JP2004088410A - パケット通信方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】階層化モバイルIPを用いたパケット通信において、パケット損失量を低減すること。
【解決手段】MN100は、CN400との間で送受信するトラヒック量(パケット量)を測定する。MN100がMAP300−1の配下からMAP300−2の配下に移動した場合、測定トラヒック量があらかじめ設定されたしきい値以上のときは、結合更新メッセージ120を移動前のMAP300−1に一旦送信して、CN400からMAP300−1までの経路は変更せずに、MAP300−1までの経路だけを変更することで、パケット損失量を抑制する。その後、測定トラヒック量がしきい値よりも小さくなった時点で、結合更新メッセージ130をCN400に送信して、MN100とCN400間の経路を変更することで、結合更新メッセージがCN400に届くまでの間に生じるパケット損失を低減する。
【選択図】 図1
【解決手段】MN100は、CN400との間で送受信するトラヒック量(パケット量)を測定する。MN100がMAP300−1の配下からMAP300−2の配下に移動した場合、測定トラヒック量があらかじめ設定されたしきい値以上のときは、結合更新メッセージ120を移動前のMAP300−1に一旦送信して、CN400からMAP300−1までの経路は変更せずに、MAP300−1までの経路だけを変更することで、パケット損失量を抑制する。その後、測定トラヒック量がしきい値よりも小さくなった時点で、結合更新メッセージ130をCN400に送信して、MN100とCN400間の経路を変更することで、結合更新メッセージがCN400に届くまでの間に生じるパケット損失を低減する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パケット通信方法、特に、ネットワーク内を自由に移動できる移動端末と、固定通信ネットワークまたは移動通信ネットワークに接続された別の移動端末との間における、階層化モバイルIP技術を用いたパケット通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、モバイルIPに関して標準化作業を進めているIETF(Internet Engineering Task Force)によるdraft−ietf−mobileip−hmipv6−05.txtに開示された階層化モバイルIPv6(Internet Protocol version 6)技術を用いた移動通信システムの構成の一例を示す図である。
【0003】
この移動通信システムは、図5に示すように、移動端末(MN:Mobile Node)10と、無線アクセス機能を持つルータ装置(AR:Access Router)20−1,20−2,20−3,20−4と、階層化のための第1階層の位置管理を行うノードであるモビリティアンカーポイント(MAP:Mobility Anchor Point)30−1,30−2と、MN10の通信相手となる端末(CN:Correspondent Node)40と、モバイルIPにおけるMN10のホームエージェント(HA:Home Agent)50と、インターネットプロトコル(IP)を用いてパケットを転送するIPネットワーク60とを有する。ここで、MAP30−1,30−2は、MN10が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段を、HA50は、MN10が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段をそれぞれ構成している。なお、以下では、任意のルータ装置(AR)を「20」で、任意のモビリティアンカーポイント(MAP)を「30」でそれぞれ表わす。
【0004】
図6は、図5に示すMN10の機能/構成の一例を示すブロック図である。
【0005】
図6に示すように、MN10は、パケット受信部12、結合更新メッセージ(BU:Binding Update)送信部14、アプリケーション部16、およびパケット送信部18を有する。パケット受信部12は、IPv6プロトコル処理を行い、無線区間を通ってMN10に届くパケットの受信を行う。結合更新メッセージ送信部14は、AR20からエージェント広告メッセージを受信したときに結合更新メッセージを送信する。アプリケーション部16は、ユーザパケットを送受してTCP(Transmission Control Protocol)などの処理を行うアプリケーション層である。パケット送信部18は、IPv6プロトコル処理を行い、IPパケットを送信する。
【0006】
ここで、モバイルIPv6と階層化モバイルIPv6の概要について、図5を用いて説明する。なお、モバイルIPv6は、図5に示す構成からMAP30−1,30−2を削除したものに相当する。
【0007】
モバイルIPv6では、MN10とCN40の間でパケット通信を行う場合、CN40からMN10のホームアドレス宛に送信されたパケットは、一旦、HA50において受信され、HA50からMN10に転送される。この場合、パケットは、HA50を頂点とする三角経路で転送されるため、冗長な経路を経由するという問題がある。この問題を解決するために、モバイルIPv6では、MN10は、CN40からパケットを受信した場合、MN10が現在利用している気付アドレスを結合更新メッセージにより直接CN40に通知する。CN40は、それ以降、MN10から通知された気付アドレス宛にパケットを転送する。これにより、CN40からのパケットは、HA50を経由せずに、CN40からMN10に直接転送される。しかしながら、MN10は、AR間を移動(たとえば、AR20−1からAR20−2に移動)すると、従属するARが変わるため、新しい気付アドレスを結合更新メッセージによりCN40に通知する必要がある。このため、結合更新メッセージがCN40に届くまではAR20−1にパケットが送信され続けるため、パケット損失が発生する。
【0008】
これに対し、階層化モバイルIPでは、同一MAPの配下内での移動(たとえば、AR20−1からAR20−2への移動)において、MN10は、結合更新メッセージ71を、MN10からのホップ数(ネットワーク内で経由するルータの数)がCN40よりも少ないMAP30−1に対して送信するだけでよいため、MN10からCN40に結合更新メッセージを送信する場合に比べて位置登録の更新にかかる時間が短くなり、パケット損失を低減することができる。しかしながら、MAP間移動(たとえば、AR20−2からAR20−3への移動)においては、上記したモバイルIPv6の場合と同様に、MN10は結合更新メッセージ72をCN40に送信する必要があるため、パケット損失が発生する。
【0009】
次いで、上記構成を有する移動通信システムにおいて、階層化モバイルIPを用いてパケット通信を行う場合の通信手順について、図7に示すシーケンス図を用いて説明する。なお、ここでは、基本モード(Basic mode)で動作させた場合の手順について説明するが、実際には拡張モード(Extended Mode)で動作させてもよい。
【0010】
ここで、基本モードとは、MNがローカル気付アドレス(LCoA:Local Care−of−Address)だけでなくリージョナル気付アドレス(RCoA:Regional Care−of−Address)をも生成し、結合更新メッセージにおいてRCoAおよびLCoAを通知するモードである。また、拡張モードとは、RCoAとしてMAPのアドレスそのものを用い、結合更新メッセージにおいてLCoAおよびMNのホームアドレスを通知するモードである。また、RCoAは、MNが属するMAPを識別するためのアドレスであり、LCoAは、MNが属するARとARが構成するサブネット内での接続位置を識別するためのアドレスである。
【0011】
まず、MN10が同一MAP30の配下内で移動(たとえば、AR20−1の配下からAR20−2の配下に移動)した場合の通信手順について説明する。
【0012】
AR20−2の配下に移動したMN10は、AR20−2からエージェント広告メッセージを受信する(S81)。エージェント広告メッセージには、AR20−2のIPアドレスならびにこのIPアドレスのプレフィックス長およびプレフィックス値、ならびに、AR20−2の上位のMAP30−1のIPアドレスならびにこのIPアドレスのプレフィックス長およびプレフィックス値が設定されている。
【0013】
そして、MN10は、AR20−2からエージェント広告メッセージを受信すると、受信したエージェント広告メッセージに含まれるAR20−2のIPアドレスならびにこのIPアドレスのプレフィックス長およびプレフィックス値から、MAP30−1の配下にあるAR20−2の配下で使用するローカル気付アドレス(LCoA2)およびリージョナル気付アドレス(RCoA2)を生成する(S82)。
【0014】
そして、MN10は、生成した2つの気付アドレスRCoA2とLCoA2を結合更新メッセージによりMAP30−1に通知する(S83)。これにより、MAP30−1はMN10が属するARを識別することが可能になるため、MAP30−1を介した通信が可能になる。
【0015】
そして、CN40は、MN10に対してパケット(たとえば、WebへのHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)要求)を送信する場合、ディスティネーションアドレス(Dest)にRCoA2を、ソースアドレス(Src)にCN40をそれぞれ設定してパケットを送信する(S84)。このパケットは、MAP30−1において、Dest=LCoA2、Src=RCoA2のパケットにカプセル化されてMN10に送信される(S85)。
【0016】
次に、MN10がMAP間を移動(たとえば、MAP30−1配下のAR20−2からMAP30−2配下のAR20−3に移動)した場合の通信手順について説明する。
【0017】
MN10は、AR20−3への移動(S86)後、AR20−3からエージェント広告メッセージを受信し(S87)、AR20−3およびMAP30−2の配下で使用する2つの気付アドレスLCoA3とRCoA3を生成する(S88)。
【0018】
そして、MN10は、生成した2つの気付アドレスRCoA3とLCoA3を、結合更新メッセージによりMAP30−2に通知するとともに(S89)、他の結合更新メッセージによりCN40に通知する(S90)。これにより、MAP30−2はMN10が属するARを識別することが可能になり、かつ、CN40はMN10が属するMAPを識別することが可能な状態になるため、CN40とMN10の間でMAP30−2を介した通信が可能になる。なお、MN10は、結合更新メッセージをHA50にも送信するが、図7では省略している。
【0019】
そして、CN40は、MN10に対してパケットを送信する場合、ディスティネーションアドレス(Dest)にRCoA3を、ソースアドレス(Src)にCN40をそれぞれ設定してパケットを送信する(S91)。このパケットは、MAP30−2において、Dest=LCoA3、Src=RCoA3のパケットにカプセル化されてMN10に送信される(S92)。
【0020】
このように、パケット通信に従来の階層化モバイルIPを適用した場合でも、同一MAP配下のAR間(たとえば、AR20−1からAR20−2へ)の移動においては、そのMAPだけに結合更新メッセージを送信することにより、MNが移動してから結合更新を行うまでの所要時間を短縮できるため、パケット損失を低減することができる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の階層化モバイルIPにおいては、図7に示すように、MN10が同一MAPの配下内を移動した場合には、MN10は、結合更新メッセージを、MN10からのホップ数が少ない場所に位置するMAP30−1に送信するだけでよいため、パケット損失を低減することができるものの、MN10がMAP間を移動(たとえば、AR20−2からAR20−3に移動)した場合には(S86)、MN10は、結合更新メッセージを、MAP30−2のほかに(S89)、MN10からのホップ数が多い場所に位置するCN40およびHA50にも送信して(S90)位置登録を行う必要がある。したがって、この場合、CN40は、結合更新メッセージを受信するまでは、MN10宛てのパケットを移動前のMAP30−1にルーティングするため、MN10とCN40の間のホップ数が多い場合、MN10でのパケット損失が増大するという問題がある。
【0022】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、階層化モバイルIPを用いたパケット通信において、パケット損失量を低減することができるパケット通信方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明のパケット通信方法は、移動端末が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段と、移動端末が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段とを有する階層化モバイルIPを用いた移動通信ネットワークにおけるパケット通信方法であって、移動端末が通信相手との間で送受信するパケットの量を測定する測定ステップと、移動端末が別のサブネットに移動した場合、前記測定ステップで測定したパケット量を所定値と比較する比較ステップと、前記比較ステップでの比較結果として測定パケット量が所定値以上の場合は、移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段に対して、移動端末が属する現在のサブネットの情報を通知し、測定パケット量が所定値以下の場合は、移動後のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段、通信相手、および第2階層の位置管理手段に対して、移動端末が属する現在のサブネットの情報を通知する転送制御ステップと、を有するようにした。
【0024】
この方法によれば、移動端末が通信相手との間で送受信するパケットの量を測定し、移動端末がある第1階層の位置管理手段(たとえば、図1のMAP300−1)に接続されているサブネットから別の第1階層の位置管理手段(たとえば、図1のMAP300−2)に接続されているサブネットに移動した場合において、測定パケット量が所定値以上の場合は、移動端末からのホップ数が小さい移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段(図1のMAP300−1)に対して、移動端末が属する現在のサブネットの情報を通知することで、パケットを通信相手から移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段および移動端末の経路で転送して、パケット損失を最低限に抑えて通信を継続し、その後、測定パケット量が所定値以下になった時点で、移動後のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段(図1のMAP300−2)のほかに、移動端末からのホップ数が大きい通信相手および第2階層の位置管理手段(たとえば、図1のHA500)に対して、移動端末が属する現在のサブネットの情報を通知することで、パケットを通信相手から、移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段(図1のMAP300−1)を経由せずに、移動後のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段(図1のMAP300−2)および移動端末の経路で転送するため、移動端末が第1階層の位置管理手段の間を移動した場合において、結合更新メッセージが当該移動端末から通信相手に届くまでの間に生じるパケット損失を低減することができ、階層化モバイルIPを用いたパケット通信において、移動端末が第1階層の位置管理手段の間を移動したときのパケット損失量を低減することができる。
【0025】
本発明の移動端末は、移動端末が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段と、移動端末が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段とを有する階層化モバイルIPを用いた移動通信ネットワークに用いられる移動端末であって、通信相手との間で送受信するパケットの量を測定する測定手段と、別のサブネットに移動した場合、前記測定手段によって測定されたパケット量を所定値と比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果として測定パケット量が所定値以上の場合は、移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段に対して、自己が属する現在のサブネットの情報を通知し、測定パケット量が所定値以下の場合は、移動後のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段、通信相手、および第2階層の位置管理手段に対して、自己が属する現在のサブネットの情報を通知する転送制御手段と、を有する構成を採る。
【0026】
この構成によれば、上記のパケット通信方法を実現するための移動端末を提供することができる。
【0027】
本発明の移動通信システムは、移動端末が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段と、移動端末が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段と、上記に記載の移動端末とを有する構成を採る。
【0028】
この構成によれば、上記のパケット通信方法を実現するための移動通信システムを提供することができる。
【0029】
本発明のパケット通信プログラムは、移動端末が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段と、移動端末が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段とを有する階層化モバイルIPを用いた移動通信ネットワークに用いられる移動端末におけるパケット通信プログラムであって、コンピュータに、通信相手との間で送受信するパケットの量を測定する測定ステップと、別のサブネットに移動した場合、前記測定ステップで測定したパケット量を所定値と比較する比較ステップと、前記比較ステップでの比較結果として測定パケット量が所定値以上の場合は、移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段に対して、自己が属する現在のサブネットの情報を通知し、測定パケット量が所定値以下の場合は、移動後のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段、通信相手、および第2階層の位置管理手段に対して、自己が属する現在のサブネットの情報を通知する転送制御ステップと、を実行させるようにしたものである。
【0030】
このプログラムによれば、上記のパケット通信方法を実現するための移動端末におけるパケット通信プログラムを提供することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、階層化モバイルIPを用いたパケット通信において、トラヒック量(パケット量)が少ないときにのみCN(通信相手の端末)およびHA(ホームエージェント)への位置登録を行うことで、パケット損失量を低減することである。
【0032】
すなわち、階層化モバイルIP技術では、移動端末(MN)が第1階層の位置管理手段であるモビリティアンカーポイント(MAP)間を移動する場合、MNは、移動後のMAP、CN、およびHAに結合更新メッセージ(BU)を送信して、位置登録を行う必要があるが、CNは、結合更新メッセージを受信するまではMN宛てのパケットを移動前のMAPに送信するため、MNは、このパケットを受信することができず、パケット損失が発生する。特に、CNがMNからのホップ数が多いネットワークに位置する場合は、結合更新メッセージがMNからCNに届くまでの遅延時間が大きく、CNが移動前のMAPに送信するパケット量が増大するため、MNでのパケット損失量が増大するという問題がある。
【0033】
そこで、本発明では、MNがCNとの間で送受信するトラヒック量(パケット量)を測定し、MNが別のMAPの配下へ移動した場合において、測定トラヒック量があらかじめ設定されたしきい値(所定値)以上のときは、結合更新メッセージを移動前のMAPに一旦送信して、CNから移動前のMAPまでの経路は変更せずに、MNからのホップ数が小さい場所に位置する移動前のMAPまでの経路だけを変更することで、パケット損失量を抑制する。その後、測定トラヒック量がしきい値よりも小さくなった時点で、従来と同様に、結合更新メッセージをCNに送信して、MNとCN間の経路を変更することで、結合更新メッセージがMNからのホップ数が大きい場所に位置するCNに届くまでの間に生じるパケット損失を低減する。
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明の一実施の形態に係るパケット通信方法を適用した移動通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
この移動通信システムは、図1に示すように、本発明のパケット通信方法を適用した移動端末(MN)100と、無線アクセス機能を持つルータ装置(AR)200−1,200−2,200−3,200−4と、階層化のための第1階層の位置管理を行うノードであるモビリティアンカーポイント(MAP)300−1,300−2と、MN100の通信相手となる端末(CN)400と、モバイルIPにおけるMN100のホームエージェント(HA)500と、インターネットプロトコル(IP)を用いてパケットを転送するIPネットワーク600とを有する。ここで、MAP300−1,300−2は、MN100が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段を、HA500は、MN100が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段をそれぞれ構成している。なお、以下では、任意のルータ装置(AR)を「200」で、任意のモビリティアンカーポイント(MAP)を「300」でそれぞれ表わす。
【0037】
図2は、図1に示すMN100の機能/構成の一例を示すブロック図である。
【0038】
図2に示すように、MN100は、パケット受信部102、パケット量測定部104、結合更新メッセージ(BU)送信部106、アプリケーション部108、およびパケット送信部110を有する。
【0039】
パケット受信部102は、IPv6プロトコル処理を行い、無線区間を通ってMN100に届くパケットを受信する。受信されたパケットは、パケット量測定部104に送られる。また、パケット受信部102は、AR200からのエージェント広告メッセージを受信する。受信されたエージェント広告メッセージは、結合更新メッセージ送信部106に送られる。
【0040】
パケット量測定部104は、パケット受信部102によって受信されたパケットの量を測定し、測定したパケット量があらかじめ設定されたしきい値(所定値)以上か否かを判定する。この判定の結果は、測定結果として結合更新メッセージ送信部106に通知される。なお、測定したパケット量がしきい値以上か否かを判定する機能は、パケット量測定部104に代えて、結合更新メッセージ送信部106に設けるようにしてもよい。
【0041】
結合更新メッセージ送信部106は、パケット受信部102から受け取ったエージェント広告メッセージおよびパケット量測定部104から受け取った測定結果を用いて結合更新メッセージを送信する。この結合更新メッセージ送信部106の動作については、後で詳述する。
【0042】
アプリケーション部108は、ユーザパケットを送受してTCPなどの処理を行うアプリケーション層である。また、パケット送信部110は、IPv6プロトコル処理を行い、IPパケットを送信する。
【0043】
なお、MN100のハードウエア構成は、任意であって、特に限定されない。たとえば、MN100は、CPUや記憶装置(ROM、RAM、ハードディスクその他各種記憶媒体)を備えたコンピュータによって実現される。このようにMN100がコンピュータによって実現される場合、MN100は、このMN100の動作を記述したプログラムをCPUが実行することによって所定の動作を行う。
【0044】
図3は、図2に示す結合更新メッセージ送信部106の動作の一例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、ステップS1000では、パケット受信部102からエージェント広告メッセージを受け取ったか否か、つまり、MN100がエージェント広告メッセージを受信したか否かを判断する。この判断の結果としてエージェント広告メッセージを受信していない場合は(S1000:NO)、待機し、エージェント広告メッセージを受信した場合は(S1000:YES)、ステップS1100に進む。
【0046】
ステップS1100では、ステップS1000で受信したエージェント広告メッセージを用いて、MN100が別のMAP300の配下に移動したか否かを判断する。この判断の結果として別のMAP300の配下に移動していない場合は(S1100:NO)、ステップS1200に進み、別のMAP300の配下に移動した場合は(S1100:YES)、ステップS1300に進む。
【0047】
ステップS1200では、MN100が別のMAP300の配下に移動していないため、MN100が現在属するMAP300に結合更新メッセージを送信し、ステップS1000に戻る。
【0048】
一方、ステップS1300では、MN100が別のMAP300の配下に移動したため、さらに、パケット量測定部104から受け取った測定結果として測定パケット量がしきい値以上か否かを判断する。この判断の結果として測定パケット量がしきい値以上の場合は(S1300:YES)、ステップS1400に進み、測定パケット量がしきい値未満の場合は(S1300:NO)、ステップS1500に進む。
【0049】
ステップS1400では、測定パケット量がしきい値以上であるため、つまり、トラヒック量が多いため、移動前のMAP300にのみ結合更新メッセージを送信し、ステップS1300に戻る。
【0050】
一方、ステップS1500では、測定パケット量がしきい値未満であるため、つまり、トラヒック量が少ないため、CN400、HA500、および移動後のMAP300に結合更新メッセージを送信し、ステップS1000に戻る。
【0051】
次いで、上記構成を有する移動通信システムにおいて、階層化モバイルIPを用いてパケット通信を行う場合の通信手順について、図4に示すシーケンス図を用いて説明する。なお、ここでは、基本モードで動作させた場合の手順について説明するが、実際には拡張モードで動作させてもよい。
【0052】
ここで、MN100は、図4には示していないが、通信中に送受信するパケットの量を常にパケット量測定部104で測定している。
【0053】
まず、MN100が同一MAP300の配下内で移動(たとえば、AR200−1の配下からAR200−2の配下に移動)した場合の通信手順について説明する。
【0054】
AR200−2の配下に移動したMN100は、AR200−2からエージェント広告メッセージを受信する(S2001)。エージェント広告メッセージには、AR200−2のIPアドレスならびにこのIPアドレスのプレフィックス長およびプレフィックス値、ならびに、AR200−2の上位のMAP300−1のIPアドレスならびにこのIPアドレスのプレフィックス長およびプレフィックス値が設定されている。
【0055】
そして、MN100は、AR200−2からエージェント広告メッセージを受信すると、受信したエージェント広告メッセージに含まれるAR200−2のIPアドレスならびにこのIPアドレスのプレフィックス長およびプレフィックス値から、MAP300−1の配下にあるAR200−2の配下で使用するローカル気付アドレス(LCoA102)およびリージョナル気付アドレス(RCoA102)を生成する(S2002)。
【0056】
そして、MN100は、生成した2つの気付アドレスRCoA102とLCoA102を結合更新メッセージによりMAP300−1に通知する(S2003)。これにより、MAP300−1はMN100が属するARを識別することが可能になるため、MAP300−1を介した通信が可能になる。
【0057】
そして、CN400は、MN100に対してパケット(たとえば、WebへのHTTP要求)を送信する場合、ディスティネーションアドレス(Dest)にRCoA102を、ソースアドレス(Src)にCN400をそれぞれ設定してパケットを送信する(S2004)。このパケットは、MAP300−1において、Dest=LCoA102、Src=RCoA102のパケットにカプセル化され、図1に示す経路115でMN100に送信される(S2005)。
【0058】
なお、以上の手順は、従来の手順(図7に示すS81からS85の手順参照)と同様である。
【0059】
次に、MN100がMAP間を移動(たとえば、MAP300−1配下のAR200−2からMAP300−2配下のAR200−3に移動)した場合の通信手順について説明する。
【0060】
MN100は、AR200−3への移動(S2006)後、AR200−3からエージェント広告メッセージを受信し(S2007)、AR200−3およびMAP300−2の配下で使用する2つの気付アドレスLCoA103とRCoA103を生成する(S2008)。
【0061】
そして、MN100は、パケット量測定部104で測定したパケット量を所定のしきい値と比較して、トラヒック量の判定を行う(S2009)。
【0062】
このトラヒック量判定結果として測定パケット量がしきい値以上の場合、つまり、トラヒック量が多い場合は、従来の手順と異なり、MN100は、LCoA103とRCoA102を、結合更新メッセージ120により、MN100からのホップ数が少ない移動前のMAP300−1にのみ通知する(S2010)(図1参照)。これにより、MN100がMAP300−1の配下からMAP300−2の配下に移動した後も、CN400からのMN100宛パケットの宛先アドレスはRCoA102のままで変わらないため、CN400からのMN100宛パケットは、図1に示す経路121でMAP300−1を経由し、このMAP300−1においてカプセル化され、図1に示す経路122でMN100に送信される。
【0063】
すなわち、このとき、CN400は、MN100に対してパケットを送信する場合、ディスティネーションアドレス(Dest)にRCoA102を、ソースアドレス(Src)にCN400をそれぞれ設定して、図1の経路121でパケットを送信する(S2011)。このパケットは、MAP300−1において、Dest=LCoA103、Src=RCoA102のパケットにカプセル化されて、図1の経路122でMN100に送信される(S2012)。
【0064】
一方、トラヒック量判定結果として測定パケット量がしきい値未満の場合、つまり、トラヒック量が少ない場合は、従来の手順と同様に、MN100は、MAP300−2の配下において本来使用すべき気付アドレス、つまり、S1008で生成した2つの2つの気付アドレスLCoA103とRCoA103を、結合更新メッセージにより移動後のMAP300−2に通知するとともに(S2013)、他の結合更新メッセージ130によりCN400にも通知する(S2014)(図1参照)。なお、MN100は、結合更新メッセージをHA500にも送信するが、図4では省略している。
【0065】
そして、結合更新メッセージ130を受信したCN400は、MN100に対してパケットを送信する場合、MN100宛パケットの宛先アドレスをRCoA103と設定して、つまり、ディスティネーションアドレス(Dest)にRCoA103を、ソースアドレス(Src)にCN400をそれぞれ設定してパケットを送信する(S2015)。このパケットは、図1に示す経路131により、MAP300−2を経由し、このMAP300−2においてDest=LCoA103、Src=RCoA103のパケットにカプセル化されてMN100に送信される(S2016)。
【0066】
以上により、通信中に送受信するパケットの量を測定する機能を有するMN100がMAP300−1の配下からMAP300−2の配下に移動した場合において、測定したパケット量があらかじめ設定されたしきい値以上の場合は、MN100からのホップ数が少ない移動前のMAP300−1に対してのみ結合更新メッセージ120を送信して、従来技術において結合更新メッセージがMN100からCN400に届くまでの遅延により発生していたパケット損失量を低減することができる。そして、その後、MN100が受信するパケットの量がしきい値よりも少なくなった時点で、移動後のMAP300−2の配下で使用すべき気付アドレス(RCoA103、LCoA103)を含んだ結合更新メッセージ130を移動後のMAP300−2、CN400、およびHA500に送信して、CN400からMN100宛に送られるパケットの経路を経路131に変更することで、結合更新メッセージがMN100からCN400に届くまでの遅延により発生するパケット損失も低減することが可能となる。
【0067】
このように、本実施の形態によれば、MN100がMAP300−1の配下からMAP300−2の配下に移動した場合において、MN100がCN400から受信するパケットのトラヒック量が多いとき、MN100は、MAP300−1に結合更新メッセージ120を一旦送信して、CN400からMAP300−1までの間の経路121は変更せずに、MN100とMAP300−1間の経路のみを経路115から経路122に変更することで、パケット損失量を抑制することができる。その後、MN100がCN400から受信するパケットのトラヒック量が少なくなったときに、CN400に結合更新メッセージ130を送信してMN100とCN400間の経路を経路131に変更することで、結合更新メッセージ130がMN100からCN400に届くまでの間に生じるパケット損失を低減することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、階層化モバイルIPを用いたパケット通信において、パケット損失量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るパケット通信方法を適用した移動通信システムの構成の一例を示すブロック図
【図2】図1に示すMNの機能/構成の一例を示すブロック図
【図3】図2に示す結合更新メッセージ送信部の動作の一例を示すフローチャート
【図4】本実施の形態のパケット通信方法を適用した移動通信システムにおいてパケット通信を行う場合の通信手順の一例を示すシーケンス図
【図5】従来のパケット通信方法を適用した移動通信システムの構成の一例を示す図
【図6】図5に示すMNの機能/構成の一例を示すブロック図
【図7】従来のパケット通信方法を適用した移動通信システムにおいてパケット通信を行う場合の通信手順の一例を示すシーケンス図
【符号の説明】
100 移動端末(MN)
102 パケット受信部
104 パケット量測定部
106 結合更新メッセージ(BU)送信部
108 アプリケーション部
110 パケット送信部
200−1,200−2,200−3,200−4 アクセスルータ装置(AR)
300−1,300−2 モビリティアンカーポイント(MAP)
400 通信相手端末(CN)
500 ホームエージェント(HA)
【発明の属する技術分野】
本発明は、パケット通信方法、特に、ネットワーク内を自由に移動できる移動端末と、固定通信ネットワークまたは移動通信ネットワークに接続された別の移動端末との間における、階層化モバイルIP技術を用いたパケット通信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、モバイルIPに関して標準化作業を進めているIETF(Internet Engineering Task Force)によるdraft−ietf−mobileip−hmipv6−05.txtに開示された階層化モバイルIPv6(Internet Protocol version 6)技術を用いた移動通信システムの構成の一例を示す図である。
【0003】
この移動通信システムは、図5に示すように、移動端末(MN:Mobile Node)10と、無線アクセス機能を持つルータ装置(AR:Access Router)20−1,20−2,20−3,20−4と、階層化のための第1階層の位置管理を行うノードであるモビリティアンカーポイント(MAP:Mobility Anchor Point)30−1,30−2と、MN10の通信相手となる端末(CN:Correspondent Node)40と、モバイルIPにおけるMN10のホームエージェント(HA:Home Agent)50と、インターネットプロトコル(IP)を用いてパケットを転送するIPネットワーク60とを有する。ここで、MAP30−1,30−2は、MN10が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段を、HA50は、MN10が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段をそれぞれ構成している。なお、以下では、任意のルータ装置(AR)を「20」で、任意のモビリティアンカーポイント(MAP)を「30」でそれぞれ表わす。
【0004】
図6は、図5に示すMN10の機能/構成の一例を示すブロック図である。
【0005】
図6に示すように、MN10は、パケット受信部12、結合更新メッセージ(BU:Binding Update)送信部14、アプリケーション部16、およびパケット送信部18を有する。パケット受信部12は、IPv6プロトコル処理を行い、無線区間を通ってMN10に届くパケットの受信を行う。結合更新メッセージ送信部14は、AR20からエージェント広告メッセージを受信したときに結合更新メッセージを送信する。アプリケーション部16は、ユーザパケットを送受してTCP(Transmission Control Protocol)などの処理を行うアプリケーション層である。パケット送信部18は、IPv6プロトコル処理を行い、IPパケットを送信する。
【0006】
ここで、モバイルIPv6と階層化モバイルIPv6の概要について、図5を用いて説明する。なお、モバイルIPv6は、図5に示す構成からMAP30−1,30−2を削除したものに相当する。
【0007】
モバイルIPv6では、MN10とCN40の間でパケット通信を行う場合、CN40からMN10のホームアドレス宛に送信されたパケットは、一旦、HA50において受信され、HA50からMN10に転送される。この場合、パケットは、HA50を頂点とする三角経路で転送されるため、冗長な経路を経由するという問題がある。この問題を解決するために、モバイルIPv6では、MN10は、CN40からパケットを受信した場合、MN10が現在利用している気付アドレスを結合更新メッセージにより直接CN40に通知する。CN40は、それ以降、MN10から通知された気付アドレス宛にパケットを転送する。これにより、CN40からのパケットは、HA50を経由せずに、CN40からMN10に直接転送される。しかしながら、MN10は、AR間を移動(たとえば、AR20−1からAR20−2に移動)すると、従属するARが変わるため、新しい気付アドレスを結合更新メッセージによりCN40に通知する必要がある。このため、結合更新メッセージがCN40に届くまではAR20−1にパケットが送信され続けるため、パケット損失が発生する。
【0008】
これに対し、階層化モバイルIPでは、同一MAPの配下内での移動(たとえば、AR20−1からAR20−2への移動)において、MN10は、結合更新メッセージ71を、MN10からのホップ数(ネットワーク内で経由するルータの数)がCN40よりも少ないMAP30−1に対して送信するだけでよいため、MN10からCN40に結合更新メッセージを送信する場合に比べて位置登録の更新にかかる時間が短くなり、パケット損失を低減することができる。しかしながら、MAP間移動(たとえば、AR20−2からAR20−3への移動)においては、上記したモバイルIPv6の場合と同様に、MN10は結合更新メッセージ72をCN40に送信する必要があるため、パケット損失が発生する。
【0009】
次いで、上記構成を有する移動通信システムにおいて、階層化モバイルIPを用いてパケット通信を行う場合の通信手順について、図7に示すシーケンス図を用いて説明する。なお、ここでは、基本モード(Basic mode)で動作させた場合の手順について説明するが、実際には拡張モード(Extended Mode)で動作させてもよい。
【0010】
ここで、基本モードとは、MNがローカル気付アドレス(LCoA:Local Care−of−Address)だけでなくリージョナル気付アドレス(RCoA:Regional Care−of−Address)をも生成し、結合更新メッセージにおいてRCoAおよびLCoAを通知するモードである。また、拡張モードとは、RCoAとしてMAPのアドレスそのものを用い、結合更新メッセージにおいてLCoAおよびMNのホームアドレスを通知するモードである。また、RCoAは、MNが属するMAPを識別するためのアドレスであり、LCoAは、MNが属するARとARが構成するサブネット内での接続位置を識別するためのアドレスである。
【0011】
まず、MN10が同一MAP30の配下内で移動(たとえば、AR20−1の配下からAR20−2の配下に移動)した場合の通信手順について説明する。
【0012】
AR20−2の配下に移動したMN10は、AR20−2からエージェント広告メッセージを受信する(S81)。エージェント広告メッセージには、AR20−2のIPアドレスならびにこのIPアドレスのプレフィックス長およびプレフィックス値、ならびに、AR20−2の上位のMAP30−1のIPアドレスならびにこのIPアドレスのプレフィックス長およびプレフィックス値が設定されている。
【0013】
そして、MN10は、AR20−2からエージェント広告メッセージを受信すると、受信したエージェント広告メッセージに含まれるAR20−2のIPアドレスならびにこのIPアドレスのプレフィックス長およびプレフィックス値から、MAP30−1の配下にあるAR20−2の配下で使用するローカル気付アドレス(LCoA2)およびリージョナル気付アドレス(RCoA2)を生成する(S82)。
【0014】
そして、MN10は、生成した2つの気付アドレスRCoA2とLCoA2を結合更新メッセージによりMAP30−1に通知する(S83)。これにより、MAP30−1はMN10が属するARを識別することが可能になるため、MAP30−1を介した通信が可能になる。
【0015】
そして、CN40は、MN10に対してパケット(たとえば、WebへのHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)要求)を送信する場合、ディスティネーションアドレス(Dest)にRCoA2を、ソースアドレス(Src)にCN40をそれぞれ設定してパケットを送信する(S84)。このパケットは、MAP30−1において、Dest=LCoA2、Src=RCoA2のパケットにカプセル化されてMN10に送信される(S85)。
【0016】
次に、MN10がMAP間を移動(たとえば、MAP30−1配下のAR20−2からMAP30−2配下のAR20−3に移動)した場合の通信手順について説明する。
【0017】
MN10は、AR20−3への移動(S86)後、AR20−3からエージェント広告メッセージを受信し(S87)、AR20−3およびMAP30−2の配下で使用する2つの気付アドレスLCoA3とRCoA3を生成する(S88)。
【0018】
そして、MN10は、生成した2つの気付アドレスRCoA3とLCoA3を、結合更新メッセージによりMAP30−2に通知するとともに(S89)、他の結合更新メッセージによりCN40に通知する(S90)。これにより、MAP30−2はMN10が属するARを識別することが可能になり、かつ、CN40はMN10が属するMAPを識別することが可能な状態になるため、CN40とMN10の間でMAP30−2を介した通信が可能になる。なお、MN10は、結合更新メッセージをHA50にも送信するが、図7では省略している。
【0019】
そして、CN40は、MN10に対してパケットを送信する場合、ディスティネーションアドレス(Dest)にRCoA3を、ソースアドレス(Src)にCN40をそれぞれ設定してパケットを送信する(S91)。このパケットは、MAP30−2において、Dest=LCoA3、Src=RCoA3のパケットにカプセル化されてMN10に送信される(S92)。
【0020】
このように、パケット通信に従来の階層化モバイルIPを適用した場合でも、同一MAP配下のAR間(たとえば、AR20−1からAR20−2へ)の移動においては、そのMAPだけに結合更新メッセージを送信することにより、MNが移動してから結合更新を行うまでの所要時間を短縮できるため、パケット損失を低減することができる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の階層化モバイルIPにおいては、図7に示すように、MN10が同一MAPの配下内を移動した場合には、MN10は、結合更新メッセージを、MN10からのホップ数が少ない場所に位置するMAP30−1に送信するだけでよいため、パケット損失を低減することができるものの、MN10がMAP間を移動(たとえば、AR20−2からAR20−3に移動)した場合には(S86)、MN10は、結合更新メッセージを、MAP30−2のほかに(S89)、MN10からのホップ数が多い場所に位置するCN40およびHA50にも送信して(S90)位置登録を行う必要がある。したがって、この場合、CN40は、結合更新メッセージを受信するまでは、MN10宛てのパケットを移動前のMAP30−1にルーティングするため、MN10とCN40の間のホップ数が多い場合、MN10でのパケット損失が増大するという問題がある。
【0022】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、階層化モバイルIPを用いたパケット通信において、パケット損失量を低減することができるパケット通信方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明のパケット通信方法は、移動端末が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段と、移動端末が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段とを有する階層化モバイルIPを用いた移動通信ネットワークにおけるパケット通信方法であって、移動端末が通信相手との間で送受信するパケットの量を測定する測定ステップと、移動端末が別のサブネットに移動した場合、前記測定ステップで測定したパケット量を所定値と比較する比較ステップと、前記比較ステップでの比較結果として測定パケット量が所定値以上の場合は、移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段に対して、移動端末が属する現在のサブネットの情報を通知し、測定パケット量が所定値以下の場合は、移動後のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段、通信相手、および第2階層の位置管理手段に対して、移動端末が属する現在のサブネットの情報を通知する転送制御ステップと、を有するようにした。
【0024】
この方法によれば、移動端末が通信相手との間で送受信するパケットの量を測定し、移動端末がある第1階層の位置管理手段(たとえば、図1のMAP300−1)に接続されているサブネットから別の第1階層の位置管理手段(たとえば、図1のMAP300−2)に接続されているサブネットに移動した場合において、測定パケット量が所定値以上の場合は、移動端末からのホップ数が小さい移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段(図1のMAP300−1)に対して、移動端末が属する現在のサブネットの情報を通知することで、パケットを通信相手から移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段および移動端末の経路で転送して、パケット損失を最低限に抑えて通信を継続し、その後、測定パケット量が所定値以下になった時点で、移動後のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段(図1のMAP300−2)のほかに、移動端末からのホップ数が大きい通信相手および第2階層の位置管理手段(たとえば、図1のHA500)に対して、移動端末が属する現在のサブネットの情報を通知することで、パケットを通信相手から、移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段(図1のMAP300−1)を経由せずに、移動後のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段(図1のMAP300−2)および移動端末の経路で転送するため、移動端末が第1階層の位置管理手段の間を移動した場合において、結合更新メッセージが当該移動端末から通信相手に届くまでの間に生じるパケット損失を低減することができ、階層化モバイルIPを用いたパケット通信において、移動端末が第1階層の位置管理手段の間を移動したときのパケット損失量を低減することができる。
【0025】
本発明の移動端末は、移動端末が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段と、移動端末が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段とを有する階層化モバイルIPを用いた移動通信ネットワークに用いられる移動端末であって、通信相手との間で送受信するパケットの量を測定する測定手段と、別のサブネットに移動した場合、前記測定手段によって測定されたパケット量を所定値と比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果として測定パケット量が所定値以上の場合は、移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段に対して、自己が属する現在のサブネットの情報を通知し、測定パケット量が所定値以下の場合は、移動後のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段、通信相手、および第2階層の位置管理手段に対して、自己が属する現在のサブネットの情報を通知する転送制御手段と、を有する構成を採る。
【0026】
この構成によれば、上記のパケット通信方法を実現するための移動端末を提供することができる。
【0027】
本発明の移動通信システムは、移動端末が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段と、移動端末が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段と、上記に記載の移動端末とを有する構成を採る。
【0028】
この構成によれば、上記のパケット通信方法を実現するための移動通信システムを提供することができる。
【0029】
本発明のパケット通信プログラムは、移動端末が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段と、移動端末が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段とを有する階層化モバイルIPを用いた移動通信ネットワークに用いられる移動端末におけるパケット通信プログラムであって、コンピュータに、通信相手との間で送受信するパケットの量を測定する測定ステップと、別のサブネットに移動した場合、前記測定ステップで測定したパケット量を所定値と比較する比較ステップと、前記比較ステップでの比較結果として測定パケット量が所定値以上の場合は、移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段に対して、自己が属する現在のサブネットの情報を通知し、測定パケット量が所定値以下の場合は、移動後のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段、通信相手、および第2階層の位置管理手段に対して、自己が属する現在のサブネットの情報を通知する転送制御ステップと、を実行させるようにしたものである。
【0030】
このプログラムによれば、上記のパケット通信方法を実現するための移動端末におけるパケット通信プログラムを提供することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、階層化モバイルIPを用いたパケット通信において、トラヒック量(パケット量)が少ないときにのみCN(通信相手の端末)およびHA(ホームエージェント)への位置登録を行うことで、パケット損失量を低減することである。
【0032】
すなわち、階層化モバイルIP技術では、移動端末(MN)が第1階層の位置管理手段であるモビリティアンカーポイント(MAP)間を移動する場合、MNは、移動後のMAP、CN、およびHAに結合更新メッセージ(BU)を送信して、位置登録を行う必要があるが、CNは、結合更新メッセージを受信するまではMN宛てのパケットを移動前のMAPに送信するため、MNは、このパケットを受信することができず、パケット損失が発生する。特に、CNがMNからのホップ数が多いネットワークに位置する場合は、結合更新メッセージがMNからCNに届くまでの遅延時間が大きく、CNが移動前のMAPに送信するパケット量が増大するため、MNでのパケット損失量が増大するという問題がある。
【0033】
そこで、本発明では、MNがCNとの間で送受信するトラヒック量(パケット量)を測定し、MNが別のMAPの配下へ移動した場合において、測定トラヒック量があらかじめ設定されたしきい値(所定値)以上のときは、結合更新メッセージを移動前のMAPに一旦送信して、CNから移動前のMAPまでの経路は変更せずに、MNからのホップ数が小さい場所に位置する移動前のMAPまでの経路だけを変更することで、パケット損失量を抑制する。その後、測定トラヒック量がしきい値よりも小さくなった時点で、従来と同様に、結合更新メッセージをCNに送信して、MNとCN間の経路を変更することで、結合更新メッセージがMNからのホップ数が大きい場所に位置するCNに届くまでの間に生じるパケット損失を低減する。
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明の一実施の形態に係るパケット通信方法を適用した移動通信システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
この移動通信システムは、図1に示すように、本発明のパケット通信方法を適用した移動端末(MN)100と、無線アクセス機能を持つルータ装置(AR)200−1,200−2,200−3,200−4と、階層化のための第1階層の位置管理を行うノードであるモビリティアンカーポイント(MAP)300−1,300−2と、MN100の通信相手となる端末(CN)400と、モバイルIPにおけるMN100のホームエージェント(HA)500と、インターネットプロトコル(IP)を用いてパケットを転送するIPネットワーク600とを有する。ここで、MAP300−1,300−2は、MN100が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段を、HA500は、MN100が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段をそれぞれ構成している。なお、以下では、任意のルータ装置(AR)を「200」で、任意のモビリティアンカーポイント(MAP)を「300」でそれぞれ表わす。
【0037】
図2は、図1に示すMN100の機能/構成の一例を示すブロック図である。
【0038】
図2に示すように、MN100は、パケット受信部102、パケット量測定部104、結合更新メッセージ(BU)送信部106、アプリケーション部108、およびパケット送信部110を有する。
【0039】
パケット受信部102は、IPv6プロトコル処理を行い、無線区間を通ってMN100に届くパケットを受信する。受信されたパケットは、パケット量測定部104に送られる。また、パケット受信部102は、AR200からのエージェント広告メッセージを受信する。受信されたエージェント広告メッセージは、結合更新メッセージ送信部106に送られる。
【0040】
パケット量測定部104は、パケット受信部102によって受信されたパケットの量を測定し、測定したパケット量があらかじめ設定されたしきい値(所定値)以上か否かを判定する。この判定の結果は、測定結果として結合更新メッセージ送信部106に通知される。なお、測定したパケット量がしきい値以上か否かを判定する機能は、パケット量測定部104に代えて、結合更新メッセージ送信部106に設けるようにしてもよい。
【0041】
結合更新メッセージ送信部106は、パケット受信部102から受け取ったエージェント広告メッセージおよびパケット量測定部104から受け取った測定結果を用いて結合更新メッセージを送信する。この結合更新メッセージ送信部106の動作については、後で詳述する。
【0042】
アプリケーション部108は、ユーザパケットを送受してTCPなどの処理を行うアプリケーション層である。また、パケット送信部110は、IPv6プロトコル処理を行い、IPパケットを送信する。
【0043】
なお、MN100のハードウエア構成は、任意であって、特に限定されない。たとえば、MN100は、CPUや記憶装置(ROM、RAM、ハードディスクその他各種記憶媒体)を備えたコンピュータによって実現される。このようにMN100がコンピュータによって実現される場合、MN100は、このMN100の動作を記述したプログラムをCPUが実行することによって所定の動作を行う。
【0044】
図3は、図2に示す結合更新メッセージ送信部106の動作の一例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、ステップS1000では、パケット受信部102からエージェント広告メッセージを受け取ったか否か、つまり、MN100がエージェント広告メッセージを受信したか否かを判断する。この判断の結果としてエージェント広告メッセージを受信していない場合は(S1000:NO)、待機し、エージェント広告メッセージを受信した場合は(S1000:YES)、ステップS1100に進む。
【0046】
ステップS1100では、ステップS1000で受信したエージェント広告メッセージを用いて、MN100が別のMAP300の配下に移動したか否かを判断する。この判断の結果として別のMAP300の配下に移動していない場合は(S1100:NO)、ステップS1200に進み、別のMAP300の配下に移動した場合は(S1100:YES)、ステップS1300に進む。
【0047】
ステップS1200では、MN100が別のMAP300の配下に移動していないため、MN100が現在属するMAP300に結合更新メッセージを送信し、ステップS1000に戻る。
【0048】
一方、ステップS1300では、MN100が別のMAP300の配下に移動したため、さらに、パケット量測定部104から受け取った測定結果として測定パケット量がしきい値以上か否かを判断する。この判断の結果として測定パケット量がしきい値以上の場合は(S1300:YES)、ステップS1400に進み、測定パケット量がしきい値未満の場合は(S1300:NO)、ステップS1500に進む。
【0049】
ステップS1400では、測定パケット量がしきい値以上であるため、つまり、トラヒック量が多いため、移動前のMAP300にのみ結合更新メッセージを送信し、ステップS1300に戻る。
【0050】
一方、ステップS1500では、測定パケット量がしきい値未満であるため、つまり、トラヒック量が少ないため、CN400、HA500、および移動後のMAP300に結合更新メッセージを送信し、ステップS1000に戻る。
【0051】
次いで、上記構成を有する移動通信システムにおいて、階層化モバイルIPを用いてパケット通信を行う場合の通信手順について、図4に示すシーケンス図を用いて説明する。なお、ここでは、基本モードで動作させた場合の手順について説明するが、実際には拡張モードで動作させてもよい。
【0052】
ここで、MN100は、図4には示していないが、通信中に送受信するパケットの量を常にパケット量測定部104で測定している。
【0053】
まず、MN100が同一MAP300の配下内で移動(たとえば、AR200−1の配下からAR200−2の配下に移動)した場合の通信手順について説明する。
【0054】
AR200−2の配下に移動したMN100は、AR200−2からエージェント広告メッセージを受信する(S2001)。エージェント広告メッセージには、AR200−2のIPアドレスならびにこのIPアドレスのプレフィックス長およびプレフィックス値、ならびに、AR200−2の上位のMAP300−1のIPアドレスならびにこのIPアドレスのプレフィックス長およびプレフィックス値が設定されている。
【0055】
そして、MN100は、AR200−2からエージェント広告メッセージを受信すると、受信したエージェント広告メッセージに含まれるAR200−2のIPアドレスならびにこのIPアドレスのプレフィックス長およびプレフィックス値から、MAP300−1の配下にあるAR200−2の配下で使用するローカル気付アドレス(LCoA102)およびリージョナル気付アドレス(RCoA102)を生成する(S2002)。
【0056】
そして、MN100は、生成した2つの気付アドレスRCoA102とLCoA102を結合更新メッセージによりMAP300−1に通知する(S2003)。これにより、MAP300−1はMN100が属するARを識別することが可能になるため、MAP300−1を介した通信が可能になる。
【0057】
そして、CN400は、MN100に対してパケット(たとえば、WebへのHTTP要求)を送信する場合、ディスティネーションアドレス(Dest)にRCoA102を、ソースアドレス(Src)にCN400をそれぞれ設定してパケットを送信する(S2004)。このパケットは、MAP300−1において、Dest=LCoA102、Src=RCoA102のパケットにカプセル化され、図1に示す経路115でMN100に送信される(S2005)。
【0058】
なお、以上の手順は、従来の手順(図7に示すS81からS85の手順参照)と同様である。
【0059】
次に、MN100がMAP間を移動(たとえば、MAP300−1配下のAR200−2からMAP300−2配下のAR200−3に移動)した場合の通信手順について説明する。
【0060】
MN100は、AR200−3への移動(S2006)後、AR200−3からエージェント広告メッセージを受信し(S2007)、AR200−3およびMAP300−2の配下で使用する2つの気付アドレスLCoA103とRCoA103を生成する(S2008)。
【0061】
そして、MN100は、パケット量測定部104で測定したパケット量を所定のしきい値と比較して、トラヒック量の判定を行う(S2009)。
【0062】
このトラヒック量判定結果として測定パケット量がしきい値以上の場合、つまり、トラヒック量が多い場合は、従来の手順と異なり、MN100は、LCoA103とRCoA102を、結合更新メッセージ120により、MN100からのホップ数が少ない移動前のMAP300−1にのみ通知する(S2010)(図1参照)。これにより、MN100がMAP300−1の配下からMAP300−2の配下に移動した後も、CN400からのMN100宛パケットの宛先アドレスはRCoA102のままで変わらないため、CN400からのMN100宛パケットは、図1に示す経路121でMAP300−1を経由し、このMAP300−1においてカプセル化され、図1に示す経路122でMN100に送信される。
【0063】
すなわち、このとき、CN400は、MN100に対してパケットを送信する場合、ディスティネーションアドレス(Dest)にRCoA102を、ソースアドレス(Src)にCN400をそれぞれ設定して、図1の経路121でパケットを送信する(S2011)。このパケットは、MAP300−1において、Dest=LCoA103、Src=RCoA102のパケットにカプセル化されて、図1の経路122でMN100に送信される(S2012)。
【0064】
一方、トラヒック量判定結果として測定パケット量がしきい値未満の場合、つまり、トラヒック量が少ない場合は、従来の手順と同様に、MN100は、MAP300−2の配下において本来使用すべき気付アドレス、つまり、S1008で生成した2つの2つの気付アドレスLCoA103とRCoA103を、結合更新メッセージにより移動後のMAP300−2に通知するとともに(S2013)、他の結合更新メッセージ130によりCN400にも通知する(S2014)(図1参照)。なお、MN100は、結合更新メッセージをHA500にも送信するが、図4では省略している。
【0065】
そして、結合更新メッセージ130を受信したCN400は、MN100に対してパケットを送信する場合、MN100宛パケットの宛先アドレスをRCoA103と設定して、つまり、ディスティネーションアドレス(Dest)にRCoA103を、ソースアドレス(Src)にCN400をそれぞれ設定してパケットを送信する(S2015)。このパケットは、図1に示す経路131により、MAP300−2を経由し、このMAP300−2においてDest=LCoA103、Src=RCoA103のパケットにカプセル化されてMN100に送信される(S2016)。
【0066】
以上により、通信中に送受信するパケットの量を測定する機能を有するMN100がMAP300−1の配下からMAP300−2の配下に移動した場合において、測定したパケット量があらかじめ設定されたしきい値以上の場合は、MN100からのホップ数が少ない移動前のMAP300−1に対してのみ結合更新メッセージ120を送信して、従来技術において結合更新メッセージがMN100からCN400に届くまでの遅延により発生していたパケット損失量を低減することができる。そして、その後、MN100が受信するパケットの量がしきい値よりも少なくなった時点で、移動後のMAP300−2の配下で使用すべき気付アドレス(RCoA103、LCoA103)を含んだ結合更新メッセージ130を移動後のMAP300−2、CN400、およびHA500に送信して、CN400からMN100宛に送られるパケットの経路を経路131に変更することで、結合更新メッセージがMN100からCN400に届くまでの遅延により発生するパケット損失も低減することが可能となる。
【0067】
このように、本実施の形態によれば、MN100がMAP300−1の配下からMAP300−2の配下に移動した場合において、MN100がCN400から受信するパケットのトラヒック量が多いとき、MN100は、MAP300−1に結合更新メッセージ120を一旦送信して、CN400からMAP300−1までの間の経路121は変更せずに、MN100とMAP300−1間の経路のみを経路115から経路122に変更することで、パケット損失量を抑制することができる。その後、MN100がCN400から受信するパケットのトラヒック量が少なくなったときに、CN400に結合更新メッセージ130を送信してMN100とCN400間の経路を経路131に変更することで、結合更新メッセージ130がMN100からCN400に届くまでの間に生じるパケット損失を低減することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、階層化モバイルIPを用いたパケット通信において、パケット損失量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るパケット通信方法を適用した移動通信システムの構成の一例を示すブロック図
【図2】図1に示すMNの機能/構成の一例を示すブロック図
【図3】図2に示す結合更新メッセージ送信部の動作の一例を示すフローチャート
【図4】本実施の形態のパケット通信方法を適用した移動通信システムにおいてパケット通信を行う場合の通信手順の一例を示すシーケンス図
【図5】従来のパケット通信方法を適用した移動通信システムの構成の一例を示す図
【図6】図5に示すMNの機能/構成の一例を示すブロック図
【図7】従来のパケット通信方法を適用した移動通信システムにおいてパケット通信を行う場合の通信手順の一例を示すシーケンス図
【符号の説明】
100 移動端末(MN)
102 パケット受信部
104 パケット量測定部
106 結合更新メッセージ(BU)送信部
108 アプリケーション部
110 パケット送信部
200−1,200−2,200−3,200−4 アクセスルータ装置(AR)
300−1,300−2 モビリティアンカーポイント(MAP)
400 通信相手端末(CN)
500 ホームエージェント(HA)
Claims (4)
- 移動端末が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段と、移動端末が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段とを有する階層化モバイルIPを用いた移動通信ネットワークにおけるパケット通信方法であって、
移動端末が通信相手との間で送受信するパケットの量を測定する測定ステップと、
移動端末が別のサブネットに移動した場合、前記測定ステップで測定したパケット量を所定値と比較する比較ステップと、
前記比較ステップでの比較結果として測定パケット量が所定値以上の場合は、移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段に対して、移動端末が属する現在のサブネットの情報を通知し、測定パケット量が所定値以下の場合は、移動後のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段、通信相手、および第2階層の位置管理手段に対して、移動端末が属する現在のサブネットの情報を通知する転送制御ステップと、
を有することを特徴とするパケット通信方法。 - 移動端末が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段と、移動端末が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段とを有する階層化モバイルIPを用いた移動通信ネットワークに用いられる移動端末であって、
通信相手との間で送受信するパケットの量を測定する測定手段と、
別のサブネットに移動した場合、前記測定手段によって測定されたパケット量を所定値と比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果として測定パケット量が所定値以上の場合は、移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段に対して、自己が属する現在のサブネットの情報を通知し、測定パケット量が所定値以下の場合は、移動後のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段、通信相手、および第2階層の位置管理手段に対して、自己が属する現在のサブネットの情報を通知する転送制御手段と、
を有することを特徴とする移動端末。 - 移動端末が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段と、移動端末が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段と、請求項2記載の移動端末とを有することを特徴とする移動通信システム。
- 移動端末が接続されているサブネットの情報を保持する第1階層の位置管理手段と、移動端末が属する第1階層の位置管理手段の情報を保持する第2階層の位置管理手段とを有する階層化モバイルIPを用いた移動通信ネットワークに用いられる移動端末におけるパケット通信プログラムであって、コンピュータに、
通信相手との間で送受信するパケットの量を測定する測定ステップと、
別のサブネットに移動した場合、前記測定ステップで測定したパケット量を所定値と比較する比較ステップと、
前記比較ステップでの比較結果として測定パケット量が所定値以上の場合は、移動前のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段に対して、自己が属する現在のサブネットの情報を通知し、測定パケット量が所定値以下の場合は、移動後のサブネットに対応する第1階層の位置管理手段、通信相手、および第2階層の位置管理手段に対して、自己が属する現在のサブネットの情報を通知する転送制御ステップと、
を実行させることを特徴とするパケット通信プログラム。
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-
2002
- 2002-08-27 JP JP2002246710A patent/JP2004088410A/ja active Pending
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