JP2004104440A - 光受信器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】識別再生部4は光受信部が光信号10を電気信号に変換した主信号14を、識別基準電圧11と、位相制御電圧12によりシフトされたクロック信号18とにより識別再生する。誤り監視回路5は識別再生された主信号15の符号誤り率を測定し、その結果を符号誤り率データ13として出力する。制御部6は、主信号15のデータ波形内の全域を網羅し、かつ少なくとも位相制御電圧と識別基準電圧それぞれに対応する値を座標値とするマトリックス状のデータテーブルを備えている。そして、光受信器が運用されるときには、データテーブル上の値を読み出して、位相制御電圧と識別基準電圧を出力し、その位相制御電圧と識別基準電圧に対する符号誤り率データにより、予め設定さている目標の符号誤り率値を満たすような位相制御電圧と識別基準電圧を設定する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光伝送に用いられる光受信器、特に、伝送路特性や環境条件が変化した場合に、光受信器の符号誤り率を所望の値に維持するための識別基準電圧と位相制御電圧の自動調整に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、光受信器では、光伝送路の端末に当たる受光部で光信号を電気信号に変換を行い、増幅部で電気信号の増幅を行い、識別再生部でクロックタイミングにより識別再生を行う。そして、識別再生部の後に、符号誤り率測定回路を用いて誤り率の監視を行い、制御部によって、クロックタイミングの位相の調整と識別再生器への識別基準電圧、および識別再生を行うための等化増幅器の増幅率を調整することにより、所望の符号誤り率で伝送信号を再生することが可能である。
【0003】
この場合、識別再生のための識別基準電圧値とクロックの位相を調整する電圧を符号誤り率が最小となるアイ開口の中心となるように調整を行って、可変パラメータの値を保持しておく。しかし、このままでは、伝送路特性や環境条件が変わることによって、アイ開口の形が変わり符号誤り率が悪化することがある。
【0004】
そこで、従来の光受信器は、符号誤り率の自動調整方法として、制御部により次の▲1▼,▲2▼,▲3▼の順番で調整を行い、符号誤り率の最適点を求めている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
▲1▼識別再生部で用いる識別基準電圧値を符号誤り率が最小となるように調整を行い固定する。▲2▼識別再生部で用いるクロックタイミングの位相を変化させ、符号誤り率が最小となるよう調整を行い固定する。▲3▼光受信器により受信した信号を増幅する比率を変え、符号誤り率が最小となるよう調整を行い固定する。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−85752号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来方法では、符号誤り率が所定の範囲内の時には、識別レベル,位相,受光素子の増幅率を順次に調整していくが、その途中で一つの要素(例えば、識別レベル)を調整しても誤り情報が最適値にならないと、その要素は初期値に設定してから次の要素の調整に移行するため、伝送路特性や環境条件が変化し、図4に示すように、識別基準電圧値またはクロック位相が最適な値からずれて、調整時のアイ開口(点線)が運用中のアイ開口(実線)に変化した場合、最適な符号誤り率を探し出すことができないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、光受信器自身の個体ばらつきや、伝送路特性の変化・環境条件により変化するアイ開口の形状や位置によらず、常に符号誤り率を所望の値にする光受信器を提供することにある。
【0009】
なお、ここでのアイ開口とは、伝送路を通過してきた光信号を光受信器で電気信号に変換することによって元の信号に復元するに当り、2つの可変パラメータであるクロック信号の位相制御信号、識別再生部の識別レベルを決める識別基準電圧値とに対して測定された符号誤り率データが同じとなる点を、位相制御信号および識別基準電圧値を座標とする平面上でプロットして作図した楕円状の図をいう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の光受信器は、識別再生された後の主信号のデータ波形内の全域を網羅し、かつ位相制御電圧と識別基準電圧それぞれに対応する値を座標値とするマトリックス状のデータテーブルを備えておき、光受信器を運用するときには、データテーブル上の値を読み出して、その位相制御電圧と識別基準電圧に対する符号誤り率を測定し、所望の符号誤り率値を満たす識別基準電圧と位相制御電圧を識別再生用に設定することを特徴とするものである。
【0011】
より詳しくは、本発明の光受信器は、伝送路から受信した光信号を電気信号に変換し等化増幅を行う光受信部(図1の1)と、光受信部からのデータ信号によりクロック信号を作り出すクロック抽出部(図1の2)と、クロック信号の位相をシフトする位相シフト部(図1の3)と、光受信部からの主信号を識別再生する識別再生部(図1の4)と、識別再生された主信号の符号誤り率を測定し、その結果を符号誤り率データとして出力する誤り監視回路(図1の5)と、識別再生された後の主信号のデータ波形内の全域を網羅し、かつ少なくとも位相制御電圧と識別基準電圧それぞれに対応する値を座標値とするマトリックス状のデータテーブルを備え、該光受信器が運用されるときには、データテーブル上の値を読み出して、位相制御電圧を位相シフト部、識別基準電圧を識別再生部に出力し、その位相制御電圧と識別基準電圧に対する符号誤り率データにより、予め設定さている目標の符号誤り率値を満たすような位相制御電圧と識別基準電圧を設定する制御部(図1の6)とを有することを特徴とする。
【0012】
また、データテーブルには、当該位相制御電圧と識別基準電圧に対して測定された符号誤り率データを記憶・蓄積しておき、該蓄積されている符号誤り率データの内の最小値を前記誤り監視回路からの符号誤り率データと比較することを繰り返すことにより、最適な位相制御電圧と識別基準電圧が設定されるようにしてもよい。
【0013】
本発明では、制御部内に信号識別レベルの識別基準電圧値とクロック信号の位相制御電圧についてのデータテーブルを用意しておく。このデータテーブルとは、図3のようにデータ波形の全域を網羅するように区切ってあり、アイ開口が必ずデータテーブル上に乗るようになっている。このため、必ずアイ開口内の調整点を探し出すことが可能となり、適切な符号誤り率における光受信器を可能としている。また、データテーブルを用いることにより、従来の自動調整方法では調整することができなかった、アイ開口の位置が大きく変わった場合(図4)についても、最適な符号誤り率に調整することが可能となっている。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0015】
【構成の説明】
図1は本発明の光受信器の一実施例を示すブロック図である。この光受信器は、光受信部1,クロック抽出部2,位相シフト部3,識別再生部4,誤り監視部5および制御部6で構成されている。
【0016】
光受信部1は伝送路から受信した光信号10を電気信号に変換し等化増幅を行い、主信号14を識別再生部4へ、また、データ信号16をクロック抽出部2へ出力する。クロック抽出部2はデータ信号16からクロック信号17を作成し、位相シフト部3はクロック信号17の位相を制御部6からの位相制御電圧12により可変にできる。
【0017】
識別再生部4は、位相シフト部3からのクロック信号18により、入力した主信号14が制御部6からの識別基準電圧11より高いか低いかを比較する。その結果、主信号14が識別基準電圧11より高いと“Hi”、低いと“Lo”を主信号15として誤り監視部5へ出力する。したがって、主信号15は、図2に示すように、アナログの主信号14をディジタル化したものといえる。
【0018】
誤り監視部5は、主信号15の符号誤り率を測定し、その結果を符号誤り率データ13として制御部6へ出力する。また、所望の符号誤り率となるように調整された主信号19を外部へ出力する。
【0019】
制御部6は、データテーブルを内蔵している。このデータテーブルは、図3に示すように、主信号15のデータ波形内の全域を網羅する位相制御電圧12と識別基準電圧11それぞれに対応する値を座標値とするマトリックス状の表であって、符号誤り率について所望の精度が得られるよう、m,n個に区切られている。図3では、最適な調整点を中心とし、符号誤り率をパラメータとする3つのアイ開口がデータ波形およびデータテーブルと重畳して図示されている。
【0020】
制御部6は、本光受信器の運用開始時には、データテーブルから位相制御電圧12と識別基準電圧11を読み出して、位相シフト部3と識別再生部4に出力する。そして、それぞれに対する誤り監視部5から符号誤り率データ13を受けると、その符号誤り率データ13が、予め設定されている符号誤り率を満足するような位相制御電圧12と識別基準電圧値11を求め、その位相制御電圧12と識別基準電圧11を動作点として設定して本光受信器を運用に供する。
【0021】
【動作の説明】
次に、本発明の実施例の動作について、図5および図6に示す制御部6のフローチャートに沿って説明する。
【0022】
本光受信器の運用に当っては、制御部6にデータテーブルを用意し、データ信号の符号誤り率の合格基準を設定しておく。
【0023】
制御部6では、先ず、識別基準電圧11の指標i=0、位相制御電圧12の指標j=0として初期値を設定して(図5のステップS1)、識別基準電圧11と(ステップS2)、位相制御電圧12を変更する(ステップS3)。位相シフト部3は位相制御電圧12によりクロック信号17の位相をシフトしたクロック信号18を識別再生部4に出力する。識別再生部4は、主信号14を識別基準電圧11とクロック信号18とにより識別再生した主信号15を誤り監視部5へ出力する。
【0024】
誤り監視部5は、その主信号15を測定して符号誤り率データ13を出力するので、制御部6はそれを読み込む(ステップS4)。その結果、読み込んだ符号誤り率データ13が設定値以下であれば(ステップS5でYES)、調整を終了する。位相制御電圧12と識別基準電圧11は、そのときの指標j,iに対応する値に固定され(ステップS8)、本光受信器は運用に供される。
【0025】
しかし、読み込んだ符号誤り率データ13が設定値以下でなく(ステップS5でNO)、かつj=m、すなわち位相制御電圧12がデータテーブル上の最大値まで変更がされていない場合には(ステップS6でNO)、指標jを1だけ増加して(ステップS7)、位相制御電圧12を一段階引き上げる。その上で、ステップS3〜S6の処理を繰り返す。
【0026】
ステップS5において、j=mとなって位相制御電圧12がデータテーブル上の最大値に達したことが判明すると(ステップS6でYES)、指標j=0として(ステップS9)、次には、指標iをデータテーブル上の最大値まで変更することによって(ステップS10,S11)、識別基準電圧11を初期値から一段階ずつ引き上げていく(ステップS2)。
【0027】
識別基準電圧11の各値の下に、ステップS3〜S8の処理が繰り返される。その中で、読み込んだ符号誤り率データ13が設定値以下になれば(ステップS5でYES)、調整を終了する。位相制御電圧12と識別基準電圧11は、そのときの指標j,iに対応する値に固定され(ステップS8)、本光受信器は運用に供される。
【0028】
一方、ステップS10において、i=nとなって識別基準電圧11データテーブル上の最大値に達したことが判明すると(ステップS10でYES)、位相制御電圧12と識別基準電圧11をデータテーブル上の上限まで変更してみても、符号誤り率が、設定している合格基準に達しなかったことになるためエラーとする(ステップS12)。
【0029】
光受信器を出荷した後、実際に伝送路系に組み込まれたとき、伝送路の特性や条件によってアイ開口の位置や形状が図4のように変化することが少なくない。その場合、当初に設定した位相制御電圧12と識別基準電圧11とでは所望の符号誤り率をキープできなくなることがある。しかし、上記のような処理を運用開始時に行うことにより、符号誤り率を常に設定値以上に保つことが可能となり、安定した品質の光受信器を供給することができるようになる。なお、図4は、アイ開口および識別基準電圧,位相制御電圧の最適な調整点の変化をデータテーブルと重畳して示している。
【0030】
【発明の他の実施例】
上述した実施例では、位相制御電圧12と識別基準電圧11を順次に変更しているが、本発明の第2の実施例として、データテーブル内を乱数表に基づいてランダムに検索していき、符号誤り率の合格基準に達したところでルーチンを停止させるようにしてもよい。
【0031】
第1の実施例ではデータテーブルの端から順番に符号誤り率の低いところを探し出していたが、これでは合格基準値が最後の方にきたとき、自動調整の会わせ込みに時間を要してしまう。これに対して、第2の実施例では、データテーブル上をランダムに探索するため、アイ開口がデータテーブル上のどの場所に位置していても略同じ時間で探索することが可能となる。
【0032】
次に、本発明の第3の実施例として、位相制御電圧12と識別基準電圧11に対して、誤り監視部5が測定した符号誤り率データ13を読み込んで、その位相制御電圧12および識別基準電圧11とともに、制御部6内のデータテーブルに記憶し蓄積できる構造としておく。そして、位相制御電圧12と識別基準電圧11を変更して得られる符号誤り率データ13を、データテーブルに蓄積している全符号誤り率データと比較しておくことにより、位相制御電圧12と識別基準電圧11の最適な調整点を探し出すことが可能とする。
【0033】
図6は、第3の実施例における制御部6のフローチャートを示す。第3の実施例では、読み込んだ(図6のステップT4)符号誤り率ERをデータテーブルに書き込んで蓄積しておく(ステップT5)。そして、位相制御電圧12と識別基準電圧11を引き上げて行くルーチン(ステップT2〜T13)の中で、読み込んだ符号誤り率ERが、データテーブル内の最小符号誤り率ER(min)より小さいかがチェックされる(ステップT7)。
【0034】
その結果、読み込んだ符号誤り率ERがデータテーブル内の最小符号誤り率ERminより小さくなければ(ステップT7でNO)、そのままルーチンは続行される。一方、読み込んだ符号誤り率ERがデータテーブル内の最小符号誤り率ERminより小さければ(ステップT7でYES)、読み込んだ符号誤り率ERを最小符号誤り率ERminとする(ステップT9)。そして、そのときの指標jを最適調整点に対応する位相制御電圧12の指標M、iを最適調整点に対応する識別基準電圧11の指標Nとする(ステップT10)。
【0035】
第3の実施例によれば、アイ開口がどのような位置や形であっても、位相制御電圧12と識別基準電圧11を一番符号誤り率が低い点に調整することが可能となり、常に最適な調整点を保つことができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の光受信器は、識別再生された後の主信号のデータ波形内の全域を網羅し、かつ位相制御電圧と識別基準電圧それぞれに対応する値を座標値とするマトリックス状のデータテーブルを備えておき、光受信器を運用するときには、データテーブル上の値を読み出して、その位相制御電圧と識別基準電圧に対する符号誤り率を測定し、所望の符号誤り率値を満たす識別基準電圧と位相制御電圧を主信号の識別用に設定する構成としたため、伝送路の特性や環境変化によってアイ開口の形や位置が大きく変わったとしても、常に所望の符号誤り率値を満たす識別基準電圧と位相制御電圧を必ず探し出すことが可能であるという効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光受信器の一実施例を示すブロック図
【図2】光受信器の識別再生部における入力と出力の波形を示す図
【図3】調整段階における識別基準電圧と位相制御電圧の最適な調整点をデータ波形およびデータテーブルと重畳して示す図
【図4】伝送路条件が変化した場合におけるアイ開口および識別基準電圧,位相制御電圧の最適な調整点の変化をデータテーブルと重畳して示す図
【図5】本発明の第1の実施例による識別基準電圧と位相制御電圧の自動調整を示すフローチャート
【図6】本発明の第3の実施例による識別基準電圧と位相制御電圧の自動調整を示すフローチャート
【符号の説明】
1 光受信部
2 クロック抽出部
3 位相シフト部
4 識別再生部
5 誤り監視部
6 制御部
10 光信号
11 識別基準電圧
12 位相制御電圧
13 符号誤り率データ
14 主信号
15 主信号
16 データ信号
17 クロック信号
18 クロック信号
19 主信号
Claims (5)
- 識別再生された後の主信号のデータ波形内の全域を網羅し、かつ位相制御電圧と識別基準電圧それぞれに対応する値を座標値とするマトリックス状のデータテーブルを備えておき、光受信器を運用するときには、前記データテーブル上の値を読み出して、その位相制御電圧と識別基準電圧に対する符号誤り率を測定し、所望の符号誤り率値を満たす識別基準電圧と位相制御電圧を前記識別再生用に設定することを特徴とする光受信器。
- 伝送路から受信した光信号を電気信号に変換し等化増幅を行う光受信部と、
前記光受信部からのデータ信号によりクロック信号を作り出すクロック抽出部と、
前記クロック信号の位相をシフトする位相シフト部と、
前記光受信部からの主信号を識別再生する識別再生部と、
前記識別再生された主信号の符号誤り率を測定し、その結果を符号誤り率データとして出力する誤り監視回路と、
前記識別再生された後の主信号のデータ波形内の全域を網羅し、かつ少なくとも位相制御電圧と識別基準電圧それぞれに対応する値を座標値とするマトリックス状のデータテーブルを備え、該光受信器が運用されるときには、前記データテーブル上の値を読み出して、位相制御電圧を前記位相シフト部、識別基準電圧を前記識別再生部に出力し、その位相制御電圧と識別基準電圧に対する前記符号誤り率データにより、予め設定さている目標の符号誤り率値を満たすような位相制御電圧と識別基準電圧を設定する制御部とを有することを特徴とする光受信器。 - 前記データテーブルには、当該位相制御電圧と識別基準電圧に対して測定された前記符号誤り率データを記憶・蓄積しておき、該蓄積されている符号誤り率データの内の最小値を前記誤り監視回路からの符号誤り率データと比較することを繰り返すことにより、最適な位相制御電圧と識別基準電圧が設定されることを特徴とする請求項2に記載の光受信器。
- 前記データテーブルは番地順に順次に読み出すことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光受信器。
- 前記データテーブルはランダムに読み出すことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光受信器。
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