JP2004086862A - タンパク質相互作用情報処理装置、タンパク質相互作用情報処理方法、プログラム、および、記録媒体 - Google Patents

タンパク質相互作用情報処理装置、タンパク質相互作用情報処理方法、プログラム、および、記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】タンパク質の構造データから求めた疎水相互作用および静電相互作用に基づいてタンパク質単体時の不安定性の高い部位を特定し相互作用部位を特定すること等のできる装置等を提供することを課題とする。
【解決手段】タンパク質相互作用情報処理装置100は、タンパク質相互作用情報処理装置100の全体を統括的に制御するCPU等の制御部102、通信回線等に接続されるルータ等の通信装置に接続される通信制御インターフェース部104、入力装置112や出力装置114に接続される入出力制御インターフェース部108、および、各種のデータベースやテーブルなどを格納する記憶部106を備えて構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【選択図】   図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンパク質相互作用情報処理装置、タンパク質相互作用情報処理方法、プログラム、および、記録媒体に関し、特に、タンパク質の構造データから求めた疎水相互作用および静電相互作用に基づいてタンパク質単体時の不安定性の高い部位を特定し相互作用部位を特定すること等のできるタンパク質相互作用情報処理装置、タンパク質相互作用情報処理方法、プログラム、および、記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
タンパク質が働くため、すなわちタンパク質が一定の機能を表すためには他のタンパク質や基質等となんらかの相互作用をすることが必要である。したがって、タンパク質の相互作用部位を決定することは、創薬等の分野においては極めて重要な研究テーマであり、従来より、バイオインフォマティクス分野などにおいて、タンパク質の一次配列情報(アミノ酸配列情報)に対してモチーフ検索を実行するなどの手法によりタンパク質の相互作用部位を解析する技術が開発されている。すなわち、既知の相互作用部位に特異的に存在するアミノ酸配列を探索することにより、タンパク質の相互作用部位を予測している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のモチーフ検索などによる相互作用部位の解析手法は、既知の相互作用部位については解析することができるが、未知の相互作用部位については解析することができないというシステム構造上の基本的問題点を有していた。
【0004】
すなわち、従来の相互作用部位の解析手法は、予め判明している相互作用部位に特異的な一次配列をモチーフデータベースなどに登録し、その情報を用いて相互作用部位の予測を行うものであるため、今までに発見されていない相互作用部位については、その解析をすることができなかった。従って、今まで発見されていない未知の相互作用部位をバイオインフォマティクス技術を用いてコンピュータ上で予測する際には、まったく別の手法を用いる必要があるが、有効な手法は未だ確立していない。
【0005】
一方、タンパク質の相互作用は二つの安定な全体構造をもつタンパク質同士が作用することにより、さらに安定化する過程であるといえる。タンパク質が相互作用する際の構造の変化について更に説明すると、タンパク質AとBとが相互作用する際には、タンパク質Aの一部分の構造とタンパク質Bの一部分の構造に変化が起こり結合する。
【0006】
変化が起こる一部分の構造として考えられる部位について考察すると、まず、局所的に見ても、かつ全体的に見ても安定な局所構造は、それ以上安定化する必要性がない。一方、全体的に見れば安定であるが局所的に見ると不安定である部分は、他のタンパク質等と結合することによりその部分が安定化し、さらに結合することにより全体もさらに安定化するという状況が考えられる。すなわち、局所的に不安定な構造領域は、タンパク質相互作用部位である可能性が比較的高いと考えることができる。このように局所的に不安定な部位を一次配列から予測することにより、相互作用部位の候補を挙げることができるようになる可能性がある。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、タンパク質の構造データから求めた疎水相互作用および静電相互作用に基づいてタンパク質単体時の不安定性の高い部位を特定し相互作用部位を特定すること等のできる、タンパク質相互作用情報処理装置、タンパク質相互作用情報処理方法、プログラム、および、記録媒体を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、請求項1に記載のタンパク質相互作用情報処理装置は、相互作用する複数のタンパク質の一次構造データと単体時および/または複合体形成時の立体構造データとを含む構造データを取得する構造データ取得手段と、上記構造データ取得手段にて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを特定する疎水面特定手段と、上記構造データ取得手段にて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを特定する静電相互作用部位特定手段と、上記疎水面特定手段にて特定された上記疎水性相互作用エネルギー、および、上記静電相互作用部位特定手段にて特定された上記静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い上記アミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定する相互作用部位特定手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
この装置によれば、相互作用する複数のタンパク質の一次構造データと単体時および/または複合体形成時の立体構造データとを含む構造データを取得し、取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを特定し、取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを特定し、特定された疎水性相互作用エネルギー、および、静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高いアミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定するので、構造データによりタンパク質の相互作用部位を容易に特定することができるようになる。
【0010】
また、請求項2に記載のタンパク質相互作用情報処理装置は、請求項1に記載のタンパク質相互作用情報処理装置において、上記構造データ取得手段にて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に溶媒接触面を特定する溶媒接触面特定手段をさらに備え、上記相互作用部位特定手段は、上記溶媒接触面特定手段にて特定された上記溶媒接触面、上記疎水面特定手段にて特定された上記疎水性相互作用エネルギー、および、上記静電相互作用部位特定手段にて特定された上記静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い上記アミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定することを特徴とする。
【0011】
この装置によれば、取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に溶媒接触面を特定し、特定された溶媒接触面、疎水性相互作用エネルギー、および、静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高いアミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定するので、複合体時の構造データがある場合に、タンパク質の相互作用部位をさらに正確かつ容易に特定することができるようになる。
【0012】
また、請求項3に記載のタンパク質相互作用情報処理装置は、請求項1または2に記載のタンパク質相互作用情報処理装置において、上記相互作用部位特定手段にて特定された上記相互作用部位について、相互作用する相手側の一次配列を特定し、当該一次配列を含む一次構造を持つ候補タンパク質を検索する候補タンパク質検索手段をさらに備え、上記候補タンパク質検索手段にて検索された上記候補タンパク質について、上記相手側の一次配列の部分が上記候補タンパク質の相互作用部位として特定されるか否かを確認することを特徴とする。
【0013】
この装置によれば、相互作用部位特定手段にて特定された相互作用部位について、相互作用する相手側の一次配列を特定し、当該一次配列を含む一次構造を持つ候補タンパク質を検索し、検索された候補タンパク質について、上述した構造データ取得手段、溶媒接触面特定手段(複合体時の構造データがある場合)、疎水面特定手段、静電相互作用部位特定手段、および、相互作用部位特定手段を実行することにより、相手側の一次配列の部分が候補タンパク質の相互作用部位として特定されるか否かを確認するので、未知の相互作用を予測することが容易にできるようになる。
【0014】
また、本発明はタンパク質相互作用情報処理方法に関するものであり、請求項4に記載のタンパク質相互作用情報処理方法は、相互作用する複数のタンパク質の一次構造データと単体時および/または複合体形成時の立体構造データとを含む構造データを取得する構造データ取得ステップと、上記構造データ取得ステップにて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを特定する疎水面特定ステップと、上記構造データ取得ステップにて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを特定する静電相互作用部位特定ステップと、上記疎水面特定ステップにて特定された上記疎水性相互作用エネルギー、および、上記静電相互作用部位特定ステップにて特定された上記静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い上記アミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定する相互作用部位特定ステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
この方法によれば、相互作用する複数のタンパク質の一次構造データと単体時および/または複合体形成時の立体構造データとを含む構造データを取得し、取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを特定し、取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを特定し、特定された疎水性相互作用エネルギー、および、静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高いアミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定するので、構造データによりタンパク質の相互作用部位を容易に特定することができるようになる。
【0016】
また、請求項5に記載のタンパク質相互作用情報処理方法は、請求項4に記載のタンパク質相互作用情報処理方法において、上記構造データ取得ステップにて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に溶媒接触面を特定する溶媒接触面特定ステップをさらに含み、上記相互作用部位特定ステップは、上記溶媒接触面特定ステップにて特定された上記溶媒接触面、上記疎水面特定ステップにて特定された上記疎水性相互作用エネルギー、および、上記静電相互作用部位特定ステップにて特定された上記静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い上記アミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定することを特徴とする。
【0017】
この方法によれば、取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に溶媒接触面を特定し、特定された溶媒接触面、疎水性相互作用エネルギー、および、静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高いアミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定するので、複合体時の構造データがある場合に、タンパク質の相互作用部位をさらに正確かつ容易に特定することができるようになる。
【0018】
また、請求項6に記載のタンパク質相互作用情報処理方法は、請求項4または5に記載のタンパク質相互作用情報処理方法において、上記相互作用部位特定ステップにて特定された上記相互作用部位について、相互作用する相手側の一次配列を特定し、当該一次配列を含む一次構造を持つ候補タンパク質を検索する候補タンパク質検索ステップをさらに含み、上記候補タンパク質検索ステップにて検索された上記候補タンパク質について、上記相手側の一次配列の部分が上記候補タンパク質の相互作用部位として特定されるか否かを確認することを特徴とする。
【0019】
この方法によれば、相互作用部位特定ステップにて特定された相互作用部位について、相互作用する相手側の一次配列を特定し、当該一次配列を含む一次構造を持つ候補タンパク質を検索し、検索された候補タンパク質について、上述した構造データ取得ステップ、溶媒接触面特定ステップ(複合体時の構造データがある場合)、疎水面特定ステップ、静電相互作用部位特定ステップ、および、相互作用部位特定ステップを実行することにより、相手側の一次配列の部分が候補タンパク質の相互作用部位として特定されるか否かを確認するので、未知の相互作用を予測することが容易にできるようになる。
【0020】
また、本発明はプログラムに関するものであり、請求項7に記載のプログラムは、相互作用する複数のタンパク質の一次構造データと単体時および/または複合体形成時の立体構造データとを含む構造データを取得する構造データ取得ステップと、上記構造データ取得ステップにて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを特定する疎水面特定ステップと、上記構造データ取得ステップにて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを特定する静電相互作用部位特定ステップと、上記疎水面特定ステップにて特定された上記疎水性相互作用エネルギー、および、上記静電相互作用部位特定ステップにて特定された上記静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い上記アミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定する相互作用部位特定ステップとを含むタンパク質相互作用情報処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0021】
このプログラムによれば、相互作用する複数のタンパク質の一次構造データと単体時および/または複合体形成時の立体構造データとを含む構造データを取得し、取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを特定し、取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを特定し、特定された疎水性相互作用エネルギー、および、静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高いアミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定するので、構造データによりタンパク質の相互作用部位を容易に特定することができるようになる。
【0022】
また、請求項8に記載のプログラムは、請求項7に記載のプログラムにおいて、上記構造データ取得ステップにて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に溶媒接触面を特定する溶媒接触面特定ステップをさらに含み、上記相互作用部位特定ステップは、上記溶媒接触面特定ステップにて特定された上記溶媒接触面、上記疎水面特定ステップにて特定された上記疎水性相互作用エネルギー、および、上記静電相互作用部位特定ステップにて特定された上記静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い上記アミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定することを特徴とする。
【0023】
このプログラムによれば、取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に溶媒接触面を特定し、特定された溶媒接触面、疎水性相互作用エネルギー、および、静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高いアミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定するので、複合体時の構造データがある場合に、タンパク質の相互作用部位をさらに正確かつ容易に特定することができるようになる。
【0024】
また、請求項9に記載のプログラムは、請求項7または8に記載のプログラムにおいて、上記相互作用部位特定ステップにて特定された上記相互作用部位について、相互作用する相手側の一次配列を特定し、当該一次配列を含む一次構造を持つ候補タンパク質を検索する候補タンパク質検索ステップをさらに含み、上記候補タンパク質検索ステップにて検索された上記候補タンパク質について、上記相手側の一次配列の部分が上記候補タンパク質の相互作用部位として特定されるか否かを確認することを特徴とする。
【0025】
このプログラムによれば、相互作用部位特定ステップにて特定された相互作用部位について、相互作用する相手側の一次配列を特定し、当該一次配列を含む一次構造を持つ候補タンパク質を検索し、検索された候補タンパク質について、上述した構造データ取得ステップ、溶媒接触面特定ステップ(複合体時の構造データがある場合)、疎水面特定ステップ、静電相互作用部位特定ステップ、および、相互作用部位特定ステップを実行することにより、相手側の一次配列の部分が候補タンパク質の相互作用部位として特定されるか否かを確認するので、未知の相互作用を予測することが容易にできるようになる。
【0026】
また、本発明は記録媒体に関するものであり、請求項10に記載の記録媒体は、上記請求項7から9のいずれか一つに記載されたプログラムを記録したことを特徴とする。
【0027】
この記録媒体によれば、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み取らせて実行することによって、請求項7から9のいずれか一つに記載されたプログラムをコンピュータを利用して実現することができ、これら各プログラムと同様の効果を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明にかかるタンパク質相互作用情報処理装置、タンパク質相互作用情報処理方法、プログラム、および、記録媒体の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0029】
[本発明の概要]
以下、本発明の概要について説明し、その後、本発明の構成および処理等について詳細に説明する。図1は本発明の基本原理を示す原理構成図である。
本発明は、概略的に、以下の基本的特徴を有する。
【0030】
本発明は、溶媒接触面の疎水性相互作用に基づき不安定性の高い部位を特定する。すなわち、本発明は、まず、相互作用する複数のタンパク質の単体時の溶媒接触面積(溶媒分子が接することのできる分子表面の面積であり「溶媒露出表面積」ともいう)と複合体形成時の溶媒接触面積とを別々に計算し、その差を取ることにより相互作用部分の溶媒接触面を求める。つまり、単体時の溶媒接触面積と複合体形成時の溶媒接触面積との差が大きい部位は、複合体を形成すると溶媒に接触する面積が少なくなることを示すため、このような部位は相互作用部位である可能性が高いということができるので、差が大きいアミノ酸残基部位を相互作用部位の溶媒接触面として特定する。なお、複合体時の構造データがない場合本処理は行わない。
【0031】
そして、本発明はタンパク質の溶媒接触面について疎水性相互作用エネルギーを求めることにより、タンパク質の一次構造を構成するアミノ酸残基中で溶媒面でありかつ疎水面である部位を特定する。このような部位は、単体時においては不安定性が高く、複合体形成時においては疎水面が覆い隠されることにより安定化すると考えられるため、相互作用部位となる可能性が高い部位であるといえる。
【0032】
また、本発明は、タンパク質中において静電相互作用エネルギーの高い部位を特定することにより不安定性の高い部位を特定する。すなわち、本発明は、分子軌道法などにより求められた原子電荷(部分電荷)に基づいて静電相互作用エネルギーの高い部位を計算する。このような部位は単体時においては不安定性が高く、複合体形成時においてはエネルギー的に安定化すると考えられるため、相互作用部位となる可能性が高い部位であるといえる。ここで、原子電荷は分子軌道法などによる各種の計算手法により求めてもよいし、分子力学法や分子動力学法等において各種のパラメータ値として与えられた原子電荷の値などを流用してもよい。
【0033】
そして、本発明は、溶媒接触面、疎水性相互作用エネルギー、および、静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い部位を特定することにより相互作用部位を特定する。
【0034】
[システム構成]
まず、本システムの構成について説明する。図2は、本発明が適用される本システムの構成の一例を示すブロック図であり、該構成のうち本発明に関係する部分のみを概念的に示している。本システムは、概略的に、タンパク質相互作用情報処理装置100と、配列情報等に関する外部データベースやホモロジー検索等の外部プログラム等を提供する外部システム200とを、ネットワーク300を介して通信可能に接続して構成されている。
【0035】
図2においてネットワーク300は、タンパク質相互作用情報処理装置100と外部システム200とを相互に接続する機能を有し、例えば、インターネット等である。
【0036】
図2において外部システム200は、ネットワーク300を介して、タンパク質相互作用情報処理装置100と相互に接続され、利用者に対してDNA等の配列情報やタンパク質等の構造情報等に関する外部データベースやホモロジー検索やモチーフ検索等の外部プログラムを実行するウェブサイトを提供する機能を有する。
【0037】
ここで、外部システム200は、WEBサーバやASPサーバ等として構成してもよく、そのハードウェア構成は、一般に市販されるワークステーション、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置およびその付属装置により構成してもよい。また、外部システム200の各機能は、外部システム200のハードウェア構成中のCPU、ディスク装置、メモリ装置、入力装置、出力装置、通信制御装置等およびそれらを制御するプログラム等により実現される。
【0038】
図2においてタンパク質相互作用情報処理装置100は、概略的に、タンパク質相互作用情報処理装置100の全体を統括的に制御するCPU等の制御部102、通信回線等に接続されるルータ等の通信装置(図示せず)に接続される通信制御インターフェース部104、入力装置112や出力装置114に接続される入出力制御インターフェース部108、および、各種のデータベースやテーブルなどを格納する記憶部106を備えて構成されており、これら各部は任意の通信路を介して通信可能に接続されている。さらに、このタンパク質相互作用情報処理装置100は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、ネットワーク300に通信可能に接続されている。
【0039】
記憶部106に格納される各種のデータベースやテーブル(タンパク質構造データベース106aおよび処理結果データ106b)は、固定ディスク装置等のストレージ手段であり、各種処理に用いる各種のプログラムやテーブルやファイルやデータベースやウェブページ用ファイル等を格納する。
【0040】
これら記憶部106の各構成要素のうち、タンパク質構造データベース106aは、タンパク質のアミノ酸配列情報(一次構造データ)や立体構造データ(構成原子の3次元座標データ等)や各種のアノテーション情報を格納したデータベースである。タンパク質構造データベース106aは、インターネットを経由してアクセスする外部のデータベースであってもよく、また、これらのデータベースをコピーしたり、オリジナルの配列情報を格納したり、さらに独自のアノテーション情報等を付加したりして作成したインハウスデータベースであってもよい。
【0041】
また、処理結果データ106bは、処理結果データに関する情報等を格納する処理結果データ格納手段である。
【0042】
また、図2において、通信制御インターフェース部104は、タンパク質相互作用情報処理装置100とネットワーク300(またはルータ等の通信装置)との間における通信制御を行う。すなわち、通信制御インターフェース部104は、他の端末と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。
【0043】
また、図2において、入出力制御インターフェース部108は、入力装置112や出力装置114の制御を行う。ここで、出力装置114としては、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカを用いることができる(なお、以下においては出力装置114をモニタとして記載する場合がある)。また、入力装置112としては、キーボード、マウス、および、マイク等を用いることができる。また、モニタも、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現する。
【0044】
また、図2において、制御部102は、OS(Operating System)等の制御プログラム、各種の処理手順等を規定したプログラム、および所要データを格納するための内部メモリを有し、これらのプログラム等により、種々の処理を実行するための情報処理を行う。制御部102は、機能概念的に、構造データ取得部102a、溶媒接触面特定部102b、疎水面特定部102c、静電相互作用部位特定部102d、相互作用部位特定部102e、および、相互作用予測部102fを備えて構成されている。
【0045】
このうち、構造データ取得部102aは、相互作用する複数のタンパク質の一次構造データと単体時および/または複合体形成時の立体構造データとを含む構造データを取得する構造データ取得手段である。また、溶媒接触面特定部102bは、構造データ取得手段にて取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に溶媒接触面を特定する溶媒接触面特定手段である。
【0046】
また、疎水面特定部102cは、構造データ取得手段にて取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを特定する疎水面特定手段である。また、静電相互作用部位特定部102dは、構造データ取得手段にて取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを特定する静電相互作用部位特定手段である。
【0047】
また、相互作用部位特定部102eは、溶媒接触面特定手段にて特定された溶媒接触面、疎水面特定手段にて特定された疎水性相互作用エネルギー、および、静電相互作用部位特定手段にて特定された静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高いアミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定する相互作用部位特定手段である。
【0048】
また、相互作用予測部102fは、相互作用部位特定手段にて特定された相互作用部位について、相互作用する相手側の一次配列を特定し、当該一次配列を含む一次構造を持つ候補タンパク質を検索する候補タンパク質検索部102gを備え、候補タンパク質検索手段にて検索された候補タンパク質について、構造データ取得手段、溶媒接触面特定手段、疎水面特定手段、静電相互作用部位特定手段、および、相互作用部位特定手段を実行することにより、相手側の一次配列の部分が候補タンパク質の相互作用部位として特定されるか否かを確認する手段である。なお、これら各部によって行なわれる処理の詳細については、後述する。
【0049】
[システムの処理]
次に、このように構成された本実施の形態における本システムの処理の一例について、以下に図3〜図12を参照して詳細に説明する。
【0050】
[メイン処理]
まず、メイン処理の詳細について図3を参照して説明する。図3は、本実施形態における本システムのメイン処理の一例を示すフローチャートである。
【0051】
タンパク質相互作用情報処理装置100は、構造データ取得部102aの処理により、タンパク質構造データベース106aまたは外部システム200の外部データベース(例えば、PDB(Protein Data Bank)など)にアクセスして、相互作用する複数のタンパク質の一次構造データと単体時および/または複合体形成時の立体構造データとを含む構造データを取得する(ステップSA−1)。ここで、取得する構造データは、相互作用する複数のタンパク質の単独時の構造データと複合体形成時の構造データの双方を含む場合と、相互作用する複数のタンパク質の単独時の構造データのみの場合を含む。
【0052】
ついで、タンパク質相互作用情報処理装置100は、複合体時の構造データがある場合には溶媒接触面特定部102bの処理により、図4を用いて後述するように、相互作用する複数のタンパク質の単独時の構造データと複合体形成時の構造データの双方に従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に溶媒接触面を特定する(ステップSA−2)。ここで、溶媒接触面特定処理の詳細について図4を参照して説明する。図4は、本実施形態における本システムの溶媒接触面特定処理の一例を示すフローチャートである。
【0053】
まず、溶媒接触面特定部102bは、各残基について、単体時の溶媒接触面積Sisolatedを計算する(ステップSB−1)。ここで、本発明において溶媒接触面積を求める手法については既知のいずれの手法を用いてもよく、例えば、文献1(“Numerical Calculation of Molecular Surface Area. I. Assessment of Errots”A. A. Bliznyuk and J.E. Gready, J.Comput. Chem.,17,962−969(1996).)や、文献2(“Numerical Calculation of Molecular Surface Area.II. Assessment ofErrots”A. A.Bliznyuk and J.E.Gready,J.Comput. Chem.,17,970−975(1996).)に開示された手法を用いてもよい。
【0054】
ついで、溶媒接触面特定部102bは、各残基について、複合体形成時の溶媒接触面積Scomplexを計算する(ステップSB−2)。
【0055】
ついで、溶媒接触面特定部102bは、各残基について、単体時の溶媒接触面積Sisolatedと、複合体形成時の溶媒接触面積Scomplexの差分を計算する(ステップSB−3)。これにて、溶媒接触面特定処理が終了する。
【0056】
再び図3に戻り、タンパク質相互作用情報処理装置100は、疎水面特定部102cの処理により、図5を用いて後述するように、相互作用する複数のタンパク質の単独時の構造データと複合体形成時の構造データの双方に従って、タンパク質の一次構造を構成する各アミノ酸残基および原子毎の疎水性パラメータなどに基づいて、各残基および原子毎に疎水性相互作用エネルギーを計算し疎水面を特定する(ステップSA−3)。例えば、アミノ酸残基がLysの場合は、ε位の窒素Nとそれに結合している水素Hは親水的とし、β、γ、δ位の炭素Cとそれに結合している水素Hは疎水的とする。
【0057】
ここで、疎水面特定処理の詳細について図5を参照して説明する。図5は、本実施形態における本システムの疎水面特定処理の一例を示すフローチャートである。本例では、タンパク質Aとタンパク質Bとが相互作用する場合を一例に説明する。
【0058】
まず、疎水面特定部102cは、数式1により疎水面の減少量を計算する(ステップSC−1)。
ΔShydrophobic=ShydrophobicA + ShydrophobicB − ShydrophobicAB ・・・数式1
【0059】
ここで、ΔShydrophobicは疎水面の減少量であり、ShydrophobicAはタンパク質A単体時の疎水面の面積であり、ShydrophobicBはタンパク質B単体時の疎水面の面積であり、ShydrophobicABはタンパク質Aとタンパク質Bが複合体を形成した時の疎水面の面積である。
【0060】
そして、疎水面特定部102cは、数式2により疎水性相互作用エネルギーEhydrophobicを計算する。
hydrophobic=k×ΔShydrophobic           ・・・数式2
ここで、k=24cal/mol・Åである
(参考”Quantification of the hydrophobic interaction by simulations of the aggregation of small hydrophobic solutions in watar ”,T.M.Raschke,J Tsai and M.Levitt, PNAS, 98, 5965−5969 (2001))。
【0061】
そして、疎水面特定部102cは、予め定めた閾値を超える疎水性相互作用エネルギーであるアミノ酸残基部位を疎水面として特定する(ステップSC−3)。これにて、疎水面特定処理が終了する。
【0062】
再び図3に戻り、タンパク質相互作用情報処理装置100は、静電相互作用部位特定部102dの処理により、図6を用いて後述するように、相互作用する複数のタンパク質の単独時の構造データと複合体形成時の構造データの双方に従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを特定する(ステップSA−4)。ここで、静電相互作用部位特定処理の詳細について図6を参照して説明する。図6は、本実施形態における本システムの静電相互作用部位特定処理の一例を示すフローチャートである。
【0063】
まず、静電相互作用部位特定部102dは、数式3により各残基について静電相互作用エネルギーEを計算する(ステップSD−1)。
【数1】
Figure 2004086862
【0064】
ここで、εは分子内部における誘電率であり、qは部分電荷であり、iとjは原子を示す添え字であり、Rは原子iと原子jの間の距離である。Eは静電相互作用であり、分子内部の極性部位およびイオン化して荷電している部位間の相互作用を原子核上に部分電荷を置くことで近似している。これにて、静電相互作用部位特定処理が終了する。
【0065】
再び図3に戻り、タンパク質相互作用情報処理装置100は、相互作用部位特定部102eの処理により、図7を用いて後述するように、溶媒接触面、疎水性相互作用エネルギー、および、静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い上記アミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定する(ステップSA−5)。ここで、相互作用部位特定処理の詳細について図7を参照して説明する。図7は、本実施形態における本システムの相互作用部位特定処理の一例を示すフローチャートである。
【0066】
まず、相互作用部位特定部102eは、溶媒接触面積の差ΔSが予め定めた閾値を超える部位を特定する(ステップSE−1)。
【0067】
次に、相互作用部位特定部102eは、疎水性相互作用エネルギーEhydrophobicが予め定めた閾値を超える部位を特定する(ステップSE−2)。
【0068】
次に、相互作用部位特定部102eは、静電相互作用エネルギーEが予め定めた閾値を超える部位を特定する(ステップSE−3)。これにて、相互作用部位特定処理が終了する。これにて、メイン処理が終了する。
【0069】
[相互作用部位予測処理]
次に、相互作用部位予測処理の詳細について図8を参照して説明する。図8は、本実施形態における本システムの相互作用部位予測処理の一例を示すフローチャートである。
【0070】
まず、タンパク質相互作用情報処理装置100は、上述したメイン処理により相互作用部位を特定する(ステップSF−1)。
【0071】
ついで、相互作用予測部102fは、候補タンパク質検索部102gの処理により、ステップSF−1で特定した相互作用部位と相互作用する相手側の一次配列(同一タンパク質内の配列を含む)を特定し(ステップSF−2)、当該一次配列を含む一次構造を持つ候補タンパク質を検索する(ステップSF−3)。
【0072】
ついで、相互作用予測部102fは、候補タンパク質について、上述した構造データ取得処理、溶媒接触面特定処理(複合体時の構造データがある場合)、疎水面特定処理、静電相互作用部位特定処理、および、相互作用部位特定処理を実行することにより、相手側の一次配列の部分が候補タンパク質の相互作用部位として特定されるか否かを確認する(ステップSF−4)。これにて、相互作用部位予測処理が終了する。
【0073】
[実施例1]
次に、実施例1の詳細について図9〜図14を参照して説明する。実施例1は、タンパク質として「barnase」と「barstar」とを用いて相互作用部位を特定する場合を一例に説明する。
【0074】
図9は、タンパク質相互作用情報処理装置100が、溶媒接触面特定部102bの処理により、barnase−barstar複合体の結晶構造に基づき、barnaseについて各アミノ酸残基毎に溶媒接触面積の差ΔSを計算した処理図である。本図に示すように、barnaseの一次構造のうち、38番目、59番目、83番目、および、102番目のアミノ酸残基の差ΔSが大きく、barnaseはこの部位でbarstarと相互作用していることが特定できる。
【0075】
また、図10は、タンパク質相互作用情報処理装置100が、疎水面特定部102cの処理により、barnase単体の結晶構造に基づき、barnaseについて各アミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを計算した処理図である。本図に示すように、82番目のアミノ酸残基の疎水相互作用エネルギーが高く、この付近で相互作用の可能性があることを示している。
【0076】
また、図11は、タンパク質相互作用情報処理装置100が、静電相互作用特定部102dの処理により、barnase単体の結晶構造に基づき、barnaseについて各アミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを計算した処理図である。本図に示すように、59番目、66番目、83番目、および、102番目のアミノ酸残基の静電相互作用エネルギーが高く、この付近で相互作用の可能性があることを示している。
【0077】
また、図12は、タンパク質相互作用情報処理装置100が、溶媒接触面特定部102bの処理により、barnase−barstar複合体の結晶構造に基づき、barstarについて各アミノ酸残基毎に溶媒接触面積の差ΔSを計算した処理図である。本図に示すように、barstarの一次構造のうち、30番目、36番目、40番目、45番目、47番目、および、77番目のアミノ酸残基の差ΔSが大きく、barstarはこの部位でbarnaseと相互作用していることが特定できる。
【0078】
また、図13は、タンパク質相互作用情報処理装置100が、疎水面特定部102cの処理により、barstar単体の結晶構造に基づき、barstarについて各アミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを計算した処理図である。本図に示すように、30番目のアミノ酸残基の疎水相互作用エネルギーが高く、この付近で相互作用の可能性があることを示している。
【0079】
また、図14は、タンパク質相互作用情報処理装置100が、静電相互作用特定部102dの処理により、barstar単体の結晶構造に基づき、barstarについて各アミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを計算した処理図である。本図に示すように、35番目、39番目、58番目、65番目、77番目、および、80番目のアミノ酸残基の静電相互作用エネルギーが高く、この付近で相互作用の可能性があることを示している。
【0080】
タンパク質相互作用情報処理装置100は、相互作用作用部位特定部102eの処理により、図10、図11に示す結果に基づいて、barnaseについては59番目、66番目、82番目、83番目、および、102番目アミノ酸残基残基が相互作用候補部位であると特定する。このことは、図9に示す相互作用部位の複合体における既知情報の結果と良く一致しており、タンパク質単体構造から複合体形成時における結合部位を予測できることを示している。また、タンパク質相互作用情報処理装置100は、相互作用作用部位特定部102eの処理により、図13、図14に示す結果に基づいて、barstarについては30番目、35番目、39番目、58番目、65番目、77番目、および、80番目のアミノ酸残基残基が相互作用候補部位であると特定する。このことは、図12に示す相互作用部位の複合体における既知情報の結果と良く一致しており、同様に、タンパク質単体構造から複合体形成時における結合部位を予測できることを示している。これにて、実施例1が終了する。
【0081】
[実施例2]
次に、実施例2の詳細について図15〜図20を参照して説明する。実施例2は、タンパク質としてRibonucleaseとそのInhibitorとを用いて相互作用部位を特定する場合を一例に説明する。
【0082】
図15は、タンパク質相互作用情報処理装置100が、溶媒接触面特定部102bの処理により、Ribonuclease−inhibitor複合体の結晶構造に基づき、Ribonucleaseについて各アミノ酸残基毎に溶媒接触面積の差ΔSを計算した処理図である。本図に示すように、Ribonucleaseの一次構造のうち、39番目のアミノ酸残基の差ΔSが大きく、Ribonucleaseはこの部位でinhibitorと相互作用していることが特定できる。
【0083】
また、図16は、タンパク質相互作用情報処理装置100が、疎水面特定部102cの処理により、Ribonuclease単体の結晶構造に基づき、Ribonucleaseについて各アミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを計算した処理図である。本図に示すように、疎水性相互作用エネルギーに関しては際立ったピークは判別できない。
【0084】
また、図17は、タンパク質相互作用情報処理装置100が、静電相互作用特定部102dの処理により、Ribonuclease単体の結晶構造に基づき、Ribonucleaseについて各アミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを計算した処理図である。本図に示すように、1番目、7番目、および、39番目のアミノ酸残基の静電相互作用エネルギーが高く、この付近で相互作用の可能性があることを示している。
【0085】
また、図18は、タンパク質相互作用情報処理装置100が、溶媒接触面特定部102bの処理により、Ribonuclease−inhibitor複合体の結晶構造に基づき、inhibitorについて各アミノ酸残基毎に溶媒接触面積の差ΔSを計算した処理図である。本図に示すように、inhibitorの一次構造のうち、433番目のアミノ酸残基の差ΔSが大きく、inhibitorはこの部位でRibonucleaseと相互作用していることが特定できる。
【0086】
また、図19は、タンパク質相互作用情報処理装置100が、疎水面特定部102cの処理により、inhibitor単体の結晶構造に基づき、inhibitorについて各アミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを計算した処理図である。本図に示すように、433番目のアミノ酸残基の疎水相互作用エネルギーが高く、この付近で相互作用の可能性があることを示している。
【0087】
また、図20は、タンパク質相互作用情報処理装置100が、静電相互作用特定部102dの処理により、inhibitor単体の結晶構造に基づき、inhibitorについて各アミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを計算した処理図である。本図に示すように、433番目付近のアミノ酸残基の静電相互作用エネルギーが高く、この付近で相互作用の可能性があることを示している。
【0088】
タンパク質相互作用情報処理装置100は、相互作用作用部位特定部102eの処理により、図16、図17に示す結果に基づいて、Ribonucleaseについては1番目、7番目、および、39番目アミノ酸残基残基が相互作用候補部位であると特定する。このことは、図15に示す相互作用部位の複合体における既知情報の結果と良く一致しており、タンパク質単体構造から複合体形成時における結合部位を予測できることを示している。また、タンパク質相互作用情報処理装置100は、相互作用作用部位特定部102eの処理により、図19、図20に示す結果に基づいて、inhibitorについては433番目のアミノ酸残基残基が相互作用候補部位であると特定する。このことは、図18に示す相互作用部位の複合体における既知情報の結果と良く一致しており、同様に、タンパク質単体構造から複合体形成時における結合部位を予測できることを示している。これにて、実施例2が終了する。
【0089】
[他の実施の形態]
さて、これまで本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態以外にも、上記特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施の形態にて実施されてよいものである。
【0090】
本実施例においては、相互作用するタンパク質の単体時および複合体時の構造データを用いて溶媒接触面を特定した結果と、単体時の構造データを用いて疎水性相互作用および静電相互作用を求めた結果との間に相関があることを示している。しかしながら、単体時の構造データのみを用いて疎水性相互作用および静電相互作用を求めた場合であっても本発明の効果を得ることができることは自明である。
【0091】
また、例えば、タンパク質相互作用情報処理装置100がスタンドアローンの形態で処理を行う場合を一例に説明したが、タンパク質相互作用情報処理装置100とは別筐体で構成されるクライアント端末からの要求に応じて処理を行い、その処理結果を当該クライアント端末に返却するように構成してもよい。
【0092】
また、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0093】
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0094】
また、タンパク質相互作用情報処理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
例えば、タンパク質相互作用情報処理装置100の各部または各装置が備える処理機能、特に制御部102にて行なわれる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現することができ、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現することも可能である。なお、プログラムは、後述する記録媒体に記録されており、必要に応じてタンパク質相互作用情報処理装置100に機械的に読み取られる。
【0095】
すなわち、ROMまたはHDなどの記憶部106などには、OS(Operating System)と協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAM等にロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部102を構成する。また、このコンピュータプログラムは、タンパク質相互作用情報処理装置100に対して任意のネットワーク300を介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記録されてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0096】
また、本発明にかかるプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD−ROM、MO、DVD等の任意の「可搬用の物理媒体」や、各種コンピュータシステムに内蔵されるROM、RAM、HD等の任意の「固定用の物理媒体」、あるいは、LAN、WAN、インターネットに代表されるネットワークを介してプログラムを送信する場合の通信回線や搬送波のように、短期にプログラムを保持する「通信媒体」を含むものとする。
【0097】
また、「プログラム」とは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OS(Operating System)に代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施の形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成、読み取り手順、あるいは、読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0098】
記憶部106に格納される各種のデータベース等(タンパク質構造データベース106aおよび処理結果データ106b)は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラムやテーブルやファイルやデータベースやウェブページ用ファイル等を格納する。
【0099】
また、タンパク質相互作用情報処理装置100は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処理端末等の情報処理装置にプリンタやモニタやイメージスキャナ等の周辺装置を接続し、該情報処理装置に本発明の方法を実現させるソフトウェア(プログラム、データ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0100】
さらに、タンパク質相互作用情報処理装置100の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷等に応じた任意の単位で、機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、各データベースを独立したデータベース装置として独立に構成してもよく、また、処理の一部をCGI(Common Gateway Interface)を用いて実現してもよい。
【0101】
また、ネットワーク300は、タンパク質相互作用情報処理装置100と外部システム200とを相互に接続する機能を有し、例えば、インターネットや、イントラネットや、LAN(有線/無線の双方を含む)や、VANや、パソコン通信網や、公衆電話網(アナログ/デジタルの双方を含む)や、専用回線網(アナログ/デジタルの双方を含む)や、CATV網や、IMT2000方式、GSM方式またはPDC/PDC―P方式等の携帯回線交換網/携帯パケット交換網や、無線呼出網や、Bluetooth等の局所無線網や、PHS網や、CS、BSまたはISDB等の衛星通信網等のうちいずれかを含んでもよい。すなわち、本システムは、有線・無線を問わず任意のネットワークを介して、各種データを送受信することができる。
【0102】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、相互作用する複数のタンパク質の一次構造データと単体時および/または複合体形成時の立体構造データとを含む構造データを取得し、取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを特定し、取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを特定し、特定された疎水性相互作用エネルギー、および、静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高いアミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定するので、構造データによりタンパク質の相互作用部位を容易に特定することができるタンパク質相互作用情報処理装置、タンパク質相互作用情報処理方法、プログラム、および、記録媒体を提供することができる。
【0103】
また、本発明によれば、取得した構造データに従って、一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に溶媒接触面を特定し、特定された溶媒接触面、疎水性相互作用エネルギー、および、静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高いアミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定するので、複合体時の構造データがある場合に、タンパク質の相互作用部位をさらに正確かつ容易に特定することができるタンパク質相互作用情報処理装置、タンパク質相互作用情報処理方法、プログラム、および、記録媒体を提供することができる。
【0104】
さらに、本発明によれば、相互作用部位特定手段にて特定された相互作用部位について、相互作用する相手側の一次配列を特定し、当該一次配列を含む一次構造を持つ候補タンパク質を検索し、検索された候補タンパク質について、上述した構造データ取得手段、溶媒接触面特定手段(複合体時の構造データがある場合)、疎水面特定手段、静電相互作用部位特定手段、および、相互作用部位特定手段を実行することにより、相手側の一次配列の部分が候補タンパク質の相互作用部位として特定されるか否かを確認するので、未知の相互作用を予測することが容易にできるタンパク質相互作用情報処理装置、タンパク質相互作用情報処理方法、プログラム、および、記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本原理を示す原理構成図である。
【図2】本発明が適用される本システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における本システムのメイン処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態における本システムの溶媒接触面特定処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態における本システムの疎水面特定処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】本実施形態における本システムの静電相互作用部位特定処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】本実施形態における本システムの相互作用部位特定処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本実施形態における本システムの相互作用部位予測処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】タンパク質相互作用情報処理装置100が、溶媒接触面特定部102bの処理により、barnase−barstar複合体の結晶構造に基づき、barnaseについて各アミノ酸残基毎に溶媒接触面積の差ΔSを計算した処理図である。
【図10】タンパク質相互作用情報処理装置100が、疎水面特定部102cの処理により、barnase単体の結晶構造に基づき、barnaseについて各アミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを計算した処理図である。
【図11】タンパク質相互作用情報処理装置100が、静電相互作用特定部102dの処理により、barnase単体の結晶構造に基づき、barnaseについて各アミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを計算した処理図である。
【図12】タンパク質相互作用情報処理装置100が、溶媒接触面特定部102bの処理により、barnase−barstar複合体の結晶構造に基づき、barstarについて各アミノ酸残基毎に溶媒接触面積の差ΔSを計算した処理図である。
【図13】タンパク質相互作用情報処理装置100が、疎水面特定部102cの処理により、barstar単体の結晶構造に基づき、barstarについて各アミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを計算した処理図である。
【図14】タンパク質相互作用情報処理装置100が、静電相互作用特定部102dの処理により、barstar単体の結晶構造に基づき、barstarについて各アミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを計算した処理図である。
【図15】タンパク質相互作用情報処理装置100が、溶媒接触面特定部102bの処理により、Ribonuclease−inhibitor複合体の結晶構造に基づき、Ribonucleaseについて各アミノ酸残基毎に溶媒接触面積の差ΔSを計算した処理図である。
【図16】タンパク質相互作用情報処理装置100が、疎水面特定部102cの処理により、Ribonuclease単体の結晶構造に基づき、Ribonucleaseについて各アミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを計算した処理図である。
【図17】タンパク質相互作用情報処理装置100が、静電相互作用特定部102dの処理により、Ribonuclease単体の結晶構造に基づき、Ribonucleaseについて各アミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを計算した処理図である。
【図18】タンパク質相互作用情報処理装置100が、溶媒接触面特定部102bの処理により、Ribonuclease−inhibitor複合体の結晶構造に基づき、inhibitorについて各アミノ酸残基毎に溶媒接触面積の差ΔSを計算した処理図である。
【図19】タンパク質相互作用情報処理装置100が、疎水面特定部102cの処理により、inhibitor単体の結晶構造に基づき、inhibitorについて各アミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを計算した処理図である。
【図20】タンパク質相互作用情報処理装置100が、静電相互作用特定部102dの処理により、inhibitor単体の結晶構造に基づき、inhibitorについて各アミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを計算した処理図である。
【符号の説明】
100 タンパク質相互作用情報処理装置
102 制御部
102a 構造データ取得部
102b 溶媒接触面特定部
102c 疎水面特定部
102d 静電相互作用部位特定部
102e 相互作用部位特定部
102f 相互作用予測部
102g 候補タンパク質検索部
104 通信制御インターフェース部
106 記憶部
106a タンパク質構造データベース
106b 処理結果データ
108 入出力制御インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 外部システム
300 ネットワーク

Claims (10)

  1. 相互作用する複数のタンパク質の一次構造データと単体時および/または複合体形成時の立体構造データとを含む構造データを取得する構造データ取得手段と、
    上記構造データ取得手段にて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを特定する疎水面特定手段と、
    上記構造データ取得手段にて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを特定する静電相互作用部位特定手段と、
    上記疎水面特定手段にて特定された上記疎水性相互作用エネルギー、および、上記静電相互作用部位特定手段にて特定された上記静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い上記アミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定する相互作用部位特定手段と、
    を備えたことを特徴とするタンパク質相互作用情報処理装置。
  2. 上記構造データ取得手段にて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に溶媒接触面を特定する溶媒接触面特定手段、
    をさらに備え、
    上記相互作用部位特定手段は、上記溶媒接触面特定手段にて特定された上記溶媒接触面、上記疎水面特定手段にて特定された上記疎水性相互作用エネルギー、および、上記静電相互作用部位特定手段にて特定された上記静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い上記アミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定することを特徴とする請求項1に記載のタンパク質相互作用情報処理装置。
  3. 上記相互作用部位特定手段にて特定された上記相互作用部位について、相互作用する相手側の一次配列を特定し、当該一次配列を含む一次構造を持つ候補タンパク質を検索する候補タンパク質検索手段、
    をさらに備え、
    上記候補タンパク質検索手段にて検索された上記候補タンパク質について、上記相手側の一次配列の部分が上記候補タンパク質の相互作用部位として特定されるか否かを確認することを特徴とする請求項1または2に記載のタンパク質相互作用情報処理装置。
  4. 相互作用する複数のタンパク質の一次構造データと単体時および/または複合体形成時の立体構造データとを含む構造データを取得する構造データ取得ステップと、
    上記構造データ取得ステップにて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを特定する疎水面特定ステップと、
    上記構造データ取得ステップにて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを特定する静電相互作用部位特定ステップと、
    上記疎水面特定ステップにて特定された上記疎水性相互作用エネルギー、および、上記静電相互作用部位特定ステップにて特定された上記静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い上記アミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定する相互作用部位特定ステップと、
    を含むことを特徴とするタンパク質相互作用情報処理方法。
  5. 上記構造データ取得ステップにて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に溶媒接触面を特定する溶媒接触面特定ステップ、
    をさらに含み、
    上記相互作用部位特定ステップは、上記溶媒接触面特定ステップにて特定された上記溶媒接触面、上記疎水面特定ステップにて特定された上記疎水性相互作用エネルギー、および、上記静電相互作用部位特定ステップにて特定された上記静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い上記アミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定することを特徴とする請求項4に記載のタンパク質相互作用情報処理方法。
  6. 上記相互作用部位特定ステップにて特定された上記相互作用部位について、相互作用する相手側の一次配列を特定し、当該一次配列を含む一次構造を持つ候補タンパク質を検索する候補タンパク質検索ステップ、
    をさらに含み、
    上記候補タンパク質検索ステップにて検索された上記候補タンパク質について、上記相手側の一次配列の部分が上記候補タンパク質の相互作用部位として特定されるか否かを確認することを特徴とする請求項4または5に記載のタンパク質相互作用情報処理方法。
  7. 相互作用する複数のタンパク質の一次構造データと単体時および/または複合体形成時の立体構造データとを含む構造データを取得する構造データ取得ステップと、
    上記構造データ取得ステップにて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に疎水性相互作用エネルギーを特定する疎水面特定ステップと、
    上記構造データ取得ステップにて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に静電相互作用エネルギーを特定する静電相互作用部位特定ステップと、
    上記疎水面特定ステップにて特定された上記疎水性相互作用エネルギー、および、上記静電相互作用部位特定ステップにて特定された上記静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い上記アミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定する相互作用部位特定ステップと、
    を含むタンパク質相互作用情報処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  8. 上記構造データ取得ステップにて取得した上記構造データに従って、上記一次構造データを構成するアミノ酸残基毎に溶媒接触面を特定する溶媒接触面特定ステップ、
    をさらに含み、
    上記相互作用部位特定ステップは、上記溶媒接触面特定ステップにて特定された上記溶媒接触面、上記疎水面特定ステップにて特定された上記疎水性相互作用エネルギー、および、上記静電相互作用部位特定ステップにて特定された上記静電相互作用エネルギーに基づいて不安定性の高い上記アミノ酸残基の部位を特定することにより相互作用部位を特定することを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
  9. 上記相互作用部位特定ステップにて特定された上記相互作用部位について、相互作用する相手側の一次配列を特定し、当該一次配列を含む一次構造を持つ候補タンパク質を検索する候補タンパク質検索ステップ、
    をさらに含み、
    上記候補タンパク質検索ステップにて検索された上記候補タンパク質について、上記相手側の一次配列の部分が上記候補タンパク質の相互作用部位として特定されるか否かを確認することを特徴とする請求項7または8に記載のプログラム。
  10. 上記請求項7から9のいずれか一つに記載されたプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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