JP2004058668A - 取付構造体及びモジュール体 - Google Patents

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金 谷 宗 秀
Kenji Tsukada
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Abstract

【課題】液体容器内の液体の消費状態を検知する圧電装置を、適切に液体容器に装着するための取付構造体を提供する。
【解決手段】液体容器1内の液体の消費状態を検出するために用いられる圧電装置106を液体容器1に一体構造として装着するための取付構造体であって、圧電装置106の電極に接触するリードワイヤ362と、リードワイヤ362と液体容器1との接合部をモールドするモールド部364とを有する。
【選択図】 図11

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音響インピーダンスの変化を検出することで、その中でも特に共振周波数の変化を検出することで、液体を収容する液体容器内の液体の消費状態を検知するための圧電装置を液体容器に取り付けるための取付構造体、この取付構造体と圧電装置とを備えたモジュール体、及びこのモジュール体と容器本体とを備えた液体容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術における液体容器として、インクジェット式記録装置に装着されるインクカートリッジを例にとって説明する。一般にインクジェット記録装置には、圧力発生室を加圧する圧力発生手段と、加圧されたインクをインク滴として吐出するノズル開口とを備えたインクジェット式記録ヘッドが搭載されたキャリッジと、流路を介して記録ヘッドに供給されるインクを収容するインクタンクとを備えており、連続印刷が可能なように構成されている。インクタンクはインクが消費された時点で、ユーザが簡単に交換できるように、記録装置に対して着脱可能なカートリッジとして構成されているものが一般的である。
【0003】
従来、インクカートリッジのインク消費の管理方法として、記録ヘッドによって吐出されるインク滴のカウント数と、印字ヘッドのメンテナンス工程で吸引されたインク量とをソフトウエアにより積算し、計算上でインク消費を管理する方法や、インクカートリッジに直接液面検出用の電極を2本取付けることによって、実際にインクが所定量消費された時点を検知することでインク消費を管理する方法などが知られていた。
【0004】
しかしながら、ソフトウェアによりインク滴の吐出数や吸引されたインク量を積算してインク消費を計算上で管理する方法は、使用環境により、例えば使用室内の温度や湿度の高低、インクカートリッジの開封後の経過時間、ユーザサイドでの使用頻度の違いなどによって、インクカートリッジ内の圧力やインクの粘度が変化してしまい、計算上のインク消費量と実際の消費量との間に無視できない誤差が生じてしまうという問題があった。また同一カートリッジを一旦取外し、再度装着した場合には積算されたカウント値は一旦リセットされてしまうので、実際のインク残量がまったくわからなくなってしまうという問題もあった。
【0005】
一方、電極によりインクが消費された時点を管理する方法は、インク消費のある一点の実量を検出できるため、インク残量を高い信頼性で管理できる。しかしながら、インクの液面を検出するためにインクは導電性でなくてはならず、よって使用されるインクの種類が限定されてしまう。また、電極とインクカートリッジとの間の液密構造が複雑化する問題がある。さらに、電極の材料として、通常は導電性が良く耐腐食性も高い貴金属を使用するので、インクカートリッジの製造コストがかさむという問題もあった。さらに、2本の電極をそれぞれインクカートリッジの別な場所に装着する必要があるため、製造工程が多くなり結果として製造コストがかさんでしまうという問題もあった。
【0006】
また、上記のように電極によりインクの消費された時点を管理する方法では、電極をインクカートリッジに取り付けるための穴部を、インクカートリッジに設けなければならない。このため、インクカートリッジをプラスチックで製造すると射出成形行程が複雑になるという問題もあった。
【0007】
さらに、電極は液密を保つために特殊なシール構造を有するため、インクカートリッジとの分離が困難であった。その結果、電極又はインクカートリッジの交換やリサイクルがしにくいという問題もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特願2000−147052号は、上記の課題を解決すべく、液体残量を正確に検出でき、かつ複雑なシール構造を不要とした、液体容器に装着される圧電装置及びモジュール体を提案している。
【0009】
そこで、本発明は、液体容器内の液体の消費状態を検知する機能を有する圧電装置を液体容器に取り付けるための取付構造体を提供し、圧電装置の液体容器への取り付け及び取り外しを容易にすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明のある形態によると、液体容器内の液体の消費状態を検出するために用いられる圧電装置を液体容器に装着するための取付構造体は、圧電装置が装着される圧電装置装着部と、液体容器に取り付けられる液体容器取付部とを有することを特徴とする。圧電装置装着部は開口部を有し、開口部を介して圧電装置の振動する部分が液体容器内の液体と接触するようにしてもよい。開口部を有する取付プレートを更に備え、圧電装置は取付プレートを介して圧電装置装着部に装着されるようにしてもよい。圧電装置は、電極に挟まれた圧電層を有する圧電素子と、圧電素子が一方の面に配置された振動板とを備え、この振動板の他方の面にキャビティが形成されたキャビティ形成部材を配置し、キャビティを介して振動板が液体容器内の液体と接触可能に構成されるようにしてもよい。キャビティ形成部材が圧電素子及び振動板と一体的に形成された基板であるようにしてもよい。キャビティ形成部材が圧電装置に装着される取付プレートであるようにしてもよい。開口部を有する取付プレートを更に備え、基板のキャビティと取付プレートの開口部が連通するように配置されるようにしてもよい。液体容器取付部上面に圧電装置装着部が形成されるようにしてもよい。液体容器取付部から突出するように形成された圧電装置装着部の側面に圧電装置が装着されるようにしてもよい。圧電装置は圧電素子を有し、圧電素子を液体容器の液体から絶縁させる絶縁部を有するようにしてもよい。圧電装置装着部と圧電装置との取付部位をモールドするモールド部をさらに有するようにしてもよい。液体容器取付部が、液体容器に形成された貫通孔に嵌合する円柱部を備えるようにしてもよい。液体容器取付部が、円柱部と一体的に形成された基台を備えるようにしてもよい。液体容器取付部の液体容器との嵌合部にシーリング構造を有するようにしてもよい。圧電装置に残留する残留振動によって逆起電力を発生させるようにしてもよい。取付構造体が更に回路基板を有するようにしてもよい。圧電装置装着部が液体容器内の液体の液面に対して傾斜するように形成されるようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の別の形態によると、液体容器内の液体の消費状態を検出するために用いられる圧電装置を前記液体容器に一体構造として装着するための取付構造体であって、圧電装置の電極に接触するリードワイヤと液体容器との接合部をモールドするモールド部とを有することを特徴とする。圧電装置を、液体容器の内部に突出させる脚部を有するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の別の形態によると、液体容器は、上記取付構造体が配設されることを特徴とする。圧電装置装着部が液体容器内方に突出する様に配置されるようにしてもよい。さらに、圧電装置装着部が液体容器内の液体の液面に対して傾斜するように形成されるようにしてもよい。液体容器取付部と液体容器との取付部位が、モールドされるようにしてもよい。上記取付構造体が着脱可能に取り付けられるようにしてもよい。
【0013】
また、本発明の別の形態によると、液体容器内の液体の消費状態を検出するために用いられる圧電装置を前記液体容器に装着するための取付構造体であって、前記圧電装置に駆動信号を印加するための一対の導電部材と、前記一対の導電部材と一体に樹脂成形された成形体と、を備え、前記一対の導電部材のそれぞれは、前記圧電装置に電気的に接続される先端部、回路基板に電気的に接続される基端部、及び前記先端部と前記基端部とを連結する中間部を含み、前記中間部の少なくとも一部は前記成形体の内部に埋設されていることを特徴とする。
【0014】
また、好ましくは、一対の前記先端部は同一の平面内に配置され、一対の前記基端部は前記一対の先端部が配置された平面とは異なる他の同一の平面内に配置されている。
【0015】
また、好ましくは、前記一対の導電部材のそれぞれは、導電性材料より成る細長の部材を折り曲げて構成されており、前記一対の先端部が配置された前記同一の平面と前記一対の基端部が配置された前記他の同一の平面とは互いに平行であり、前記同一の平面内に位置する部分の前記細長の部材と前記他の同一の平面内に位置する部分の前記細長の部材とは前記同一の平面及び前記他の同一の平面に対して垂直な方向に関して互いに重なり合っていない。
【0016】
また、好ましくは、前記成形体が樹脂成形される際には前記一対の先端部同士が連結部材によって連結されており、樹脂成形後に前記連結部材が除去される。
【0017】
また、好ましくは、前記連結部材には、前記成形体の樹脂成形に使用される型に対して前記一対の導電部材を位置決めするために前記型の一部が挿入される位置決め孔が形成されている。
【0018】
また、好ましくは、前記位置決め孔は、前記圧電装置の振動する部分に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項29記載の取付構造体。
【0019】
また、好ましくは、前記成形体の樹脂成形には雌側の型及びこれに嵌合される雄側の型が使用され、前記連結部材によって連結された前記一対の導電部材の一部は、前記雄側の型に対して前記一対の導電部材を位置決めするために前記雄側の型の一部の外形に対応する輪郭を備えている。
【0020】
また、好ましくは、前記成形体を樹脂成形する際には一対の型によって前記一対の先端部の少なくとも一部が挟み込まれ、これにより、前記一対の先端部の少なくとも一部は樹脂内に埋没することなく露出した状態となり、前記一対の先端部の露出した部分が電気接点を形成する。
【0021】
また、好ましくは、前記成形体には前記圧電装置を受け入れるための凹部が形成されており、前記一対の先端部は前記凹部の底面に配置されている。
【0022】
本発明の別の形態によるモジュール体は、上記いずれかの記載の取付構造体と、前記取付構造体の前記凹部に嵌め込まれた前記圧電装置と、を備え、前記圧電装置は、一対の電極によって挟まれた圧電層を有する圧電素子と、前記圧電素子が一方の面に配置された振動板と、を備え、前記振動板の他方の面にキャビティが形成されたキャビティ形成部材を配置し、前記キャビティを介して前記液体容器内の液体が前記振動板と接触するように構成されていることを特徴とする。
【0023】
また、好ましくは、前記圧電装置は、前記取付構造体の前記一対の先端部に対して導電性接着剤によって電気的に接続された一対の電極を有し、前記圧電装置の裏側に液体が回り込まないように前記圧電装置の周囲が樹脂で密封されている。
【0024】
本発明の別の形態によれば、液体容器内の液体の消費状態を検出するために用いられる圧電装置を前記液体容器に装着するための取付構造体であって、前記圧電装置に電気的に接続される電線を配した基部と、前記基部に突設され、前記圧電装置が装着される突出部と、を備え、前記圧電装置に電気的に接続される電線が二色成形樹脂メッキによって3次元状に形成されていることを特徴とする。
【0025】
また、好ましくは、前記突出部の端部には前記圧電装置を受け入れるための凹部が形成されており、前記凹部の底面に、前記圧電装置の一対の電極に電気的に接続される部分が前記電線の少なくとも一部によって形成されている。
【0026】
また、好ましくは、前記突出部は、前記基部に突設された筒状部と、前記筒状部の先端開口を封止する封止部と、を有し、前記封止部の表面に前記凹部が形成されており、前記凹部の底面には前記封止部を貫通する貫通孔が形成されており、前記圧電装置の一対の電極に電気的に接続される部分の前記電線は、前記凹部の底面から前記貫通孔の内面を介して前記封止部の裏面側まで連続形成されている。
【0027】
本発明の別の形態によるモジュール体によれば、液体容器内の液体の消費状態を検出するために用いられる圧電装置と、前記圧電装置に電気的に接続される回路基板と、前記回路基板に形成された一対の電極と前記圧電装置の一対の電極とを電気的に接続するために前記回路基板と前記圧電装置との間で圧接されて挟持された圧接挟持コネクタと、を備えたことを特徴とする。
【0028】
また、好ましくは、前記圧接挟持コネクタは、前記回路基板と前記圧電装置との間で圧接されて弾性的に圧縮された絶縁性の弾性体と、前記弾性体の内部を圧縮方向に延びる複数の導線と、を備える。
【0029】
また、好ましくは、前記圧接挟持コネクタは、前記回路基板に形成された一対の電極と前記圧電装置の一対の電極との間に配置された一対の導電ゴム部材と、前記一対の導電ゴム部材同士を連結する絶縁ゴム部材と、を備える。
【0030】
また、好ましくは、前記圧電装置は、一対の電極によって挟まれた圧電層を有する圧電素子と、前記圧電素子が一方の面に配置された振動板と、を備え、前記振動板の他方の面にキャビティが形成されたキャビティ形成部材を配置し、前記キャビティを介して前記液体容器内の液体が前記振動板と接触するように構成されている。
【0031】
また、上述した各形態において、圧電装置に接続された一対の導電部材によって圧電装置を支持するようにすることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態はクレームにかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0033】
本実施の形態では、インクカートリッジ内のインクの消費状態を検知する圧電装置を、インクカートリッジに取り付ける取付構造体の技術に本発明が適用される。
【0034】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。図面では、まず、インクの消費状態を検知する圧電装置の基本技術について説明する(図1〜図4)。続いて、図5以下で圧電装置をインクカートリッジに取り付けるための取付構造体と、その分解図と、取付構造体のバリエーション及びインクカートリッジへの応用例等を説明する。
【0035】
なお、本実施形態では、圧電装置の一形態として、「アクチュエータ」が示されているが、圧電装置の形態はアクチュエータに限定されず、「弾性波発生手段」や「圧電素子」であってもい。また、圧電装置の構成要素は本実施形態に限定されない。取付構造体を実現するための一形態として「モジュール体」や「モールド構造体」という用語も用いる。
【0036】
図1および図2は、圧電装置の一実施形態であるアクチュエータ106の詳細および等価回路を示す。ここでいうアクチュエータは、少なくとも音響インピーダンスの変化を検知して液体容器内の液体の消費状態を検出する方法に用いられる。特に、残留振動により共振周波数の検出することで、少なくとも音響インピーダンスの変化を検知して液体容器内の液体の消費状態を検出する方法に用いられる。図1(A)は、アクチュエータ106の拡大平面図である。図1(B)は、アクチュエータ106のB−B断面を示す。図1(C)は、アクチュエータ106のC−C断面を示す。さらに図2(A)および図2(B)は、アクチュエータ106の等価回路を示す。また、図2(C)および図2(D)は、それぞれインクカートリッジ内にインクが満たされているときのアクチュエータ106を含む周辺およびその等価回路を示し、図2(E)および図2(F)は、それぞれインクカートリッジ内にインクが無いときのアクチュエータ106を含む周辺およびその等価回路を示す。
【0037】
アクチュエータ106は、ほぼ中央に円形状の開口161を有する基板178と、開口161を被覆するように基板178の一方の面(以下、表面という)に配備される振動板176と、振動板176の表面の側に配置される圧電層160と、圧電層160を両方からはさみこむ上部電極164および下部電極166と、上部電極164と電気的に結合する上部電極端子168と、下部電極166と電気的に結合する下部電極端子170と、上部電極164および上部電極端子168の間に配設され、かつ両者を電気的に結合する補助電極172と、を有する。圧電層160、上部電極164および下部電極166はそれぞれの主要部として円形部分を有する。圧電層160、上部電極164および下部電極166のそれぞれの円形部分は圧電素子を形成する。
【0038】
振動板176は、基板178の表面に、開口161を覆うように形成される。キャビティ162は、振動板176の開口161と面する部分と基板178の表面の開口161とによって形成される。基板178の圧電素子とは反対側の面(以下、裏面という)は液体容器側に面しており、キャビティ162は液体と接触するように構成されている。キャビティ162内に液体が入っても基板178の表面側に液体が漏れないように、振動板176は基板178に対して液密に取り付けられる。
【0039】
下部電極166は振動板176の表面、即ち液体容器とは反対側の面に位置しており、下部電極166の主要部である円形部分の中心と開口161の中心とがほぼ一致するように取り付けられている。なお、下部電極166の円形部分の面積が開口161の面積よりも小さくなるように設定されている。一方、下部電極166の表面側には、圧電層160が、その円形部分の中心と開口161の中心とがほぼ一致するように形成されている。圧電層160の円形部分の面積は、開口161の面積よりも小さく、かつ下部電極166の円形部分の面積よりも大きくなるように設定されている。
【0040】
一方、圧電層160の表面側には、上部電極164が、その主要部である円形部分の中心と開口161の中心とがほぼ一致するように形成される。上部電極164の円形部分の面積は、開口161および圧電層160の円形部分の面積よりも小さく、かつ下部電極166の円形部分の面積よりも大きくなるよう設定されている。
【0041】
したがって、圧電層160の主要部は、上部電極164の主要部と下部電極166の主要部とによって、それぞれ表面側と裏面側とから挟みこまれる構造となっていて、圧電層160を効果的に変形駆動することができる。圧電層160、上部電極164および下部電極166のそれぞれの主要部である円形部分がアクチュエータ106における圧電素子を形成する。上述のように圧電素子は振動板176に接している。また、上部電極164の円形部分、圧電層160の円形部分、下部電極166の円形部分および開口161のうちで、面積が最も大きいのは開口161である。この構造によって、振動板176のうち実際に振動する振動領域は、開口161によって決定される。また、上部電極164の円形部分、圧電層160の円形部分および下部電極166の円形部分は開口161より面積が小さいので、振動板176がより振動しやすくなる。さらに、圧電層160と電気的に接続する下部電極166の円形部分および上部電極164の円形部分のうち、下部電極166の円形部分の方が小さい。従って、下部端子166の円形部分が圧電層160のうち圧電効果を発生する部分を決定する。
【0042】
上部電極端子168は、補助電極172を介して上部電極164と電気的に接続するように振動板176の表面側に形成される。一方、下部電極端子170は、下部電極166に電気的に接続するように振動板176の表面側に形成される。上部電極164は、圧電層160の表面側に形成されるため、上部電極端子168と接続する途中において、圧電層160の厚さと下部電極166の厚さとの和に等しい段差を有する必要がある。上部電極164だけでこの段差を形成することは難しく、かりに可能であったとしても上部電極164と上部電極端子168との接続状態が弱くなってしまい、切断してしまう危険がある。そこで、補助電極172を補助部材として用いて上部電極164と上部電極端子168とを接続させている。このようにすることで、圧電層160も上部電極164も補助電極172に支持された構造となり、所望の機械的強度を得ることができ、また上部電極164と上部電極端子168との接続を確実にすることが可能となる。
【0043】
なお、圧電素子と振動板176のうちの圧電素子に直面する振動領域とが、アクチュエータ106において実際に振動する振動部である。また、アクチュエータ106に含まれる部材は、互いに焼成されることによって一体的に形成されることが好ましい。アクチュエータ106を一体的に形成することによって、アクチュエータ106の取り扱いが容易になる。さらに、基板178の強度を高めることによって振動特性が向上する。即ち、基板178の強度を高めることによって、アクチュエータ106の振動部のみが振動し、アクチュエータ106のうち振動部以外の部分が振動しない。また、アクチュエータ106の振動部以外の部分が振動しないためには、基板178の強度を高めるのに対し、アクチュエータ106の圧電素子を薄くかつ小さくし、振動板176を薄くすることによって達成できる。
【0044】
圧電層160の材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)または鉛を使用しない鉛レス圧電膜を用いることが好ましく、基板178の材料としてジルコニアまたはアルミナを用いることが好ましい。また、振動板176には、基板178と同じ材料を用いることが好ましい。上部電極164、下部電極166、上部電極端子168および下部電極端子170は、導電性を有する材料、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、ニッケルなどの金属を用いることができる。
【0045】
上述したように構成されるアクチュエータ106は、液体を収容する容器に適用することができる。例えば、インクジェット記録装置に用いられるインクカートリッジやインクタンク、あるいは記録ヘッドを洗浄するための洗浄液を収容した容器などに装着することができる。
【0046】
図1および図2に示されるアクチュエータ106は、液体容器の所定の場所に、キャビティ162を液体容器内に収容される液体と接触するように装着される。液体容器に液体が十分に収容されている場合には、キャビティ162内およびその外側は液体によって満たされている。一方、液体容器の液体が消費され、アクチュエータの装着位置以下まで液面が降下すると、キャビティ162内には液体は存在しないか、あるいはキャビティ162内にのみ液体が残存されその外側には気体が存在する状態となる。アクチュエータ106は、この状態の変化に起因する、少なくとも音響インピーダンスの相違を検出する。それによって、アクチュエータ106は、液体容器に液体が十分に収容されている状態であるか、あるいはある一定以上の液体が消費された状態であるかを検知することができる。さらに、アクチュエータ106は、液体容器内の液体の種類も検出することが可能である。
【0047】
ここでアクチュエータによる液面検出の原理について説明する。
媒体の音響インピーダンスの変化を検出するには、媒体のインピーダンス特性またはアドミッタンス特性を測定する。インピーダンス特性またはアドミッタンス特性を測定する場合には、例えば伝送回路を利用することができる。伝送回路は、媒体に一定電圧を印加し、周波数を変えて媒体に流れる電流を測定する。または、伝送回路は、媒体に一定電流を供給し、周波数を変えて媒体に印加される電圧を測定する。伝送回路で測定された電流値または電圧値の変化は音響インピーダンスの変化を示す。また、電流値または電圧値が極大または極小となる周波数fmの変化も音響インピーダンスの変化を示す。
【0048】
上記の方法とは別に、アクチュエータは、液体の音響インピーダンスの変化を共振周波数のみの変化を用いて検出することができる。液体の音響インピーダンスの変化を利用する方法として、アクチュエータの振動部が振動した後に振動部に残留する残留振動によって生ずる逆起電力を測定することによって共振周波数を検出する方法を用いる場合には、例えば圧電素子を利用することができる。圧電素子は、アクチュエータの振動部に残留する残留振動により逆起電力を発生する素子であり、アクチュエータの振動部の振幅によって逆起電力の大きさが変化する。従って、アクチュエータの振動部の振幅が大きいほど検出がしやすい。また、アクチュエータの振動部における残留振動の周波数によって逆起電力の大きさが変化する周期が変わる。従って、アクチュエータの振動部の周波数は逆起電力の周波数に対応する。ここで、共振周波数は、アクチュエータの振動部と振動部に接する媒体との共振状態における周波数をいう。
【0049】
共振周波数fsを得るために、振動部と媒体とが共振状態であるときの逆起電力測定によって得られた波形をフーリエ変換する。アクチュエータの振動は、一方向だけの変形ではなく、たわみや伸長等様々な変形をともなうので、共振周波数fsを含め様々な周波数を有する。よって、圧電素子と媒体とが共振状態であるときの逆起電力の波形をフーリエ変換し、最も支配的な周波数成分を特定することで、共振周波数fsを判断する。
【0050】
周波数fmは、媒体のアドミッタンスが極大またはインピーダンスが極小であるときの周波数である。共振周波数fsとすると、周波数fmは、媒体の誘電損失または機械的損失などによって、共振周波数fsに対しわずかな誤差を生ずる。しかし、実測される周波数fmから共振周波数fsを導出することは手間がかかるため、一般には、周波数fmを共振周波数に代えて使用する。ここで、アクチュエータ106の出力を伝送回路に入力することで、アクチュエータ106は少なくとも音響インピーダンスを検出することができる。
【0051】
媒体のインピーダンス特性またはアドミッタンス特性を測定し周波数fmを測定する方法と、アクチュエータの振動部における残留振動によって生ずる逆起電力を測定することによって共振周波数fsを測定する方法と、によって特定される共振周波数に差がほとんど無いことが実験によって証明されている。
【0052】
アクチュエータ106の振動領域は、振動板176のうち開口161によって決定されるキャビティ162を構成する部分である。液体容器内に液体が充分に収容されている場合には、キャビティ162内には、液体が満たされ、振動領域は液体容器内の液体と接触する。一方で、液体容器内に液体が充分にない場合には、振動領域は液体容器内のキャビティに残った液体と接するか、あるいは液体と接触せず、気体または真空と接触する。
【0053】
本発明のアクチュエータ106にはキャビティ162が設けられ、それによって、アクチュエータ106の振動領域に液体容器内の液体が残るように設計できる。その理由は次の通りである。
【0054】
アクチュエータの液体容器への取り付け位置や取り付け角度によっては、液体容器内の液体の液面がアクチュエータの装着位置よりも下方にあるにもかかわらず、アクチュエータの振動領域に液体が付着してしまう場合がある。振動領域における液体の有無だけでアクチュエータが液体の有無を検出している場合には、アクチュエータの振動領域に付着した液体が液体の有無の正確な検出を妨げる。
【0055】
たとえば、液面がアクチュエータの装着位置よりも下方にある状態のとき、キャリッジの往復移動などにより液体容器が揺動して液体が波うち、振動領域に液滴が付着してしまうと、アクチュエータは液体容器内に液体が充分にあるとの誤った判断をしてしまう。そこで、逆にそこに液体を残存した場合であっても液体の有無を正確に検出するように設計されたキャビティを積極的に設けることで、液体容器が揺動して液面が波立ったとしても、アクチュエータの誤動作を防止することができる。このように、キャビティを有するアクチュエータを用いることで、誤動作を防ぐことができる。
【0056】
また、図2(E)に示すように、液体容器内に液体が無く、アクチュエータ106のキャビティ162に液体容器内の液体が残っている場合を、液体の有無の閾値とする。すなわち、キャビティ162の周辺に液体が無く、この閾値よりキャビティ内の液体が少ない場合は、インク無しと判断し、キャビティ162の周辺に液体が有り、この閾値より液体が多い場合は、インク有りと判断する。例えば、アクチュエータ106を液体容器の側壁に装着した場合、液体容器内の液体がアクチュエータの装着位置よりも下にある場合をインク無しと判断し、液体容器内の液体がアクチュエータの装着位置より上にある場合をインク有りと判断する。このように閾値を設定することによって、キャビティ内のインクが乾燥してインクが無くなったときであってもインク無しと判断し、キャビティ内のインクが無くなったところにキャリッジの揺れなどで再度インクがキャビティに付着しても閾値を越えないので、インク無しと判断することができる。
【0057】
ここで、図1および図2を参照しながら逆起電力の測定による媒体とアクチュエータ106の振動部との共振周波数から液体容器内の液体の状態を検出する動作および原理について説明する。アクチュエータ106において、上部電極端子168および下部電極端子170を介して、それぞれ上部電極164および下部電極166に電圧を印加する。圧電層160のうち、上部電極164および下部電極166に挟まれた部分には電界が生じる。その電界によって、圧電層160は変形する。圧電層160が変形することによって振動板176のうちの振動領域がたわみ振動する。圧電層160が変形した後しばらくは、たわみ振動がアクチュエータ106の振動部に残留する。
【0058】
残留振動は、アクチュエータ106の振動部と媒体との自由振動である。従って、圧電層160に印加する電圧をパルス波形あるいは矩形波とすることで、電圧を印加した後に振動部と媒体との共振状態を容易に得ることができる。残留振動は、アクチュエータ106の振動部を振動させるため、圧電層160をも変形する。従って、圧電層160は逆起電力を発生する。その逆起電力は、上部電極164、下部電極166、上部電極端子168および下部電極端子170を介して検出される。検出された逆起電力によって、共振周波数が特定できるため、液体容器内の液体の状態を検出することができる。
【0059】
一般に、共振周波数fsは、
fs=1/(2*π*(M*Cact)1/2)      (式1)
で表される。ここで、Mは振動部のイナータンスMactと付加イナータンスM’との和である。Cactは振動部のコンプライアンスである。
【0060】
図1(C)は、本実施形態において、キャビティにインクが残存していないときのアクチュエータ106の断面図である。図2(A)および図2(B)は、キャビティにインクが残存していないときのアクチュエータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路である。
【0061】
Mactは、振動部の厚さと振動部の密度との積を振動部の面積で除したものであり、さらに詳細には、図2(A)に示すように、
Mact=Mpzt+Melectrode1+Melectrode2+Mvib    (式2)
と表される。ここで、Mpztは、振動部における圧電層160の厚さと圧電層160の密度との積を圧電層160の面積で除したものである。Melectrode1は、振動部における上部電極164の厚さと上部電極164の密度との積を上部電極164の面積で除したものである。Melectrode2は、振動部における下部電極166の厚さと下部電極166の密度との積を下部電極166の面積で除したものである。Mvibは、振動部における振動板176の厚さと振動板176の密度との積を振動板176の振動領域の面積で除したものである。ただし、Mactを振動部全体としての厚さ、密度および面積から算出することができるように、本実施形態では、圧電層160、上部電極164、下部電極166および振動板176の振動領域のそれぞれの面積は、上述のような大小関係を有するものの、相互の面積の差は微小であることが好ましい。また、本実施形態において、圧電層160、上部電極164および下部電極166においては、それらの主要部である円形部分以外の部分は、主要部に対して無視できるほど微小であることが好ましい。
【0062】
従って、アクチュエータ106において、Mactは、上部電極164、下部電極166、圧電層160および振動板176のうちの振動領域のそれぞれのイナータンスの和である。また、コンプライアンスCactは、上部電極164、下部電極166、圧電層160および振動板176のうちの振動領域によって形成される部分のコンプライアンスである。
【0063】
尚、図2(A)、図2(B)、図2(D)、図2(F)は、アクチュエータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路を示すが、これらの等価回路において、Cactはアクチュエータ106の振動部のコンプライアンスを示す。Cpzt、Celectrode1、Celectrode2およびCvibはそれぞれ振動部における圧電層160、上部電極164、下部電極166および振動板176のコンプライアンスを示す。Cactは、以下の式3で表される。
1/Cact=(1/Cpzt)+(1/Celectrode1)+(1/Celectrode2)+(1/Cvib)   (式3)
【0064】
式2および式3より、図2(A)は、図2(B)のように表すこともできる。
【0065】
コンプライアンスCactは、振動部の単位面積に圧力をかけたときの変形によって媒体を受容できる体積を表す。また、コンプライアンスCactは、変形のし易さを表すといってもよい。
【0066】
図2(C)は、液体容器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合のアクチュエータ106の断面図を示す。図2(C)のM’maxは、液体容器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合の付加イナータンスの最大値を表す。M’ maxは、
M’max=(π*ρ/(2*k))*(2*(2*k*a)/(3*π))/(π*a (式4)(aは振動部の半径、ρは媒体の密度、kは波数である。)
で表される。尚、式4は、アクチュエータ106の振動領域が半径aの円形である場合に成立する。付加イナータンスM’は、振動部の付近にある媒体の作用によって、振動部の質量が見かけ上増加していることを示す量である。式4からわかるように、M’maxは振動部の半径aと、媒体の密度ρとによって大きく変化する。
【0067】
波数kは、
k=2*π*fact/c    (式5)
(factは液体が触れていないときの振動部の共振周波数である。cは媒体中を伝播する音響の速度である。)で表される。
【0068】
図2(D)は、液体容器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている図2(C)の場合のアクチュエータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路を示す。
【0069】
図2(E)は、液体容器の液体が消費され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が無いものの、アクチュエータ106のキャビティ162内には液体が残存している場合のアクチュエータ106の断面図を示す。式4は、例えば、液体容器に液体が満たされている場合に、インクの密度ρなどから決定される最大のイナータンスM’maxを表す式である。一方、液体容器内の液体が消費され、キャビティ162内に液体が残留しつつアクチュエータ106の振動領域の周辺にある液体が気体または真空になった場合には、
M’=ρ*t/S    (式6)
と表せる。tは、振動にかかわる媒体の厚さである。Sは、アクチュエータ106の振動領域の面積である。この振動領域が半径aの円形の場合は、S=π*aである。従って、付加イナータンスM’は、液体容器に液体が十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合には、式4に従う。一方で、液体が消費され、キャビティ162内に液体が残留しつつアクチュエータ106の振動領域の周辺にある液体が気体または真空になった場合には、式6に従う。
【0070】
ここで、図2(E)のように、液体容器の液体が消費され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が無いものの、アクチュエータ106のキャビティ162内には液体が残存している場合の付加イナータンスM’を便宜的にM’cavとし、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が満たされている場合の付加イナータンスM’maxと区別する。
【0071】
図2(F)は、液体容器の液体が消費され、アクチュエータ106の振動領域の周辺に液体が無いものの、アクチュエータ106のキャビティ162内には液体が残存している図2(E)の場合のアクチュエータ106の振動部およびキャビティ162の等価回路を示す。
【0072】
ここで、媒体の状態に関係するパラメータは、式6において、媒体の密度ρおよび媒体の厚さtである。液体容器内に液体が充分に収容されている場合は、アクチュエータ106の振動部に液体が接触し、液体容器内に液体が充分に収容されていない場合は、キャビティ内部に液体が残存するか、もしくはアクチュエータ106の振動部に気体または真空が接触する。アクチュエータ106の周辺の液体が消費され、図2(C)のM’maxから図2(E)のM’cavへ移行する過程における付加イナータンスをM’ varとすると、液体容器内の液体の収容状態によって、媒体の厚さtが変化するため、付加イナータンスM’varが変化し、共振周波数fsも変化することになる。従って、共振周波数fsを特定することによって、液体容器内の液体の有無を検出することができる。ここで、図2(E)に示すようにt=dとした場合、式6を用いてM’cavを表すと、式6のtにキャビティの深さdを代入し、
M’cav=ρ*d/S    (式7)
となる。
【0073】
また、媒体が互いに種類の異なる液体であっても、組成の違いによって密度ρが異なるため、付加イナータンスM´が変化し、共振周波数fsも変化する。従って、共振周波数fsを特定することで、液体の種類を検出できる。
【0074】
図3(A)は、インクタンク内のインクの量とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を示すグラフである。ここでは液体の1例としてインクについて説明する。縦軸は、共振周波数fsを示し、横軸は、インク量を示す。インク組成が一定であるとき、インク残量の低下に伴い、共振周波数fsは、上昇する。
【0075】
インク容器にインクが十分に収容され、アクチュエータ106の振動領域の周辺にインクが満たされている場合には、その最大付加イナータンスM’maxは式4に表わされる値となる。一方で、インクが消費され、キャビティ162内に液体が残留しつつアクチュエータ106の振動領域の周辺にインクが満たされていないときには、付加イナータンスM’varは、媒体の厚さtに基づいて式6によって算出される。式6中のtは振動にかかわる媒体の厚さであるから、アクチュエータ106のキャビティ162のd(図1(B)参照)を小さく、即ち、基板178を十分に薄くすることによって、インクが徐々に消費されていく過程を検出することもできる(図2(C)参照)。ここで、tinkは振動にかかわるインクの厚さとし、tink−maxはM’maxにおけるtinkとする。例えば、インクカートリッジの底面にアクチュエータ106をインクの液面に対してほぼ水平に配備する。インクが消費され、インクの液面がアクチュエータ106からtink−maxの高さ以下に達すると、式6によりM’varが徐々に変化し、式1により共振周波数fsが徐々に変化する。従って、インクの液面がtの範囲内にある限り、アクチュエータ106はインクの消費状態を徐々に検出することができる。
【0076】
また、アクチュエータ106の振動領域を大きくまたは長くし、かつ縦に配置することによってインクの消費による液面の位置にしたがって、式6中のSが変化する。従って、アクチュエータ106はインクが徐々に消費されていく過程を検出することもできる。例えば、インクカートリッジの側壁にアクチュエータ106をインクの液面に対してほぼ垂直に配備する。インクが消費され、インクの液面がアクチュエータ106の振動領域に達すると、水位の低下に伴い付加イナータンスM’が減少するので、式1により共振周波数fsが徐々に増加する。従って、インクの液面が、キャビティ162の径2a(図2(C)参照)の範囲内にある限り、アクチュエータ106はインクの消費状態を徐々に検出することができる。
【0077】
図3(A)の曲線Xは、アクチュエータ106のキャビティ162を十分に浅くした場合や、アクチュエータ106の振動領域を十分に大きくまたは長くした場合のインクタンク内に収容されたインクの量とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を表わしている。インクタンク内のインクの量が減少するとともに、インクおよび振動部の共振周波数fsが徐々に変化していく様子が理解できる。
【0078】
より詳細には、インクが徐々に消費されていく過程を検出することができる場合とは、アクチュエータ106の振動領域の周辺において、互いに密度が異なる液体と気体とがともに存在し、かつ振動にかかわる場合である。インクが徐々に消費されていくに従って、アクチュエータ106の振動領域周辺において振動にかかわる媒体は、液体が減少する一方で気体が増加する。例えば、アクチュエータ106をインクの液面に対して水平に配備した場合であって、tinkがtink−maxより小さいときには、アクチュエータ106の振動にかかわる媒体はインクと気体との両方を含む。したがって、アクチュエータ106の振動領域の面積Sとすると、式4のM’max以下になった状態をインクと気体の付加質量で表すと、
M’=M’air+M’ink= ρair*tair/S+ρink*tink/S  (式8)
となる。ここで、M’airは空気のイナータンスであり、M’inkはインクのイナータンスである。ρairは空気の密度であり、ρinkはインクの密度である。tairは振動にかかわる空気の厚さであり、tinkは振動にかかわるインクの厚さである。アクチュエータ106の振動領域周辺における振動にかかわる媒体のうち、液体が減少して気体が増加するに従い、アクチュエータ106がインクの液面に対しほぼ水平に配備されている場合には、tairが増加し、tinkが減少する。それによって、M’varが徐々に減少し、共振周波数が徐々に増加する。よって、インクタンク内に残存しているインクの量またはインクの消費量を検出することができる。尚、式7において液体の密度のみの式となっているのは、液体の密度に対して、空気の密度が無視できるほど小さい場合を想定しているからである。
【0079】
アクチュエータ106がインクの液面に対しほぼ垂直に配備されている場合には、アクチュエータ106の振動領域のうち、アクチュエータ106の振動にかかわる媒体がインクのみの領域と、アクチュエータ106の振動にかかわる媒体が気体の領域との並列の等価回路(図示せず)と考えられる。アクチュエータ106の振動にかかわる媒体がインクのみの領域の面積をSinkとし、アクチュエータ106の振動にかかわる媒体が気体のみの領域の面積をSairとすると、
1/M’=1/M’air+1/M’ink=Sair/(ρair*tair)+Sink/(ρink*tink)  (式9)
となる。
【0080】
尚、式9は、アクチュエータ106のキャビティにインクが保持されない場合に適用される。アクチュエータ106のキャビティにインクが保持される場合については、式7、式8および式9によって計算することができる。
【0081】
アクチュエータの振動は、tink−maxの深さからインクの残留する深さまで変化するので、インクの残留する深さがtink−maxよりわずかに小さい程度で、アクチュエータが底面に配置されている場合は、インクが徐々に減少する過程を検出することは出来ない。tink−maxから残留する深さまでのわずかなインク量変化におけるアクチュエータの振動変化からインク量が変化したことを検出する。また、側面に配置され、開口部(キャビティ)の径が小さい場合は、開口部を通過する間のアクチュエータの振動変化は微量なので、通過過程のインク量を検出することは難しい。インク液面が開口部より上か下かを検出することになる。例えば、図3(A)の曲線Yは、小さい円形の振動領域の場合におけるインクタンク内のインクの量とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を示す。インクタンク内のインクの液面がアクチュエータの装着位置を通過する前後におけるインク量Qの間で、インクおよび振動部の共振周波数fsが激しく変化している様子が示される。このことから、インクタンク内にインクが所定量残存しているか否かを検出することができる。
【0082】
図3(B)は、図3(A)の曲線Yにおけるインクの密度とインクおよび振動部の共振周波数fsとの関係を示す。液体の例としてインクを挙げている。図3(B)に示すように、インク密度が高くなると、付加イナータンスが大きくなるので共振周波数fsが低下する。すなわち、インクの種類によって共振周波数fsが異なる。したがって共振周波数fsを測定することによって、インクを再充填する際に、密度の異なったインクが混入されていないか確認することができる。つまり、互いに種類の異なるインクを収容するインクタンクを識別できる。
【0083】
続いて、液体容器内の液体が空の状態であってもアクチュエータ106のキャビティ162内に液体が残存するようにキャビティのサイズと形状を設定した時の、液体の状態を正確に検出できる条件を詳述する。アクチュエータ106は、キャビティ162内に液体が満たされている場合に液体の状態を検出できれば、キャビティ162内に液体が満たされていない場合であっても液体の状態を検出できる。
【0084】
共振周波数fsは、イナータンスMの関数である。イナータンスMは、振動部のイナータンスMactと付加イナータンスM’との和である。ここで、付加イナータンスM’が液体の状態と関係する。付加イナータンスM’は、振動部の付近にある媒体の作用によって振動部の質量が見かけ上増加していることを示す量である。即ち、振動部の振動によって見かけ上媒体を吸収することによる振動部の質量の増加分をいう。
【0085】
従って、M’cavが式4におけるM’maxよりも大きい場合には、見かけ上吸収する媒体は全てキャビティ162内に残存する液体である。よって、液体容器内に液体が満たされている状態と同じである。この場合にはM’が変化しないので、共振周波数fsも変化しない。つまり、振動に関わる媒体はM’maxによりも小さくならないので、インクが消費されても変化を検出することが出来ない。従って、アクチュエータ106は、液体容器内の液体の状態を検出できないことになる。
【0086】
一方、M’cavが式4におけるM’ maxよりも小さい場合には、見かけ上吸収する媒体はキャビティ162内に残存する液体および液体容器内の気体または真空である。このときには液体容器内に液体が満たされている状態とは異なりM’が変化するので、共振周波数fsが変化する。従って、アクチュエータ106は、液体容器内の液体の状態を検出できる。
【0087】
即ち、液体容器内の液体が空の状態で、アクチュエータ106のキャビティ162内に液体が残存する場合に、アクチュエータ106が液体の状態を正確に検出できる条件は、M’cavがM’maxよりも小さいことである。尚、アクチュエータ106が液体の状態を正確に検出できる条件M’max>M’cavは、キャビティ162の形状にかかわらない。
【0088】
ここで、M’cavは、キャビティ162の容量とほぼ等しい容量の液体の質量イナータンスである。従って、M’max>M’cavの不等式から、アクチュエータ106が液体の状態を正確に検出できる条件は、キャビティ162の容量の条件として表すことができる。例えば、円形状のキャビティ162の開口161の半径をaとし、およびキャビティ162の深さをdとすると、
M’max>ρ*d/πa    (式10)
である。式10を展開すると
a/d>3*π/8    (式11)
という条件が求められる。尚、式10、式11は、キャビティ162の形状が円形の場合に限り成立する。円形でない場合のM’maxの式を用い、式10中のπaをその面積と置き換えて計算すれば、キャビティの幅および長さ等のディメンジョンと深さの関係が導き出せる。
【0089】
従って、式11を満たす開口161の半径aおよびキャビティ162の深さdであるキャビティ162を有するアクチュエータ106であれば、液体容器内の液体が空の状態であって、かつキャビティ162内に液体が残存する場合であっても、誤作動することなく液体の状態を検出できる。
【0090】
付加イナータンスM’は音響インピーダンス特性にも影響するので、残留振動によりアクチュエータ106に発生する逆起電力を測定する方法は、少なくとも音響インピーダンスの変化を検出しているともいえる。
【0091】
また、本実施形態によれば、アクチュエータ106が振動を発生してその後の残留振動によりアクチュエータ106に発生する逆起電力を測定している。しかし、アクチュエータ106の振動部が駆動信号による自らの振動によって液体に振動を与えることは必ずしも必要ではない。即ち、振動部が自ら発振しなくても、それと接触しているある範囲の液体と共に振動することで、圧電層160がたわみ変形する。この残留振動が圧電層160に逆起電力電圧を発生させ、上部電極164および下部電極166にその逆起電力電圧を伝達する。この現象を利用することで媒体の状態を検出してもよい。例えば、インクジェット記録装置において、印字時における印字ヘッドの走査によるキャリッジの往復運動による振動によって発生するアクチュエータの振動部の周囲の振動を利用してインクタンクまたはその内部のインクの状態を検出してもよい。
【0092】
図4(A)および図4(B)は、アクチュエータ106を振動させた後の、アクチュエータ106の残留振動の波形と残留振動の測定方法とを示す。インクカートリッジ内のアクチュエータ106の装着位置レベルにおけるインク水位の上下は、アクチュエータ106が発振した後の残留振動の周波数変化や、振幅の変化によって検出することができる。図4(A)および図4(B)において、縦軸はアクチュエータ106の残留振動によって発生した逆起電力の電圧を示し、横軸は時間を示す。アクチュエータ106の残留振動によって、図4(A)および図4(B)に示すように電圧のアナログ信号の波形が発生する。次に、アナログ信号を、信号の周波数に対応するデジタル数値に変換する。
【0093】
図4(A)および図4(B)に示した例においては、アナログ信号の4パルス目から8パルス目までの4個のパルスが生じる時間を計測することによって、インクの有無を検出する。
【0094】
より詳細には、アクチュエータ106が発振した後、予め設定された所定の基準電圧を低電圧側から高電圧側へ横切る回数をカウントする。デジタル信号を4カウントから8カウントまでの間をHighとし、所定のクロックパルスによって4カウントから8カウントまでの時間を計測する。
【0095】
図4(A)はアクチュエータ106の装着位置レベルよりも上位にインク液面があるときの波形である。一方、図4(B)はアクチュエータ106の装着位置レベルにおいてインクが無いときの波形である。図4(A)と図4(B)とを比較すると、図4(A)の方が図4(B)よりも4カウントから8カウントまでの時間が長いことがわかる。換言すると、インクの有無によって4カウントから8カウントまでの時間が異なる。この時間の相違を利用して、インクの消費状態を検出することができる。アナログ波形の4カウント目から数えるのは、アクチュエータ106の振動が安定してから計測をはじめるためである。4カウント目からとしたのは単なる一例であって、任意のカウントから数えてもよい。ここでは、4カウント目から8カウント目までの信号を検出し、所定のクロックパルスによって4カウント目から8カウント目までの時間を測定する。それによって、共振周波数を求める。クロックパルスは、インクカートリッジに取り付けられる半導体記憶装置等を制御するためのクロックと等しいクロックのパルスであることが好ましい。尚、8カウント目までの時間を測定する必要は無く、任意のカウントまで数えてもよい。図4においては、4カウント目から8カウント目までの時間を測定しているが周波数を検出する回路構成にしたがって、異なったカウント間隔内の時間を検出してもよい。
【0096】
例えば、インクの品質が安定していてピークの振幅の変動が小さい場合には、検出の速度を上げるために4カウント目から6カウント目までの時間を検出することにより共振周波数を求めてもよい。また、インクの品質が不安定でパルスの振幅の変動が大きい場合には、残留振動を正確に検出するために4カウント目から12カウント目までの時間を検出してもよい。
【0097】
また、他の実施形態として所定期間内における逆起電力の電圧波形の波数を数えてもよい(図示せず)。この方法によっても共振周波数を求めることができる。
【0098】
より詳細には、アクチュエータ106が発振した後、所定期間だけデジタル信号をHighとし、所定の基準電圧を低電圧側から高電圧側へ横切る回数をカウントする。そのカウント数を計測することによってインクの有無を検出できるのである。
【0099】
さらに、図4(A)および図4(B)を比較して分かるように、インクがインクカートリッジ内に満たされている場合とインクがインクカートリッジ内に無い場合とでは、逆起電力波形の振幅が異なる。従って、共振周波数を求めることなく、逆起電力波形の振幅を測定することによっても、インクカートリッジ内のインクの消費状態を検出してもよい。より詳細には、例えば、図4(A)の逆起電力波形の頂点と図4(B) の逆起電力波形の頂点との間に基準電圧を設定する。アクチュエータ106が発振した後、所定時間にデジタル信号をHighとし、逆起電力波形が基準電圧を横切った場合には、インクが無いと判断する。逆起電力波形が基準電圧を横切らない場合には、インクが有ると判断する。
【0100】
以上が圧電装置の一形態である「アクチュエータ」とこれを用いたインク消費状態の検出技術の説明である。続いて、本発明の取付構造体の実施形態につて説明する。
【0101】
図5は、アクチュエータ106を取り付けモジュール体100として一体形成した構成を示す斜視図である。モジュール体100は、図10に示したようにインクカートリッジの容器(容器本体)1の所定個所に装着される。モジュール体100は、インク液中の少なくとも音響インピーダンスの変化を検出することにより、容器1内の液体の消費状態を検知するように構成されている。本実施形態のモジュール体100は、容器1にアクチュエータ106を取り付けるための液体容器取付部101を有する。液体容器取付部101は、平面がほぼ矩形の基台102上に駆動信号により発振するアクチュエータ106を収容した円柱部116を載せた構造になっている。モジュール体100が、インクカートリッジに装着されたときに、モジュール体100のアクチュエータ106が外部から接触できないように構成されているので、アクチュエータ106を外部の接触から保護することができる。なお、円柱部116の先端側エッジは丸みが付けられていて、インクカートリッジに形成された孔へ装着する際に嵌めやすくなっている。
【0102】
また、取付構造体の外周に弾性部材のようなシーリング構造を有するようにすれば容器との液密を適切に保持することができる。なお、本図では、取付構造体は基台102と円柱部116を有するが、取付構造体の形状はこれに限定されない。例えば、円柱部116の側面が延びた円柱状の構造であってもよい。
【0103】
図6は、図5に示したモジュール体100の構成を示す分解図である。モジュール体100は、樹脂からなる液体容器取付部101と、プレート110および凹部113を有する圧電装置装着部105とを含む。さらに、モジュール体100は、リードワイヤ104a及び104b、アクチュエータ106、およびフィルム108を有する。好ましくは、プレート110は、ステンレス又はステンレス合金等の錆びにくい材料から形成される。液体容器取付部101に含まれる円柱部116および基台102は、リードワイヤ104a及び104bを収容できるよう中心部に開口部114が形成され、アクチュエータ106、フィルム108、及びプレート110を収容できるように凹部113が形成される。アクチュエータ106はプレート110にフィルム108を介して接合され、プレート110およびアクチュエータ106は液体容器取付部101に固定される。従って、リードワイヤ104a及び104b、アクチュエータ106、フィルム108およびプレート110は、液体容器取付部101に一体として取り付けられる。
【0104】
リードワイヤ104a及び104bは、それぞれアクチュエータ106の上部電極及び下部電極と結合して圧電層に駆動信号を伝達し、一方、アクチュエータ106が検出した共振周波数の信号を記録装置等へ伝達する。アクチュエータ106は、リードワイヤ104a及び104bから伝達された駆動信号に基づいて一時的に発振する。アクチュエータ106は発振後に残留振動し、その振動によって逆起電力を発生させる。このとき、逆起電力波形の振動周期を検出することによって、液体容器内の液体の消費状態に対応した共振周波数を検出することができる。フィルム108は、アクチュエータ106とプレート110とを接着してアクチュエータを液密にする。フィルム108は、ポリオレフィン等によって形成し、熱融着で接着することが好ましい。
【0105】
また、リードワイヤ104a、104bとして、ある程度高い剛性を持つ導電部材を使用することにより、アクチュエータ(圧電装置)106をリードワイヤ104a、104bによって支持するようにすることが好ましい。
【0106】
プレート110は円形状であり、基台102の開口部114は円筒状に形成されている。アクチュエータ106及びフィルム108は矩形状に形成されている。リードワイヤ104、アクチュエータ106、フィルム108、及びプレート110は、基台102に対して着脱可能としてもよい。基台102、リードワイヤ104、アクチュエータ106、フィルム108、及びプレート110は、モジュール体100の中心軸に対して対称に配置されている。更に、基台102、アクチュエータ106、フィルム108、及びプレート110の中心は、モジュール体100のほぼ中心軸上に配置されている。
【0107】
基台102の開口部114の面積は、アクチュエータ106の振動領域の面積よりも大きく形成されている。プレート110の中心でアクチュエータ106の振動部に直面する位置には、貫通孔112が形成されている。図1および図2に示したようにアクチュエータ106にはキャビティ162が形成され、貫通孔112とキャビティ162は、共にインク溜部を形成する。プレート110の厚さは、残留インクの影響を少なくするために貫通孔112の径に比べて小さいことが好ましい。例えば貫通孔112の深さはその径の3分の1以下の大きさであることが好ましい。貫通孔112は、モジュール体100の中心軸に対して対称なほぼ真円の形状である。また貫通孔112の面積は、アクチュエータ106のキャビティ162の開口面積よりも大きい。貫通孔112の断面の周縁はテ−パ形状であっても良いしステップ形状でもよい。モジュール体100は、貫通孔112が容器1の内側へ向くように容器1の側部、上部、又は底部に装着される。インクが消費されアクチュエータ106周辺のインクがなくなると、アクチュエータ106の共振周波数が大きく変化するので、インクの水位変化を検出することができる。
【0108】
図7は、モジュール体の他の実施形態を示す斜視図である。本実施形態のモジュール体400は、液体容器取付部401に圧電装置装着部405が形成されている。液体容器取付部401は、平面がほぼ角丸の正方形上の基台402上に円柱状の円柱部403が形成されている。更に、圧電装置装着部405は、円柱部403上に立てられた板状要素406および凹部413を含む。板状要素406の側面に設けられた凹部413には、アクチュエータ106が配置される。なお、板状要素406の先端は所定角度に面取りされていて、インクカートリッジに形成された孔へ装着する際に嵌めやすくなっている。
【0109】
図8は、図7に示したモジュール体400の構成を示す分解斜視図である。図5に示したモジュール体100と同様に、モジュール体400は、液体容器取付部401および圧電装置装着部405を含む。液体容器取付部401は基台402および円柱部403を有し、圧電装置装着部405は板状要素406および凹部413を有する。アクチュエータ106は、プレート410に接合されて凹部413に固定される。モジュール体400は、リードワイヤ404a及び404b、アクチュエータ106、及びフィルム408をさらに有する。
【0110】
また、リードワイヤ404a、404bとして、ある程度高い剛性を持つ導電部材を使用することにより、アクチュエータ(圧電装置)106をリードワイヤ404a、404bによって支持するようにすることが好ましい。
【0111】
本実施形態によれば、プレート410は矩形状であり、板状要素406に設けられた開口部414は矩形状に形成されている。リードワイヤ404a及び404b、アクチュエータ106、フィルム408、及びプレート410は基台402に対して着脱可能として構成しても良い。アクチュエータ106、フィルム408、及びプレート410は、開口部414の中心を通り、開口部414の平面に対して鉛直方向に延びる中心軸に対して対称に配置されている。更に、アクチュエータ406、フィルム408、及びプレート410の中心は、開口部414のほぼ中心軸上に配置されている。
【0112】
プレート410の中心に設けられた貫通孔412の面積は、アクチュエータ106のキャビティ162の開口の面積よりも大きく形成されている。アクチュエータ106のキャビティ162と貫通孔412とは、共にインク溜部を形成する。プレート410の厚さは貫通孔412の径に比べて小さく、例えば貫通孔412の径の3分の1以下の大きさに設定することが好ましい。貫通孔412は、モジュール体400の中心軸に対して対称なほぼ真円の形状である。貫通孔412の断面の周縁はテ−パ形状であっても良いしステップ形状でもよい。モジュール体400は、貫通孔412が容器1の内部に配置されるように容器1の底部に装着することができる。アクチュエータ106が垂直方向に延びるように容器1内に配置されるので、基台402の高さを変えてアクチュエータ106が容器1内に配置される高さを変えることによりインクエンドの時点の設定を容易に変えることができる。
【0113】
図9は、モジュール体の更に他の実施形態を示す。図5に示したモジュール体100と同様に、図9のモジュール体500は、基台502および円柱部503を有する液体容器取付部501を含む。また、モジュール体500は、リードワイヤ504a及び504b、アクチュエータ106、フィルム508、及びプレート510をさらに有する。液体容器取付部501に含まれる基台502は、リードワイヤ504a及び504bを収容できるよう中心部に開口部514が形成され、アクチュエータ106、フィルム508、及びプレート510を収容できるように凹部513が形成される。アクチュエータ106はプレート510を介して圧電装置装着部505に固定される。従って、リードワイヤ504a及び504b、アクチュエータ106、フィルム508およびプレート510は、液体容器取付部501に一体として取り付けられる。本実施形態のモジュール体500は、平面がほぼ角丸の正方形上の基台上に上面が上下方向に斜めな円柱部503が形成されている。円柱部503の上面の上下方向に斜めに設けられた凹部513上にアクチュエータ106が配置されている。
【0114】
また、リードワイヤ504a、504bとして、ある程度高い剛性を持つ導電部材を使用することにより、アクチュエータ(圧電装置)106をリードワイヤ504a、504bによって支持するようにすることが好ましい。
【0115】
モジュール体500の先端は傾斜しており、その傾斜面にアクチュエータ106が装着されている。そのため、モジュール体500が容器1の底部又は側部に装着されると、アクチュエータ106が容器1の上下方向に対して傾斜する。モジュール体500の先端の傾斜角度は、検出性能を鑑みてほぼ30°から60°の間とすることが望ましい。
【0116】
モジュール体500は、アクチュエータ106が容器1内に配置されるように容器1の底部又は側部に装着される。モジュール体500が容器1の側部に装着される場合には、アクチュエータ106が、傾斜しつつ、容器1の上側、下側、又は横側を向くように容器1に取り付けられる。一方、モジュール体500が、容器1の底部に装着される場合には、アクチュエータ106が、傾斜しつつ、容器1のインク供給口側を向くように容器1に取り付けられることが好ましい。
【0117】
なお、斜めな円柱状の先端の傾斜面にアクチュエータ106を備えるため、図5に示したモジュール体100に比べて円柱の径を小さくできる。つまり、モジュール体を細くすることができるので、モジュール体の取付場所が狭いインク容器の取り付けにも適する。さらに、インク容器のモジュール体取付部位の穴部の径を小さくすることができる。従って、インク漏れが軽減できる。
【0118】
図10は、図5に示したモジュール体100を容器1の貫通孔1aに装着したときのインク容器の底部近傍の断面図である。モジュール体100は、容器1の側壁を貫通するように装着されている。容器1の側壁とモジュール体100との接合面には、Oリング365が設けられ、モジュール体100と容器1との液密を保っている。Oリングでシールが出来るようにモジュール体100は図5で説明したような円柱部を備えることが好ましい。モジュール体100の先端が容器1の内部に挿入されることで、プレート110の貫通孔112を介して容器1内のインクがアクチュエータ106と接触する。アクチュエータ106の振動部の周囲が液体か気体かによってアクチュエータ106の残留振動の共振周波数が異なるので、モジュール体100を用いてインクの消費状態を検出することができる。また、モジュール体100に限らず、図7に示したモジュール体400、図9に示したモジュール体500、又は次の図11に示すモジュール体700A及び700B、及びモールド構造体600を容器1に装着してインクの有無を検出してもよい。
【0119】
なお、上述のようなモジュール体100等を用いれば、容器1に対してその着脱が可能である。従って、容器1にアクチュエータ106を適切に取り付け、また取り外すことができる。これにより、アクチュエータ106のリサイクルも容易となる。
【0120】
図11(A)はモジュール体700Bを容器1に装着したときのインク容器の断面図を示す。本実施形態では取付構造体の1つとしてモジュール体700Bを使用する。モジュール体700Bは、液体容器取付部360が容器1の内部に突出するようにして容器1に装着されている。取付プレート350には貫通孔370が形成され、貫通孔370とアクチュエータ106の振動部が面している。更に、モジュール体700Bの底壁には孔382が形成され、圧電装置装着部363が形成される。アクチュエータ106が孔382の一方を塞ぐようにして配備される。したがって、インクは、圧電装置装着部363の孔382及び取付プレート350の貫通孔370を介して振動板176と接触する。圧電装置装着部363の孔382及び取付プレート350の貫通孔370は、共にインク溜部を形成する。圧電装置装着部363とアクチュエータ106とは、取付プレート350及びフィルム部材によって固定されている。液体容器取付部360と容器1との接続部にはシーリング構造372が設けられている。シーリング構造372は合成樹脂等の可塑性の材料により形成されてもよいし、Oリングにより形成されてもよい。さらに、圧電装置装着部363とアクチュエータ106との接続部をシーリングするモールド部を有するようにしてもよい。また、図11(A)のモジュール体700Bと容器1とは別体であるが、図11(B)ようにモジュール体700Bの圧電装置装着部を容器1の一部で構成してもよい。
【0121】
図11(A)のモジュール体700Bは、図5から図9に示したリードワイヤのモジュール体への埋め込みが不要となる。そのため成形工程が簡素化される。更に、モジュール体700Bの交換が可能となりリサイクルが可能となる。
【0122】
インクカートリッジが揺れる際にインクが容器1の上面あるいは側面に付着し、容器1の上面あるいは側面から垂れてきたインクがアクチュエータ106に接触することでアクチュエータ106が誤作動する可能性がある。しかし、モジュール体700Bは液体容器取付部360が容器1の内部に突出しているので、容器1の上面や側面から垂れてきたインクによりアクチュエータ106が誤作動しない。
【0123】
また、図11(A)の実施形態では、振動板176と取付プレート350の一部のみが、容器1内のインクと接触するように容器1に装着される。このように振動板176と取付プレート350から成る絶縁部によって、容器1内の液体から圧電素子を絶縁することができる。また、取付プレート350でアクチュエータ106を固定するため、振動板176の振動部のみを適切に振動させることができる。
【0124】
図11(A)の実施形態では、図5から図9に示したリードワイヤ104a、104b、404a、404b、504a、及び504bの電極のモジュール体への埋め込みが不要となる。そのため成形工程が簡素化される。更に、アクチュエータ106の交換が可能となりリサイクルが可能となる。
【0125】
図11(B)は、アクチュエータ106を容器1に装着したときの実施形態としてインク容器の断面図を示す。図11(B)の実施形態によるインクカートリッジでは、保護部材361はアクチュエータ106とは別体として容器1に取り付けられている。従って、保護部材361とアクチュエータ106とはモジュールとして一体となっていないが、一方で、保護部材361はアクチュエータ106にユーザーの手が触れないように保護することができる。アクチュエータ106の前面に設けられる孔380は、容器1の側壁に配設されている。アクチュエータ106は、圧電層160、上部電極164、下部電極166、振動板176及び取付プレート350を含む。取付プレート350の上面に振動板176が形成され、振動板176の上面に下部電極166が形成されている。下部電極166の上面には圧電層160が形成され、圧電層160の上面に上部電極164が形成されている。したがって、圧電層160の主要部は、上部電極164の主要部及び下部電極166の主要部によって上下から挟まれるように形成されている。圧電層160、上部電極164、及び下部電極166のそれぞれの主要部である円形部分は、圧電素子を形成する。圧電素子は振動板176上に形成される。圧電素子及び振動板176の振動領域はアクチュエータが実際に振動する振動部である。取付プレート350には貫通孔370が設けられている。更に、容器1の側壁には孔380が形成されている。したがって、インクは、容器1の孔380及び取付プレート350の貫通孔370を介して振動板176と接触する。容器1の孔380及び取付プレート350の貫通孔370は、共にインク溜部を形成する。また、図11(B)の実施形態では、アクチュエータ106は保護部材361により保護されているのでアクチュエータ106を外部との接触から保護できる。
【0126】
尚、図11(A)および(B)の例におけるアクチュエータ106及び取付プレート350は、図1の基板178を有するアクチュエータ106で置換可能である。
【0127】
図11(C)はアクチュエータ106を含むモールド構造体600を備える実施形態を示す。本実施形態では、取付構造体の1つとしてモールド構造体600を使用する。モールド構造体600はアクチュエータ106とモールド部364とを有する。アクチュエータ106とモールド部364とは一体に成形されている。モールド部364はシリコン樹脂等の可塑性の材料によって成形される。モールド部364は内部にリードワイヤ362を有する。モールド部364はアクチュエータ106から延びる2本の脚部364a、364bを有するように形成されている。モールド部364はモールド部364と容器1とを液密に固定するために、モールド部364の2本の足の端が半球状に形成される。モールド部364はアクチュエータ106が容器1の内部に突出するよう容器1に装着され、アクチュエータ106の振動部は容器1内のインクと接触する。モールド部364によって、アクチュエータ106の上部電極164、圧電層160、及び下部電極166はインクから保護されている。
【0128】
図11(C)のモールド構造体600は、モールド部364と容器1との間にシーリング構造372が必要ないので、インクが容器1から漏れにくい。また、容器1の外部からモールド構造体600が突出しない形態であるので、アクチュエータ106を外部との接触から保護することができる。インクカートリッジが揺れる際に、インクが容器1の上面あるいは側面に付き、容器1の上面あるいは側面から垂れてきたインクが、アクチュエータ106に接触することで、アクチュエータ106が、誤作動する可能性がある。モールド構造体600は、モールド部364が、容器1の内部に突出しているので、容器1の上面や側面から垂れてきたインクにより、アクチュエータ106が誤作動しない。
【0129】
図12は、本実施形態の取付構造体の開口部の拡大図である。より具体的には図11(a)(b)で示した取付構造体の開口部の拡大図の例である。圧電装置装着部363には、貫通孔2cが形成されている。アクチュエータ650は振動板72および振動板72に固定された圧電素子73とを有する。振動板72及び基板71を介して圧電素子73が貫通孔2cに対向するように、アクチュエータ650は、圧電装置装着部363に固定される。振動板72は、弾性変形可能で耐インク性を備える。また、プレート71の径は、本図に限定されない。なお、取付構造体は図11(B)のように容器1の壁の一部で構成されてもよいので、貫通孔は容器1の壁に形成されてもよい。
【0130】
容器1のインク量に依存して、圧電素子73及び振動板72の残留振動によって発生する逆起電力の振幅及び周波数が変化する。アクチュエータ650に対向する位置に貫通孔2cが形成されていて、最小限の一定量のインクが貫通孔2cに確保される。したがって、貫通孔2cに確保されるインク量により決まるアクチュエータ650の振動の特性を予め測定しておくことにより、容器1のインクエンドを確実に検出することができる。
【0131】
図13は貫通孔2cの他の実施形態を示す。図13(A)、(B)、及び(C)のそれぞれにおいて、左側の図は、貫通孔2cにインクKが無い状態を示し、右側の図は、貫通孔2cにインクKが残った状態を示す。図12の実施形態においては、貫通孔2cの側面は垂直な壁として形成されている。図13(A)においては、貫通孔2cは、側面2dが上下方向に斜めであり外側に拡大して開いている。図13(B)においては、段差部2e及び2fが、貫通孔2cの側面に形成されている。上方にある段差部2fが、下方にある段差部2eより広くなっている。図13(C)においては、貫通孔2cは、インクKを排出しやすい方向、すなわちインク供給口2の方向へ延びる溝2gを有する。
【0132】
図13(A)〜(C)に示した貫通孔2cの形状によれば、インク溜部のインクKの量を少なくできる。従って、図1および図2で説明したM’cavをM’maxと比較して小さくすることができるので、インクエンド時におけるアクチュエータ650の振動特性を、容器1に印刷可能な量のインクKが残存している場合と大きく異ならせることができるので、インクエンドをより確実に検出することができる。なお、取付構造体は図11(B)のように容器1の壁の一部で構成されてもよいので、貫通孔は容器1の壁に形成されてもよい。
【0133】
図14は、貫通孔2cの更に他の実施形態の平面を示す。図14(A)から(C)にそれぞれ示したように、貫通孔2cの平面形状は、アクチュエータの振動特性に影響しない形状であればよい。円形、短形、及び三角形などの任意の形状でよい。なお、貫通孔2cは圧電装置装着部363に形成されているが、取付構造体は図11(B)のように容器1の壁の一部で構成されてもよいので、貫通孔は容器1の壁に形成されてもよい。
【0134】
図15は、アクチュエータを装着した取付構造体107が取り付けられたインクカートリッジ及びインクジェット記録装置の実施形態を示す。複数のインクカートリッジ180は、それぞれのインクカートリッジ180に対応した複数のインク導入部182及びヘッドプレート184を有するインクジェット記録装置に装着される。複数のインクカートリッジ180は、それぞれ異なった種類、例えば色のインクを収容する。複数のインクカートリッジ180のそれぞれ底面には、少なくとも音響インピーダンスを検出する手段であるアクチュエータが装着された取付構造体107を有している。アクチュエータを装着した取付構造体107をインクカートリッジ180に取り付けることによって、インクカートリッジ180内のインク残量を検出することができる。
【0135】
図16は、複数種類のインクを収容するインクカートリッジの一実施形態を示す裏側から見た斜視図である。容器8は、隔壁により3つのインク室9、10及び11に分割される。それぞれのインク室には、インク供給口12、13及び14が形成されている。それぞれのインク室9、10及び11の底面8aには、アクチュエータの装着された取付構造体15、16および17が、各インク室内に収容されているインクの消費状態を検知できるように取付けられている。なお、隔壁によるインク室の分割は3つに限定されない。また、各インク室に収容するインクの種類は、全て異なってもよいし同一の種類を含んでもよい。
【0136】
図17はインクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す。図17(A)はインクカートリッジ180Cの断面図、図17(B)は図17(A)に示したインクカートリッジ180Cの側壁194bを拡大した断面図、及び図17(C)はその正面からの透視図である。インクカートリッジ180Cには、取付構造体700が取り付けられている。取付構造体700は回路基板610を有する。半導体記憶手段7とアクチュエータ106は、同一の回路基板610上に形成されている。図17(B)、(C)に示すように、半導体記憶手段7は回路基板610の上方に形成され、アクチュエータ106は同一の回路基板610において半導体記憶手段7の下方に形成されている。アクチュエータ106の周囲を囲むように異型Oリング614が、側壁194bに装着される。側壁194bには、回路基板610をインク容器194に接合するためのカシメ部616が複数形成されている。カシメ部616によって回路基板610をインク容器194に接合し、異型Oリング614を回路基板610に押しつけることで、アクチュエータ106の振動領域がインクと接触することをできるようにしつつ、インクカートリッジの外部と内部とを液密に保つ。
【0137】
また、側壁194bに所定の凹部を設けてカシメ部616をはめ込むことで、所定の位置に回路基板610を有する取付構造体700を取り付けることができ、後述する端子612の接続やアクチュエータ106の取り付けを適切な位置で行うことができる。
【0138】
半導体記憶手段7及び半導体記憶手段7付近には端子612が形成されている。端子612は半導体記憶手段7とインクジェット記憶装置等の外部との間の信号の受け渡しをする。半導体記憶手段7は、例えばEEPROMなどの書き換え可能な半導体メモリによって構成されてもよい。半導体記憶手段7とアクチュエータ106とが同一の回路基板610上に形成さているので、アクチュエータ106及び半導体記憶手段7をインクカートリッジ180Cに取付ける際に1回の取付け工程で済む。また、インクカートリッジ180Cの製造時及びリサイクル時の作業工程が簡素化される。更に、部品の点数が削減されるので、インクカートリッジ180Cの製造コストが低減できる。
【0139】
アクチュエータ106は、インク容器194内のインクの消費状態を検知する。半導体記憶手段7はアクチュエータ106が検出したインク残量などインクの情報を格納する。すなわち、半導体記憶手段7は検出する際に用いられるインク及びインクカートリッジの特性等の特性パラメータに関する情報を格納する。半導体記憶手段7は、予めインク容器194内のインクがフルのとき、すなわちインクがインク容器194内に満たされたとき、又はエンドのとき、すなわちインク容器194内のインクが消費されたときの共振周波数を特性パラメータの一つとして格納する。インク容器194内のインクがフル又はエンド状態の共振周波数は、インク容器が初めてインクジェット記録装置に装着されたときに格納されてもよい。また、インク容器194内のインクがフル又はエンド状態の共振周波数は、インク容器194の製造中に格納されてもよい。半導体記憶手段7に予めインク容器194内のインクがフル又はエンドのときの共振周波数を格納し、インクジェット記録装置側で共振周波数のデータを読出すことによりインク残量を検出する際のばらつきを補正できるので、インク残量が基準値まで減少したことを正確に検出することができる。
【0140】
図18は、取付構造体を有するインクカートリッジが装着されたインクジェット記録装置の要部の断面図である。記録用紙の幅方向に往復動可能なキャリッジ30は、サブタンクユニット33を備えていて、記録ヘッド31がサブタンクユニット33の下面に設けられている。また、インク供給針32はサブタンクユニット33のインクカートリッジ搭載面側に設けられている。
【0141】
インクを収容する容器1には、記録装置のインク供給針に接合するインク供給口2が設けられている。容器1の底面には、取付構造体3が取付けられている。
【0142】
インク供給口2にはパッキン4及び弁体6が設けられている。パッキン4は記録ヘッド31に連通するインク供給針32と液密に係合する。弁体6は、バネ5によってパッキン4に対して常時弾接されている。インク供給針32が挿入されると、弁体6はインク供給針32に押されてインク流路を開放し、容器1内のインクがインク供給口2およびインク供給針32を介して記録ヘッド31へ供給される。
【0143】
記録用紙の幅方向に往復動可能なキャリッジ30は、サブタンクユニット33を備えていて、記録ヘッド31がサブタンクユニット33の下面に設けられている。また、インク供給針32はサブタンクユニット33のインクカートリッジ搭載面側に設けられている。なお、圧電装置を装着した取付構造体を、サブタンク33に取り付けてインク切れを判断してもよい。インクカートリッジのインクが無くなった後に、サブタンク側でインクの消費状態を検知するので、インク切れに近いタイミングでのインクカートリッジの交換ができる。さらに、インク消費状態の検知をより確実にするため、インクカートリッジとサブタンクの両方に、圧電装置を装着した取付構造体を取り付けてもよい。
【0144】
また、取付構造体は、上述のようなキャリッジ30上に備えられたインクカートリッジに取り付けられるだけでなく、インクカートリッジ以外のインクタンクは、キャリッジ30上以外の所定のプリンタの固定部に備えられてもよい。
【0145】
図19はインクカートリッジ180dの断面図であり、インクカートリッジ180の更に他の実施形態を示す。先の図10では、図5で示したモジュール体100を容器1の側壁に取り付けた。図19では、図9で示したモジュール体500をインクカートリッジ180dのインク容器194の側壁194bに取り付ける。
【0146】
モジュール体500は、その先端部が傾斜し、傾斜した圧電装置装着部505にアクチュエータ106が装着されている。このため、モジュール体500を側壁194bに取り付けると、アクチュエータ106がインク容器194の上下方向に対して傾斜する。また、アクチュエータ106はインク容器194内のインクの液面に対しても傾斜する。
【0147】
従って、インクの液面がモジュール体500を通過したりインク容器が揺れてインクが圧電装置装着部505付近に付着しても、圧電装置装着部505付近のインクは流れ落ちる。このように傾斜した圧電装置装着部505を用いることで、アクチュエータ106付近のインク掃けが良くなる。このため、アクチュエータ106の計測に不要なインクが圧電装置装着部分505に滞留することを防止でき、アクチュエータ106の計測の誤検知を低減することができる。
【0148】
なお、図19ではモジュール体500の圧電装置装着部505がインク容器194の底面を向くように、モジュール体500をインク容器194に取り付けた。しかし、モジュール体500の取り付け方向は図に限定されるものではなく、圧電装置装着部505がインク容器194の上面を向くようにモジュール体500をインク容器194に取り付けてもよい。また、モジュール体500の側壁194bでの取り付け位置や数は図に限定されず、モジュール体500がインク容器194の内部に突出する長さも図には限定されない。
【0149】
図20は、インクカートリッジ180eの断面図であり、図19とは異なる実施形態を示す。図20では、図19と異なりモジュール体500がインク容器194の底面でインク供給口187の近くに取り付ける。ここでも図19に示したのと同様に、モジュール体500の圧電装置装着部505が傾斜しているためインク掃けが良い。このため、アクチュエータ106が実際にはインクが無いにも係わらず、インク有りと誤検出することを低減できる。
【0150】
ここで、モジュール体500は、インク供給口187の近くに取り付けられていることが好ましい。インクカートリッジ180eが傾いてインクジェット記録装置に装着されても、インクがインク供給口187付近に残存するか否かを適切に検知することができるからである。なお、モジュール体500のインク容器194の底面での取り付け位置や向きや数は図に限定されず、モジュール体500がインク容器194の内部に突出する長さも図には限定されない。
【0151】
以上、本実施形態では、インクの消費状態を検知するアクチュエータを装着する取付構造体を中心に説明したが、弾性波を発生する圧電装置を装着する取付構造体と、反射波を受信する圧電装置を装着する取付構造体とを液体容器に取り付けてもよい。従って、液体容器に取り付けられる取付構造体の数は1つには限定されない。また、取付構造体の液体容器への取付位置も液体容器の底部には限定されない。
【0152】
次に、本発明の他の実施形態による取付構造体及びこの取付構造体と圧電装置とを有するモジュール体について図21乃至図33を参照して説明する。
【0153】
図21は、本実施形態による取付構造体を製造するための板状部材を示しており、この板状部材800は、約0.1〜0.2mm厚の金属薄板を所定形状にプレスして形成されたものである。使用される金属薄板は、電気抵抗が低く、半田付け、プレスに適した材質を有することが好ましく、メッキを施して電気抵抗を下げ、半田付けを可能にしても良い。図21中の符号801は、取付構造体の一部を構成する導電部材を形成するための細長の部材を示し、1つの取付構造体あたりに一対の細長の部材801が形成される。細長の部材801は、先端部802、中間部803、基端部804、及び突起部805を備えており、一対の細長の部材801の先端部802同士はタイバー(連結部材)806によって連結されている。タイバー806の中央部には位置決め孔810が形成されている。この位置決め孔810は、圧電装置の振動する部分(センサ部)に対応する位置に形成されている。細長の部材801は枝部807を介して支持部808に接続されている。支持部808には、製造機械によって板状部材800を搬送する際に利用されるパイロットホール809が形成されている。
【0154】
そして、図22に示したように、図21に示した曲げ部に沿って細長の部材801を折り曲げる。これにより、一対の細長の部材801の一対の先端部802が同一の平面内に配置される。一方、一対の基端部804は、一対の先端部802が配置された平面とは異なる他の同一の平面内に配置されている。突起部805も折り曲げにより引き起こされ、引き起こされた突起部805は樹脂に食いつく作用をなす。
【0155】
図23は、曲げ加工された一対の細長の部材801を拡大して示した図であり、図23(c)から分かるように一対の先端部802が配置された同一の平面と、一対の基端部804が配置された他の同一の平面とは互いに平行である。また、図23(b)から分かるように、前記同一の平面内に位置する部分(先端部802を含む)の細長の部材801と前記他の同一の平面内に位置する部分(基端部804を含む)の細長の部材801とは前記同一の平面及び前記他の同一の平面に対して垂直な方向に関して互いに重なり合っていない。このため、図21に示した細長の部材801を曲げ型を用いて折り曲げる際に、曲げ型同士が干渉し合うことがなく、曲げ加工が容易となる。
【0156】
次に、図24乃至図28を参照して、図22に示した曲げ加工された細長の部材801にインサート成形により成形体を一体に形成する手順について説明する。
【0157】
図24に示したように、成形体811をインサート成形により形成するために雌側の型812及びこれに嵌合される雄側の型813が使用される。図27に雌側の型812の詳細を示し、図28に雄側の型813の詳細を示す。雄側の型813には位置決め円筒部814が形成されており、一対の細長の部材801には、位置決め円筒部814の外形に対応する輪郭を持つ位置決めR部815が形成されている。位置決めR部815の輪郭と位置決め円筒部814の外形とは同心円を成す。さらに、雄側の型813の先端部には位置決め凸部816が形成されており、この位置決め凸部816は連結部材806の位置決め孔810に挿入することができる。
【0158】
そして、図25に示した状態から、位置決めR部815に位置決め円筒部814を嵌め合わすと共に、位置決め孔810に位置決め凸部816を挿入することによって、雄側の型813に対して一対の細長の部材801が位置決めされる。さらに、図26に示したように、雄側の型813の位置決め凸部816を、雌側の型812の位置決め凹部817に挿入することによって、雌側の型812に対して雄側の型813が位置決めされる。これにより、雌側の型812及び雄側の型813の内部に一対の細長の部材801が正確に位置決めされる。
【0159】
また、図25に示したように雌側の型812の位置決め凹部817の周囲には当接面818が形成され、雄側の型813の位置決め凸部816の周囲にも当接面819が形成されている。そして、図26に示したように、一方の当接面818と他方の当接面819とによって、細長の部材801の先端部802の少なくとも一部が両側から挟み込まれる。当接面818、819によって挟み込まれた部分の先端部802には樹脂が供給されないので、その部分の先端部802は樹脂内に埋没することなく露出した状態となり、電気的な接点が確保される。このため、先端部802に電気接点を確保するために樹脂を除去するという追加の工程が不要となり、製造工程が簡素化される。
【0160】
一対の細長の部材801に成形体811を一体に成型したら、図21に示した切断部にて枝部807を切断して図29、図30に示したように一対の細長の部材801と成形体811との一体成型品820を製造する。
【0161】
図29、図30に示したように成形体811は、方形板状の基部821と、この基部821から突出する円柱部822とを有し、円柱部822の先端面には圧電装置を受け入れるための凹部823が形成されており、一対の先端部802及びこれらを連結する連結部材806はこの凹部823の底面に配置されている。図29に示したように基部821の一面側には、液体容器の側壁に接する座部824が四隅に形成されている。図30(b)に示したように基部821の他面側には、成形体811を回路基板に対して位置決めするための2つの突起部825が形成されている。
【0162】
次に、図29、図30に示した一体成型品820において一対の細長の部材801の先端部802同士を連結している連結部材806を、切断、曲げ、或いは切除することによって、先端部802同士を電気的に分離する。このように先端部802を電気的に分離することによって、図31において符号830で示したように本実施形態における取付構造体が製造され、この取付構造体830は、互いに分離された一対の細長の部材801から成る一対の導電部材831を備えている。一対の導電部材831のそれぞれは、細長の部材801の先端部802の露出した部分から成る電気接点832を有している。立体回路を構成する一対の導電部材831を介してアクチュエータ833に駆動信号が印加される。
【0163】
そして、取付構造体830の成形体811の凹部823に、圧電装置を構成するアクチュエータ833を嵌め入れて、取付構造体830の一対の電気接点832とアクチュエータ833の一対の電極とを電気的に接続する。この接続に際しては、導電性接着剤を用いることができる。アクチュエータ833の電極と取付構造体830の電気接点832とを接続したら、図32に示したようにアクチュエータ833の周囲を樹脂834でモールドして、アクチュエータ833の裏面側に液体が回り込まないように密封する。これにより、取付構造体830とアクチュエータ833とを備えたモジュール体840が製造される。
【0164】
また、細長の部材801はある程度高い剛性を備えており、細長の部材801の先端部802によってアクチュエータ(圧電装置)833を支持することができる。
【0165】
図33に示したようにアクチュエータ833は、液体を検出するセンサ部(振動する部分)を構成する圧電素子845を有し、この圧電素子845は、上部電極841及び下部電極842、これらの電極841、842によって挟まれた圧電層843を備えている。圧電素子845は振動板846の一方の面に配置され、振動板846の他方の面にはキャビティ形成部材847が配置されている。キャビティ形成部材847の中央部には円形のキャビティ(開口部)848が形成されており、圧電素子845はキャビティ848に対応する位置に配置されている。上部電極841は上部電極端子849に接続されており、下部電極842は下部電極端子850に接続されている。
【0166】
図32に示したモジュール体840は、メモリーモジュール(図示せず)と同じ回路基板(図示せず)に搭載される。このとき、図30に示した突起部825を回路基板に形成された孔に挿入することによって、モジュール体840と回路基板とを位置決めされ、この状態でモジュール体840と回路基板との電気的な接続部を半田付けなどで接続する。
【0167】
回路基板に搭載されたモジュール体840は、液体容器の壁面に形成された貫通孔から挿入され、アクチュエータ833の部分が液体容器内に突出するようにして液体容器に固着される。液体容器内の液体は、キャビティ848を介して振動板846に接触する。
【0168】
以上述べたように本実施形態によれば、アクチュエータ833に駆動信号を印加するための立体回路を構成する一対の導電部材831に、成形体811を樹脂成形によって一体に形成するようにしたので、アクチュエータ833を液体容器の所定の位置に取り付けるための取付構造体830を高い寸法精度にて製造することが可能であり、ひいては、アクチュエータ833及び取付構造体830を備えたモジュール体840によって液体容器内の液体の消費状態を高精度にて検出することができる。
【0169】
次に、本発明の他の実施形態による取付構造体について図34を参照して説明する。
【0170】
図34に示したように本実施形態による取付構造体860は、圧電装置を構成するアクチュエータ(図示せず)を制御するための制御素子、メモリ、或いは制御素子とメモリとを一体にしたもの861(以下、「制御素子等861」と言う。)が装着される基部862と、基部862に突設され、アクチュエータが装着される突出部863と、を備えている。制御素子等861は、例えばメモリ用の集積回路(IC)である。
【0171】
突出部863は、基部862に突設された筒状部867と、この筒状部867の先端開口を封止する円形板状の封止部868と、を有する。封止部868の表面には、圧電装置を構成するアクチュエータを受け入れるための凹部866が形成されている。
【0172】
そして、取付構造体860には、アクチュエータ及び制御素子等861の少なくとも一方に電気的に接続される複数の電線864、865が二色成形樹脂メッキによって3次元状に形成されている。より具体的には、凹部866の底面には封止部868を貫通する一対の貫通孔869が形成されており、一対の電線864は、凹部866の底面から貫通孔869の内面を介して封止部868の裏面側に達し、更に基部862の裏面側まで連続形成されている。また、制御素子等861に電気的に接続される複数の電線865は、基部862に形成された複数の貫通孔870を介して、基部862の表面から裏面にかけて連続形成されている。
【0173】
なお、図34(b)に示した裏面側の電線864,865は、プリンタのキャリッジに設けられた接触式のコネクタが当接する接点として機能する。つまり、インクカートリッジをプリンタのキャリッジに装着したときに、図34(b)に示した裏面側の電線864,865が接触式のコネクタに押し当てられる。
【0174】
図34に示した取付構造体860においては、電線864と電線865とがつながっておらず、この例は制御素子等861としてメモリを使用する場合のものである。制御素子等861として制御素子を使用する場合には、電線864と電線865とを接続するように配線すればよい。
【0175】
なお、二色成形樹脂メッキ法は、ツーショット法或いは非触媒法とも呼ばれており、2回射出成形することによりパターニングを行うものである。二色成形樹脂メッキ法の代表例の概略を説明すると、まず最初にメッキが可能な樹脂で1回目の成形(一次成形)を行い、次に全体をケミカルエッチングし、メッキの核となる触媒を付与する。そして、メッキを析出させない部分は、二次側の樹脂で被覆成形(二次成形)後にメッキする。つまり、二色成形樹脂メッキ法は、一次成形処理面で露出した部分にだけ導電性の金属材料、例えば金のメッキを析出する方法である。
【0176】
以上述べたように本実施形態による取付構造体によれば、アクチュエータ及び制御素子に電気的に接続される電線を二色成形樹脂メッキによって3次元状に形成するようにしたので、取付構造体860の基部862及び突出部863を形成する際に同時に電線864、865を形成することができるので、製造工程が大幅に簡素化されると共に、多数個の取付構造体860の同時形成が容易である。また、取付構造体860内における電線864、865の形成位置の精度が高いので、取付構造体860に対するアクチュエータの取付位置精度が高く、液体検出精度も向上し、さらに、取付構造体860に対する制御素子等861の取付位置精度も高く、取付構造体860に装着された制御素子等861と外部の電気接点との接続信頼性も向上する。
【0177】
次に、本発明の他の実施形態によるモジュール体について図35乃至図40を参照して説明する。
【0178】
図35は、本実施形態によるモジュール体を示した分解斜視図であり、このモジュール体は図33に示したアクチュエータ833を備え、このアクチュエータ833を、ポリオレフィンフィルム880を用いてステンレス鋼より成るプレート881に熱溶着する。ポリオレフィンフィルム880はアクチュエータ833のセンサ部を覆わないような形状であり、また、プレート881の中央には開口が形成されており、これにより、液体容器内の液体がプレート881の中央の開口を通してアクチュエータ833のセンサ部に接触するように構成されている。プレート881を円筒状の樹脂製のケース882の上端に液密に接着し、これにより、アクチュエータ833がケース882内に収納される。
【0179】
そして、アクチュエータ833を制御するための半導体メモリ等の制御素子(図示せず)が装着される回路基板883に形成された一対の電極884とアクチュエータ833の一対の電極(図示せず)とを電気的に接続するために、回路基板883とアクチュエータ833との間で圧接挟持コネクタ885を挟み込むようにして圧接挟持コネクタ885をケース882内に収容し、ケース882と回路基板883とを接着固定する。これにより、アクチュエータ833と回路基板883とが圧接挟持コネクタ885を介して電気的に接続される。
【0180】
図36は、圧接挟持コネクタ885の一例を示し、この圧接挟持コネクタ885は、金メッキを施した複数の真鍮線886を比較的柔軟なシリコーンスポンジゴム部材887で挟み込み、圧接時に座屈しない程度の強度のシリコーンソリッドゴム部材888で周囲を覆っている。アクチュエータ833のセンサ部(振動部)に対応する部分のシリコーンソリッドゴム部材888には空洞889が形成されており、アクチュエータ833のセンサ部の振動を阻害しないようにしている。空洞889は、プレスによる穴開けによって形成しても良いし、シリコーンソリッドゴム部材888の成型時に形成しても良い。図36に示した例においては、圧縮方向に延びる複数の真鍮線886が空洞889を挟んで両側にそれぞれ1列状に配置されており、複数の真鍮線886の各列の配列方向は互いに平行である。
【0181】
図37は、圧接挟持コネクタ885の他の例を示しており、図36に示した構成と異なるところは、複数の真鍮線886が横一列に配列されている点である。
【0182】
そして、図36又は図37に示した圧接挟持コネクタ885を用いて図35に示したモジュール体を組み立てる際にアクチュエータ833と圧接挟持コネクタ885との位置関係がずれた場合でも、真鍮線886の配列方向に対してはアクチュエータ833の電極と真鍮線886との接触が確保される。したがって、組み立て時のずれが大きな方向に真鍮線886を配列することによって、アクチュエータ833の電極と回路基板883の電極884との電気的な接続を確実に行うことができる。
【0183】
図38は、圧接挟持コネクタ885の他の例を示しており、この例においては、真鍮線の代わりに、カーボンを含有した一対の導電シリコーンゴム部材890を用いており、導電シリコーンゴム部材890同士が絶縁シリコーンゴム部材891によって一体化されている。導電シリコーンゴム部材890同士の間には図36又は図37に示した圧接挟持コネクタ885と同様に空洞889が形成されている。
【0184】
図39は、圧接挟持コネクタ885の他の例を示しており、この例においては、図36(a)に示した圧接挟持コネクタ885の左右の半部同士を、シリコーンソリッドゴム部材888自身を連続形成して連結するのではなく、図38(a)に示した絶縁シリコーンゴム891を用いて連結している。
【0185】
図40は、圧接挟持コネクタ885の他の例を示しており、この例においては、図37(a)に示した圧接挟持コネクタ885の左右の半部同士を、シリコーンソリッドゴム部材888自身を連続形成して連結するのではなく、図38(a)に示した絶縁シリコーンゴム891を用いて連結している。
【0186】
図38、図39、図40に示した構成の圧接挟持コネクタ885によれば、空洞889を形成するための穴開け加工が不要となる。
【0187】
以上述べたように本実施形態によるモジュール体によれば、アクチュエータ833と回路基板883とを圧接挟持コネクタ885を介して電気的に接続することができるので、接続に際して半田付け作業が不要となり、製造が容易である。
【0188】
以上、本発明を実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。例えば、本発明における液体容器はインクカートリッジには限定されず、その他の種類の液体容器にも適用可能である。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0189】
【発明の効果】
上記説明から明らかなように、本発明によれば、圧電装置を液体容器に適切に取り付け及び取り外しすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アクチュエータ106の詳細を示す図である。
【図2】アクチュエータ106の構成及び等価回路を示す図である。
【図3】インクの密度とアクチュエータ106によって検出されるインクの共振周波数との関係を示す図である。
【図4】アクチュエータ106の逆起電力波形を示す図である。
【図5】モジュール体100を示す斜視図である。
【図6】図5に示したモジュール体100の構成を示す分解図である。
【図7】モジュール体の他の実施形態を示す図である。
【図8】図7に示したモジュール体の構成を示す分解図である。
【図9】モジュール体の更に他の実施形態を示す図である。
【図10】図5に示したモジュール体100をインク容器1に装着した断面の例を示す図である。
【図11】モジュール体の更に他の実施形態を示す図である。
【図12】図11に示した取付構造体の開口部の断面の例を示す図である。
【図13】貫通孔2cの他の実施形態を示す図である。
【図14】貫通孔2cの更に他の実施形態の平面を示す図である。
【図15】取付構造体を有するインクカートリッジ及びインクジェット記録装置を示す図である。
【図16】複数種類のインクを収容するインクカートリッジを示す図である。
【図17】インクカートリッジ180の更に他の例を示す図である。
【図18】図17に示したインクカートリッジに適したインクジェット記録装置を示す図である。
【図19】図9で示したモジュール体500が取り付けられたインクカートリッジ180dの断面図である。
【図20】図9で示したモジュール体500が取り付けられた別のインクカートリッジ180eの断面図である。
【図21】本発明の一実施形態による取付構造体を製造するための板状部材を示した平面図である。
【図22】図21に示した板状部材を折り曲げ加工した状態を示した斜視図である。
【図23】図22に示した曲げ加工された一対の細長の部材を拡大して示した図である。
【図24】図22に示した曲げ加工された一対の細長の部材にインサート成形により成形体を一体に形成する状態を示した斜視図である。
【図25】図22に示した曲げ加工された一対の細長の部材にインサート成形により成形体を一体に形成する状態を示した断面図であり、雄側の型と雌側の型とを嵌め合わせる前の状態を示している。
【図26】図22に示した曲げ加工された一対の細長の部材にインサート成形により成形体を一体に形成する状態を示した断面図であり、雄側の型と雌側の型とを嵌め合わせた後の状態を示している。
【図27】図24に示した成形体の加工に使用される雌側の型の構成を示した図である。
【図28】図24に示した成形体の加工に使用される雄側の型の構成を示した図である。
【図29】図21に示した切断部にて枝部を切断して切り取られた一体成型品を示した斜視図である。
【図30】図21に示した切断部にて枝部を切断して切り取られた一体成型品を示した図である。
【図31】本発明の一実施形態による取付構造体にアクチュエータを取り付ける様子を示した斜視図である。
【図32】本発明の一実施形態による取付構造体にアクチュエータを取り付けて樹脂でモールドして構成したモジュール体を示した斜視図である。
【図33】本発明の一実施形態におけるアクチュエータの構成を示した図である。
【図34】本発明の一実施形態による取付構造体の構成を示した図である。
【図35】本発明の一実施形態によるモジュール体の分解斜視図である。
【図36】図35に示したモジュール体の圧接挟持コネクタの一例を示した図である。
【図37】図35に示したモジュール体の圧接挟持コネクタの他の例を示した図である。
【図38】図35に示したモジュール体の圧接挟持コネクタの他の例を示した図である。
【図39】図35に示したモジュール体の圧接挟持コネクタの他の例を示した図である。
【図40】図35に示したモジュール体の圧接挟持コネクタの他の例を示した図である。
【符号の説明】
1 容器
106 アクチュエータ
160 圧電層
164 上部電極
166 下部電極
176 振動板
350 取付プレート
360 液体容器取付部
361 保護部材
362 リードワイヤ
363 圧電装置装着部
364 モールド部
370 貫通孔
380 孔
382 圧電装置装着部363の孔
372 シーリング構造
600 モールド構造体
700B、840 モジュール体
811 成形体
812 雌側の型
813 雄側の型
821 基部
822 円柱部
823 凹部
830、860 取付構造体
831 導電部材
832 電気接点
833 アクチュエータ
834 樹脂
861 制御素子等
864、865 電線
880 ポリオレフィンフィルム
881 プレート
882 ケース
883 回路基板
885 圧接挟持コネクタ

Claims (21)

  1. 液体容器内の液体の消費状態を検出するために用いられる圧電装置を前記液体容器に一体構造として装着するための取付構造体であって、
    前記圧電装置の電極に接触するリードワイヤと、前記リードワイヤと前記液体容器との接合部をモールドするモールド部とを有することを特徴とする取付構造体。
  2. 前記圧電装置を、前記液体容器の内部に突出させる脚部を有することを特徴とする請求項1に記載の取付構造体。
  3. 液体容器内の液体の消費状態を検出するために用いられる圧電装置を前記液体容器に装着するための取付構造体であって、
    前記圧電装置に駆動信号を印加するための一対の導電部材と、前記一対の導電部材と一体に樹脂成形された成形体と、を備え、前記一対の導電部材のそれぞれは、前記圧電装置に電気的に接続される先端部、回路基板に電気的に接続される基端部、及び前記先端部と前記基端部とを連結する中間部を含み、前記中間部の少なくとも一部は前記成形体の内部に埋設されていることを特徴とする取付構造体。
  4. 一対の前記先端部は同一の平面内に配置され、一対の前記基端部は前記一対の先端部が配置された平面とは異なる他の同一の平面内に配置されていることを特徴とする請求項3記載の取付構造体。
  5. 前記一対の導電部材のそれぞれは、導電性材料より成る細長の部材を折り曲げて構成されており、前記一対の先端部が配置された前記同一の平面と前記一対の基端部が配置された前記他の同一の平面とは互いに平行であり、前記同一の平面内に位置する部分の前記細長の部材と前記他の同一の平面内に位置する部分の前記細長の部材とは前記同一の平面及び前記他の同一の平面に対して垂直な方向に関して互いに重なり合っていないことを特徴とする請求項4記載の取付構造体。
  6. 前記成形体が樹脂成形される際には前記一対の先端部同士が連結部材によって連結されており、樹脂成形後に前記連結部材が除去されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の取付構造体。
  7. 前記連結部材には、前記成形体の樹脂成形に使用される型に対して前記一対の導電部材を位置決めするために前記型の一部が挿入される位置決め孔が形成されていることを特徴とする請求項6記載の取付構造体。
  8. 前記位置決め孔は、前記圧電装置の振動する部分に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項7記載の取付構造体。
  9. 前記成形体の樹脂成形には雌側の型及びこれに嵌合される雄側の型が使用され、前記連結部材によって連結された前記一対の導電部材の一部は、前記雄側の型に対して前記一対の導電部材を位置決めするために前記雄側の型の一部の外形に対応する輪郭を備えていることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の取付構造体。
  10. 前記成形体を樹脂成形する際には一対の型によって前記一対の先端部の少なくとも一部が挟み込まれ、これにより、前記一対の先端部の少なくとも一部は樹脂内に埋没することなく露出した状態となり、前記一対の先端部の露出した部分が電気接点を形成することを特徴とする請求項3乃至9のいずれか一項に記載の取付構造体。
  11. 前記成形体には前記圧電装置を受け入れるための凹部が形成されており、前記一対の先端部は前記凹部の底面に配置されていることを特徴とする請求項3乃至10のいずれか一項に記載の取付構造体。
  12. 請求項3乃至11のいずれか一項に記載の取付構造体と、前記取付構造体に装着された前記圧電装置と、を備え、
    前記圧電装置は、一対の電極によって挟まれた圧電層を有する圧電素子と、前記圧電素子が一方の面に配置された振動板と、を備え、前記振動板の他方の面にキャビティが形成されたキャビティ形成部材を配置し、前記キャビティを介して前記液体容器内の液体が前記振動板と接触するように構成されていることを特徴とするモジュール体。
  13. 前記圧電装置は、前記取付構造体の前記一対の先端部に対して導電性接着剤によって電気的に接続された一対の電極を有し、前記圧電装置の裏側に液体が回り込まないように前記圧電装置の周囲が樹脂で密封されていることを特徴とする請求項12記載のモジュール体。
  14. 前記一対の導電部材によって前記圧電装置が支持されていることを特徴とする請求項12又は13に記載のモジュール体。
  15. 液体容器内の液体の消費状態を検出するために用いられる圧電装置を前記液体容器に装着するための取付構造体であって、
    前記圧電装置に電気的に接続される電線の少なくとも一部を配した基部と、前記基部に突設され、前記圧電装置が装着される突出部と、を備え、前記圧電装置に電気的に接続される電線が二色成形樹脂メッキによって3次元状に形成されていることを特徴とする取付構造体。
  16. 前記突出部の端部には前記圧電装置を受け入れるための凹部が形成されており、前記凹部の底面に、前記圧電装置の一対の電極に電気的に接続される部分が前記電線の少なくとも一部によって形成されていることを特徴とする請求項15記載の取付構造体。
  17. 前記突出部は、前記基部に突設された筒状部と、前記筒状部の先端開口を封止する封止部と、を有し、前記封止部の表面に前記凹部が形成されており、前記凹部の底面には前記封止部を貫通する貫通孔が形成されており、前記圧電装置の一対の電極に電気的に接続される部分の前記電線は、前記凹部の底面から前記貫通孔の内面を介して前記封止部の裏面側まで連続形成されていることを特徴とする請求項16記載の取付構造体。
  18. 液体容器内の液体の消費状態を検出するために用いられる圧電装置と、
    前記圧電装置に電気的に接続される回路基板と、
    前記回路基板に形成された一対の電極と前記圧電装置の一対の電極とを電気的に接続するために前記回路基板と前記圧電装置との間で圧接されて挟持された圧接挟持コネクタと、を備えたことを特徴とするモジュール体。
  19. 前記圧接挟持コネクタは、前記回路基板と前記圧電装置との間で圧接されて弾性的に圧縮された絶縁性の弾性体と、前記弾性体の内部を圧縮方向に延びる複数の導線と、を備えたことを特徴とする請求項18記載のモジュール体。
  20. 前記圧接挟持コネクタは、前記回路基板に形成された一対の電極と前記圧電装置の一対の電極との間に配置された一対の導電ゴム部材と、前記一対の導電ゴム部材同士を連結する絶縁ゴム部材と、を備えたことを特徴とする請求項18記載のモジュール体。
  21. 前記圧電装置は、一対の電極によって挟まれた圧電層を有する圧電素子と、前記圧電素子が一方の面に配置された振動板と、を備え、前記振動板の他方の面にキャビティが形成されたキャビティ形成部材を配置し、前記キャビティを介して前記液体容器内の液体が前記振動板と接触するように構成されていることを特徴とする請求項18乃至20のいずれか一項に記載のモジュール体。
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