JP2004126544A - Binder resin for toner, and toner - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
近年、電子写真法を利用した複写機やプリンターへの要求性能が高度化している。一般に、複写機やプリンターに於ける電子写真法は、光感光体上に静電気的潜像を形成し、ついで潜像を、トナーを用いて現像し、紙などの被定着シート上にトナー画像を転写した後、熱ロールで加熱圧着する方法(熱ロール定着方式)が行われている。この熱ロール定着方式においては、消費電力等の経済性の向上、複写速度の上昇等のため、より低温で定着可能な定着性の良好なトナーが要求されている。一方で、熱ロール定着方式においては、熱ロール表面とトナーが溶融状態で接触するため、トナーが熱ロール表面に付着転移し、次の被着シートにこれが再転移して汚す、所謂オフセット現象という問題が生じる。このオフセット現象を発生させないことも、重要なトナー性能への要求の一つである。さらには、複写機、プリンターの高速化に伴い、帯電部位の高性能化の要求も高まってきている。すなわちトナーに対し、より高度な耐久性が必要とされてきており、長期耐刷安定性が必要になりつつある。
【0002】
定着性を良好なものとする為に、結着(バインダー)樹脂を低分子量化し、定着温度を低くしようとする等の試みが一般的である。しかしながら、低分子量化することにより樹脂粘度は低下するが、同時に樹脂の強度および凝集力も低下してしまい、トナーの耐久性の低下および定着ロールへのオフセット現象が発生する問題が生じる。また、高分子量の樹脂と低分子量の樹脂を混合使用して分子量分布を広くしたものを該結着樹脂として用いる方法や、あるいは、さらに結着樹脂の高分子量部分を架橋させたりすることなどが行われていた。しかしながらこの方法においては、樹脂の粘度が上昇してしまい、逆に、定着性を満足させることが困難となる。
【0003】
このような相反する性能を要求される結着樹脂として、従来、主に用いられてきたスチレン−アクリル系樹脂に代えて、バインダー樹脂としてより高密度なポリエステル樹脂を用いたトナーが種々提案されている(例えば、特開昭61−284771号公報(特許文献1)、特開昭62−291668号公報(特許文献2)、特公平7−101318号公報(特許文献3)、特公平8−3663号公報(特許文献4)、米国特許第4,833,057号(特許文献5)等)が、特に近年の高度化する市場の要望に対して充分対応できるとは言えないのが現状である。さらに省資源化、環境保護の観点から、両面印刷、両面コピーが当たり前になりつつあり、トナーには定着性、耐オフセット性に加えてスメア性の向上を求める市場の声もある。
【0004】
またポリエステル樹脂を用いたトナーの原料としては、従来、ビスフェノールA誘導体や、ポリエステルを製造する際の触媒として、錫系触媒を使用している物が多い。一方、近年、種々の用途でビスフェノールA、錫などが環境に影響を与える恐れがあるとの議論があり、環境保護の観点から市場からはそれらを含有しない製品の要望もある。
【0005】
また、他の省資源化の観点として、近年、人口の増加、エネルギーの使用が拡大に伴う資源の枯渇化があり、省資源・省エネルギー・資源のリサイクル等が望まれている。なかでもPETボトルは、各自治体等で回収され、各種衣料や容器に利用され始めており、また新たな用途開発も望まれている。
【0006】
【特許文献1】特開昭61−284771号公報
【特許文献2】特開昭62−291668号公報
【特許文献3】特公平7−101318号公報
【特許文献4】特公平8−3663号公報
【特許文献5】米国特許第4,833,057号
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、省資源化、環境保護を求める市場の声に対応しつつ、且つ高性能の、特にスメア性に優れたトナー用バインダー樹脂およびトナーを提供することにある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ビスフェノールA由来の構造、および錫を含有せず、且つ高性能のトナー用バインダー樹脂およびトナーを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、以下に記述する発明に至った。すなわち本発明は、
(1) ポリエステル構造を有するトナー用バインダー樹脂であって、
下記[I]の構造単位が、全アルコール由来の構造単位の1モル%以下であり、
【0010】
【式2】
【0011】
ウレタン結合を有する構造単位が、全カルボン酸由来の構造単位と全アルコール由来の構造単位の和を100モル%として0.1〜10モル%であり、
錫の含有率が5ppm以下であり、
チタン、ゲルマニウム、アルミニウムから選ばれる元素の含有率が10ppm〜1500ppm
である事を特徴とするトナー用バインダー樹脂であり、
(2) カルボン酸由来の構造単位の60モル%以上がテレフタル酸由来の構造単位であることを特徴とするトナー用バインダー樹脂であり、
(3) アルコール由来の構造単位の40モル%以上がエチレングリコール由来の構造単位であり、且つ、その75モル%以上がエチレングリコールとネオペンチルグリコール由来の構造単位であることを特徴とするトナー用バインダー樹脂であり、
(4) トナー用バインダー樹脂の溶融温度が、110℃以上であることを特徴とするトナー用バインダー樹脂であり、
(5) ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレートと多価カルボン酸と多価アルコールとをチタン触媒、ゲルマニウム触媒、アルミニウム触媒から選ばれる触媒の存在下に反応させて得られるトナー用バインダー樹脂であり、
(6) 上記のトナー用バインダー樹脂を含むトナー
である。
【0012】
上記の発明によれば、ビスフェノールA構造の極めて少ない、かつスメア性にも優れた高性能のトナー用バインダー樹脂およびトナーを得ることが出来るため、本発明の工業的意義は大きい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明においては、構造単位のことを単に構造と言うことがある。
【0014】
本発明に用いられるドナー用バインダー樹脂は、
ポリエステル構造を有し、下記[I]の構造単位が、全アルコール由来の構造単位の1モル%以下であり
【0015】
【式3】
ウレタン結合を有する構造単位が、全カルボン酸由来の構造単位と全アルコール由来の構造単位の和を100モル%として0.1〜10モル%であり、
錫の含有率が5ppm以下であり、
チタンおよび/またはゲルマニウムの含有率が10ppm〜1500ppm
である事を特徴としている。
【0016】
より詳細には、本発明のトナー用バインダー樹脂は以下の構成であることが好ましい。
【0017】
[[A]COO[B]O(CO)]で表される構造単位の繰り返し構造を有するポリエステル樹脂であって、
[A構造]が脂肪族、脂環族、芳香族構造を有する構造であり、
[B構造]が[II]の構造であり
【0018】
【式4】
(式中、Arは芳香族構造を有する基であり
0≦m1≦1、0≦m2≦1 であり
2≦n≦20 であり
R1〜R2n+2は、炭素、水素、酸素、窒素、燐、珪素から選ばれる元素からなる基および/または共有結合であり、互いに結合して環状構造や、(二重)結合を形成しても良い。)
ウレタン結合を有する構造単位が、全カルボン酸由来の構造単位と全アルコール由来の構造単位の和を100モル%として0.1〜10モル%であり、
錫の含有率が5ppm以下であり
チタン、ゲルマニウム、アルミニウムから選ばれる元素の含有率が10ppm〜1500ppmである。
【0019】
本発明の上記ポリエステル樹脂は、通常多価カルボン酸やその酸無水物と多価アルコールとの重縮合反応によって得られる。[A構造]は上記カルボン酸に、[B構造]は上記のアルコールに由来する構造である。
【0020】
上記カルボン酸は、炭素数1〜20の炭化水素において水素の1〜5個、好ましくは1〜3個がカルボキシル基に置換された構造の化合物が好ましい。この炭化水素は脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素である事が好ましい。具体的にはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸類、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類、これらジカルボン酸の無水物である無水フタル酸等が挙げられる。また、これら
のジカルボン酸の低級アルキルエステルなどを挙げることができる。これらのエステルは、後述する多価アルコールとのエステル交換反応によってポリエステルを得ることが出来る。
【0021】
これらの中でも芳香族ジカルボン酸が好ましく、より好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸である。
【0022】
上記の多価カルボン酸は2種以上を組み合わせて用いることも出来る。
【0023】
また、分子量を調整する目的で1価のカルボン酸および多価カルボン酸を用いることもできる。1価のカルボン酸で好ましいものとしては、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸が挙げられ、分岐していても、不飽和基を有していてもよい。また、これら脂肪族1価カルボン酸は、ガラス転移点を下げる性質があるため、ガラス転移点調節のために好ましく用いられる。また、安息香酸やナフタレンカルボン酸などの芳香族カルボン酸を用いてもよい。これらの1価のカルボン酸は、全カルボン酸に対して0モル%〜30モル%、好ましくは0モル%〜15モル%の量で用いられる。
【0024】
上記の1価のカルボン酸は2種以上を併用することが出来る。
【0025】
3価以上の多価カルボン酸は後述する分子量分布を広げる効果や、樹脂の結晶化を阻害する効果があるため好ましく用いられる。具体的にはとしてはトリメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの酸無水物などが挙げられ、特にトリメリット酸及びその酸無水物が好ましい。これらの3価以上の多価カルボン酸は、全カルボン酸に対して0モル%〜30モル%、好ましくは1モル%〜30モル%、より好ましくは1モル%〜10モル%、特に好ましくは2モル%〜10モル%の量で用いられる。
【0026】
またこれらを2種以上併用することもできる。
【0027】
本発明におけるポリエステル樹脂の[A構造]部は、カルボン酸由来の構造単位であり全カルボン酸由来の構造単位の60モル%以上がテレフタル酸由来の構造を有することが好ましい。この他には、従来ポリエステル樹脂を製造する際に用いられているものを用いることができるが、ビスフェノールA骨格を有するものは、使用しないことが好ましい。
【0028】
上記のアルコールは、好ましくは、下記[II]の構造を含有している。
【0029】
【式5】
【0030】
(式中、Arは芳香族構造を有する基であり
0≦m1≦1、0≦m2≦1 であり
2≦n≦20 であり
R1〜R2n+2は、炭素、水素、酸素、窒素、燐、珪素から選ばれる元素からなる基および/または共有結合であり、互いに結合して環状構造や、(二重)結合を形成しても良い。)
【0031】
上記のアルコールとして具体的には、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハ
イドロキノン、レゾルシン、フタリルアルコール等の多価アルコールが挙げられる。これらの中でも分岐および/または環状構造を有するネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましく、特にネオペンチルグリコールが好ましい。
【0032】
上記の多価アルコールは2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
【0033】
上記の多価アルコールは、トナー用バインダー樹脂として優れた性能を発現させるのに極めて有用とされるが、環境に影響を与える可能性が議論されているビスフェノールA骨格を有する化合物、具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールA−2プロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールA−3プロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールA−ポリプロピレンオキサイド付加物、ビスフェノールA−2エチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA−3エチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA−ポリエチレンオキサイド付加物とは異なる構造を有している。上記の様なビスフェノールA構造を有するアルコールは、全アルコールの1モル%以下、好ましくは0モル%の量で用いられる。上記の量が1モル%を越えると、後述するスメア性が不十分となることがある。
【0034】
また、分子量を調整する目的で1価のアルコールおよび3価以上の多価アルコールを用いることもできる。1価のアルコールで好ましいものとしては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコールなどの脂肪族モノアルコールなどが挙げられ、分岐や不飽和基を有していてもよい。これらの1価のアルコールは、全アルコールに対して0モル%〜25モル%、好ましくは0モル%〜15モル%の量で用いられる。
【0035】
3価以上の多価アルコールは、後述する分子量分布を広げる効果や、樹脂の結晶化を阻害する効果があるため好ましく用いられ、具体的には、トリメチロールプロパン、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン等が挙げられ、特にトリメチロールプロパン、グリセリン、2−メチルプロパントリオール、トリメチロールエタンが好ましい。これらの3価以上の多価アルコールは、全アルコールに対して1モル%〜25モル%、好ましくは1モル%〜20モル%、更に好ましくは2モル%〜12モル%、特に好ましくは2モル%〜10モル%の量で用いられる。
【0036】
上記の1価のアルコールや3価以上の多価アルコールは2種以上を併用することが出来る。
【0037】
本発明におけるポリエステル樹脂は、通常上記の多価カルボン酸と多価アルコールとから得られるが、他のポリエステルも原料として使用し、解重合、重縮合によってポリエステル樹脂を製造することが好ましい。このPETは、廃物より回収されたリサイクルPETであっても良い。リサイクル品PETは、フレーク状に加工したものであり、重量平均分子量で30000〜90000程度のものであるが、PETの分子量分布、組成、製造方法、使用する際の形態等に制限されることはない。また、リサイクル品に制限されることはない。
【0038】
上記PETの含有量は、ポリエステル樹脂中の全アルコール成分のモル数を100モル%とした時に、PET由来のアルコール成分であるエチレングリコールのモル数として、40モル%以上であることが、後述する重縮合反応性を考慮すると好ましい。
【0039】
また、アルコール成分として、少なくとも、PET由来のエチレングリコールと、分岐構造および/または環状構造を有するアルコール、好ましくはネオペンチルグリコールとを含有することが好ましく、その含有量は、全アルコール成分のモル数を100モル%とした時に、エチレングリコールと、分岐構造および/または環状構造を有するアルコール、好ましくはネオペンチルグリコールとの和が75モル%以上であることが好ましい。
【0040】
本発明におけるポリエステル樹脂を得る際の、重縮合反応は、窒素ガス等の不活性ガス中での、例えば無溶剤下高温重縮合、溶液重縮合等の公知の方法により行うことができる。反応に際しての酸モノマーとアルコールモノマーの使用割合は、前者のカルボキシル基に対する後者の水酸基の割合で0.7〜1.4であることが一般的である。
【0041】
また、PETを原料として用いる際には、予め、PETとアルコールモノマーを添加し、PETの解重合反応を行った後に、残りのアルコールおよび酸モノマーを添加し、重縮合反応を行っても良いし、また、PETとアルコールモノマーと酸モノマーを一括で仕込み、解重合反応と重縮合反応を同時に行っても良い。
【0042】
上記ポリエステル樹脂を得る際の重縮合反応、または重縮合反応および解重合反応を行う方法においては触媒が用いられる。上記の触媒はチタン、ゲルマニウム、アルミニウムから選ばれる元素を含有する触媒であり、ジブチル錫オキサイド等の錫系触媒や三酸化アンチモン等のアンチモン系触媒等とは異なるものである。上記の中でもチタン、および/またはゲルマニウムを含有する触媒が好ましく、特にはチタンを含有する触媒が好ましい。チタンを含有する触媒として、チタンアルコキシド、チタンアシレート、チタンキレート等を使用することがさらに好ましく、特に好ましくは、テトラノルマルブチルチタネート、テトラ(2‐エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネートを使用することが好ましい。ゲルマニウム含有する触媒としては二酸化ゲルマニウム等が挙げられる。また、その際の添加量としては0.01質量%〜1.00質量%であることが好ましい。上記の触媒は、複数を同時に使用しても良く、また触媒の添加時期は、重合開始時に添加しても良く、また、重合途中で添加しても良い。
【0043】
上記チタンを含有する触媒に相当するものの具体的商品名として、チタンアルコキシドとしては、オルガチックスTA‐25(テトラノルマルブチルチタネート)、TA‐30(テトラ(2‐エチルヘキシル)チタネート)、TA‐70(テトラメチルチタネート)等、チタンアシレートとしては、オルガチックスTPHS(ポリヒドロキシチタンステアレート)等、チタンキレートとしては、オルガチックスTC‐401(チタンテトラアセチルアセトナート)、TC‐200(チタンオクチレングリコレート)、TC‐750(チタンエチルアセトアセテート)、TC‐310(チタンラクテート)、TC‐400(チタントリエタノールアミネート)等(いずれも松本製薬工業株式会社製)を例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0044】
チタンを含有する触媒は、水が系内に存在する場合、触媒活性が失活されてしまう為、一般にはエステル交換反応の触媒として知られている。重縮合反応時に生成される水との反応、およびそれによる触媒活性の失活を押さえる為に、上記のように、原料としてPETを利用することが好ましい。
【0045】
本発明におけるポリエステル樹脂は、200℃〜270℃で解重合及び/又は重縮合して製造することが好ましく、更には220℃〜260℃であることが好ましい。反応温度が200℃以下の場合、解重合する際のPETの溶解性が悪化し反応時間が延びることがあり、テレフタル酸等酸成分の多価アルコールに対する溶解性が悪化することがある。一方で、反応温度が270℃以上の場合、原料の分解が起こることがある。
【0046】
上記のようにして得られるポリエステル樹脂を用いる本発明のトナー用バインダー樹脂は、チタン、ゲルマニウム、アルミニウムから選ばれる元素の含有量が10〜1500ppm好ましくは30〜1000ppmである。また、錫の含有量は0〜5ppm、好ましくは0ppmである。これは主として原料にPETを代表例とするポリエステルのリサイクル品を用いた場合、リサイクル品中に含まれている錫に由来するものである。
【0047】
上記の樹脂中の金属分析は、原子吸光分析法やプラズマ発光分析法等、公知の金属分析方法を用いることにより確認し得る。
【0048】
先述のように、トナーに求められる性能としては、良定着性、高強度、高凝集力、高耐久性、定着ロールへのオフセット防止等があり、これらの性能を両立させる方法として、結着樹脂の広分子量分布化が有力である。
【0049】
本発明のポリエステル樹脂はウレタン結合を有する構造単位を、ポリエステル樹脂の全ての酸由来の構造単位と全てのアルコール由来の構造単位の和を100モル%として、0.1〜10モル%、好ましくは0.1〜3.5モル%の割合で有している。これは主としてポリエステル樹脂を多価イソシアネートと反応させて、部分的に高分子量化や架橋させて広分子量分布化を図る方法(ウレタン伸長法)によって導入される。
【0050】
ここで用いられる多価イソシアネートとして具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートなどのジイソシアネートなどが挙げられる。また、その他三価以上の多価イソシアネートを用いることも可能である。上記のイソシアネートは2種類以上を併用することも出来る。
【0051】
イソシアネート化合物由来の構造単位は高い分子間結合力を有しているので、良好な機械的耐久性を得ることができる、より高いスメア性を実現できる等と言う効果があるのも好ましく用いられる理由の一つである。
【0052】
上記のイソシアネート化合物は、上記の全カルボン酸由来の構造単位と全アルコール由来の構造単位との和を100モル%として、0.1〜10モル%、好ましくは4モル%の量用いられる。
【0053】
上記のウレタン伸長法のより好ましい方法としては、ポリエステル樹脂としてOH価の比較的高いポリエステル樹脂(A−0)とOH価の比較的低いポリエステル樹脂(A−2)を用いる方法が挙げられる。この方法では、ポリエステル樹脂(A−0)がポリエステル樹脂(A−2)よりイソシアネートと反応し易く、高分子量化が優先的に進行するため、分子量分布を効率よく広げることが出来る他、ポリエステル樹脂(A−0)がポリエステル樹脂(A−2)の使用量比によって、分子量分布の制御を容易に行うことが出来る。上記のポリエステル樹脂(A−0)のOH価は、上記の多価イソシアネートの反応性を考慮するとその下限が、好ましくは15mgKOH/gであり、より好ましくは30mgKOH/gである。一方、その上限は90mgKOH/gが好ましく、より好ましくは70mgKOH/gである。また、本発明におけるポリエステル樹脂(A−2)のOH価は、10mgKOH/g以下、好ましくは7mgKOH/g以下であることが、ポリエステル樹脂と多価イソシアネートとの反応を阻害しない為、および最終的に得られるトナー用バインダー樹脂が良好な定着性と耐オフセット性のバランスを示す上で好ましい。
【0054】
なお、OH価は、樹脂1g中のOH基をエステル化するのに必要な酸無水物を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数を指す。OH価の測定方法は、公知の酸無水物による逆滴定により行われる。特に酸無水物に無水フタル酸、触媒にイミダゾールを使用する方法が望ましく、これら酸無水物、触媒を溶かす溶剤にはピリジンを用いて反応試薬とする。反応試薬と樹脂を反応させた後にこれらを希釈する溶剤には、ピリジン又はテトラヒドロフラン等、樹脂の溶解性に優れた溶剤を使用する。
【0055】
本発明におけるポリエステル樹脂(A−0)とポリエステル樹脂(A−2)とを併用する方法を詳述する。
【0056】
上記の方法において、ウレタン伸長は主にポリエステル樹脂(A−0)と多価イソシアネートとの反応で達成され、ウレタン変性ポリエステル(UA−1)が生成する。この際多価イソシアネートは、ポリエステル樹脂(A−0)の水酸基価1モル当量に対してイソシアネート基として1モル当量以下で使用することが好ましく、更には0.5モル当量以下で使用することが好ましい。0.5モル当量以上であると、反応系内の粘度上昇が著しく、定着性が低下することがあり、また製造されるウレタン変性ポリエステル樹脂中に多価イソシアネートが、モノマーのまま存在する可能性があり安全性の面で問題が生じる場合がある。
【0057】
前記ポリエステル樹脂と多価イソシアネートとの反応は、公知の反応装置を制限無く用いることが出来る。具体的には、攪拌機付き反応器や二軸混練機などが挙げられる。これらの中でも、反応効率や樹脂の均一性等の点から二軸混練機等の混練装置を用いることが好ましい。その際の混練機内の温度は反応を充分に完結させる観点から、100℃以上であることが好ましい。
【0058】
上記の方法で得られたトナー用バインダー樹脂は、ウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂(UA−1)とポリエステル樹脂(A−2)を主成分とするウレタン結合を含まないポリエステル樹脂とを含有する。このような上記バインダー樹脂は、例えば、予め前記ポリエステル樹脂(A−0)と多価イソシアネートとの反応を行い、ウレタン変性ポリエステル樹脂(UA−1)を得た後に、ドライブレンド等の手法を用いて、ポリエステル樹脂(A−2)を加える方法の他、ポリエステル樹脂(A−0)とポリエステル樹脂(A−2)と多価イソシアネートとを反応させる方法が挙げられる。
【0059】
上記のトナー用バインダー樹脂は、好ましくはTHF不溶部とTHF可溶部を有する。THF不溶部が1〜40質量%、好ましくは1〜25質量%であり、THF可溶部は99〜60質量%、好ましくは99〜75質量%である。
【0060】
上記THF可溶部は、そのアルコール由来の構造単位の和を100モル%として、好ましくは
上記アルコール由来の構造単位の内、
2価のアルコール由来の構造単位(2AU1)が80〜100モル%であり、
3価のアルコール由来の構造単位(3AU1)が0〜20モル%であり、
イソシアネート化合物由来の構造単位(IU1)が0〜10モル%
の割合で含まれる。
【0061】
また、上記THF不溶部は、そのアルコール由来の構造単位の和を100モル%として、好ましくは上記アルコール由来の構造単位の内、
2価のアルコール由来の構造単位(2AU2)が70〜99モル%であり、
3価のアルコール由来の構造単位(3AU2)が1〜30モル%であり、
イソシアネート化合物由来の構造単位(IU2)が0.1〜35モル%
の割合で含まれる。
【0062】
上記のTHF不溶成分は、後述する実施例の欄に記載する方法で得られる物であり、その中に含まれるTHF可溶成分は実質的に1質量%以下である。またTHF可溶成分中に含まれるTHF不溶成分の割合は、実質的に1質量%以下である。
【0063】
THF不溶部の構造の分析方法としては、次のような方法が好ましく用いられる。すなわち、THF不溶部を硫酸等で加水分解を行った後、得られた成分を液体クロマトグラフィー(LC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、赤外分光法(IR)などの公知の方法で構造解析や定量を行う方法である。
【0064】
THF可溶部の構造の分析方法としては、上記の方法の他、直接LC、NMR、IRなどで構造解析と定量を行うことが出来る場合がある。
【0065】
上記のようにして得られる本発明のトナー用バインダー樹脂の溶融温度は、110℃以上であることが好ましく、より好ましくは110℃以上180℃以下である。該範囲内の溶融温度を有することにより、定着性とオフセット性の双方の性能を満足することができる。
【0066】
本発明のトナー用バインダー樹脂には、ローラーへのオフセットを防ぐ性能をより高める目的等で、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスを含有しても良く、その添加量は、トナー用バインダー樹脂中に0〜10質量%の範囲であることが好ましい。
【0067】
上記ポリオレフィンワックスに相当するものの具体的商品名としては、三井化学社製ハイワックス800P、400P、200P、100P、720P、420P、320P、405MP、320MP、4051E、2203A、1140H、NL800、NP055、NP105、NP505、NP805等を例示することができるが、これに限定されるものではない。
【0068】
さらに、本発明のトナー用バインダー樹脂には、セラミックワックス、ライスワックス、シュガーワックス、ウルシロウ、密鑞、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス等の天然ワックスを含有しても良く、その添加量は、トナー用バインダー樹脂中に0〜10質量%の範囲であることが好ましい。
【0069】
また、本発明のトナー用バインダー樹脂中には、本発明の効果を損なわない範囲で上記ポリエステル樹脂の他に、スチレン系共重合体、ポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂を添加してもよい。
【0070】
以下、本発明のトナーに付いて詳述する。
本発明のトナーは、少なくとも先の本発明のトナー用バインダー樹脂、帯電調整剤(CCA)、着色剤、表面処理剤を含むものである。
【0071】
本発明のトナ−用バインダー樹脂の量は、トナー中に50〜95質量%であることが好ましい。
【0072】
以下、トナー用バインダー樹脂以外のものについて詳述する。
【0073】
まず、着色剤について記すと、従来知られている染料及び顔料を使用することができ、具体的には例えばカーボンブラック、マグネタイト、フタロシアニンブルー、ピーコックブルー、パーマネントレッド、レーキレッド、ローダミンレーキ、ハンザイエロー、パーマネントイエロー、ベンジジンイエロー、ニグロシン染料(C.I.No. 50415),アニリンブルー(C.I.No. 50405),チャコールブルー(C.I.No.azoec Blue 3),クロームイエロー(C.I.No. 14090),ウルトラマリンブルー(C.I.No. 77103),デユポンオイルレツド(C.I.No. 26105),オリエントオイルレツド#330(C.I.No. 60505),キノリンイエロー(C.I.No. 47005),メチレンブルークロライド(C.I.No. 52015),フタロシアニンブルー(C.I.No. 74160),マラカイトグリーンオクサレート(C.I.No. 42000)等を使用することができる。その添加量としては、トナー用バインダー樹脂100質量部に対して3〜15質量部であることが好ましい。
【0074】
また、帯電調整剤としては、ニグロシン、4級アンモニウム塩や含金属アゾ染料をはじめとする公知の帯電調整剤を適宜選択して使用することができ、その使用量はトナー用バインダー樹脂100質量部に対して、通常用いられる0.1〜10質量部である。
【0075】
次に表面処理剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ、酸化チタン、ポリテトラフロロエチレン、ポリビニリデンクロライド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン超微粒子、シリコーンといった微粉末を挙げることができ、その添加量は、トナー用バインダー樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部で使用することが好適である。
【0076】
本発明のトナーは、ポリオレフィンワックスを含んでも良く、その量はトナー用バインダー樹脂100質量部に対して0〜10質量部である。具体的なポリオレフィンワックスとしては、トナー用バインダー樹脂の項に記載した物を例示することが出来る。
【0077】
これらの材料を含む本発明のトナーの製造方法としては、本発明のトナー用バインダー樹脂、着色剤、必要であればその他の添加剤を粉体混合機により充分に混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーといった混練機を用いて溶融、混練して各構成成分を充分に混合する。これを冷却後、粉砕、分級を行なって、通常8〜20μmの範囲の粒子を集め、粉体混合法により表面処理剤をまぶしてトナーを得る。
【0078】
本発明により得られるトナーは種々の現像プロセス、例えばカスケード現像法、磁気ブラシ法、パウダー・クラウド法、タッチダウン現像法、キャリアとして粉砕法によって製造された磁性トナーを用いる所謂マイクロトーニング法、磁性トナー同士の摩擦帯電によつて必要なトナー電荷を得る所謂バイポーラー・マグネチックトナー法などに用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0079】
また,本発明により得られるトナーは、種々の定着方法に用いることができる。具体的には、オイルレスヒートロール法、オイル塗布ヒートロール法、フラッシュ法、オーブン法、圧力定着法などに用いることができる。
【0080】
更に、本発明のトナーは、ファーブラシ法、ブレード法等の種々のクリーニング方法に用いることができる。
【0081】
本発明のトナーは、定着性、耐オフセット性等に優れている事に加え、驚くべきことにスメア性にも優れている。スメア性とは、定着画像、すなわち定着されたトナーの、他の紙への転写の程度を示すものである。より具体的には、定着されたトナーが他の紙と擦れることにより、該トナーの表面がその紙を汚してしまう現象を示す。スメア性に優れたトナーは、画像定着させた用紙を他の紙に接触させたときの画像の転写が極めて少なく、すなわち他の紙を汚すことが少ない。このため、両面印刷や両面コピーで複数枚の書類を作成しても、他紙の画像を汚すことが殆ど無く、実用上大変好ましいトナーである。
【0082】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0083】
なお、本発明における溶融温度は以下のようにして求めた。島津フローテスターCFT500D(島津製作所製)を用い、以下の条件で測定を行う。
ダイスの細孔 ; 直径1mm、長さ1mm
試料量 ; 1cm3
昇温速度 ; 6℃/分
荷重 ; 20Kg/cm2
次いで、温度‐ピストンストローク(試料流出量)曲線から、流出開始温度と流出終了温度における、ピストンストローク値の差の1/2を求め、そのピストンストローク値における温度を求める。この温度を溶融温度とした。
【0084】
また、本発明におけるガラス転移点(Tg)は、示差走査型熱量測定法(DSC)に従い、DSC−20(セイコー電子工業社製)によって測定した。試料約10mgを、予め200℃程度まで昇温し、5分間保持した後、即座に常温(25℃)まで降温する操作を行い、樹脂の熱履歴を統一させた後、−20℃から100℃まで10℃/分で昇温し、得られたカーブのベースラインと吸熱ピークの傾線の交点よりTgを求めた。
【0085】
本発明において、THF不溶成分量とTHF可溶成分量は、以下のようにして求められる。約2.5gの樹脂と約47.5gのTHFを用いて約5質量%の溶液を調製する。(以下、上記溶液の濃度を”RC”と示す。RCは、上記の樹脂質量とTHF質量の精秤値から求められる値である。) すなわち上記の混合物を25±3℃で12時間攪拌し、可溶成分を完全に溶解させる。次いで得られた溶液を16時間静置する。不溶部と上澄みとが分離した後、上澄み液を濃度分析のために分析する。(以下、上澄み液の濃度を”SC”と示す。この値は上澄み液約5gを採取した精秤値と、150℃で1時間乾燥してテトラヒドロフランを除去し、残った樹脂の質量の測定値から計算される。)
THF不溶成分とTHF可溶成分の値は、RC値とSC値とから下記の式によって求められる。
THF可溶成分比率 = (SC/RC) × 100 (%)
THF不溶成分比率 = [(RC−SC)/RC]× 100 (%)
次に、該溶液から上澄み液をデカンテーションによって除き、残査をTHFで数回洗浄する。その残査を減圧下、40℃で乾燥してTHF不溶成分が得られる。
【0086】
また、本発明における酸価は、樹脂1gを中和するために必要な水酸化カリウムのmg数をいう。酸価の測定は、中和滴定法により求めた。試料5gをキシレン/ジメチルホルムアミド=1/1(質量比)の混合溶剤50ccに溶解させ、指示薬としてフェノールフタレイン/エタノール溶液を数滴加えた後、1/10規定 KOH水溶液で滴定を行った。試料溶液の色が無色から紫色に着色した点を終点とし、この際の滴定量と試料質量から酸価(mgKOH/g)を算出した。
【0087】
また、本発明におけるOH価の測定は、下記の酸無水物による逆滴定により行った。樹脂2gに、別途調製したフタル化試薬(ピリジン500cc/フタル酸70g/イミダゾール10gの割合で調製)5ccを加え、溶解させた後、100℃で1時間静置させる。その後、該樹脂溶液に水1cc、テトラヒドロフラン70cc、フェノールフタレイン/エタノール溶液を数滴加え、0.4規定NaOH水溶液で滴定を行った。試料溶液の色が無色から紫色に着色した点を終点とし、この際の滴定量と試料質量からOH価(mgKOH/g)を算出した。 また、本発明における樹脂中の金属定量分析は、高周波プラズマ発光分析装置 SPS1200A(セイコー電子工業社製)によって測定した。
【0088】
本発明における樹脂の分子量および分子量分布の測定は、GPCを用いて求めたものである。測定は、市販の単分散標準ポリスチレンを標準とし、以下の条件で行った。
検出器; SHODEX RI−71S
溶剤 ; テトラヒドロフラン
カラム; KF−G + KF−807L x 3 + KF800D(直列接続)
流速; 1.0 ml/分
試料; 0.25 %THF溶液
【0089】
なお、測定の信憑性は上記の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン試料(Mw=288,000, Mn=137,000, Mw/Mn=2.11)のMw/Mnが、2.11±0.10となることにより確認し得る。
【0090】
ウレタン変性ポリエステル樹脂製造例
ポリエステル樹脂(A−0)および(A−2)の製造は以下の方法で行った。樹脂a−1について具体的に例示する。樹脂a−2、a−3およびb−1〜b−5は、触媒種、触媒添加量、モノマー組成を、表1、表2に示される配合比に変更した以外は樹脂a−1と同様の操作により得た。なお、得られた樹脂の酸価およびOH価を表1、表2に併せて示す。
【0091】
5リットルの四つ口フラスコに還流冷却器、水分離装置、窒素ガス導入管、温度計及び撹拌装置を取り付け、全アルコール成分のモル数100モル%に対して、フレーク状のリサイクルPET(重量平均分子量:75000)をPET中のエチレングリコールユニット単位で43mol%、ネオペンチルグリコール43mol%、トリエチレングリコール9mol%、トリメチロールプロパン5mol%、テレフタル酸48mol%およびテトラ(2‐エチルヘキシル)チタネート(松本製薬工業株式会社製;オルガチックスTA−30)0.2質量%を仕込み、フラスコ内に窒素を導入しながら250℃で解重合および重縮合を行った。反応生成物の酸価が、表1に示す値に達したところでフラスコより抜き出し冷却、粉砕して樹脂a−1を得た。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
以下に実施態様について実施例1を代表例として具体的に記述する。樹脂2〜8について、即ち実施例2〜5及び比較例1〜3についても実施例1と同様な操作を行って樹脂およびトナーを得て評価を行った。これらについて、樹脂A−0と樹脂A−2の配合比やトリレンジイソシアネート添加量、樹脂分析結果、樹脂中の金属定量分析結果、トナー特性評価を実施例1と併せて表3に示す。
【0095】
(実施例1)
樹脂a−1を30質量%、樹脂b−1を70質量%およびトリレンジイソシアネートを2.2質量%とを、樹脂の総流量として20Kg/hの速度で、二軸押出混練機(栗本鉄工所製、KEX−40)へフィードしてゆき、180℃の温度、スクリュー回転数150rpmにて混練反応を行い、ウレタン変性ポリエステル樹脂1を得た。得られた樹脂のTgは58.4℃であり、溶融温度は144℃であった。
このウレタン変性ポリエステル樹脂1を100質量%に対してカーボンブラック(MA−100・三菱化学社製)6質量%、帯電調整剤(BONTRON E−84;オリエント化学工業社製)1.0質量%、ポリプロピレンワックス(ハイワックスNP105;三井化学製)2.0質量%をヘンシェルミキサーにて分散混合した後、二軸押出機・PCM−30(池貝鉄工社製)にて120℃、150rpmで溶融混練し、塊状のトナー組成物を得た。このトナー組成物をハンマーミルにて粗粉砕した。さらに、ジェット粉砕機(日本ニューマチック社製IDS2型)にて微粉砕し、ついで気流分級して平均粒径10μm(5μm以下3質量%、20μm以上2質量%)のトナー微粉末を得た。次いで、上記トナ−100質量%に対して、疎水性シリカ(R−972、アエロジル社製)を0.5質量%となる割合で外部から添加して、これをヘンシェルミキサーにより混合してトナ−を得た。このトナー粒子を用いて、定着性、スメア性、耐オフセット性、現像耐久性を調べた。各評価方法について以下に示す。
【0096】
▲1▼ 定着性
市販の電子写真複写機を改造した複写機にて未定着画像を作成した後、この未定着画像を市販の複写機の定着部を改造した熱ローラー定着装置を用いて定着させた。熱ロールの定着速度は300mm/secとし、熱ローラーの温度を5℃ずつ変化させてトナーの定着を行った。得られた定着画像を砂消しゴム(トンボ鉛筆社製)により、0.5 Kg重の荷重をかけ、10回摩擦させ、この摩擦試験前後の画像濃度をマクベス式反射濃度計により測定した。各温度での画像濃度の変化率が70%以上となった最低の定着温度をもって最低定着温度とした。なお、ここに用いた熱ローラ定着装置はシリコーンオイル供給機構を有しないものである。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
1 ; 最低定着温度 ≦ 160℃
2 ; 170℃ ≧ 最低定着温度 > 160℃
3 ; 180℃ ≧ 最低定着温度 > 170℃
4 ; 190℃ ≧ 最低定着温度 > 180℃
5 ; 最低定着温度 > 190℃
【0097】
▲2▼スメア性
定着性の評価に準じて、未定着画像を作成し、この未定着画像を熱ローラー定着装置にて定着させた。トナーの定着は、熱ロールの定着速度250 mm/sec、熱ローラーの温度170℃とし、行った。得られた定着画像のベタ黒部分(I.D.=1.35〜1.45;マクベス濃度計により測定)を、市販のコピー用紙にて、500g重の荷重で3往復擦った。擦り試験後のコピー用紙の汚れ度合いを、コピー用紙の画像濃度(I.D.)をマクベス式反射濃度計により測定することで確認した。なお、環境条件は常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
1 ; I.D. ≦ 0.9 (汚れが少ない)
2 ; 1.2 ≧ I.D. > 0.9
3 ; I.D. > 0.12(汚れが多い)
【0098】
▲3▼ 耐オフセット性
耐オフセット性の評価は、上記▲4▼で記した最低定着温度の測定に準ずるが、上記複写機にて未定着画像を作成した後、トナー像を転写して上述の熱ローラー定着装置により定着処理を行い、次いで白紙の転写紙を同様の条件下で当該熱ローラー定着装置に送って転写紙上にトナー汚れが生ずるか否かを目視観察する操作を、前記熱ローラー定着装置の熱ローラーの設定温度を順次上昇させた状態で繰り返し、トナーによる汚れの生じた最低の設定温度をもってオフセット発生温度とした。また、環境条件は、常温常圧(温度22℃,相対湿度55%)とした。
1 ; オフセット発生温度 ≧ 240℃
2 ; 240℃ > オフセット発生温度 ≧ 220℃
3 ; 220℃ > オフセット発生温度 ≧ 210℃
4 ; 210℃ > オフセット発生温度
【0099】
▲4▼ 現像耐久性
市販の複写機(東芝製、プレシオ5560)により連続して100,000枚にわたる実写テストを行った後、画像濃度、画質が劣化し始める枚数により評価した。
1 : 7万枚以上でも劣化しない
2 : 5万枚以上、7万枚未満の範囲で劣化
3 : 5万枚未満で劣化
【0100】
【表3】
【0101】
表3の結果から明らかなように、本発明により製造されたトナー用樹脂1〜5を用いたトナーは、いずれも優れた定着性能と耐オフセット性能および現像耐久性能を示すだけでなく、優れたスメア性を示すことがわかる。
【0102】
【発明の効果】
この発明のトナー用バインダー樹脂およびトナーは、上記のように構成されており、環境に優しいとされる構成を有し、且つ、特にスメア性に優れた性能を示す。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
2. Description of the Related Art In recent years, performance requirements for copiers and printers using electrophotography have been advanced. In general, electrophotography in copiers and printers forms an electrostatic latent image on a photoreceptor, develops the latent image with toner, and forms a toner image on a sheet to be fixed such as paper. After the transfer, a method of hot-press bonding with a hot roll (hot-roll fixing method) is performed. In the heat roll fixing method, a toner having good fixability that can be fixed at a lower temperature is required in order to improve economical efficiency such as power consumption and increase a copying speed. On the other hand, in the hot roll fixing method, the toner is brought into contact with the hot roll surface in a molten state, so that the toner adheres and transfers to the hot roll surface, and the toner is re-transferred to the next adhered sheet and becomes dirty, a so-called offset phenomenon. Problems arise. It is also one of the important requirements for toner performance to prevent the offset phenomenon from occurring. Further, with the speeding up of copiers and printers, the demand for higher performance of charged parts has been increasing. In other words, higher durability is required for the toner, and long-term printing durability is required.
[0002]
In order to improve the fixability, it is common to reduce the molecular weight of the binder resin and lower the fixing temperature. However, as the molecular weight is reduced, the resin viscosity is reduced, but at the same time, the strength and cohesive strength of the resin are also reduced, which causes a problem that the durability of the toner is reduced and an offset phenomenon to the fixing roll occurs. Also, a method in which a high molecular weight resin and a low molecular weight resin are mixed and used and the molecular weight distribution is widened is used as the binder resin, or further, a high molecular weight portion of the binder resin is crosslinked. It was done. However, in this method, the viscosity of the resin increases, and conversely, it is difficult to satisfy the fixing property.
[0003]
Various types of toners using a higher-density polyester resin as a binder resin instead of a styrene-acrylic resin, which has been mainly used in the past, have been proposed as binder resins requiring such contradictory performances. (For example, Japanese Patent Application Laid-Open No. 61-284777 (Patent Document 1), Japanese Patent Application Laid-Open No. 62-291668 (Patent Document 2), Japanese Patent Publication No. 7-101318 (Patent Document 3), Japanese Patent Publication No. 8-3663). However, at present, it cannot be said that Japanese Patent Application Publication No. JP-A-Heisei (Patent Document 4) and U.S. Pat. No. 4,833,057 (Patent Document 5) can sufficiently respond to the demands of a market that is becoming increasingly sophisticated in recent years. . Further, from the viewpoint of resource saving and environmental protection, double-sided printing and double-sided copying are becoming commonplace, and there is a market demand for toner to improve smearing in addition to fixing property and offset resistance.
[0004]
Further, as a raw material of a toner using a polyester resin, there are many bisphenol A derivatives and those using a tin catalyst as a catalyst for producing polyester. On the other hand, in recent years, it has been argued that bisphenol A, tin, and the like may affect the environment in various applications, and there is a demand from the market for products that do not contain them from the viewpoint of environmental protection.
[0005]
In addition, as another viewpoint of resource saving, in recent years there has been a depletion of resources due to an increase in population and an increase in use of energy, and resource saving, energy saving, resource recycling, and the like have been desired. Above all, PET bottles are collected by local governments and the like, and are beginning to be used for various kinds of clothing and containers, and development of new applications is also desired.
[0006]
[Patent Document 1] JP-A-61-284771
[Patent Document 2] JP-A-62-291668
[Patent Document 3] Japanese Patent Publication No. 7-101318
[Patent Document 4] Japanese Patent Publication No. 8-3663
[Patent Document 5] U.S. Pat. No. 4,833,057
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
SUMMARY OF THE INVENTION Accordingly, an object of the present invention is to provide a toner binder resin and toner having high performance, particularly excellent smear property, while responding to market demands for resource saving and environmental protection.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a high-performance toner binder resin and toner that does not contain a structure derived from bisphenol A and tin.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies to achieve the above object, and as a result, have reached the invention described below. That is, the present invention
(1) A binder resin for a toner having a polyester structure,
The following structural unit [I] is 1 mol% or less of the structural units derived from all alcohols,
[0010]
[Equation 2]
[0011]
The structural unit having a urethane bond is 0.1 to 10 mol% with respect to 100 mol% of the sum of the structural units derived from all carboxylic acids and the structural units derived from all alcohols,
The tin content is 5 ppm or less,
The content of an element selected from titanium, germanium, and aluminum is 10 ppm to 1500 ppm
It is a binder resin for toner characterized by being
(2) A binder resin for a toner, wherein 60 mol% or more of the structural units derived from carboxylic acid are structural units derived from terephthalic acid.
(3) A toner for use in which at least 40 mol% of the structural units derived from alcohol are structural units derived from ethylene glycol, and at least 75 mol% are structural units derived from ethylene glycol and neopentyl glycol. Binder resin,
(4) A binder resin for a toner, wherein the melting temperature of the binder resin for a toner is 110 ° C. or higher,
(5) polyester is a binder resin for toner obtained by reacting polyethylene terephthalate, polycarboxylic acid and polyhydric alcohol in the presence of a catalyst selected from a titanium catalyst, a germanium catalyst and an aluminum catalyst;
(6) Toner containing the above binder resin for toner
It is.
[0012]
According to the above invention, a high-performance toner binder resin and toner having an extremely small amount of bisphenol A structure and excellent smear properties can be obtained, and thus the present invention has great industrial significance.
[0013]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail. In the present invention, a structural unit may be simply referred to as a structure.
[0014]
The binder resin for a donor used in the present invention includes:
It has a polyester structure, and the structural unit of the following [I] is 1 mol% or less of the structural units derived from all alcohols.
[0015]
[Equation 3]
The structural unit having a urethane bond is 0.1 to 10 mol% with respect to 100 mol% of the sum of the structural units derived from all carboxylic acids and the structural units derived from all alcohols,
The tin content is 5 ppm or less,
The content of titanium and / or germanium is 10 ppm to 1500 ppm
It is characterized by being.
[0016]
More specifically, the binder resin for a toner of the present invention preferably has the following configuration.
[0017]
A polyester resin having a repeating structure of a structural unit represented by [[A] COO [B] O (CO)],
[A structure] is a structure having an aliphatic, alicyclic, or aromatic structure;
[B structure] is the structure of [II].
[0018]
(Equation 4)
(In the formula, Ar is a group having an aromatic structure.
0 ≦ m1 ≦ 1, 0 ≦ m2 ≦ 1
2 ≦ n ≦ 20 °
R1~ R2n + 2Is a group consisting of an element selected from carbon, hydrogen, oxygen, nitrogen, phosphorus and silicon and / or a covalent bond, which may combine with each other to form a cyclic structure or a (double) bond. )
The structural unit having a urethane bond is 0.1 to 10 mol% with respect to 100 mol% of the sum of the structural units derived from all carboxylic acids and the structural units derived from all alcohols,
Tin content is less than 5ppm
The content of an element selected from titanium, germanium, and aluminum is 10 ppm to 1500 ppm.
[0019]
The polyester resin of the present invention is generally obtained by a polycondensation reaction between a polycarboxylic acid or an acid anhydride thereof and a polyhydric alcohol. [A structure] is a structure derived from the above carboxylic acid, and [B structure] is a structure derived from the above alcohol.
[0020]
The carboxylic acid is preferably a compound having a structure in which 1 to 5, preferably 1 to 3 hydrogen atoms of a hydrocarbon having 1 to 20 carbon atoms are substituted with a carboxyl group. This hydrocarbon is preferably an aliphatic, alicyclic or aromatic hydrocarbon. Specifically, aliphatic dicarboxylic acids such as malonic acid, succinic acid, glutaric acid, adipic acid, azelaic acid, sebacic acid, unsaturated dicarboxylic acids such as maleic acid, fumaric acid, citraconic acid, itaconic acid, cyclohexanedicarboxylic acid, etc. And aromatic dicarboxylic acids such as terephthalic acid and isophthalic acid, and phthalic anhydride which is an anhydride of these dicarboxylic acids. Also these
And lower alkyl esters of dicarboxylic acids. These esters can obtain a polyester by a transesterification reaction with a polyhydric alcohol described below.
[0021]
Among these, aromatic dicarboxylic acids are preferable, and terephthalic acid and isophthalic acid are more preferable.
[0022]
The above polycarboxylic acids can be used in combination of two or more kinds.
[0023]
Further, for the purpose of adjusting the molecular weight, a monovalent carboxylic acid and a polyvalent carboxylic acid can be used. Preferred examples of the monovalent carboxylic acid include aliphatic carboxylic acids such as octanoic acid, decanoic acid, dodecanoic acid, myristic acid, palmitic acid, and stearic acid. May be. Further, these aliphatic monocarboxylic acids have a property of lowering the glass transition point, and therefore are preferably used for adjusting the glass transition point. Further, aromatic carboxylic acids such as benzoic acid and naphthalene carboxylic acid may be used. These monovalent carboxylic acids are used in an amount of 0 mol% to 30 mol%, preferably 0 mol% to 15 mol%, based on the total carboxylic acid.
[0024]
Two or more of the above monovalent carboxylic acids can be used in combination.
[0025]
Trivalent or higher polycarboxylic acids are preferably used because they have the effect of expanding the molecular weight distribution described below and the effect of inhibiting crystallization of the resin. Specific examples include trimellitic acid, pyromellitic acid, and acid anhydrides thereof, and trimellitic acid and acid anhydrides thereof are particularly preferable. These polyhydric carboxylic acids having a valency of 3 or more are 0 mol% to 30 mol%, preferably 1 mol% to 30 mol%, more preferably 1 mol% to 10 mol%, and particularly preferably, based on all carboxylic acids. It is used in an amount of 2 mol% to 10 mol%.
[0026]
Also, two or more of these can be used in combination.
[0027]
The [A structure] part of the polyester resin in the present invention is a carboxylic acid-derived structural unit, and it is preferable that 60 mol% or more of all carboxylic acid-derived structural units have a terephthalic acid-derived structure. Other than these, those conventionally used in producing polyester resins can be used, but those having a bisphenol A skeleton are preferably not used.
[0028]
The alcohol preferably has the following structure [II].
[0029]
(Equation 5)
[0030]
(In the formula, Ar is a group having an aromatic structure.
0 ≦ m1 ≦ 1, 0 ≦ m2 ≦ 1
2 ≦ n ≦ 20 °
R1~ R2n + 2Is a group consisting of an element selected from carbon, hydrogen, oxygen, nitrogen, phosphorus and silicon and / or a covalent bond, which may combine with each other to form a cyclic structure or a (double) bond. )
[0031]
Specific examples of the alcohol include ethylene glycol, 1,4-butanediol, 1,2-propylene glycol, 1,3-propylene glycol, 1,3-butanediol, 2,3-butanediol, diethylene glycol, and triethylene glycol. Ethylene glycol, dipropylene glycol, 1,5-pentanediol, 1,6-hexanediol, neopentyl glycol, 2-ethyl-1,3-hexanediol, trimethylolethane, cyclohexanedimethanol, hydrogenated bisphenol A, 1 , 4-cyclohexanedimethanol, c
And polyhydric alcohols such as idroquinone, resorcinol, and phthalyl alcohol. Of these, neopentyl glycol having a branched and / or cyclic structure, 2-ethyl-1,3-hexanediol, trimethylolethane, cyclohexanedimethanol, hydrogenated bisphenol A, and 1,4-cyclohexanedimethanol are preferred, and particularly preferred. Neopentyl glycol is preferred.
[0032]
The above polyhydric alcohols can be used in combination of two or more.
[0033]
The above-mentioned polyhydric alcohol is extremely useful for developing excellent performance as a binder resin for a toner, but a compound having a bisphenol A skeleton, which has been discussed for the possibility of affecting the environment, specifically, , Bisphenol A, bisphenol A-2 propylene oxide adduct, bisphenol A-3 propylene oxide adduct, bisphenol A-polypropylene oxide adduct, bisphenol A-2 ethylene oxide adduct, bisphenol A-3 ethylene oxide adduct, bisphenol A It has a different structure from the polyethylene oxide adduct. The alcohol having the bisphenol A structure as described above is used in an amount of 1 mol% or less, preferably 0 mol% of the total alcohol. If the above amount exceeds 1 mol%, the smear property described later may be insufficient.
[0034]
Further, for the purpose of adjusting the molecular weight, a monohydric alcohol and a trihydric or higher polyhydric alcohol can be used. Preferred monohydric alcohols include aliphatic monoalcohols such as octanol, decanol, dodecanol, myristyl alcohol, palmityl alcohol, and stearyl alcohol, and may have a branched or unsaturated group. These monohydric alcohols are used in an amount of 0 mol% to 25 mol%, preferably 0 mol% to 15 mol%, based on the total alcohol.
[0035]
Trihydric or higher polyhydric alcohols are preferably used because they have an effect of expanding the molecular weight distribution described below and an effect of inhibiting crystallization of the resin. Specifically, trimethylolpropane, glycerin, 2-methylpropanetriol, Trimethylolethane, pentaerythritol, sorbite, sorbitan and the like are mentioned, and trimethylolpropane, glycerin, 2-methylpropanetriol and trimethylolethane are particularly preferable. These trihydric or higher polyhydric alcohols are used in an amount of 1 mol% to 25 mol%, preferably 1 mol% to 20 mol%, more preferably 2 mol% to 12 mol%, particularly preferably 2 mol%, based on the total alcohol. % To 10 mol%.
[0036]
The above monohydric alcohols and trihydric or higher polyhydric alcohols can be used in combination of two or more.
[0037]
The polyester resin in the present invention is usually obtained from the above-mentioned polycarboxylic acid and polyhydric alcohol. However, it is preferable to use another polyester as a raw material and produce the polyester resin by depolymerization and polycondensation. This PET may be recycled PET recovered from waste. Recycled PET is processed into flakes and has a weight-average molecular weight of about 30,000 to 90000, but is not limited by the molecular weight distribution, composition, manufacturing method, form of use, etc. of PET. Absent. In addition, it is not limited to recycled products.
[0038]
It will be described later that the content of PET is 40 mol% or more as the number of moles of ethylene glycol, which is an alcohol component derived from PET, when the number of moles of all alcohol components in the polyester resin is 100 mol%. It is preferable in consideration of polycondensation reactivity.
[0039]
The alcohol component preferably contains at least ethylene glycol derived from PET and an alcohol having a branched structure and / or a cyclic structure, preferably neopentyl glycol. Is 100 mol%, the sum of ethylene glycol and an alcohol having a branched structure and / or a cyclic structure, preferably neopentyl glycol, is preferably at least 75 mol%.
[0040]
The polycondensation reaction at the time of obtaining the polyester resin in the present invention can be performed by a known method such as high-temperature polycondensation or solution polycondensation in an inert gas such as a nitrogen gas without using a solvent. The ratio of the acid monomer and the alcohol monomer used in the reaction is generally 0.7 to 1.4, which is the ratio of the former hydroxyl group to the former carboxyl group.
[0041]
When PET is used as a raw material, PET and an alcohol monomer may be added in advance, and after the PET is depolymerized, the remaining alcohol and acid monomer may be added to perform a polycondensation reaction. Alternatively, PET, an alcohol monomer, and an acid monomer may be charged at once, and the depolymerization reaction and the polycondensation reaction may be performed simultaneously.
[0042]
A catalyst is used in the method of performing the polycondensation reaction or the polycondensation reaction and the depolymerization reaction when obtaining the polyester resin. The above catalyst is a catalyst containing an element selected from titanium, germanium, and aluminum, and is different from a tin catalyst such as dibutyltin oxide and an antimony catalyst such as antimony trioxide. Among them, a catalyst containing titanium and / or germanium is preferable, and a catalyst containing titanium is particularly preferable. As the titanium-containing catalyst, it is more preferable to use titanium alkoxide, titanium acylate, titanium chelate and the like, and particularly preferably, tetranormal butyl titanate, tetra (2-ethylhexyl) titanate, tetramethyl titanate and tetraisopropyl titanate. It is preferred to use. Examples of the germanium-containing catalyst include germanium dioxide. Further, the addition amount at this time is preferably 0.01% by mass to 1.00% by mass. A plurality of the above catalysts may be used at the same time, and the catalyst may be added at the start of the polymerization or may be added during the polymerization.
[0043]
Specific trade names of those corresponding to the above-mentioned titanium-containing catalyst include titanium alkoxides such as Organix TA-25 (tetranormal butyl titanate), TA-30 (tetra (2-ethylhexyl) titanate), and TA-70 ( Examples of titanium acylates such as tetramethyl titanate are Organix TPHS (polyhydroxytitanium stearate). Examples of titanium chelates are Organix TC-401 (titanium tetraacetylacetonate) and TC-200 (titanium octylene glycol). Rate), TC-750 (titanium ethyl acetoacetate), TC-310 (titanium lactate), TC-400 (titanium triethanolamine) and the like (all manufactured by Matsumoto Pharmaceutical Co., Ltd.). Limited to this Not.
[0044]
A catalyst containing titanium is generally known as a catalyst for a transesterification reaction because the catalyst activity is deactivated when water is present in the system. As described above, it is preferable to use PET as a raw material in order to suppress the reaction with water generated during the polycondensation reaction and the deactivation of the catalyst activity due to the reaction.
[0045]
The polyester resin in the present invention is preferably produced by depolymerization and / or polycondensation at 200 ° C to 270 ° C, and more preferably 220 ° C to 260 ° C. When the reaction temperature is 200 ° C. or lower, the solubility of PET during the depolymerization may be deteriorated and the reaction time may be prolonged, and the solubility of an acid component such as terephthalic acid in a polyhydric alcohol may be deteriorated. On the other hand, when the reaction temperature is 270 ° C. or higher, decomposition of the raw material may occur.
[0046]
The binder resin for a toner of the present invention using the polyester resin obtained as described above has a content of an element selected from titanium, germanium and aluminum of 10 to 1500 ppm, preferably 30 to 1000 ppm. The tin content is 0 to 5 ppm, preferably 0 ppm. This is mainly due to tin contained in the recycled product when a recycled product of polyester represented by PET is used as a raw material.
[0047]
The analysis of the metal in the resin can be confirmed by using a known metal analysis method such as an atomic absorption analysis method or a plasma emission analysis method.
[0048]
As described above, the properties required of the toner include good fixing properties, high strength, high cohesion, high durability, and prevention of offset to the fixing roll. As a method for achieving both of these properties, a binder resin is used. Is likely to have a wide molecular weight distribution.
[0049]
The polyester resin of the present invention has a structural unit having a urethane bond in an amount of 0.1 to 10 mol%, preferably 0.1 to 10 mol%, where the sum of all acid-derived structural units and all alcohol-derived structural units in the polyester resin is 100 mol%. It has a content of 0.1 to 3.5 mol%. This is mainly introduced by a method in which a polyester resin is reacted with a polyvalent isocyanate to partially increase the molecular weight or crosslink to achieve a wide molecular weight distribution (urethane extension method).
[0050]
Specific examples of the polyvalent isocyanate used herein include diisocyanates such as hexamethylene diisocyanate, isophorone diisocyanate, tolylene diisocyanate, diphenylmethane diisocyanate, xylylene diisocyanate, tetramethylene diisocyanate, and norbornene diisocyanate. It is also possible to use other trivalent or higher polyvalent isocyanates. Two or more of the above isocyanates can be used in combination.
[0051]
Since the structural unit derived from the isocyanate compound has a high intermolecular bonding force, it is also preferably used because it has effects such as obtaining good mechanical durability and realizing higher smearing property. one of.
[0052]
The isocyanate compound is used in an amount of 0.1 to 10 mol%, preferably 4 mol%, based on 100 mol% of the sum of the structural units derived from all carboxylic acids and the structural units derived from all alcohols.
[0053]
As a more preferable method of the urethane elongation method, a method using a polyester resin (A-0) having a relatively high OH value and a polyester resin (A-2) having a relatively low OH value as the polyester resin is exemplified. According to this method, the polyester resin (A-0) reacts more easily with the isocyanate than the polyester resin (A-2), and the molecular weight distribution proceeds preferentially. The molecular weight distribution of (A-0) can be easily controlled by the amount ratio of the polyester resin (A-2). The lower limit of the OH value of the polyester resin (A-0) is preferably 15 mgKOH / g, more preferably 30 mgKOH / g, in consideration of the reactivity of the polyvalent isocyanate. On the other hand, the upper limit is preferably 90 mgKOH / g, more preferably 70 mgKOH / g. The OH value of the polyester resin (A-2) in the present invention is 10 mgKOH / g or less, preferably 7 mgKOH / g or less, because it does not inhibit the reaction between the polyester resin and the polyvalent isocyanate. The binder resin for the toner obtained in (1) is preferred in showing a good balance between the fixing property and the offset resistance.
[0054]
The OH value indicates the number of mg of potassium hydroxide required to neutralize the acid anhydride required to esterify the OH group in 1 g of the resin. The OH value is measured by a back titration with a known acid anhydride. In particular, a method in which phthalic anhydride is used as an acid anhydride and imidazole is used as a catalyst is desirable. Pyridine is used as a solvent for dissolving the acid anhydride and the catalyst, and a reaction reagent is used. As a solvent for diluting the reaction reagent and the resin after reacting them, a solvent having excellent resin solubility such as pyridine or tetrahydrofuran is used.
[0055]
The method of using the polyester resin (A-0) and the polyester resin (A-2) in the present invention in detail will be described in detail.
[0056]
In the above method, urethane extension is mainly achieved by a reaction between the polyester resin (A-0) and the polyvalent isocyanate, and a urethane-modified polyester (UA-1) is produced. In this case, the polyvalent isocyanate is preferably used in an amount of 1 molar equivalent or less as an isocyanate group with respect to 1 molar equivalent of the hydroxyl value of the polyester resin (A-0), and more preferably in an amount of 0.5 molar equivalent or less. preferable. If it is 0.5 mole equivalent or more, the viscosity in the reaction system will increase significantly, and the fixability may decrease, and the polyisocyanate may remain as a monomer in the produced urethane-modified polyester resin. And there may be a problem in terms of safety.
[0057]
For the reaction between the polyester resin and the polyvalent isocyanate, a known reaction apparatus can be used without limitation. Specific examples include a reactor equipped with a stirrer and a twin-screw kneader. Among these, it is preferable to use a kneading device such as a twin-screw kneader from the viewpoints of reaction efficiency and resin uniformity. The temperature in the kneader at that time is preferably 100 ° C. or higher from the viewpoint of sufficiently completing the reaction.
[0058]
The binder resin for a toner obtained by the above method contains a urethane-extended urethane-modified polyester resin (UA-1) and a polyester resin containing a polyester resin (A-2) as a main component and containing no urethane bond. Such a binder resin is obtained by, for example, previously reacting the polyester resin (A-0) with a polyvalent isocyanate to obtain a urethane-modified polyester resin (UA-1), and then using a method such as dry blending. Then, in addition to the method of adding the polyester resin (A-2), a method of reacting the polyester resin (A-0), the polyester resin (A-2), and the polyvalent isocyanate may be used.
[0059]
The binder resin for a toner preferably has a THF-insoluble portion and a THF-soluble portion. The THF-insoluble portion is 1 to 40% by mass, preferably 1 to 25% by mass, and the THF-soluble portion is 99 to 60% by mass, preferably 99 to 75% by mass.
[0060]
The THF-soluble portion is preferably such that the sum of the alcohol-derived structural units is 100 mol%, and
Of the above structural units derived from alcohol,
The structural unit (2AU1) derived from a dihydric alcohol is 80 to 100 mol%,
The structural unit (3AU1) derived from a trihydric alcohol is 0 to 20 mol%,
0 to 10 mol% of the structural unit (IU1) derived from the isocyanate compound
Included in percentage.
[0061]
In addition, the THF-insoluble portion is preferably such that the sum of the structural units derived from the alcohol is 100 mol%, and among the structural units derived from the alcohol,
The structural unit (2AU2) derived from a dihydric alcohol is 70 to 99 mol%,
The structural unit (3AU2) derived from a trihydric alcohol is 1 to 30 mol%,
The structural unit (IU2) derived from an isocyanate compound is 0.1 to 35 mol%
Included in percentage.
[0062]
The above-mentioned THF-insoluble component is obtained by the method described in the section of Examples described later, and the content of the THF-soluble component contained therein is substantially 1% by mass or less. The proportion of the THF-insoluble component contained in the THF-soluble component is substantially 1% by mass or less.
[0063]
As a method for analyzing the structure of the THF-insoluble portion, the following method is preferably used. That is, after the THF-insoluble portion is hydrolyzed with sulfuric acid or the like, the obtained component is subjected to liquid chromatography (LC), gas chromatography (GC), nuclear magnetic resonance spectrum (NMR), infrared spectroscopy (IR). This is a method of performing structural analysis and quantification by a known method such as
[0064]
As a method of analyzing the structure of the THF-soluble portion, in some cases, in addition to the above-described methods, structural analysis and quantification can be directly performed by LC, NMR, IR, or the like.
[0065]
The melting temperature of the binder resin for a toner of the present invention obtained as described above is preferably 110 ° C. or higher, more preferably 110 ° C. or higher and 180 ° C. or lower. By having a melting temperature within this range, both the fixing performance and the offset performance can be satisfied.
[0066]
The binder resin for toner of the present invention may contain a polyolefin wax such as polyethylene wax or polypropylene wax for the purpose of further enhancing the performance of preventing offset to the roller, and the amount of the polyolefin wax may be included in the binder resin for toner. Is preferably in the range of 0 to 10% by mass.
[0067]
Specific product names of those corresponding to the above-mentioned polyolefin wax include high waxes 800P, 400P, 200P, 100P, 720P, 420P, 320P, 405MP, 320MP, 4051E, 2203A, 1140H, NL800, NP055, NP105, manufactured by Mitsui Chemicals, Inc. Although NP505 and NP805 can be exemplified, the present invention is not limited thereto.
[0068]
Further, the binder resin for the toner of the present invention may contain a natural wax such as ceramic wax, rice wax, sugar wax, wax wax, beeswax, carnauba wax, candelilla wax, montan wax, and the like. It is preferably in the range of 0 to 10% by mass in the binder resin for toner.
[0069]
Further, in the binder resin for a toner of the present invention, in addition to the polyester resin as long as the effects of the present invention are not impaired, a resin such as a styrene copolymer, a polyol resin, a polyurethane resin, a polyamide resin, and a silicone resin. It may be added.
[0070]
Hereinafter, the toner of the present invention will be described in detail.
The toner of the present invention contains at least the binder resin for a toner of the present invention, a charge control agent (CCA), a colorant, and a surface treatment agent.
[0071]
The amount of the binder resin for toner of the present invention is preferably 50 to 95% by mass in the toner.
[0072]
Hereinafter, components other than the toner binder resin will be described in detail.
[0073]
First, regarding the colorant, conventionally known dyes and pigments can be used, and specifically, for example, carbon black, magnetite, phthalocyanine blue, peacock blue, permanent red, lake red, rhodamine lake, Hansa yellow , Permanent yellow, benzidine yellow, nigrosine dye (CI No. 50415), aniline blue (CI No. 50405), charcoal blue (CI No. azoec Blue 3), chrome yellow (C.I. I. No. # 14090), Ultramarine Blue (C.I. No. # 77103), DuPont Oil Red (C.I. No. # 26105), Orient Oil Red # 330 (C.I. No. # 60505), Quinoline Yellow (CI No. 47005), methylene blue chloride (C.I.No. 52015), phthalocyanine blue (C.I.No. 74160), can be used malachite green oxalate (C.I.No. 42000) or the like. The addition amount is preferably 3 to 15 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the binder resin for toner.
[0074]
As the charge control agent, known charge control agents such as nigrosine, quaternary ammonium salts and metal-containing azo dyes can be appropriately selected and used, and the amount thereof is 100 parts by mass of the binder resin for toner. Is usually 0.1 to 10 parts by mass.
[0075]
Next, as the surface treatment agent, fine powders such as colloidal silica, alumina, titanium oxide, polytetrafluoroethylene, polyvinylidene chloride, polymethyl methacrylate, polystyrene ultrafine particles, and silicone can be used. It is preferable to use 0.1 to 20 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the binder resin.
[0076]
The toner of the present invention may contain a polyolefin wax, and the amount is from 0 to 10 parts by mass based on 100 parts by mass of the binder resin for a toner. Specific examples of the polyolefin wax include those described in the section of the binder resin for toner.
[0077]
As a method for producing the toner of the present invention containing these materials, the binder resin for the toner of the present invention, a colorant, and if necessary, other additives are sufficiently mixed by a powder mixer, and then heated roll, kneader The components are melted and kneaded using a kneader such as an extruder, and the components are sufficiently mixed. After cooling, the mixture is pulverized and classified to collect particles having a particle size usually in the range of 8 to 20 μm, and then coated with a surface treating agent by a powder mixing method to obtain a toner.
[0078]
The toner obtained by the present invention can be used in various developing processes such as a cascade developing method, a magnetic brush method, a powder cloud method, a touch-down developing method, a so-called microtoning method using a magnetic toner manufactured by a pulverizing method as a carrier, and a magnetic toner. The present invention can be used for a so-called bipolar magnetic toner method for obtaining a necessary toner charge by frictional charging between the toners, but is not limited thereto.
[0079]
Further, the toner obtained by the present invention can be used for various fixing methods. Specifically, it can be used for an oilless heat roll method, an oil application heat roll method, a flash method, an oven method, a pressure fixing method, and the like.
[0080]
Further, the toner of the present invention can be used in various cleaning methods such as a fur brush method and a blade method.
[0081]
The toner of the present invention is excellent not only in fixability and offset resistance, but also surprisingly in smear. The smearing property indicates the degree of transfer of a fixed image, that is, the fixed toner, to another paper. More specifically, the phenomenon in which the fixed toner rubs against other paper, causing the surface of the toner to stain the paper is shown. The toner having an excellent smearing property has a very small transfer of an image when the sheet on which the image is fixed is brought into contact with another sheet, that is, the toner is hardly stained. For this reason, even if a plurality of documents are prepared by two-sided printing or two-sided copying, the image on the other paper is hardly stained, and is a very preferable toner in practical use.
[0082]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference to examples, but the present invention is not limited to these examples.
[0083]
The melting temperature in the present invention was determined as follows. The measurement is performed under the following conditions using a Shimadzu flow tester CFT500D (manufactured by Shimadzu Corporation).
Die pores; 1mm in diameter, 1mm in length
Sample amount: 1cm3
Heating rate; 6 ℃ / min
Load; 20Kg / cm2
Next, from the temperature-piston stroke (sample outflow amount) curve, a half of the difference between the piston stroke values at the outflow start temperature and the outflow end temperature is obtained, and the temperature at the piston stroke value is obtained. This temperature was taken as the melting temperature.
[0084]
Further, the glass transition point (Tg) in the present invention was measured by DSC-20 (manufactured by Seiko Instruments Inc.) according to a differential scanning calorimetry (DSC). About 10 mg of the sample is heated to about 200 ° C. in advance, held for 5 minutes, and then immediately cooled to room temperature (25 ° C.). After unifying the heat history of the resin, the temperature is reduced from −20 ° C. to 100 ° C. The temperature was raised at a rate of 10 ° C./min until the Tg was determined from the intersection of the baseline of the obtained curve and the slope of the endothermic peak.
[0085]
In the present invention, the amount of the THF-insoluble component and the amount of the THF-soluble component are determined as follows. A solution of about 5% by weight is prepared using about 2.5 g of resin and about 47.5 g of THF. (Hereinafter, the concentration of the above solution is referred to as “RC”. RC is a value obtained from the precisely weighed values of the above resin mass and THF mass.) That is, the above mixture is stirred at 25 ± 3 ° C. for 12 hours. Dissolve the soluble components completely. The resulting solution is then left to stand for 16 hours. After the insoluble portion and the supernatant are separated, the supernatant is analyzed for concentration analysis. (Hereinafter, the concentration of the supernatant is indicated as “SC.” This value is a weighed value obtained by collecting about 5 g of the supernatant, and a measured value of the mass of the remaining resin after drying at 150 ° C. for 1 hour to remove tetrahydrofuran. Is calculated from
The values of the THF-insoluble component and the THF-soluble component are determined from the RC value and the SC value by the following formula.
THF soluble component ratio = {(SC / RC)} x {100} (%)
THF-insoluble component ratio = {[(RC-SC) / RC] × {100} (%)
Next, the supernatant is removed from the solution by decantation, and the residue is washed several times with THF. The residue is dried at 40 ° C. under reduced pressure to obtain a THF-insoluble component.
[0086]
The acid value in the present invention refers to the number of mg of potassium hydroxide required to neutralize 1 g of the resin. The acid value was determined by a neutralization titration method. 5 g of the sample was dissolved in 50 cc of a mixed solvent of xylene / dimethylformamide = 1/1 (mass ratio), a few drops of a phenolphthalein / ethanol solution were added as an indicator, and titration was performed with a 1/10 normal KOH aqueous solution. The point at which the color of the sample solution was changed from colorless to purple was defined as the end point, and the acid value (mg KOH / g) was calculated from the titration amount and the sample mass at this time.
[0087]
Further, the measurement of the OH value in the present invention was performed by back titration with the following acid anhydride. 5 cc of a separately prepared phthalating reagent (prepared at a ratio of 500 cc of pyridine / 70 g of phthalic acid / 10 g of imidazole) was added to 2 g of the resin, dissolved, and allowed to stand at 100 ° C. for 1 hour. Thereafter, 1 cc of water, 70 cc of tetrahydrofuran, and several drops of a phenolphthalein / ethanol solution were added to the resin solution, and titration was performed with a 0.4 N aqueous NaOH solution. The point at which the color of the sample solution was changed from colorless to purple was defined as the end point, and the OH value (mg KOH / g) was calculated from the titer and the mass of the sample.定量 The metal quantitative analysis in the resin in the present invention was measured by a high frequency plasma emission spectrometer SPS1200A (manufactured by Seiko Instruments Inc.).
[0088]
The measurement of the molecular weight and the molecular weight distribution of the resin in the present invention is obtained by using GPC. The measurement was carried out under the following conditions using commercially available monodispersed standard polystyrene as a standard.
Detector: SHOdex RI-71S
Solvent; tetrahydrofuran
Column: {KF-G} + {KF-807L} x {3} + {KF800D (series connection)
Flow rate: {1.0} ml / min
Sample: {0.25}% THF solution
[0089]
The credibility of the measurement was such that the Mw / Mn of the NBS706 polystyrene sample (Mw = 288,000, Mn = 137,000, Mw / Mn = 2.11) measured under the above measurement conditions was 2.11 ± 0. It can be confirmed by being 10.
[0090]
Production example of urethane-modified polyester resin
The production of the polyester resins (A-0) and (A-2) was performed by the following method. Specific examples of the resin a-1 will be given. Resins a-2, a-3 and b-1 to b-5 were the same as resin a-1 except that the catalyst type, catalyst addition amount, and monomer composition were changed to the compounding ratios shown in Tables 1 and 2. Obtained by the above operation. The acid value and the OH value of the obtained resin are shown in Tables 1 and 2.
[0091]
A 5-liter four-necked flask was equipped with a reflux condenser, a water separator, a nitrogen gas inlet tube, a thermometer, and a stirrer. The flake-like recycled PET (weight average) was used for 100 mol% of all alcohol components. (Molecular weight: 75000) in units of ethylene glycol units in PET, 43 mol%, neopentyl glycol 43 mol%, triethylene glycol 9 mol%, trimethylolpropane 5 mol%, terephthalic acid 48 mol%, and tetra (2-ethylhexyl) titanate (Matsumoto Pharmaceutical Co., Ltd.) (Organix TA-30, manufactured by Co., Ltd.) 0.2% by mass was charged, and depolymerization and polycondensation were performed at 250 ° C. while introducing nitrogen into the flask. When the acid value of the reaction product reached the value shown in Table 1, it was extracted from the flask, cooled and pulverized to obtain a resin a-1.
[0092]
[Table 1]
[0093]
[Table 2]
[0094]
Hereinafter, embodiments will be specifically described with reference to Example 1 as a representative example. The same operation as in Example 1 was performed for Resins 2 to 8, that is, Examples 2 to 5 and Comparative Examples 1 to 3, to obtain resins and toners and evaluate them. Table 3 shows the compounding ratio of resin A-0 and resin A-2, the amount of tolylene diisocyanate added, the result of resin analysis, the result of quantitative analysis of metal in the resin, and the evaluation of toner characteristics.
[0095]
(Example 1)
A twin-screw extruder (Kurimoto Tekko Co., Ltd.) containing 30% by mass of resin a-1, 70% by mass of resin b-1 and 2.2% by mass of tolylene diisocyanate at a rate of 20 kg / h as a total flow rate of the resin. KEX-40), and a kneading reaction was performed at a temperature of 180 ° C. and a screw rotation speed of 150 rpm to obtain a urethane-modified polyester resin 1. The Tg of the obtained resin was 58.4 ° C., and the melting temperature was 144 ° C.
6% by mass of carbon black (MA-100, manufactured by Mitsubishi Chemical Corporation), 1.0% by mass of a charge control agent (BONTRON E-84; manufactured by Orient Chemical Industries) based on 100% by mass of the urethane-modified polyester resin 1; After 2.0% by mass of polypropylene wax (High Wax NP105; manufactured by Mitsui Chemicals) is dispersed and mixed in a Henschel mixer, the mixture is melt-kneaded at 120 ° C and 150 rpm in a twin-screw extruder / PCM-30 (manufactured by Ikegai Iron Works). Thus, a lump toner composition was obtained. This toner composition was roughly pulverized with a hammer mill. Further, the powder was finely pulverized by a jet pulverizer (IDS2 manufactured by Nippon Pneumatic Co., Ltd.), and then subjected to airflow classification to obtain a fine toner powder having an average particle size of 10 μm (3% by mass of 5 μm or less, 2% by mass of 20 μm or more). Next, hydrophobic silica (R-972, manufactured by Aerosil Co., Ltd.) was added from the outside at a ratio of 0.5% by mass with respect to 100% by mass of the above-mentioned toner, and the mixture was mixed with a Henschel mixer. Got. Using the toner particles, fixing property, smearing property, offset resistance and development durability were examined. Each evaluation method is described below.
[0096]
▲ 1 ▼ Fixability
After an unfixed image was created by a copier modified from a commercially available electrophotographic copying machine, the unfixed image was fixed using a heat roller fixing device in which the fixing unit of the commercially available copying machine was modified. The fixing speed of the heat roll was set to 300 mm / sec, and the temperature of the heat roller was changed by 5 ° C. to fix the toner. The obtained fixed image was rubbed 10 times with a sand eraser rubber (manufactured by Dragonfly Pencil) under a load of 0.5 kg and the image density before and after the friction test was measured by a Macbeth reflection densitometer. The lowest fixing temperature at which the rate of change of the image density at each temperature became 70% or more was defined as the lowest fixing temperature. The heat roller fixing device used here does not have a silicone oil supply mechanism. The environmental conditions were normal temperature and normal pressure (temperature 22 ° C., relative humidity 55%).
1}; {Minimum fixing temperature} ≦ {160 ° C
2}; {170 ° C} ≧ {Minimum fixing temperature}> 160 ° C
3}; {180 ℃} ≧ {Minimum fixing temperature} > 170 ℃
4; {190 ° C} ≧ {minimum fixing temperature}> 180 ° C
5; Minimum fixing temperature> 190 ° C.
[0097]
(2) Smear property
An unfixed image was prepared according to the evaluation of the fixing property, and the unfixed image was fixed by a heat roller fixing device. The fixing of the toner was performed at a fixing speed of the hot roll of 250 mm / sec and a temperature of the hot roller of 170 ° C. A solid black portion (ID = 1.35 to 1.45; measured by a Macbeth densitometer) of the obtained fixed image was rubbed three times with a load of 500 g on commercial copy paper. The degree of contamination of the copy paper after the rubbing test was confirmed by measuring the image density (ID) of the copy paper using a Macbeth reflection densitometer. The environmental conditions were normal temperature and normal pressure (temperature 22 ° C., relative humidity 55%).
1}; D. ≦ 0.9 (less dirt)
2}; {1.2} ≧ {I. D. > 0.9
3}; D. > 0.12 (many dirt)
[0098]
▲ 3 ▼ Offset resistance
The evaluation of the anti-offset property is in accordance with the measurement of the minimum fixing temperature described in (4) above. However, after an unfixed image is created by the copying machine, the toner image is transferred and fixed by the above-described heat roller fixing device. Performing the process, and then sending the blank transfer paper to the heat roller fixing device under the same conditions and visually observing whether or not toner stain occurs on the transfer paper, setting the heat roller of the heat roller fixing device. This was repeated while the temperature was gradually increased, and the lowest set temperature at which toner contamination occurred was taken as the offset occurrence temperature. The environmental conditions were normal temperature and normal pressure (temperature 22 ° C., relative humidity 55%).
1}; {offset temperature} ≥240 ℃
2; {240 ℃} > Offset temperature ≧ 220 ℃
3}; {220 ℃}> {offset temperature} ≥210 ℃
4; {210 ℃} > Offset occurrence temperature
[0099]
▲ 4 ▼ Development durability
After conducting a continuous shooting test of 100,000 sheets continuously using a commercially available copying machine (manufactured by Toshiba, Plesio 5560), the evaluation was made based on the image density and the number of sheets at which the image quality began to deteriorate.
1: No deterioration even with more than 70,000 sheets
2: Degraded in the range of 50,000 or more and less than 70,000
3: Degraded when less than $ 50,000
[0100]
[Table 3]
[0101]
As is clear from the results in Table 3, the toners using the toner resins 1 to 5 manufactured according to the present invention not only show excellent fixing performance, anti-offset performance and development durability performance, but also have excellent performance. It turns out that it shows a smear property.
[0102]
【The invention's effect】
The binder resin for toner and the toner according to the present invention are configured as described above, have a configuration that is considered to be environmentally friendly, and exhibit particularly excellent smearing performance.
Claims (6)
下記[I]の構造単位が全アルコール由来の構造単位の1モル%以下であり、
【式1】
ウレタン結合を有する構造単位が、全カルボン酸由来の構造単位と全アルコール由来の構造単位の和を100モル%として0.1〜10モル%であり、
錫の含有率が5ppm以下であり、
チタン、ゲルマニウム、アルミニウムから選ばれる元素の含有率が10ppm〜1500ppm
である事を特徴とするトナー用バインダー樹脂。A binder resin for a toner having a polyester structure,
The structural unit of the following [I] is 1 mol% or less of the structural units derived from all alcohols,
(Equation 1)
The structural unit having a urethane bond is 0.1 to 10 mol% with respect to 100 mol% of the sum of all carboxylic acid-derived structural units and all alcohol-derived structural units,
The tin content is 5 ppm or less,
The content of an element selected from titanium, germanium, and aluminum is 10 ppm to 1500 ppm
A binder resin for a toner, characterized in that:
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