JP2004062007A - 光通信用部品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光ファイバをフェルールに固定してなる光通信用部品において、引っ張り強度が強く気密性の高い光通信用部品を提供する。
【解決手段】貫通孔9を有する円柱状のフェルール1に光ファイバ芯線3の端部を固定してなる光通信用部品において、少なくともフェルール1の貫通孔9全域に被着した金属材料から成る被膜5、7を介して光ファイバ芯線6に固定した構成である。
【選択図】図1
【解決手段】貫通孔9を有する円柱状のフェルール1に光ファイバ芯線3の端部を固定してなる光通信用部品において、少なくともフェルール1の貫通孔9全域に被着した金属材料から成る被膜5、7を介して光ファイバ芯線6に固定した構成である。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等に使用され、フェルールに光ファイバ端部を固定して成る光通信用部品及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から光ファイバをフェルールに半田固定または低融点ガラス固定、もしくはフェルールを変形させて光ファイバをかしめ固定してなる光通信用部品が多数使用されており、その性能は引っ張り強度、気密特性、半田濡れ性、低融点ガラス濡れ性等、多岐にわたり、且つ高い性能が要求される。
【0003】
このような光ファイバをホルダやフェルール等の固定具に半田固定または低融点ガラス固定して使用する光通信用部品の例として、図3(a)、フェルールを変形させて光ファイバをかしめ固定して使用する光通信用部品の例として図3(b)に示すフェルール付き光ファイバを用いて説明する。
まず、半田固定または低融点ガラス固定してなる光通信用部品図3(a)について説明する。
フェルール付き光ファイバは、中心に貫通孔18を有する円柱状のフェルール13と光ファイバ14、更にフェルール13と光ファイバ14を固定するための半田15で構成される。
【0004】
フェルール13の母材の材質には主にステンレスやコバール等の金属材料を使用し、切削加工や引き抜き加工等の抽伸加工にて約φ1mm程度の外形と貫通孔18として光ファイバ14の芯線16の外径より若干大きいφ0.2mm程度に成形した後、後述するフェルール13と光ファイバ14とを半田固定するが、その固定に際して濡れ性を良くするため、または各種光学機器や検査装置等に組み込む際に相手部品に半田固定する時のために、フェルール13表面に、金、ニッケル、銅、錫、亜鉛、鉛、クロム等の金属材料を電解メッキ、もしくは無電解メッキの被膜加工により被膜13aを形成したものを使用していた。
【0005】
一方、光ファイバ14は、主にシングルモード(SM)もしくはマルチモード(MM)で芯線16が石英ガラスのものを使用し、図3に示す様な2層の合成樹脂の外皮17で覆われた心線タイプのものだけでなく、外皮が1層の素線タイプ(非図示)のどちらかを用いていた。
その製造方法は、まず、光ファイバ14の芯線16外周にクラッドされている合成樹脂製の外皮17をフェルール13に挿通する分だけ剥ぎ、芯線16を露出して、その外周側面には金、ニッケル等を例えば電解メッキによる被膜加工で被膜14aを形成する。
【0006】
次に、金/錫半田等の材質で、フェルールと同程度の外径で中心に孔の開いたリング状の半田プリフォームを図3(a)のようにフェルール13の端面及び被膜14aが形成された芯線16の境界領域Xにおき、窒素雰囲気中で約220℃〜330℃程度の温度に加熱溶融して、フェルール13の被膜13aと光ファイバ14の被膜14aを介して固定を行っていた。このように溶融する半田15は、被膜14aが被着された芯線16とフェルール13の貫通孔18との隙間に毛細管現象により入り込み、貫通孔18内部でも半田固定されることとなる。
【0007】
なお、半田15は、フェルール13と光ファイバ14とを固定する目的の他に、フェルール13と光ファイバ14との気密を確保する目的がある。これは、フェルール付き光ファイバが各種光学機器に組み込まれた際に、外部からのアウトガスの進入を防ぎ、内部の光学特性を維持する必要がある為である。
【0008】
次に、フェルールを変形させて光ファイバ14をかしめ固定して使用する光通信用部品図3(b)について説明する。
【0009】
このフェルール付き光ファイバは、上述の半田固定品同様に中心に貫通孔18を有する円柱状のフェルール13と光ファイバ14で構成され、フェルール13の先端部を貫通孔の中心に向かって収束力を加えて変形させて光ファイバ14を固定する。
【0010】
使用するフェルール13の形状及び材質は上述した半田固定品と同様で、その表面は、主に被膜加工されていないものを使用していたが、かしめ時に光ファイバ14への攻撃性を低減させる目的で、不図示であるが予め被膜加工したものを使用する場合もあった。
【0011】
また、光ファイバ14についても上述したフェルール13同様に形状及び材質は半田固定品と同様で、その表面は、主に被膜加工されていないものを使用していたが、かしめ時に光ファイバへの攻撃性を低減させる目的で、不図示であるが予め被膜加工したものを使用する場合もあった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記半田付け品の従来例において、上述の半田15を加熱溶融させた場合、半田15の量やフェルールの貫通孔18の孔径、もしくは加熱する温度等の条件によっては半田15が溶融して貫通孔18に入り込む距離が短くなるだけでなく、貫通孔18内において半田15とフェルール13の被膜13a、芯線16に形成した被膜14aの被着状態(被膜の厚みのバラツキ等)が悪い場合は、いずれも半田濡れ性が悪くなり、光ファイバ14とフェルール13との引っ張り強度が低下するとともに、半田15の濡れ性が悪い部分が存在すると気密が劣化するという問題点があった。
【0013】
また、半田を約220℃〜330℃という温度で加熱溶融し、フェルール13を光ファイバ14に固定すると、加熱する温度が非常に高いため光ファイバ14が熱劣化を起こし、フェルール13からの引っ張り強度が低下するという問題があった。
【0014】
さらに、図3(a)に示すようなフェルール13後端側に光ファイバ14外皮を挿入させる場合には、高温で加熱した温度がフェルール13を伝わって光ファイバ14の外皮17を溶かしてしまう場合があり、その結果ハンドリング時に光ファイバを破断してしまうことがあった。
【0015】
さらに、フェルール13の貫通孔18は光ファイバ芯線16を挿通させるため、光ファイバ芯線16より大きい孔にしているが、光ファイバ芯線16の挿通時の偏りもしくは半田15の接合時の引っ張りにより、その貫通孔18の上下左右のどちらかに光ファイバ芯線16が寄ったまま固定され、フェルール13外径に対する光ファイバ芯線16の同芯度がずれてしまい、その結果各種光学機器や検査装置に組み込まれる際に、相手部品との光軸が合わせられないといった問題もあった。
【0016】
また、フェルール付き光ファイバを各種光学機器や検査装置等に組み込む際に、フェルール13外周をYAG溶接にて相手部品に固定する場合があるが、フェルール13に被膜13aとして金等の反射率の高い金属が被着されていると、溶接時のYAG光が被膜13aによって反射してしまい溶接できない場合がある。この場合、光ファイバの芯線16との半田固定のために施した被膜13aが災いしてしまうため、フェルール13外周の被膜13aだけを切削加工により削ぎ落としたり、剥離液に浸して剥離する等して一度成膜した膜を剥がすという2度手間をかけていた。
【0017】
一方、上記かしめ固定による従来例においては、光ファイバ芯線16がガラスで出来た非常に繊細な部位のため、フェルール13をかしめ過ぎた場合には光ファイバの芯線16が破断してしまい、反対にかしめ量が少ない場合には、フェルール13と光ファイバ芯線16との気密性が確保できなくなるため、かしめ条件が非常に狭く、且つ条件を見出すのに膨大な労力を費やしていた。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の問題点に鑑み案出されたもので、本発明の光通信用部品は、貫通孔を有する円柱状のフェルールに光ファイバ芯線の端部を固定してなる光通信用部品において、少なくともフェルールの貫通孔全域に被着した金属材料から成る被膜を介して前記光ファイバ芯線を固定したことを特徴とするものである。
【0019】
また、前記フェルールが、コバール、銅、ステンレス、鉄/ニッケル合金、鉄/ニッケル/クロム合金、鉄/クロム合金、アルミニウム、マグネシウムの少なくとも1種類の金属材料からなり、また、前記被膜は、金、銀、銅、錫、鉛、亜鉛、ニッケル、クロムの少なくとも1種類の金属材料からなることを特徴とするものである。
【0020】
さらに、本発明の光通信部品の製造方法においては、貫通孔を有する円柱状のフェルールに光ファイバ芯線の端部を挿入した後、被膜加工により少なくとも前記光ファイバを挿入したフェルールの貫通孔全域に金属材料を被着して被膜を形成し、該被膜を介して前記光ファイバを固定することを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明による光通信用部品の実施形態について図1(a)〜(b)を用いて説明する。
【0022】
図1(a)は、光ファイバ2をフェルール1に挿通し、被膜加工を施すことにより成膜した被膜5を介して光ファイバ2とフェルール1を固定した本発明の光通信用部品を示す。
【0023】
本発明の被膜加工には金、銀、ニッケル、銅、錫、亜鉛、鉛、クロム等の金属材料が用いられ、その被膜加工としては蒸着やスパッタリング、またはイオンプレーティングや無電解メッキ、もしくは電解メッキが用いられる。
【0024】
まず、使用する光ファイバ2の構成を説明する。ここで用いる光ファイバ2はシングルモード(SM)、マルチモード(MM)に依らず使用でき、PMF(POLARIZATION MAINTENANCE FIBER)のような偏光の極性を維持した光ファイバ2でも支障なく使用することができる。また、上述したような2層の外皮で覆われた心線タイプもしくは1層の外皮で覆われた素線タイプのどちらでも使用可能であり、本図1(a)に示す図はその代表例として、心線タイプを示す。心線タイプの光ファイバ2は、外径が約φ0.125mm程度の石英ガラスの芯線3と、その芯線3の外周にクラッドされている2層の合成樹脂外皮4からなり、後述するフェルール1の貫通孔に挿通する長さ分だけその外皮4を除去し、芯線3を露出して使用する。この場合、芯線3は、その表面は電気が通電しないため、フェルール1との固定は無電解メッキによる被膜5を形成しても良い。
【0025】
ここで、除去する外皮4の長さは、図1(a)に示すようにフェルール1後方まで除去することに限らず、図1(b)に示すような外皮4をフェルール1後端側に覗き込ませて使用し、ハンドリング時に芯線3が破断しないようにすることも可能である。また、露出した芯線3の表面は、フェルール1に被膜固定する際、膜厚を上げて引っ張り強度をさらに増すために、図1(b)で示すように蒸着やスパッタリングにより金、銀等の被膜6を予め成膜したものを使用しても良い。この場合、予め芯線3の表面は導電性が確保され、フェルール1との固定は電解メッキによる被膜8でも固定可能となる。
【0026】
次にフェルール1について説明する。まずフェルール1の母材質としては、膨張係数が小さいステンレスを使用することが望ましいが、それ以外の金属もしくは非鉄金属の使用も可能である。例えば、金属ではコバール、鉄/ニッケル合金、鉄/ニッケル/クロム合金、鉄/クロム合金等があり、非鉄金属では、銅、アルミニウム、マグネシウム等がある。
【0027】
これらの材質が用いられるのは、前述したように被膜固定する時の被膜金属との密着性が良くなり、光ファイバ2の引っ張り強度を向上することが可能になるからである。また、各種光通信用機器や検査装置等に組み込む際に、相手部品の材質の熱膨張係数に合わせることにより各種機器からの脱落を防ぐ目的もある。さらには、各種光通信用機器や検査装置等に組み込む際に、フェルール1に直接YAG溶接固定する場合の溶接性を良くする目的もある。
【0028】
また、フェルール1の表面は、図1(b)に示すように、前述した光ファイバ2と同様、予め被膜8を成膜したものを使用することで光ファイバ2の引っ張り強度をさらに増すことも可能である。
【0029】
また、フェルール1の形状については、外径形状は主に、各種光学機器や計測器に固定される相手部品の形状に合わせた中心に貫通孔9を有する円柱形状であり、引き抜き加工や切削加工等による機械加工によって約φ1.0mm前後程度のものが使用される。
【0030】
貫通孔9に関しては、芯線3の径より0.005〜0.2mm大きい径が望ましい。0.005mmより小さい場合には芯線3をフェルールに挿入するのが非常に困難になり作業性が悪化する。また、0.2mmより大きい場合には芯線3とのクリアランスが余りにも大きいため、被膜の積層(固定)に非常に時間を要したり、膜厚が確保できないことにより被膜固定できない場合があるからである。
【0031】
以上のような構成により、貫通孔9を有する円柱状のフェルール1に光ファイバ2の芯線3の端部を固定して光通信用部品が構成できることになる。この場合、少なくともフェルールの貫通孔9の全域に被着した被膜5、7を介して光ファイバ2の芯線3に固定したので、被膜5、7により緻密にフェルール1と光ファイバ芯線3とを被着することができ気密性を向上させることができるとともに、被膜5、7がフェルールの貫通孔9の全域に被着されているため貫通孔9と光ファイバ芯線3との接触面積が増えることから引っ張り強度を向上させることができる。
【0032】
なお、本発明の実施の形態によれば、フェルール1の貫通孔9全域だけでなく、フェルール1の端面にも被膜5、7が形成されているので、フェルール1端面の被膜5と芯線3表面に形成する被膜5との接合部が厚く形成されて肉厚被膜が形成され引っ張り強度を向上することができるものである。
【0033】
さらに、不図示であるが、このように被膜5、7を形成した後にフェルール1先端をかしめる処理を行うことで引っ張り強度をさらに向上することができるものである。
【0034】
次に上記フェルール付き光ファイバ2の製造方法について、図2(a)〜(b)を用いて説明する。
【0035】
まず、光ファイバ2の外皮を削いで芯線を露出し、必要に応じて表面を被膜加工(図は被膜処理無し)した光ファイバ2の芯線3を、必要に応じて表面を被膜処理(図は被膜処理無し)したフェルール1の貫通孔9に挿通する(図2(a)参照)。
【0036】
次に、フェルール1先端からファイバ先端の出寸法を所望の位置に調整した後、2枚組の段付き仮固定治具12の間にフェルール1及び光ファイバ2を挟み込み、メッキ液に漬けて被膜加工を行って、光ファイバ2とフェルール1を固定する(図2(b)参照)。
【0037】
この時、反射率の高い金で被膜を形成する場合、フェルール1外周は仮固定治具に覆われおり被膜されることがないため、各種光学機器や検査装置に組み込む際にYAG溶接ができなくなるといったことがなくなる。
【0038】
【実施例】
ここで、以下に示す方法で実験を行った。
【0039】
本発明の実施例として図1(b)に示す上記光通信部品と、比較例として、図3(a)に示す従来のフェルール付き光ファイバ2をそれぞれ10個ずつ作製し、各々の光ファイバ2の引っ張り強度を測定した。
【0040】
本発明の実施例、従来例ともにフェルールの外径φ1.00mm、内径φ0.135mmとし、母材をステンレスのSUS304を用いた。
【0041】
また、光ファイバ2は両サンプル共に、シングルモードファイバを用い、予めニッケル及び金メッキを被膜したものを使用した。
【0042】
また、固定時に施す被膜材質はニッケル及び金を被膜し、フェルール外周は仮固定治具で覆うようにして成膜した。
【0043】
以上のサンプルでの評価結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示すように、従来の光通信用部品の引張り強さの最大値11.03(N)、最小値6.26(N)、平均値8.56(N)だったのに対し、本発明品は最大値17.83(N)、最小値13.98(N)、平均値15.67(N)となり、本発明品の最小値が従来品の最大値をも上回る結果となった。
【0046】
以上より、従来品より引っ張り強度が向上し、より性能の高い固定が出来ることを確認できた。
【0047】
【発明の効果】
以上本発明によれば、半田を用いることなくフェルールの貫通孔全域に光ファイバ芯線3が被膜を介して接続しているために、被膜により緻密にフェルールと光ファイバ芯線とを被着することができ気密性を向上させることができるとともに、フェルールの貫通孔と光ファイバ芯線3との接触面積が増えることから引っ張り強度を向上させることができる。
【0048】
また、半田固定時のような高温加熱をする必要がないため、光ファイバ2の熱劣化がなくなり、その結果、フェルールからの引っ張り強度が低下するといったこともなくなる。
【0049】
さらに、光ファイバの外皮をフェルール後端側に挿入して使用する場合には、接合に熱を用いないために、光ファイバの外皮が溶けることもなく、ハンドリング時に石英ガラスからなる芯線が破断するといったこともなくなる。
【0050】
また、フェルールと光ファイバ芯線は、被膜加工による緻密な積層被膜を介して固定されるため、フェルールの貫通孔に均一的に金属が積層されて光ファイバ芯線が固定、フェルールの外周に対する光ファイバの同芯度が保たれる。その結果、各種光通信機器や検査装置等に組み込まれた際に、相手部品との光軸が合わなくなるといったこともなくなる。
【0051】
一方、フェルールが、コバール、銅、ステンレス、鉄/ニッケル合金、鉄/ニッケル/クロム合金、鉄/クロム合金、アルミニウム、マグネシウムの少なくとも1種類の金属材料からなり、また、前記被膜は、金、銀、銅、錫、鉛、亜鉛、ニッケル、クロムの少なくとも1種類の金属材料からなるために、フェルールと被膜する金属材料との密着性が良くなり、光ファイバの引っ張り強度を向上することが可能になる。
【0052】
また、本発明の光通信部品の製造方法においては、貫通孔を有する円柱状のフェルールに光ファイバ芯線の端部を挿入した後、被膜加工により少なくとも前記光ファイバを挿入したフェルールの貫通孔全域に被着した金属材料から成る被膜を介して前記光ファイバに固定したために、半田固定時のような高温加熱をする必要がなく、これにより、光ファイバの熱劣化がなくなり、その結果、フェルールからの引っ張り強度が低下するといったこともなく、製造時の歩留まりが向上した良好な光通信用部品を提供することができるものである。
【0053】
また、2枚組の段付き治具の間にフェルール及び光ファイバの外周を挟み込み、被膜加工を行うことができるため、フェルール外周の被膜する必要のない部分をマスキングすることが可能となり、各種光学機器や計測機への組み込み時にYAG溶接等で固定する場合においても、YAG光の反射等の問題もなく固定することが可能となり、半田付け時のように被膜後にフェルール外周のみ被膜を除去するといった2度手間が必要なくなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(b)は本発明の光通信用部品のさまざまな実施形態を示す断面図である。
【図2】(a)〜(b)は本発明の光通信用部品の製造工程を示す図である。
【図3】(a)〜(b)は従来の光通信用部品の断面図である。
【符号の説明】
1 :フェルール
2 :光ファイバ
3 :芯線
4 :外皮
5〜8:被膜
9 :貫通孔
12 :仮固定治具
13 :フェルール
13a:被膜
14 :光ファイバ
14a:被膜
15 :半田
16 :芯線
17 :外皮
18 :貫通孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等に使用され、フェルールに光ファイバ端部を固定して成る光通信用部品及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から光ファイバをフェルールに半田固定または低融点ガラス固定、もしくはフェルールを変形させて光ファイバをかしめ固定してなる光通信用部品が多数使用されており、その性能は引っ張り強度、気密特性、半田濡れ性、低融点ガラス濡れ性等、多岐にわたり、且つ高い性能が要求される。
【0003】
このような光ファイバをホルダやフェルール等の固定具に半田固定または低融点ガラス固定して使用する光通信用部品の例として、図3(a)、フェルールを変形させて光ファイバをかしめ固定して使用する光通信用部品の例として図3(b)に示すフェルール付き光ファイバを用いて説明する。
まず、半田固定または低融点ガラス固定してなる光通信用部品図3(a)について説明する。
フェルール付き光ファイバは、中心に貫通孔18を有する円柱状のフェルール13と光ファイバ14、更にフェルール13と光ファイバ14を固定するための半田15で構成される。
【0004】
フェルール13の母材の材質には主にステンレスやコバール等の金属材料を使用し、切削加工や引き抜き加工等の抽伸加工にて約φ1mm程度の外形と貫通孔18として光ファイバ14の芯線16の外径より若干大きいφ0.2mm程度に成形した後、後述するフェルール13と光ファイバ14とを半田固定するが、その固定に際して濡れ性を良くするため、または各種光学機器や検査装置等に組み込む際に相手部品に半田固定する時のために、フェルール13表面に、金、ニッケル、銅、錫、亜鉛、鉛、クロム等の金属材料を電解メッキ、もしくは無電解メッキの被膜加工により被膜13aを形成したものを使用していた。
【0005】
一方、光ファイバ14は、主にシングルモード(SM)もしくはマルチモード(MM)で芯線16が石英ガラスのものを使用し、図3に示す様な2層の合成樹脂の外皮17で覆われた心線タイプのものだけでなく、外皮が1層の素線タイプ(非図示)のどちらかを用いていた。
その製造方法は、まず、光ファイバ14の芯線16外周にクラッドされている合成樹脂製の外皮17をフェルール13に挿通する分だけ剥ぎ、芯線16を露出して、その外周側面には金、ニッケル等を例えば電解メッキによる被膜加工で被膜14aを形成する。
【0006】
次に、金/錫半田等の材質で、フェルールと同程度の外径で中心に孔の開いたリング状の半田プリフォームを図3(a)のようにフェルール13の端面及び被膜14aが形成された芯線16の境界領域Xにおき、窒素雰囲気中で約220℃〜330℃程度の温度に加熱溶融して、フェルール13の被膜13aと光ファイバ14の被膜14aを介して固定を行っていた。このように溶融する半田15は、被膜14aが被着された芯線16とフェルール13の貫通孔18との隙間に毛細管現象により入り込み、貫通孔18内部でも半田固定されることとなる。
【0007】
なお、半田15は、フェルール13と光ファイバ14とを固定する目的の他に、フェルール13と光ファイバ14との気密を確保する目的がある。これは、フェルール付き光ファイバが各種光学機器に組み込まれた際に、外部からのアウトガスの進入を防ぎ、内部の光学特性を維持する必要がある為である。
【0008】
次に、フェルールを変形させて光ファイバ14をかしめ固定して使用する光通信用部品図3(b)について説明する。
【0009】
このフェルール付き光ファイバは、上述の半田固定品同様に中心に貫通孔18を有する円柱状のフェルール13と光ファイバ14で構成され、フェルール13の先端部を貫通孔の中心に向かって収束力を加えて変形させて光ファイバ14を固定する。
【0010】
使用するフェルール13の形状及び材質は上述した半田固定品と同様で、その表面は、主に被膜加工されていないものを使用していたが、かしめ時に光ファイバ14への攻撃性を低減させる目的で、不図示であるが予め被膜加工したものを使用する場合もあった。
【0011】
また、光ファイバ14についても上述したフェルール13同様に形状及び材質は半田固定品と同様で、その表面は、主に被膜加工されていないものを使用していたが、かしめ時に光ファイバへの攻撃性を低減させる目的で、不図示であるが予め被膜加工したものを使用する場合もあった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記半田付け品の従来例において、上述の半田15を加熱溶融させた場合、半田15の量やフェルールの貫通孔18の孔径、もしくは加熱する温度等の条件によっては半田15が溶融して貫通孔18に入り込む距離が短くなるだけでなく、貫通孔18内において半田15とフェルール13の被膜13a、芯線16に形成した被膜14aの被着状態(被膜の厚みのバラツキ等)が悪い場合は、いずれも半田濡れ性が悪くなり、光ファイバ14とフェルール13との引っ張り強度が低下するとともに、半田15の濡れ性が悪い部分が存在すると気密が劣化するという問題点があった。
【0013】
また、半田を約220℃〜330℃という温度で加熱溶融し、フェルール13を光ファイバ14に固定すると、加熱する温度が非常に高いため光ファイバ14が熱劣化を起こし、フェルール13からの引っ張り強度が低下するという問題があった。
【0014】
さらに、図3(a)に示すようなフェルール13後端側に光ファイバ14外皮を挿入させる場合には、高温で加熱した温度がフェルール13を伝わって光ファイバ14の外皮17を溶かしてしまう場合があり、その結果ハンドリング時に光ファイバを破断してしまうことがあった。
【0015】
さらに、フェルール13の貫通孔18は光ファイバ芯線16を挿通させるため、光ファイバ芯線16より大きい孔にしているが、光ファイバ芯線16の挿通時の偏りもしくは半田15の接合時の引っ張りにより、その貫通孔18の上下左右のどちらかに光ファイバ芯線16が寄ったまま固定され、フェルール13外径に対する光ファイバ芯線16の同芯度がずれてしまい、その結果各種光学機器や検査装置に組み込まれる際に、相手部品との光軸が合わせられないといった問題もあった。
【0016】
また、フェルール付き光ファイバを各種光学機器や検査装置等に組み込む際に、フェルール13外周をYAG溶接にて相手部品に固定する場合があるが、フェルール13に被膜13aとして金等の反射率の高い金属が被着されていると、溶接時のYAG光が被膜13aによって反射してしまい溶接できない場合がある。この場合、光ファイバの芯線16との半田固定のために施した被膜13aが災いしてしまうため、フェルール13外周の被膜13aだけを切削加工により削ぎ落としたり、剥離液に浸して剥離する等して一度成膜した膜を剥がすという2度手間をかけていた。
【0017】
一方、上記かしめ固定による従来例においては、光ファイバ芯線16がガラスで出来た非常に繊細な部位のため、フェルール13をかしめ過ぎた場合には光ファイバの芯線16が破断してしまい、反対にかしめ量が少ない場合には、フェルール13と光ファイバ芯線16との気密性が確保できなくなるため、かしめ条件が非常に狭く、且つ条件を見出すのに膨大な労力を費やしていた。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の問題点に鑑み案出されたもので、本発明の光通信用部品は、貫通孔を有する円柱状のフェルールに光ファイバ芯線の端部を固定してなる光通信用部品において、少なくともフェルールの貫通孔全域に被着した金属材料から成る被膜を介して前記光ファイバ芯線を固定したことを特徴とするものである。
【0019】
また、前記フェルールが、コバール、銅、ステンレス、鉄/ニッケル合金、鉄/ニッケル/クロム合金、鉄/クロム合金、アルミニウム、マグネシウムの少なくとも1種類の金属材料からなり、また、前記被膜は、金、銀、銅、錫、鉛、亜鉛、ニッケル、クロムの少なくとも1種類の金属材料からなることを特徴とするものである。
【0020】
さらに、本発明の光通信部品の製造方法においては、貫通孔を有する円柱状のフェルールに光ファイバ芯線の端部を挿入した後、被膜加工により少なくとも前記光ファイバを挿入したフェルールの貫通孔全域に金属材料を被着して被膜を形成し、該被膜を介して前記光ファイバを固定することを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明による光通信用部品の実施形態について図1(a)〜(b)を用いて説明する。
【0022】
図1(a)は、光ファイバ2をフェルール1に挿通し、被膜加工を施すことにより成膜した被膜5を介して光ファイバ2とフェルール1を固定した本発明の光通信用部品を示す。
【0023】
本発明の被膜加工には金、銀、ニッケル、銅、錫、亜鉛、鉛、クロム等の金属材料が用いられ、その被膜加工としては蒸着やスパッタリング、またはイオンプレーティングや無電解メッキ、もしくは電解メッキが用いられる。
【0024】
まず、使用する光ファイバ2の構成を説明する。ここで用いる光ファイバ2はシングルモード(SM)、マルチモード(MM)に依らず使用でき、PMF(POLARIZATION MAINTENANCE FIBER)のような偏光の極性を維持した光ファイバ2でも支障なく使用することができる。また、上述したような2層の外皮で覆われた心線タイプもしくは1層の外皮で覆われた素線タイプのどちらでも使用可能であり、本図1(a)に示す図はその代表例として、心線タイプを示す。心線タイプの光ファイバ2は、外径が約φ0.125mm程度の石英ガラスの芯線3と、その芯線3の外周にクラッドされている2層の合成樹脂外皮4からなり、後述するフェルール1の貫通孔に挿通する長さ分だけその外皮4を除去し、芯線3を露出して使用する。この場合、芯線3は、その表面は電気が通電しないため、フェルール1との固定は無電解メッキによる被膜5を形成しても良い。
【0025】
ここで、除去する外皮4の長さは、図1(a)に示すようにフェルール1後方まで除去することに限らず、図1(b)に示すような外皮4をフェルール1後端側に覗き込ませて使用し、ハンドリング時に芯線3が破断しないようにすることも可能である。また、露出した芯線3の表面は、フェルール1に被膜固定する際、膜厚を上げて引っ張り強度をさらに増すために、図1(b)で示すように蒸着やスパッタリングにより金、銀等の被膜6を予め成膜したものを使用しても良い。この場合、予め芯線3の表面は導電性が確保され、フェルール1との固定は電解メッキによる被膜8でも固定可能となる。
【0026】
次にフェルール1について説明する。まずフェルール1の母材質としては、膨張係数が小さいステンレスを使用することが望ましいが、それ以外の金属もしくは非鉄金属の使用も可能である。例えば、金属ではコバール、鉄/ニッケル合金、鉄/ニッケル/クロム合金、鉄/クロム合金等があり、非鉄金属では、銅、アルミニウム、マグネシウム等がある。
【0027】
これらの材質が用いられるのは、前述したように被膜固定する時の被膜金属との密着性が良くなり、光ファイバ2の引っ張り強度を向上することが可能になるからである。また、各種光通信用機器や検査装置等に組み込む際に、相手部品の材質の熱膨張係数に合わせることにより各種機器からの脱落を防ぐ目的もある。さらには、各種光通信用機器や検査装置等に組み込む際に、フェルール1に直接YAG溶接固定する場合の溶接性を良くする目的もある。
【0028】
また、フェルール1の表面は、図1(b)に示すように、前述した光ファイバ2と同様、予め被膜8を成膜したものを使用することで光ファイバ2の引っ張り強度をさらに増すことも可能である。
【0029】
また、フェルール1の形状については、外径形状は主に、各種光学機器や計測器に固定される相手部品の形状に合わせた中心に貫通孔9を有する円柱形状であり、引き抜き加工や切削加工等による機械加工によって約φ1.0mm前後程度のものが使用される。
【0030】
貫通孔9に関しては、芯線3の径より0.005〜0.2mm大きい径が望ましい。0.005mmより小さい場合には芯線3をフェルールに挿入するのが非常に困難になり作業性が悪化する。また、0.2mmより大きい場合には芯線3とのクリアランスが余りにも大きいため、被膜の積層(固定)に非常に時間を要したり、膜厚が確保できないことにより被膜固定できない場合があるからである。
【0031】
以上のような構成により、貫通孔9を有する円柱状のフェルール1に光ファイバ2の芯線3の端部を固定して光通信用部品が構成できることになる。この場合、少なくともフェルールの貫通孔9の全域に被着した被膜5、7を介して光ファイバ2の芯線3に固定したので、被膜5、7により緻密にフェルール1と光ファイバ芯線3とを被着することができ気密性を向上させることができるとともに、被膜5、7がフェルールの貫通孔9の全域に被着されているため貫通孔9と光ファイバ芯線3との接触面積が増えることから引っ張り強度を向上させることができる。
【0032】
なお、本発明の実施の形態によれば、フェルール1の貫通孔9全域だけでなく、フェルール1の端面にも被膜5、7が形成されているので、フェルール1端面の被膜5と芯線3表面に形成する被膜5との接合部が厚く形成されて肉厚被膜が形成され引っ張り強度を向上することができるものである。
【0033】
さらに、不図示であるが、このように被膜5、7を形成した後にフェルール1先端をかしめる処理を行うことで引っ張り強度をさらに向上することができるものである。
【0034】
次に上記フェルール付き光ファイバ2の製造方法について、図2(a)〜(b)を用いて説明する。
【0035】
まず、光ファイバ2の外皮を削いで芯線を露出し、必要に応じて表面を被膜加工(図は被膜処理無し)した光ファイバ2の芯線3を、必要に応じて表面を被膜処理(図は被膜処理無し)したフェルール1の貫通孔9に挿通する(図2(a)参照)。
【0036】
次に、フェルール1先端からファイバ先端の出寸法を所望の位置に調整した後、2枚組の段付き仮固定治具12の間にフェルール1及び光ファイバ2を挟み込み、メッキ液に漬けて被膜加工を行って、光ファイバ2とフェルール1を固定する(図2(b)参照)。
【0037】
この時、反射率の高い金で被膜を形成する場合、フェルール1外周は仮固定治具に覆われおり被膜されることがないため、各種光学機器や検査装置に組み込む際にYAG溶接ができなくなるといったことがなくなる。
【0038】
【実施例】
ここで、以下に示す方法で実験を行った。
【0039】
本発明の実施例として図1(b)に示す上記光通信部品と、比較例として、図3(a)に示す従来のフェルール付き光ファイバ2をそれぞれ10個ずつ作製し、各々の光ファイバ2の引っ張り強度を測定した。
【0040】
本発明の実施例、従来例ともにフェルールの外径φ1.00mm、内径φ0.135mmとし、母材をステンレスのSUS304を用いた。
【0041】
また、光ファイバ2は両サンプル共に、シングルモードファイバを用い、予めニッケル及び金メッキを被膜したものを使用した。
【0042】
また、固定時に施す被膜材質はニッケル及び金を被膜し、フェルール外周は仮固定治具で覆うようにして成膜した。
【0043】
以上のサンプルでの評価結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示すように、従来の光通信用部品の引張り強さの最大値11.03(N)、最小値6.26(N)、平均値8.56(N)だったのに対し、本発明品は最大値17.83(N)、最小値13.98(N)、平均値15.67(N)となり、本発明品の最小値が従来品の最大値をも上回る結果となった。
【0046】
以上より、従来品より引っ張り強度が向上し、より性能の高い固定が出来ることを確認できた。
【0047】
【発明の効果】
以上本発明によれば、半田を用いることなくフェルールの貫通孔全域に光ファイバ芯線3が被膜を介して接続しているために、被膜により緻密にフェルールと光ファイバ芯線とを被着することができ気密性を向上させることができるとともに、フェルールの貫通孔と光ファイバ芯線3との接触面積が増えることから引っ張り強度を向上させることができる。
【0048】
また、半田固定時のような高温加熱をする必要がないため、光ファイバ2の熱劣化がなくなり、その結果、フェルールからの引っ張り強度が低下するといったこともなくなる。
【0049】
さらに、光ファイバの外皮をフェルール後端側に挿入して使用する場合には、接合に熱を用いないために、光ファイバの外皮が溶けることもなく、ハンドリング時に石英ガラスからなる芯線が破断するといったこともなくなる。
【0050】
また、フェルールと光ファイバ芯線は、被膜加工による緻密な積層被膜を介して固定されるため、フェルールの貫通孔に均一的に金属が積層されて光ファイバ芯線が固定、フェルールの外周に対する光ファイバの同芯度が保たれる。その結果、各種光通信機器や検査装置等に組み込まれた際に、相手部品との光軸が合わなくなるといったこともなくなる。
【0051】
一方、フェルールが、コバール、銅、ステンレス、鉄/ニッケル合金、鉄/ニッケル/クロム合金、鉄/クロム合金、アルミニウム、マグネシウムの少なくとも1種類の金属材料からなり、また、前記被膜は、金、銀、銅、錫、鉛、亜鉛、ニッケル、クロムの少なくとも1種類の金属材料からなるために、フェルールと被膜する金属材料との密着性が良くなり、光ファイバの引っ張り強度を向上することが可能になる。
【0052】
また、本発明の光通信部品の製造方法においては、貫通孔を有する円柱状のフェルールに光ファイバ芯線の端部を挿入した後、被膜加工により少なくとも前記光ファイバを挿入したフェルールの貫通孔全域に被着した金属材料から成る被膜を介して前記光ファイバに固定したために、半田固定時のような高温加熱をする必要がなく、これにより、光ファイバの熱劣化がなくなり、その結果、フェルールからの引っ張り強度が低下するといったこともなく、製造時の歩留まりが向上した良好な光通信用部品を提供することができるものである。
【0053】
また、2枚組の段付き治具の間にフェルール及び光ファイバの外周を挟み込み、被膜加工を行うことができるため、フェルール外周の被膜する必要のない部分をマスキングすることが可能となり、各種光学機器や計測機への組み込み時にYAG溶接等で固定する場合においても、YAG光の反射等の問題もなく固定することが可能となり、半田付け時のように被膜後にフェルール外周のみ被膜を除去するといった2度手間が必要なくなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(b)は本発明の光通信用部品のさまざまな実施形態を示す断面図である。
【図2】(a)〜(b)は本発明の光通信用部品の製造工程を示す図である。
【図3】(a)〜(b)は従来の光通信用部品の断面図である。
【符号の説明】
1 :フェルール
2 :光ファイバ
3 :芯線
4 :外皮
5〜8:被膜
9 :貫通孔
12 :仮固定治具
13 :フェルール
13a:被膜
14 :光ファイバ
14a:被膜
15 :半田
16 :芯線
17 :外皮
18 :貫通孔
Claims (3)
- 貫通孔を有する円柱状のフェルールに光ファイバ芯線の端部を固定してなる光通信用部品において、少なくともフェルールの貫通孔全域に被着した金属材料から成る被膜を介して前記光ファイバ芯線を固定したことを特徴とする光通信用部品。
- 前記フェルールが、コバール、銅、ステンレス、鉄/ニッケル合金、鉄/ニッケル/クロム合金、鉄/クロム合金、アルミニウム、マグネシウムの少なくとも1種類の金属材料からなり、また、前記被膜は、金、銀、銅、錫、鉛、亜鉛、ニッケル、クロムの少なくとも1種類の金属材料からなることを特徴とする請求項1記載の光通信用部品。
- 貫通孔を有する円柱状のフェルールに光ファイバ芯線の端部を挿入した後、被膜加工により少なくとも前記光ファイバを挿入したフェルールの貫通孔全域に金属材料を被着して被膜を形成し、該被膜を介して前記光ファイバを固定することを特徴とする光通信用部品の製造方法。
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JP2002222577A JP2004062007A (ja) | 2002-07-31 | 2002-07-31 | 光通信用部品及びその製造方法 |
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