【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、白色腐朽菌によるポリクロロジクロロジベンゾダイオキシン等のダイオキシン類を無機物に分解する方法や、ダイオキシン類を効率よく無機物に分解する作用を有する新規な白色腐朽菌株に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ダイオキシンによる環境汚染が問題になっている。ダイオキシン類は一般的に毒性が高く、化学的に安定で、分解されにくいばかりではなく、脂溶性が高いため、生体組織中に蓄積しやすいといわれている。そのため、人間活動が生み出した史上最強の毒物と言われ、発癌性、体重減少、胸腺萎縮、皮膚障害、肝障害、催奇形成などの強い毒性をもつとともに、その化学的安定性による環境中での蓄積が懸念されている。また、現在では焼却灰中に混入しているダイオキシン類がそのまま焼却灰の最終処分場に運ばれることにより、ダイオキシン類の環境中への拡散、特に地下水等の汚染、土壌中への蓄積が世界的に深刻な問題となっている。
【0003】
ダイオキシン類は、2個のベンゼン環が1個又は2個の酸素原子によって結び付けられた骨格構造をもつ化合物(ジベンゾフラン又はジベンゾ−p−ダイオキシン)の総称であり、理論的にはそれぞれ135、及び75種類の異性体が存在する(例えば、非特許文献1参照。)。ダイオキシン類の発生源は主に焼却によるものであり、一般廃棄物や産業廃棄物の焼却、金属精錬、石油添加剤(潤滑油)、たばこの煙、回収黒液ボイラー、木材や廃材の焼却、自動車排ガスなどが含まれる。その他、晒クラフトパルプ製造などにおける漂白工程や、PCNB等の農薬製造過程などにおいてもダイオキシン類は発生する。中でも一般廃棄物の焼却によるダイオキシン類の発生は、例えば日本においては年間4000gTEQを超えており、ダイオキシン総排出量の約8割を占めていると見積られている。すでに先進国では焼却炉からの排出濃度が規制されるなど法規制が進みつつあり、装置面でも燃焼効率の改善、排ガス処理の高度化が進められ、効果をあげている。しかし、すでに環境中に排出されたダイオキシン類による土壌汚染、最終処分場で埋め立て処分された焼却灰や飛灰による浸出水のダイオキシン汚染は問題であり、早急にダイオキシン類分解対策を取る必要がある。
【0004】
このような難分解性のダイオキシン類を分解する公知技術として、完全燃焼法(溶融固化処理法)、熱分解処理法(加熱脱塩素化処理法)、ペレット化焼成法、光分解法、各種化学的分解法、及び超臨界水処理法などが報告されている。しかし、汚染土壌中あるいは焼却灰の最終処分場周辺などのダイオキシン処理には、その微量で広範囲に分散しているといった特徴から、前記公知技術の適用は困難であるとされている。また、これら公知技術はエネルギー消費量が大きく、別途の環境問題にも発展し兼ねず、これらの方法に替わる方法として、近年、環境中に放出された汚染物質を除去する手段の一つとしてバイオレメディエーションが注目されている。バイオレメディエーションとは、微生物機能により環境汚染物質を最終的に無害物質にまで変換させて、汚染された環境を修復する技術であり、バイオスティミュレーション(Biostimulation)とバイオアーギュメンテーション(Bioargumentation)の2つに分類される。前者は汚染された環境に存在する微生物に対して栄養塩の添加、エアレーション等により微生物機能の活性を高める手法であり、後者は、浄化機能を有する微生物を汚染された環境中に導入する手法である。そして、微生物によるダイオキシン類の分解は、バクテリアによる好気的分解、嫌気性菌による還元的脱塩素、担子菌による分解の3種類に大別されている。
【0005】
担子菌による分解の中でも、特に白色腐朽菌によるダイオキシン類の分解については、ファネロカエテ・キリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)がジベンゾダイオキシン(DD)(例えば、非特許文献2参照。)、2,7−ジクロロジベンゾ−p−ダイオキシン(2,7−DiCDD)(例えば、非特許文献3参照。)及び2,3,7,8−テトラクロロジベンゾ−p−ダイオキシン(2,3,7,8−tetraCDD)(例えば、非特許文献4参照。)を分解することが報告されている。本発明者らは、P. chrysosporium及びファネロカエテ・ソルディダ(phanerochaete sordida)がポリクロロジベンゾダイオキシンやポリクロロジベンゾパラダイオキシンを分解することを報告している(例えば、非特許文献5参照。)。また、本発明者らは、腐朽木材からダイオキシン類を分解する白色腐朽菌をスクリーニングし、カーク(Kirk)液体培地(HCLN)やポテトデキストロース(PDB)培地で培養することが可能であるMZ−340株(FERM BP−6864)を単離し、このMZ−340株を用いて、焼却灰中のダイオキシン類を分解する新たな系の構築を行い、液相系および固相系の両方において、焼却灰中のダイオキシン類を効果的かつ効率的に分解する技術を開発している(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
国際公開第00/15361号パンフレット
【非特許文献1】
紙パルプ技協誌45(8),p887,1991年
【非特許文献2】
Biochemistry 33,10969−10976.(1994)
【非特許文献3】
J.Bacteriol.174,2131−2137.(1992)
【非特許文献4】
Science 228,1434−1436.(1985)
【非特許文献5】
Appl. Environ. Microbiol. 62, 4323−4328.(1996)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように白色腐朽菌はダイオキシン類の分解に有用であるが、二次汚染を防止し、ダイオキシン類を効率よく二酸化炭素、水、塩素イオン等への変換、即ち完全に無機化する能力を有する微生物は未だ報告されていない。本発明の課題は、白色腐朽菌によるポリクロロジクロロジベンゾダイオキシン等のダイオキシン類を効率よく無機物に分解する方法や、ダイオキシン類を効率よく無機物に分解する作用を有する新規な白色腐朽菌株を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ダイオキシンの分解に有用な白色腐朽菌についての研究を鋭意行っており、ダイオキシンの分解能に優れた微生物菌株を多数分離・同定している。そこで、ダイオキシン類の分解性のみならず、分解生成物の毒性についても十分配慮し、白色腐朽菌136株からDDの分解能の高い白色腐朽菌12株をまず選抜し、選抜された12菌株を用いて、ラジオアイソトープでラベルしたダイオキシン類モデル化合物を処理し、生成する二酸化炭素の放射能を測定し、ダイオキシン分解の二次汚染を防ぐことが可能な従来公知のダイオキシン分解菌よりも高いダイオキシン無機化能を有するMZ−227株等を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、ダイオキシン類に白色腐朽菌MZ−227(FERM BP−8148)、Phlebia lindtneriGB−1027又はPhlebia sp.MG−60(FERM P−18025)を作用させることを特徴とするダイオキシン類を無機物に分解する方法(請求項1)や、ダイオキシン類が、ポリクロロジクロロジベンゾダイオキシンであることを特徴とする請求項1記載のダイオキシン類を無機物に分解する方法(請求項2)や、ポリクロロジクロロジベンゾダイオキシンが、2,7−ジクロロジベンゾ−p−ダイオキシンであることを特徴とする請求項2記載のダイオキシン類を無機物に分解する方法(請求項3)に関する。
【0010】
また本発明は、ダイオキシン類を無機物に分解する作用を有することを特徴とする白色腐朽菌MZ−227(FERM BP−8148)(請求項4)や、ダイオキシン類が、ポリクロロジクロロジベンゾダイオキシンであることを特徴とする請求項4記載の白色腐朽菌MZ−227(FERM BP−8148)(請求項5)や、ポリクロロジクロロジベンゾダイオキシンが、2,7−ジクロロジベンゾ−p−ダイオキシンであることを特徴とする請求項5記載の白色腐朽菌MZ−227(FERM BP−8148)(請求項6)に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のダイオキシン類を無機物に分解する方法としては、ダイオキシン類に白色腐朽菌MZ−227(FERM BP−8148)や、Phlebia lindtneriGB−1027(United States Department of Agriculture, Washington, VA,USA)やPhlebia sp.MG−60(FERM P−18025)を作用させ、ダイオキシン類を二酸化炭素、水、塩素イオン等の無機物に分解する方法であれば特に制限されるものではなく、上記ダイオキシン類としては、2個のベンゼン環が1個又は2個の酸素によって結ばれた骨格構造を有するジベンゾ−p−ダイオキシン(DD)、ジベンゾフラン(DF)、2,7−DiCDD、2,3,7,8−tetraCDD等の塩素化合物や、コプラナーPCBを含むポリ塩化ビフェニル等を例示することができ、これらの中でも、ポリクロロジベンゾ−p−ダイオキシンやポリクロロジベンゾフラン、特に、2,7−DiCDDや2,3,7,8−tetraCDDを好適に例示することができる。
【0012】
また、本発明は白色腐朽菌MZ−227に関し、この新規な白色腐朽菌株MZ−227は、ポリクロロジベンゾ−p−ダイオキシン等のダイオキシン類、特に2,7−DiCDDを二酸化炭素、水、塩素イオン等の無機物に分解する作用を有する。この新規な白色腐朽菌株MZ−227は腐朽木材から単離し、ポテトデキストロース寒天培地や麦芽エキス寒天培地で継体培養が可能で、この菌株は独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託番号FERM BP−8148として寄託されている。
【0013】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1([U−14C]2,7−diCDDの合成)
2,7−diCDDはAccuStandard社から、ジベンゾ−p−ダイオキシン(DD)及びジベンゾフラン(DF)は和光純薬工業株式会社から入手した。[U−14C]2,7−diCDDは、[U−14C]2,4−ジクロロフェノールから、Anilineの方法(Adv. Chem. Ser. 120, 126−135 (1973))を改良することにより調製した。銅(Ulmann)触媒はAnilineの方法に準じて調製した。2,4−ジクロロフェノール(1mmol)を、1.2mlのメタノールを含む0.5Nの水酸化カリウム中に溶解し、減圧下で乾燥した。この乾燥物を0.5mlのbis−エトキシルエチル−エーテル、5μlのエチレンジアセート及び0.5mgのクーパー触媒と混合した。混合物は200℃で15時間還流した。合成された[U−14C]2,7−diCDDを、シリカゲルカラムクロマトグラフィ、逆相高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、メタノールを用いた再結晶化によって精製した。得られた精製物(収率12.9%)が[U−14C]2,7−diCDDであることの同定は、HPLCのスパイクテストにより実施した。また、HPLC/液体シンチレーションカウンター(LSC、Wallac 1410, Wallac社製)により、その純度を98%以上と推定した。なお、Ultima gold EX(Packard Instrument社製)を、シンチレーション混合物として利用した。
【0014】
上記[U−14C]2,7−diCDDの精製は以下のように行った。シリカゲルカラム(3.0gのシリカ・ゲル、1.0cm i.d)クロマトフラフィーにおいては、150mlのn−ヘキサンでカラムより溶出した。HPLCにはWaters 626 pump上でWaters 996フォトダイオードアレイデテクターと共に使用し、内径150×4.6mmのInertsil ODS−3カラム(GLSciences社製)に適合させた。また、DD分析のためのHPLCの溶出については、60%のアセトニトリル(AN)を含む0.1%のTFAを、流速1ml/minで使用した。[U−14C]2,7−diCDDの精製のために、溶出剤をまず80%のアセトニトリル水溶液で、次いで直線勾配的に濃度を80〜100%に増加させたANで10分以上、100%で10分間保持した。
【0015】
実施例2(供試菌類)
19属、60種の68株を大阪醗酵研究所、American Type Culture Collection(アメリカ、ヴァージニア州、マナサス)、財団法人日本きのこセンター・菌蕈研究所(鳥取)とアメリカ合衆国農務省から入手した。Ceriporia sp.MZ−340株、P. sordida株YK−624株、Phlebia sp MG−60株及び未同定の65株を含む68株を、森林から入手した腐朽木材から単離した(Environ. Microbiol.60,4359−4363.(1994)、Environ.Microbiol.60,921−926.(1994))。これらの菌類を、ポテトデキストロース寒天培地又は麦芽エキス寒天斜面培地(Difco社製)上で、培養物として維持した。
【0016】
実施例3(DD分解能による白色腐朽菌のプレスクリーニング)
本実験ではTien、KirkによるLow−nitrogen basal III(LN)培地(Methods Enzymol.161,238−249.(1983))を使用した。培地は1%グルコース、1.2mM酒石酸アンモニウム及び20mM酢酸ナトリウム(pH4.5)を含む。全ての菌類をポテトデキストロース寒天培地又は麦芽エキス寒天培地で25℃又は30℃で培養し、菌糸体の端部に穴を開け、直径6mmのディスクを得た。5つのディスクを10mlのLN培地を含む100mLの三角フラスコに置いた。菌株を30℃の外気のもとで静置培養した。5日間培養した後、25mMのDD溶液を含む40μlのNN−ジメチルホルムアミド(DMF)を、植菌した各フラスコに加え、上部から酸素を噴霧し、それぞれのフラスコをガラス栓とガムテープで密封し、培養をさらに5日間続けた。培養終了後、内部標準(DF)を培養物に加え、液体窒素中で培養物中の菌糸体を粉砕した。アセトン(10mL)を添加し、混合物を均質化した。3000×gで15分間遠心分離し、バイオマスを取り除いた。膜フィルター(0.22μm)による濾過後に、DDの定量を行うため、得られた上澄液をHPLCにより分析した。
【0017】
実施例4(2,7−DiCDDの無機化作用を有する白色腐朽菌のスクリーニング)
インサイチュウ(in situ)での微生物分解研究のための代表的なモデル汚染物質として、[U−14C]2,7−diCDDを使用した。供試菌株の培養は上記の通り行った。5日間の培養後、50μlの5mM[U−14C]2,7−diCDD(DMF溶液)を植菌した各フラスコ(315−kdpm/フラスコ)に加えた。14CO2のトラッピングはKirkらの方法に従い行った(Arch.Microbiol.117,227−285.(1978))。フラスコは3日毎にフラッシュし、10mlのエタノールアミンを含むシンチレーション液(Ultima gold Ex:メタノール:エタノールアミン=5:4:1)内に14CO2をトラップした。LSC上の14C放射能により、トラップされた14CO2を測定した。
【0018】
実施例5(プレスクリーニング結果)
DDの消失を指標とした白色腐朽菌のプレスクリーニングを行った。スクリーニングに用いた供試菌株数は、19属、66種の74株、および未同定の62株であり、これらは、本発明者らの研究室に保管されている。同定されている株はすべてaphylloporales目に属しており、Aleurodiscus属(3種、3株)、Bjerkandera属(1種、1株)、Ceriporia属(5種、6株)、Ceriporiopsis属(4種、4株)、Coriolus属(7種、10株)、Fomitopsis属(1種、2株)、Gloephyllum属(1種、1株)、Hericium属(2種、2株)、Merulius属(1種、1株)、Microporus属(1種、1株)、Nigropurus属(1種、1株)、Oligoporus属(2種、2株)、Phanerochase属(13種、13株)、Phlebia属(16種、19株)、Punctularia属(1種、1株)、Punus(1種、1株)、Pycnoporus属(1種、1株)、Stereum属(4種、4株)およびTyromyces属(1種、1株)であった。本実験条件ではすべての供試菌株のうち27株が成長しなかった。このプレスクリーニングにおけるDD濃度は、前記非特許文献2に記載のP. chrysosporiumにおける場合の4倍の濃度である100μMにしたにもかかわらず、DDの20%以上が4種の属に属する8株および4種の未同定株の計12株により消失したことが観察され(図1)、Aleurodiscus disciformisIFO−6280、Ceriporia sp.MZ−340、Phanerochaele subceraceaTMIC32054、Phlebia lindtneriGB−1027、Phlebia subserialisHHB−9678−Sp、Phlebia subochreceaHHB−8498−Sp、Phlebia tremellosusTMIC30511、Phlebia sp.MG−60、未同定株HS−010、KD−070、MZ−227、およびOK−190を選択し、以下の実験に使用した。なお、前記P. chrysosporium及びP. sordidaにおけるDD消失は20%よりも低かった
【0019】
実施例6(スクリーニング結果)
上記12株(n=4)を[U−14C]2,7−diCDDの存在下それぞれ30日間インキュベーションした。そのときの[U−14C]2,7−diCDDからの14CO2の全放出量を図2に示す。MZ−227菌、Phlebia Sp.MG−60およびP. lindtneriが他の9株に比べて高い累積14CO2放出率を示した。高い累積14CO2放出率を示した上記3株の14CO2放出の時間経過を図3に示す。MZ−227(△)は、培養後6日目に無機化が始まり、9〜18日間の培養期間中に10〜13nmol/日に達した。Phlebia sp.MG−60(□)は、培養後3日目に無機化が始まり、3〜6日後に10〜13nmol/日でピークに達し、その後急速に減少した。P. lindtneri(○)は、培養後3日目に無機化が始まり、3〜18日間の培養期間中に4〜9nmol/日に達した。これらすべての菌において、24日以降無機化は3nmol/日以下に減少した。MZ−227、Phlebia sp. MG−60およびP. lindtneriはそれぞれ30日間の培養期間中に、250nmolの2,7−ジクロロジベンゾ−p−ダイオキシン(2、7−diCDD)を、それぞれ196、155および149nmolの14CO2に変換した。無接種コントロールでは、初回追加後、O2フラッシュがごくわずかの揮発性放射能を示した。白色腐食菌によるダイオキシンの無機化は、Bumpus et al.の非特許文献4に記載されており、彼らは、1.25nmolの2,3,7,8−テトラCDDを含む培養液(10ml)において、30日の培養期間中に、P. chrysosporiumが2,3,7,8−テトラCDDを27.9pmolの14CO2に変換することを報告しているが、それと比べて、白色腐朽菌MZ−227、Phlebia sp.MG−60、及びP. lindtberiは2,7−diCDDのより高い無機化活性を示すことがわかった。
【0020】
【発明の効果】
本発明によると、すでに報告されている白色腐朽菌株よりも高いダイオキシン分解能力及び/又は無機化能力を有する白色腐朽菌株を用いることにより、ダイオキシン類を効率よく二酸化炭素、水、塩素イオン等の無機物質に変換、無毒化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】白色腐朽菌12株によるジベンゾダイオキシンの分解結果を示す図である。
【図2】白色腐朽菌12株による2,7−ジクロロジベンゾ−p−ダイオキシンの無機化作用の結果を示す図である。
【図3】白色腐朽菌3株による2,7−ジクロロジベンゾ−p−ダイオキシンの無機化作用の経時変化を示す図である。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for decomposing dioxins such as polychlorodichlorodibenzodioxin into inorganic substances by a white rot fungus, and a novel white rot strain having an action of efficiently decomposing dioxins into inorganic substances.
[0002]
[Prior art]
In recent years, environmental pollution by dioxins has become a problem. It is said that dioxins are generally highly toxic, chemically stable, not easily decomposed, and have a high fat solubility, and therefore easily accumulate in living tissues. Therefore, it is said to be the strongest poison in history created by human activities, and has strong toxicity such as carcinogenicity, weight loss, thymus atrophy, skin disorder, liver disorder, teratogenesis, and its chemical stability in the environment. Accumulation is a concern. In addition, dioxins that are present in the incineration ash are transported to the final disposal site of the incineration ash, and as a result, the diffusion of dioxins into the environment, especially pollution of groundwater, etc., and accumulation in soil are increasing worldwide. Is a serious problem.
[0003]
Dioxins are a general term for compounds having a skeleton structure in which two benzene rings are linked by one or two oxygen atoms (dibenzofuran or dibenzo-p-dioxin), and are theoretically 135 and 75, respectively. There are various types of isomers (for example, see Non-Patent Document 1). The sources of dioxins are mainly from incineration; incineration of general and industrial waste, metal refining, petroleum additives (lubricating oil), tobacco smoke, black liquor boilers, incineration of wood and waste materials, Includes automobile exhaust gas. In addition, dioxins are also generated in a bleaching process in the production of bleached kraft pulp and the like, and in a process of producing an agricultural chemical such as PCNB. Above all, the generation of dioxins due to the incineration of general waste exceeds 4,000 g TEQ per year in Japan, for example, and is estimated to account for about 80% of total dioxin emissions. Laws and regulations are already advancing in developed countries, such as restrictions on the concentration of emissions from incinerators. Improvements in combustion efficiency and advanced exhaust gas treatment are also being made on the equipment side, and this has been effective. However, soil pollution due to dioxins already discharged into the environment and dioxin contamination of leachate from incinerated ash and fly ash landfilled at final disposal sites are problems, and it is necessary to take immediate measures to decompose dioxins. .
[0004]
Known techniques for decomposing such hard-to-decompose dioxins include a complete combustion method (melt solidification method), a thermal decomposition method (heat dechlorination method), a pelletizing firing method, a photolysis method, and various chemicals. And a supercritical water treatment method are reported. However, it is said that it is difficult to apply the above-mentioned known technology to dioxin treatment in contaminated soil or in the vicinity of a final disposal site of incinerated ash because of its small amount and widespread dispersion. In addition, these known techniques consume a large amount of energy and may lead to a separate environmental problem. As an alternative to these methods, bioreactive materials have recently been used as one of means for removing pollutants released into the environment. Mediation is attracting attention. Bioremediation is a technique for restoring a polluted environment by converting environmental pollutants into harmless substances by microbial functions, and includes biostimulation and bioargumentation. Are classified into two types. The former is a method to increase the activity of microbial functions by adding nutrients to the microorganisms present in the contaminated environment, by aeration, etc., and the latter is a method of introducing microorganisms having a purification function into the contaminated environment. is there. Decomposition of dioxins by microorganisms is roughly classified into three types: aerobic decomposition by bacteria, reductive dechlorination by anaerobic bacteria, and decomposition by basidiomycetes.
[0005]
Among the decomposition by basidiomycetes, particularly for the decomposition of dioxins by white rot fungi, Fanerochaete chrysosporium is dibenzodioxin (DD) (for example, see Non-Patent Document 2) and 2,7-dichlorodibenzo-. p-dioxin (2,7-DiCDD) (for example, see Non-Patent Document 3) and 2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin (2,3,7,8-tetraCDD) (for example, Decomposition is reported. The present inventors have found that P.S. It has been reported that chrysosporium and phanerochaete sordida degrade polychlorodibenzodioxin and polychlorodibenzoparadioxin (for example, see Non-Patent Document 5). In addition, the present inventors screened for white rot fungi that decompose dioxins from decayed wood, and cultivated MZ-340 in Kirk liquid medium (HCLN) or potato dextrose (PDB) medium. Strain (FERM BP-6864) was isolated, and a new system for decomposing dioxins in the incineration ash was constructed using this MZ-340 strain. A technology for effectively and efficiently decomposing dioxins therein has been developed (for example, see Patent Document 1).
[0006]
[Patent Document 1]
WO 00/15361 pamphlet [Non-patent document 1]
Paper and Pulp Technical Journal 45 (8), p887, 1991 [Non-Patent Document 2]
Biochemistry 33, 10969-10976. (1994)
[Non-Patent Document 3]
J. Bacteriol. 174, 2131-2137. (1992)
[Non-patent document 4]
Science 228, 1434-1436. (1985)
[Non-Patent Document 5]
Appl. Environ. Microbiol. 62, 4323-4328. (1996)
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, white rot fungi are useful for decomposing dioxins, but they prevent secondary pollution and efficiently convert dioxins to carbon dioxide, water, chloride ions, etc., that is, have the ability to completely mineralize. No microorganisms have been reported yet. An object of the present invention is to provide a method for efficiently decomposing dioxins such as polychlorodichlorodibenzodioxin by white rot fungi into inorganic substances, and to provide a novel white rot fungus having an action of efficiently decomposing dioxins into inorganic substances. It is in.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors are intensively researching white rot fungi useful for the decomposition of dioxin, and have isolated and identified a large number of microorganism strains having excellent dioxin resolution. Therefore, in consideration of not only the degradability of the dioxins but also the toxicity of the decomposition products, first, 12 white rot fungi having a high DD resolution were selected from 136 white rot fungi, and the 12 selected strains were used. By treating a radioisotope-labeled dioxin model compound, measuring the radioactivity of the generated carbon dioxide, and dioxin mineralization higher than conventionally known dioxin-degrading bacteria capable of preventing secondary contamination of dioxin decomposition MZ-227 strains and the like having an ability were found, and the present invention was completed.
[0009]
That is, the present invention relates to dioxins containing white-rot fungi MZ-227 (FERM BP-8148), Phlebia Lindtneri GB-1027 or Phlebia sp. A method for decomposing dioxins into inorganic substances characterized by the action of MG-60 (FERM P-18025) (claim 1), wherein the dioxins are polychlorodichlorodibenzodioxin. The method for decomposing dioxins into inorganic substances according to claim 1 or claim 2, wherein the polychlorodichlorodibenzodioxin is 2,7-dichlorodibenzo-p-dioxin. The present invention relates to a method for decomposing inorganic substances (claim 3).
[0010]
In the present invention, the white rot fungus MZ-227 (FERM BP-8148) (Claim 4), which has an action of decomposing dioxins into inorganic substances, and the dioxins are polychlorodichlorodibenzodioxins. The white rot fungus MZ-227 (FERM BP-8148) according to claim 4 (claim 5) or the polychlorodichlorodibenzodioxin is 2,7-dichlorodibenzo-p-dioxin. The present invention relates to a white rot fungus MZ-227 (FERM BP-8148) according to claim 5 (claim 6).
[0011]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
As a method for decomposing the dioxins into inorganic substances, the white rot fungus MZ-227 (FERM BP-8148), Phlebia Lindtneri GB-1027 (United States Department of Contract, United States of America, WashAsh, United States of America), and the like. sp. There is no particular limitation as long as MG-60 (FERM P-18025) is allowed to act to decompose dioxins into inorganic substances such as carbon dioxide, water, and chloride ions. Chlorine such as dibenzo-p-dioxin (DD), dibenzofuran (DF), 2,7-DiCDD, 2,3,7,8-tetraCDD having a skeleton structure in which a benzene ring is linked by one or two oxygen atoms Examples thereof include compounds and polychlorinated biphenyls including coplanar PCB. Among these, polychlorodibenzo-p-dioxin and polychlorodibenzofuran, particularly 2,7-DiCDD and 2,3,7,8- TetraCDD can be preferably exemplified.
[0012]
In addition, the present invention relates to a white rot fungus MZ-227. The novel white rot fungus strain MZ-227 is a dioxin such as polychlorodibenzo-p-dioxin, particularly 2,7-DiCDD is converted to carbon dioxide, water, and chloride ion. Has the effect of decomposing into inorganic substances such as This new white rot strain MZ-227 can be isolated from decayed wood and subcultured on potato dextrose agar medium or malt extract agar medium. This strain is deposited at the National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, Patent Organism Depositary. Deposited as FERM BP-8148.
[0013]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described more specifically with reference to examples, but the technical scope of the present invention is not limited to these examples.
Example 1 ([U- 14 C] Synthesis of 2,7-diCDD)
2,7-diCDD was obtained from AccuStandard, and dibenzo-p-dioxin (DD) and dibenzofuran (DF) were obtained from Wako Pure Chemical Industries, Ltd. [U- 14 C] 2,7-diCDD from [U- 14 C] 2,4- dichlorophenol, the method of Aniline (Adv. Chem. Ser. 120, 126-135 (1973)) to improve the Prepared by The copper (Ulmann) catalyst was prepared according to the method of Aniline. 2,4-Dichlorophenol (1 mmol) was dissolved in 0.5 ml of potassium hydroxide containing 1.2 ml of methanol and dried under reduced pressure. This dried product was mixed with 0.5 ml of bis-ethoxyl-ethyl-ether, 5 μl of ethylene diacetate and 0.5 mg of Cooper's catalyst. The mixture was refluxed at 200 ° C. for 15 hours. The synthesized [U- 14 C] 2,7-diCDD , silica gel column chromatography, reverse-phase high performance liquid chromatography (HPLC), was purified by recrystallization with methanol. The resulting purified product (12.9% yield) of [U- 14 C] Identification of being 2,7-diCDD was performed by spiking test HPLC. In addition, the purity was estimated to be 98% or more by HPLC / liquid scintillation counter (LSC, Wallac 1410, manufactured by Wallac). In addition, Ultima gold EX (manufactured by Packard Instrument) was used as a scintillation mixture.
[0014]
The [U- 14 C] Purification of 2,7-diCDD was carried out as follows. In a silica gel column (3.0 g silica gel, 1.0 cm id) chromatography, the column was eluted with 150 ml of n-hexane. The HPLC was used on a Waters 626 pump with a Waters 996 photodiode array detector and adapted to an Inertsil ODS-3 column (GL Sciences) with an inner diameter of 150 x 4.6 mm. In addition, for elution by HPLC for DD analysis, 0.1% TFA containing 60% acetonitrile (AN) was used at a flow rate of 1 ml / min. [U- 14 C] for purification of 2,7-diCDD, first with 80% aqueous acetonitrile eluent, then a linear gradient to at AN increasing concentrations 80-100% 10 minutes or more, 100 % For 10 minutes.
[0015]
Example 2 (test fungi)
68 strains of 19 genera and 60 species were obtained from Osaka Fermentation Research Institute, American Type Culture Collection (Manassas, Virginia, USA), Japan Mushroom Center and Fungus Research Institute (Tottori) and the United States Department of Agriculture. Ceriporia sp. MZ-340 strain; 68 strains, including Sordida strain YK-624, Phlebia sp MG-60 and 65 unidentified strains, were isolated from decaying wood obtained from forests (Environ. Microbiol. 60, 4359-4363. (1994), Environ. Microbiol. 60, 921-926. (1994)). These fungi were maintained as cultures on potato dextrose agar or malt extract agar slant (Difco).
[0016]
Example 3 (Pre-screening of white rot fungi by DD resolution)
In this experiment, a Low-nitrogen basal III (LN) medium by Tien and Kirk (Methods Enzymol. 161, 238-249. (1983)) was used. The medium contains 1% glucose, 1.2 mM ammonium tartrate and 20 mM sodium acetate (pH 4.5). All the fungi were cultured at 25 ° C. or 30 ° C. on a potato dextrose agar medium or a malt extract agar medium, and a hole was made at an end of the mycelium to obtain a disk having a diameter of 6 mm. Five disks were placed in a 100 mL Erlenmeyer flask containing 10 ml of LN medium. The strain was statically cultured at 30 ° C. in the open air. After culturing for 5 days, 40 μl of NN-dimethylformamide (DMF) containing a 25 mM DD solution was added to each inoculated flask, oxygen was sprayed from the top, and each flask was sealed with a glass stopper and gum tape. Culture was continued for another 5 days. After completion of the culture, an internal standard (DF) was added to the culture, and the mycelium in the culture was pulverized in liquid nitrogen. Acetone (10 mL) was added and the mixture was homogenized. Centrifugation was performed at 3000 × g for 15 minutes to remove biomass. After filtration through a membrane filter (0.22 μm), the obtained supernatant was analyzed by HPLC in order to quantify DD.
[0017]
Example 4 (Screening of white rot fungi having a 2,7-DiCDD mineralization effect)
As a typical model pollutants for microbial degradation studies of in situ (in situ), was used [U- 14 C] 2,7-diCDD . The test strain was cultured as described above. After 5 days of culture was added to 5mM of 50μl [U- 14 C] 2,7- diCDD each flask was inoculated with (DMF solution) (315-kdpm / flask). Trapping of 14 CO 2 was performed according to the method of Kirk et al. (Arch. Microbiol. 117, 227-285. (1978)). The flask was flushed every three days and 14 CO 2 was trapped in a scintillation solution containing 10 ml of ethanolamine (Ultima gold Ex: methanol: ethanolamine = 5: 4: 1). The trapped 14 CO 2 was measured by 14 C activity on the LSC.
[0018]
Example 5 (prescreening result)
Pre-screening of white rot fungi was performed using the disappearance of DD as an index. The number of test strains used in the screening was 19 genera, 66 strains of 74 strains, and 62 unidentified strains, which are stored in the laboratory of the present inventors. All of the identified strains belong to the order aphylloporales, and include the genera Aleurodicus (3 species, 3 strains), the genus Bjerkandera (1 species, 1 strain), the genus Ceriporia (5 species, 6 strains), and the genus Ceriporiopsis (4 species, (4 strains), Coriolus (7 species, 10 strains), Fomitopsis (1 species, 2 strains), Glophyllum (1 species, 1 strain), Hericium (2 species, 2 strains), Merulius (1 species, 1 strain) 1), Microporus (1 species, 1 strain), Nigropurus (1 species, 1 strain), Oligoporus (2 species, 2 strains), Phanerochase (13 species, 13 strains), Phlebia (16 species, 1 strain) 19 strains), Punctaria spp. (1 species, 1 strain), Punus (1 species, Ltd.), Pycnoporus genera (one per share), Stereum sp (4, 4 strains) and Tyromyces spp (one was 1 strain). Under these experimental conditions, 27 strains out of all the test strains did not grow. The DD concentration in this prescreening is determined by the P.C. Despite the concentration being 100 μM, which is four times the concentration in Chrysosporium, it was observed that more than 20% of DD was eliminated by a total of 12 strains of 8 strains belonging to 4 genera and 4 unidentified strains. (FIG. 1), Aleurodiscus disciformis IFO-6280, Ceriporia sp. MZ-340; MG-60, unidentified strains HS-010, KD-070, MZ-227, and OK-190 were selected and used in the following experiments. It should be noted that the above P.E. chrysosporium and P.C. DD loss in sorida was less than 20%.
Example 6 (Screening result)
The 12 strain (n = 4) [U- 14 C] was the presence of incubation each 30 days of 2,7-diCDD. FIG. 2 shows the total amount of 14 CO 2 released from [U- 14 C] 2,7-diCDD at that time. MZ-227, Phlebia Sp. MG-60 and P.I. Lindtneri showed a higher cumulative 14 CO 2 release rate than the other nine strains. FIG. 3 shows the time course of the 14 CO 2 release of the three strains showing a high cumulative 14 CO 2 release rate. MZ-227 (△) began to mineralize 6 days after culture and reached 10-13 nmol / day during the 9-18 day culture period. Phlebia sp. MG-60 (□) began to mineralize on the third day after culture, peaked at 10 to 13 nmol / day after 3 to 6 days, and rapidly decreased thereafter. P. Lindtneri (○) began to mineralize 3 days after culture and reached 4-9 nmol / day during the 3-18 day culture period. In all these bacteria, mineralization decreased to less than 3 nmol / day after 24 days. MZ-227, Phlebia sp. MG-60 and P.I. Lindtnerii converted 250 nmol of 2,7-dichlorodibenzo-p-dioxin (2,7-diCDD) to 196, 155 and 149 nmol of 14 CO 2 respectively during the 30-day culture period. In the no-inoculation control, after the initial addition, O 2 flash showed very little of the volatile radioactivity. Dioxin mineralization by white caustic bacteria is described in Bumpus et al. In a culture medium (10 ml) containing 1.25 nmol of 2,3,7,8-tetra-CDD during a 30-day culture period. chrysosporium reports the conversion of 2,3,7,8-tetra CDD to 27.9 pmol of 14 CO 2 , compared to white rot fungi MZ-227, Phlebia sp. MG-60, and P.I. It was found that Lindtberi showed higher mineralization activity of 2,7-diCDD.
[0020]
【The invention's effect】
According to the present invention, dioxins can be efficiently converted into inorganic substances such as carbon dioxide, water, and chloride ions by using a white rot strain having higher dioxin decomposition ability and / or mineralization ability than previously reported white rot strains. It can be converted into a substance and detoxified.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a view showing the results of decomposition of dibenzodioxin by 12 white-rot fungi.
FIG. 2 is a graph showing the results of mineralization of 2,7-dichlorodibenzo-p-dioxin by 12 white-rot fungi.
FIG. 3 is a graph showing the time course of the mineralization of 2,7-dichlorodibenzo-p-dioxin by three white-rot fungi.