JP2004104336A - 画像変換符号化装置および変換画像復号装置ならびに画像処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】既に一度小領域単位で符号化されて復元された画像を、別のサブバンド分割型の直交変換を利用した画像符号化方式へ変換を行う際に画質が劣化するという問題を解消する画像変換符号化装置を提供することである。
【解決手段】ブロック歪みを有する入力画像1aは、サブバンド分割型直交変換処理部11でサブバンド分割型の直交変換がされて直交変換係数1bとなり、直交変換係数補正処理部12で入力画像に付加されたブロック歪を取り除くような補正が施され、補正された直交変換係数1cとなる。その後、直交変換係数符号化処理部13で符号化処理が行われ、符号化画像信号1dを得る。
前記ブロック歪みを取り除く補正は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて、直交変換係数の補正量、位置と個数、及び/または補正の対象となるサブバンドに対して行われる。
【選択図】 図1
【解決手段】ブロック歪みを有する入力画像1aは、サブバンド分割型直交変換処理部11でサブバンド分割型の直交変換がされて直交変換係数1bとなり、直交変換係数補正処理部12で入力画像に付加されたブロック歪を取り除くような補正が施され、補正された直交変換係数1cとなる。その後、直交変換係数符号化処理部13で符号化処理が行われ、符号化画像信号1dを得る。
前記ブロック歪みを取り除く補正は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて、直交変換係数の補正量、位置と個数、及び/または補正の対象となるサブバンドに対して行われる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既に一度小領域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像を、別のサブバンド分割型の直交変換を利用した画像符号化方式へ、変換時に生じる画質の劣化を抑えて変換するための画像変換符号化装置、および前記既に一度小領域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像に付加された歪み等の画質の劣化を抑えて画像品質の改善を行う画像処理装置に関する。また、前記画像変換符号化装置に対する変換画像復号装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在幅広い分野で広く使われている画像符号化の一つであるJPEGでは、直交変換としてDCT(Discrete Cosine Transformation:離散コサイン変換)が使用されている。現在Webやディジタルカメラを代表とする幅広い分野において、画像圧縮に用いられる符号化方式としては、JPEGが一般的であり、過去に蓄積されたJPEG画像は膨大な数である。JPEGでは、直交変換としてDCT(Discrete Cosine Transformation:離散コサイン変換)が使用されており、DCTを8×8サイズの小領域単位で行って、分割処理により処理量を低減している。
【0003】
一方、サブバンド分割型の直交変換であるウェーブレット変換を利用した新しい静止画像の符号化方式として、JPEG2000が2001年の1月に標準化された。JPEG2000はJPEGを約2倍上回る圧縮率を達成することから、近い将来、ディジタル画像を取り扱う全ての分野において、幅広く普及することが予想される。
【0004】
そのため、既にJPEGのように小領域単位で直交変換および符号化処理された画像を、JPEG2000のようなサブバンド分割型の直交変換を利用した画像符号化方式で変換して再利用するケースが今後増えると考えられる。JPEG画像からJPEG2000画像への変換を行うためには、JPEG符号化画像信号を一度復号し、JPEG2000の符号化装置で再符号化する方法が一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画像変換に特化されていない従来のJPEG2000符号化装置でJPEG画像を再度符号化した場合、再符号化する前のJPEG画像より0.5〜1.0dB程度画質が劣化してしまうという課題があった。その原因は符号化処理方式の違いによるものであり、JPEG画像をJPEG2000で再圧縮した際に画質が劣化する原因の一つとして、JPEGのブロック歪がJPEG2000のウェーブレット係数に与える影響を挙げることができる。
【0006】
また、JPEGのように小領域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像には、前記したように、ブロック歪みが付加されており、画質の点で課題があった。
【0007】
なお、本発明に関連する先行技術として、社団法人映像情報メディア学会、2002年8月、CD−ROM発行の映像情報メディア学会2002年年次大会講演予稿集、講演番号1−2の「符号化画像JPEG2000の再圧縮特性に関する検討」がある。この先行技術には、JPEG画像をJPEG2000で再圧縮すると、PSNRが0.5〜1dB程度劣化すること、その理由としてJPEGのブロック歪みの影響が大きいことが記されている。
【0008】
本発明は前記した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、既に一度小領域単位で符号化されて復元された画像を、別のサブバンド分割型の直交変換を利用した画像符号化方式へ変換を行う際に画質が劣化するという問題を解消する画像変換符号化装置および変換画像復号を提供することにある。
【0009】
また、他の目的は、変換前の画像に付加されたブロック歪を、前記画像変換符号化装置で使用したのと同じ原理を用いて低減するための画像処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するため、本発明は、入力画像にサブバンド分割型の直交変換を行って、直交変換係数を得るための手段と、前記直交変換係数のうちの特定の直交変換係数を補正する手段と、補正された直交変換係数を符号化し、符号化画像信号を作成する手段とを具備した点に第1の特徴がある。この特徴によれば、変換を行う際に画質が劣化するという問題を解消することができる。
【0011】
また、本発明は、前記特定の直交変換係数を補正する手段は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて、直交変換係数の補正量R(ただし、0≦R≦1)を設定する点に第2の特徴がある。また、本発明は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象となる直交変換係数の位置と個数を設定する点に第3の特徴がある。また、本発明は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象となるサブバンドを設定する点に第4の特徴がある。
【0012】
これらの第2〜4の特徴によれば、それぞれ、変換前の入力画像に付加されたブロック歪を、その歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて低減することができる。
【0013】
また、本発明は、前記特徴1ないし4のいずれかを有する画像変換符号化装置で作成した符号化画像信号を、直交変換係数まで復元する手段と、該直交変換係数にサブバンド統合型の逆直交変換を行う手段とを具備した点に第5の特徴がある。この特徴によれば、変換前の画像に付加されたブロック歪を低減した画像を復元することができる。
【0014】
さらに、本発明は、入力画像にサブバンド分割型の直交変換を行って、直交変換係数を得るための手段と、前記直交変換係数のうちの特定の直交変換係数を補正する手段と、前記直交変換係数にサブバンド統合型の逆直交変換を行う手段とを具備した点に第6の特徴がある。この特徴によれば、画像に付加されたブロック歪を低減する画像処理装置を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態の画像変換符号化装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
入力画像1aは、JPEGのように小領域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像であり、ブロック歪みを有している。このような入力画像1aは、サブバンド分割型直交変換処理部11でサブバンド分割型の直交変換がされて直交変換係数1bとなり、直交変換係数補正処理部12で入力画像に付加されたブロック歪を取り除くような補正が施され、補正された直交変換係数1cを得る。その後、直交変換係数符号化処理部13で符号化処理が行われ、符号化画像信号1dを得る。
【0017】
また、図2は、図1の画像変換符号化装置で符号化された符号化画像信号1dを復号する変換画像復号装置の構成を示すブロック図である。入力符号化画像信号1dは、符号化画像信号復号処理部21で直交変換係数2bへ復号処理が行われ、サブバンド統合型逆直交変換処理部22でサブバンド統合型の逆直交変換が行われ、ブロック歪みを低減された画像2cを得る。
【0018】
次に、本発明の第2実施形態の画像処理装置の構成を、図3のブロック図で示す。入力画像3aは、JPEGのように小領域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像であり、ブロック歪みを有している。該入力画像3aは、サブバンド分割型直交変換処理部31でサブバンド分割型の直交変換がされて直交変換係数3bとなり、直交変換係数補正処理部32で入力画像に付加されたブロック歪を取り除くような補正が施され、補正された直交変換係数3cを得る。その後、サブバンド統合型逆直交変換処理部33でサブバンド統合型の逆直交変換が行われ、ブロック歪が低減された画像3dを得る。
【0019】
前記した第1、第2実施形態において、前記直交変換係数補正処理部12,32以外の各処理部は既知の構成であるため、詳細な説明は省略し、ここでは図1および図3の直交変換係数補正処理部12,32のみを以下で詳細に説明する。
【0020】
ここでは説明の都合上、まず小域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像の一例として、JPEG画像を扱うこととする。その後、小域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像を対象とした一般化を行う。従って、小域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像であれば、本発明の画像変換符号化装置および画像処理装置に問題なく適用することができる。
【0021】
JPEGでは8×8のブロックでDCTを行って、その後、量子化や算術符号化などの符号化処理が行われるため、隣接するブロック間の情報を考慮していないことを原因とした視認性のブロック歪が生じる。
【0022】
JPEG画像はブロック間の境界において、輝度値が急激に変化しているため、このようなJPEG画像にサブバンド分割型の直交変換を行うと、ブロック歪がエッジ成分と同じ様な作用を引き起こすため、H成分としてインパルス状で絶対値が非常に大きな直交変換係数が生じる。また、隣接するブロックの輝度の差が大きいほどその絶対値が大きくなる。
【0023】
このブロック歪の影響を受けた直交変換係数は決まった係数位置に発生する。JPEG画像は8画素周期でステップ状に輝度変化しているとモデル化できるため、1次元のサブバンド分割型直交変換を適用した場合、図4に示すように、H成分としてブロック歪の影響を受けた直交変換係数が4周期間隔で発生する。
【0024】
またJPEG画像にラインベースの2次元サブバンド分割型直交変換を適用する場合、1回目の分割で生成される1HL、1LHおよび1HHの3つのサブバンドには、図5の斜線を付けられた位置に、インパルス状で絶対値が非常に大きな直交変換係数が生じる。すなわち、1HLサブバンドでは縦方向に、1LHサブバンドでは横方向に、1HHサブバンドでは縦横両方向に、インパルス状の信号が4周期間隔で発生する。
【0025】
したがって、前記直交変換係数補正処理部12,32は、このブロック歪を原因として生じる直交変換係数を補正することで、元の入力画像に付加されたブロック歪を取り除く。
【0026】
議論を一般化するために、入力する画像が縦にN、横にMのN×M(ただし、N,Mは正の整数)の大きさを持った小領域単位で直交変換され符号化された画像であった場合を考える。このとき、入力画像で発生しているブロック歪によるサブバンド分割型直交変換係数への影響として、1HL、1LHおよび1HHの3つのサブバンドには、縦にN/2周期間隔で発生し、横にM/2周期でインパルス状の信号が付加された直交変換係数が発生することになる。
【0027】
以下に、前記直交変換係数補正処理部12,32の補正方法について、次の3つの論点を明確にしながら説明する。
(1)直交変換係数の補正方法および補正量について、
(2)補正対象となる直交変換係数の位置と個数について、
(3)補正対象となるサブバンドについて、
これらの補正操作により、元の入力画像に付加されたブロック歪を取り除くことができる。
【0028】
(1)直交変換係数の補正方法および補正量について、
まず、直交変換係数の補正方法および補正量について考える。位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)に下式のような補正を行い、w’(x, y) に置き換える。
w’(x, y)=Rw(x, y) (ただし、0≦R≦1)
ただし、Rは補正度合いを操作するためのパラメータであり、入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて任意に指定することができる。補正度合いRの値は小さいほど補正の度合いが高く、ブロック歪の低減度合いも高いことを示し、R=1のときは補正を行わないことを意味する。
【0029】
ただし、ブロック歪の影響を受けていると考えられる位置にある係数でも、その絶対値が0に近い微小な値を持つ係数は、ブロック歪の影響を受けていない可能性が高いと考えられるため、そのような係数に対しては上述の補正処理を行わないようにする。
【0030】
すなわち、制約条件しきい値Sを設定して、w(x, y)の絶対値|w(x, y)|がS(例えば、S=2)よりも小さい場合は、補正処理を行わない(R=1)ような制約条件を加える。S=∞に設定した場合は、該制約条件を設定しないことを意味する。この制約条件Sにより、本来重要な画像信号を損なうことなくブロック歪を低減できる。
【0031】
以上のように、ブロック歪を低減するため、補正度合いRと制約条件Sを使って、直交変換係数の補正量を決定する。
【0032】
(2)補正対象となる直交変換係数の位置と個数について、
次に、補正対象となる直交変換係数の位置と個数について考える。補正対象となる直交変換係数の位置と個数は増やせば増やすほど、ブロック歪が改善されるというものではなく、入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象となる直交変換係数の位置と個数を設定する。
【0033】
ここでは、補正を行う直交変換係数の位置について、また補正を行う直交変換係数の優先順序について示す。入力画像がN×Mの小領域単位で直交変換され符号化された画像である場合を仮定して、図6に(lev)HLサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第一候補を、図7に(lev)HLサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第二候補を、図8に(lev)LHサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第一候補を、図9に(lev)LHサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第二候補を、図10に(lev)HHサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第一候補を、図11に(lev)HHサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第二候補を、それぞれ斜線で示す。
【0034】
ただし、levは分解レベルを表す。例えば、1回目のウェーブレット変換では高周波成分として1HL、1LHおよび1HHの3つのサブバンドが作成され、2回目のウェーブレット変換では高周波成分として2HL、2LHおよび2HHの3つのサブバンドが作成される。
【0035】
入力画像がN×Mの小領域単位で直交変換され符号化された画像である場合、(lev)HL、(lev)LHおよび(lev)HHの3つのサブバンドには、それぞれ2のlev乗に縮小された縦N/2levおよび 横M/2levの周期で、歪の影響が付加された直交変換係数が現れる。今、p= N/2lev、q= M/2levとすると、小領域(N/2lev)×(M/2lev)の中で、補正を行う直交変換係数の位置は次のように表せる。すなわち、(lev)HLおよび(lev)HHサブバンドにおいて、第一候補としてx=p−1となる位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)、第二候補としてx=0となる位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)に補正を行う(図6,7,10,11参照)。また、(lev) LHおよび(lev)HHサブバンドにおいて、第一候補としてy=q−1となる位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)、第二候補としてy=0となる位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)に補正を行う(図8,9,10,11参照)。
例えば、8×8単位で直交変換され符号化処理されたJPEG画像の場合、1HLサブバンドでは、x=3となる位置(x, y)の直交変換係数w(x, y)が補正の第一候補となり、x=0となる位置(x, y)の直交変換係数w(x, y)が補正の第二候補となる。1LHサブバンドでは、y=3となる位置(x, y)の直交変換係数w(x, y)が補正の第一候補となり、y=0となる位置(x, y)の直交変換係数w(x, y)が補正の第二候補となる。1HHサブバンドでは、x=3またはy=3となる位置(x, y)の直交変換係数w(x, y)が補正の第一候補となり、x=0またはy=0となる位置(x, y)の直交変換係数w(x, y)が補正の第二候補となる。
【0036】
ブロック歪の影響を多大に受けた直交変換係数が補正対象となるため、第一候補、第二候補共に、ブロックの境界の最近隣に位置する直交変換係数とする。それぞれのサブバンドにおいて、第三候補以降も考えることができ、ブロックの境界から離れた位置の係数ほど候補となる優先度は低くなる順番で補正を行うこともできる。
【0037】
(3)補正対象となるサブバンドについて、
最後に、補正対象となるサブバンドについて考える。入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象となるサブバンドを設定する。ブロック歪の影響が最も強く現れるのは、1HL、1LHおよび1HHの3つのサブバンドであり、この3つのサブバンドに限定して、直交変換係数の補正を行うことが有効である。
【0038】
しかし、元の入力画像に大きくブロック歪が発生している場合は、1HL、1LHおよび1HHの3つのサブバンドだけでなく、2HL、2LHおよび2HHの3つのサブバンドを補正の対象として、さらに、それよりも上位のサブバンドを補正の対象とし、より多くの歪の影響を取り除ける可能性がある。
【0039】
入力する画像が縦にN、横にMのN×Mの大きさを持った小領域単位で直交変換され符号化された画像であった場合、(lev)HL、(lev)LHおよび(lev)HHの3つのサブバンドでは、入力画像で発生しているブロック歪によるサブバンド分割型直交変換係数への影響として、縦にN/2lev周期間隔で発生し、横にM/2lev周期でインパルス状の信号が付加された直交変換係数が発生することになる。
【0040】
したがって、本発明の直交変換係数補正処理部12,32では、これらのブロック歪を原因として生じる直交変換係数を補正することで、元の入力画像に付加されたブロック歪を取り除く。
【0041】
また、本発明の前記直交変換係数補正処理部12,32では、補正を行うサブバンドとして、1HL、1LHおよび1HHの3つのサブバンド全てを対象とするのではなく、水平方向のブロック歪だけ低減させたい場合は、1HLおよび1HHだけ補正対処に選択する。すなわち、場面に合わせて補正対象となるサブバンドを設定する。また、入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象とするサブバンドを任意に設定することができる。
【0042】
次に、入力画像としてJPEGに特化した本発明の具体的使用例を、図5を参照して説明する。
【0043】
補正対象とするサブバンドは1HL、1LHおよび1HHとする。補正を行う直交変換係数は第一候補だけとする。すなわち、1HLおよび1HHサブバンドではx=3の位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)を補正する。1LHおよび1HHサブバンドではy=3の位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)を補正する。該補正は、補正量パラメータR、Sを設定して行う。
【0044】
例えば、R=17/20、S=2と設定してこの補正操作を行ったところ、この操作を行わない従来法による再符号化画像の特性よりも0.1dB程度、再符号化画像の画質が改善された。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1の発明によれば、既に一度小領域単位で符号化されて復元された画像を、別のサブバンド分割型の直交変換を利用した画像符号化方式へ、変換時に生じる画質の劣化を抑えて変換することができるようになる。
【0046】
また、請求項2ないし6のいずれかに記載の発明によれば、それぞれ、変換前の入力画像に付加された歪み例えばブロック歪みを、その歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて低減することができるようになる。
【0047】
また、請求項7の発明によれば、その符号化画像信号を復号し、かつ小領域ブロック歪を低減した画像を得ることができるようになる。
【0048】
さらに、請求項8の発明によれば、入力画像に付加された歪み例えばブロック歪みを低減した画像を、直接得ることができるようになる。
【0049】
また、請求項9ないし13のいずれかに記載の発明によれば、それぞれ、入力画像に付加された歪み例えばブロック歪みを、その歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて低減することができるようになる。
【0050】
また、前記請求項1ないし7の発明により、例えば、小領域単位で直交変換符号化された符号化画像信号の一例として挙げられるJPEG画像を、サブバンド分割型の直交変換を利用した符号化方式の一例であるJPEG2000で符号化および復号する際に発生する、ブロック歪を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の画像変換符号化装置のブロック図である。
【図2】図1の画像変換符号化装置に対応する変換画像復号装置のブロック図である。
【図3】本発明の第2実施形態の画像処理装置のブロック図である。
【図4】ブロック歪が与える1次元サブバンド分割型直交変換係数への影響を示す説明図である。
【図5】ブロック歪が与える2次元サブバンド分割型直交変換係数への影響を示す説明図、およびJPEG画像に特化した本発明の適用例を示す図である。
【図6】(lev)HLサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第一候補を示す図である。
【図7】(lev)HLサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第二候補を示す図である。
【図8】(lev)LHサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第一候補を示す図である。
【図9】(lev)LHサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第二候補を示す図である。
【図10】(lev)HHサブバンドにおける直交変換係の数補正位置第一候補を示す図である。
【図11】(lev)HHサブバンドにおける直交変換係の数補正位置第二候補を示す図である。
【符号の説明】
11、31・・・サブバンド分割型直交変換処理部、12、32・・・直交変換係数補正処理部、13・・・直交変換係数符号化処理部、21・・・符号化画像信号復号処理部、22、33・・・サブバンド統合型逆直交変換処理部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、既に一度小領域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像を、別のサブバンド分割型の直交変換を利用した画像符号化方式へ、変換時に生じる画質の劣化を抑えて変換するための画像変換符号化装置、および前記既に一度小領域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像に付加された歪み等の画質の劣化を抑えて画像品質の改善を行う画像処理装置に関する。また、前記画像変換符号化装置に対する変換画像復号装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在幅広い分野で広く使われている画像符号化の一つであるJPEGでは、直交変換としてDCT(Discrete Cosine Transformation:離散コサイン変換)が使用されている。現在Webやディジタルカメラを代表とする幅広い分野において、画像圧縮に用いられる符号化方式としては、JPEGが一般的であり、過去に蓄積されたJPEG画像は膨大な数である。JPEGでは、直交変換としてDCT(Discrete Cosine Transformation:離散コサイン変換)が使用されており、DCTを8×8サイズの小領域単位で行って、分割処理により処理量を低減している。
【0003】
一方、サブバンド分割型の直交変換であるウェーブレット変換を利用した新しい静止画像の符号化方式として、JPEG2000が2001年の1月に標準化された。JPEG2000はJPEGを約2倍上回る圧縮率を達成することから、近い将来、ディジタル画像を取り扱う全ての分野において、幅広く普及することが予想される。
【0004】
そのため、既にJPEGのように小領域単位で直交変換および符号化処理された画像を、JPEG2000のようなサブバンド分割型の直交変換を利用した画像符号化方式で変換して再利用するケースが今後増えると考えられる。JPEG画像からJPEG2000画像への変換を行うためには、JPEG符号化画像信号を一度復号し、JPEG2000の符号化装置で再符号化する方法が一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、画像変換に特化されていない従来のJPEG2000符号化装置でJPEG画像を再度符号化した場合、再符号化する前のJPEG画像より0.5〜1.0dB程度画質が劣化してしまうという課題があった。その原因は符号化処理方式の違いによるものであり、JPEG画像をJPEG2000で再圧縮した際に画質が劣化する原因の一つとして、JPEGのブロック歪がJPEG2000のウェーブレット係数に与える影響を挙げることができる。
【0006】
また、JPEGのように小領域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像には、前記したように、ブロック歪みが付加されており、画質の点で課題があった。
【0007】
なお、本発明に関連する先行技術として、社団法人映像情報メディア学会、2002年8月、CD−ROM発行の映像情報メディア学会2002年年次大会講演予稿集、講演番号1−2の「符号化画像JPEG2000の再圧縮特性に関する検討」がある。この先行技術には、JPEG画像をJPEG2000で再圧縮すると、PSNRが0.5〜1dB程度劣化すること、その理由としてJPEGのブロック歪みの影響が大きいことが記されている。
【0008】
本発明は前記した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、既に一度小領域単位で符号化されて復元された画像を、別のサブバンド分割型の直交変換を利用した画像符号化方式へ変換を行う際に画質が劣化するという問題を解消する画像変換符号化装置および変換画像復号を提供することにある。
【0009】
また、他の目的は、変換前の画像に付加されたブロック歪を、前記画像変換符号化装置で使用したのと同じ原理を用いて低減するための画像処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するため、本発明は、入力画像にサブバンド分割型の直交変換を行って、直交変換係数を得るための手段と、前記直交変換係数のうちの特定の直交変換係数を補正する手段と、補正された直交変換係数を符号化し、符号化画像信号を作成する手段とを具備した点に第1の特徴がある。この特徴によれば、変換を行う際に画質が劣化するという問題を解消することができる。
【0011】
また、本発明は、前記特定の直交変換係数を補正する手段は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて、直交変換係数の補正量R(ただし、0≦R≦1)を設定する点に第2の特徴がある。また、本発明は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象となる直交変換係数の位置と個数を設定する点に第3の特徴がある。また、本発明は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象となるサブバンドを設定する点に第4の特徴がある。
【0012】
これらの第2〜4の特徴によれば、それぞれ、変換前の入力画像に付加されたブロック歪を、その歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて低減することができる。
【0013】
また、本発明は、前記特徴1ないし4のいずれかを有する画像変換符号化装置で作成した符号化画像信号を、直交変換係数まで復元する手段と、該直交変換係数にサブバンド統合型の逆直交変換を行う手段とを具備した点に第5の特徴がある。この特徴によれば、変換前の画像に付加されたブロック歪を低減した画像を復元することができる。
【0014】
さらに、本発明は、入力画像にサブバンド分割型の直交変換を行って、直交変換係数を得るための手段と、前記直交変換係数のうちの特定の直交変換係数を補正する手段と、前記直交変換係数にサブバンド統合型の逆直交変換を行う手段とを具備した点に第6の特徴がある。この特徴によれば、画像に付加されたブロック歪を低減する画像処理装置を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態の画像変換符号化装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
入力画像1aは、JPEGのように小領域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像であり、ブロック歪みを有している。このような入力画像1aは、サブバンド分割型直交変換処理部11でサブバンド分割型の直交変換がされて直交変換係数1bとなり、直交変換係数補正処理部12で入力画像に付加されたブロック歪を取り除くような補正が施され、補正された直交変換係数1cを得る。その後、直交変換係数符号化処理部13で符号化処理が行われ、符号化画像信号1dを得る。
【0017】
また、図2は、図1の画像変換符号化装置で符号化された符号化画像信号1dを復号する変換画像復号装置の構成を示すブロック図である。入力符号化画像信号1dは、符号化画像信号復号処理部21で直交変換係数2bへ復号処理が行われ、サブバンド統合型逆直交変換処理部22でサブバンド統合型の逆直交変換が行われ、ブロック歪みを低減された画像2cを得る。
【0018】
次に、本発明の第2実施形態の画像処理装置の構成を、図3のブロック図で示す。入力画像3aは、JPEGのように小領域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像であり、ブロック歪みを有している。該入力画像3aは、サブバンド分割型直交変換処理部31でサブバンド分割型の直交変換がされて直交変換係数3bとなり、直交変換係数補正処理部32で入力画像に付加されたブロック歪を取り除くような補正が施され、補正された直交変換係数3cを得る。その後、サブバンド統合型逆直交変換処理部33でサブバンド統合型の逆直交変換が行われ、ブロック歪が低減された画像3dを得る。
【0019】
前記した第1、第2実施形態において、前記直交変換係数補正処理部12,32以外の各処理部は既知の構成であるため、詳細な説明は省略し、ここでは図1および図3の直交変換係数補正処理部12,32のみを以下で詳細に説明する。
【0020】
ここでは説明の都合上、まず小域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像の一例として、JPEG画像を扱うこととする。その後、小域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像を対象とした一般化を行う。従って、小域単位で直交変換および符号化処理されて復元された画像であれば、本発明の画像変換符号化装置および画像処理装置に問題なく適用することができる。
【0021】
JPEGでは8×8のブロックでDCTを行って、その後、量子化や算術符号化などの符号化処理が行われるため、隣接するブロック間の情報を考慮していないことを原因とした視認性のブロック歪が生じる。
【0022】
JPEG画像はブロック間の境界において、輝度値が急激に変化しているため、このようなJPEG画像にサブバンド分割型の直交変換を行うと、ブロック歪がエッジ成分と同じ様な作用を引き起こすため、H成分としてインパルス状で絶対値が非常に大きな直交変換係数が生じる。また、隣接するブロックの輝度の差が大きいほどその絶対値が大きくなる。
【0023】
このブロック歪の影響を受けた直交変換係数は決まった係数位置に発生する。JPEG画像は8画素周期でステップ状に輝度変化しているとモデル化できるため、1次元のサブバンド分割型直交変換を適用した場合、図4に示すように、H成分としてブロック歪の影響を受けた直交変換係数が4周期間隔で発生する。
【0024】
またJPEG画像にラインベースの2次元サブバンド分割型直交変換を適用する場合、1回目の分割で生成される1HL、1LHおよび1HHの3つのサブバンドには、図5の斜線を付けられた位置に、インパルス状で絶対値が非常に大きな直交変換係数が生じる。すなわち、1HLサブバンドでは縦方向に、1LHサブバンドでは横方向に、1HHサブバンドでは縦横両方向に、インパルス状の信号が4周期間隔で発生する。
【0025】
したがって、前記直交変換係数補正処理部12,32は、このブロック歪を原因として生じる直交変換係数を補正することで、元の入力画像に付加されたブロック歪を取り除く。
【0026】
議論を一般化するために、入力する画像が縦にN、横にMのN×M(ただし、N,Mは正の整数)の大きさを持った小領域単位で直交変換され符号化された画像であった場合を考える。このとき、入力画像で発生しているブロック歪によるサブバンド分割型直交変換係数への影響として、1HL、1LHおよび1HHの3つのサブバンドには、縦にN/2周期間隔で発生し、横にM/2周期でインパルス状の信号が付加された直交変換係数が発生することになる。
【0027】
以下に、前記直交変換係数補正処理部12,32の補正方法について、次の3つの論点を明確にしながら説明する。
(1)直交変換係数の補正方法および補正量について、
(2)補正対象となる直交変換係数の位置と個数について、
(3)補正対象となるサブバンドについて、
これらの補正操作により、元の入力画像に付加されたブロック歪を取り除くことができる。
【0028】
(1)直交変換係数の補正方法および補正量について、
まず、直交変換係数の補正方法および補正量について考える。位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)に下式のような補正を行い、w’(x, y) に置き換える。
w’(x, y)=Rw(x, y) (ただし、0≦R≦1)
ただし、Rは補正度合いを操作するためのパラメータであり、入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて任意に指定することができる。補正度合いRの値は小さいほど補正の度合いが高く、ブロック歪の低減度合いも高いことを示し、R=1のときは補正を行わないことを意味する。
【0029】
ただし、ブロック歪の影響を受けていると考えられる位置にある係数でも、その絶対値が0に近い微小な値を持つ係数は、ブロック歪の影響を受けていない可能性が高いと考えられるため、そのような係数に対しては上述の補正処理を行わないようにする。
【0030】
すなわち、制約条件しきい値Sを設定して、w(x, y)の絶対値|w(x, y)|がS(例えば、S=2)よりも小さい場合は、補正処理を行わない(R=1)ような制約条件を加える。S=∞に設定した場合は、該制約条件を設定しないことを意味する。この制約条件Sにより、本来重要な画像信号を損なうことなくブロック歪を低減できる。
【0031】
以上のように、ブロック歪を低減するため、補正度合いRと制約条件Sを使って、直交変換係数の補正量を決定する。
【0032】
(2)補正対象となる直交変換係数の位置と個数について、
次に、補正対象となる直交変換係数の位置と個数について考える。補正対象となる直交変換係数の位置と個数は増やせば増やすほど、ブロック歪が改善されるというものではなく、入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象となる直交変換係数の位置と個数を設定する。
【0033】
ここでは、補正を行う直交変換係数の位置について、また補正を行う直交変換係数の優先順序について示す。入力画像がN×Mの小領域単位で直交変換され符号化された画像である場合を仮定して、図6に(lev)HLサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第一候補を、図7に(lev)HLサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第二候補を、図8に(lev)LHサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第一候補を、図9に(lev)LHサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第二候補を、図10に(lev)HHサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第一候補を、図11に(lev)HHサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第二候補を、それぞれ斜線で示す。
【0034】
ただし、levは分解レベルを表す。例えば、1回目のウェーブレット変換では高周波成分として1HL、1LHおよび1HHの3つのサブバンドが作成され、2回目のウェーブレット変換では高周波成分として2HL、2LHおよび2HHの3つのサブバンドが作成される。
【0035】
入力画像がN×Mの小領域単位で直交変換され符号化された画像である場合、(lev)HL、(lev)LHおよび(lev)HHの3つのサブバンドには、それぞれ2のlev乗に縮小された縦N/2levおよび 横M/2levの周期で、歪の影響が付加された直交変換係数が現れる。今、p= N/2lev、q= M/2levとすると、小領域(N/2lev)×(M/2lev)の中で、補正を行う直交変換係数の位置は次のように表せる。すなわち、(lev)HLおよび(lev)HHサブバンドにおいて、第一候補としてx=p−1となる位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)、第二候補としてx=0となる位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)に補正を行う(図6,7,10,11参照)。また、(lev) LHおよび(lev)HHサブバンドにおいて、第一候補としてy=q−1となる位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)、第二候補としてy=0となる位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)に補正を行う(図8,9,10,11参照)。
例えば、8×8単位で直交変換され符号化処理されたJPEG画像の場合、1HLサブバンドでは、x=3となる位置(x, y)の直交変換係数w(x, y)が補正の第一候補となり、x=0となる位置(x, y)の直交変換係数w(x, y)が補正の第二候補となる。1LHサブバンドでは、y=3となる位置(x, y)の直交変換係数w(x, y)が補正の第一候補となり、y=0となる位置(x, y)の直交変換係数w(x, y)が補正の第二候補となる。1HHサブバンドでは、x=3またはy=3となる位置(x, y)の直交変換係数w(x, y)が補正の第一候補となり、x=0またはy=0となる位置(x, y)の直交変換係数w(x, y)が補正の第二候補となる。
【0036】
ブロック歪の影響を多大に受けた直交変換係数が補正対象となるため、第一候補、第二候補共に、ブロックの境界の最近隣に位置する直交変換係数とする。それぞれのサブバンドにおいて、第三候補以降も考えることができ、ブロックの境界から離れた位置の係数ほど候補となる優先度は低くなる順番で補正を行うこともできる。
【0037】
(3)補正対象となるサブバンドについて、
最後に、補正対象となるサブバンドについて考える。入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象となるサブバンドを設定する。ブロック歪の影響が最も強く現れるのは、1HL、1LHおよび1HHの3つのサブバンドであり、この3つのサブバンドに限定して、直交変換係数の補正を行うことが有効である。
【0038】
しかし、元の入力画像に大きくブロック歪が発生している場合は、1HL、1LHおよび1HHの3つのサブバンドだけでなく、2HL、2LHおよび2HHの3つのサブバンドを補正の対象として、さらに、それよりも上位のサブバンドを補正の対象とし、より多くの歪の影響を取り除ける可能性がある。
【0039】
入力する画像が縦にN、横にMのN×Mの大きさを持った小領域単位で直交変換され符号化された画像であった場合、(lev)HL、(lev)LHおよび(lev)HHの3つのサブバンドでは、入力画像で発生しているブロック歪によるサブバンド分割型直交変換係数への影響として、縦にN/2lev周期間隔で発生し、横にM/2lev周期でインパルス状の信号が付加された直交変換係数が発生することになる。
【0040】
したがって、本発明の直交変換係数補正処理部12,32では、これらのブロック歪を原因として生じる直交変換係数を補正することで、元の入力画像に付加されたブロック歪を取り除く。
【0041】
また、本発明の前記直交変換係数補正処理部12,32では、補正を行うサブバンドとして、1HL、1LHおよび1HHの3つのサブバンド全てを対象とするのではなく、水平方向のブロック歪だけ低減させたい場合は、1HLおよび1HHだけ補正対処に選択する。すなわち、場面に合わせて補正対象となるサブバンドを設定する。また、入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象とするサブバンドを任意に設定することができる。
【0042】
次に、入力画像としてJPEGに特化した本発明の具体的使用例を、図5を参照して説明する。
【0043】
補正対象とするサブバンドは1HL、1LHおよび1HHとする。補正を行う直交変換係数は第一候補だけとする。すなわち、1HLおよび1HHサブバンドではx=3の位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)を補正する。1LHおよび1HHサブバンドではy=3の位置(x, y)にある直交変換係数w(x, y)を補正する。該補正は、補正量パラメータR、Sを設定して行う。
【0044】
例えば、R=17/20、S=2と設定してこの補正操作を行ったところ、この操作を行わない従来法による再符号化画像の特性よりも0.1dB程度、再符号化画像の画質が改善された。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1の発明によれば、既に一度小領域単位で符号化されて復元された画像を、別のサブバンド分割型の直交変換を利用した画像符号化方式へ、変換時に生じる画質の劣化を抑えて変換することができるようになる。
【0046】
また、請求項2ないし6のいずれかに記載の発明によれば、それぞれ、変換前の入力画像に付加された歪み例えばブロック歪みを、その歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて低減することができるようになる。
【0047】
また、請求項7の発明によれば、その符号化画像信号を復号し、かつ小領域ブロック歪を低減した画像を得ることができるようになる。
【0048】
さらに、請求項8の発明によれば、入力画像に付加された歪み例えばブロック歪みを低減した画像を、直接得ることができるようになる。
【0049】
また、請求項9ないし13のいずれかに記載の発明によれば、それぞれ、入力画像に付加された歪み例えばブロック歪みを、その歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて低減することができるようになる。
【0050】
また、前記請求項1ないし7の発明により、例えば、小領域単位で直交変換符号化された符号化画像信号の一例として挙げられるJPEG画像を、サブバンド分割型の直交変換を利用した符号化方式の一例であるJPEG2000で符号化および復号する際に発生する、ブロック歪を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の画像変換符号化装置のブロック図である。
【図2】図1の画像変換符号化装置に対応する変換画像復号装置のブロック図である。
【図3】本発明の第2実施形態の画像処理装置のブロック図である。
【図4】ブロック歪が与える1次元サブバンド分割型直交変換係数への影響を示す説明図である。
【図5】ブロック歪が与える2次元サブバンド分割型直交変換係数への影響を示す説明図、およびJPEG画像に特化した本発明の適用例を示す図である。
【図6】(lev)HLサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第一候補を示す図である。
【図7】(lev)HLサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第二候補を示す図である。
【図8】(lev)LHサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第一候補を示す図である。
【図9】(lev)LHサブバンドにおける直交変換係数の補正位置第二候補を示す図である。
【図10】(lev)HHサブバンドにおける直交変換係の数補正位置第一候補を示す図である。
【図11】(lev)HHサブバンドにおける直交変換係の数補正位置第二候補を示す図である。
【符号の説明】
11、31・・・サブバンド分割型直交変換処理部、12、32・・・直交変換係数補正処理部、13・・・直交変換係数符号化処理部、21・・・符号化画像信号復号処理部、22、33・・・サブバンド統合型逆直交変換処理部。
Claims (13)
- 入力画像にサブバンド分割型の直交変換を行って、直交変換係数を得るための手段と、
前記直交変換係数のうちの特定の直交変換係数を補正する手段と、
補正された直交変換係数を符号化し、符号化画像信号を作成する手段とを具備したことを特徴とする画像変換符号化装置。 - 前記請求項1に記載の画像変換符号化装置において、
前記特定の直交変換係数を補正する手段は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて、直交変換係数の補正量R(ただし、0≦R≦1)を設定することを特徴とする画像変換符号化装置。 - 前記請求項2に記載の画像変換符号化装置において、
前記直交変換係数が予め定められた値(制約条件しきい値)以下の時には、前記補正を行わないようにすることを特徴とする画像変換符号化装置。 - 前記請求項1に記載の画像変換符号化装置において、
前記特定の直交変換係数を補正する手段は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象となる直交変換係数の位置と個数を設定することを特徴とする画像変換符号化装置。 - 前記請求項1に記載の画像変換符号化装置において、
前記特定の直交変換係数を補正する手段は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象となるサブバンドを設定することを特徴とする画像変換符号化装置。 - 前記請求項5に記載の画像変換符号化装置において、
前記特定の直交変換係数を補正する手段は、補正の対象となる直交変換係数を1HL、1LHおよび1HHサブバンドに属する直交変換係数に限定することを特徴とする画像変換符号化装置。 - 前記請求項1ないし6のいずれかに記載の画像変換符号化装置で作成した符号化画像信号を、直交変換係数まで復元する手段と、
該直交変換係数にサブバンド統合型の逆直交変換を行う手段とを具備したことを特徴とする変換画像復号装置。 - 入力画像にサブバンド分割型の直交変換を行って、直交変換係数を得るための手段と、
前記直交変換係数のうちの特定の直交変換係数を補正する手段と、
前記直交変換係数にサブバンド統合型の逆直交変換を行う手段とを具備したことを特徴とする画像処理装置。 - 前記請求項8に記載の画像処理装置において、
前記特定の直交変換係数を補正する手段は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて、直交変換係数の補正量R(ただし、0≦R≦1)を設定することを特徴とする画像処理装置。 - 前記請求項9に記載の画像処理装置において、
前記直交変換係数が予め定められた値(制約条件しきい値)以下の時には、前記補正を行わないようにすることを特徴とする画像処理装置。 - 前記請求項8に記載の画像処理装置において、
前記特定の直交変換係数を補正する手段は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象となる直交変換係数の位置と個数を設定することを特徴とする画像処理装置。 - 前記請求項8に記載の画像処理装置において、
前記特定の直交変換係数を補正する手段は、前記入力画像の歪具合および期待する画質の改善度合いに応じて補正の対象となるサブバンドを設定することを特徴とする画像処理装置。 - 前記請求項12に記載の画像処理装置において、
前記特定の直交変換係数を補正する手段は、補正の対象となる直交変換係数を1HL、1LHおよび1HHサブバンドに属する直交変換係数に限定することを特徴とする画像処理装置。
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-
2002
- 2002-09-06 JP JP2002261572A patent/JP2004104336A/ja active Pending
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