JP2004086248A - 分散媒質の電磁界の見積もり方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対象とする領域を微小領域に分け、それぞれに微小領域について、電磁界のマックスウェル方程式に時間領域有限差分法(FDTD)を適用して、1)磁界ベクトルを、時間的に前の磁界ベクトルと、時間的に前の電界ベクトルとを用いて演算装置で計算し、2)電荷成分を、時間的に前の電界ベクトルと、時間的に前の電荷成分とを用いて演算装置で計算し、3)電界ベクトル、を磁界ベクトル、時間的に前の電界ベクトル、電荷成分、時間的に前の電荷成分とを用いて演算装置で計算するステップにより、逐次、時間にそって数値解法により電界を求める。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、予め与えられた境界条件から電磁界の分布あるいは電磁界の伝播を、入力装置と記憶装置と演算装置と出力装置とを備えた計算装置を用いて見積もることのできる分散媒質の電磁界の見積もり方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】数値解析により電磁界を見積る方法としては、時間領域有限差分法(FDTD:Finite Difference Time Domain)がよく知られており、これは文献1(R.J. Luebbers, F. Hunsberger, K. S. Kunz, R. B. Standler, and M. Schneider, “A frequency−dependent finite−difference time−domain formulation for dispersivematerials,” IEEE Trans. Electromagn. Compat.,vol. 32, pp. 222−227, Aug. 1990.)で報告されている。また、FDTDを拡張して分散媒質を取り扱いできるような方法として、文献2(M.D. Bui, S. S. Stuchly, and G. I. Costache, “Propagation of transients indispersive dielectric media,” IEEE Trans. Microwave Theory Tech., vol. 39, pp.1165−1172, July 1991.)に記載された再帰的畳込(RC:Recursive Convolution)法や、文献3(T. Kashiwa, N.Yoshida, and I. Fukai, “A treatment by the finite−difference time−domainmethod of the dispersive characteristics associated with orientationpolarization,” Trans. IEICE, vol. E73, no. 8, pp. 1326−1328, 1990.)補助微分方程式(ADE:AuxiliaryDifferential Equation)法、あるいは、文献4(D. M. Sullivan, “Frequency−dependent FDTDmethods using Z transforms,” IEEE Trans. Antennas Propagat., vol. 40, pp.1223−1230, Oct. 1992.)に記載されたZ変換(ZT:Z−transform)法等が知られている。これらは、入力装置と記憶装置と演算装置と出力装置とを備えたコンピュータに適用される。
【0003】
この中で、RC法が用いるメモリ容量がもっとも少なくてすむ方法であるが、正確さにおいては、ADE法やZT法には及ばない。しかし、RC法でも、最近になって文献5(D.F. Kelley and R. J. Luebbers, “Piecewise linear recursive convolution fordispersive media using FDTD,” IEEE Trans. Antennas Propagat., vol. 44, pp.792−797, June 1996.)で報告されているように、部分的に線形の再帰的畳込(PLRC:Piecewise−Linear RecursiveConvolution)法を適用することにより、ADE法やZT法に匹敵する精度で法取り扱うことができるようになってきた。また、逆にADE法やZT法でもRC法に匹敵する程度に必要なメモリ容量が少なくなってきている。他の特徴としては、ADE法では、異なる分散媒質(ローレンツ媒体とデバイ媒体)を取り扱う時には、異なる取り扱いが必要であるが、RC法やPLRC法では、同じ取り扱いで見積ることができる。また、数学的にはADE法がもっとも簡素な取り扱いですむことが知られている。
【0004】
ADE法に関しては、多重極のローレンツ媒体やデバイ媒体用の3種類のアルゴリズムが文献6(M. Okoniewski, M. Mrozowski, andM. A. Stuchly, “Simple treatment of multi−term dispersion in FDTD,” IEEEMicrowave Guided Wave Lett., vol. 7, pp. 121−123, May 1997.)に報告されている。1)DADES(DebyeADE Syncronized)法、2)LADES(Lorentz ADE Syncronized)法、3)LADEP(Lorentz ADEPartially Syncronized)法である。DADES法においては、有限差分表現で半陰性の形式を用いて完全な時間同期が取られている。LADES法においては、全時間での同期は行われているが、これには、さらに以前の電界成分を保存しておく必要がある。LEDEP法においては、さらに以前の電界成分を保存しておく必要はないが、計算はLEDES法より正確でない。これは、同期が部分的であるためである。
【0005】
従来の数値解析により電磁界を見積る方法においては、電界ベクトルと磁界ベクトルと電流ベクトルとに対応した漸化式が用いられてきた。これに対し、本発明では、電界ベクトルと磁界ベクトルと電荷成分とに対応した漸化式を用いることにより、完全な同期をとりながら使用するメモリ領域を減少させることができ、また、デバイ媒体とローレンツ媒体とを、同じアルゴリズムで取り扱うことができるようになった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電磁界の計算方法では、ローレンツ媒体やデバイ媒体用の混成媒体については、同じアルゴリズムで扱うことはできなかったため、別々の計算が必要であり、正確な見積りができなかった。
【0007】
この発明は上記に鑑み提案されたもので、ローレンツ媒体やデバイ媒体用の混成媒体についても、同じアルゴリズムで扱うことが可能であり、したがって同時の計算が可能となり、それぞれの媒体の相互作用も取りいれられるため、正確な見積りができる分散媒質の電磁界の見積もり方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明における第1の発明は、予め与えられた境界条件から電磁界の分布あるいは電磁界の伝播を、入力装置と記憶装置と演算装置と出力装置とを備えた計算装置を用いて見積もる方法であって、見積もり対象とする領域を微小領域に分割し、その座標を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、各微小領域の誘電率と透磁率を設定し、それらの値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、入射電磁界の波長を設定し、その値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、入射電磁界を与える微小領域を設定し、それらの座標と入射電磁界の強度と位相とを上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、を含む処理を行い、見積もり対象とする微小領域の、電界ベクトルと磁界ベクトルと電荷成分とを用いて、各微小領域について、電磁界のマックスウェル方程式に時間領域有限差分法(FDTD:FiniteDifference Time Domain)を適用して、1)磁界ベクトルを、時間的に前の磁界ベクトルと、時間的に前の電界ベクトルとを用いて演算装置で計算し、2)電荷成分を、時間的に前の電界ベクトルと、時間的に前の電荷成分とを用いて演算装置で計算し、3)電界ベクトル、を磁界ベクトル、時間的に前の電界ベクトル、電荷成分、時間的に前の電荷成分とを用いて演算装置で計算するステップにより逐次、電界を時間にそって数値解法により求め、最後の結果を出力装置で出力することを特徴としている。
【0009】
また、本発明における第2の発明は、ローレンツ媒体の電磁界を見積る方法で、後に述べる数23、数24および数25の漸化式に基づいて計算することを特徴としている。
【0010】
また、本発明における第3の発明は、デバイ媒体の電磁界を見積る方法で、後に述べる数23、数25および数35の漸化式に基づいて計算することを特徴としている。
【0011】
また、本発明における第4の発明は、デバイ媒体の電磁界を見積る方法で、後に述べる数25、数40および数41の漸化式に基づいて計算することを特徴としている。
【0012】
また、本発明における第5の発明は、ローレンツ媒体とデバイ媒体とが混在する場合の電磁界を見積る方法で、ローレンツ媒体部分については、後に述べる数23、数24および数25を適用し、デバイ媒体については、数23、数25および数33、あるいは、数25、数40および数41の漸化式を用いて計算することを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の原理を説明し、次にコンピュータに適用する場合のアルゴリズムについて説明する。
【0014】
以下の様に、電荷を内部に持たない場合を想定する。この電磁界のマックスウェルの方程式は、次の様になる。
【0015】
【数17】
【0016】
【数18】
【0017】
[ローレンツ媒体]
ここで、ローレンツ分散特性をもったローレンツ媒体については、次の様に計算する。ωpをp番目の分極対の共鳴周波数、Apをその振幅、δpを減衰率、εsを静電気的な誘電率、ε∞を周波数無限大での誘電率、また、Δε=εs−ε∞とするとき、p対の分極対があるローレンツ媒質の誘電率は周波数座標で次の様になることが知られている。
【0018】
【数19】
【0019】
角周波数ωでは、
【数20】
とするとき、周波数座標でのアンペアの法則は次の様になる。
【0020】
【数21】
ここで、
【0021】
【数22】
である。
【0022】
ここで、数21あるいは数22は、逆フーリエ変換をとり、時間についての差分表現にすると、次のようになる。
【0023】
【数23】
【0024】
【数24】
本発明のFDTD法では、数17から磁場は次の差分漸化式になる。
【0025】
【数25】
【0026】
これらの数23から数25を用いてベクトルEnからベクトルEn+1を求める手順を、図1を用いて説明する。
1)ベクトルHn−1/2とベクトルEnからベクトルHn+1/2を求める。
2)ベクトルQp n−1とベクトルQp nとベクトルEnからベクトルQp n+1を求める。
3)ベクトルHn+1/2とベクトルEnとベクトルQp n+1とベクトルQp nからベクトルEn+1を求める。
【0027】
これに対し、LADES法による従来の方法では、数21に対応する磁場の差分漸化式を次のようにしている。
【数26】
また、数22に対応する電流の差分漸化式は、
【0028】
【数27】
である。
完全に時間同期を取ったFDTD法では、漸化式は、次のようになる。
【0029】
【数28】
電流に関しては、
【0030】
【数29】
ここで、
【0031】
【数30】
【0032】
【数31】
である。
【0033】
これらの数23から数25を用いてベクトルEnからベクトルEn+1を求める手順を、図6を用いて説明する。
1)ベクトルHn−1/2とベクトルEnからベクトルHn+1/2を求める。
2)ベクトルHn−1/2とベクトルEnとベクトルEn−1とベクトルJp n−1とベクトルJp nとからベクトルEn+1を求める。
3)ベクトルEn+1とベクトルEn−1とベクトルJp n−1とベクトルJp nとからベクトルJp n+1を求める。
【0034】
この様に従来のFDTD法では8種の変数を用いるが、本発明のFDTD法の漸化式では7種の変数を用いることが分かる。
【0035】
また、数23と数27が同等なものであることは次の様にして理解することができる。
数21と数26から、次の数32が導かれる。
【0036】
【数32】
また、FTDT法では、次の関係がある。
【0037】
【数33】
この数33と数29を数23に代入することにより数28が得られる。
【0038】
[デバイ媒体]
次にデバイ分散特性を示すデバイ媒体の場合について説明する。τpをp番目の分極対の緩和時間とするとき、p対の分極対があるデバイ媒質の誘電率は周波数座標で次の様になることが知られている。
【0039】
【数34】
ここで、本発明で用いる数24に対応する漸化式は、次の様になる。
【0040】
【数35】
【0041】
この式の他に、数23と数25を用いて、図2に示す様に処理を進める。
1)ベクトルHn−1/2とベクトルEnからベクトルHn+1/2を求める。
2)ベクトルQp n−1とベクトルQp nとベクトルEnからベクトルQp n+1を求める。
3)ベクトルHn+1/2とベクトルEnとベクトルQp n+1とベクトルQp nからベクトルEn+1を求める。
【0042】
これは、上記のFTDTの場合と同様であるため、ローレンツ媒体とデバイ媒体との演算処理を同時に進められることがわかる。このため、これらの媒体の混成物についての演算処理を容易に行うことができることも明らかである。
【0043】
一方文献()に記載された従来のDADES法では、数28と数29とに対応する漸化式は、次の様になる。
【0044】
【数36】
【0045】
【数37】
ここで、
【0046】
【数38】
【0047】
【数39】
である。
【0048】
これらの数36から数39を用いて演算処理を進めるには、図7に示す次の手順に従う。
1)ベクトルHn−1/2とベクトルEnからベクトルHn+1/2を求める。
2)ベクトルHn+1/2とベクトルEnとベクトルJp nからベクトルEn+1を求める。
3)ベクトルEnとベクトルEn+1とベクトルJp nからベクトルJp n+1を求める。
【0049】
ちなみに、数23と数36とが同等のものであることは、数37を数32に代入し、この結果を数23に代入することによって確認することができる。
【0050】
さらに本発明の方法として、電流ベクトルJp n換えて電荷ベクトルQp nを用いることにする。この場合、FTDT法では、数35は数40となる。
【0051】
【数40】
前記の数40を数23に代入して次の漸化式を得る事ができる。
【0052】
【数41】
ここで、
【0053】
【数42】
【0054】
【数43】
である。
【0055】
これらの数40から数43を用いて演算処理を進めるには、図3に示す次の手順に従う。
1)ベクトルHn−1/2とベクトルEnからベクトルHn+1/2を求める。
2)ベクトルHn+1/2とベクトルEnとベクトルQp nからベクトルEn+1を求める。
3)ベクトルEnとベクトルEn+1とベクトルQp nからベクトルQp n+1を求める。この手順は、電流ベクトルJp nを電荷ベクトルQp nと入れ換えただけのものであるので、この場合も、ローレンツ媒体とデバイ媒体との演算処理を同時に行なうことは容易である。
【0056】
[アルゴリズム]
ここで想定するコンピュータは、入力装置と記憶装置と演算装置と出力装置とを備えた計算装置である。このフローチャートの例を図4、図5に示し、以下に説明する。
F1)見積もり対象とする領域を微小領域に分割し、その座標を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存する。
F2)各微小領域の誘電率と透磁率を設定し、それらの値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存する。
F3)入射電磁界の波長を設定し、その値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存する。
F4)入射電磁界を与える微小領域を設定し、それらの座標と入射電磁界の強度と位相とを上記の入力装置に入力し記憶装置に保存する。
F5)各微小領域の電界E、磁界H、あるいは、演算の途中で用いられる中間変数Q1からQmまでをリセットし、前記の各微小領域の電界E、磁界Hの座標と入射電磁界の強度と位相とを上記の入力装置に入力し記憶装置に保存する。
F6)前記の電界E、磁界H、あるいは、演算の途中で用いられる中間変数Q1からQmまでを一時的に保存する変数をそれぞれaE、aH、aQ1〜aQmとし、中間変数Q1からQmまでを一時的に保存する他の変数をbQ1〜bQmとするとき、これらの変数をリセットする。
F7)その他の変数の初期値を設定する。
【0057】
F8)第1の繰り返し演算の指標を当初値に設定する。
F9)繰り返し演算の第1のフラグを設定し、計算対象とする微小領域を決定する。
F10)それぞれの微小領域について、それが入射電界を与える領域かどうかの正否を判断する。
F14)この判断が正の場合に、見積り対象となる微小領域の磁界ベクトルHと電界ベクトルEに入射電磁界の値を引き渡し、後述の第2のフラグの位置から処理を行う。
F11)この判断が否の場合には、各微小領域について、p=1、2、・・・m、とするとき、以下の処理を行なう。まず、HをaHあるいはaEから計算する。ここで、aHあるいはaEは、時間的に前の磁界ベクトルあるいは電界ベクトルである。より具体的には、数25を用いて演算する。
F12)QpをaE、aQpあるいはbQpから計算する。ここで、aQpやbQpは、時間的に前の電荷成分である。より具体的には、ローレンツ媒体については数24、デバイ媒体については数35あるいは数40を用いて演算する。
F13)EをH、aE、Q1からQmまで、aQ1〜aQmから計算する。より具体的には、数24、数35あるいは数40を用いて演算する。ローレンツ媒体については数23、デバイ媒体については数41を用いて演算する。
F15)第2のフラグを設定し、aHをHに保存する。
F16)bQpにaQpを保存する。
F17)aQpにQpを保存する。
F18)aEにEを保存する。
F19)全微小領域についての計算が終了したかどうかの正否を判断する。否ならば第1のフラグの位置から再び計算する。
F20)正ならば、次の処理を行なう。微小領域におけるH、E、Q1からQmまでを上記の記憶装置に保存する。
F21)すべての計算が終了したかどうかの正否を判断する。
F22)否ならば、繰り返し演算の指標を1段階進めて第1のフラグの位置から再び計算する。
F23)正ならば、この結果を出力装置に出力する。
F24)計算を終了する。
【0058】
【発明の効果】
本発明では、電界ベクトルの漸化式と磁界ベクトルの漸化式と電荷成分の漸化式とを用いることにより、完全な同期をとりながら使用するメモリ領域を減少させることができ、また、デバイ媒体とローレンツ媒体とを、同じアルゴリズムで取り扱うことができるようになり、これらの媒体の混在した媒体については、これを分割することなく取り扱うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明においてローレンツ媒体を取り扱う場合の漸次求める変数の流れを示すフローチャートである。
【図2】本発明においてデバイ媒体を取り扱う場合の漸次求める変数の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明においてデバイ媒体を取り扱う第2の場合の漸次求める変数の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明のフローチャートである。
【図5】本発明のフローチャートである。
【図6】従来のローレンツ媒体を取り扱う場合の漸次求める変数の流れを示すフローチャートである。
【図7】従来のデバイ媒体を取り扱う場合の漸次求める変数の流れを示すフローチャートである。
Claims (5)
- 予め与えられた境界条件から電磁界の分布あるいは電磁界の伝播を、入力装置と記憶装置と演算装置と出力装置とを備えた計算装置を用いて見積もる方法であって、
見積もり対象とする領域を微小領域に分割し、その座標を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
各微小領域の誘電率と透磁率を設定し、それらの値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
入射電磁界の波長を設定し、その値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
入射電磁界を与える微小領域を設定し、それらの座標と入射電磁界の振幅、あるいは、強度と位相とを上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、を含む処理を行い、
見積もり対象とする微小領域の、電界ベクトルと磁界ベクトルと電荷成分とを用いて、
各微小領域について、電磁界のマックスウェル方程式に時間領域有限差分法(FDTD:Finite Difference Time Domain)を適用して、
1)磁界ベクトルを、時間的に前の磁界ベクトルと、時間的に前の電界ベクトルとを用いて演算装置で計算し、
2)電荷成分を、時間的に前の電界ベクトルと、時間的に前の電荷成分とを用いて演算装置で計算し、
3)電界ベクトル、を磁界ベクトル、時間的に前の電界ベクトル、電荷成分、時間的に前の電荷成分とを用いて演算装置で計算するステップにより、
逐次、電界を時間にそって数値解法により求め、最後の結果を出力装置で出力することを特徴とする分散媒質の電磁界の見積もり方法。 - 予め与えられた境界条件から電磁界の分布あるいは電磁界の伝播を、入力装置と記憶装置と演算装置と出力装置とを備えた計算装置を用いて見積もる方法であって、
見積もり対象とする領域を微小領域に分割し、その座標を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
各微小領域の誘電率と透磁率を設定し、それらの値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
入射電磁界の波長を設定し、その値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
入射電磁界を与える微小領域を設定し、それらの座標と入射電磁界の強度と位相とを上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
分極対を、p=1、2、・・・m、とするとき、各微小領域の電界E、磁界H、あるいは、演算の途中で用いられる中間変数Q1からQmまでをリセットし、前記の各微小領域の電界E、磁界Hの座標と入射電磁界の強度と位相とを上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、を含む処理を行い、
第1の繰り返し演算の指標を当初値に設定し、繰り返し演算の第1のフラグを設定するステップと、
計算対象とする微小領域を決定するステップと、
それぞれの微小領域について、それが入射電界を与える領域かどうかの正否を判断するステップと、
この判断が正の場合に、見積り対象となる微小領域の磁界ベクトルHと電界ベクトルEに入射電磁界の値を引き渡し、後述の第2のフラグの位置から処理を行うステップと、
この判断が否の場合には、
各微小領域で、分極対を、p=1、2、・・・m、とするとき、ωpをp番目の分極対の共鳴周波数、Apをその振幅、δpを減衰率、εsを静電気的な誘電率、ε∞を周波数無限大での誘電率、また、Δε=εs−ε∞とし、
1)磁界ベクトルHを、電界ベクトルEと磁界ベクトルHを用いた次の時間についての漸化式;
2)電荷成分Qpを、電界ベクトルEと電荷成分Qpを用いた次の時間についての漸化式;
3)電界ベクトルEを、磁界ベクトルHと電界ベクトルEと電荷成分Qpを用いた次の時間についての漸化式;
第2のフラグを設定するステップと、
全微小領域についての計算が終了したかどうかの正否を判断するステップと、
否ならば第1のフラグの位置から再び計算するステップと、
正ならば、微小領域における磁界ベクトルHと電界ベクトルEと電荷成分Qpを上記の記憶装置に保存するステップと、
すべての計算が終了したかどうかの正否を判断するステップと、
否ならば、繰り返し演算の指標を1段階進めて第1のフラグの位置から再び計算するステップと、
正ならば、計算を終了させ、この結果を出力装置に出力させるステップと、を含む処理を行うことを特徴とする分散媒質の電磁界の見積もり方法。 - 予め与えられた境界条件から電磁界の分布あるいは電磁界の伝播を、入力装置と記憶装置と演算装置と出力装置とを備えた計算装置を用いて見積もる方法であって、
見積もり対象とする領域を微小領域に分割し、その座標を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
各微小領域の誘電率と透磁率を設定し、それらの値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
入射電磁界の波長を設定し、その値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
入射電磁界を与える微小領域を設定し、それらの座標と入射電磁界の強度と位相とを上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
各微小領域で、分極対を、p=1、2、・・・m、とするとき、各微小領域の電界E、磁界H、あるいは、演算の途中で用いられる中間変数Q1からQmまでをリセットし、前記の各微小領域の電界E、磁界Hの座標と入射電磁界の強度と位相とを上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、を含む処理を行い、
第1の繰り返し演算の指標を当初値に設定し、繰り返し演算の第1のフラグを設定するステップと、
計算対象とする微小領域を決定するステップと、
それぞれの微小領域について、それが入射電界を与える領域かどうかの正否を判断するステップと、
この判断が正の場合に、見積り対象となる微小領域の磁界ベクトルHと電界ベクトルEに入射電磁界の値を引き渡し、後述の第2のフラグの位置から処理を行うステップと、
この判断が否の場合には、
ωpをp番目の分極対の共鳴周波数、Apをその振幅、δpを減衰率、εsを静電気的な誘電率、ε∞を周波数無限大での誘電率、また、Δε=εs−ε∞とし、各微小領域について、
1)磁界ベクトルHを、電界ベクトルEと磁界ベクトルHを用いた次の時間についての漸化式;
2)電荷成分Qpを、電界ベクトルEと電荷成分Qpを用いた次の時間についての漸化式;
3)電界ベクトルEを、磁界ベクトルHと電界ベクトルEと電荷成分Qpを用いた次の時間についての漸化式;
第2のフラグを設定するステップと、
全微小領域についての計算が終了したかどうかの正否を判断するステップと、
否ならば第1のフラグの位置から再び計算するステップと、
正ならば、微小領域における磁界ベクトルHと電界ベクトルEと電荷成分Qpを上記の記憶装置に保存するステップと、
すべての計算が終了したかどうかの正否を判断するステップと、
否ならば、繰り返し演算の指標を1段階進めて第1のフラグの位置から再び計算するステップと、
正ならば、計算を終了させ、この結果を出力装置に出力させるステップと、を含む処理を行うことを特徴とする分散媒質の電磁界の見積もり方法。 - 予め与えられた境界条件から電磁界の分布あるいは電磁界の伝播を、入力装置と記憶装置と演算装置と出力装置とを備えた計算装置を用いて見積もる方法であって、
見積もり対象とする領域を微小領域に分割し、その座標を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
各微小領域の誘電率と透磁率を設定し、それらの値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
入射電磁界の波長を設定し、その値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
入射電磁界を与える微小領域を設定し、それらの座標と入射電磁界の強度と位相とを上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
各微小領域で、分極対を、p=1、2、・・・m、とするとき、各微小領域の電界E、磁界H、あるいは、演算の途中で用いられる中間変数Q1からQmまでをリセットし、前記の各微小領域の電界E、磁界Hの座標と入射電磁界の強度と位相とを上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、を含む処理を行い、
第1の繰り返し演算の指標を当初値に設定し、繰り返し演算の第1のフラグを設定するステップと、
計算対象とする微小領域を決定するステップと、
それぞれの微小領域について、それが入射電界を与える領域かどうかの正否を判断するステップと、
この判断が正の場合に、見積り対象となる微小領域の磁界ベクトルHと電界ベクトルEに入射電磁界の値を引き渡し、後述の第2のフラグの位置から処理を行うステップと、
この判断が否の場合には、
ωpをp番目の分極対の共鳴周波数、Apをその振幅、δpを減衰率、εsを静電気的な誘電率、ε∞を周波数無限大での誘電率、また、Δε=εs−ε∞とするとき、
1)磁界ベクトルHを、電界ベクトルEと磁界ベクトルHを用いた次の時間についての漸化式;
2)電荷成分Qpを、電界ベクトルEと電荷成分Qpを用いた次の時間についての漸化式;
3)電界ベクトルEを、磁界ベクトルHと電界ベクトルEと電荷成分Qpを用いた次の時間についての漸化式;
第2のフラグを設定するステップと、
全微小領域についての計算が終了したかどうかの正否を判断するステップと、
否ならば第1のフラグの位置から再び計算するステップと、
正ならば、微小領域における磁界ベクトルHと電界ベクトルEと電荷成分Qpを上記の記憶装置に保存するステップと、
すべての計算が終了したかどうかの正否を判断するステップと、
否ならば、繰り返し演算の指標を1段階進めて第1のフラグの位置から再び計算するステップと、
正ならば、計算を終了させ、この結果を出力装置に出力させるステップと、を含む処理を行うことを特徴とする分散媒質の電磁界の見積もり方法。 - 予め与えられた境界条件から電磁界の分布あるいは電磁界の伝播を、入力装置と記憶装置と演算装置と出力装置とを備えた計算装置を用いて見積もる方法であって、
見積もり対象とする領域を微小領域に分割し、その座標を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
各微小領域の誘電率と透磁率を設定し、それらの値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
入射電磁界の波長を設定し、その値を上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
入射電磁界を与える微小領域を設定し、それらの座標と入射電磁界の強度と位相とを上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、
各微小領域で、分極対を、p=1、2、・・・m、とするとき、各微小領域の電界E、磁界H、あるいは、演算の途中で用いられる中間変数Q1からQmまでをリセットし、前記の各微小領域の電界E、磁界Hの座標と入射電磁界の強度と位相とを上記の入力装置に入力し記憶装置に保存するステップと、を含む処理を行い、
第1の繰り返し演算の指標を当初値に設定し、繰り返し演算の第1のフラグを設定するステップと、
計算対象とする微小領域を決定するステップと、
それぞれの微小領域について、それが入射電界を与える領域かどうかの正否を判断するステップと、
この判断が正の場合に、見積り対象となる微小領域の磁界ベクトルHと電界ベクトルEに入射電磁界の値を引き渡し、後述の第2のフラグの位置から処理を行うステップと、
この判断が否の場合には、
ωpをp番目の分極対の共鳴周波数、Apをその振幅、δpを減衰率、εsを静電気的な誘電率、ε∞を周波数無限大での誘電率、また、Δε=εs−ε∞とするとき、
1)磁界ベクトルHを、電界ベクトルEと磁界ベクトルHを用いた次の時間についての漸化式;
ローレンツ媒体部分については、
2−1)電荷成分Qpを、電界ベクトルEと電荷成分Qpを用いた次の時間についての漸化式;
3−1)電界ベクトルEを、磁界ベクトルHと電界ベクトルEと電荷成分Qpを用いた次の時間についての漸化式;
デバイ媒体部分については、
2−2)電荷成分Qpを、電界ベクトルEと電荷成分Qpを用いた次の時間についての漸化式;
3−2)電界ベクトルEを、磁界ベクトルHと電界ベクトルEと電荷成分Qpを用いた次の時間についての漸化式;
あるいは、デバイ媒体部分について、
2−3)電荷成分Qpを、電界ベクトルEと電荷成分Qpを用いた次の時間についての漸化式;
3−3)電界ベクトルEを、磁界ベクトルHと電界ベクトルEと電荷成分Qpを用いた次の時間についての漸化式;
第2のフラグを設定するステップと、
全微小領域についての計算が終了したかどうかの正否を判断するステップと、
否ならば第1のフラグの位置から再び計算するステップと、
正ならば、微小領域における磁界ベクトルHと電界ベクトルEと電荷成分Qpを上記の記憶装置に保存するステップと、
すべての計算が終了したかどうかの正否を判断するステップと、
否ならば、繰り返し演算の指標を1段階進めて第1のフラグの位置から再び計算するステップと、
正ならば、計算を終了させ、この結果を出力装置に出力させるステップと、を含む処理を行うことを特徴とする分散媒質の電磁界の見積もり方法。
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JP2018136753A (ja) * | 2017-02-22 | 2018-08-30 | 富士通株式会社 | 磁性材料シミュレーションプログラム、磁性材料シミュレーション方法および磁性材料シミュレーション装置 |
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