【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スチレン系重合体組成物に関するものであり、詳しくは、外観が良好で、耐衝撃性、強度、寸法精度、成形性などに優れているだけでなく、とくに、耐薬品性、リサイクル性に優れたスチレン系重合体組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、家電製品、OA製品、住宅設備用等の外形材料として、安価なポリスチレン樹脂、ABS樹脂原料が広く利用されている。しかし、これらの原料は、非結晶性樹脂であり、界面活性剤や溶剤等を含有する業務用または一般用洗浄剤や化粧品などで、拭き取り掃除などを行なったり、前記原料を含有する化粧品や油などがかかったりすることより、クレーズもしくは、クラックが発生し、成形品自体に割れが生じることがあった。この問題を解決するため、前記原料とアクリロニトリル、メタクリレート、アクリレート、無水マレイン酸、マレイミド等の極性モノマーとを共重合することが検討されてきた。しかし、これら共重合体は、生産性が低いこと、色調がわるいこと、臭気が残ること、他のポリスチレン系樹脂との混合リサイクルが困難、焼却時にシアンガスが発生するといった問題があった。
【0003】
一方、ポリスチレン系樹脂を含めた熱可塑性樹脂の耐熱性改良を目的として、耐熱性が高く、電気部品やフィルム等での用途開発が進んでいる結晶性を有するシンジオタクティックポリスチレン系樹脂を、他の樹脂成分に配合する例が開示されている(たとえば、特許文献1〜3参照)。しかしながら、通常のシンジオタクティックポリスチレン系樹脂を配合した場合、得られる成形品は、耐熱性、外観、耐衝撃性、耐薬品性、耐洗剤性等が向上するものの、リサイクル性については充分満足できるものではなかった。
【0004】
また、成形温度が通常のスチレン系樹脂組成物では200〜220℃であるのに比べて、結晶性のシンジオタクティックポリスチレン系樹脂を配合することにより、成形温度を250℃以上にする必要がある。成形温度を約30〜50℃に上げることにより、成形時間がかかり、コスト高につながる。また、リサイクル性の面では、通常のスチレン系樹脂組成物が非晶性に対して、結晶性スチレン樹脂を添加することで、異種樹脂が混入することになる。結晶性樹脂の融点以下の成形温度で成形した場合、異物が混入したと同じになって、各物性値の低下を招く。とくに、耐薬品性については、顕著な低下がみられる。このようなケースは、リサイクル時に起こり得ることであり、非晶性スチレン系樹脂と結晶性スチレン系樹脂とでは、比重等の物性値が同じであるために、分別が大変困難であると考えられる。また、分別せずに、リサイクルポリスチレン系樹脂組成物として、使用する場合、成形温度が問題となる。通常のポリスチレン系樹脂組成物の成形温度200〜220℃で成形した場合、結晶性のシンジオタクティックポリスチレン系樹脂の融点を下回るため、溶融しきれずに異物となるために、物性値の低下が起こる。結晶性のシンジオタクティックポリスチレン系樹脂の成形温度250℃以上で成形した場合、通常のポリスチレン系樹脂に対する熱的ダメージが大きく、熱劣化を起こしてしまうのである。
【0005】
ポリスチレン系樹脂組成物に、ポリフェニレンエーテルのような異種樹脂を配合した場合も、同様にリサイクル性に問題があると考えられる。たとえば、ポリスチレン系樹脂/ポリフェニレンエーテル樹脂混合組成物の場合、ポリスチレン系樹脂50重量%とポリフェニレンエーテル樹脂50重量%のようにある一定量の配合比で、物性値をコントロールしているために、リサイクル時に、別の配合比の組成物もしくは、ポリスチレン系樹脂組成物単独が混入した場合、そのリサイクル材の物性値のコントロールは難しいと考えられる。リサイクルに適した材料は、分別コストを考えると、単一樹脂であることが望ましい。
【0006】
ポリスチレン系樹脂組成物にシリコーンオイルを添加する例がこれまでに数多く存在し、その添加の目的は、難燃性、金型からの離型性、摺動性、耐磨耗性を高めるものであった。難燃性向上を目的にシリコーンオイルを添加した例としては、結晶性ポリスチレンと熱可塑性樹脂およびゴム状弾性体に、25℃における粘度が90〜50000cStで、ポリジメチルシリコーンオイルを0.01〜0.5重量%含有することが開示されている(たとえば、特許文献4参照)。しかし、シリコーンオイルの粘度範囲は広いが、添加量が少ないことから、耐薬品性の効果が得られにくい。また、耐磨耗性向上を目的にシリコーンオイルを添加した例としては、耐衝撃性ポリスチレンに、23℃における粘度が10000〜30000cStで、ポリジメチルシリコーンオイルを1.3〜3.0重量%含有することが開示されている(たとえば、特許文献5参照)。しかし、シリコーンオイルの粘度範囲が狭すぎて、耐薬品性効果を目的に添加されたとは考えにくい。よって、前記の特許文献4〜5からは、シリコーンオイル添加が耐薬品性向上を目的にしているとは考えにくく、シリコーンオイル添加による耐薬品性向上が証明されていない。
【0007】
【特許文献1】
特開昭62−257950号公報(1頁、右欄、11〜14行)
【特許文献2】
特開平01−182344号公報(1頁、右欄19行〜2頁左上欄4行)
【特許文献3】
特開2001−288328号公報(2頁、段落番号[0004])
【特許文献4】
特開2000−265021号公報(段落番号[0009])
【特許文献5】
特開平10−87930号公報(段落番号[0005])
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
スチレン系重合体組成物に関し、外観が良好で、耐衝撃性、強度、寸法精度、成形性などに優れているだけでなく、とくに、耐薬品性、リサイクル性に優れた組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第1のスチレン系重合体組成物は、ゴム変性スチレン系重合体90〜99.99重量%、および溶解度パラメーター(SP)値が4.9〜5.1〔(cal/cm3)0.5〕の範囲にあり、25℃における粘度が、40000〜1000000cStであるシリコーンオイル0.01〜10重量%を含有するスチレン系重合体組成物である。
【0010】
本発明の第2のスチレン系重合体組成物は、ゴム変性スチレン系重合体40〜94.99重量%、融点が250℃以下であるシンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体5〜50重量%、および溶解度パラメーター(SP)値が4.9〜5.1〔(cal/cm3)0.5〕の範囲にあり、25℃における粘度が、40000〜1000000cStであるシリコーンオイル0.01〜10重量%を含有するスチレン系重合体組成物である。
【0011】
本発明の第1のスチレン系重合体成形品は、第1または第2のスチレン系重合体組成物において、射出速度が5〜75cm3/秒、射出ノズル部における射出温度が200〜220℃、前記射出ノズル部における射出圧力が0〜50MPaの成形条件でスチレン系重合体組成物を射出成形した成形品である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、ゴム変性スチレン系重合体90〜99.99重量%、および溶解度パラメーター(SP)値が4.9〜5.1〔(cal/cm3)0.5〕の範囲にあり、25℃における粘度が、40000〜1000000cStであるシリコーンオイル0.01〜10重量%を含有するスチレン系重合体組成物に関する。
【0013】
また、本発明は、ゴム変性スチレン系重合体40〜94.99重量%、融点が250℃以下であるシンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体5〜50重量%、および溶解度パラメーター(SP)値が4.9〜5.1〔(cal/cm3)0.5〕の範囲にあり、25℃における粘度が、40000〜1000000cStであるシリコーンオイル0.01〜10重量%を含有するスチレン系重合体組成物に関する。
【0014】
前記ゴム変性スチレン系重合体としては、ゴム状物質をスチレン系モノマーに溶解し、塊状または塊状懸濁重合法などにより製造されるものを用いることができる。ゴム状物質としては、ポリブタジエン(PBD)、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレンまたは非共役ジエン共重合体(EPDM)等が用いられる。前記ゴム状物質は、通常平均粒子径0.1〜5.0μmの大きさで粒子状にポリスチレン系樹脂中に分散している。
【0015】
前記スチレン系重合体は、そのスチレン単位の一部をα−メチルスチレン単位、p−メチルスチレン単位、p−t−ブチルスチレン単位等で置換したものであってもよい。好ましくはハイインパクトポリスチレン、ミドルインパクトポリスチレンである。
【0016】
ゴム変性スチレン系重合体の分子量についてはとくに制限はないが、一般的に、重量平均分子量が10000以上、好ましくは50000以上である。ここで、重量平均分子量が10000未満のものでは、得られる成形品の熱的性質、機械的性質が低下し好ましくない傾向がある。さらに、分子量分布についても制限はなく、さまざまな分子量分布のものを利用することができる。前記ゴム変性スチレン系重合体の含有割合は、スチレン系重合体組成物中に90〜99.99重量%であり、好ましくは95〜99重量%である。ゴム変性スチレン系重合体の含有割合が99.99重量%をこえると、耐薬品性に改善が見られず、90重量%未満では成形品自体の剛性と機械的特性が低下する。
【0017】
融点が250℃以下であるシンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体(SPS)において、シンジオタクティック構造とは、立体化学構造がシンジオタクティック構造、すなわち、炭素−炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR)により定量される。
【0018】
本発明で使用するシンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体(SPS)は、融点200〜310℃が好ましく、融点250℃以下のものを使用することがより好ましい。シンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体(SPS)の融点が250℃をこえると、アタクティック構造のスチレン系重合体が熱劣化する傾向がある。
【0019】
融点が250℃以下の前記スチレン系重合体であればとくに制限はないが、たとえば、シンジオタクティック構造を有するスチレンと置換スチレンの共重合体、低シンジオタクティシティーのスチレン重合体等が用いられる。また、シンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体(SPS)は、予めゴム成分、添加剤を配合したものを用いてもよい。ゴム成分としては、ポリブタジエン(PBD)等のジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体(PBD)、エチレン−α−オレフィン共重合体等があげられる。これらは一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。シンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体(SPS)の分子量についてはとくに制限はないが、重量平均分子量が10000以上、好ましくは50000以上である。重量平均分子量が10000未満では、得られる成形品の熱的性質、機械的性質が低下し好ましくない傾向がある。さらに、分子量分布についても制限はなく、さまざまなものを利用することが可能である。
【0020】
本発明の第2のスチレン系重合体組成物では、ゴム変性スチレン系重合体の含有割合は、スチレン系重合体組成物中に40〜94.99重量%である。また、融点が250℃以下であるシンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体の含有割合は、スチレン系重合体組成物中に5〜50重量%である。含有割合が5重量%未満では耐薬品性に改善が見られず、50重量%をこえるとコスト的に不利になる。
【0021】
溶解度パラメーター(Solubility Parameter:SP値、溶解パラメーター、溶解性パラメーターともいう。(以下、SP値という))とは、各溶剤間での相溶性を判断するパラメーターであり、一般的に、その値が近いほど、相溶性が高いとされている。ちなみに、ゴム変性スチレン系重合体のSP値は、約9.1〔(cal/cm3)0.5〕であり、環境薬品に含まれる一般的な界面活性剤や油成分等のSP値は、6.0〜12.0〔(cal/cm3)0.5〕である。これは、ゴム変性スチレン系重合体が、環境薬品に対して相溶性が高いことを示しており、このことからも、ゴム変性スチレン系重合体が耐薬品性に課題があることがわかる。よって、ゴム変性スチレン系重合体の耐薬品性を高めるためには、前記環境薬品と相溶性の低い化合物を含有することで、耐薬品性が向上することが考えられる。
【0022】
SP値が4.9〜5.1〔(cal/cm3)0.5〕の範囲にあるシリコーンオイルは、環境薬品に含まれる一般的な界面活性剤や油成分等のSP値6.0〜12.0〔(cal/cm3)0.5〕に比べて相溶性が低い。したがって、前記シリコーンオイルをゴム変性スチレン系重合体に含有させることにより、前記環境薬品がゴム変性スチレン系重合体に対して浸透・拡散することを防止する効果が得られる。また、シリコーンオイルは、極性溶媒に溶けにくいことや酸・アルカリ溶媒に溶けにくい性質をもっているために、前記溶媒がゴム変性スチレン系重合体に対して浸透・拡散することを防止する効果が得られる。
【0023】
前記シリコーンオイルのSP値は4.9〜5.1〔(cal/cm3)0.5〕である。ここで、SP値は、蒸発エネルギー法により求めた値である。
【0024】
前記シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシリコーンオイル、ポリメチルフェニルシリコーンオイル、ポリメチルハイドロジェンシリコーンオイルがあげられる。
【0025】
前記シリコーンオイルの含有割合は、スチレン系重合体組成物中に0.01〜10重量%である。シリコーンオイルの含有割合が0.01重量%未満では、耐薬品性に改善が見られず、10重量%をこえると、成形品自体の剛性と機械的特性が低下する。また、シリコーンオイルの粘度は、25℃における粘度が、40000〜1000000cStである。好ましくは50000〜500000である。シリコーンオイルの粘度が40000cSt未満では、耐薬品性に改善が見られない。ここで、シリコーンオイルの粘度は、毛管粘度計により測定した値である。また、シリコーンオイルの重量平均分子量は、85780〜165256が好ましい。シリコーンオイルの場合、粘度と分子量(重合度)に相関がある(Barryの式)。
【0026】
本発明のスチレン系重合体組成物においては、本発明の目的を阻害しない限り、さらに、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、染料、顔料、帯電防止剤等の添加剤を含有することができる。なお、これらのそれぞれについてはその一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリアミドオリゴマー、エチレンビスステアロアマイド、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、ポリスチレンオリゴマー、ポリエチレンワックス、ミネラルオイル等の公知のものから任意に選択して用いることができる。離型剤としては、ポリエチレンワックス、長鎖カルボン酸、長鎖カルボン酸金属塩等公知のものから任意に選択して用いることができる。酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス−[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−シ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のフェノール系、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート等のイオウ系等の公知のものから任意に選択して用いることができる。難燃剤としては、臭素化ポリスチレン、臭素化シンジオタクティックポリスチレン等の臭素化ポリマー、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリス−3−クロロプロピルホスフェート等のリン系難燃剤等の公知のものから任意に選択して用いることができる。難燃助剤としては、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、その他のものから任意に選択して用いることができる。ここで、可塑剤や離型剤等では、公知として、シリコーンオイルが使用されていることがあるが、可塑剤や離型剤等の含有量からは耐薬品性効果を見込めるものではないと考えられる。しかし、本発明では、シリコーンオイルを可塑剤や離型剤を添加する量より、充分に含有しているために、とくに、可塑剤や離型剤を加える必要はない。
【0027】
本発明にかかわるスチレン系重合体組成物からなる成形品の製造方法について、射出成形で行なう場合、射出速度以外はとくに制限はなく、公知の成形方法により成形することができる。射出速度については、5〜75cm3/秒にすることが好ましく、20〜50cm3/秒がより好ましい。射出速度が75cm3/秒をこえると射出速度が75cm3/秒以下で成形された成形品に比べて、耐薬品性が劣り、射出速度が5cm3/秒未満では、充分に成形できない傾向がある。また、成形時の射出圧力は、0〜50MPaにすることが好ましく、0〜20MPaがより好ましい。樹脂温度(射出温度)は、200〜220℃が好ましい。樹脂温度(射出温度)が200℃未満では、ポリスチレン樹脂の溶解が充分でなく、220℃をこえると、ポリスチレン樹脂の熱劣化を促進や成形サイクルの悪化が起こる傾向がある。また、成形時の金型温度は、30〜80℃が好ましい。30℃未満では成形品の表面外観が劣り、80℃をこえると生産性が低下する傾向がある。
【0028】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例および比較例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
本発明の実施例および比較例の本発明における耐薬品性評価については、以下の方法を用いて行なった。
【0030】
〔耐薬品性評価方法〕
環境薬品
(1)サラダ油(日清製油(株)製) SP値:8.5〔(cal/cm3)0.5〕
(2)マジックリン(花王(株)製) SP値:9.0〔(cal/cm3)0.5〕
(3)エアコン洗浄スプレー(小林製薬(株)製) SP値12.0〔(cal/cm3)0.5〕
【0031】
短冊試験片を80℃、4時間アニーリング後、0.3、0.5、1.0%のひずみをかけ、その上に前記(1)、(2)または(3)の環境薬品を染み込ませたガーゼを置き、室温で72時間放置したのち観察し、まったく変化のないものを○、表面にクレーズが発生したものを×として評価した。
【0032】
〔用いた原料〕
(1)ゴム変性スチレン系重合体
HIPS(ハイインパクトポリスチレン)
重量平均分子量が50000のゴム変性スチレン系重合体であるハイインパクトポリスチレンを作製した。得られたゴム変性スチレン系重合体であるハイインパクトポリスチレンは、アタクティック構造を有し、ハイインパクトポリスチレン中のゴム状物質の平均粒子径は5.0μmであった。
(2)シリコーンオイルシリコーンオイルとして、ポリジメチルシリコーンオイルを用いた。また、粘度は、25度におけるシリコーンオイルの粘度が、100cStまたは50000cStのものを用いた。なお、シリコーンオイルのSP値は5.1〔(cal/cm3)0.5〕であり、シリコーンオイルの重量平均分子量は90442である。
(3)シンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体
重量平均分子量Mw=300000、Mw/Mn=2.5、融点250℃のシンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体を用いた。
【0033】
重量平均分子量および分子量分布は、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶媒にして、130℃でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にて測定した。融点は、示差熱分析(DSC)により、昇温速度20℃/分でのピーク位置より決定した。なお、シンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体(SPS)は、公知の方法にて製造したものである。
【0034】
実施例1
ハイインパクトポリスチレン99.98重量%に、25℃における粘度が、50000cStのシリコーンオイル0.02重量%を混ぜ込み、樹脂温度(成形温度)220℃、金型温度60℃、射出速度75cm3/秒、射出圧力20MPaで射出成形を行なって、短冊試験片を成形した。得られた試験片を用いて、耐薬品性評価を行なった。それらの結果を表1および2に示す。
【0035】
実施例2
ハイインパクトポリスチレン95重量%に、25℃における粘度が、50000cStのシリコーンオイル5重量%を混ぜ込み、樹脂温度(成形温度)220℃、金型温度60℃、射出速度75cm3/秒、射出圧力20MPaで射出成形を行なって、短冊試験片を成形した。得られた試験片を用いて、耐薬品性評価を行なった。それらの結果を表1および2に示す。
【0036】
実施例3
アタクティック構造を有するハイインパクトポリスチレン89.98重量%と、シンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体10重量%とをドライブレンドし、25℃における粘度が、50000cStのシリコーンオイル0.02重量%を混ぜ込み、樹脂温度(成形温度)220℃、金型温度60℃、射出速度75cm3/秒、射出圧力20MPaで射出成形を行なって、短冊試験片を成形した。得られた試験片を用いて、耐薬品性評価を行なった。それらの結果を表1および2に示す
【0037】
実施例4
アタクティック構造を有するハイインパクトポリスチレン85重量%と、シンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体10重量%とをドライブレンドし、25℃における粘度が、50000cStのシリコーンオイル5重量%を混ぜ込み、樹脂温度(成形温度)220℃、金型温度60℃、射出速度75cm3/秒、射出圧力20MPaで射出成形を行なって、短冊試験片を成形した。得られた試験片を用いて、耐薬品性評価を行なった。それらの結果を表1および2に示す。
【0038】
実施例5
ハイインパクトポリスチレン99.98重量%に、25℃における粘度が、50000cStのシリコーンオイル0.02重量%を混ぜ込み、樹脂温度(成形温度)220℃、金型温度60℃、射出速度20cm3/秒、射出圧力20MPaで射出成形を行なって、短冊試験片を成形した。得られた試験片を用いて、耐薬品性評価を行なった。それらの結果を表1および2に示す。
【0039】
実施例6
ハイインパクトポリスチレン95重量%に、25℃における粘度が、50000cStのシリコーンオイル5重量%を混ぜ込み、樹脂温度(成形温度)220℃、金型温度60℃、射出速度20cm3/秒、射出圧力20MPaで射出成形を行なって、短冊試験片を成形した。得られた試験片を用いて、耐薬品性評価を行なった。それらの結果を表1および2に示す。
【0040】
比較例1
ハイインパクトポリスチレン100重量%を、樹脂温度(成形温度)220℃、金型温度60℃、射出速度75cm3/秒、射出圧力20MPaで射出成形を行なって、短冊試験片を成形した。得られた試験片を用いて、耐薬品性評価を行なった。それらの結果を表1および2に示す。
【0041】
比較例2
アタクティック構造を有するハイインパクトポリスチレン90重量%と、シンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体10重量%とをドライブレンドし、樹脂温度(成形温度)220℃、金型温度60℃、射出速度75cm3/秒、射出圧力20MPaで射出成形を行なって、短冊試験片を成形した。得られた試験片を用いて、耐薬品性評価を行なった。それらの結果を表1および2に示す。
【0042】
比較例3
アタクティック構造を有するハイインパクトポリスチレン90重量%と、シンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体10重量%とをドライブレンドし、樹脂温度(成形温度)250℃、金型温度60℃、射出速度75cm3/秒、射出圧力20MPaで射出成形を行なって、短冊試験片を成形した。得られた試験片を用いて、耐薬品性評価を行なった。それらの結果を表1および2に示す。
【0043】
比較例4
ハイインパクトポリスチレン99.98重量%に、25℃における粘度が、100cStのシリコーンオイル0.02重量%を混ぜ込み、樹脂温度(成形温度)220℃、金型温度60℃、射出速度75cm3/秒、射出圧力20MPaで射出成形を行なって、短冊試験片を成形した。得られた試験片を用いて、耐薬品性評価を行なった。それらの結果を表1および2に示す。
【0044】
比較例5
ハイインパクトポリスチレン95重量%に、25℃における粘度が、100cStのシリコーンオイル5重量%を混ぜ込み、樹脂温度(成形温度)220℃、金型温度60℃、射出速度75cm3/秒、射出圧力20MPaで射出成形を行なって、短冊試験片を成形した。得られた試験片を用いて、耐薬品性評価を行なった。それらの結果を表1および2に示す。
【0045】
表2に示したように、実施例1〜6の成形品は、比較例1〜5の成形品に比べて、耐薬品性が優れていた。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明の第1のスチレン系重合体組成物によれば、ゴム変性スチレン系重合体90〜99.99重量%、および溶解度パラメーター(SP)値が4.9〜5.1〔(cal/cm3)0.5〕の範囲にあり、25℃における粘度が、40000〜1000000cStであるシリコーンオイル0.01〜10重量%を含有するスチレン系重合体組成物であるので、外観が良好で、耐薬品性、耐衝撃性、強度、寸法精度、成形性、リサイクル性などに優れており、とくに、耐薬品性について、サラダ油や洗浄剤等の環境薬品に対して、クレーズを発生させない組成物が得られる効果がある。
【0049】
本発明の第2のスチレン系重合体組成物によれば、ゴム変性スチレン系重合体40〜94.99重量%、融点が250℃以下であるシンジオタクティック構造を有するスチレン系重合体5〜50重量%、および溶解度パラメーター(SP)値が4.9〜5.1〔(cal/cm3)0.5〕の範囲にあり、25℃における粘度が、40000〜1000000cStであるシリコーンオイル0.01〜10重量%を含有するスチレン系重合体組成物であるので、外観が良好で、耐薬品性、耐衝撃性、強度、寸法精度、成形性、リサイクル性などに優れており、とくに、耐薬品性について、サラダ油や洗浄剤等の環境薬品に対して、クレーズを発生させない組成物が得られる効果がある。
【0050】
本発明の第1のスチレン系重合体成形品によれば、第1または第2のスチレン系重合体組成物において、射出速度が5〜75cm3/秒、射出ノズル部における射出温度が200〜220℃、前記射出ノズル部における射出圧力が0〜50MPaの成形条件でスチレン系重合体組成物を射出成形した成形品であるので、射出速度75cm3/秒を越える条件で成形した成形品より、サラダ油や洗浄剤等の環境薬品に対する耐薬品性が高まるという効果がある。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a styrenic polymer composition, and in particular, not only has good appearance, excellent impact resistance, strength, dimensional accuracy, moldability, etc., but also has particularly high chemical resistance, The present invention relates to a styrene polymer composition having excellent properties.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, inexpensive polystyrene resins and ABS resin raw materials have been widely used as external materials for home electric appliances, OA products, housing equipment, and the like. However, these raw materials are non-crystalline resins, and may be wiped and cleaned with commercial or general-use detergents or cosmetics containing surfactants and solvents, or cosmetics and oils containing the raw materials. In some cases, crazes or cracks occur, and the molded product itself cracks. In order to solve this problem, it has been studied to copolymerize the raw material with a polar monomer such as acrylonitrile, methacrylate, acrylate, maleic anhydride, and maleimide. However, these copolymers had problems such as low productivity, poor color tone, odor, difficulty in mixing and recycling with other polystyrene resins, and generation of cyan gas during incineration.
[0003]
On the other hand, for the purpose of improving the heat resistance of thermoplastic resins including polystyrene resins, syndiotactic polystyrene resins with high heat resistance and crystallinity that are being developed for use in electrical parts and films, etc. (For example, see Patent Documents 1 to 3). However, when a normal syndiotactic polystyrene resin is blended, the resulting molded product has improved heat resistance, appearance, impact resistance, chemical resistance, detergent resistance, etc., but is sufficiently satisfactory in recyclability. It was not something.
[0004]
In addition, the molding temperature is required to be 250 ° C. or higher by blending a crystalline syndiotactic polystyrene-based resin, as compared with a normal styrene-based resin composition having a molding temperature of 200 to 220 ° C. . Increasing the molding temperature to about 30 to 50 ° C. takes longer molding time and leads to higher costs. In addition, in terms of recyclability, by adding a crystalline styrene resin to a normal styrene-based resin composition in an amorphous state, a different resin is mixed. When the molding is performed at a molding temperature equal to or lower than the melting point of the crystalline resin, it becomes the same as that in which the foreign matter is mixed, and the physical property values are reduced. In particular, there is a marked decrease in chemical resistance. Such a case can occur at the time of recycling, and the amorphous styrene-based resin and the crystalline styrene-based resin are considered to be very difficult to separate because the physical property values such as specific gravity are the same. . In addition, when used as a recycled polystyrene resin composition without separation, the molding temperature becomes a problem. When molded at a molding temperature of 200 to 220 ° C. of a normal polystyrene resin composition, the melting point of the resin is lower than the melting point of the crystalline syndiotactic polystyrene resin. . If the crystalline syndiotactic polystyrene resin is molded at a molding temperature of 250 ° C. or higher, the thermal damage to the ordinary polystyrene resin is large, causing thermal degradation.
[0005]
When a different resin such as polyphenylene ether is blended with the polystyrene-based resin composition, it is considered that there is also a problem in recyclability. For example, in the case of a polystyrene-based resin / polyphenylene ether resin mixed composition, since the physical property value is controlled by a certain ratio such as 50% by weight of polystyrene-based resin and 50% by weight of polyphenylene ether resin, the recycling Sometimes, when a composition having a different blending ratio or a polystyrene-based resin composition alone is mixed, it is considered difficult to control the physical properties of the recycled material. The material suitable for recycling is desirably a single resin in consideration of the separation cost.
[0006]
There have been many examples of adding a silicone oil to a polystyrene-based resin composition so far, and the purpose of the addition is to enhance flame retardancy, mold releasability, slidability, and abrasion resistance. there were. Examples of the addition of silicone oil for the purpose of improving flame retardancy include crystalline polystyrene, a thermoplastic resin, and a rubber-like elastic material having a viscosity at 25 ° C. of 90 to 50,000 cSt and a polydimethyl silicone oil of 0.01 to 0. It is disclosed to contain 0.5% by weight (for example, see Patent Document 4). However, although the viscosity range of the silicone oil is wide, the effect of chemical resistance is hardly obtained due to the small amount of addition. Examples of the addition of silicone oil for the purpose of improving abrasion resistance include impact-resistant polystyrene having a viscosity at 23 ° C. of 10,000 to 30,000 cSt and a polydimethyl silicone oil content of 1.3 to 3.0% by weight. (See, for example, Patent Document 5). However, the viscosity range of silicone oil is too narrow, and it is unlikely that it was added for the purpose of chemical resistance. Therefore, from Patent Documents 4 and 5 described above, it is unlikely that the addition of silicone oil aims at improving chemical resistance, and the improvement of chemical resistance by adding silicone oil has not been proven.
[0007]
[Patent Document 1]
JP-A-62-257950 (page 1, right column, lines 11 to 14)
[Patent Document 2]
JP-A-01-182344 (page 1, right column, 19 lines to page 2, upper left column, 4 lines)
[Patent Document 3]
JP 2001-288328 A (page 2, paragraph number [0004])
[Patent Document 4]
JP 2000-265021 A (Paragraph number [0009])
[Patent Document 5]
JP-A-10-87930 (paragraph number [0005])
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
To provide a styrene-based polymer composition having a good appearance, not only excellent impact resistance, strength, dimensional accuracy, moldability, etc., but also excellent chemical resistance and recyclability. It is.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
That is, the first styrene-based polymer composition of the present invention has a rubber-modified styrene-based polymer of 90 to 99.99% by weight and a solubility parameter (SP) of 4.9 to 5.1 [(cal / cm). 3 ) 0.5 Styrene polymer composition containing 0.01 to 10% by weight of a silicone oil having a viscosity at 25 ° C. of 40,000 to 1,000,000 cSt.
[0010]
The second styrenic polymer composition of the present invention comprises 40 to 94.9% by weight of a rubber-modified styrenic polymer, and 5 to 50% by weight of a styrenic polymer having a syndiotactic structure having a melting point of 250 ° C. or less. , And a solubility parameter (SP) value of 4.9 to 5.1 [(cal / cm 3 ) 0.5 Styrene polymer composition containing 0.01 to 10% by weight of a silicone oil having a viscosity at 25 ° C. of 40,000 to 1,000,000 cSt.
[0011]
The first styrenic polymer molded article of the present invention is the same as the first or second styrenic polymer composition, wherein the injection speed is 5 to 75 cm. 3 A molded article obtained by injection-molding a styrene-based polymer composition under molding conditions such that the injection temperature at the injection nozzle portion is 200 to 220 ° C. and the injection pressure at the injection nozzle portion is 0 to 50 MPa.
[0012]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
In the present invention, the rubber-modified styrenic polymer is 90 to 99.99% by weight, and the solubility parameter (SP) value is 4.9 to 5.1 [(cal / cm). 3 ) 0.5 And a styrene-based polymer composition containing 0.01 to 10% by weight of a silicone oil having a viscosity at 25 ° C of 40,000 to 1,000,000 cSt.
[0013]
The present invention also provides a rubber-modified styrenic polymer of 40 to 99.99% by weight, a melting point of 5 to 50% by weight of a styrenic polymer having a syndiotactic structure having a melting point of 250 ° C. or less, and a solubility parameter (SP) value. Is 4.9 to 5.1 [(cal / cm 3 ) 0.5 And a styrene-based polymer composition containing 0.01 to 10% by weight of a silicone oil having a viscosity at 25 ° C of 40,000 to 1,000,000 cSt.
[0014]
As the rubber-modified styrene-based polymer, those produced by dissolving a rubber-like substance in a styrene-based monomer and producing a bulk or bulk suspension polymerization method can be used. As the rubbery substance, polybutadiene (PBD), styrene-butadiene copolymer (SBR), ethylene-propylene copolymer, ethylene-butene copolymer (EPR), ethylene-propylene or non-conjugated diene copolymer (EPDM) ) Etc. are used. The rubber-like substance is usually dispersed in the polystyrene resin in the form of particles having an average particle diameter of 0.1 to 5.0 μm.
[0015]
The styrene-based polymer may be one obtained by substituting a part of the styrene unit with an α-methylstyrene unit, a p-methylstyrene unit, a pt-butylstyrene unit, or the like. Preferably, high impact polystyrene and middle impact polystyrene are used.
[0016]
The molecular weight of the rubber-modified styrenic polymer is not particularly limited, but is generally 10,000 or more, preferably 50,000 or more. Here, when the weight average molecular weight is less than 10,000, the thermal properties and mechanical properties of the obtained molded article tend to decrease, which is not preferable. Further, there is no limitation on the molecular weight distribution, and various molecular weight distributions can be used. The content ratio of the rubber-modified styrene-based polymer in the styrene-based polymer composition is 90 to 99.99% by weight, preferably 95 to 99% by weight. When the content of the rubber-modified styrene-based polymer exceeds 99.99% by weight, no improvement in chemical resistance is observed, and when the content is less than 90% by weight, the rigidity and mechanical properties of the molded article itself decrease.
[0017]
In a styrenic polymer (SPS) having a syndiotactic structure having a melting point of 250 ° C. or less, a syndiotactic structure is a syndiotactic structure having a stereochemical structure, that is, a main chain formed from carbon-carbon bonds. Has a steric structure in which phenyl groups, which are side chains, are alternately located in opposite directions, and its tacticity is determined by a nuclear magnetic resonance method using isotope carbon ( Thirteen C-NMR).
[0018]
The styrene-based polymer (SPS) having a syndiotactic structure used in the present invention preferably has a melting point of 200 to 310 ° C, more preferably a melting point of 250 ° C or less. When the melting point of the styrene polymer having a syndiotactic structure (SPS) exceeds 250 ° C., the styrene polymer having an atactic structure tends to thermally deteriorate.
[0019]
There is no particular limitation as long as the styrene polymer has a melting point of 250 ° C. or lower, and for example, a copolymer of styrene having a syndiotactic structure and a substituted styrene, a styrene polymer having a low syndiotacticity and the like are used. . The styrene-based polymer (SPS) having a syndiotactic structure may be one in which a rubber component and an additive have been previously blended. Examples of the rubber component include a diene rubber such as polybutadiene (PBD), a styrene-butadiene copolymer (PBD), and an ethylene-α-olefin copolymer. These can be used alone or in combination of two or more. The molecular weight of the styrenic polymer (SPS) having a syndiotactic structure is not particularly limited, but the weight average molecular weight is 10,000 or more, preferably 50,000 or more. If the weight-average molecular weight is less than 10,000, the thermal and mechanical properties of the resulting molded article tend to be undesirably reduced. Further, the molecular weight distribution is not limited, and various types can be used.
[0020]
In the second styrenic polymer composition of the present invention, the content of the rubber-modified styrenic polymer is 40 to 94.9% by weight in the styrenic polymer composition. The content of the styrene-based polymer having a syndiotactic structure having a melting point of 250 ° C. or less is 5 to 50% by weight in the styrene-based polymer composition. If the content is less than 5% by weight, there is no improvement in chemical resistance, and if it exceeds 50% by weight, it is disadvantageous in terms of cost.
[0021]
A solubility parameter (Solubility Parameter: also referred to as an SP value, a solubility parameter, and a solubility parameter (hereinafter, referred to as an SP value)) is a parameter for judging the compatibility between the solvents. It is said that the closer, the higher the compatibility. Incidentally, the SP value of the rubber-modified styrenic polymer is about 9.1 [(cal / cm 3 ) 0.5 ], And SP values of general surfactants and oil components contained in environmental chemicals are 6.0 to 12.0 [(cal / cm 3 ) 0.5 ]. This indicates that the rubber-modified styrene-based polymer has high compatibility with environmental chemicals, which also indicates that the rubber-modified styrene-based polymer has a problem in chemical resistance. Therefore, in order to increase the chemical resistance of the rubber-modified styrenic polymer, it is considered that the chemical resistance is improved by containing a compound having low compatibility with the environmental chemicals.
[0022]
SP value is 4.9 to 5.1 [(cal / cm 3 ) 0.5 ], The SP value of general surfactants and oil components contained in environmental chemicals is 6.0 to 12.0 [(cal / cm 3 ) 0.5 ] Is low. Therefore, by incorporating the silicone oil into the rubber-modified styrenic polymer, the effect of preventing the environmental chemical from permeating and diffusing into the rubber-modified styrenic polymer can be obtained. In addition, since silicone oil has a property of being hardly soluble in polar solvents and of being hardly soluble in acid and alkali solvents, an effect of preventing the solvent from permeating and diffusing into the rubber-modified styrenic polymer can be obtained. .
[0023]
The SP value of the silicone oil is 4.9 to 5.1 [(cal / cm 3 ) 0.5 ]. Here, the SP value is a value obtained by the evaporation energy method.
[0024]
Examples of the silicone oil include polydimethyl silicone oil, polymethylphenyl silicone oil, and polymethyl hydrogen silicone oil.
[0025]
The content ratio of the silicone oil is 0.01 to 10% by weight in the styrene polymer composition. If the content of the silicone oil is less than 0.01% by weight, no improvement in chemical resistance is observed. The viscosity of the silicone oil at 25 ° C. is 40,000 to 1,000,000 cSt. Preferably it is 50,000 to 500,000. If the viscosity of the silicone oil is less than 40,000 cSt, no improvement in chemical resistance is observed. Here, the viscosity of the silicone oil is a value measured by a capillary viscometer. The weight average molecular weight of the silicone oil is preferably 85780 to 165256. In the case of silicone oil, there is a correlation between viscosity and molecular weight (degree of polymerization) (Barry's formula).
[0026]
In the styrenic polymer composition of the present invention, as long as the object of the present invention is not impaired, furthermore, a plasticizer, a release agent, an antioxidant, a flame retardant, a flame retardant auxiliary, a dye, a pigment, an antistatic agent, etc. Can be contained. Each of these can be used alone or in combination of two or more. As the plasticizer, any one of known plasticizers such as polyethylene glycol, polyamide oligomer, ethylene bisstearamide, phthalic acid ester, adipic acid ester, polystyrene oligomer, polyethylene wax, and mineral oil can be used. The release agent can be arbitrarily selected from known materials such as polyethylene wax, long-chain carboxylic acid, and long-chain carboxylic acid metal salt. Antioxidants include 2,6-di-t-butyl-p-cresol, tetrakis- [methylene-3- (3 ', 5'-di-t-butyl-4'-hydroxyphenyl) propionate] methane, Stearyl-β- (3,5-di-t-butyl-4-hydroxyphenyl) propionate, 1,3,5-trimethyl-2,4,6-tris (3,5-cy-t-butyl-4- Phenols such as hydroxybenzyl) benzene and triethylene glycol-bis [3- (3-t-butyl-5-methyl-4-hydroxyphenyl) propionate]; tris (2,4-di-t-butylphenyl) phospho It can be arbitrarily selected from known compounds such as phosphorus-based compounds such as phyto and sulfur-based compounds such as dilauryl-3,3'-thiodipropionate. The flame retardant may be any of known ones such as brominated polymers such as brominated polystyrene and brominated syndiotactic polystyrene, and phosphorus-based flame retardants such as tricresyl phosphate, triphenyl phosphate and tris-3-chloropropyl phosphate. Can be selected for use. As the flame retardant aid, any one of an antimony compound such as antimony trioxide and others can be selected and used. Here, as a plasticizer or a release agent, a silicone oil is sometimes used as a publicly known one, but it is considered that a chemical resistance effect cannot be expected from the content of the plasticizer or the release agent. Can be However, in the present invention, it is not necessary to particularly add a plasticizer or a release agent since the silicone oil is contained in an amount sufficient to add the plasticizer or the release agent.
[0027]
When a method for producing a molded article comprising the styrene-based polymer composition according to the present invention is performed by injection molding, there is no particular limitation except for the injection speed, and the molded article can be molded by a known molding method. For injection speed, 5-75cm 3 / Sec, preferably 20-50 cm 3 / Sec is more preferred. Injection speed is 75cm 3 Injection speed over 75cm / sec 3 Inferior in chemical resistance and injection speed of 5 cm 3 If it is less than / sec, molding tends to be insufficient. Further, the injection pressure during molding is preferably set to 0 to 50 MPa, more preferably 0 to 20 MPa. The resin temperature (injection temperature) is preferably from 200 to 220C. If the resin temperature (injection temperature) is lower than 200 ° C., the dissolution of the polystyrene resin is not sufficient, and if it exceeds 220 ° C., the heat deterioration of the polystyrene resin tends to be accelerated and the molding cycle tends to deteriorate. The mold temperature during molding is preferably 30 to 80 ° C. If the temperature is lower than 30 ° C., the surface appearance of the molded article is inferior. If the temperature exceeds 80 ° C., the productivity tends to decrease.
[0028]
【Example】
Next, the present invention will be described in detail with reference to Examples and Comparative Examples, but the present invention is not limited to these Examples.
[0029]
The following methods were used to evaluate the chemical resistance of the examples of the present invention and the comparative examples in the present invention.
[0030]
(Chemical resistance evaluation method)
Environmental chemicals
(1) Salad oil (manufactured by Nisshin Oil Co., Ltd.) SP value: 8.5 [(cal / cm 3 ) 0.5 ]
(2) Magic phosphorus (manufactured by Kao Corporation) SP value: 9.0 [(cal / cm) 3 ) 0.5 ]
(3) Air conditioner cleaning spray (Kobayashi Pharmaceutical Co., Ltd.) SP value 12.0 [(cal / cm 3 ) 0.5 ]
[0031]
After annealing the strip test piece at 80 ° C. for 4 hours, a 0.3, 0.5 and 1.0% strain is applied, and the above-mentioned environmental chemical (1), (2) or (3) is impregnated thereon. The gauze was placed and left at room temperature for 72 hours, followed by observation, and those having no change were evaluated as ○, and those with craze on the surface were evaluated as x.
[0032]
[Raw materials used]
(1) Rubber-modified styrenic polymer
HIPS (High Impact Polystyrene)
High impact polystyrene, which is a rubber-modified styrene polymer having a weight average molecular weight of 50,000, was produced. The high-impact polystyrene obtained as the rubber-modified styrene-based polymer had an atactic structure, and the average particle size of the rubbery substance in the high-impact polystyrene was 5.0 μm.
(2) Silicone oil Polydimethyl silicone oil was used as the silicone oil. The silicone oil used had a viscosity of 100 cSt or 50,000 cSt at 25 degrees. The SP value of the silicone oil is 5.1 [(cal / cm 3 ) 0.5 And the weight average molecular weight of the silicone oil is 90442.
(3) Styrene polymer having syndiotactic structure
A styrene polymer having a syndiotactic structure having a weight average molecular weight Mw = 300,000, Mw / Mn = 2.5, and a melting point of 250 ° C. was used.
[0033]
The weight average molecular weight and molecular weight distribution were measured by gel permeation chromatography (GPC) at 130 ° C. using 1,2,4-trichlorobenzene as a solvent. The melting point was determined by differential thermal analysis (DSC) from the peak position at a heating rate of 20 ° C./min. In addition, the styrene-based polymer (SPS) having a syndiotactic structure is manufactured by a known method.
[0034]
Example 1
99.98% by weight of high-impact polystyrene is mixed with 0.02% by weight of a silicone oil having a viscosity of 50000 cSt at 25 ° C., a resin temperature (molding temperature) of 220 ° C., a mold temperature of 60 ° C., and an injection speed of 75 cm. 3 Injection molding was performed at an injection pressure of 20 MPa / sec and a strip test piece was molded. Using the obtained test pieces, chemical resistance was evaluated. The results are shown in Tables 1 and 2.
[0035]
Example 2
95% by weight of high-impact polystyrene is mixed with 5% by weight of a silicone oil having a viscosity of 50000 cSt at 25 ° C., a resin temperature (molding temperature) of 220 ° C., a mold temperature of 60 ° C., and an injection speed of 75 cm. 3 Injection molding was performed at an injection pressure of 20 MPa / sec and a strip test piece was molded. Using the obtained test pieces, chemical resistance was evaluated. The results are shown in Tables 1 and 2.
[0036]
Example 3
89.98% by weight of high impact polystyrene having an atactic structure and 10% by weight of a styrene polymer having a syndiotactic structure are dry-blended, and 0.02% by weight of a silicone oil having a viscosity of 50000 cSt at 25 ° C. Mix, resin temperature (molding temperature) 220 ° C, mold temperature 60 ° C, injection speed 75cm 3 Injection molding was performed at an injection pressure of 20 MPa / sec and a strip test piece was molded. Using the obtained test pieces, chemical resistance was evaluated. The results are shown in Tables 1 and 2.
[0037]
Example 4
A dry blend of 85% by weight of high impact polystyrene having an atactic structure and 10% by weight of a styrene polymer having a syndiotactic structure is mixed with 5% by weight of a silicone oil having a viscosity of 50000 cSt at 25 ° C. Temperature (molding temperature) 220 ° C, mold temperature 60 ° C, injection speed 75cm 3 Injection molding was performed at an injection pressure of 20 MPa / sec and a strip test piece was molded. Using the obtained test pieces, chemical resistance was evaluated. The results are shown in Tables 1 and 2.
[0038]
Example 5
99.98% by weight of high-impact polystyrene was mixed with 0.02% by weight of a silicone oil having a viscosity of 50000 cSt at 25 ° C., a resin temperature (molding temperature) of 220 ° C., a mold temperature of 60 ° C., and an injection speed of 20 cm. 3 Injection molding was performed at an injection pressure of 20 MPa / sec and a strip test piece was molded. Using the obtained test pieces, chemical resistance was evaluated. The results are shown in Tables 1 and 2.
[0039]
Example 6
95% by weight of high-impact polystyrene is mixed with 5% by weight of a silicone oil having a viscosity of 50000 cSt at 25 ° C., a resin temperature (molding temperature) of 220 ° C., a mold temperature of 60 ° C., and an injection speed of 20 cm. 3 Injection molding was performed at an injection pressure of 20 MPa / sec and a strip test piece was molded. Using the obtained test pieces, chemical resistance was evaluated. The results are shown in Tables 1 and 2.
[0040]
Comparative Example 1
100% by weight of high impact polystyrene, resin temperature (molding temperature) 220 ° C, mold temperature 60 ° C, injection speed 75cm 3 Injection molding was performed at an injection pressure of 20 MPa / sec and a strip test piece was molded. Using the obtained test pieces, chemical resistance was evaluated. The results are shown in Tables 1 and 2.
[0041]
Comparative Example 2
90 wt% of high impact polystyrene having an atactic structure and 10 wt% of a styrene polymer having a syndiotactic structure are dry-blended, and the resin temperature (molding temperature) is 220 ° C., the mold temperature is 60 ° C., and the injection speed is 75 cm. 3 Injection molding was performed at an injection pressure of 20 MPa / sec and a strip test piece was molded. Using the obtained test pieces, chemical resistance was evaluated. The results are shown in Tables 1 and 2.
[0042]
Comparative Example 3
90 wt% of high impact polystyrene having an atactic structure and 10 wt% of a styrene polymer having a syndiotactic structure are dry-blended, and the resin temperature (molding temperature) is 250 ° C., the mold temperature is 60 ° C., and the injection speed is 75 cm. 3 Injection molding was performed at an injection pressure of 20 MPa / sec and a strip test piece was molded. Using the obtained test pieces, chemical resistance was evaluated. The results are shown in Tables 1 and 2.
[0043]
Comparative Example 4
99.98% by weight of high impact polystyrene is mixed with 0.02% by weight of silicone oil having a viscosity of 100 cSt at 25 ° C., resin temperature (molding temperature) 220 ° C., mold temperature 60 ° C., injection speed 75 cm. 3 Injection molding was performed at an injection pressure of 20 MPa / sec and a strip test piece was molded. Using the obtained test pieces, chemical resistance was evaluated. The results are shown in Tables 1 and 2.
[0044]
Comparative Example 5
95% by weight of high-impact polystyrene is mixed with 5% by weight of silicone oil having a viscosity of 100 cSt at 25 ° C., resin temperature (molding temperature) 220 ° C., mold temperature 60 ° C., injection speed 75 cm 3 Injection molding was performed at an injection pressure of 20 MPa / sec and a strip test piece was molded. Using the obtained test pieces, chemical resistance was evaluated. The results are shown in Tables 1 and 2.
[0045]
As shown in Table 2, the molded products of Examples 1 to 6 had better chemical resistance than the molded products of Comparative Examples 1 to 5.
[0046]
[Table 1]
[0047]
[Table 2]
[0048]
【The invention's effect】
As described above, according to the first styrene-based polymer composition of the present invention, the rubber-modified styrene-based polymer has 90 to 99.99% by weight and a solubility parameter (SP) value of 4.9 to 5.1. [(Cal / cm 3 ) 0.5 Styrene-based polymer composition containing 0.01 to 10% by weight of a silicone oil having a viscosity at 25 ° C. of 40,000 to 1,000,000 cSt, good appearance, chemical resistance, and impact resistance. It is excellent in properties, strength, dimensional accuracy, moldability, recyclability, etc., and has an effect of obtaining a composition which does not generate craze with respect to environmental chemicals such as salad oil and cleaning agents, particularly in terms of chemical resistance.
[0049]
According to the second styrenic polymer composition of the present invention, the rubber-modified styrenic polymer has a syndiotactic structure of 40 to 99.99% by weight and a melting point of 250 ° C. or less. %, And a solubility parameter (SP) value of 4.9 to 5.1 [(cal / cm 3 ) 0.5 Styrene-based polymer composition containing 0.01 to 10% by weight of a silicone oil having a viscosity at 25 ° C. of 40,000 to 1,000,000 cSt, good appearance, chemical resistance, and impact resistance. It is excellent in properties, strength, dimensional accuracy, moldability, recyclability, etc., and has an effect of obtaining a composition which does not generate craze with respect to environmental chemicals such as salad oil and cleaning agents, particularly in terms of chemical resistance.
[0050]
According to the first styrenic polymer molded article of the present invention, in the first or second styrenic polymer composition, the injection speed is 5 to 75 cm. 3 / Sec, the injection temperature at the injection nozzle portion is 200 to 220 ° C., and the injection pressure at the injection nozzle portion is 0 to 50 MPa. 3 As compared with a molded article molded under the condition exceeding 1 / sec, there is an effect that chemical resistance to environmental chemicals such as salad oil and cleaning agent is enhanced.