JP2004061802A - 弦楽器用ケース - Google Patents

Abstract

【課題】形状、大きさ、長さ等が異なる弦楽器に対して共通に使用することができ、ケース自体の種類、製造コスト、物流経費等を削減し得るようにした弦楽器用ケースを提供する。
【解決手段】ケース本体１２と蓋体１３とで弦楽器用ケース２を形成する。ケース本体１２の内部に発泡樹脂からなる内装部材２０を配置し、この内装部材２０に設けた収納凹部２１にソリッド型の電気ギター１を収納する。収納凹部２０に電気ギター１のボディ３を固定するボディ用仕切部材２３とネック４を固定するネック用仕切部材２４を設ける。ボディ用仕切部材２３は、ボディ３の大きさに応じてケース本体１２の長手方向に移動調整可能に配設され、ネック用仕切部材２４は上面に複数のネット受け部３６を有し、ケース本体１２の長手方向に移動調整可能に配設されている。
【選択図】　　　　図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弦楽器用ケースに関し、特に形状、長さが異なる各種の弦楽器の収納を可能にした弦楽器用ケースに関する。
【０００２】
【従来の技術】
弦楽器のうち特に電気ギターは、他の弦楽器に比べてデザイン設計の自由度が高いため、ボディの形状、大きさ、ネックの長さが様々であり、それに合わせて専用の弦楽器用ケースを製作していた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、従来は電気ギターの形状、大きさ、長さに合わせて専用の弦楽器用ケースを設計、製作していたため、ケースの種類が増加しその製作、保管管理が煩雑で、製品原価、物流経費、在庫負担等のコストが上昇するという問題があった。
また、ケース本体の内部に仕切りが設けられていない弦楽器用ケースの場合は、電気ギターを動かないように固定するために、ケース本体と電気ギターとの空きスペースに詰め物をする必要があった。
さらに、ユーザーにとって電気ギターを新しいものに替えたとき、その形状、大きさ、あるいは長さが古いものと異なる場合は、古いケースをそのまま使用することができず、新たに専用のケースを購入しなければならなくなるため、ユーザーの経済的負担が大きくなるという問題もあった。
【０００４】
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、形状、大きさ、長さ等が異なる弦楽器に対して共通に使用することができ、ケース自体の種類、製造コスト、物流経費等を削減し得るようにした弦楽器用ケースを提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために第１の発明は、ケース本体と蓋体とを備え、内部に弦楽器を収納する弦楽器用ケースにおいて、前記ケース本体は上方に開放する長方形の箱体に形成され、内部に前記弦楽器のボディを固定するボディ用仕切部材と弦楽器のネックを固定するネック用仕切部材を設け、前記ボディ用仕切部材をケース本体の長手方向に移動調整可能に配設したものである。
【０００６】
第１の発明においては、ボディ用仕切部材が弦楽器の大きさに応じて移動調整されてボディを固定し、ネック用仕切部材でネックを固定する。
【０００７】
第２の発明は、上記第１の発明において、弦楽器のネックを固定するネック用仕切部材をケース本体の長手方向に移動調整可能に配設したものである。
【０００８】
第２の発明においては、ネック用仕切部材が弦楽器のネックの長さに応じて移動調整され、ネックを固定する。
【０００９】
第３の発明は、上記第１または第２の発明において、ネック用仕切部材の上面に複数のネック受け部を形成したものである。
【００１０】
第３の発明においては、ネック用仕切部材に複数のネック受け部を設けているので、弦楽器が長さに応じて収納凹部に斜めに収納されても、その傾き角度に対応する受け部がネックを固定する。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図１は本発明に係る弦楽器用ケースの一実施の形態を示す外観斜視図で、１はソリッド型電気ギター、２は電気ギター１を収納する弦楽器用ケースである。
【００１２】
前記電気ギター１は、ソリッド型のボディ３、ネック本体４、スチール製の６本の弦５、ブリッジ６、弦５の振動を電気信号に変換するピックアップ装置７、テールピース８、音色、音量等を調整するための各種のつまみ９、糸巻き１０等を備えている。
【００１３】
前記弦楽器用ケース２は、形状、大きさ、長さが異なる各種の電気ギター１の収納を可能にするため、最も大きな電気ギター１の寸法に合わせて設計、製作されたもので、ケース本体１２と蓋体１３とを備えている。
【００１４】
前記ケース本体１２は、底板１２ａ、底板１２ａの４辺を取り囲むそれぞれ２つからなる長辺板１２ｂ，１２ｃおよび短辺板１２ｄ，１２ｅによって上方に開放する比較的浅い長方形の箱体に形成され、手で持って搬送するとき下となる長辺板１２ｂの上側端縁に前記蓋体１３が図示を省略した蝶番を介して開閉自在に取付けられている。一方、搬送時に上となる長辺板１２ｃの表面には把手１６と施錠装置１７が取付けられている。このようなケース本体１２は、通常合成樹脂の射出成形によって形成されるが、アルミニウム、木材、再生紙等によって形成されるものであってもよい。再生紙の成形によって形成する場合は、軽量かつ安価でリサイクルが可能である。
【００１５】
前記蓋体１３は、前記ケース本体１２と同一の大きさからなる長方形の箱体に形成され、下方に開放している。
【００１６】
前記ケース本体１２の内部には、発泡ウレタン等の発泡樹脂からなる内装部材２０がはめ込まれている。内装部材２０の表面には、幅Ｗが３２０ｍｍ程度で内装部材２０の略全長にわたって延在し最も大きくて長い電気ギターの収納を可能にする収納凹部２１が形成されている。また、この収納凹部２１は、電気ギター１のボディ３の前端部を固定するボディ用仕切部材２３と、ネック４の先端部を固定するネック用仕切部材２４によって第１〜第３の凹部２１Ａ，２１Ｂ，２１Ｃに仕切られている。
【００１７】
前記第１の凹部２１Ａは、前記ケース本体１２の右端に位置し電気ギター１のボディ３を収納するための凹部で、前記短辺板１２ｅ側終端壁２５がボディ３の胴尻部形状に近似した半円形に形成されており、この終端壁２５から前記ネック用仕切部材２４までの長さＬが７５０ｍｍ程度に設定されている。
【００１８】
前記第２の凹部２１Ｂは、電気ギター１のネック４を収納するための凹部で、前記ボディ用仕切部材２３と前記ネック用仕切部材２４との間に設けられている。
【００１９】
前記第３の凹部２１Ｃは、電気ギター１のヘッド部１１を収納するための凹部で、前記短辺板１２ｄと前記ネック用仕切部材２４との間に設けられている。
【００２０】
前記内装部材２０の前記収納凹部２１を取り囲む枠壁部２６のうち、互いに対向する長辺側枠壁部２６ａ，２６ｂの上面には、前記ボディ用仕切部材２３とネック用仕切部材２４をケース本体１２の長手方向に位置調整可能に固定するためのプレート２７がそれぞれ固定されている。プレート２７は、長辺側枠壁部２６ａ，２６ｂの幅と略同一の幅で長さが４００ｍｍ程度の細長い金属板からなり、前記第１の凹部２１Ａの円弧状終端壁２５の頂点から約３５０ｍｍ離れた位置に固定されており、１０ｍｍ程度のピッチで雌ねじ２８が一列に加工されている。
【００２１】
前記ボディ用仕切部材２３は、木材、合成樹脂等によって前記収納凹部２１の幅Ｗと略等しい長さを有する角棒状に形成されており、上面中央には電気ギター１のネック４の基端部を迂回する切欠部３０が形成され、上面両端部には、固定板３１がそれぞれ固定されている。切欠部３０の深さは、ネック４の基端部の厚さよりやや深い。固定板３１の先端部は、前記プレート２７に重なり合うようにボディ用仕切部材２３の先端から突出しており、雌ねじ２８のピッチと同一ピッチで２つのねじ挿通孔３３が形成されている。このようなボディ用仕切部材２３は、電気ギター１のボディ３の高さに応じてケース本体１２の長手方向に１０ｍｍピッチで移動調整され、前記ねじ挿通孔３３に止めねじ３４を挿通して雌ねじ２８にねじ込むと、プレート２７に対して固定される。
【００２２】
前記ボディ用仕切部材２３を固定するときは、ボディ用仕切部材２３によってボディ３の基部を押圧し、ボディ３の胴尻部を第１の凹部２１Ａの終端壁２５に押し付けて固定すると、電気ギター１の長手方向の移動を確実に防止することができる。前記止めねじ３４としては、コインによって締付けたり緩めたりすることが可能なものが用いられる。なお、ボディ用仕切部材２３は、ケース本体１２の長手方向と直交している。
【００２３】
前記ネック用仕切部材２４は前記ボディ用仕切部材２３と同様に木材、合成樹脂等によって角棒状に形成されており、上面中央に４つのネック受け部３６がネック用仕切部材２４の長手方向に並設されている。ネック受け部３６は、ネック４の先端部側を固定するもので、ネック４の断面形状に近似した半円形または半楕円形の凹部で構成されている。そして、ネック用仕切部材２４は、前記収納凹部２１内にケース本体１２の長手方向に移動自在に配設され、両端が前記プレート２７にねじ止めされている。
【００２４】
前記ネック用仕切部材２４に複数個のネック受け部３６を設けた理由は、長さが長い電気ギターをケース本体１２の長手方向に対して傾斜するように斜めに収納することにより、弦楽器用ケース２の小型化を実現するためである。すなわち、電気ギター１を収納するとき、ケース本体１２の長手方向と電気ギター１の長手方向を一致させて収納すると、ケース本体１２の長さを最大長さの電気ギターを収納し得る長さとする必要があるため、弦楽器用ケース２自体が大型化して好ましくない。
【００２５】
そこで、本発明においては、収納凹部２１の幅Ｗに余裕をもたせるとともに、ネック用仕切部材２４に複数のネック受け部３６を設けることにより、電気ギター１の長さに応じて斜めに収納し得るようにしている。
【００２６】
このような弦楽器用ケース２によれば、形状、大きさ、長さが異なる各種の電気ギター１に対して共通に使用することができるため、ケース自体の種類を削減することができ、製造、在庫管理が容易で、製品原価、物流経費、在庫負担等のコストを低減することができる。
【００２７】
また、長さが異なる電気ギターであっても、ボディ用仕切部材２３とネック用仕切部材２４によってボディ３の先端部とネック４の基端部寄りと先端部寄りの二箇所を固定するため、ケース内で電気ギター１が長手方向（張弦方向）に動くおそれがない。したがって、詰め物をしたりする必要がなく、搬送時にケース内部で動いて傷つくおそれがない。
【００２８】
また、長さに応じて斜めに収納することができるため、ケース自体を小型化することができる。
【００２９】
さらに、ユーザーが電気ギターを新しいものと替えたとき、現在使用している弦楽器用ケース２をそのまま使用することができるため、経済的な負担を軽減することができる。
【００３０】
なお、上記した実施の形態はソリッド型電気ギターの収納ケースに適用した例を示したが、本発明はこれに何ら特定されるものではなく、ケース本体１２の深さを深くすることによりセミアコースティック型の電気ギターにも適用することができる。
【００３１】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る弦楽器用ケースは、移動調整可能な仕切部材を備えているので、形状、大きさ、長さ等が異なる種々の電気ギターであっても動かないように収納することができ、ケース自体の種類および製品原価、物流経費、在庫負担等のコストを低減することができる。
また、長さに応じて斜めに収納することができ、ケース自体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る弦楽器用ケースの一実施の形態を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
１…電気ギター、２…弦楽器用ケース、３…ボディ、１２…ケース本体、１３…蓋体、２０…内装部材、２１…収納凹部、２３…ボディ用仕切部材、２４…ネック用仕切部材、３６…ネック受け部。

Claims (3)

1. ケース本体と蓋体とを備え、内部に弦楽器を収納する弦楽器用ケースにおいて、
   前記ケース本体は上方に開放する長方形の箱体に形成され、内部に前記弦楽器のボディを固定するボディ用仕切部材と弦楽器のネックを固定するネック用仕切部材を設け、前記ボディ用仕切部材をケース本体の長手方向に移動調整可能に配設したことを特徴とする弦楽器用ケース。
2. 請求項１記載の弦楽器用ケースにおいて、
   弦楽器のネックを固定するネック用仕切部材をケース本体の長手方向に移動調整可能に配設したことを特徴とする弦楽器用ケース。
3. 請求項１または２記載の弦楽器用ケースにおいて、
   ネック用仕切部材の上面に複数のネック受け部を形成したことを特徴とする弦楽器用ケース。

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