JP2004127809A - 燃料電池スタック - Google Patents
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Abstract
【課題】格別に複雑な構成、コスト増を招かずに適正に高分子電解質膜の湿潤状態を測定する。
【解決手段】燃料ガスが供給される燃料極7と酸化剤ガスが供給される酸化剤極8とにより狭持された高分子電解質膜6を備えた単位セル2を多数積層して、その両端に配置したエンドプレート3a,3b間に締結ボルト4を介して積層単位セル2を狭圧する。締結ボルト4の軸力を検出する手段14と、湿潤状態に応じてセル積層方向に変位する前記高分子電解質膜の湿潤度を前記軸力に基づいて推定する湿潤推定手段16とを備る。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料ガスが供給される燃料極7と酸化剤ガスが供給される酸化剤極8とにより狭持された高分子電解質膜6を備えた単位セル2を多数積層して、その両端に配置したエンドプレート3a,3b間に締結ボルト4を介して積層単位セル2を狭圧する。締結ボルト4の軸力を検出する手段14と、湿潤状態に応じてセル積層方向に変位する前記高分子電解質膜の湿潤度を前記軸力に基づいて推定する湿潤推定手段16とを備る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は燃料電池スタックに関する。
【0002】
【従来の技術】
プロトン伝導性を有する高分子電解質膜を用い、燃料ガス及び酸化剤ガスを供給しながら発電を行う燃料電池が知られている。この場合、燃料電池スタックは多数の単位セルを積層して構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−228027号公報
【0004】
【発明の解決すべき課題】
燃料電池の発電効率を維持するには、常に高分子電解質膜が乾燥しないように水分により適切な湿潤状態に維持される必要がある。
【0005】
高分子電解質膜の湿潤状態を例えば導電率計により測定し、燃料ガスや酸化剤ガスの水分による加湿量の制御を行うことが考えられるが、このためには各高分子電解質膜に導電率計を設置する必要があり、この場合、とくに多数の単位セルが積層されている関係から、非常に多くの導電率計をそなえなければならない。このことは、単にコストの上昇を招くだけでなく、セル間に巡らされる導電率計からの配線処理など新たな問題も招来する。
【0006】
本発明の目的は、格別に複雑な構成、コスト増を招かずに適正に高分子電解質膜の湿潤状態を測定することのできる燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、燃料ガスが供給される燃料極と酸化剤ガスが供給される酸化剤極とにより狭持された高分子電解質膜を備えた単位セルを多数積層して、その両端に配置したエンドプレート間に締結ボルトを介して積層単位セルを狭圧した燃料電池スタックにおいて、前記締結ボルトの軸力を検出する手段と、湿潤状態に応じてセル積層方向に変位する前記高分子電解質膜の湿潤度を前記軸力に基づいて推定する湿潤推定手段とを備えている。
【0008】
【作用・効果】
積層単位セルは高分子電解質膜の湿潤状態に応じてセル積層方向に伸縮し、湿潤度が高いほど伸長量が大きくなる。したがって、積層単位セルを狭圧する締結ボルトには高分子電解質膜の湿潤状態に応じて軸力が変化し、この軸力に基づいて高分子電解質膜の湿潤度を的確に推定することができる。締結ボルトの軸力の検出手段は簡単でかつ配置数も少なくてすむので、全体構成の簡略化と低コスト化が可能となる。
【0009】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
まず、第1の実施形態を図1〜図3に示す。
【0011】
図1に示すように、燃料電池スタック1は、多数の単位セル2を積層して構成され、単位セル2の積層方向の両端にはエンドプレート3a、3bが配置され、エンドプレート3a、3bの四隅を縦貫するように配置した4本の締結ボルト4及びナット5により、多数の積層した単位セル2が締め付け固定される。
【0012】
各単位セル2は図2のように構成されている。
【0013】
高分子電解質膜6の両面には、アノード側触媒電極となる燃料極7と、カソード側触媒電極となる酸化剤極8とが配置される。燃料極7の他面には燃料ガス、例えば水素リッチな改質ガスの通路9を画成した導電性の集電板9が、また酸化剤極8の他面には酸化剤ガス、例えば空気の通路10aを画成した通電性の集電板10が備えられる。これらガス通路9a、10aが形成された集電板9と10の各反対面には、冷却水を通流させる通路9b、10bがそれぞれ形成される。
【0014】
そして、集電板9の燃料ガス通路9aには図示しない燃料ガス供給手段から水素リッチガスが供給され、また集電板10の酸化剤ガス通路10aには図示しないコンプレッサから酸化剤ガスとして空気が供給され、これらにより発熱を伴う発電反応が生じる。また集電板9、10の冷却水通路9b、10bには図示しない冷却水ポンプから冷却水が供給され、燃料電池スタック1の温度を発電に適した温度に維持する。
【0015】
この場合、供給された燃料ガスは、燃料極7で水素がイオン化され、高分子電解質膜6のイオン交換基(スルホン酸基)を介して酸化剤極8へ移動する。このイオン交換基は、水分を含むことによりイオン伝導性を持つので、高分子電解質膜6は十分な湿潤状態に維持される必要があり、このため、供給される燃料ガス、酸化剤ガスは予め加湿器などにより加湿された状態で各単位セル2に送り込まれるようになっている。
【0016】
図1にあるように、前記締結ボルト4には、各締結ボルト軸力を検出する手段として歪みゲージ11が取り付けられている。さらにこの歪みゲージ11により検出された歪み量の温度による補正を行うための温度センサ12が、歪みゲージ11の近傍の締結ボルト4に設けられる。
【0017】
歪みゲージ11の出力は動歪み測定回路13に入力され、またこの動歪み測定回路13の出力は、前記温度センサ12の出力と共に軸力演算回路14に入力され、ここで後述するように締結ボルト4の軸力が演算される。
【0018】
単位セル2のうち積層方向の中央部に位置する単位セル2にはセル温度センサ15が取り付けられ、セル温度を測定する。
【0019】
そして、前記軸力演算回路14の出力とともにセル温度センサ15の出力が湿潤状態推定演算部16に入力され、前記締結ボルト4の軸力とセル温度とに基づいて単位セル2の湿潤状態が後述するように推定される。
【0020】
多数の単位セル2を積層した燃料電池スタック1は、高分子電解質膜6の湿潤状態に応じて積層方向に伸縮し、湿潤状態が高いほどセルの積層方向の伸長力が大きくなる。このことはセル温度が上昇しても同じように起き、温度が高いほどやはり伸長力は大きくなる。
【0021】
したがって、高分子電解質膜6の湿潤状態によって単位セル2が伸長すると、これに応じて締結ボルト4にかかる軸力が大きくなるので、軸力からセルの湿潤状態が把握できるのであり、この場合、同じ湿潤状態でもセル温度が高ければ、その温度膨張分によって伸長力が変化するので、セル温度に基づいて補正することで、正確に高分子電解質膜6の湿潤度が推定できるのである。
【0022】
湿潤状態推定演算部16の出力は燃料電池運転状態制御装置17に入力され、ここでは推定した湿潤度に応じて高分子電解質膜6が常に適正な湿潤を保つように、燃料ガス、酸化剤ガスの加湿量や、その温度、圧力、流量などを制御するのである。
【0023】
図3は前記動歪み測定回路、軸力演算回路、湿潤状態推定演算部などで行われる、高分子電解質膜6の湿潤状態の判定ルーチンの一例を示すフローチャートであり、このルーチンは例えば30秒ごとに繰り返し実行される。
【0024】
ステップS100で歪みゲージ11からの各締結ボルト毎の歪み量の検出信号を受けると、ステップS101でこの歪み信号を平均化する。ステップS102では各締結ボルト4に設けた軸温度センサ12からの各締結ボルト毎の温度信号を受け、これをステップS103で平均化する。
【0025】
ステップS104では前記平均化された歪み信号を平均化された温度値で補正する。この場合、温度による歪み量は温度が高くなるほど大きくなるので、この分を補償するように補正が行われる。
【0026】
ステップS105でセル温度センサ15からの温度信号を読み取り、ステップS106で、軸温度補正後の軸力Ftと、そのときのセル温度tとに基づき、図4に示すようなマップから、高分子電解質膜6の湿潤状態を算出する。
【0027】
このマップにおいて、軸力Ftが大きくなるほど膜湿潤度は高く(湿潤)なり、逆に軸力が小さいほど膜湿潤度は低く(乾燥)なる。また軸力Ftはセル温度tによって変動し、セル温度が高いほど、同一の軸力に対する実際の膜湿潤度は低下するので、この分について温度補正することでより精度よく膜湿潤度が検出できる。
【0028】
本実施形態では、この場合、標準湿潤状態との比較において高分子電解質膜の湿潤状態を判定するようになっており、このためステップS107において、前記マップによりそのときのセル温度toに基づいて予め設定された軸力基準値Foを、軸力Ftと比較し、もし軸力Ftが軸力基準値Foよりも小さければ、ステップS108に進んで高分子電解質膜6が乾燥状態であると判断し、これに対して、軸力Ftが軸力基準値Foよりも大きければ、ステップS109に進んで、同じく湿潤状態であると判断する。
【0029】
なお、軸力基準値Foについては、予め基準温度のときの標準湿潤状態となる軸力と、温度の変化に応じて修正した軸力とを設定しておき、各温度において標準湿潤状態が得られる値を、軸力基準値Foとしてある。
【0030】
すなわち、図4に示されるように、標準セル温度toでの標準湿潤状態が得られる軸力をFoとすると、例えばセル温度がtl(<to)のときには、FoはFo’の位置まで減少し、一方th(>to)のときにはFoはFo”の位置まで増加する。したがって軸力Ftが図4に示されたような値として検出された場合、セル温度がtlやtoであれば、標準湿潤状態を越えた湿潤状態にあると判断され、またセル温度がthであった場合には、十分な湿潤状態が得られていないと判断される。
【0031】
そしてステップS110では、乾燥、湿潤のいずれについても、軸力Ftと軸力基準値Foとの差に応じた信号を出力し、これに基づいて燃料電池運転状態制御装置では、高分子電解質膜6の湿潤状態を、標準湿潤状態となるように、燃料ガス、酸化剤ガスの加湿量、温度、圧力、流量などを調整する。
【0032】
以上のように本実施形態によれば、高分子電解質膜6が湿潤状態に応じてセル積層方向に変位する現象を利用し、積層した単位セル2を固定するための締結ボルト4に働く軸力に基づいて、高分子電解質膜6の湿潤状態を推定するようにしたので、簡単な構成でありながら、高分子電解質膜6の湿潤状態を測定することができる。
【0033】
また、この締結ボルト4にかかる軸力は、セル温度によってもセル積層方向に変位を生じるので、セル温度により軸力を補正することで、なお一層正確な軸力、すなわち高分子電解質膜6の湿潤度を把握することが可能となる。
【0034】
また、この締結ボルト4の軸力については、ボルト温度によってボルト軸方向の膨張量が変化することで変動するので、ボルト温度に基づく補正を行うことで、同じく正確に湿潤度を把握できる。
【0035】
ところで上記説明において、各締結ボルト4の軸力を検出する歪みゲージ11の検出値を平均化し、また各締結ボルト4の温度を検出する温度センサ12の検出値を平均化して、これら平均値に基づいて4本の締結ボルト4の平均的な軸力に基づいて高分子電解質膜6の湿潤度を測定している。この代わりに、各締結ボルト4の軸力を歪みゲージ11の出力として求め、かつ温度補正し、さらにセル温度に基づいて、各締結ボルト4に対応しての高分子電解質膜6の湿潤度を推定することもできる。
【0036】
この場合、各締結ボルト毎に推定した高分子電解質膜6の湿潤度が異なれば、高分子電解質膜6の発電面内における湿潤状態が不均一であることを示すので、目標とする湿潤状態を実現するにあたり、発電面内の湿潤分布状態が均一となるように、つまり各締結ボルト毎の湿潤推定値が一致するように、加湿状態などを調整することも可能となる。
【0037】
このようにすると、高分子電解質膜6の発電面内での湿潤度のバラツキを抑制して、全面的に同一の安定した発電効率を維持することが可能となる。
【0038】
第2の実施形態について図5を参照して説明する。
【0039】
この実施形態では、締結ボルト4の軸力を計測するために、座面圧センサ18を各締結ボルト4の締結面に配置し、締結ボルト4に作用する軸力を座面圧センサ18により検出し、これを座面圧測定回路19に入力し、締結ボルト軸力を測定するようにしたものである。
【0040】
締結ボルト4の軸力が高まるにしたがい締結ボルト4とエンドプレート3aとの間に介在した座面圧センサ18の検出する面圧も比例して高まり、これにより結局、ボルト軸力を計測することができ、これに基づいて高分子電解質膜6の湿潤度を推定できるのである。
【0041】
この他の構成は第1実施形態と同じである。
【0042】
したがってこの実施形態によれば、座面圧センサ18を利用して簡単にボルト軸力を測定でき、コストの低減、信頼性の向上などが図れる。
【0043】
本発明は上記した実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、当業者がなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成図である。
【図2】単位セルの拡大断面図である。
【図3】制御動作を示すフローチャートである。
【図4】軸力と湿潤との関係を示す説明図である。
【図5】第2実施形態の構成図である。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 単位セル
3a,3b エンドプレート
4 締結ボルト
6 高分子電解質膜
7 燃料極
8 酸化剤極
11 歪みゲージ
12 軸温度センサ
14 軸力演算回路
15 セル温度センサ
16 湿潤状態推定演算部
18 座面圧センサ
【発明の属する技術分野】
この発明は燃料電池スタックに関する。
【0002】
【従来の技術】
プロトン伝導性を有する高分子電解質膜を用い、燃料ガス及び酸化剤ガスを供給しながら発電を行う燃料電池が知られている。この場合、燃料電池スタックは多数の単位セルを積層して構成されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−228027号公報
【0004】
【発明の解決すべき課題】
燃料電池の発電効率を維持するには、常に高分子電解質膜が乾燥しないように水分により適切な湿潤状態に維持される必要がある。
【0005】
高分子電解質膜の湿潤状態を例えば導電率計により測定し、燃料ガスや酸化剤ガスの水分による加湿量の制御を行うことが考えられるが、このためには各高分子電解質膜に導電率計を設置する必要があり、この場合、とくに多数の単位セルが積層されている関係から、非常に多くの導電率計をそなえなければならない。このことは、単にコストの上昇を招くだけでなく、セル間に巡らされる導電率計からの配線処理など新たな問題も招来する。
【0006】
本発明の目的は、格別に複雑な構成、コスト増を招かずに適正に高分子電解質膜の湿潤状態を測定することのできる燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、燃料ガスが供給される燃料極と酸化剤ガスが供給される酸化剤極とにより狭持された高分子電解質膜を備えた単位セルを多数積層して、その両端に配置したエンドプレート間に締結ボルトを介して積層単位セルを狭圧した燃料電池スタックにおいて、前記締結ボルトの軸力を検出する手段と、湿潤状態に応じてセル積層方向に変位する前記高分子電解質膜の湿潤度を前記軸力に基づいて推定する湿潤推定手段とを備えている。
【0008】
【作用・効果】
積層単位セルは高分子電解質膜の湿潤状態に応じてセル積層方向に伸縮し、湿潤度が高いほど伸長量が大きくなる。したがって、積層単位セルを狭圧する締結ボルトには高分子電解質膜の湿潤状態に応じて軸力が変化し、この軸力に基づいて高分子電解質膜の湿潤度を的確に推定することができる。締結ボルトの軸力の検出手段は簡単でかつ配置数も少なくてすむので、全体構成の簡略化と低コスト化が可能となる。
【0009】
【実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
まず、第1の実施形態を図1〜図3に示す。
【0011】
図1に示すように、燃料電池スタック1は、多数の単位セル2を積層して構成され、単位セル2の積層方向の両端にはエンドプレート3a、3bが配置され、エンドプレート3a、3bの四隅を縦貫するように配置した4本の締結ボルト4及びナット5により、多数の積層した単位セル2が締め付け固定される。
【0012】
各単位セル2は図2のように構成されている。
【0013】
高分子電解質膜6の両面には、アノード側触媒電極となる燃料極7と、カソード側触媒電極となる酸化剤極8とが配置される。燃料極7の他面には燃料ガス、例えば水素リッチな改質ガスの通路9を画成した導電性の集電板9が、また酸化剤極8の他面には酸化剤ガス、例えば空気の通路10aを画成した通電性の集電板10が備えられる。これらガス通路9a、10aが形成された集電板9と10の各反対面には、冷却水を通流させる通路9b、10bがそれぞれ形成される。
【0014】
そして、集電板9の燃料ガス通路9aには図示しない燃料ガス供給手段から水素リッチガスが供給され、また集電板10の酸化剤ガス通路10aには図示しないコンプレッサから酸化剤ガスとして空気が供給され、これらにより発熱を伴う発電反応が生じる。また集電板9、10の冷却水通路9b、10bには図示しない冷却水ポンプから冷却水が供給され、燃料電池スタック1の温度を発電に適した温度に維持する。
【0015】
この場合、供給された燃料ガスは、燃料極7で水素がイオン化され、高分子電解質膜6のイオン交換基(スルホン酸基)を介して酸化剤極8へ移動する。このイオン交換基は、水分を含むことによりイオン伝導性を持つので、高分子電解質膜6は十分な湿潤状態に維持される必要があり、このため、供給される燃料ガス、酸化剤ガスは予め加湿器などにより加湿された状態で各単位セル2に送り込まれるようになっている。
【0016】
図1にあるように、前記締結ボルト4には、各締結ボルト軸力を検出する手段として歪みゲージ11が取り付けられている。さらにこの歪みゲージ11により検出された歪み量の温度による補正を行うための温度センサ12が、歪みゲージ11の近傍の締結ボルト4に設けられる。
【0017】
歪みゲージ11の出力は動歪み測定回路13に入力され、またこの動歪み測定回路13の出力は、前記温度センサ12の出力と共に軸力演算回路14に入力され、ここで後述するように締結ボルト4の軸力が演算される。
【0018】
単位セル2のうち積層方向の中央部に位置する単位セル2にはセル温度センサ15が取り付けられ、セル温度を測定する。
【0019】
そして、前記軸力演算回路14の出力とともにセル温度センサ15の出力が湿潤状態推定演算部16に入力され、前記締結ボルト4の軸力とセル温度とに基づいて単位セル2の湿潤状態が後述するように推定される。
【0020】
多数の単位セル2を積層した燃料電池スタック1は、高分子電解質膜6の湿潤状態に応じて積層方向に伸縮し、湿潤状態が高いほどセルの積層方向の伸長力が大きくなる。このことはセル温度が上昇しても同じように起き、温度が高いほどやはり伸長力は大きくなる。
【0021】
したがって、高分子電解質膜6の湿潤状態によって単位セル2が伸長すると、これに応じて締結ボルト4にかかる軸力が大きくなるので、軸力からセルの湿潤状態が把握できるのであり、この場合、同じ湿潤状態でもセル温度が高ければ、その温度膨張分によって伸長力が変化するので、セル温度に基づいて補正することで、正確に高分子電解質膜6の湿潤度が推定できるのである。
【0022】
湿潤状態推定演算部16の出力は燃料電池運転状態制御装置17に入力され、ここでは推定した湿潤度に応じて高分子電解質膜6が常に適正な湿潤を保つように、燃料ガス、酸化剤ガスの加湿量や、その温度、圧力、流量などを制御するのである。
【0023】
図3は前記動歪み測定回路、軸力演算回路、湿潤状態推定演算部などで行われる、高分子電解質膜6の湿潤状態の判定ルーチンの一例を示すフローチャートであり、このルーチンは例えば30秒ごとに繰り返し実行される。
【0024】
ステップS100で歪みゲージ11からの各締結ボルト毎の歪み量の検出信号を受けると、ステップS101でこの歪み信号を平均化する。ステップS102では各締結ボルト4に設けた軸温度センサ12からの各締結ボルト毎の温度信号を受け、これをステップS103で平均化する。
【0025】
ステップS104では前記平均化された歪み信号を平均化された温度値で補正する。この場合、温度による歪み量は温度が高くなるほど大きくなるので、この分を補償するように補正が行われる。
【0026】
ステップS105でセル温度センサ15からの温度信号を読み取り、ステップS106で、軸温度補正後の軸力Ftと、そのときのセル温度tとに基づき、図4に示すようなマップから、高分子電解質膜6の湿潤状態を算出する。
【0027】
このマップにおいて、軸力Ftが大きくなるほど膜湿潤度は高く(湿潤)なり、逆に軸力が小さいほど膜湿潤度は低く(乾燥)なる。また軸力Ftはセル温度tによって変動し、セル温度が高いほど、同一の軸力に対する実際の膜湿潤度は低下するので、この分について温度補正することでより精度よく膜湿潤度が検出できる。
【0028】
本実施形態では、この場合、標準湿潤状態との比較において高分子電解質膜の湿潤状態を判定するようになっており、このためステップS107において、前記マップによりそのときのセル温度toに基づいて予め設定された軸力基準値Foを、軸力Ftと比較し、もし軸力Ftが軸力基準値Foよりも小さければ、ステップS108に進んで高分子電解質膜6が乾燥状態であると判断し、これに対して、軸力Ftが軸力基準値Foよりも大きければ、ステップS109に進んで、同じく湿潤状態であると判断する。
【0029】
なお、軸力基準値Foについては、予め基準温度のときの標準湿潤状態となる軸力と、温度の変化に応じて修正した軸力とを設定しておき、各温度において標準湿潤状態が得られる値を、軸力基準値Foとしてある。
【0030】
すなわち、図4に示されるように、標準セル温度toでの標準湿潤状態が得られる軸力をFoとすると、例えばセル温度がtl(<to)のときには、FoはFo’の位置まで減少し、一方th(>to)のときにはFoはFo”の位置まで増加する。したがって軸力Ftが図4に示されたような値として検出された場合、セル温度がtlやtoであれば、標準湿潤状態を越えた湿潤状態にあると判断され、またセル温度がthであった場合には、十分な湿潤状態が得られていないと判断される。
【0031】
そしてステップS110では、乾燥、湿潤のいずれについても、軸力Ftと軸力基準値Foとの差に応じた信号を出力し、これに基づいて燃料電池運転状態制御装置では、高分子電解質膜6の湿潤状態を、標準湿潤状態となるように、燃料ガス、酸化剤ガスの加湿量、温度、圧力、流量などを調整する。
【0032】
以上のように本実施形態によれば、高分子電解質膜6が湿潤状態に応じてセル積層方向に変位する現象を利用し、積層した単位セル2を固定するための締結ボルト4に働く軸力に基づいて、高分子電解質膜6の湿潤状態を推定するようにしたので、簡単な構成でありながら、高分子電解質膜6の湿潤状態を測定することができる。
【0033】
また、この締結ボルト4にかかる軸力は、セル温度によってもセル積層方向に変位を生じるので、セル温度により軸力を補正することで、なお一層正確な軸力、すなわち高分子電解質膜6の湿潤度を把握することが可能となる。
【0034】
また、この締結ボルト4の軸力については、ボルト温度によってボルト軸方向の膨張量が変化することで変動するので、ボルト温度に基づく補正を行うことで、同じく正確に湿潤度を把握できる。
【0035】
ところで上記説明において、各締結ボルト4の軸力を検出する歪みゲージ11の検出値を平均化し、また各締結ボルト4の温度を検出する温度センサ12の検出値を平均化して、これら平均値に基づいて4本の締結ボルト4の平均的な軸力に基づいて高分子電解質膜6の湿潤度を測定している。この代わりに、各締結ボルト4の軸力を歪みゲージ11の出力として求め、かつ温度補正し、さらにセル温度に基づいて、各締結ボルト4に対応しての高分子電解質膜6の湿潤度を推定することもできる。
【0036】
この場合、各締結ボルト毎に推定した高分子電解質膜6の湿潤度が異なれば、高分子電解質膜6の発電面内における湿潤状態が不均一であることを示すので、目標とする湿潤状態を実現するにあたり、発電面内の湿潤分布状態が均一となるように、つまり各締結ボルト毎の湿潤推定値が一致するように、加湿状態などを調整することも可能となる。
【0037】
このようにすると、高分子電解質膜6の発電面内での湿潤度のバラツキを抑制して、全面的に同一の安定した発電効率を維持することが可能となる。
【0038】
第2の実施形態について図5を参照して説明する。
【0039】
この実施形態では、締結ボルト4の軸力を計測するために、座面圧センサ18を各締結ボルト4の締結面に配置し、締結ボルト4に作用する軸力を座面圧センサ18により検出し、これを座面圧測定回路19に入力し、締結ボルト軸力を測定するようにしたものである。
【0040】
締結ボルト4の軸力が高まるにしたがい締結ボルト4とエンドプレート3aとの間に介在した座面圧センサ18の検出する面圧も比例して高まり、これにより結局、ボルト軸力を計測することができ、これに基づいて高分子電解質膜6の湿潤度を推定できるのである。
【0041】
この他の構成は第1実施形態と同じである。
【0042】
したがってこの実施形態によれば、座面圧センサ18を利用して簡単にボルト軸力を測定でき、コストの低減、信頼性の向上などが図れる。
【0043】
本発明は上記した実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で、当業者がなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の構成図である。
【図2】単位セルの拡大断面図である。
【図3】制御動作を示すフローチャートである。
【図4】軸力と湿潤との関係を示す説明図である。
【図5】第2実施形態の構成図である。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 単位セル
3a,3b エンドプレート
4 締結ボルト
6 高分子電解質膜
7 燃料極
8 酸化剤極
11 歪みゲージ
12 軸温度センサ
14 軸力演算回路
15 セル温度センサ
16 湿潤状態推定演算部
18 座面圧センサ
Claims (8)
- 燃料ガスが供給される燃料極と酸化剤ガスが供給される酸化剤極とにより狭持された高分子電解質膜を備えた単位セルを多数積層して、その両端に配置したエンドプレート間に締結ボルトを介して積層単位セルを狭圧した燃料電池スタックにおいて、
前記締結ボルトの軸力を検出する手段と、
湿潤状態に応じてセル積層方向に変位する前記高分子電解質膜の湿潤度を前記軸力に基づいて推定する湿潤推定手段とを備えたことを特徴とする燃料電池スタック。 - 前記軸力の検出手段として、締結ボルトの歪み量を測定する歪みゲージを備えた請求項1に記載の燃料電池スタック。
- 前記軸力の検出手段として、締結ボルトの座面の面圧を測定する座面圧センサを備えた請求項1に記載の燃料電池スタック。
- 前記締結ボルトの温度を検出する温度センサを備え、
前記湿潤推定手段は、前記締結ボルトの軸力を温度により補正するようになっている請求項1〜3のいずれか一つに記載の燃料電池スタック。 - 前記単位セルの温度を検出する手段を備え、
前記湿潤推定手段は、前記軸力とセル温度とに基づいて高分子電解質膜の湿潤度を推定するようになっている請求項1〜4のいずれか一つに記載の燃料電池スタック。 - 前記湿潤推定手段は、前記セル温度に基づいて設定した基準値と前記軸力とを比較し、前記軸力が基準値よりも大きいときは湿潤状態、同じく小さいときは乾燥状態にあると判定する請求項5に記載の燃料電池スタック。
- 前記複数の締結ボルトに対して設けた複数の前記軸力の検出手段を備え、
前記湿潤推定手段は、それぞれの軸力の平均値に基づいて前記高分子電解質膜の湿潤度を推定する請求項1〜6のいずれか一つに記載の燃料電池スタック。 - 前記複数の締結ボルトに対して設けた複数の前記軸力の検出手段を備え、
前記湿潤推定手段は、それぞれの軸力検出手段の位置に対応しての前記高分子電解質膜の湿潤度を判断し、これらに基づいて高分子電解質膜の湿潤度の面内分布を推定する請求項1〜6のいずれか一つに記載の燃料電池スタック。
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- 2002-10-04 JP JP2002292401A patent/JP2004127809A/ja active Pending
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