JP2004128651A - オーディオデータ配信装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PCMオーディオデータを複数の分割データに分割し、分割データ単位でエンコード処理を行いながら、エンコードしたMP3データをストリーミング配信する。無線LANの通信状態を監視し、その通信状態の変化に合わせて、分割データ毎に、エンコードするビットレートを更新する。これにより、そのときの通信状態で伝送可能な最良の音質のMP3データの伝送が可能になり、音飛びや音質の低下がなくなる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ネットワーク等を介してオーディオデータをストリーミング配信するオーディオデータ配信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
LANやインターネット等を介したオーディオデータのストリーミング配信のデータ形式としてMP3が用いられる場合が多い。MP3データは、PCMオーディオデータの約1/11(128kbps)のデータサイズ(ビットレート)でPCMオーディオデータとほぼ同様の音質を得ることができるためである。MP3のオーディオデータを配信するサーバは、MP3にエンコードしたオーディオデータを蓄積記憶しており、クライアント装置(端末装置)から配信要求(リクエスト)があると、このリクエストに応じてMP3オーディオデータをストリーム配信する装置である。
【0003】
また、MP3データは、128kbpsのビットレートに固定されているわけではなく、これ以外に64kbpsなど種々のビットレートでエンコードすることができ、曲の途中でビットレートを変化させるVBR方式のエンコード方式も実用化されている。VBR方式は、たとえば曲中の静かな箇所についてはビットレートを下げてデータ量を節約し、複雑な構成の楽音の部分についてはビットレートを上げて楽音の再現性を良くするという方式であり、これにより同じデータ量であってもビットレート固定方式(CBR)よりも音質を向上させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ネットワークを介した通信状態、特に無線LANなど無線を介した通信の状態は、電波伝搬の環境や輻輳の状態などの影響によって種々変化し、伝送可能なビットレートも刻々変化する。しかし、上記従来のサーバ装置では、予めMP3にエンコードしたオーディオデータを記憶しているため、通信状態に対応してビットレートを変化させることができなかった。
【0005】
特に、1曲のオーディオデータを配信している途中でも通信状態は刻々と変化するが、このように曲の途中で通信状態の変化に対応してビットレートを変化させることは不可能であった。また、予めエンコードされているMP3データのなかにもビットレートが途中で変化するものもあるが、これは上記のように曲中の楽音の変化に合わせたものであり、通信状態に変化に動的に対応させたものではなかった。
【0006】
この発明は、通信状態の変化に応じて動的にビットレートを変更してオーディオデータを配信することができるオーディオデータ配信装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、オーディオデータをエンコードするエンコード手段と、エンコードされたオーディオデータを通信網に送出する通信手段と、オーディオデータを複数の分割データに分割してエンコード手段に供給する分割手段と、通信網の状態を監視し、各分割データのエンコード時に、そのときの通信網の状態に応じたビットレートをエンコード手段に指示するビットレート指示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明において、エンコード手段には、(1曲の)オーディオデータを複数に分割した分割データが供給される。エンコード手段は、この分割データ、すなわち分割されたオーディオデータをエンコードして通信手段に供給するが、エンコード時のビットレートを可変することができる。エンコード手段がどのようなビットレートでオーディオデータをエンコードするかは、ビットレート指示手段によって指定される。ビットレート指示手段は、エンコードされたオーディオデータが送出される通信網の状態を監視しており、その状態に応じてビットレートを決定する。オーディオデータは複数の分割データに分割されているため、各分割データ毎に、その分割データをエンコード・送出する直前にそのときの通信網の状態に応じてビットレートを決定することにより、そのときの通信状態に応じた最適なビットレートを選択することができる。
【0009】
なお、通信網の状態は、以下のような方式で判断することができる。配信をTCPプロトコルで行う場合には、再送頻度に基づいて判断することができる。通信網が無線LANの場合には、電波強度に基づいて判断することができる。この場合において、サーバ装置はクライアント装置から制御信号を受信するため、この制御信号の強度に基づいてクライアント装置との通信網の状態を判断することができる。また、クライアント装置からサーバ装置に対して別途受信品質の情報を送信するようにしてもよい。
また、クライアント装置におけるオーディオデータのバッファ量をサーバ装置に送信し、サーバ装置がこのバッファ量も考慮に入れてビットレートを決定するようにしてもよい。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記エンコード手段がPCMオーディオデータをMP3データにエンコードし、前記分割手段が各分割データにその前後の分割データと重なり合うオーバーラップ区間を持たせて分割し、さらに、エンコード手段によってエンコードされた各分割データが重なり合うことなく再結合できる結合箇所を、各分割データの前記オーバーラップ区間のなかで決定し、この結合箇所で各分割データを再結合して通信手段に供給する結合手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
MP3データへのエンコード処理は、エンコードするデータ(フレーム)だけでなくその前後のデータも用いて処理を行うため、分割データの端部のエンコードされたデータは分割しない状態でエンコードされた場合と異なる内容になってしまう。そこで、分割データをオーバーラップさせ、このオーバーラップしている区間の適当な位置(結合フレーム)で各分割データを結合するようにした。これにより、分割データの端部のデータを使用しないで分割データを再結合することができ、分割してエンコード処理しても全体を1つのデータとしてエンコード処理した場合と同じ内容にすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図面を参照してこの発明の実施形態であるオーディオサーバ装置について説明する。図1はオーディオサーバ装置1、および、このオーディオサーバ装置1に無線LAN3を介して接続されるクライアント装置2からなるオーディオデータ配信システムのブロック図である。オーディオサーバ装置1は、複数の曲の曲データ(PCMオーディオデータ)を記憶しており、クライアント装置2からリクエストがあるとそのリクエストに対応する曲データを読み出し、この曲データをリアルタイムにMP3データに変換(エンコード)しながら、これを無線LAN3を介してクライアント装置2にストリーム配信する。
【0013】
PCMオーディオデータのMP3データへの変換は1曲全部を通して行うのではなく、曲を複数の分割データに分割し、各分割データ毎にMP3エンコードする。各分割データのビットレートは、無線LAN3の通信状態を監視しながらエンコード直前に決定される。これによって、そのときの通信状態に対応した最適のビットレートを選択することができる。
【0014】
PCMオーディオデータのMP3へのエンコードは、エンコード対象のデータ(フレーム)だけでなく、その前後のデータも参照して行うため、分割データの結合部が不連続にならないように、前後の分割データが重なり合うオーバーラップ区間を設けて分割データを作成し、MP3にエンコードしたのちこのオーバーラップ区間で前後の分割データを結合しながらクライアント装置2に送信する。
【0015】
図1において、オーディオサーバ装置1は、CPU10、CD−ROMドライブ11、HDD12、DSP13、および、無線LAN制御部14を有している。
CD−ROMドライブ11、HDD12は、PCMオーディオデータを記憶する記憶手段であり、複数の曲のPCMオーディオデータを記憶している。
CPU10は、このオーディオサーバ装置の動作を制御する制御装置であり、クライアント装置からのリクエストに対応して曲データ(PCMオーディオデータ)をCDまたはHDDから読み出し、この曲データを複数の分割データに分割し、MP3エンコードされた分割データを結合して、無線LAN制御部14に入力する、などの処理を実行する。
【0016】
DSP13は、CPU10から供給されたPCMオーディオデータをMP3にエンコードするためのプロセッサである。PCMオーディオデータは、複数の分割データとして供給されるが、各分割データ毎にビットレートが指定され、その指定されたビットレートでMP3にエンコードする。
無線LAN制御部14は、IEEE802.11bのプロトコルで無線ネットワーク通信が可能な制御部であり、クライアント装置2からのリクエストを受信するとともに、このリクエストに応じてMP3エンコードされたオーディオデータをストリーム配信する。また、通信状態はこの無線LAN制御部14が監視している。
【0017】
一方、クライアント装置2は、CPU20、無線LAN制御部21、DSP22、DAコンバータ23、アンプ24、スピーカ25などを備えている。
CPU20は、このクライアント装置2の制御装置であり、ユーザが入力したリクエストを無線LAN制御部21を介してオーディオサーバ装置1に送信するとともに、無線LAN制御部21を介して受信したMP3データをDSP22に入力する。
無線LAN制御部21は、IEEE802.11bプロトコルで前記サーバ装置1の無線LAN制御部14と通信し、リクエストを送信するとともに、MP3にエンコードされたオーディオストリームデータを受信する。
DSP22は、受信したMP3データをPCMオーディオデータにデコードするプロセッサである。受信したMP3データのビットレートは、各フレーム毎にサイドインフォメーションに書き込まれており、このビットレートに合わせてMP3データをPCMオーディオデータにデコードする。
アナログ回路部は、DAコンバータ23、アンプ24、スピーカ25からなり、DSP22がデコードしたPCMオーディオデータをアナログオーディオ信号に変換して増幅・出力する。
【0018】
上記の構成のオーディオデータ配信システムにおいて、無線LAN3の通信状態が、無線LAN制御部14によって監視され、その通信状態に応じて決定されたビットレートでPCMオーディオデータがMP3データにエンコードされる。図2は、そのエンコード手順を説明する図である。
リクエストに対応して読み出された曲データ(PCMオーディオデータ)は、同図最上段に示すように長いものであるため、これを複数の分割データに分割する。同図では、9個の分割データに分割している。各分割データは前後の分割データと互いに重なり合うオーバーラップ区間を設けて作成されている。
各分割データを、順次それぞれ別々にMP3エンコードし、このエンコードしたデータを結合してクライアント装置2にストリーミング配信する。分割データの結合は、互いに重なり合うオーバーラップ区間の適当なフレーム(結合フレーム)で行う。
【0019】
CPU10はDSP13がエンコードしたMP3データを先頭から順次無線LAN制御部14に入力する。無線LAN制御部14はこのデータをストリーミング配信するとともに、無線LANの通信状態を監視する。
【0020】
ここで、通信状態は、以下のような方式で判断することができる。配信をTCPプロトコルで行う場合には、再送頻度に基づいて判断することができる。通信網が無線LANの場合には、電波強度に基づいて判断することができる。この場合において、サーバ装置はクライアント装置から制御信号を受信するため、この制御信号の強度に基づいてクライアント装置との通信網の状態を判断することができる。また、クライアント装置からサーバ装置に対して別途受信品質の情報を送信するようにしてもよい。
【0021】
この通信状態に基づいてPCMオーディオデータをMP3データにエンコードするときのビットレートが決定される。このビットレートの変更は分割データ単位で行われ、直前の分割データをストリーミング配信している期間の通信状態に基づいて次の分割データのビットレートが決定される。
【0022】
図3は、オーディオサーバ装置1のオーディオデータ配信手順を示すフローチャートである。クライアント装置2からリクエストが入力されると(s20)、このリクエストに対応する曲データ(PCMオーディオデータ)をCDまたはHDDから読み出す(s21)。そして、この曲データを複数の分割データに分割する(s22)。そして、先頭の分割データをデフォルトのビットレートでMP3エンコードするとともに(s23)、これを無線LAN制御部14を介してストリーミング配信する(s24)。この配信と並行して無線LAN3の通信状態を監視する(s25)。このs23、s24、s25は先頭の分割データのエンコード処理が終了するまで並行して行われる。そして、(先頭の)分割データのエンコードが終了すると(s26)、この分割データのストリーミング配信の通信状態に基づいて次の分割データのビットレートを決定する(s27)。
【0023】
この新たに決定されたビットレートで次の分割データのエンコードを開始し、オーバーラップ区間をエンコードし終えたところで直前の分割データと今回の分割データとを結合し(s31)、直前の分割データのストリーミング配信に続けて今回の分割データのストリーミング配信を開始する(s32)。そして、今回の分割データが最終分割データの場合には(s33)、この分割データの配信終了を待って(s34)、動作を終了する。この分割データが最終分割データでない場合にはs25に進む。
【0024】
以上のようにこのオーディオサーバ装置では、PCMオーディオデータを複数の分割データに分割し、各分割データをそのときの通信状態に合わせたビットレートでMP3にエンコードすることで、そのときの通信状態に対応した音飛びしない最良の音質でオーディオデータを配信できるようにしている。
ただし、上述したようにPCMオーディオデータをMP3データにエンコードするとき、エンコードするデータの前後のデータも用いてエンコードするため、分割データを再結合したとき曲データ全部を一度にエンコードした場合と内容が異なってしまわないように、オーバーラップ区間を設けて分割データを作成し、このオーバーラップ区間を用いて分割データを再結合することによって、曲データを全部を一度にエンコードした場合と同様に、データの連続性が保たれる。
【0025】
以下、MP3データの構成と分割・結合の手順について説明する。
図4はMP3データのデータ構成を示す図である。MP3データは、PCMオーディオデータの1152サンプルで1フレームを構成する。各フレームの構成は同図(b)に示すように、ヘッダ、サイドインフォメーション、メインデータなどからなり、ヘッダ内の情報のうち、サンプルレート、ビットレート、パディングの有無の情報によりフレームサイズを割り出すことができる。すなわち、1フレームの大きさ(byte数)は、144×(ビットレート)÷(サンプルレート)で決定される。たとえは、ビットレート:128kbps、サンプルレート(サンプリング周波数fs):44.1kHzの場合;
144×128000/44100=417byte
であり、小数点以下は切り捨てられるが、MP3データ全体としての伝送ビットレートを合わせるために数フレームに1つの割合で1byteを加算(パディング)したフレームが構成される。数フレームに1つの割合で418バイトのフレーム(パディングフレーム)を作成する。
【0026】
また、サイドインフォメーションには、メインデータビギンというデータが書き込まれている。このデータは、MP3エンコードされた上記1152サンプルの符号化データ部(メインデータ)がどこから(メインデータのどの位置から)始まるかを示すデータである。ここで、MP3フォーマットの1フレームは、上記のように1152サンプルを対象としたものであるが、この1152サンプル分の符号化データ部(メインデータ)を、このフレーム以外の複数の隣接フレームのメインデータエリアにまたがって配置することを許容している。すなわち、1152サンプルのPCMデータをエンコードしたときのデータサイズはそのPCMデータの状態に応じて変化させることができる。これにより、単調な音の区間ではデータ量を少なく、複雑で変化に富んだ区間にはデータ量を多く割り振ることで、音質を考慮したデータ配分を行うことができる。また、このとき生じるフレーム毎のデータ配分量の差異は、複数の隣接フレーム間でそれぞれのメインデータサイズを調節することで吸収し、データ量が多い区間により大きなメインデータエリアを割り当てるようにする。その結果として、データ量の少ない区間では、メインデータエリアの後ろの部分に余白ができることで、次のフレーム以降のデータ量の多い区間により多くのデータを配分するための余裕分が生じることになる(ビット貯蔵)。
【0027】
そして、次のフレームのメインデータは、そのフレームのメインデータエリアからでなく、このビット貯蔵されている前のフレームのメインデータエリアの途中から書きはじめる。これによって、配信のビットレートを変更することがなくなるうえ、その分のメインデータエリアのエリアを節約している。そして、なかには、エンコードしたメインデータのサイズが1フレームのメインデータエリアの大きさよりも大きい場合があるが、上記のように他のフレームでビット貯蔵しているため、このようなデータを書き込んでも、全体としてフレーム数に対応したメインデータエリアのデータ量に対応するデータ量に収めることができる。
【0028】
図4(C)にビット貯蔵の例を示す。これは曲の途中のフレームを示す図であり、フレーム(1) のメインデータエリアにはフレーム(2) のメインデータの後半部、フレーム(3) のメインデータおよびフレーム(4) のメインデータの先頭部分が書き込まれている。そして、フレーム(4) のメインデータの残りの部分は、フレーム(2) のメインデータエリアに書き込まれている。このように、メインデータがフレームの範囲を越えて書き込まれるため、PCMオーディオデータの内容に応じて、ビット数を節約できるフレームではメインデータを小さくしてビット貯蔵し、複雑なPCMデータのフレームでは、貯蔵されているビットを借りて1フレームを超える大きさのデータを書き込むことができ、全体としてのデータ量を増加させることなく高音質のエンコードをすることができる。
【0029】
MP3エンコードにおいては、処理対象フレームとその前後の隣接フレームの半分にわたったフィルタ処理を行う。このため、データを分割してしまうと、その分割点付近のフレームでは隣接フレームの有無による影響が生じてしまう。また、MP3データにはビット貯蔵によるメインデータの移動があるため、オーディオデータを時間軸上でオーバーラップ無しに切断した分割データを単純に結合するのみでは再結合されたデータが不連続になってしまう。
そこで、PCMオーディオデータを分割するときに前後の分割データに重なり合うオーバーラップ区間を設け、MP3にエンコードしたのち、このオーバーラップ区間内で最適な結合フレームを割り出し、メインデータの連続性を維持しつつ前記割り出された結合フレームで分割データを結合するようにしている。
【0030】
図5は、PCMオーディオデータの分割処理を説明する図である。オーディオデータを分割する場合、各分割データがMP3の1フレームのサンプル数(この実施形態では1152サンプル)の整数倍になるように分割する。さらに、各分割データが前後の分割データと数フレーム分のオーバーラップ区間を共有するように、このオーバーラップ区間を両方に重複させて分割データを作成する。オーバーラップ区間のフレーム数は、上記のフィルタ処理で必要な隣接フレームをカバーできるフレーム数およびビット貯蔵が適合するフレームを検索するためのフレーム数を加算したフレーム数とする。
【0031】
同図では、1曲のオーディオデータを4分割し、各分割データが均等に同じ長さになるように調節している。このため、各分割データの長さ(フレーム数)をbase+ovlのフレーム数にしている。なお、基本分割フレーム数baseは、総データフレーム数;size、分割数;N、オーバーラップフレーム数;ovlとすると、(size−ovl)/Nで求めることができる。したがって、最初の分割データおよび最後の分割データは、隣の分割データとオーバーラップするのは片方のみであるため、両方ともオーバーラップする中間の分割データに比べてオーバーラップしない区間がovl/2だけ長くなっている。
【0032】
なお、元々のPCMオーディオデータのデータ長(サンプル数)がMP3の1フレームのサンプル数(1152サンプル)の整数倍でない場合には、最後の1フレームは短いフレームとなる。また、PCMオーディオデータのフレーム数が分割数Nで割り切れる数でなかった場合には、最後(N番目)の分割データは他の分割データよりも短い分割データとなる。
【0033】
先頭の分割データから順次MP3データにエンコードされてゆくが、1つの分割データがMP3にエンコードされ、その次の分割データの先頭部分がMP3データにエンコードされると、このMP3エンコードされた分割データを結合して連続するMP3データに再編集する。
【0034】
図6および図7は、結合フレーム検索処理を説明する図である。図6(A)は、分割データMP3(1) と分割データMP3(2) とを結合する場合について説明している。分割データMP3(1) のうちオーバーラップ区間の最後の2フレームは、終了点差などの影響を受ける区間であるため、それ以前のフレームの品質を確保するためのダミーフレームとして捨てることとする。また同様に、分割データMP3(2) のうちオーバーラップ区間の最初の2フレームは、フィルタリング遅延や開始点差などの影響を受ける区間であるため、それ以後のフレームの品質を確保するためのダミーフレームとして捨てることとする。したがって、オーバーラップ区間のうち両端の2フレームずつを除いた中央のフレームのどれかを結合フレームとするため、この区間の分割データMP3(1) 、分割データMP3(2) の対応する各フレームのメインデータビギン(ビット貯蔵値)の適合性をチェックする。
【0035】
すなわち、同図(B)に示すように、前のデータである分割データMP3(1) のメインデータビギンが、後のデータである分割データMP3(2) のメインデータビギンと同じか、または、それよりも手前にあれば、分割データMP3(1) のメインデータと分割データMP3(2) のメインデータを重なり合うことなく結合することができる。
【0036】
なお、ビット貯蔵に応じて複数の隣接フレーム間でデータ配分を調節するときは、エンコードを行うPCMデータの聴覚的情報量とその時点のビット貯蔵値によって配分量を決定する。このため、オーバーラップ領域について同じPCMデータに対してエンコードを行ったとしても、オーバーラップ領域の始端からエンコードを開始したものと、その前からエンコードをしてきたものとでは、オーバーラップ領域に至るまでのエンコード過程が異なるため、それぞれのビット貯蔵値が異なる。したがって、結果として、それぞれのオーバーラップ領域のビット貯蔵値とメインデータビギン値は異なるものになる。このため、図6(A)に示すオーバーラップ領域のうち両端を除く全域にわたってメインデータビギンを比較し、メインデータが重ならない範囲でMP3(1) のメインデータビギンとMP3(2) のメインデータビギンが近いフレームを検索して、それを結合フレームとする。
【0037】
メインデータが重ならない範囲で、MP3(1) のメインデータビギンとMP3(2) のメインデータビギンが近いフレームで両分割データを結合すると、図6(B)の下段に示す結合後のメインデータのマージン(空白エリア)が少なくなり、空白を埋めるためのダミーデータを少なくしてメインデータエリアを有効に使うことができる。
【0038】
図7は、CPU10が実行する結合フレーム検索動作を示すフローチャートである。まず、s1で検索範囲およびレジスタのリセットを行う。結合する分割データMP3(1) 、MP3(2) のオーバーラップ区間のうち、両端のデータを除いた検索範囲の先頭フレームの番号をそれぞれi、jにセットし、検索範囲の最終フレームの番号をそれぞれend_i、end_jにセットする。また、メインデータビギンの差が最小のフレーム番号を記憶するレジスタmin_i、min_jにダミーデータとして−1をセットする。
【0039】
以下、検索範囲の先頭フレームから最終フレームまでメインデータビギンを比較してゆく。分割データMP3(1) のフレームiのメインデータビギンを読み出してレジスタAに書き込み(s2)、分割データMP3(2) のフレームjのメインデータビギンを読み出してレジスタBに書き込む(s3)。このレジスタA、Bの内容を比較して結合条件(A≧B)を満たし(s4)、且つ、その差(A−B)が今まで比較したフレームのうち最も小さい場合には(s5)、これを結合フレームとするため(A−B)をminレジスタに書き込むとともに、そのフレーム番号i、jをmin_i、min_jに書き込む(s6)。上記の処理をi、jに1を加算しながら(s7)、最終フレームend_i、end_jについて処理するまで繰り返し実行する(s8)。
【0040】
全てのフレームについて上記の処理を行ったのち、min_i、min_jを結合フレームと決定して、結合処理に進む(s10)。このとき、もしフレーム番号min_iがダミーデータ(−1)のままであれば、A≧Bを満たすフレームが無かったものとして、結合処理に進まずにエラー処理(s11)に進む。
【0041】
図8はMP3エンコードされた分割データの結合処理を説明する図である。この処理では、上記の処理で決定された結合フレームで分割データMP3(1) と分割データMP3(2) を結合する。同図では、MP3(1) の結合フレームmin_iのメインデータビギン(ビット貯蔵値)が160であり、MP3(2) の結合フレームmin_jのメインデータビギン(ビット貯蔵値)が150の場合を示している。
【0042】
まず、分割データMP3(2) において、結合フレームmin_jより前に繰り上げられている150サンプルのメインデータを読み出して蓄積しておく。次に、分割データMP3(1) において、結合フレームmin_iのメインデータビギンが存在するフレームから結合フレームの直前(min_i−1)のフレームまでを合成対象フレームとする。この合成対象フレームにおいて、ヘッダ、サイドインフォメーション、フレームサイズ、および、結合フレームmin_iのメインデータビギン以前のメインデータについては、分割データMP3(1) のものを用いる。そして、そのメインデータにつづけて上記(A−B=min)のサイズのダミーデータを挿入したのち、上記蓄積しておいた結合フレームmin_j以後の分割データMP3(2) のメインデータをMP3(1) のメインデータエリアに書き込む。
そして、上記合成対象フレームより後の(結合フレームmin_jを含む)フレームは分割データMP3(2) のものを結合する。
【0043】
なお、この実施形態では、PCMオーディオデータをMP3データにエンコードする場合の処理について説明したが、これ以外の形式であっても、エンコード時にエンコード箇所よりも前または後のデータが必要なエンコード方式であれば全て適用可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上のようにこの発明によれば、オーディオデータを複数の分割データに分割し、分割データ毎にエンコードしながらストリーム配信するようにし、各分割データ毎にビットレートを決定するようにしたことにより、刻々と変化する通信状態に対応して最良のビットレートでオーディオデータをストリーム配信することができる。
【0045】
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態であるオーディオサーバ装置のブロック図
【図2】同オーディオサーバ装置のオーディオデータのエンコード・配信の手順を説明する図
【図3】同オーディオサーバ装置の動作を示すフローチャート
【図4】MP3データのフォーマットを説明する図
【図5】オーディオサーバ装置のCPUの分割処理を説明する図
【図6】同CPUの結合フレーム解析処理を説明する図
【図7】同CPUの結合フレーム解析処理動作を示すフローチャート
【図8】同CPUの結合処理を説明する図
【符号の説明】
1…オーディオサーバ装置、2…クライアント装置、3…無線LAN、
10…CPU、11…CD−ROMドライブ、12…HDD、13…DSP、14…無線LAN制御部、
20…CPU、21…無線LAN制御部、22…DSP、23…DAコンバータ、24…アンプ、25…スピーカ
Claims (2)
- オーディオデータをエンコードするエンコード手段と、
エンコードされたオーディオデータを通信網に送出する通信手段と、
オーディオデータを複数の分割データに分割してエンコード手段に供給する分割手段と、
通信網の状態を監視し、各分割データのエンコード時に、そのときの通信網の状態に応じたビットレートをエンコード手段に指示するビットレート指示手段と、
を備えたオーディオデータ配信装置。 - 前記エンコード手段は、PCMオーディオデータをMP3データにエンコードする手段であり、
前記分割手段は、各分割データにその前後の分割データと重なり合うオーバーラップ区間を持たせて分割する手段であり、
さらに、エンコード手段によってエンコードされた各分割データが重なり合うことなく再結合できる結合箇所を、各分割データの前記オーバーラップ区間のなかで決定し、この結合箇所で各分割データを再結合して通信手段に供給する結合手段を備えた請求項1に記載のオーディオデータ配信装置。
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