率の紫外光照射による変化は、前記第二の実施の形態のフィルタ部と同様のスペース(空隙部)内に充填したスピロ化合物による光の回折ピークの移動量を測定することにより、測定した。測定の結果、紫外光照射前、即ちスピロピランの状態で、屈折率1.8、約35℃の環境で上記紫外光を十分な時間照射し、J会合体としたときの屈折率は2.2であった。また、本実施の形態で採用したスピロ化合物スピロピランは、紫外光を照射する時間を制御することによって、前記2種の屈折率の間の任意の屈折率に設定することが可能である。
【0123】
アクチュエータ部と共に、マイクロマシーニングによるプロセスで一括形成されたフィルタ部の空隙部に、スピロ化合物を毛管力により充填した。充填後のフィルタ部の拡大上面図を、図19に示す。図19において、223A〜223D、223E〜223Hは、フィルタ部の可動ミラー部221と、固定ミラー部222の空隙部に充填されたスピロ化合物スピロピランである。
【0124】
スピロ化合物が充填されたフィルタ部と、アクチュエータ部(一体化されている)を、図20に示すように、光ファイバ231と共にパッケージ230に実装した。図20は、本実施の形態の実装の様子を示す斜視図である。
【0125】
また、フィルタ部の温度測定及び温度制御のため、ペルチエ素子233をパッケージ230内に装着した。なお、光ファイバ231は、ファイバ端面をレンズ状に加工した光ファイバを採用し、光ファイバ端面、及びミラー端面にARコートを施した。
【0126】
[動作の説明]
次に、本実施の形態の分波器の動作を具体的に説明する。
【0127】
本発明の実施の形態の分波器の光学特性評価系は、第一及び第二の実施の形態の動作の説明で用いた、図10に示す測定系をそのまま用いた。
【0128】
まず始めに、アクチュエータに電圧を印加せずキャビティ長dcavを3.10μmに保ち、かつ、スピロピラン223A〜223Hに屈折率変調のための紫外光を照射しない状態で、フィルタによる透過光スペクトルを測定した。結果を図21に示す。図21(A)に示すとおり、透過光スペクトルは設計通り、中心波長λ=1.55μmにピークを持つ透過光スペクトルとなった。このとき、スペクトルの半値幅は約0.16nmであった。
【0129】
次に、ペルチエ素子233に電流を流してフィルタ部の温度を約35℃に保ち、スピロピラン223A〜223HにスピロラインからJ会合体が形成されるのに十分な紫外光を照射した。そして、フィルタによる透過光スペクトルを測定した。結果を図21(B)に合わせて示す。図21(B)に示すとおり、透過光スペクトルの中心波長は、λ=1.57μmにシフトした。この波長シフトの原因は、第一及び第二の実施の形態の動作の説明中で述べた。そして、この波長シフトを相殺する方向、即ち今の場合、アクチュエータの固定電極、可動電極間にキャビティ長を狭小化させる方向に電圧を印加し、中心波長を1.55μmに移動させた。また、このとき、スペクトルの半値幅は約1.52nmであった。
【0130】
ここでの透過光スペクトル半値幅の増大、及び中心波長のシフトは、スピロピラン223A〜223Hに紫外光が照射されたためにスピロラインからJ会合体が形成され、その結果としてスピロ化合物の屈折率が増大したためである。
【0131】
続いて、アクチュエータに印加していた電圧を解除し、キャビティ長を初期位置に戻した後、ペルチエ素子233に電流を流して、J会合体からスピロラインが再び形成されるに十分な時間、フィルタ部の温度を約120℃に保った。そして、再びフィルタによる透過光スペクトルを測定したところ、透過光スペクトルの中心波長位置、及びスペクトルの半値幅、共に、図21に示す初期状態に可逆的に戻った。
【0132】
以上のように、本発明の第三の実施の形態の分波器によれば、中心波長を維持したまま、透過光スペクトルの半値幅、即ち波長パスバンドを変化させることが可能である。ここでも、第一及び第二の実施の形態の分波器の場合と同様に、スピロピランに紫外光を照射する時間を制御することにより、スピロピランの屈折率を任意に、スケーラブルに変化させることが可能である。このことにより、波長パスバンドも約0.16nm〜約1.52nmの間で任意に、スケーラブルに設定可能となる。
【0133】
なお、光の照射により屈折率変化を示す材料としては、本実施の形態で用いたスピロ化合物に限定されるわけではなく、光の照射により屈折率変化を生じる他の材料も、所望の屈折率変化量を勘案した上で、適宜、選択されうる。
【0134】
なお、本実施の形態の場合も、前記第一及び第二の実施の形態の場合と同様に、アクチュエータの稼働により波長パスバンド中心波長λを独立にシフト可能なため、設計上の中心波長(今の場合、λ=1.55μm)で用いる場合よりも、スペクトルの半値幅が若干拡大化することを考慮した上で、他の中心波長で波長パスバンド変更可能な分波器として用いることも可能である。
【0135】
以上、波長フィルタがバルク型の場合について説明したが、同様な作用効果は、導波路型の波長フィルタの屈折率変調多層構造に、同様にして、光の照射により屈折率変化を示す材料を充填し、その材料の屈折率を変化させることによっても、得られる。また、ファイバ型の波長フィルタの屈折率変調多層構造の屈折率を、光により制御することによっても得られる。
【0136】
また、本実施の形態の分波器は、フィルタの波長パスバンド帯域内の波長光が除かれた多重光を改めて入力ポートに入力すると、その多重光は当然ながらフィルタによって全反射させられるので、その際にフィルタの出力ポートから逆に波長パスバンド帯域内の波長光を入力させると、フィルタによる反射光に出力ポートから入力した波長パスバンド内波長光が重畳される形となるため、合波器として用いることも可能である。この用途は、後述する光スイッチング装置としての実施の形態で有効となる。
【0137】
[第四の実施の形態]
本実施の形態の分波器の、構成及び動作の概略、構成要素ごとの働きは、全て前記第一〜第三の実施の形態のそれらに準ずる。本実施の形態では、前記第一〜第三の実施の形態で行ったミラーの反射率の変化を、温度変化によって、屈折率変化の生じる有機化合物を用いて本発明の分波器を構成した場合の、本発明の分波器の製造方法、及び動作について詳細に述べる。
【0138】
[製造方法の説明]
本実施の形態の分波器の製造方法を説明する。
【0139】
本実施の形態の分波器のフィルタ部、及びアクチュエータ部は、前記第二、及び第三の実施の形態の製造方法の説明の項で説明した、マイクロマシーニングによる作製プロセスで製作された。
【0140】
本実施の形態では、前記第二の実施の形態でのフィルタ部120に相当するフィルタのミラー部のSi層厚d、マイクロマシーニングプロセスにより形成した空隙長d、及び設定キャビティ長dcavは、以下の通りとした。
【0141】
=0.111μm
=0.291μm
cav=3.10μm
【0142】
長は、空隙部に充填する有機化合物分子であるシリコンオイルが約20℃時の屈折率1.33から約70℃時の屈折率1.5まで単調増加に変化することから、約20℃時の屈折率値1.33から、前記第一の実施の形態で説明した、(2)式によって決定した。また、光学フィルタ部のミラー部の、マイクロマシーニングプロセスにより形成した空隙数は、4とした。
【0143】
また、アクチュエータは、前記第二の実施の形態と同プロセスにより作製したため、ここでも電極2対の静電駆動型である。
【0144】
アクチュエータ部と共に、マイクロマシーニングによるプロセスで一括形成されたフィルタの空隙部に、シリコンオイルを毛管力により充填した。充填後のフィルタ部拡大上面図は、図19のスピロピランの位置に、シリコンオイルが充填された形となる。
【0145】
シリコンオイルが充填されたフィルタ部と、アクチュエータ部(一体化されている)を、図20と同様のパッケージに実装した。
【0146】
[動作の説明]
次に、本実施の形態の分波器の動作を具体的に説明する。
【0147】
本発明の実施の形態の分波器の光学特性評価系は、前記第一〜第三の実施の形態の動作の説明で用いた、図10に示す測定系をそのまま用いた。
【0148】
まず始めに、アクチュエータに電圧を印加せず、キャビティ長dcavを3.10μmに保ち、かつ、ペルチエ素子(図20の233)によりフィルタ部の温度を約20℃に保持したまま、透過光スペクトルを測定した。測定結果を図22に示す。
【0149】
図22(A)に示すとおり、透過光スペクトルは設計通り、中心波長λ=1.55μmにピークを持つ透過光スペクトルとなった。このとき、スペクトルの半値幅は約0.02nmであった。
【0150】
次に、ペルチエ素子(図20の233参照)に電流を流してフィルタ部の温度を約70℃に保ち、その状態でフィルタによる透過光スペクトルを測定した。測定結果を、図22(B)に合わせて示す。図22(B)に示すとおり、透過光スペクトルの中心波長は、λ=1.55μmと、温度約20℃の時と同様であった。また、このとき、スペクトルの半値幅は約0.04nmであった。
【0151】
ここでの透過光スペクトル半値幅の増大は、シリコンオイルの屈折率が温度の上昇により増加したためである。
【0152】
続いて、ペルチエ素子に流していた電流を減少させ、フィルタ部の温度を約20℃に戻した後、再びフィルタによる透過光スペクトルを測定したところ、透過光スペクトルの半値幅は、図22(C)に示す初期状態である0.02nmに可逆的に戻った。
【0153】
以上のように、本発明の第四の実施の形態の分波器によれば、中心波長を維持したまま、透過光スペクトルの半値幅、即ち波長パスバンドを変化させることが可能である。本実施の形態でも、前記第一〜第三の実施の形態の分波器の場合と同様に、シリコンオイルの温度を制御することにより、シリコンオイルの屈折率を任意に、スケーラブルに変化させることが可能である。このことにより、波長パスバンドも約0.02nm〜約1.04nmの間で任意に、スケーラブルに設定可能となる。
【0154】
なお、温度変化により屈折率変化を示す材料としては、本実施の形態で用いたシリコンオイルに限定されるわけではなく、温度変化により屈折率変化を生じる他の材料も、高分子材料などを中心に適宜、選択されうる。
【0155】
なお、本実施の形態の場合も、第一〜第三の実施の形態の場合と同様に、アクチュエータの稼働により波長パスバンド中心波長λを独立にシフト可能なため、設計上の中心波長(今の場合、λ=1.55μm)で用いる場合よりも、スペクトルの半値幅が若干拡大化することを考慮した上で、他の中心波長で波長パスバンド変更可能な分波器として用いることも可能である。
【0156】
以上、波長フィルタがバルク型の場合について説明したが、同様な効果は、導波路型の波長フィルタの屈折率変調多層構造と同様に温度変化により屈折率変化を示す材料を充填し、その材料の屈折率を変化させることによっても得られる。また、ファイバ型の波長フィルタの屈折率変調多層構造の屈折率を、温度により制御することによっても得られる。
【0157】
また、本実施の形態の分波器は、フィルタの波長パスバンド帯域内の波長光が除かれた多重光を改めて入力ポートに入力すると、その多重光は、当然ながらフィルタによって全反射させられるので、その際にフィルタの出力ポートから逆に波長パスバンド帯域内の波長光を入力させると、フィルタによる反射光に出力ポートから入力した波長パスバンド内波長光が重畳される形となるため、合波器として用いることも可能である。この用途は、後述する光スイッチング装置としての実施の形態で有効となる。
【0158】
[第五の実施の形態]
図23は、FBG(ファイバー・ブラッグ・グレーティング)構造を用いた本発明の分波器の第五の実施の形態の基本構成の断面を示す図である。
【0159】
Ge添加コアを持つ光ファイバ503に紫外線を照射し、屈折率分布グレーティング504を作製した。
【0160】
次に、温度可変機構505を、屈折率分布グレーティング504のまわりに配置した。また、別の温度可変機構506を、屈折率分布グレーティング504のまわりに配置した。温度可変機構505、506としては、セラミックス発熱体を用いた。セラミックス発熱体に電流を流すことによって、発熱させ、ファイバーブラッググレーティングの温度をコントロールすることができる。
【0161】
FBG構造を用いた本発明の分波器では、温度可変機構が複数あることによって、屈折率分布グレーティングに、複数の温度領域を設けることができ、この複数温度領域の温度差を制御することができる。これによって、図24(B)に示したような選択波形のバンド幅を制御することができる。
【0162】
また、複数温度設定の平均値を制御することができ、これによって図24(A)に示したような選択波形の中心波長を制御することができる。
【0163】
例えば、λ(1)〜λ(i)〜λ(j)〜λ(n)の波長多重光信号500がファイバー・ブラッグ・グレーティング503に入射したとき、温度可変機構505と506の温度差をゼロとし、λ(i)が反射する波長に制御した場合は、反射波501はλ(i)となり、透過波502はλ(1)〜λ(i−1)、λ(i+1)〜λ(n)となる。
【0164】
また、温度可変機構505と、温度可変機構506の温度差を発生させ、反射波501をλ(i−1)〜λ(i+1)となるように制御した場合は、透過波502はλ(1)〜λ(i−2)とλ(i+2)〜λ(n)となる。
【0165】
さらに、温度可変機構505と温度可変機構506の温度差を保ったまま、平均温度を制御し中心波長をλ(j)に変化させた場合は、反射波501はλ(j−1)〜λ(j+1)となり、透過波502λは(1)〜λ(j−2)とλ(j+2)〜λ(n)となる。
【0166】
以上のようにして、選択波長バンドのバンド幅と中心波長をチューニングすることができる。
【0167】
以上のような、反射光を選択光とし、その選択波長バンドのバンド幅と中心波長を制御するフィルタとして、同様な屈折率変調多層構造をバルク構造又は導波路構造に設け、その屈折率を、本実施の形態のように温度で制御することによっても、同様な効果が得られる。
【0168】
[第六の実施の形態]
図25は、FBG(ファイバーブラッググレーティング)構造を用いた第五の実施の形態とは別の、本発明の分波器の第六の実施の形態の基本構成の断面を示す図である。
【0169】
Ge添加コアを持つ光ファイバ603に紫外線を照射し、屈折率分布グレーティング604を作製した。次に、応力可変機構605を屈折率分布グレーティングのまわりに配置した。また、別の応力可変機構609および応力可変機構612を、屈折率分布グレーティング604のまわりに配置した。応力可変機構としては、チタン酸ジルコン酸鉛セラミックスを用い、接着剤を用いてはりつけた。応力可変機構605、609、612には、それぞれ電極606、607と、電極608、610と、電極611、613とが設けられており、これらの電極に電圧を印可することによってチタン酸ジルコン酸鉛セラミックスを伸縮させることができる。
【0170】
FBG構造を用いた本発明の分波器では、応力可変機構が複数あることによって、屈折率分布グレーティングに複数の応力領域を設けることができ、この複数応力領域の応力差を制御することができる。これによって、図24(B)に示したような選択波形のバンド幅を制御することができる。
【0171】
また、複数応力設定の平均値を制御することができ、これによって図24(A)に示したような選択波形の中心波長を制御することができる。
【0172】
例えば、λ(1)〜λ(i)〜λ(j)〜λ(k)〜λ(n)の波長多重光信号600がファイバーブラッググレーティング603に入射したとき、応力可変機構605、609、612の応力差をゼロとし、λ(i)が反射する波長に制御した場合は、反射波601はλ(i)となり、透過波602はλ(1)〜λ(i−1)とλ(i+1)〜λ(n)となる。
【0173】
また、応力可変機構605、609、612の応力差を発生させ、反射波601をλ(i−1)〜λ(i+1)となるように制御した場合は、透過波602はλ(1)〜λ(i−2)とλ(i+2)〜λ(n)となる。
【0174】
さらに、応力可変機構605、609、612の応力差を保ったまま、平均応力を制御し中心波長をλ(j)に変化させた場合は、反射波601はλ(j−1)〜λ(j+1)となり、透過波602λは(1)〜λ(j−2)とλ(j+2)〜λ(n)となる。
【0175】
以上のようにして、選択波長バンドのバンド幅と中心波長をチューニングすることができる。
【0176】
以上のような、反射光を選択光とし、その選択波長バンドのバンド幅と中心波長を制御するフィルタとして、同様な屈折率変調多層構造をバルク構造又は導波路構造に設け、その屈折率を本実施の形態のように応力によるミラー形状変化で制御することによっても、同様な効果が得られる。
【0177】
[第七の実施の形態]
図26及び図27は、本発明の分波器の第七の実施の形態の基本構成の断面を模式的に示す図である。図26に示すように、本実施の形態の分波器は、ファブリペロー・エタロン構造をとり、そのフィルタ部を、前記第二〜第四の実施の形態の製造方法と同様のマイクロマシーニングによるプロセスで作製した。即ち、半透過ミラー部701は、Si、低屈折率層の空隙部は、Air(空気)で構成される。
【0178】
また、本実施の形態では、半透過ミラー部の一部分700を移動させる機構702を設けた。この移動機構702は静電アクチュエータを用いた。これにより、半透過ミラー部の実質的な厚さを変化させることができる。
【0179】
また、半透過ミラー部701の一方には、キャビティギャップ間隔調整機構703を備えている。
【0180】
キャビティギャップ調整機構703には、ピエゾ素子を用いた。ピエゾ素子に印可する電圧を制御することによって、キャビティギャップ705の間隔を調整することができる。
【0181】
例えば、図26のように、λ(1)〜λ(i)〜λ(n)の波長多重光信号706が半透過ミラー部701に入射したとき、高屈折率層(Si)と低屈折率層(Air)の積層構造を通過し、λ(i)に対応したキャビティギャップ長に調整しておいた場合は、透過光708はλ(i)となり、反射光707は、λ(1)〜λ(i−1)とλ(i+1)〜λ(n)となる。
【0182】
また、図27に示すように、半透過ミラー部の一部分を移動させた場合は、図26の状態と比較して、半透過ミラー部膜厚が減少し、該半透過ミラー部が減少すると反射率が低下する。該反射率が低下するとバンド幅が増加する、という関係があるので、透過光708は、λ(i−1)〜λ(i+1)のようになる。このときの反射光707は、λ(1)〜λ(i−2)とλ(i+2)〜λ(n)となる。
【0183】
一方、キャビティギャップ間隔調整機構703によりキャビティギャップ長を調整することによって、透過波の中心波長を、バンド幅とは独立に制御することができる。
【0184】
以上のようにして、選択波長バンドのバンド幅と中心波長をチューニングすることができる。
【0185】
[第八の実施の形態]
図28は、本発明の第八の分波器の実施の形態の構成を示す図である。図28に示すように、第八の実施の形態の分波器は、それぞれ異なる中心波長に設計された分波器801〜805と、光スイッチ806を備えた分波モジュール807である。分波器801〜805は、波長パスバンド幅が可変である分波器で、本発明の第一〜第七の実施の形態の分波器のいずれを用いてもよい。分波モジュールへの入力波長多重光の波長λが、λ=1500nm〜λ16=1517nmまで、1nm間隔で17波長多重された光を分波する場合を例として以下に説明する。
【0186】
分波器801〜805の中心波長、及び可変波長パスバンド幅を、図29に示すように設定した。このように設定することにより、分波器801〜805は、最大でそれぞれ図30に示す波長パスバンドを賄うことが出来る。このため、例えば分波器801、802の波長パスバンドを変更させることにより、λ〜λの3波長は、分波器801、802のどちらからも出力可能となる。なお、入力波長多重光は、光スイッチ807により、任意の分波器に入力される。光スイッチ807は、入力波長多重光を分波器801〜805のうち、いずれか任意の分波器に入力変換可能な機構をもつものであればよい。
【0187】
かかる構成により、分波モジュール807全体としては、分波器801〜805を経由して出力される波長数を、分波器801〜805の波長パスバンド可変領域の範囲内で、任意に選択することが可能である。このことから、分波モジュール807は、定められた波長帯域内に波長多重された複数の光を分波する際、選択波長パスバンドの柔軟な選択が可能な分波器となる。
【0188】
さらに、分波器の波長パスバンド帯域と波長パスバンド中心波長を独立に制御可能である点を生かして、例えば図31に示すように、分波器801でλ〜λを賄い、分波器802でλを賄い、分波器803でλ〜λ11を賄い、分波器804でλ12〜λ15を賄い、分波器805でλ16、λ17を賄う、というように、さらに柔軟な選択波長構成が可能な分波モジュールとすることも可能である。
【0189】
本実施の形態の分波モジュールをトランスペアレントOXC装置に応用する場合、トランスペアレントOXC装置で要求される、賄うべき全波長帯域、及び波長チャネル間隔を考慮して、分波器の波長パスバンド可変領域、及び波長パスバンド中心波長の可変帯域を設計することにより、本実施の形態の分波モジュールの構成を用いて、柔軟で効率的なネットワーク運用が可能であるトランスペアレントOXCノード装置とすることが可能である。
【0190】
[第九の実施の形態]
図32は、本発明の第九の実施の形態の構成を示す図である。前記第八の実施の形態に記載と同様の原理による分波モジュールを用いて、図32に示すように、光スイッチング装置900を構成した。光スイッチング装置に入力する波長多重光は、波長間隔1nmで波長1500nmから波長1600nmまで101波多重された光とした。分波モジュール901は、10個の分波器と1つの光スイッチによる構成とし、10個の分波器全てを、波長パスバンド可変帯域1nm〜10nm、波長パスバンド中心波長可変帯域1500nm〜1600nmとした。波長バンドスイッチ902は、12×12のマトリクススイッチとした。また、波長バンドスイッチ902の出力ポートに、分波モジュール901と同一仕様の分波モジュールを合波モジュール903として、図32に示すように接続した。
【0191】
さらに、図32に示すように、波長バンドスイッチ902の10個の入力ポート及び出力ポートのうち、2ポートを波長レイヤと接続させる。波長レイヤは波長スイッチ(電気スイッチ904)と複数の光/電気変換器、及び電気/光変換器と2つの分波器、2つの合波器からなる。また、波長スイッチ(電気スイッチ904)にはクライアント装置905が接続される。
【0192】
以上のような構成の光スイッチング装置とすることにより、分波器901の波長パスバンド可変帯域1nm〜10nm、波長パスバンド中心波長可変帯域1500nm〜1600nmであるため、波長レイヤへ送出する波長、及び合波器903に送出する波長を、波長帯域1500nm〜1600nmに多重される101波の光の中から、波長パスバンド1nm〜10nmの範囲で、即ち1波〜10波の範囲で、任意数の波長を、波長帯域1500nm〜1600nm内の任意の波長パスバンド中心波長で選択可能である。
【0193】
以上のことにより、本実施の形態の光スイッチング装置900によれば、限られた波長バンド内の波長を複数の波長パスバンドに分割する際、複数のパスバンドの担うバンド及び波長パスバンド中心波長をスケーラブルに任意に設定可能なため、限られた波長バンドを波長レイヤ側の需要に応じて臨機応変に変更可能な、柔軟で効率的なネットワーク運用が可能な光スイッチング装置とすることが可能である。
【0194】
[第十の実施の形態]
前記第一〜七のいずれかの実施の形態の記載と同様の原理による分波器951、サーキュレータ952、カプラ953を用いて、図33に示すように、光スイッチング装置950を構成した。光スイッチング装置950に入力する波長多重光は、波長間隔1nmで波長1500nmから波長1600nmまで101波多重された光とした。分波器951の波長パスバンド可変帯域は1nm〜10nm、波長パスバンド中心波長可変帯域は1500nm〜1600nmとした。
【0195】
分波器951は、波長パスバンド可変帯域1nm〜10nm、波長パスバンド中心波長可変帯域1500nm〜1600nmであるため、分波器951による選択波長を、波長帯域1500nm〜1600nmに多重される101波の光の中から、波長パスバンド1nm〜10nmの範囲で、即ち1波〜10波の範囲で、任意数の波長を、波長帯域1500nm〜1600nm内の任意の波長パスバンド中心波長で選択可能である。今、選択波長をλ、λi+1の2波長(λ(=1500nm)≦λ、λi+1≦λ101(=1600nm))と仮定する。
【0196】
分波器951により反射された、選択光以外の残留光λ〜λi−1、λi+2≦λ101は、サーキュレータにより進路を変え、カプラ953方向へ出力される。また、選択された波長をλ、λi+1の2波長は、光スイッチング装置950のdropポートよりクライアント装置側に出力される。
【0197】
クライアント装置側から出力された、波長λ、λi+1の2波長(上記と異なる情報を載せている場合が多いが、異なる情報である必然性はない)は、光スイッチング装置950のaddポートを通し、カプラ953を介して、分波器951に反射された光λ〜λi−1、λi+2≦λ101に多重化され、光スイッチング装置950から出力される。なお、より望ましくは、クライアント装置〜カプラ953の間でなるべくカプラ953に近い箇所に、分波器951と同一仕様の分波器954を設け、カプラ953を介して多重化させる際に障害とならない程度に波長λ、λi+1の2波長スペクトル形状を成形してから、分波器951に反射された光λ〜λi−1、λi+2≦λ101と多重化させる。
【0198】
以上のような光スイッチング構成とすることにより、本実施の形態の光スイッチング装置950によれば、ドロップ(drop)させる波長パスバンド及び波長パスバンド中心波長をスケーラブルに任意に設定可能なため、限られた波長バンドをdropポートに連なるクライアント装置側の需要に応じて臨機応変に変更可能な、柔軟で効率的なネットワーク運用が可能な光スイッチング装置とすることが可能である。以上本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は、上記実施の形態の構成にのみ限定されるものでなく、特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう、各種変形、修正を含むことは勿論である。
【0199】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、選択波長として透過光又は反射光を用いる、屈折率変調多層構造からなる分波器の媒質屈折率制御を、液晶、電気光学効果を示す材料への電圧印加、光、温度、ミラーの形状変化、及び屈折率変調多層構造の層数変化により行うことで、選択波長のバンド幅を可変とすることができる。また、選択波長バンド幅中心波長を制御する機構をそれとは独立に設けることから、選択波長のバンド幅と選択波長バンド幅中心波長を独立に制御可能な分波器とすることができる。
【0200】
また、本発明に係る分波器を用いた光スイッチング装置によれば、分波器の波長パスバンド及び波長パスバンド中心波長を任意に制御可能であることから、需要に応じたパスバンド設定、パスバンド中心波長設定が可能な光スイッチング装置とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の分波器の構成を説明するための斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態の分波器の構成を説明するための斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施の形態の分波器を上面からみた図である。
【図4】本発明の第一の実施の形態の分波器の波長フィルタ部の構成を模式的に示す図である。
【図5】本発明の第一の実施の形態の分波器の波長フィルタ部の構成を模式的に示す図である。
【図6】本発明の第一の実施の形態の分波器の波長フィルタ部の構成を模式的に示す図である。
【図7】液晶分子構造の一例を示す図である。
【図8】本発明の第一の実施の形態の分波器の波長フィルタ部の構成を模式的に示す図である。
【図9】本発明の第一の実施の形態の分波器の実装時の構成を示す斜視図である。
【図10】本発明の第一の実施の形態の分波器の光学特性評価を説明するための図である。
【図11】(A)乃至(C)は、本発明の第一の実施の形態の分波器による光学スペクトルを示す図である。
【図12】(a)乃至(g)は、本発明の第二の実施の形態の分波器の作製プロセスを説明する工程断面図である。
【図13】(a)乃至(d)は、本発明の第二の実施の形態の分波器の作製プロセスを説明する工程断面図である。
【図14】本発明の第二の実施の形態の分波器の波長フィルタ部の構成を模式的に示す分解図である。
【図15】本発明の第二の実施の形態の分波器の波長フィルタ部の構成を模式的に示す図である。
【図16】本発明の第二の実施の形態の分波器の波長フィルタ部の構成を模式的に示す図である。
【図17】(A)乃至(C)は、本発明の第二の実施の形態の分波器による光学スペクトルを示す図である。
【図18】本発明の第三の実施の形態による分波器に採用するスピロ化合物分子構造と光及び温度による分子構造変化を説明するための図である。
【図19】本発明の第三の実施の形態の分波器の波長フィルタ部の構成を模式的に示す図である。
【図20】本発明の第三の実施の形態の分波器の構成を示す斜視図である。
【図21】(A)乃至(C)は、本発明の第三の実施の形態による分波器による光学スペクトルを示す図である。
【図22】(A)乃至(C)は、本発明の第四の実施の形態による分波器による光学スペクトルを示す図である。
【図23】本発明の第五の実施の形態の分波器の波長フィルタの概略断面構成を説明するための図である。
【図24】(A)は、本発明の第五、第六の実施の形態の分波器による中心波長シフト前後の透過波形を示す図であり、(B)は、第五、第六の実施の形態による分波器による波長パスバンド変更前後の透過波形を示す図である。
【図25】本発明の第六の実施の形態の分波器の波長フィルタの概略断面を示す図である。
【図26】本発明の第七の実施の形態の分波器の波長フィルタ可動半透過ミラー移動前を模式的に示す図である。
【図27】本発明の第七の実施の形態の分波器の波長フィルタ可動半透過ミラー移動後を模式的に示す図である。
【図28】本発明の第八の実施の形態の分波モジュールの構成を示す図である。
【図29】本発明の第八の実施の形態による分波モジュールを構成する各分波器の中心波長及び波長パスバンド幅を示す図である。
【図30】本発明の第八の実施の形態による分波モジュールを構成する各分波器の中心波長及び最大波長パスバンド幅を示す図である。
【図31】本発明の第八の実施の形態による分波モジュールを構成する各分波器の中心波長及び波長パスバンド幅を示す図である。
【図32】本発明の第九の実施の形態による光スイッチング装置の構成を模式的に示す図である。
【図33】本発明の第十の実施の形態による光スイッチング装置の構成を模式的に示す図である。
【図34】トランスペアレントOXC装置の構成を示す図である。
【図35】従来の分波器を説明するための図である。
【図36】従来の分波器を説明するための図である。
【図37】従来の分波器を説明するための図である。
【図38】従来の分波器を説明するための図である。
【図39】従来の分波器で実現不可能とされる分波方式を説明するための図である。
【符号の説明】
1 光学フィルタ部
2 アクチュエータ
3 光ファイバ
4 実装パッケージ
11 可動ミラー部
12 固定ミラー部
13A、13B、14A、14B、15A、15B、16A、16B、17A、17B、18A、18B、19A、19B、20A、20B 透明電極
21A、21B、21C、21D、21E、21F、21G、21H 液晶
30 構造材層
31 液晶
40 透明基板
41A Si
42A、42B 透明電極
43A SiO酸化層
41E Si
46、47 ミラー
48 アクチュエータ
48−1 実装パッケージ
49 光ファイバ
101 トランスペアレントOXC(Optical Cross Connect)装置
102 波長バンドスイッチ
103 波長スイッチ
104 分波器
110 LiNbO基板
111 Ti膜
112 レジスト
113 マスク
114 SiOバッファー膜
115 Al電極
120 光学フィルタ部
121 アクチュエータ
130 可動ミラー部
131 固定ミラー部
132A、132B、133A、133B、134A、134B、135A、135B、136A、136B、137A、137B、138A、138B、139A、139B、140A、140B、141A、141B Al電極
161 波長可変レーザ
162 光スペクトラムアナライザ
221 可動ミラー部
222 固定ミラー部
223A、223B、223C、223D、223E、223F、223G、223H スピロピラン
230 実装パッケージ
231 光ファイバ
232 フィルタ及びアクチュエータ(一括形成)
233 ペルチエ素子
500 波長多重入力光
501 反射光
502 透過光
503 光ファイバ(Ge添加コア)
504 屈折率分布グレーティング
505 温度可変機構
506 温度可変機構
510 透過波形(中心波長シフト前)
511 透過波形(中心波長シフト後)
512 透過波形(波長パスバンド変更前)
513 透過波形(波長パスバンド変更後)
600 波長多重光
601 反射光
602 透過光
603 光ファイバ(Ge添加コア)
604 屈折率分布グレーティング
605、609、612 応力可変機構
606、607、608、610、611、613 電極
700 可動半透過ミラー
701 半透過ミラー
702 可動半透過ミラー移動機構
703 キャビティギャップ間隔調整機構
705 キャビティギャップ
706 波長多重入力光
707 反射光
708 透過光
801、802、803、804、805 分波器
806 光スイッチ
807 分波モジュール
810 分波器801の最大波長パスバンド幅
811 分波器801の波長パスバンド中心波長
812 分波器802の最大波長パスバンド幅
813 分波器802の波長パスバンド中心波長
814 分波器803の最大波長パスバンド幅
815 分波器803の波長パスバンド中心波長
816 分波器804の最大波長パスバンド幅
817 分波器804の波長パスバンド中心波長
818 分波器805の最大波長パスバンド幅
819 分波器805の波長パスバンド中心波長
820 分波器801の波長パスバンド幅
821 分波器801の波長パスバンド中心波長
822 分波器802の波長パスバンド幅
823 分波器802の波長パスバンド中心波長
824 分波器803の波長パスバンド幅
825 分波器803の波長パスバンド中心波長
826 分波器804の波長パスバンド幅
827 分波器804の波長パスバンド中心波長
828 分波器805の波長パスバンド幅
829 分波器805の波長パスバンド中心波長
901 分波モジュール
902 波長バンドスイッチ
903 合波モジュール
904 波長スイッチ
905 クライアント装置
951 分波器
952 サーキュレータ
953 カプラ
954 分波器
1001 光学フィルタ部(屈折率変調制御機構含む)
1002 アクチュエータ
1003 光ファイバ
1004 実装パッケージ

Claims (32)

  1. 予め定められた波長帯域内に波長多重された複数の光を分波する分波器において、
    選択波長の波長バンド幅が可変とされてなる、ことを特徴とする分波器。
  2. 予め定められた波長帯域内に波長多重された複数の光を分波する分波器において、
    選択波長と選択波長の波長バンド幅とが、互いに独立に制御自在とされてなる、ことを特徴とする分波器。
  3. 前記分光器が、屈折率変調多層構造を有する、ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の分波器。
  4. 前記分波器の透過光が、前記選択波長として用いられる、ことを特徴とする、請求項3に記載の分波器。
  5. 前記分波器の反射光が、前記選択波長として用いられる、ことを特徴とする、請求項3に記載の分波器。
  6. 前記分波器が、バルク型である、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の分波器。
  7. 前記分波器が、ファイバ型である、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の分波器。
  8. 前記分波器が、導波路型である、ことを特徴とする請求項4又は5に記載の分波器。
  9. 前記分波器の媒質屈折率が、電気的に可変制御される、ことを特徴とする、請求項6又は8に記載の分波器。
  10. 前記屈折率変調多層構造として複数の液晶層を有し、前記分波器の媒質屈折率が、前記液晶へ印加する電圧により可変制御される、ことを特徴とする、請求項9に記載の分波器。
  11. 前記屈折率変調多層構造として、電気光学効果を示す材料の層を複数有し、前記分波器の媒質屈折率が、前記電気光学効果を示す材料へ印加する電圧により可変制御される、ことを特徴とする、請求項9に記載の分波器。
  12. 前記分波器の媒質屈折率が、光により制御される、ことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一に記載の分波器。
  13. 前記分波器の媒質屈折率を、温度によって可変制御する温度制御手段を備えている、ことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一に記載の分波器。
  14. 前記温度制御手段を複数備えている、ことを特徴とする、請求項13に記載の分波器。
  15. 前記分波器の屈折率変調多層構造のミラーの反射率を、前記屈折率変調多層構造のミラーの形状変化により制御する形状制御手段を有する、ことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一に記載の分波器。
  16. 前記形状制御手段を複数備えている、ことを特徴とする、請求項15に記載の分波器。
  17. 前記分波器の屈折率変調多層構造のミラーの反射率が、前記屈折率変調多層構造の層数を変化させることにより、制御される、ことを特徴とする、請求項6に記載の分波器。
  18. 請求項1〜17のいずれか一に記載の複数の前記分波器と、光スイッチを備えた、ことを特徴とする、分波モジュール。
  19. 請求項1〜17のいずれか一に記載の前記分波器を用いた光スイッチング装置。
  20. 請求項18に記載の前記分波モジュールを用いた光スイッチング装置。
  21. 前記屈折率変調多層構造として、光の照射により屈折率が変化する材料の層を複数有する、請求項12に記載の分波器。
  22. 波長多重された光信号を入力して分波して出力する波長フィルタ部が、
    光路上に配置される第1のミラー部及び第2のミラー部と、
    前記第1のミラー部及び前記第2のミラー部の間のキャビティ長を可変させる手段と、
    を備え、
    前記第1のミラー部及び前記第2のミラー部は、屈折率が可変に制御される膜構造を複数層備えて構成される屈折率変調多層構造をそれぞれ具備し、
    前記第1のミラー部及び前記第2のミラー部全体の反射率を変化させることにより、前記波長フィルタを透過する波長パスバンドを変化させ、前記第1のミラー部に入射する波長多重された入射信号光のうち、前記第2のミラー部から出射される透過出力信号光のパスバンドを変化させる、構成とされてなる、ことを特徴とする分波器。
  23. 前記第1のミラー部及び前記第2のミラー部は、前記屈折率変調多層構造として、それぞれのミラー部の構造材に設けられた空孔に充填された液晶と前記液晶を間に挟んで対向配置される透明電極対を、複数段備え、前記対向電極に印加する電圧を可変させて前記液晶の屈折率を可変される、ことを特徴とする請求項22に記載の分波器。
  24. 前記第1のミラー部と前記第2のミラー部のミラー間のキャビティ長を可変させることにより、波長パスバンドの中心波長を、前記屈折率変調多層構造とは独立に、シフト自在としている、ことを特徴とする請求項22に記載の分波器。
  25. 前記第1のミラー部及び前記第2のミラー部は、それぞれ、
    電気光学効果を示す強誘電体基板表面に金属を拡散してなる導波路と、
    前記導波路を間に挟んで両側の基板上に設けられた電極と、を備えてなる強誘電体導光波路を複数段備え、
    前記電極に印加する電圧を可変させて導波路部の屈折率を可変される、ことを特徴とする請求項22に記載の分波器。
  26. 前記第1のミラー部及び前記第2のミラー部は、それぞれ、前記屈折率変調多層構造として、ミラーの構造材の空孔に、光の照射によって屈折率の変化の生じる有機化合物分子会合体が充填されてなる構成を有する、ことを特徴とする請求項22に記載の分波器。
  27. 前記屈折率変調多層構造の温度を可変制御する手段を備えていることを特徴とする請求項26に記載の分波器。
  28. 前記第1のミラー部及び前記第2のミラー部は、それぞれ、前記屈折率変調多層構造として、ミラーの構造材の空孔に、温度によって屈折率が変化する有機化合物分子が充填されてなる構成を有し、
    温度を可変制御して前記屈折率変調多層構造の屈折率を可変させる手段を備えている、ことを特徴とする請求項22に記載の分波器。
  29. 波長多重された光信号を入力して分波して出力する波長フィルタ部が、
    屈折率分布グレーティング(回折格子)を備えた光ファイバーを備え、前記光ファイバーの一端から波長多重入力光が入力され、他端から透過光が出力され、
    反射光を選択波長とし、
    前記屈折率分布グレーティングのまわりに、温度を可変させる温度可変手段を複数備え、
    前記複数の温度可変手段による温度調整により、前記選択波長バンドのバンド幅と中心波長をチューニングする構成とされてなる、ことを特徴とする分波器。
  30. 波長多重された光信号を入力して分波して出力する波長フィルタ部が、
    屈折率分布グレーティング(回折格子)を備えた光ファイバーを備え、前記光ファイバーの一端から波長多重入力光が入力され、他端から透過光が出力され、
    反射光を選択波長とし、
    前記屈折率分布グレーティングのまわりに、応力を可変させる応力可変手段を複数備え、
    前記複数の応力可変手段による前記屈折率分布グレーティングに対する応力の調整により、前記選択波長バンドのバンド幅と中心波長をチューニングする構成とされてなる、ことを特徴とする分波器。
  31. 高屈折率層と低屈折率層との積層構造からなる第1の半透過ミラー部と、
    高屈折率層と低屈折率層との積層構造からなる第2の半透過ミラー部と、
    前記第1の半透過ミラー部の少なくとも1部の半透過ミラーを光路方向に移動させ、前記第1の半透過ミラー部の実質的な厚さを変化させる手段と、
    前記第2の半透過ミラー部の少なくとも1部の半透過ミラーを光路方向に移動させ、前記第2の半透過ミラー部の実質的な厚さを変化させる手段と、
    を備え、
    前記第1の半透過ミラー部と前記第2の半透過ミラー部との間のキャビティギャップ長を調整する手段を備え、
    波長多重光信号が入射したとき、前記半透過ミラー部の膜厚を制御し、前記半透過ミラー部の反射率を変化させ、選択波長バンドのバンド幅を制御し、
    前記キャビティギャップ長を調整する手段によりキャビティギャップ長を調整することによって、透過波の中心波長を、バンド幅とは独立に制御する、ことを特徴とする分波器。
  32. 前記高屈折率層が半透過ミラー、前記低屈折率層が前記半透過ミラーの空隙の空気からなる、ことを特徴とする請求項31に記載の分波器。
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