JP2004109017A - モニタリング装置,モニタリング用プラットフォーム及びモニタリング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低侵襲,安価,迅速及びon−siteな体液のモニタリング装置及び方法を提供し、患者に対する生活の質(QOL)の向上を図ることを目的とする。
【解決手段】疎水面に囲まれた親水面から成る液体保持部と、所定のセンサを備えた、液体分析用プラットフォームを用い、モニタリングを実施する。この液体保持部に液体を滴下すると、極微量の液体のみが液体保持部に保持される。液体保持部の形状等に従い保持される液体の容量及び形状が定まる為、センサは常に所定の形状及び容量の液体を分析することになる。
【効果】使用者の技量によらず、安定した分析結果を得ることができる。
【選択図】 図2
【解決手段】疎水面に囲まれた親水面から成る液体保持部と、所定のセンサを備えた、液体分析用プラットフォームを用い、モニタリングを実施する。この液体保持部に液体を滴下すると、極微量の液体のみが液体保持部に保持される。液体保持部の形状等に従い保持される液体の容量及び形状が定まる為、センサは常に所定の形状及び容量の液体を分析することになる。
【効果】使用者の技量によらず、安定した分析結果を得ることができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、極微量の液状体を分析する分析装置、及び分析方法に関する。特に、極微量の血液や尿等の体液を分析するモニタリング装置、及びモニタリング方法に適する。
【0002】
【従来の技術】
体液のモニタリングは、血液と尿が一般的である。例えば血液検査の場合、患者から血液を採取して検査し、この検査結果から医師が疾患状態を判断する。
【0003】
血液中の電解質を計測する場合、臨床検査室を持つ医療機関では、例えば、注射器に連結されたインセパック(セキスイ,S1−07055)のような、10mL(以下、L=リットル,1L=1dm3 )程度の抗トロンビン製剤を封入した管型容器(採血管)を用い、採血処置室ないしはベッドサイドで採血する。次に採血したその場で転倒混和する。そして、臨床検査室において、この容器を遠心分離し、その上清(血清)を検体とする。更に、この検体が入った容器を分析装置に投入し、電解質を計測する。また、血中のガス成分を測定する場合には、ヘパリン製剤を封入してある容器で採血し、転倒混和する。このように、従来の血液中のガス成分ないしは電解質の検査では、少なくとも二種類の採血管に血液を採取し、患者から大量の血液を採取していた。従って、当該検査を毎日続けることは患者に対して相当の負担であり、いわゆるQOL(患者に対する生活の質)の悪化を意味する。
【0004】
また、分析装置には少なからず試薬が必要であり、また一定期間毎にメンテナンスと精度管理を行わなければならない。従って、試薬代とメンテナンス費用として、高額なランニングコストが生じる。しかも、分析装置は採血管(インセパック10mL等)より小型にはできない為、総じて巨大である。
【0005】
臨床検査室では、再検査を想定して上記検体を一定期間保存するのが一般的であり、冷蔵庫ないしは冷蔵室などの維持管理及びメンテナンスにも更にランニングコストがかかる。
【0006】
上記検体の検査結果は、各医療機関のシステムにもよるが、上記採血から数時間〜一日後に医師の許に届く。当該医師は、採血から数時間〜1日後に当該検査結果を診て上記疾患をモニタリングする。
【0007】
一方、臨床検査室を持たない多くの医療機関は、患者から採取した血液を上述した2つの管型容器に収容して専門の検査センターに送る。検査センターでは、例えば一日一回の割合で医療機関から検体を回収し、各支部に収集してから中央の検査センターにおいて検査する。そして、検査結果は回収と逆の経路を辿って上記医療機関に通知されるため、当該検査結果が医師の許に届くのは発註してから数日後である。医師は検査結果を診て疾患のモニタリングをする。
【0008】
以上説明した血液モニタリング方法は、注射器と大型の採血管を用いて大量に採血し、患者に苦痛を与え、手間のかかる前処理を必要とし、ランニングコストが高く、大きな分析装置を必要とし、時間のかかる検査である。このため、医師が血液検査を頻繁に行うことは、いわゆる患者に対する生活の質(QOL)の悪化を意味する。従って、血液のモニタリングは、患者のコンセンサスを得るためにも非常に難しいのが現状である。
【0009】
一方、例えば尿検査の場合、採取するのに患者が苦痛を感じることは少ないが、褥瘡,乏尿,欠尿ないしは排尿痛等を訴える患者もいる。尿検査は、初め紙コップ等容器に尿を採取し、最終的に10mL程度の管型容器に収容する。その後の手順は、血液モニタリングの場合とほぼ同様である。このため、尿のモニタリングも、血液のモニタリングと同様にQOLを悪化させる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、極微量の液状体を容易に分析できる液体分析装置及び液体分析方法に関する。特に、血,尿等の体液を、簡単かつ高精度に分析できるモニタリング装置及びモニタリング方法に関する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、疎水面に囲まれた親水面から成る液体保持部と、所定のセンサを備えた、液体分析用プラットフォームに関する。この液体保持部に液体を滴下すると、極微量の液体のみが液体保持部に保持される。液体保持部の形状等に従い保持される液体の容量及び形状が定まる為、センサは常に所定の形状及び容量の液体を分析することになる。つまり、分析対象液体の状態変動に基づく分析結果の誤差を低減できる。この為、使用者の技量によらず、安定した分析結果を得ることができる。
【0012】
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について、図面を参照して説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施例)
図1に、本実施例の体液モニタリング装置の概略構成図を示す。本装置は、検体保持部2と複数種のセンサ4を備える基盤1と、この基盤1が挿入される装置本体26から構成される。
【0014】
装置本体26は、基盤1が配置され、表示部7を備える測定部5と、センサ接続部26を備える蓋6から構成される。測定部5に配置された基盤1のセンサ4は、蓋6を閉じることによりセンサ接続部26と接続し、装置本体26はセンサ4からの信号を入手する。この情報に基づいて表示部7に各種分析結果を表示する。例えば、基盤1に保持された体液中のガス成分や電解質成分等をガルバノメトリックに測定し、電位の差分値から成分濃度を算出表示する。尚、基盤1と装置本体26との接続方式は、本方式に限定されず、適宜変更できる。例えば、装置本体26がスロットを有し、このスロットに基盤1を挿入して接続する方式,装置26上に基盤1を置くことのみで接続する方式等を含む。
【0015】
図2は、基盤1の概略図である。基盤1は、マイクロファブリケーションにより、平面形状の検体保持部2と、各種センサ4が基盤表面上に構成されている。具体的には、顕微鏡のプレパラート(26mm×76mm)を利用し作成するが、本発明はこれに限定されず、例えば、ガラス,透明性のある樹脂、及び鏡面研磨した金属等も利用できる。親水面から成る検体保持部2は、直径約10mmの円であり、その周囲は疎水面で囲まれている。この形状で約80μLの検体を収容することができる。検体保持部2の形状は適宜設定でき、円,三角形や四角形等の多角形、及びこれらの組合せである。例えば、検体保持部2を円と流路を組合せた形状とし、この流路上に多数のセンサ4を配置する。この場合、基盤1を一定の角度をもって測定部5上に置載し、センサ4が配置された流路上に体液を集中させると、検体保持部2に滴下する体液量を更に少量化できる。
【0016】
検体保持部2の接触角は110°以上であり、疎水面である基盤表面の接触角は30°以下であることが望ましい。基盤1は、その表面に実質的平面な検体保持部が形成されているのみで、蓋等の立体的構造物が存在しない。このため、立体的なマイクロファブリケーションと比較して、簡便に作製できる。ここで、実質的に平面とは、後述の目視観察において透過光ないしは反射光の散乱が実質的に問題にならないレベルの平坦性を意味する。
【0017】
センサ4は、検体保持部2に保持された体液を分析できるものであり、具体的には微小ガラス電極センサである。また、微小ISFET(Ion Sensitive FieldEffect Transistor)センサ等も利用できる。検体保持部2周辺の所定箇所にセンサ4は配置され、検出部分が検体保持部に侵入する状態で固定されている。センサ4は検体保持部2に滴下した体液に接触し、各種診断に必要な情報を取得する。好適にはNa+ 用センサ4,K+用センサ4,pO2用センサ4及びpH用センサ4の四種類であり、体液中のガス成分ないしは電解質を検知できる。尚、センサの構造・種類は適宜変更できる。つまり、上記センサを全て基盤1上に設置する必要はなく、用途に合わせたセンサのみを配置して用いることができる。従って、患者の病態によって自由にセンサ4を組合せて搭載できるモニタリング・プラットフォームとして利用できる。ただし、疾患の予想がつかない限り、Na+ 濃度,K+ 濃度,pO2 及びpHの全電極を搭載すべきである。
【0018】
〔基盤1の作製方法〕
以下、基盤1の作製方法を、基盤基材,親水化工程,撥水化工程,パターン化工程,サンセ作製工程の順に説明する。
【0019】
〔基盤基材〕
光を透過する基盤1基材と、光を透過しない基盤1基材では、その後の処理法が異なる。以下にそれぞれの例を挙げた上で、その後の処理法について後述する。
【0020】
(1)光を透過する基盤1基材
光を透過する基材はガラス,透明性のある樹脂等がある。測定前に血液ないしは尿を目視して状態を把握するためには、光に対する透過性が高い材料が望ましい。光透過性の高い熱可塑性樹脂は、汎用プラスチック系のアイオノマー樹脂
(IO),ポリエステル樹脂(EPT),ポリスチレン(PS),メタクリル樹脂(PMMA)、またエンジニアリングプラスチック系のポリカーボネート(PC)、更にスーパーエンジニアリングプラスチック系のポリエーテルサルホン(PES),ポリサルホン(PSF)等がある。また熱硬化性樹脂は、尿素樹脂(UR),不飽和ポリエステル樹脂(FRP),メラミン樹脂(MR)等がある。これらの厚さ0.1mm の樹脂板は340〜800nmの波長の光を60%以上透過する。また400〜800nmに限っては80%以上透過するので好適である。また同じ材質の場合は、基盤1基材が薄いほど透過率が高い。しかし薄すぎると、基盤1を保持した際や検体を滴下した際に湾曲する等の問題があるので、扱いやすい程度の厚みが必要である。尚、後述する〔撥水化工程〕において、加熱工程を含む方法を用いる際は、材料に耐熱性が必要となる。
【0021】
(2)光を透過しない基盤1基材
光を透過しない基盤1基材は、鏡面研磨した金属ないしは樹脂等がある。光を透過性が低いと測定前に血液ないしは尿を目視して状態を把握することは困難である。しかし光透過性という制約がないので基材の種類が非常に多く、耐熱性ないしは作製コストの面で選択性が拡がる。例えば基盤1基材の材質は、アルミニウム,鉄−ニッケル合金,ステンレス等の金属ないしは光透過性の低い樹脂がある。またガラス板にアルミニウム等を蒸着した上記折衷型もある。鉄−ニッケル合金の場合は、鉄の含有量が少ない方が腐食しにくい特徴がある。ステンレスは腐食しにくいので好適である。具体的には、オーステナイト系のSUS201,SUS202,SUS301,SUS302,SUS303,SUS303Se,SUS304,SUS304L,SUS304N1,SUS304N2,
SUS304LN,SUS305,SUS309S,SUS310S,SUS316,SUS316L,SUS316N,SUS316LN,SUS316J1,
SUS316J1L,SUS317,SUS317L,SUS317J1,
SUS321,SUS347,SUSXM7,SUSXM15J1,SUS329J1、フェライト系のSUS405,SUS410L,SUS430,SUS430F,SUS434,SUS447J1,SUSXM27、マルテンサイト系の
SUS403,SUS410,SUS410J1,SUS416,SUS420J1,SUS420F,SUS431,SUS440A,SUS440B,SUS440C,SUS440F、析出硬化系のSUS630,SUS631等がある。また熱可塑性樹脂では、汎用プラスチック系の塩化ビニル樹脂(PVC),汎用エンジニアリングプラスチック系のポリアセタール樹脂(PAないしはPOM),ポリフェニレンオキサイド(PPO),変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE),スーパーエンジニアリングプラスチック系のポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリフェニレンサルファイド(PPS等がある。更に熱硬化性樹脂では、エポキシ樹脂(EP),ジアリルフタレート樹脂(DAP),尿素樹脂(UR),フェノール樹脂(PF),不飽和ポリエステル(FRP),メラミン樹脂(MR)等がある。特に熱可塑性樹脂は、後述する〔撥水化〕において加熱工程を含む場合があるため、材料に耐熱性が必要となる。上記樹脂の内、耐熱性のあるものは、光透過性が高い樹脂では、ポリエステル(EPT),ポリエーテルサルホン
(PES),ポリカーボネート(PC),ポリサルホン(PSF)、また光透過性が低い樹脂では、フェノール樹脂(PF),不飽和ポリエステル樹脂(FRP),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリフェニレンサルファイド
(PPS),変性ポリフェニレンエーテル(PPO)(同ポリフェニレンオキサイド,m−PPE)等がある。
【0022】
〔親水化工程〕
ここに挙げる親水化方法は、塗料を塗布ないしはその後加熱等の操作を行うことによって、親水性を発揮させるものである。塗料は一般に(1)〜(4)に示すものがあるが、特に限定するものではない。
【0023】
(1)水溶性高分子の溶液
水溶性の高分子は、ポリエチレングリコール,ポリビニルアルコール,ポリアクリル酸,ポリアクリル酸塩,ポリアリルアミン,ポリアリルアミンの塩酸塩,デンプン等がある。即ち分子内に水酸基,アミノ基,カルボキシル基,塩構造の残基等親水性の残基を有しているものが挙げられる。当該高分子溶液を調製し塗料とする。これを基盤1の基材に塗布し、乾燥させることで親水性塗膜を形成する。上記水溶性高分子の中では、特にポリエチレングリコールは、塗布した表面の水との接触角を低下させる傾向が強い。塗布する高分子溶液は、当該高分子の分子量が大きいほど光散乱の少ない平滑な親水膜が形成できるので好ましい。また処理する表面の撥水性が高い場合は塗料が弾かれてしまうため、結果として平坦な膜を形成できない。その場合、塗料を塗布する前に予め酸素プラズマ処理をしておくと、平坦な塗膜が形成しやすい。因みにポリエチレングリコールは、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解する。そのため当該溶液の表面張力は、水溶液に比べて小さく撥水性の高いアルミ等の表面にも塗布しやすい。
【0024】
(2)親水性粒子を含んだ塗料
親水性アルミナ粒子や親水性シリカ粒子を含んだ分散液とアルコキシシランの溶液を混ぜたものを塗料として用いる。この塗料を用いる場合、基盤1の基材に塗布後に加熱することで製膜が完了する。この塗料で主に親水性を発揮するのは、親水性アルミナ粒子ないしは親水性シリカ粒子であり、アルコキシシランは主にこれら粒子の保持体として機能する。そのため親水性を高めるには親水性アルミナ粒子や親水性シリカ粒子の割合を大きくすることで対処することができる。またアルコキシシランの割合を大きくすることで膜の物理的強度が向上する。更にアルコキシシランはある程度分子間で架橋していた方が、塗布後の加熱で揮発する割合が減るので好ましい。アルコキシシランには、分子間の重合を促進させるために塩酸等を加えることがあるが、親水性シリカの場合は分散を良好にするため、その分散液は塩基性になっている場合がある。そのため両者を混ぜた場合、親水性シリカが凝集することがあるので混合した場合の液性と親水性シリカの分散の状況には注意するべきである。この点アルミナの場合、分散液は主に酸性であるため、混合の際のトラブルが少ない。アルコキシシランは具体的には、メチルトリメトキシシラン,エチルトリメトキシシラン,ブチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン,エチルトリエトキシシラン,ブチルトリエトキシシラン,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン等がある。尚、液性ないしは溶媒が合えばアルコキシシランの代わりにアルコキシチタンを用いても良い。アルコキシチタンとしてはテトラ−i−プロピルチタネート,テトラ−n−ブチルチタネート,テトラステアリルチタネート,トリエタノールアミンチタネート,チタニウムアセチルアセトネート,チタニウムエチルアセトアセテート,チタニウムラクテート,テトラオクチレングリコールチタネート等がある。また上記化合物が数分子重合したものも用いることも可能である。
【0025】
(3)水溶性高分子とその架橋剤を含んだ塗料
(1)に挙げた水溶性高分子に架橋剤として、(2)に挙げたアルコキシシランないしはアルコキシチタンを混ぜることによって、親水化表面を形成する塗料とすることが可能である。この場合、溶媒は水であっても良いが、基盤1基材の撥水性が高い場合は塗料を弾いてしまうため、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒が好適である。
【0026】
(4)アルコキシシラン溶液とアルカリ溶液の併用
(2)に挙げたアルコキシシラン溶液を基盤1基材に塗布後、120〜180℃程度で数分間加熱すると、基盤1基材表面に酸化ケイ素の被膜が形成する。その後アルカリ性の溶液に浸漬すると、表面の親水性が高まる。そしてアルカリ性溶液を水洗することで親水化処理が終了する。アルカリ性溶液は具体的には、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等がある。またアルコール溶液ないしは含水アルコール溶液等も可能である。溶液の濃度が高いほど浸漬時間は短くできるが、用いる水酸化物の種類によって異なる。水酸化ナトリウムを用いた場合、1重量%で浸漬時間は1〜5分間,5重量%で10〜30秒間程度が好適である。またアルコキシシラン溶液に用いる溶媒として、アセトンないしはメチルエチルケトン等ケトン系のものは、アルコキシシランが二酸化ケイ素に変化しやすいので、アルコール系,エステル系ないしはエーテル系の溶媒が好適である。特にアルコール系は、基盤1基材が樹脂の場合、樹脂を溶解し難いので特に好適である。
【0027】
〔撥水化工程〕
撥水化工程では、分子内にフッ素やシリコンといった元素を含む一般的な撥水材料を用いる。この材料を溶媒に溶解し、この溶液を基盤1基材に塗布する。その後乾燥して溶媒を揮発させ、撥水材料からなる薄膜を形成する。撥水材料によっては、塗布後加熱することにより基盤1表面と化学結合させる材料もある。この場合、基盤1表面に撥水材料として安定して存在するので好適である。当該材料としては次に示すようなものがある。但し、下記
【化1】におけるXは
perfluoropolyether鎖及びalkoxisilan残鎖の結合部位、Yはperfluoroalkyl基とalkoxisilan残鎖との結合部位、Rはalkyl基を示す。
【0028】
【化1】
【0029】
具体的には以下の化合物1〜12等が挙げられる。
【0030】
【化2】
【0031】
【化3】
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】
【化6】
【0035】
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】
【化12】
【0041】
【化13】
【0042】
〔パターン化工程〕
基盤1の作製法は種々考えられるが、ここでは二つの方法(1)及び(2)を示す。
【0043】
(1)親水化処理後、撥水性パターンを形成する方法
i)〜iv)の工程で作製する。但し、i)の操作が必要ない場合は省略しても構わない。
【0044】
i)親水化処理
基盤1の水との接触角が大きい場合は、当該基盤1の表面を親水化する。基盤1基材の親水性が高い場合は必要ない。親水化する方法は基盤1の基材によって異なる。具体的に▲1▼〜▲4▼の方法を挙げる。
【0045】
▲1▼ 基盤1基材が金属の場合
基盤1基材が金属の場合、水との接触角が70°以上のものが多い。例えばアルミニウムの場合、水との接触角は90〜95°程度である。またステンレスは種類にもよるが、水との接触角は概ね70〜95°程度である。これらを親水化する場合は、塩酸,硝酸ないしは硫酸等に浸漬することによって水との接触角を低下させることができる。アルミニウムの場合、30重量%硝酸と5重量%の塩酸の混合液に5〜10分間程度浸漬すると、水との接触角が10〜20°程度に下がる。またステンレスの場合も、SUS304,316等は
30重量%硝酸に5〜10分程度浸漬すると、水との接触角が10〜20°に下がる。更にFe−42Niでは15重量%硝酸に1〜2分程度浸漬すると、水との接触角が10°以下になる。
【0046】
その他の方法に酸素プラズマで処理する方法がある。酸素分圧1Torr(以下、Torr=トル,1Torr≒133Pa),高周波電源出力300W,処理時間3分間の条件下で、アルミニウム,ステンレスの水との接触角は20°以下になる。
【0047】
▲2▼ 基盤1基材がガラス,石英の場合
基盤1基材がガラスないしは石英の場合、酸素プラズマで処理したり塩基性溶液の浸漬する等の方法により、親水性を向上することが可能である。酸素プラズマの場合、酸素分圧1Torr,高周波電源出力300W,処理時間3分間の条件下で、水との接触角が10°以下になる。また塩基性溶液として1重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、5分間の浸漬によって接触角は20°以下になる。
【0048】
▲3▼ 基盤1基材が樹脂の場合
基盤1基材が樹脂の場合は酸素プラズマで処理したり酸性溶液ないしは塩基性溶液に浸漬する等の方法により、親水性を向上することができる。
【0049】
酸素プラズマの場合、例えばポリスチレン,アクリル樹脂,スチレン/アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,アセタール樹脂,ポリカーボネート,ポリエーテルスルホン,ポリサルホン,ポリエーテルサルホン等では、酸素分圧1Torr,高周波電源出力100W,処理時間1分間の条件下で、水との接触角が20°以下になる。
【0050】
酸性溶液ないしは塩基性溶液の場合、塩基性溶液は、アクリル樹脂,スチレン/アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,アセタール樹脂,ポリカーボネート等のように分子内にエステル結合を有する材料に対して特に有効である。これは、表面及びその近傍にあるエステル結合を切断することによって、親水性の高いカルボン酸残基及び/ないしは水酸基が生成し、表面の親水性が高まるためである。また塩酸等の酸溶液は、ポリイミドないしはポリアミド等のアミノ基及びカルボキシル基の縮合により重合する樹脂に対して特に有効である。即ち塩基性溶液が有効なのは、重合時に反応せずに残ったカルボキシル基を親水性の高いカルボン酸塩にすることによって表面の親水性を高め、酸性溶液が有効なのは、重合時に反応せずに残ったアミノ基を親水性の高いアンモニウム塩構造にし、表面の親水性を高めることができるからである。酸性溶液ないしは塩基性溶液への浸漬は、溶液の温度が高い程、また溶液濃度が高い程親水化が迅速に進行する傾向がある。しかし高温及び高濃度溶液への基材の暴露は、基材にダメージを与えやすいので註意が必要である。
【0051】
▲4▼ 汎用的に親水化する方法
基盤1基材が金属,ガラスないしは樹脂であっても処理可能な親水化方法は、親水性を発揮させる塗料を塗布する方法がある。この詳細は〔親水化〕の項目で後述する。その他、紫外線照射,オゾン雰囲気下に放置する等によっても可能である。
【0052】
ii)マスク形成
親水性パターンを形成する部分をマスクする。この方法は位置制御の面から印刷法が好適である。印刷方法は基盤1を用紙の代わりに印刷機ないしはインクジェットプリンタ等に入れ、マスク剤を印刷する方法,マスク剤を孔版印刷する方法等がある。マスク剤は撥水化処理の後に除去する必要があるので、水ないしは有機溶媒に易溶性で簡便に除去できるものが好適である。また当該マスク剤を除去した際に発生する廃液が環境に対して負荷が少ないものであれば猶好適である。例えば、有機溶媒に溶解するマスク剤は、オフセット印刷用インクないしはレーザープリンター用トナーの一部等がある。しかしマスク方法は水溶性のインクを用いるオフィスないしは家庭用のインクジェットプリンタが好適である。それは、当該プリンタ用インクが水に易溶性であり且つ吐出の位置精度が高く、また廃液処理が容易なためである。その他の方法は、テープないしはシールによるマスク等も有効である。その際、テープないしはシールの粘着部材は水溶性高分子、具体的には、ポリビニルアルコールないしはポリアクリル酸等が好ましい。水溶性高分子は後述する撥水材を弾きやすい。
【0053】
iii)撥水化処理
基盤1基材表面を撥水化処理する方法は、処理剤を単に塗布するだけのもの、その後加熱処理ないしは光照射処理により表面に処理剤を固定するもの等がある。その内、親水性パターンの形状の安定性が高いのは表面に処理剤を固定する方法である。表面に処理剤を塗布後、加熱処理を行うことにより表面に固定する方法は、撥水化方法の項目で後述する。
【0054】
iv)マスク剤の除去
ii)で形成したマスク剤を除去する。除去の方法は、マスクを水溶媒ないしは有機溶媒で溶解する方法がある。ないしは粘着テープのマスク剤を剥がす等の操作を行う。
【0055】
(2)撥水化処理後、親水性パターンを形成する方法
当該方法は、予め基盤1基材に撥水化処理を行い、その後親水性パターンを形成するものである。親水性パターン形成には、撥水化処理面にレーザー光,電子線,紫外線を照射することによって、撥水化処理材料を分解ないしは除去する方法がある。ないしは親水性パターンを形成する部分に高温の鏝を接触させることによって、当該撥水化処理材料を分解する方法等がある。
【0056】
〔センサ作製工程〕
本実施例のセンサ4は、微小ガラス電極センサと、微小ISFET(Ion
Sensitive Field Effect Transistor)センサである。これは、両センサは微小化が容易であり、作製が簡便で、且つ価格低減が容易だからである。図3は、微小ガラス電極センサ(Na+ ,K+ 、及びpH検出用)の断面図であり、図4はその変形例の断面図である。図5は、微小ガラス電極センサ(pO2 検出用)の断面図である。そして、図6は、微小ISFETセンサの断面図である。以下、図面を参照に、各センサとその製法を説明する。
【0057】
例えば、図3と図4開示の微小ガラス電極センサでは、小型化を追究するため作用極8と参照極9の二電極系を採用する。この場合、作用極8内に参照極9を陥入することによって、見かけ上一本の微小電極となっている。
【0058】
また、図5開示の微小ISFETセンサでは、ゲート21を被覆する機能性膜18を薄膜化し、本体をチップ化する。この場合、本体のチップ化によって、本体自身のコストを下げるだけではなく、それに伴うゲート21を被覆する透過膜の少量化によって、更なるコスト低減が期待できる。但しpO2 用電極は定電位の下で電流を測定するため、ポテンショスタットが必要である。
【0059】
上記両センサにおいて、ガス成分ないしは各電解質濃度を算出する電気回路は、簡単なポテンショスタットないしは、電極電位及びゲート電位を差分して各成分濃度に数値化する回路のみである。このため、小型化が容易であり、測定部5及び蓋6を小型化することが可能である。
【0060】
▲1▼微小ガラス電極
以下、図3に基づいて、微小ガラス電極の作製法を説明する。
【0061】
先ずキャピラリー状の細径ガラス管10を用意する。その内、体液に接触する方の一端を機能性ガラス11で封入する。そして当該ガラス管10内に2MNaOH溶液12を注入し、更に銀電極13を挿入しこれを作用極8とする。次に中径ガラス管14を用意する。当該中径ガラス管14の内、体液に接触する方の一端に多孔性膜15を接着する。そして当該中径ガラス管14内に2MNaOH溶液
12を注入し、更に参照極9としてAg/AgCl(silver/silver chloride)参照電極16を挿入し、これを作用極8及び参照極9の複合電極17とする。但し当該複合電極17は基盤1に対して十分小さいものとする。またAg/AgCl参照電極16の作製法は、一定電流を通電して作製する。電気化学的に清浄な
Ag線を陽極20,陰極19には白金等の適当な電極をとして1MHCl溶液に浸漬し、電流1mAで3分間通電するとAg/AgCl参照電極16が完成する。ここで、当該機能性ガラス11としては表3に示すものを含む。尚、pO2 用電極については後述する。
【0062】
【表3】
【0063】
また、図4に示すように、機能性ガラス11の代わりに機能性膜18を使用することもできる。ここで、当該機能性膜18とは、各電解質に対して高選択性を備えた化合物を含有する樹脂膜のことをいう。即ち、機能性ガラス11の代わりに上記中径ガラス管14の先端を機能性膜18で覆う。当該機能性膜18は特に指定しないが、例えばNa+ 用電極にはクラウンエーテル誘導体等を含むポリ塩化ビニル(PVC:Polyvinylchloride)等の機能性膜18を用いる。K+ 用電極にはヴァリノマイシン誘導体等を含む機能性膜18を用いる。またpH用電極には、Pd等の機能性膜18を用いるとよいが、Pd等の機能性膜18は高価である。そこで比較的安いアモルファスZr36Ni64機能性膜18、又は上記機能性ガラス11で被覆した電極を使用する。
【0064】
最後に、図5に開示したpO2 用電極について説明する。pO2 用電極は他の電極と少々異なる。先ず中径ガラス管14を用意し、体液に接触する側の開口部を酸素透過性の機能性膜18で封緘する。尚、当該機能性膜18には、例えば
10〜20μm厚のテフロン系膜,ポリエチレン膜ないしはシリコン膜がある。次に中径ガラス管14の内側から陰極19を当該機能性膜18に接触させる。陰極19には例えば白金及び銀等がある。また陽極20は、陰極19に接触しないように陽極20の周囲に発条状に固定する。陽極20には例えばAg/AgCl参照電極16等がある。更に上記中径ガラス管14内に2MNaOH溶液12を注入する。即ちpO2 用電極では、機能性膜18によって透過した酸素が以下のように定電位中で反応した電流を計測する。一方Na+ 用電極、K+ 用電極及びpH用電極電極が電位差を利用するのとは根本的に異なる。
【0065】
【化14】
【0066】
【化15】
【0067】
以上のように、Na+ 用電極,K+ 用電極,pO2 用電極及びpH用電極の四種類の微小ガラス電極を作製する。但し上記電極全てを基盤1上に置載する必要はなく、それぞれの患者に対する体液のモニタリングの用途に合わせた電極を用いることが望ましい。
【0068】
▲2▼微小ISFET
図6に基づいて、微小ISFETの作製法を説明する。
【0069】
先ずGa,AsないしはSi等の半導体22表面にVI族元素で原子層オーダの不活性層23を形成する。当該不活性層23には開口部があり、これをゲート
21と呼ぶ。次に当該ゲート21表面を機能性膜18で被覆し、ISFET
(Ion Sensitive Field Effective Transister)を作製する。即ち上記ISFETは、従来のFET(Field Effective Transister)のゲート21部分に機能性膜18を用いたものである。上記ゲート21表面を覆う材料は特定しないが、Na+用電極には上記NAS11−8ガラスないしはクラウンエーテル誘導体含有樹脂等を用い、K+ 用電極には例えば上記NAS27−4ガラスないしはヴァリノマイシン誘導体含有樹脂等を用い、pH用電極には表3記載のガラス等を用いる。
【0070】
本電極は、当該ゲート21を被覆するゲート被覆膜24表面に吸着する特定の物質の吸着量を電位差として検知し、そこから体液中の電解質濃度を測定することができる。但しpO2 用電極は、上記図5記載のClark型微小ガラス電極を用いる。斯様にしてそれぞれNa+ 用センサ4,K+ 用センサ4,pO2 用センサ4及びpH用センサ4を作製する。最後に当該ISFETを上記検体保持部2内の上記体液に接触するように、例えば放射状に配置し、また参照極9としてAg/AgCl参照電極16を浸漬する。ISFETの利点は、応答が速く、機能性膜18を交換するだけで測定対象を代替でき且つ集積化が容易であることである。また、このISFETをon−tipで作製し、大量生産及び微小化することによってISFETの作製コストを抑えることができる。
【0071】
〔製造方法の具体例〕
以下に、基盤1の製造方法の具体例を説明する。ここでは、微小ガラス電極によるNa+ 用センサ,K+ 用センサ,pO2 用センサ及びpH用センサを搭載した基盤1の作製を例とする。
【0072】
先ず〔基盤1の作製方法〕(1)記載の方法に従い、顕微鏡のプレパラート
(26mm×76mm)を基盤1とし、当該基盤1上に検体保持部2及び〔センサ作成工程〕記載のセンサ4パターンのマスクを形成し撥水溶液を塗布する。検体保持部2の形は特に特定しないが、例えば円形,多角形ないしは検体保持部2からセンサ4へ流路を伸長した形などのマスクを形成し撥水溶液を塗布する。
【0073】
撥水溶液が乾燥し撥水材料による薄膜を形成したら、薄膜を加熱することにより基盤1表面と化学結合させる。その後、適当な溶媒でマスクを溶解しパターンを形成する。これを検体保持部2及びセンサ4の接合部位とする。当該センサ4は親水性の粘着剤によって上記パターン部位に接合する。従って上記検体保持部2以外の部分3は撥水材料薄膜のため、血液が浸潤することなく検体保持部2のみに滞留する。当該検体保持部2に位置し血液に接触する位置にセンサ4を設置する。
【0074】
〔モニタリング方法〕
まず、患者の血液や尿等の体液を採取する。採取する方法は特に指定しないが、糖尿病患者が血糖検査に用いる発条式採血針ないしは人工蚊細管等できるだけ低浸襲の方法が望ましい。但し、人工蚊細管とは、マイクロファブリケーションにより作成した、蚊の口を摸倣した微小採血針の一種であり、患者の苦痛をより抑えることができる。また上記血液を採取する身体部位は特に特定しないが、例えば指ないしは耳等がある。但しpO2 を測定する際は、動脈血を採取する必要がある。従って採取する身体部位は特に特定しないが、例えば上腕動脈,橈骨動脈ないしは大腿動脈など、よく拍動を触れるところで行う。
【0075】
次に上記基盤1を測定部5上に置載し、蓋6を閉めて当該センサ4の端子と測定部5を接続する。そして、体液成分を電気化学的に測定し、成分濃度である測定値を表示部7に表示する。
【0076】
血液をモニタリングする場合、血漿ないしは血清ではなく全血のときは、血球成分によるインピーダンス補正が必要となる場合もある。上記測定値を診ることによって、例えば肝疾患,心疾患,消化器疾患,呼吸器疾患,腎疾患,副腎疾患,内分泌系異常,神経疾患,筋骨疾患,腫瘍,感染症ないしは薬物投与等のモニタリングを行うことができる。搭載するセンサ4は、病状によって予め組合わせを選択してもよい。表1に、血液中のNa+ 濃度,K+ 濃度,pO2 及びpHの上昇ないしは下降によって病態をモニタリングできる疾患を示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表1】
【0079】
【表1】
【0080】
【表1】
【0081】
また、表2に、尿中のNa+ 濃度,K+ 濃度,pHの上昇ないしは下降によって病態をモニタリングできる疾患を示す。
【0082】
【表2】
【0083】
【表2】
【0084】
【表2】
【0085】
本実施例の体液モニタリング法は検査に必要な体液量が少ない為、患者の受ける苦痛が少なく、繰り返し検査を行っても患者のコンセンサスを得やすい。尿の場合も、通常排尿ができる患者の他に、褥瘡患者,乏尿患者,排尿痛患者、及び欠尿患者等がいる為、少量の採尿は、QOLを高める上で非常に効果的である。このため、体液のモニタリングを随時行うことが可能になり、患者に最適な投薬量の決定等肌目細かな医療を提供できる。
【0086】
マイクロファブリケーションを用いた従来技術は複雑な製造ステップを幾つも踏む。例えばnm程度の流路を製作する為には、先ず数100μm程度の導入路と、次に数10μm程度の接続路と、どんどん細くなる構造が必要になる。またサイズが大きく異なるものを同時に作るのは非常に難しいので、加工を導入路部分と反応部の二段階に分けて行わなければならない。一方、本実施例は、実質的に平面な基盤1上に、撥水性及び親水性のパターンと、安価な微小センサ4を形成し構成されている。このため、安価な体液モニタリング・プラットフォームであり、医療廃棄物としての処理費を低減できる。
【0087】
また、マイクロファブリケーションを用いるため、センサ4の反応時間が短いことが特徴である。また測定部5の小型が容易な為、血液モニタリング系全体を小型化でき、on−siteなモニタリングができる。即ち本発明では、on−site、且つ短時間に測定を行うため、血液凝固が始まる前に測定が終了する。従って、臨床検査室ないしは専門の検査センター等で用いる抗トロンビン製剤及びヘパリンを血液に加える必要はない。検定以外の検査試薬を用いず、しかも基盤1自体が安価である為、ランニングコストが低減できる。医師が検査したいときに迅速に検査できる。
【0088】
更にマイクロ化により反応速度が向上するため、迅速な検査結果を出力することによって、緊急医療の現場でも本発明を利用することができる。緊急医療の現場では、運び込まれた患者の症状から病状の原因を即座に判断し、適切な措置を施す必要がある。一番対応に苦慮するのは、症状が明らかでない疾患である。従来の血液検査では臨床検査室や専門の検査センターに体液を送って検査する時間に刻一刻と病状が悪化する危険性がある。そこで本実施例を用いて患者体液中のガス成分ないしは電解質をすばやく測定することにより、大量の患者情報を医師に迅速に提供し、緊急医療現場での危険性を回避できる。
【0089】
例えばK+ は細胞内へ能動的に輸送されるため、体液中に高濃度K+ が存在することは異常である。電解質異常の中でも緊急性を要するものは、高K+ 血症である。症状は、心停止,周期性四肢麻痺,顔面ないしは舌筋の刺激過敏,筋力低下,知覚異常,麻痺,悪心,嘔吐,発熱,外傷ないしは横紋筋融解等がある。しかし潜在的には、アシド−シス,試験管内溶血,血小板増多,白血球増多,大量輸血,溶血,血漿浸透圧上昇,高浸透圧血症,消化管出血,飢餓,腎不全,急性腎不全,慢性腎不全,糖尿病性腎症,痛風腎,間質性腎炎,アルドステロン分泌不足,アルドステロン不応症,低レニン性低アルドステロン症,偽性低アルドステロン症(1型,2型),腎移植,酵素欠損(21−hydroxylase欠損など),アジソン病,インスリン欠乏,腫瘍細胞破壊,SLE,アミローシス,食事,サクシニルコリン,アルギニン,β遮断剤,ジギタリス,スピロノラクトン,アミロライド,トリアムテレン等があり、緊急性を要する疾患が少なくない。
【0090】
また血液は電解質代謝によりpH7.400 を常に保っている。ところが当該血液が何かの要因によって、酸性側,アルカリ性側に傾くことがある。酸性側に傾くことをアシドーシス,アルカリ性側に傾くことをアルカローシスという。またアシドーシスとアルカローシスには、それぞれ呼吸性と代謝性の二種類がある。即ち体液pH異常には、代謝性アシドーシス,呼吸性アシドーシス,代謝性アルカローシス,呼吸性アルカローシスの四つがある。例えば代謝性アシドーシスの場合、症状は、アセトン血性嘔吐,下痢等がある。しかし潜在的には、腎不全(尿毒症),Fanconi症候群,近位尿細管の再吸収障害,遠位尿細管の排泄障害,細菌性ショック,先天性副腎皮質過形成,甲状腺機能亢進症,飢餓原発性副甲状腺機能亢進症,炭酸脱水素酵素阻害薬(ダイアモックス),膵全摘,薬物中毒
(サリチル酸,アスピリン,アルコール,CO)等があり、緊急性を要する疾患が少なくない。呼吸性アシドーシスの場合、症状は慢性閉塞性肺疾患,気管支喘息,肺炎等がある。しかし潜在的には、肺水腫、肺線維症末期、閉塞型睡眠無呼吸、脳腫瘍,重症筋無力症ないしはGuillan−Barre症候群等があり、緊急性を要する疾患が少なくない。代謝性アルカローシスの場合、症状は心不全,高血圧,糖尿ないしは痛風等がある。しかし潜在的には、肥厚性幽門狭窄症,Conn症候群,Bartter 症候群,遠位尿細管異常,大量輸血,利尿剤等があり、緊急性を要する疾患が少なくない。呼吸性アルカローシスの場合、症状は心拍出量の低下,意識障害,肺梗塞ないしは肺炎等である。しかし潜在的には、脳腫瘍,脳炎,髄膜炎,間質性肺炎(含ARDS),肺線維症、ないしは肺水腫等があり、緊急性を要する疾患が少なくない。上記疾患は本発明によるK+ 濃度ないしはpH測定で迅速に検出することができる。
【0091】
また計測器の小型化によって、場所を選ばずに体液モニタリングでき、在宅医療にも利用することでQOLを向上できる。現在、慢性呼吸不全の患者を対象とした在宅酸素療法が普及している(約6万人)。しかし患者の管理には血液ガスの測定が不可欠である。従来の血液ガス検査は患者が通院することを前提としており、動脈注射,大型の採血管,大量の採血,患者の苦痛,手間のかかる前処理,高いランニングコスト,大きな分析装置及び時間のかかる検査が必要だったため、自宅でこれを行うのは事実上不可能であった。よって現状ではパルスオキシメータで代用している。但しパルスオキシメータとは、採血することなく、人体の動脈血中に含まれる酸素の量(動脈血酸素飽和度)と脈拍数を光学的に連続測定する装置である。また動脈血の酸素化レベル(動脈血酸素飽和度SpO2 )と脈拍数及び患者の呼吸機能の状態をリアルタイムに検知するため、病院の手術室や集中治療室などで普及している。更に病棟における呼吸リハビリ時の検査や、自宅で酸素療法を受けている退院患者の経過観察などに適応している。しかし上記パルスオキシメータが測定するのは、飽くまでもヘモグロビンに結合した酸素の飽和度であるため、正確なpO2 を反映するものではない。従って上記療法患者は、低侵襲,小型,安価且つ正確な血液のpO2 測定装置の実用を望んでいる。本実施例はこれを解決するものであり、血液のpO2 測定によって正確な在宅酸素療法のモニタリングを行うことができる。しかも、従来の医師の頻繁な往診ないしは患者の頻繁な通院は不要となる。更に、血液のpHと併用することにより呼吸性アシドーシスないしは呼吸性アルカローシスを測定することも可能であり、医師が最適な投薬量を決定するための補助になり得る。従ってパルスオキシメータのみでは得られないQOLの向上という面での効果は非常に大きい。
【0092】
【発明の効果】
本発明により、極微量の液状体を効果的に分析できる。特に本発明を医療に応用した場合はQOLの飛躍的向上が望める。
【図面の簡単な説明】
【図1】体液モニタリング装置の一実施例の概略図である。
【図2】体液モニタリング用プラットフォームの一実施例の概略図である。
【図3】微小ガラス電極センサ(Na+ 用,K+ 用、及びpH用)の断面図である。
【図4】機能性樹脂膜を用いた微小ガラス電極センサ(Na+ 用,K+ 用、及びpH用)の断面図である。
【図5】微小ガラス電極センサ(pO2 用)の断面図である。
【図6】微小ISFETセンサの断面図である。
【符号の説明】
1…基盤、2…検体保持部、3…検体保持部以外の部分、4…センサ、5…測定部、6…蓋、7…表示部、8…作用極、9…参照極、10…細径ガラス管、
11…機能性ガラス、12…2MNaOH溶液、13…銀電極、14…中径ガラス管、15…多孔性膜、16…Ag/AgCl(silver/silverchloride)参照電極、17…複合電極、18…機能性膜、19…陰極、20…陽極、21…ゲート、22…半導体、23…不活性層、24…ゲート被覆膜、25…装置本体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、極微量の液状体を分析する分析装置、及び分析方法に関する。特に、極微量の血液や尿等の体液を分析するモニタリング装置、及びモニタリング方法に適する。
【0002】
【従来の技術】
体液のモニタリングは、血液と尿が一般的である。例えば血液検査の場合、患者から血液を採取して検査し、この検査結果から医師が疾患状態を判断する。
【0003】
血液中の電解質を計測する場合、臨床検査室を持つ医療機関では、例えば、注射器に連結されたインセパック(セキスイ,S1−07055)のような、10mL(以下、L=リットル,1L=1dm3 )程度の抗トロンビン製剤を封入した管型容器(採血管)を用い、採血処置室ないしはベッドサイドで採血する。次に採血したその場で転倒混和する。そして、臨床検査室において、この容器を遠心分離し、その上清(血清)を検体とする。更に、この検体が入った容器を分析装置に投入し、電解質を計測する。また、血中のガス成分を測定する場合には、ヘパリン製剤を封入してある容器で採血し、転倒混和する。このように、従来の血液中のガス成分ないしは電解質の検査では、少なくとも二種類の採血管に血液を採取し、患者から大量の血液を採取していた。従って、当該検査を毎日続けることは患者に対して相当の負担であり、いわゆるQOL(患者に対する生活の質)の悪化を意味する。
【0004】
また、分析装置には少なからず試薬が必要であり、また一定期間毎にメンテナンスと精度管理を行わなければならない。従って、試薬代とメンテナンス費用として、高額なランニングコストが生じる。しかも、分析装置は採血管(インセパック10mL等)より小型にはできない為、総じて巨大である。
【0005】
臨床検査室では、再検査を想定して上記検体を一定期間保存するのが一般的であり、冷蔵庫ないしは冷蔵室などの維持管理及びメンテナンスにも更にランニングコストがかかる。
【0006】
上記検体の検査結果は、各医療機関のシステムにもよるが、上記採血から数時間〜一日後に医師の許に届く。当該医師は、採血から数時間〜1日後に当該検査結果を診て上記疾患をモニタリングする。
【0007】
一方、臨床検査室を持たない多くの医療機関は、患者から採取した血液を上述した2つの管型容器に収容して専門の検査センターに送る。検査センターでは、例えば一日一回の割合で医療機関から検体を回収し、各支部に収集してから中央の検査センターにおいて検査する。そして、検査結果は回収と逆の経路を辿って上記医療機関に通知されるため、当該検査結果が医師の許に届くのは発註してから数日後である。医師は検査結果を診て疾患のモニタリングをする。
【0008】
以上説明した血液モニタリング方法は、注射器と大型の採血管を用いて大量に採血し、患者に苦痛を与え、手間のかかる前処理を必要とし、ランニングコストが高く、大きな分析装置を必要とし、時間のかかる検査である。このため、医師が血液検査を頻繁に行うことは、いわゆる患者に対する生活の質(QOL)の悪化を意味する。従って、血液のモニタリングは、患者のコンセンサスを得るためにも非常に難しいのが現状である。
【0009】
一方、例えば尿検査の場合、採取するのに患者が苦痛を感じることは少ないが、褥瘡,乏尿,欠尿ないしは排尿痛等を訴える患者もいる。尿検査は、初め紙コップ等容器に尿を採取し、最終的に10mL程度の管型容器に収容する。その後の手順は、血液モニタリングの場合とほぼ同様である。このため、尿のモニタリングも、血液のモニタリングと同様にQOLを悪化させる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、極微量の液状体を容易に分析できる液体分析装置及び液体分析方法に関する。特に、血,尿等の体液を、簡単かつ高精度に分析できるモニタリング装置及びモニタリング方法に関する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、疎水面に囲まれた親水面から成る液体保持部と、所定のセンサを備えた、液体分析用プラットフォームに関する。この液体保持部に液体を滴下すると、極微量の液体のみが液体保持部に保持される。液体保持部の形状等に従い保持される液体の容量及び形状が定まる為、センサは常に所定の形状及び容量の液体を分析することになる。つまり、分析対象液体の状態変動に基づく分析結果の誤差を低減できる。この為、使用者の技量によらず、安定した分析結果を得ることができる。
【0012】
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について、図面を参照して説明する。
【0013】
【発明の実施の形態】
(実施例)
図1に、本実施例の体液モニタリング装置の概略構成図を示す。本装置は、検体保持部2と複数種のセンサ4を備える基盤1と、この基盤1が挿入される装置本体26から構成される。
【0014】
装置本体26は、基盤1が配置され、表示部7を備える測定部5と、センサ接続部26を備える蓋6から構成される。測定部5に配置された基盤1のセンサ4は、蓋6を閉じることによりセンサ接続部26と接続し、装置本体26はセンサ4からの信号を入手する。この情報に基づいて表示部7に各種分析結果を表示する。例えば、基盤1に保持された体液中のガス成分や電解質成分等をガルバノメトリックに測定し、電位の差分値から成分濃度を算出表示する。尚、基盤1と装置本体26との接続方式は、本方式に限定されず、適宜変更できる。例えば、装置本体26がスロットを有し、このスロットに基盤1を挿入して接続する方式,装置26上に基盤1を置くことのみで接続する方式等を含む。
【0015】
図2は、基盤1の概略図である。基盤1は、マイクロファブリケーションにより、平面形状の検体保持部2と、各種センサ4が基盤表面上に構成されている。具体的には、顕微鏡のプレパラート(26mm×76mm)を利用し作成するが、本発明はこれに限定されず、例えば、ガラス,透明性のある樹脂、及び鏡面研磨した金属等も利用できる。親水面から成る検体保持部2は、直径約10mmの円であり、その周囲は疎水面で囲まれている。この形状で約80μLの検体を収容することができる。検体保持部2の形状は適宜設定でき、円,三角形や四角形等の多角形、及びこれらの組合せである。例えば、検体保持部2を円と流路を組合せた形状とし、この流路上に多数のセンサ4を配置する。この場合、基盤1を一定の角度をもって測定部5上に置載し、センサ4が配置された流路上に体液を集中させると、検体保持部2に滴下する体液量を更に少量化できる。
【0016】
検体保持部2の接触角は110°以上であり、疎水面である基盤表面の接触角は30°以下であることが望ましい。基盤1は、その表面に実質的平面な検体保持部が形成されているのみで、蓋等の立体的構造物が存在しない。このため、立体的なマイクロファブリケーションと比較して、簡便に作製できる。ここで、実質的に平面とは、後述の目視観察において透過光ないしは反射光の散乱が実質的に問題にならないレベルの平坦性を意味する。
【0017】
センサ4は、検体保持部2に保持された体液を分析できるものであり、具体的には微小ガラス電極センサである。また、微小ISFET(Ion Sensitive FieldEffect Transistor)センサ等も利用できる。検体保持部2周辺の所定箇所にセンサ4は配置され、検出部分が検体保持部に侵入する状態で固定されている。センサ4は検体保持部2に滴下した体液に接触し、各種診断に必要な情報を取得する。好適にはNa+ 用センサ4,K+用センサ4,pO2用センサ4及びpH用センサ4の四種類であり、体液中のガス成分ないしは電解質を検知できる。尚、センサの構造・種類は適宜変更できる。つまり、上記センサを全て基盤1上に設置する必要はなく、用途に合わせたセンサのみを配置して用いることができる。従って、患者の病態によって自由にセンサ4を組合せて搭載できるモニタリング・プラットフォームとして利用できる。ただし、疾患の予想がつかない限り、Na+ 濃度,K+ 濃度,pO2 及びpHの全電極を搭載すべきである。
【0018】
〔基盤1の作製方法〕
以下、基盤1の作製方法を、基盤基材,親水化工程,撥水化工程,パターン化工程,サンセ作製工程の順に説明する。
【0019】
〔基盤基材〕
光を透過する基盤1基材と、光を透過しない基盤1基材では、その後の処理法が異なる。以下にそれぞれの例を挙げた上で、その後の処理法について後述する。
【0020】
(1)光を透過する基盤1基材
光を透過する基材はガラス,透明性のある樹脂等がある。測定前に血液ないしは尿を目視して状態を把握するためには、光に対する透過性が高い材料が望ましい。光透過性の高い熱可塑性樹脂は、汎用プラスチック系のアイオノマー樹脂
(IO),ポリエステル樹脂(EPT),ポリスチレン(PS),メタクリル樹脂(PMMA)、またエンジニアリングプラスチック系のポリカーボネート(PC)、更にスーパーエンジニアリングプラスチック系のポリエーテルサルホン(PES),ポリサルホン(PSF)等がある。また熱硬化性樹脂は、尿素樹脂(UR),不飽和ポリエステル樹脂(FRP),メラミン樹脂(MR)等がある。これらの厚さ0.1mm の樹脂板は340〜800nmの波長の光を60%以上透過する。また400〜800nmに限っては80%以上透過するので好適である。また同じ材質の場合は、基盤1基材が薄いほど透過率が高い。しかし薄すぎると、基盤1を保持した際や検体を滴下した際に湾曲する等の問題があるので、扱いやすい程度の厚みが必要である。尚、後述する〔撥水化工程〕において、加熱工程を含む方法を用いる際は、材料に耐熱性が必要となる。
【0021】
(2)光を透過しない基盤1基材
光を透過しない基盤1基材は、鏡面研磨した金属ないしは樹脂等がある。光を透過性が低いと測定前に血液ないしは尿を目視して状態を把握することは困難である。しかし光透過性という制約がないので基材の種類が非常に多く、耐熱性ないしは作製コストの面で選択性が拡がる。例えば基盤1基材の材質は、アルミニウム,鉄−ニッケル合金,ステンレス等の金属ないしは光透過性の低い樹脂がある。またガラス板にアルミニウム等を蒸着した上記折衷型もある。鉄−ニッケル合金の場合は、鉄の含有量が少ない方が腐食しにくい特徴がある。ステンレスは腐食しにくいので好適である。具体的には、オーステナイト系のSUS201,SUS202,SUS301,SUS302,SUS303,SUS303Se,SUS304,SUS304L,SUS304N1,SUS304N2,
SUS304LN,SUS305,SUS309S,SUS310S,SUS316,SUS316L,SUS316N,SUS316LN,SUS316J1,
SUS316J1L,SUS317,SUS317L,SUS317J1,
SUS321,SUS347,SUSXM7,SUSXM15J1,SUS329J1、フェライト系のSUS405,SUS410L,SUS430,SUS430F,SUS434,SUS447J1,SUSXM27、マルテンサイト系の
SUS403,SUS410,SUS410J1,SUS416,SUS420J1,SUS420F,SUS431,SUS440A,SUS440B,SUS440C,SUS440F、析出硬化系のSUS630,SUS631等がある。また熱可塑性樹脂では、汎用プラスチック系の塩化ビニル樹脂(PVC),汎用エンジニアリングプラスチック系のポリアセタール樹脂(PAないしはPOM),ポリフェニレンオキサイド(PPO),変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE),スーパーエンジニアリングプラスチック系のポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリフェニレンサルファイド(PPS等がある。更に熱硬化性樹脂では、エポキシ樹脂(EP),ジアリルフタレート樹脂(DAP),尿素樹脂(UR),フェノール樹脂(PF),不飽和ポリエステル(FRP),メラミン樹脂(MR)等がある。特に熱可塑性樹脂は、後述する〔撥水化〕において加熱工程を含む場合があるため、材料に耐熱性が必要となる。上記樹脂の内、耐熱性のあるものは、光透過性が高い樹脂では、ポリエステル(EPT),ポリエーテルサルホン
(PES),ポリカーボネート(PC),ポリサルホン(PSF)、また光透過性が低い樹脂では、フェノール樹脂(PF),不飽和ポリエステル樹脂(FRP),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリフェニレンサルファイド
(PPS),変性ポリフェニレンエーテル(PPO)(同ポリフェニレンオキサイド,m−PPE)等がある。
【0022】
〔親水化工程〕
ここに挙げる親水化方法は、塗料を塗布ないしはその後加熱等の操作を行うことによって、親水性を発揮させるものである。塗料は一般に(1)〜(4)に示すものがあるが、特に限定するものではない。
【0023】
(1)水溶性高分子の溶液
水溶性の高分子は、ポリエチレングリコール,ポリビニルアルコール,ポリアクリル酸,ポリアクリル酸塩,ポリアリルアミン,ポリアリルアミンの塩酸塩,デンプン等がある。即ち分子内に水酸基,アミノ基,カルボキシル基,塩構造の残基等親水性の残基を有しているものが挙げられる。当該高分子溶液を調製し塗料とする。これを基盤1の基材に塗布し、乾燥させることで親水性塗膜を形成する。上記水溶性高分子の中では、特にポリエチレングリコールは、塗布した表面の水との接触角を低下させる傾向が強い。塗布する高分子溶液は、当該高分子の分子量が大きいほど光散乱の少ない平滑な親水膜が形成できるので好ましい。また処理する表面の撥水性が高い場合は塗料が弾かれてしまうため、結果として平坦な膜を形成できない。その場合、塗料を塗布する前に予め酸素プラズマ処理をしておくと、平坦な塗膜が形成しやすい。因みにポリエチレングリコールは、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に溶解する。そのため当該溶液の表面張力は、水溶液に比べて小さく撥水性の高いアルミ等の表面にも塗布しやすい。
【0024】
(2)親水性粒子を含んだ塗料
親水性アルミナ粒子や親水性シリカ粒子を含んだ分散液とアルコキシシランの溶液を混ぜたものを塗料として用いる。この塗料を用いる場合、基盤1の基材に塗布後に加熱することで製膜が完了する。この塗料で主に親水性を発揮するのは、親水性アルミナ粒子ないしは親水性シリカ粒子であり、アルコキシシランは主にこれら粒子の保持体として機能する。そのため親水性を高めるには親水性アルミナ粒子や親水性シリカ粒子の割合を大きくすることで対処することができる。またアルコキシシランの割合を大きくすることで膜の物理的強度が向上する。更にアルコキシシランはある程度分子間で架橋していた方が、塗布後の加熱で揮発する割合が減るので好ましい。アルコキシシランには、分子間の重合を促進させるために塩酸等を加えることがあるが、親水性シリカの場合は分散を良好にするため、その分散液は塩基性になっている場合がある。そのため両者を混ぜた場合、親水性シリカが凝集することがあるので混合した場合の液性と親水性シリカの分散の状況には注意するべきである。この点アルミナの場合、分散液は主に酸性であるため、混合の際のトラブルが少ない。アルコキシシランは具体的には、メチルトリメトキシシラン,エチルトリメトキシシラン,ブチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン,エチルトリエトキシシラン,ブチルトリエトキシシラン,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン等がある。尚、液性ないしは溶媒が合えばアルコキシシランの代わりにアルコキシチタンを用いても良い。アルコキシチタンとしてはテトラ−i−プロピルチタネート,テトラ−n−ブチルチタネート,テトラステアリルチタネート,トリエタノールアミンチタネート,チタニウムアセチルアセトネート,チタニウムエチルアセトアセテート,チタニウムラクテート,テトラオクチレングリコールチタネート等がある。また上記化合物が数分子重合したものも用いることも可能である。
【0025】
(3)水溶性高分子とその架橋剤を含んだ塗料
(1)に挙げた水溶性高分子に架橋剤として、(2)に挙げたアルコキシシランないしはアルコキシチタンを混ぜることによって、親水化表面を形成する塗料とすることが可能である。この場合、溶媒は水であっても良いが、基盤1基材の撥水性が高い場合は塗料を弾いてしまうため、メタノールやエタノール等のアルコール系溶媒が好適である。
【0026】
(4)アルコキシシラン溶液とアルカリ溶液の併用
(2)に挙げたアルコキシシラン溶液を基盤1基材に塗布後、120〜180℃程度で数分間加熱すると、基盤1基材表面に酸化ケイ素の被膜が形成する。その後アルカリ性の溶液に浸漬すると、表面の親水性が高まる。そしてアルカリ性溶液を水洗することで親水化処理が終了する。アルカリ性溶液は具体的には、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム等がある。またアルコール溶液ないしは含水アルコール溶液等も可能である。溶液の濃度が高いほど浸漬時間は短くできるが、用いる水酸化物の種類によって異なる。水酸化ナトリウムを用いた場合、1重量%で浸漬時間は1〜5分間,5重量%で10〜30秒間程度が好適である。またアルコキシシラン溶液に用いる溶媒として、アセトンないしはメチルエチルケトン等ケトン系のものは、アルコキシシランが二酸化ケイ素に変化しやすいので、アルコール系,エステル系ないしはエーテル系の溶媒が好適である。特にアルコール系は、基盤1基材が樹脂の場合、樹脂を溶解し難いので特に好適である。
【0027】
〔撥水化工程〕
撥水化工程では、分子内にフッ素やシリコンといった元素を含む一般的な撥水材料を用いる。この材料を溶媒に溶解し、この溶液を基盤1基材に塗布する。その後乾燥して溶媒を揮発させ、撥水材料からなる薄膜を形成する。撥水材料によっては、塗布後加熱することにより基盤1表面と化学結合させる材料もある。この場合、基盤1表面に撥水材料として安定して存在するので好適である。当該材料としては次に示すようなものがある。但し、下記
【化1】におけるXは
perfluoropolyether鎖及びalkoxisilan残鎖の結合部位、Yはperfluoroalkyl基とalkoxisilan残鎖との結合部位、Rはalkyl基を示す。
【0028】
【化1】
【0029】
具体的には以下の化合物1〜12等が挙げられる。
【0030】
【化2】
【0031】
【化3】
【0032】
【化4】
【0033】
【化5】
【0034】
【化6】
【0035】
【化7】
【0036】
【化8】
【0037】
【化9】
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】
【化12】
【0041】
【化13】
【0042】
〔パターン化工程〕
基盤1の作製法は種々考えられるが、ここでは二つの方法(1)及び(2)を示す。
【0043】
(1)親水化処理後、撥水性パターンを形成する方法
i)〜iv)の工程で作製する。但し、i)の操作が必要ない場合は省略しても構わない。
【0044】
i)親水化処理
基盤1の水との接触角が大きい場合は、当該基盤1の表面を親水化する。基盤1基材の親水性が高い場合は必要ない。親水化する方法は基盤1の基材によって異なる。具体的に▲1▼〜▲4▼の方法を挙げる。
【0045】
▲1▼ 基盤1基材が金属の場合
基盤1基材が金属の場合、水との接触角が70°以上のものが多い。例えばアルミニウムの場合、水との接触角は90〜95°程度である。またステンレスは種類にもよるが、水との接触角は概ね70〜95°程度である。これらを親水化する場合は、塩酸,硝酸ないしは硫酸等に浸漬することによって水との接触角を低下させることができる。アルミニウムの場合、30重量%硝酸と5重量%の塩酸の混合液に5〜10分間程度浸漬すると、水との接触角が10〜20°程度に下がる。またステンレスの場合も、SUS304,316等は
30重量%硝酸に5〜10分程度浸漬すると、水との接触角が10〜20°に下がる。更にFe−42Niでは15重量%硝酸に1〜2分程度浸漬すると、水との接触角が10°以下になる。
【0046】
その他の方法に酸素プラズマで処理する方法がある。酸素分圧1Torr(以下、Torr=トル,1Torr≒133Pa),高周波電源出力300W,処理時間3分間の条件下で、アルミニウム,ステンレスの水との接触角は20°以下になる。
【0047】
▲2▼ 基盤1基材がガラス,石英の場合
基盤1基材がガラスないしは石英の場合、酸素プラズマで処理したり塩基性溶液の浸漬する等の方法により、親水性を向上することが可能である。酸素プラズマの場合、酸素分圧1Torr,高周波電源出力300W,処理時間3分間の条件下で、水との接触角が10°以下になる。また塩基性溶液として1重量%水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、5分間の浸漬によって接触角は20°以下になる。
【0048】
▲3▼ 基盤1基材が樹脂の場合
基盤1基材が樹脂の場合は酸素プラズマで処理したり酸性溶液ないしは塩基性溶液に浸漬する等の方法により、親水性を向上することができる。
【0049】
酸素プラズマの場合、例えばポリスチレン,アクリル樹脂,スチレン/アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,アセタール樹脂,ポリカーボネート,ポリエーテルスルホン,ポリサルホン,ポリエーテルサルホン等では、酸素分圧1Torr,高周波電源出力100W,処理時間1分間の条件下で、水との接触角が20°以下になる。
【0050】
酸性溶液ないしは塩基性溶液の場合、塩基性溶液は、アクリル樹脂,スチレン/アクリル樹脂,ポリエステル樹脂,アセタール樹脂,ポリカーボネート等のように分子内にエステル結合を有する材料に対して特に有効である。これは、表面及びその近傍にあるエステル結合を切断することによって、親水性の高いカルボン酸残基及び/ないしは水酸基が生成し、表面の親水性が高まるためである。また塩酸等の酸溶液は、ポリイミドないしはポリアミド等のアミノ基及びカルボキシル基の縮合により重合する樹脂に対して特に有効である。即ち塩基性溶液が有効なのは、重合時に反応せずに残ったカルボキシル基を親水性の高いカルボン酸塩にすることによって表面の親水性を高め、酸性溶液が有効なのは、重合時に反応せずに残ったアミノ基を親水性の高いアンモニウム塩構造にし、表面の親水性を高めることができるからである。酸性溶液ないしは塩基性溶液への浸漬は、溶液の温度が高い程、また溶液濃度が高い程親水化が迅速に進行する傾向がある。しかし高温及び高濃度溶液への基材の暴露は、基材にダメージを与えやすいので註意が必要である。
【0051】
▲4▼ 汎用的に親水化する方法
基盤1基材が金属,ガラスないしは樹脂であっても処理可能な親水化方法は、親水性を発揮させる塗料を塗布する方法がある。この詳細は〔親水化〕の項目で後述する。その他、紫外線照射,オゾン雰囲気下に放置する等によっても可能である。
【0052】
ii)マスク形成
親水性パターンを形成する部分をマスクする。この方法は位置制御の面から印刷法が好適である。印刷方法は基盤1を用紙の代わりに印刷機ないしはインクジェットプリンタ等に入れ、マスク剤を印刷する方法,マスク剤を孔版印刷する方法等がある。マスク剤は撥水化処理の後に除去する必要があるので、水ないしは有機溶媒に易溶性で簡便に除去できるものが好適である。また当該マスク剤を除去した際に発生する廃液が環境に対して負荷が少ないものであれば猶好適である。例えば、有機溶媒に溶解するマスク剤は、オフセット印刷用インクないしはレーザープリンター用トナーの一部等がある。しかしマスク方法は水溶性のインクを用いるオフィスないしは家庭用のインクジェットプリンタが好適である。それは、当該プリンタ用インクが水に易溶性であり且つ吐出の位置精度が高く、また廃液処理が容易なためである。その他の方法は、テープないしはシールによるマスク等も有効である。その際、テープないしはシールの粘着部材は水溶性高分子、具体的には、ポリビニルアルコールないしはポリアクリル酸等が好ましい。水溶性高分子は後述する撥水材を弾きやすい。
【0053】
iii)撥水化処理
基盤1基材表面を撥水化処理する方法は、処理剤を単に塗布するだけのもの、その後加熱処理ないしは光照射処理により表面に処理剤を固定するもの等がある。その内、親水性パターンの形状の安定性が高いのは表面に処理剤を固定する方法である。表面に処理剤を塗布後、加熱処理を行うことにより表面に固定する方法は、撥水化方法の項目で後述する。
【0054】
iv)マスク剤の除去
ii)で形成したマスク剤を除去する。除去の方法は、マスクを水溶媒ないしは有機溶媒で溶解する方法がある。ないしは粘着テープのマスク剤を剥がす等の操作を行う。
【0055】
(2)撥水化処理後、親水性パターンを形成する方法
当該方法は、予め基盤1基材に撥水化処理を行い、その後親水性パターンを形成するものである。親水性パターン形成には、撥水化処理面にレーザー光,電子線,紫外線を照射することによって、撥水化処理材料を分解ないしは除去する方法がある。ないしは親水性パターンを形成する部分に高温の鏝を接触させることによって、当該撥水化処理材料を分解する方法等がある。
【0056】
〔センサ作製工程〕
本実施例のセンサ4は、微小ガラス電極センサと、微小ISFET(Ion
Sensitive Field Effect Transistor)センサである。これは、両センサは微小化が容易であり、作製が簡便で、且つ価格低減が容易だからである。図3は、微小ガラス電極センサ(Na+ ,K+ 、及びpH検出用)の断面図であり、図4はその変形例の断面図である。図5は、微小ガラス電極センサ(pO2 検出用)の断面図である。そして、図6は、微小ISFETセンサの断面図である。以下、図面を参照に、各センサとその製法を説明する。
【0057】
例えば、図3と図4開示の微小ガラス電極センサでは、小型化を追究するため作用極8と参照極9の二電極系を採用する。この場合、作用極8内に参照極9を陥入することによって、見かけ上一本の微小電極となっている。
【0058】
また、図5開示の微小ISFETセンサでは、ゲート21を被覆する機能性膜18を薄膜化し、本体をチップ化する。この場合、本体のチップ化によって、本体自身のコストを下げるだけではなく、それに伴うゲート21を被覆する透過膜の少量化によって、更なるコスト低減が期待できる。但しpO2 用電極は定電位の下で電流を測定するため、ポテンショスタットが必要である。
【0059】
上記両センサにおいて、ガス成分ないしは各電解質濃度を算出する電気回路は、簡単なポテンショスタットないしは、電極電位及びゲート電位を差分して各成分濃度に数値化する回路のみである。このため、小型化が容易であり、測定部5及び蓋6を小型化することが可能である。
【0060】
▲1▼微小ガラス電極
以下、図3に基づいて、微小ガラス電極の作製法を説明する。
【0061】
先ずキャピラリー状の細径ガラス管10を用意する。その内、体液に接触する方の一端を機能性ガラス11で封入する。そして当該ガラス管10内に2MNaOH溶液12を注入し、更に銀電極13を挿入しこれを作用極8とする。次に中径ガラス管14を用意する。当該中径ガラス管14の内、体液に接触する方の一端に多孔性膜15を接着する。そして当該中径ガラス管14内に2MNaOH溶液
12を注入し、更に参照極9としてAg/AgCl(silver/silver chloride)参照電極16を挿入し、これを作用極8及び参照極9の複合電極17とする。但し当該複合電極17は基盤1に対して十分小さいものとする。またAg/AgCl参照電極16の作製法は、一定電流を通電して作製する。電気化学的に清浄な
Ag線を陽極20,陰極19には白金等の適当な電極をとして1MHCl溶液に浸漬し、電流1mAで3分間通電するとAg/AgCl参照電極16が完成する。ここで、当該機能性ガラス11としては表3に示すものを含む。尚、pO2 用電極については後述する。
【0062】
【表3】
【0063】
また、図4に示すように、機能性ガラス11の代わりに機能性膜18を使用することもできる。ここで、当該機能性膜18とは、各電解質に対して高選択性を備えた化合物を含有する樹脂膜のことをいう。即ち、機能性ガラス11の代わりに上記中径ガラス管14の先端を機能性膜18で覆う。当該機能性膜18は特に指定しないが、例えばNa+ 用電極にはクラウンエーテル誘導体等を含むポリ塩化ビニル(PVC:Polyvinylchloride)等の機能性膜18を用いる。K+ 用電極にはヴァリノマイシン誘導体等を含む機能性膜18を用いる。またpH用電極には、Pd等の機能性膜18を用いるとよいが、Pd等の機能性膜18は高価である。そこで比較的安いアモルファスZr36Ni64機能性膜18、又は上記機能性ガラス11で被覆した電極を使用する。
【0064】
最後に、図5に開示したpO2 用電極について説明する。pO2 用電極は他の電極と少々異なる。先ず中径ガラス管14を用意し、体液に接触する側の開口部を酸素透過性の機能性膜18で封緘する。尚、当該機能性膜18には、例えば
10〜20μm厚のテフロン系膜,ポリエチレン膜ないしはシリコン膜がある。次に中径ガラス管14の内側から陰極19を当該機能性膜18に接触させる。陰極19には例えば白金及び銀等がある。また陽極20は、陰極19に接触しないように陽極20の周囲に発条状に固定する。陽極20には例えばAg/AgCl参照電極16等がある。更に上記中径ガラス管14内に2MNaOH溶液12を注入する。即ちpO2 用電極では、機能性膜18によって透過した酸素が以下のように定電位中で反応した電流を計測する。一方Na+ 用電極、K+ 用電極及びpH用電極電極が電位差を利用するのとは根本的に異なる。
【0065】
【化14】
【0066】
【化15】
【0067】
以上のように、Na+ 用電極,K+ 用電極,pO2 用電極及びpH用電極の四種類の微小ガラス電極を作製する。但し上記電極全てを基盤1上に置載する必要はなく、それぞれの患者に対する体液のモニタリングの用途に合わせた電極を用いることが望ましい。
【0068】
▲2▼微小ISFET
図6に基づいて、微小ISFETの作製法を説明する。
【0069】
先ずGa,AsないしはSi等の半導体22表面にVI族元素で原子層オーダの不活性層23を形成する。当該不活性層23には開口部があり、これをゲート
21と呼ぶ。次に当該ゲート21表面を機能性膜18で被覆し、ISFET
(Ion Sensitive Field Effective Transister)を作製する。即ち上記ISFETは、従来のFET(Field Effective Transister)のゲート21部分に機能性膜18を用いたものである。上記ゲート21表面を覆う材料は特定しないが、Na+用電極には上記NAS11−8ガラスないしはクラウンエーテル誘導体含有樹脂等を用い、K+ 用電極には例えば上記NAS27−4ガラスないしはヴァリノマイシン誘導体含有樹脂等を用い、pH用電極には表3記載のガラス等を用いる。
【0070】
本電極は、当該ゲート21を被覆するゲート被覆膜24表面に吸着する特定の物質の吸着量を電位差として検知し、そこから体液中の電解質濃度を測定することができる。但しpO2 用電極は、上記図5記載のClark型微小ガラス電極を用いる。斯様にしてそれぞれNa+ 用センサ4,K+ 用センサ4,pO2 用センサ4及びpH用センサ4を作製する。最後に当該ISFETを上記検体保持部2内の上記体液に接触するように、例えば放射状に配置し、また参照極9としてAg/AgCl参照電極16を浸漬する。ISFETの利点は、応答が速く、機能性膜18を交換するだけで測定対象を代替でき且つ集積化が容易であることである。また、このISFETをon−tipで作製し、大量生産及び微小化することによってISFETの作製コストを抑えることができる。
【0071】
〔製造方法の具体例〕
以下に、基盤1の製造方法の具体例を説明する。ここでは、微小ガラス電極によるNa+ 用センサ,K+ 用センサ,pO2 用センサ及びpH用センサを搭載した基盤1の作製を例とする。
【0072】
先ず〔基盤1の作製方法〕(1)記載の方法に従い、顕微鏡のプレパラート
(26mm×76mm)を基盤1とし、当該基盤1上に検体保持部2及び〔センサ作成工程〕記載のセンサ4パターンのマスクを形成し撥水溶液を塗布する。検体保持部2の形は特に特定しないが、例えば円形,多角形ないしは検体保持部2からセンサ4へ流路を伸長した形などのマスクを形成し撥水溶液を塗布する。
【0073】
撥水溶液が乾燥し撥水材料による薄膜を形成したら、薄膜を加熱することにより基盤1表面と化学結合させる。その後、適当な溶媒でマスクを溶解しパターンを形成する。これを検体保持部2及びセンサ4の接合部位とする。当該センサ4は親水性の粘着剤によって上記パターン部位に接合する。従って上記検体保持部2以外の部分3は撥水材料薄膜のため、血液が浸潤することなく検体保持部2のみに滞留する。当該検体保持部2に位置し血液に接触する位置にセンサ4を設置する。
【0074】
〔モニタリング方法〕
まず、患者の血液や尿等の体液を採取する。採取する方法は特に指定しないが、糖尿病患者が血糖検査に用いる発条式採血針ないしは人工蚊細管等できるだけ低浸襲の方法が望ましい。但し、人工蚊細管とは、マイクロファブリケーションにより作成した、蚊の口を摸倣した微小採血針の一種であり、患者の苦痛をより抑えることができる。また上記血液を採取する身体部位は特に特定しないが、例えば指ないしは耳等がある。但しpO2 を測定する際は、動脈血を採取する必要がある。従って採取する身体部位は特に特定しないが、例えば上腕動脈,橈骨動脈ないしは大腿動脈など、よく拍動を触れるところで行う。
【0075】
次に上記基盤1を測定部5上に置載し、蓋6を閉めて当該センサ4の端子と測定部5を接続する。そして、体液成分を電気化学的に測定し、成分濃度である測定値を表示部7に表示する。
【0076】
血液をモニタリングする場合、血漿ないしは血清ではなく全血のときは、血球成分によるインピーダンス補正が必要となる場合もある。上記測定値を診ることによって、例えば肝疾患,心疾患,消化器疾患,呼吸器疾患,腎疾患,副腎疾患,内分泌系異常,神経疾患,筋骨疾患,腫瘍,感染症ないしは薬物投与等のモニタリングを行うことができる。搭載するセンサ4は、病状によって予め組合わせを選択してもよい。表1に、血液中のNa+ 濃度,K+ 濃度,pO2 及びpHの上昇ないしは下降によって病態をモニタリングできる疾患を示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表1】
【0079】
【表1】
【0080】
【表1】
【0081】
また、表2に、尿中のNa+ 濃度,K+ 濃度,pHの上昇ないしは下降によって病態をモニタリングできる疾患を示す。
【0082】
【表2】
【0083】
【表2】
【0084】
【表2】
【0085】
本実施例の体液モニタリング法は検査に必要な体液量が少ない為、患者の受ける苦痛が少なく、繰り返し検査を行っても患者のコンセンサスを得やすい。尿の場合も、通常排尿ができる患者の他に、褥瘡患者,乏尿患者,排尿痛患者、及び欠尿患者等がいる為、少量の採尿は、QOLを高める上で非常に効果的である。このため、体液のモニタリングを随時行うことが可能になり、患者に最適な投薬量の決定等肌目細かな医療を提供できる。
【0086】
マイクロファブリケーションを用いた従来技術は複雑な製造ステップを幾つも踏む。例えばnm程度の流路を製作する為には、先ず数100μm程度の導入路と、次に数10μm程度の接続路と、どんどん細くなる構造が必要になる。またサイズが大きく異なるものを同時に作るのは非常に難しいので、加工を導入路部分と反応部の二段階に分けて行わなければならない。一方、本実施例は、実質的に平面な基盤1上に、撥水性及び親水性のパターンと、安価な微小センサ4を形成し構成されている。このため、安価な体液モニタリング・プラットフォームであり、医療廃棄物としての処理費を低減できる。
【0087】
また、マイクロファブリケーションを用いるため、センサ4の反応時間が短いことが特徴である。また測定部5の小型が容易な為、血液モニタリング系全体を小型化でき、on−siteなモニタリングができる。即ち本発明では、on−site、且つ短時間に測定を行うため、血液凝固が始まる前に測定が終了する。従って、臨床検査室ないしは専門の検査センター等で用いる抗トロンビン製剤及びヘパリンを血液に加える必要はない。検定以外の検査試薬を用いず、しかも基盤1自体が安価である為、ランニングコストが低減できる。医師が検査したいときに迅速に検査できる。
【0088】
更にマイクロ化により反応速度が向上するため、迅速な検査結果を出力することによって、緊急医療の現場でも本発明を利用することができる。緊急医療の現場では、運び込まれた患者の症状から病状の原因を即座に判断し、適切な措置を施す必要がある。一番対応に苦慮するのは、症状が明らかでない疾患である。従来の血液検査では臨床検査室や専門の検査センターに体液を送って検査する時間に刻一刻と病状が悪化する危険性がある。そこで本実施例を用いて患者体液中のガス成分ないしは電解質をすばやく測定することにより、大量の患者情報を医師に迅速に提供し、緊急医療現場での危険性を回避できる。
【0089】
例えばK+ は細胞内へ能動的に輸送されるため、体液中に高濃度K+ が存在することは異常である。電解質異常の中でも緊急性を要するものは、高K+ 血症である。症状は、心停止,周期性四肢麻痺,顔面ないしは舌筋の刺激過敏,筋力低下,知覚異常,麻痺,悪心,嘔吐,発熱,外傷ないしは横紋筋融解等がある。しかし潜在的には、アシド−シス,試験管内溶血,血小板増多,白血球増多,大量輸血,溶血,血漿浸透圧上昇,高浸透圧血症,消化管出血,飢餓,腎不全,急性腎不全,慢性腎不全,糖尿病性腎症,痛風腎,間質性腎炎,アルドステロン分泌不足,アルドステロン不応症,低レニン性低アルドステロン症,偽性低アルドステロン症(1型,2型),腎移植,酵素欠損(21−hydroxylase欠損など),アジソン病,インスリン欠乏,腫瘍細胞破壊,SLE,アミローシス,食事,サクシニルコリン,アルギニン,β遮断剤,ジギタリス,スピロノラクトン,アミロライド,トリアムテレン等があり、緊急性を要する疾患が少なくない。
【0090】
また血液は電解質代謝によりpH7.400 を常に保っている。ところが当該血液が何かの要因によって、酸性側,アルカリ性側に傾くことがある。酸性側に傾くことをアシドーシス,アルカリ性側に傾くことをアルカローシスという。またアシドーシスとアルカローシスには、それぞれ呼吸性と代謝性の二種類がある。即ち体液pH異常には、代謝性アシドーシス,呼吸性アシドーシス,代謝性アルカローシス,呼吸性アルカローシスの四つがある。例えば代謝性アシドーシスの場合、症状は、アセトン血性嘔吐,下痢等がある。しかし潜在的には、腎不全(尿毒症),Fanconi症候群,近位尿細管の再吸収障害,遠位尿細管の排泄障害,細菌性ショック,先天性副腎皮質過形成,甲状腺機能亢進症,飢餓原発性副甲状腺機能亢進症,炭酸脱水素酵素阻害薬(ダイアモックス),膵全摘,薬物中毒
(サリチル酸,アスピリン,アルコール,CO)等があり、緊急性を要する疾患が少なくない。呼吸性アシドーシスの場合、症状は慢性閉塞性肺疾患,気管支喘息,肺炎等がある。しかし潜在的には、肺水腫、肺線維症末期、閉塞型睡眠無呼吸、脳腫瘍,重症筋無力症ないしはGuillan−Barre症候群等があり、緊急性を要する疾患が少なくない。代謝性アルカローシスの場合、症状は心不全,高血圧,糖尿ないしは痛風等がある。しかし潜在的には、肥厚性幽門狭窄症,Conn症候群,Bartter 症候群,遠位尿細管異常,大量輸血,利尿剤等があり、緊急性を要する疾患が少なくない。呼吸性アルカローシスの場合、症状は心拍出量の低下,意識障害,肺梗塞ないしは肺炎等である。しかし潜在的には、脳腫瘍,脳炎,髄膜炎,間質性肺炎(含ARDS),肺線維症、ないしは肺水腫等があり、緊急性を要する疾患が少なくない。上記疾患は本発明によるK+ 濃度ないしはpH測定で迅速に検出することができる。
【0091】
また計測器の小型化によって、場所を選ばずに体液モニタリングでき、在宅医療にも利用することでQOLを向上できる。現在、慢性呼吸不全の患者を対象とした在宅酸素療法が普及している(約6万人)。しかし患者の管理には血液ガスの測定が不可欠である。従来の血液ガス検査は患者が通院することを前提としており、動脈注射,大型の採血管,大量の採血,患者の苦痛,手間のかかる前処理,高いランニングコスト,大きな分析装置及び時間のかかる検査が必要だったため、自宅でこれを行うのは事実上不可能であった。よって現状ではパルスオキシメータで代用している。但しパルスオキシメータとは、採血することなく、人体の動脈血中に含まれる酸素の量(動脈血酸素飽和度)と脈拍数を光学的に連続測定する装置である。また動脈血の酸素化レベル(動脈血酸素飽和度SpO2 )と脈拍数及び患者の呼吸機能の状態をリアルタイムに検知するため、病院の手術室や集中治療室などで普及している。更に病棟における呼吸リハビリ時の検査や、自宅で酸素療法を受けている退院患者の経過観察などに適応している。しかし上記パルスオキシメータが測定するのは、飽くまでもヘモグロビンに結合した酸素の飽和度であるため、正確なpO2 を反映するものではない。従って上記療法患者は、低侵襲,小型,安価且つ正確な血液のpO2 測定装置の実用を望んでいる。本実施例はこれを解決するものであり、血液のpO2 測定によって正確な在宅酸素療法のモニタリングを行うことができる。しかも、従来の医師の頻繁な往診ないしは患者の頻繁な通院は不要となる。更に、血液のpHと併用することにより呼吸性アシドーシスないしは呼吸性アルカローシスを測定することも可能であり、医師が最適な投薬量を決定するための補助になり得る。従ってパルスオキシメータのみでは得られないQOLの向上という面での効果は非常に大きい。
【0092】
【発明の効果】
本発明により、極微量の液状体を効果的に分析できる。特に本発明を医療に応用した場合はQOLの飛躍的向上が望める。
【図面の簡単な説明】
【図1】体液モニタリング装置の一実施例の概略図である。
【図2】体液モニタリング用プラットフォームの一実施例の概略図である。
【図3】微小ガラス電極センサ(Na+ 用,K+ 用、及びpH用)の断面図である。
【図4】機能性樹脂膜を用いた微小ガラス電極センサ(Na+ 用,K+ 用、及びpH用)の断面図である。
【図5】微小ガラス電極センサ(pO2 用)の断面図である。
【図6】微小ISFETセンサの断面図である。
【符号の説明】
1…基盤、2…検体保持部、3…検体保持部以外の部分、4…センサ、5…測定部、6…蓋、7…表示部、8…作用極、9…参照極、10…細径ガラス管、
11…機能性ガラス、12…2MNaOH溶液、13…銀電極、14…中径ガラス管、15…多孔性膜、16…Ag/AgCl(silver/silverchloride)参照電極、17…複合電極、18…機能性膜、19…陰極、20…陽極、21…ゲート、22…半導体、23…不活性層、24…ゲート被覆膜、25…装置本体。
Claims (19)
- 以下の構成を含むモニタリング装置;
疎水面に囲まれた親水面から成る体液保持部;
体液保持部の周囲に配置された、体液保持部に保持された体液を分析できる1以上のセンサ;
センサの出力に基づいて、体液に依存した情報を表示する表示部。 - 請求項1記載のモニタリング装置であって、
前記親水面の水との接触角は30°以下であり、前記疎水面の水との接触角は110°以上であるモニタリング装置。 - 請求項1記載のモニタリング装置であって、
前記体液保持部が、略平面上に配置された疎水面と親水面により構成されているモニタリング装置。 - 請求項1記載のモニタリング装置であって、
前記センサがNa+ 検出センサ,K+検出センサ,pH検出センサ、及びpO2検出センサのいずれかを含むモニタリング装置。 - 請求項1記載のモニタリング装置であって、
前記センサが、ガラス電極センサ、又は/及びISFETセンサであるモニタリング装置。 - 以下の構成を含むモニタリング用プラットフォーム;
疎水面に囲まれた親水面から成る体液保持部;
体液保持部の周囲に配置された、前記体液保持部に保持された体液を分析できる1以上のセンサ。 - 請求項7記載のモニタリング用プラットフォームであって、
親水面の水との接触角は30°以下であり、疎水面の水との接触角は110°以上であるモニタリング用プラットフォーム。 - 請求項7記載のモニタリング用プラットフォームであって、
前記体液保持部が、略平面上に配置された疎水面と親水面により構成されているモニタリング用プラットフォーム。 - 請求項7記載のモニタリング用プラットフォームであって、
前記センサが、Na+ 検出センサ,K+ 検出センサ,pH検出センサ、及び
pO2 検出センサのいずれかを含むモニタリング用プラットフォーム。 - 請求項7記載のモニタリング用プラットフォームであって、
前記センサが、ガラス電極センサ、又は/及びISFETセンサであるモニタリング用プラットフォーム。 - 以下の手順を含むモニタリング方法;
疎水面に囲まれた親水面に体液を滴下し、所定量の体液を該親水面上に保持する手順;
前記親水面に対して所定の位置に配置されている1以上のセンサにより、保持された体液の所定成分を測定する手順。 - 請求項13記載のモニタリング方法であって、
親水面の水との接触角は30°以下であり、疎水面の水との接触角は110°以上であるモニタリング方法。 - 請求項13記載のモニタリング方法であって、
親水面と疎水面が略平面上に配置されているモニタリング方法。 - 請求項13記載のモニタリング方法であって、
前記体液中のガス成分、又は/及び電解質を測定するモニタリング方法。 - 請求項13記載のモニタリング方法であって、
体液中のNa+ 濃度,K+ 濃度,pH、及びpO2 濃度のいずれか1以上を測定するモニタリング方法。 - 請求項13記載のモニタリング方法であって、
親水面に保持された体液が凝固、又は/及び乾燥する前に、体液をセンサにより分析する方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002274258A JP2004109017A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | モニタリング装置,モニタリング用プラットフォーム及びモニタリング方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002274258A JP2004109017A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | モニタリング装置,モニタリング用プラットフォーム及びモニタリング方法 |
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JP2004109017A true JP2004109017A (ja) | 2004-04-08 |
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JP2002274258A Pending JP2004109017A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | モニタリング装置,モニタリング用プラットフォーム及びモニタリング方法 |
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-
2002
- 2002-09-20 JP JP2002274258A patent/JP2004109017A/ja active Pending
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