JP2004107313A - Fluorinated sulfonic acid ester monomer - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池用隔膜、燃料電池用触媒バインダーポリマー、食塩電解用隔膜、リチウムイオンバッテリー用電解質膜等、各種のフッ素系高分子電解質の原料として有用な、スルホン酸誘導体基を有する新規フッ素化モノマー及びそのポリマーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、燃料電池用隔膜、食塩電解用隔膜等の主要成分として、化学式(4)で表されるパーフルオロポリマーが主に採用されている。
【化3】
(式中、pは、0〜1の整数、qは、1〜5の整数。)
このポリマーは、化学式(5)で表されるフッ素化モノマーとテトラフルオロエチレン(TFE)との共重合体を製膜した後、ケン化反応及び酸処理を施すことによって製造される。
【0003】
【化4】
(式中、p及びqは、化学式(4)と同じ。)
【0004】
化学式(5)で表されるフッ素化モノマーの中でも、p=1、かつ、q=2〜3のモノマーから製造されるポリマーが広く用いられている。
p=1、かつ、q=2〜3のモノマーは、下記の反応により製造されている。
【化5】
【0005】
ところで、化学式(4)で表されるポリマーにおいて、 p=0の場合は、p=1の場合と比べて、 主鎖とスルホン酸基の間のスペーサー部が短いため、p=1の場合よりも高いガラス転移温度と高い強度を発現する。したがって、このポリマーは、耐熱性の点で好ましい。
しかしながら、原料である、化学式(5)において、p=0であるモノマーの合成が困難であるという問題がある。すなわち、化学式(5)において、p=0であるモノマーを合成することを目的として、中間体CF3CF(COF)O(CF2)qSO2Fから上記のp=1の場合と同様の脱炭酸ビニル化反応を行うと、環化反応が主反応となり、目的の短側鎖構造のフッ素化モノマーの収率が極めて低くなることが知られている。例えば、q=3の場合、フッ素化モノマーは得られるものの、副反応である環化反応が起こるために、その収率は高々50%程度であり、q=2の場合に至っては、環化反応のみが進行し、全くフッ素化モノマーは得られていなかった。
【0006】
化学式(5)において、p=0であるモノマーの他の合成法として、特許文献1には、塩素原子含有フルオロエポキシドを用いて合成する方法が開示されているが、この場合、原料である塩素原子含有フルオロエポキシドの合成が繁雑であり、その収率も低いために実用的ではない。
化学式(5)において、p=0であるモノマーの合成上の課題を解決するために、−SO2F基以外の構造の、スルホン酸に誘導可能なスルホン酸前駆体基を有するフッ素化モノマーの提案がなされている。例えば、特許文献2には、CF3CF(COF)OCF2CF2SO2FをNaOHと反応させて、カルボン酸フルオリド及びスルホン酸フルオリドをともにNa塩に変換した後、脱炭酸ビニル化反応を行い、化学式(6)で示すフッ素化モノマーを製造する方法が記載されている。
【0007】
CF2=CFOCF2CF2SO3Na (6)
化学式(6)のモノマーの他の製造法としては、CF3CF(COF)OCF2CF2SO2Fの脱炭酸反応で得られる環化生成物をNaOCH3と反応させる方法が、特許文献3に記載されている。
しかしながら、これらの方法で得られる化学式(6)で表されるフッ素化モノマーは、スルホン酸塩構造であるために蒸留精製ができない。そのため、高純度品を得ることが困難であり、さらに、重合後の製膜が困難であるという問題点がある。
【0008】
化学式(5)で表されるフッ素化モノマーは、さらに以下のような問題点も抱えている。
a)化学式(5)で表されるような、−SO2F基含有モノマー又はその重合体は、各種の条件下で有害なフッ化水素酸又はその前駆物質であるフッ素イオンを発生する危険性があるため、保存又は取り扱いに注意が必要である。例えば、このモノマー又はその重合体は、保存時、重合時又は成膜時等において、水、各種金属塩、各種オニウム塩、各種酸性物質、各種塩基性物質等の多様な種類の不純物や添加物質との反応により、又は反応器等の装置材質(及び水)との作用により−SO2F基が分解して、フッ化水素酸又はフッ素イオンを発生する場合がある。
【0009】
b)上記の合成反応のように、ヘキサフルオロプロペンオキシド(HFPO)を合成原料とする場合、合成時に副生するHFPOオリゴマー誘導体CF3CF2CF2[OCF(CF3)CF2]tOCF=CF2(t=0〜3)と、目的とするフッ素化モノマーの構造及び沸点が類似しているために、両者を分離する工程が繁雑であり、さらに、収率低下の原因ともなる。
したがって、化学式(5)で表されるフッ素化モノマーと同等の重合性を有し、さらに、化学式(5)で表されるフッ素化モノマーの抱えている上記の合成・精製時の問題点及び取り扱い時の問題点を解決する新タイプのスルホン酸前駆体基含有モノマーはこれまで報告されていなかった。
【0010】
【特許文献1】
特開昭57−28024号公報
【特許文献2】
国際公開第98/43952号パンフレット
【特許文献3】
特公昭47−2083号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解消するものであり、1)化学式(5)で表されるフッ素化モノマーと同等の重合性を有し、2)化学式(5)におけるp=0相当の構造のモノマーを容易に製造でき、3)モノマー精製を阻害するような副生物がなく、4)モノマーやそのポリマーの取り扱い時にフッ酸の発生がなく、5)ポリマーにしたときに容易にスルホン酸基に誘導できるスルホン酸前駆体基を有する、新タイプのスルホン酸前駆体基含有モノマー、及びそのポリマーを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造のスルホン酸前駆体基を有するフッ素化モノマーが、化学式(5)で表されるフッ素化モノマーと同等の重合性を有し、かつ、そのポリマー中のスルホン酸エステル基を容易にスルホン酸基に誘導できることを見出し、さらには、このモノマーが、化学式(5)で表されるフッ素化モノマーの合成・精製時、又は取り扱い時の問題点を解決するものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
【0013】
(1) 化学式(1)で表されるフッ素化スルホン酸エステルモノマー。
【化6】
(式中、nは、0〜2の整数、mは、1〜5の整数、Rfは、フッ素化炭化水素基又はその置換体)
【0014】
(2) 化学式(1)において、Rfは、−CR1R2CHR3R4(R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、フッ素原子、水素原子、アルキル基及びフルオロアルキル基から選ばれる基であり、分子内には、少なくとも1個のフッ素原子を有する)である(1)に記載のフッ素化スルホン酸エステルモノマー。
(3) 化学式(1)において、n=0である(1)に記載のフッ素化スルホン酸エステルモノマー。
(4) 化学式(1)で表されるモノマー単位を含んでなるフッ素化スルホン酸エステル基含有ポリマー。
【0015】
(5) 化学式(2)で表されるスルホン酸と、
【化7】
(式中、n及びmは、化学式(1)と同じ)
化学式(3)で表されるフルオロオレフィン
CR1R2=CR3R4 (3)
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、フッ素原子、水素原子、アルキル基及びフルオロアルキル基から選ばれる基であり、分子内には、少なくとも1個のフッ素原子を有する)
とを反応させることを特徴とする(2)に記載のフッ素化スルホン酸エステルモノマーの製造方法。
【0016】
(6) 化学式(2)で表されるスルホン酸と、化学式(3)で表されるフルオロオレフィンとを、0.01〜3MPaの圧力範囲、かつ、30〜200℃の温度範囲で反応させることを特徴とする(5)に記載のフッ素化スルホン酸エステルモノマー製造方法。
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
一般に、フルオロスルホン酸のアルキルエステルは非常に不安定で、空気中の水分とも容易に反応して加水分解する。そのため、このような反応性の高さを利用して、フルオロスルホン酸のアルキルエステルは、むしろアルキル化剤として用いられているほどである。
しかしながら、化学式(1)で表される本発明のフッ素化スルホン酸エステルモノマーのように、アルキルエステル構造の替わりにフッ素化炭化水素基エステル構造とすることによって、スルホン酸エステル基の安定性が格段に向上し、モノマー取り扱い時、重合操作時、ポリマーの製膜時のいずれの場合にも安定に取り扱うことが可能になった。
【0018】
本発明のフッ素化スルホン酸エステルモノマーから製造されるポリマー中のスルホン酸エステル基は、上記のように安定であるにもかかわらず、化学式(5)で表されるフッ素化モノマーの重合体中の−SO2F基と同様の方法で、スルホン酸塩基やスルホン酸基に誘導することができる。
本発明のフッ素化スルホン酸エステルモノマーにおける−SO3Rf基は、化学式(5)で表されるフッ素化モノマー中の−SO2F基とは異なり、もし、保存中又は取り扱い中に何らかの理由で分解しても、有害なフッ化水素酸を発生する危険性は少ない。
【0019】
本発明のフッ素化スルホン酸エステルモノマーは、一般に、同一構造の−SO2F誘導体よりも高い沸点を示す。したがって、本発明のモノマーの場合には、化学式(5)のフッ素化モノマーの場合に問題となるHFPOオリゴマー誘導体CF3CF2CF2[OCF(CF3)CF2]tOCF=CF2(t=0〜3)との分離は容易である。
さらに、後に述べるように、本発明のモノマーは、化学式(5)のモノマーと違って、p=0の場合でも、各種の合成方法により、良好な収率で合成することができる。
【0020】
本発明のフッ素化スルホン酸エステルモノマーにおいて、Rf基は、フッ素化炭化水素基又はその置換体である。フッ素化炭化水素基又はその置換体の例としては、a)全フッ素化炭化水素基、b)部分フッ素化炭化水素基、c)a)又はb)の基中にエーテル結合を含む基、d)a)、b)又はc)の基に塩素原子及び臭素原子から選ばれる少なくとも1つの原子を1個又は2個含有するもの等が挙げられる。
【0021】
Rf基が水素原子の置換体である場合、[水素原子の数]/[炭素原子の数]の比は、水素原子の位置にも依存するが、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下である。[水素原子の数]/[炭素原子の数]の比が大きすぎると、−SO3Rf部の耐加水分解性が低下しやすくなる。
Rf基にエーテル結合を含む場合、[エーテル結合の数]/[炭素原子の数]の比は、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.35以下、さらに好ましくは0.25以下、最も好ましくは0.2以下である。[エーテル結合の数]/[炭素原子の数]の比が大きすぎると、Rf基部分の安定性が低下しやすくなる。
【0022】
Rf基を構成する炭素原子数には制約は無いが、操作性の点からは1〜12個の範囲が好ましく、2〜9個がより好ましく、2〜6個がさらに好ましく、2〜4個が最も好ましい。
Rf基の構造の具体例を以下に示す。
−CH2CF3、−CF2CH3、−CH2CHF2、−CH2CF2CF3、
−CH2CF2CHF2、−CH(CF3)2、−CH2CF2CF2CF3、
−C(CF3)3、−C6F6、−CH2CF2CHFCF3、
−CH2CF2CF2CF2CHF2、
−CH2CF2CF2CF2CF2CF2CHF2、
−CH2CH2CF2CF2CF2CF3、
−CH2CF(CF3)OCF2CF2CF3、
−CH2CF(CF3)OCF(CF3)2、−CH2CF2OCF2CF3
、−CH2CF2CF2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3
化学式(1)において、nは、0〜2の整数であるが、交換基密度を高くしても充分な強度を保てるので、nは、0又は1が好ましく、0がより好ましい。mは、1〜5の整数であるが、化合物の安定性、原料製造の容易さ、重合体の性能等を勘案すると、mは、2又は3が好ましく、2がより好ましい。
【0023】
化学式(1)で表されるエステルモノマーの製造方法には制約はない。例えば、以下に示すような方法が挙げられる。
1)エステル化→ビニル化法
化学式(7)で表される酸フルオリドを、炭酸ナトリウム等の炭酸塩と反応させて、
【化8】
【0024】
(式中、n及びmは、化学式(1)と同じ)
【0025】
化学式(8)で表されるカルボン酸塩に変換した後、
【化9】
(式中、Mは、Na、K等のアルカリ金属等、n及びmは、化学式(1)と同じ)
【0026】
塩基の存在下で、相当するフルオロアルコール(RfOH)と反応させるか、相当するフルオロアルコールのアルカリ金属アルコキシドと反応させて化学式(9)で表されるエステルを製造し、
【化10】
(式中、Mは、化学式(8)と同じ、n、m及びRfは、化学式(1)と同じ)
加熱、脱炭酸反応により化学式(1)で表されるビニルモノマーとする方法。
【0027】
2)ビニル体のエステル化法
化学式(10)
【化11】
(式中、Xは、F、Cl等のハロゲン原子、n及びmは、化学式(1)と同じ)
で表されるスルホン酸ハライドと、塩基の存在下、相当するフルオロアルコール(RfOH)とを反応させてエステル体を得る方法。 又は最初に、化学式(10)で表される化合物中のビニル基の2重結合を、塩素や臭素等のハロゲン付加で保護しておいてから、フルオロアルコール又はそのアルコキシドと反応させ、最後に亜鉛等を用いて脱ハロゲン化反応を行い、ビニル基を再生することもできる。
【0028】
3) スルホン酸塩からの製造法
化学式(7)で表される化合物をアルカリで処理して、まず化学式(11)で表される塩に変換した後、加熱、脱炭酸して、
【化12】
(式中、MはNa、K等のアルカリ金属等、n及びmは化学式(1)と同じ)
化学式(12)で表されるスルホン酸塩に変換し、
【0029】
【化13】
(式中、Mは、化学式(11)と同じ、n及びmは、化学式(1)と同じ)
次いで、リン塩素化物等で塩素化してスルホン酸クロリドとし、最後に2)の方法でエステル体を得る方法。
この方法は、2)の方法の一部であるが、n=0のエステル体を得る場合に特に有用である。
【0030】
4)スルホン酸へのフルオロオレフィンの付加反応
化学式(2)で表されるスルホン酸と、
【化14】
(式中、n及びmは、化学式(1)と同じ)
化学式(3)で表されるフルオロオレフィンとを反応させる方法。
CR1R2=CR3R4 (3)
(式中、R1、R2、R3及びR4は、いずれも、フッ素原子、水素原子、アルキル基及びフルオロアルキル基から選ばれる基であり、分子内には、少なくとも1個のフッ素原子を有する)
【0031】
この場合、Rf=−CR1R2CHR3R4の化合物が製造される。
この方法で用いられる、化学式(3)で表されるフルオロオレフィンの具体例としては、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、3,3,3−トリフルオロプロペン等が挙げられ、中でもフッ化ビニリデンが好ましい。
この方法における反応条件としては、化学式(2)で表されるスルホン酸と、化学式(3)で表されるフルオロオレフィンとを、0.01〜3MPaの圧力範囲、好ましくは0.1〜2MPaの圧力範囲で加圧混合するものであり、好ましくは30〜200℃、より好ましくは50〜150℃の温度で行う。
【0032】
また、予め、化学式(2)で表されるスルホン酸中のビニル基の2重結合を、塩素や臭素等のハロゲン付加で保護しておいてから、化学式(3)で表されるフルオロオレフィンと反応させ、最後に亜鉛等を用いて脱ハロゲン化反応を行い、ビニル基を再生することもできる。この場合、フルオロオレフィンとの反応温度は制限されるものではないが、通常、−20〜200℃、好ましくは0〜150℃である。
本発明の化学式(1)で表されるフッ素化スルホン酸エステルモノマーは、化学的に安定であり、室温及び大気下で安定に取り扱える。
【0033】
本発明のフッ素化スルホン酸エステルモノマーは、単独重合させてもよいが、他のラジカル重合性のモノマーと共重合させてもよい。機械的強度の高い高重合体を製造するためには、共重合の方が好ましい。本発明のモノマーを共重合させる場合、共重合モノマーとしては、1種又は2種以上のフッ素化オレフィン、1種又は2種以上の非フッ素化オレフィン(例えば、エチレン)、フッ素化オレフィンと非フッ素化オレフィン(例えば、アルキルビニルエーテル)の組み合わせ等、いずれでもよい。各種の共重合モノマーの中でも、化学的安定性の観点からは、フッ素化オレフィンが好ましく、パーフルオロ(クロロ)オレフィンがより好ましく、テトラフルオロエチレン(TFE)及びクロロトリフルオロエチレン(CTFE)がさらに好ましく、TFEが最も好ましい。
【0034】
共重合モノマーとして使用されるフッ素化オレフィンとしては、例えば、テトラフルオロエチレンの他、トリフルオロクロロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテル等が挙げられる。共重合モノマーとして使用されるフッ素化オレフィンとしては、スルホンアミド基、スルホンイミド基、スルホニルフルオリド基、カルボン酸エステル基等の極性基を含むものでもよい。これらの各種の共重合モノマーは複数の種類を組み合わせて使用することもでき、共重合体の性質を調節する目的で特定の共重合モノマーを少量添加して用いてもよい。
【0035】
本発明のフッ素化スルホン酸エステル基含有ポリマーの主たる目的は、燃料電池用隔膜等の高分子電解質としての用途である。このポリマーから誘導されるスルホン酸基は、例えば、疎水性フッ素ポリマーの場合には、これを親水化する効果を有し、ポリマー物性の改質の目的に用いることもできる。したがって、このポリマーが共重合体の場合、ポリマー中のフッ素化スルホン酸エステルモノマー単位の割合は、好ましくは1モル%以上、より好ましくは3モル%以上、最も好ましくは5モル%以上である。
【0036】
特に、このポリマーを燃料電池用隔膜等の高分子電解質として用いる場合には、スルホン酸エステル基の含有量は、スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換したときの交換基容量(スルホン酸基1mol当たりのポリマー重量)で表すと、500〜1500g/molの範囲が好ましく、600〜1200g/molの範囲がより好ましい。
本発明のフッ素化スルホン酸エステルモノマーの単独重合及び共重合は、一般的にはラジカル重合、放射線重合等により行われる。具体的な重合方法としては、特開昭57−92026号公報等に記載されているような溶液重合、水等を媒体とした懸濁重合及び乳化重合の他に、塊状重合、ミニエマルジョン重合、マイクロエマルジョン重合等、いずれの方法も採用可能である。重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤の他、パーフルオロ過酸化物等を用いることができる。
【0037】
以上の方法で製造されたフッ素化スルホン酸エステル基含有ポリマーは新規物質であり、良好な溶融製膜性を有する。ポリマー中のスルホン酸エステル基は、容易にスルホン酸基に変換されることができる。特に、製膜後の膜をスルホン酸に変換する際、従来の−SO2F基を有するポリマーから変換するよりも変換前後の寸法変化が少ないという特徴を有する。したがって、このポリマーは、上記の方法のほか、従来の−SO2F基を有するポリマーをエステル化する等の方法で製造したものであっても、本発明の範囲に含まれるものである。
【0038】
上記スルホン酸エステル基をスルホン酸基に変換する際には、従来の−SO2F基を有するポリマーと同様の条件を採用することができる。すなわち、このポリマーをアルカリ性物質及び/又は酸で処理することにより、高分子電解質に変換される。本発明のスルホン酸エステル基を含む重合体は、アルカリ性物質で処理してケン化することによってスルホン酸塩型の高分子電解質となり、酸で処理することによってスルホン酸型の高分子電解質にできる。
【0039】
スルホン酸型の高分子電解質を製造する際は、通常は、温和な条件で効率的に反応を進行させるために、一旦、アルカリ性物質で処理してスルホン酸塩型とし、次いで、酸で処理することによりスルホン酸型とする場合が多い。
ここで使用されるアルカリ性物質としては、NaOHやKOHのような無機アルカリ物質のほかに、各種の有機アミン化合物と水との混合物(例えば、トリエチルアミン・水系混合物、ジエチルアミン・水系混合物)が含まれる。アルカリ性物質で処理する条件は、従来の−SO2F基含有ポリマーを処理する場合と同様でよく、例えば、NaOH水溶液又はKOH水溶液中、室温〜100℃で行われる。この際、アルコール、水溶性エーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒を混合してもよい。
【0040】
酸で処理する場合は、塩酸、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の強酸の水溶液中、室温〜100℃で行われる。最後に充分水洗することにより、目的のスルホン酸型高分子電解質が得られる。
本発明のフッ素化スルホン酸エステルモノマーは、化学式(5)で表されるフッ素化モノマーと同等の重合性を有し、化学式(5)におけるp=0相当の構造のモノマーも容易に製造でき、精製を阻害するような副生物もなく、フッ酸の発生源となる基も有さないことから、化学式(5)で表されるフッ素化モノマーの取り扱い容易な代替モノマーとして有用である。またこのモノマー単位を含有するフッ素化スルホン酸エステル基含有ポリマーは、そのスルホン酸エステル基を容易にスルホン酸基に誘導することができることから、燃料電池用隔膜、燃料電池用触媒バインダーポリマー、リチウムイオンバッテリー用電解質膜や食塩電解用隔膜等の各種のフッ素系高分子電解質の原料として有用である。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
【0042】
【実施例1】
化学式(13)
【化15】
で表されるビニル化合物22.3gを20gのジメトキシエタンに溶かし、これに10.1gのトリエチルアミンを加えた。次に、この溶液を氷冷し、その中に16.8gの(CF3)2CHOHを40分間かけて滴下した。そのまま0℃で1.5時間攪拌を続け、ガスクロマトグラフィーにより化学式(13)で示されるビニル化合物がほぼ消失したことを確認した後、反応溶液を氷水中に注ぎ、下層を分離した。下層を数回水洗した後、化学式(14)
【0043】
【化16】
で表されるエステルモノマー24.7g(収率83%)を得た。
得られたモノマーの沸点は80℃/2.7×103Paであった。
【0044】
モノマーの構造を19F−NMRにより確認した。
19F−NMR δ(CFCl3基準):−146.8(q,1F)、−138.7(ddt,1F)、−124.7(dd,1F)、−117.3(dd,1F)、−114.8(s,2F)、−86.9(s,2F)、−82.5(s,3F)、−80.5(ABq,2F)、−75.8ppm(d,6F)
【0045】
【実施例2】
化学式(13)で表されるビニル化合物44.6gを30gのジメトキシエタンに溶かし、20.2gのトリエチルアミンを加えた。次に、この溶液を氷冷し、その中に20.0gのCF3CH2OHを30分間で滴下した。そのまま0℃で30分間攪拌を続け、ガスクロマトグラフィーにより化学式(13)で示されるビニル化合物が消失したことを確認した後、反応溶液を氷水中に注ぎ、下層を分離した。下層を数回水洗した後、化学式(15)
【化17】
で表されるエステルモノマー48.5g(収率92%)を得た。得られたモノマーの沸点は85℃/2.7×103Paであった。
【0046】
モノマーの構造を19F−NMRで確認した。
19F−NMR δ(CFCl3基準):−146.6(q,1F)、−138.6(ddt,1F)、−124.4(dd,1F)、−116.9(dd,1F)、−115.9(s,2F)、−86.7(s,2F)、−82.2(s,3F)、−80.9(ABq,2F)、−77.5ppm(t,3F)
【0047】
【実施例3】
化学式(13)で表されるビニル化合物44.6gを30gのジメトキシエタンに溶かし、15.2gのトリエチルアミンを加えた。次に、この溶液を氷−食塩浴で冷却し、その中に19.8gのCHF2CF2CH2OHを40分間かけて滴下した。そのまま30分間攪拌を続けた後、反応溶液を氷水中に注ぎ、下層を分離した。下層を数回水洗した後、化学式(16)
【化18】
で表されるエステルモノマー48.6g(収率87%)を得た。得られたモノマーの沸点は103℃/2.7×103Paであった。
【0048】
モノマーの構造を19F−NMRで確認した。
19F−NMR δ(CFCl3基準):−146.7(s,1F)、−139.7(d,2F)、−138.7(dd,1F)、−126.5(t,2F)、−124.4(dd,1F)、−117.0(dd,1F)、−115.9(s,2F)、−86.7(s,2F)、−82.3(s,3F)、−81.0ppm(ABq,2F)
【0049】
【実施例4】
国際公開第98/43952号パンフレットに記載の方法にしたがって合成した13.6gのCF2=CFOCF2CF2SO3Naを、17.6gの五塩化リンと混合し、窒素気流中、150℃に加熱した。そのまま常圧で留出物を捕集し、17.2gの油状物を得た。
得られた油状物の15.9gに対して、15gの臭素を加え、室温で27時間攪拌した。常圧で190℃まで加熱して留出物を除き、残った液を減圧蒸留(沸点90℃/1.3×103Pa)して5.4gのスルホン酸クロリドCF2BrCFBrOCF2CF2SO2Clを得た。
【0050】
得られたスルホン酸クロリドの構造を19F−NMRで確認した。
19F−NMR δ(CFCl3基準):−110.7(s,2F)、−84.1(d,1F)、−79.8(d,1F)、−72.9(s,1F)、−64.8ppm(s,2F)
窒素気流中、0.48gの水素化ナトリウムディスパージョン(水素化ナトリウム含有率60%)をヘキサンで洗浄後、10mlのジメトキシエタンを加え、0℃に冷却しておき、1.1gのCF3CH2OHを滴下した。この溶液を0℃で0.5時間攪拌後、次に、5.0gの上記スルホン酸クロリドを滴下した。さらに0℃で1.5時間攪拌後、水を加え、CFC43−10meeで抽出した。溶媒を減圧留去後、5.4gの無色油状物を得た。この油状物は19F−NMRからエステル体CF2BrCFBrOCF2CF2SO3CH2CF3であることが確認された。
【0051】
19F−NMR δ(CFCl3基準):−115.5(s,2F)、−85.9(d,1F)、−81.6(d,1F)、−76.2(s,3F)、−73.0(s,1F)、−64.8ppm(s,2F)
上記エステル体5.0g、亜鉛粉末0.83g及びN−メチルピロリドン15mlを混合し、80℃で1時間加熱攪拌した。反応混合物をクーゲルロール蒸留装置に仕込み、そのまま常圧で200℃まで加熱し、留出物を捕集し、1.6gの油状物を得た。この油状物は19F−NMRからエステルモノマーCF2=CFOCF2CF2SO3CH2CF3であることが確認された。
19F−NMR δ(CFCl3基準):−135.2(dd,1F)、−123.8(dd,1F)、−118.4(s,2F)、−115.8(dd,1F)、−84.7(s,2F)、−77.2ppm(t,3F)
【0052】
【実施例5】
窒素気流中、1.76gの水素化ナトリウムディスパージョン(水素化ナトリウム含有率60%)をヘキサンで洗浄後、40mlのジメトキシエタンを加え、−30℃に冷却し、8.8gの(CF3)2CHOHを滴下した。この溶液を0℃に昇温して0.5時間攪拌後、実施例4と同様の方法で合成した、20gのスルホン酸クロリドCF2BrCFBrOCF2CF2SO2Clを滴下した。0℃で1.5時間攪拌後、水を加え、CFC43−10meeで抽出した。溶媒を減圧留去後、22.8gの無色油状物を得た。
【0053】
上記油状物に、亜鉛粉末3.6g及びN−メチルピロリドン50mlを混合し、80℃で1時間加熱攪拌した。反応混合物から減圧で揮発成分を回収し、さらに再蒸留して10.2gの油状物を得た。沸点は35℃/46Paであった。この油状物は19F−NMRからエステルモノマーCF2=CFOCF2CF2SO3CH(CF3)2であることが確認された。
19F−NMR δ(CFCl3基準):−137.5(dd,1F)、−122.5(dd,1F)、−114.7(dd,1F)、−113.9(s,2F)、−84.4(s,2F)、−74.6ppm(d,6F)
【0054】
【実施例6】
窒素気流中、1.98gの水素化ナトリウムディスパージョン(水素化ナトリウム含有率60%)をヘキサンで洗浄後、20mlのジメトキシエタンを加え、0℃に冷却し、4.5gのCF3CH2OHを10mlのジメトキシエタンに溶かした溶液を滴下した。この溶液を室温で2.5時間攪拌し、CF3CH2ONa溶液を調製した。一方、別容器に5.3gの炭酸ナトリウムを20mlのジメトキシエタンに分散させ、CF3CF(COF)OCF2CF2SO2Fを、温度が40℃以下になるように保持しながら滴下した。40℃で1時間攪拌を続けた後、この溶液を0℃に冷却し、その中に上記CF3CH2ONa溶液を滴下した。室温で1日攪拌を続けた後、溶媒を減圧で留去して28gの粗エステルCF3CF(CO2Na)OCF2CF2SO3CH2CF3を調製した。
【0055】
次に、5.0gの上記粗エステルを20mlのジグライムに溶解し、150℃で1時間加熱した。この溶液をガスクロマトグラフィー及び19F−NMRで分析したところ、実施例4で得られたものと同じCF2=CFOCF2CF2SO3CH2CF3が生成していることが確認された。
【0056】
【実施例7】
ステンレス製200ml耐圧容器に、実施例1で得られたエステルモノマー(使用前に回転バンド蒸留装置で精留したもの)15g、30gのHFC43−10mee及び重合開始剤として(CF3CF2CF2COO)2の5%HFC43−10mee溶液0.64gを入れ、容器内を充分に窒素置換した後、TFEで0.3MPaに加圧した。25℃で攪拌しながら、内圧を0.3MPaに保つよう適宜TFEを追加圧入した。3時間反応させた後、放圧し、白色の膨潤した固形物を得た。この固形物をアセトンで洗浄、乾燥して3.7gの白色粉末を得た。この粉末は280℃でプレス製膜可能であり、得られた厚さ80μmのフィルムのIRスペクトルからエステル基の吸収(1460cm−1)が確認された。
【0057】
得られた重合体フィルムを、KOH/ジメチルスルホキシド/水(3:6:11/質量比)中、90℃で1時間浸漬して加水分解反応を行った。水洗後、次に4N硫酸中、90℃で1時間浸漬し、水洗、乾燥してスルホン酸型のフィルムに変換した。
【0058】
【実施例8】
エステルモノマーとして、実施例2で得られたもの(使用前に回転バンド蒸留装置で精留した)を用いた以外、実施例6と同様に重合を行った。3.5時間反応させた後、放圧し、白色の膨潤した固形物を得た。この固形物をアセトンで洗浄、乾燥して3.2gの白色粉末を得た。この粉末は270℃でプレス製膜可能であり、得られた厚さ80μmのフィルムのIRスペクトルからエステル基の吸収(1460cm−1)が確認された。
【0059】
【実施例9】
化学式(13)
【化19】
で表されるビニル化合物162gを120mlのHFC43−10meeに溶解させ、室温で61gの臭素を滴下した。室温でしばらく攪拌を続けた後、過剰の臭素と溶媒を留去した後、減圧蒸留(沸点110℃/6.7kPa)を行うことによって201gの無色液体が得られた。この液体は、19F−NMRより、化学式(17)で表される臭素付加体
【0060】
【化20】
であることが確認された(収率91%)。
【0061】
19F−NMR:δ(CFCl3基準)−146.6(s,1F)、−114.0(s,2F)、−87.5(dd,1F)、−83.6(dd,1F)、−81.5(s,3F)、−81.0(ABq,2F)、−73.0(d,1F)、−65.0(s,2F)、43.4ppm(s,1F)
【0062】
次に、水酸化ナトリウム25.2gを溶解させた200mlのエタノール溶液を0℃に冷却し、得られた化学式(17)で表される臭素付加体182.1gを滴下し、0℃で1時間、室温で1.5時間、さらに60℃で1時間攪拌させた。この反応溶液を室温まで冷却させ、セライトを使ってこの溶液を濾過した後、濾液を減圧濃縮すると、淡黄色固体176.2gが得られた。この固体は、19F−NMRより化学式(18)で表されるスルホン酸ナトリウム塩
【化21】
であることが確認された(収率94%)。
【0063】
19F−NMR:δ(CFCl3基準)−145.9(d,1F)、−118.2(s,2F)、−86.0(dd,1F)、−82.2(dd,1F)、−80.5(s,3F)、−80.0(ABq,2F)、−73.2(s,1F)、−65.0ppm、(s,2F)
【0064】
得られたスルホン酸ナトリウム塩(18)26.5gに濃硫酸30mlを加えて溶解後、減圧蒸留(沸点125〜130℃/0.13kPa)を行うことにより17.7gの無色液体が得られた。この液体は、19F−NMR、1H−NMRより、化学式(19)で表されるスルホン酸
【化22】
であることが確認された(収率69%)。
【0065】
19F−NMR:δ(CFCl3基準)−146.6(s,1F)、−116.9(s,2F)、−87.5(t,1F)、−83.0(t,1F)、−81.5(s,3F)、−80.6(ABq,2F)、−73.2(d,1F)、−65.0ppm(s,2F)
1H−NMR:δ(Me4Si基準)12.5ppm(s,1H)、
【0066】
ステンレス製100ml耐圧容器に、化学式(19)で表される上記スルホン酸14.4gを入れ、フッ化ビニリデンで0.4MPaに加圧した。25℃で攪拌しながら内圧を0.4MPaに保つように適宜フッ化ビニリデンを追加圧入した。フッ化ビニリデンの圧力低下が収まってから、さらに30分間、内圧を0.4MPaに保った後、放圧することによって15.4gの無色液体が得られた。この液体は19F−NMR、1H−NMRより、化学式(20)で表されるスルホン酸エステル
【化23】
であることが確認された(収率97%)。
【0067】
19F−NMR:δ(CFCl3基準)−146.6(s,1F)、−115.0(s,2F)、−87.4(t,1F)、−83.0(t,1F)、−81.3(s,3F)、−80.6(ABq,2F)、−72.8(d,1F)、−64.9(s,2F)、―59.6ppm(s,2F)
1H−NMR:δ(Me4Si基準)1.8ppm(t,3H)
【0068】
窒素気流下、化学式(20)で表される上記エステル体11.3g、亜鉛粉末2.2g及びアセトニトリル40mlを混合し、50℃で5分攪拌後、この反応混合物を濾過した。濾液を減圧濃縮後、減圧蒸留する(沸点66〜67.5℃/0.8kPa)ことにより、5.3gの無色液体が得られた。この液体は、19F−NMR、1H−NMR、ガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GC−MASS)より、化学式(21)で表されるスルホン酸エステルモノマー
【化24】
であることが確認された(収率62%)。
【0069】
19F−NMR:δ(CFCl3基準)−146.5(s,1F)、−138.6(dd,1F)、−124.3(dd,1F)、―116.8(dd,1F)、−115.5(s,2F)、−86.5(q,2F)、−82.1(s,3F)、−80.8(q,2F)、−60.1ppm(s,2F)
1H−NMR:δ(Me4Si基準)2.0ppm(t,3H)
EI−MS:m/z 100、97、81、65
CI−MS:526(M+NH4 +)
【0070】
【実施例10】
ステンレス製200ml耐圧容器に、実施例9で得られた化学式(21)で表されるスルホン酸エステルモノマー5g、15gのHFC43−10mee及び重合開始剤として(CF3CF2CF2COO)2の5%HFC43−10mee溶液0.12gを入れ、容器内を充分に窒素置換した後、TFEで0.3MPaに加圧した。23℃で攪拌しながら内圧を0.3MPaに保つように適宜TFEを追加圧入した。1時間反応させた後、放圧することによって白色の膨潤した固形物を得た。この固形物をメタノールで洗浄、乾燥して、3.3gの白色粉末を得た。この粉末は280℃でプレス製膜可能であり、得られたフィルムのIRスペクトルからエステル基の吸収(1415cm−1)が確認された。
【0071】
【実施例11】
国際公開第98/43952号パンフレットに記載の方法にしたがって合成した15.0gのCF2=CFOCF2CF2SO3Naを、21mlの濃硫酸と混合し、減圧蒸留を行う(沸点90〜130℃/0.13kPa)ことにより、5.2gの無色液体が得られた。この液体は19F−NMR、1H−NMRより、CF2=CFOCF2CF2SO3Hであることが確認された(収率30%、純度80%)。
【0072】
19F−NMR:δ(CFCl3基準)−137.7(dd,1F)、−124.2(dd,1F)、―118.9(s,2F)、−116.8(dd,1F)、−86.0ppm(s,2F)
1H−NMR:δ(Me4Si基準)10.5ppm(s,1H)
ステンレス製100ml耐圧容器に、CF2=CFOCF2CF2SO3H1.0gを入れ、フッ化ビニリデンで0.5MPaに加圧した。100℃で攪拌しながら内圧を0.5MPaに保つように適宜フッ化ビニリデンを追加圧入した。5時間反応させた後、放圧することによって、1.25gの油状物が得られた。この油状物は19F−NMR、ガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GC−MASS)より、CF2=CFOCF2CF2SO3CF2CH3であることが確認された。
【0073】
19F−NMR:δ(CFCl3基準)−137.2(dd,1F)、−122.8(dd,1F)、―115.5(dd,1F)、−114.3(s,2F)、−84.5(s,2F)、−58.9ppm(s,2F)
EI−MS:m/z 100、97、81、65
CI−MS:360(M+NH4 +)
【0074】
【発明の効果】
本発明のフッ素化スルホン酸エステルモノマーは、化学式(5)で表されるフッ素化モノマーと同等の重合性を有し、化学式(5)におけるp=0相当の構造のモノマーも容易に製造することができ、精製を阻害するような副生物もなく、フッ酸の発生源となる基も有さないことから、化学式(5)で表されるフッ素化モノマーの取り扱い容易な代替モノマーとして有用である。
【0075】
また、このモノマー単位を含有するフッ素化スルホン酸エステル基含有ポリマーは、そのスルホン酸エステル基を容易にスルホン酸基に誘導できることから、燃料電池用隔膜、燃料電池用触媒バインダーポリマー、リチウムイオンバッテリー用電解質膜、食塩電解用隔膜等の各種のフッ素系高分子電解質の原料として有用である。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a novel fluorine having a sulfonic acid derivative group, which is useful as a raw material for various fluorine-based polymer electrolytes, such as a fuel cell membrane, a catalyst binder polymer for a fuel cell, a membrane for salt electrolysis, and an electrolyte membrane for a lithium ion battery. And a polymer thereof.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a perfluoropolymer represented by chemical formula (4) has been mainly used as a main component of a fuel cell diaphragm, a salt electrolysis diaphragm, and the like.
Embedded image
(In the formula, p is an integer of 0 to 1, and q is an integer of 1 to 5.)
This polymer is produced by forming a copolymer of a fluorinated monomer represented by the chemical formula (5) and tetrafluoroethylene (TFE), followed by a saponification reaction and an acid treatment.
[0003]
Embedded image
(In the formula, p and q are the same as those in the chemical formula (4).)
[0004]
Among the fluorinated monomers represented by the chemical formula (5), polymers produced from monomers having p = 1 and q = 2 to 3 are widely used.
The monomer having p = 1 and q = 2 to 3 is produced by the following reaction.
Embedded image
[0005]
By the way, in the polymer represented by the chemical formula (4), in the case of p = 0, the spacer portion between the main chain and the sulfonic acid group is shorter than in the case of p = 1. Also exhibits high glass transition temperature and high strength. Therefore, this polymer is preferable in terms of heat resistance.
However, there is a problem that it is difficult to synthesize a monomer having p = 0 in the chemical formula (5), which is a raw material. That is, for the purpose of synthesizing a monomer having p = 0 in the chemical formula (5), the intermediate CF3CF (COF) O (CF2)qSO2It is known that when F is subjected to the same decarboxylation reaction as in the case of p = 1, the cyclization reaction becomes the main reaction and the yield of the desired fluorinated monomer having a short side chain structure becomes extremely low. ing. For example, when q = 3, although a fluorinated monomer can be obtained, a cyclization reaction which is a side reaction occurs, and thus the yield is at most about 50%. Only the reaction proceeded, and no fluorinated monomer was obtained.
[0006]
In the chemical formula (5), as another synthesis method of the monomer having p = 0, Patent Document 1 discloses a method of synthesizing using a chlorine atom-containing fluoroepoxide. In this case, chlorine, which is a raw material, is used. The synthesis of atom-containing fluoroepoxides is complicated and the yield is low, which is not practical.
In order to solve the problem in the synthesis of the monomer having p = 0 in the chemical formula (5), -SO2A fluorinated monomer having a sulfonic acid-inducible sulfonic acid precursor group having a structure other than the F group has been proposed. For example, Patent Document 2 discloses that CF3CF (COF) OCF2CF2SO2A method is described in which F is reacted with NaOH to convert both carboxylic acid fluoride and sulfonic acid fluoride into Na salts, followed by a decarboxylation reaction to produce a fluorinated monomer represented by the chemical formula (6). .
[0007]
CF2= CFOCF2CF2SO3Na @ (6)
Another method for producing the monomer of the chemical formula (6) includes CF3CF (COF) OCF2CF2SO2The cyclized product obtained by the decarboxylation of F3Patent Document 3 describes a method for reacting with the compound.
However, the fluorinated monomer represented by the chemical formula (6) obtained by these methods cannot be purified by distillation because it has a sulfonate structure. Therefore, it is difficult to obtain a high-purity product, and further, it is difficult to form a film after polymerization.
[0008]
The fluorinated monomer represented by the chemical formula (5) further has the following problems.
a) -SO as represented by the chemical formula (5)2Since the F group-containing monomer or its polymer may generate harmful hydrofluoric acid or a fluorine ion which is a precursor thereof under various conditions, care must be taken in storage or handling. For example, this monomer or its polymer may be used during storage, polymerization, film formation, etc., in various types of impurities and additives such as water, various metal salts, various onium salts, various acidic substances, and various basic substances. By reaction with the material of the apparatus such as a reactor (and water).2The F group may be decomposed to generate hydrofluoric acid or fluorine ions.
[0009]
b) When hexafluoropropene oxide (HFPO) is used as a raw material for synthesis as in the above synthesis reaction, an HFPO oligomer derivative CF by-produced during synthesis is used.3CF2CF2[OCF (CF3) CF2]tOCF = CF2Since the structure and boiling point of the target fluorinated monomer are similar to those of (t = 0 to 3), the step of separating the two is complicated, and further causes a reduction in yield.
Therefore, it has the same polymerizability as the fluorinated monomer represented by the chemical formula (5), and further has the above-mentioned problems during the synthesis / purification and handling of the fluorinated monomer represented by the chemical formula (5) A new type of sulfonic acid precursor group-containing monomer that solves the problems at the time has not been reported so far.
[0010]
[Patent Document 1]
JP-A-57-28024
[Patent Document 2]
International Publication No. 98/43952 pamphlet
[Patent Document 3]
JP-B-47-2083
[0011]
[Problems to be solved by the invention]
The present invention solves the above-mentioned problems, and has 1) polymerizability equivalent to that of the fluorinated monomer represented by the chemical formula (5), and 2) having a structure equivalent to p = 0 in the chemical formula (5). The monomer can be easily produced. 3) There is no by-product that hinders the purification of the monomer. 4) There is no generation of hydrofluoric acid when handling the monomer or its polymer. 5) The sulfonic acid group is easily converted to a polymer. An object of the present invention is to provide a new type of sulfonic acid precursor group-containing monomer having a derivable sulfonic acid precursor group, and a polymer thereof.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies in order to solve the above-mentioned problems, and as a result, a fluorinated monomer having a sulfonic acid precursor group having a specific structure is equivalent to the fluorinated monomer represented by the chemical formula (5). It has been found that it has polymerizability and that the sulfonic acid ester group in the polymer can be easily derived to a sulfonic acid group. Further, this monomer is used for the synthesis and purification of a fluorinated monomer represented by the chemical formula (5). The present invention has been found to solve the problems at the time or handling, and has completed the present invention.
That is, the present invention is as follows.
[0013]
(1) A fluorinated sulfonic acid ester monomer represented by the chemical formula (1).
Embedded image
(Wherein, n is an integer of 0 to 2, m is an integer of 1 to 5, Rf is a fluorinated hydrocarbon group or a substituted product thereof)
[0014]
(2) In the chemical formula (1), Rf is -CR1R2CHR3R4(R1, R2, R3And R4Is a group selected from a fluorine atom, a hydrogen atom, an alkyl group, and a fluoroalkyl group, respectively, and has at least one fluorine atom in the molecule). monomer.
(3) The fluorinated sulfonic acid ester monomer according to (1), wherein n = 0 in the chemical formula (1).
(4) A fluorinated sulfonic acid ester group-containing polymer comprising a monomer unit represented by the chemical formula (1).
[0015]
(5) a sulfonic acid represented by the chemical formula (2),
Embedded image
(Where n and m are the same as in chemical formula (1))
Fluoroolefin represented by chemical formula (3)
CR1R2= CR3R4(3)
(Where R1, R2, R3And R4Is a group selected from a fluorine atom, a hydrogen atom, an alkyl group and a fluoroalkyl group, respectively, and has at least one fluorine atom in the molecule.
The method for producing a fluorinated sulfonic acid ester monomer according to (2), wherein
[0016]
(6) Reacting the sulfonic acid represented by the chemical formula (2) with the fluoroolefin represented by the chemical formula (3) in a pressure range of 0.01 to 3 MPa and a temperature range of 30 to 200 ° C. (5) The method for producing a fluorinated sulfonic acid ester monomer according to (5).
[0017]
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
Generally, alkyl esters of fluorosulfonic acid are very unstable and readily react with water in the air to hydrolyze. Therefore, utilizing such a high reactivity, the alkyl ester of fluorosulfonic acid is rather used as an alkylating agent.
However, by using a fluorinated hydrocarbon group ester structure instead of the alkyl ester structure as in the fluorinated sulfonic acid ester monomer of the present invention represented by the chemical formula (1), the stability of the sulfonic acid ester group is remarkably improved. And it can be handled stably in any of the cases of handling monomers, performing polymerization operations, and forming polymers.
[0018]
Although the sulfonic acid ester group in the polymer produced from the fluorinated sulfonic acid ester monomer of the present invention is stable as described above, the sulfonic acid ester group in the polymer of the fluorinated monomer represented by the chemical formula (5) -SO2In the same manner as for the F group, it can be derived into a sulfonic acid group or a sulfonic acid group.
-SO in the fluorinated sulfonic acid ester monomer of the present invention3The Rf group represents —SO in the fluorinated monomer represented by the chemical formula (5).2Unlike the F group, if decomposed for any reason during storage or handling, there is little risk of generating harmful hydrofluoric acid.
[0019]
The fluorinated sulfonic acid ester monomer of the present invention generally has the same structure of -SO2It shows a higher boiling point than the F derivative. Therefore, in the case of the monomer of the present invention, the HFPO oligomer derivative CF which is a problem in the case of the fluorinated monomer of the chemical formula (5)3CF2CF2[OCF (CF3) CF2]tOCF = CF2(T = 0 to 3) is easy to separate.
Further, as described later, unlike the monomer of the chemical formula (5), even when p = 0, the monomer of the present invention can be synthesized in a good yield by various synthesis methods.
[0020]
In the fluorinated sulfonic acid ester monomer of the present invention, the Rf group is a fluorinated hydrocarbon group or a substituted product thereof. Examples of the fluorinated hydrocarbon group or a substituent thereof include a) a fully fluorinated hydrocarbon group, b) a partially fluorinated hydrocarbon group, c) a group containing an ether bond in the group of a) or b), d. And (b) those containing at least one atom selected from a chlorine atom and a bromine atom in the group a), b) or c).
[0021]
When the Rf group is a substituent of a hydrogen atom, the ratio of [number of hydrogen atoms] / [number of carbon atoms] depends on the position of the hydrogen atom, but is preferably 2.0 or less, more preferably 1% or less. 0.5 or less. If the ratio of [number of hydrogen atoms] / [number of carbon atoms] is too large, -SO3The hydrolysis resistance of the Rf portion tends to decrease.
When the Rf group contains an ether bond, the ratio of [number of ether bonds] / [number of carbon atoms] is preferably 0.5 or less, more preferably 0.35 or less, still more preferably 0.25 or less, and most preferably 0.25 or less. Preferably it is 0.2 or less. If the ratio of [the number of ether bonds] / [the number of carbon atoms] is too large, the stability of the Rf group portion tends to decrease.
[0022]
The number of carbon atoms constituting the Rf group is not limited, but is preferably in the range of 1 to 12, more preferably 2 to 9, more preferably 2 to 6, and 2 to 4 from the viewpoint of operability. Is most preferred.
Specific examples of the structure of the Rf group are shown below.
-CH2CF3, -CF2CH3, -CH2CHF2, -CH2CF2CF3,
-CH2CF2CHF2, -CH (CF3)2, -CH2CF2CF2CF3,
−C (CF3)3, -C6F6, -CH2CF2CHFCF3,
-CH2CF2CF2CF2CHF2,
-CH2CF2CF2CF2CF2CF2CHF2,
-CH2CH2CF2CF2CF2CF3,
-CH2CF (CF3) OCF2CF2CF3,
-CH2CF (CF3) OCF (CF3)2, -CH2CF2OCF2CF3
, -CH2CF2CF2CH2OCH2CH2OCH2CH2OCH3
In the chemical formula (1), n is an integer of 0 to 2. However, n is preferably 0 or 1, and more preferably 0, because sufficient strength can be maintained even when the exchange group density is increased. m is an integer of 1 to 5, but in consideration of the stability of the compound, the easiness of raw material production, the performance of the polymer, and the like, m is preferably 2 or 3, and more preferably 2.
[0023]
There is no limitation on the method for producing the ester monomer represented by the chemical formula (1). For example, the following method can be used.
1) Esterification → vinylation method
The acid fluoride represented by the chemical formula (7) is reacted with a carbonate such as sodium carbonate,
Embedded image
[0024]
(Where n and m are the same as in chemical formula (1))
[0025]
After converting into the carboxylate represented by the chemical formula (8),
Embedded image
(In the formula, M is an alkali metal such as Na or K, and n and m are the same as those in the chemical formula (1).)
[0026]
Reacting with a corresponding fluoroalcohol (RfOH) in the presence of a base or reacting with an alkali metal alkoxide of the corresponding fluoroalcohol to produce an ester represented by the chemical formula (9),
Embedded image
(Where M is the same as chemical formula (8), n, m and Rf are the same as chemical formula (1))
A method in which a vinyl monomer represented by the chemical formula (1) is obtained by heating and decarboxylation.
[0027]
2) Esterification method of vinyl
Chemical formula (10)
Embedded image
(In the formula, X is a halogen atom such as F or Cl, and n and m are the same as those in the chemical formula (1).)
By reacting a sulfonic acid halide represented by the formula with a corresponding fluoroalcohol (RfOH) in the presence of a base to obtain an ester form. Alternatively, first, the double bond of the vinyl group in the compound represented by the chemical formula (10) is protected by addition of a halogen such as chlorine or bromine, and then reacted with a fluoroalcohol or an alkoxide thereof. The vinyl group can also be regenerated by performing a dehalogenation reaction using the above method.
[0028]
3) Preparation from sulfonate salt
The compound represented by the chemical formula (7) is treated with an alkali, first converted into a salt represented by the chemical formula (11), and then heated and decarboxylated.
Embedded image
(In the formula, M is an alkali metal such as Na or K, and n and m are the same as those in the chemical formula (1).)
Converted to a sulfonate represented by the chemical formula (12),
[0029]
Embedded image
(Wherein, M is the same as chemical formula (11), and n and m are the same as chemical formula (1))
Next, chlorinating with a chlorinated phosphorus compound to obtain sulfonic acid chloride, and finally obtaining an ester by the method of 2).
This method is a part of the method 2), and is particularly useful for obtaining an ester in which n = 0.
[0030]
4) Addition reaction of fluoroolefin to sulfonic acid
A sulfonic acid represented by the chemical formula (2),
Embedded image
(Where n and m are the same as in chemical formula (1))
A method of reacting with a fluoroolefin represented by the chemical formula (3).
CR1R2= CR3R4(3)
(Where R1, R2, R3And R4Is a group selected from a fluorine atom, a hydrogen atom, an alkyl group and a fluoroalkyl group, and has at least one fluorine atom in the molecule.)
[0031]
In this case, Rf = −CR1R2CHR3R4Is produced.
Specific examples of the fluoroolefin represented by the chemical formula (3) used in this method include vinylidene fluoride, trifluoroethylene, vinyl fluoride, 3,3,3-trifluoropropene and the like. Vinylidene chloride is preferred.
As reaction conditions in this method, a sulfonic acid represented by the chemical formula (2) and a fluoroolefin represented by the chemical formula (3) are mixed in a pressure range of 0.01 to 3 MPa, preferably 0.1 to 2 MPa. The mixing is carried out under pressure in a pressure range, preferably at a temperature of 30 to 200 ° C, more preferably 50 to 150 ° C.
[0032]
Further, beforehand, the double bond of the vinyl group in the sulfonic acid represented by the chemical formula (2) is protected by addition of a halogen such as chlorine or bromine, and then the fluoroolefin represented by the chemical formula (3) is used. After the reaction, a dehalogenation reaction is finally performed using zinc or the like to regenerate the vinyl group. In this case, the reaction temperature with the fluoroolefin is not limited, but is usually -20 to 200C, preferably 0 to 150C.
The fluorinated sulfonic acid ester monomer represented by the chemical formula (1) of the present invention is chemically stable and can be handled stably at room temperature and in the atmosphere.
[0033]
The fluorinated sulfonic acid ester monomer of the present invention may be homopolymerized, or may be copolymerized with another radically polymerizable monomer. In order to produce a high polymer having high mechanical strength, copolymerization is preferred. When the monomer of the present invention is copolymerized, the copolymerized monomer may be one or more fluorinated olefins, one or more non-fluorinated olefins (eg, ethylene), and a fluorinated olefin and a non-fluorinated olefin. Any combination, such as a combination of a functionalized olefin (for example, alkyl vinyl ether), may be used. Among various copolymerized monomers, from the viewpoint of chemical stability, a fluorinated olefin is preferable, a perfluoro (chloro) olefin is more preferable, and tetrafluoroethylene (TFE) and chlorotrifluoroethylene (CTFE) are more preferable. , TFE are most preferred.
[0034]
Examples of the fluorinated olefin used as the copolymerizable monomer include, for example, tetrafluoroethylene, trifluorochloroethylene, trifluoroethylene, vinylidene fluoride, hexafluoropropylene, perfluoromethyl vinyl ether, perfluoropropyl vinyl ether, and the like. Can be As the fluorinated olefin used as the copolymerization monomer, one containing a polar group such as a sulfonamide group, a sulfonimide group, a sulfonyl fluoride group, and a carboxylic acid ester group may be used. These various copolymer monomers may be used in combination of a plurality of types, and a small amount of a specific copolymer monomer may be added for the purpose of adjusting the properties of the copolymer.
[0035]
The main purpose of the fluorinated sulfonic acid ester group-containing polymer of the present invention is as a polymer electrolyte such as a fuel cell membrane. For example, in the case of a hydrophobic fluoropolymer, a sulfonic acid group derived from this polymer has an effect of rendering it hydrophilic, and can be used for the purpose of modifying the physical properties of the polymer. Therefore, when this polymer is a copolymer, the proportion of the fluorinated sulfonic acid ester monomer unit in the polymer is preferably at least 1 mol%, more preferably at least 3 mol%, most preferably at least 5 mol%.
[0036]
In particular, when this polymer is used as a polymer electrolyte such as a fuel cell membrane, the content of the sulfonic acid ester group is determined by the capacity of the exchange group when the sulfonic acid ester group is converted into the sulfonic acid group (1 mol of the sulfonic acid group). (Weight of polymer per unit), the range is preferably 500 to 1500 g / mol, and more preferably 600 to 1200 g / mol.
The homopolymerization and copolymerization of the fluorinated sulfonic acid ester monomer of the present invention are generally performed by radical polymerization, radiation polymerization or the like. Specific polymerization methods include solution polymerization, suspension polymerization and emulsion polymerization using water or the like as described in JP-A-57-92026, bulk polymerization, mini-emulsion polymerization, Any method such as microemulsion polymerization can be adopted. As the polymerization initiator, a perfluoro peroxide or the like can be used in addition to a usual radical initiator.
[0037]
The fluorinated sulfonic acid ester group-containing polymer produced by the above method is a novel substance and has good melt film-forming properties. The sulfonic acid ester groups in the polymer can be easily converted to sulfonic acid groups. In particular, when converting the membrane after film formation into sulfonic acid, the conventional -SO2It is characterized in that the dimensional change before and after the conversion is smaller than when converted from a polymer having an F group. Therefore, this polymer can be used in addition to the above-mentioned method, as well as the conventional -SO2Even those produced by a method such as esterification of a polymer having an F group are included in the scope of the present invention.
[0038]
When converting the sulfonic acid ester group into a sulfonic acid group, a conventional -SO2The same conditions as for the polymer having an F group can be employed. That is, by treating this polymer with an alkaline substance and / or an acid, it is converted into a polymer electrolyte. The polymer containing a sulfonic acid ester group of the present invention is converted into a sulfonic acid type polymer electrolyte by treating with an alkaline substance and saponifying, and can be converted into a sulfonic acid type polymer electrolyte by treating with an acid.
[0039]
When producing a sulfonic acid type polymer electrolyte, usually, in order to allow the reaction to proceed efficiently under mild conditions, once, it is treated with an alkaline substance to form a sulfonic acid salt type, and then treated with an acid. In many cases, the sulfonic acid type is used.
The alkaline substance used here includes, in addition to inorganic alkaline substances such as NaOH and KOH, mixtures of various organic amine compounds with water (for example, triethylamine / water-based mixture, diethylamine / water-based mixture). Conditions for treating with an alkaline substance are the conventional -SO2The treatment may be the same as in the case of treating the F group-containing polymer, for example, in an aqueous NaOH or KOH solution at room temperature to 100 ° C. At this time, an organic solvent such as alcohol, water-soluble ether, dimethylformamide, and dimethylsulfoxide may be mixed.
[0040]
When treating with an acid, the treatment is performed at room temperature to 100 ° C. in an aqueous solution of a strong acid such as hydrochloric acid, sulfuric acid, and trifluoromethanesulfonic acid. Finally, by sufficiently washing with water, the desired sulfonic acid type polymer electrolyte can be obtained.
The fluorinated sulfonic acid ester monomer of the present invention has the same polymerizability as the fluorinated monomer represented by the chemical formula (5), and a monomer having a structure corresponding to p = 0 in the chemical formula (5) can be easily produced, Since it has no by-products that hinder purification and has no group serving as a source of hydrofluoric acid, it is useful as an easy-to-handle alternative monomer for the fluorinated monomer represented by the chemical formula (5). Further, the fluorinated sulfonic acid ester group-containing polymer containing this monomer unit can easily induce the sulfonic acid ester group into a sulfonic acid group, and thus can be used as a fuel cell diaphragm, a fuel cell catalyst binder polymer, a lithium ion It is useful as a raw material for various fluorine-based polymer electrolytes such as an electrolyte membrane for a battery and a diaphragm for salt electrolysis.
[0041]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be specifically described based on examples.
[0042]
Embodiment 1
Chemical formula (13)
Embedded image
Was dissolved in 20 g of dimethoxyethane, and 10.1 g of triethylamine was added thereto. The solution was then cooled on ice and 16.8 g of (CF3)2CHOH was added dropwise over 40 minutes. Stirring was continued at 0 ° C. for 1.5 hours. After confirming that the vinyl compound represented by the chemical formula (13) had almost disappeared by gas chromatography, the reaction solution was poured into ice water, and the lower layer was separated. After washing the lower layer several times with water, the chemical formula (14)
[0043]
Embedded image
24.7 g (yield: 83%) of an ester monomer represented by the formula: was obtained.
The boiling point of the obtained monomer is 80 ° C./2.7×103Pa.
[0044]
The structure of the monomer19Confirmed by F-NMR.
19F-NMR δ (CFCl3(Reference): -146.8 (q, 1F), -138.7 (ddt, 1F), -124.7 (dd, 1F), -117.3 (dd, 1F), -114.8 (s, 2F), -86.9 (s, 2F), -82.5 (s, 3F), -80.5 (ABq, 2F), -75.8 ppm (d, 6F)
[0045]
Embodiment 2
44.6 g of the vinyl compound represented by the chemical formula (13) was dissolved in 30 g of dimethoxyethane, and 20.2 g of triethylamine was added. Next, the solution was cooled on ice and 20.0 g of CF was added thereto.3CH2OH was added dropwise over 30 minutes. Stirring was continued at 0 ° C. for 30 minutes, and after confirming that the vinyl compound represented by the chemical formula (13) had disappeared by gas chromatography, the reaction solution was poured into ice water and the lower layer was separated. After washing the lower layer several times with water, the chemical formula (15)
Embedded image
48.5 g (yield: 92%) of an ester monomer represented by the formula: was obtained. The boiling point of the obtained monomer is 85 ° C./2.7×103Pa.
[0046]
The structure of the monomer19Confirmed by F-NMR.
19F-NMR δ (CFCl3(Reference): -146.6 (q, 1F), -138.6 (ddt, 1F), -124.4 (dd, 1F), -116.9 (dd, 1F), -115.9 (s, 2F), -86.7 (s, 2F), -82.2 (s, 3F), -80.9 (ABq, 2F), -77.5 ppm (t, 3F)
[0047]
Embodiment 3
44.6 g of the vinyl compound represented by the chemical formula (13) was dissolved in 30 g of dimethoxyethane, and 15.2 g of triethylamine was added. The solution was then cooled in an ice-salt bath, into which 19.8 g of CHF2CF2CH2OH was added dropwise over 40 minutes. After continuing stirring for 30 minutes as it was, the reaction solution was poured into ice water, and the lower layer was separated. After washing the lower layer several times with water, the chemical formula (16)
Embedded image
48.6 g (yield 87%) of an ester monomer represented by the following formula: was obtained. The boiling point of the obtained monomer is 103 ° C./2.7×103Pa.
[0048]
The structure of the monomer19Confirmed by F-NMR.
19F-NMR δ (CFCl3(Reference): -146.7 (s, 1F), -139.7 (d, 2F), -138.7 (dd, 1F), -126.5 (t, 2F), -124.4 (dd, 1F), -117.0 (dd, 1F), -115.9 (s, 2F), -86.7 (s, 2F), -82.3 (s, 3F), -81.0 ppm (ABq, 2F)
[0049]
Embodiment 4
13.6 g of CF synthesized according to the method described in WO 98/43952 pamphlet2= CFOCF2CF2SO3Na was mixed with 17.6 g of phosphorus pentachloride and heated to 150 ° C. in a stream of nitrogen. The distillate was collected as it was at normal pressure to obtain 17.2 g of an oil.
15 g of bromine was added to 15.9 g of the obtained oil, and the mixture was stirred at room temperature for 27 hours. Distillate was removed by heating to 190 ° C. under normal pressure, and the remaining liquid was distilled under reduced pressure (boiling point 90 ° C./1.3×10 33Pa) to 5.4 g of sulfonic acid chloride CF2BrCFBrOCF2CF2SO2Cl was obtained.
[0050]
The structure of the resulting sulfonic acid chloride19Confirmed by F-NMR.
19F-NMR δ (CFCl3(Reference): -110.7 (s, 2F), -84.1 (d, 1F), -79.8 (d, 1F), -72.9 (s, 1F), -64.8 ppm (s, 1F) 2F)
In a nitrogen stream, 0.48 g of sodium hydride dispersion (sodium hydride content: 60%) was washed with hexane, 10 ml of dimethoxyethane was added, the mixture was cooled to 0 ° C., and 1.1 g of CF was added.3CH2OH was added dropwise. The solution was stirred at 0 ° C. for 0.5 hour, and then 5.0 g of the above sulfonic acid chloride was added dropwise. After stirring at 0 ° C. for 1.5 hours, water was added, and the mixture was extracted with CFC43-10mee. After evaporating the solvent under reduced pressure, 5.4 g of a colorless oil was obtained. This oil is19From F-NMR, the ester CF2BrCFBrOCF2CF2SO3CH2CF3Was confirmed.
[0051]
19F-NMR δ (CFCl3Reference): -115.5 (s, 2F), -85.9 (d, 1F), -81.6 (d, 1F), -76.2 (s, 3F), -73.0 (s, 2F) 1F), -64.8 ppm (s, 2F)
5.0 g of the above-mentioned ester, 0.83 g of zinc powder and 15 ml of N-methylpyrrolidone were mixed and heated and stirred at 80 ° C. for 1 hour. The reaction mixture was charged into a Kugelrohr distillation apparatus, and heated to 200 ° C. under normal pressure to collect distillate, thereby obtaining 1.6 g of an oily substance. This oil is19From F-NMR, the ester monomer CF2= CFOCF2CF2SO3CH2CF3Was confirmed.
19F-NMR δ (CFCl3(Reference): -135.2 (dd, 1F), -123.8 (dd, 1F), -118.4 (s, 2F), -115.8 (dd, 1F), -84.7 (s, 2F), -77.2 ppm (t, 3F)
[0052]
Embodiment 5
In a nitrogen stream, 1.76 g of sodium hydride dispersion (sodium hydride content: 60%) was washed with hexane, 40 ml of dimethoxyethane was added, the mixture was cooled to -30 ° C, and 8.8 g of (CF3)2CHOH was added dropwise. This solution was heated to 0 ° C. and stirred for 0.5 hour, and then synthesized in the same manner as in Example 4 to obtain 20 g of sulfonic acid chloride CF.2BrCFBrOCF2CF2SO2Cl was added dropwise. After stirring at 0 ° C. for 1.5 hours, water was added, and the mixture was extracted with CFC43-10mee. After evaporating the solvent under reduced pressure, 22.8 g of a colorless oil was obtained.
[0053]
3.6 g of zinc powder and 50 ml of N-methylpyrrolidone were mixed with the above oily substance, and the mixture was heated and stirred at 80 ° C. for 1 hour. Volatile components were collected from the reaction mixture under reduced pressure and redistilled to give 10.2 g of an oil. The boiling point was 35 ° C./46 Pa. This oil is19From F-NMR, the ester monomer CF2= CFOCF2CF2SO3CH (CF3)2Was confirmed.
19F-NMR δ (CFCl3(Reference): -137.5 (dd, 1F), -122.5 (dd, 1F), -114.7 (dd, 1F), -113.9 (s, 2F), -84.4 (s, 2F), -74.6 ppm (d, 6F)
[0054]
Embodiment 6
In a nitrogen stream, 1.98 g of sodium hydride dispersion (sodium hydride content: 60%) was washed with hexane, 20 ml of dimethoxyethane was added, the mixture was cooled to 0 ° C., and 4.5 g of CF was added.3CH2A solution of OH in 10 ml of dimethoxyethane was added dropwise. The solution is stirred at room temperature for 2.5 hours, CF3CH2An ONa solution was prepared. On the other hand, 5.3 g of sodium carbonate was dispersed in 20 ml of dimethoxyethane in a separate container, and CF3CF (COF) OCF2CF2SO2F was added dropwise while maintaining the temperature at 40 ° C. or lower. After stirring at 40 ° C. for 1 hour, the solution was cooled to 0 ° C.3CH2The ONa solution was added dropwise. After stirring at room temperature for one day, the solvent was distilled off under reduced pressure to obtain 28 g of crude ester CF.3CF (CO2Na) OCF2CF2SO3CH2CF3Was prepared.
[0055]
Next, 5.0 g of the above crude ester was dissolved in 20 ml of diglyme and heated at 150 ° C. for 1 hour. This solution is subjected to gas chromatography and19When analyzed by F-NMR, the same CF as that obtained in Example 4 was obtained.2= CFOCF2CF2SO3CH2CF3Was generated.
[0056]
Embodiment 7
In a 200 ml pressure vessel made of stainless steel, 15 g of the ester monomer obtained in Example 1 (rectified by a rotary band distillation apparatus before use), 30 g of HFC43-10mee and (CF) as a polymerization initiator were used.3CF2CF2COO)20.64 g of a 5% HFC43-10mee solution was added, and the inside of the vessel was sufficiently purged with nitrogen, and then pressurized to 0.3 MPa with TFE. While stirring at 25 ° C., TFE was additionally injected as needed to keep the internal pressure at 0.3 MPa. After reacting for 3 hours, the pressure was released to obtain a white swollen solid. The solid was washed with acetone and dried to obtain 3.7 g of a white powder. This powder can be formed into a press film at 280 ° C., and the absorption of an ester group (1460 cm-1) Was confirmed.
[0057]
The obtained polymer film was immersed in KOH / dimethylsulfoxide / water (3: 6: 11 / mass ratio) at 90 ° C. for 1 hour to perform a hydrolysis reaction. After washing with water, it was then immersed in 4N sulfuric acid at 90 ° C. for 1 hour, washed with water and dried to convert into a sulfonic acid type film.
[0058]
Embodiment 8
Polymerization was carried out in the same manner as in Example 6, except that the ester monomer obtained in Example 2 (rectified with a rotary band distillation apparatus before use) was used. After reacting for 3.5 hours, the pressure was released to obtain a white swollen solid. The solid was washed with acetone and dried to obtain 3.2 g of a white powder. This powder can be press-formed at 270 ° C., and the absorption of ester groups (1460 cm) can be determined from the IR spectrum of the resulting 80 μm thick film.-1) Was confirmed.
[0059]
Embodiment 9
Chemical formula (13)
Embedded image
Was dissolved in 120 ml of HFC43-10mee, and 61 g of bromine was added dropwise at room temperature. After stirring was continued for a while at room temperature, excess bromine and the solvent were distilled off, followed by distillation under reduced pressure (boiling point 110 ° C./6.7 kPa) to obtain 201 g of a colorless liquid. This liquid19From F-NMR, bromine adduct represented by chemical formula (17)
[0060]
Embedded image
Was confirmed (yield: 91%).
[0061]
19F-NMR: δ (CFCl3(Reference) -146.6 (s, 1F), -114.0 (s, 2F), -87.5 (dd, 1F), -83.6 (dd, 1F), -81.5 (s, 3F) ), -81.0 (ABq, 2F), -73.0 (d, 1F), -65.0 (s, 2F), 43.4 ppm (s, 1F).
[0062]
Next, a 200 ml ethanol solution in which 25.2 g of sodium hydroxide was dissolved was cooled to 0 ° C, and 182.1 g of the obtained bromine adduct represented by the chemical formula (17) was added dropwise. The mixture was stirred at room temperature for 1.5 hours and at 60 ° C. for 1 hour. The reaction solution was cooled to room temperature, the solution was filtered using celite, and the filtrate was concentrated under reduced pressure to obtain 176.2 g of a pale yellow solid. This solid is19Sulfonate sodium salt represented by chemical formula (18) from F-NMR
Embedded image
Was confirmed (yield 94%).
[0063]
19F-NMR: δ (CFCl3(Reference) -145.9 (d, 1F), -118.2 (s, 2F), -86.0 (dd, 1F), -82.2 (dd, 1F), -80.5 (s, 3F) ), -80.0 (ABq, 2F), -73.2 (s, 1F), -65.0 ppm, (s, 2F)
[0064]
30 ml of concentrated sulfuric acid was added to 26.5 g of the obtained sodium sulfonic acid salt (18) for dissolution, followed by distillation under reduced pressure (boiling point: 125 to 130 ° C./0.13 kPa) to obtain 17.7 g of a colorless liquid. . This liquid19F-NMR,1According to H-NMR, the sulfonic acid represented by the chemical formula (19)
Embedded image
Was confirmed (yield 69%).
[0065]
19F-NMR: δ (CFCl3(Reference) -146.6 (s, 1F), -116.9 (s, 2F), -87.5 (t, 1F), -83.0 (t, 1F), -81.5 (s, 3F) ), -80.6 (ABq, 2F), -73.2 (d, 1F), -65.0 ppm (s, 2F).
1H-NMR: δ (Me4Si standard) 12.5 ppm (s, 1H),
[0066]
14.4 g of the above sulfonic acid represented by the chemical formula (19) was placed in a 100-ml stainless steel pressure-resistant container, and pressurized to 0.4 MPa with vinylidene fluoride. While stirring at 25 ° C., vinylidene fluoride was additionally injected as appropriate so as to keep the internal pressure at 0.4 MPa. After the pressure drop of vinylidene fluoride stopped, the internal pressure was kept at 0.4 MPa for another 30 minutes, and then the pressure was released to obtain 15.4 g of a colorless liquid. This liquid19F-NMR,1According to H-NMR, the sulfonic acid ester represented by the chemical formula (20)
Embedded image
Was confirmed (yield 97%).
[0067]
19F-NMR: δ (CFCl3(Reference) -146.6 (s, 1F), -115.0 (s, 2F), -87.4 (t, 1F), -83.0 (t, 1F), -81.3 (s, 3F) ), -80.6 (ABq, 2F), -72.8 (d, 1F), -64.9 (s, 2F), -59.6 ppm (s, 2F).
1H-NMR: δ (Me41.8 ppm (t, 3H) based on Si
[0068]
Under a nitrogen stream, 11.3 g of the ester represented by the chemical formula (20), 2.2 g of zinc powder and 40 ml of acetonitrile were mixed, and the mixture was stirred at 50 ° C. for 5 minutes, and then the reaction mixture was filtered. The filtrate was concentrated under reduced pressure and distilled under reduced pressure (boiling point: 66 to 67.5 ° C / 0.8 kPa) to obtain 5.3 g of a colorless liquid. This liquid19F-NMR,1From H-NMR and gas chromatography-mass spectrum (GC-MASS), a sulfonic ester monomer represented by the chemical formula (21) was obtained.
Embedded image
(Yield 62%).
[0069]
19F-NMR: δ (CFCl3(Reference) -146.5 (s, 1F), -138.6 (dd, 1F), -124.3 (dd, 1F), -116.8 (dd, 1F), -115.5 (s, 2F) ), -86.5 (q, 2F), -82.1 (s, 3F), -80.8 (q, 2F), -60.1 ppm (s, 2F)
1H-NMR: δ (Me42.0 ppm (t, 3H) based on Si
EI-MS: m / z 100, 97, 81, 65
CI-MS: 526 (M + NH4 +)
[0070]
Embodiment 10
In a 200 ml pressure vessel made of stainless steel, 5 g of the sulfonic acid ester monomer represented by the chemical formula (21) obtained in Example 9, 15 g of HFC43-10mee and (CF3CF2CF2COO)20.15 g of 5% HFC43-10mee solution was added, and the inside of the vessel was sufficiently purged with nitrogen, and then pressurized to 0.3 MPa with TFE. While stirring at 23 ° C., TFE was additionally injected as appropriate so as to keep the internal pressure at 0.3 MPa. After reacting for 1 hour, the pressure was released to obtain a white swollen solid. This solid was washed with methanol and dried to obtain 3.3 g of a white powder. This powder can be press-formed at 280 ° C., and the absorption of ester groups (1415 cm-1) Was confirmed.
[0071]
Embodiment 11
15.0 g of CF synthesized according to the method described in WO 98/43952 pamphlet2= CFOCF2CF2SO3Na was mixed with 21 ml of concentrated sulfuric acid and distilled under reduced pressure (boiling point: 90 to 130 ° C./0.13 kPa) to obtain 5.2 g of a colorless liquid. This liquid19F-NMR,1From H-NMR, CF2= CFOCF2CF2SO3H (yield 30%, purity 80%).
[0072]
19F-NMR: δ (CFCl3(Reference) -137.7 (dd, 1F), -124.2 (dd, 1F), -118.9 (s, 2F), -116.8 (dd, 1F), -86.0 ppm (s, 2F) )
1H-NMR: δ (Me410.5 ppm (s, 1H) based on Si
CF in stainless steel 100ml pressure vessel2= CFOCF2CF2SO31.0 g of H was added, and the pressure was increased to 0.5 MPa with vinylidene fluoride. While stirring at 100 ° C., vinylidene fluoride was additionally injected as appropriate so as to keep the internal pressure at 0.5 MPa. After reacting for 5 hours, the pressure was released to obtain 1.25 g of an oily substance. This oil is19From F-NMR and gas chromatography-mass spectrum (GC-MASS), CF2= CFOCF2CF2SO3CF2CH3Was confirmed.
[0073]
19F-NMR: δ (CFCl3(Reference) -137.2 (dd, 1F), -122.8 (dd, 1F), -115.5 (dd, 1F), -114.3 (s, 2F), -84.5 (s, 2F) ), -58.9 ppm (s, 2F)
EI-MS: m / z 100, 97, 81, 65
CI-MS: 360 (M + NH4 +)
[0074]
【The invention's effect】
The fluorinated sulfonic acid ester monomer of the present invention has the same polymerizability as the fluorinated monomer represented by the chemical formula (5), and can easily produce a monomer having a structure corresponding to p = 0 in the chemical formula (5) It is useful as an easy-to-handle alternative monomer to the fluorinated monomer represented by the chemical formula (5) since it has no by-products that hinder purification and has no group serving as a source of hydrofluoric acid. .
[0075]
In addition, the fluorinated sulfonic acid ester group-containing polymer containing this monomer unit can easily lead the sulfonic acid ester group to a sulfonic acid group, so that the fuel cell membrane, the fuel cell catalyst binder polymer, and the lithium ion battery It is useful as a raw material for various fluorine-based polymer electrolytes such as an electrolyte membrane and a diaphragm for salt electrolysis.
Claims (6)
化学式(3)で表されるフルオロオレフィン
CR1R2=CR3R4 (3)
(式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ、フッ素原子、水素原子、アルキル基及びフルオロアルキル基から選ばれる基であり、分子内には、少なくとも1個のフッ素原子を有する)
とを反応させることを特徴とする請求項2記載のフッ素化スルホン酸エステルモノマーの製造方法。A sulfonic acid represented by the chemical formula (2),
Fluoroolefin represented by chemical formula (3) CR 1 R 2 ) CR 3 R 4 (3)
(Wherein, R 1 , R 2 , R 3 and R 4 are each a group selected from a fluorine atom, a hydrogen atom, an alkyl group and a fluoroalkyl group, and at least one fluorine atom is contained in the molecule. Have)
3. The process for producing a fluorinated sulfonic acid ester monomer according to claim 2, wherein
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