JP2004106370A - 光記録媒体およびヒドラゾン化合物 - Google Patents
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Abstract
【課題】波長300〜500nmのレーザーで良好な記録および再生が可能な光記録媒体および新規なヒドラゾン化合物を提供する。
【解決手段】ヒドラゾン化合物を記録層に含有する光記録媒体。
【効果】本発明のヒドラゾン化合物を記録層に用いることにより、高密度光記録媒体として非常に注目されている波長300〜500nmレーザー、特に波長400〜410nm青紫色レーザーでの記録および再生が可能な光記録媒体を提供することが可能となる。
【選択図】 なし
【解決手段】ヒドラゾン化合物を記録層に含有する光記録媒体。
【効果】本発明のヒドラゾン化合物を記録層に用いることにより、高密度光記録媒体として非常に注目されている波長300〜500nmレーザー、特に波長400〜410nm青紫色レーザーでの記録および再生が可能な光記録媒体を提供することが可能となる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に関するものであり、特に可視レーザーの一種である青色レーザー光により記録再生可能である光記録媒体に関する。加えて、本発明は、新規なヒドラゾン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンパクトディスク(以下、CDと略す)規格に対応した光記録媒体としてCD−R(CD−Recordable)が広く普及している。CD−Rの記憶容量は680MB程度であるが、情報量の飛躍的増加に伴い、情報記録媒体に対する高密度化および大容量化への要求は高まっている。
【0003】
記録媒体の高密度化を行う手段としては、記録再生に用いるレーザー波長の短波長化及び対物レンズの開口数(N.A.:Numerical Aperture)を大きくすることにより、ビームスポットを小さくすることが挙げられる。そして、光ディスクシステムに利用される短波長レーザーとして、500nm〜700nm、さらには630nm〜690nm前後、具体的には、680nm、670nm、660nm、650nm、635nm等の赤色レーザーが実用化されてきた。こうして半導体レーザーの短波長化、対物レンズの開口数大化、データ圧縮技術等により、動画記録及び大容量の情報の記録を可能にした光記録媒体の作製が可能となってきた。今日までに提案されている光記録媒体としては、光磁気記録媒体、相変化記録媒体、カルコゲン酸化物系光記録媒体、有機色素系光記録媒体等があるが、これらの中で、安価かつプロセス上容易であるという点から、有機色素系光記録媒体は優位性を有すると考えられる。こうした状況を踏まえ、CDよりも高密度でTV品質並の動画の記録再生が可能な光記録媒体として、普及しつつある市販のDVDビデオプレーヤーやDVD−ROMプレーヤーで再生できる、発振波長630〜690nmの赤色半導体レーザーで記録を施すことが可能な光記録媒体として開発されたのが、追記型のデジタル多目的ディスク(以下、DVD−Rと略す)である。DVD−Rは、3.9GBあるいは4.7GBの記録容量を有する一度書き込み可能な光記録媒体であり、特にここ最近となって、片面4.7GB容量のDVD−R媒体が市場に供給され始めている。該DVD−R媒体も、シアニン系色素、アゾ系色素等を記録層に用い、反射層を設けた積層構造を採用しており、0.6mm厚の基板を2枚貼り合わせたディスク構造を特徴としている。この容量に合った記録特性良好な光ディスクについて、現在では高速記録対応の媒体開発が活発に進められている。
【0004】
さらに、将来的にはより高密度な記録が求められることが予想され、その情報量はディスク1枚あたり15〜30GBにも達すると予想される。その記録密度を実現する為の手段として、より波長の短いレーザーを使用することは避けられない。従って、将来の有機色素系光記録媒体に用いる記録用色素としては、300nm〜500nmの波長範囲において良好な記録特性を有する色素が望まれる。
【0005】
ところで、有機色素を記録層としたDVD−Rよりも高密度記録可能な媒体に関して、特許文献1には、発振波長680nm以下のレーザーを用い、記録容量8GB以上の密度を達成したとの開示がある。該文献の提案では、10〜177μm厚さの光透過層越しに0.7以上の高開口数を有する対物レンズで680nm以下のレーザー光を収束することで、8GB以上の大容量記録を達成している。
【0006】
その一方で、ここ近年、発振波長390〜430nmの青色レーザーとしてGaN系材料を用いた410nmのレーザーや、半導体レーザーと光導波路素子の組合せによる波長425nmのSHGレーザーが開発されてきており、このようなレーザーに合わせた青色半導体レーザー対応色素の開発が現在展開されている。
【0007】
更に、1999年初頭から発振波長400〜410nmの青紫色発光のGaN系半導体レーザーが試供(日亜化学工業)されるに当たり、片面15GB以上の更なる高密度容量を有するHDTV(high definition television)放送並の画質で、2時間程度の動画の記録が可能となる媒体(以下、HD−DVD−R媒体と称す)の検討が始められている。この様な高密度容量を有するHD−DVD−R媒体では、現行放送並の画質であれば6時間程度の録画も可能であるため、家庭用VTRに代わる新しい記録メディアとしても注目されている。すでに、相変化系の無機記録膜を用いた技術概要が紹介されている。
かかる中、次世代高密度光ディスクの統一規格「Blu−ray Disc」が日欧韓9社により策定され、発表された(2002年2月19日)。この規格によると、青紫色レーザーとN.A.=0.85の高開口レンズとを組み合わせ、12cm円板の片面に最大27GBの映像データを繰り返し記録・再生でき、同規格のレコーダを使えば、ディスク1枚にHDTV映像を2時間以上録画できるようになる。これは、現行放送NTSC方式の映像データなら録画時間は13時間以上に相当する。
また、同規格のディスク厚みは1.2mmで、100μm程度の光透過層越しに形成された記録膜にレーザー光を合焦させるもので、23.3、25、27GBの3種類の記録容量が提案されている。さらに前述の規格に先立ち、青紫色レーザー、ならびにN.A.=0.85の高開口レンズを用いた記録媒体への有機色素の適用可能性について言及された。
【0008】
現在のところ、400nm〜500nmの青色レーザーで記録できる有機色素化合物として、シアニン系色素化合物や、ポルフィリン系色素化合物の他、ポリエン系色素化合物、アゾ系色素化合物、ジシアノビニルフェニル色素化合物、クマリン化合物、ピリミジン化合物、ナフタロシアニン化合物、ヘテロ5員環化合物、ビスアゾール化合物、アミノピリジン化合物、ビスピリジニウム化合物、オキソノール化合物、スチリル化合物、アミノブタジエン化合物、金属キレート化合物、キノン化合物またはキノジメタン化合物、ヒドラゾン化合物、トリアジン化合物、カルボスチリル化合物またはナフチリジン化合物、縮合複素環化合物、およびスチルベン化合物等が提案されている。
【0009】
また、記録層形成用の有機色素としてポルフィリン系色素やシアニン系色素等を主とする記録層および銀を主体とする金属反射層の2層が構成された特許文献2に記載の光記録媒体や、媒体構成に工夫したものとして、青色レーザーに感応するシアニン系色素を含有した青色レーザー感応色素層ならびに赤色レーザー感応色素層を有することで、2波長領域の記録を可能とする特許文献3記載の光記録媒体や、青色レーザー用色素および赤色レーザー用色素の2種の色素を混合することで2波長領域の記録を可能とするインジゴイド系色素化合物を用いた特許文献4記載の光記録媒体、シアノエテン系色素を用いた特許文献5記載の光記録媒体、スクアリリウム系色素化合物を用いた特許文献6記載の光記録媒体等が提案されている。
【0010】
一方、400〜500nmの青色領域で有機色素膜を記録に行う例として、ポルフィリン系化合物の中心金属に配位する分子化合物および高分子、あるいは中心金属を配位する分子構造を側鎖に有する高分子と混合することで、該ポルフィリン系化合物のソーレー(Soret)帯を長波長側にシフトさせて、488nmのArレーザーに対応させると共に、スピンコーティングによる成膜を可能ならしめて製造コストの低減を図る提案がなされている(特許文献7〜8)。又ポリエン系色素化合物(特許文献9〜10)は、本発明者らの検討によれば、光安定性が悪く、実用化にはクエンチャーのブレンド等の工夫が必要である。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−302310号公報
【特許文献2】
特開平11−53758号公報
【特許文献3】
特開平11−203729号公報
【特許文献4】
特開平11−78239号公報
【特許文献5】
特開平11−105423号公報
【特許文献6】
特開平11−110815号公報
【特許文献7】
特開平7−304256号公報
【特許文献8】
特開平7−304257号公報
【特許文献9】
特開平4−78576号公報
【特許文献10】
特開平4−89279号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
最近の状況として、波長400nm〜410nmの青紫色半導体レーザーの実用化に目処がついたことで、該レーザーを用いた大容量光記録媒体が盛んに開発され、特に高耐光性や良好な高速記録特性を有する色素の開発が望まれている。しかしながら、前述の光記録媒体では波長400nm〜410nmのレーザー光に対して十分に適応していないのが実情である。すなわち、前述の有機色素を使用した媒体では、記録した信号の再生について、搬送波と雑音の比(C/N)が必ずしも良好な値でないために、信号の読み出しが必ずしも満足に行えない等の問題を我々は見い出した。この問題を克服し、波長400nm〜410nmのレーザー光で高密度記録再生可能な光記録媒体の開発が急務となっている。
本発明者らは、光記録媒体に適した記録材料について検討したところ、次の2点の知見を得た。
(1)大容量光記録媒体は、記録の書き込み及び読み出しに300〜500nmのレーザー光を利用するので記録材料としてはレーザー波長近傍における吸光係数、屈折率、反射率の制御が重要である。
(2)上記のように、該レーザーを用いた大容量光記録媒体が盛んに開発され、特に高耐光性や良好な高速記録特性を有する色素の開発が望まれているにもかかわらず、該波長領域のレーザー光に対して記録再生が可能な記録材料として前述の色素化合物は、今だ十分な特性が得られておらず、改善の余地があるのが現状である。また、記録膜形成が簡便なスピンコート法等の塗布法による媒体製造の際には、有利な特性の1つとして、塗布溶媒への高溶解性を有することが挙げられ、この点についても配慮することが必要である。
また一般に、記録容量の増大を図るには、より高密度に記録を行う必要があり、そのため、記録に使用する光学ビームを絞るための対物レンズの開口数を高め、光学系のレーザー波長をより短波長化することが必須となる。ところが、絞り込んだ光学ビームは回折限界でその最小のビーム径が定められる。
【0013】
ところで、記録はビーム強度がある閾値を超えたところで成されるので、図1(a)に示すように、絞り込んだビームスポットよりも小さな記録ピットが得られる。この記録ピットの周囲はビームの強度ピークのすそ野にあたるが、より短波長化が進む現況では、記録ピットの周囲でも記録層の光化学反応を助長し、殊に、前述の青紫色レーザーの波長領域では、有機化合物の光化学反応が容易に生じる波長領域となるため、記録時にはピットエッジが劣化し、信号特性が悪化するという問題がある。すなわち、図1(b)に示すように、本来矩形波に対応して形成せねばならない記録情報〔図1(b)の実線〕が、ピットエッジの劣化によりブロードな波形〔図1(b)の破線部〕となってしまう。又、記録時と同一の青紫色レーザー波長で再生を行うと、再生光のような微弱な光照射でも光反応が促進され、再生の度に劣化が進むという問題もあり、前記特許文献7、8でも、記録光と再生光とを異なる波長、実質的には、再生光を記録光よりも長波長とする対策を講じねばならなくなり、結果として、十分な高密度化の要求に応えられないのが現状である。又、記録波長と再生光波長を異ならしめることは、記録装置と再生装置を個別に用意するか、1つの装置に2つの光学系及びその制御系を設けなければならず、光記録媒体としての用途が限定されたり、装置の大型化、コストの増大を招き、汎用性の乏しいものとなってしまう。また、従来、CD−Rなどの光記録媒体においては、有機色素膜の融点、昇華点、相転移点或いは熱分解点などの物性上の明確な熱的閾値を境に記録のオン・オフが成されてきたものに対し、青紫色レーザー励起による光劣化モードの介在は、このコントラストを曖昧にし、とりわけ光学ビームよりも小さい細密記録ピットを形成せねばならない高密度記録系においては、著しく記録信号品位を損なう懸念があった。
本発明の目的は、青色半導体レーザー光、殊に波長400nm〜410nmの範囲から選択される可視光域のレーザー光で良好な記録および再生が可能な超高密度記録に適した記録層を有する光記録媒体を提供することにある。また、該光記録媒体に好適に使用できる新規な化合物を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
▲1▼少なくとも一層の記録層に、少なくとも1つのメタロセン残基が結合したヒドラゾン化合物を少なくとも1種含有する光記録媒体。
▲2▼ヒドラゾン化合物の少なくとも1種が、互変可能な構造の一つとして一般式(1)(化5)で表される化合物である▲1▼記載の光記録媒体。
【0015】
【化5】
【0016】
(式中、R1、R2およびR3は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換の炭素環式芳香族基、置換または無置換の複素環式芳香族基、あるいは置換または無置換のメタロセニル基を表す。ただし少なくとも1つはメタロセニル基を表す。)
▲3▼ヒドラゾン化合物の少なくとも1種が、互変可能な構造の一つとして一般式(1)で表される化合物と置換基または配位子を有していてもよい金属原子からなる金属キレート化合物である▲1▼記載の光記録媒体。
▲4▼ヒドラゾン化合物の少なくとも1種が、一般式(2)(化6)で表される化合物である▲3▼記載の光記録媒体。
【0017】
【化6】
【0018】
(式中、R1、R2およびR3は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換の炭素環式芳香族基、置換または無置換の複素環式芳香族基、あるいは置換または無置換のメタロセニル基を表し、nは1〜2の整数を表し、Mは置換基または配位子を有していてもよい2〜4価の金属原子または半金属原子、オキシ金属原子を表す。ただし少なくとも1つはメタロセニル基を表す。)
▲5▼より具体的には、波長300〜500nm、あるいは390〜430nm、あるいは400〜410nmの範囲から選択されるレーザー光により記録および再生が可能である▲1▼〜▲4▼記載の光記録媒体。
▲6▼並びに、上記一般式(1)あるいは一般式(2)で表される化合物に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、光記録媒体の記録層中に少なくとも1つのメタロセン残基が結合したヒドラゾン化合物、および/あるいは、少なくとも1つのメタロセン残基が結合したヒドラゾン化合物と金属からなる金属キレート化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする光記録媒体に関し、波長300nm〜500nm、特に波長390nm〜430nm、更には波長400nm〜410nmの範囲から選択されるレーザー光により記録および再生が可能である新規な光記録媒体に関するものである。また、本発明は該光記録媒体に好適に使用できる新規なヒドラゾン化合物に関するものである。
【0020】
本発明に係る光記録媒体とは、情報を記録して再生することのできる光記録媒体を示すものである。但し、ここでは適例として基板上に記録層、反射層を有する本発明の光記録媒体に関して説明する。
尚、以下の説明では、光記録媒体として、光ディスクであって、支持基板上に例えば案内溝と、この案内溝上に反射膜と有機色素を主成分とする記録層とを有し、波長300〜500nmのレーザー光を照射して信号の記録再生を行う媒体に関して説明するが、本発明の光記録媒体は、この様な形状や構成に限定されるものではなく、カード状、シート状等その他各種の形状のもの、又、反射層を有さないもの、更に将来開発されるであろうより短波長のレーザーでの記録再生にも適用し得るものである。
【0021】
本発明の光記録媒体は、例えば、図2に示すような基板1、記録層2、反射層3、及び保護層4が順次積層している4層構造を有しているか、図3に示すような貼り合わせ構造を有している。即ち、基板1上に記録層2が形成されており、その上に密着して反射層3が設けられており、さらにその上に接着層5を介して保護層4が貼り合わされている。但し、記録層2の下または上に別の層があっても良く、反射層3の上に別の層があっても構わない。また、図4に示すように基板1、反射層3、記録層2、保護層4の順に積層し、保護層側から記録再生する構造であっても良い。また、特開平10−326435号公報記載のように光透過層の厚みが、光学系の開口数N.A.及びレーザー波長λにより規定された媒体構造であっても構わない。また、本発明の光記録媒体は、必要に応じて前記特許文献3記載のように記録層を2種以上有する構造であっても構わない。
【0022】
また、本発明を光ディスクに適用した例として、図5に示すような、基板11、記録層12、反射層13及び保護層14がこの順で積層され、更に接着層を兼ねる保護層14上にダミー基板15を貼り合わせたものが挙げられる。もちろん、基板15の無い構成であっても良く、基板11と記録層12の間、記録層12と反射層13の間、反射層13と保護層14との間、保護層14とダミー基板15との間に、他の層が存在していても良い。図5の光ディスクにおいては、基板11側から記録再生が行われる。
【0023】
又、別の実施形態として、特許文献1に開示の構成、例えば、図6に示すように、案内溝の形成された支持基板11’上に、反射層13’、有機色素を主成分とする記録層12’がこの順で成膜され、この記録層12’上に任意に形成される透明保護層14’を介して光透過層15’が形成され、情報の記録及び再生は、光透過層15’側から実施される。尚、逆に光透過層15’側に案内溝を形成し、その上に透明保護層14’、記録層12’、反射層13’を積層し、支持基板11’と貼り合わせる構成としても良い。
【0024】
本発明においては、基板上に記録層を設けるが、本発明の記録層は、本発明に係るヒドラゾン化合物を記録用色素として少なくとも1種含有するものである。ここで記録用色素とは、レーザー光の照射によりそれ自体の熱分解、昇華等が誘発され、記録層の変化、あるいは形状変化(ピット形成)等により反射率の変化する部分を形成できる色素である。本発明の光記録媒体は、特に300nm〜500nmの範囲から選択される記録レーザー波長に対して記録再生が可能であり、中でも、波長400nm〜410nmの範囲から選択される記録レーザー波長および再生レーザー波長に対して良好な信号特性が得られる光記録媒体である。
【0025】
本発明に係るヒドラゾン化合物は、置換基の選択により吸光係数を保持した状態で吸収波長を任意に選択できるため、前記レーザー光の波長において、記録層に必要な光学定数を満足することが可能である。さらに、良好なピット形状を得ることのできる極めて有用な有機色素である。
【0026】
以下、本発明についてさらに詳細を述べる。
本発明の光記録媒体においては、少なくとも1つのメタロセン残基が結合したヒドラゾン化合物、より好ましくは前記一般式(1)の化合物を一種以上記録層に含有するが、本発明に係わるヒドラゾン化合物は置換基または配位子を有していてもよい金属原子とともにキレート化合物を形成して記録層に含有しても良い。本発明に係る金属キレート化合物としては、例えば一般式(1)で表される化合物と金属からなる金属キレート化合物が挙げられ、好ましい具体例としては、前記一般式(2)で表される金属キレート化合物が挙げられる。
【0027】
一般式(1)で表される化合物において、R1、R2およびR3は、好ましくは、水素原子、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキル基、炭素数6〜26の置換または無置換の炭素環式芳香族基、炭素数3〜26の置換または無置換の複素環式芳香族基、炭素数10〜26の置換または無置換のメタロセニル基である。
【0028】
R1、R2およびR3の置換または無置換のアルキル基の具体例としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチルブチル基、1,2,2−トリメチルブチル基、1,1,2−トリメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルペンチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、4−エチル−4,5−メチルヘキシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7−テトラエチルオクチル基、4−ブチルオクチル基、6,6−ジエチルオクチル基、n−トリデシル基、6−メチル−4−ブチルオクチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、3,5−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基、2,4−ジメチルヘプチル基、2,2,5,5−テトラメチルヘキシル基、1−シクロペンチル−2,2−ジメチルプロピル基、1−シクロヘキシル−2,2−ジメチルプロピル基等の無置換のアルキル基;
クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヨードエチル基、ジクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、ノナフルオロブチル基、パーフルオロデシル基等のハロゲン原子で置換されたアルキル基;
【0029】
ヒドロキシメトキシメトキシメチル基、ヒドロキシエトキシエトキシエチル基、[2’−(2’−ヒドロキ−1’−メチルエトキシ)−1’−メチルエトキシ]エトキシエチル基、[2’−(2’−フルオロ−1’−ヒドロキシエトキシ)−1’−メチルエトキシ]エトキシエチル基、[2’−(2’−クロロ−1’−ヒドロキシエトキシ)−1’−メチルエトキシ]エトキシエチル基等のヒドロキシアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基、2−シアノ−3−メトキシプロピル基、2−シアノ−3−クロロプロピル基、2−シアノ−3−エトキシプロピル基、3−ブチルオキシ2−シアノプロピル基、2−シアノ−3−シクロヘキシルプロピル基、2−シアノプロピル基、2−シアノブチル基等のシアノ基で置換されたアルキル基;
【0030】
メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロピルオキシメチル基、n−ブチルオキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、n−プロピルオキシエチル基、n−ブチルオキシエチル基、n−ヘキシルオキシエチル基、(4−メチルペンチルオキシ)エチル基、(1,3−ジメチルブチルオキシ)エチル基、(2−エチルヘキシルオキシ)エチル基、n−オクチルオキシエチル基、(3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ)エチル基、(2−メチル−1−イソプロピルプロピルオキシ)エチル基、(3−メチル−1−イソプロピルブチルオキシ)エチル基、2−エトキシ−1−メチルエチル基、3−メトキシブチル基、(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)エチル基、(3,3,3−トリクロロプロピルオキシ)エチル基等のアルコキシ基で置換されたアルキル基;
メトキシメトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、n−プロピルオキシエトキシエチル基、n−ブチルオキシエトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエトキシエチル基、デカリルオキシプロピルオキシエトキシ基、(1,2−ジメチルプロピルオキシ)エトキシエチル基、(3−メチル−1−イソブチルブチルオキシ)エトキシエチル基、(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)エチル基、(2−ブチルオキシ1−メチルエトキシ)エチル基、2−(2’−エトキシ−1’−メチルエトキシ)−1−メチルエチル基、(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)エトキシエチル基、(3,3,3−トリクロロプロピルオキシ)エトキシエチル基等のアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
メトキシメトキシメトキシメチル基、メトキシエトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエトキシエチル基、n−ブチルオキシエトキシエトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエトキシエトキシエチル基、n−プロピルオキシプロピルオキシプロピルオキシエチル基、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エトキシエトキシエチル基、(2,2,2−トリクロロエトキシ)エトキシエトキシエチル基等のアルコキシアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
ホルミルメチル基、2−オキソブチル基、3−オキソブチル基、4−オキソブチル基、2,6−ジオキソシクロヘキサン−1−イル基、2−オキソ−5−tert−ブチルシクロヘキサン−1−イル基等のアシル基で置換されたアルキル基;
ホルミルオキシメチル基、アセトキシエチル基、n−プロピオニルオキシエチル基、n−ブタノイルオキシエチル基、バレリルオキシエチル基、(2−エチルヘキサノイルオキシ)エチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ)エチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ)ヘキシル基、(3−フルオロブチリルオキシ)エチル基、(3−クロロブチリルオキシ)エチル基等のアシルオキシ基で置換されたアルキル基;
【0031】
ホルミルオキシメトキシメチル基、アセトキシエトキシエチル基、n−プロピオニルオキシエトキシエチル基、バレリルオキシエトキシエチル基、(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシエチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)オキシブチルオキシエチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ)エトキシエチル基、(2−フルオロプロピオニルオキシ)エトキシエチル基、(2−クロロプロピオニルオキシ)エトキシエチル基等のアシルオキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
アセトキシメトキシメトキシメチル基、アセトキシエトキシエトキシエチル基、n−プロピオニルオキシエトキシエトキシエチル基、バレリルオキシエトキシエトキシエチル基、(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシエトキシエチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ)エトキシエトキシエチル基、(2−フルオロプロピオニルオキシ)エトキシエトキシエチル基、(2−クロロプロピオニルオキシ)エトキシエトキシエチル基等のアシルオキシアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−ブチルオキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、n−ブチルオキシカルボニルエチル基、(4−エチルシクロヘキシルオキシカルボニル)シクロヘキシル基、(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシカルボニル)メチル基、(2,2,3,3−テトラクロロプロピルオキシカルボニル)メチル基等のアルコキシカルボニル基で置換されたアルキル基;
フェニルオキシカルボニルメチル基、(2−メチルフェニルオキシカルボニル)メチル基、(3−メチルフェニルオキシカルボニル)メチル基、(4−メチルフェニルオキシカルボニル)メチル基、(4−tert−ブチルフェニルオキシカルボニル)メチル基、フェニルオキシカルボニルエチル基、(4−tert−ブチルフェニルオキシカルボニル)エチル基、(1−ナフチルオキシカルボニ)メチル基、(2−ナフチルオキシカルボニ)メチル基、(2−フェニルフェニルオキシカルボニル)エチル基、(3−フェニルフェニルオキシカルボニル)エチル基、(4−フェニルフェニルオキシカルボニル)エチル基等のアリールオキシカルボニルで置換されたアルキル基;
ベンジルオキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルエチル基、フェネチルオキシカルボニルメチル基、(4−シクロヘキシルオキシベンジルオキシカルボニル)メチル基等のアラルキルオキシカルボニル基で置換されたアルキル基;
ビニルオキシカルボニルメチル基、ビニルオキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルメチル基、シクロペンタジエニルオキシカルボニルメチル基、オクテノキシカルボニルメチル基等のアルケニルオキシカルボニル基で置換されたアルキル基;
メトキシカルボニルオキシメチル基、メトキシカルボニルオキシエチル基、エトキシカルボニルオキシエチル基、ブチルオキシカルボニルオキシエチル基、(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニルオキシ)エチル基、(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルオキシ)エチル基等のアルコキシカルボニルオキシ基で置換されたアルキル基;
メトキシメトキシカルボニルオキシメチル基、メトキシエトキシカルボニルオキシエチル基、エトキシエトキシカルボニルオキシエチル基、n−ブチルオキシエトキシカルボニルオキシエチル基、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エトキシカルボニルオキシエチル基、(2,2,2−トリクロロエトキシ)エトキシカルボニルオキシエチル基等のアルコキシアルコキシカルボニルオキシ基で置換されたアルキル基;
【0032】
ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジ−n−ブチルアミノメチル基、ジ−n−ヘキシルアミノメチル基、ジ−n−オクチルアミノメチル基、ジ−n−デシルアミノメチル基、N−イソアミル−N−メチルアミノメチル基、ピペリジノメチル基、ジ(メトキシメチル)アミノメチル基、ジ(メトキシエチル)アミノメチル基、ジ(エトキシメチル)アミノメチル基、ジ(エトキシエチル)アミノメチル基、ジ(n−プロピルオキシエチル)アミノメチル基、ジ(n−ブチルオキシエチル)アミノメチル基、ビス(2−シクロヘキシルオキシエチル)アミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジ−n−ブチルアミノエチル基、ジ−n−ヘキシルアミノエチル基、ジ−n−オクチルアミノエチル基、ジ−n−デシルアミノエチル基、N−イソアミル−N−メチルアミノエチル基、ピペリジノエチル基、ジ(メトキシメチル)アミノエチル基、ジ(メトキシエチル)アミノエチル基、ジ(エトキシメチル)アミノエチル基、ジ(エトキシエチル)アミノエチル基、ジ(n−プロピルオキシエチル)アミノエチル基、ジ(n−ブチルオキシエチル)アミノエチル基、ビス(2−シクロヘキシルオキシエチル)アミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノプロピル基、ジ−n−ブチルアミノプロピル基、ジ−n−ヘキシルアミノプロピル基、ジ−n−オクチルアミノプロピル基、ジ−n−デシルアミノプロピル基、N−イソアミル−N−メチルアミノプロピル基、ピペリジノプロピル基、ジ(メトキシメチル)アミノプロピル基、ジ(メトキシエチル)アミノプロピル基、ジ(エトキシメチル)アミノプロピル基、ジ(エトキシエチル)アミノプロピル基、ジ(n−プロピルオキシエチル)アミノプロピル基、ジ(n−ブチルオキシエチル)アミノプロピル基、ビス(2−シクロヘキシルオキシエチル)アミノプロピル基、ジメチルアミノブチル基、ジエチルアミノブチル基、ジ−n−ブチルアミノブチル基、ジ−n−ヘキシルアミノブチル基、ジ−n−オクチルアミノブチル基、ジ−n−デシルアミノブチル基、N−イソアミル−N−メチルアミノブチル基、ピペリジノブチル基、ジ(メトキシメチル)アミノブチル基、ジ(メトキシエチル)アミノブチル基、ジ(エトキシメチル)アミノブチル基、ジ(エトキシエチル)アミノブチル基、ジ(n−プロピルオキシエチル)アミノブチル基、ジ(n−ブチルオキシエチル)アミノブチル基、ビス(2−シクロヘキシルオキシエチル)アミノブチル基等のジアルキルアミノ基が置換されたアルキル基;
アセチルアミノメチル基、アセチルアミノエチル基、n−プロピオニルアミノエチル基、n−ブタノイルアミノエチル基、シクロヘキシルカルボニルアミノエチル基、4−メチルシクロヘキシルカルボニルアミノエチル基、スクシンイミノエチル基等のアシルアミノ基で置換されたアルキル基;
メチルスルホンアミノメチル基、メチルスルホンアミノエチル基、エチルスルホンアミノエチル基、n−プロピルスルホンアミノエチル基、n−オクチルスルホンアミノエチル基等のアルキルスルホンアミノ基で置換されたアルキル基;
メチルスルホニルメチル基、エチルスルホニルメチル基、ブチルスルホニルメチル基、メチルスルホニルエチル基、エチルスルホニルエチル基、n−ブチルスルホニルエチル基、2−エチルヘキシルスルホニルエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルスルホニルメチル基、2,2,3,3−テトラクロロプロピルスルホニルメチル基等のアルキルスルホニル基で置換されたアルキル基;
フェニルスルホニルメチル基、フェニルスルホニルエチル基、フェニルスルホニルプロピル基、フェニルスルホニルブチル基、2−メチルフェニルスルホニルメチル基、3−メチルフェニルスルホニルメチル基、4−メチルフェニルスルホニルメチル基、4−メチルフェニルスルホニルエチル基、4−メチルフェニルスルホニルプロピル基、4−メチルフェニルスルホニルブチル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニルメチル基、2,6−ジメチルフェニルスルホニルメチル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニルエチル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニルプロピル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニルブチル基等のアリールスルホニル基で置換されたアルキル基;
チアジアゾリノメチル基、ピロリノメチル基、ピロリジノメチル基、ピラゾリジノメチル基、イミダゾリジノメチル基、オキサゾリル基、トリアゾリノメチル基、モルホリノメチル基、インドーリノメチル基、ベンズイミダゾリノメチル基、カルバゾリノメチル基等の複素環基で置換されたアルキル基;
【0033】
置換または無置換の炭素環式芳香族基の具体例としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、2−sec−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、4−ネオペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−(2’−エチルブチル)フェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−(2’−エチルヘキシル)フェニル基、4−n−ノニルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、4−n−ウンデシルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−(4’−メチルシクロヘキシル)フェニル基、4−(4’−tert−ブチルシクロヘキシル)フェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4,6−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、5−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニル基、2−フェロセニルフェニル基、3−フェロセニルフェニル基、4−フェロセニルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−5−ナフチル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−エチル−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、5−インダニル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、10−(4’−メチルフェニル)−9−アントリル基、10−(2’,4’−ジメチルフェニル)−9−アントリル基、10−(4’−エチルフェニル)−9−アントリル基、10−(4’−メトキシフェニル)−9−アントリル基、10−(2’−フェニルフェニル)−9−アントリル基、10−(3’−フェニルフェニル)−9−アントリル基、10−(4’−フェニルフェニル)−9−アントリル基、10−(1’−ナフチル)−9−アントリル基、10−(2’−ナフチル)−9−アントリル基、2,6−ジ−tert−ブチル−10−フェニル−9−アントリル基、10−(N,N−ジフェニル−4’−アミノフェニル)−9−アントリル基、9,10−ジフェニル−1−アントリル基、9,10−ジフェニル−2−アントリル基、9,10−ビス(4’−メチルフェニル)−2−アントリル基、9,10−ビス(1’−ナフチル)−2−アントリル基、9,10−ビス(2’−ナフチル)−2−アントリル基、10−(9’−アントリル)−9−アントリル基、6−tert−ブチル−9,10−ジフェニル−2−アントリル基、10−メトキシ−9−アントリル基、10−エトキシ−9−アントリル基、10−n−ピロピルオキシ−9−アントリル基、10−n−ブチルオキシ−9−アントリル基、10−tert−ブチルオキシ−9−アントリル基、10−フェニオルオキシアントリル基、N,N−ジメチル−10−アミノ−9−アントリル基、N,N−ジエチル−10−アミノ−9−アントリル基、N,N−ジフェニル−10−アミノ−9−アントリル基、N,N,N’,N’−テトラフェニル−9,10−ジアミノ−2−アントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、4−n−プロピルオキシフェニル基、3−n−プロピルオキシフェニル基、4−イソプロピルオキシフェニル基、2−イソプロピルオキシフェニル基、4−n−ブチルオキシフェニル基、4−イソブチルオキシフェニル基、2−sec−ブチルオキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−イソペンチルオキシフェニル基、2−イソペンチルオキシフェニル基、4−ネオペンチルオキシフェニル基、2−ネオペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、4−(2’−エチルブチル)オキシフェニル基、4−n−ヘプチルオキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−ノニルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ウンデシルオキシフェニル基、4−n−ドデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、2−シクロヘキシルオキシフェニル基、2,3−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、2−メトキシ−5−メチルフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、4−n−ブチルオキシ−1−ナフチル基、5−エトキシ−1−ナフチル基、6−メトキシ−2−ナフチル基、6−エトキシ−2−ナフチル基、6−n−ブチルオキシ−2−ナフチル基、6−n−ヘキシルオキシ−2−ナフチル基、7−メトキシ−2−ナフチル基、7−n−ブチルオキシ−2−ナフチル基、4−アミノフェニル基、N−メチル−4−アミノフェニル基、N−エチル−4−アミノフェニル基、N−n−ブチル−4−アミノフェニル基、N−シクロヘキシル−4−アミノフェニル基、N−n−オクチル−4−アミノフェニル基、N−n−デシル−4−アミノフェニル基、N−ベンジル−4−アミノフェニル基、N−フェニル−4−アミノフェニル基、N−(3’−メチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N−(4’−メチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N−(4’−n−ブチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N−(4’−メトキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N−(3’−フルオロフェニル)−4−アミノフェニル基、N−(4’−クロロフェニル)−4−アミノフェニル基、N−(1’−ナフチル)−4−アミノフェニル基、N−(2’−ナフチル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジメチル−4−アミノフェニル基、N,N−ジエチル−4−アミノフェニル基、N,N−ジ−n−ブチル−4−アミノフェニル基、N,N−ジ−n−ヘキシル−4−アミノフェニル基、N,N−ジ−n−オクチル−4−アミノフェニル基、N,N−ジ−n−デシル−4−アミノフェニル基、N,N−ジ−n−ドデシル−4−アミノフェニル基、N−メチル−N−エチル−4−アミノフェニル基、N−エチル−N−n−ブチル−4−アミノフェニル基、N−メチル−N−フェニル−4−アミノフェニル基、N−n−ブチル−N−フェニル−4−アミノフェニル基、N,N−ジフェニル−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(3’―メチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−メチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−エチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−tert−ブチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−n−ヘキシルフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−メトキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−エトキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−n−ブチルオキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(1’−ナフチル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(2’−ナフチル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(3’−メチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−メチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−オクチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−メトキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−エトキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−フルオロフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(1’−ナフチル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(2’−ナフチル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−フェニルフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジフェニル−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(3’―メチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−メチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−エチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−tert−ブチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−n−ヘキシルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−メトキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−エトキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−n−ブチルオキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(1’−ナフチル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(2’−ナフチル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(3’−メチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−メチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−オクチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−メトキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−エトキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−フルオロフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(1’−ナフチル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(2’−ナフチル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−フェニルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジフェニル−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(3’―メチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−メチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−エチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−tert−ブチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−n−ヘキシルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−メトキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−エトキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−n−ブチルオキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(1’−ナフチル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(2’−ナフチル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(3’−メチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−メチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−オクチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−メトキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−エトキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−フルオロフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(1’−ナフチル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(2’−ナフチル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−フェニルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、4−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、2−フェニルフェニル基、4−(4’−メチルフェニル)フェニル基、4−(3’−メチルフェニル)フェニル基、4−(4’−エチルフェニル)フェニル基、4−(4’−イソプロピルフェニル)フェニル基、4−(4’−tert−ブチルフェニル)フェニル基、4−(4’−n−ヘキシルフェニル)フェニル基、4−(4’−n−オクチルフェニル)フェニル基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニル基、4−(4’−n−ブチルオキシフェニル)フェニル基、2−(2’−メトキシフェニル)フェニル基、4−(4’−クロロフェニル)フェニル基、3−メチル−4−フェニルフェニル基、3−メトキシ−4−フェニルフェニル基、9−メチル−2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、9,9−ジエチル−2−フルオレニル基、9−フェニル−2−フルオレニル基、9,9−ジフェニル−2−フルオレニル基、9−メチル−9−フェニル−2−フルオレニル基、9−エチル−9−フェニル−2−フルオレニル基、4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,5−ジブロモフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、2−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−フルオロ−5−メチルフェニル基、3−フルオロ−2−メチルフェニル基、3−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−メチル−4−フルオロフェニル基、2−メチル−5−フルオロフェニル基、3−メチル−4−フルオロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−5−メチルフェニル基、2−クロロ−6−メチルフェニル基、3−クロロ−4−メチルフェニル基、2−メチル−3−クロロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、3−メチル−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル基、2,4−ジクロロ−1−ナフチル基、1,6−ジクロロ−2−ナフチル基、2−メトキシ−4−フルオロフェニル基、3−メトキシ−4−フルオロフェニル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニル基、2−フルオロ−4−エトキシフェニル基、2−フルオロ−6−メトキシフェニル基、3−フルオロ−4−メトキシフェニル基、3−フルオロ−4−エトキシフェニル基、2−クロロ−4−メトキシフェニル基、3−クロロ−4−メトキシフェニル基、2−メトキシ−5−クロロフェニル基、3−メトキシ−4−クロロフェニル基、3−メトキシ−6−クロロフェニル基、5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2,3−ジヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル基、2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル基、2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル基、2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル基、2−ヒドロキシ−3−メチル−5−イソプロピルフェニル基、2−ヒドロキシ−3−イソプロピル−5−メチルフェニル基、2−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル基、2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、2−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル基、2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル基、2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル基、2−ヒドロキシ−3−エトキシフェニル基、2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル基、2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル基、2−ヒドロキシ−6−フルオロフェニル基、2−ヒドロキシ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル基、2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−4−アミノフェニル基、2−ヒドロキシ−N,N−ジエチル−4−アミノフェニル基、2−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル基、2−ヒドロキシ−5−メチルチオフェニル基、2−ヒドロキシ−3,5−ジニトロフェニル基、3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル基、3−エトキシ−4−ヒドロキシフェニル基、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル基、2−メルカプトフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基、2−メチル−5−ニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基、2−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル基、2−ヒドロキシ−1−ナフチル基1−ヒドロキシ−2−ナフチル基、3−ヒドロキシ−2−ナフチル基等を挙げることができる。
【0034】
置換または無置換の複素環式芳香族基の具体例としては、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基、4−メチル−2−ピリジル基、5−メチル−2−ピリジル基、6−メチル−2−ピリジル基、4,6−ジメチル−2−ピリジル基、4−メチル−5−ニトロ−2−ピリジル基、3−ヒドロキシ−2−ピリジル基、6−フルオロ−3−ピリジル基、6−メトキシ−3−ピリジル基、6−メトキシ−2−ピリジル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、2,6−ジメチル−4−ピリミジル基、4−キノリル基、3−キノリル基、4−メチル−2−キノリル基、3−フリル基、2−フリル基、3−チエニル基、2−チエニル基,4−メチル−3−チエニル基、5−メチル−2−チエニル基、3−メチル−2−チエニル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、2−チアジアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基等を挙げることができる。
【0035】
一般式(1)で表される化合物において、R1〜R3の少なくとも一つは置換または無置換のメタロセニル基あるいはメタロセン残基を有する基である。
置換または無置換のメタロセニル基の具体例としては、フェロセニル基、コバルトセニル基、ニッケロセニル基、ジクロロチタノセニル基、トリクロロチタンシクロペンタジエニル基、ビス(トリフルオメタンスルホナト)チタノセニル基、ジクロロジルコノセニル基、ジメチルジルコノセニル基、ジエトキシジルコノセニル基、ビス(シクロペンタジエニル)クロム基、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロモリブデン基、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロハフニウム基、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロニオブ基、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム基、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウム基、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロバナジウム基、オクタメチルフェロセニル基、オクタメチルコバルトセニル基、オクタメチルニッケロセニル基等を挙げることができる。
R1〜R3のメタロセニル残基を有する基とは、連結基および置換または無置換のメタロセニル基からなる基であり、好ましくは、下記一般式(a)(化7)で表される基である。
【0036】
【化7】
【0037】
(式中、Eは連結基を表し、R4、R5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアミノアルキル基またはジアリールホスフィノ基を表し、M’は二価の遷移金属を表す。)
【0038】
一般式(a)で表される基において、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアミノアルキル基またはジアリールホスフィノ基を表し、R4およびR5の具体例としては、水素原子、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の前述のアルキル基、
メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等の前述のアルコキシ基、
アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基等のアミノアルキル基、
ジフェニルホスフィノ基、フェニル−3,5−キシリルホスフィノ基等のジアリールホスフィノ基、
等が挙げられる。
【0039】
一般式(a)で表される基において、M’は二価の遷移金属を表し、具体例としては、Fe、Co、Ni、Ru、Os、Mn、Cr、W、V、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Er、Tm、Yb等が挙げられ、特に好ましくは、Feである。
一般式(a)で表される基において、Eは連結基を表し、好ましくは、下記式群(化8)のいずれかで表される基である。
【0040】
【化8】
【0041】
〔式中、Aは単結合、置換または無置換の二価の脂肪族炭化水素基あるいは置換または無置換の二価の芳香族環基を表し、R’1、R’2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R’3は−O−R’6−、−C(=O)−O−R’6−、−O−C(=O)−R’6−のいずれかで表される基を表し、R’6は単結合、炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数2〜4のアルケニレン基のいずれかを表し、R’4は水素原子またはメチル基を表し、R’5は−CH2−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CH2−C(=O)−、−CH2CH2−C(=O)−のいずれかで表され、nは0〜4の整数である。〕
【0042】
上式中、Aは単結合、置換または無置換の二価の脂肪族炭化水素基あるいは置換または無置換の二価の芳香族環基を表し、具体例としては、単結合、
メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、シクロペンチレン基、ヘキサメチレン基、シクロヘキシレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基等のアルキレン基、
ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、デカニレン基等のアルケニレン基等の脂肪族炭化水素基;
フェニレン基、ナフチレン基、インデニレン基、アントラセニレン基、フルオレニレン基、アズレニレン基、ナフタセニレン基、クリセニレン基、ピレニレン基、ペリレニレン基等の芳香族炭化水素基;
フラニレン基、ピロリレン基、3−ピロリニレン基、ピロリジニレン基、1,3−オキソラニレン基、ピラゾリレン基、2−ピラゾリニレン基、ピラゾリジニレン基、イミダゾリレン基、オキサゾリレン基、チアゾリレン基、1,2,3−オキサジアゾリレン基、1,2,3−トリアゾリレン基、1,2,4−トリアゾリレン基、1,3,4−チアジアゾリレン基、4H−ピラニレン基、ピリジニレン基、ピペリジニレン基、ジオキサニレン基、モルホリニレン基、ピリダジニレン基、ピリミジニレン基、ピラジニレン基、ピペラジニレン基、トリアジニレン基、ベンゾフラニレン基、インドリレン基、チオナフセニレン基、ベンズイミダゾリレン基、ベンゾチアゾリレン基、プリニレン基、キノリニレン基、イソキノリレン基、クマリニレン基、シンノリニレン基、キノキサリニレン基、ジベンゾフラニレン基、カルバゾリレン基、フェナントロニリレン基、フェノチアジニレン基、フラボニレン基、ペリミジレン基等の複素環基;
等が挙げられる。
R’1、R’2の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
【0043】
R’6の具体例としては、上記に挙げたのと同様な炭素数1〜4のアルキレン基、ビニレン基、プロピレニレン基、1−ブテニレン基等の炭素数2〜4のアルケニレン基が挙げられる。
【0044】
本発明における一般式(1)で表される化合物は、互変可能な構造を有しており、互変異性体を有することが可能である。具体的には、下記一般式(1)、(1’)、(1’’)に示される構造であり(化9)、本発明では、便宜上一般式(1)の構造を示しているが、一般式(1)と一般式(1’)もしくは一般式(1’’)の構造を有する化合物であってもよく、一般式(1)と一般式(1’)と一般式(1’’)の各構造の混合物であっても一向に構わず、3種の配合比も限定することなく自由に用いることができる。
【0045】
【化9】
【0046】
一般式(2)において、 Mで表される2〜4価の金属原子または半金属原子としては、周期表IIA〜VIIA族、VIII族、IB〜VIIB族の金属原子ならびに半金属原子が挙げられる。
【0047】
Mで表される2価の無置換金属原子の具体的な例としては、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt、Mn、Sn、Mg、Pb、Hg、Cd、Ba、Ti、Be、Ca、Re、Os等の2価の無置換金属原子が挙げられる。
【0048】
Mで表される配位子を有する2価の金属原子の具体的な例としては、Cu(NH3)2、Fe(NH3)2、Fe(ピリジン)2、Cu(ピリジン)2、Zn(ピリジン)2、Co(ピリジン)2、Fe(N−メチルイミダゾール)2、Co(N−メチルイミダゾール)2等の含窒素化合物が配位している2価の金属原子が挙げられる。
【0049】
Mで表される置換基を有する3価の金属原子の具体的な例としては、Al−F、Al−Cl、Al−Br、Al−I、Ga−F、Ga−Cl、Ga−Br、Ga−I、In−F、In−Cl、In−Br、In−I、Ti−F、Ti−Cl、Ti−Br、Ti−I、Al−C6H5、Al−C6H4(CH3)、In−C6H5、In−C6H4(CH3)、Mn(OH)、Mn(OCH3)、Mn(OC6H5)、Mn[OSi(CH3)3]、Fe−F、Fe−Cl、Fe−Br、Fe−I、Ru−F、Ru−Cl、Ru−Br、Ru−I等の1置換の3価金属原子が挙げられる。
【0050】
Mで表される置換基を有する4価の金属原子の具体的な例としては、CrCl2、SnF2、SnCl2、SnBr2、SnI2、ZnF2、ZnCl2、ZnBr2、ZnI2、GeF2、GeCl2,GeBr2、GeI2、TiF2、TiCl2、TiBr2、TiI2、Sn(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、TiA2、CrA2、SiA2、SnA2、GeA2、Ti(OA)2、Cr(OA)2、Sn(OA)2、Ge(OA)2、Ti(SA)2、Cr(SA)2、Sn(SA)2、Ge(SA)2[Aは前述のR1〜R3で示されるアルキル基、炭素環式芳香族基、複素環式芳香族基と同様の置換または無置換のアルキル基、炭素環式芳香族基、複素環式芳香族基を表す。]等の2置換の4価金属原子が挙げられる。
【0051】
Mで表される置換基を有する3価または4価の半金属原子の具体的な例としては、B−F、B−Cl、B−Br、B−I、B−A、B(OH)、B(OA)、B[OSi(CH3)3][Aは、前述のAを意味する。]等の1置換の3価の半金属原子;
SiF2、SiCl2、SiBr2、SiI2、Si(OH)2、SiA2、Si(OA)2、Si(SA)2[Aは前述のAを意味する。]等の2置換の4価半金属原子が挙げられる。
【0052】
Mで表されるオキシ金属原子の具体的な例としては、VO、MnO、TiO、OsO2等が挙げられる。
【0053】
Mとして、好ましくは、Cu、Ni、Co、Zn、Rh、Fe、Mn−Cl、Co−Cl、Fe−Cl、Fe−A、Fe(ピリジン)2、Cu(ピリジン)2、Zn(ピリジン)2、Co(ピリジン)2、VO、TiO、TiA2、SiA2、SnCl2、SnA2、RuA2、RhA2、GeA2、Si(OA)2、Sn(OA)2、Ge(OA)2、Si(SA)2、Sn(SA)2、Ge(SA)2〔Aは、前述のAを意味する。〕が挙げられる。
【0054】
本発明の光記録媒体に用いられる本発明に係るヒドラゾン化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。(表1〜表11)
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
【表9】
【0064】
【表10】
【0065】
【表11】
【0066】
本発明の光記録媒体に用いられる本発明に係るヒドラゾン化合物は、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、例えば、一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(3)(化10)で表される化合物と、下記一般式(4)(化11)で表される化合物とを溶媒の存在/あるいは非存在下で加熱反応することにより製造することができる。
【0067】
【化10】
【0068】
【化11】
【0069】
〔上式中、R1〜R3は一般式(1)の場合と同じ意味を表す。〕
加熱反応の際に使用する溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノール等のアルコール溶媒、トルエン、1−クロロナフタレン、ニトロベンゼン等の芳香族溶媒等が挙げられる。
【0070】
また、一般式(2)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物と錯体形成可能な各種金属を用い、溶媒の存在/あるいは非存在下で加熱反応することにより製造することができる。
加熱反応の際に使用する溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノール等のアルコール溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、トルエン、1−クロロナフタレン、ニトロベンゼン等の芳香族溶媒等が挙げられる。
【0071】
本発明の光記録媒体においては基板上に記録層を設けるが、該記録層は、本発明に係るヒドラゾン化合物を少なくとも1種含有するものである。本発明の光記憶媒体は、波長300nm〜500nmから選択される記録レーザー波長および再生レーザー波長に対して記録再生が可能であり、中でも、波長390nm〜430nm、更には波長400nm〜410nmの範囲から選択される記録レーザー波長および再生レーザー波長に対して良好なC/N比を得ることができ、また、再生光安定性も良く、高品位な信号特性が得られるものである。
【0072】
本発明の光記録媒体を構成している記録層の色素は、実質的に1種またはそれ以上の本発明に係るヒドラゾン化合物からなるものであるが、波長290nm〜690nmに吸収極大を持ち、300nm〜700nmでの屈折率が大きい前記以外の化合物と混合しても良い。具体的には、シアニン系化合物、スクアリリウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、テトラピラポルフィラジン系化合物、インドフェノール系化合物、ピリリウム系化合物、チオピリリウム系化合物、アズレニウム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、インダスレン系化合物、インジゴ系化合物、チオインジゴ系化合物、メロシアニン系化合物、チアジン系化合物、アクリジン系化合物、オキサジン系化合物、ジピロメテン系化合物、オキサゾール系化合物、アザポルフィリン系化合物、ポルフィリン系化合物等があり、複数の化合物の混合であっても良い。これらの化合物の混合割合は、0.1質量%〜30質量%程度である。
【0073】
記録層を成膜する際に、必要に応じて本発明に係るヒドラゾン化合物に、クエンチャー、化合物熱分解促進剤、紫外線吸収剤、接着剤、吸熱性又は吸熱分解性化合物、あるいは溶解性を向上させる高分子等の添加剤を混合するか、あるいは、そのような効果を有する化合物を本発明に係るヒドラゾン化合物の置換基として導入することも可能である。
【0074】
クエンチャーの具体例としては、アセチルアセトナート系、ビスジチオ−α−ジケトン系やビスフェニルジチオール系等のビスジチオール系、チオカテコナール系、サリチルアルデヒドオキシム系、チオビスフェノレート系等の金属錯体が好ましい。また、アミン系も好適である。
【0075】
化合物熱分解促進剤としては、熱減量分析(TG分析)等により、化合物の熱分解の促進が確認できるのもであれば特に限定されず、例えば、金属系アンチノッキング剤、メタロセン化合物、アセチルアセトナト系金属錯体等の金属化合物が挙げられる。
【0076】
吸熱性又は吸熱分解性化合物としては、特開平10−291366号公報記載の化合物、又は、該公報に記載される置換基を有する化合物等が挙げられる。
【0077】
上述した各種のクエンチャー、化合物熱分解促進剤及び吸熱性又は吸熱分解性化合物は、必要に応じて、1種類で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
【0078】
さらに、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等の添加物質を加えても良い。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
【0079】
記録層を基板の上に成膜する際に、基板の耐溶剤性や反射率、記録感度等を向上させるために、基板の上に無機物やポリマーからなる層を設けても良い。
【0080】
ここで、記録層における本発明に係るヒドラゾン化合物の含有量は、記録再生が可能な任意の量を選択することができるが、通常、30%以上、好ましくは60%以上である。尚、実質的に100%であることも好ましい。
【0081】
記録層を設ける方法は、例えば、スピンコート法、スプレー法、キャスト法、スライド法、カーテン法、エクストルージョン法、ワイヤー法、グラビア法、スプレッド法、ローラーコート法、ナイフ法、浸漬法等の塗布法、スパッタ法、化学蒸着法、真空蒸着法が挙げられるが、スピンコート法が簡便で好ましい。
【0082】
スピンコート法等の塗布法を用いる場合には、本発明に係るヒドラゾン化合物を1〜40質量%、好ましくは3〜30質量%となるように溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を用いるが、この際、溶媒は基板にダメージを与えないものを選ぶことが好ましい。塗布法に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、オクタフルオロペンタノール、アリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラフルオロプロパノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、乳酸メチル等のエステル系溶媒、水等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、あるいは、複数混合しても良い。
【0083】
なお、必要に応じて、記録層の化合物を高分子薄膜等に分散して用いたりすることもできる。
また、基板にダメージを与えない溶媒を選択できない場合は、スパッタ法、化学蒸着法や真空蒸着法等が有効である。
【0084】
記録層の膜厚は、10nm〜1000nmであるが、好ましくは20nm〜300nmである。記録層の膜厚を10nmより薄くすると、熱拡散が大きいため記録できないか、記録信号に歪が発生する上、信号振幅が小さくなる場合がある。また、膜厚が1000nmより厚い場合は反射率が低下し、再生信号特性が悪化する場合がある。
【0085】
次に記録層の上に、好ましくは50nm〜300nmの厚さの反射層を形成する。反射率を高めるためや密着性をよくするために、記録層と反射層の間に反射増幅層や接着層を設けることができる。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、TaおよびPdの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Ag、Alは反射率が高く反射層の材料として適している。青色レーザーでの記録再生を行う場合には、AlまたはAgが好適である。これ以外でも下記のものを含んでいても良い。例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biの金属および半金属を挙げることができる。また、AgまたはAlを主成分とするものは反射率の高い反射層が容易に得られるため好適である。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0086】
反射層を形成する方法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、基板の上や反射層の下に反射率の向上、記録特性の改善、再生光安定性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
【0087】
さらに、反射層の上に形成する保護層の材料としては反射層を外力から保護するものであれば特に限定しない。無機物質としては、SiO2、Si3N4、MgF2、AlN、SnO2、TiO2等が挙げられる。また、有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等は適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後に、この塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂はそのままもしくは適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後に、この塗布液を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良く、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
【0088】
保護層の形成の方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
保護層の膜厚は、一般には0.1μm〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3μm〜30μmであり、より好ましくは、5μm〜20μmである。
保護層の上にさらにレーベル、バーコード等の印刷を行うこともできる。
また、反射層面に保護シートまたは基板を貼り合わせる、あるいは反射層面相互を内側とし対向させ、光記録媒体2枚を貼り合わせる等の手段を用いても良い。
基板鏡面側に、表面保護やごみ等の付着防止のために紫外線硬化性樹脂、無機系薄膜等を成膜しても良い。
【0089】
また、図4のような光記録媒体を作製する場合、基板の上に、好ましくは1nm〜300nmの厚さの反射層を形成する。反射率を高めるためや密着性をよくするために、記録層と反射層の間に反射増幅層や接着層を設けることができる。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Al、Ag、NiおよびPtの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAg、Alは反射率が高く反射層の材料として適している。これ以外でも必要に応じて下記のものを含んでいても良い。例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W 、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、Au、Cu、Ti、Cr、Pd、Taの金属および半金属を挙げることができる。AgまたはAlを主成分とするもので反射率の高い反射層が容易に得られるものが好適である。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0090】
反射層を形成する方法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、基板の上や反射層の下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
【0091】
次に、記録層を反射層の上に製膜する際に、反射層の耐溶剤性や反射率、記録感度等を向上させるために、反射層の上に無機物やポリマーからなる層を設けても良い。
【0092】
ここで、記録層における本発明に係るヒドラゾン化合物の含有量は、記録再生が可能な任意の量を選択することができるが、通常、30質量%以上、好ましくは60質量%以上である。尚、実質的に100質量%であることも好ましい。
【0093】
記録層を設ける方法は、スピンコート法、スプレー法、キャスト法、スライド法、カーテン法、エクストルージョン法、ワイヤー法、グラビア法、スプレッド法、ローラーコート法、ナイフ法、浸漬法等の塗布法、スパッタ法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられるが、スピンコート法が簡便で好ましい。
【0094】
スピンコート法等の塗布法を用いる場合には本発明に係るヒドラゾン化合物を1〜40質量%、好ましくは3〜30質量%となるように溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を用いるが、この際、溶媒は反射層にダメージを与えないものを選ぶことが好ましい。塗布法に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、オクタフルオロペンタノール、アリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラフルオロプロパノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2− ブタノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、乳酸メチル等のエステル系溶媒、水等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、あるいは、複数混合しても良い。
【0095】
なお、必要に応じて、記録層の化合物を高分子薄膜等に分散して用いたりすることもできる。
また、反射層にダメージを与えない溶媒を選択できない場合は、スパッタ法、化学蒸着法や真空蒸着法等が有効である。
【0096】
記録層の膜厚は、通常1nm〜1000nmであるが、 好ましくは5nm〜300nmである。 記録層の膜厚を1nmより薄くすると、記録できないか、 記録信号に歪が発生する上、 信号振幅が小さくなる場合がある。 また、 膜厚が1000nmより厚い場合は反射率が低下し、 再生信号特性が悪化する場合がある。
【0097】
さらに、記録層の上に形成する保護層の材料としては記録層を外力や雰囲気等、外部からの悪影響保護するものであれば特に限定しない。無機物質としては、SiO2、Si3N4、MgF2、AlN、SnO2、TiO2等が挙げられる。また、有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等は適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後に、この塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂はそのままもしくは適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良く、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
【0098】
保護層の形成の方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
【0099】
保護層の膜厚は、一般には0.01μm〜1000μmの範囲であるが、場合により0.1μm〜100μm、さらには、1μm〜20μmとすることができる。
また、基板面に保護シートまたは反射層を張り合わせる、あるいは基板面相互を内側とし対向させ、光記録媒体2枚を張り合わせる等の手段を用いても良い。
保護層面側に、表面保護やごみ等の付着防止のために紫外線硬化性樹脂、無機系薄膜等を製膜しても良い。
【0100】
本発明の光記録媒体において、媒体全体を保護する目的で、例えば、フレキシブルディスクや光磁気ディスク等に見られるようにディスクを保護するケース型の保護ユニットを設置しても構わない。材質はプラスチックや、アルミニウム等の金属を使用することができる。
【0101】
基材の材質としては、基本的には記録光および再生光の波長で透明であればよい。支持基板の材質としては、図5に示すように基板11を通じて青紫色レーザーの照射が行われる場合も加味すると、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂等の高分子材料やガラス等の無機材料等の透明な材料が利用される。一方、図6に示す構成のように、基板11’とは逆の光透過層15’側からレーザー照射が行われる場合、基板の材質としては光学的諸要件を満たす必要はなく、より広範な材料から選択することができる。基板に要求される機械的特性、また基板生産性の観点からは、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂等の射出成型或いはキャスト成型可能な材料が好ましい。これらの基板材料は射出成形法等により円盤状に基板に成形してもよい。
【0102】
また、必要に応じて、これらの基板の表層には、サブミクロンオーダーの案内溝及び/又はプレピットが螺旋状又は同心円上に形成されていても良い。これら案内溝及びプレピットは、基板形成時に付与されているのが好ましく、スタンパー原盤を用いての射出成型や、フォトポリマーを用いた熱転写法により付与することができる。尚、図6における光透過層15’に案内溝及び/又はプレピットを形成しても良く、付与する場合も同様の方法を適用できる。案内溝のピッチ及び深さは、DVDよりも高密度記録を行うHD−DVD−Rの場合、ピッチとして0.25〜0.80μm、深さとして20〜150nmの範囲から選択するのが好ましい。
【0103】
通常、光ディスクとして用いる場合は、厚さ1.2mm程度、直径80ないし120mm程度の円盤状であってもよく、中央に直径15mm程度の穴が開いていても構わない。
【0104】
ここで、本発明で言う波長300nm〜500nmのレーザーは、特に制限はないが、可視光領域の広範囲で波長選択のできる色素レーザーや、窒素レーザー(337nm)等のガスレーザー、波長445nmのヘリウムカドミウムレーザー、波長457nmあるいは波長488nmのアルゴンレーザー等のイオンレーザー、波長400〜410nmののGaN系レーザー、CrドープしたLiSnAlF6を用いた波長860nmの赤外線レーザーの第2高調波430nmを発振するレーザー他、波長415nm、波長425nm等の可視半導体レーザー等の半導体レーザー等があげられる。本発明では、上述のレーザー等を記録または再生を行う記録層の感応する波長に応じて適宜選択することができる。高密度記録および再生は各々、上述の該レーザーから選択される1波長または複数波長において可能となる。
【0105】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。
製造例1 例示化合物番号C−7の製造
ヒドラジノカルボニルフェロセン1.0部、2−(2−エチル−ヘキシロキシ)−ベンズアルデヒド1.4部およびエタノール20部を装入し、80℃にて30分間攪拌した。室温まで冷却し、析出している固体を濾過し、エタノールで洗浄を行い、橙色固体1.53部を得た。その橙色固体0.7部および無水酢酸銅0.6部、エタノール20部を装入し、80℃にて5時間撹拌した。室温まで冷却し溶液を濃縮の後、シリカゲルカラムにて未反応の酢酸銅を除去し、褐色固体0.2部を得た。質量分析測定により例示化合物番号C−7の化合物であることを確認した。
【0106】
実施例1
ポリカーボネート樹脂製で連続した案内溝(トラックピッチ:0.74μm)を有する外径120mmφ、厚さ0.6mmの円盤状の基板上に、例示化合物番号C−7の化合物を2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに溶解させた溶液をスピンコート法にて厚さ70nmとなるように成膜し、記録層を形成した。この記録層の上にバルザース社製スパッタ装置(CDI−900)を用いて銀をスパッタし、厚さ100nmの反射層を形成した。スパッタガスにはアルゴンガスを用いた。スパッタ条件は、スパッタパワー2.5kW、スパッタガス圧1.33Pa(1.0×10−2Torr)で行った。
さらに、反射層の上に紫外線硬化樹脂「SD−1700」(大日本インキ化学工業製)をスピンコートした後、紫外線照射して厚さ5μmの保護層を形成した。更に、保護層の上に紫外線硬化樹脂デフライト「KZ−8681」(JSR株式会社製)をスピンコートした後、前記基板と同様な案内溝のないポリカーボネート樹脂基板をのせ、紫外線照射して基板を貼り合わせ、光記録媒体を作製した。
以上のようにして記録層が形成された光記録媒体について、以下のように評価試験を行った。
波長403nm、開口数0.65の青色レーザーヘッドを搭載した評価機により記録周波数9.7MHz、記録レーザーパワー8.0mW、線速9.0m/s、最短ピット長0.30μmとして記録を行った。良好な形状のピットが規則正しく形成され、高密度に記録できた。記録後、同評価装置により、再生レーザーパワー0.6mWにて線速9.0m/sで再生を行ったところ、ピットを読み取ることができた。、再生を繰り返し1000回以上行ったが、ピットを読み取ることができ、再生光安定性に優れていた。
また、4万ルクスのXe光を当てる耐光性試験を行った。試験後も、ピットを読み取ることができた。
更に湿度85%RH、80℃の雰囲気下で放置する耐湿熱性試験を行った。試験後もピットを読み取ることができた。
【0107】
実施例2〜20
実施例1において、記録層の形成に際して、例示化合物番号C−7の化合物を使用する代わりに、例示化合物番号A−1の化合物(実施例2)、例示化合物番号A−9の化合物(実施例3)、例示化合物番号A−12の化合物(実施例4)、例示化合物番号A−17の化合物(実施例5)、例示化合物番号A−22の化合物(実施例6)、例示化合物番号B−1の化合物(実施例7)、例示化合物番号B−4の化合物(実施例8)、例示化合物番号B−8の化合物(実施例9)、例示化合物番号B−9の化合物(実施例10)、例示化合物番号B−14の化合物(実施例11)、例示化合物番号C−1の化合物(実施例12)、例示化合物番号C−6の化合物(実施例13)、例示化合物番号C−8の化合物(実施例14)、例示化合物番号C−11の化合物(実施例15)、例示化合物番号C−13の化合物(実施例16)、例示化合物番号D−2の化合物(実施例17)、例示化合物番号D−10の化合物(実施例18)、例示化合物番号D−12の化合物(実施例19)、例示化合物番号D−14の化合物(実施例20)を使用した以外は、実施例1に記載の方法により光記録媒体を作製し、実施例1と同様に記録と再生を行った。良好な形状のピットが形成され、ピットを読み取ることができた。また、再生光安定性に優れていた。
耐光性試験および耐湿熱性試験後もピットを読み取ることができた。
【0108】
比較例1
実施例1において、記録層の形成に際して、例示化合物番号C−7の化合物の代わりに、式(a)(化12)の化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体を作製し、実施例1と同様に記録と再生を行った。C/N比が20dB以下と低く再生が困難であった。
【0109】
【化12】
【0110】
実施例1〜20に記載されるように、本発明の光記録媒体は、青色レーザー波長領域において、記録再生が可能であり、記録特性に優れている。
このことから、本発明で規定する構造の化合物を含有する記録層は、波長300〜500nmから選択されるレーザー光による信号記録が可能であり、本発明の光記録媒体は波長300〜500nmから選択されるレーザー光を記録再生に用いる光記録媒体に用いることができる。
【0111】
【発明の効果】
本発明のヒドラゾン化合物を記録層に用いることにより、高密度光記録媒体として非常に注目されている波長300〜500nmレーザー、特に波長400〜410nm青紫色レーザーでの記録および再生が可能な光記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の課題を説明する概念図である。
【図2】本発明の光記録媒体の一構成例を示す模式図である。
【図3】本発明の光記録媒体の他の一構成例を示す模式図である。
【図4】本発明の光記録媒体の更に他の一構成例を示す模式図である。
【図5】本発明の光記録媒体の他の一構成例を示す模式図である。
【図6】本発明の光記録媒体の更に他の一構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 :基板
2 :記録層
3 :反射層
4 :保護層
5 :接着層
11 :基板
12 :記録層
13 :反射層
14 :保護層
15 :ダミー基板層
11’:支持基板
12’:記録層
13’:反射層
14’:透明保護層
15’:光透過層
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に関するものであり、特に可視レーザーの一種である青色レーザー光により記録再生可能である光記録媒体に関する。加えて、本発明は、新規なヒドラゾン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンパクトディスク(以下、CDと略す)規格に対応した光記録媒体としてCD−R(CD−Recordable)が広く普及している。CD−Rの記憶容量は680MB程度であるが、情報量の飛躍的増加に伴い、情報記録媒体に対する高密度化および大容量化への要求は高まっている。
【0003】
記録媒体の高密度化を行う手段としては、記録再生に用いるレーザー波長の短波長化及び対物レンズの開口数(N.A.:Numerical Aperture)を大きくすることにより、ビームスポットを小さくすることが挙げられる。そして、光ディスクシステムに利用される短波長レーザーとして、500nm〜700nm、さらには630nm〜690nm前後、具体的には、680nm、670nm、660nm、650nm、635nm等の赤色レーザーが実用化されてきた。こうして半導体レーザーの短波長化、対物レンズの開口数大化、データ圧縮技術等により、動画記録及び大容量の情報の記録を可能にした光記録媒体の作製が可能となってきた。今日までに提案されている光記録媒体としては、光磁気記録媒体、相変化記録媒体、カルコゲン酸化物系光記録媒体、有機色素系光記録媒体等があるが、これらの中で、安価かつプロセス上容易であるという点から、有機色素系光記録媒体は優位性を有すると考えられる。こうした状況を踏まえ、CDよりも高密度でTV品質並の動画の記録再生が可能な光記録媒体として、普及しつつある市販のDVDビデオプレーヤーやDVD−ROMプレーヤーで再生できる、発振波長630〜690nmの赤色半導体レーザーで記録を施すことが可能な光記録媒体として開発されたのが、追記型のデジタル多目的ディスク(以下、DVD−Rと略す)である。DVD−Rは、3.9GBあるいは4.7GBの記録容量を有する一度書き込み可能な光記録媒体であり、特にここ最近となって、片面4.7GB容量のDVD−R媒体が市場に供給され始めている。該DVD−R媒体も、シアニン系色素、アゾ系色素等を記録層に用い、反射層を設けた積層構造を採用しており、0.6mm厚の基板を2枚貼り合わせたディスク構造を特徴としている。この容量に合った記録特性良好な光ディスクについて、現在では高速記録対応の媒体開発が活発に進められている。
【0004】
さらに、将来的にはより高密度な記録が求められることが予想され、その情報量はディスク1枚あたり15〜30GBにも達すると予想される。その記録密度を実現する為の手段として、より波長の短いレーザーを使用することは避けられない。従って、将来の有機色素系光記録媒体に用いる記録用色素としては、300nm〜500nmの波長範囲において良好な記録特性を有する色素が望まれる。
【0005】
ところで、有機色素を記録層としたDVD−Rよりも高密度記録可能な媒体に関して、特許文献1には、発振波長680nm以下のレーザーを用い、記録容量8GB以上の密度を達成したとの開示がある。該文献の提案では、10〜177μm厚さの光透過層越しに0.7以上の高開口数を有する対物レンズで680nm以下のレーザー光を収束することで、8GB以上の大容量記録を達成している。
【0006】
その一方で、ここ近年、発振波長390〜430nmの青色レーザーとしてGaN系材料を用いた410nmのレーザーや、半導体レーザーと光導波路素子の組合せによる波長425nmのSHGレーザーが開発されてきており、このようなレーザーに合わせた青色半導体レーザー対応色素の開発が現在展開されている。
【0007】
更に、1999年初頭から発振波長400〜410nmの青紫色発光のGaN系半導体レーザーが試供(日亜化学工業)されるに当たり、片面15GB以上の更なる高密度容量を有するHDTV(high definition television)放送並の画質で、2時間程度の動画の記録が可能となる媒体(以下、HD−DVD−R媒体と称す)の検討が始められている。この様な高密度容量を有するHD−DVD−R媒体では、現行放送並の画質であれば6時間程度の録画も可能であるため、家庭用VTRに代わる新しい記録メディアとしても注目されている。すでに、相変化系の無機記録膜を用いた技術概要が紹介されている。
かかる中、次世代高密度光ディスクの統一規格「Blu−ray Disc」が日欧韓9社により策定され、発表された(2002年2月19日)。この規格によると、青紫色レーザーとN.A.=0.85の高開口レンズとを組み合わせ、12cm円板の片面に最大27GBの映像データを繰り返し記録・再生でき、同規格のレコーダを使えば、ディスク1枚にHDTV映像を2時間以上録画できるようになる。これは、現行放送NTSC方式の映像データなら録画時間は13時間以上に相当する。
また、同規格のディスク厚みは1.2mmで、100μm程度の光透過層越しに形成された記録膜にレーザー光を合焦させるもので、23.3、25、27GBの3種類の記録容量が提案されている。さらに前述の規格に先立ち、青紫色レーザー、ならびにN.A.=0.85の高開口レンズを用いた記録媒体への有機色素の適用可能性について言及された。
【0008】
現在のところ、400nm〜500nmの青色レーザーで記録できる有機色素化合物として、シアニン系色素化合物や、ポルフィリン系色素化合物の他、ポリエン系色素化合物、アゾ系色素化合物、ジシアノビニルフェニル色素化合物、クマリン化合物、ピリミジン化合物、ナフタロシアニン化合物、ヘテロ5員環化合物、ビスアゾール化合物、アミノピリジン化合物、ビスピリジニウム化合物、オキソノール化合物、スチリル化合物、アミノブタジエン化合物、金属キレート化合物、キノン化合物またはキノジメタン化合物、ヒドラゾン化合物、トリアジン化合物、カルボスチリル化合物またはナフチリジン化合物、縮合複素環化合物、およびスチルベン化合物等が提案されている。
【0009】
また、記録層形成用の有機色素としてポルフィリン系色素やシアニン系色素等を主とする記録層および銀を主体とする金属反射層の2層が構成された特許文献2に記載の光記録媒体や、媒体構成に工夫したものとして、青色レーザーに感応するシアニン系色素を含有した青色レーザー感応色素層ならびに赤色レーザー感応色素層を有することで、2波長領域の記録を可能とする特許文献3記載の光記録媒体や、青色レーザー用色素および赤色レーザー用色素の2種の色素を混合することで2波長領域の記録を可能とするインジゴイド系色素化合物を用いた特許文献4記載の光記録媒体、シアノエテン系色素を用いた特許文献5記載の光記録媒体、スクアリリウム系色素化合物を用いた特許文献6記載の光記録媒体等が提案されている。
【0010】
一方、400〜500nmの青色領域で有機色素膜を記録に行う例として、ポルフィリン系化合物の中心金属に配位する分子化合物および高分子、あるいは中心金属を配位する分子構造を側鎖に有する高分子と混合することで、該ポルフィリン系化合物のソーレー(Soret)帯を長波長側にシフトさせて、488nmのArレーザーに対応させると共に、スピンコーティングによる成膜を可能ならしめて製造コストの低減を図る提案がなされている(特許文献7〜8)。又ポリエン系色素化合物(特許文献9〜10)は、本発明者らの検討によれば、光安定性が悪く、実用化にはクエンチャーのブレンド等の工夫が必要である。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−302310号公報
【特許文献2】
特開平11−53758号公報
【特許文献3】
特開平11−203729号公報
【特許文献4】
特開平11−78239号公報
【特許文献5】
特開平11−105423号公報
【特許文献6】
特開平11−110815号公報
【特許文献7】
特開平7−304256号公報
【特許文献8】
特開平7−304257号公報
【特許文献9】
特開平4−78576号公報
【特許文献10】
特開平4−89279号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
最近の状況として、波長400nm〜410nmの青紫色半導体レーザーの実用化に目処がついたことで、該レーザーを用いた大容量光記録媒体が盛んに開発され、特に高耐光性や良好な高速記録特性を有する色素の開発が望まれている。しかしながら、前述の光記録媒体では波長400nm〜410nmのレーザー光に対して十分に適応していないのが実情である。すなわち、前述の有機色素を使用した媒体では、記録した信号の再生について、搬送波と雑音の比(C/N)が必ずしも良好な値でないために、信号の読み出しが必ずしも満足に行えない等の問題を我々は見い出した。この問題を克服し、波長400nm〜410nmのレーザー光で高密度記録再生可能な光記録媒体の開発が急務となっている。
本発明者らは、光記録媒体に適した記録材料について検討したところ、次の2点の知見を得た。
(1)大容量光記録媒体は、記録の書き込み及び読み出しに300〜500nmのレーザー光を利用するので記録材料としてはレーザー波長近傍における吸光係数、屈折率、反射率の制御が重要である。
(2)上記のように、該レーザーを用いた大容量光記録媒体が盛んに開発され、特に高耐光性や良好な高速記録特性を有する色素の開発が望まれているにもかかわらず、該波長領域のレーザー光に対して記録再生が可能な記録材料として前述の色素化合物は、今だ十分な特性が得られておらず、改善の余地があるのが現状である。また、記録膜形成が簡便なスピンコート法等の塗布法による媒体製造の際には、有利な特性の1つとして、塗布溶媒への高溶解性を有することが挙げられ、この点についても配慮することが必要である。
また一般に、記録容量の増大を図るには、より高密度に記録を行う必要があり、そのため、記録に使用する光学ビームを絞るための対物レンズの開口数を高め、光学系のレーザー波長をより短波長化することが必須となる。ところが、絞り込んだ光学ビームは回折限界でその最小のビーム径が定められる。
【0013】
ところで、記録はビーム強度がある閾値を超えたところで成されるので、図1(a)に示すように、絞り込んだビームスポットよりも小さな記録ピットが得られる。この記録ピットの周囲はビームの強度ピークのすそ野にあたるが、より短波長化が進む現況では、記録ピットの周囲でも記録層の光化学反応を助長し、殊に、前述の青紫色レーザーの波長領域では、有機化合物の光化学反応が容易に生じる波長領域となるため、記録時にはピットエッジが劣化し、信号特性が悪化するという問題がある。すなわち、図1(b)に示すように、本来矩形波に対応して形成せねばならない記録情報〔図1(b)の実線〕が、ピットエッジの劣化によりブロードな波形〔図1(b)の破線部〕となってしまう。又、記録時と同一の青紫色レーザー波長で再生を行うと、再生光のような微弱な光照射でも光反応が促進され、再生の度に劣化が進むという問題もあり、前記特許文献7、8でも、記録光と再生光とを異なる波長、実質的には、再生光を記録光よりも長波長とする対策を講じねばならなくなり、結果として、十分な高密度化の要求に応えられないのが現状である。又、記録波長と再生光波長を異ならしめることは、記録装置と再生装置を個別に用意するか、1つの装置に2つの光学系及びその制御系を設けなければならず、光記録媒体としての用途が限定されたり、装置の大型化、コストの増大を招き、汎用性の乏しいものとなってしまう。また、従来、CD−Rなどの光記録媒体においては、有機色素膜の融点、昇華点、相転移点或いは熱分解点などの物性上の明確な熱的閾値を境に記録のオン・オフが成されてきたものに対し、青紫色レーザー励起による光劣化モードの介在は、このコントラストを曖昧にし、とりわけ光学ビームよりも小さい細密記録ピットを形成せねばならない高密度記録系においては、著しく記録信号品位を損なう懸念があった。
本発明の目的は、青色半導体レーザー光、殊に波長400nm〜410nmの範囲から選択される可視光域のレーザー光で良好な記録および再生が可能な超高密度記録に適した記録層を有する光記録媒体を提供することにある。また、該光記録媒体に好適に使用できる新規な化合物を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
▲1▼少なくとも一層の記録層に、少なくとも1つのメタロセン残基が結合したヒドラゾン化合物を少なくとも1種含有する光記録媒体。
▲2▼ヒドラゾン化合物の少なくとも1種が、互変可能な構造の一つとして一般式(1)(化5)で表される化合物である▲1▼記載の光記録媒体。
【0015】
【化5】
【0016】
(式中、R1、R2およびR3は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換の炭素環式芳香族基、置換または無置換の複素環式芳香族基、あるいは置換または無置換のメタロセニル基を表す。ただし少なくとも1つはメタロセニル基を表す。)
▲3▼ヒドラゾン化合物の少なくとも1種が、互変可能な構造の一つとして一般式(1)で表される化合物と置換基または配位子を有していてもよい金属原子からなる金属キレート化合物である▲1▼記載の光記録媒体。
▲4▼ヒドラゾン化合物の少なくとも1種が、一般式(2)(化6)で表される化合物である▲3▼記載の光記録媒体。
【0017】
【化6】
【0018】
(式中、R1、R2およびR3は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換の炭素環式芳香族基、置換または無置換の複素環式芳香族基、あるいは置換または無置換のメタロセニル基を表し、nは1〜2の整数を表し、Mは置換基または配位子を有していてもよい2〜4価の金属原子または半金属原子、オキシ金属原子を表す。ただし少なくとも1つはメタロセニル基を表す。)
▲5▼より具体的には、波長300〜500nm、あるいは390〜430nm、あるいは400〜410nmの範囲から選択されるレーザー光により記録および再生が可能である▲1▼〜▲4▼記載の光記録媒体。
▲6▼並びに、上記一般式(1)あるいは一般式(2)で表される化合物に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、光記録媒体の記録層中に少なくとも1つのメタロセン残基が結合したヒドラゾン化合物、および/あるいは、少なくとも1つのメタロセン残基が結合したヒドラゾン化合物と金属からなる金属キレート化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする光記録媒体に関し、波長300nm〜500nm、特に波長390nm〜430nm、更には波長400nm〜410nmの範囲から選択されるレーザー光により記録および再生が可能である新規な光記録媒体に関するものである。また、本発明は該光記録媒体に好適に使用できる新規なヒドラゾン化合物に関するものである。
【0020】
本発明に係る光記録媒体とは、情報を記録して再生することのできる光記録媒体を示すものである。但し、ここでは適例として基板上に記録層、反射層を有する本発明の光記録媒体に関して説明する。
尚、以下の説明では、光記録媒体として、光ディスクであって、支持基板上に例えば案内溝と、この案内溝上に反射膜と有機色素を主成分とする記録層とを有し、波長300〜500nmのレーザー光を照射して信号の記録再生を行う媒体に関して説明するが、本発明の光記録媒体は、この様な形状や構成に限定されるものではなく、カード状、シート状等その他各種の形状のもの、又、反射層を有さないもの、更に将来開発されるであろうより短波長のレーザーでの記録再生にも適用し得るものである。
【0021】
本発明の光記録媒体は、例えば、図2に示すような基板1、記録層2、反射層3、及び保護層4が順次積層している4層構造を有しているか、図3に示すような貼り合わせ構造を有している。即ち、基板1上に記録層2が形成されており、その上に密着して反射層3が設けられており、さらにその上に接着層5を介して保護層4が貼り合わされている。但し、記録層2の下または上に別の層があっても良く、反射層3の上に別の層があっても構わない。また、図4に示すように基板1、反射層3、記録層2、保護層4の順に積層し、保護層側から記録再生する構造であっても良い。また、特開平10−326435号公報記載のように光透過層の厚みが、光学系の開口数N.A.及びレーザー波長λにより規定された媒体構造であっても構わない。また、本発明の光記録媒体は、必要に応じて前記特許文献3記載のように記録層を2種以上有する構造であっても構わない。
【0022】
また、本発明を光ディスクに適用した例として、図5に示すような、基板11、記録層12、反射層13及び保護層14がこの順で積層され、更に接着層を兼ねる保護層14上にダミー基板15を貼り合わせたものが挙げられる。もちろん、基板15の無い構成であっても良く、基板11と記録層12の間、記録層12と反射層13の間、反射層13と保護層14との間、保護層14とダミー基板15との間に、他の層が存在していても良い。図5の光ディスクにおいては、基板11側から記録再生が行われる。
【0023】
又、別の実施形態として、特許文献1に開示の構成、例えば、図6に示すように、案内溝の形成された支持基板11’上に、反射層13’、有機色素を主成分とする記録層12’がこの順で成膜され、この記録層12’上に任意に形成される透明保護層14’を介して光透過層15’が形成され、情報の記録及び再生は、光透過層15’側から実施される。尚、逆に光透過層15’側に案内溝を形成し、その上に透明保護層14’、記録層12’、反射層13’を積層し、支持基板11’と貼り合わせる構成としても良い。
【0024】
本発明においては、基板上に記録層を設けるが、本発明の記録層は、本発明に係るヒドラゾン化合物を記録用色素として少なくとも1種含有するものである。ここで記録用色素とは、レーザー光の照射によりそれ自体の熱分解、昇華等が誘発され、記録層の変化、あるいは形状変化(ピット形成)等により反射率の変化する部分を形成できる色素である。本発明の光記録媒体は、特に300nm〜500nmの範囲から選択される記録レーザー波長に対して記録再生が可能であり、中でも、波長400nm〜410nmの範囲から選択される記録レーザー波長および再生レーザー波長に対して良好な信号特性が得られる光記録媒体である。
【0025】
本発明に係るヒドラゾン化合物は、置換基の選択により吸光係数を保持した状態で吸収波長を任意に選択できるため、前記レーザー光の波長において、記録層に必要な光学定数を満足することが可能である。さらに、良好なピット形状を得ることのできる極めて有用な有機色素である。
【0026】
以下、本発明についてさらに詳細を述べる。
本発明の光記録媒体においては、少なくとも1つのメタロセン残基が結合したヒドラゾン化合物、より好ましくは前記一般式(1)の化合物を一種以上記録層に含有するが、本発明に係わるヒドラゾン化合物は置換基または配位子を有していてもよい金属原子とともにキレート化合物を形成して記録層に含有しても良い。本発明に係る金属キレート化合物としては、例えば一般式(1)で表される化合物と金属からなる金属キレート化合物が挙げられ、好ましい具体例としては、前記一般式(2)で表される金属キレート化合物が挙げられる。
【0027】
一般式(1)で表される化合物において、R1、R2およびR3は、好ましくは、水素原子、炭素数1〜20の置換または無置換のアルキル基、炭素数6〜26の置換または無置換の炭素環式芳香族基、炭素数3〜26の置換または無置換の複素環式芳香族基、炭素数10〜26の置換または無置換のメタロセニル基である。
【0028】
R1、R2およびR3の置換または無置換のアルキル基の具体例としては、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、ネオペンチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2−エチルブチル基、1−エチルブチル基、1,2,2−トリメチルブチル基、1,1,2−トリメチルブチル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、2,4−ジメチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、2,5,5−トリメチルペンチル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、4−エチルオクチル基、4−エチル−4,5−メチルヘキシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、1,3,5,7−テトラエチルオクチル基、4−ブチルオクチル基、6,6−ジエチルオクチル基、n−トリデシル基、6−メチル−4−ブチルオクチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、3,5−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基、2,4−ジメチルヘプチル基、2,2,5,5−テトラメチルヘキシル基、1−シクロペンチル−2,2−ジメチルプロピル基、1−シクロヘキシル−2,2−ジメチルプロピル基等の無置換のアルキル基;
クロロメチル基、1−クロロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヨードエチル基、ジクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル基、ノナフルオロブチル基、パーフルオロデシル基等のハロゲン原子で置換されたアルキル基;
【0029】
ヒドロキシメトキシメトキシメチル基、ヒドロキシエトキシエトキシエチル基、[2’−(2’−ヒドロキ−1’−メチルエトキシ)−1’−メチルエトキシ]エトキシエチル基、[2’−(2’−フルオロ−1’−ヒドロキシエトキシ)−1’−メチルエトキシ]エトキシエチル基、[2’−(2’−クロロ−1’−ヒドロキシエトキシ)−1’−メチルエトキシ]エトキシエチル基等のヒドロキシアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
シアノメチル基、2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、4−シアノブチル基、2−シアノ−3−メトキシプロピル基、2−シアノ−3−クロロプロピル基、2−シアノ−3−エトキシプロピル基、3−ブチルオキシ2−シアノプロピル基、2−シアノ−3−シクロヘキシルプロピル基、2−シアノプロピル基、2−シアノブチル基等のシアノ基で置換されたアルキル基;
【0030】
メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロピルオキシメチル基、n−ブチルオキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、n−プロピルオキシエチル基、n−ブチルオキシエチル基、n−ヘキシルオキシエチル基、(4−メチルペンチルオキシ)エチル基、(1,3−ジメチルブチルオキシ)エチル基、(2−エチルヘキシルオキシ)エチル基、n−オクチルオキシエチル基、(3,5,5−トリメチルヘキシルオキシ)エチル基、(2−メチル−1−イソプロピルプロピルオキシ)エチル基、(3−メチル−1−イソプロピルブチルオキシ)エチル基、2−エトキシ−1−メチルエチル基、3−メトキシブチル基、(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)エチル基、(3,3,3−トリクロロプロピルオキシ)エチル基等のアルコキシ基で置換されたアルキル基;
メトキシメトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、n−プロピルオキシエトキシエチル基、n−ブチルオキシエトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエトキシエチル基、デカリルオキシプロピルオキシエトキシ基、(1,2−ジメチルプロピルオキシ)エトキシエチル基、(3−メチル−1−イソブチルブチルオキシ)エトキシエチル基、(2−メトキシ−1−メチルエトキシ)エチル基、(2−ブチルオキシ1−メチルエトキシ)エチル基、2−(2’−エトキシ−1’−メチルエトキシ)−1−メチルエチル基、(3,3,3−トリフルオロプロピルオキシ)エトキシエチル基、(3,3,3−トリクロロプロピルオキシ)エトキシエチル基等のアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
メトキシメトキシメトキシメチル基、メトキシエトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエトキシエチル基、n−ブチルオキシエトキシエトキシエチル基、シクロヘキシルオキシエトキシエトキシエチル基、n−プロピルオキシプロピルオキシプロピルオキシエチル基、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エトキシエトキシエチル基、(2,2,2−トリクロロエトキシ)エトキシエトキシエチル基等のアルコキシアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
ホルミルメチル基、2−オキソブチル基、3−オキソブチル基、4−オキソブチル基、2,6−ジオキソシクロヘキサン−1−イル基、2−オキソ−5−tert−ブチルシクロヘキサン−1−イル基等のアシル基で置換されたアルキル基;
ホルミルオキシメチル基、アセトキシエチル基、n−プロピオニルオキシエチル基、n−ブタノイルオキシエチル基、バレリルオキシエチル基、(2−エチルヘキサノイルオキシ)エチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ)エチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ)ヘキシル基、(3−フルオロブチリルオキシ)エチル基、(3−クロロブチリルオキシ)エチル基等のアシルオキシ基で置換されたアルキル基;
【0031】
ホルミルオキシメトキシメチル基、アセトキシエトキシエチル基、n−プロピオニルオキシエトキシエチル基、バレリルオキシエトキシエチル基、(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシエチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)オキシブチルオキシエチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ)エトキシエチル基、(2−フルオロプロピオニルオキシ)エトキシエチル基、(2−クロロプロピオニルオキシ)エトキシエチル基等のアシルオキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
アセトキシメトキシメトキシメチル基、アセトキシエトキシエトキシエチル基、n−プロピオニルオキシエトキシエトキシエチル基、バレリルオキシエトキシエトキシエチル基、(2−エチルヘキサノイルオキシ)エトキシエトキシエチル基、(3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ)エトキシエトキシエチル基、(2−フルオロプロピオニルオキシ)エトキシエトキシエチル基、(2−クロロプロピオニルオキシ)エトキシエトキシエチル基等のアシルオキシアルコキシアルコキシ基で置換されたアルキル基;
メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n−ブチルオキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルエチル基、n−ブチルオキシカルボニルエチル基、(4−エチルシクロヘキシルオキシカルボニル)シクロヘキシル基、(2,2,3,3−テトラフルオロプロピルオキシカルボニル)メチル基、(2,2,3,3−テトラクロロプロピルオキシカルボニル)メチル基等のアルコキシカルボニル基で置換されたアルキル基;
フェニルオキシカルボニルメチル基、(2−メチルフェニルオキシカルボニル)メチル基、(3−メチルフェニルオキシカルボニル)メチル基、(4−メチルフェニルオキシカルボニル)メチル基、(4−tert−ブチルフェニルオキシカルボニル)メチル基、フェニルオキシカルボニルエチル基、(4−tert−ブチルフェニルオキシカルボニル)エチル基、(1−ナフチルオキシカルボニ)メチル基、(2−ナフチルオキシカルボニ)メチル基、(2−フェニルフェニルオキシカルボニル)エチル基、(3−フェニルフェニルオキシカルボニル)エチル基、(4−フェニルフェニルオキシカルボニル)エチル基等のアリールオキシカルボニルで置換されたアルキル基;
ベンジルオキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルエチル基、フェネチルオキシカルボニルメチル基、(4−シクロヘキシルオキシベンジルオキシカルボニル)メチル基等のアラルキルオキシカルボニル基で置換されたアルキル基;
ビニルオキシカルボニルメチル基、ビニルオキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルメチル基、シクロペンタジエニルオキシカルボニルメチル基、オクテノキシカルボニルメチル基等のアルケニルオキシカルボニル基で置換されたアルキル基;
メトキシカルボニルオキシメチル基、メトキシカルボニルオキシエチル基、エトキシカルボニルオキシエチル基、ブチルオキシカルボニルオキシエチル基、(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニルオキシ)エチル基、(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルオキシ)エチル基等のアルコキシカルボニルオキシ基で置換されたアルキル基;
メトキシメトキシカルボニルオキシメチル基、メトキシエトキシカルボニルオキシエチル基、エトキシエトキシカルボニルオキシエチル基、n−ブチルオキシエトキシカルボニルオキシエチル基、(2,2,2−トリフルオロエトキシ)エトキシカルボニルオキシエチル基、(2,2,2−トリクロロエトキシ)エトキシカルボニルオキシエチル基等のアルコキシアルコキシカルボニルオキシ基で置換されたアルキル基;
【0032】
ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジ−n−ブチルアミノメチル基、ジ−n−ヘキシルアミノメチル基、ジ−n−オクチルアミノメチル基、ジ−n−デシルアミノメチル基、N−イソアミル−N−メチルアミノメチル基、ピペリジノメチル基、ジ(メトキシメチル)アミノメチル基、ジ(メトキシエチル)アミノメチル基、ジ(エトキシメチル)アミノメチル基、ジ(エトキシエチル)アミノメチル基、ジ(n−プロピルオキシエチル)アミノメチル基、ジ(n−ブチルオキシエチル)アミノメチル基、ビス(2−シクロヘキシルオキシエチル)アミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノエチル基、ジ−n−ブチルアミノエチル基、ジ−n−ヘキシルアミノエチル基、ジ−n−オクチルアミノエチル基、ジ−n−デシルアミノエチル基、N−イソアミル−N−メチルアミノエチル基、ピペリジノエチル基、ジ(メトキシメチル)アミノエチル基、ジ(メトキシエチル)アミノエチル基、ジ(エトキシメチル)アミノエチル基、ジ(エトキシエチル)アミノエチル基、ジ(n−プロピルオキシエチル)アミノエチル基、ジ(n−ブチルオキシエチル)アミノエチル基、ビス(2−シクロヘキシルオキシエチル)アミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノプロピル基、ジ−n−ブチルアミノプロピル基、ジ−n−ヘキシルアミノプロピル基、ジ−n−オクチルアミノプロピル基、ジ−n−デシルアミノプロピル基、N−イソアミル−N−メチルアミノプロピル基、ピペリジノプロピル基、ジ(メトキシメチル)アミノプロピル基、ジ(メトキシエチル)アミノプロピル基、ジ(エトキシメチル)アミノプロピル基、ジ(エトキシエチル)アミノプロピル基、ジ(n−プロピルオキシエチル)アミノプロピル基、ジ(n−ブチルオキシエチル)アミノプロピル基、ビス(2−シクロヘキシルオキシエチル)アミノプロピル基、ジメチルアミノブチル基、ジエチルアミノブチル基、ジ−n−ブチルアミノブチル基、ジ−n−ヘキシルアミノブチル基、ジ−n−オクチルアミノブチル基、ジ−n−デシルアミノブチル基、N−イソアミル−N−メチルアミノブチル基、ピペリジノブチル基、ジ(メトキシメチル)アミノブチル基、ジ(メトキシエチル)アミノブチル基、ジ(エトキシメチル)アミノブチル基、ジ(エトキシエチル)アミノブチル基、ジ(n−プロピルオキシエチル)アミノブチル基、ジ(n−ブチルオキシエチル)アミノブチル基、ビス(2−シクロヘキシルオキシエチル)アミノブチル基等のジアルキルアミノ基が置換されたアルキル基;
アセチルアミノメチル基、アセチルアミノエチル基、n−プロピオニルアミノエチル基、n−ブタノイルアミノエチル基、シクロヘキシルカルボニルアミノエチル基、4−メチルシクロヘキシルカルボニルアミノエチル基、スクシンイミノエチル基等のアシルアミノ基で置換されたアルキル基;
メチルスルホンアミノメチル基、メチルスルホンアミノエチル基、エチルスルホンアミノエチル基、n−プロピルスルホンアミノエチル基、n−オクチルスルホンアミノエチル基等のアルキルスルホンアミノ基で置換されたアルキル基;
メチルスルホニルメチル基、エチルスルホニルメチル基、ブチルスルホニルメチル基、メチルスルホニルエチル基、エチルスルホニルエチル基、n−ブチルスルホニルエチル基、2−エチルヘキシルスルホニルエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルスルホニルメチル基、2,2,3,3−テトラクロロプロピルスルホニルメチル基等のアルキルスルホニル基で置換されたアルキル基;
フェニルスルホニルメチル基、フェニルスルホニルエチル基、フェニルスルホニルプロピル基、フェニルスルホニルブチル基、2−メチルフェニルスルホニルメチル基、3−メチルフェニルスルホニルメチル基、4−メチルフェニルスルホニルメチル基、4−メチルフェニルスルホニルエチル基、4−メチルフェニルスルホニルプロピル基、4−メチルフェニルスルホニルブチル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニルメチル基、2,6−ジメチルフェニルスルホニルメチル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニルエチル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニルプロピル基、2,4−ジメチルフェニルスルホニルブチル基等のアリールスルホニル基で置換されたアルキル基;
チアジアゾリノメチル基、ピロリノメチル基、ピロリジノメチル基、ピラゾリジノメチル基、イミダゾリジノメチル基、オキサゾリル基、トリアゾリノメチル基、モルホリノメチル基、インドーリノメチル基、ベンズイミダゾリノメチル基、カルバゾリノメチル基等の複素環基で置換されたアルキル基;
【0033】
置換または無置換の炭素環式芳香族基の具体例としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、2−sec−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、4−ネオペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−(2’−エチルブチル)フェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−(2’−エチルヘキシル)フェニル基、4−n−ノニルフェニル基、4−n−デシルフェニル基、4−n−ウンデシルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−テトラデシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−(4’−メチルシクロヘキシル)フェニル基、4−(4’−tert−ブチルシクロヘキシル)フェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、4,6−ジ−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、5−tert−ブチル−2−メチルフェニル基、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニル基、2−フェロセニルフェニル基、3−フェロセニルフェニル基、4−フェロセニルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−5−ナフチル基、1,2,3,4−テトラヒドロ−6−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−エチル−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、4−フェニル−1−ナフチル基、5−インダニル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、10−フェニル−9−アントリル基、10−(4’−メチルフェニル)−9−アントリル基、10−(2’,4’−ジメチルフェニル)−9−アントリル基、10−(4’−エチルフェニル)−9−アントリル基、10−(4’−メトキシフェニル)−9−アントリル基、10−(2’−フェニルフェニル)−9−アントリル基、10−(3’−フェニルフェニル)−9−アントリル基、10−(4’−フェニルフェニル)−9−アントリル基、10−(1’−ナフチル)−9−アントリル基、10−(2’−ナフチル)−9−アントリル基、2,6−ジ−tert−ブチル−10−フェニル−9−アントリル基、10−(N,N−ジフェニル−4’−アミノフェニル)−9−アントリル基、9,10−ジフェニル−1−アントリル基、9,10−ジフェニル−2−アントリル基、9,10−ビス(4’−メチルフェニル)−2−アントリル基、9,10−ビス(1’−ナフチル)−2−アントリル基、9,10−ビス(2’−ナフチル)−2−アントリル基、10−(9’−アントリル)−9−アントリル基、6−tert−ブチル−9,10−ジフェニル−2−アントリル基、10−メトキシ−9−アントリル基、10−エトキシ−9−アントリル基、10−n−ピロピルオキシ−9−アントリル基、10−n−ブチルオキシ−9−アントリル基、10−tert−ブチルオキシ−9−アントリル基、10−フェニオルオキシアントリル基、N,N−ジメチル−10−アミノ−9−アントリル基、N,N−ジエチル−10−アミノ−9−アントリル基、N,N−ジフェニル−10−アミノ−9−アントリル基、N,N,N’,N’−テトラフェニル−9,10−ジアミノ−2−アントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、4−n−プロピルオキシフェニル基、3−n−プロピルオキシフェニル基、4−イソプロピルオキシフェニル基、2−イソプロピルオキシフェニル基、4−n−ブチルオキシフェニル基、4−イソブチルオキシフェニル基、2−sec−ブチルオキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−イソペンチルオキシフェニル基、2−イソペンチルオキシフェニル基、4−ネオペンチルオキシフェニル基、2−ネオペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、4−(2’−エチルブチル)オキシフェニル基、4−n−ヘプチルオキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、4−n−ノニルオキシフェニル基、4−n−デシルオキシフェニル基、4−n−ウンデシルオキシフェニル基、4−n−ドデシルオキシフェニル基、4−n−テトラデシルオキシフェニル基、4−シクロヘキシルオキシフェニル基、2−シクロヘキシルオキシフェニル基、2,3−ジメトキシフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、2−メトキシ−5−メチルフェニル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−4−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、2−メトキシ−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、4−n−ブチルオキシ−1−ナフチル基、5−エトキシ−1−ナフチル基、6−メトキシ−2−ナフチル基、6−エトキシ−2−ナフチル基、6−n−ブチルオキシ−2−ナフチル基、6−n−ヘキシルオキシ−2−ナフチル基、7−メトキシ−2−ナフチル基、7−n−ブチルオキシ−2−ナフチル基、4−アミノフェニル基、N−メチル−4−アミノフェニル基、N−エチル−4−アミノフェニル基、N−n−ブチル−4−アミノフェニル基、N−シクロヘキシル−4−アミノフェニル基、N−n−オクチル−4−アミノフェニル基、N−n−デシル−4−アミノフェニル基、N−ベンジル−4−アミノフェニル基、N−フェニル−4−アミノフェニル基、N−(3’−メチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N−(4’−メチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N−(4’−n−ブチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N−(4’−メトキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N−(3’−フルオロフェニル)−4−アミノフェニル基、N−(4’−クロロフェニル)−4−アミノフェニル基、N−(1’−ナフチル)−4−アミノフェニル基、N−(2’−ナフチル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジメチル−4−アミノフェニル基、N,N−ジエチル−4−アミノフェニル基、N,N−ジ−n−ブチル−4−アミノフェニル基、N,N−ジ−n−ヘキシル−4−アミノフェニル基、N,N−ジ−n−オクチル−4−アミノフェニル基、N,N−ジ−n−デシル−4−アミノフェニル基、N,N−ジ−n−ドデシル−4−アミノフェニル基、N−メチル−N−エチル−4−アミノフェニル基、N−エチル−N−n−ブチル−4−アミノフェニル基、N−メチル−N−フェニル−4−アミノフェニル基、N−n−ブチル−N−フェニル−4−アミノフェニル基、N,N−ジフェニル−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(3’―メチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−メチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−エチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−tert−ブチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−n−ヘキシルフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−メトキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−エトキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−n−ブチルオキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(1’−ナフチル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジ(2’−ナフチル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(3’−メチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−メチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−オクチルフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−メトキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−エトキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−フルオロフェニル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(1’−ナフチル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(2’−ナフチル)−4−アミノフェニル基、N−フェニル−N−(4’−フェニルフェニル)−4−アミノフェニル基、N,N−ジフェニル−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(3’―メチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−メチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−エチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−tert−ブチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−n−ヘキシルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−メトキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−エトキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−n−ブチルオキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(1’−ナフチル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジ(2’−ナフチル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(3’−メチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−メチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−オクチルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−メトキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−エトキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−フルオロフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(1’−ナフチル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(2’−ナフチル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−フェニルフェニル)−4−アミノ−1−ナフチル基、N,N−ジフェニル−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(3’―メチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−メチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−エチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−tert−ブチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−n−ヘキシルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−メトキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−エトキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−n−ブチルオキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(1’−ナフチル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N,N−ジ(2’−ナフチル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(3’−メチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−メチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−オクチルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−メトキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−エトキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−n−ヘキシルオキシフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−フルオロフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(1’−ナフチル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(2’−ナフチル)−6−アミノ−2−ナフチル基、N−フェニル−N−(4’−フェニルフェニル)−6−アミノ−2−ナフチル基、4−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、2−フェニルフェニル基、4−(4’−メチルフェニル)フェニル基、4−(3’−メチルフェニル)フェニル基、4−(4’−エチルフェニル)フェニル基、4−(4’−イソプロピルフェニル)フェニル基、4−(4’−tert−ブチルフェニル)フェニル基、4−(4’−n−ヘキシルフェニル)フェニル基、4−(4’−n−オクチルフェニル)フェニル基、4−(4’−メトキシフェニル)フェニル基、4−(4’−n−ブチルオキシフェニル)フェニル基、2−(2’−メトキシフェニル)フェニル基、4−(4’−クロロフェニル)フェニル基、3−メチル−4−フェニルフェニル基、3−メトキシ−4−フェニルフェニル基、9−メチル−2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、9,9−ジエチル−2−フルオレニル基、9−フェニル−2−フルオレニル基、9,9−ジフェニル−2−フルオレニル基、9−メチル−9−フェニル−2−フルオレニル基、9−エチル−9−フェニル−2−フルオレニル基、4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,5−ジブロモフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、2−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−フルオロ−5−メチルフェニル基、3−フルオロ−2−メチルフェニル基、3−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−メチル−4−フルオロフェニル基、2−メチル−5−フルオロフェニル基、3−メチル−4−フルオロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−5−メチルフェニル基、2−クロロ−6−メチルフェニル基、3−クロロ−4−メチルフェニル基、2−メチル−3−クロロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、3−メチル−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル基、2,4−ジクロロ−1−ナフチル基、1,6−ジクロロ−2−ナフチル基、2−メトキシ−4−フルオロフェニル基、3−メトキシ−4−フルオロフェニル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニル基、2−フルオロ−4−エトキシフェニル基、2−フルオロ−6−メトキシフェニル基、3−フルオロ−4−メトキシフェニル基、3−フルオロ−4−エトキシフェニル基、2−クロロ−4−メトキシフェニル基、3−クロロ−4−メトキシフェニル基、2−メトキシ−5−クロロフェニル基、3−メトキシ−4−クロロフェニル基、3−メトキシ−6−クロロフェニル基、5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル基、2−ヒドロキシフェニル基、3−ヒドロキシフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、2,3−ジヒドロキシフェニル基、2−ヒドロキシ−3−メチルフェニル基、2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル基、2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル基、2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル基、2−ヒドロキシ−3−メチル−5−イソプロピルフェニル基、2−ヒドロキシ−3−イソプロピル−5−メチルフェニル基、2−ヒドロキシ−3,5−ジイソプロピルフェニル基、2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル基、2−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル基、2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル基、2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル基、2−ヒドロキシ−3−エトキシフェニル基、2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル基、2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル基、2−ヒドロキシ−6−フルオロフェニル基、2−ヒドロキシ−4−トリフルオロメチルフェニル基、2−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル基、2−ヒドロキシ−N,N−ジメチル−4−アミノフェニル基、2−ヒドロキシ−N,N−ジエチル−4−アミノフェニル基、2−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル基、2−ヒドロキシ−5−メチルチオフェニル基、2−ヒドロキシ−3,5−ジニトロフェニル基、3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル基、3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル基、3−エトキシ−4−ヒドロキシフェニル基、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル基、2−メルカプトフェニル基、2−ニトロフェニル基、3−ニトロフェニル基、4−ニトロフェニル基、2−シアノフェニル基、3−シアノフェニル基、4−シアノフェニル基、2−メチル−5−ニトロフェニル基、3,5−ジニトロフェニル基、2−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル基、2−ヒドロキシ−1−ナフチル基1−ヒドロキシ−2−ナフチル基、3−ヒドロキシ−2−ナフチル基等を挙げることができる。
【0034】
置換または無置換の複素環式芳香族基の具体例としては、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基、4−メチル−2−ピリジル基、5−メチル−2−ピリジル基、6−メチル−2−ピリジル基、4,6−ジメチル−2−ピリジル基、4−メチル−5−ニトロ−2−ピリジル基、3−ヒドロキシ−2−ピリジル基、6−フルオロ−3−ピリジル基、6−メトキシ−3−ピリジル基、6−メトキシ−2−ピリジル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基、2,6−ジメチル−4−ピリミジル基、4−キノリル基、3−キノリル基、4−メチル−2−キノリル基、3−フリル基、2−フリル基、3−チエニル基、2−チエニル基,4−メチル−3−チエニル基、5−メチル−2−チエニル基、3−メチル−2−チエニル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、2−チアジアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基等を挙げることができる。
【0035】
一般式(1)で表される化合物において、R1〜R3の少なくとも一つは置換または無置換のメタロセニル基あるいはメタロセン残基を有する基である。
置換または無置換のメタロセニル基の具体例としては、フェロセニル基、コバルトセニル基、ニッケロセニル基、ジクロロチタノセニル基、トリクロロチタンシクロペンタジエニル基、ビス(トリフルオメタンスルホナト)チタノセニル基、ジクロロジルコノセニル基、ジメチルジルコノセニル基、ジエトキシジルコノセニル基、ビス(シクロペンタジエニル)クロム基、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロモリブデン基、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロハフニウム基、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロニオブ基、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム基、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウム基、ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロバナジウム基、オクタメチルフェロセニル基、オクタメチルコバルトセニル基、オクタメチルニッケロセニル基等を挙げることができる。
R1〜R3のメタロセニル残基を有する基とは、連結基および置換または無置換のメタロセニル基からなる基であり、好ましくは、下記一般式(a)(化7)で表される基である。
【0036】
【化7】
【0037】
(式中、Eは連結基を表し、R4、R5はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアミノアルキル基またはジアリールホスフィノ基を表し、M’は二価の遷移金属を表す。)
【0038】
一般式(a)で表される基において、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアミノアルキル基またはジアリールホスフィノ基を表し、R4およびR5の具体例としては、水素原子、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の前述のアルキル基、
メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等の前述のアルコキシ基、
アミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基等のアミノアルキル基、
ジフェニルホスフィノ基、フェニル−3,5−キシリルホスフィノ基等のジアリールホスフィノ基、
等が挙げられる。
【0039】
一般式(a)で表される基において、M’は二価の遷移金属を表し、具体例としては、Fe、Co、Ni、Ru、Os、Mn、Cr、W、V、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Er、Tm、Yb等が挙げられ、特に好ましくは、Feである。
一般式(a)で表される基において、Eは連結基を表し、好ましくは、下記式群(化8)のいずれかで表される基である。
【0040】
【化8】
【0041】
〔式中、Aは単結合、置換または無置換の二価の脂肪族炭化水素基あるいは置換または無置換の二価の芳香族環基を表し、R’1、R’2はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R’3は−O−R’6−、−C(=O)−O−R’6−、−O−C(=O)−R’6−のいずれかで表される基を表し、R’6は単結合、炭素数1〜4のアルキレン基、炭素数2〜4のアルケニレン基のいずれかを表し、R’4は水素原子またはメチル基を表し、R’5は−CH2−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−CH2−C(=O)−、−CH2CH2−C(=O)−のいずれかで表され、nは0〜4の整数である。〕
【0042】
上式中、Aは単結合、置換または無置換の二価の脂肪族炭化水素基あるいは置換または無置換の二価の芳香族環基を表し、具体例としては、単結合、
メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、シクロペンチレン基、ヘキサメチレン基、シクロヘキシレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基等のアルキレン基、
ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、デカニレン基等のアルケニレン基等の脂肪族炭化水素基;
フェニレン基、ナフチレン基、インデニレン基、アントラセニレン基、フルオレニレン基、アズレニレン基、ナフタセニレン基、クリセニレン基、ピレニレン基、ペリレニレン基等の芳香族炭化水素基;
フラニレン基、ピロリレン基、3−ピロリニレン基、ピロリジニレン基、1,3−オキソラニレン基、ピラゾリレン基、2−ピラゾリニレン基、ピラゾリジニレン基、イミダゾリレン基、オキサゾリレン基、チアゾリレン基、1,2,3−オキサジアゾリレン基、1,2,3−トリアゾリレン基、1,2,4−トリアゾリレン基、1,3,4−チアジアゾリレン基、4H−ピラニレン基、ピリジニレン基、ピペリジニレン基、ジオキサニレン基、モルホリニレン基、ピリダジニレン基、ピリミジニレン基、ピラジニレン基、ピペラジニレン基、トリアジニレン基、ベンゾフラニレン基、インドリレン基、チオナフセニレン基、ベンズイミダゾリレン基、ベンゾチアゾリレン基、プリニレン基、キノリニレン基、イソキノリレン基、クマリニレン基、シンノリニレン基、キノキサリニレン基、ジベンゾフラニレン基、カルバゾリレン基、フェナントロニリレン基、フェノチアジニレン基、フラボニレン基、ペリミジレン基等の複素環基;
等が挙げられる。
R’1、R’2の具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
【0043】
R’6の具体例としては、上記に挙げたのと同様な炭素数1〜4のアルキレン基、ビニレン基、プロピレニレン基、1−ブテニレン基等の炭素数2〜4のアルケニレン基が挙げられる。
【0044】
本発明における一般式(1)で表される化合物は、互変可能な構造を有しており、互変異性体を有することが可能である。具体的には、下記一般式(1)、(1’)、(1’’)に示される構造であり(化9)、本発明では、便宜上一般式(1)の構造を示しているが、一般式(1)と一般式(1’)もしくは一般式(1’’)の構造を有する化合物であってもよく、一般式(1)と一般式(1’)と一般式(1’’)の各構造の混合物であっても一向に構わず、3種の配合比も限定することなく自由に用いることができる。
【0045】
【化9】
【0046】
一般式(2)において、 Mで表される2〜4価の金属原子または半金属原子としては、周期表IIA〜VIIA族、VIII族、IB〜VIIB族の金属原子ならびに半金属原子が挙げられる。
【0047】
Mで表される2価の無置換金属原子の具体的な例としては、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Pt、Mn、Sn、Mg、Pb、Hg、Cd、Ba、Ti、Be、Ca、Re、Os等の2価の無置換金属原子が挙げられる。
【0048】
Mで表される配位子を有する2価の金属原子の具体的な例としては、Cu(NH3)2、Fe(NH3)2、Fe(ピリジン)2、Cu(ピリジン)2、Zn(ピリジン)2、Co(ピリジン)2、Fe(N−メチルイミダゾール)2、Co(N−メチルイミダゾール)2等の含窒素化合物が配位している2価の金属原子が挙げられる。
【0049】
Mで表される置換基を有する3価の金属原子の具体的な例としては、Al−F、Al−Cl、Al−Br、Al−I、Ga−F、Ga−Cl、Ga−Br、Ga−I、In−F、In−Cl、In−Br、In−I、Ti−F、Ti−Cl、Ti−Br、Ti−I、Al−C6H5、Al−C6H4(CH3)、In−C6H5、In−C6H4(CH3)、Mn(OH)、Mn(OCH3)、Mn(OC6H5)、Mn[OSi(CH3)3]、Fe−F、Fe−Cl、Fe−Br、Fe−I、Ru−F、Ru−Cl、Ru−Br、Ru−I等の1置換の3価金属原子が挙げられる。
【0050】
Mで表される置換基を有する4価の金属原子の具体的な例としては、CrCl2、SnF2、SnCl2、SnBr2、SnI2、ZnF2、ZnCl2、ZnBr2、ZnI2、GeF2、GeCl2,GeBr2、GeI2、TiF2、TiCl2、TiBr2、TiI2、Sn(OH)2、Ge(OH)2、Zr(OH)2、Mn(OH)2、TiA2、CrA2、SiA2、SnA2、GeA2、Ti(OA)2、Cr(OA)2、Sn(OA)2、Ge(OA)2、Ti(SA)2、Cr(SA)2、Sn(SA)2、Ge(SA)2[Aは前述のR1〜R3で示されるアルキル基、炭素環式芳香族基、複素環式芳香族基と同様の置換または無置換のアルキル基、炭素環式芳香族基、複素環式芳香族基を表す。]等の2置換の4価金属原子が挙げられる。
【0051】
Mで表される置換基を有する3価または4価の半金属原子の具体的な例としては、B−F、B−Cl、B−Br、B−I、B−A、B(OH)、B(OA)、B[OSi(CH3)3][Aは、前述のAを意味する。]等の1置換の3価の半金属原子;
SiF2、SiCl2、SiBr2、SiI2、Si(OH)2、SiA2、Si(OA)2、Si(SA)2[Aは前述のAを意味する。]等の2置換の4価半金属原子が挙げられる。
【0052】
Mで表されるオキシ金属原子の具体的な例としては、VO、MnO、TiO、OsO2等が挙げられる。
【0053】
Mとして、好ましくは、Cu、Ni、Co、Zn、Rh、Fe、Mn−Cl、Co−Cl、Fe−Cl、Fe−A、Fe(ピリジン)2、Cu(ピリジン)2、Zn(ピリジン)2、Co(ピリジン)2、VO、TiO、TiA2、SiA2、SnCl2、SnA2、RuA2、RhA2、GeA2、Si(OA)2、Sn(OA)2、Ge(OA)2、Si(SA)2、Sn(SA)2、Ge(SA)2〔Aは、前述のAを意味する。〕が挙げられる。
【0054】
本発明の光記録媒体に用いられる本発明に係るヒドラゾン化合物の具体例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。(表1〜表11)
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
【表9】
【0064】
【表10】
【0065】
【表11】
【0066】
本発明の光記録媒体に用いられる本発明に係るヒドラゾン化合物は、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、例えば、一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(3)(化10)で表される化合物と、下記一般式(4)(化11)で表される化合物とを溶媒の存在/あるいは非存在下で加熱反応することにより製造することができる。
【0067】
【化10】
【0068】
【化11】
【0069】
〔上式中、R1〜R3は一般式(1)の場合と同じ意味を表す。〕
加熱反応の際に使用する溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノール等のアルコール溶媒、トルエン、1−クロロナフタレン、ニトロベンゼン等の芳香族溶媒等が挙げられる。
【0070】
また、一般式(2)で表される化合物は、一般式(1)で表される化合物と錯体形成可能な各種金属を用い、溶媒の存在/あるいは非存在下で加熱反応することにより製造することができる。
加熱反応の際に使用する溶媒としては、エタノール、メタノール、プロパノール等のアルコール溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、トルエン、1−クロロナフタレン、ニトロベンゼン等の芳香族溶媒等が挙げられる。
【0071】
本発明の光記録媒体においては基板上に記録層を設けるが、該記録層は、本発明に係るヒドラゾン化合物を少なくとも1種含有するものである。本発明の光記憶媒体は、波長300nm〜500nmから選択される記録レーザー波長および再生レーザー波長に対して記録再生が可能であり、中でも、波長390nm〜430nm、更には波長400nm〜410nmの範囲から選択される記録レーザー波長および再生レーザー波長に対して良好なC/N比を得ることができ、また、再生光安定性も良く、高品位な信号特性が得られるものである。
【0072】
本発明の光記録媒体を構成している記録層の色素は、実質的に1種またはそれ以上の本発明に係るヒドラゾン化合物からなるものであるが、波長290nm〜690nmに吸収極大を持ち、300nm〜700nmでの屈折率が大きい前記以外の化合物と混合しても良い。具体的には、シアニン系化合物、スクアリリウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、テトラピラポルフィラジン系化合物、インドフェノール系化合物、ピリリウム系化合物、チオピリリウム系化合物、アズレニウム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、インダスレン系化合物、インジゴ系化合物、チオインジゴ系化合物、メロシアニン系化合物、チアジン系化合物、アクリジン系化合物、オキサジン系化合物、ジピロメテン系化合物、オキサゾール系化合物、アザポルフィリン系化合物、ポルフィリン系化合物等があり、複数の化合物の混合であっても良い。これらの化合物の混合割合は、0.1質量%〜30質量%程度である。
【0073】
記録層を成膜する際に、必要に応じて本発明に係るヒドラゾン化合物に、クエンチャー、化合物熱分解促進剤、紫外線吸収剤、接着剤、吸熱性又は吸熱分解性化合物、あるいは溶解性を向上させる高分子等の添加剤を混合するか、あるいは、そのような効果を有する化合物を本発明に係るヒドラゾン化合物の置換基として導入することも可能である。
【0074】
クエンチャーの具体例としては、アセチルアセトナート系、ビスジチオ−α−ジケトン系やビスフェニルジチオール系等のビスジチオール系、チオカテコナール系、サリチルアルデヒドオキシム系、チオビスフェノレート系等の金属錯体が好ましい。また、アミン系も好適である。
【0075】
化合物熱分解促進剤としては、熱減量分析(TG分析)等により、化合物の熱分解の促進が確認できるのもであれば特に限定されず、例えば、金属系アンチノッキング剤、メタロセン化合物、アセチルアセトナト系金属錯体等の金属化合物が挙げられる。
【0076】
吸熱性又は吸熱分解性化合物としては、特開平10−291366号公報記載の化合物、又は、該公報に記載される置換基を有する化合物等が挙げられる。
【0077】
上述した各種のクエンチャー、化合物熱分解促進剤及び吸熱性又は吸熱分解性化合物は、必要に応じて、1種類で用いても、2種類以上を混合して用いても良い。
【0078】
さらに、必要に応じて、バインダー、レベリング剤、消泡剤等の添加物質を加えても良い。好ましいバインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ケトン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリオレフィン等が挙げられる。
【0079】
記録層を基板の上に成膜する際に、基板の耐溶剤性や反射率、記録感度等を向上させるために、基板の上に無機物やポリマーからなる層を設けても良い。
【0080】
ここで、記録層における本発明に係るヒドラゾン化合物の含有量は、記録再生が可能な任意の量を選択することができるが、通常、30%以上、好ましくは60%以上である。尚、実質的に100%であることも好ましい。
【0081】
記録層を設ける方法は、例えば、スピンコート法、スプレー法、キャスト法、スライド法、カーテン法、エクストルージョン法、ワイヤー法、グラビア法、スプレッド法、ローラーコート法、ナイフ法、浸漬法等の塗布法、スパッタ法、化学蒸着法、真空蒸着法が挙げられるが、スピンコート法が簡便で好ましい。
【0082】
スピンコート法等の塗布法を用いる場合には、本発明に係るヒドラゾン化合物を1〜40質量%、好ましくは3〜30質量%となるように溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を用いるが、この際、溶媒は基板にダメージを与えないものを選ぶことが好ましい。塗布法に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、オクタフルオロペンタノール、アリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラフルオロプロパノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、乳酸メチル等のエステル系溶媒、水等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、あるいは、複数混合しても良い。
【0083】
なお、必要に応じて、記録層の化合物を高分子薄膜等に分散して用いたりすることもできる。
また、基板にダメージを与えない溶媒を選択できない場合は、スパッタ法、化学蒸着法や真空蒸着法等が有効である。
【0084】
記録層の膜厚は、10nm〜1000nmであるが、好ましくは20nm〜300nmである。記録層の膜厚を10nmより薄くすると、熱拡散が大きいため記録できないか、記録信号に歪が発生する上、信号振幅が小さくなる場合がある。また、膜厚が1000nmより厚い場合は反射率が低下し、再生信号特性が悪化する場合がある。
【0085】
次に記録層の上に、好ましくは50nm〜300nmの厚さの反射層を形成する。反射率を高めるためや密着性をよくするために、記録層と反射層の間に反射増幅層や接着層を設けることができる。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、TaおよびPdの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAu、Ag、Alは反射率が高く反射層の材料として適している。青色レーザーでの記録再生を行う場合には、AlまたはAgが好適である。これ以外でも下記のものを含んでいても良い。例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Biの金属および半金属を挙げることができる。また、AgまたはAlを主成分とするものは反射率の高い反射層が容易に得られるため好適である。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0086】
反射層を形成する方法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、基板の上や反射層の下に反射率の向上、記録特性の改善、再生光安定性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
【0087】
さらに、反射層の上に形成する保護層の材料としては反射層を外力から保護するものであれば特に限定しない。無機物質としては、SiO2、Si3N4、MgF2、AlN、SnO2、TiO2等が挙げられる。また、有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等は適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後に、この塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂はそのままもしくは適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後に、この塗布液を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良く、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
【0088】
保護層の形成の方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
保護層の膜厚は、一般には0.1μm〜100μmの範囲であるが、本発明においては、3μm〜30μmであり、より好ましくは、5μm〜20μmである。
保護層の上にさらにレーベル、バーコード等の印刷を行うこともできる。
また、反射層面に保護シートまたは基板を貼り合わせる、あるいは反射層面相互を内側とし対向させ、光記録媒体2枚を貼り合わせる等の手段を用いても良い。
基板鏡面側に、表面保護やごみ等の付着防止のために紫外線硬化性樹脂、無機系薄膜等を成膜しても良い。
【0089】
また、図4のような光記録媒体を作製する場合、基板の上に、好ましくは1nm〜300nmの厚さの反射層を形成する。反射率を高めるためや密着性をよくするために、記録層と反射層の間に反射増幅層や接着層を設けることができる。反射層の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Al、Ag、NiおよびPtの金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。この中でもAg、Alは反射率が高く反射層の材料として適している。これ以外でも必要に応じて下記のものを含んでいても良い。例えば、Mg、Se、Hf、V、Nb、Ru、W 、Mn、Re、Fe、Co、Rh、Ir、Zn、Cd、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、Po、Sn、Bi、Au、Cu、Ti、Cr、Pd、Taの金属および半金属を挙げることができる。AgまたはAlを主成分とするもので反射率の高い反射層が容易に得られるものが好適である。金属以外の材料で低屈折率薄膜と高屈折率薄膜を交互に積み重ねて多層膜を形成し、反射層として用いることも可能である。
【0090】
反射層を形成する方法としては、スパッタ法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられる。また、基板の上や反射層の下に反射率の向上、記録特性の改善、密着性の向上等のために公知の無機系または有機系の中間層、接着層を設けることもできる。
【0091】
次に、記録層を反射層の上に製膜する際に、反射層の耐溶剤性や反射率、記録感度等を向上させるために、反射層の上に無機物やポリマーからなる層を設けても良い。
【0092】
ここで、記録層における本発明に係るヒドラゾン化合物の含有量は、記録再生が可能な任意の量を選択することができるが、通常、30質量%以上、好ましくは60質量%以上である。尚、実質的に100質量%であることも好ましい。
【0093】
記録層を設ける方法は、スピンコート法、スプレー法、キャスト法、スライド法、カーテン法、エクストルージョン法、ワイヤー法、グラビア法、スプレッド法、ローラーコート法、ナイフ法、浸漬法等の塗布法、スパッタ法、化学蒸着法、真空蒸着法等が挙げられるが、スピンコート法が簡便で好ましい。
【0094】
スピンコート法等の塗布法を用いる場合には本発明に係るヒドラゾン化合物を1〜40質量%、好ましくは3〜30質量%となるように溶媒に溶解あるいは分散させた塗布液を用いるが、この際、溶媒は反射層にダメージを与えないものを選ぶことが好ましい。塗布法に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、オクタフルオロペンタノール、アリルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラフルオロプロパノール等のアルコール系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロロエタン、ジブロモエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、3−ヒドロキシ−3−メチル−2− ブタノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、乳酸メチル等のエステル系溶媒、水等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、あるいは、複数混合しても良い。
【0095】
なお、必要に応じて、記録層の化合物を高分子薄膜等に分散して用いたりすることもできる。
また、反射層にダメージを与えない溶媒を選択できない場合は、スパッタ法、化学蒸着法や真空蒸着法等が有効である。
【0096】
記録層の膜厚は、通常1nm〜1000nmであるが、 好ましくは5nm〜300nmである。 記録層の膜厚を1nmより薄くすると、記録できないか、 記録信号に歪が発生する上、 信号振幅が小さくなる場合がある。 また、 膜厚が1000nmより厚い場合は反射率が低下し、 再生信号特性が悪化する場合がある。
【0097】
さらに、記録層の上に形成する保護層の材料としては記録層を外力や雰囲気等、外部からの悪影響保護するものであれば特に限定しない。無機物質としては、SiO2、Si3N4、MgF2、AlN、SnO2、TiO2等が挙げられる。また、有機物質としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等は適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後に、この塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂はそのままもしくは適当な溶媒に溶解して塗布液を調製した後にこの塗布液を塗布し、紫外線を照射して硬化させることによって形成することができる。紫外線硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等のアクリレート樹脂を用いることができる。これらの材料は単独であるいは混合して用いても良く、1層だけでなく多層膜にして用いても良い。
【0098】
保護層の形成の方法としては、記録層と同様にスピンコート法やキャスト法等の塗布法やスパッタ法や化学蒸着法等の方法が用いられるが、この中でもスピンコート法が好ましい。
【0099】
保護層の膜厚は、一般には0.01μm〜1000μmの範囲であるが、場合により0.1μm〜100μm、さらには、1μm〜20μmとすることができる。
また、基板面に保護シートまたは反射層を張り合わせる、あるいは基板面相互を内側とし対向させ、光記録媒体2枚を張り合わせる等の手段を用いても良い。
保護層面側に、表面保護やごみ等の付着防止のために紫外線硬化性樹脂、無機系薄膜等を製膜しても良い。
【0100】
本発明の光記録媒体において、媒体全体を保護する目的で、例えば、フレキシブルディスクや光磁気ディスク等に見られるようにディスクを保護するケース型の保護ユニットを設置しても構わない。材質はプラスチックや、アルミニウム等の金属を使用することができる。
【0101】
基材の材質としては、基本的には記録光および再生光の波長で透明であればよい。支持基板の材質としては、図5に示すように基板11を通じて青紫色レーザーの照射が行われる場合も加味すると、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂等の高分子材料やガラス等の無機材料等の透明な材料が利用される。一方、図6に示す構成のように、基板11’とは逆の光透過層15’側からレーザー照射が行われる場合、基板の材質としては光学的諸要件を満たす必要はなく、より広範な材料から選択することができる。基板に要求される機械的特性、また基板生産性の観点からは、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂等の射出成型或いはキャスト成型可能な材料が好ましい。これらの基板材料は射出成形法等により円盤状に基板に成形してもよい。
【0102】
また、必要に応じて、これらの基板の表層には、サブミクロンオーダーの案内溝及び/又はプレピットが螺旋状又は同心円上に形成されていても良い。これら案内溝及びプレピットは、基板形成時に付与されているのが好ましく、スタンパー原盤を用いての射出成型や、フォトポリマーを用いた熱転写法により付与することができる。尚、図6における光透過層15’に案内溝及び/又はプレピットを形成しても良く、付与する場合も同様の方法を適用できる。案内溝のピッチ及び深さは、DVDよりも高密度記録を行うHD−DVD−Rの場合、ピッチとして0.25〜0.80μm、深さとして20〜150nmの範囲から選択するのが好ましい。
【0103】
通常、光ディスクとして用いる場合は、厚さ1.2mm程度、直径80ないし120mm程度の円盤状であってもよく、中央に直径15mm程度の穴が開いていても構わない。
【0104】
ここで、本発明で言う波長300nm〜500nmのレーザーは、特に制限はないが、可視光領域の広範囲で波長選択のできる色素レーザーや、窒素レーザー(337nm)等のガスレーザー、波長445nmのヘリウムカドミウムレーザー、波長457nmあるいは波長488nmのアルゴンレーザー等のイオンレーザー、波長400〜410nmののGaN系レーザー、CrドープしたLiSnAlF6を用いた波長860nmの赤外線レーザーの第2高調波430nmを発振するレーザー他、波長415nm、波長425nm等の可視半導体レーザー等の半導体レーザー等があげられる。本発明では、上述のレーザー等を記録または再生を行う記録層の感応する波長に応じて適宜選択することができる。高密度記録および再生は各々、上述の該レーザーから選択される1波長または複数波長において可能となる。
【0105】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。
製造例1 例示化合物番号C−7の製造
ヒドラジノカルボニルフェロセン1.0部、2−(2−エチル−ヘキシロキシ)−ベンズアルデヒド1.4部およびエタノール20部を装入し、80℃にて30分間攪拌した。室温まで冷却し、析出している固体を濾過し、エタノールで洗浄を行い、橙色固体1.53部を得た。その橙色固体0.7部および無水酢酸銅0.6部、エタノール20部を装入し、80℃にて5時間撹拌した。室温まで冷却し溶液を濃縮の後、シリカゲルカラムにて未反応の酢酸銅を除去し、褐色固体0.2部を得た。質量分析測定により例示化合物番号C−7の化合物であることを確認した。
【0106】
実施例1
ポリカーボネート樹脂製で連続した案内溝(トラックピッチ:0.74μm)を有する外径120mmφ、厚さ0.6mmの円盤状の基板上に、例示化合物番号C−7の化合物を2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに溶解させた溶液をスピンコート法にて厚さ70nmとなるように成膜し、記録層を形成した。この記録層の上にバルザース社製スパッタ装置(CDI−900)を用いて銀をスパッタし、厚さ100nmの反射層を形成した。スパッタガスにはアルゴンガスを用いた。スパッタ条件は、スパッタパワー2.5kW、スパッタガス圧1.33Pa(1.0×10−2Torr)で行った。
さらに、反射層の上に紫外線硬化樹脂「SD−1700」(大日本インキ化学工業製)をスピンコートした後、紫外線照射して厚さ5μmの保護層を形成した。更に、保護層の上に紫外線硬化樹脂デフライト「KZ−8681」(JSR株式会社製)をスピンコートした後、前記基板と同様な案内溝のないポリカーボネート樹脂基板をのせ、紫外線照射して基板を貼り合わせ、光記録媒体を作製した。
以上のようにして記録層が形成された光記録媒体について、以下のように評価試験を行った。
波長403nm、開口数0.65の青色レーザーヘッドを搭載した評価機により記録周波数9.7MHz、記録レーザーパワー8.0mW、線速9.0m/s、最短ピット長0.30μmとして記録を行った。良好な形状のピットが規則正しく形成され、高密度に記録できた。記録後、同評価装置により、再生レーザーパワー0.6mWにて線速9.0m/sで再生を行ったところ、ピットを読み取ることができた。、再生を繰り返し1000回以上行ったが、ピットを読み取ることができ、再生光安定性に優れていた。
また、4万ルクスのXe光を当てる耐光性試験を行った。試験後も、ピットを読み取ることができた。
更に湿度85%RH、80℃の雰囲気下で放置する耐湿熱性試験を行った。試験後もピットを読み取ることができた。
【0107】
実施例2〜20
実施例1において、記録層の形成に際して、例示化合物番号C−7の化合物を使用する代わりに、例示化合物番号A−1の化合物(実施例2)、例示化合物番号A−9の化合物(実施例3)、例示化合物番号A−12の化合物(実施例4)、例示化合物番号A−17の化合物(実施例5)、例示化合物番号A−22の化合物(実施例6)、例示化合物番号B−1の化合物(実施例7)、例示化合物番号B−4の化合物(実施例8)、例示化合物番号B−8の化合物(実施例9)、例示化合物番号B−9の化合物(実施例10)、例示化合物番号B−14の化合物(実施例11)、例示化合物番号C−1の化合物(実施例12)、例示化合物番号C−6の化合物(実施例13)、例示化合物番号C−8の化合物(実施例14)、例示化合物番号C−11の化合物(実施例15)、例示化合物番号C−13の化合物(実施例16)、例示化合物番号D−2の化合物(実施例17)、例示化合物番号D−10の化合物(実施例18)、例示化合物番号D−12の化合物(実施例19)、例示化合物番号D−14の化合物(実施例20)を使用した以外は、実施例1に記載の方法により光記録媒体を作製し、実施例1と同様に記録と再生を行った。良好な形状のピットが形成され、ピットを読み取ることができた。また、再生光安定性に優れていた。
耐光性試験および耐湿熱性試験後もピットを読み取ることができた。
【0108】
比較例1
実施例1において、記録層の形成に際して、例示化合物番号C−7の化合物の代わりに、式(a)(化12)の化合物を用いた以外は、実施例1と同様にして、光記録媒体を作製し、実施例1と同様に記録と再生を行った。C/N比が20dB以下と低く再生が困難であった。
【0109】
【化12】
【0110】
実施例1〜20に記載されるように、本発明の光記録媒体は、青色レーザー波長領域において、記録再生が可能であり、記録特性に優れている。
このことから、本発明で規定する構造の化合物を含有する記録層は、波長300〜500nmから選択されるレーザー光による信号記録が可能であり、本発明の光記録媒体は波長300〜500nmから選択されるレーザー光を記録再生に用いる光記録媒体に用いることができる。
【0111】
【発明の効果】
本発明のヒドラゾン化合物を記録層に用いることにより、高密度光記録媒体として非常に注目されている波長300〜500nmレーザー、特に波長400〜410nm青紫色レーザーでの記録および再生が可能な光記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の課題を説明する概念図である。
【図2】本発明の光記録媒体の一構成例を示す模式図である。
【図3】本発明の光記録媒体の他の一構成例を示す模式図である。
【図4】本発明の光記録媒体の更に他の一構成例を示す模式図である。
【図5】本発明の光記録媒体の他の一構成例を示す模式図である。
【図6】本発明の光記録媒体の更に他の一構成例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 :基板
2 :記録層
3 :反射層
4 :保護層
5 :接着層
11 :基板
12 :記録層
13 :反射層
14 :保護層
15 :ダミー基板層
11’:支持基板
12’:記録層
13’:反射層
14’:透明保護層
15’:光透過層
Claims (6)
- 少なくとも一層の記録層に、少なくとも1つのメタロセン残基が結合したヒドラゾン化合物を少なくとも1種含有する光記録媒体。
- ヒドラゾン化合物の少なくとも1種が、互変可能な構造の一つとして一般式(1)で表される化合物と置換基または配位子を有していてもよい金属原子からなる金属キレート化合物である請求項1記載の光記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002272832A JP2004106370A (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | 光記録媒体およびヒドラゾン化合物 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002272832A JP2004106370A (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | 光記録媒体およびヒドラゾン化合物 |
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JP2004106370A true JP2004106370A (ja) | 2004-04-08 |
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ID=32269753
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Cited By (1)
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US7378203B2 (en) | 2005-03-16 | 2008-05-27 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Charge transport materials having at least a metallocene group |
-
2002
- 2002-09-19 JP JP2002272832A patent/JP2004106370A/ja active Pending
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