JP2004099874A - デンドリマー及びこれを用いた電子デバイス素子 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャリア伝導性を有する新規なデンドリマー及びそれを用いた電子デバイスに関する。特に、本発明のデンドリマーは、キャリアを極めて高い効率で伝導するので、キャリア伝導を必要とするデバイス用途、例えば、有機トランジスタ(有機FET、有機TFT)等のスイッチング素子や、太陽電池や、有機EL等の材料に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
導電性有機高分子は、1970年代後半から、科学的及び技術的に注目されている。これらの比較的新しい技術は、金属の電子的及び磁気的特性を有すると同時に、従来の有機重合体の物理的及び機械的特性を保持している。導電性有機高分子の例には、ポリp−フェニレン類、ポリp−フェニレンビニレン類、ポリアニリン類、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアジン類、ポリフラン類、ポリセノフェン類、ポリ硫化p−フェニレン類、これらの混合物、これらと他の重合体とのブレンド、及びこれらの単量体の共重合体がある。導電性有機重合体はドーピングにより導電性となる共役系である。ドーピング反応は、酸化、還元、プロトン化等が関連する。
【0003】
さらに近年、これらの導電性有機高分子を用いて、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL、OLED)の発光素子や、電界効果型トランジスタ(有機FET、有機TFT)のアクティブ素子を実現することが考えられている。現行のアモルファスシリコンやポリシリコンTFTの絶縁層や半導体層を作製するプラズマ化学気相成長(CVD)装置や、電極形成に使用するスパッタ装置は高額である。また、CVD法は230〜350℃と成膜温度が高く、また、クリーニング等の保守を頻繁に行う必要があり、スループットが低い。一方、有機FET等を作製する塗布装置、インクジェット装置等はCVD装置やスパッタ装置と比較して安価であり、成膜温度が低く、メンテナンスが簡単である。従って、液晶表示装置や有機EL等の表示装置に有機FETを適用した場合は、大幅な低コスト化が期待できる。
【0004】
一般的な有機ELは、ガラス等の透明基板、透明電極、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、及び金属電極の構成からなり、ホール輸送層、発光層、電子輸送層は、1層でホール輸送と発光層を兼ねたり、電子輸送と発光層を兼ねることが可能である(特許文献1〜3参照)。しかし、未だ寿命等の問題があり、改良研究が行われている。
【0005】
一般的な有機TFTは、ガラス等の透明基板、ゲート基板、ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極、及び有機半導体膜の構成からなる。ゲート電圧を変化させることで、ゲート絶縁層と有機半導体膜の界面の電荷量を過剰、或いは不足にし、ソース電極と有機半導体膜とドレイン電極間を流れるドレイン電流値を変化させ、スイッチングを行う。
【0006】
前記有機半導体膜にポリチオフェンやポリチオフェン誘導体を用いて有機TFTを作製することが開示されている文献がある(特許文献4参照)。また、ペンタセンを用いて有機TFTを作製することが開示されている文献がある(非特許文献1参照)。
【0007】
上記ペンタセンを用いた場合、蒸着法を用いなければならず、特性を向上するのに高結晶化等の課題がある。また、加工性を向上する為にペンタセン誘導体を用いて、可溶性にしたものも検討されているが、充分な特性は得られていない。
【0008】
また、ポリチオフェンやポリチオフェン誘導体、チオフェンオリゴマーを用いた有機半導体は、電解重合法や溶液塗布法等で、容易に薄膜状に出来るなど成形性に優れることから、応用開発が進められているが、未だ充分な特性は得られていない。
【0009】
一方、近年デンドリマーやハイパーブランチポリマーといった超分岐高分子材料が注目されている。デンドリマーやハイパーブランチポリマーは非晶質であり、有機溶媒に可溶であり、機能性基を導入可能な末端が多く存在する等の特徴がある。そこで、4級ピリジニウム塩を結合した1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド残基を分岐末端に有するポリアミドデンドリマーが、等方的な電子伝導性(「輸送性」ともいう)を有し、この伝導性は該分岐末端構造の空間的な重なり合いによるπ電子相互作用によることが示されている(非特許文献2参照)。また、分岐末端にホール(正孔)伝導性構造を有し、カルボニル基とベンゼン環を含むπ電子共役系を含まないデンドロンを用いたデンドリマーとそれを用いた光電変換デバイスについて開示されている文献がある(特許文献5参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−126616号公報
【特許文献2】
特開平8−18125号公報
【特許文献3】
特開平10−92576号公報
【特許文献4】
特開昭63−076378号公報
【特許文献5】
特開2000−336171号公報
【特許文献6】
特開平4−133351号公報
【特許文献7】
特開平5−110069号公報
【特許文献8】
特開平7−206599号公報
【特許文献9】
特許第3074277号公報
【非特許文献1】
Yen−Yi Lin,David J.Gundlach,Shelby F. Nelson,and Thomas N. Jackson,IEEE Transaction on Electron Device,Vol.44,No.8 p.1325(1997)
【非特許文献2】
L.L.Millerら;J,Am,Chem.Soc.119,1005(1997)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記に記載の有機半導体は、共役性高分子等の半導体性或いは導電性高分子を用いた機能素子について、高い電荷伝導性は分子鎖の配向方向にあり、分子の構造にも影響を受ける。さらに、共役性高分子等の半導体性或いは導電性高分子は、普通、剛直で不溶不融性のものが多く溶媒に溶けない。そこで、側鎖を導入したポリマー誘導体やオリゴマーが用いられている(特許文献4、6及び7参照)。しかし、側鎖を導入することにより、ガラス転移点が発現し、ミクロブラウン運動によるサーモクロミズムが生じ、温度による特性の変化がある。また、オリゴマーを用いることにより、信頼性の問題等が生じる。また、充分な移動度が得られておらず、重合度を上げるか、配向膜を用いて導電性有機化合物の配向性を高める必要性等の問題がある(特許文献8参照)。
【0012】
また、共役系高分子を用いる場合、酸素や水分の影響を受け易く、劣化し易い。従って、従来の有機FET素子は、安定性に乏しく、電気特性が劣り、且つ、寿命が短いという課題がある。
【0013】
さらに、チエニレン−フェニレン構造を繰り返し構造単位とするハイパーブランチポリマーが開示されている文献がある(特許文献9参照)。しかしながら、この製造方法はGrignard反応による重合反応を利用しているため、デンドリマーのような規則性の高い繰り返し構造を制御することは不可能である。したがって、この製造方法で合成した化合物は、一般的な高分子重合体と同様に広い分子量分布を有し、中心構造となる核や外殻となる末端基へ機能基を導入しようとしても、ランダムに導入されるため、所望の機能を得ることは難しいという課題がある。また、この文献に記載された化合物は、電子受容性試薬をドーピングして導電性を付与した導電性重合体として、導電材料として使用されるものである。
【0014】
本発明は、このような従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、等方性で極めて高いキャリア伝導性を有する有機半導体材料となる新規デンドリマー及びそれを用いた電子デバイスを提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために研究を重ねた結果、少なくとも1つのチエニレン構造を繰り返し単位として含むデンドリマーとすると、等方性で極めて高いキャリア伝導性を有する有機半導体材料となることを知見し、本発明を完成させた。
【0016】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、分岐部を有する繰り返し単位をDivergent法もしくはConvergent法で繰り返し連結した分岐構造を有するデンドリマーにおいて、前記繰り返し単位が置換基を有してもよい2価の有機基である線状部Xと、置換基を有してもよい3価の有機基である分岐部Yとからなる下記一般式(1)で表される構造であって、前記線状部Xは少なくとも1つのチエニレン構造を含み且つ前記分岐部と少なくとも部分的に共役していることを特徴とするデンドリマーにある。
【0017】
【化6】
【0018】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、さらに、前記分岐構造の開始点となる前記繰り返し単位のXに、コアとなる中心構造が接続されていることを特徴とするデンドリマーにある。
【0019】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記コアは、前記繰り返し単位が2つ以上直接接続する2価以上の基であることを特徴とするデンドリマーにある。
【0020】
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、さらに、前記分岐構造の末端となる前記繰り返し単位のYに、前記繰り返し単位とは異なる末端構造が接続されていることを特徴とするデンドリマーにある。
【0021】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様において、前記分岐部Yが、分岐中心として、鎖式炭化水素(脂肪族炭化水素)、環式炭化水素(脂環式化合物及び芳香族化合物)、及び複素環式化合物(芳香族性を持つもの及び芳香族性を持たないもの)から選択される化合物を含むことを特徴とするデンドリマーにある。
【0022】
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記分岐部Yが、下記式(2)から選択されることを特徴とするデンドリマーにある。
【0023】
【化7】
【0024】
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様において、前記線状部Xが、下記一般式(3)で表され且つ前記分岐部Yと少なくとも部分的に共役していることを特徴とするデンドリマーにある。
【0025】
【化8】
【0026】
(式中Zは、チエニレンと少なくとも部分的に共役した、置換基を有してもよい2価の有機基又は単結合であり、R4、R5は、水素、アルキル基及びアルコキシ基から選択される。)
【0027】
本発明の第8の態様は、第7の態様において、前記置換基Zは、置換または非置換の鎖式炭化水素(脂肪族炭化水素)、環式炭化水素(脂環式化合物及び芳香族化合物)、及び複素環式化合物(芳香族性を持つもの及び芳香族性を持たないもの)から選択される1種で構成される基、1種が複数個連続して構成される基又は複数種が連続して構成される基であることを特徴とするデンドリマーにある。
【0028】
本発明の第9の態様は、第8の態様において、前記置換基Zは、置換または非置換の不飽和脂肪族炭化水素、及び環式若しくは複素環式の芳香族化合物から選択される1種で構成される基、1種が複数個連続して構成される基又は複数種が連続して構成される基であることを特徴とするデンドリマーにある。
【0029】
本発明の第10の態様は、第9の態様において、前記置換基Zが、下記式(4)から選択される1種で構成される基、1種が複数個連続して構成される基又は複数種が連続して構成される基であることを特徴とするデンドリマーにある。
【0030】
【化9】
【0031】
本発明の第11の態様は、第1〜6の何れかの態様において、前記繰り返し単位が、下記一般式(5)で表されることを特徴とするデンドリマーにある。
【0032】
【化10】
【0033】
(式中R9、R10は、水素、アルキル基及びアルコキシ基から選択され、nは1〜10までの整数を表す。)
【0034】
本発明の第12の態様は、第1〜11の何れかの態様のデンドリマーを用いたことを特徴とする電子デバイス素子にある。
【0035】
本発明の第13の態様は、第12の態様において、電荷輸送デバイス素子であることを特徴とする電子デバイス素子にある。
【0036】
本発明の第14の態様は、第12の態様において、スイッチングトランジスタ素子であることを特徴とする電子デバイス素子にある。
【0037】
本発明の第15の態様は、第12の態様において、発光デバイス素子であることを特徴とする電子デバイス素子にある。
【0038】
本発明の第16の態様は、第12の態様において、光電変換デバイス素子であることを特徴とする電子デバイス素子にある。
【0039】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0040】
本発明において、デンドリマーとは、上述した一般式(1)の繰り返し構造単位、すなわちデンドリック構造単位を少なくとも2段以上繰り返した構造を有するもので、分岐構造が規則的であるものをいい、重合法で合成されて分岐構造が規則的ではないハイパーブランチポリマーを含まない概念である。なお、この一般式(1)の繰り返し単位を含んだ構造、すなわち、繰り返し単位を分岐状に繰り返して連結した構造を分岐構造という。
【0041】
また、本発明のデンドリマーは、分岐部を有する繰り返し単位をDivergent法もしくはConvergent法で繰り返し連結した分岐構造を有するものであり、開始点から順次枝を伸ばしていく「Divergent法」により合成されたデンドリマー、末端から分岐ユニットをつなぎ合せて最後に開始点に結合させる「Convergent法」により合成されたデンドリマー、又はDivergent法及びConvergent法を組み合わせて合成されたデンドリマーを包含する。
【0042】
ここで、デンドリマー及びハイパーブランチポリマーについて、さらに説明すると、これらは、一般的には下記式に示すように分類され、分岐構造が規則的であるものをデンドリマー、分岐構造が規則的でないものをハイパーブランチポリマーという。本発明は前者のデンドリマーであって、1つの開始点から樹木状に分岐した構造か、複数の開始点をコアとなる多官能高分子に結合して放射状に分岐した構造かは問わない。勿論、これとは異なる定義もあるが、何れにしても、本発明は分岐構造が規則的なデンドリマーに関し、樹木状分岐構造のもの、放射状分岐構造のものを包含するものであり、勿論、一般的なDivergent法又はConvergent法による製造工程によって分岐構造に欠陥が生じた化合物も包含するものである。
【0043】
また、一般的な定義では、完全にデンドリック構造単位が繰り返された場合を世代というが、基本的な構造が同一であるが類似するデンドリック構造単位を2段以上連結した構造も本発明のデンドリマーに含むものとする。
【0044】
なお、デンドリマー、ハイパーブランチポリマーなどの概念は、柿本雅明,化学,50巻,608頁(1995)、高分子,Vol.47,P.804(1998)等に記載されており、これらを参照することができるが、これらに記載されたものに限定されるものではない。
【0045】
【化11】
【0046】
【化12】
【0047】
本発明のデンドリマーにおいて、デンドリック構造単位は、線状部Xと分岐部Yとからなり、これを2段繰り返した構造とは、分岐部Yの結合手のそれぞれに、同一のデンドリック構造単位が結合した構造をいい、これを第1世代デンドロンという。また、第1世代デンドロンの分岐部Yの結合手に順次同一のデンドリック構造単位が結合したものを第2世代、・・・第n世代デンドロンといい、このもの自体、又は、この末端や開始点に所望の置換基を結合させたものを樹木状分岐構造のデンドリマーという。また、これをサブユニットとし、同一又は非同一の複数のサブユニットを複数価の核(コア)に結合させたものを放射状分岐構造のデンドリマーという。なお、第n世代デンドロンをr価のコアに結合させた場合、第n世代r分岐デンドリマーとして定義できる。ここで、第1世代のデンドロンを1価のコアに結合させた第1世代1分岐のものも、本発明で定義するデンドリマーに含まれることとなるが、本発明の目的を達成するためには、第1世代2分岐又は第2世代1分岐以上のものであることが好ましい。また、このようなデンドリマーは、一般的には分子量が600以上のものが好ましい。
【0048】
本発明のデンドリマーは、線状部Xが少なくとも1つのチエニレン構造を含み且つ分岐部Yと少なくとも部分的に共役している構造を有し、好適には上記一般式(3)で表される線状部Xを具備するので、等方性で極めて高いキャリア伝導性を有する有機半導体材料となる。
【0049】
ここで、「少なくとも部分的に共役する」とは、完全共役系だけではなく、π電子系が全て非局在化していない共役系も含むことを意味し、例えばベンゼン核のメタ配位が含まれる共役系の場合も含まれることを意味する。
【0050】
なお、本発明で用いられるデンドリマーは、分子表面にホール伝導性や電子伝導性、又はイオン伝導性を持つものでも構わない。
【0051】
本発明のデンドリマーにおいて、線状部Xは少なくとも1つのチエニレン構造を含み且つ前記分岐部Yと少なくとも部分的に共役していれば、その構造は特に制限されないが、本発明では高いキャリア伝導性を達成することを目的としているため、好ましくは上記一般式(3)で表される構造となる。
【0052】
上記一般式中Zは、チエニレンと少なくとも部分的に共役した、置換基を有しても良い2価の有機基または単結合であり、例えば、置換または非置換の鎖式炭化水素(脂肪族炭化水素)、環式炭化水素(脂環式化合物及び芳香族化合物)および複素環式化合物(芳香族性を持つもの及び芳香族性を持たないもの)から選択される1種で構成される基、1種が複数個連続して構成される基又は複数種が連続して構成される基である。なお、これらの各構成要素は互いに少なくとも部分的に共役するような構造である。また、R4、R5は水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、互いに異なっていてもかまわない。なおこの明細書において、特に限定しない場合には、アルキル基及びアルコキシ基等は炭素数が1〜20のものを示すものとする。
【0053】
なお置換基Zは、好ましくは、置換または非置換の不飽和脂肪族炭化水素、及び環式若しくは複素環式の芳香族化合物から選択される1種で構成される基、1種が複数個連続して構成される基又は複数種が連続して構成される基である。さらに好ましくは、置換基Zは、上記式(4)から選択される1種で構成される基、1種が複数個連続して構成される基又は複数種が連続して構成される基である。
【0054】
線状部Xの好適な具体例としては下記式(6)で表される構造が挙げられるが、これらの構造に限定されるものではない。
【0055】
【化13】
【0056】
本発明のデンドリマーにおいて、分岐部Yは少なくとも線状部Xと少なくとも部分的に共役した3価の有機基であれば、その構造は特に制限されないが、好ましくは、分岐中心として、鎖式炭化水素(脂肪族炭化水素)、環式炭化水素(脂環式化合物及び芳香族化合物)、及び複素環式化合物(芳香族性を持つもの及び芳香族性を持たないもの)から選択される化合物を含む。
【0057】
また、分岐部Y全体としては、例えば置換または非置換の、鎖式炭化水素、環式炭化水素、及び複素環式化合物から選択される1種で構成される3価の有機基、1種が複数個連続して構成される3価の有機基又は複数種が連続して構成される3価の有機基で、各構成成分は互いに少なくとも部分的に共役するような構造である。
【0058】
分岐部Yの好適な例としては上記式(2)で表される構造が挙げられるが、これらの構造に限定されるものではない。
【0059】
なお本発明のデンドリマーの好ましい具体例の一つは、一般式(1)で表される繰り返し単位が、特に上記一般式(5)で表される構造である。ここで、一般式(5)中nは、1〜10までの整数を表すが、好ましくは1〜3である。
【0060】
本発明のデンドリマーは、さらに、分岐構造の開始点となる繰り返し単位のXに、コアとなる中心構造が接続されている場合がある。すなわち、コアとは、任意数の樹木状分岐構造の開始点と結合し、該樹木状分岐構造の開始点以降の構造を除いた部分構造、即ち、該デンドリマーの分子中心に位置し、繰り返し単位を含まない部分を意味する。
【0061】
コアは、繰り返し単位が2つ以上直接接続する2価以上の基であることが好ましく、具体的には、炭素数が1〜20のアルキレン基、炭素数が6〜20のアリーレン基、これらのアルキレン基とアリーレン基が結合した基を挙げることができる。ここで、アルキレン基は、O、NH、N(CH3)、S、SO2等のヘテロ原子が介在しても良く、非置換は勿論、水酸基、カルボキシル基、アシル基又はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲンなどの基で置換されていてもよい。また、コアとしては、これら各基の炭素原子に結合した水素原子が脱離した多価の基、及び多価のヘテロ環基、このヘテロ環基と上記炭化水素基とが結合した基や、ポルフィリンやポルフィリン錯体等も挙げることができる。なお、コアとして2価以上の例を挙げたが、コアはこれらの基に水素が結合した1価の基でもよい。
【0062】
本発明のデンドリマーは、さらに、分岐構造の末端となる繰り返し単位のYに、繰り返し単位とは異なる末端構造が接続されていてもよい。このような末端構造は、任意数の樹木状又は放射状分岐構造の末端と結合し、該樹木状又は放射状分岐構造を除いた部分構造、即ち、該デンドリマーの分子表面に位置し、繰り返し単位を含まない部分を意味する。本発明のデンドリマーの末端構造については、その構造は特に制限されないが、高いキャリア伝導性を達成するために、ホール伝導性や電子伝導性、又はイオン伝導性を持つ構造が好適に利用できる。末端構造としては、具体的には下記式(7)で表わされる構造が例示されるが、これらに限定されるものではない。また、これらの末端構造とデンドリック構造単位との結合様式に制限はないが、炭素−炭素結合、炭素−窒素結合、アミド結合、エーテル結合、エステル結合、尿素結合等が例示される。
【0063】
【化14】
【0064】
なお、本発明のデンドリマーは上記コア又は末端構造を有しないものでもよく、この場合、本発明のデンドリマーの分岐構造の開始点側及び末端側の構造は、当該分岐構造を構成する繰り返し単位の原料に依存して決まるが、原料の活性基を水素で置換したものでもよい。
【0065】
本発明で用いるデンドリマーはその世代数にも制限はない。なお、デンドリマーの世代とは上述したとおりであるが、デンドリマーの世代数として、中心構造が大きいものや長いものを含めると、一般的には1〜10であるが、末端構造の密集性と合成の容易性から1〜8が好ましく、更に好ましくは1〜7であり、最も好ましいのは2〜5である。
【0066】
また、本発明のデンドリマーは、上述したように分岐数が多いことから端数が多く、その末端を利用して、キャリア数を増加させることが可能である。
【0067】
さらに、キャリアの通り道が多く、従来の共役系高分子や低分子の有機半導体材料のように分子を配向させたり、高結晶化させる必要もなく、キャリア移動度を効果的に高めることができる。
【0068】
本発明のデンドリマーは、チエニレン構造を含有する単量体単位(モノマー)を用いて構築、合成することができる。ここでいう単量体単位とは、上記式(1)を部分構造として有する低分子化合物で、互いに反応するような置換基を導入した誘導体やその前駆体となる化合物群を示す。単量体単位からデンドリマー構造を構築する合成方法は、「Divergent法」、「Convergent法」、「Divergent法及びConvergent法を組み合わせた方法」である。Divergent法及びConvergent法を組み合わせた方法としては、例えば、初めにConvergent法で世代を成長させてある程度大きな世代にし、これを部品としてDivergent法で連結させ、さらに世代を成長させる方法や、このConvergent法で世代を成長させた部品の末端部を開始点(反応点)として、Divergent法で成長させる方法、さらに初めにDivergent法で世代を成長させてある程度大きな世代にし、これを部品としてConvergent法で連結させ、さらに世代を成長させる方法等が挙げられ、文献(M. J. Frehetら;Chem. Rev. 2001, 101, 3819−3867、岡田編著;デンドリマーの化学と機能,アイピーシー出版等)に記載された方法も参照できる。特に欠陥がなく高純度のデンドリマーを効率的に合成するには、過剰の原料を必要とせず精製が容易な「Convergent法」による合成が好ましい。
【0069】
例えば、下記式(8)で表される繰り返し構造単位を有するデンドリマーは、下記式(9)で表される「Convergent法」による反応工程で製造することができる。
【0070】
【化15】
【0071】
【化16】
【0072】
上記式(9)の反応工程は、末端部分を構成する化合物(a)のチオフェン環のα位水素を活性基V1に変換して化合物(b)とする反応工程1と、線状部および分岐部を有すると共に分岐部に2つの活性基V2を有する化合物(c)と、前記化合物(b)とを反応させて化合物(d)を得る反応工程2と、この生成物(d)のチオフェン環のα位水素を活性基V1に変換すると共にこれに化合物(c)を反応させて次世代デンドロン(e)を得る反応工程3で構成される。さらに中心構造分子に結合される場合には、前記化合物(e)のチオフェン環のα位水素を活性基V1に変換すると共にこれに中心構造となる化合物(f)を反応させて化合物(g)を得る反応工程4を行う。
【0073】
ここで、上記反応式(9)において、V1およびV2は活性基、Wは、置換基を有してもよい活性基を含まない1価の有機基を表す。なお、「活性基を含まない」とは、V1とV2との反応に関与する基を含まないことを意味する。
【0074】
また、Y2はコアとなるr価の有機基(rは1以上の整数)であり、化合物(g)におけるrは中心構造からの分岐数を表す次数である。なお、第n世代デンドロンにrが2以上のコアを結合させた場合は、第n世代r分岐である放射状分岐構造のデンドリマーとなる。rが1の場合には、樹木状分岐構造のデンドリマーとなるが、この場合でもY2をコアとよぶものとする。
【0075】
この例において化合物(d)は第1世代デンドリマー、化合物(e)は第2世代デンドリマーと定義することができる。上記式(9)の反応工程1〜3には便宜上、第2世代デンドリマーまでの反応工程を記載したが、反応工程3を繰り返すことでさらに高世代のデンドリマーを製造することができる。
【0076】
さらに、得られたデンドリマーは、反応工程4により中心構造となる化合物に結合させることができる。なお、この例では第2世代デンドリマー(e)を中心構造となる化合物(f)に結合させているが、あらゆる世代数のデンドリマーも、同様の反応工程により中心構造分子に結合させることができる。ただし、デンドリック構造単位の密集性と合成の容易性からデンドリマーの世代数は上述したように1〜8が好ましく、さらに好ましくは1〜7であり、最も好ましいのは2〜5であり、また、中心構造からの分岐数は1〜6が好ましく、さらに好ましくは1〜4である。
【0077】
また、反応工程1の原料である化合物(a)の合成法に特に制限はないが、下記反応式(10)に示される反応工程、すなわち、V1とV2の反応により末端構造となるWをYに結合させる反応工程で得ることができる。
【0078】
【化17】
【0079】
なお、上記式(9)及び(10)では、得られるデンドリマーの末端部分が、YにWが2個結合した構造である例を示したが、Wが一つ結合した構造、又は、Wがない構造でもよい。さらにYが他の有機基でもよく、この場合は反応工程3が第1世代の合成となる。
【0080】
また、末端部にホール伝導材料である3級芳香族アミン骨格を構築する場合、Yをベンゼン核のような3価の芳香族基とし、この骨格に直接、窒素原子を結合させて構築することもできる。すなわち、前記式(10)においてV2がハロゲンで、V1−Wが下記式で表わされる2級芳香族アミン化合物との縮合反応を利用することで合成できる。
【0081】
【化18】
【0082】
ここで1価又は3価の芳香族基としては、置換又は非置換の、芳香族炭化水素基、芳香族複素環式残基、縮合多環式芳香族炭化水素基、縮合複素環芳香族残基、およびこれらの基が環集合した1価又は3価の芳香族基が例示される。具体的には3価又は1価の、置換又は非置換の、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、フェナントレン、フェナレン、ピレン、クリセン、ベンゾアントラセン、ペリレン、トリフェニレン、コロネン、ペンタフェン、ピセン、ナフトアントラセン、トリナフチレン、オバレン、ビフェニル、テルフェニル、クワテルフェニル、キンクフェニル、セクシフェニル、セプチフェニル、フェニルアントラセン、フェニルナフタレン、ジフェニルアントラセン、ビフェニレン、ビナフタレニル、フルオレン、アセナフチレン、ジベンゾペリレン、インデン、ペンタレン、アセフェナントリレン、インダセン、アセアントリレン、テトラフェニレン、フルオランテン、アズレン、シクロオクタテトラエン、オクタレン、ルブレン、チオフェン、フラン、ピロール、シロール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、フラザン、オキサジアゾール、チアジアゾール、ピリジン、チオピラン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾシロール、インドール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、キノリン、チオクロメン、キナゾリン、カルバゾール、ジベンゾシロール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェナントロリン、アクリジン、ベンゾキノリン、フェナントリジン、フェナジン、フェノチアジン、チアントレン、フェノキサチイン、フェノキサジン、ビチオフェン、テルチオフェン、クワテルチオフェン、ビフラン、テルフラン、クワテルフラン、ビピロール、テルピロール、クワテルピロール、ビシロール、テルシロール、クワテルシロール、ビピリジン、テルピリジン、クワテルピリジン、フェニルピロール、フェニルピリジン、フェニルフラン、フェニルチオフェン、フェニルオキサジアゾール等を挙げることができる。
【0083】
この反応としては、銅と塩基触媒を用いるUllmann縮合(Chem.Lett.,1145,(1989)、Synth.Commu383,(1987)等、参照)や、パラジウム触媒とトリ−t−ブチルホスフィン配位子の組合せ及び塩基触媒を用いる東ソー法(特開平10−310561号公報)が利用でき、温和な条件下で行なえ収率や選択性が高いことから、後者の方法が好適である。この反応の利用により、例えば下記式で表わされるような反応様式により、3級芳香族アミン骨格が構築できる。
【0084】
【化19】
【0085】
以下反応等について、さらに詳述する。
【0086】
反応工程2または反応工程3において化合物(c)と反応させる、V1とV2の反応には、Suzukiクロスカップリング等のクロスカップリング反応が好適に利用できる。その場合の活性基V1およびV2の組合せとしては、V1が下記式に示されるグループ1から選択され且つV2がグループ2から選択される基の組合せ、または、V1がグループ3から選択され且つV2がグループ4から選択される基の組合せを挙げることができる。
【0087】
【化20】
【0088】
【化21】
【0089】
【化22】
【0090】
【化23】
【0091】
なお、Suzukiクロスカップリング反応は官能基に対する制約が少なく、反応の選択性も高くホモカップリングなどの副反応が少ないことが知られており、特に芳香族化合物やビニル化合物誘導体のクロスカップリング反応に広く利用されている(鈴木ら,有機合成化学協会誌,46,848,(1988)、鈴木ら,Chem.Rev.,95,2457(1995)、鈴木,J. Organomet. Chem.,576,147(1999)参照)。反応収率や選択性の高さ、さらに汎用性の高さなどから、V1がB(OH)2またはB(OR)2で表わされるホウ酸エステル型の置換基で、V2がBrまたはIである場合の組合せが好適に利用できる。
【0092】
以下に、上記Suzukiクロスカップリング反応を利用した場合のチオフェン環のα位水素を活性基V1に変換する反応及び、活性基V1とV2の反応の条件について述べる。
【0093】
[チオフェン環のα位水素を活性基V1に変換する反応]
反応工程1および反応工程3において、チオフェン環のα位水素を上記グループ1から選択される活性基V1に変換する反応の反応条件について記述する。
【0094】
V1がB(OR)2又は下記式で表わされるホウ酸エステルである場合には、例えば、n−ブチルリチウムに代表されるアルキルリチウムやリチウムジイソプロピルアミド等を作用させチオフェン環のα位水素を引き抜きカルボアニオンとした後、対応するアルコキシボラン、すなわちトリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリイソプロポキシボラン、トリブトキシボラン又は2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロランを求電子付加させる。
【0095】
【化24】
【0096】
溶媒としてはテトラヒドロフラン、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、トルエン等の有機溶媒が好適に利用できる。反応温度は−100〜30℃が好ましく、より好ましくは−78〜0℃である。反応時間は、10分〜3時間が好ましく、より好ましくは30分〜2時間である。
【0097】
V1がB(OH)2である場合には、上記の方法で得られたホウ酸エステル類に水を添加して加水分解する。反応溶媒は特に限定されないが、製造上、上記の方法でホウ酸エステルを合成した反応混合物に、直接水を加えて加水分解することが簡便である。反応温度は0〜50℃が好ましく、反応時間は1時間〜3時間が好ましい。
【0098】
次に、反応工程1および反応工程3において、チオフェン環のα位水素を上記グループ3から選択される活性基V1に変換する反応の反応条件について記述する。
【0099】
V1がCl、BrまたはIのいずれの場合においても、対応するハロゲン化試薬を作用させ、チオフェン環のα位水素をハロゲン置換する。ハロゲン化試薬としては、例えば、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミドやN−ヨードスクシンイミド等が挙げられる。反応溶媒としてはテトラヒドロフラン、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、ベンゼン、四塩化炭素、二硫化炭素、ジメチルホルムアミド、酢酸等の有機溶媒が好適に利用できる。反応温度は、−20〜80℃が好ましく、反応時間は1時間〜24時間が好ましい。
【0100】
[活性基V1とV2との反応]
反応工程2および3において、Suzukiクロスカップリング反応により、V1とV2を反応させる反応条件について記述する。
【0101】
Suzukiクロスカップリング反応においては、反応に用いる触媒としては、種々のパラジウム触媒と塩基触媒の組合せが利用できる。
【0102】
パラジウム触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、パラジウム黒、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド、ビス(トリ−o−トシルホスフィン)パラジウムジクロリド、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウムジクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジアセタート、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウムジクロリド、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウムジクロリド等が挙げられる。また、これらのパラジウム触媒に配位子となる化合物を併用することが有効な場合もあり、配位子となる化合物としては、トリフェニルホスフィン、1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、ジフェニルホスフィノベンゼン−3−スルホン酸ナトリウム塩、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(3−メチルフェニル)ホスフィン、トリス(2−メチルフェニル)ホスフィン等が挙げられる。またパラジウム触媒の代わりにニッケル触媒の[1,1′−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ニッケルジクロリドを使用することもできる。
【0103】
塩基触媒としては、炭酸ナトリウム、ナトリウムエトキシド等のナトリウムアルコキシド類、t−ブトキシカリウム、水酸化バリウム、トリエチルアミン、リン酸カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0104】
また、Suzukiクロスカップリング反応の場合、溶媒としては種々の有機溶媒とその混合溶媒、それらの有機溶媒と水との混合溶媒が一般的に用いられ、有機溶媒としてはジメチルホルムアミド、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジメチルアセトアミド、キシレン等が好適に利用できる。なお反応温度は、25〜150℃が好ましく、より好ましくは25〜80℃であり、反応時間は、30分〜24時間が好ましく、より好ましくは1時間〜12時間である。
【0105】
なお、反応工程4や反応式(10)においても、チオフェン環のα位水素を活性基V1に変換する反応やV1とV2の反応は、上述の反応工程1〜3と同様である。
【0106】
上記した工程毎に精製処理を行なうことで、欠陥の少ない高純度のデンドリマーが合成できる。精製方法は特に限定されないが、再結晶、晶析、昇華精製、カラム精製等が例示される。
【0107】
上記記載の製造法によれば、末端部分を構成する化合物(a)およびデンドリック構造の単量体単位となる化合物(c)および中心構造となる化合物(f)を選択することで、種々のデンドリマーが製造できる。さらに、反応工程毎に精製処理を行なうことが容易な「Convergent法」を利用しているため、欠陥の少ない高純度のデンドリマーも製造可能である。
【0108】
本発明のデンドリマーはキャリア伝導性を有するため、様々な分野への応用が期待できる。ここで、本発明のデンドリマーは、その構造により、または、ドーピング等によって、ホール輸送性(p型)及び電子輸送性(n型)、さらには、各種機能を有する電子材料とすることができる。したがって、例えば、有機トランジスタ素子、有機FET素子、有機TFT素子等のスイッチング素子、太陽電池、光電変換素子、コンデンサ、発光素子、エレクトロクロミック素子、ポリマー二次電池等に用いることができる。以下に各用途に適した素子構造の詳細について述べる。
【0109】
有機トランジスタ素子においては、ホール輸送性及び/又は電子輸送性のある有機層を半導体層とし、上記半導体層とゲート電極である導電層の界面に絶縁層を挿入し形成される。この形成体に、ソース電極とドレイン電極を形成することにより実現できる。上記有機層は、本発明のデンドリマーによって形成される。
【0110】
発光素子において、平行平板電極に挟まれて本発明の材料を含む有機層が配置された構成をなす。多くの場合は、ITO等の透明電極、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、及び金属電極から構成される。また、キャリア輸送機能と発光機能を構造的に兼ね備えても構わない。上記有機層は、本発明のデンドリマーによって形成される。
【0111】
光電変換素子あるいは太陽電池においては、一般的に有機層が平行平板電極で挟まれて配置されるが、櫛形電極上に形成されてもよく、これに限定されるものではない。電極材料は特に限定されないが、平行平板電極である場合、少なくとも一方の電極はITO電極、フッ素をドーピングさせた酸化錫等の透明電極であることが好ましい。また、上記有機層はp型半導体性またはホール輸送性の本発明のデンドリマーと、n型半導体性または電子輸送性の本発明のデンドリマーから形成される。また、上記2層のどちらか一方のデンドリマーに光増感色素基を導入したり、上記2層の間にHOMO(最高被占荷電子帯)準位がホール輸送性デンドリマーのHOMOよりも低く、LUMO(最低非占荷電子帯)準位が電子輸送性デンドリマーのLUMOよりも高い光増感色素分子構造を導入した高分子や超分岐高分子を導入すると更に向上し、太陽電池などとして用いる場合、高効率な発電を行うことができる。
【0112】
さらには上記ホール輸送性層と、電子輸送性層との間に、ホール輸送層が光励起される場合や、電子輸送層が光励起される場合によって、その条件に合うイオン伝導性高分子、またはデンドリマーを導入することにより、電気化学光電変換素子を形成することができる。また、必要に応じて各層の何れかに光増感色素基を導入しても構わない。
【0113】
コンデンサに対しても、ホール輸送層及び電子輸送層の一方を導電層とし、他方を半導体層とし、上記導電層と半導体層の界面に絶縁層を挿入し形成される。さらに、ホール輸送層及び電子輸送層を導電層とし、導電層同士の界面にイオン伝導性層を挿入したり、ホール輸送層をp型半導体層とし、電子輸送層をn型半導体層とし、これらの連続層を形成しても構わない。上記半導体層は本発明のデンドリマーによって形成される。
【0114】
エレクトロクロミック素子については、ホール輸送層をp型ドーピング可能な高分子層とし、酸化還元反応で変色し、電子輸送性層をn型ドーピング可能な高分子層とし、酸化還元反応で変色し、その層間に支持電解質塩を含んだ層から形成される。また、この素子構造はポリマー二次電池としても用いることができ、高容量、低内部抵抗の二次電池を提供できる。
【0115】
以上のように本発明の材料によれば、極めて高いキャリア伝導性を持ち、簡便なプロセスでキャリア伝導を必要とするデバイスを実現することができる。
【0116】
【発明の実施の形態】
本発明のデンドリマー及びそれを用いた機能素子を以下に示す実施例に基づいて説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、測定に用いた装置等は以下の通りである。
【0117】
1H−NMR:JEOL製JNM−AL400型FT−NMR(400MHz)、溶媒:CDCl3又はDMSO−d6、室温測定、ケミカルシフトの基準(0ppm)はテトラメチルシラン(TMS)とした。
【0118】
GPC:東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム:TSKgelSuperHZM−M、溶離液:THF、検出器:UV254nm、測定値(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、分子量分布Mw/Mn)は標準ポリスチレン換算による値である。
【0119】
[合成実施例1] 第3世代デンドリマーの合成
(合成実施例1−1) デンドリック構造の単量体単位の化合物(c)となる、下記式で示される5−(3,5−ジブロモフェニル)−2,2′−ビチオフェンの合成
【0120】
【化25】
【0121】
窒素雰囲気下、2,2′−ビチオフェン4.6gを脱水テトラヒドロフランに溶解し、ドライアイス−メタノール浴中で冷却した。冷却後、1.6M−n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液18mlを滴下し、そのまま1時間反応させた。続いてトリメトキシボラン3.4gを滴下し、そのまま1時間反応させた。反応終了後、水を添加し加水分解させた後、冷却浴をはずして室温へ温度を上げた。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液及びジエチルエーテルを添加し、撹拌、静置してから有機層を分離した。さらに水層をテトラヒドロフラン/ジエチルエーテル(1/2容量比)混合溶媒で抽出し、先の有機層をあわせた。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。さらに硫酸ナトリウムで乾燥処理を行なった後、溶媒を減圧留去して粗製物を得た。粗製物をテトラヒドロフラン/n−ヘキサンで再結晶し、下記式で表される中間体化合物2,2′−ビチオフェン−5−ボロン酸4.3g(淡青白色固体)を収率73%で得た。
【0122】
【化26】
【0123】
その構造は1H−NMRスペクトルにて確認した。測定データを以下に示す。
【0124】
1H NMR (DMSO−d6) δ8.30 (s, BOH, 2H), δ7.60 (d, J = 3.6Hz, チオフェン環, 1H), δ7.51 (dd, J = 5.2Hz, J = 1.2 Hz, チオフェン環, 1H), δ7.34−7.32 (m, チオフェン環, 2H), δ7.10 (dd, J = 5.2Hz, J = 3.6Hz, チオフェン環, 1H).
【0125】
次に,窒素雰囲気下、得られた中間体化合物2,2′−ビチオフェン−5−ボロン酸4.0g及び1,3,5−トリブロモベンゼン9.0gをテトラヒドロフランに溶解した。この溶液に酢酸パラジウム0.1g、トリフェニルホスフィン0.30gを加え、さらに水34mlに溶解した炭酸ナトリウム4.4gを添加し80℃の油浴中で6時間加熱撹拌しながら反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水30mlを添加した。得られた反応混合物を塩化メチレンで抽出し、得られた有機層を水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥処理し、溶媒を減圧留去することで粗製物を得た。カラムクロマトグラフィー(充填剤:Merck製 Silicagel 60, 溶離液:塩化メチレン/n−ヘキサン)により単離精製し、目的物4.6g(淡黄色固体)を収率61%で得た。その構造は1H−NMRスペクトルにて確認した。測定データを以下に示す。
【0126】
1H NMR (CDCl3) δ7.65 (d, J = 1.6Hz, ベンゼン環, 2H), δ7.55 (t, J = 1.6Hz, ベンゼン環, 1H), δ7.26−7.25 (チオフェン環, 1H), δ7.23 (d, J = 3.6Hz, チオフェン環, 1H), δ7.22 (d, J = 3.6Hz, チオフェン環, 1H), δ7.15 (d, J = 3.6Hz, チオフェン環, 1H), δ7.05 (dd, J = 5.2Hz, J = 3.6Hz, チオフェン環, 1H).
【0127】
(合成実施例1−2) デンドリック構造の末端部分を構成する化合物(a)となる、下記式で示される5−[2,2′]ビチオフェニル−5−イル−N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,3−フェニレンジアミンの合成
【0128】
【化27】
【0129】
〈触媒の調製〉
酢酸パラジウム10mgにキシレン4.5mlを加え、窒素雰囲気下、トリ−t−ブチルホスフィン36mgを添加後、80℃で30分間加熱して、触媒溶液を得た。
【0130】
〈5−[2,2′]ビチオフェニル−5−イル−N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,3−フェニレンジアミンの合成〉
合成実施例1−1で得られた5−(3,5−ジブロモフェニル)−2, 2′−ビチオフェン1.80g、ジフェニルアミン1.60gおよびt−ブトキシカリウム1.21gにキシレン4.5mlを加え、窒素雰囲気下、80℃で先に調製した触媒溶液を滴下した。滴下終了後、120℃に温度を上げ、そのまま18時間反応させた。反応後、室温まで冷却して水10mlを添加した。有機層を分離し、水層は塩化メチレンで抽出して、先の有機層と合わせた。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥処理し、溶媒を減圧留去することで粗製物を得た。カラムクロマトグラフィー(充填剤:Merck製 Silicagel 60, 溶離液:塩化メチレン/n−ヘキサン)により単離精製し、目的物2.20 g(淡黄色固体)を収率85%で得た。その構造は1H−NMRスペクトルにて確認した。測定データを以下に示す。
【0131】
1H NMR (CDCl3) δ7.22 (t, J = 7.8Hz, ベンゼン環, 8H), δ7.16 (dd, J = 1.2Hz, J = 5.2Hz, チオフェン環, 1H), δ7.11−7.09 (m, チオフェン環, 1H および ベンゼン環, 8H), δ7.02−6.96 (m, ベンゼン環, 4H および チオフェン環, 3H), δ6.90 (d, J = 2.0Hz, ベンゼン環, 2H), δ6.73 (t, J = 2.0Hz, ベンゼン環, 1H).
【0132】
(合成実施例1−3) デンドリック構造の末端部分を構成する化合物(a)のチオフェン環のα水素を活性基B(OH)2に変換して化合物(b)とする、下記式で示される5−(5′−ボロン酸−[2,2′]ビチオフェニル−5−イル)−N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,3−フェニレンジアミンの合成
【0133】
【化28】
【0134】
窒素雰囲気下、合成実施例1−2で得られた5−[2,2′]ビチオフェニル−5−イル−N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,3−フェニレンジアミン2.0gを脱水テトラヒドロフランに溶解し、ドライアイス−メタノール浴中で冷却した。冷却後、10wt%−リチウムジイソプロピルアミド/n−ヘキサン懸濁液4.5g(Aldrich社製)を滴下し、そのまま1時間反応させた。続いてトリメトキシボラン0.5gを滴下し、そのまま1時間反応させた。反応終了後、水を添加し加水分解させた後、冷却浴をはずして室温へ温度を上げた。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液及びジエチルエーテルを添加し、撹拌、静置してから有機層を分離した。さらに水層をテトラヒドロフラン/ジエチルエーテル(1/2容量比)混合溶媒で抽出し、先の有機層をあわせた。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。さらに硫酸ナトリウムで乾燥処理を行なった後、溶媒を減圧留去して粗製物を得た。粗製物をテトラヒドロフラン/n−ヘキサンで再結晶し、目的物1.5 g(淡黄色固体)を収率70%で得た。その構造は1H−NMRスペクトル(測定溶媒:DMSO−d6)にて、8.3ppm付近にボロン酸のOHプロトンが観測されたこと、およびベンゼン環由来のプロトンとチオフェン環由来のプロトンの積分比が目的構造と一致したことより確認した。
【0135】
(合成実施例1−4) 前記化合物(b)と(c)のSuzukiクロスカップリング反応による、下記式(11)で示される第1世代デンドリマーの合成
【0136】
【化29】
【0137】
合成実施例1−3で得られた5−(5′−ボロン酸−[2,2′]ビチオフェニル−5−イル)−N,N,N′,N′−テトラフェニル−1,3−フェニレンジアミン1.30g、合成実施例1−1で得られた5−(3,5−ジブロモフェニル)−2, 2′−ビチオフェン0.40g、パラジウム酢酸13mg、トリフェニルホスフィン46mgおよび炭酸ナトリウム0.22gに、窒素雰囲気下、THF10mlと水2mlを加え、還流下で8時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水20mlを添加した。得られた反応混合物を塩化メチレンで抽出し、得られた有機層を水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥処理し、溶媒を減圧留去することで粗製物を得た。カラムクロマトグラフィー(充填剤:Merck製 Silicagel 60, 溶離液:塩化メチレン/n−ヘキサン)により単離精製し、目的物0.84g(淡黄色固体)を収率60%で得た。その構造は1H−NMRスペクトル(測定溶媒:CDCl3)にて、6.74ppmに観測される窒素原子が2つ隣接したベンゼン環プロトンHaを基準(2H分。式(11)参照。以下、その他の世代についてもHaは窒素原子が2つ隣接したベンゼン核プロトンを示す)とし、ベンゼン環由来のプロトンおよびチオフェン環由来のプロトンの積分比が目的構造と一致したことより確認した。測定データを以下に示す。また、GPC測定値は、重量平均分子量(Mw)=1265、数平均分子量(Mn)=1241、分子量分布(Mw/Mn)=1.019であり、目的物が高純度、単分散であることを確認した。
【0138】
1H NMR (CDCl3) δ7.66 (d, J = 1.2Hz, ベンゼン環, 2H), δ7.65 (t, J = 1.2Hz, ベンゼン環, 1H), δ7.32 (d, J = 3.6Hz, チオフェン環, 1H), δ7.30 (d, J = 3.6Hz, チオフェン環, 2H), δ7.25−7.22 (m,ベンゼン環, 16H および チオフェン環, 2H), δ7.18 (d, J = 3.6Hz, チオフェン環, 1H), δ7.13−7.10 (m, ベンゼン環, 16H および チオフェン環, 2H), 7.08 (d, J = 3.6Hz, チオフェン環, 2H), 7.05 (dd, J = 5.2Hz, J = 3.6Hz, チオフェン環, 1H), 7.02−6.98 (m, ベンゼン環, 8H および チオフェン環, 2H), 6.92 (d, J = 2.0Hz, ベンゼン環, 4H), 6.74 (t, J = 2.0Hz, ベンゼン環, 2H).
【0139】
(合成実施例1−5) 下記式で示される第2世代デンドリマーの合成
【0140】
【化30】
【0141】
〈第1世代デンドリマーのチオフェン環のα水素を活性基B(OH)2に変換する反応により下記式(12)で示される第1世代デンドリマーのボロン酸誘導体の合成〉
【0142】
【化31】
【0143】
窒素雰囲気下、合成実施例1−4で得られた第1世代デンドリマー1.4gを脱水テトラヒドロフランに溶解し、ドライアイス−メタノール浴中で冷却した。冷却後、10wt%−リチウムジイソプロピルアミド/n−ヘキサン懸濁液2.1g(Aldrich社製)を滴下し、そのまま1時間反応させた。続いてトリメトキシボラン0.42gを滴下し、そのまま1時間反応させた。反応終了後、水を添加し加水分解させた後、冷却浴をはずして室温へ温度を上げた。反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液及びジエチルエーテルを添加し、撹拌、静置してから有機層を分離した。さらに水層をテトラヒドロフラン/ジエチルエーテル(1/2容量比)混合溶媒で抽出し、先の有機層をあわせた。得られた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。さらに硫酸ナトリウムで乾燥処理を行なった後、溶媒を減圧留去して粗製物を得た。粗製物をテトラヒドロフラン/n−ヘキサンで再結晶し、目的物である第1世代のボロン酸誘導体(以下、「G1−B(OH)2」と略す)0.9g(淡黄色固体)を収率63%で得た。その構造は1H−NMRスペクトル(測定溶媒:DMSO−d6)にて、8.3ppm付近にボロン酸のOHプロトンが観測されたこと、およびベンゼン環由来のプロトンとチオフェン環由来のプロトンの積分比が目的構造と一致したことより確認した。
【0144】
〈Suzukiクロスカップリング反応〉
G1−B(OH)20.9g、合成実施例1−1で得られた5−(3,5−ジブロモフェニル)−2, 2′−ビチオフェン0.12g、パラジウム酢酸4mg、トリフェニルホスフィン14mgおよび炭酸ナトリウム66mgに、窒素雰囲気下、THF3mlと水0.6mlを加え、還流下で8時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水3mlを添加した。得られた反応混合物を塩化メチレンで抽出し、得られた有機層を水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥処理し、溶媒を減圧留去することで粗製物を得た。カラムクロマトグラフィー(充填剤:Merck製 Silicagel 60, 溶離液:塩化メチレン/n−ヘキサン)により単離精製し、目的物である第2世代デンドリマー0.47g(淡黄色固体)を収率52%で得た。その構造は1H−NMRスペクトル(測定溶媒:CDCl3)にて、6.7ppm付近に観測される窒素原子が2つ隣接したベンゼン環プロトンHaを基準(4H分)とし、6.9−7.4ppm付近および7.6−7.8ppm付近に観測される、ベンゼン環由来のプロトンおよびチオフェン環由来のプロトンの積分比が目的構造と一致したことより確認した。また、GPC測定値は、重量平均分子量(Mw)=3514、数平均分子量(Mn)=3385、分子量分布(Mw/Mn)=1.038であり、目的物が高純度、単分散であることを確認した。
【0145】
(合成実施例1−6) 下記式(13)で示される第3世代デンドリマーの合成
【0146】
【化32】
【0147】
合成実施例1−5で得られた第2世代デンドリマーのチオフェン環のα水素を活性基B(OH)2に変換する反応により第2世代デンドリマーのボロン酸誘導体を合成し、次いで合成実施例1−1で得られた5−(3,5−ジブロモフェニル)−2, 2′−ビチオフェンとSuzukiクロスカップリング反応を行い、第3世代デンドリマーを合成した。なお、実施例1−5の条件で、第1世代デンドリマーの代わりに第2世代デンドリマーを用いる以外は全て同じ条件で行なった。得られた物質の構造は1H−NMRスペクトル(測定溶媒:CDCl3)にて、6.7ppm付近に観測される窒素原子が2つ隣接したベンゼン環プロトンHaを基準(8H分)とし、6.9−7.4ppm付近および7.6−7.8ppm付近に観測される、ベンゼン環由来のプロトンおよびチオフェン環由来のプロトンの積分比が目的構造と一致したことより確認した。また、GPC測定値は、重量平均分子量(Mw)=7890、数平均分子量(Mn)=7610、分子量分布(Mw/Mn)=1.037であり、目的物が高純度、単分散であることを確認した。
【0148】
[合成実施例2] 下記式(14)で表わされる第1世代3分岐デンドリマー(第1世代デンドリマーのベンゼン核コアへの結合)。
【0149】
【化33】
【0150】
合成実施例(1−5)の〈第1世代デンドリマーのチオフェン環のα水素を活性基B(OH)2に変換する反応〉により得られた式(12)で表わされる第1世代デンドリマーのボロン酸誘導体G1−B(OH)21.03g、1,3,5−トリブロモベンゼン68mg、パラジウム酢酸15mg、トリフェニルホスフィン51mgおよび炭酸ナトリウム95mgに、窒素雰囲気下、THF6mlと水1mlを加え、還流下で8時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却し、水3mlを添加した。得られた反応混合物をクロロホルムで抽出し、得られた有機層を水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥処理し、溶媒を減圧留去することで粗製物を得た。カラムクロマトグラフィー(充填剤:Merck製 Silicagel 60, 溶離液:塩化メチレン/n−ヘキサン)により単離精製し、さらにクロロホルムで再結晶し、目的物である第1世代3分岐デンドリマー0.35g(淡黄色固体)を収率39%で得た。その構造は1H−NMRスペクトル(測定溶媒: CDCl3)にて、6.7ppm付近に観測される窒素原子が2つ隣接したベンゼン環プロトンHaを基準(6H分)とし、6.9−7.2ppm付近および7.4−7.5ppm付近に観測される、ベンゼン環由来のプロトンおよびチオフェン環由来のプロトンの積分比が目的構造と一致したことより確認した。測定データを以下に示す。また、GPC測定値は、重量平均分子量(Mw)=5017、数平均分子量(Mn)=4667、分子量分布(Mw/Mn)=1.073であり、目的物が高純度、単分散であることを確認した。
【0151】
1H NMR (CDCl3) 7.48 (s, ベンゼン環, 3H), 7.46 (s, ベンゼン環, 6H), 7.43 (s, ベンゼン環, 3H), 7.22−7.18 (m, ベンゼン環およびチオフェン環, 57H),7.10−7.08 (m, ベンゼン環およびチオフェン環, 60H), 6.99−6.94 (m, ベンゼン環およびチオフェン環, 33H), 6.90 (d, J = 0.8Hz, ベンゼン環, 12H), 6.87(d, J = 3.2Hz, チオフェン環, 6H), 6.73 (t, J = 2.0Hz, ベンゼン環, 6H).
【0152】
[実施例1] 有機スイッチングトランジスタ素子
本発明のデンドリマーを有する逆スタガー構造の有機薄膜スイッチングトランジスタを作製した。図1に概略断面図を示す。
【0153】
図1に示すように、本発明のデンドリマーを有する逆スタガー構造の有機薄膜スイッチングトランジスタは、ガラスを代表例として挙げることができる電気絶縁性基板1上にゲート電極2が設けられ、このゲート電極2上にゲート絶縁層3を介してドレイン電極4及びソース電極5が形成され、これらを覆うように有機半導体層6が設けられている。なお、ゲート電極2はTaで形成され、ドレイン電極4とソース電極5はAuで形成されている。また、有機半導体層6は合成実施例1−6で合成した式(13)で表されるホール及び電子伝導性を有する構造からなる第3世代デンドリマーとした。
【0154】
かかる有機薄膜スイッチングトランジスタは以下の手順で作製した。まず、ゲート電極2としてTaをマスクを用いて電気絶縁性基板1上に蒸着した後、ゲート電極2の表面を酸化することによりゲート絶縁層3を形成した。次に、ドレイン電極4及びソース電極5としてAuをマスクを用いて蒸着し、その後、有機半導体層6として合成実施例1−6のデンドリマー(式(13))をインクジェット法により塗布した。なお、チャネル長は12μmとした。
【0155】
この有機薄膜スイッチングトランジスタのキャリア移動度をタイムオブフライト法により測定したところ、3cm2V−1s−1であった。また電流一電圧特性評価より得られたオン/オフ電流比はおよそ7桁であった。移動度、オン/オフ電流比の両結果は共に現行のa−Siの性能に匹敵するものであった。
【0156】
この結果を以下の比較例1と比較すると、本発明のデンドリマーを用いることにより、有機薄膜スイッチングトランジスタの性能を飛躍的に向上することが確認された。
【0157】
[比較例1]
有機半導体層にオリゴチオフェンを用いた以外は実施例1と同様にして、有機半導体層にオリゴチオフェンを用いた有機薄膜スイッチングトランジスタを作製した。
【0158】
この有機薄膜スイッチングトランジスタのキャリア移動度は8.5×10−3cm2V−1s−1であり、またオン/オフ電流比はおよそ4桁程度であった。
【0159】
[実施例2] 発光素子
本発明のデンドリマーを有する発光素子を作製した。図2に概略図を示す。
【0160】
図2に示すように、本発明のデンドリマーを有する発光素子は、透明な有機発光素子ガラス基板11に形成された電極12と、電極15との間に、ホール注入層13及びデンドリマー高分子層(ホール輸送、電子輸送、発光)14が設けられている。
【0161】
かかる発光素子は以下の手順で作製した。まず、有機発光素子ガラス基板11に陽極となる電極12としてITO(インジウム錫酸化物)を形成し、ホール注入層13としてポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸ナトリウムの混合物を用いて、スピンコーティング法により室温で成膜を行った。なお、膜厚は50nmとした。また、デンドリマー高分子層(ホール輸送、電子輸送、発光)14として合成実施例1−6のデンドリマー(式(13))のテトラヒドロフラン溶液を用い、スピンコーティング法により室温で成膜を行った。なお、膜厚は50nmとした。そして、アルミニウム/リチウム(9:1)の合金を蒸着し陰極としての電極15を形成して発光素子を作製した。
【0162】
この発光素子に所定の電圧を印加し、駆動させて発光させて、初期輝度を測定したところ、1500cd/m2の輝度を示した。さらに、初期輝度が半減するのに3000時間以上を要した。
【0163】
この結果を以下の比較例2と比較すると、本発明のデンドリマーを用いることにより、特性が飛躍的に向上することが確認された。
【0164】
[比較例2]
発光層としてポリヘキシルチオフェンを用いた以外、実施例2と同様の構造の発光素子を作製した。
【0165】
この発光素子に所定の電圧を印加し、駆動させて発光させ、初期輝度を測定したところ、800cd/m2の輝度を示した。さらに、初期輝度が半減するのに800時間を要した。
【0166】
[実施例3] 有機太陽電池素子
本発明のデンドリマーを有する有機太陽電池素子を作製した。図3に概略図を示す。
【0167】
図3に示すように、本発明のデンドリマーを有する有機太陽電池素子は、透明なガラス基板21上の電極22及と電極24との間に、デンドリマー高分子層23が設けられている。
【0168】
かかる有機太陽電池素子は以下の手順で作製した。まず、ガラス基板21に電極22としてITOを形成し、ホール及び電子伝導性を有する合成実施例1−6のデンドリマー(式(13))のテトラヒドロフラン溶液に銅フタロシアニンを混合した混合液を用いて、スピンコーティング法により室温で成膜を行い、デンドリマー高分子層(ホール輸送、電子輸送、発光)23を形成した。なお、膜厚は50nmとした。そして、銀を蒸着して電極24を形成し、図3に示す有機太陽電池素子を作製した。
【0169】
この太陽電池素子に400nm以下をカットしたタングステンランプ光を照射し、初期エネルギー変換効率を測定したところ、2.3〜3.0%と良好な値が得られた。
【0170】
この結果を以下の比較例3と比較すると、本発明のデンドリマーを用いることにより、特性が飛躍的に向上することが確認された。
【0171】
[比較例3]
図4の概略図に示す構造の有機太陽電池素子を作製した。
【0172】
図4に示すように、比較例3の有機太陽電池素子は、透明なガラス基板101上の電極102と電極106との間に、順に、銅フタロシアニンからなる電荷発生層103、ヘキサアザトリフェニレン誘導体からなる電子伝導層104、及びポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸ナトリウムの混合物からなるホール伝導層105を具備する。
【0173】
この太陽電池素子に400nm以下をカットしたタングステンランプ光を照射し、初期エネルギー変換効率を測定したところ、1.7〜2.0%という値が得られた。
【0174】
[実施例4] 有機整流素子
本発明のデンドリマーを有する有機整流素子を作製した。図5に概略図を示す。
【0175】
図5に示すように、本発明のデンドリマーを有する有機整流素子は、透明なガラス基板31上の電極32及と電極34との間に、デンドリマー高分子層33を有する。
【0176】
かかる有機整流素子は以下の手順で作製した。まず、ガラス基板31に電極32としてITO蒸着膜を形成し、ホール及び電子伝導性を有する合成実施例2のデンドリマー(式(14))のNMP(N−メチルピロリドン)溶液を用いてスピンコーティング法により室温で成膜を行って、デンドリマー高分子層33を形成した。なお、膜厚は50nmとした。そして、Li−Al合金を蒸着して電極34を形成し、図5に示す有機整流素子を作製した。
【0177】
この有機整流素子を、光を遮断して電流−電圧特性を測定した結果を図6に示す。この結果、図6に示すように、―1.3V〜0.3V付近まで絶縁性を示すと共にそれより電圧を上げると金属状態を示し、良好な整流特性が得られた。
【0178】
[比較例4]
実施例4のデンドリマー高分子層33の代わりに、フッ化アンチモンをドーピングさせたポリ3−ヘキシルチオフェンを用いた以外は同様にして比較例4の整流素子を作製した。
【0179】
この有機整流素子を、光を遮断して電流−電圧特性を測定した結果を図7に示す。この結果、図7に示すように、導電性を示すだけで整流特性は得られなかった。
【0180】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、等方性で極めて高いキャリア伝導性を有する有機半導体材料となる新規デンドリマーを提供することができ、また、極めて高いキャリア伝導性を持ち、簡便なプロセスで得られるキャリア伝導を必要とする電子デバイス素子を提供することができる。
【0181】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る有機薄膜スイッチングトランジスタの概略断面図である。
【図2】本発明の実施例2に係る発光素子の概略図である。
【図3】本発明の実施例3に係る有機太陽電池素子の概略図である。
【図4】本発明の比較例3に係る有機太陽電池素子の概略図である。
【図5】本発明の実施例4に係る有機整流素子の概略図である。
【図6】実施例4の有機整流素子の電流−電圧特性を測定した結果を示す図である。
【図7】比較例4の有機整流素子の電流−電圧特性を測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
1…電気絶縁性基板
2…ゲート電極
3…ゲート絶縁層
4…ドレイン電極
5…ソース電極
6…有機半導体層
11…有機発光素子ガラス基板
12,15,22,24,32,34,102,106…電極
13…ホール注入層
14,23…デンドリマー高分子層(ホール輸送、電子輸送、発光)
21,31,101…ガラス基板
103…電荷発生層
104…電子伝導層
105…ホール伝導層
Claims (16)
- 請求項1において、さらに、前記分岐構造の開始点となる前記繰り返し単位のXに、コアとなる中心構造が接続されていることを特徴とするデンドリマー。
- 請求項2において、前記コアは、前記繰り返し単位が2つ以上直接接続する2価以上の基であることを特徴とするデンドリマー。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、さらに、前記分岐構造の末端となる前記繰り返し単位のYに、前記繰り返し単位とは異なる末端構造が接続されていることを特徴とするデンドリマー。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記分岐部Yが、分岐中心として、鎖式炭化水素(脂肪族炭化水素)、環式炭化水素(脂環式化合物及び芳香族化合物)、及び複素環式化合物(芳香族性を持つもの及び芳香族性を持たないもの)から選択される化合物を含むことを特徴とするデンドリマー。
- 請求項7において、前記置換基Zは、置換または非置換の鎖式炭化水素(脂肪族炭化水素)、環式炭化水素(脂環式化合物及び芳香族化合物)、及び複素環式化合物(芳香族性を持つもの及び芳香族性を持たないもの)から選択される1種で構成される基、1種が複数個連続して構成される基又は複数種が連続して構成される基であることを特徴とするデンドリマー。
- 請求項8において、前記置換基Zは、置換または非置換の不飽和脂肪族炭化水素、及び環式若しくは複素環式の芳香族化合物から選択される1種で構成される基、1種が複数個連続して構成される基又は複数種が連続して構成される基であることを特徴とするデンドリマー。
- 請求項1〜11の何れかのデンドリマーを用いたことを特徴とする電子デバイス素子。
- 請求項12において、電荷輸送デバイス素子であることを特徴とする電子デバイス素子。
- 請求項12において、スイッチングトランジスタ素子であることを特徴とする電子デバイス素子。
- 請求項12において、発光デバイス素子であることを特徴とする電子デバイス素子。
- 請求項12において、光電変換デバイス素子であることを特徴とする電子デバイス素子。
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JP4277947B2 (ja) | 2009-06-10 |
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