JP2004070180A - 加熱体、加熱装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】少なくとも、基板5と、この基板5上に形成される抵抗発熱体6と、温度を検出する検温素子7とを有する加熱体3、該加熱体3を有する加熱装置、及び該加熱装置を像加熱手段として具備する画像形成装置について、応答性を悪化させることなく、加熱体3の基板5の厚さを上げヒータ割れに対するマージンを確保する。
【解決手段】検温素子7を基板5内に設け、基板5を従来よりも厚くする。検温素子7を間にはさんで、酸化アルミニウムあるいは窒化アルミニウムの基板のグリーンシートを2枚以上貼り合わせ、焼成することで上記の構成を得る。検温素子7は耐熱性のあるチップサーミスタ素子あるいは熱電対とする。
【選択図】図3
【解決手段】検温素子7を基板5内に設け、基板5を従来よりも厚くする。検温素子7を間にはさんで、酸化アルミニウムあるいは窒化アルミニウムの基板のグリーンシートを2枚以上貼り合わせ、焼成することで上記の構成を得る。検温素子7は耐熱性のあるチップサーミスタ素子あるいは熱電対とする。
【選択図】図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも、基板と、この基板上に形成される抵抗発熱体と、温度を検出する検温素子とを有する加熱体、該加熱体を有する加熱装置、及び該加熱装置を像加熱手段として具備する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置において、画像の加熱定着等のための記録材の加熱装置には、所定の温度に維持された加熱ローラと、弾性体層を介して前記加熱ローラに圧接する加圧ローラとによって被加熱材としての記録材を挟持搬送しつつ加熱する熱ローラ方式が多用されている。また、このほかにもフラッシュ加熱方式、オープン加熱方式、熱板加熱方式等種々の方式、構成のものが知られており、実用されている。
【0003】
最近では、このような方式に代わって、加熱体(ヒータ)と、加熱体の支持体(ステー)と、加熱体に対向圧接しつつ搬送される耐熱性フィルム(定着フィルム)と、定着フィルムを介して被加熱材としての記録材を加熱体に密着させる加圧体(加圧ローラ)を有し、加熱体の熱を定着フィルムを介して記録材へ付与することで記録材面に形成担持されている未定着画像を記録材面に加熱定着させる方式、構成の画像加熱定着方式(フィルム加熱方式)の加熱装置が考案されている。
【0004】
このようなフィルム加熱方式の加熱装置ないしは画像加熱定着装置においては加熱体として低熱容量の加熱体を用いることができる。このため、従来の接触加熱方式である熱ローラ方式、ベルト加熱方式等の装置に比べて省電力及びウェイトタイムの短縮化(クイックスタート)が可能になる。
【0005】
従来のフィルム加熱方式の加熱装置においては、加熱体の基板として酸化アルミニウムや窒化アルミニウムといったセラミックスを用いている。
【0006】
酸化アルミニウムを用いる場合は、基板の表面(フィルム摺動面)に抵抗発熱体を形成し、基板の裏面(非フィルム摺動面)に加熱体の温度を検知し温度制御を行うための検温素子を設ける構成が一般的である(表面発熱タイプ)。
【0007】
一方、窒化アルミニウムを用いる場合は、酸化アルミニウムより熱伝導率が高いため、基板の裏面(非フィルム摺動面)に抵抗発熱体を形成し、その上から絶縁層を介して検温素子を当接し温度制御する構成の方が熱効率が良い(裏面発熱タイプ)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述のフィルム加熱方式の加熱装置において、通紙可能な最大サイズよりもある程度小さな幅の記録材(以下小サイズ紙)を通紙した場合、温度制御は通紙部に設けられた検温素子の出力に基づいて行われる場合が多く、非通紙部では記録材に熱を奪われないため、非通紙部の温度が通紙部に比べて上昇する(非通紙部昇温)。
【0009】
また、特に小サイズ紙でかつ厚い記録材(厚紙・封筒等)が重送して通紙されてしまうような場合には、通紙部では記録材に大量の熱を奪われるため、加熱体に大量の電力が供給され非通紙部昇温が顕著になる。
【0010】
よって重送枚数が多い場合等は、加熱体のセラミックス基板端部で発生する熱応力が基板の破壊強度を超えてしまい加熱体が破損するという不具合が発生する可能性がある(ヒータ割れ)。
【0011】
このヒータ割れを防止するために、セラミックス基板の厚さを上げ強度を向上させることが考えられる。ただし、セラミックス基板の厚さを上げると以下の弊害が考えられる。
【0012】
まず、基板材料として酸化アルミニウムを用いた場合の構成(表面発熱タイプ)には、抵抗発熱体と検温素子との間の熱抵抗が厚さに比例して増大するため、応答性が悪化する。応答性が悪化すると記録材通紙時の熱負荷変動に素早く対応することができないため、温度制御の精度が低下し温度要因の画像不良、カールの悪化、記録材のシワの発生等が懸念される。
【0013】
また、基板材料として窒化アルミニウムを用いた場合の構成(裏面発熱タイプ)に関しても、加熱体表面と検温素子との間の熱抵抗が厚さに比例して増大する。この場合も、表面発熱タイプほどではないにせよ(窒化アルミニウムは酸化アルミニウムよりも熱伝導性が良いため熱抵抗の増大による影響は小さい)、応答性が悪化し上述したような不具合の発生が懸念される。
【0014】
本発明は、上記のような、少なくとも、基板と、この基板上に形成される抵抗発熱体と、温度を検出する検温素子とを有する加熱体、該加熱体を有する加熱装置、及び該加熱装置を像加熱手段として具備する画像形成装置について、応答性を悪化させることなく、加熱体の基板の厚さを上げヒータ割れに対するマージンを確保することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする、加熱体、加熱装置及び画像形成装置である。
【0016】
(1)少なくとも、基板と、この基板上に形成される抵抗発熱体と、温度を検出する検温素子とを有する加熱体において、検温素子が基板内にあることを特徴とする加熱体。
【0017】
(2)前記(1)に記載の加熱体において、基板は材料としてセラミックスを用いていることを特徴とする加熱体。
【0018】
(3)前記(2)に記載の加熱体において、前記基板は平板状のグリーンシートを2枚以上貼り合わせた後焼成して形成するもので、前記検温素子はグリーンシート間に設けられていることを特徴とする加熱体。
【0019】
(4)前記(1)から(3)の何れか1項に記載の加熱体において、前記基板は酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムからなることを特徴とする加熱体。
【0020】
(5)前記(1)から(4)の何れか1項に記載の加熱体において、前記検温素子はサーミスタであることを特徴とする加熱体。
【0021】
(6)前記(5)に記載の加熱体において、前記サーミスタの電極部と基板の一面との間をつなぐ空隙を設け、その空隙に導電性材料を充填したことを特徴とする加熱体。
【0022】
(7)前記(1)から(4)の何れか1項に記載の加熱体において、前記検温素子は熱電対であることを特徴とする加熱体。
【0023】
(8)加熱体によって被加熱材を加熱する加熱装置において、前記加熱体が前記(1)から(7)の何れか1項に記載の加熱体であることを特徴とする加熱装置。
【0024】
(9)加熱体と、一面が加熱体と接触摺動し他面が被加熱材と接触するフィルムを有し、加熱体上をフィルムと被加熱材が一緒に移動することで加熱体の熱をフィルムを介して被加熱材へ伝達する加熱装置で、前記加熱体が前記(1)から(7)の何れか1項に記載の加熱体であることを特徴とする加熱装置。
【0025】
(10)被加熱材が画像を担持した記録材であることを特徴とする前記(8)または(9)に記載の加熱装置。
【0026】
(11)記録材上に画像を形成する像形成手段と、該記録材上の画像を加熱する像加熱手段とを有する画像形成装置において、像加熱手段として前記(8)から(10)の何れか1項に記載の加熱装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【0027】
〈作 用〉
上記の構成からなる、加熱体、加熱装置及び画像形成装置を用いることによって、ヒータ割れ防止と良好な応答性との両立が可能になり、加熱体、加熱装置及び画像形成装置の信頼性と画質が向上する。
【0028】
【発明の実施の形態】
〈実施例1〉
以下、図面を参照し本発明の第1の実施例を説明する。
【0029】
(1)画像形成装置例
図1は本実施例における画像形成装置としてのレーザービームプリンタの要部である。101は像担持体として有機感光ドラム、102は帯電部材としての帯電ローラ、103はレーザー露光装置、104は現像スリーブ及び現像ブレードならびに1成分磁性トナー等からなる現像装置、105はクリーニングブレード、106は転写ローラ、107は加熱定着装置である。
【0030】
有機感光ドラム101は、矢印の反時計方向に所定の周速度にて回転駆動され、帯電ローラ102によって本例の場合は負の所定電位に一様に帯電される。そしてその有機感光ドラム101の一様帯電処理面にレーザー露光装置103からのレーザービームによる画像情報の走査露光がなされて、有機感光ドラム101に走査露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0031】
次に、現像装置104の中で帯電したネガトナーが有機感光ドラム101上の静電潜像の露光明部に付着して静電潜像がトナー像として可視像となる(反転現像)。
【0032】
一方、所定の給紙制御タイミングにて給紙ローラ108が回転駆動されて給紙カセット109から紙等の記録材Pが1枚分離給送されて、搬送ローラ110、レジストローラ111等を含むシートパス112を通って有機感光ドラム101と転写ローラ106との当接部である転写ニップ部に所定の制御タイミングにて導入され、記録材Pの面に有機感光ドラム101上のトナー像が順次に転写される。
【0033】
転写ニップ部を出た記録材Pは、有機感光ドラム101面から分離されて、シートパス113を通って画像加熱定着装置としての加熱装置107に導入されてトナー像の加熱定着処理を受け、シートパス114を通って排紙トレイ115上に排出される。
【0034】
また記録材分離後の有機感光ドラム101面はクリーニングブレード105により転写残トナーの除去を受けて清掃され、繰返して作像に供される。
【0035】
(2)加熱装置107
図2は本実施例における画像加熱定着装置としての加熱装置107の概略構成図である。この加熱装置107は特開平4−44075〜44083号公報、同4−204980〜204984号公報等に開示のテンションレスタイプのフィルム加熱方式の加熱装置である。
【0036】
このテンションレスタイプのフィルム加熱方式の加熱装置は、耐熱性フィルムとしてエンドレスベルト状もしくは円筒状のものを用い、該フィルムの周長の少なくとも一部は常にテンションフリー(テンションが加わらない状態)とし、フィルムは加圧部材の回転駆動力で回転駆動するようにした装置である。
【0037】
本実施例の加熱装置は最大通紙幅をA4サイズとする。1はステーであり、加熱体保持部材兼フィルムガイド部材としての耐熱性・剛性部材である。3は加熱体としてのセラミックヒータであり、上記のステー1の下面にステー長手に沿って配設して保持させてある。2はエンドレス(円筒状)の耐熱性フィルムであり、加熱体3を含むステー1に外嵌させてある。このエンドレスの耐熱性フィルム2の内周長と加熱体3を含むステー1の外周長はフィルム2の方を例えば3mm程度大きくしてあり、したがってフィルム2は周長に余裕を持って外嵌している。本実施例では、フィルム2の外径は24mmとした。
【0038】
ステー1はポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PPS、液晶ポリマー等の高耐熱性樹脂や、これらの樹脂とセラミックス、金属、ガラス等との複合材料等で構成できる。本実施例では液晶ポリマーを用いた。
【0039】
フィルム2は熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、フィルム膜厚は100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性のあるPTFE、PFA、FEP等の単層フィルム、或いはポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS等のフィルムの外周表面にPTFE、PFA、FEP等をコーティングした複合層フィルムを使用できる。本実施例では膜厚約50μmのポリイミドフィルムの外周表面にPTFEをコーティングしたものを用いた。
【0040】
4は加熱体3との間にフィルム2を挟んで圧接ニップ部(定着ニップ部)Nを形成し、かつフィルム2を回転駆動させるフィルム外面接触駆動手段としての加圧ローラである。この加圧ローラ4は、芯金4aと、弾性体層4bと、最外層の離形層4cからなり、不図示の軸受け手段・付勢手段により所定の押圧力をもってフィルム2を挟ませて加熱体3の表面に圧接させて配設してある。本実施例では、芯金4aはアルミ芯金を、弾性体層4bはシリコーンゴムを、離形層4cはPFAをコーティングしたものを用いた。加圧ローラ4の外径は20mm、弾性体層4bの厚さは3mmとした。
【0041】
この加圧ローラ4は駆動系Mにより矢印の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。この加圧ローラ4の回転駆動により、圧接ニップ部Nにおける該加圧ローラとフィルム外面との摩擦力でフィルム2に回転力が作用して、フィルム2はその内面側が定着ニップ部Nにおいて加熱体3の下向き面(加熱体下面)に密着して摺動しながらステー1の外回りを矢印の反時計方向に加圧ローラ4の回転周速度とほぼ同じ周速度で従動回転状態になる。
【0042】
加熱体3は後述するように、本発明に従う構成の、少なくとも、基板と、この基板上に形成される抵抗発熱体と、温度を検出する検温素子とを有し、検温素子が基板内にあることを特徴とするセラミックヒータである。
【0043】
加熱体3は、電源26から抵抗発熱体の給電用電極に対する給電により抵抗発熱体が長手全長にわたって発熱することで昇温する。その昇温が加熱体基板内に配設した検温素子としてのサーミスタ7で検知され、サーミスタ7の出力をA/D変換しCPU24に取り込み、その情報に基づいてトライアック25により電源26から加熱体3の抵抗発熱体に通電する電力を位相、波数制御等により制御して、加熱体3の温度制御がなされる。
【0044】
即ちサーミスタ7の検知温度が所定の設定温度より低いと加熱体3が昇温するように、設定温度より高いと降温するように通電を制御することで、加熱体3は定着時一定温度に保たれる。
【0045】
なお、本実施例では位相制御により出力を0〜100%まで5%刻みの21段階で変化させている。出力100%は加熱体に全通電したときの出力を示す。
【0046】
加熱体3の温度が所定に立ち上がり、かつ加圧ローラ4の回転によるフィルム2の回転周速度が定常化した状態において、フィルム2を挟んで加熱体3と加圧ローラ4とで形成される圧接ニップ部Nに被加熱材としての画像定着すべき記録材Pが画像形成部側(転写部)より導入される。
【0047】
そして、記録材Pがフィルム2と一緒に圧接ニップ部Nを挟持搬送されることにより加熱体3の熱がフィルム2を介して記録材Pに付与され記録材P上の未定着顕画像(トナー画像)Tが記録材P面に加熱定着される。圧接ニップ部Nを通った記録材Pはフィルム2の面から分離されて搬送される。
【0048】
(3)加熱体3
本実施例の加熱体3は、基板材料として酸化アルミニウムを用いた表面発熱タイプのセラミックヒータであり、加熱体基板内に検温素子としてのサーミスタ7を配設してある。
【0049】
図3は本実施例の加熱体3の横断面拡大模型図である。図4は、加熱体3の表面側の一部切欠き平面模型図と、裏面側の平面模型図と、通電制御を行う回路を表す図である。
【0050】
加熱体3はフィルム2もしくは被加熱材としての記録材Pの搬送方向aに対して直角方向を長手とする細長の形状をしている。
【0051】
5は耐熱性・絶縁性を有する酸化アルミニウム基板で、2枚の厚さの同じグリーンシートを貼り合わせて焼成することで一体化させている。本実施例の加熱体3の製法については後述する。本実施例では厚さ2mm・幅7m・長さ270mmの基板を使用した。
【0052】
6は抵抗発熱体であり、基板5の表面(フィルム摺動面)上に基板長手に沿ってAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の電気抵抗材料をスクリーン印刷等により、線状もしくは線帯状に塗工して形成したものである。本実施例ではAg/Pdとガラスを混合したものをスクリーン印刷により、厚み約10μm・幅3mm・長さ220mmに塗工して形成した。Ag/Pdとガラスの配合比を変えることによって所望の抵抗値を得ることができる。本実施例では抵抗発熱体の抵抗値は常温で16Ωとした。
【0053】
21・22は抵抗発熱体6に給電するための給電用電極であり、基板5の両端において、それぞれ抵抗発熱体6の端部に電気的に導通させて設けられている。本実施例では、この給電用電極21・22はAg/Pdとガラスの混合物のスクリーン印刷パターン層である。
【0054】
10は加熱体表面に抵抗発熱体6を保護するように覆わせて設けた耐熱性オーバーコート層であり、本実施例では厚さ約50μmの耐熱性ガラスを用いた。オーバーコート層10は抵抗発熱体6と加熱体表面との間の絶縁性とフィルム2の摺動性とを確保するために設けられている。
【0055】
7は加熱体3の温度を検知し温度制御をするための検温素子である。本実施例では高耐熱性のチップサーミスタを用いており、基板5を構成させたグリーンシートの貼り合わせ面11に配置させて加熱体基板5内に設けてある。
【0056】
8はサーミスタ7と導通をとるための電極パターンである。本実施例では、基板5の裏面(非フィルム摺動面)に基板長手方向に沿って設けてあり、Ag/Pdとガラスを混合したものをスクリーン印刷して形成した。電極パターン8の抵抗値は十分低くなるようにAg・Pd・ガラスの配合比を調整している。
【0057】
9はサーミスタ7の電極部と電極パターン8との間の導通をとるために基板5に設けられた空隙であり、この空隙9中に導電性材料8aを充填することで導通を確保している。本実施例ではその導電性材料8aとして電極パターン8と同じ材料(配合比も同じ)を用いた。
【0058】
そして上記の加熱体3を、抵抗発熱体6を形成具備させた表面側を下向きに露呈させてステー1の下面側に保持させて固定配設してある。
【0059】
以上の構成をとることにより、加熱体全体を熱ローラ方式に比べて低熱容量にすることができ、クイックスタートが可能になる。
【0060】
前記したように、加熱体3は、抵抗発熱体6の両端部の給電用電極21・22に対する電源26からの給電により抵抗発熱体6が長手全長にわたって発熱することで昇温する。その昇温が加熱体基板5内に配設したサーミスタ7で検知される。サーミスタ7の電極パターン8はCPU24に通じており、サーミスタ7の出力をA/D変換しCPU24に取り込み、その情報に基づいてトライアック25により電源26から抵抗発熱体6に通電する電力を位相、波数制御等により制御して、加熱体3の温度制御がなされる。
【0061】
(4)加熱体3の製造方法
1)サーミスタ7の製造方法
まず、本実施例で用いたサーミスタ7の製造方法について説明する。
【0062】
マンガン・ニッケル・コバルト等の酸化物を通常のセラミックス製品を製造する場合と同様に配合し、ついで仮焼し、この仮焼物を粉砕する。
【0063】
このようにして得られたサーミスタ抵抗体材料粉末に樹脂・溶剤等からなるバインダー組成物を混合して粘稠なスラリーを調製し、これを成形機により成形してサーミスタ抵抗材料のグリーンシートを作製する。
【0064】
このグリーンシートを一定の寸法に切断し、焼成を行いサーミスタ抵抗体のサーミスタ素地チップを得る。焼成温度は通常1300〜1500℃であり、本実施例では1500℃で焼成した。また、寸法は焼成後に1.6mm×0.8mm×0.2mmとなるようにした。このチップの両端部に電極材料ペーストを浸漬法により付着させて乾燥・焼付けを行って端子電極を形成し、チップ型のサーミスタを完成する。
【0065】
本実施例では電極材料ペーストとして耐熱性の高いAg/Pdペーストを用いた。
【0066】
以上の製造方法により、NTC特性(負の温度係数)のサーミスタ7を得る。
【0067】
2)加熱体3の製造方法
次に、本実施例の加熱体3の製造方法について説明する。
【0068】
上述の工程で得られたサーミスタ7を間にはさんで、加熱体基板5となる酸化アルミニウムのグリーンシートを2枚貼り合わせる。この2枚のグリーンシートの厚さは同じであり、1枚で焼成した場合厚さが1.0mmになるものを用いている。このとき、1枚のグリーンシートには貼り合わせ前に、サーミスタ7の電極部に対応する位置に2箇所の空隙9を設けておく。空隙9の形状は、グリーンシートを焼成した後に直径約0.5mmの円形になるようにした。その後、グリーンシートを焼成させてサーミスタ7を内蔵させた基板5を得る。本実施例では焼成温度は1300℃とした。ここで、酸化アルミニウム基板の焼成温度は上述したサーミスタ7の焼成温度よりも低いため、サーミスタ7の耐熱性は問題ない。
【0069】
サーミスタ7を内蔵させた基板5を得た後、空隙9をAg/Pdとガラスを混合したペースト8aで充填し乾燥・焼成させる。このペースト8aの充填はスクリーン印刷法で行った。
【0070】
その後、基板裏面の電極パターン8、基板表面の抵抗発熱体6、給電用電極21・22、オーバーコート層10を順次スクリーン印刷し乾燥・焼成する工程を繰り返し、加熱体3を得る。これらスクリーン印刷後の焼成温度はいずれも800℃程度としたので、やはりサーミスタ7の耐熱性は問題ない。
【0071】
従来のフィルム加熱方式の加熱体基板の厚さは0.6〜1.0mm程度の厚さが主流であり、応答性の観点からそれ以上厚くすることができなかった。本実施例では抵抗発熱体6とサーミスタ7との距離は1.0mm程度であるため従来例と変わらず、抵抗発熱体6とサーミスタ7との間の熱抵抗も変わらない(熱抵抗は両者の距離に比例する)。よって、従来と同等な応答性を維持したまま、基板5を厚くすることで小サイズ紙重送時等のヒータ割れに対するマージンを向上させることができる。また、サーミスタ7を加熱体基板用の2枚のグリーンシートの間にはさむという製造方法をとることにより、セラミックス基板5内に検温素子7を設けるという構成を比較的簡単に実現することができる。
【0072】
(5)従来例の加熱体3′
図5は従来例の加熱体3′の横断面拡大模型図である。この従来例の加熱体3′も酸化アルミニウムを基板材料に用いた表面発熱タイプの加熱体である。
【0073】
12は酸化アルミニウム基板で、1枚のグリーンシートを焼成している。従来例の基板寸法は厚さ1mm・幅7m・長さ270mmであり、厚さのみ本実施例の加熱体3(図3)と異なる。
【0074】
13、16はそれぞれ抵抗発熱体、オーバーコート層であり、本実施例と同仕様のものである。
【0075】
14は検温素子としてのチップサーミスタであり、基板裏面に接着されている。このサーミスタ14は本実施例の加熱体3(図3)のサーミスタ7と同じものである。15はサーミスタ14と導通をとるための電極パターンである。
【0076】
この従来例では、サーミスタ14の接着剤として耐熱性かつ導電性のものを用いており、この接着剤を介してサーミスタ14の電極と電極パターン15・15との間の導通がとられている。
【0077】
(6)比較例
以下に本実施例の加熱装置と従来例の加熱装置との比較を示す。本実施例と従来例で加熱体以外の加熱装置及び画像形成装置の構成は同じとした。なお、従来例の加熱体3′は前述した仕様のものであり、抵抗発熱体の抵抗値は本実施例の加熱体3と同じく16Ωとした。
【0078】
1)比較例1
加熱装置が十分室温(25℃)になじんだ状態から、B5サイズで坪量が157g/m2の厚紙を強制的に重送させて通紙し、何枚重送させると加熱体が破損するかを比較した。定着温度は200℃、入力電圧は100Vとし、画像形成装置のプロセススピードは104mm/sec.とした。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表1に示すように、従来例の加熱装置の場合は、5または6重送で加熱体3′の非通紙部が破損した。
【0081】
一方、本実施例の加熱装置の場合は、2回とも10重送まで重送枚数を増やしていったが、加熱体3は破損しなかった。本実施例の加熱体構成をとることにより加熱体の強度が向上しており、小サイズ紙重送時におけるヒータ割れに対するマージンが上がっていることが分かる。
【0082】
2)比較例2
サーミスタ7・CPU24・トライアック25等の故障により、加熱装置の温度制御が不能になった場合を想定した比較を示す。
【0083】
本実施例では図示しなかったが、加熱装置にはこのような場合を想定した安全対策として、温度ヒューズやサーモスイッチ等の温度プロテクタを設けている。温度プロテクタは加熱体の裏面に接触させている場合が多い。ちなみに本実施例では温度ヒューズを加熱体3の裏面に接触させている。
【0084】
加熱装置の温度制御が不能になり、例えば非常に大量の電力が供給され続けた場合、加熱体の強度が十分でないと温度プロテクタが作動する前に基板に発生する熱応力により加熱体が破損し、1次−2次間(抵抗発熱体のラインとサーミスタのラインとの間)の絶縁耐圧が満足できない可能性がある。すなわち、正常な温度制御が行われないような場合において、加熱体が破損するまでの時間が長い方が望ましい。
【0085】
本比較例では、加熱装置が十分室温(25℃)になじんだ状態から、加圧ローラ4を回転させない状態で100%通電を行い、加熱体が破損するまでの時間を比較した。なお、加熱体の強度差を明確にするため本実施例・従来例とも温度ヒューズを外した状態で比較を行った。入力電圧は140Vとし、抵抗発熱体の抵抗値は本実施例・従来例とも16Ωとしたので、印加電力は約1200Wである。結果を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
表2に示すように、本実施例は従来例に比べて加熱体が破損する時間が倍以上になっており、温度プロテクタ作動時間に対するマージンが上がり、加熱装置の安全性が向上していることが分かる。
【0088】
〈実施例2〉
次に基板材料として窒化アルミニウムを用いた裏面発熱タイプの加熱体について説明する。
【0089】
(1)従来例の加熱体3″
まず、図7に従来例の裏面発熱タイプの加熱体3″の断面図を示す。36は耐熱性・絶縁性・高熱伝導性を有する窒化アルミニウム基板で、寸法は酸化アルミニウムを基板に用いた場合の前述した従来例(図5)と同じく、厚さ1mm・幅7m・長さ270mmとした。
【0090】
37は抵抗発熱体であり、基板36の裏面上にAg/Pdとガラスを混合したものをスクリーン印刷により、厚み約10μm・幅3mm・長さ220mmに塗工して形成した。抵抗発熱体の抵抗値は常温で16Ωとした。
【0091】
40は耐熱性オーバーコート層であり、抵抗発熱体37と後述する外部当接型サーミスタ38との絶縁を確保するために設けられている。本例では厚さ約50μmの耐熱性ガラスを用いた。39は摺動ガラス層であり、フィルム2の摺動性を確保するために設けられている。本例では厚さ約20μmの耐熱性ガラスを用いた。
【0092】
38は温度制御用の検温素子である。裏面発熱タイプの加熱体では表面発熱タイプの前述した従来例(図5)の加熱体3′のように基板裏面にチップサーミスタを実装することができないので、加熱体から分離した外部当接型のサーミスタを設けている。この外部サーミスタ38は、例えば支持体上に断熱層を設けその上にチップサーミスタの素子を固定し、素子を下側(加熱体裏面側)に向けて所定の加圧力により加熱体裏面に当接するような構成をとる。ここでは、支持体として高耐熱性の液晶ポリマーを、断熱層としてセラミックスペーパーを積層したものを用いた場合を説明する。なお、チップサーミスタの素子自体は表面発熱タイプの加熱装置で用いたものと同じものとする。
【0093】
(2)本実施例の加熱体3
図6は本実施例における裏面発熱タイプで、加熱体基板30内に検温素子7を内蔵させた形態の加熱体3の横断面拡大模型図である。
【0094】
30は窒化アルミニウム基板で、2枚の厚さの同じグリーンシートを貼り合わせて焼成することで一体化させている。寸法は酸化アルミニウムを基板に用いた場合の前述の実施例1の加熱体3の基板5と同じく、厚さ2mm・幅7m・長さ270mmとした。31、34はそれぞれ抵抗発熱体、摺動ガラス層であり、従来例の加熱体3″(図7)と同仕様とした。
【0095】
7は前述の実施例1の表面発熱タイプの加熱体3(図3)で用いたものと同じチップサーミスタであり、グリーンシートの貼り合わせ面35に配置している。32は基板30の表面に設けられた電極パターンであり、Ag/Pdとガラスを混合したものをスクリーン印刷して形成した。33はサーミスタ7の電極部と電極パターン32との間の導通をとるために設けられた空隙であり、空隙中に導電性材料32aを充填することで導通を確保している。本実施例では導電性材料として電極パターン32と同じ材料(配合比も同じ)を用いた。
【0096】
本実施例では、サーミスタ7は基板30の内部にあるため抵抗発熱体31とサーミスタ7との絶縁は確保されており、かつ抵抗発熱体31と加熱体表面との間にも絶縁に必要な距離が十分とれるため、抵抗発熱体31のオーバーコート層は必要ない。
【0097】
この加熱体3の製造方法は前述した酸化アルミニウムを基板材料に用いた実施例1の加熱体3の場合と同様であり、窒化アルミニウム基板30の焼成温度は1400℃、抵抗発熱体等のスクリーン印刷後の焼成温度は800℃程度としたので、サーミスタ7の耐熱性は問題ない。
【0098】
本実施例では、加熱体表面と検温素子との距離は従来例(図7)とほぼ同じであるため、熱抵抗も従来と変わらず応答性は同等である。よって、従来と同等な応答性を維持したまま、基板を厚くすることで小サイズ紙重送時等のヒータ割れに対するマージンは向上している。また、酸化アルミニウムを基板材料に用いた場合と同様に、サーミスタをグリーンシートの間にはさむという製造方法をとることにより、セラミックス基板内に検温素子を設けるという構成を比較的簡単に実現することができる。
【0099】
以上説明してきたとおり、実施例1の表面発熱タイプの加熱体(図3)、実施例2の裏面発熱タイプの加熱体(図6)のいずれの場合においても、ヒータ割れ防止と良好な応答性との両立が可能になり、加熱装置及び画像形成装置の信頼性と画質が向上する。
【0100】
また、実施例1と2ではグリーンシートを2枚貼り合わせてセラミックス基板5・30を得る場合について述べたが、グリーンシートを3枚以上貼り合わせて焼成することにより基板を形成する場合にも適用可能である。
【0101】
〈実施例3〉
本実施例では、検温素子として熱電対を用いる。加熱体以外の加熱装置及び画像形成装置の構成は実施例1と同じである。以下、本実施例の加熱体について説明する。
【0102】
(1)本実施例の加熱体
図8は本実施例の加熱体3の横断面拡大模型図である。本実施例の加熱体3は、基板材料として酸化アルミニウムを用いた表面発熱タイプのセラミックヒータであり、加熱体基板5内に検温素子としての熱電対17を配設してある。
【0103】
5は酸化アルミニウム基板で、実施例1の加熱体3(図3)の基板5と同じく2枚の厚さの同じグリーンシートを貼り合わせて焼成することで一体化させている。本実施例では実施例1と同じく厚さ2mm・幅7m・長さ270mmの基板を使用した。
【0104】
6、10はそれぞれ抵抗発熱体、オーバーコート層であり、実施例1の加熱体3と同仕様のものを用いた。
【0105】
17は加熱体3の温度を検知し温度制御をするための検温素子であり、高耐熱性の熱電対である。熱電対17の耐熱温度は酸化アルミニウムあるいは窒化アルミニウム基板の焼成温度以上にする必要があるため、R熱電対(白金13%ロジウム−白金 耐熱温度:1600℃)・S熱電対(白金10%ロジウム−白金 耐熱温度:1600℃)・B熱電対(白金30%ロジウム−白金6%ロジウム 耐熱温度:1700℃)等を用いることができる。本実施例ではR熱電対を用い、グリーンシートの貼り合わせ面11に配置している。図8に示すように熱電対17の線は記録材搬送方向aにおいて上流側に出しており、加熱体の端部から加熱装置の外に出している。
【0106】
本実施例では、加熱体3の昇温は熱電対17で検知され、熱電対17の出力を温度に変換しCPUに取り込み、その情報に基づいてトライアックにより抵抗発熱体6に通電する電力を位相制御して、加熱体の温度制御を行っている。
【0107】
(2)加熱体の製造方法
本実施例の加熱体の製造方法について説明する。実施例1と同じく、まず熱電対17を間にはさんで、基板5を構成させるグリーンシートを2枚貼り合わせる。グリーンシートは実施例1と同じもの(酸化アルミニウム)である。熱電対17の線は前述のとおり基板の長手と直角をなす方向(上流側)に出しておく。その後、グリーンシートを焼成させて基板5を得る。焼成温度は実施例1と同じく1300℃とした。
【0108】
熱電対17を内蔵させた基板5を得た後、基板表面の抵抗発熱体6、給電用電極21・22、オーバーコート層10を順次スクリーン印刷し乾燥・焼成する工程を繰り返し、加熱体を得る。スクリーン印刷及び乾燥・焼成の工程は実施例1と同様であり、焼成温度も同じ800℃程度とした。本実施例においても、基板及びスクリーン印刷後の焼成温度はいずれも熱電対17の耐熱温度よりも低いため、熱電対17の耐熱性は問題ない。
【0109】
本実施例においても実施例1と同じく、抵抗発熱体6と熱電対17との距離は1.0mm程度であるため従来例と変わらず、両者の間の熱抵抗も変わらない。よって、従来と同等な応答性を維持したまま、基板を厚くすることで小サイズ紙重送時等のヒータ割れに対するマージンを向上させることができる。また、熱電対17をグリーンシートの間にはさむという製造方法をとることにより、セラミックス基板内に検温素子を設けるという構成を実施例1よりも簡単に実現することができる。
【0110】
(3)比較例
以下に本実施例の加熱装置と従来例の加熱装置との比較を示す。本実施例と従来例で加熱体以外の加熱装置及び画像形成装置の構成は同じとした。なお、従来例の加熱装置は実施例1で説明した従来例の表面発熱タイプの加熱体(図5)と同一のものであり、試験結果も同じである。
【0111】
1)比較例1
加熱装置が十分室温(25℃)になじんだ状態から、B5サイズで坪量が157g/m2の厚紙を強制的に重送させて通紙し、何枚重送させると加熱体が破損するかを比較した。条件は実施例1における比較例1と同じとした。結果を表3に示す。
【0112】
【表3】
【0113】
実施例1でも述べたように、従来例の加熱装置の場合は、5または6重送で加熱体の非通紙部が破損した。一方、本実施例の加熱装置の場合は、2回とも10重送まで重送枚数を増やしていったが加熱体は破損せず、実施例1と同一の結果が得られた。本実施例の構成をとることにより加熱体の強度が向上しており、小サイズ紙重送時におけるヒータ割れに対するマージンが上がっていることが分かる。
【0114】
2)比較例2
実施例1における比較例2と同じ比較を行った。加熱装置が十分室温(25℃)になじんだ状態から、加圧ローラを回転させない状態で100%通電を行い、加熱体が破損するまでの時間を比較した。入力電圧は140Vとした。本比較例においても抵抗発熱体の抵抗値は本実施例・従来例とも16Ωとしたので、印加電力は約1200Wである。結果を表4に示す。
【0115】
【表4】
【0116】
表4に示すように、本実施例においても従来例に比べて加熱体が破損する時間が倍以上になっており、実施例1と同等の値が得られた。温度プロテクタ作動時間に対するマージンが上がり、加熱装置の安全性が向上していることが分かる。
【0117】
〈実施例4〉
図9は本実施例の加熱体の横断面拡大模型図である。本実施例の加熱体3は、窒化アルミニウムを用いた裏面発熱タイプのセラミックヒータであり、加熱体基板30内に検温素子としての熱電対17を配設してある。
【0118】
30は窒化アルミニウム基板で、2枚の厚さの同じグリーンシートを貼り合わせて焼成することで一体化させている。寸法は酸化アルミニウムを基板に用いた場合の前述の実施例3の加熱体3の基板30と同じく、厚さ2mm・幅7m・長さ270mmとした。
【0119】
31、34はそれぞれ抵抗発熱体、摺動ガラス層であり、裏面発熱タイプにおける実施例2(図6)及び従来例(図7)のそれらと同仕様とした。
【0120】
17は実施例3の表面発熱タイプの加熱体(図8)で用いたものと同じ高耐熱性のR熱電対であり、加熱体基板30を構成させる2枚のグリーンシートの貼り合わせ面35に配置している。図9に示すように熱電対17の線は記録材搬送方向において上流側に出しており、加熱体の端部から加熱装置の外に出している。
【0121】
実施例3の表面発熱タイプの加熱体を用いた加熱装置と同様に、加熱体の昇温は熱電対17で検知され、熱電対17の出力を温度に変換しCPUに取り込み、その情報に基づいてトライアックにより抵抗発熱体31に通電する電力を位相制御して、加熱体の温度制御を行っている。
【0122】
本実施例の裏面発熱タイプの加熱体の場合も、熱電対17は基板30の内部にあるため抵抗発熱体31と熱電対17との絶縁は確保されており、かつ抵抗発熱体31と加熱体表面との間にも絶縁に必要な距離が十分とれるため、抵抗発熱体31のオーバーコート層は必要ない。
【0123】
この加熱体の製造方法は前述した実施例3の酸化アルミニウムを基板材料に用いた加熱体の場合と同様であり、窒化アルミニウム基板の焼成温度は1400℃、抵抗発熱体等のスクリーン印刷後の焼成温度は800℃程度としたので、熱電対17の耐熱性は問題ない。
【0124】
本実施例を裏面発熱タイプの加熱装置に適用した場合においても、加熱体表面と検温素子との距離は従来例とほぼ同じであるため、熱抵抗も従来と変わらず応答性は同等である。よって、従来と同等な応答性を維持したまま、基板を厚くすることで小サイズ紙重送時等のヒータ割れに対するマージンは向上している。
【0125】
以上説明してきたとおり、実施例3の表面発熱タイプの加熱体(図8)、実施例4の裏面発熱タイプの加熱体(図9)のいずれの場合においても、ヒータ割れ防止と良好な応答性との両立が可能になり、加熱装置及び画像形成装置の信頼性と画質が向上する。
【0126】
また、実施例3や4では検温素子として熱電対17を用いているので、実施例1や2のような基板裏面の電極パターンやサーミスタの電極と電極パターンとの間の導通をとるための空隙が不要になり、実施例1や2よりも低コストかつ簡単な構成で目的を達成することができる。
【0127】
更に複数個の検温素子を設けるような場合(例えば中央部に温度制御用の検温素子、端部に非通紙部昇温を監視するための検温素子を設けるような場合)にも簡単に対応できる利点もある。
【0128】
実施例3や4ではグリーンシートを2枚貼り合わせてセラミックス基板を得る場合について述べたが、グリーンシートを3枚以上貼り合わせて焼成することにより基板を形成する場合にも適用可能である。
【0129】
〈その他〉
1)本発明の加熱体はフィルム加熱方式の加熱装置ばかりではなく、加熱体支持体に支持させた加熱体を被加熱材に直接接触させて加熱する等の加熱装置等にも適用できることは勿論である。
【0130】
また本発明の加熱体は、例えば、蚊取りマットの加熱体、遠赤外線ホーター等を用いたファン、ヘアドライヤ等の加熱装置における加熱体に使用することができる。
【0131】
2)フィルム加熱方式の加熱装置において、エンドレスベルト状のフィルムをテンションを与えて懸回張設し、これを回転駆動させる装置構成にすることもできる。また、ロール巻きにした長尺の有端フィルムを用い、これを繰り出し軸側から加熱体を経由させて巻き取り軸側へ所定の速度で走行させるように装置構成することもできる。
【0132】
3)また本発明の加熱装置は画像加熱定着装置としてばかりではなく、その他、例えば、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着処理する像加熱装置、シート状物を給送して乾燥処理・ラミネート処理・熱シール処理、シワ取り処理する等の加熱装置、インクジェットプリンタ等に用いられる乾燥用の加熱装置等として広く使用出来る。
【0133】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、基板と、この基板上に形成される抵抗発熱体と、温度を検出する検温素子とを有する表面発熱タイプまたは裏面発熱タイプの加熱体のいずれの場合においても、また該加熱体を有する加熱装置、及び該加熱装置を像加熱手段として具備する画像形成装置において、ヒータ割れ防止と良好な応答性との両立が可能になり、加熱装置及び画像形成装置の信頼性・安全性と画質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における画像形成装置例の概略構成図
【図2】実施例1における画像加熱定着装置としての加熱装置の概略構成図
【図3】実施例1における加熱体(表面発熱タイプ)の横断面拡大模型図
【図4】実施例1における加熱体の表面側の一部切欠き平面模型図と、裏面側の平面模型図と、通電制御を行う回路を表す図
【図5】実施例1における従来例の加熱体(表面発熱タイプ)の横断面拡大模型図
【図6】実施例2における加熱体(裏面発熱タイプ)の横断面拡大模型図
【図7】実施例2における従来例の加熱体(裏面発熱タイプ)の横断面拡大模型図
【図8】実施例3における加熱体(表面発熱タイプ)の横断面拡大模型図
【図9】実施例4における加熱体(裏面発熱タイプ)の横断面拡大模型図
【符号の説明】
1.ステー、2.定着フィルム、3.ヒータ(加熱体)、4.加圧ローラ(加圧体)、4a.芯金、4b.弾性体層、4c.離形層、5.12.酸化アルミニウム基板、6.13.抵抗発熱体、7.14.サーミスタ、8.15.電極パターン、9.空隙、10.16.オーバーコート層、11.グリーンシートの貼り合わせ面、17.熱電対、24.CPU、25.トライアック、26.AC電源、30.36.窒化アルミニウム基板、31.37.抵抗発熱体、32.電極パターン、33.空隙、34.39.摺動ガラスコート層、35.グリーンシートの貼り合わせ面、38.外部当接型サーミスタ、40.オーバーコート層、N.ニップ部、P.記録材、T.トナー、a.記録材搬送方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも、基板と、この基板上に形成される抵抗発熱体と、温度を検出する検温素子とを有する加熱体、該加熱体を有する加熱装置、及び該加熱装置を像加熱手段として具備する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置において、画像の加熱定着等のための記録材の加熱装置には、所定の温度に維持された加熱ローラと、弾性体層を介して前記加熱ローラに圧接する加圧ローラとによって被加熱材としての記録材を挟持搬送しつつ加熱する熱ローラ方式が多用されている。また、このほかにもフラッシュ加熱方式、オープン加熱方式、熱板加熱方式等種々の方式、構成のものが知られており、実用されている。
【0003】
最近では、このような方式に代わって、加熱体(ヒータ)と、加熱体の支持体(ステー)と、加熱体に対向圧接しつつ搬送される耐熱性フィルム(定着フィルム)と、定着フィルムを介して被加熱材としての記録材を加熱体に密着させる加圧体(加圧ローラ)を有し、加熱体の熱を定着フィルムを介して記録材へ付与することで記録材面に形成担持されている未定着画像を記録材面に加熱定着させる方式、構成の画像加熱定着方式(フィルム加熱方式)の加熱装置が考案されている。
【0004】
このようなフィルム加熱方式の加熱装置ないしは画像加熱定着装置においては加熱体として低熱容量の加熱体を用いることができる。このため、従来の接触加熱方式である熱ローラ方式、ベルト加熱方式等の装置に比べて省電力及びウェイトタイムの短縮化(クイックスタート)が可能になる。
【0005】
従来のフィルム加熱方式の加熱装置においては、加熱体の基板として酸化アルミニウムや窒化アルミニウムといったセラミックスを用いている。
【0006】
酸化アルミニウムを用いる場合は、基板の表面(フィルム摺動面)に抵抗発熱体を形成し、基板の裏面(非フィルム摺動面)に加熱体の温度を検知し温度制御を行うための検温素子を設ける構成が一般的である(表面発熱タイプ)。
【0007】
一方、窒化アルミニウムを用いる場合は、酸化アルミニウムより熱伝導率が高いため、基板の裏面(非フィルム摺動面)に抵抗発熱体を形成し、その上から絶縁層を介して検温素子を当接し温度制御する構成の方が熱効率が良い(裏面発熱タイプ)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
前述のフィルム加熱方式の加熱装置において、通紙可能な最大サイズよりもある程度小さな幅の記録材(以下小サイズ紙)を通紙した場合、温度制御は通紙部に設けられた検温素子の出力に基づいて行われる場合が多く、非通紙部では記録材に熱を奪われないため、非通紙部の温度が通紙部に比べて上昇する(非通紙部昇温)。
【0009】
また、特に小サイズ紙でかつ厚い記録材(厚紙・封筒等)が重送して通紙されてしまうような場合には、通紙部では記録材に大量の熱を奪われるため、加熱体に大量の電力が供給され非通紙部昇温が顕著になる。
【0010】
よって重送枚数が多い場合等は、加熱体のセラミックス基板端部で発生する熱応力が基板の破壊強度を超えてしまい加熱体が破損するという不具合が発生する可能性がある(ヒータ割れ)。
【0011】
このヒータ割れを防止するために、セラミックス基板の厚さを上げ強度を向上させることが考えられる。ただし、セラミックス基板の厚さを上げると以下の弊害が考えられる。
【0012】
まず、基板材料として酸化アルミニウムを用いた場合の構成(表面発熱タイプ)には、抵抗発熱体と検温素子との間の熱抵抗が厚さに比例して増大するため、応答性が悪化する。応答性が悪化すると記録材通紙時の熱負荷変動に素早く対応することができないため、温度制御の精度が低下し温度要因の画像不良、カールの悪化、記録材のシワの発生等が懸念される。
【0013】
また、基板材料として窒化アルミニウムを用いた場合の構成(裏面発熱タイプ)に関しても、加熱体表面と検温素子との間の熱抵抗が厚さに比例して増大する。この場合も、表面発熱タイプほどではないにせよ(窒化アルミニウムは酸化アルミニウムよりも熱伝導性が良いため熱抵抗の増大による影響は小さい)、応答性が悪化し上述したような不具合の発生が懸念される。
【0014】
本発明は、上記のような、少なくとも、基板と、この基板上に形成される抵抗発熱体と、温度を検出する検温素子とを有する加熱体、該加熱体を有する加熱装置、及び該加熱装置を像加熱手段として具備する画像形成装置について、応答性を悪化させることなく、加熱体の基板の厚さを上げヒータ割れに対するマージンを確保することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする、加熱体、加熱装置及び画像形成装置である。
【0016】
(1)少なくとも、基板と、この基板上に形成される抵抗発熱体と、温度を検出する検温素子とを有する加熱体において、検温素子が基板内にあることを特徴とする加熱体。
【0017】
(2)前記(1)に記載の加熱体において、基板は材料としてセラミックスを用いていることを特徴とする加熱体。
【0018】
(3)前記(2)に記載の加熱体において、前記基板は平板状のグリーンシートを2枚以上貼り合わせた後焼成して形成するもので、前記検温素子はグリーンシート間に設けられていることを特徴とする加熱体。
【0019】
(4)前記(1)から(3)の何れか1項に記載の加熱体において、前記基板は酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムからなることを特徴とする加熱体。
【0020】
(5)前記(1)から(4)の何れか1項に記載の加熱体において、前記検温素子はサーミスタであることを特徴とする加熱体。
【0021】
(6)前記(5)に記載の加熱体において、前記サーミスタの電極部と基板の一面との間をつなぐ空隙を設け、その空隙に導電性材料を充填したことを特徴とする加熱体。
【0022】
(7)前記(1)から(4)の何れか1項に記載の加熱体において、前記検温素子は熱電対であることを特徴とする加熱体。
【0023】
(8)加熱体によって被加熱材を加熱する加熱装置において、前記加熱体が前記(1)から(7)の何れか1項に記載の加熱体であることを特徴とする加熱装置。
【0024】
(9)加熱体と、一面が加熱体と接触摺動し他面が被加熱材と接触するフィルムを有し、加熱体上をフィルムと被加熱材が一緒に移動することで加熱体の熱をフィルムを介して被加熱材へ伝達する加熱装置で、前記加熱体が前記(1)から(7)の何れか1項に記載の加熱体であることを特徴とする加熱装置。
【0025】
(10)被加熱材が画像を担持した記録材であることを特徴とする前記(8)または(9)に記載の加熱装置。
【0026】
(11)記録材上に画像を形成する像形成手段と、該記録材上の画像を加熱する像加熱手段とを有する画像形成装置において、像加熱手段として前記(8)から(10)の何れか1項に記載の加熱装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【0027】
〈作 用〉
上記の構成からなる、加熱体、加熱装置及び画像形成装置を用いることによって、ヒータ割れ防止と良好な応答性との両立が可能になり、加熱体、加熱装置及び画像形成装置の信頼性と画質が向上する。
【0028】
【発明の実施の形態】
〈実施例1〉
以下、図面を参照し本発明の第1の実施例を説明する。
【0029】
(1)画像形成装置例
図1は本実施例における画像形成装置としてのレーザービームプリンタの要部である。101は像担持体として有機感光ドラム、102は帯電部材としての帯電ローラ、103はレーザー露光装置、104は現像スリーブ及び現像ブレードならびに1成分磁性トナー等からなる現像装置、105はクリーニングブレード、106は転写ローラ、107は加熱定着装置である。
【0030】
有機感光ドラム101は、矢印の反時計方向に所定の周速度にて回転駆動され、帯電ローラ102によって本例の場合は負の所定電位に一様に帯電される。そしてその有機感光ドラム101の一様帯電処理面にレーザー露光装置103からのレーザービームによる画像情報の走査露光がなされて、有機感光ドラム101に走査露光パターンに対応した静電潜像が形成される。
【0031】
次に、現像装置104の中で帯電したネガトナーが有機感光ドラム101上の静電潜像の露光明部に付着して静電潜像がトナー像として可視像となる(反転現像)。
【0032】
一方、所定の給紙制御タイミングにて給紙ローラ108が回転駆動されて給紙カセット109から紙等の記録材Pが1枚分離給送されて、搬送ローラ110、レジストローラ111等を含むシートパス112を通って有機感光ドラム101と転写ローラ106との当接部である転写ニップ部に所定の制御タイミングにて導入され、記録材Pの面に有機感光ドラム101上のトナー像が順次に転写される。
【0033】
転写ニップ部を出た記録材Pは、有機感光ドラム101面から分離されて、シートパス113を通って画像加熱定着装置としての加熱装置107に導入されてトナー像の加熱定着処理を受け、シートパス114を通って排紙トレイ115上に排出される。
【0034】
また記録材分離後の有機感光ドラム101面はクリーニングブレード105により転写残トナーの除去を受けて清掃され、繰返して作像に供される。
【0035】
(2)加熱装置107
図2は本実施例における画像加熱定着装置としての加熱装置107の概略構成図である。この加熱装置107は特開平4−44075〜44083号公報、同4−204980〜204984号公報等に開示のテンションレスタイプのフィルム加熱方式の加熱装置である。
【0036】
このテンションレスタイプのフィルム加熱方式の加熱装置は、耐熱性フィルムとしてエンドレスベルト状もしくは円筒状のものを用い、該フィルムの周長の少なくとも一部は常にテンションフリー(テンションが加わらない状態)とし、フィルムは加圧部材の回転駆動力で回転駆動するようにした装置である。
【0037】
本実施例の加熱装置は最大通紙幅をA4サイズとする。1はステーであり、加熱体保持部材兼フィルムガイド部材としての耐熱性・剛性部材である。3は加熱体としてのセラミックヒータであり、上記のステー1の下面にステー長手に沿って配設して保持させてある。2はエンドレス(円筒状)の耐熱性フィルムであり、加熱体3を含むステー1に外嵌させてある。このエンドレスの耐熱性フィルム2の内周長と加熱体3を含むステー1の外周長はフィルム2の方を例えば3mm程度大きくしてあり、したがってフィルム2は周長に余裕を持って外嵌している。本実施例では、フィルム2の外径は24mmとした。
【0038】
ステー1はポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PPS、液晶ポリマー等の高耐熱性樹脂や、これらの樹脂とセラミックス、金属、ガラス等との複合材料等で構成できる。本実施例では液晶ポリマーを用いた。
【0039】
フィルム2は熱容量を小さくしてクイックスタート性を向上させるために、フィルム膜厚は100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上の耐熱性のあるPTFE、PFA、FEP等の単層フィルム、或いはポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS等のフィルムの外周表面にPTFE、PFA、FEP等をコーティングした複合層フィルムを使用できる。本実施例では膜厚約50μmのポリイミドフィルムの外周表面にPTFEをコーティングしたものを用いた。
【0040】
4は加熱体3との間にフィルム2を挟んで圧接ニップ部(定着ニップ部)Nを形成し、かつフィルム2を回転駆動させるフィルム外面接触駆動手段としての加圧ローラである。この加圧ローラ4は、芯金4aと、弾性体層4bと、最外層の離形層4cからなり、不図示の軸受け手段・付勢手段により所定の押圧力をもってフィルム2を挟ませて加熱体3の表面に圧接させて配設してある。本実施例では、芯金4aはアルミ芯金を、弾性体層4bはシリコーンゴムを、離形層4cはPFAをコーティングしたものを用いた。加圧ローラ4の外径は20mm、弾性体層4bの厚さは3mmとした。
【0041】
この加圧ローラ4は駆動系Mにより矢印の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。この加圧ローラ4の回転駆動により、圧接ニップ部Nにおける該加圧ローラとフィルム外面との摩擦力でフィルム2に回転力が作用して、フィルム2はその内面側が定着ニップ部Nにおいて加熱体3の下向き面(加熱体下面)に密着して摺動しながらステー1の外回りを矢印の反時計方向に加圧ローラ4の回転周速度とほぼ同じ周速度で従動回転状態になる。
【0042】
加熱体3は後述するように、本発明に従う構成の、少なくとも、基板と、この基板上に形成される抵抗発熱体と、温度を検出する検温素子とを有し、検温素子が基板内にあることを特徴とするセラミックヒータである。
【0043】
加熱体3は、電源26から抵抗発熱体の給電用電極に対する給電により抵抗発熱体が長手全長にわたって発熱することで昇温する。その昇温が加熱体基板内に配設した検温素子としてのサーミスタ7で検知され、サーミスタ7の出力をA/D変換しCPU24に取り込み、その情報に基づいてトライアック25により電源26から加熱体3の抵抗発熱体に通電する電力を位相、波数制御等により制御して、加熱体3の温度制御がなされる。
【0044】
即ちサーミスタ7の検知温度が所定の設定温度より低いと加熱体3が昇温するように、設定温度より高いと降温するように通電を制御することで、加熱体3は定着時一定温度に保たれる。
【0045】
なお、本実施例では位相制御により出力を0〜100%まで5%刻みの21段階で変化させている。出力100%は加熱体に全通電したときの出力を示す。
【0046】
加熱体3の温度が所定に立ち上がり、かつ加圧ローラ4の回転によるフィルム2の回転周速度が定常化した状態において、フィルム2を挟んで加熱体3と加圧ローラ4とで形成される圧接ニップ部Nに被加熱材としての画像定着すべき記録材Pが画像形成部側(転写部)より導入される。
【0047】
そして、記録材Pがフィルム2と一緒に圧接ニップ部Nを挟持搬送されることにより加熱体3の熱がフィルム2を介して記録材Pに付与され記録材P上の未定着顕画像(トナー画像)Tが記録材P面に加熱定着される。圧接ニップ部Nを通った記録材Pはフィルム2の面から分離されて搬送される。
【0048】
(3)加熱体3
本実施例の加熱体3は、基板材料として酸化アルミニウムを用いた表面発熱タイプのセラミックヒータであり、加熱体基板内に検温素子としてのサーミスタ7を配設してある。
【0049】
図3は本実施例の加熱体3の横断面拡大模型図である。図4は、加熱体3の表面側の一部切欠き平面模型図と、裏面側の平面模型図と、通電制御を行う回路を表す図である。
【0050】
加熱体3はフィルム2もしくは被加熱材としての記録材Pの搬送方向aに対して直角方向を長手とする細長の形状をしている。
【0051】
5は耐熱性・絶縁性を有する酸化アルミニウム基板で、2枚の厚さの同じグリーンシートを貼り合わせて焼成することで一体化させている。本実施例の加熱体3の製法については後述する。本実施例では厚さ2mm・幅7m・長さ270mmの基板を使用した。
【0052】
6は抵抗発熱体であり、基板5の表面(フィルム摺動面)上に基板長手に沿ってAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の電気抵抗材料をスクリーン印刷等により、線状もしくは線帯状に塗工して形成したものである。本実施例ではAg/Pdとガラスを混合したものをスクリーン印刷により、厚み約10μm・幅3mm・長さ220mmに塗工して形成した。Ag/Pdとガラスの配合比を変えることによって所望の抵抗値を得ることができる。本実施例では抵抗発熱体の抵抗値は常温で16Ωとした。
【0053】
21・22は抵抗発熱体6に給電するための給電用電極であり、基板5の両端において、それぞれ抵抗発熱体6の端部に電気的に導通させて設けられている。本実施例では、この給電用電極21・22はAg/Pdとガラスの混合物のスクリーン印刷パターン層である。
【0054】
10は加熱体表面に抵抗発熱体6を保護するように覆わせて設けた耐熱性オーバーコート層であり、本実施例では厚さ約50μmの耐熱性ガラスを用いた。オーバーコート層10は抵抗発熱体6と加熱体表面との間の絶縁性とフィルム2の摺動性とを確保するために設けられている。
【0055】
7は加熱体3の温度を検知し温度制御をするための検温素子である。本実施例では高耐熱性のチップサーミスタを用いており、基板5を構成させたグリーンシートの貼り合わせ面11に配置させて加熱体基板5内に設けてある。
【0056】
8はサーミスタ7と導通をとるための電極パターンである。本実施例では、基板5の裏面(非フィルム摺動面)に基板長手方向に沿って設けてあり、Ag/Pdとガラスを混合したものをスクリーン印刷して形成した。電極パターン8の抵抗値は十分低くなるようにAg・Pd・ガラスの配合比を調整している。
【0057】
9はサーミスタ7の電極部と電極パターン8との間の導通をとるために基板5に設けられた空隙であり、この空隙9中に導電性材料8aを充填することで導通を確保している。本実施例ではその導電性材料8aとして電極パターン8と同じ材料(配合比も同じ)を用いた。
【0058】
そして上記の加熱体3を、抵抗発熱体6を形成具備させた表面側を下向きに露呈させてステー1の下面側に保持させて固定配設してある。
【0059】
以上の構成をとることにより、加熱体全体を熱ローラ方式に比べて低熱容量にすることができ、クイックスタートが可能になる。
【0060】
前記したように、加熱体3は、抵抗発熱体6の両端部の給電用電極21・22に対する電源26からの給電により抵抗発熱体6が長手全長にわたって発熱することで昇温する。その昇温が加熱体基板5内に配設したサーミスタ7で検知される。サーミスタ7の電極パターン8はCPU24に通じており、サーミスタ7の出力をA/D変換しCPU24に取り込み、その情報に基づいてトライアック25により電源26から抵抗発熱体6に通電する電力を位相、波数制御等により制御して、加熱体3の温度制御がなされる。
【0061】
(4)加熱体3の製造方法
1)サーミスタ7の製造方法
まず、本実施例で用いたサーミスタ7の製造方法について説明する。
【0062】
マンガン・ニッケル・コバルト等の酸化物を通常のセラミックス製品を製造する場合と同様に配合し、ついで仮焼し、この仮焼物を粉砕する。
【0063】
このようにして得られたサーミスタ抵抗体材料粉末に樹脂・溶剤等からなるバインダー組成物を混合して粘稠なスラリーを調製し、これを成形機により成形してサーミスタ抵抗材料のグリーンシートを作製する。
【0064】
このグリーンシートを一定の寸法に切断し、焼成を行いサーミスタ抵抗体のサーミスタ素地チップを得る。焼成温度は通常1300〜1500℃であり、本実施例では1500℃で焼成した。また、寸法は焼成後に1.6mm×0.8mm×0.2mmとなるようにした。このチップの両端部に電極材料ペーストを浸漬法により付着させて乾燥・焼付けを行って端子電極を形成し、チップ型のサーミスタを完成する。
【0065】
本実施例では電極材料ペーストとして耐熱性の高いAg/Pdペーストを用いた。
【0066】
以上の製造方法により、NTC特性(負の温度係数)のサーミスタ7を得る。
【0067】
2)加熱体3の製造方法
次に、本実施例の加熱体3の製造方法について説明する。
【0068】
上述の工程で得られたサーミスタ7を間にはさんで、加熱体基板5となる酸化アルミニウムのグリーンシートを2枚貼り合わせる。この2枚のグリーンシートの厚さは同じであり、1枚で焼成した場合厚さが1.0mmになるものを用いている。このとき、1枚のグリーンシートには貼り合わせ前に、サーミスタ7の電極部に対応する位置に2箇所の空隙9を設けておく。空隙9の形状は、グリーンシートを焼成した後に直径約0.5mmの円形になるようにした。その後、グリーンシートを焼成させてサーミスタ7を内蔵させた基板5を得る。本実施例では焼成温度は1300℃とした。ここで、酸化アルミニウム基板の焼成温度は上述したサーミスタ7の焼成温度よりも低いため、サーミスタ7の耐熱性は問題ない。
【0069】
サーミスタ7を内蔵させた基板5を得た後、空隙9をAg/Pdとガラスを混合したペースト8aで充填し乾燥・焼成させる。このペースト8aの充填はスクリーン印刷法で行った。
【0070】
その後、基板裏面の電極パターン8、基板表面の抵抗発熱体6、給電用電極21・22、オーバーコート層10を順次スクリーン印刷し乾燥・焼成する工程を繰り返し、加熱体3を得る。これらスクリーン印刷後の焼成温度はいずれも800℃程度としたので、やはりサーミスタ7の耐熱性は問題ない。
【0071】
従来のフィルム加熱方式の加熱体基板の厚さは0.6〜1.0mm程度の厚さが主流であり、応答性の観点からそれ以上厚くすることができなかった。本実施例では抵抗発熱体6とサーミスタ7との距離は1.0mm程度であるため従来例と変わらず、抵抗発熱体6とサーミスタ7との間の熱抵抗も変わらない(熱抵抗は両者の距離に比例する)。よって、従来と同等な応答性を維持したまま、基板5を厚くすることで小サイズ紙重送時等のヒータ割れに対するマージンを向上させることができる。また、サーミスタ7を加熱体基板用の2枚のグリーンシートの間にはさむという製造方法をとることにより、セラミックス基板5内に検温素子7を設けるという構成を比較的簡単に実現することができる。
【0072】
(5)従来例の加熱体3′
図5は従来例の加熱体3′の横断面拡大模型図である。この従来例の加熱体3′も酸化アルミニウムを基板材料に用いた表面発熱タイプの加熱体である。
【0073】
12は酸化アルミニウム基板で、1枚のグリーンシートを焼成している。従来例の基板寸法は厚さ1mm・幅7m・長さ270mmであり、厚さのみ本実施例の加熱体3(図3)と異なる。
【0074】
13、16はそれぞれ抵抗発熱体、オーバーコート層であり、本実施例と同仕様のものである。
【0075】
14は検温素子としてのチップサーミスタであり、基板裏面に接着されている。このサーミスタ14は本実施例の加熱体3(図3)のサーミスタ7と同じものである。15はサーミスタ14と導通をとるための電極パターンである。
【0076】
この従来例では、サーミスタ14の接着剤として耐熱性かつ導電性のものを用いており、この接着剤を介してサーミスタ14の電極と電極パターン15・15との間の導通がとられている。
【0077】
(6)比較例
以下に本実施例の加熱装置と従来例の加熱装置との比較を示す。本実施例と従来例で加熱体以外の加熱装置及び画像形成装置の構成は同じとした。なお、従来例の加熱体3′は前述した仕様のものであり、抵抗発熱体の抵抗値は本実施例の加熱体3と同じく16Ωとした。
【0078】
1)比較例1
加熱装置が十分室温(25℃)になじんだ状態から、B5サイズで坪量が157g/m2の厚紙を強制的に重送させて通紙し、何枚重送させると加熱体が破損するかを比較した。定着温度は200℃、入力電圧は100Vとし、画像形成装置のプロセススピードは104mm/sec.とした。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
表1に示すように、従来例の加熱装置の場合は、5または6重送で加熱体3′の非通紙部が破損した。
【0081】
一方、本実施例の加熱装置の場合は、2回とも10重送まで重送枚数を増やしていったが、加熱体3は破損しなかった。本実施例の加熱体構成をとることにより加熱体の強度が向上しており、小サイズ紙重送時におけるヒータ割れに対するマージンが上がっていることが分かる。
【0082】
2)比較例2
サーミスタ7・CPU24・トライアック25等の故障により、加熱装置の温度制御が不能になった場合を想定した比較を示す。
【0083】
本実施例では図示しなかったが、加熱装置にはこのような場合を想定した安全対策として、温度ヒューズやサーモスイッチ等の温度プロテクタを設けている。温度プロテクタは加熱体の裏面に接触させている場合が多い。ちなみに本実施例では温度ヒューズを加熱体3の裏面に接触させている。
【0084】
加熱装置の温度制御が不能になり、例えば非常に大量の電力が供給され続けた場合、加熱体の強度が十分でないと温度プロテクタが作動する前に基板に発生する熱応力により加熱体が破損し、1次−2次間(抵抗発熱体のラインとサーミスタのラインとの間)の絶縁耐圧が満足できない可能性がある。すなわち、正常な温度制御が行われないような場合において、加熱体が破損するまでの時間が長い方が望ましい。
【0085】
本比較例では、加熱装置が十分室温(25℃)になじんだ状態から、加圧ローラ4を回転させない状態で100%通電を行い、加熱体が破損するまでの時間を比較した。なお、加熱体の強度差を明確にするため本実施例・従来例とも温度ヒューズを外した状態で比較を行った。入力電圧は140Vとし、抵抗発熱体の抵抗値は本実施例・従来例とも16Ωとしたので、印加電力は約1200Wである。結果を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
表2に示すように、本実施例は従来例に比べて加熱体が破損する時間が倍以上になっており、温度プロテクタ作動時間に対するマージンが上がり、加熱装置の安全性が向上していることが分かる。
【0088】
〈実施例2〉
次に基板材料として窒化アルミニウムを用いた裏面発熱タイプの加熱体について説明する。
【0089】
(1)従来例の加熱体3″
まず、図7に従来例の裏面発熱タイプの加熱体3″の断面図を示す。36は耐熱性・絶縁性・高熱伝導性を有する窒化アルミニウム基板で、寸法は酸化アルミニウムを基板に用いた場合の前述した従来例(図5)と同じく、厚さ1mm・幅7m・長さ270mmとした。
【0090】
37は抵抗発熱体であり、基板36の裏面上にAg/Pdとガラスを混合したものをスクリーン印刷により、厚み約10μm・幅3mm・長さ220mmに塗工して形成した。抵抗発熱体の抵抗値は常温で16Ωとした。
【0091】
40は耐熱性オーバーコート層であり、抵抗発熱体37と後述する外部当接型サーミスタ38との絶縁を確保するために設けられている。本例では厚さ約50μmの耐熱性ガラスを用いた。39は摺動ガラス層であり、フィルム2の摺動性を確保するために設けられている。本例では厚さ約20μmの耐熱性ガラスを用いた。
【0092】
38は温度制御用の検温素子である。裏面発熱タイプの加熱体では表面発熱タイプの前述した従来例(図5)の加熱体3′のように基板裏面にチップサーミスタを実装することができないので、加熱体から分離した外部当接型のサーミスタを設けている。この外部サーミスタ38は、例えば支持体上に断熱層を設けその上にチップサーミスタの素子を固定し、素子を下側(加熱体裏面側)に向けて所定の加圧力により加熱体裏面に当接するような構成をとる。ここでは、支持体として高耐熱性の液晶ポリマーを、断熱層としてセラミックスペーパーを積層したものを用いた場合を説明する。なお、チップサーミスタの素子自体は表面発熱タイプの加熱装置で用いたものと同じものとする。
【0093】
(2)本実施例の加熱体3
図6は本実施例における裏面発熱タイプで、加熱体基板30内に検温素子7を内蔵させた形態の加熱体3の横断面拡大模型図である。
【0094】
30は窒化アルミニウム基板で、2枚の厚さの同じグリーンシートを貼り合わせて焼成することで一体化させている。寸法は酸化アルミニウムを基板に用いた場合の前述の実施例1の加熱体3の基板5と同じく、厚さ2mm・幅7m・長さ270mmとした。31、34はそれぞれ抵抗発熱体、摺動ガラス層であり、従来例の加熱体3″(図7)と同仕様とした。
【0095】
7は前述の実施例1の表面発熱タイプの加熱体3(図3)で用いたものと同じチップサーミスタであり、グリーンシートの貼り合わせ面35に配置している。32は基板30の表面に設けられた電極パターンであり、Ag/Pdとガラスを混合したものをスクリーン印刷して形成した。33はサーミスタ7の電極部と電極パターン32との間の導通をとるために設けられた空隙であり、空隙中に導電性材料32aを充填することで導通を確保している。本実施例では導電性材料として電極パターン32と同じ材料(配合比も同じ)を用いた。
【0096】
本実施例では、サーミスタ7は基板30の内部にあるため抵抗発熱体31とサーミスタ7との絶縁は確保されており、かつ抵抗発熱体31と加熱体表面との間にも絶縁に必要な距離が十分とれるため、抵抗発熱体31のオーバーコート層は必要ない。
【0097】
この加熱体3の製造方法は前述した酸化アルミニウムを基板材料に用いた実施例1の加熱体3の場合と同様であり、窒化アルミニウム基板30の焼成温度は1400℃、抵抗発熱体等のスクリーン印刷後の焼成温度は800℃程度としたので、サーミスタ7の耐熱性は問題ない。
【0098】
本実施例では、加熱体表面と検温素子との距離は従来例(図7)とほぼ同じであるため、熱抵抗も従来と変わらず応答性は同等である。よって、従来と同等な応答性を維持したまま、基板を厚くすることで小サイズ紙重送時等のヒータ割れに対するマージンは向上している。また、酸化アルミニウムを基板材料に用いた場合と同様に、サーミスタをグリーンシートの間にはさむという製造方法をとることにより、セラミックス基板内に検温素子を設けるという構成を比較的簡単に実現することができる。
【0099】
以上説明してきたとおり、実施例1の表面発熱タイプの加熱体(図3)、実施例2の裏面発熱タイプの加熱体(図6)のいずれの場合においても、ヒータ割れ防止と良好な応答性との両立が可能になり、加熱装置及び画像形成装置の信頼性と画質が向上する。
【0100】
また、実施例1と2ではグリーンシートを2枚貼り合わせてセラミックス基板5・30を得る場合について述べたが、グリーンシートを3枚以上貼り合わせて焼成することにより基板を形成する場合にも適用可能である。
【0101】
〈実施例3〉
本実施例では、検温素子として熱電対を用いる。加熱体以外の加熱装置及び画像形成装置の構成は実施例1と同じである。以下、本実施例の加熱体について説明する。
【0102】
(1)本実施例の加熱体
図8は本実施例の加熱体3の横断面拡大模型図である。本実施例の加熱体3は、基板材料として酸化アルミニウムを用いた表面発熱タイプのセラミックヒータであり、加熱体基板5内に検温素子としての熱電対17を配設してある。
【0103】
5は酸化アルミニウム基板で、実施例1の加熱体3(図3)の基板5と同じく2枚の厚さの同じグリーンシートを貼り合わせて焼成することで一体化させている。本実施例では実施例1と同じく厚さ2mm・幅7m・長さ270mmの基板を使用した。
【0104】
6、10はそれぞれ抵抗発熱体、オーバーコート層であり、実施例1の加熱体3と同仕様のものを用いた。
【0105】
17は加熱体3の温度を検知し温度制御をするための検温素子であり、高耐熱性の熱電対である。熱電対17の耐熱温度は酸化アルミニウムあるいは窒化アルミニウム基板の焼成温度以上にする必要があるため、R熱電対(白金13%ロジウム−白金 耐熱温度:1600℃)・S熱電対(白金10%ロジウム−白金 耐熱温度:1600℃)・B熱電対(白金30%ロジウム−白金6%ロジウム 耐熱温度:1700℃)等を用いることができる。本実施例ではR熱電対を用い、グリーンシートの貼り合わせ面11に配置している。図8に示すように熱電対17の線は記録材搬送方向aにおいて上流側に出しており、加熱体の端部から加熱装置の外に出している。
【0106】
本実施例では、加熱体3の昇温は熱電対17で検知され、熱電対17の出力を温度に変換しCPUに取り込み、その情報に基づいてトライアックにより抵抗発熱体6に通電する電力を位相制御して、加熱体の温度制御を行っている。
【0107】
(2)加熱体の製造方法
本実施例の加熱体の製造方法について説明する。実施例1と同じく、まず熱電対17を間にはさんで、基板5を構成させるグリーンシートを2枚貼り合わせる。グリーンシートは実施例1と同じもの(酸化アルミニウム)である。熱電対17の線は前述のとおり基板の長手と直角をなす方向(上流側)に出しておく。その後、グリーンシートを焼成させて基板5を得る。焼成温度は実施例1と同じく1300℃とした。
【0108】
熱電対17を内蔵させた基板5を得た後、基板表面の抵抗発熱体6、給電用電極21・22、オーバーコート層10を順次スクリーン印刷し乾燥・焼成する工程を繰り返し、加熱体を得る。スクリーン印刷及び乾燥・焼成の工程は実施例1と同様であり、焼成温度も同じ800℃程度とした。本実施例においても、基板及びスクリーン印刷後の焼成温度はいずれも熱電対17の耐熱温度よりも低いため、熱電対17の耐熱性は問題ない。
【0109】
本実施例においても実施例1と同じく、抵抗発熱体6と熱電対17との距離は1.0mm程度であるため従来例と変わらず、両者の間の熱抵抗も変わらない。よって、従来と同等な応答性を維持したまま、基板を厚くすることで小サイズ紙重送時等のヒータ割れに対するマージンを向上させることができる。また、熱電対17をグリーンシートの間にはさむという製造方法をとることにより、セラミックス基板内に検温素子を設けるという構成を実施例1よりも簡単に実現することができる。
【0110】
(3)比較例
以下に本実施例の加熱装置と従来例の加熱装置との比較を示す。本実施例と従来例で加熱体以外の加熱装置及び画像形成装置の構成は同じとした。なお、従来例の加熱装置は実施例1で説明した従来例の表面発熱タイプの加熱体(図5)と同一のものであり、試験結果も同じである。
【0111】
1)比較例1
加熱装置が十分室温(25℃)になじんだ状態から、B5サイズで坪量が157g/m2の厚紙を強制的に重送させて通紙し、何枚重送させると加熱体が破損するかを比較した。条件は実施例1における比較例1と同じとした。結果を表3に示す。
【0112】
【表3】
【0113】
実施例1でも述べたように、従来例の加熱装置の場合は、5または6重送で加熱体の非通紙部が破損した。一方、本実施例の加熱装置の場合は、2回とも10重送まで重送枚数を増やしていったが加熱体は破損せず、実施例1と同一の結果が得られた。本実施例の構成をとることにより加熱体の強度が向上しており、小サイズ紙重送時におけるヒータ割れに対するマージンが上がっていることが分かる。
【0114】
2)比較例2
実施例1における比較例2と同じ比較を行った。加熱装置が十分室温(25℃)になじんだ状態から、加圧ローラを回転させない状態で100%通電を行い、加熱体が破損するまでの時間を比較した。入力電圧は140Vとした。本比較例においても抵抗発熱体の抵抗値は本実施例・従来例とも16Ωとしたので、印加電力は約1200Wである。結果を表4に示す。
【0115】
【表4】
【0116】
表4に示すように、本実施例においても従来例に比べて加熱体が破損する時間が倍以上になっており、実施例1と同等の値が得られた。温度プロテクタ作動時間に対するマージンが上がり、加熱装置の安全性が向上していることが分かる。
【0117】
〈実施例4〉
図9は本実施例の加熱体の横断面拡大模型図である。本実施例の加熱体3は、窒化アルミニウムを用いた裏面発熱タイプのセラミックヒータであり、加熱体基板30内に検温素子としての熱電対17を配設してある。
【0118】
30は窒化アルミニウム基板で、2枚の厚さの同じグリーンシートを貼り合わせて焼成することで一体化させている。寸法は酸化アルミニウムを基板に用いた場合の前述の実施例3の加熱体3の基板30と同じく、厚さ2mm・幅7m・長さ270mmとした。
【0119】
31、34はそれぞれ抵抗発熱体、摺動ガラス層であり、裏面発熱タイプにおける実施例2(図6)及び従来例(図7)のそれらと同仕様とした。
【0120】
17は実施例3の表面発熱タイプの加熱体(図8)で用いたものと同じ高耐熱性のR熱電対であり、加熱体基板30を構成させる2枚のグリーンシートの貼り合わせ面35に配置している。図9に示すように熱電対17の線は記録材搬送方向において上流側に出しており、加熱体の端部から加熱装置の外に出している。
【0121】
実施例3の表面発熱タイプの加熱体を用いた加熱装置と同様に、加熱体の昇温は熱電対17で検知され、熱電対17の出力を温度に変換しCPUに取り込み、その情報に基づいてトライアックにより抵抗発熱体31に通電する電力を位相制御して、加熱体の温度制御を行っている。
【0122】
本実施例の裏面発熱タイプの加熱体の場合も、熱電対17は基板30の内部にあるため抵抗発熱体31と熱電対17との絶縁は確保されており、かつ抵抗発熱体31と加熱体表面との間にも絶縁に必要な距離が十分とれるため、抵抗発熱体31のオーバーコート層は必要ない。
【0123】
この加熱体の製造方法は前述した実施例3の酸化アルミニウムを基板材料に用いた加熱体の場合と同様であり、窒化アルミニウム基板の焼成温度は1400℃、抵抗発熱体等のスクリーン印刷後の焼成温度は800℃程度としたので、熱電対17の耐熱性は問題ない。
【0124】
本実施例を裏面発熱タイプの加熱装置に適用した場合においても、加熱体表面と検温素子との距離は従来例とほぼ同じであるため、熱抵抗も従来と変わらず応答性は同等である。よって、従来と同等な応答性を維持したまま、基板を厚くすることで小サイズ紙重送時等のヒータ割れに対するマージンは向上している。
【0125】
以上説明してきたとおり、実施例3の表面発熱タイプの加熱体(図8)、実施例4の裏面発熱タイプの加熱体(図9)のいずれの場合においても、ヒータ割れ防止と良好な応答性との両立が可能になり、加熱装置及び画像形成装置の信頼性と画質が向上する。
【0126】
また、実施例3や4では検温素子として熱電対17を用いているので、実施例1や2のような基板裏面の電極パターンやサーミスタの電極と電極パターンとの間の導通をとるための空隙が不要になり、実施例1や2よりも低コストかつ簡単な構成で目的を達成することができる。
【0127】
更に複数個の検温素子を設けるような場合(例えば中央部に温度制御用の検温素子、端部に非通紙部昇温を監視するための検温素子を設けるような場合)にも簡単に対応できる利点もある。
【0128】
実施例3や4ではグリーンシートを2枚貼り合わせてセラミックス基板を得る場合について述べたが、グリーンシートを3枚以上貼り合わせて焼成することにより基板を形成する場合にも適用可能である。
【0129】
〈その他〉
1)本発明の加熱体はフィルム加熱方式の加熱装置ばかりではなく、加熱体支持体に支持させた加熱体を被加熱材に直接接触させて加熱する等の加熱装置等にも適用できることは勿論である。
【0130】
また本発明の加熱体は、例えば、蚊取りマットの加熱体、遠赤外線ホーター等を用いたファン、ヘアドライヤ等の加熱装置における加熱体に使用することができる。
【0131】
2)フィルム加熱方式の加熱装置において、エンドレスベルト状のフィルムをテンションを与えて懸回張設し、これを回転駆動させる装置構成にすることもできる。また、ロール巻きにした長尺の有端フィルムを用い、これを繰り出し軸側から加熱体を経由させて巻き取り軸側へ所定の速度で走行させるように装置構成することもできる。
【0132】
3)また本発明の加熱装置は画像加熱定着装置としてばかりではなく、その他、例えば、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着処理する像加熱装置、シート状物を給送して乾燥処理・ラミネート処理・熱シール処理、シワ取り処理する等の加熱装置、インクジェットプリンタ等に用いられる乾燥用の加熱装置等として広く使用出来る。
【0133】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、少なくとも、基板と、この基板上に形成される抵抗発熱体と、温度を検出する検温素子とを有する表面発熱タイプまたは裏面発熱タイプの加熱体のいずれの場合においても、また該加熱体を有する加熱装置、及び該加熱装置を像加熱手段として具備する画像形成装置において、ヒータ割れ防止と良好な応答性との両立が可能になり、加熱装置及び画像形成装置の信頼性・安全性と画質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における画像形成装置例の概略構成図
【図2】実施例1における画像加熱定着装置としての加熱装置の概略構成図
【図3】実施例1における加熱体(表面発熱タイプ)の横断面拡大模型図
【図4】実施例1における加熱体の表面側の一部切欠き平面模型図と、裏面側の平面模型図と、通電制御を行う回路を表す図
【図5】実施例1における従来例の加熱体(表面発熱タイプ)の横断面拡大模型図
【図6】実施例2における加熱体(裏面発熱タイプ)の横断面拡大模型図
【図7】実施例2における従来例の加熱体(裏面発熱タイプ)の横断面拡大模型図
【図8】実施例3における加熱体(表面発熱タイプ)の横断面拡大模型図
【図9】実施例4における加熱体(裏面発熱タイプ)の横断面拡大模型図
【符号の説明】
1.ステー、2.定着フィルム、3.ヒータ(加熱体)、4.加圧ローラ(加圧体)、4a.芯金、4b.弾性体層、4c.離形層、5.12.酸化アルミニウム基板、6.13.抵抗発熱体、7.14.サーミスタ、8.15.電極パターン、9.空隙、10.16.オーバーコート層、11.グリーンシートの貼り合わせ面、17.熱電対、24.CPU、25.トライアック、26.AC電源、30.36.窒化アルミニウム基板、31.37.抵抗発熱体、32.電極パターン、33.空隙、34.39.摺動ガラスコート層、35.グリーンシートの貼り合わせ面、38.外部当接型サーミスタ、40.オーバーコート層、N.ニップ部、P.記録材、T.トナー、a.記録材搬送方向
Claims (11)
- 少なくとも、基板と、この基板上に形成される抵抗発熱体と、温度を検出する検温素子とを有する加熱体において、検温素子が基板内にあることを特徴とする加熱体。
- 請求項1に記載の加熱体において、基板は材料としてセラミックスを用いていることを特徴とする加熱体。
- 請求項2に記載の加熱体において、前記基板は平板状のグリーンシートを2枚以上貼り合わせた後焼成して形成するもので、前記検温素子はグリーンシート間に設けられていることを特徴とする加熱体。
- 請求項1から3の何れか1項に記載の加熱体において、前記基板は酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムからなることを特徴とする加熱体。
- 請求項1から4の何れか1項に記載の加熱体において、前記検温素子はサーミスタであることを特徴とする加熱体。
- 請求項5に記載の加熱体において、前記サーミスタの電極部と基板の一面との間をつなぐ空隙を設け、その空隙に導電性材料を充填したことを特徴とする加熱体。
- 請求項1から4の何れか1項に記載の加熱体において、前記検温素子は熱電対であることを特徴とする加熱体。
- 加熱体によって被加熱材を加熱する加熱装置において、前記加熱体が請求項1から7の何れか1項に記載の加熱体であることを特徴とする加熱装置。
- 加熱体と、一面が加熱体と接触摺動し他面が被加熱材と接触するフィルムを有し、加熱体上をフィルムと被加熱材が一緒に移動することで加熱体の熱をフィルムを介して被加熱材へ伝達する加熱装置で、前記加熱体が請求項1から7の何れか1項に記載の加熱体であることを特徴とする加熱装置。
- 被加熱材が画像を担持した記録材であることを特徴とする請求項8または9に記載の加熱装置。
- 記録材上に画像を形成する像形成手段と、該記録材上の画像を加熱する像加熱手段とを有する画像形成装置において、像加熱手段として請求項8から10の何れか1項に記載の加熱装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002232216A JP2004070180A (ja) | 2002-08-09 | 2002-08-09 | 加熱体、加熱装置及び画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002232216A JP2004070180A (ja) | 2002-08-09 | 2002-08-09 | 加熱体、加熱装置及び画像形成装置 |
Publications (1)
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JP2004070180A true JP2004070180A (ja) | 2004-03-04 |
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ID=32017695
Family Applications (1)
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JP2002232216A Pending JP2004070180A (ja) | 2002-08-09 | 2002-08-09 | 加熱体、加熱装置及び画像形成装置 |
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JP (1) | JP2004070180A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017016117A (ja) * | 2015-07-01 | 2017-01-19 | ゼロックス コーポレイションXerox Corporation | ソリッドヒータ装置における印刷された熱電対 |
JP2017227872A (ja) * | 2016-06-20 | 2017-12-28 | 東芝テック株式会社 | ヒータ及び加熱装置 |
-
2002
- 2002-08-09 JP JP2002232216A patent/JP2004070180A/ja active Pending
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