JP2004128082A - 圧電素子駆動方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】互いに独立に制御される少なくとも2つの圧電素子が同時に充電、放電するときの駆動用電源の負荷を軽減すること。
【解決手段】CCD3を搭載した二次元ステージ1をX軸及びY軸に微小変位する2つの圧電素子2a、2bを共に変位させるとき、これら圧電素子2a、2bに有する各静電容量Cに対する充放電する各タイミングを所定時間内、例えば時間Δtでずらす。
【選択図】 図1
【解決手段】CCD3を搭載した二次元ステージ1をX軸及びY軸に微小変位する2つの圧電素子2a、2bを共に変位させるとき、これら圧電素子2a、2bに有する各静電容量Cに対する充放電する各タイミングを所定時間内、例えば時間Δtでずらす。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば撮像素子を搭載した二次元ステージを微動させて高解像度の画像データを取得する撮像装置に関わり、少なくとも2つの圧電素子を用いて二次元ステージを微動させる圧電素子駆動方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電素子は、印加電圧に応じてマイクロメートル(μm)オーダで再現性良く伸張又は収縮する特性を有する。この圧電素子は、例えば梃子などの機械的な機構と組み合わせることにより、サブミクロンレベルで高精度な位置決め用のアクチュエータとして広く用いられる。
【0003】
特にステージ機構としては、例えば印加電圧を独立に制御可能な2つ乃至3つの圧電素子を備え、これら圧電素子を駆動して二次元ステージを2軸乃至3軸で微小変位させるものがある。
【0004】
このようなステージ機構は、例えば高解像度の画像データを取得するための撮像装置に用いられる。すなわち、ステージ機構は、例えばCCDなどの撮像素子を二次元ステージ上に搭載し、撮像素子を撮像面に平行な平面内で微小変位させる。そして、二次元ステージの微小変位毎に撮像素子により撮影を行い、複数枚の画像データを合成処理することにより撮像素子の単体が元来持つ解像度よりも高い解像度の画像データが取得される。
【0005】
このように撮像素子を微小変位させて複数枚の画像データを取得し、これら画像データを合成処理して高解像度の画像データを取得する方式を画素ずらし方式と称する。
【0006】
このようなステージ機構は、例えば画素ずらし静止画カメラの二次元ステージや、走査プローブ顕微鏡のスキャナ機構の駆動のための三次元ステージに応用される。
【0007】
圧電素子は、容量性負荷であるので、定常状態にあっては、殆どエネルギを消費しない。ところが、圧電素子は、駆動の瞬間に電荷を充電、放電するための変位電流が流れ、駆動用電源からエネルギを供給しなければならない。この変位電流Iは、圧電素子への印加電圧をV、圧電素子の持つ静電容量をC、時間をtとすると、
I=C・dV/dt …(1)
の関係がある。すなわち、圧電素子を高速に変位させるほど、大きな変位電流Iが流れる。
【0008】
一般的な圧電素子は、数μmの変位を得るために、数十V乃至数百Vの電圧を印加する必要がある。このため、駆動用電源から圧電素子に流れる負荷電流が比較的少なくても、駆動用電源に対する負荷は大きい。
【0009】
さらに、複数の圧電素子に有する各容量を同時に充放電する場合には、駆動用電源に対する最大負荷が圧電素子の個数に比例して大きくなる。例えば、位置決め用の二次元ステージは、2つの圧電素子により互いに垂直なX軸及びY軸に駆動する。
【0010】
図5に示すようにかかる二次元ステージ1は、2つの圧電素子(piezo)2a、2bによりX軸及びY軸に微小変位する。二次元ステージ1上には、CCD3が搭載されている。この二次元ステージ1は、例えば図6に示すシーケンスに従って2つの圧電素子2a、2bを駆動する。
【0011】
図6は一方の圧電素子2aへの印加電圧Vx、他方の圧電素子2bへの印加電圧Vy、一方の圧電素子2aに流れる電流Ix、他方の圧電素子2bに流れる電流Iy、電源(+V)から2つの圧電素子2a、2bに流れる充電電流の総和、電源(−V)から2つの圧電素子2a、2bから流れる放電電流の総和を示す。
【0012】
このシーケンスでは、X軸とY軸との各圧電素子2a、2bを同時に駆動する場合、これら圧電素子2a、2bが同時に充放電するタイミングt1、t2において、電源(+V)から2つの圧電素子2a、2bに流れる充電電流の総和、電源(−V)から2つの圧電素子2a、2bから流れる放電電流の総和を示されるように、駆動用電源に対する負荷が1つの圧電素子2a又は2bを駆動するときに比べて最大2倍となり、駆動用電源に対する負荷が著しく増大する。
【0013】
一般に、高電圧かつ大電流出力の電源回路は、大型でかつ高コストである。従って、圧電素子の駆動に要する電流を極力抑制した駆動方法を用いることができれば、圧電素子の駆動装置の省電力化のみならず、圧電素子の駆動装置を内蔵した工業製品の小型化、低コスト化が実現でき、極めて有用である。
【0014】
かかる技術として例えば特許文献1には、2つの以上の圧電素子を交互に充放電する系において、ある圧電素子が放電するときの放電電荷をサイリスタを通して他方の圧電素子の充電電荷として転流させることにより、駆動電源から供給するエネルギの利用率を高めることが記載されている。
【0015】
【特許文献1】
特開平5−206537号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1は、駆動用電源に対して並列接続された各圧電素子間で電荷を転流させることによりエネルギ効率を向上させるもので、図5に示すように二次元ステージ1を2つの独立した圧電素子2a、2bの各駆動によりX軸、Y軸に微小変位させるものとは相違する。このため、それぞれ制御が独立した複数の圧電素子にエネルギを供給する駆動用電源の負荷を軽減することはできない。
【0017】
そこで本発明は、互いに独立に制御される少なくとも2つの圧電素子が同時に充電、放電するときの駆動用電源の負荷を軽減できる圧電素子駆動方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも2つの圧電素子に対してそれぞれ電圧を印加して各圧電素子を駆動する圧電素子駆動方法において、各圧電素子を共に変位させるとき、各圧電素子に有する各静電容量に対する充放電する各タイミングを所定時間内でずらすことを特徴とする圧電素子駆動方法である。
【0019】
本発明の圧電素子駆動方法は、少なくとも2つの圧電素子のうち一方の圧電素子は、対象物を一方向に微動し、他方の圧電素子は、対象物を一方向に対して垂直な他方向に微動させる。
【0020】
本発明は、少なくとも2つの圧電素子に対してそれぞれ電圧を印加して各圧電素子を駆動する圧電素子駆動装置において、各圧電素子にそれぞれ電圧を印加する各増幅器と、各圧電素子を共に変位させるとき、各増幅器から各圧電素子にそれぞれ電圧を印加したときの各圧電素子に有する各静電容量での各充放電の各タイミングを所定時間内でずらす制御手段とを具備したことを特徴とする圧電素子駆動装置である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図5と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0022】
図1は圧電素子駆動装置の構成図である。この圧電素子駆動装置は、CCD3が搭載された二次元ステージ1を2つの圧電素子2a、2bによりX軸及びY軸に微小変位する。この圧電素子駆動装置は、例えば高解像度の画像データを取得する静止画電子カメラの画素ずらし機構に適用される。
【0023】
二次元ステージ1は、2つの圧電素子(piezo)2a、2bによりX軸及びY軸に微小変位するもので、これら圧電素子2a、2bの伸縮力は、直接或いは例えば梃子などの伝達機構を介して二次元ステージ1に伝達される。
【0024】
マイクロプロセッサ(MPU)10は、画素ずらし方式に従って二次元ステージ1をX軸、Y軸に微動させる指令のデジタル信号S1を発する。画素ずらし方式の撮影では、CCD3の画素ピッチと同程度若しくは画素ピッチよりも小さいピッチでCCD3をX軸、Y軸に等間隔で移動させ、これら移動位置で撮影した複数毎の画像データを合成処理する。
【0025】
例えば、図2に示すようにXY軸平面内で等間隔で並んだ例えば9つの格子点P1、P2、…、P9上の位置へ、二次元ステージ1を格子点P1→P2→P3→P4→P5→P6→P7→P8→P9の順序で移動させる一例について説明する。ここで、原点は、各圧電素子2a、2bへの印加電圧が0[V]のときの位置であり、相対変位量は原点からの相対的な二次元ステージ1の変位を示す。
【0026】
圧電素子2a、2bの電圧に対する変位量の関係は、よく知られているように図3に示すようにヒステリシス特性を有する。各圧電素子2a、2bを確実に所望の位置まで変位させるには、ヒステリシスの影響を除去する。
【0027】
このためには、先ず、各圧電素子2a、2bに対しては、動作範囲の最大値であるB点まで電圧を印加し、この後、印加電圧を0[V]に低下し、B点−D点−A点のヒステリシス曲線に沿って基準位置となるA点まで変位を戻す。しかる後、各圧電素子2a、2bには、所望の変位量X’に相当する電圧値V’まで電圧を上昇させる手順をとるのが一般的である。
【0028】
従って、図2に示す画素ずらし方式に従って各圧電素子2a、2bを微動させるには、例えば図6に示す駆動シーケンスに従って各圧電素子2a、2bに電圧を印加する。すなわち、同図における一方の圧電素子2aへの印加電圧Vx、及び他方の圧電素子2bへの印加電圧Vyに示すように、先ず、時刻t1において最大電圧を印加してヒステリシス曲線のB点に到達させ、この後、時刻t2において印加電圧を0[V]に戻し、ヒステリシス曲線をB点→D点→A点の順序に辿る。そして、時刻t3〜t12において所望の変位量に相当する電圧を圧電素子2a、2bに印加する。
【0029】
従って、マイクロプロセッサ10は、時刻t1において圧電素子2a、2bに最大電圧を印加してヒステリシス曲線のB点に到達させ、次の時刻t2において圧電素子2a、2bへの印加電圧を0[V]に戻してヒステリシス曲線をB点→D点→A点の順序に辿らせ、次に時刻t3〜t12において圧電素子2a、2bに所望の変位量に相当する電圧を印加する指令のデジタル信号S1を発する。
【0030】
このときマイクロプロセッサ10は、例えば各時刻t1、t2、t12において各圧電素子2a、2bを同時に駆動させるようになるが、本発明の圧電素子駆動方法に従い、各圧電素子2a、2bに有する各静電容量Cに対する充放電する各タイミングを所定時間内でずらした指令のデジタル信号S1を発する制御手段の機能を有する。
【0031】
例えば、図4に示す時刻t1において一方の圧電素子2aに印加電圧Vxを印加し、この時刻t1から所定時間内の時刻t1’において他方の圧電素子2bに印加電圧Vyを印加する。
【0032】
ここで、二次元ステージ1は、図2に示すように各格子点P1→P2→P3→P4→P5→P6→P7→P8→P9の順序で移動させるので、これら格子点間の移動時間内あれば、各圧電素子2a、2bを厳密に同時に駆動させる必要はない。
【0033】
従って、マイクロプロセッサ10は、例えば各時刻t1、t2、t12において各格子点P1→P2→P3→P4→P5→P6→P7→P8→P9の移動時間内で各圧電素子2a、2bに有する各静電容量Cに対する充放電する各タイミングを所定時間内でずらした指令、例えば時間Δtだけタイミングをずらしたデジタル信号S1を発する。
【0034】
マイクロプロセッサ10にはD/A(デジタル/アナログ)変換器11が接続され、マイクロプロセッサ10から発せられたデジタル信号S1がD/A変換器11に送られる。このD/A変換器11は、デジタル信号S1を2つのアナログ信号S2、S3に変換出力するもので、互いに独立した2つの出力チャンネルを有する。これらD/A変換器11の各出力チャンネルには、それぞれ高圧増幅器12、13が接続されている。
【0035】
これら高圧増幅器12、13は、それぞれアナログ信号S2、S3を高電圧に増幅し、その高電圧出力S4、S5を各圧電素子2a、2bに印加するもので、一方の高圧増幅器12の出力端子が圧電素子2aに接続され、他方の高圧増幅器13の出力端子が圧電素子2bに接続されている。
【0036】
次に、上記の如く構成された装置の動作について説明する。
【0037】
マイクロプロセッサ10は、図4に示す駆動シーケンスに従い、先ず、時刻t1において圧電素子2a、2bに最大電圧を印加してヒステリシス曲線のB点に到達させ、次の時刻t2において圧電素子2a、2bへの印加電圧を0[V]に戻してヒステリシス曲線をB点→D点→A点の順序に辿らせ、次に時刻t3〜t12において圧電素子2a、2bに所望の変位量に相当する電圧を印加する指令のデジタル信号S1を発する。
【0038】
このときマイクロプロセッサ10は、例えば各時刻t1、t2、t12において各圧電素子2a、2bに有する各静電容量Cに対する充放電する各タイミングを所定時間内でずらした指令となる。
【0039】
このマイクロプロセッサ10から発せられたデジタル信号S1は、D/A変換器11により2つのアナログ信号S2、S3に変換され、それぞれ各高圧増幅器12、13に送られる。
【0040】
これら高圧増幅器12、13は、それぞれアナログ信号S2、S3を高圧に増幅し、その各高電圧出力S4、S5を各圧電素子2a、2bに印加する。
【0041】
図4に示す駆動シーケンスに従って各圧電素子2a、2bへの印加電圧を説明すると、先ず、時刻t1において、圧電素子2aに対して高電圧出力S4が印加されると、圧電素子2aには正電源+Vから電流が流れ、当該圧電素子2aの静電容量Cへの充電が開始される。この圧電素子2aの両端電圧が高電圧出力S4と等しくなるに至って当該圧電素子2aの充電が完了する。
【0042】
次に、時刻t1から予め設定された時間Δtだけタイミングをずらした時刻、すなわち時刻t1から時間Δtだけ遅延した時刻t1’(=t1+Δt)において圧電素子2bに対して高電圧出力S5が印加される。これにより、圧電素子2bには正電源+Vから電流が流れ、当該圧電素子2bの充電が開始される。この圧電素子2bの両端電圧が高電圧出力S5と等しくなるに至って当該圧電素子2bの充電が完了する。
【0043】
次に、時刻t2において、圧電素子2aに対する印加電圧S4が0[V]になると、圧電素子2aの静電容量Cに蓄積されていた電荷が放電され、これによる電流が高圧増幅器12の負電源−Vに流れ込む。
【0044】
次に、時刻t2から予め設定された時間Δtだけタイミングをずらした時刻、すなわち時刻t2から時間Δtだけ遅延した時刻t2’(=t2+Δt)になると、圧電素子2bに対する印加電圧S5を0[V]にする。これにより、圧電素子2bの静電容量Cに蓄積されていた電荷が放電され、これによる電流が高圧増幅器13の負電源−Vに流れ込む。
【0045】
次に、時刻t3においても時刻t1と同様に、圧電素子2aに対して高電圧出力S4が印加され、当該圧電素子2aの静電容量Cへの充電が開始され、この圧電素子2aの両端電圧が高電圧出力S4と等しくなるに至って当該圧電素子2aの充電が完了する。
【0046】
次に、時刻t3から予め設定された時間Δtだけタイミングをずらした時刻t3’(=t3+Δt)において圧電素子2bに対して高電圧出力S5が印加され、当該圧電素子2bの充電が開始され、この圧電素子2bの両端電圧が高電圧出力S5と等しくなるに至って当該圧電素子2bの充電が完了する。
【0047】
そして、時刻t12においては時刻t2と同様に、圧電素子2aに対する印加電圧S4が0[V]になると、圧電素子2aの静電容量Cに蓄積されていた電荷が放電され、これによる電流が高圧増幅器12の負電源−Vに流れ込む。
【0048】
次に、時刻t12から予め設定された時間Δtだけタイミングをずらした時刻t12’(=t12+Δt)になると、圧電素子2bに対する印加電圧S5を0[V]にし、これにより、圧電素子2bの静電容量Cに蓄積されていた電荷が放電され、これによる電流が高圧増幅器13の負電源−Vに流れ込む。
【0049】
この結果、各時刻t1、t2、t12においては、一方の圧電素子2aと共に他方の圧電素子2bを駆動するが、それぞれ高電圧出力S4、S5を各圧電素子2a、2bに印加するタイミングを時間Δtだけずらすことにより、図4における電源(+V)から2つの圧電素子2a、2bに流れる充電電流の総和と、電源(−V)から2つの圧電素子2a、2bから流れる放電電流の総和とに示すように、各圧電素子2a、2bにそれぞれ流れる充電電流又は放電電流は、予め設定された時間Δtだけタイミングがずれる。
【0050】
しかるに、これら圧電素子2a、2bに流れる充電電流、又は放電電流は、最大で1つの圧電素子2a、2bを充放電するための電流値を越えることなく、図6に示す従来の方式に比べてピーク電流は2分の1に減少する。
【0051】
このように上記一実施の形態においては、CCD3を搭載した二次元ステージ1をX軸及びY軸に微小変位する2つの圧電素子2a、2bを共に変位させるとき、これら圧電素子2a、2bに有する各静電容量Cに対する充放電する各タイミングを所定時間内、例えば時間Δtでずらすので、2つの圧電素子2a、2bを同時に充電又は放電することがなく、2つの圧電素子2a、2bに流れる充電電流又は放電電流のピーク値を従来の方式に比べて2分の1に減少できる。これら充電電流又は放電電流のピーク値は、最大でも1つの圧電素子2a、2bを充放電するための電流値を越えることがない。
【0052】
従って、例えば高解像度の画像データを取得する静止画電子カメラの画素ずらし機構に適用される二次元ステージ1は、図2に示すように各格子点P1→P2→P3→P4→P5→P6→P7→P8→P9の移動時間内あれば、各圧電素子2a、2bを厳密に同時に駆動させる必要はないので、この移動時間内で2つの圧電素子2a、2b間の充放電タイミングを例えば時間Δtでずらせば、静止画電子カメラにおいて高解像度の画像データを取得できる。
【0053】
このように2つの圧電素子2a、2bに流れる充電電流又は放電電流のピーク値を2分の1に減少できれば、これら圧電素子2a、2bの駆動用電源に必要とされる電力を少なし、その負荷を軽減できる。そして、駆動用電源を含めた圧電素子駆動装置の小型化及び低コスト化が図れる。
【0054】
なお、本発明は、上記一実施の形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
【0055】
さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【0056】
例えば、上記一実施の形態では、例えば時刻t1において圧電素子2aに高電圧出力S4を印加し、この後の時間Δtだけタイミングをずらした時刻t1’において圧電素子2bに高電圧出力S5を印加しているが、この逆に、時刻t1において圧電素子2bに高電圧出力S5を印加し、この後の時間Δtだけタイミングをずらした時刻t1’において圧電素子2aに高電圧出力S4を印加してもよい。これは各圧電素子2a、2bの放電のタイミングも逆にしても同様である。
【0057】
又、二次元ステージ1をX軸、Y軸に微動させる2つの圧電素子2a、2bを用いた場合について説明したが、これに限らず、ステージをそれぞれ互いに異なる複数の方向に微動させる複数の圧電素子を設けた圧電素子駆動装置にも適用可能である。この場合も複数の圧電素子の充放電タイミングが互いにずれる。
【0058】
又、静止画電子カメラの画素ずらし機構の二次元ステージ1への適用に限らず、複数の圧電素子を略同時に駆動する回路であれば、本発明の装置を適用することにより、圧電素子の駆動用電源の負荷を軽減できる。
【0059】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、互いに独立に制御される少なくとも2つの圧電素子が同時に充電、放電するときの駆動用電源の負荷を軽減できる圧電素子駆動方法及びその装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる圧電素子駆動装置の一実施の形態を示す構成図。
【図2】画素ずらし方式での二次元ステージの微動経路を示す図。
【図3】圧電素子の電圧に対する変位量の関係を示す図。
【図4】本発明に係わる圧電素子駆動装置の一実施の形態における画素ずらし方式に従った駆動シーケンスを示す図。
【図5】2つの圧電素子を備えた二次元ステージの構成図。
【図6】二次元ステージの駆動シーケンスを示す図。
【符号の説明】
1:二次元ステージ
2a,2b:圧電素子
3:CCD
10:マイクロプロセッサ
11:D/A変換器
12,13:高圧増幅器
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば撮像素子を搭載した二次元ステージを微動させて高解像度の画像データを取得する撮像装置に関わり、少なくとも2つの圧電素子を用いて二次元ステージを微動させる圧電素子駆動方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧電素子は、印加電圧に応じてマイクロメートル(μm)オーダで再現性良く伸張又は収縮する特性を有する。この圧電素子は、例えば梃子などの機械的な機構と組み合わせることにより、サブミクロンレベルで高精度な位置決め用のアクチュエータとして広く用いられる。
【0003】
特にステージ機構としては、例えば印加電圧を独立に制御可能な2つ乃至3つの圧電素子を備え、これら圧電素子を駆動して二次元ステージを2軸乃至3軸で微小変位させるものがある。
【0004】
このようなステージ機構は、例えば高解像度の画像データを取得するための撮像装置に用いられる。すなわち、ステージ機構は、例えばCCDなどの撮像素子を二次元ステージ上に搭載し、撮像素子を撮像面に平行な平面内で微小変位させる。そして、二次元ステージの微小変位毎に撮像素子により撮影を行い、複数枚の画像データを合成処理することにより撮像素子の単体が元来持つ解像度よりも高い解像度の画像データが取得される。
【0005】
このように撮像素子を微小変位させて複数枚の画像データを取得し、これら画像データを合成処理して高解像度の画像データを取得する方式を画素ずらし方式と称する。
【0006】
このようなステージ機構は、例えば画素ずらし静止画カメラの二次元ステージや、走査プローブ顕微鏡のスキャナ機構の駆動のための三次元ステージに応用される。
【0007】
圧電素子は、容量性負荷であるので、定常状態にあっては、殆どエネルギを消費しない。ところが、圧電素子は、駆動の瞬間に電荷を充電、放電するための変位電流が流れ、駆動用電源からエネルギを供給しなければならない。この変位電流Iは、圧電素子への印加電圧をV、圧電素子の持つ静電容量をC、時間をtとすると、
I=C・dV/dt …(1)
の関係がある。すなわち、圧電素子を高速に変位させるほど、大きな変位電流Iが流れる。
【0008】
一般的な圧電素子は、数μmの変位を得るために、数十V乃至数百Vの電圧を印加する必要がある。このため、駆動用電源から圧電素子に流れる負荷電流が比較的少なくても、駆動用電源に対する負荷は大きい。
【0009】
さらに、複数の圧電素子に有する各容量を同時に充放電する場合には、駆動用電源に対する最大負荷が圧電素子の個数に比例して大きくなる。例えば、位置決め用の二次元ステージは、2つの圧電素子により互いに垂直なX軸及びY軸に駆動する。
【0010】
図5に示すようにかかる二次元ステージ1は、2つの圧電素子(piezo)2a、2bによりX軸及びY軸に微小変位する。二次元ステージ1上には、CCD3が搭載されている。この二次元ステージ1は、例えば図6に示すシーケンスに従って2つの圧電素子2a、2bを駆動する。
【0011】
図6は一方の圧電素子2aへの印加電圧Vx、他方の圧電素子2bへの印加電圧Vy、一方の圧電素子2aに流れる電流Ix、他方の圧電素子2bに流れる電流Iy、電源(+V)から2つの圧電素子2a、2bに流れる充電電流の総和、電源(−V)から2つの圧電素子2a、2bから流れる放電電流の総和を示す。
【0012】
このシーケンスでは、X軸とY軸との各圧電素子2a、2bを同時に駆動する場合、これら圧電素子2a、2bが同時に充放電するタイミングt1、t2において、電源(+V)から2つの圧電素子2a、2bに流れる充電電流の総和、電源(−V)から2つの圧電素子2a、2bから流れる放電電流の総和を示されるように、駆動用電源に対する負荷が1つの圧電素子2a又は2bを駆動するときに比べて最大2倍となり、駆動用電源に対する負荷が著しく増大する。
【0013】
一般に、高電圧かつ大電流出力の電源回路は、大型でかつ高コストである。従って、圧電素子の駆動に要する電流を極力抑制した駆動方法を用いることができれば、圧電素子の駆動装置の省電力化のみならず、圧電素子の駆動装置を内蔵した工業製品の小型化、低コスト化が実現でき、極めて有用である。
【0014】
かかる技術として例えば特許文献1には、2つの以上の圧電素子を交互に充放電する系において、ある圧電素子が放電するときの放電電荷をサイリスタを通して他方の圧電素子の充電電荷として転流させることにより、駆動電源から供給するエネルギの利用率を高めることが記載されている。
【0015】
【特許文献1】
特開平5−206537号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1は、駆動用電源に対して並列接続された各圧電素子間で電荷を転流させることによりエネルギ効率を向上させるもので、図5に示すように二次元ステージ1を2つの独立した圧電素子2a、2bの各駆動によりX軸、Y軸に微小変位させるものとは相違する。このため、それぞれ制御が独立した複数の圧電素子にエネルギを供給する駆動用電源の負荷を軽減することはできない。
【0017】
そこで本発明は、互いに独立に制御される少なくとも2つの圧電素子が同時に充電、放電するときの駆動用電源の負荷を軽減できる圧電素子駆動方法及びその装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも2つの圧電素子に対してそれぞれ電圧を印加して各圧電素子を駆動する圧電素子駆動方法において、各圧電素子を共に変位させるとき、各圧電素子に有する各静電容量に対する充放電する各タイミングを所定時間内でずらすことを特徴とする圧電素子駆動方法である。
【0019】
本発明の圧電素子駆動方法は、少なくとも2つの圧電素子のうち一方の圧電素子は、対象物を一方向に微動し、他方の圧電素子は、対象物を一方向に対して垂直な他方向に微動させる。
【0020】
本発明は、少なくとも2つの圧電素子に対してそれぞれ電圧を印加して各圧電素子を駆動する圧電素子駆動装置において、各圧電素子にそれぞれ電圧を印加する各増幅器と、各圧電素子を共に変位させるとき、各増幅器から各圧電素子にそれぞれ電圧を印加したときの各圧電素子に有する各静電容量での各充放電の各タイミングを所定時間内でずらす制御手段とを具備したことを特徴とする圧電素子駆動装置である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図5と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0022】
図1は圧電素子駆動装置の構成図である。この圧電素子駆動装置は、CCD3が搭載された二次元ステージ1を2つの圧電素子2a、2bによりX軸及びY軸に微小変位する。この圧電素子駆動装置は、例えば高解像度の画像データを取得する静止画電子カメラの画素ずらし機構に適用される。
【0023】
二次元ステージ1は、2つの圧電素子(piezo)2a、2bによりX軸及びY軸に微小変位するもので、これら圧電素子2a、2bの伸縮力は、直接或いは例えば梃子などの伝達機構を介して二次元ステージ1に伝達される。
【0024】
マイクロプロセッサ(MPU)10は、画素ずらし方式に従って二次元ステージ1をX軸、Y軸に微動させる指令のデジタル信号S1を発する。画素ずらし方式の撮影では、CCD3の画素ピッチと同程度若しくは画素ピッチよりも小さいピッチでCCD3をX軸、Y軸に等間隔で移動させ、これら移動位置で撮影した複数毎の画像データを合成処理する。
【0025】
例えば、図2に示すようにXY軸平面内で等間隔で並んだ例えば9つの格子点P1、P2、…、P9上の位置へ、二次元ステージ1を格子点P1→P2→P3→P4→P5→P6→P7→P8→P9の順序で移動させる一例について説明する。ここで、原点は、各圧電素子2a、2bへの印加電圧が0[V]のときの位置であり、相対変位量は原点からの相対的な二次元ステージ1の変位を示す。
【0026】
圧電素子2a、2bの電圧に対する変位量の関係は、よく知られているように図3に示すようにヒステリシス特性を有する。各圧電素子2a、2bを確実に所望の位置まで変位させるには、ヒステリシスの影響を除去する。
【0027】
このためには、先ず、各圧電素子2a、2bに対しては、動作範囲の最大値であるB点まで電圧を印加し、この後、印加電圧を0[V]に低下し、B点−D点−A点のヒステリシス曲線に沿って基準位置となるA点まで変位を戻す。しかる後、各圧電素子2a、2bには、所望の変位量X’に相当する電圧値V’まで電圧を上昇させる手順をとるのが一般的である。
【0028】
従って、図2に示す画素ずらし方式に従って各圧電素子2a、2bを微動させるには、例えば図6に示す駆動シーケンスに従って各圧電素子2a、2bに電圧を印加する。すなわち、同図における一方の圧電素子2aへの印加電圧Vx、及び他方の圧電素子2bへの印加電圧Vyに示すように、先ず、時刻t1において最大電圧を印加してヒステリシス曲線のB点に到達させ、この後、時刻t2において印加電圧を0[V]に戻し、ヒステリシス曲線をB点→D点→A点の順序に辿る。そして、時刻t3〜t12において所望の変位量に相当する電圧を圧電素子2a、2bに印加する。
【0029】
従って、マイクロプロセッサ10は、時刻t1において圧電素子2a、2bに最大電圧を印加してヒステリシス曲線のB点に到達させ、次の時刻t2において圧電素子2a、2bへの印加電圧を0[V]に戻してヒステリシス曲線をB点→D点→A点の順序に辿らせ、次に時刻t3〜t12において圧電素子2a、2bに所望の変位量に相当する電圧を印加する指令のデジタル信号S1を発する。
【0030】
このときマイクロプロセッサ10は、例えば各時刻t1、t2、t12において各圧電素子2a、2bを同時に駆動させるようになるが、本発明の圧電素子駆動方法に従い、各圧電素子2a、2bに有する各静電容量Cに対する充放電する各タイミングを所定時間内でずらした指令のデジタル信号S1を発する制御手段の機能を有する。
【0031】
例えば、図4に示す時刻t1において一方の圧電素子2aに印加電圧Vxを印加し、この時刻t1から所定時間内の時刻t1’において他方の圧電素子2bに印加電圧Vyを印加する。
【0032】
ここで、二次元ステージ1は、図2に示すように各格子点P1→P2→P3→P4→P5→P6→P7→P8→P9の順序で移動させるので、これら格子点間の移動時間内あれば、各圧電素子2a、2bを厳密に同時に駆動させる必要はない。
【0033】
従って、マイクロプロセッサ10は、例えば各時刻t1、t2、t12において各格子点P1→P2→P3→P4→P5→P6→P7→P8→P9の移動時間内で各圧電素子2a、2bに有する各静電容量Cに対する充放電する各タイミングを所定時間内でずらした指令、例えば時間Δtだけタイミングをずらしたデジタル信号S1を発する。
【0034】
マイクロプロセッサ10にはD/A(デジタル/アナログ)変換器11が接続され、マイクロプロセッサ10から発せられたデジタル信号S1がD/A変換器11に送られる。このD/A変換器11は、デジタル信号S1を2つのアナログ信号S2、S3に変換出力するもので、互いに独立した2つの出力チャンネルを有する。これらD/A変換器11の各出力チャンネルには、それぞれ高圧増幅器12、13が接続されている。
【0035】
これら高圧増幅器12、13は、それぞれアナログ信号S2、S3を高電圧に増幅し、その高電圧出力S4、S5を各圧電素子2a、2bに印加するもので、一方の高圧増幅器12の出力端子が圧電素子2aに接続され、他方の高圧増幅器13の出力端子が圧電素子2bに接続されている。
【0036】
次に、上記の如く構成された装置の動作について説明する。
【0037】
マイクロプロセッサ10は、図4に示す駆動シーケンスに従い、先ず、時刻t1において圧電素子2a、2bに最大電圧を印加してヒステリシス曲線のB点に到達させ、次の時刻t2において圧電素子2a、2bへの印加電圧を0[V]に戻してヒステリシス曲線をB点→D点→A点の順序に辿らせ、次に時刻t3〜t12において圧電素子2a、2bに所望の変位量に相当する電圧を印加する指令のデジタル信号S1を発する。
【0038】
このときマイクロプロセッサ10は、例えば各時刻t1、t2、t12において各圧電素子2a、2bに有する各静電容量Cに対する充放電する各タイミングを所定時間内でずらした指令となる。
【0039】
このマイクロプロセッサ10から発せられたデジタル信号S1は、D/A変換器11により2つのアナログ信号S2、S3に変換され、それぞれ各高圧増幅器12、13に送られる。
【0040】
これら高圧増幅器12、13は、それぞれアナログ信号S2、S3を高圧に増幅し、その各高電圧出力S4、S5を各圧電素子2a、2bに印加する。
【0041】
図4に示す駆動シーケンスに従って各圧電素子2a、2bへの印加電圧を説明すると、先ず、時刻t1において、圧電素子2aに対して高電圧出力S4が印加されると、圧電素子2aには正電源+Vから電流が流れ、当該圧電素子2aの静電容量Cへの充電が開始される。この圧電素子2aの両端電圧が高電圧出力S4と等しくなるに至って当該圧電素子2aの充電が完了する。
【0042】
次に、時刻t1から予め設定された時間Δtだけタイミングをずらした時刻、すなわち時刻t1から時間Δtだけ遅延した時刻t1’(=t1+Δt)において圧電素子2bに対して高電圧出力S5が印加される。これにより、圧電素子2bには正電源+Vから電流が流れ、当該圧電素子2bの充電が開始される。この圧電素子2bの両端電圧が高電圧出力S5と等しくなるに至って当該圧電素子2bの充電が完了する。
【0043】
次に、時刻t2において、圧電素子2aに対する印加電圧S4が0[V]になると、圧電素子2aの静電容量Cに蓄積されていた電荷が放電され、これによる電流が高圧増幅器12の負電源−Vに流れ込む。
【0044】
次に、時刻t2から予め設定された時間Δtだけタイミングをずらした時刻、すなわち時刻t2から時間Δtだけ遅延した時刻t2’(=t2+Δt)になると、圧電素子2bに対する印加電圧S5を0[V]にする。これにより、圧電素子2bの静電容量Cに蓄積されていた電荷が放電され、これによる電流が高圧増幅器13の負電源−Vに流れ込む。
【0045】
次に、時刻t3においても時刻t1と同様に、圧電素子2aに対して高電圧出力S4が印加され、当該圧電素子2aの静電容量Cへの充電が開始され、この圧電素子2aの両端電圧が高電圧出力S4と等しくなるに至って当該圧電素子2aの充電が完了する。
【0046】
次に、時刻t3から予め設定された時間Δtだけタイミングをずらした時刻t3’(=t3+Δt)において圧電素子2bに対して高電圧出力S5が印加され、当該圧電素子2bの充電が開始され、この圧電素子2bの両端電圧が高電圧出力S5と等しくなるに至って当該圧電素子2bの充電が完了する。
【0047】
そして、時刻t12においては時刻t2と同様に、圧電素子2aに対する印加電圧S4が0[V]になると、圧電素子2aの静電容量Cに蓄積されていた電荷が放電され、これによる電流が高圧増幅器12の負電源−Vに流れ込む。
【0048】
次に、時刻t12から予め設定された時間Δtだけタイミングをずらした時刻t12’(=t12+Δt)になると、圧電素子2bに対する印加電圧S5を0[V]にし、これにより、圧電素子2bの静電容量Cに蓄積されていた電荷が放電され、これによる電流が高圧増幅器13の負電源−Vに流れ込む。
【0049】
この結果、各時刻t1、t2、t12においては、一方の圧電素子2aと共に他方の圧電素子2bを駆動するが、それぞれ高電圧出力S4、S5を各圧電素子2a、2bに印加するタイミングを時間Δtだけずらすことにより、図4における電源(+V)から2つの圧電素子2a、2bに流れる充電電流の総和と、電源(−V)から2つの圧電素子2a、2bから流れる放電電流の総和とに示すように、各圧電素子2a、2bにそれぞれ流れる充電電流又は放電電流は、予め設定された時間Δtだけタイミングがずれる。
【0050】
しかるに、これら圧電素子2a、2bに流れる充電電流、又は放電電流は、最大で1つの圧電素子2a、2bを充放電するための電流値を越えることなく、図6に示す従来の方式に比べてピーク電流は2分の1に減少する。
【0051】
このように上記一実施の形態においては、CCD3を搭載した二次元ステージ1をX軸及びY軸に微小変位する2つの圧電素子2a、2bを共に変位させるとき、これら圧電素子2a、2bに有する各静電容量Cに対する充放電する各タイミングを所定時間内、例えば時間Δtでずらすので、2つの圧電素子2a、2bを同時に充電又は放電することがなく、2つの圧電素子2a、2bに流れる充電電流又は放電電流のピーク値を従来の方式に比べて2分の1に減少できる。これら充電電流又は放電電流のピーク値は、最大でも1つの圧電素子2a、2bを充放電するための電流値を越えることがない。
【0052】
従って、例えば高解像度の画像データを取得する静止画電子カメラの画素ずらし機構に適用される二次元ステージ1は、図2に示すように各格子点P1→P2→P3→P4→P5→P6→P7→P8→P9の移動時間内あれば、各圧電素子2a、2bを厳密に同時に駆動させる必要はないので、この移動時間内で2つの圧電素子2a、2b間の充放電タイミングを例えば時間Δtでずらせば、静止画電子カメラにおいて高解像度の画像データを取得できる。
【0053】
このように2つの圧電素子2a、2bに流れる充電電流又は放電電流のピーク値を2分の1に減少できれば、これら圧電素子2a、2bの駆動用電源に必要とされる電力を少なし、その負荷を軽減できる。そして、駆動用電源を含めた圧電素子駆動装置の小型化及び低コスト化が図れる。
【0054】
なお、本発明は、上記一実施の形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
【0055】
さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【0056】
例えば、上記一実施の形態では、例えば時刻t1において圧電素子2aに高電圧出力S4を印加し、この後の時間Δtだけタイミングをずらした時刻t1’において圧電素子2bに高電圧出力S5を印加しているが、この逆に、時刻t1において圧電素子2bに高電圧出力S5を印加し、この後の時間Δtだけタイミングをずらした時刻t1’において圧電素子2aに高電圧出力S4を印加してもよい。これは各圧電素子2a、2bの放電のタイミングも逆にしても同様である。
【0057】
又、二次元ステージ1をX軸、Y軸に微動させる2つの圧電素子2a、2bを用いた場合について説明したが、これに限らず、ステージをそれぞれ互いに異なる複数の方向に微動させる複数の圧電素子を設けた圧電素子駆動装置にも適用可能である。この場合も複数の圧電素子の充放電タイミングが互いにずれる。
【0058】
又、静止画電子カメラの画素ずらし機構の二次元ステージ1への適用に限らず、複数の圧電素子を略同時に駆動する回路であれば、本発明の装置を適用することにより、圧電素子の駆動用電源の負荷を軽減できる。
【0059】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明によれば、互いに独立に制御される少なくとも2つの圧電素子が同時に充電、放電するときの駆動用電源の負荷を軽減できる圧電素子駆動方法及びその装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる圧電素子駆動装置の一実施の形態を示す構成図。
【図2】画素ずらし方式での二次元ステージの微動経路を示す図。
【図3】圧電素子の電圧に対する変位量の関係を示す図。
【図4】本発明に係わる圧電素子駆動装置の一実施の形態における画素ずらし方式に従った駆動シーケンスを示す図。
【図5】2つの圧電素子を備えた二次元ステージの構成図。
【図6】二次元ステージの駆動シーケンスを示す図。
【符号の説明】
1:二次元ステージ
2a,2b:圧電素子
3:CCD
10:マイクロプロセッサ
11:D/A変換器
12,13:高圧増幅器
Claims (3)
- 少なくとも2つの圧電素子に対してそれぞれ電圧を印加して前記各圧電素子を駆動する圧電素子駆動方法において、
前記各圧電素子を共に変位させるとき、前記各圧電素子に有する各静電容量に対する充放電する各タイミングを所定時間内でずらしたことを特徴とする圧電素子駆動方法。 - 少なくとも2つの前記圧電素子のうち一方の前記圧電素子は、対象物を一方向に微動し、他方の前記圧電素子は、前記対象物を前記一方向に対して垂直な他方向に微動させることを特徴とする請求項1記載の圧電素子駆動方法。
- 少なくとも2つの圧電素子に対してそれぞれ電圧を印加して前記各圧電素子を駆動する圧電素子駆動装置において、
前記各圧電素子にそれぞれ電圧を印加する各増幅器と、
前記各圧電素子を共に変位させるとき、前記各増幅器から前記各圧電素子にそれぞれ電圧を印加したときの前記各圧電素子に有する各静電容量での各充放電の各タイミングを所定時間内でずらす制御手段と、
を具備したことを特徴とする圧電素子駆動装置。
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