【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲンを輸送媒体とする化学輸送法によってII−VI族化合物半導体結晶を育成する方法の改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
まず、ハロゲンを輸送媒体とする化学輸送法によるII−VI族化合物半導体結晶の育成に関して説明する。ここでハロゲンとしてヨウ素を選択し、II−VI族化合物半導体としてZnSeを選択した場合を例に取って説明する。
【0003】
図4において、ヨウ素を輸送媒体とする化学輸送法によってZnSe結晶を育成する従来周知の方法が、模式的な断面図で図解されている。この方法においては、原料としてのZnSe多結晶12、種結晶としてのZnSe単結晶16、およびヨウ素(室温では固体)20が、石英ガラスからなる減圧封管のアンプル11中に充填される。アンプル11内において種結晶16側の温度に比べて原料多結晶12側の温度を数度から数十℃高く保ちながら、アンプル11の平均温度を約800〜900℃程度に昇温することによって、ヨウ素20がガス化して次式(1)の反応が生じる。
ZnSe(s)+I2(g)→ZnI2(g)+1/2・Se2(g) (1)
すなわち、固相(s)のZnSeと気相(g)のI2とが反応して、気相のZnI2と気相のSe2とが生じる。このようなZnI2ガスとSe2ガスとを含む原料ガスが低温部に配置されたZnSe種結晶16上まで拡散および自然対流によって輸送され、その種結晶上に新たにZnSe結晶層が上式(1)の逆反応によって成長する。そのZnSe結晶層表面には(111)Bファセットと(100)ファセットが形成されるが、一般に(111)Bファセットが最も大きなファセットを形成する。
【0004】
したがって、(111)Bの主面方位を有する種結晶を使用すれば、その主面上において、大きな(111)Bファセットを有しかつその周囲に3回対称の(100)ファセットを有するZnSe結晶層が得られる。このとき、ガス対流による原料ガスの輸送が大き過ぎれば、結晶成長速度の場所的不均一性によって、成長界面のモフォロジーが悪化してしまう。すなわち成長結晶層表面に形成されるべき(111)Bファセットが、安定に形成されなくて段差を伴うことになる。その結果として、成長結晶層が多結晶化したり、結晶層中にボイドが形成されたりすることが知られている。この問題は、大口径結晶層を成長させるために大口径のアンプル管を使用したときに一層顕著になるので、大口径結晶層の成長は困難であるとされてきた。
【0005】
このような問題に対して、水平に配置したアンプル11をその水平中心軸の周りに回転させることによってアンプル内の原料ガスの対流を抑制し、その環境下で結晶層を成長させる方法が、特開平10−81584号公報において提案されている。この方法によって、比較的大口径(直径30mm程度)のZnSe単結晶層を成長させることが可能になっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平10−81584号公報に開示された方法においても、結晶成長安定化の効果は必ずしも十分ではなく、結晶成長の進展にともなって徐々に(111)Bファセットが不安定になり、段差が形成されてボイドが発生するようになることが、本発明者によって見いだされた。より具体的には、アンプル11内の温度環境にも依存するとは予想されるが、ヨウ素を輸送媒体とする化学輸送法で直径30mmのZnSe結晶成長層を20mm程度の厚さまで成長させようとすれば、(111)Bファセットが不安定化する傾向が強いようである。したがって、さらに厚い結晶層や大口径の結晶層を成長させようとしても、安定な結晶成長の実現は困難である。
【0007】
そこで、本発明者が見出した上述の課題に鑑み、本発明は、ハロゲンを輸送媒体とする化学輸送法によって封管中でII−VI族化合物半導体結晶を育成する方法を改善することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ハロゲンを輸送媒体とする化学輸送法によって封管中でII−VI族化合物半導体結晶を育成する方法において、そのII−VI族化合物の化学量論的比率の1:1に比べてII族元素またはVI族元素のいずれか一方を封管中に過剰に充填することを特徴としている。
【0009】
なお、過剰に充填するII族元素のうちでその過剰分のモル量は封管中のハロゲンのモル量の1/50から1/10の範囲内にあることが好ましい。また、過剰に充填するVI族元素のうちでその過剰分のモル量は封管中のハロゲンのモル量の1/50から1/2の範囲内にあることが好ましい。
【0010】
II−VI族化合物半導体結晶育成用に、(111)Bの主面方位を有する種結晶が好ましく用いられ得る。封管の中心軸を水平に配置して、その中心軸の周りに封管を回転させながら結晶育成を行うことが好ましい。
【0011】
II−VI族化合物半導体結晶育成において、II族元素はZnであってVI元素はSeであり得る。ハロゲンとしては、ヨウ素が好ましく用いられ得る。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者は、ヨウ素のようなハロゲンを輸送媒体とする化学輸送法によるZnSe等のII−VI族化合物半導体結晶の成長における課題である(111)Bファセットの安定性向上の方策を検討したところ、結晶成長用のアンプル中においてII−VI族化合物の化学量論的比率の1:1に比べて過剰のII族元素またはVI族元素を充填する方法を利用し得ることを見出した。
【0013】
II−VI族化合物の化学量論的比率に比べて過剰のII族元素またはVI族元素を充填すれば、結晶成長速度を減少させてしまうことになる。この理由としては、アンプル中においてII族元素またはVI族元素のいずれか一方を過剰に充填すれば、他方の元素の分圧が相対的に減少することになって、化学量論的II−VI族化合物の結晶成長速度がその相対的に分圧が減少した元素の供給速度に律速されることが考えられる。したがって、従来では、II−VI族化合物半導体結晶を化学的輸送法によって成長させる場合において、アンプル中でII族元素またはVI族元素のいずれか一方が化学量論的比率に比べて過剰に充填されることはなかった。
【0014】
しかし本発明者が検討した結果、適当な過剰量分のII族元素またはVI族元素をアンプル中に追加充填するれば、許容出来る程度の成長速度の減少の範囲内で、(111)Bファセットの安定性が格段に向上することが見いだされた。
【0015】
具体的には、II族元素を過剰に充填する場合には、輸送媒体として充填するハロゲンのモル量の1/50以上のモル量だけII族元素を過剰に充填すれば、(111)Bファセット安定化の効果が得られる。しかし、ハロゲンのモル量の1/10以上のモル量だけII族元素を過剰に充填すれば、結晶の成長速度が1/2以下になってしまうので好ましくない。すなわち、ハロゲンのモル量の1/50以上で1/10以下の範囲内のモル量だけII族元素を過剰に充填すれば、結晶成長速度を大きく損なうことなく(111)Bファセット安定化の効果が得られることが判明した。なお、各元素のモル比率の計算においては、単体原子のモル量を比較して計算している。
【0016】
他方、VI族元素を過剰に充填する場合には、輸送媒体として充填するハロゲンのモル量の1/50以上のモル量だけVI族元素を過剰に充填すれば(111)Bファセット安定化の効果が得られる。しかし、ハロゲンのモル量の1/2以上のモル量だけVI族元素を過剰に充填すれば、結晶の成長速度が1/2以下になってしまうので好ましくない。すなわち、ハロゲンのモル量の1/50以上で1/2以下の範囲内のモル量だけVI族元素を過剰に充填すれば、結晶成長速度を大きく損なうことなく(111)Bファセット安定化の効果が得られることが判明した。
【0017】
なお、適当な過剰量のII族元素またはVI族元素をアンプル中に充填すれば(111)Bファセットの安定性が格段に向上することの理由は、現時点において未だよく分かっていない。
【0018】
(実施例)
本発明の一実施例によるII−VI族化合物半導体結晶の育成方法が、図1の模式的な断面図で図解されている。図1に図解された方法では、石英ガラス管1の右端が閉じられており、そこにZnSe多結晶原料2が充填される。このZnSe多結晶原料2の左端には、第1のスペーサ3を介して仕切板4が配置される。第1のスペーサ3は、仕切板4の位置を安定化させるために設けられる。また、これらのスペーサ3や仕切板4も石英ガラスで作製することができ、仕切板4はガスを通過させるための複数の孔を有している。
【0019】
仕切板4の左側には、第2のスペーサ5を介して、ZnSe種結晶基板6が配置される。この第2のスペーサ5は、多結晶原料2と種結晶基板6との間を所定の距離に保って、種結晶基板6の位置を安定化するように設けられる。そして、種結晶基板6の左側は、封入蓋7によって封止される。なお、石英ガラス管1が封入蓋7によって封止される前に、その石英管1内部が真空ポンプによって減圧されることは言うまでもない。第2のスペーサ5と封入蓋7も石英ガラスで作製することができ、封入蓋7は石英管1に融着させられる。こうして、封入蓋7の右側の石英管1内で、結晶成長用アンプルが形成される。
【0020】
種結晶基板6としては、直径31mmで面方位(111)BのZnSe単結晶基板を使用した。原料多結晶2としては、CVD(化学気相堆積)法で作製したZnSe多結晶から切りだした直径30mmで厚み10mmのZnSe多結晶板の3枚を重ねて使用した。
【0021】
第2のスペーサ5の内径は30mmで、その長さは40mmとした。アンプル中には、30mol/m3のヨウ素(図示せず)を充填した。35本のアンプルを作製したが、各々のアンプルには表1または表2に示す過剰量の単体Znまたは単体Se(図示せず)が追加充填されていた。なお、これらの単体Znまたは単体Seは、結晶育成時にはガス化されるので、アンプル中の何処に配置してもよい。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
以上のように準備されたアンプルを使用して、原料多結晶2の温度が900℃で種結晶基板6の温度が830℃になるように温度設定して、種結晶基板6上にZnSe単結晶層の育成を行った。その結晶成長中に、アンプルは水平に支持され、その水平中心軸の周りに60rpmの回転数で回転させられた。
【0025】
得られたZnSe単結晶層の結晶長(厚さ)と成長速度と(111)Bファセットの状況も、表1と表2に示されている。それらの表1と表2において、(111)Bファセットの形状は、「平坦」、「外周部荒れ」、および「荒れ」に分類されている。「平坦」は、安定にファセットが形成されて、結晶層中にボイドが形成されなかったことを意味し、良好な結果を表わしている。「外周部荒れ」は、(111)Bファセットの外周部に段差が形成されて、その結果として結晶層外周部にボイドが形成されたことを表わしている。この結果は、完全に不良では無いがあまり好ましくない。「荒れ」は、(111)Bファセットの全面に段差が形成されて、その結果として結晶層中に多くのボイドが形成されたことを意味し、不良の結果を表わしている。
【0026】
表1と表2の結果を基に、Zn過剰(ランNo.A1−1〜A1−15)の場合とSe過剰(ランNo.A2−1〜A2−20)の場合の結果が、それぞれ図2と図3のグラフにまとめられている。これらのグラフから分かるように、いずれの場合にも、ZnまたはSeの過剰量が少なければ(111)Bファセットが荒れる傾向がある。他方、ZnまたはSeの過剰量を大きくしていけば、結晶成長速度が低下する傾向がある。
【0027】
「荒れ」に関しては、ZnまたはSeの過剰量をヨウ素の1/50以上にすれば、改善の傾向が見られる。結晶成長速度が遅くても構わないのであれば、ZnまたはSeの過剰量をヨウ素の1/50以上にどれだけ大きくても構わないが、やはりあまり成長速度が遅くなることは生産性の観点から好ましくないであろう。目安として、化学量論的比率の場合に比べて結晶成長速度が1/2程度に低下する過剰量を考えれば、Zn過剰の場合にはそのZn過剰量をヨウ素量の1/10以下にしなければならず、Se過剰の場合にはそのSe過剰量をヨウ素量の1/2以下にしなければならない。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ハロゲンを輸送媒体とする化学輸送法によるII−VI族化合物半導体結晶の育成において、成長結晶層表面のファセットの安定性が向上し、大型結晶層の安定成長が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるII−VI族化合物半導体結晶の育成方法を図解する模式的な断面図である。
【図2】図1の結晶育成方法において、封管内に充填されるZnの過剰の度合いと結晶成長速度との関係を示すグラフである。
【図3】図1の結晶育成方法において、封管内に充填されるSeの過剰の度合いと結晶成長速度との関係を示すグラフである。
【図4】周知の従来技術によるII−VI族化合物半導体結晶の育成方法を図解する模式的な断面図である。
【符号の説明】
1 石英ガラス管、2 ZnSe多結晶、3 第1のスペーサ、4 仕切板、
5 第2のスペーサ、6 種結晶、7 封入蓋。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an improvement in a method for growing a II-VI compound semiconductor crystal by a chemical transport method using halogen as a transport medium.
[0002]
[Prior art]
First, the growth of II-VI compound semiconductor crystals by a chemical transport method using halogen as a transport medium will be described. Here, the case where iodine is selected as the halogen and ZnSe is selected as the II-VI compound semiconductor will be described as an example.
[0003]
In FIG. 4, a conventionally known method for growing a ZnSe crystal by a chemical transport method using iodine as a transport medium is illustrated in a schematic cross-sectional view. In this method, a ZnSe polycrystal 12 as a raw material, a ZnSe single crystal 16 as a seed crystal, and iodine (solid at room temperature) 20 are filled in an ampoule 11 of a vacuum sealed tube made of quartz glass. By increasing the average temperature of the ampoule 11 to about 800 to 900 ° C. while keeping the temperature of the raw material polycrystal 12 side several degrees to several tens degrees Celsius higher than the temperature of the seed crystal 16 side in the ampoule 11, Iodine 20 is gasified to cause a reaction represented by the following formula (1).
ZnSe (s) + I 2 (g) → ZnI 2 (g) + / · Se 2 (g) (1)
That is, the reaction with I 2 of ZnSe and gas solid phase (s) (g), and ZnI 2 and Se 2 in the gas phase of the gas phase occurs. Such a source gas containing ZnI 2 gas and Se 2 gas is diffused and transported by natural convection to the ZnSe seed crystal 16 arranged in the low temperature part, and a new ZnSe crystal layer is formed on the seed crystal by the above formula ( It grows by the reverse reaction of 1). (111) B facet and (100) facet are formed on the surface of the ZnSe crystal layer, and the (111) B facet generally forms the largest facet.
[0004]
Therefore, if a seed crystal having a (111) B principal plane orientation is used, a ZnSe crystal having a large (111) B facet and a three-fold symmetrical (100) facet around it on the principal surface A layer is obtained. At this time, if the transport of the source gas by the gas convection is too large, the morphology of the growth interface will be deteriorated due to the spatial nonuniformity of the crystal growth rate. In other words, the (111) B facet to be formed on the surface of the grown crystal layer is not formed stably and involves a step. As a result, it is known that the grown crystal layer is polycrystallized and voids are formed in the crystal layer. This problem has been more pronounced when using a large-diameter ampule tube for growing a large-diameter crystal layer, and it has been considered difficult to grow a large-diameter crystal layer.
[0005]
To solve such a problem, a method of suppressing the convection of the raw material gas in the ampoule by rotating the horizontally arranged ampoule 11 around its horizontal central axis and growing a crystal layer under the environment is particularly known. It is proposed in Japanese Unexamined Patent Publication No. 10-81584. According to this method, a ZnSe single crystal layer having a relatively large diameter (about 30 mm in diameter) can be grown.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, even in the method disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open No. H10-81584, the effect of stabilizing the crystal growth is not always sufficient, and the (111) B facet gradually becomes unstable as the crystal growth progresses, and It has been found by the present inventors that voids are formed due to the formation of voids. More specifically, it is expected that the ZnSe crystal growth layer having a diameter of 30 mm is grown to a thickness of about 20 mm by a chemical transport method using iodine as a transport medium, though it is expected that the ZnSe crystal growth layer also depends on the temperature environment in the ampoule 11. For example, it seems that the (111) B facet tends to be unstable. Therefore, it is difficult to achieve stable crystal growth even when trying to grow a thicker crystal layer or a crystal layer having a larger diameter.
[0007]
In view of the above-mentioned problems found by the inventor, the present invention aims to improve a method of growing a II-VI group compound semiconductor crystal in a sealed tube by a chemical transport method using halogen as a transport medium. I have.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
According to the present invention, in a method of growing a II-VI compound semiconductor crystal in a sealed tube by a chemical transport method using halogen as a transport medium, the stoichiometric ratio of the II-VI compound is reduced to 1: 1. In comparison, one of the Group II elements and the Group VI element is excessively filled in the sealed tube.
[0009]
It is preferable that the molar amount of the excess group II element in the excess filling is within the range of 1/50 to 1/10 of the molar amount of halogen in the sealed tube. Further, it is preferable that the molar amount of the excess group VI element in excess filling be in the range of 1/50 to 1/2 of the molar amount of halogen in the sealed tube.
[0010]
For growing a II-VI compound semiconductor crystal, a seed crystal having a (111) B principal plane orientation can be preferably used. It is preferable to arrange the central axis of the sealed tube horizontally and grow the crystal while rotating the sealed tube around the central axis.
[0011]
In growing a II-VI compound semiconductor crystal, the group II element may be Zn and the VI element may be Se. As the halogen, iodine can be preferably used.
[0012]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The present inventor studied a method for improving the stability of the (111) B facet, which is a problem in growing a II-VI group compound semiconductor crystal such as ZnSe by a chemical transport method using a halogen such as iodine as a transport medium. It has been found that a method of filling an excess of a Group II element or a Group VI element in the ampoule for crystal growth with an excess of the stoichiometric ratio of the Group II-VI compound to 1: 1 can be used.
[0013]
Filling an excess of the Group II or Group VI element with respect to the stoichiometric ratio of the Group II-VI compound will decrease the crystal growth rate. The reason for this is that if an ampoule is overfilled with either a Group II element or a Group VI element, the partial pressure of the other element will decrease relatively and the stoichiometric II-VI It is conceivable that the crystal growth rate of the group III compound is limited by the supply rate of the element whose partial pressure is relatively reduced. Therefore, conventionally, when a group II-VI compound semiconductor crystal is grown by a chemical transport method, one of a group II element and a group VI element is excessively filled in an ampoule as compared with a stoichiometric ratio. I never did.
[0014]
However, as a result of investigations made by the present inventor, if the ampoule is additionally filled with an appropriate excess amount of a group II element or a group VI element, the (111) B facet can be maintained within a range of an acceptable reduction in growth rate. Has been found to greatly improve the stability of the device.
[0015]
Specifically, when the group II element is excessively charged, if the group II element is excessively charged by a molar amount of 1/50 or more of the molar amount of the halogen charged as the transport medium, the (111) B facet An effect of stabilization can be obtained. However, if the group II element is excessively filled with a molar amount of 1/10 or more of the molar amount of the halogen, the crystal growth rate is reduced to 1/2 or less, which is not preferable. That is, if the Group II element is excessively filled with a molar amount within a range of 1/50 or more and 1/10 or less of the molar amount of halogen, the effect of stabilizing the (111) B facet can be obtained without significantly impairing the crystal growth rate. Was found to be obtained. In calculating the molar ratio of each element, the calculation is performed by comparing the molar amounts of the single atoms.
[0016]
On the other hand, when the group VI element is excessively charged, the effect of stabilizing the (111) B facet can be obtained by excessively filling the group VI element with a molar amount of 1/50 or more of the molar amount of the halogen charged as the transport medium. Is obtained. However, if the group VI element is excessively filled with a molar amount equal to or more than 1/2 of the molar amount of the halogen, the crystal growth rate is undesirably reduced to 1/2 or less. That is, when the group VI element is excessively filled by a molar amount within a range of 1/50 to 1/2 of the molar amount of halogen, the effect of stabilizing the (111) B facet without greatly impairing the crystal growth rate. Was found to be obtained.
[0017]
The reason why the stability of the (111) B facet is remarkably improved by filling an ampoule with an appropriate excess amount of a group II element or a group VI element is not yet clearly understood at present.
[0018]
(Example)
A method for growing a II-VI compound semiconductor crystal according to one embodiment of the present invention is illustrated in a schematic cross-sectional view of FIG. In the method illustrated in FIG. 1, the right end of a quartz glass tube 1 is closed, and a ZnSe polycrystalline raw material 2 is filled therein. On the left end of the ZnSe polycrystalline raw material 2, a partition plate 4 is disposed via a first spacer 3. The first spacer 3 is provided to stabilize the position of the partition plate 4. The spacer 3 and the partition plate 4 can also be made of quartz glass, and the partition plate 4 has a plurality of holes for allowing gas to pass therethrough.
[0019]
On the left side of the partition plate 4, a ZnSe seed crystal substrate 6 is disposed via a second spacer 5. The second spacer 5 is provided to stabilize the position of the seed crystal substrate 6 while maintaining a predetermined distance between the polycrystalline raw material 2 and the seed crystal substrate 6. Then, the left side of seed crystal substrate 6 is sealed with sealing lid 7. It is needless to say that before the quartz glass tube 1 is sealed by the sealing lid 7, the inside of the quartz tube 1 is depressurized by the vacuum pump. The second spacer 5 and the sealing lid 7 can also be made of quartz glass, and the sealing lid 7 is fused to the quartz tube 1. Thus, an ampoule for crystal growth is formed in the quartz tube 1 on the right side of the sealing lid 7.
[0020]
As the seed crystal substrate 6, a ZnSe single crystal substrate having a diameter of 31 mm and a plane orientation of (111) B was used. As the raw material polycrystal 2, three ZnSe polycrystal plates each having a diameter of 30 mm and a thickness of 10 mm cut out of a ZnSe polycrystal prepared by a CVD (chemical vapor deposition) method were used in an overlapping manner.
[0021]
The inner diameter of the second spacer 5 was 30 mm, and its length was 40 mm. The ampoule was filled with 30 mol / m 3 of iodine (not shown). 35 ampoules were produced, and each ampule was additionally filled with an excess amount of elemental Zn or elemental Se (not shown) shown in Table 1 or Table 2. Note that these simple Zn or simple Se are gasified during crystal growth, and may be placed anywhere in the ampoule.
[0022]
[Table 1]
[0023]
[Table 2]
[0024]
Using the ampoule prepared as above, the temperature was set so that the temperature of the raw material polycrystal 2 was 900 ° C. and the temperature of the seed crystal substrate 6 was 830 ° C., and the ZnSe single crystal was placed on the seed crystal substrate 6. The layers were grown. During the crystal growth, the ampoule was supported horizontally and rotated at 60 rpm around its horizontal center axis.
[0025]
Tables 1 and 2 also show the crystal length (thickness), growth rate, and (111) B facet state of the obtained ZnSe single crystal layer. In those Tables 1 and 2, the shape of the (111) B facet is classified into “flat”, “rough outer peripheral portion”, and “rough”. "Flat" means that the facets were formed stably and no voids were formed in the crystal layer, indicating a good result. The “roughness in the outer periphery” indicates that a step was formed in the outer periphery of the (111) B facet, and as a result, voids were formed in the outer periphery of the crystal layer. This result is not completely bad, but not very favorable. “Roughness” means that a step is formed on the entire surface of the (111) B facet, and as a result, many voids are formed in the crystal layer, which indicates a defective result.
[0026]
Based on the results of Tables 1 and 2, the results in the case of Zn excess (Run Nos. A1-1 to A1-15) and the case of Se excess (Run Nos. A2-1 to A2-20) are respectively shown in FIG. 2 and FIG. As can be seen from these graphs, in any case, if the excess amount of Zn or Se is small, the (111) B facet tends to become rough. On the other hand, as the excess amount of Zn or Se increases, the crystal growth rate tends to decrease.
[0027]
Regarding "roughness", an improvement tendency is seen when the excess amount of Zn or Se is set to 1/50 or more of iodine. If the crystal growth rate may be slow, the excess amount of Zn or Se may be as large as 1/50 or more of iodine, but the growth rate is too slow from the viewpoint of productivity. Would not be preferred. As a guide, considering the excess amount in which the crystal growth rate is reduced to about 1/2 as compared with the case of the stoichiometric ratio, in the case of excess Zn, the excess amount of Zn must be 1/10 or less of the iodine amount. When the amount of Se is excessive, the excess amount of Se must be equal to or less than 1/2 of the amount of iodine.
[0028]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, in growing a II-VI group compound semiconductor crystal by a chemical transport method using halogen as a transport medium, the stability of facets on the surface of a grown crystal layer is improved, and the stability of a large crystal layer is improved. Growth is possible.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic cross-sectional view illustrating a method for growing a II-VI compound semiconductor crystal according to one embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a graph showing the relationship between the degree of excess Zn in a sealed tube and the crystal growth rate in the crystal growth method of FIG.
FIG. 3 is a graph showing the relationship between the degree of excess Se in a sealed tube and the crystal growth rate in the crystal growing method of FIG.
FIG. 4 is a schematic cross-sectional view illustrating a method of growing a II-VI compound semiconductor crystal according to a known conventional technique.
[Explanation of symbols]
1 quartz glass tube, 2 ZnSe polycrystal, 3 first spacer, 4 partition plate,
5 Second spacer, 6 seed crystals, 7 sealing lid.