JP2004085374A - 電気化学的測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の電気化学的測定方法は、溶液中に含有される過酸化水素の検出、及び/又は、当該過酸化水素の濃度を測定する方法であって、三電極系における作用電極3表面の少なくとも一部に電子伝達物質としてのビオロゲン誘導体を修飾した電極を溶液に浸漬し、過酸化水素分解物質としてのカタラーゼの存在下、電極に流れる酸素の還元電流値を測定する。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶液中に含有される過酸化水素若しくはカタラーゼの検出、及び/又は、当該過酸化水素の濃度若しくはカタラーゼの活性を測定する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、強い酸化力と反応性をもっている活性酸素は、生理的に重要な代謝に寄与し、あるときには生理活性物質の合成、また病原菌の殺菌・解毒作用、更には抗ガン作用においても重要な働きをし、我々の生命の営みに重要な役割を果たしてくれるものとして注目されている。また、コントロールされていないランダムな生体組織の酸素酸化は、老化現象、各種疾患など生体に傷害を与えるものと考えられている。
【0003】
中でも過酸化水素は、生体現象に深く関わる活性酸素種の一種であり、その正確な検出方法及び測定方法の確立は重要な課題とされている。従来では、過酸化水素の検出及び濃度の測定は、一般に紫外可視分光法や滴定法などにより行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の過酸化水素の濃度測定方法では、紫外可視分光法を用いた場合、低い過酸化水素濃度は測定が困難であるという問題があった。また、測定対象となる溶液中に不純物が存在した場合、係る不純物が過酸化水素の検出及び濃度測定を妨害するという問題があった。他方、滴定法による過酸化水素の濃度測定方法では、測定手順が煩雑であり、比較的不安定である過酸化水素の測定には、あまり適していないと云う問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、高感度で、他の不純物による妨害を受けず、簡易に過酸化水素の検出及び濃度測定を行うことができる電気化学的測定方法を提唱することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の電気化学的測定方法は、溶液中に含有される過酸化水素の検出、及び/又は、当該過酸化水素の濃度を測定する方法であって、電極表面の少なくとも一部に電子伝達物質を存在させた電極を溶液に浸漬し、過酸化水素分解物質の存在下、電極に流れる酸素の還元電流値を測定することを特徴とする。
【0007】
本発明の電気化学的測定方法によれば、溶液中に含有される過酸化水素の検出及び/又は、当該過酸化水素の濃度を測定する方法であって、電極表面の少なくとも一部に電子伝達物質を存在させた電極を溶液に浸漬し、過酸化水素分解物質の存在下、電極に流れる酸素の還元電流値を測定することにより、溶液中に含有される過酸化水素は過酸化水素分解物質によって酸素に分解され、当該酸素が電子伝達物質を存在させた電極において、過酸化水素へと還元された際の酸素の還元電流値を測定することができ、これにより、溶液中に含有される過酸化水素の検出及び/又は濃度を測定することができるようになる。
【0008】
また、係る方法は、触媒作用により生じる還元電流を直接測定することにより、過酸化水素の濃度を測定するため、従来の方法に比べて、他の溶存種によって、過酸化水素の検出及び/又は濃度の測定が妨害されにくくなり、高感度に過酸化水素を検出することができる。また、従来の方法に比べて、測定対象のダイナミックレンジを広げることができるようになる。更にまた、電気化学的測定のみで過酸化水素の検出及び/又は濃度を測定することができるため、過酸化水素の検出及び/又は濃度測定が簡便となる。
【0009】
請求項2の発明の電気化学的測定方法は、請求項1の発明において、過酸化水素分解物質は、カタラーゼであることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、過酸化水素分解物質は、カタラーゼであるので、容易に然も確実に過酸化水素を酸素に分解することができ、過酸化水素の検出及び濃度測定の精度を高めることができ、測定の信頼性を高めることができるようになる。
【0011】
請求項3の発明の電気化学的測定方法は、上記各発明において、還元電流値の測定以前に、溶液に不活性ガスを通気し、当該溶液の脱酸素を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明によれば、上記各発明において、還元電流値の測定以前に、溶液に不活性ガスを通気し、当該溶液の脱酸素を行うので、溶液中に溶存された酸素を予め脱気した状態で電気化学的測定を行うことができ、より一層測定の精度を高めることができるようになる。
【0013】
請求項4の発明の電気化学的測定方法は、溶液中に含有されるカタラーゼの検出、及び/又は、当該カタラーゼの活性を測定する方法であって、電極表面の少なくとも一部に電子伝達物質を存在させた電極を溶液に浸漬し、酸素又は過酸化水素の存在下、電極に流れる酸素の還元電流値を測定することを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明によれば、溶液中に含有されるカタラーゼの検出、及び/又は、当該カタラーゼの活性を測定する方法であって、電極表面の少なくとも一部に電子伝達物質を存在させた電極を溶液に浸漬し、酸素又は過酸化水素の存在下、電極に流れる酸素の還元電流値を測定することにより、溶液中に存在する酸素が電子伝達物質を存在させた電極において、過酸化水素に還元され、該過酸化水素は、溶液中に含有されるカタラーゼにより、酸素と水に分解され、当該酸素も電子伝達物質を存在させた電極において、過酸化水素へと還元される。これにより、カタラーゼを含有する溶液において、カタラーゼにより分解され、電子伝達物質を介して還元される酸素の還元電流値を測定することができ、溶液中に含有されるカタラーゼの検出及び/又は活性を算出することができるようになる。
【0015】
また、本発明において請求項1の発明の如く過酸化水素分解物質の存在下、電極に流れる酸素の還元電流値を測定することにより、過酸化水素の検出若しくは濃度を測定することができることから、同一の装置にてカタラーゼ又は過酸化水素の検出若しくは濃度(活性)測定を実現することができ、利便性が向上される
。
【0016】
請求項5の発明の電気化学的測定方法は、上記発明において、還元電流値の測定以前に、溶液に酸素ガスを通気し、当該溶液の酸素飽和処理を行うことを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明によれば、上記発明において、還元電流値の測定以前に、溶液に酸素ガスを通気し、当該溶液の酸素飽和処理を行うので、溶液を酸素ガスで十分の飽和させた状態で電気化学的測定を行うことができ、より一層測定の精度を高めることができるようになる。
【0018】
請求項6の発明の電気化学的測定方法は、上記各発明において、電子伝達物質は、ビオロゲン誘導体であることを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明によれば、上記各発明において、電子伝達物質は、ビオロゲン誘導体であるので、容易に然も確実に酸素を過酸化水素に還元することができ、過酸化水素若しくは、カタラーゼの検出及び濃度測定の精度を高めることができ、測定の信頼性を向上させることができるようになる。
【0020】
請求項7の発明の電気化学的測定方法は、上記発明において、ビオロゲン誘導体を、金電極に修飾して用いることを特徴とする。
【0021】
請求項7の発明によれば、上記発明において、ビオロゲン誘導体を、金電極に修飾して用いるので、容易にビオロゲン誘導体を電極に修飾することができ、測定装置の構成を容易とすることができるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。先ず初めに、本発明の電気化学的測定に用いられる測定装置1について図1を参照して説明する。図1は測定装置1の概要を示す図である。係る測定装置1は、対極2、作用電極3、参照電極4とから構成される三電極系と、これらにおいて、作用電極3と対極2との間に電圧を加えて電流を流しながら参照電極4に対して作用電極3の電位を制御する加電圧制御装置(ポテンシオスタット)5とにより構成されている。尚、本実施例において使用される参照電極4は、銀・塩化銀電極により構成するものとする。
【0023】
ここで、本実施例において使用される作用電極3は、金電極により構成されており、当該金電極には、電子伝達物質としての図2に示す如きビオロゲン誘導体が修飾されている。このビオロゲン誘導体は、金電極に修飾する際に、末端にSH基を有するビオロゲン誘導体を使用する。これにより、容易にビオロゲン誘導体を金電極に吸着させることができ、電子伝達物質としてのビオロゲン誘導体が修飾された電極を容易に構成することができるようになる。
【0024】
次に、図3乃至図7を参照して、第1の測定実施例の過酸化水素の検出及び濃度測定方法について詳述する。先ず初めに、図3のフローチャート図に従って、過酸化水素の各濃度に対する還元電流値を測定し、未知の試料中に含まれる過酸化水素の濃度測定に必要な検量線を作成する。
【0025】
先ず初めに、ステップS1として、図示しない受容器としてのビーカー中に例えば、過酸化水素分解物質としての5.51unit/mlのカタラーゼを含む0.1Mのリン酸緩衝液(本実施例では、pH7.0、20mlに調整したものを使用する。)を用意し、当該溶液は窒素ガスを通気して脱酸素処理する。尚、本実施例では、十分に当該溶液の脱酸素を行うため、約30分間行うものとする。
【0026】
次に、ステップS2として、前もって、窒素ガスなどを通気して脱酸素処理した測定対象となる過酸化水素溶液1.0Mをそれぞれ、0、1、2、4、10、20、40、100、200μlずつ加え、それぞれの測定溶液を図示しないマグネチックスターラー等を用いて約20秒間ゆっくりと撹拌する。尚、各測定溶液の過酸化水素の濃度は、それぞれ0mM、0.05mM、0.1mM、0.1mM、0.2mM、0.5mM、1mM、2mM、5mM、10mMとなる。この状態で、各測定溶液中に含有されるすべての過酸化水素は、予め脱酸素処理された溶液中に含有されるカタラーゼの触媒作用により、酸素に分解される(反応A)。以下、反応Aを示す。
反応A 2H2O2→2H2O+O2(カタラーゼ存在下)
【0027】
そして、ステップS3において、それぞれの測定溶液は前述した如き測定装置1を用いて各溶液中に含有される酸素の還元電流を測定する。ここで、溶液中に存在する酸素は、作用電極3に修飾された電子伝達物質としてのビオロゲン誘導体により、過酸化水素に還元される。尚、これらの化学変化の機構については、図4に示す。
【0028】
図5は、過酸化水素の各濃度の測定溶液の上記ステップ3において得られるサイクリックボルタモグラムを示している。測定溶液の各濃度は、上から順にaが0.0mM、bが0.05mM、cが0.1mM、dが0.2mM、eが0.5mM、fが1mM、gが2mM、hが5mM、iが10mMである。また、測定時における掃引速度は、20mVs−1であるものとする。横軸は参照電極4における電圧を示しており、縦軸は電流値を示している。また、図6は図5により得られた過酸化水素濃度が0mMにより得られた電流値と上記各測定溶液の各濃度で得られた電流値との差により求められる還元電流値(ΔI)に対する過酸化水素濃度を示す図である。これにより、電気化学的測定により得られる還元電流値に対する過酸化水素濃度の検量線が得られる。
【0029】
次に、過酸化水素濃度が不明な測定対象となる溶液の過酸化水素の検出及び濃度測定方法について図7を参照して説明する。図7は過酸化水素の濃度測定方法のフローチャート図である。先ず初めに、ステップS4において、カタラーゼ5.51unit/mlを含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)の脱酸素処理を行う。次に、ステップS5に進み、当該リン酸緩衝液に前もって窒素ガスを通気して脱酸素処理した測定対象となる溶液を添加し、図示しないマグネチックスターラー等により約20秒間ゆっくり撹拌する。
【0030】
その後、ステップS6に進み、撹拌した後の測定対象となる溶液中に測定装置1の対極2及び作用電極3を直接浸漬し、参照電極4を直接或いは塩橋6を介して浸漬し、電気化学的測定を行う。そして、ステップS7に進み、当該電気化学的測定により得られた還元電流値に基づき図6を参照して過酸化水素濃度を算出する。
【0031】
これにより、電子伝達物質としてのビオロゲン誘導体を修飾させた作用電極3を対象溶液に浸漬し、過酸化水素分解物質としてのカタラーゼの存在下、作用電極3に流れる酸素の還元電流値を測定することにより、対象溶液中に含有される過酸化水素がカタラーゼによって酸素に分解され、当該酸素がビオロゲン誘導体を存在させた作用電極3において、過酸化水素へと還元された際の酸素の還元電流値を測定することができ、これにより、容易に対象溶液中に含有される過酸化水素の検出及び/又は濃度を測定することができるようになる。
【0032】
また、係る方法は、触媒作用により生じる還元電流を直接測定することにより、過酸化水素の濃度を測定するため、従来の過酸化水素濃度の測定方法に比べて、他の溶存種によって、過酸化水素の検出及び/又は濃度の測定が妨害されにくくなり、高感度に過酸化水素を検出することができる。また、従来の方法に比べて、測定対象のダイナミックレンジを広げることができるようになる。更にまた、電気化学的測定のみで過酸化水素の検出及び/又は濃度を測定することができるため、過酸化水素の検出及び/又は濃度測定が簡便となる。
【0033】
更にまた、本発明によれば、過酸化水素分解物質はカタラーゼを使用していることから、容易に然も確実に過酸化水素を酸素に分解することができ、過酸化水素の検出及び濃度測定の精度を高めることができ、測定の信頼性を向上させることができるようになる。
【0034】
また、本発明では、測定対象となる溶液を添加する以前にリン酸緩衝液中に窒素ガスを通気し、脱酸素を行った後、前もって脱酸素処理した測定対象となる溶液を添加し、電気化学的測定を行うため、余分に溶液中に溶存された酸素により測定が阻害される不都合を未然に解消することができ、より一層測定の精度を高めることができるようになる。
【0035】
次に、図8乃至図11を参照して、第2の測定実施例のカタラーゼの検出及び活性測定方法について詳述する。先ず初めに、図8のフローチャート図に従って、カタラーゼの各活性に対する還元電流値を測定し、未知の試料中に含まれるカタラーゼの活性測定に必要な検量線を作成する。尚、かかる場合においても上記過酸化水素の検出または濃度測定に用いられる測定装置1によりカタラーゼの検出若しくは活性測定を行うものとする。
【0036】
先ず初めに、ステップS11として、図示しない受容器としてのビーカー中に例えば、0.1Mのリン酸緩衝液(本実施例では、pH7.0、20mlに調整したものを使用する。)を用意し、当該溶液は酸素ガスを通気して溶液中に酸素ガスを飽和させる。尚、本実施例では、十分に当該溶液中に酸素ガスを飽和させるため、約30分間行うものとする。
【0037】
次に、ステップS12として、前記溶液に前もって酸素ガスを通気し、酸素を飽和させたカタラーゼ溶液を添加し、それぞれカタラーゼ濃度が0、0.0172、0.0517、0.0224、0.569、2.29、5.74、9.19、12.6、16.1、19.5、23、26.4、29.8、33.3unit/mlとなるように調整し、それぞれの測定溶液を図示しないマグネチックスターラー等を用いて約20秒間ゆっくりと撹拌する。
【0038】
そして、ステップS13において、それぞれの測定溶液は前述した如き測定装置1を用いて各溶液中に含有される酸素の還元電流を測定する。酸素が飽和された状態の測定溶液は、電気化学的測定が行われることにより、溶液中に存在する酸素が、作用電極3に修飾された電子伝達物質としてのビオロゲン誘導体により、過酸化水素に還元される(前記図4)。尚、ここで測定される酸素の還元電流値のうち、カタラーゼの活性が0である測定溶液の酸素の還元電流値をI0とする。
【0039】
そして、異なる活性のカタラーゼが添加された測定溶液は、上述の如く電気化学的測定が行われることにより、溶液中に飽和された酸素が、作用電極3に修飾された電子伝達物質としてのビオロゲン誘導体により、過酸化水素に還元される。その後、当該溶液中には、カタラーゼが存在していることから、上述の如く生成された過酸化水素は、当該カタラーゼにより酸素に分解される。そして、過酸化水素の分解により生成された酸素は、再び、作用電極3に修飾されたビオロゲン誘導体により、過酸化水素に還元される。これらの電気化学的測定により得られた酸素の還元電流値をIとする。
【0040】
ここで、カタラーゼが添加された測定溶液の還元電流値(I)は、カタラーゼの活性が零である測定溶液の酸素と、当該酸素が作用電極3に修飾された電子伝達物質としてのビオロゲン誘導体により、過酸化水素に還元され、更に当該過酸化水素がカタラーゼにより分解された酸素との両者の酸素の還元電流を加算したものであるため、カタラーゼにより分解生成された酸素のみの還元電流値(ΔI)を算出するためには、カタラーゼ活性が零である溶液中に飽和された酸素のみの還元電流値(I0)を減算する必要がある。即ち、ステップS14として、異なる活性のカタラーゼにより還元される酸素の還元電流値(ΔI)は、下記の式により算出する。
式 ΔI=I−I0
【0041】
図9は、各活性のカタラーゼの測定溶液の上記ステップ13において得られるサイクリックボルタモグラムを示している。測定溶液の各活性は、上から順に0unit/ml、0.0172unit/ml、0.0517unit/ml、0.0224unit/ml、0.569unit/ml、2.29unit/ml、5.74unit/ml、9.19unit/ml、12.6unit/ml、16.1unit/ml、19.5unit/ml、23unit/ml、26.4unit/ml、29.8unit/ml、33.3unit/mlである。また、測定時における掃引速度は、20mVs−1であるものとする。横軸は参照電極4における電圧を示しており、縦軸は電流値を示している。また、図10は図9の各還元電流値IよりステップS14において算出した各測定溶液ΔIに対するカタラーゼ活性を示す図である。これにより、電気化学的測定により得られる還元電流値に対するカタラーゼ活性の検量線が得られる。
【0042】
次に、カタラーゼ活性が不明な測定対象となる溶液のカタラーゼの検出及び活性測定方法について図11を参照して説明する。図11はカタラーゼの活性測定方法のフローチャート図である。先ず初めに、ステップS15において、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に酸素ガスを通気して溶液中に酸素ガスを飽和させる。次に、ステップS16に進み、当該リン酸緩衝液に前もって酸素ガスを通気して酸素を飽和させた測定対象となる溶液を添加し、図示しないマグネチックスターラー等により約20秒間ゆっくり撹拌する。
【0043】
その後、ステップS17に進み、撹拌した後の溶液中に測定装置1の対極2及び作用電極3を直接浸漬し、参照電極4を直接或いは塩橋6を介して浸漬し、電気化学的測定を行う。そして、ステップS18に進み、得られた還元電流値Iから前記検量線作成時に用いられたカタラーゼの活性が零である測定溶液中に飽和された酸素の還元電流値(I0)を減算し、溶液中に含有されるカタラーゼにより分解生成される酸素の還元電流値(ΔI)を算出する。そして、ステップS19に進み、得られた還元電流値に基づき図10を参照してカタラーゼ活性を算出する。
【0044】
これにより、対象溶液に酸素を飽和させ、電子伝達物質としてのビオロゲン誘導体を修飾させた作用電極3を対象溶液に浸漬し、作用電極3に流れる酸素の還元電流値を測定することにより、対象溶液中に含有される酸素及び当該酸素がビオロゲン誘導体により還元され過酸化水素とされた後、対象溶液中に含有されるカタラーゼによって分解された酸素の還元電流値を測定することができる。これにより、容易に対象溶液中に含有されるカタラーゼの検出及び/又は活性を測定することができるようになる。
【0045】
また、係る方法は、触媒作用により生じる還元電流を直接測定することにより、カタラーゼの活性を測定するため、他の溶存種によって、カタラーゼの検出及び/又は活性の測定が妨害されにくくなり、高感度にカタラーゼを検出することができる。また、電気化学的測定のみでカタラーゼの検出及び/又は活性を測定することができるため、カタラーゼの検出及び/又は活性測定が簡便となる。
【0046】
また、本発明では、測定対象となる溶液を添加する以前にリン酸緩衝液中に酸素ガスを通気し、酸素を飽和させた後、前もって酸素ガスを飽和させた測定対象となる溶液を添加し、電気化学的測定を行うため、余分に溶液中に溶存された気体により測定が阻害される不都合を未然に解消することができ、より一層測定の精度を高めることができるようになる。
【0047】
尚、上記実施例では、測定対象となる溶液を添加する以前にリン酸緩衝液中に酸素ガスを通気し、酸素を飽和させた後、測定対象となる溶液を添加し、電気化学的測定を行っているが、これ以外に、リン酸緩衝液中に所定濃度の過酸化水素を添加後、測定対象となる溶液を添加し、電気化学的測定を行い、測定対象となる溶液中のカタラーゼの活性を測定しても上記と同様の効果が得られる。
【0048】
また、上記各実施例において、作用電極3に修飾させる電子伝達物質は、ビオロゲン誘導体であるので、容易に然も確実に酸素を過酸化水素に還元することができ、過酸化水素の検出及び濃度測定、並びに、カタラーゼの検出及び活性測定の精度を高めることができ、測定の信頼性を向上させることができるようになる。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明によれば、溶液中に含有される過酸化水素の検出及び/又は、当該過酸化水素の濃度を測定する方法であって、電極表面の少なくとも一部に電子伝達物質を存在させた電極を溶液に浸漬し、過酸化水素分解物質の存在下、電極に流れる酸素の還元電流値を測定することにより、溶液中に含有される過酸化水素は過酸化水素分解物質によって酸素に分解され、当該酸素が電子伝達物質を存在させた電極において、過酸化水素へと還元された際の酸素の還元電流値を測定することができ、これにより、溶液中に含有される過酸化水素の検出及び/又は濃度を測定することができるようになる。
【0050】
また、係る方法は、触媒作用により生じる還元電流を直接測定することにより、過酸化水素の濃度を測定するため、従来の方法に比べて、他の溶存種によって、過酸化水素の検出及び/又は濃度の測定が妨害されにくくなり、高感度に過酸化水素を検出することができる。また、従来の方法に比べて、測定対象のダイナミックレンジを広げることができるようになる。更にまた、電気化学的測定のみで過酸化水素の検出及び/又は濃度を測定することができるため、過酸化水素の検出及び/又は濃度測定が簡便となる。
【0051】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明において、過酸化水素分解物質は、カタラーゼであるので、容易に然も確実に過酸化水素を酸素に分解することができ、過酸化水素の検出及び濃度測定の精度を高めることができ、測定の信頼性を高めることができるようになる。
【0052】
請求項3の発明によれば、上記各発明において、還元電流値の測定以前に、溶液に不活性ガスを通気し、当該溶液の脱酸素を行うので、溶液中に溶存された酸素を予め脱気した状態で電気化学的測定を行うことができ、より一層測定の精度を高めることができるようになる。
【0053】
請求項4の発明によれば、溶液中に含有されるカタラーゼの検出、及び/又は、当該カタラーゼの活性を測定する方法であって、電極表面の少なくとも一部に電子伝達物質を存在させた電極を溶液に浸漬し、酸素又は過酸化水素の存在下、電極に流れる酸素の還元電流値を測定することにより、溶液中に存在する酸素が電子伝達物質を存在させた電極において、過酸化水素に還元され、該過酸化水素は、溶液中に含有されるカタラーゼにより、酸素と水に分解され、当該酸素も電子伝達物質を存在させた電極において、過酸化水素へと還元される。これにより、カタラーゼを含有する溶液において、カタラーゼにより分解され、電子伝達物質を介して還元される酸素の還元電流値を測定することができ、溶液中に含有されるカタラーゼの検出及び/又は活性を算出することができるようになる。
【0054】
また、本発明において請求項1の発明の如く過酸化水素分解物質の存在下、電極に流れる酸素の還元電流値を測定することにより、過酸化水素の検出若しくは濃度を測定することができることから、同一の装置にてカタラーゼ又は過酸化水素の検出若しくは濃度(活性)測定を実現することができ、利便性が向上される。
【0055】
請求項5の発明によれば、上記発明において、還元電流値の測定以前に、溶液に酸素ガスを通気し、当該溶液の酸素飽和処理を行うので、溶液を酸素ガスで十分の飽和させた状態で電気化学的測定を行うことができ、より一層測定の精度を高めることができるようになる。
【0056】
請求項6の発明によれば、上記各発明において、電子伝達物質は、ビオロゲン誘導体であるので、容易に然も確実に酸素を過酸化水素に還元することができ、過酸化水素若しくは、カタラーゼの検出及び濃度測定の精度を高めることができ、測定の信頼性を向上させることができるようになる。
【0057】
請求項7の発明によれば、上記発明において、ビオロゲン誘導体を、金電極に修飾して用いるので、容易にビオロゲン誘導体を電極に修飾することができ、測定装置の構成を容易とすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用する測定装置の概要を示す図である。
【図2】電子伝達物質としてのビオロゲン誘導体を示す図である。
【図3】第1の測定実施例におけるフローチャート図である。
【図4】反応機構を示す概要図である。
【図5】第1の測定実施例におけるCV図である。
【図6】過酸化水素濃度に対する還元電流値を示す図である。
【図7】第1の測定実施例におけるフローチャート図である。
【図8】第2の測定実施例におけるフローチャート図である。
【図9】第2の測定実施例におけるCV図である。
【図10】カタラーゼ活性に対する還元電流値を示す図である。
【図11】第2の測定実施例におけるフローチャート図である。
【符号の説明】
1 測定装置
2 対極
3 作用電極
4 参照電極
5 加電圧制御装置
Claims (7)
- 溶液中に含有される過酸化水素の検出、及び/又は、当該過酸化水素の濃度を測定する方法であって、
電極表面の少なくとも一部に電子伝達物質を存在させた電極を前記溶液に浸漬し、過酸化水素分解物質の存在下、前記電極に流れる酸素の還元電流値を測定することを特徴とする電気化学的測定方法。 - 前記過酸化水素分解物質は、カタラーゼであることを特徴とする請求項1の電気化学的測定方法。
- 前記還元電流値の測定以前に、前記溶液に不活性ガスを通気し、当該溶液の脱酸素を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2の電気化学的測定方法。
- 溶液中に含有されるカタラーゼの検出、及び/又は、当該カタラーゼの活性を測定する方法であって、
電極表面の少なくとも一部に電子伝達物質を存在させた電極を前記溶液に浸漬し、酸素又は過酸化水素の存在下、前記電極に流れる酸素の還元電流値を測定することを特徴とする電気化学的測定方法。 - 前記還元電流値の測定以前に、前記溶液に酸素ガスを通気し、当該溶液の酸素飽和処理を行うことを特徴とする請求項4の電気化学的測定方法。
- 前記電子伝達物質は、ビオロゲン誘導体であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5の電気化学的測定方法。
- 前記ビオロゲン誘導体を、金電極に修飾して用いることを特徴とする請求項6の電気化学的測定方法。
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JP2002247182A JP2004085374A (ja) | 2002-08-27 | 2002-08-27 | 電気化学的測定方法 |
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JP2002247182A JP2004085374A (ja) | 2002-08-27 | 2002-08-27 | 電気化学的測定方法 |
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Cited By (2)
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EP1879241A2 (en) * | 2006-07-11 | 2008-01-16 | Samsung SDI Co., Ltd. | Electroluminescent diplay |
US8871522B2 (en) | 2009-02-16 | 2014-10-28 | University Of Yamanashi | Method for detecting hydrogen peroxide |
-
2002
- 2002-08-27 JP JP2002247182A patent/JP2004085374A/ja active Pending
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