JP2004113205A - Temperature sensitive replication factor and plasmid containing the same - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温度感受性複製能及び温度感受性分離能を有するpSC101DNA複製開始因子(RepA)変異体、それをコードする遺伝子、当該遺伝子を含有してなるプラスミド、当該プラスミドで形質転換された細胞、及び当該細胞を用いた外来遺伝子がコードするタンパク質の製造方法に関する。
本発明のpSC101DNA複製開始因子(RepA)変異体は、温度感受性複製能及び温度感受性分離能を有するために、当該変異体の遺伝子を有するプラスミドの複製及び分離(分配)を外来遺伝子の発現のための培養温度とは異なる温度で行わねばならない。したがって、宿主細胞におけるベクターの複製、分離工程と、宿主細胞における外来遺伝子の発現工程を異なる工程として行う。
本発明は組換え遺伝子を用いた効率的な蛋白質の生産方法を提供するものである。さらに詳細には、本発明は細胞毒性を有する蛋白質の新規な工業的な製造方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
組換え遺伝子を用いて産業的に有用な蛋白質、または蛋白質性の医薬品を製造する場合に、宿主細胞の選択には大きく分けて大腸菌などの原核細胞を用いる方法と、酵母菌、動物細胞、植物細胞などの真核細胞を用いる方法がある。これらのどれを選択するかは個々の蛋白質の様々な性質に基づく。一般には、工業的なコストパーフオーマンスが高く、安価に生産、精製できるので大腸菌を用いる方法が望ましい。しかし、産業的、あるいは医学的に有用な蛋白質はヒトなど高等生物の遺伝子に由来することが多く、大腸菌のように分類学的にあまりにも遠縁である生物の細胞にとって異質性が高く、通常使われる高発現系大腸菌のホスト・べクターシステムではしばしば当該蛋白質の細胞毒性が原因で大腸菌の工業的レベルでの大量培養を不可能にしていることが少なくない。一般に、工業的に使用される大腸菌のプラスミドベクターは、細胞内のコピー数が多く、使用される遺伝子発現の制御装置(プロモーター・オペレーター、以下、POと略す。)における抑制が完全に機能せずにベーサルレベルで意図せぬ発現が見られることが多い。また、このような低レベルでの発現すら宿主細胞にとって無視できないような細胞毒性を有するタンパク質では、大腸菌での工業的生産が不可能になる。このような場合には、増殖中の大腸菌における外来遺伝子の発現を最小限に抑制し、細胞濃度を十分に高めた段階で初めて外来遺伝子の発現が行われるように、発現のスイッチオン、オフを機能的に制御する必要がある。この目的のために、各種発現系のプラスミドベクターが開発されてきているが、それでも細胞毒性が無視できないほどに強い場合は大腸菌での生産が不可能となることがある。
【0003】
このように、発現させるタンパク質による細胞毒性を回避することが難しい要因のひとつは、発現べクターに乗せた当該遺伝子の発現調節領域(PO領域)の機能を完全にスイッチオフすることが難しいためである。蛋白質を得る目的の遺伝子発現のためには大腸菌を所定の濃度までに増殖させたあとで、プロモーターのスイッチを入れる必要がある。なぜならば、大腸菌濃度が低い状態で外来遺伝子が発現すれば大腸菌の増殖阻害が生じるために蛋白質の産生効率が低くなるからである。このような制御手段として、例えば、ラクトースプロモータ一・オペレーター(POlac)とそのリプレッサー遺伝子(lacI)を用いる方法がある。この方法は、そのリプレッサー遺伝子をlacIq突然変異により過剰発現させてプロモーターのスイッチを切り、リプレッサーの不活化因子であるIPTGを培養液に溶解してスイッチを入れる。しかし、POlacの下流に発現させる遺伝子が乗っているべクターが、細胞あたりのコピー数が高い、いわゆる高コピー数べクターである場合は、過剰発現したリプレッサーでも完全にスイッチをオフにすることは困難であり、低レベルでの発現が持続的に起っていることが普通である。また、一般に発現ベクターで頻用されているlacプロモーターはlacUV5と呼ばれる変異体であり、リプレッサー存在下でも低レベルの発現が進行することが知られている。このような状況下では、低レベルでの発現でも強い細胞毒性を示す蛋白質の場合は、大腸菌の増殖阻害を起こし、組換え蛋白質の工業的生産にとっては致命的であった。また、極端な場合は蛋白質の生産はもちろん、発現ベクターの構築そのものが不可能であった。
【0004】
このような毒性蛋白質生産の改良法として、pETプラスミドベクター系を用いる方法がノバジェン(Novagen)社(Novagen,Inc.601 Science Drive、Madison、W1 53711、USA)より販売されている。このシステムは発現したい遺伝子のプロモーターとしてT7ファージのプロモーターを使用することを特徴としている。通常の大腸菌はT7RNAポリメラーゼをまったく産生しないので、このべクターに毒性の強い遺伝子を乗せても当該遺伝子はまったく発現せず大腸菌は増殖阻害を受けない。従って、当該遺伝子の発現べクターの構築は問題なくできる。しかし、当該遺伝子を発現させるためには、T7RNAポリメラーゼの遺伝子を発現する、特殊な大腸菌株BL21(DE3)に移さねばならない。この大腸菌株(F−、ompT,hsdSB(rB−mB−), gal(lcI857, ind1, Sam7, nin5, lacUV5−T7 gene1), dcm(DE3))は、T7RNAポリメラーゼ遺伝子がlacUV5プロモーター支配下に大腸菌の染色体DNA中に挿入されている。IPTG投与前の増殖中でもlacUV5プロモーター支配下に低レベルのT7RNAポリメラーゼの産生は避けられず、結果として、高コピー数プラスミドに乗った遺伝子から組換え蛋白質が低レベルで持続的に生産され、その蛋白質の毒性が強ければ増殖阻害が起ることは避けられない。これを避けるために、ノバジェン社は、T7RNAポリメラーゼを産生しない通常の大腸菌を使って発現させる方法も提供しているが、この方法では、T7RNAポリメラーゼをウイルス感染によって供給するために多量のウイルスを使用しなければならず、また大腸菌の細胞濃度を数百分の1以上に低くしなければならないという欠点があり、蛋白質の実用的、工業的な生産には適していないものである。
【0005】
一方、低コピー数べクターを使うと、抗生物質入りの選択培養でも、通常、細胞分裂に伴うベクターの自然脱落が高頻度に起り、遺伝子の発現効率が極度に低下することになる。
このように、毒性蛋白質を大腸菌で生産するときに、高コピー数のプラスミドベクターでは、その前段階での細胞増殖中に完全な遺伝子発現抑制が出来ないことが問題であり、それを克服するために低コピー数のプラスミドベクターを用いるとべクターの不安定性が問題となる。
本発明者らは、このような問題点を解決するために、温度感受性変異を持つプラスミドを開発してきた(T.Hashimoto, et al., J. Bacteriol., 127, 1561−1563 (1976); T.Hashimoto−Gotoh, et al., J. Bacteriol., 131(2), 405−412 (1977))。これらの温度感受性プラスミドは、テトラサイクリン耐性RプラスミドpSC101をヒドロキシルアミンで突然変異させて得たものであり、次の3種のタイプに分類された。タイプIのプラスミド(pHSG1、pHSG2、pHSG4、pHSG6、pHSG7、及びpHSG17、以下、上記2つの報告で「pHS」と記述されているプラスミドは後に「pHSG」と改名された。J. Bacteriol., 1979, Vol. 139, p.597−607)では、その宿主菌を一度42℃でテトラサイクリンの無い条件で培養した場合には、30℃に戻しても、42℃のままでもテトラサイクリン存在下にコロニー形成能を失うものであった。タイプIIのプラスミド(pHSG3)では、プレインキュベーションの温度に関係無く、宿主菌はテトラサイクリンを含有する培地で42℃ではコロニーを形成しないが、30℃ではコロニー形成能を有するものであった。タイプIIIのプラスミド(pHSG5、pHSG8、及びpHSG16)は、宿主菌を42℃でテトラサイクリンの無い条件でプレインキュベーションした場合には、30℃に戻してもテトラサイクリン含有培地で増殖できないが、30℃でプレインキュベーションした場合には、42℃でもコロニー形成能を有するものであった。
そして、これらのなかでプラスミドpHSG1は、とくに42℃でのDNA複製が完全に抑制されるものであった。例えば、30℃では完全に安定に複製され、100%の子孫に伝達されるが、高温(42℃)では、全く複製できないものであった。
この温度感受性複製(ts‐Rep)プラスミドは、蛋白質の生産のための細胞培養の至適温度(37℃付近)ではプラスミドの複製は部分的にしか阻害を受けず不完全な温度感受性を示すものであった。
【0006】
一方、温度感受性分離(ts‐Seg)プラスミドでは、分離(segregation)という現象が起き、高温でのDNA複製は可能であるが、増殖した細胞にプラスミドコピーの二つの娘細胞への配分が均等に起こらないということがわかっていた。分離は、プラスミドが宿主細胞の分裂後に娘細胞の一部に分配されず、子孫細胞から次第に失われてゆく現象である。当該プラスミドは、宿主細胞の高温(40〜42℃)培養下で、プラスミドの複製により生じた娘プラスミドコピーが、宿主細胞の分裂(増殖)により生じた子孫細胞から高頻度に失われていった。このような分離が生起すると、そのプラスミドにクローニングした外来遺伝子を含有する細胞が培養細胞全体に対して次第に希釈され、培養液あたりのタンパク質の生産性が著しく低下することになる。例えば、前記した温度感受性分離プラスミド(ts−Seg)の1種であるpHSG5は、43℃で複製できるにもかかわらず、プラスミドを有する細胞が分裂するたびに娘細胞の35%が当該プラスミドを有さないものであった。また、pHSG5は低温(30℃)でさえコピー数が低く、pSC101やpHSG1では宿主細胞の染色体あたりのコピー数が5個であるのに対して、pHSG5は1個しかないという結果であった。
そこで、本発明者らは、温度感受性複製プラスミド、温度感受性分離プラスミドの発現ベクターの開発に成功した(T.Hashimoto−Gotoh, et al., Gene, 241, 185‐191 (2000))。その結果、pHSG1に由来し、複製についての温度感受性を有するプラスミド(ts−Rep)pTH18cs1、pTH19cs1、pTH18ks1、及びpTH19ks1を開発し、pHSG5に由来し、分離について温度感受性を有するプラスミド(ts−Seg)pTH18cs5、pTH19cs5、pTH18ks5、及びpTH19ks5を開発した。そして、複製が温度感受性であるcs1系(クロラムフェニコール耐性)及びks1系(カナマイシン耐性)のプラスミドはrepA遺伝子のコーディング領域に制限酵素MaeIIで切断される塩基配列(ACGT)を一ヶ所余計に(コーディング領域全体で野生型は一ヶ所しか有しないところが二ヶ所ある)有すること、同様に分離が温度感受性であるcs5系及びks5系のプラスミドではアミノ末端近くのコーディング領域にあるべき制限酵素MaeIで切断される塩基配列(CTAG)が失われている(コーディング領域全体で野生型は三ヶ所有するところが二ヶ所しかない)ことがわかった。
これらのプラスミドは、複製又は分離がそれぞれ温度感受性であり、温度の制御により複製又は分離のいずれかが制御できるだけである。しかも、抗生物質存在下での相対的コロニー形成能については温度感受性複製プラスミドは42℃で10−4程度に低下するものの、蛋白質を生産する培養条件下の温度(37℃前後)ではほぼ100%の細胞がコロニーを形成するものであった。一方の温度感受性分離プラスミドは42℃でさえほぼ100%の細胞が同条件下でコロニー形成能を保持していた。したがって、これらの発現ベクターは必ずしも実用的なものではなかった。工業的な観点からは、プラスミドとしての複製と分離が37℃前後でも同時に抑制され、染色体に組込まれた状態でその一部として複製されるプラスミドベクターの開発が望まれていた。
【0007】
【非特許文献1】
T.Hashimoto, et al., J. Bacteriol., 127, 1561−1563 (1976);
【非特許文献2】
T.Hashimoto−Gotoh, et al., J. Bacteriol., 131(2), 405−412 (1977)
【非特許文献3】
Hamilton et al., J. Bacteriol., 171:4617−4622, (1989)
【非特許文献4】
T.Hashimoto−Gotoh, et al., Gene, 241, 185‐191 (2000)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、大腸菌を用いた遺伝子組換え技術による蛋白質の工業的な生産においては、従来は(1)宿主菌の培養による発現べクターの複製と子孫細胞への安定な分配を行う「遺伝子増幅工程」と、(2)有用物質を発現させる「遺伝子発現工程」との両工程が同時進行するために、発現系の宿主や産物が劣化するケースが散見され、大腸菌による有用物質の大量生産における大きな障害となっていた。このことは当該蛋白質が宿主菌細胞に何らかの毒性を示す場合は特に深刻であり、大腸菌による組換え蛋白質の生産が実質上不可能であったことも少なくない。このために、大腸菌に毒性を有する蛋白質の生産効率を可能足らしめるホスト・ベクター系の開発が望まれていた。
本発明は、プラスミドの複製及び分離を温度により制御できる新規なプラスミドを提供するものであり、遺伝子組換え技術による有用物質の大量生産を可能とする新規な発現ベクターを提供するものである。
さらに、本発明の目的は、1)高コピー数プラスミドベクターが持つ低レベルの持続的な遺伝子発現、2)それを避ける為に低コピー数プラスミドベクターを使うことで起る発現べクターの不安定化の両方の問題を克服し、かつプロモーターのスイッチを入れる発現開始にウイルス感染ではなく従来のIPTG添加法を使える方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の状況に鑑み、本発明者はラクトースプロモータ一・オペレーター(POlac)支配下に組換え蛋白質の遺伝子発現をするプラスミドベクターを特定の条件下で宿主大腸菌の染色体中に挿入し、安定に維持させる温度感受性二重突然変異をDNA合成開始蛋白質遺伝子(repA)中に持つpSC101系プラスミドベクターを構築することに成功した。
即ち、本発明はpSC101DNA複製開始因子(RepA)であって、そのアミノ酸配列の13番目のアミノ酸であるアラニンがトレオニンに変異し、かつ56番目のアミノ酸であるアラニンがバリンに変異していることを特徴とする温度感受性複製能及び温度感受性分離能を有するpSC101DNA複製開始因子変異体(RepAs1s5あるいは単にRepAss)、好ましくは、さらに、そのアミノ酸配列の3番目のアミノ酸であるグルタミン酸もリジンに変異していることを特徴とする温度感受性複製能及び温度感受性分離能を有するpSC101DNA複製開始因子変異体(RepAs1s5h14あるいは単にRepAssh)に関する。より好ましくは、pSC101DNA複製開始因子の遺伝子(repA)が、配列表の配列番号1又は2に示されるアミノ酸配列を有するpSC101DNA複製開始因子変異体(RepAss、またはRepAssh)に関する。
また、本発明は、pSC101DNA複製開始因子(RepA)をコードする遺伝子(repA)であって、その翻訳領域の37番目の塩基であるグアニン(G)がアデニン(A)に変異し、かつ167番目の塩基であるシトシン(C)がチミン(T)に変異していることを特徴とする温度感受性複製能及び温度感受性分離能を有するpSC101DNA複製開始因子変異体(RepAss)をコードする遺伝子、好ましくは、さらに、その翻訳領域の7番目の塩基であるグアニン(G)がアデニン(A)に変異していることを特徴とする温度感受性複製能及び温度感受性分離能を有するpSC101DNA複製開始因子変異体(RepAssh)をコードする遺伝子に関する。より好ましくは、pSC101DNA複製開始因子変異体(RepA
)をコードする遺伝子の翻訳領域が、配列表の配列番号3又は4に示される塩基配列を有するpSC101DNA複製開始因子変異体(RepAssまたはRepAssh)をコードする遺伝子(repAssまたはrepAssh)に関する。
【0010】
また、本発明は、前記したpSC101DNA複製開始因子変異体(RepAssまたはRepAssh)をコードする遺伝子(repAssまたはrepAssh)を含有してなるプラスミドベクター、好ましくはラクトースプロモータ一・オペレーター(POlac)支配下に組換え蛋白質の遺伝子発現をするプラスミドベクター、より好ましくはpSC101に由来するプラスミドベクター、さらに好ましくはpSC101DNA複製開始因子変異体(RepAssまたはRepAssh)をコードする遺伝子の下流側にmRNAの半減期を調節する塩基配列を有しているプラスミドベクターに関する。
さらに、本発明は、前記したプラスミドベクターで形質転換された細胞、好ましくは大腸菌に関する。
そして、本発明は、前記したプラスミドの複製及び分離を細胞の培養温度とは異なる温度で行い、細胞の培養温度では当該プラスミドの複製及び分離が実質的に行われないことを特徴とする細胞の培養方法、好ましくはプラスミドとしての複製及び分離のための温度が28〜33℃であり、大腸菌染色体に挿入された状態での複製が35〜42℃である培養方法に関する。
また、本発明は、外来遺伝子が挿入されている前記したプラスミドベクターで形質転換された細胞を、前記したプラスミドの複製及び分離を細胞の培養温度とは異なる温度で行い、細胞の培養温度(35〜42℃)では当該ベクターがプラスミドとして複製及び分離されないことを特徴とする細胞の培養方法により、当該外来遺伝子がコードするタンパク質を製造する方法、好ましくは、前記プラスミドの複製及び分離のための温度が28〜33℃であり、外来遺伝子の発現のための培養温度が35〜42℃である当該外来遺伝子がコードするタンパク質を製造する方法に関する。
【0011】
本発明者らは、複製についての温度感受性を有する(ts−Rep)プラスミドpTH18cs1、pTH19cs1、pTH18ks1、及びpTH19ks1を開発し、分離について温度感受性を有する(ts−Seg)プラスミドpTH18cs5、pTH19cs5、pTH18ks5、及びpTH19ks5を開発してきた(T.Hashimoto−Gotoh, et al., Gene, 241, 185‐191 (2000))。
これらのプラスミドは、DNA複製に関してはいずれもpSC101プラスミド由来のものであって、複製が温度感受性であるcs1系(クロラムフェニコール耐性)及びks1系(カナマイシン耐性)のプラスミド、及び、分離が温度感受性であるcs5系(クロラムフェニコール耐性)及びks5系(カナマイシン耐性)のプラスミドである。
複製についての温度感受性を有するプラスミド(温度感受性複製プラスミド(ts‐Rep ベクター)= temperature sensitive‐replication plasmid vectors:ts−Rep)は、その複製能が温度感受性であり、低温、例えば30℃で複製可能であるが、高温、例えば41.5℃では複製ができないものである。また、分離についての温度感受性を有するプラスミド(温度感受性分離プラスミド(ts−Seg ベクター)=temperature sensitive‐segregation plasmid vectors:ts−Seg)は、その分離(segregation)能が温度感受性であり、30℃では娘細胞への安定な伝達が可能であるが、41.5℃では不安定な分離を起こすものである。
しかし、これらのプラスミドは複製又は分離についての温度制御が可能であったが、両方を同一遺伝子に同時に導入した変異体について、それが共存可能か否か、可能であればどのような表現型を示すかについて検討されていなかった。
【0012】
例えば、複製について温度感受性を有する(ts−Rep)プラスミド、及び分離について温度感受性を有する(ts−Seg)プラスミドについての各培養温度における、選択的抗生物質の不存在下での大腸菌の増殖速度を見ると、それぞれ図1のA及びBのようになる。図1のグラフは、縦軸が単位容積辺りの大腸菌の数を対数で示し、横軸は培養時間を示す。丸印(○または●)を付した線は低温(例えば、30℃)での培養の場合を示し、四角印(□または■)を付した線は高温(例えば、41.5℃)での培養の場合を示す。それぞれの総細胞数は単位容積辺りで縦軸に示されており、実際の測定は選択的抗生物質を含まない寒天培地に適当に希釈することによって行われる。一方、黒で塗りつぶした印(●または■)は抗生物質を含有する寒天培地を用いて測定した場合を示している。これはプラスミドを含有する細胞数を示している。
複製が温度感受性であるts−Repプラスミドの場合(図1A)は、低温での培養では菌数は時間と共に半対数的に増加するが、時間T1で培養温度を高温にシフトした後には総細胞数、プラスミド含有細胞数ともに増加が顕著になる。しかし、時間T2以降においてはプラスミド含有細胞数は一定となって増加しなくなる(図1Aの黒四角印(■)を付した線)。これは、高温では温度感受性プラスミドの複製が行われず、大腸菌の増殖に伴ってプラスミドコピーが娘細胞へ分配されるにあたって分離が起こり、細胞あたりに複数個存在するプラスミドコピーが娘細胞に分割(partitioning)され、一定の世代を経て後に細胞あたりのコピー数が1になった時点(T2)より後には、プラスミドを持たない大腸菌のみが細胞数を増加させる結果になったからである。即ち、プラスミドを含有する細胞は全細胞集団の中で希釈されていくことになる。これに対して、低温での培養では、大腸菌の増殖に伴ってプラスミドも複製され、時間と共に総細胞数(○)と温度感受性プラスミドを有する大腸菌数(●)は一致して増加する。
【0013】
また、分離が温度感受性であるts−Segプラスミドの場合(図1B)は、低温での培養では全細胞がプラスミド含有細胞として増加するが、時間T1で培養温度を高温にシフトした後の培養では、一定の時間(T3−T1)後に、全生菌数の増加速度は低温時の速度に比べて速くなるのはts−Repプラスミドの場合と同様であるが、T3−T1はT2−T1よりも短く、かつプラスミド含有細胞の増殖速度は遅くなるものの、時間T3以後においてはts−Segプラスミドを有する大腸菌細胞数の増加は続く(図1Bの黒四角印(■)を付した線)。これは、高温ではts−Segプラスミドのコピーが世代ごとに一定の割合(30〜35%)で娘細胞から失われ、プラスミドを持つ大腸菌(図1Bの黒四角印(■)を付した線)の増殖速度を、持たない大腸菌(図1Bの四角印(□)を付した線と黒四角印(■)を付した線の差)の増殖速度が上回るからである。結果として、ts−Segプラスミドを持つ大腸菌もts−Repプラスミドを持つ大腸菌と同様に高温での増殖中に希釈されていく。
図1Aにおける時間T2と時間T1の差は、温度感受性プラスミドの複製効率が低下し、分離によりts−Repプラスミドを持たない細胞が出現するに要する時間であり、repAs1の場合は世代数に換算して3.8、repAs1h14の場合は5.0であった。同様に、図1Bにおける時間T3と時間T1の差は、分離についての温度感受性プラスミドを持たない大腸菌が出現してくるまでの時間であり、repAs5の場合は世代数に換算して2.1であった。
【0014】
このような2種類の温度感受性突然変異をrepA遺伝子に同時に導入した場合にどのような挙動を示すかという点について今回検討した結果が、図1Cに示されている。
これら2種類の温度感受性突然変異と高コピー数突然変異を同時に有するプラスミドpTH14kssh(3343bp)を本発明のプラスミドの例示として製造した。このプラスミドの配置を図2に示す。また、全塩基配列を配列表の配列番号6)に示す。このプラスミドは、3箇所のアミノ酸置換を有するpSC101DNA複製開始因子変異体(RepAssh)をコードするpSC101DNA複製開始因子の遺伝子(repA)を有している。このpSC101DNA複製開始因子変異体蛋白質(RepAssh)をコードする塩基配列は948塩基からなり、その塩基配列は配列表の配列番号4に示されるものである。そして、そのアミノ酸配列は316アミノ酸残基からなり、アミノ酸配列は配列表の配列番号2に示される。このpSC101DNA複製開始因子変異体(RepAssh)と、野生型のpSC101DNA複製開始因子(RepAwt)との塩基配列の比較を図3及び図4に示し、アミノ酸配列の比較を図5に示す。このpSC101DNA複製開始因子変異体遺伝子(repAssh)のコーディング領域は、図3及び図4に示されるように、7番目の塩基グアニン(G)がアデニン(A)に変異しており(この部位の変異をh14変異と言う)、37番目の塩基であるグアニン(G)がアデニン(A)に変異しており(この部位の変異をs5変異と言う)、かつ167番目の塩基であるシトシン(C)がチミン(T)に変異している(この部位での変異をs1変異と言う)。アミノ酸配列では、図5に示されるように、3番目のアミノ酸であるグルタミン酸(E)がリジン(K)に置換し、13番目のアミノ酸であるアラニン(A)がトレオニン(T)に置換し、56番目のアミノ酸であるアラニン(A)がバリン(V)に置換している。
【0015】
以下の説明のために、repA遺伝子がコードする蛋白質の316アミノ酸残基のうち、s1のみが変異した遺伝子を「repAs1」と表記し、以下同様にs5のみが変異したものを「repAs5」と表記し、h14のみが変異したものを「repAh14」などと表記する。そして、s1とs5が変異したものを「repAss」と表記し、s1、s5及びh14の3箇所が変異したものを「repAssh」と表記する。また、それぞれの蛋白質は「RepAs1」などのように頭文字を大文字にして表記する。
repAs1を持つpSC101系のプラスミドのコピー数は大腸菌宿主細胞の染色体あたりに換算して「5」であり、野生型(repAwt)と違いはないが、高温でプラスミドの複製が完全に停止する変異体である。repAs5はプラスミドのコピー数を低温で「5」から「1」に減少させ、かつ細胞分裂に際して高温でプラスミドコピーの娘細胞への伝達が不安定になり、世代ごとに娘細胞の30%がプラスミドを失って、プラスミドフリーになる変異体である。repAh14は、アンピシリン耐性遺伝子と結合されたpSC101系プラスミドをヒドロキシアミン処理して、その薬剤耐性が約4倍に上昇することで選択したもので、プラスミドコピー数を「5」から「14」に増加させる変異体である。
【0016】
これらの三つの変異を同時に持つpSC101DNA複製開始因子変異体遺伝子(repAssh)のコーディング領域は、プラスミドpTH14kssh(3343bp)では1815番目のアデニン塩基から2762番目のシトシン塩基にかけて挿入されている。このプラスミドは、抗生物質のカナマイシンに対する耐性を宿主菌に与えるために耐性遺伝子agp5を有している。そして、外来遺伝子挿入のために各種制限酵素(NdeI, HindIII,SphI,PstI,SalI,XbaI,BamnHI,SmaI,KpnI,SacI,EcoRI)の単一切断部位が、lacプロモーター・オペレーター配列(POlac)の下流に配置されている。NdeI認識部位(CATATG)中のATGはPOlacから転写されたmRNAの翻訳開始部位である。さらに、pSC101DNA複製開始因子変異体遺伝子(repAssh)のmRNAの半減期を調整するための約300塩基からなる塩基配列が、pSC101DNA複製開始因子変異体(RepAssh)をコードする遺伝子の下流側に配置されている。
【0017】
このプラスミドは、低温(<30℃)では低コピー数(≦1/染色体)プラスミドとして大腸菌細胞内で比較的安定に存在するが、高温(≧37℃)では独立したプラスミド分子としては増殖中の細胞内に維持されないものであった。このプラスミドを有する大腸菌について、その増殖をみると、図1Cに示されるようになる。
すなわち、低温では、大腸菌がプラスミドを保持したまま増殖するが、高温ではプラスミドの複製が全く起らず、プラスミドを保持した大腸菌は増殖しない。また、低温でもプラスミドコピー数が宿主染色体あたりに1以下となるために、当該プラスミドを有する大腸菌は培養温度を高温にシフトしたほぼ直後に増加しなくなる。このような挙動は、複製についての温度感受性プラスミドの場合(図1A参照)とよく似ているが、時間T4と時間T1との差が極めて短くなり、両者がほぼ同時となる点で異なっている。すなわち、両方の突然変異を同時に導入することにより、温度のシフトアップと殆ど同時に、あるいは極めて短時間内に当該プラスミドを有する大腸菌の増殖が停止されることになる。
このように、本発明のpSC101DNA複製開始因子変異体遺伝子(repAssh)を有するプラスミドは、従来のものに比べて非常に感受性の高い温度特性を有している。この現象を利用することにより、相同組換え機能について野生型(rec+)であり、かつラクトースプロモーターのリプレッサーを過剰発現するlacIq株に当該プラスミドを導入して高温で寒天培地上で培養し、カナマイシン耐性のコロニーを選択すれば、相同組換えにより染色体に挿入された株が得られる。この場合、当該プラスミドに大腸菌の非必須領域の染色体断片DNAをあらかじめ組込んでおけば、その領域にプラスミドが挿入されることになる(Hamilton et al., J. Bacteriol., 171:4617−4622, 1989)。さらに、当該プラスミドのPOlac下流に外来遺伝子のcDNAを組み込むことにより、その遺伝子をあたかも大腸菌染色体遺伝子であるかのように発現させることができる。この場合、lacIq遺伝子の存在下であり、当該遺伝子コピーは染色体辺り1コピーしか存在しないので、完全に外来遺伝子の発現を抑制することが可能である。しかも、このプラスミドは大腸菌培養の至適温度である37℃では複製できない点で、従来の上記Hamiltonらが使用したrepAs1単独変異の温度感受性ベクターとは異なる優れた性質を持つ。このように、当該プラスミドは外来遺伝子の発現ベクターとして極めて有用なものである。特に、細胞毒性の強い蛋白質を発現させるためのホスト・ベクター系として、37℃で外来遺伝子の発現を押さえながら宿主細胞の増殖が可能であり、細胞毒性の強い蛋白質をコードする遺伝子を有する宿主細胞を大量に、工業的に増殖させることができ、細胞濃度が十分に高くなったのちにIPTGを加えて初めて外来遺伝子の発現のスィッチを入れることができる。従って、細胞毒性の強い遺伝子の場合でも、低レベルの発現で宿主細胞が死滅する場合であっても、そのような「死滅」を避けることができるので、目的の蛋白質を大量生産することが可能となる。
【0018】
以上でrepAssh遺伝子を有するプラスミドを例にして本発明を説明してきた。ここで例示してきたプラスミドpTH14ksshは、h14も変異したrepAsshを用いたものであるが、h14の変異は本発明においてはプラスミド構築上の便宜的な目的で使われたのであり、発明にとって本質的なものではなく、例示のために存在させたものである。なぜならば、s5変異の低コピー数の性質はh14変異の高コピー数の性質に対して少なくともcisの関係では優性に発現することが我々の発明の過程で明らかになったからである。要約すれば、s1変異とs5変異の二重変異体であることが本発明において重要なことであり、h14の変異は実験をより容易にするため存在していたにすぎない。
即ち、本発明は、少なくともs1及びs5変異を有するrepA変異体(repAss:例えば、配列表の配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列表の配列番号3で表される塩基配列でコードされる遺伝子)、及び少なくとも当該変異体を含有してなるプラスミド(例えば、配列表の配列番号5)で表される塩基配列を有するプラスミドpTH14kss)に関するものである。本発明の他の態様としては、さらにh14変異を有するrepA変異体(repAssh:例えば、配列表の配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列表の配列番号4で表される塩基配列でコードされる遺伝子)、及び少なくとも当該変異体を含有してなるプラスミド(例えば、配列表の配列番号6で表される塩基配列を有するプラスミドpTH14kssh)に関するものである。
さらに、本発明の他の態様としては、本発明のプラスミドベクターのlacプロモーター・オペレーター配列(POlac)下流に外来遺伝子挿入のためにある各種制限酵素による単一切断部位(NdeI、HindIII,SphI,PstI,SalI,XbaI,BamnHI,SmaI,KpnI,SacI,EcoRI)の任意の一箇所において、例えばpBR322などの高コピー数プラスミドを挿入し複合プラスミドとしたものが挙げられる。例えば、本発明のプラスミドpTH14ksshのNdeI認識部位(CATATG)にpBR322(4361bp)を挿入して、プラスミドpTH14ksshとpBR322との複合プラスミドpTH14kssh:pBRH(7704bp)とすることができる。このときpBR322の挿入方向は、いずれの方向からであってもよい。例えばそれぞれのDNA合成の方向が同じように挿入されたものを「+」、逆方向のものを「−」とすれば、それぞれpTH14kssh:pBRH+、pTH14kssh:pBRH−と表記される。これらは外来遺伝子の発現ベクターを作成するにあたり、pTH14ksshプラスミド部分を切りだして発現ベクターの構築を行うときに便宜を与える。このとき用いるプラスミドはpSC101系のプラスミドでなければ、pBR322に限定されるものではないが、分子の大きさがpTH14kss又はpTH14ksshとは電気泳動などの方法で分離可能なほどに大きいことが望ましい。また、同様に、NdeI切断部位やEcoRI切断部位にもpBR322(4361bp)を挿入して複合プラスミドpTH14kss:pBRN+、pTH14kss:pBRN−、pTH14kss:pBRE+、pTH14kss:pBRE−(いずれも7704bp)とすることもできる。挿入方向が逆になったプラスミドはPOlacの下流に挿入する外来遺伝子cDNAの塩基配列中の制限酵素部位によって使い分けるために有用である。
【0019】
本発明のプラスミドベクターは、低温(<30℃)で増殖中は低コピー数プラスミドとして大腸菌細胞内で比較的安定に存在し、一方、高温(>37℃)で増殖中は染色体に挿入された状態でしか細胞内に維持されないものである。
本発明のプラスミドベクターは、好ましくは抗生物質又は抗菌因子に耐性又は免疫性を発現する遺伝子、より好ましくは抗生物質の耐性遺伝子を有するものである。配列表に記載した例ではカナマイシン耐性遺伝子を用いた場合を例示してあるが、カナマイシンに限定されるものではなく、クロラムフェニコール、テトラサイクリンなど、他の任意の抗生物質耐性遺伝子であってもよい。
本発明のプラスミドは、低コピー数であるために30℃での培養であってもDNAの回収率が非常に低い場合がある。このような場合であってもラージスケールの大腸菌培養液から目的のプラスミドDNAを抽出し発現ベクターの構築を行うことはできるがコピー数を増やすための処置を行ってDNAを得るほうが好ましい。便宜上コピー数を増やす方法としては、前記で例示した、高コピー数のプラスミドとの複合プラスミドにする方法がある。
【0020】
本発明のプラスミドは、外来遺伝子を発現させるためのプロモーターを有するものが好ましい。プロモーターとしては各種のものを使用することができるが、通常用いられるlacUV5プロモーターはリプレッサー存在下でも低レベルでの発現があるので出来れば野生型のlacプロモーターの方がスイッチのオン・オフが容易なので好ましい。しかし、これらに限定されるものではない。
また、本発明のプラスミドベクターは、repA遺伝子の下流側にmRNAの半減期を調整するとされる塩基配列を挿入することができるが、それに制約されるものではない。このような塩基配列として配列表において例示されたような、repA遺伝子の持つ本来の配列を利用することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明のrepA変異体遺伝子は、本発明により開示された塩基配列に基づいて各種の方法で製造することができるが、例えば、pSC101系プラスミドをヒドロキシアミンあるいは、他の変異原で突然変異させることによりs1変異又はs5変異と同様の効果を持つもの、さらにあるいはそれ以外の変異でs1及びs5二重変異体と同様に35℃以上で染色体外でプラスミドとして存在しえないものを得ることが出きる。あるいは、これらのいずれかの変異体を鋳型にして、1塩基が異なるプライマーを用いたPCR法によりさらにもうひとつの変異を有するrepA変異体遺伝子を製造することができる。h14変異体も同様な方法により製造することができる。このようにして製造されたRepA変異体の遺伝子(またはrepA変異体遺伝子)を用いて、常法にしたがってプラスミドベクターを構築することができる。
【0022】
本発明のプラスミドベクターは、常法にしたがって外来遺伝子を挿入することができる。また、外来遺伝子が挿入されているプラスミドを本発明のプラスミドに挿入することもできる。外来のDNAは発現させたい遺伝子のDNAだけではなく大腸菌の非必須領域の相同配列を含むものでも構わない。それは発現ベクターの染色体への挿入頻度を上昇させるであろうからである。
本発明のプラスミドベクターは、少なくとも複製について温度感受性変異s1及び分離についての温度感受性変異s5を有する二重変異体のrepA遺伝子を含有していることを特徴とするものであり、複製及び分離が温度感受性であること、結果として染色体外プラスミドとしての大腸菌細胞内での維持が通常の温度(37℃)以上では不可能になることを特徴とするものである。したがって、その他の点については、通常のプラスミドベクター、好ましくはpSC101系プラスミドベクターと同様に取り扱うことができる。
また、宿主細胞としては大腸菌が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0023】
本発明の温度感受性のプラスミドベクターは、増殖中の大腸菌で、低温(<30℃)では染色体外の低コピー数プラスミドとして細胞内で比較的安定に存在し、高温(>37℃)ではそうではなく染色体の一部として維持されるものしか複製できない性質のものである。したがって、cDNA断片の上流にNdeI切断部位を持ち、下流にEcoRI切断部位を持つコーディング領域を用いて、任意の遺伝子を発現させたい場合は、通常の工程は以下のようになる。
(1)pTH14kssh:pBRN+複合プラスミドのDNAを同プラスミドを持つ少量の大腸菌培養液(通常は数ml)から抽出し、NdeIとEcoRIで切断してアガロースゲルで電気泳動する。
(2)DNAバンドは、それぞれ約3.3kbp、2.1kbp、1.3kbp、70bpの4種類のサイズのものが得られる。ただし、通常70bpのサイズのものは肉眼的には観察されない。このうち、3.3kbpのものがpTH14ksshプラスミド本体のものなのでこのバンドを回収し、精製する。
(3)あらかじめ調整したNdeI−EcoRI切断断片のcDNAを上記DNAと酵素的に結合する。この場合cDNA断片の3’−非翻訳領域の下流に大腸菌染色体の非必須領域に相同性を有する数百bp程度の長さのDNA断片を挿入しておく。これが染色体への組込み部位を決定する。
(4)(3)で結合したDNAで常法により大腸菌(rec+、lacIq株が望ましい)を形質転換し、栄養液体培地を加えて30℃で2時間以上、振盪培養する。
(5)上記培養液を適当に希釈して、カナマイシン(10μg/ml)を含む栄養寒天培地二枚づつに撒く。
(6)上記2セットの寒天培地の一方を28〜30℃で、他方を40〜42℃で1〜2晩インキュベートする。
(7)30℃でpTH14ksshDNAの1μg辺りに104〜107個以上のトランスフォーマントが得られていることを確認して、42℃ではその数桁以上少ないコロニーが得られたことを確認する。大腸菌の染色体の非必須領域をあらかじめ含めていた外来DNAを挿入していた場合は、高温でのコロニー形成数は上昇するであろう。
(8)上記の42℃で得られたコロニーを37℃で液体培地で培養しシードカルチャーを製造し、常法により液体窒素中で保存する。
(9)上記のシードカルチャーの一部を取りだし、37℃以上でカナマイシンを含む液体培地で培養し、外来遺伝子cDNAからmRNAが合成されていることを確認し、かつプラスミドDNAが少なくとも数mlの培養液から回収されないことを確認する。
(10)上記を確認後、同じバッジのシードカルチャーから適度にスケールアップした培養液を同条件下で製造し当該蛋白質が産生されていることを免疫学的、あるいは生化学的方法により確認する。
本発明のプラスミドは低コピー数のプラスミドであるために、場合によっては、プラスミドのコピー数が極端に少なくなる場合があるので、例えば、細胞当たり0.1個以下になる場合もあるので、このような場合に取扱いが困難となったならば、高コピー数になるための処置をすることが好ましい。
【0024】
【実施例】
次に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
実施例1 (プラスミドpTH14ksshの構築)
pSC101プラスミドのrepA遺伝子のs1変異とs5変異のそれぞれについては、既に報告されたている(Hashimoto−Gotoh and Sekiguchi,J.Bacteriol.,131,405‐412,1977)。また、repAs1変異体を用いたDNA合成が温度感受性である、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマインシンの三剤耐性プラスミドベクター、pHSG415sもすでに報告されている(Hashimoto−Gotoh et al.,Gene,16,227−235,1981.)。
(1)橋本と関口(Hashimoto and Sekiguchi, J.Bacteriol.,127:1561−1563,1976)の方法により、pHSG415sのDNAをヒドロキシアミンによってランダム突然変異を起こす。そのDNA混合物で大腸菌をトランスフォームして、30℃で2時間、栄養培地で振盪培養後にアンピシリンを500μg/m加えて、続いて同条件で一晩培養する。翌日、その0.5mlを同様のアンピシリンを含む新鮮栄養培地に移植して、更に5時間培養する。これを5度繰返して、単一コロニーをランダムに5コ選択する。それぞれを50μg/mlのアンピシリンを含む液体栄養培地で一晩30℃で培養する。このときに、対照としてヒドロキシアミン処理していないもとのpHSG415sを持つ大腸菌も同一条件で培養する。翌日、それぞれの培養液を10−6倍希釈した液を用意して、アンピシリンを50μg/ml、100μg/ml、200μg/ml、400μg/ml、800μg/mlほど含む寒天培地に50μl撒布する。30℃で二晩培養し、対照のpHSG415sを持つ大腸菌が100μg/mlまでしかコロニーを形成しないのに、他の5サンプルは400μg/mlまで約400〜500個のコロニーが形成された。この内の一つからプラスミドDNAを抽出してpHSG415shと命名した。
【0026】
(2)上記のpHSG415shのプラスミドからrepA遺伝子を含む、制限酵素HaeII−Ndelで挟まれるDNA断片を調整し、カナマイシン耐性遺伝子agp5とラクトースプロモーター支配下にNdeI,HindIII,SphI,PstI,Sa1I,XbaI,BamHI,SmaI,KpnI,SacI,EcoRIのポリクローニング部位を持つベクターを橋本らの方法(Hashimoto−Gotoh et al., Gene,241:185−195,2000)と同様に構築しpTH19kshと名付けた。
(3)pTH19kshにrepAs5を突然変異を導入すべくPCRプライマーを下記のようにデザインした。
フォワードブライマー(US5)
AAATGAACTAACGATTAGTCGC
これはs5変異を導入するためのプライマーで下線の部分が野生型ではGである。
リバースブライマー(lacFW)
CGTTGTAAAACGACGGCCAG
これはPCR反応のためにデザインされたrepA遺伝子に関してリバースプライマーである。
常法によりこれらのブライマーを用いてDNAを増幅させ、目的のプラスミドの構築を試みた。このPCR混合物DNAを用いて大腸菌(TOP10)をトランスフオームして得られたカナマイシン耐性のコロニーは低温で2日培養しても、実体顕微鏡またはルーペで確認出きる程度のもの(直径0.1〜0.2mm)しか観察されず、正常なサイズ(>1mm)のものは得られなかった。また、そのまま30℃で4晩ほど放置してもコロニーの大きさに変化はなかった。
これは、s1変異とs5変異を共存させたrepA遺伝子は、RepA蛋白質がこれらの二重温度感受性変異を持つことにより非常に不安定、または不活性になり、その結果、カナマイシンの存在する培地で宿主菌が致死的になったと示唆された。
【0027】
実施例2 (プラスミドpTH14ksshの構築)
実施例1に記載したpTH19kshのrepA遺伝子はコーディング領域の下流にある単一のNdeIサイトから3’領域にかけて約300bpが欠失したものである。このために、転写産物であるrepAのmRNAが不安定になっていて、その結果RepA蛋白質の活性が量的に減少したためにDNA合成開始活性を十分に示すことができなかった可能性があるので、この領域を回復させてs1変異とs5変異が同一遺伝子に同居できるか否かを検証した。pHSG415shのNdeI部位を切断後にT4DNAポリメラーゼで平滑末端化して再結合させ、AseI−AflIII 断片として切りだし、pTH19ks1のrepA遺伝子中のAflIII 部位とPOlac上流末端のAseI部位に結合し、pTH14kshを得た。pTH14kshのDNAを実施例1の(2)と同様にして、S5変異を導入し、30℃でトランスフォームするとカナマイシン(15μg/ml)を含む寒天培地上で数百のコロニーを得た。得られたコロニーは30℃で二晩培養後に約1.5mmと約2.0mmの直径のものが約半々の比で得られた。それぞれの代表的な5つづつのコロニーからプラスミドDNAを抽出し以下のプライマー(U1545およびL2038)
U1545プライマー
5’−GAGTTATACACAGGGCTGGG−3’
L2038プライマー
5’−AGTTCTCGTCATCAGCTCTC−3‘
を用いてPCR増幅を行って、DNA塩基配列を決定し、s1、s5、h14の変異が導入されているかどうかを確認した。小さいほうのコロニーから得られたDNAにはs1、s5、h14の全ての変異が存在していたが、大きいほうのコロニーから得られたDNAにはs1、h14変異のみが存在し、s5変異は導入されていなかった。このことはrepA遺伝子の3’−領域が回復すると、RepAssh蛋白質はRepAsh蛋白質に比べて比活性の低下があるにもかかわらず、選択薬剤であるカナマイシン存在下に宿主菌の増殖を可能とする程度にはプラスミドの複製、分配の機能が働くことを示唆していた。
【0028】
得られたプラスミドの特性を検討した結果を、野生型、s1変異型、s5変異型と比較して次ぎの表1に示す。
【表1】
【0029】
表1中の「AA3」はN末端から3番目のアミノ酸、「AA13」はN末端から13番目のアミノ酸、「AA56」はN末端から56番目のアミノ酸を示す。「DNA複製効率」kは、式
k=2・exp[ln(bn/cn)/(N−n)]−1
で与えられるものであり(各パラメーターについてはHashimoto−Gotoh et al., Gene, 241,P185−191を参照)、表中の数値は高温(42℃)での低温(30℃)に対する相対的DNA複製効率として表したものである。図1におけるプラスミドを含む宿主菌の増殖速度について、高温側の直線の傾きを低温側の直線の傾きで割った値に相当する。「コロニー形成能」は、プラスミド保持菌が42℃で形成するコロニー数を、30℃で形成するコロニー数で割った値である。「コピー数」は、低温(30℃)での宿主細胞の染色体数当たりのプラスミドのコピー数である。下線で示したプラスミドはrepA遺伝子のmRNAの半減期を調節すると推量される3’−非翻訳領域を欠失している。括弧で示されたpTH19ksshは30℃でもカナマイシン耐性菌の増殖はほとんど見られなかった。
【0030】
【発明の効果】
本発明のプラスミドベクターは、鋭敏な温度感受性を有し、培養温度の変更操作により、(1)宿主菌が42℃において増殖中にプラスミド複製が起らないので選択薬剤下に宿主菌細胞が増殖せず、カナマイシン耐性コロニーを形成した大腸菌宿主細胞がプラスミドを染色体に組み込んだものしか存在しえないこと、(2)その様な大腸菌ではそのプラスミドに乗っていたラクトースプロモーターは染色体遺伝子のlacIqによって完全に抑制されること、(3)また、一旦組み込まれたプラスミドは37℃以上の培養条件では染色体よりきりだされることなく染色体DNAの一部として安定に子孫細胞に伝達されること、(4)十分に増殖した細胞培養液にIPTGを加えることによりラクトースプロモーターのスィッチを入れることにより、宿主細胞に毒性を示す蛋白質の工業的生産を効率的に行うことができる。宿主に用いる大腸菌としてはrecA+、ompT−、lacIq、ΔlacU169の遺伝子型を持っていることが望ましい。それぞれの遺伝子は、プラスミドの染色体への組込み、組換え蛋白質の分解酵素、ラクトースプロモーターのスイッチオフ、IPTG添加時に組換え蛋白質遺伝子のラクトースプロモーター以外に、野生型大腸菌が持っているde novoのlacプロモーターがスイッチオンされることの防止のために有用である。これらの工程により、細胞にとって細胞毒性の強い物質を発現させることが可能となり、大腸菌のような原核細胞による遺伝子組換えタンパク質の工業的な生産を可能とするものである。
【0031】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、複製についての温度感受性プラスミドpTH19ks1h14(図1A)、分離についての温度感受性プラスミドpTH19ks5(図1B)、及び本発明のプラスミドpTH14kssh(図1C)を含有する細胞の、低温(30℃)(図1中の丸印及び黒丸印を付した線)及び高温(41.5℃)(図1中の四角印及び黒四角印を付した線)での増殖速度をグラフ化したものである。図1のそれぞれの縦軸は菌数/mlの対数、横軸は培養時間(時間)を示す。○、30℃での総細胞数;●、30℃でのカナマイシン耐性細胞数;□、42℃での総細胞数;■、42℃でのカナマイシン耐性細胞数
【図2】図2は、本発明のプラスミドベクターの例を示す。s1、s5及びh14は本発明の変異部位を示し、pBR322挿入箇所の例が示されている。→、←はpBR322のDNA複製の方向であり、pTH14ksshと同方向の場合を+、逆向きの場合を−としている。
【図3】図3は、図2に例示した本発明のプラスミドベクターにおけるpSC101DNA複製開始因子変異体(repAssh)の塩基配列と、野生型(repAwt)の塩基配列の比較を示したものである。塩基の7番目、37番目及び167番目に変異があることを示す。
【図4】図4は、図3の続きの塩基配列の比較を示す。
【図5】図5は、図2に例示した本発明のプラスミドベクターにおけるpSC101DNA複製開始因子変異体蛋白質(RepAssh)のアミノ酸配列と、野生型蛋白質(RepAwt)のアミノ酸配列の比較を示したものである。アミノ酸の3番目、13番目及び56番目に置換があることを示す。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention provides a pSC101 DNA replication initiation factor (RepA) mutant having a temperature-sensitive replication ability and a temperature-sensitive separation ability, a gene encoding the same, a plasmid containing the gene, a cell transformed with the plasmid, The present invention relates to a method for producing a protein encoded by a foreign gene using the cells.
Since the pSC101 DNA replication initiation factor (RepA) mutant of the present invention has a temperature-sensitive replication ability and a temperature-sensitive separation ability, replication and separation (distribution) of a plasmid having the gene of the mutant are required for expression of a foreign gene. Must be performed at a temperature different from the culture temperature. Therefore, the steps of replication and isolation of the vector in the host cell and the step of expressing the foreign gene in the host cell are performed as different steps.
The present invention provides a method for efficiently producing a protein using a recombinant gene. More specifically, the present invention provides a novel industrial method for producing a cytotoxic protein.
[0002]
[Prior art]
When producing industrially useful proteins or proteinaceous pharmaceuticals using recombinant genes, host cells can be broadly divided into prokaryotic cells such as Escherichia coli, yeast cells, animal cells, and plant cells. There is a method using eukaryotic cells such as cells. The choice of one of these is based on the various properties of the particular protein. In general, a method using Escherichia coli is desirable because it has high industrial cost performance and can be produced and purified at low cost. However, industrially or medically useful proteins are often derived from genes of higher organisms such as humans, and are highly heterogeneous in cells of organisms that are taxonomically too distant, such as Escherichia coli. In the high expression system Escherichia coli host vector system, the cytotoxicity of the protein often makes it impossible to mass-cultivate Escherichia coli at an industrial level. In general, plasmid vectors of Escherichia coli used industrially have a large number of copies in a cell, and suppression in a gene expression control device (promoter operator, hereinafter abbreviated as PO) used does not completely function. Often, unintended expression is seen at the basal level. In addition, a protein having cytotoxicity that cannot be ignored in host cells even at such a low level of expression makes industrial production in E. coli impossible. In such a case, the expression should be switched on and off so that expression of the foreign gene in the growing Escherichia coli is minimized and expression of the foreign gene is performed only when the cell concentration is sufficiently increased. It needs to be controlled functionally. For this purpose, plasmid vectors for various expression systems have been developed. However, if the cytotoxicity is so strong that it cannot be ignored, production in Escherichia coli may not be possible.
[0003]
As described above, one of the factors that makes it difficult to avoid cytotoxicity due to the protein to be expressed is that it is difficult to completely switch off the function of the expression control region (PO region) of the gene on the expression vector. is there. In order to express a gene for the purpose of obtaining a protein, it is necessary to turn on the promoter after growing Escherichia coli to a predetermined concentration. This is because, when a foreign gene is expressed in a state where the concentration of E. coli is low, the growth of E. coli is inhibited, and the protein production efficiency is reduced. As such a control means, for example, there is a method using a lactose promoter-operator (POlac) and its repressor gene (lacI). This method uses the lacI gene as its repressor gene. q The promoter is switched off by overexpression by mutation, and IPTG, a repressor inactivating factor, is dissolved in the culture solution and switched on. However, when the vector carrying the gene to be expressed downstream of POlac is a so-called high copy number vector having a high copy number per cell, it is necessary to completely switch off even the overexpressed repressor. Is difficult and expression at low levels usually occurs continuously. In addition, the lac promoter commonly used in expression vectors is a mutant called lacUV5, and it is known that low-level expression proceeds even in the presence of a repressor. Under these circumstances, a protein that exhibits strong cytotoxicity even at low levels of expression causes growth inhibition of Escherichia coli, which is fatal for industrial production of recombinant proteins. In an extreme case, it was impossible to construct an expression vector as well as to produce a protein.
[0004]
As an improved method for producing such a toxic protein, a method using a pET plasmid vector system is commercially available from Novagen (Novagen, Inc., 601 Science Drive, Madison, W153711, USA). This system is characterized by using a T7 phage promoter as a promoter of a gene to be expressed. Since normal Escherichia coli does not produce any T7 RNA polymerase, even if a highly toxic gene is placed on this vector, the gene is not expressed at all and the Escherichia coli is not inhibited from growing. Therefore, construction of an expression vector for the gene can be performed without any problem. However, in order to express the gene, it must be transferred to a special E. coli strain BL21 (DE3) that expresses the T7 RNA polymerase gene. This E. coli strain (F − , OmpT, hsdSB (rB − mB − ), Gal (lcI857, ind1, Sam7, nin5, lacUV5-T7 gene1), dcm (DE3)), the T7 RNA polymerase gene is inserted into the chromosomal DNA of E. coli under the control of the lacUV5 promoter. Even during growth prior to IPTG administration, production of low levels of T7 RNA polymerase under the control of the lacUV5 promoter is unavoidable, and as a result, low levels of recombinant protein are continuously produced from genes on high copy number plasmids, If the toxicity of is high, growth inhibition is inevitable. To avoid this, Novagen also offers a method for expression using normal E. coli that does not produce T7 RNA polymerase, but this method uses a large amount of virus to supply T7 RNA polymerase by viral infection. And the cell concentration of E. coli must be reduced to several hundredths or more, which is not suitable for practical and industrial production of proteins.
[0005]
On the other hand, when a low copy number vector is used, spontaneous dropout of the vector accompanying cell division usually occurs frequently even in selective culture containing an antibiotic, resulting in extremely low gene expression efficiency.
As described above, when producing a toxic protein in Escherichia coli, it is a problem that high-copy-number plasmid vectors cannot completely suppress gene expression during cell growth in the previous stage. If a low-copy-number plasmid vector is used, vector instability becomes a problem.
The present inventors have developed a plasmid having a temperature-sensitive mutation to solve such a problem (T. Hashimoto, et al., J. Bacteriol., 127, 1561-1563 (1976); T. Hashimoto-Gotoh, et al., J. Bacteriol., 131 (2), 405-412 (1977)). These temperature-sensitive plasmids were obtained by mutating the tetracycline-resistant R plasmid pSC101 with hydroxylamine, and were classified into the following three types. Type I plasmids (pHSG1, pHSG2, pHSG4, pHSG6, pHSG7, and pHSG17; hereinafter, the plasmids described as "pHS" in the above two reports were later renamed "pHSG. J. Bacteriol., 1979." 139, pp. 597-607), once the host cells were cultured at 42 ° C. in the absence of tetracycline, the colony was formed in the presence of tetracycline even when the temperature was returned to 30 ° C. or kept at 42 ° C. He lost his ability. With the type II plasmid (pHSG3), regardless of the pre-incubation temperature, the host bacteria did not form colonies at 42 ° C in a medium containing tetracycline, but had a colony-forming ability at 30 ° C. When the type III plasmids (pHSG5, pHSG8, and pHSG16) were preincubated at 42 ° C in the absence of tetracycline, the host cells could not grow on a tetracycline-containing medium even after returning to 30 ° C. When incubated, it had a colony forming ability even at 42 ° C.
Among these, plasmid pHSG1 completely inhibited DNA replication, particularly at 42 ° C. For example, replication was completely stable at 30 ° C. and transmitted to 100% of offspring, but could not be replicated at high temperatures (42 ° C.).
This temperature-sensitive replication (ts-Rep) plasmid is a plasmid in which plasmid replication is only partially inhibited at the optimal temperature of cell culture for protein production (around 37 ° C.) and shows incomplete temperature sensitivity. Met.
[0006]
On the other hand, in the case of the temperature-sensitive plasmid (ts-Seg), a phenomenon called segregation occurs, and DNA replication can be performed at a high temperature. However, the distribution of the plasmid copy to the two daughter cells is equally distributed to the grown cells. I knew it would not happen. Isolation is a phenomenon in which a plasmid is not distributed to a portion of its daughter cells after the host cell divides, but is progressively lost from progeny cells. In the plasmid, the daughter plasmid copy produced by replication of the plasmid was frequently lost from progeny cells produced by the division (proliferation) of the host cell under high-temperature (40 to 42 ° C.) culture of the host cell. . When such a separation occurs, cells containing the foreign gene cloned in the plasmid are gradually diluted with respect to the whole cultured cells, and the productivity of the protein per culture solution is significantly reduced. For example, pHSG5, a kind of the above-mentioned temperature-sensitive isolation plasmid (ts-Seg), can replicate at 43 ° C., but 35% of daughter cells carry the plasmid every time the cell containing the plasmid divides. It did not. In addition, pHSG5 had a low copy number even at low temperature (30 ° C.), and the result was that pSC101 and pHSG1 had 5 copy numbers per chromosome of the host cell, while pHSG5 had only 1 copy number.
Thus, the present inventors have succeeded in developing expression vectors for a temperature-sensitive replication plasmid and a temperature-sensitive separation plasmid (T. Hashimoto-Gotoh, et al., Gene, 241, 185-191 (2000)). As a result, plasmids (ts-Rep) derived from pHSG1 and having temperature sensitivity for replication (ts-Rep) pTH18cs1, pTH19cs1, pTH18ks1 and pTH19ks1 were developed, and plasmids derived from pHSG5 and having temperature sensitivity for separation (ts-Seg) pTH18cs5, pTH19cs5, pTH18ks5, and pTH19ks5 were developed. The cs1 (chloramphenicol-resistant) and ks1 (kanamycin-resistant) plasmids whose replication is temperature-sensitive have an extra nucleotide sequence (ACGT) that is cleaved by the restriction enzyme MaeII in the coding region of the repA gene. (There are two places where the wild type has only one place in the entire coding region). Similarly, in the case of the cs5- and ks5-type plasmids in which the separation is temperature-sensitive, the restriction enzyme MaeI which should be in the coding region near the amino terminus is used. It was found that the base sequence to be cleaved (CTAG) was lost (only three wild-type sites were possessed in the entire coding region).
These plasmids are temperature-sensitive for replication or isolation, respectively, and can only control either replication or isolation by controlling temperature. Moreover, the relative colony-forming ability in the presence of antibiotics was 10 ° C at 42 ° C. -4 Almost 100% of the cells formed colonies at a temperature (around 37 ° C.) under the culture conditions for producing the protein, although the degree of reduction was to a certain extent. On the other hand, almost 100% of the cells of the temperature-sensitive isolation plasmid retained colony forming ability under the same conditions even at 42 ° C. Therefore, these expression vectors were not always practical. From an industrial point of view, it has been desired to develop a plasmid vector in which replication and separation as a plasmid are simultaneously suppressed even at around 37 ° C., and are replicated as part of a chromosome-integrated state.
[0007]
[Non-patent document 1]
T. Hashimoto, et al. J. et al. Bacteriol. , 127, 1561-1563 (1976);
[Non-patent document 2]
T. Hashimoto-Gotoh, et al. J. et al. Bacteriol. , 131 (2), 405-412 (1977).
[Non-Patent Document 3]
Hamilton et al. J. et al. Bacteriol. 171: 4617-4622, (1989).
[Non-patent document 4]
T. Hashimoto-Gotoh, et al. , Gene, 241, 185-191 (2000).
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, in the industrial production of proteins by genetic recombination technology using Escherichia coli, conventionally, (1) "gene amplification" which replicates expression vectors by culturing host cells and stably distributes them to progeny cells Step and the “gene expression step” for expressing a useful substance occur simultaneously, and in some cases, the host and product of the expression system are degraded. It was a major obstacle. This is particularly acute when the protein exhibits some toxicity to host bacterial cells, and in many cases, production of recombinant proteins by Escherichia coli has been substantially impossible. For this reason, there has been a demand for the development of a host vector system capable of improving the production efficiency of a protein having toxicity to Escherichia coli.
The present invention provides a novel plasmid capable of controlling the replication and separation of the plasmid by temperature, and provides a novel expression vector capable of mass-producing a useful substance by genetic recombination technology.
Furthermore, it is an object of the present invention to: 1) low-level, sustained gene expression of high-copy-number plasmid vectors; 2) instability of expression vectors caused by using low-copy-number plasmid vectors to avoid them. It is an object of the present invention to provide a method that can overcome both the problems of the above-mentioned methods and can use the conventional IPTG addition method instead of virus infection to initiate expression when the promoter is switched on.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
In view of the above situation, the present inventor inserts a plasmid vector that expresses the gene of a recombinant protein under the control of a lactose promoter-operator (POlac) into the chromosome of the host E. coli under specific conditions and stably maintains it. A pSC101-based plasmid vector having a temperature-sensitive double mutation in the DNA synthesis initiation protein gene (repA) was successfully constructed.
That is, the present invention relates to the pSC101 DNA replication initiation factor (RepA), in which alanine, the 13th amino acid in the amino acid sequence, is mutated to threonine, and alanine, the 56th amino acid, is mutated to valine. PSC101 DNA replication initiation factor mutant (RepAs1s5 or simply RepAss) having characteristic temperature-sensitive replication ability and temperature-sensitive separation ability, preferably glutamic acid, which is the third amino acid in the amino acid sequence, is also mutated to lysine. PSC101 DNA replication initiation factor mutant (RepAs1s5h14 or simply RepAssh) having a temperature-sensitive replication ability and a temperature-sensitive separation ability. More preferably, the pSC101 DNA replication initiation factor gene (repA) has a pSC101 DNA replication initiation factor mutant having the amino acid sequence shown in SEQ ID NO: 1 or 2 in the sequence listing ( Rep Ass, or Rep ASH).
The present invention also relates to a gene (repA) encoding pSC101 DNA replication initiation factor (RepA), wherein guanine (G), the 37th base of the translation region, is mutated to adenine (A), and A gene encoding a pSC101 DNA replication initiation factor mutant (RepAss) having a temperature-sensitive replication ability and a temperature-sensitive separation ability, characterized in that cytosine (C), which is a base of, is mutated to thymine (T), preferably A pSC101 DNA replication initiation factor mutant having a temperature-sensitive replication ability and a temperature-sensitive separability, wherein guanine (G), the seventh base of the translation region, is mutated to adenine (A). RepAssh). More preferably, the pSC101 DNA replication initiation factor mutant (RepA
) Relates to a gene (repAss or repAssh) encoding a pSC101 DNA replication initiation factor mutant (RepAss or RepAssh) having the nucleotide sequence shown in SEQ ID NO: 3 or 4 in the sequence listing.
[0010]
Further, the present invention provides a plasmid vector containing a gene (repAss or repAssh) encoding the above-described pSC101 DNA replication initiation factor mutant (RepAss or RepAssh), preferably a plasmid vector under the control of a lactose promoter-operator (POlac). A plasmid vector that expresses the gene for the recombinant protein, more preferably a plasmid vector derived from pSC101, and even more preferably a base that regulates the half-life of mRNA downstream of the gene encoding the pSC101 DNA replication initiator mutant (RepAss or RepAssh). It relates to a plasmid vector having a sequence.
Furthermore, the present invention relates to a cell transformed with the above-mentioned plasmid vector, preferably Escherichia coli.
The present invention provides a method for cell replication, wherein the replication and isolation of the above-described plasmid are performed at a temperature different from the cell culture temperature, and the plasmid replication and isolation are not substantially performed at the cell culture temperature. The present invention relates to a culture method, preferably a culture method in which the temperature for replication and isolation as a plasmid is 28 to 33 ° C, and the replication in the state of being inserted into the E. coli chromosome is 35 to 42 ° C.
The present invention also provides a cell transformed with the above-described plasmid vector into which a foreign gene has been inserted, by replicating and separating the above-described plasmid at a temperature different from the cell culturing temperature, -42 ° C.), a method for producing a protein encoded by the foreign gene by a cell culture method characterized in that the vector is not replicated and separated as a plasmid, preferably a temperature for replication and separation of the plasmid. Is 28 to 33 ° C, and a culture temperature for expression of the foreign gene is 35 to 42 ° C.
[0011]
The present inventors have developed temperature-sensitive (ts-Rep) plasmids pTH18cs1, pTH19cs1, pTH18ks1, and pTH19ks1 for replication and have temperature-sensitive (ts-Seg) plasmids pTH18cs5, pTH19cs5, pTH18ks5, and (Ts-Seg) for isolation. pTH19ks5 has been developed (T. Hashimoto-Gotoh, et al., Gene, 241, 185-191 (2000)).
These plasmids are all derived from the pSC101 plasmid with respect to DNA replication, and are replication-sensitive plasmids of the cs1 type (chloramphenicol resistance) and the ks1 type (kanamycin resistance), and separation at temperature These are sensitive cs5 (chloramphenicol resistant) and ks5 (kanamycin resistant) plasmids.
A plasmid having a temperature sensitivity for replication (temperature-sensitive replication plasmid (ts-Rep vector) = temperature-sensitive replication-vectors: ts-Rep) has a replication ability that is temperature-sensitive and can replicate at a low temperature, for example, 30 ° C. However, replication cannot be performed at a high temperature, for example, at 41.5 ° C. In addition, the temperature-sensitive plasmid for separation (temperature-sensitive separation plasmid (ts-Seg vector) = temperature sensitive-segmentation plasmid vector: ts-Seg) has a temperature-sensitive separation ability at 30 ° C. Although stable transmission to daughter cells is possible, unstable separation occurs at 41.5 ° C.
However, these plasmids were capable of controlling the temperature for replication or separation.However, for mutants in which both were introduced into the same gene at the same time, whether or not they can coexist, and what phenotype if possible Had not been considered.
[0012]
For example, the growth rate of Escherichia coli in the absence of selective antibiotics at each culture temperature for plasmids that are temperature sensitive for replication (ts-Rep) and for plasmids that are temperature sensitive for isolation (ts-Seg) is When viewed, they are as shown in FIGS. 1A and 1B, respectively. In the graph of FIG. 1, the vertical axis indicates the number of E. coli per unit volume by logarithm, and the horizontal axis indicates the culture time. The line with a circle (印 or ●) indicates the case of culturing at a low temperature (eg, 30 ° C.), and the line with a square (□ or Δ) indicates the culture at a high temperature (eg, 41.5 ° C.). This shows the case of culture. The total number of cells is shown on the vertical axis per unit volume, and the actual measurement is performed by appropriately diluting an agar medium containing no selective antibiotics. On the other hand, black marks (● or Δ) indicate the case where the measurement was performed using an agar medium containing an antibiotic. This indicates the number of cells containing the plasmid.
In the case of the ts-Rep plasmid, whose replication is temperature-sensitive (FIG. 1A), the number of bacteria increases semi-logarithmically with time in culture at low temperature, but the total cell count after shifting the culture temperature to high temperature at time T1. The number and the number of plasmid-containing cells both increase remarkably. However, after time T2, the number of plasmid-containing cells is constant and does not increase (the line with black squares (■) in FIG. 1A). This is because the temperature-sensitive plasmid does not replicate at high temperatures, and the plasmid copy is distributed to daughter cells as the Escherichia coli grows, separation occurs, and a plurality of plasmid copies per cell are divided into daughter cells (partitioning). This is because, after a certain number of generations, after the time when the copy number per cell became 1 (T2), only Escherichia coli having no plasmid resulted in an increase in the number of cells. That is, cells containing the plasmid will be diluted in the total cell population. On the other hand, in low-temperature culture, the plasmid is replicated with the growth of Escherichia coli, and the total number of cells (大腸菌) and the number of Escherichia coli having the temperature-sensitive plasmid (●) increase with time.
[0013]
In the case of the ts-Seg plasmid whose separation is temperature-sensitive (FIG. 1B), all cells increase as plasmid-containing cells in low-temperature culture, but in culture after shifting the culture temperature to high temperature at time T1, After a certain period of time (T3-T1), the rate of increase in the total viable cell count is faster than the rate at low temperatures, as in the case of the ts-Rep plasmid, but T3-T1 is higher than T2-T1. In addition, the number of E. coli cells having the ts-Seg plasmid continues to increase after time T3, although the growth rate of the plasmid-containing cells is short (FIG. 1B, the line with black squares (■)). This means that at high temperatures, a copy of the ts-Seg plasmid is lost from daughter cells at a constant rate (30-35%) from generation to generation, and the plasmid carrying E. coli (FIG. 1B, line with black squares (■)) This is because the growth rate of Escherichia coli (the difference between the line marked with a square (□) and the line marked with a black square (■) in FIG. As a result, Escherichia coli having the ts-Seg plasmid is also diluted during growth at high temperatures, like E. coli having the ts-Rep plasmid.
The difference between time T2 and time T1 in FIG. 1A is the time required for the replication efficiency of the temperature-sensitive plasmid to decrease and for the appearance of cells without the ts-Rep plasmid due to separation. In the case of repAs1, the difference is calculated as the number of generations. 3.8 for repAs1h14 and 5.0 for repAs1h14. Similarly, the difference between time T3 and time T1 in FIG. 1B is the time until the appearance of Escherichia coli having no temperature-sensitive plasmid for isolation, and in the case of repAs5, 2.1 times in terms of the number of generations. there were.
[0014]
FIG. 1C shows the result of the present study on what kind of behavior is exhibited when such two types of temperature-sensitive mutations are simultaneously introduced into the repA gene.
Plasmid pTH14kssh (3343 bp) having these two types of temperature-sensitive mutation and high copy number mutation at the same time was prepared as an example of the plasmid of the present invention. The arrangement of this plasmid is shown in FIG. The entire nucleotide sequence is shown in SEQ ID NO: 6) in the sequence listing. This plasmid has a pSC101 DNA replication initiation factor gene (repA) encoding a pSC101 DNA replication initiation factor mutant (RepAssh) having three amino acid substitutions. The base sequence encoding this pSC101 DNA replication initiation factor mutant protein (RepAssh) consists of 948 bases, and the base sequence is shown in SEQ ID NO: 4 in the sequence listing. The amino acid sequence is composed of 316 amino acid residues, and the amino acid sequence is shown in SEQ ID NO: 2 in the sequence listing. FIGS. 3 and 4 show a comparison of the nucleotide sequences of this pSC101 DNA replication initiation factor mutant (RepAssh) and a wild-type pSC101 DNA replication initiation factor (RepAwt), and FIG. 5 shows a comparison of the amino acid sequences. As shown in FIGS. 3 and 4, the coding region of this pSC101 DNA replication initiation factor mutant gene (repAssh) has the seventh base guanine (G) mutated to adenine (A) (mutation at this site). Is called h14 mutation), guanine (G) which is the 37th base is mutated to adenine (A) (the mutation at this site is called s5 mutation), and cytosine (C) which is the 167th base Is mutated to thymine (T) (mutation at this site is called s1 mutation). In the amino acid sequence, as shown in FIG. 5, glutamic acid (E) as the third amino acid is substituted with lysine (K), alanine (A) as the 13th amino acid is substituted with threonine (T), The 56th amino acid, alanine (A), has been replaced with valine (V).
[0015]
For the following description, among the 316 amino acid residues of the protein encoded by the repA gene, a gene in which only s1 is mutated is referred to as “repAs1”, and a gene in which only s5 is mutated is referred to as “repAs5”. In addition, those in which only h14 is mutated are referred to as “repAh14” or the like. And the thing which mutated s1 and s5 is described as "repAss", and the thing which mutated three places of s1, s5, and h14 is described as "repAssh". In addition, each protein is represented by initial capital letters such as “RepAs1”.
The copy number of the pSC101 plasmid having repAs1 is "5" in terms of chromosome of E. coli host cells, which is not different from that of the wild type (repAwt), but a mutant that completely stops plasmid replication at high temperature. It is. repAs5 reduces the plasmid copy number from "5" to "1" at low temperatures, and at high temperatures during cell division, the transfer of plasmid copies to daughter cells becomes unstable. This is a mutant that loses and becomes plasmid-free. repAh14 was selected by treating a pSC101-based plasmid conjugated to an ampicillin resistance gene with hydroxyamine and increasing its drug resistance by about 4-fold, and increasing the plasmid copy number from "5" to "14" Mutant
[0016]
The coding region of the pSC101 DNA replication initiation factor mutant gene (repAsh) having these three mutations at the same time is inserted from the 1815th adenine base to the 2762nd cytosine base in the plasmid pTH14kssh (3343bp). This plasmid contains the resistance gene agp5 to confer resistance to the antibiotic kanamycin to the host bacterium. For insertion of a foreign gene, a single cleavage site of various restriction enzymes (NdeI, HindIII, SphI, PstI, SalI, XbaI, BamnHI, SmaI, KpnI, SacI, EcoRI) is replaced by a lac promoter operator sequence (POlac). It is located downstream. ATG in the NdeI recognition site (CATATG) is a translation initiation site of mRNA transcribed from POlac. Furthermore, a base sequence consisting of about 300 bases for adjusting the half-life of the mRNA of the pSC101 DNA replication initiation factor mutant gene (repAssh) is arranged downstream of the gene encoding the pSC101 DNA replication initiation factor mutant (RepAssh). ing.
[0017]
This plasmid is relatively stable in E. coli cells as a low copy number (≦ 1 / chromosome) plasmid at low temperatures (<30 ° C.) but grows as an independent plasmid molecule at high temperatures (≧ 37 ° C.) It was not maintained intracellularly. FIG. 1C shows the growth of Escherichia coli having this plasmid.
That is, at low temperatures, Escherichia coli grows while retaining the plasmid, but at high temperatures, replication of the plasmid does not occur at all, and Escherichia coli holding the plasmid does not grow. In addition, since the plasmid copy number is 1 or less per host chromosome even at a low temperature, Escherichia coli having the plasmid does not increase almost immediately after the culture temperature is shifted to a high temperature. Such behavior is very similar to the case of the temperature-sensitive plasmid for replication (see FIG. 1A), except that the difference between time T4 and time T1 is very short and both are almost simultaneous. . That is, by introducing both mutations at the same time, the growth of Escherichia coli having the plasmid is stopped almost simultaneously with the temperature shift-up or in a very short time.
As described above, the plasmid having the pSC101 DNA replication initiation factor mutant gene (repAssh) of the present invention has very sensitive temperature characteristics as compared with the conventional plasmid. By utilizing this phenomenon, the homologous recombination function can be compared with the wild-type (rec + LacI) and overexpresses the lactose promoter repressor q If the plasmid is introduced into a strain and cultured on an agar medium at a high temperature and a kanamycin-resistant colony is selected, a strain inserted into the chromosome by homologous recombination can be obtained. In this case, if a chromosomal fragment DNA of a non-essential region of Escherichia coli is previously inserted into the plasmid, the plasmid is inserted into that region (Hamilton et al., J. Bacteriol., 171: 4617-4622). , 1989). Further, by incorporating cDNA of a foreign gene downstream of POlac of the plasmid, the gene can be expressed as if it were an E. coli chromosome gene. In this case, lacI q Since the gene is present and only one copy of the gene per chromosome exists, it is possible to completely suppress the expression of the foreign gene. Moreover, this plasmid cannot replicate at 37 ° C., which is the optimum temperature for culturing Escherichia coli, and has excellent properties different from the conventional temperature-sensitive vector of repAs1 single mutation used by Hamilton et al. Thus, the plasmid is extremely useful as a foreign gene expression vector. In particular, as a host vector system for expressing a highly cytotoxic protein, a host cell capable of growing a host cell at 37 ° C. while suppressing the expression of a foreign gene, and having a gene encoding a highly cytotoxic protein Can be industrially grown in large quantities, and the expression of foreign genes can be switched only after IPTG is added after the cell concentration is sufficiently high. Therefore, even if the gene is highly cytotoxic or the host cell is killed by low-level expression, such "killing" can be avoided, and the target protein can be mass-produced. It becomes.
[0018]
The present invention has been described above using the plasmid having the repAssh gene as an example. The plasmid pTH14kshsh exemplified herein uses repAssh in which h14 is also mutated, but the mutation of h14 was used in the present invention for the purpose of convenience in plasmid construction, and is essential for the invention. It is not meant to be present, but for illustration. This is because it has been revealed in the course of our invention that the low copy number property of the s5 mutation is predominantly expressed in at least the cis relationship with respect to the high copy number property of the h14 mutation. In summary, it is important in the present invention that it is a double mutant of the s1 mutation and the s5 mutation, and the h14 mutation was only present to make the experiment easier.
That is, the present invention relates to a repA mutant having at least the s1 and s5 mutations (repAss: for example, a peptide consisting of the amino acid sequence represented by SEQ ID NO: 1 in the sequence listing, or the base sequence represented by SEQ ID NO: 3 in the sequence listing) And a plasmid containing at least the mutant (for example, a plasmid pTH14kss having a base sequence represented by SEQ ID NO: 5 in the sequence listing). In another embodiment of the present invention, a repA mutant having an h14 mutation (repAssh: for example, a peptide consisting of the amino acid sequence represented by SEQ ID NO: 2 in the sequence listing, or a base represented by SEQ ID NO: 4 in the sequence listing) A plasmid (for example, a plasmid pTH14kssh having a base sequence represented by SEQ ID NO: 6 in the sequence listing) containing the mutant.
Further, in another embodiment of the present invention, a single cleavage site (NdeI, HindIII, SphI, PstI) by various restriction enzymes for inserting a foreign gene downstream of the lac promoter / operator sequence (POlac) of the plasmid vector of the present invention. , SalI, XbaI, BamnHI, SmaI, KpnI, SacI, EcoRI) into which a high copy number plasmid such as pBR322 is inserted to form a composite plasmid. For example, a plasmid pTH14kssh: pBRH (7704 bp) can be obtained by inserting pBR322 (4361 bp) into the NdeI recognition site (CATATG) of the plasmid pTH14kssh of the present invention, and combining the plasmids pTH14kssh and pBR322. At this time, the insertion direction of pBR322 may be from any direction. For example, if the direction of DNA synthesis inserted in the same manner is “+” and the direction of DNA synthesis is “−”, the directions are expressed as pTH14kssh: pBRH + and pTH14kssh: pBRH−, respectively. These are convenient for preparing an expression vector for a foreign gene when constructing an expression vector by cutting out the pTH14kssh plasmid portion. The plasmid used at this time is not limited to pBR322 unless it is a pSC101 plasmid, but it is desirable that the size of the molecule is large enough to be separable from pTH14kss or pTH14kssh by a method such as electrophoresis. Similarly, it is also possible to insert pBR322 (4361 bp) into the NdeI cleavage site and the EcoRI cleavage site to obtain the composite plasmids pTH14kss: pBRN +, pTH14kss: pBRN-, pTH14kss: pBRE +, and pTH14kss: pBRE- (all 7704 bp). it can. Plasmids whose insertion direction is reversed are useful for different uses depending on the restriction enzyme sites in the nucleotide sequence of the foreign gene cDNA to be inserted downstream of POlac.
[0019]
The plasmid vector of the present invention is relatively stable in E. coli cells as a low copy number plasmid during growth at low temperatures (<30 ° C.), while being inserted into the chromosome during growth at high temperatures (> 37 ° C.). It is only maintained in cells in a state.
The plasmid vector of the present invention preferably has a gene that expresses resistance or immunity to an antibiotic or an antibacterial factor, and more preferably has an antibiotic resistance gene. In the example described in the sequence listing, a case using a kanamycin resistance gene is exemplified, but the present invention is not limited to kanamycin, and any other antibiotic resistance gene such as chloramphenicol and tetracycline may be used. Good.
Since the plasmid of the present invention has a low copy number, the DNA recovery rate may be extremely low even when cultured at 30 ° C. In such a case, an expression vector can be constructed by extracting a target plasmid DNA from a large-scale E. coli culture solution, but it is preferable to obtain DNA by performing a treatment for increasing the copy number. As a method of increasing the copy number for convenience, there is a method of preparing a composite plasmid with a high copy number plasmid as exemplified above.
[0020]
The plasmid of the present invention preferably has a promoter for expressing a foreign gene. Although various promoters can be used, the normally used lacUV5 promoter has a low level of expression even in the presence of a repressor, so that it is easier to switch on and off the wild-type lac promoter if possible. So preferred. However, it is not limited to these.
In addition, the plasmid vector of the present invention can insert a nucleotide sequence that regulates the half-life of mRNA into the downstream side of the repA gene, but is not limited thereto. It is preferable to use the original sequence of the repA gene as exemplified in the sequence listing as such a base sequence, but it is not limited thereto.
[0021]
The repA mutant gene of the present invention can be produced by various methods based on the nucleotide sequence disclosed by the present invention. For example, a pSC101-based plasmid can be mutated with hydroxyamine or another mutagen. As a result, it is possible to obtain those having the same effect as the s1 mutation or the s5 mutation, and those other than the s1 and s5 double mutants which cannot exist as a plasmid outside the chromosome at 35 ° C. or higher, like the s1 and s5 double mutants Wear. Alternatively, using any of these mutants as a template, a repA mutant gene having another mutation can be produced by a PCR method using primers having a different base. The h14 mutant can be produced by a similar method. Using the thus-produced RepA mutant gene (or repA mutant gene), a plasmid vector can be constructed according to a conventional method.
[0022]
A foreign gene can be inserted into the plasmid vector of the present invention according to a conventional method. Further, a plasmid into which a foreign gene has been inserted can also be inserted into the plasmid of the present invention. The foreign DNA may include not only the DNA of the gene to be expressed but also a homologous sequence of a non-essential region of Escherichia coli. This is because it will increase the frequency of insertion of the expression vector into the chromosome.
The plasmid vector of the present invention is characterized in that it contains a double mutant repA gene having at least a temperature-sensitive mutation s1 for replication and a temperature-sensitive mutation s5 for isolation, and the replication and isolation are performed at temperature. It is characterized in that it is sensitive and consequently cannot be maintained as an extrachromosomal plasmid in E. coli cells at a normal temperature (37 ° C.) or higher. Therefore, the other points can be handled in the same manner as a normal plasmid vector, preferably a pSC101 plasmid vector.
Escherichia coli is preferred as the host cell, but is not limited thereto.
[0023]
The temperature-sensitive plasmid vector of the present invention is a growing Escherichia coli that is relatively stable in cells as an extrachromosomal low copy number plasmid at low temperatures (<30 ° C.) and not so at high temperatures (> 37 ° C.). It is of a nature that can be replicated only as a part of the chromosome. Therefore, when an arbitrary gene is desired to be expressed using a coding region having an NdeI cleavage site upstream of a cDNA fragment and an EcoRI cleavage site downstream, the usual steps are as follows.
(1) DNA of the pTH14kssh: pBRN + complex plasmid is extracted from a small amount of E. coli culture (usually several ml) containing the plasmid, cut with NdeI and EcoRI, and electrophoresed on an agarose gel.
(2) Four types of DNA bands of about 3.3 kbp, 2.1 kbp, 1.3 kbp and 70 bp are obtained, respectively. However, those having a size of 70 bp are usually not observed visually. Of these, the band of 3.3 kbp belongs to the pTH14kssh plasmid itself, so this band is recovered and purified.
(3) The cDNA of the NdeI-EcoRI digestion fragment prepared in advance is enzymatically ligated to the above DNA. In this case, a DNA fragment having a length of about several hundred bp having homology to a non-essential region of E. coli chromosome is inserted downstream of the 3'-untranslated region of the cDNA fragment. This determines the site of integration into the chromosome.
(4) Using the DNA ligated in (3), E. coli (rec + , LacI q (Preferably a strain), and a nutrient liquid medium is added thereto, followed by shaking at 30 ° C. for 2 hours or more.
(5) The above culture solution is appropriately diluted and spread on two nutrient agar media containing kanamycin (10 μg / ml).
(6) Incubate one of the two sets of agar medium at 28-30 ° C and the other at 40-42 ° C for 1-2 nights.
(7) 10 μg / μg of pTH14ksshDNA at 30 ° C. 4 -10 7 It is confirmed that at least 42 transformants have been obtained, and at 42 ° C., it is confirmed that colonies smaller by several orders of magnitude have been obtained. If foreign DNA previously containing non-essential regions of the E. coli chromosome was inserted, the number of colonies formed at high temperatures would increase.
(8) The above colony obtained at 42 ° C. is cultured at 37 ° C. in a liquid medium to produce a seed culture, and stored in liquid nitrogen by a conventional method.
(9) A part of the above-mentioned seed culture is taken out and cultured in a liquid medium containing kanamycin at 37 ° C. or more, and it is confirmed that mRNA is synthesized from the foreign gene cDNA, and at least several ml of plasmid DNA is cultured. Make sure it is not recovered from the liquid.
(10) After confirming the above, a culture solution appropriately scaled up from the same badge seed culture is produced under the same conditions, and the production of the protein is confirmed by immunological or biochemical methods.
Since the plasmid of the present invention is a low copy number plasmid, the copy number of the plasmid may be extremely low in some cases.For example, the plasmid number may be 0.1 or less per cell. If handling becomes difficult in such a case, it is preferable to take measures to increase the copy number.
[0024]
【Example】
Next, the present invention will be described in more detail with reference to examples, but the present invention is not limited to these examples.
[0025]
Example 1 (Construction of plasmid pTH14kssh)
Each of the s1 mutation and the s5 mutation of the repA gene of the pSC101 plasmid has already been reported (Hashimoto-Gotoh and Sekiguchi, J. Bacteriol., 131, 405-412, 1977). Further, a three-drug resistant plasmid vector of ampicillin, chloramphenicol, and kanamycin, pHSG415s, which is temperature-sensitive for DNA synthesis using the repAs1 mutant, has already been reported (Hashimoto-Gotoh et al., Gene, 16, 227-235, 1981.).
(1) DNA of pHSG415s is randomly mutated with hydroxyamine by the method of Hashimoto and Sekiguchi (J. Bacteriol., 127: 1561-1563, 1976). Escherichia coli is transformed with the DNA mixture, shake-cultured in a nutrient medium at 30 ° C. for 2 hours, then added with 500 μg / m of ampicillin, and then cultured overnight under the same conditions. The next day, 0.5 ml of the mixture is transferred to a fresh nutrient medium containing the same ampicillin, and cultured for another 5 hours. This is repeated five times, and five single colonies are randomly selected. Each is cultured overnight at 30 ° C. in a liquid nutrient medium containing 50 μg / ml ampicillin. At this time, as a control, Escherichia coli having the original pHSG415s not treated with hydroxyamine is also cultured under the same conditions. The next day, add 10 ml of each culture. -6 A double-diluted solution is prepared, and 50 μl of the solution is spread on an agar medium containing 50 μg / ml, 100 μg / ml, 200 μg / ml, 400 μg / ml, and 800 μg / ml of ampicillin. After culturing at 30 ° C. for 2 nights, about 400 to 500 colonies were formed in the other five samples up to 400 μg / ml, while E. coli having the pHSG415s control formed colonies only up to 100 μg / ml. A plasmid DNA was extracted from one of these and named pHSG415sh.
[0026]
(2) A DNA fragment containing the repA gene and flanked by restriction enzymes HaeII-Ndel was prepared from the above-described pHSG415sh plasmid, and kanamycin resistance gene agp5 and NdeI, HindIII, SphI, PstI, Sa1I, XbaI, A vector having polycloning sites of BamHI, SmaI, KpnI, SacI, and EcoRI was constructed in the same manner as in the method of Hashimoto et al. (Hashimoto-Gotoh et al., Gene, 241, 185-195, 2000) and named pTH19ksh.
(3) PCR primers were designed as follows to introduce a mutation in repAs5 into pTH19ksh.
Forward primer (US5)
AAAATGAACTAACGATTAGTCGC
This is a primer for introducing the s5 mutation, and the underlined portion is G in the wild type.
Reverse primer (lacFW)
CGTTGTAAAACGACGGCCAG
This is the reverse primer for the repA gene designed for the PCR reaction.
DNA was amplified using these primers by a conventional method, and an attempt was made to construct a target plasmid. Kanamycin-resistant colonies obtained by transforming Escherichia coli (TOP10) using the PCR mixture DNA can be confirmed by a stereoscopic microscope or a loupe (diameter of 0.1 to 0.1%) even when cultured at low temperature for 2 days. 0.2 mm) was observed, and a normal size (> 1 mm) was not obtained. In addition, there was no change in the size of the colony even when left at 30 ° C. for about 4 nights.
This is because the repA gene in which the s1 mutation and the s5 mutation coexist becomes very unstable or inactive due to the presence of these double temperature-sensitive mutations in the RepA protein, and as a result, in the medium containing kanamycin. It was suggested that the host bacteria had become lethal.
[0027]
Example 2 (Construction of plasmid pTH14kssh)
The repA gene of pTH19ksh described in Example 1 has a deletion of about 300 bp from the single NdeI site downstream of the coding region to the 3 'region. Because of this, the mRNA of the transcript repA was unstable, and as a result, the activity of the RepA protein was quantitatively reduced, so that the DNA synthesis initiation activity could not be sufficiently exhibited. By restoring this region, it was verified whether the s1 mutation and the s5 mutation can coexist in the same gene. After cutting the NdeI site of pHSG415sh, it was blunt-ended with T4 DNA polymerase and religated, cut out as an Asel-AflIII fragment, and ligated to the AflIII site in the repA gene of pTH19ks1 and the Asel site at the upstream end of POlac to obtain pTH14ksh. STH mutation was introduced into the pTH14ksh DNA in the same manner as in Example 1 (2), and when transformed at 30 ° C., several hundred colonies were obtained on an agar medium containing kanamycin (15 μg / ml). After culturing at 30 ° C. for two nights, the obtained colonies had diameters of about 1.5 mm and about 2.0 mm at a ratio of about half. Plasmid DNA was extracted from each representative five colonies and the following primers (U1545 and L2038)
U1545 primer
5'-GAGTTATACACAGGGCTGGGG-3 '
L2038 primer
5'-AGTTCTCGTCATCAGGCTCTC-3 '
Was used to perform PCR amplification to determine the DNA base sequence, and it was confirmed whether mutations in s1, s5, and h14 had been introduced. All the mutations s1, s5, and h14 were present in the DNA obtained from the smaller colony, but only the s1, h14 mutation was present in the DNA obtained from the larger colony, and the s5 mutation was Had not been introduced. This indicates that when the 3'-region of the repA gene is restored, the RepAsh protein enables the growth of the host bacterium in the presence of the selected drug, kanamycin, even though the specific activity of the RepAsh protein is lower than that of the RepAsh protein. Suggested that the functions of plasmid replication and distribution work.
[0028]
The results of examining the characteristics of the obtained plasmid are shown in Table 1 below, in comparison with the wild type, s1 mutant type, and s5 mutant type.
[Table 1]
[0029]
In Table 1, "AA3" indicates the third amino acid from the N-terminus, "AA13" indicates the thirteenth amino acid from the N-terminus, and "AA56" indicates the 56th amino acid from the N-terminus. The “DNA replication efficiency” k is given by the equation
k = 2 · exp [ln (b n / C n ) / (N-n)]-1
(See Hashimoto-Gotoh et al., Gene, 241, P185-191 for each parameter), and the values in the table are relative DNA at high temperature (42 ° C) and low temperature (30 ° C). It is expressed as replication efficiency. The growth rate of the host cell containing the plasmid in FIG. 1 corresponds to the value obtained by dividing the slope of the straight line on the high temperature side by the slope of the straight line on the low temperature side. The “colony forming ability” is a value obtained by dividing the number of colonies formed by the plasmid-carrying bacteria at 42 ° C. by the number of colonies formed at 30 ° C. "Copy number" is the copy number of the plasmid per chromosome number of the host cell at low temperature (30 ° C). The underlined plasmid lacks the 3'-untranslated region which is presumed to regulate the half-life of the repA gene mRNA. In the case of pTH19kssh shown in parentheses, growth of kanamycin-resistant bacteria was hardly observed even at 30 ° C.
[0030]
【The invention's effect】
The plasmid vector of the present invention has a sensitive temperature sensitivity, and by changing the culture temperature, (1) plasmid replication does not occur during growth of the host bacterium at 42 ° C. No kanamycin-resistant colony-forming Escherichia coli host cells were present in which only the plasmid was integrated into the chromosome. (2) In such Escherichia coli, the lactose promoter on the plasmid was replaced by the lacI of the chromosomal gene. q (3) that the plasmid once integrated is stably transmitted to progeny cells as a part of chromosomal DNA without being cut off from the chromosome under culture conditions of 37 ° C. or higher, (4) By adding IPTG to a sufficiently grown cell culture to switch the lactose promoter, industrial production of a protein that is toxic to host cells can be efficiently performed. Escherichia coli used as a host is recA. + , OmpT − , LacI q , ΔlacU169. Each gene is integrated into the chromosome of the plasmid, the enzyme to decompose the recombinant protein, the lactose promoter is switched off, and the lactose promoter of the recombinant protein gene is added when IPTG is added. This is useful for preventing the switch from being turned on. Through these steps, it becomes possible to express a substance that is highly cytotoxic to cells, and industrial production of recombinant proteins by prokaryotic cells such as Escherichia coli is made possible.
[0031]
[Sequence list]
[Brief description of the drawings]
BRIEF DESCRIPTION OF THE FIGURES FIG. 1 shows the temperature of cells containing the temperature-sensitive plasmid pTH19ks1h14 for replication (FIG. 1A), the temperature-sensitive plasmid pTH19ks5 for isolation (FIG. 1B), and the plasmid pTH14kssh of the invention (FIG. 1C). The growth rates at 30 ° C.) (the circles and black circles in FIG. 1) and at high temperature (41.5 ° C.) (the squares and black squares in FIG. 1) were graphed. Things. In FIG. 1, the vertical axis indicates the logarithm of the number of bacteria / ml, and the horizontal axis indicates the culture time (hour). ○, total number of cells at 30 ° C .; ●, number of kanamycin-resistant cells at 30 ° C .; □, total number of cells at 42 ° C .; Δ, number of kanamycin-resistant cells at 42 ° C.
FIG. 2 shows an example of a plasmid vector of the present invention. s1, s5 and h14 indicate the mutation site of the present invention, and examples of the insertion site of pBR322 are shown. →, ← indicate the direction of DNA replication of pBR322, with + being the same direction as pTH14kssh and − being the opposite direction.
FIG. 3 shows a comparison between the nucleotide sequence of the pSC101 DNA replication initiation factor mutant (repAssh) and the nucleotide sequence of the wild-type (repAwt) in the plasmid vector of the present invention exemplified in FIG. It shows that there are mutations at the 7th, 37th and 167th bases.
FIG. 4 shows a comparison of the nucleotide sequence continued from FIG.
FIG. 5 shows a comparison between the amino acid sequence of pSC101 DNA replication initiation factor mutant protein (RepAssh) and the amino acid sequence of wild-type protein (RepAwt) in the plasmid vector of the present invention exemplified in FIG. is there. Indicates that there are substitutions at amino acids 3, 13, and 56.
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EP1668134A2 (en) * | 2003-09-17 | 2006-06-14 | E.I. Dupont De Nemours And Company | Broad host range pbbr1-based plasmid mutant derivatives having altered plasmid copy number |
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2002
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EP1668134A2 (en) * | 2003-09-17 | 2006-06-14 | E.I. Dupont De Nemours And Company | Broad host range pbbr1-based plasmid mutant derivatives having altered plasmid copy number |
EP1668134A4 (en) * | 2003-09-17 | 2006-11-02 | Du Pont | Broad host range pbbr1-based plasmid mutant derivatives having altered plasmid copy number |
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