JP2004131400A - Nerve cell-activating / protecting agent originating from candida albicans - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)由来の分化誘導促進物質からなる神経細胞の活性化・保護剤や、腫瘍細胞のアポトーシス誘導剤や、前記神経細胞の活性化・保護剤を有効成分とする神経細胞の活性化作用・保護作用を必要とする疾病の予防・治療薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
カンジダ属に属する病原微生物はその性格上、これを積極的に有効利用しようとする試みは少なく、従来、トルラ酵母のごとき食用、飼料用として用いられていた酵母から抗腫瘍性物質を製造する方法がいくつか知られており(例えば、特許文献1〜4参照。)、また、醸造に用いるサッカロミセス属酵母から抽出分離した代謝的に活性な物質、抗腫瘍性物質、グルコース耐性因子を得る方法等が多数知られている(例えば、特許文献6〜8参照。)。また、カンジダ・アルビカンスの全菌体成分からなる抗癌性物質の作製が特許出願されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0003】
一方、カンジダ・アルビカンス(以下、C. albicansという)JCM9061の菌体から熱酢酸塩酸抽出したセファデックス画分(分子量約1300Da)が、同菌の酵母形から菌糸形を誘導することが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。また、本発明者らにより、C.albicansの培養条件によって菌の形態を酵母形から菌糸形へ変換させ、その形態変換を細胞の分化として捉え、形態変換機構を細胞生物学及び分子生物学的アプローチにより解析し、C.albicans菌体抽出物中に酵母形で増殖中の菌体を菌糸形での増殖にスイッチさせる分化誘導物質が確認されたこと(例えば、非特許文献2参照。)、さらに、C.albicansを酸・熱処理して得られたペプチド様物質がCHO−K1の形態を変化させるとともに、細胞内にアクチン線維の発現をもたらすこと(例えば、非特許文献3参照。)、及びC.albicans由来物質が数種類の培養ヒト癌細胞に対して増殖抑制作用を有し、正常ヒト線維芽細胞に対しては増殖に全く影響を及ぼさなかったことが報告されている(例えば、非特許文献4参照。)。
【0004】
また、前記非特許文献1〜4は、C.albicans菌体抽出物質中の分化誘導物質に関しての文献であり、前記非特許文献1に記載の技術において、前記分子量約1300Daを示す化合物は、液体クロマトグラフィーによる疎水性画分の1つについてプロナーゼ処理を行い活性を失ったことから、この画分にペプチド様の有効成分が含まれることが示唆されており、前記非特許文献2に記載の技術は、分化誘導能及び腫瘍抑制能を有するC.albicans由来物質が、非特許文献1に記載された物質とは異なり、親水性物質であることまで確認されたこと、前記非特許文献3、4には、C.albicansから形態を酵母型から菌糸型へ変化させる物質を抽出したこと、及びこれらの物質に癌抑制作用があることが記載されているものの、具体的にいかなる物質であるか同定されるまでに到っていない。
【0005】
他方、微生物、例えば放線菌によって生産される低分子有機化合物が、真核細胞の分化を誘導する作用があることは種々知られ、細胞レベルで確認されている(例えば、非特許文献5参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特公昭43−12722号公報
【特許文献2】
特開昭47−29538号公報
【特許文献3】
特公昭48−21482号公報
【特許文献4】
特公昭53−13601号公報
【特許文献5】
特開昭60−12989号公報
【特許文献6】
特公平2−28319号公報
【特許文献7】
特公平3−69513号公報
【特許文献8】
特公平6−86379号公報
【非特許文献1】
萩原聖雄:Candida albicans より抽出したgermtube形成誘導物質の研究、福歯大誌、23(1)、71−79,1996
【非特許文献2】
上西他4名 C.albicans菌体抽出物質が有する発芽管形成誘導能に関する研究、福歯大誌、24(1) 23−27,1997
【非特許文献3】
第27回福岡歯科大学学会総会プログラム、予稿集 p.16 2000)
【非特許文献4】
第74回日本細菌学会総会、講演要旨集 2001年4月3日発行
【非特許文献5】
蛋白質 核酸 酵素 Vol.38 No.11 p.1791‐1798 1993
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、神経細胞の活性化作用や保護作用を有する低分子物質や、腫瘍細胞のアポトーシス誘導作用を有する低分子物質や、前記神経細胞の活性化作用や、保護作用を有する低分子物質を有効成分とする神経細胞の活性化作用・保護作用を必要とする疾病の予防・治療薬を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、C.albicans菌体の加熱抽出液中に含まれる発芽管形成誘導活性を有する画分をゲル濾過することにより得られる、白色水溶性の、100℃で耐熱性があり、中性から酸性(pH3.0)で安定で、pH9以上で自己分解する低分子物質が、動物細胞の分化誘導能や腫瘍細胞の増殖抑制能の他に、脳神経細胞を活性化する作用、すなわち、正常な神経細胞の神経突起を伸長させる作用(神経栄養因子としての機能があること)、グルタミン酸添加ストレス状況にある神経細胞の生存期間を延長させる作用(神経細胞の保護作用がある)、数種の腫瘍細胞にアポトーシスを誘導する作用、及びヒトの皮膚(表皮)の健康維持に有効な作用を有することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)由来の分化誘導促進物質からなることを特徴とする神経細胞の活性化・保護剤(請求項1)や、神経突起の伸長作用を有することを特徴とする請求項1記載の神経細胞の活性化・保護剤(請求項2)や、神経突起の高密度化作用を有することを特徴とする請求項1又は2記載の神経細胞の活性化・保護剤(請求項3)や、ストレス状況下にある神経細胞の保護作用を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の神経細胞の活性化・保護剤(請求項4)や、神経細胞が脳神経細胞であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の神経細胞の活性化・保護剤。(請求項5)や、分化誘導促進物質が、分化誘導を介したCHO−K1細胞の増殖抑制作用を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の神経細胞の活性化・保護剤(請求項6)や、分化誘導促進物質が、分化誘導を介したNB−1のコリンエステラーゼ活性発現誘導作用を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の神経細胞の活性化・保護剤(請求項7)や、分化誘導促進物質が、HT1080細胞、HT29細胞、NB−4、HL−60、UF−1の増殖抑制作用を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載の神経細胞の活性化・保護剤(請求項8)や、分化誘導促進物質が、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)菌体の加熱抽出液中に含まれる発芽管形成誘導活性を有する画分をゲル濾過することにより得られる、白色水溶性の、100℃で耐熱性があり、中性から酸性(pH3.0)で安定で、pH9以上で自己分解する物質であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載の神経細胞の活性化・保護剤(請求項9)に関する。
【0010】
また本発明は、請求項1〜9のいずれか記載の神経細胞の活性化・保護剤を有効成分とすることを特徴とする神経細胞の活性化作用・保護作用を必要とする疾病の予防・治療薬(請求項10)や、神経細胞の活性化作用・保護作用を必要とする疾病が、脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳挫傷、又は脊髄損傷であることを特徴とする請求項10記載の神経細胞の活性化作用・保護作用を必要とする疾病の予防・治療薬(請求項11)や、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)由来の分化誘導促進物質からなることを特徴とする腫瘍細胞のアポトーシス誘導剤(請求項12)や、腫瘍細胞のアポトーシス誘導能を有することを特徴とする請求項12記載のアポトーシス誘導剤。(請求項13)や、分化誘導促進物質が、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)菌体の加熱抽出液中に含まれる発芽管形成誘導活性を有する画分をゲル濾過することにより得られる、白色水溶性の、100℃で耐熱性があり、中性から酸性(pH3.0)で安定で、pH9以上で自己分解する物質であることを特徴とする請求項12又は13記載のアポトーシス誘導剤(請求項14)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の神経細胞の活性化・保護剤やアポトーシス誘導剤としては、C.albicans由来の分化誘導促進物質からなるものであればどのようなものでもよく、ここで「C.albicans由来の分化誘導促進物質」とは、C.albicans菌体から得られ、哺乳動物細胞の分化誘導を促進する物質をいい、かかるC.albicans由来の分化誘導促進物質としては、分化誘導を介したCHO−K1細胞(チャイニーズハムスターの卵巣由来株化細胞)の増殖抑制作用、分化誘導を介したNB−1(ヒト神経芽細胞種から樹立された悪性腫瘍細胞)のコリンエステラーゼ活性発現誘導作用、HT1080細胞(ヒト線維肉腫由来の細胞)、HT29細胞(ヒト結腸腺癌由来の細胞)、NB−4(ヒト前骨髄球性白血病細胞)、HL−60(ヒト前骨髄球性白血病細胞)、UF−1(薬剤耐性を獲得したヒト前骨髄球性白血病細胞)の増殖抑制作用等を有する低分子物質が好ましく、ヒト正常細胞に作用しない低分子物質がより好ましい。
【0012】
C.albicansから上記分化誘導促進物質の抽出、分離・精製方法としては、例えば、図1にその概要が示されているように、C.albicansを培養してほぼ定常期になった時点で菌体を集菌・洗浄した後、1M酢酸−20mM塩酸溶液中で100℃にて10分間加熱抽出し、得られた抽出液に減圧濃縮を繰り返して酢酸と塩酸を除去し、次いで、前記抽出物をSP−Sephadex C−25(H+form)カラムに吸着させ、1M酢酸を流して不純物を除去し、カラムに吸着した物質を2Mピリジンを用いて溶出させ、発芽管形成誘導活性を有する画分を取得し、前記溶出画分を、Sephadex G−25を用いてゲルろ過し、Sep Pac Vacを用いて減圧濃縮し、TSKgelG2000SWを用いてゲルろ過し、TSKgel Amideを用いて処理し、Super PeptideHR10/30(Pharmacia社製)を用いて、ゲルろ過する方法を例示することができる。
【0013】
上記分離・精製の過程で、発芽管形成誘導活性を有する画分を取得するには、本発明者らが開発したZinc培地(L−プロリン、重炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム(各和光純薬社製)、N−アセチル−D−グルコサミン(Sigma社製)、(全て終濃度10−2%)、硫酸亜鉛(和光純薬社製)(終濃度10−5%)を含む)を有利に用いることができる(福歯大誌、20(1),1−7,1993)。図2(参考写真1参照)に示すようにC.albicansから得られた物質は培養1時間で70%、3時間では90%以上の菌体から明らかに菌糸を発現させた。
【0014】
本発明におけるC.albicans由来の分化誘導促進物質としては、上記ゲルろ過したものの凍結乾燥物を挙げることができ、その有効成分は、分子量281、分子構造式C18H35NOと推定される、白色水溶性であり、100℃の加熱に対して安定であり、また、中性〜酸性(pH3.0)でも安定であるが、pH9以上のアルカリ環境では自己分解する低分子物質を例示することができる。該低分子物質のLCT質量分析計(micromass)を用いたESIマススペクトルを図3に示す。
【0015】
前記本発明の神経細胞の活性化・保護剤としては、神経突起の伸長作用、神経突起の高密度化作用等の神経細胞、好ましくはヒト脳神経細胞の増殖作用や、ストレス状況下にある神経細胞、好ましくはヒト脳神経細胞の保護作用を有する物質を含有するものが好ましく、また、本発明のアポトーシス誘導剤としては、腫瘍細胞のアポトーシス誘導能を有するものが好ましい。本発明の神経細胞の活性化・保護剤は、ナノグラムオーダーで正常な神経細胞の神経突起を伸長させることができ(神経栄養因子としての機能がある)、また、ナノグラムオーダーでグルタミン酸添加ストレス状況にある神経細胞の生存期間を延長させることができる(神経細胞の保護作用がある)ことから、損傷した中枢神経組織や神経変性疾患の治療における新しい機能物質として有用であり、様々な原因で損なわれた神経、特に脳神経の機能回復への応用や、加齢に伴う神経、特に脳神経の機能低下防止への応用が期待でき、神経細胞の活性化作用・保護作用を必要とする疾病の予防・治療薬としてその有用性が期待できる。かかる神経細胞の活性化作用・保護作用を必要とする疾病としては、脳梗塞(brain infarction)、脳出血(cerebral hemorrhage)、クモ膜下出血(subarachnoid hemorrhage)、アルツハイマー病(Alzheimer’s disease)、パーキンソン病(Parkinson disease)、脳挫傷(cerebral contusion)、脊髄損傷(spinal cord injury)等を具体的に例示することができる。
【0016】
また、本発明のアポトーシス誘導剤は抗腫瘍剤としての有用性が期待できる。そして、本発明の神経細胞の活性化・保護剤やアポトーシス誘導剤を医薬品として用いる場合には、これら成分に加えて、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分を添加することができる。またかかる治療剤は、経口的又は非経口的に投与することができる。すなわち通常用いられる投与形態、例えば粉末、顆粒、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液等の剤型で経口的に投与することができ、あるいは、例えば溶液、乳剤、懸濁液等の剤型にしたものを注射の型で非経口に局所に投与することができる他、スプレー剤の型で鼻孔内投与することもできる。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
なお、各種供試細胞は、理化学研究所(理研ジーンバンク)から購入したものを用い、供試細胞の培養は、培養開始時の細胞数を1〜2×104/mlに調整し、37℃、5%CO2存在下で、主に24穴マルチプレートを用いて培養し、細胞数の計測には、自動血球数計測装置(日本光電社製、MEK−5254)を用い、細胞の状態の観察には、倒立顕微鏡(オリンパス社製、BH−2)を用いた。
【0018】
実施例1(C.albicans由来の分化誘導促進物質の調製)
C.albicans(JCM9061:帝京大学医真菌研究センターより入手)をpH5.6に調整したGPY液体培地(glucose 4%、bactopeptone 1%、yeast extract 0.5%)において、37℃、25時間振盪培養し、ほぼ定常期になった時点で菌体を遠心操作により分離し、集菌した菌体を滅菌蒸留水で3回洗った。集められた菌体ペレットを約10倍量の1M酢酸−20mM塩酸溶液に浮遊させ、100℃にて10分間加熱抽出を行った。得られた抽出液に減圧濃縮を繰り返し、酢酸と塩酸を除去した。次いで、前記抽出物を1M酢酸に溶解してSP−Sephadex C−25(H+form)(Pharmacia社製)カラムに吸着させた後、1M酢酸を流して不純物を除去した。その後、カラムに吸着した物質を2Mピリジンで溶出させ、C.albicansに対する発芽管形成誘導活性を有する画分を分取した。この画分を、Sephadex G−10(Pharmacia社製)を用いてゲルろ過した。さらに精製を進めるために、得られた物質を10mMトリエチルアミン(pH4.5に調整)で平衡化したSep Pac Vac(QMAタイプ:Waters社製)に吸着させてイオン交換クロマトグラフィーを行い、活性を示す画分を分取した。分取した物質はTSKgelG2000SW(東ソー(株)社製)を用いてゲルろ過し、さらにTSKgel Amide 80(東ソー(株)社製)を用いたHPLCによる分離と、これに続くゲルろ過(Super PEPTIDE HR10/30:Pharmacia社製)により最終精製物質が得られた。この得られた物質を凍結乾燥すると白色の粉末状を呈し、粉末は容易に水に溶ける。そこでこの得られた物質を、適宜その濃度に希釈し、細胞培養時に添加して実験を行った。培養の途中で培養液を交換する際には、この得られた物質を培養開始時と同量加えた。
【0019】
実施例2(C.albicans抽出物によるCHO−K1の分化誘導能と増殖抑制)CHO−K1細胞(以下、CHO−K1という)はチャイニーズハムスターの卵巣由来細胞で、それが腫瘍化したものである。この細胞は通常図4(参考写真2参照)(左)に示すように敷石状の形態を示す。CHO−K1はある種の分化誘導物質を加えると細胞分化をおこし、その形態が線維芽細胞状に変化することが知られている。図4(参考写真2参照)(中央)は分化誘導促進物質(C.albicans抽出物)を10μg/mlに調整したものを細胞に添加して5日間培養したときのものである。この結果、細胞の形態は明らかに線維芽細胞様に変化することがわかった。さらに、分化誘導促進物質無添加(対照)を使用した際には細胞内部に明確な変化が認められないが、分化誘導促進物質を添加した際は細胞内部に長軸にそって細長いアクチン線維の出現が観察された。なお、アクチン繊維は通常に従って細胞を固定した後、ローダミン・ファロイジンで染色し、蛍光顕微鏡にて観察したものである。図4(参考写真2参照)(右)は分化誘導の陽性対照物質としてサイクリックAMPを15μM添加し、培養した際のものである。分化誘導促進物質を添加したときの細胞の形態変化と細胞内のアクチン線維出現がほぼ同様であることから、分化誘導促進物質はCHO−K1に対して分化誘導能を有していることがわかった。
【0020】
また、表1には分化誘導促進物質がCHO−K1の増殖を抑制することを調べた際の結果を示す。CHO−K1を通常の状態で培養すると、その平均倍加時間は22時間であった。しかし、分化誘導促進物質を添加して培養すると細胞の倍加時間は約2倍の44.5時間に延長され、明らかに増殖が抑制されていることがわかった。対照としてサイクリックAMPを添加したが、この倍加時間も明らかに延長されていた。データとして示していないが、分化誘導促進物質を40μg/ml以上添加すると細胞の増殖は完全に抑制された。
【0021】
腫瘍細胞の最大の特性として、未分化細胞であるため、無制限に増殖し続けることを挙げることができる。図4に示すように、何も添加しない状態でのCHO−K1は敷石状の形態の細胞が増殖し続けるが、そこに分化誘導促進物質物が加えられると細胞は分化し、形態を変化させるとともに、その増殖の様子(速度)にも変化が現れる。正常な細胞は周囲の細胞と接触するまで、ある程度の細胞数に達したときはその増殖が停止することが知られている(contact inhibition)。この実験で分化誘導促進物質を添加してCHO−K1を培養したとき、細胞の形態は線維芽細胞に変化し、さらに細胞数の倍加時間は正常な線維芽細胞を培養したときときわめて近いものであった。このことから、分化誘導促進物質はCHO−K1には分化誘導を介した増殖抑制作用を有していることがわかる。
【0022】
【表1】
【0023】
実施例3(C.albicans抽出物によるNB−1細胞に対する分化誘導能)
NB−1細胞(以下、NB−1という)はヒトの神経芽細胞種から確立された悪性の腫瘍細胞である。NB−1を通常の状態で培養すると、図5(参考写真3参照)(左上段)に示すような形態を示す。この腫瘍細胞の起源は神経細胞であることから、細胞の形態は部分的に神経細胞をうかがわせるような形を示し、さらに、短い神経突起様の構造物も観察される。図5はNB−1に対する分化誘導促進物質の分化誘導能を調べた結果を示している。先ず、NB−1に分化誘導促進物質を2μg/well添加して培養した結果、図5(参考写真3参照)(左下段)に示すように、NB−1はその形態を大きく変化させ、神経細胞を培養したときの様相を呈した。さらに、神経細胞の特徴的な構造物である神経突起が著明に伸張している様子が観察された。このことは、実施例2の場合と同様に分化誘導促進物質による分化誘導の結果として「形態を変化させる」ことが生じたものである。
【0024】
神経細胞の他の細胞にはない特徴的な機能の一つに神経細胞間でのシグナル伝達がある。このシグナル伝達に関与しているのがアセチルコリンであることは古くから知られている。また、伝達を終えたアセチルコリンは神経細胞のみが有しているアセチルコリンエステラーゼによって速やかに分解される。このアセチルコリンエステラーゼも神経細胞に固有の酵素であることが知られている。そこで、通常の培養条件で未分化の状態のCHO−K1には発現されないコリンエステラーゼ活性が、分化誘導促進物質により分化が誘導されると、細胞にコリンエステラーゼ活性が出現するどうか、次のとおり実験を行った。
NB−1にいくつかの濃度に調整した分化誘導促進物質を添加して5日間培養した後に細胞を回収し、凍結・融解を繰り返して細胞を破壊し、遠心分離によって細胞内液を集めた。集めた細胞内液のタンパク質濃度を一定にして、その一部をアセチルコチンと37℃で一定時間反応させた。反応時間が終了した時点で、反応液のpHをpHメーターで測定し、反応開始前と反応終了時のpHの差を求めた。アセチルコリンがコリンエステラーゼにより分解されると、基質として含まれる酢酸が遊離され、その結果、反応液のpH低下をきたすことを応用するものである。試験結果を図5右に示す。
【0025】
NB−1を分化誘導促進物質を添加しないで培養すると、コリンエステラーゼ活性は全く検出されなかったが、分化誘導促進物質を1.9μg/wellの濃度で添加し培養したとき、pHは約0.06低下した。しかし、その10倍量(19μg/well)を添加した場合はpHの低下は前者の半分程度であった。これは分化誘導促進物質がNB−1の増殖そのものを抑制しているためであることがわかった。また、分化誘導促進物質を添加して培養すると、NB−1にコリンエステラーゼ活性の発現が観察された。この現象は分化誘導により、マスクされていた機能が発現されたものであり、図5(参考写真3参照)に示すように分化誘導促進物質は形態学的分化と機能的分化の両方を誘導する能力を有しているのである。さらに、分化を受けた細胞の神経突起の伸張は著しいことから、分化誘導促進物質は神経細胞を活性化させる性質を有している。また、NB−1と同じく、ヒト神経芽細胞種由来のGOTO細胞に対して分化誘導促進物質は増殖を抑制しなかった。
【0026】
実施例4(C.albicans抽出物によるHT1080の増殖抑制)
HT1080細胞は、ヒト線維肉腫由来の細胞である。上記実施例2及び3の方法において、CHO−K1細胞やNB−1細胞に代えて、HT1080細胞を用いる以外は同様の方法により実施した。腫瘍細胞であるHT1080細胞の起源は線維芽細胞であることが知られていることから、分化誘導促進物質を添加、培養すると分化誘導を受けてその形態は線維芽細胞状に変化するのではないかと予測し実験を行った。しかし、予想に反して細胞の形態変化は観察されなかったが、図6に示すように、7日間培養後、分化誘導促進物質3.8(μg/well)を用いたものは、対照(無添加)に比して、1/2以下に、また7.2(μg/well)を用いたものは、1/5以下に、HT1080細胞の増殖を明らかに抑制していた。
【0027】
実施例5(C.albicans抽出物による2種類のヒト大腸癌由来細胞の増殖抑制)ヒト大腸癌(結腸腺癌)由来の細胞で代表的なHT29細胞とCaco2細胞を実験に用いた。図7には、分化誘導促進物質を添加してHT29細胞を培養した結果を示す。培養5日では分化誘導促進物質添加の有無にかかわらず、細胞の増殖の程度に差は見受けられないが、培養7日では、分化誘導促進物質3.8(μg/well)を用いたものは、対照(無添加)に比して、1/3以下に、また7.2(μg/well)を用いたものは、1/7以下に、HT29細胞の増殖を明らかに抑制していた。また、図8には、分化誘導促進物質を添加してCaco2細胞を培養した結果を示す。HT29細胞を培養したときとは異なり、分化誘導促進物質は、Caco2細胞の増殖を抑制する傾向はあるものの、分化誘導促進物質の添加と無添加の間には有意な差は認められなかった。ここでは2種類のヒト由来大腸癌に対する分化誘導促進物質の増殖抑制効果を調べたが、結果的にはHT29細胞のみにその効果が確認された。また、これらの癌細胞は腺組織由来であることから、分化誘導促進物質添加により、その形態変化について観察したが、少なくとも形態的な変化は認められなかった。分化誘導促進物質はなぜCaco2細胞に対して増殖抑制効果を発揮しなかったのかその理由は不明である。
【0028】
実施例6(C.albicans抽出物によるヒト前骨髄球性白血病由来細胞の増殖抑制)
ここでは2種類の代表的なヒト前骨髄球性白血病細胞であるNB−4細胞及びHL−60細胞と薬剤耐性を獲得したヒト前骨髄球性白血病細胞UF−1細胞(慶應義塾大学 木崎昌弘博士より分与)に対する分化誘導促進物質の増殖抑制効果について実験した。すなわち、NB−4細胞及びHL−60細胞を、分化誘導促進物質を添加して培養した。その結果は、図9及び図10に示すとおり、分化誘導促進物質は、NB−4細胞及びHL−60細胞の増殖を抑制するものであり、特にHL−60細胞に対しては、図10に示すとおり、分化誘導促進物質の添加により、培養5日で、3.8μg/wellの添加では、無添加のときの1/4程度に、また7.2μg/wellの添加では、1/20程度に細胞数が減り、顕著な増殖抑制効果が示された。また、前骨髄球性白血病細胞の効果的な治療薬として知られている活性化ビタミンA(レチノイン酸)に対して耐性を獲得したUF−1を用いて分化誘導促進物質の増殖抑制効果を調べた。図11に、その結果を示す。UF−1の増殖速度は他の腫瘍細胞に比べて遅く、細胞数は4週間培養で約10倍に達する程度であった。図11の試験結果は4週間培養を行った経過を示す。培養18日で分化誘導促進物質を7.2μg/well添加したもので、増殖には明らかな有意な差がある。
【0029】
活性化ビタミンAは前骨髄球性白血病に対して著名な治療効果を発揮することから、現在広く用いられている。その薬理作用は白血病細胞の分化誘導にあることが明らかにされており、試験管内実験で白血病細胞は活性化ビタミンAの作用により顆粒化あるいは単球に分化することが知られている。しかし、白血病細胞は他の癌との場合と同様に、やがて活性化ビタミンAに対して耐性を獲得して新たな活動(無制限な増殖)を開始し、さらに活性化ビタミンAそのものの副作用も次第に発現されることから宿主の寛解期は短くなる。図11に示すように、すでに活性化ビタミンAに対して耐性を獲得した白血病細胞(UF−1細胞)に対しても分化誘導促進物質は明らかにその増殖を抑制したことから、そのような場合における制癌物質としての応用が期待できる。
【0030】
実施例7(正常ヒト線維芽細胞に対するC.albicans抽出物の影響)
上記の実施例2〜6で用いた細胞はいずれも腫瘍細胞であり、これまでに開発、市販されている抗癌剤に強く応答する。しかし、これらの抗癌剤は一方では正常細胞や性状組織に対して深刻な副作用を有していることがしばしば見受けられる。そこで、本発明者は分化誘導促進物質が正常な細胞に対して毒性を発揮するのかどうかについて調べた。実験には市販されている正常なヒト線維芽細胞であるW138細胞を用いて、分化誘導促進物質がW138細胞の増殖及び生存に及ぼす影響について実験を行った。結果を図12(参考写真4参照)に示す。図12に示すように、W138細胞の増殖速度はゆるやかで、一週間の培養で細胞数は約2〜3倍になる。W138細胞の培養時に分化誘導促進物質を添加しても、無添加の場合と比較して細胞数の増加には差が見受けられず、さらに10日間まで培養を継続しても細胞の増殖傾向に差はなかった。また、図12に示すように分化誘導促進物質を添加して細胞を培養すると細胞の増殖は良好であり、表面は滑らかであった。
以上、実験に供した細胞及びGOTO細胞に対する増殖抑制及び分化誘導効果をまとめて表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
実施例8(C.albicans抽出物によるNB−4細胞のアポトーシス誘導)
実施例6において、分化誘導促進物質はNB−4細胞の増殖を抑制することを明らかにした。そこで、その増殖がどのような機構により起こっているのかを調べた。NB−4に分化誘導促進物質を添加して5日間培養した。培養終了後に細胞を遠心操作で集め、常法にしたがって細胞をグルタール固定し、ヘキスト33342色素で染色した。染色標本を蛍光顕微鏡で観察した結果を図13(参考写真5参照)に示す。この結果、対照(分化誘導促進物質無添加)培養細胞の核はほぼ正常な形態を示しているが(図13A)、分化誘導促進物質を添加して培養した細胞の核は明らかに細分化されている様子が観察された(図13B)。この現象は細胞がアポトーシスを起こしていることを示すものである。さらに、細胞がアポトーシスを起こすとそのDNAが断片化することが知られているが、図13Cに示すように、NB−4に分化誘導促進物質を添加して培養すると、培養液中に断片化したDNAがラダーとなって出現することが確認された(図13Cレーン3及び4)。なお、図13Cのレーン1はDNAマーカー、レーン2は対照(分化誘導促進物質無添加)、レーン5は陽性対照(アクチノマイシンD添加)である。この実験結果から、分化誘導促進物質はNB−4に対してアポトーシスを誘導することが明らかにされ、分化誘導促進物質によるNB−4の増殖抑制は「細胞死」の誘導によるものであることがわかった。
【0033】
実施例9(C.albicans抽出物によるラット脳神経細胞の増殖)
実施例3において、分化誘導促進物質は神経細胞の増殖を支持する性質を有していることが示唆されたが、本実験ではラットの脳神経細胞を取り出して培養し、その際の分化誘導促進物質添加の有無によって細胞増殖に差があるかどうかについて調べた。生後11〜12日のウィスター系ラット(雄)を麻酔した後、小脳から神経細胞が豊富な部分(Neuron rich)と、神経細胞とグリア細胞が混在する部分(Neuron/Glia)を別々に切り出し、約1mm3の大きさにミンスして常法にしたがって細胞を分散させ、細胞数を1〜2×105/mlに調整し、37℃、5%CO2存在下で、24穴マルチプレートを用い分化誘導促進物質を添加し、培養した。培養終了後、培養液を除き、PBSで細胞を十分に洗い、凍結・融解を繰り返して細胞を破壊した。その後、SDSを添加して細胞を可溶化し、色素結合法によってタンパク濃度を測定した。
【0034】
実験の結果、図14(参考写真6参照)に示すようにNeuron richの部分もNeuron/Gliaの部分も分化誘導促進物質を添加して培養したときのタンパク量は明らかに増加していることがわかった。正常な神経細胞は完全に分化が終了しており、これを試験管内に移して培養を行っても、細胞そのものが分裂して数を増加させることはない。ただし、例えば神経増殖因子(NGF)のような物質が添加されると細胞の外側にある神経突起が著明に伸長することが知られている。この実験結果から、分化誘導促進物質はラットの神経細胞を活性化し、その神経突起を伸長させるため、培養細胞全体のタンパク量が増加しているものと推察された。図14上段は分化誘導促進物質を添加しないで培養したもの(対照)、中段はNeuron richの細胞に分化誘導促進物質を添加して7日間培養したもの、下段はNeuron/Gliaの細胞に同じく分化誘導促進物質を添加して7日間培養したものである。分化誘導促進物質を添加して培養すると神経細胞から出ている神経突起の密度は高く、また、神経突起は著明に伸長していることも観察された。なお、5μg/wellの濃度で分化誘導促進物質を添加しても、ラット神経細胞に対してトキシックな作用は観察されなかった。このことから、分化誘導促進物質は神経細胞を活性化する能力を有していることを示すものである。この神経細胞を活性化する作用は、出血や梗塞あるいは事故等により損傷を受けた脳組織において生残する神経細胞同士の連絡を高め、失われた(損なわれた)機能の回復促進に応用できるものである。
【0035】
実施例10(C.albicans抽出物によるストレス下にある脳神経細胞の保護作用)
Wistar系ラット(生後8日齢)から小脳を摘出し、顆粒細胞をトリプシン処理して分取することにより神経細胞を調製した。分取した細胞をEagle MEM培地(10%牛胎児血清添加)に浮遊させ、5%CO2存在下培養装置で培養した。培養開始と同時に1mMのグルタミン酸(以下Gln)を培養液に添加した。グルタミン酸は脳内の興奮性神経伝達物質で、脳梗塞などの脳内での低エネルギー状態時には過剰のグルタミン酸が神経終末から放出されることによって神経細胞が死滅する。すなわち、グルタミン酸を培養細胞に加えることにより、脳内での神経細胞障害を生理学的異常時に誘発される状態を再現することができる。さらに、これらの培養系に分化誘導促進物質を添加して神経細胞の生存に及ぼす効果を調べた。なお、細胞死の確認は蛍光法の一つであるカルセイン法を用いた。すなわち、カルセイン−アセトキシメチル体を培養中の細胞に取り込ませた後に、細胞内酵素によってアセトキシメチルから遊離したカルセインが放つ蛍光を測定し、これを計量化して細胞の生存率を対照と比較した。
【0036】
ラットの小脳から分取した神経細胞にGlnを加えることにより、神経細胞障害を生理学的異常時に誘発される状態を再現し、ストレス状況下にある神経細胞の生存に分化誘導促進物質の添加がどのように影響するか調べた。培養14時間後及び培養20時間後の結果を表3に示す。添加物を何も加えないものを対照として調べた結果、培養14時間後の成績でGlnのみを加えると神経細胞は約90%が生存したが、分化誘導促進物質(KC)を同時に10〜20ng添加すると細胞は対照とほぼ同様かわずかにそれを上回る生存率を示した。また、分化誘導促進物質のみを添加した場合でも神経細胞の生存率は対照よりも高い数値を示した。培養20時間後の成績では、Glnのみを添加したときの細胞の生存率は約60%であったが、分化誘導促進物質を同時に10〜20ng添加すると細胞は対照とほぼ同様かわずかにそれを上回る生存率を示した。また、分化誘導促進物質のみを添加した場合では明らかに対照よりも高い生存率を示した。これらの結果から、分化誘導促進物質はストレス状況下にある神経細胞の保護作用を有し、細胞の生存期間を延長させる機能を有するものであることがわかった。
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】
上記の実施例2から10までに示されるように、C. albicansから抽出された物質である分化誘導促進物質は、2種類の腫瘍細胞の分化を誘導し、7種類の腫瘍細胞の増殖を抑制した。さらに、分化誘導促進物質はヒトの線維芽細胞及びラットの神経細胞を活性化し、これら正常な細胞に対して増殖抑制ないし致死的な作用を及ぼさないこともわかった(表2)。これらの実施例から、分化誘導促進物質は、(1)細胞の増殖を抑制することから、医療分野における新たな制癌物質としての利用、(2)線維芽細胞を活性化することから、医療分野において創傷治癒促進物質としての利用、ならびに、健康科学分野における皮膚(表皮)の健康維持物質としての利用、(3)神経細胞を活性化し、特に神経突起を伸長させる能力を有していることから、他の神経細胞との連絡が旺盛になることが予測される。したがって、出血や梗塞あるいは事故等により損傷を受けた脳組織において生残する神経細胞同士の連絡を高めることにより、失われた(損なわれた)機能の回復促進への応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のC.albicansから分化誘導ならびに腫瘍細胞増殖抑制活性を示す物質の分離と精製を示す図である。
【図2】本発明の分化誘導ならびに腫瘍細胞増殖抑制活性を示す物質のバイオアッセイ−発芽管形成法−を示す図である。
【図3】本発明のC.albicans由来分化誘導促進物質の有効成分と推定される低分子物質のLCT質量分析計(micromass)を用いたESIマススペクトルを示す図である。
【図4】本発明のCHO−K1細胞に対するC.albicans由来物質の分化誘導能を示す図である。
【図5】本発明のNB−1細胞に対するC.albicans抽出物質の分化誘導能を示す図である。
【図6】本発明のHT1080細胞に対するC.albicans抽出物質の増殖抑制効果を示す図である。
【図7】本発明のHT29細胞に対するC.albicans抽出物質の増殖抑制効果を示す図である。
【図8】本発明のCaco−2細胞に対するC.albicans抽出物質の増殖抑制効果を示す図である。
【図9】本発明のNB−4細胞に対するC.albicans抽出物質の増殖抑制効果を示す図である。
【図10】本発明のHL−60細胞に対するC.albicans抽出物質の増殖抑制効果を示す図である。
【図11】本発明のUF−1細胞に対するC.albicans抽出物質の増殖抑制効果を示す図である。
【図12】本発明のWI38細胞に対するC.albicans抽出物質の増殖抑制効果を示す図である。
【図13】本発明のC.albicans抽出物質によるNB−4細胞のアポトーシス誘導を示す図である。
【図14】本発明のラット脳神経細胞の増殖に及ぼすC.albicans抽出物質の効果を示す図である。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention provides a nerve cell activation / protection agent comprising a Candida albicans-derived differentiation-inducing promoter, a tumor cell apoptosis inducer, or the nerve cell activation / protection agent as an active ingredient. The present invention relates to a prophylactic / therapeutic agent for a disease that requires an activating / protecting action of a nerve cell.
[0002]
[Prior art]
Due to the nature of pathogenic microorganisms belonging to the genus Candida, few attempts have been made to actively utilize them, and methods for producing antitumor substances from yeasts conventionally used for food and feed, such as Torula yeast. Are known (for example, see
[0003]
On the other hand, it is known that a Sephadex fraction (molecular weight: about 1300 Da) extracted from cells of Candida albicans (hereinafter referred to as C. albicans) JCM9061 with hot acetic acid hydrochloride induces a hyphal form from a yeast form of the same bacterium. (For example, see Non-Patent Document 1). In addition, the present inventors reported that C.I. albicans, the morphology of the fungus is changed from the yeast form to the mycelium form under the culture conditions, the transformation is regarded as cell differentiation, and the transformation mechanism is analyzed by cell biology and molecular biology approaches. Albicans extract in a cell extract was confirmed to be a differentiation-inducing substance that switches cells growing in yeast form to growth in hyphal form (for example, see Non-Patent Document 2). albicans, obtained by acid-heat treatment, alters the form of CHO-K1 and brings about the expression of actin filaments in cells (for example, see Non-Patent Document 3). Albicans-derived substances have been reported to have a growth inhibitory effect on several types of cultured human cancer cells and have no effect on the growth of normal human fibroblasts (for example, Non-Patent Document 4). reference.).
[0004]
Non-patent
[0005]
On the other hand, various low molecular organic compounds produced by microorganisms, for example, actinomycetes, have been known to have an action of inducing differentiation of eukaryotic cells, and have been confirmed at the cellular level (for example, see Non-Patent Document 5). ).
[0006]
[Patent Document 1]
JP-B-43-12722
[Patent Document 2]
JP 47-29538 A
[Patent Document 3]
JP-B-48-21482
[Patent Document 4]
JP-B-53-13601
[Patent Document 5]
JP-A-60-1289
[Patent Document 6]
Japanese Patent Publication No. 2-28319
[Patent Document 7]
Japanese Patent Publication No. 3-69513
[Patent Document 8]
Japanese Patent Publication No. 6-86379
[Non-patent document 1]
Hagiwara, H .: Studies on germtube formation-inducing substances extracted from Candida albicans, Fukuden Journal, 23 (1), 71-79, 1996.
[Non-patent document 2]
Kanishi and 4 others Study on the ability of Albicans extract to induce germination tube formation, Fukuden Journal, 24 (1) 23-27, 1997
[Non-Patent Document 3]
27th Annual Meeting of Fukuoka Dental University Annual Meeting Program, Proceedings p. 16 2000)
[Non-patent document 4]
74th Annual Meeting of the Bacteriological Society of Japan, Abstracts, Lectures issued on April 3, 2001
[Non-Patent Document 5]
Protein Nucleic Acid Enzyme Vol. 38 No. 11 p. 1791-1798 1993
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a low-molecular substance having an activating or protecting effect on nerve cells, a low-molecular substance having an apoptosis-inducing action on tumor cells, and a low molecule having an activating or protecting action on the nerve cells. An object of the present invention is to provide a prophylactic / therapeutic agent for a disease which requires a nerve cell activating / protecting action, comprising a substance as an active ingredient.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have proposed C.I. albicans, a white water-soluble, heat-resistant at 100 ° C., neutral to acidic (pH 3.0) obtained by gel filtration of a fraction having an activity of inducing germination tube formation contained in the heat extract of the Albicans cells. ), A low-molecular substance that is stable and self-decomposes at pH 9 or higher has the ability to induce the differentiation of animal cells and the ability to suppress the growth of tumor cells, as well as to activate brain neurons, ie, the neurites of normal neurons Has the effect of elongating the cells (has a function as a neurotrophic factor), prolongs the survival time of nerve cells under the stress of glutamate (protects the nerve cells), and induces apoptosis in several types of tumor cells The present invention has been found to have an effect of maintaining the health of human skin (epidermis) and an effect of maintaining the health of human skin (epidermal).
[0009]
That is, the present invention is characterized by having an activator / protective agent for neurons (claim 1) comprising a differentiation-inducing promoter derived from Candida albicans (claim 1), and having a neurite elongation effect. The nerve cell activating / protecting agent according to
[0010]
Further, the present invention provides a method for preventing and / or preventing a disease which requires a nerve cell activating / protecting action, characterized in that the nerve cell activating / protecting agent according to any one of
[0011]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Examples of the nerve cell activating / protecting agent and apoptosis inducing agent of the present invention include C.I. albicans-derived differentiation-inducing promoter, any substance may be used, and the term "C. albicans-derived differentiation-inducing promoter" refers to C. albicans-derived differentiation-inducing promoter. albicans, a substance that promotes the induction of mammalian cell differentiation. Albicans-derived differentiation-inducing promoters include CHO-K1 cells (cellular cell lines derived from Chinese hamster ovary) through differentiation induction and NB-1 (established from human neuroblastoma cells) through differentiation induction. HT1080 cells (human fibrosarcoma-derived cells), HT29 cells (human colon adenocarcinoma-derived cells), NB-4 (human promyelocytic leukemia cells), HL -60 (human promyelocytic leukemia cell), a low molecular substance having a growth inhibitory effect of UF-1 (human promyelocytic leukemia cell having acquired drug resistance), and a low molecular substance which does not act on normal human cells Substances are more preferred.
[0012]
C. As a method for extracting, separating and purifying the above-mentioned differentiation-inducing promoter from Albicans, for example, as shown in FIG. After culturing Albicans and the cells reached a substantially stationary phase, the cells were collected and washed, and then heat-extracted in a 1M acetic acid-20 mM hydrochloric acid solution at 100 ° C. for 10 minutes, and the obtained extract was concentrated under reduced pressure. The acetic acid and hydrochloric acid were repeatedly removed, and the extract was then subjected to SP-Sephadex C-25 (H + form), the impurities are removed by flowing 1 M acetic acid, and the substance adsorbed on the column is eluted with 2 M pyridine to obtain a fraction having germination tube formation-inducing activity. Gel filtration using Sephadex G-25, concentration under reduced pressure using SepPac Vac, gel filtration using TSKgel G2000SW, treatment using TSKgel Amide, and use of Super Peptide HR10 / 30 (Pharmacia) A method of performing gel filtration can be exemplified.
[0013]
In order to obtain a fraction having germination tube formation-inducing activity in the above separation / purification process, a Zinc medium (L-proline, sodium bicarbonate, sodium acetate, sodium phosphate (each of N-acetyl-D-glucosamine (manufactured by Sigma), (all
[0014]
In the present invention, C.I. Albicans-derived differentiation-inducing substances include the above-mentioned gel-filtered lyophilized products. The active ingredient has a molecular weight of 281 and a molecular structural formula of C. 18 H 35 Presumed to be NO, it is white water-soluble, stable to heating at 100 ° C, and stable even at neutral to acidic conditions (pH 3.0), but self-decomposes in an alkaline environment at pH 9 or higher. Molecular substances can be exemplified. FIG. 3 shows an ESI mass spectrum of the low-molecular substance using an LCT mass spectrometer (micromass).
[0015]
Examples of the nerve cell activating / protecting agent of the present invention include neurite elongation action, neurite densification action, and the like, preferably human brain nerve cell proliferation action, and nerve cells under stress. Preferably, it contains a substance having a protective effect on human brain nerve cells, and the apoptosis-inducing agent of the present invention preferably has an ability to induce apoptosis of tumor cells. The nerve cell activator / protective agent of the present invention can elongate neurites of normal nerve cells on the order of nanograms (has a function as a neurotrophic factor). Prolongs the survival time of certain nerve cells (protects neurons) and is useful as a new functional substance in the treatment of damaged central nervous tissue and neurodegenerative diseases, and is impaired for various reasons Application to the recovery of the function of nerves, especially cranial nerves, and the prevention of the decline of the function of aging nerves, especially cranial nerves. Its usefulness as a drug can be expected. Diseases requiring activation / protection of nerve cells include brain infarction, cerebral hemorrhage, subarachnoid hemorrhage, Alzheimer's disease, and Alzheimer's disease. Specific examples include Parkinson disease, cerebral contusion, and spinal cord injury.
[0016]
The apoptosis-inducing agent of the present invention is expected to be useful as an antitumor agent. When the nerve cell activating / protecting agent or apoptosis-inducing agent of the present invention is used as a pharmaceutical, in addition to these components, a pharmaceutically acceptable ordinary carrier, binder, stabilizer, and excipient are used. Formulation components for various preparations such as agents, diluents, pH buffers, disintegrants, solubilizers, solubilizers, and isotonic agents can be added. Such therapeutic agents can be administered orally or parenterally. That is, it can be orally administered in a commonly used dosage form, for example, a powder, granule, capsule, syrup, suspension or the like, or, for example, a solution, emulsion, suspension or the like. The preparation can be parenterally administered topically in the form of an injection, or can be administered intranasally in the form of a spray.
[0017]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to examples, but the technical scope of the present invention is not limited to these examples.
In addition, various test cells used were purchased from RIKEN (RIKEN Genebank), and the number of cells at the start of culture was 1-2 × 10 4 / Ml, 37 ° C, 5% CO 2 In the presence, the cells were cultured mainly using a 24-well multiplate, the number of cells was measured using an automatic blood cell counting device (manufactured by Nihon Kohden Corp., MEK-5254), and the state of the cells was observed using an inverted A microscope (BH-2, manufactured by Olympus Corporation) was used.
[0018]
Example 1 (Preparation of C. albicans-derived differentiation-inducing promoter)
C. albicans (JCM9061: obtained from Teikyo University Medical Mycology Research Center) was shake-cultured at 37 ° C. for 25 hours in a GPY liquid medium (
[0019]
Example 2 (CHO-K1 Differentiation-Inducing Ability and Growth Inhibition by C. albicans Extract) CHO-K1 cells (hereinafter referred to as CHO-K1) are ovarian cells of Chinese hamsters, which are tumorigenic. . These cells usually have a cobblestone shape as shown in FIG. 4 (see Reference Photo 2) (left). It is known that CHO-K1 undergoes cell differentiation when a certain differentiation inducer is added, and its morphology changes to fibroblast-like. FIG. 4 (see Reference Photo 2) (center) shows the case where a differentiation-inducing promoter (C. albicans extract) adjusted to 10 μg / ml was added to the cells and cultured for 5 days. As a result, it was found that the cell morphology clearly changed to fibroblast-like. Furthermore, when no differentiation-inducing substance was added (control), no clear change was observed inside the cells, but when a differentiation-inducing substance was added, actin filaments elongated along the long axis were formed inside the cells. Appearance was observed. The actin fibers were obtained by fixing cells in a usual manner, staining the cells with rhodamine / phalloidin, and observing them with a fluorescence microscope. FIG. 4 (see Reference Photo 2) (right) shows a culture obtained by adding 15 μM of cyclic AMP as a positive control substance for differentiation induction and culturing. Since the morphological changes of the cells and the appearance of actin fibers in the cells when the differentiation-inducing substance was added were almost the same, it was found that the differentiation-inducing substance had the ability to induce differentiation against CHO-K1. Was.
[0020]
Table 1 shows the results obtained by examining that the differentiation-inducing substance suppresses the proliferation of CHO-K1. When CHO-K1 was cultured under normal conditions, the average doubling time was 22 hours. However, when the cells were cultured with the differentiation-inducing substance added thereto, the doubling time of the cells was extended to about 24.5 times, that is, 44.5 hours, indicating that the proliferation was clearly suppressed. Cyclic AMP was added as a control, but the doubling time was clearly prolonged. Although not shown as data, the addition of a differentiation-inducing promoter at 40 μg / ml or more completely inhibited cell proliferation.
[0021]
The greatest characteristic of a tumor cell is that it is an undifferentiated cell and therefore keeps growing indefinitely. As shown in FIG. 4, CHO-K1 in the state where nothing is added allows cells in the form of cobblestones to continue to proliferate, but when a differentiation-inducing substance is added thereto, the cells differentiate and change their form. At the same time, the state of growth (speed) also changes. It is known that normal cells stop growing when they reach a certain number of cells until they come into contact with the surrounding cells (contact inhibition). In this experiment, when CHO-K1 was cultured with the addition of a differentiation-inducing promoter, the cell morphology changed to fibroblasts, and the doubling time of the cell number was very similar to that of normal fibroblasts. Met. This indicates that CHO-K1 as a differentiation-inducing substance has a growth-inhibiting effect through differentiation induction.
[0022]
[Table 1]
[0023]
Example 3 (Ability of C. albicans extract to induce differentiation into NB-1 cells)
NB-1 cells (hereinafter referred to as NB-1) are malignant tumor cells established from human neuroblastoma cells. When NB-1 is cultured in a normal state, the form shown in FIG. 5 (see Reference Photo 3) (upper left) is shown. Since the origin of this tumor cell is a nerve cell, the morphology of the cell partially shows the nerve cell, and a short neurite-like structure is also observed. FIG. 5 shows the results of examining the differentiation inducing ability of the differentiation-inducing promoter for NB-1. First, NB-1 was added with a differentiation-inducing promoter at 2 μg / well and cultured. As a result, as shown in FIG. 5 (see Reference Photo 3) (lower left), NB-1 significantly changed its morphology. The appearance was as when the cells were cultured. Further, it was observed that neurites, which are characteristic structures of nerve cells, were significantly elongated. This is due to the fact that "morphology is changed" as a result of the differentiation induction by the differentiation-inducing promoter as in the case of Example 2.
[0024]
One of the characteristic functions of nerve cells not found in other cells is signal transmission between nerve cells. It has long been known that acetylcholine is involved in this signaling. Acetylcholine that has completed transmission is rapidly degraded by acetylcholinesterase possessed only by nerve cells. This acetylcholinesterase is also known to be an enzyme specific to nerve cells. Therefore, the following experiment was performed to determine whether cholinesterase activity, which is not expressed in undifferentiated CHO-K1 under normal culture conditions, is induced in cells when differentiation is induced by a differentiation-inducing substance, as follows. Was.
NB-1 was added with a differentiation-inducing promoter adjusted to several concentrations and cultured for 5 days. The cells were collected, frozen and thawed repeatedly to destroy the cells, and the intracellular fluid was collected by centrifugation. The protein concentration of the collected intracellular fluid was kept constant, and a part thereof was reacted with acetylcotin at 37 ° C. for a certain time. At the end of the reaction time, the pH of the reaction solution was measured with a pH meter, and the difference between the pH before the start of the reaction and the end of the reaction was determined. When acetylcholine is decomposed by cholinesterase, acetic acid contained as a substrate is released, and as a result, the pH of the reaction solution is reduced. The test results are shown on the right side of FIG.
[0025]
When NB-1 was cultured without the addition of the differentiation-inducing promoter, no cholinesterase activity was detected, but when the NB-1 was cultured with the differentiation-inducing promoter at a concentration of 1.9 μg / well, the pH became about 0.06. Dropped. However, when a 10-fold amount (19 μg / well) was added, the decrease in pH was about half of the former. It was found that this was because the differentiation-inducing substance suppressed the proliferation of NB-1 itself. In addition, when the cells were cultured with the addition of a differentiation-inducing promoter, the expression of cholinesterase activity in NB-1 was observed. In this phenomenon, the masked function is expressed by the induction of differentiation, and as shown in FIG. 5 (see Reference Photo 3), the differentiation-inducing promoter induces both morphological differentiation and functional differentiation. They have the ability. Further, since neurite outgrowth of differentiated cells is remarkable, the differentiation-inducing promoter has the property of activating neurons. Further, similarly to NB-1, the differentiation-inducing promoter did not suppress the proliferation of GOTO cells derived from human neuroblastoma.
[0026]
Example 4 (Inhibition of HT1080 growth by C. albicans extract)
HT1080 cells are cells derived from human fibrosarcoma. In the methods of Examples 2 and 3 above, HT1080 cells were used instead of CHO-K1 cells and NB-1 cells, and the same method was used. It is known that HT1080 cells, which are tumor cells, originate from fibroblasts. Therefore, when a differentiation-inducing substance is added and cultured, the morphology does not change to fibroblast-like due to induction of differentiation. An experiment was performed with the prediction. However, no change in cell morphology was observed, contrary to the expectation. However, as shown in FIG. 6, after culturing for 7 days, 3.8 (μg / well) of the differentiation-inducing promoter was used as the control (no control). Compared with (addition), those using 7.2 (μg / well) or less clearly suppressed the growth of HT1080 cells to 1/5 or less.
[0027]
Example 5 (Inhibition of proliferation of two types of human colorectal cancer-derived cells by C. albicans extract) HT29 cells and Caco2 cells, representative of cells derived from human colorectal cancer (colon adenocarcinoma), were used in the experiment. FIG. 7 shows the results of culturing HT29 cells with the addition of a differentiation-inducing promoter. On the 5th day of culture, there is no difference in the degree of cell proliferation regardless of the presence or absence of the differentiation inducer, but on the 7th day of culture, those using 3.8 (μg / well) of the differentiation inducer were Compared with the control (without addition), those using 7.2 or less (μg / well) clearly suppressed the proliferation of HT29 cells to 1/7 or less. FIG. 8 shows the results of culturing Caco2 cells with the addition of a differentiation-inducing promoter. Unlike when HT29 cells were cultured, the differentiation-inducing promoter tended to suppress the growth of Caco2 cells, but no significant difference was observed between the addition and the absence of the differentiation-inducing promoter. Here, the growth inhibitory effect of the differentiation-inducing substance on two types of human colon cancer was examined, and as a result, the effect was confirmed only on HT29 cells. In addition, since these cancer cells are derived from glandular tissues, their morphological changes were observed by adding a differentiation-inducing promoter, but at least no morphological changes were observed. It is unclear why the differentiation-inducing promoter did not exert a growth inhibitory effect on Caco2 cells.
[0028]
Example 6 (Inhibition of human promyelocytic leukemia-derived cell growth by C. albicans extract)
Here, two representative human promyelocytic leukemia cells, NB-4 cells and HL-60 cells, and human promyelocytic leukemia cells UF-1 cells that have acquired drug resistance (Dr. Masahiro Kizaki, Keio University) The effect of the differentiation-inducing promoter on the growth inhibition was examined. That is, NB-4 cells and HL-60 cells were cultured with the addition of a differentiation-inducing promoter. As a result, as shown in FIG. 9 and FIG. 10, the differentiation inducer promotes the growth of NB-4 cells and HL-60 cells. As shown, the addition of the differentiation-inducing promoter resulted in about 1/4 of 3.8 μg / well addition and about 1/20 of 7.2 μg / well addition after 5 days of culture. In addition, the number of cells decreased, and a remarkable growth inhibitory effect was shown. In addition, using UF-1 which has acquired resistance to activated vitamin A (retinoic acid), which is known as an effective therapeutic agent for promyelocytic leukemia cells, the growth inhibitory effect of a differentiation-inducing promoter is examined. Was. FIG. 11 shows the result. The growth rate of UF-1 was slower than other tumor cells, and the number of cells reached about 10-fold in 4 weeks of culture. The test results in FIG. 11 show the progress of culturing for 4 weeks. After 18 days of culture, the differentiation-inducing substance was added at 7.2 μg / well, and there was a clear significant difference in proliferation.
[0029]
Activated vitamin A is widely used at present because it has a prominent therapeutic effect on promyelocytic leukemia. It has been clarified that its pharmacological action lies in the induction of differentiation of leukemia cells, and in vitro experiments have shown that leukemia cells are granulated or differentiated into monocytes by the action of activated vitamin A. However, as with other cancers, leukemia cells eventually acquire resistance to activated vitamin A and start new activities (unlimited growth), and the side effects of activated vitamin A itself gradually increase. The expression period shortens the remission period of the host. As shown in FIG. 11, the differentiation-inducing promoter clearly suppressed the proliferation of leukemia cells (UF-1 cells) that had already acquired resistance to activated vitamin A. Can be expected to be applied as an anticancer substance.
[0030]
Example 7 (Effect of C. albicans extract on normal human fibroblasts)
The cells used in the above Examples 2 to 6 are all tumor cells, and strongly respond to the anticancer drugs developed and marketed so far. However, on the other hand, it is often observed that these anticancer drugs have serious side effects on normal cells and tissue. Therefore, the present inventors investigated whether or not the differentiation-inducing promoter exerts toxicity on normal cells. In the experiments, W138 cells, which are commercially available normal human fibroblasts, were used to conduct experiments on the effects of differentiation-inducing substances on the growth and survival of W138 cells. The results are shown in FIG. 12 (see Reference Photo 4). As shown in FIG. 12, the growth rate of W138 cells is slow, and the number of cells increases about 2-3 times in one week of culture. Even when the differentiation-inducing substance was added during the culture of W138 cells, no difference was observed in the increase in the number of cells as compared with the case where no W138 cells were added. There was no difference. Further, as shown in FIG. 12, when the cells were cultured with the addition of the differentiation-inducing promoter, the cells proliferated well and the surface was smooth.
Table 2 summarizes the growth inhibitory and differentiation-inducing effects on the cells subjected to the experiment and the GOTO cells.
[0031]
[Table 2]
[0032]
Example 8 (Induction of apoptosis of NB-4 cells by C. albicans extract)
In Example 6, it was revealed that the differentiation-inducing promoter suppressed the growth of NB-4 cells. Therefore, the mechanism by which the proliferation occurred was examined. NB-4 was added with a differentiation-inducing promoter and cultured for 5 days. After completion of the culture, the cells were collected by centrifugation, and the cells were fixed with glutar according to a conventional method, and stained with Hoechst 33342 dye. The result of observing the stained sample with a fluorescence microscope is shown in FIG. 13 (see Reference Photo 5). As a result, the nuclei of the control (without the differentiation-inducing promoter) cultured cells showed almost normal morphology (FIG. 13A), but the nuclei of the cells cultured with the addition of the differentiation-inducing promoter were clearly fragmented. Was observed (FIG. 13B). This phenomenon indicates that cells are undergoing apoptosis. Further, it is known that DNA is fragmented when cells undergo apoptosis. However, as shown in FIG. 13C, when NB-4 is cultured with a differentiation-inducing substance added thereto, fragmentation occurs in the culture solution. It was confirmed that the resulting DNA appeared as a ladder (FIG. 13C,
[0033]
Example 9 (Proliferation of rat brain nerve cells by C. albicans extract)
In Example 3, it was suggested that the differentiation-inducing promoter had the property of supporting the proliferation of nerve cells. In this experiment, rat brain nerve cells were taken out and cultured, and the differentiation-inducing promoter was used. It was examined whether there was a difference in cell proliferation depending on the presence or absence of the addition. After anesthetizing a Wistar rat (male) of 11 to 12 days after birth, a portion rich in nerve cells (Neuron rich) and a portion mixed with nerve cells and glial cells (Neuron / Glia) are separately cut out from the cerebellum, About 1mm 3 And disperse the cells according to a standard method to reduce the number of cells to 1-2 × 10 5 / Ml, 37 ° C, 5% CO 2 In the presence, a differentiation induction promoting substance was added using a 24-well multiplate and cultured. After completion of the culture, the culture solution was removed, the cells were sufficiently washed with PBS, and the cells were repeatedly frozen and thawed to destroy the cells. Thereafter, SDS was added to solubilize the cells, and the protein concentration was measured by a dye binding method.
[0034]
As a result of the experiment, as shown in FIG. 14 (see Reference Photo 6), the amount of protein in the Neuron rich portion and the Neuron / Glia portion was clearly increased when cultured with the addition of the differentiation-inducing promoter. all right. Normal nerve cells are completely differentiated, and even if they are transferred into a test tube and cultured, the cells themselves do not divide and increase in number. However, it is known that, for example, when a substance such as nerve growth factor (NGF) is added, neurites outside the cells are significantly elongated. From these experimental results, it was inferred that the differentiation-inducing substance activates rat neurons and elongates their neurites, so that the amount of protein in the whole cultured cells is increased. In FIG. 14, the upper row shows the culture without addition of the differentiation-inducing promoter (control), the middle row shows the culture of Neuron rich cells with the addition of the differentiation-inducing promoter for 7 days, and the lower row shows the differentiation into Neuron / Glia cells in the same manner. The cells were cultured for 7 days with the addition of an induction promoting substance. When the cells were cultured with a differentiation-inducing substance added thereto, the density of neurites protruding from the neurons was high, and it was also observed that the neurites were remarkably elongated. Even when the differentiation-inducing substance was added at a concentration of 5 μg / well, no toxic effect on rat nerve cells was observed. This indicates that the differentiation-inducing substance has the ability to activate nerve cells. This effect of activating nerve cells can be applied to enhance communication between surviving nerve cells in brain tissue damaged by bleeding, infarction, accident, etc., and to promote recovery of lost (damaged) functions. Things.
[0035]
Example 10 (Protective action of brain neurons under stress by C. albicans extract)
The cerebellum was excised from Wistar rats (8 days old), and the granule cells were trypsinized and sorted to prepare nerve cells. The sorted cells were suspended in Eagle MEM medium (10% fetal calf serum added) and 5
[0036]
By adding Gln to nerve cells collected from the cerebellum of rats, a state in which neuronal damage is induced at the time of physiological abnormalities is reproduced. How it affected. Table 3 shows the results after 14 hours of culture and 20 hours after culture. As a result of a test using no additive as a control, about 90% of the neurons survived when only Gln was added after 14 hours of culture, but 10 to 20 ng of the differentiation-inducing promoter (KC) was simultaneously added. Upon addition, the cells showed similar or slightly higher viability than the control. In addition, even when only the differentiation-inducing promoter was added, the survival rate of nerve cells was higher than that of the control. In the results after 20 hours of culture, the survival rate of the cells when only Gln was added was about 60%. However, when 10 to 20 ng of the differentiation-inducing substance was added simultaneously, the cells were almost or slightly less than the control. It showed a higher survival rate. In addition, when only the differentiation inducer was added, the survival rate was clearly higher than that of the control. From these results, it was found that the differentiation-inducing promoter had a protective effect on nerve cells under stress, and had a function of extending the survival time of the cells.
[0037]
[Table 3]
[0038]
【The invention's effect】
As shown in Examples 2 to 10 above, C.I. The differentiation-inducing promoter, a substance extracted from Albicans, induced the differentiation of two types of tumor cells and suppressed the growth of seven types of tumor cells. Furthermore, it was also found that the differentiation-inducing substance activates human fibroblasts and rat neurons, and does not inhibit proliferation or has a lethal effect on these normal cells (Table 2). From these examples, it can be seen that the differentiation-inducing promoter is (1) used as a new anticancer substance in the medical field because it suppresses cell proliferation, and (2) because it activates fibroblasts. Utilization as a wound healing promoting substance in the field, and utilization as a skin (epidermal) health maintenance substance in the health science field, (3) having the ability to activate nerve cells and particularly elongate neurites Therefore, it is predicted that communication with other nerve cells will be vigorous. Therefore, by enhancing communication between surviving nerve cells in brain tissue damaged by bleeding, infarction, accident or the like, application to promotion of recovery of lost (damaged) functions can be expected.
[Brief description of the drawings]
BRIEF DESCRIPTION OF THE DRAWINGS FIG. FIG. 2 is a diagram showing the separation and purification of a substance exhibiting differentiation induction and tumor cell growth inhibitory activity from Albicans.
FIG. 2 is a diagram showing a bioassay of a substance showing an activity of inducing differentiation and inhibiting tumor cell proliferation of the present invention-a germination tube formation method.
FIG. 3 shows the C.I. It is a figure which shows the ESI mass spectrum using the LCT mass spectrometer (micromass) of the low molecular weight substance presumed as an active ingredient of the differentiation induction promotion substance derived from Albicans.
FIG. 4. C. CHO-K1 cells of the present invention. It is a figure which shows the differentiation induction ability of the substance derived from Albicans.
FIG. 5 shows C. cerevisiae against NB-1 cells of the present invention. It is a figure which shows the differentiation induction ability of the Albicans extract substance.
FIG. 6 shows C. elegans against HT1080 cells of the present invention. It is a figure which shows the growth inhibitory effect of Albicans extract substance.
FIG. 7 shows C. elegans against HT29 cells of the present invention. It is a figure which shows the growth inhibitory effect of Albicans extract substance.
FIG. 8 shows C. cerevisiae for Caco-2 cells of the present invention. It is a figure which shows the growth inhibitory effect of Albicans extract substance.
FIG. 9 shows C. cerevisiae against NB-4 cells of the present invention. It is a figure which shows the growth inhibitory effect of Albicans extract substance.
FIG. 10 shows C. elegans against HL-60 cells of the present invention. It is a figure which shows the growth inhibitory effect of Albicans extract substance.
FIG. 11 shows C. elegans against UF-1 cells of the present invention. It is a figure which shows the growth inhibitory effect of Albicans extract substance.
FIG. 12 shows C. derivatized against WI38 cells of the present invention. It is a figure which shows the growth inhibitory effect of Albicans extract substance.
FIG. 13 shows the C.I. It is a figure showing induction of apoptosis of NB-4 cells by Albicans extract.
FIG. 14 shows the effect of C. cerevisiae on the proliferation of rat brain nerve cells of the present invention. It is a figure showing the effect of Albicans extract substance.
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