JP2004052557A - Catalyst deterioration suppressing device - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車等の車両に用いて好適の触媒劣化抑制装置に関し、特に、エンジンの排気中の有害物質を浄化する排気浄化触媒の高温時又はリーン時における劣化を抑制する触媒劣化抑制装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの排気系に介装される排気浄化触媒(以下、単に触媒という)は、一般に高温且つ酸化雰囲気下(リーン空燃比)になるほどシンタリング(担体に保持された粒子が高温下で相互に凝集して粒子径が大きくなる現象)等により熱劣化しやすいという特性がある。したがって、触媒の耐熱温度は、一般に触媒が還元雰囲気下(リッチ空燃比)のときよりも酸化雰囲気下のときの方が低くなる。
【0003】
このため、触媒の熱劣化を抑制するためには、触媒が高温且つ酸化雰囲気下となるような事態を的確に回避する必要がある。
ところで、近年においては、CO2 低減(即ち、燃料消費量低減)を図ることを目的として減速時にエンジンへの燃料供給を全気筒又は一部気筒について一時的に停止(燃料カット)する減速燃料カット装置を搭載した車両が実用化されている。
【0004】
しかし、このような減速燃料カット時には、燃料カットした気筒から空気のみが排出されることになるため、結果的に排気空燃比がリーン空燃比となりやすい。
したがって、このようなエンジンの場合、燃料カット時に、触媒コンバータが酸化雰囲気下且つ高温になる機会が多くなる。
【0005】
そこで、触媒の温度を温度センサにより検出し、触媒温度が高温となるときには減速燃料カットを禁止するようにした技術が提案されている(例えば特開昭55−137339号公報)。また、上記以外にも、触媒床温を吸入空気量から推定し、触媒床温が高い時には減速燃料カットを禁止するようにしたり、或いはエンジン回転速度とエンジン負荷とに基づいて減速燃料カットを禁止したりする技術が提案されている(例えば特開平8−144814号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に燃料噴射制御を行なう際には、空燃比(実空燃比)が目標空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御している。
しかしながら、上述したような減速燃料カット禁止中には、基本的にはドライバがアクセルオフしているので吸入空気量が微小となり、したがって、燃料噴射弁の開弁時間(インジェクタパルス幅)も微小な運転領域となる。図6に示すように、このような運転領域は、インジェクタパルス幅に対する燃料噴射量のリニアリティが劣る領域であり、この領域においてフィードバック制御を行なうと、フィードバック制御の積分補正値(特公平6−63468号公報参照)に乱れが生じる等により適正な制御を行なえずに、排ガス悪化が生じたり空燃比制御が不安定になるという課題がある。また、この結果空燃比がリーンとなってしまうと、触媒が酸化雰囲気下となり、触媒の劣化が促進されるという課題がある。
【0007】
なお、アイドル運転時にも吸入空気量が少ない状態となるが、このアイドル時にはエンジン回転フリクションに打ち勝ってエンジンを回転させるだけの正トルクが必要とされる。これに対して、減速時には、正トルクを必要とせず、逆に正トルクが発生すると減速せずにエンジンが勝手に回ってしまい減速感が得られない。このため、減速時燃料カット禁止中においては、減速感が得られる程度の僅かなトルクしか発生させないようにする必要がある。すなわち、アイドル時のエンジン発生トルクは、減速燃料カット禁止中の発生トルクよりも大きくなる。
【0008】
したがって、アイドル時の方が吸入空気量及び燃料噴射量ともに減速燃料カット禁止中よりも多くなる。よって、アイドル時には、減速燃料カット禁止中に比べ吸入空気量が多く燃料噴射量も多いのでリニアリティが問題となることはない。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、減速燃料カット禁止運転中において、吸入空気量が微小となり燃料噴射量のリニアリティが劣る領域となったとしても安定した空燃比制御を実行できるようにして、触媒の劣化を抑制できるようにした、触媒劣化抑制装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の触媒劣化抑制装置は、エンジンの排気通路に設けられて排気中の有害物質を浄化する排気浄化触媒と、該触媒の温度を検出又は推定する触媒温度推定手段と、減速走行時に該エンジンヘの燃料供給を停止する燃料供給停止手段と、該触媒温度推定手段により触媒の温度が所定温度以上の高温状態であると判定されると該燃料供給停止手段による燃料の供給停止を禁止する燃料供給停止禁止手段と、該エンジンの運転状態に基づき目標吸入空気量を設定する目標吸入空気量設定手段と、該エンジンの運転状態に基づき目標空燃比を設定する目標空燃比設定手段と、該目標空燃比と該目標吸入空気量とに応じて燃料噴射量を設定するとともに実際の空燃比情報をフィードバックして該目標空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御する燃料噴射量設定手段と、該燃料供給停止禁止手段により該燃料供給停止が禁止されている場合には、該燃料噴射量設定手段におけるフィードバック制御を禁止するフィードバック制御禁止手段とをそなえていることを特徴としている。
【0010】
したがって、インジェクタパルス幅に対する燃料噴射量のリニアリティが劣る運転領域での空燃比の乱れを極力抑制することができ安定した空燃比制御を行なうことができる。また、これにより空燃比のリーン化を抑制することができ、触媒の熱劣化を抑制することができる。
また、請求項2記載の本発明の触媒劣化抑制装置は、上記請求項1において、該燃料噴射量設定手段は、該燃料供給停止禁止手段により該燃料供給停止が禁止されている場合には、該目標吸入空気量と理論空燃比とに基づいて燃料噴射量を設定することを特徴としている。
【0011】
したがって、空燃比が理論空燃比に設定されるので、空燃比のリーン化を確実に抑制することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の一実施形態にかかる触媒劣化防止装置について説明すると、図1はその全体構成を示す模式図、図2はその要部構成を示す模式的なブロック図である。
図1に示すエンジン1はシリンダ内に直接燃料を供給する、いわゆる筒内噴射型火花点火式エンジンであって、吸気行程での燃料噴射(吸気行程噴射)及び圧縮行程での燃料噴射(圧縮行程噴射)を切り換え可能に構成されている。
【0013】
この筒内噴射型エンジン1は、理論空燃比(ストイキオ)での運転や過濃空燃比(リッチA/F)での運転(リッチ空燃比運転)や希薄空燃比(リーンA/F)での運転(リーン空燃比運転)が可能であり、種々のパラメータから得られる条件に応じて上述の複数の運転モードが切り換えられるようになっている。
また、エンジン1のシリンダヘッド2には、各気筒毎に点火プラグ4及び燃料噴射弁6がそれぞれ配設されており、点火プラグ4には高電圧を出力する点火コイル8が接続されている。
【0014】
また、燃料噴射弁6には、燃料パイプ7を介して図示しない燃料供給装置が接続されている。この燃料供給装置は、低圧燃料ポンプと高圧燃料ポンプとを有しており、燃料タンク内の燃料を低圧或いは高圧に加圧した後、燃料を上記燃料パイプ7を介して燃料噴射弁6に供給するようになっている。
シリンダヘッド2には、各気筒毎に略直立方向に吸気ポート9が形成されており、各吸気ポート9の上端には吸気マニホールド10の一端がそれぞれ接続されている。また、図示するように、吸気マニホールド10には、吸入空気量調節手段としてのドライブバイワイヤ式のスロットル弁(ETV)14、上記スロットル弁14の開度を検出するスロットルポジションセンサ(TPS)16及び吸入空気量を計測する吸気量センサ(エアフローセンサ又はAFS)18(Lジェトロニック方式により燃料制御を行なう場合に主に使用)が設けられている。さらに、この吸気マニホールド10内の圧力(負圧)を検出するための圧力センサ44〔スピードデンシティ方式(Dジェトロニック方式)により燃料制御を行なう場合に主に使用〕も設けられている。
【0015】
また、シリンダヘッド2には、各気筒毎に排気ポート11が形成され、この各排気ポート11に排気マニホールド12がそれぞれ接続されている。また、排気マニホールド12には排気管(排気通路)20が接続されており、この排気管20には、排気浄化触媒として三元触媒(触媒コンバータ、又は単に触媒という)30が介装されている。
【0016】
三元触媒30は、担体に活性貴金属として銅(Cu),コバルト(Co),銀(Ag),白金(Pt),ロジウム(Rh),パラジウム(Pd),イリジウム(Ir)のいずれかを有して構成され、排ガス中のHC,COを酸化するとともにNOxを還元,除去可能に構成されている。また、排気管20には、O2 センサ22が設けられている。
【0017】
ECU40は、入出力装置,記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等),演算装置(CPU),タイマカウンタ等を備えて構成されており、このECU40により、エンジン1の総合的な制御が実行されるようになっている。
また、ECU40の入力側には、上述したTPS16,吸気量センサ18,O2 センサ22,圧力センサ44及びエンジン1のクランク角度を検出するクランク角センサ42等の各種センサ類が接続されており、これらセンサ類からの検出情報が入力されるようになっている。なお、クランク角センサ42により検出されるクランク角度に基づきエンジン回転速度Neが演算されるようになっている。
【0018】
また、ECU40には、エンジンの燃焼状態を制御する燃焼状態制御手段410(図2参照)が設けられており、この燃焼状態制御手段410によりエンジン1への吸入空気量又は燃料供給量の少なくとも一方が制御されてエンジン1の燃焼状態が制御されるようになっている。
一方、ECU40の出力側には、上述の燃料噴射弁6,点火コイル8,スロットル弁14等の各種の出力デバイスが接続されており、これら出力デバイスには、各種センサ類からの情報に基づいて、燃焼状態制御手段410で空燃比(A/F)が演算又は設定され、このA/Fとなるように燃料噴射量(燃料噴射弁6の駆動パルス幅),スロットル開度等が設定されるとともに、燃料噴射時期や点火時期等の各信号がそれぞれ出力されるようになっている。そして、これにより、燃料噴射弁6から適正なタイミングで適正量の燃料が噴射され、点火プラグ4により適正なタイミングで火花点火が実施され、適正なタイミングで適正な開度となるようスロットル弁14が開閉駆動されるようになっている。
【0019】
また、このエンジン1では、燃費を向上させる目的で、エンジン1の減速走行時において燃料供給を停止する、いわゆる減速燃料カット制御(又は単に燃料カットという)が実施可能に構成されている。
すなわち、図2に示すように、ECU40内にはエンジン1の運転状態を検出又は判定する運転状態検出手段450が設けられており、さらに、この運転状態検出手段450には、エンジン1の燃焼状態を判定する燃焼状態判定手段411及び減速走行状態であるか否かを検出(又は判定)する減速状態検出手段(又は減速状態判定手段)420が設けられている。
【0020】
このうち、減速状態検出手段420にはドライバのアクセル踏み込み開度やアクセル踏み込み状態を検出又は判定するアクセル開度センサ(図示省略)、車速を検出する車速センサ(図示省略)、エンジン回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ(クランク角センサ42)等が接続されている。
そして、減速状態検出手段420は、例えば車速が所定値以上で、且つドライバがアクセルペダルの踏み込みを中止(アクセルOFF)している状態を検出すると、減速走行状態(又は単に減速状態という)と判定する。また、この減速状態が判定されている場合に、エンジン回転速度Neが所定回転速度以上である状態が検出されると、燃焼状態制御手段410により、燃料噴射弁6からの燃料噴射が禁止されて減速燃料カット制御が実行されるようになっている。
【0021】
また、この燃焼状態制御手段410には、減速状態が判定され且つエンジン回転速度Neが所定回転速度以上である場合に、エンジン1ヘの燃料供給を停止させる信号を出力する燃料供給停止手段410aが設けられている。
なお、この実施形態では、減速燃料カット制御は全気筒について実施されるように構成されているが、一部気筒についてのみ実施するように構成してもよい。
【0022】
ところで、燃焼状態制御手段410には、減速走行時であっても燃料供給停止手段410aによる燃料の供給停止を禁止する燃料供給停止禁止手段410bが設けられている。
また、図示するように、ECU40には触媒30の温度を推定する触媒温度推定手段401が設けられており、この触媒温度推定手段401により触媒温度が所定温度以上であると推定されると、エンジン1の減速状態が判定されても、触媒30を保護する目的で燃料供給停止禁止手段410bによりこの減速燃料カットが禁止されるようになっている。
【0023】
これは、触媒30の熱劣化を抑制するためである。つまり、このような減速燃料カット時には、燃料カットが行なわれた気筒からは空気のみが排出されることになるため、排気空燃比がリーン空燃比(酸化雰囲気下)となって、触媒30が熱劣化しやすくなるからである。
そこで、上述のように、触媒30の温度が所定温度以上の高温時には、たとえエンジン1の減速状態であっても減速燃料カットを禁止して燃料噴射を実行することで触媒30の熱劣化を抑制するようにしているのである。
【0024】
なお、触媒温度推定手段401による触媒30の温度の推定手法については後述する。
次に、本発明の要部について説明すると、図2に示すように、燃焼状態制御手段410には、上述した燃料供給停止手段410a及び燃料供給停止禁止手段410b以外にも、目標吸入空気量設定手段460,目標空燃比設定手段470,燃料噴射量設定手段480及びフィードバック制御禁止手段490が設けられている。
【0025】
ここで、目標吸入空気量設定手段460は、エンジン1の運転状態、具体的にはクランク角センサ(エンジン回転速度センサ)42から得られる回転速度情報及び図示しないアクセル開度センサから得られるアクセル開度情報等に基づき目標吸入空気量を設定する手段である。
そして、この目標吸入空気量設定手段460で目標吸入空気量が設定されると、エンジン回転速度及び目標吸入空気量をパラメータとしたマップ(図示省略)に基づき、上記の目標吸入空気量となるようにETV14の開度が設定されるとともに、ETV駆動用のアクチュエータが制御されるようになっている。
【0026】
また、AFS18により実吸入空気量が検出されるようになっており、この実吸入空気量と上記目標吸入空気量とに基づき、これらの偏差が算出されるとともに、この偏差が0となるようにETV14の開度が補正されるようになっている。
また、目標空燃比設定手段470は、上記エンジン回転速度情報,スロットル開度情報及び上記目標吸入空気量設定手段460で設定された目標吸入空気量等に基づいて目標空燃比(目標A/F)を設定する手段であって、この目標空燃比設定手段470で目標空燃比が設定されると、この目標空燃比となるように燃料噴射量設定手段480で燃料噴射量が設定されるようになっている。そして、設定された燃料噴射量となるように燃料噴射弁6の駆動パルス幅が設定されるようになっている。
【0027】
また、燃料噴射量設定手段480では、O2 センサ22からの検出情報に基づき実際の空燃比情報がフィードバックされるようになっている。つまり、O2 センサ22から得られる排ガス中の酸素濃度から実空燃比が検出され、この実空燃比と目標空燃比との偏差がなくなるように燃料噴射量がフィードバック制御されるようになっているのである。
【0028】
フィードバック制御禁止手段490は、所定のエンジン運転状態において、このようなフィードバック制御を禁止する手段であって、減速燃料カット禁止中(すなわち、燃料供給停止禁止手段410bにより燃料供給停止が禁止されている場合、換言すると、エンジン1の減速走行中(アクセルオフ且つ所定車速以上)においてエンジン回転速度Neが所定回転速度以上であって、且つ、触媒温度が所定温度以上の高温時の場合)には、フィードバック制御禁止手段490により燃料噴射量設定手段480でのフィードバック制御が禁止されてオープンループ制御が実行されるようになっているようになっている。
【0029】
これは、発明が解決しようとする課題の欄でも述べたように、減速燃料カット禁止中には、アクセルオフにより吸入空気量が微小であり、これにより燃料噴射量も微小な運転領域となるからである。このような運転領域は、インジェクタパルス幅に対する燃料噴射量のリニアリティが劣っており(図6参照)、この領域においてフィードバック制御を行なうと、正確なフィードバック制御を実行できずに排ガス悪化が生じたり空燃比制御が不安定になってしまうおそれがあるほか、最悪の場合には失火を招くおそれがある。これは、フィードバックの結果、燃料噴射量を増量すべくインジェクタパルス幅を長くしても、実際の燃料噴射量がねらいどおりに増量しなかったり、逆に燃料噴射量を減量するべくインジェクタパルスを短く設定しても、実際の燃料噴射量がねらいどおりに減少せず、減少しすぎたりするためである。
【0030】
そこで、本発明では、このような運転領域における空燃比のフィードバック制御を禁止することにより空燃比制御の乱れを抑制して空燃比のリーン化を抑制し、触媒30の熱劣化を抑制しているのである。
また、このようなフィードバック制御の禁止時には、目標吸入空気量設定手段460で設定された目標吸入空気量に基づき空燃比がリッチ又はストイキオとなるように、燃料噴射量設定手段480で燃料噴射量が設定されるようになっている。
【0031】
また、ストイキオに設定した場合には、空燃比制御のずれ(誤差)等により空燃比がリーン領域となることが考えられるので、ストイキオに代えてスライトリッチとなるようにオープンループ制御するようにしてもよい。
さらには、上述ではフィードバック制御の禁止時には、目標吸入空気量設定手段460で設定された目標吸入空気量に代えてAFS18で検出された実吸入空気量に基づき空燃比をオープンループ制御するようにしてもよい。
【0032】
次に、触媒の30の温度推定手法について説明する。図2に示すように、ECU40には、エンジン負荷Lと排気流量Qとに基づき上記触媒30の温度を推定する触媒温度推定手段401を有している。
ここで、図3は試験走行等における触媒温度実測値のデータであるが、図示するように、排気流量と触媒温度との間には吸気管圧力(エンジン負荷)をパラメータとして線形の相関関係があることがわかる。そこで、触媒温度推定手段401では、この特性を利用して触媒温度を推定するようになっている。
【0033】
即ち、触媒温度をt、排気流量をQとすると、図3に示す実験結果から触媒温度tと排気流量Qとの間には、下式(1)のような線形の関係が成立する。
t=aQ+b・・・(1)
上式において、値a,bは、実車走行時の実測データより最小二乗法を用いて算出することができるものであり、値aは、図4に示すように吸気管圧に対するマップとして、触媒温度推定手段401内の定数記憶手段404に予め記憶されている。つまり、値aは、エンジン負荷Lとしての吸気管圧に応じた値に設定される。なお、値aは、吸気管圧に限らず、体積効率Ev、吸入空気量、スロットル開度などのエンジン負荷に相関する値に応じた値に設定してもよい。また、値bも同様にエンジン負荷Lに応じた値に設定してもよい。
【0034】
また、触媒温度推定手段401にはエンジン負荷Lとしての体積効率Evを求めるための体積効率マップ402が設けられており、このマップ(図示省略)に記憶された情報に基づき吸気管圧力Pとエンジン回転速度Neとから体積効率Evが求められるようになっている。
また、触媒温度推定手段401には排気流量Qを算出する排気流量演算手段403も設けられており、エンジン回転速度Ne及び体積効率Evを用いて下式(2)により排気流量Qが算出されるようになっている。
【0035】
Q=1/2×総排気量×(Ne/60)×Ev・・・(2)
ただし、エンジン回転速度Neの単位は〔rpm〕である。
ところで、上述では、エンジン負荷Lとして体積効率Evを適用し、この体積効率Evに基づき排気流量Qを算出しているが、スピードデンシティ方式(Dジェトロニック方式)では、体積効率Ev(エンジン負荷L)はエンジン回転速度Neと吸気管圧とから求めているので、クランク角センサ42及び圧力センサ44により、エンジン負荷を検出するエンジン負荷検出手段及び排気流量Qを検出する排気流量検出手段が構成されているということができる。なお、排気流量Qを吸気管内圧力とエンジン回転速度とから直接算出してもよいし、Lジェトロニック方式の場合は吸気量センサ18で検出される吸気流量との相関から求めてもよい。
【0036】
また、排気流量検出手段として、排気通路20に実際に排気流量Qを検出するセンサを設けてもよいし、排気流量と相関のあるマップ値から排気流量Qを求めてもよい。
また、エンジン負荷を表すパラメータとしては、体積効率Ev以外にも、吸気管圧,吸入空気量,スロットル開度及び目標Pe等、エンジン負荷に相関のあるものであれば、どのような値を用いてもよい。
【0037】
さて、再び図2に戻って触媒温度の推定手法について説明すると、図示すように、触媒温度推定手段401には、推定温度tを演算により求める推定温度演算手段405が設けられており、この推定温度演算手段405において、上式(1)により触媒温度tが算出されるようになっている。
また、触媒温度推定手段401には、上記触媒推定温度演算手段405により算出された触媒温度にフィルタ処理を施すフィルタ処理手段(触媒温度補正手段)406をそなえている。そして、上述のように触媒温度tの推定値が算出されると、次に、フィルタ処理を実行し、これにより、推定された触媒温度の安定化を図るようになっている。
【0038】
具体的には、このフィルタ処理手段406では、下式(3)により触媒温度フィルタ値が算出されるようになっている。
ただし、kはフィルタ定数(ゲイン)である。そして、このフィルタ処理手段406により処理された触媒温度フィルタ値t0 があらためて触媒温度として出力されるようになっている。
【0039】
また、フィルタ処理手段406には、触媒30の温度変化状態に応じてフィルタ定数を変更するフィルタ定数変更手段407をそなえている。ここで、フィルタ定数変更手段407は、触媒30の温度が上昇しているのか温度が低下しているのかを判定する触媒温度状態検出手段(図示せず)を有しており、この触媒温度状態検出手段の検出結果に基づいてフィルタ定数kを変更するようになっている。
【0040】
この場合、触媒30が温度上昇状態にある場合には、温度低下状態にある場合よりも、触媒推定温度演算手段405により算出された触媒温度の応答性が高くなるように補正が行なわれるようになっている。具体的には触媒温度上昇時の方が低下時よりもフィルタ定数kが大きな値として設定されるようになっている。これは、触媒30の温度が上昇するときと低下するときとでは、温度状態変化のメカニズムが大幅に異なるためである。すなわち、触媒30の温度が上昇するときには、触媒30は排気からの受熱及び触媒30の触媒上での反応熱(主にHC,CO2 ,H2 等の未燃物の燃焼熱)による受熱により高い応答性(即ち、ゲインが大きい)で温度状態が変化するのに対し、触媒30の温度が低下するときには、排気への放熱及び触媒30のケースから大気への放熱により温度状態が変化し、応答性が比較的低い(ゲインが低い)。特に、触媒30の反応熱は、反応速度が速く応答も速い。
【0041】
もちろん、上述したようにな「排気からの受熱及び触媒30の反応熱による受熱」や「排気への放熱及び触媒30のケースから大気への放熱」は、触媒温度上昇時にも低下時にも生じるが、触媒温度が上昇するということは、放熱量よりも受熱量のほうが多いはずであり、温度の上昇時と低下時とでは受熱量と放熱量との相対的なバランスが異なる。
【0042】
このため、触媒温度の上昇時と低下時とで同じフィルタ定数kを用いると、温度推定にずれが生じてしまい、正しい温度推定が困難となる。これは、実験的にすでに確認されている。そこで、本実施形態では、触媒30の温度上昇時と低下時とでフィルタ定数kを別設定して、極力正確に触媒温度を推定するようになっているのである。
【0043】
ここで、触媒温度が上昇中であるのか又は低下中であるのかの判定手法としては、上式(1)により得られる触媒温度tの今回の値と前回の値との差で判定するようにしてもよいし、上式(3)で得られるフィルタ処理後の触媒温度t0 の今回(n)の値と前回(n−1)の値との差に基づき判定するようにしてもよい。ただし、各回のフィルタ処理直前にフィルタ定数kを決定するほうがより正確に触媒温度を推定することができるので、触媒温度tの今回の値と前回の値との差で判定するほうがより好ましい。
【0044】
一方、上述したように、ECU40には、エンジン1の燃焼状態を判定する燃焼状態判定手段411が設けられている。また、触媒温度推定手段401内には、触媒推定温度をさらに補正する第2の触媒温度補正手段408が設けられており、この燃焼状態判定手段411によりエンジン1の燃焼状態が空燃比の過濃状態(リッチ空燃比)であると判定されると、第2の触媒温度補正手段408により触媒温度が低温側に補正されるようになっている。
【0045】
これは、リッチ運転時には燃料量が比較的多いため、シリンダ内において燃料により冷却が行なわれて排気温度が低下するからである。
そして、このようなリッチ運転時には、第2の触媒温度補正手段408では、例えば、フィルタ処理手段406でフィルタ処理された触媒推定温度に所定値(例えば0.85)をかけて触媒温度が補正されるようになっている。
【0046】
なお、第2の触媒温度補正手段408における補正は上述のような手法に限定されるものではなく、例えば、上式(1)における値a,bを変更することで触媒温度を補正してもよい。この場合、例えば値a、bにそれぞれ1以下の係数をかけることで触媒温度が補正されるようになっている。また、上式(1)により算出された値に所定値(例えば0.85)をかけて補正を行なってもよい。
【0047】
そして、このようにして推定(算出)された触媒温度が所定値以上であると判定されると、減速状態検出手段420で減速状態が判定されても、触媒30を保護するべく燃焼状態制御手段410により減速燃料カットが禁止されるようになっている。
また、ECU40には触媒温度推定手段401で推定された触媒温度tを上限値及び下限値で制限する制限手段440が設けられており、この制限手段440により触媒温度が上下限値でクリップされるようになっている。
【0048】
ここで、制限手段440は、例えば推定温度tと上限値tMAX とを比較して、小さいほうの値を出力する最小値選択手段と、推定温度tと下限値tMIN とを比較して、大きいほうの値を出力する最大値選択手段(ともに図示省略)とを有しており、これらの最小値選択手段及び最大値選択手段の作用により、温度推定値tの上下限値が制限されるようになっている。
【0049】
なお、このクリップ値(上限値tMAX ,下限値tMIN )は、空燃比がストイキオのときとリッチのときとでそれぞれ異なる設定にしてもよい。これは、上述したようにストイキオ時よりもリッチ時の方が燃料による冷却が期待でき、触媒30の温度が低くなるためである。この場合には、クリップ値は、ストイキオ時の方がリッチ時よりも高い値となる。
【0050】
ところで、ECU40には、触媒温度推定変更手段430が設けられており、運転状態検出手段450に設けられた減速状態検出手段420により減速状態が検出又は判定されると、上記触媒温度推定変更手段430により、触媒温度を上述したエンジン負荷と排気流量とに基づく推定手法(通常運転状態で推定する手法)で設定された値に代えて、触媒温度t=所定値(例えば固定値650℃)に設定するようになっている。
【0051】
これは、減速状態では、以下の理由▲1▼〜▲3▼により上述の温度推定式(1)では温度推定誤差が大きくなるからである。
▲1▼減速時には吸入空気量及び燃料噴射量が少ないため、通常運転時に較べて燃焼状態がよくない。このため、排気温度や排気中の未燃成分(触媒30で反応する)が通常運転時と異なり、触媒温度も異なる。
▲2▼減速時には吸入空気量、即ち、排気流量が少なく、触媒30の排気流による冷却(熱の持ち去り)が通常運転時に較べて少ないので触媒温度も異なる。なお、排気流による触媒の冷却とは、触媒30の反応熱により排気温度よりも触媒温度の方が高いとき、排気流により触媒30から熱が持ちさられ、触媒30が冷却されることをいう。
▲3▼特に、燃料カット中は、燃料噴射及び燃焼が行なわれていないので、通常運転時(燃焼時)とは排気温度自体が異なり、触媒温度が全く異なる。
【0052】
また、上記▲1▼〜▲3▼以外にも、減速状態時においては、触媒反応熱の発生度合は触媒温度に対する依存度合が高い。具体的には、触媒温度が高いほど触媒30の活性度合が高く反応性も高いので、排ガス中の未燃成分(HC,CO,H2 等)の反応が活発になり、触媒温度はさらに高くなる。
また、燃料カット制御又は燃料カット禁止制御の開始時点における触媒30の担体(ウォッシュコートを含む)の持つ熱量は、燃料カット制御又は燃料カット禁止制御中に放出されて触媒温度が上昇するが、熱量は触媒温度(より正確には減速開始時の触媒温度)に相関する。
【0053】
このような理由により、減速状態判定時には触媒30での反応熱が触媒温度に与える影響が大きく、上述の推定温度算出式(1)では精度の高い温度推定が困難となる。
そこで、このよう減速状態のときには、本実施形態では、触媒推定温度=所定値t1 (例えば650℃)に設定されるようになっている。
【0054】
なお、上述は所定値t1 を固定値とした場合の一例であるが、この所定値t1 は、例えば減速状態判定時における触媒温度推定値t〔式(1)で算出された温度推定値〕に対するマップとして設定してもよい。また、所定値t1 を減速状態判定時における触媒温度,排気流量,空燃比,燃料噴射量及び触媒担体容量(ウォッシュコートを含む)のうち、いずれか1つに対応したマップとしてもよい。なお、上述のパラメータのうち触媒担体容量は一定値であり走行状態に応じて変動するような値ではない。したがって、この触媒担体容量を用いる場合には、他のパラメータと組み合わせて適用することになる。
【0055】
また、運転状態検出手段450に設けられた減速状態判定手段420により、燃料カット制御状態であるか(即ち、アクセルオフで、且つエンジン回転速度Neが所定回転速度以上で、且つ触媒温度が所定値未満の状態)、又は燃料カット禁止制御状態(即ち、アクセルオフで、且つエンジン回転速度Neが所定回転速度以上で、且つ触媒温度が所定値以上の状態)であるかを判定してこの判定結果に基づき所定値t1 を異なる値に設定してもよい。この場合には、減速燃料カット中における触媒温度推定値を燃料カット禁止制御中の触媒温度推定値とは別の値、具体的には小さい値に設定するのが好ましい。これは、減速燃料カット中には燃料噴射が禁止されて燃焼が行なわれないため、燃料カット禁止時(燃焼時)とは排気温度が異なり、触媒温度が大きく異なるからである。
【0056】
そして、上述したように、触媒30の温度推定値tが所定値(閾値)T以上であると、たとえエンジン1の減速状態が検出されても触媒30を保護するべく燃焼状態制御手段410に設けられた燃料供給停止禁止手段410bにより減速燃料カットが禁止されるようになっている。また、この場合には、空燃比のフィードバック制御が禁止されて、オープンループ制御によりリッチ空燃比又はストイキオ空燃比で運転が行なわれるようになっている。
【0057】
なお、この閾値Tは、触媒30がリーン雰囲気下で劣化し始める温度(リーン耐熱温度)に設定されている。この値は触媒により異なるが、略700〜900℃の値となる。
本発明の一実施形態にかかる触媒劣化防止装置は、上述のように構成されているので、その作用を説明すると以下のようになる。
【0058】
まず、最初に触媒30の温度が推定される。すなわち、クランク角センサ42及び圧力センサ44により検出されたエンジン回転速度Ne及び吸気管圧Pに基づき、体積効率マップ402において体積効率Ev(エンジン負荷L)が求められる。また、排気流量演算手段403において、エンジン回転速度Ne及び体積効率Evから上式(2)により排気流量Qが算出される。
【0059】
一方、定数記憶手段404に予め記憶されたマップに基づき吸気管圧Pから値a,bが設定される。そして、推定温度演算手段405において、値a,b及び排気流量Qを用いて上式(1)により触媒温度tが算出される。
次に、フィルタ処理手段406において、上式(3)よりフィルタ処理が実行され、触媒温度tの安定化が図られる。そして、このフィルタ処理手段406により処理された触媒温度フィルタ値t0 があらためて触媒温度tとして出力される。
【0060】
また、式(3)で用いられるフィルタ定数kは、触媒30の温度変化状態に応じてフィルタ定数変更手段407により変更される。この場合、触媒30の温度が上昇しているのか低下しているのかでフィルタ定数kが異なる値に設定され、具体的には触媒温度上昇時の方が低下時よりもフィルタ定数kが大きな値として設定される。
【0061】
また、燃焼状態判定手段411によりエンジン1の空燃比が過濃状態(リッチ)であると判定されると、燃料による排気の温度低下(燃料冷却)を考慮して第2の触媒温度補正手段408により触媒温度tが低温側に補正される。この場合、例えば、上式(1)により算出された値に所定値(例えば0.85)をかけて触媒温度が補正される。
【0062】
また、減速状態検出手段420により減速状態が検出又は判定された場合には、上述により推定された触媒温度tに代えて、触媒温度推定変更手段430により例えば、触媒推定温度=所定値t1 (例えば650℃)と設定されたり、燃料カット制御状態であるか又は燃料カット禁止制御状態であるかを判定してこの判定結果に基づき触媒推定温度t1 が設定される、その後、制限手段440により触媒温度tが上限値及び下限値でクリップされる。
【0063】
図5は触媒30の温度の実測値と上式(1)により得られる触媒温度tとを比較して示す図であるが、図示するように、本発明によれば高い精度で触媒30の温度を推定することができた。なお、空燃比がリッチ領域にあってリッチ時補正を行なわない場合には触媒温度の推定値の方が実測値に比べて高めとなっているが、上述したように、リッチ領域では触媒温度補正手段408により触媒温度tが低温側に補正される(リッチ時補正)ため、リッチ領域においても実測値により近い触媒温度を得ることができる。
【0064】
そして、このようにして推定された触媒温度tが所定値T以上であると、減速状態検出手段420で減速状態が判定されても、触媒30を保護するべく燃焼状態制御手段410に設けられた燃料供給停止禁止手段410bにより減速燃料カットが禁止されるとともに空燃比のフィードバック制御が禁止される。
また、このような減速燃料カットの禁止時、つまり触媒30が所定温度以上の時には、空燃比がリッチ(過濃空燃比)又はストイキオ(理論空燃比)となるように燃料噴射量がオープンループ制御により設定される。
【0065】
このように、本発明の一実施形態にかかる触媒劣化防止装置では、減速走行時に、触媒30の温度が所定温度以上であると燃料供給停止手段410aによる燃料の供給停止を禁止するともに、空燃比のフィードバック制御を禁止するので、インジェクタパルス幅に対する燃料噴射量のリニアリティが劣る運転領域における空燃比フィードバック制御の乱れを極力抑制することができ安定した空燃比制御を行なうことができる。また、これにより空燃比のリーン化を抑制することができ、触媒30の熱劣化を抑制することができる利点がある。
【0066】
また、このようなフィードバック制御の禁止時には、目標吸入空気量設定手段460で設定された目標吸入空気量又はAFS18で検出された実吸入空気量に基づき、空燃比がリッチ又はストイキオとなるように燃料噴射量を設定するので、空燃比のリーン化を確実に抑制できる利点がある。
ところで、本実施形態では、エンジン負荷(吸気官圧)と排気流量Qとに基づき触媒30の温度を推定しているので、温度センサを設けることなく触媒温度を推定でき、コスト増を回避することができるという利点がある。
【0067】
また、本実施形態では、触媒30の温度を推定するパラメータとして排気流量Qを用いているので、排気流による触媒30の冷却も考慮されており、精度良く触媒温度を推定することができる利点もある。また、このように高い精度で触媒温度を推定できるので、触媒30の熱劣化を確実に防止することができる利点があるほか、必要なときだけ(触媒30が所定温度以上の高温の時だけ)精度良く燃料カット制御を実行できるという利点がある。
【0068】
また、触媒温度にフィルタ処理を施すことにより、推定された触媒温度の安定化を図ることができ、触媒温度の推定精度をさらに高めることができる。
また、触媒30が温度上昇状態にある場合には、温度低下状態にある場合よりも、触媒温度の応答性が高くなるように推定温度が補正されるので、やはり高い精度で触媒温度を推定することができる。つまり、触媒30の温度が上昇するときには、排気からの受熱及び触媒上での反応熱による受熱により触媒温度変化は比較的高い応答性を示すのに対して、触媒30の温度が低下するときには、排気への放熱及び大気への放熱によって温度が低下するのみであるので応答性が比較的低い。そこで、触媒が温度上昇している場合には温度低下している場合よりも、触媒温度の応答性が高くなるように補正を行なうことで、正確な温度推定を行なうことができるのである。
【0069】
具体的には、触媒30の温度変化状態(温度上昇又は低下)に応じて応じてそれぞれフィルタ定数kを設定することで、より高精度に触媒温度を推定することができるのである。
また、燃焼状態がリッチ空燃比のときには、推定される触媒温度を低温側に補正するので、燃料冷却による温度低下分についても考慮されることになり、やはり高い精度で触媒温度を推定することが可能となる。
【0070】
また、減速状態時には、触媒温度を、上式(1)とは異なる手法により設定される値(例えば所定値t1 =650℃)に設定することにより、減速時にも精度良く触媒の温度30を推定することができる利点がある。つまり、減速時には、排気温度や排気中の未燃成分が通常運転時と異なるほか、排気流による冷却(熱の持ち去り)も少なく、上式(1)により触媒温度を推定した場合には、温度推定誤差が大きくなる。
【0071】
これに対して、本発明では、減速状態時には、通常運転時で推定される触媒温度を他の値に変更することにより、減速状態時にも高い精度で触媒温度を推定することができるという利点がある。
また、減速状態時に燃料カット制御状態であるか又は燃料カット禁止制御状態であるかを判定して、この判定結果に基づき触媒温度の所定値t1 を異なる値に設定するように構成した場合には、減速状態時においても、より高い精度で触媒温度を推定することができるようになる。
【0072】
なお、本発明の実施形態は上述に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、本実施形態ではスロットル弁14がドライブバイワイヤ式のETVの場合について説明したが、一般的ケーブル式のスロットル弁に適用することもできる。また、例えば燃料カット制御が実施され得る状態(即ち、アクセルOFFで且つエンジン回転速度Neが所定回転速度以上である状態)を減速状態と判定し、この減速状態において触媒温度を他の値に変更するようにしてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、エンジン負荷と排気流量とに応じて推定される触媒温度に対して触媒の温度変化状態に応じて異なる補正を行なう構成としたが、その他の方法により推定される触媒温度や直接検出される触媒温度に対しても同様に触媒の温度変化状態に応じて異なる補正を行なうようにしてもよい。また、本実施形態ではエンジン1として、いわゆる筒内噴射型火花点下式内燃機関を適用した場合を説明したが、本発明が適用されるエンジンはこのようなものに限定されるものではなくディーゼルエンジンに適用してもよい。また、本実施形態では触媒30として三元触媒を用いた場合を説明したが、触媒30はNOx触媒等、種々の触媒を適用することができる。
【0074】
また、温度の推定手法又は検出手法についても本実施形態で説明したものに限定されるものではない。
【0075】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の触媒劣化抑制装置によれば、触媒の温度が所定温度以上の高温状態であると、燃料供給停止(減速燃料カット)が禁止されるとともに、空燃比のフィードバック制御が禁止されるので、インジェクタパルス幅に対する燃料噴射量のリニアリティが劣る運転領域での空燃比のフィードバック制御による乱れを抑制することができ、安定した空燃比制御を行なうことができる利点がある。また、これにより空燃比のリーン化を抑制することができ、触媒の熱劣化を抑制することができるという利点がある。
【0076】
また、請求項2記載の本発明の触媒劣化抑制装置によれば、燃料供給停止が禁止されている場合に、目標吸入空気量と理論空燃比とに基づいて燃料噴射量を設定するので、空燃比のリーン化を確実に抑制できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる触媒劣化抑制装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる触媒劣化抑制装置の要部構成を示す模式的なブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる触媒劣化抑制装置を創案する過程で得られた触媒温度の実測データを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる触媒劣化抑制装置の定数記憶手段に記憶されるマップの一例である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる触媒劣化抑制装置の作用,効果を説明するための図である。
【図6】本発明の課題について説明するための図であって、インジェクタの燃料噴射時間と燃料噴射量との関係について示す図である。
【符号の説明】
1 エンジン
14 吸入空気量調整手段としてのスロットル弁又はETV
20 排気管(排気通路)
30 触媒(排気浄化触媒)
401 触媒温度推定手段
410 燃焼状態制御手段
410a 燃料供給停止手段
410b 燃料供給停止禁止手段
460 目標吸入空気量設定手段
470 目標空燃比設定手段
480 燃料噴射量設定手段
490 フィードバック制御禁止手段[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a catalyst deterioration suppressing device suitable for use in a vehicle such as an automobile, and more particularly to a catalyst deterioration suppressing device for suppressing deterioration of an exhaust purification catalyst that purifies harmful substances in engine exhaust at high temperature or lean time. .
[0002]
[Prior art]
In general, exhaust purification catalysts (hereinafter simply referred to as catalysts) interposed in an exhaust system of an engine are sintering (particles held in a carrier are mutually aggregated at a high temperature as the temperature and the oxidizing atmosphere (lean air-fuel ratio) become higher. (The phenomenon that the particle diameter becomes large). Therefore, the heat resistant temperature of the catalyst is generally lower when the catalyst is in an oxidizing atmosphere than in a reducing atmosphere (rich air-fuel ratio).
[0003]
For this reason, in order to suppress thermal degradation of the catalyst, it is necessary to appropriately avoid a situation in which the catalyst is at a high temperature and in an oxidizing atmosphere.
In recent years, in order to reduce CO 2 (that is, reduce fuel consumption), deceleration fuel cut in which fuel supply to the engine is temporarily stopped (fuel cut) for all cylinders or some cylinders during deceleration for the purpose of reducing CO 2. Vehicles equipped with the device have been put to practical use.
[0004]
However, at the time of such a deceleration fuel cut, only air is discharged from the fuel cut cylinder, so that the exhaust air-fuel ratio tends to be a lean air-fuel ratio as a result.
Therefore, in the case of such an engine, at the time of fuel cut, there are many opportunities for the catalytic converter to be in an oxidizing atmosphere and at a high temperature.
[0005]
Therefore, a technique has been proposed in which the temperature of the catalyst is detected by a temperature sensor, and the deceleration fuel cut is prohibited when the temperature of the catalyst becomes high (for example, Japanese Patent Application Laid-Open No. 55-137339). In addition to the above, the catalyst bed temperature is estimated from the intake air amount, and when the catalyst bed temperature is high, the deceleration fuel cut is prohibited, or the deceleration fuel cut is prohibited based on the engine speed and the engine load. For example, has been proposed (for example, Japanese Patent Application Laid-Open No. 8-144814).
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
In general, when performing fuel injection control, feedback control of the fuel injection amount is performed so that the air-fuel ratio (actual air-fuel ratio) becomes the target air-fuel ratio.
However, during the prohibition of the deceleration fuel cut as described above, the intake air amount becomes small because the driver is basically off the accelerator, and therefore the valve opening time (injector pulse width) of the fuel injection valve is also small. It becomes the operation area. As shown in FIG. 6, such an operation region is a region in which the linearity of the fuel injection amount with respect to the injector pulse width is inferior. If the feedback control is performed in this region, the integral correction value of the feedback control (Japanese Patent Publication No. 6-63468). However, there is a problem in that appropriate control cannot be performed due to disturbances in the exhaust gas or deterioration of the exhaust gas or air-fuel ratio control becomes unstable. Further, as a result, when the air-fuel ratio becomes lean, there is a problem that the catalyst is placed in an oxidizing atmosphere, and deterioration of the catalyst is promoted.
[0007]
Note that the intake air amount is also small during idling operation, but during idling, a positive torque is required to overcome the engine rotation friction and rotate the engine. On the other hand, at the time of deceleration, a positive torque is not required. Conversely, when a positive torque is generated, the engine runs without permission and does not have a feeling of deceleration. Therefore, during prohibition of fuel cut during deceleration, it is necessary to generate only a small amount of torque that gives a feeling of deceleration. That is, the engine generated torque during idling is larger than the generated torque during deceleration fuel cut prohibition.
[0008]
Therefore, both the intake air amount and the fuel injection amount during idling are larger than during deceleration fuel cut inhibition. Therefore, at the time of idling, the amount of intake air and the amount of fuel injection are larger than during deceleration fuel cut prohibition, so that linearity does not matter.
The present invention has been made in view of such a problem, and performs a stable air-fuel ratio control during a deceleration fuel cut prohibition operation even when the amount of intake air is small and the linearity of the fuel injection amount is inferior. It is an object of the present invention to provide a catalyst deterioration suppressing device capable of suppressing deterioration of a catalyst.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
For this reason, a catalyst deterioration suppressing device according to the present invention is provided in an exhaust passage of an engine to purify harmful substances in exhaust gas, and a catalyst temperature estimating device for detecting or estimating the temperature of the catalyst. Means, a fuel supply stopping means for stopping fuel supply to the engine during deceleration traveling, and a fuel supply stopping means when the catalyst temperature estimating means determines that the temperature of the catalyst is in a high temperature state of a predetermined temperature or higher. Fuel supply stop prohibiting means for prohibiting fuel supply stop, target intake air amount setting means for setting a target intake air amount based on the operation state of the engine, and a target for setting a target air-fuel ratio based on the operation state of the engine Air-fuel ratio setting means for setting a fuel injection amount according to the target air-fuel ratio and the target intake air amount, and feeding back actual air-fuel ratio information so as to achieve the target air-fuel ratio. Fuel injection amount setting means for performing feedback control of the injection amount, and feedback control prohibiting means for prohibiting feedback control in the fuel injection amount setting means when the fuel supply stop is prohibited by the fuel supply stop prohibiting means. It is characterized by having.
[0010]
Therefore, disturbance of the air-fuel ratio in an operation region where the linearity of the fuel injection amount with respect to the injector pulse width is inferior can be suppressed as much as possible, and stable air-fuel ratio control can be performed. In addition, lean air-fuel ratio can be suppressed, and thermal deterioration of the catalyst can be suppressed.
Further, in the catalyst deterioration suppressing device of the present invention according to claim 2, the fuel injection amount setting means according to claim 1, wherein the fuel supply stop is prohibited by the fuel supply stop prohibiting means. The fuel injection amount is set based on the target intake air amount and the stoichiometric air-fuel ratio.
[0011]
Therefore, since the air-fuel ratio is set to the stoichiometric air-fuel ratio, leaning of the air-fuel ratio can be reliably suppressed.
[0012]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, a device for preventing catalyst deterioration according to an embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings. FIG. 1 is a schematic diagram showing the entire configuration, and FIG. 2 is a schematic block diagram showing the configuration of a main part thereof.
The engine 1 shown in FIG. 1 is a so-called in-cylinder injection type spark ignition engine that supplies fuel directly into a cylinder, and performs fuel injection during an intake stroke (intake stroke injection) and fuel injection during a compression stroke (compression stroke). (Injection).
[0013]
The in-cylinder injection type engine 1 operates at a stoichiometric air-fuel ratio (stoichio), at an rich air-fuel ratio (rich A / F) (rich air-fuel ratio operation), or at a lean air-fuel ratio (lean A / F). Operation (lean air-fuel ratio operation) is possible, and the plurality of operation modes described above are switched according to conditions obtained from various parameters.
The cylinder head 2 of the engine 1 is provided with an
[0014]
Further, a fuel supply device (not shown) is connected to the
An intake port 9 is formed in the cylinder head 2 in a substantially upright direction for each cylinder, and one end of an
[0015]
An exhaust port 11 is formed in the cylinder head 2 for each cylinder, and an
[0016]
The three-
[0017]
The
Further, to the input side of the
[0018]
The
On the other hand, various output devices such as the above-described
[0019]
The engine 1 is configured to perform so-called deceleration fuel cut control (or simply, fuel cut) for stopping fuel supply during deceleration running of the engine 1 for the purpose of improving fuel efficiency.
That is, as shown in FIG. 2, the
[0020]
Among them, the deceleration state detecting means 420 includes an accelerator pedal opening degree of the driver, an accelerator opening sensor (not shown) for detecting or judging the accelerator depression state, a vehicle speed sensor (not shown) for detecting a vehicle speed, and an engine rotation speed Ne. An engine speed sensor (crank angle sensor 42) and the like for detection are connected.
Then, for example, when detecting that the vehicle speed is equal to or higher than a predetermined value and the driver has stopped depressing the accelerator pedal (accelerator OFF), the deceleration state detection means 420 determines that the vehicle is in a deceleration traveling state (or simply referred to as a deceleration state). I do. Further, when the deceleration state is determined and a state where the engine rotation speed Ne is equal to or higher than the predetermined rotation speed is detected, the fuel injection from the
[0021]
Further, the combustion state control means 410 includes a fuel supply stop means 410a for outputting a signal for stopping the fuel supply to the engine 1 when the deceleration state is determined and the engine rotation speed Ne is equal to or higher than a predetermined rotation speed. Is provided.
In this embodiment, the deceleration fuel cut control is configured to be performed for all cylinders, but may be configured to be performed only for some cylinders.
[0022]
Incidentally, the combustion state control means 410 is provided with a fuel supply stop prohibiting means 410b for prohibiting the fuel supply stop means 410a from stopping the fuel supply even during deceleration running.
As shown in the figure, the
[0023]
This is to suppress thermal deterioration of the
Therefore, as described above, when the temperature of the
[0024]
The method of estimating the temperature of the
Next, the main part of the present invention will be described. As shown in FIG. 2, the combustion state control means 410 includes a fuel supply stop means 410a and a fuel supply stop prohibition means 410b. A means 460, a target air-fuel ratio setting means 470, a fuel injection amount setting means 480, and a feedback control prohibiting means 490 are provided.
[0025]
Here, the target intake air amount setting means 460 determines the operating state of the engine 1, specifically, rotation speed information obtained from a crank angle sensor (engine rotation speed sensor) 42 and accelerator opening obtained from an accelerator opening sensor (not shown). This is a means for setting a target intake air amount based on degree information or the like.
When the target intake air amount is set by the target intake air amount setting means 460, the target intake air amount is set based on a map (not shown) using the engine speed and the target intake air amount as parameters. , The opening of the
[0026]
Further, the actual intake air amount is detected by the AFS 18, and based on the actual intake air amount and the target intake air amount, these deviations are calculated, and the deviation is set to zero. The opening of the
The target air-fuel ratio setting means 470 is configured to execute a target air-fuel ratio (target A / F) based on the engine speed information, the throttle opening information, the target intake air amount set by the target intake air amount setting means 460, and the like. When the target air-fuel ratio is set by the target air-fuel
[0027]
Further, the fuel injection amount setting means 480 feeds back the actual air-fuel ratio information based on the detection information from the O 2 sensor 22. That is, the actual air-fuel ratio from the oxygen concentration in the resulting exhaust gas from the O 2 sensor 22 is detected, the fuel injection amount is fed back controlled so that the deviation between the actual air-fuel ratio and the target air-fuel ratio is eliminated It is.
[0028]
The feedback control prohibiting means 490 is a means for prohibiting such feedback control in a predetermined engine operating state, and during deceleration fuel cut prohibition (that is, fuel supply stop is prohibited by the fuel supply stop prohibition means 410b). In other words, in other words, when the engine 1 is decelerating (the accelerator is off and the vehicle speed is equal to or higher than the predetermined vehicle speed) and the engine speed Ne is higher than the predetermined rotation speed and the catalyst temperature is higher than the predetermined temperature, The feedback control prohibiting means 490 prohibits the feedback control by the fuel injection amount setting means 480, and the open loop control is executed.
[0029]
This is because, as described in the section of the problem to be solved by the invention, while the deceleration fuel cut is prohibited, the intake air amount is very small due to the accelerator-off, and the fuel injection amount also becomes a small operation region. It is. In such an operation region, the linearity of the fuel injection amount with respect to the injector pulse width is inferior (see FIG. 6). If the feedback control is performed in this region, accurate feedback control cannot be performed, and the exhaust gas deteriorates or becomes empty. The fuel ratio control may become unstable, and in the worst case, a misfire may occur. This is because, as a result of feedback, even if the injector pulse width is increased to increase the fuel injection amount, the actual fuel injection amount does not increase as intended, or conversely, the injector pulse width is shortened to reduce the fuel injection amount. Even if it is set, the actual fuel injection amount does not decrease as intended and may decrease too much.
[0030]
Therefore, in the present invention, by inhibiting the feedback control of the air-fuel ratio in such an operation range, the disturbance of the air-fuel ratio control is suppressed, the leaning of the air-fuel ratio is suppressed, and the thermal deterioration of the
When such feedback control is prohibited, the fuel injection amount is set by the fuel injection amount setting unit 480 so that the air-fuel ratio becomes rich or stoichiometric based on the target intake air amount set by the target intake air
[0031]
In addition, when stoichiometric is set, the air-fuel ratio may be in a lean region due to a deviation (error) of the air-fuel ratio control or the like. Is also good.
Further, in the above description, when the feedback control is prohibited, open-loop control of the air-fuel ratio is performed based on the actual intake air amount detected by the AFS 18 instead of the target intake air amount set by the target intake air amount setting means 460. Is also good.
[0032]
Next, a method of estimating the temperature of the
Here, FIG. 3 shows the data of the actual measured value of the catalyst temperature in the test driving or the like. As shown in the figure, a linear correlation is established between the exhaust gas flow rate and the catalyst temperature using the intake pipe pressure (engine load) as a parameter. You can see that there is. Therefore, the catalyst temperature estimating means 401 estimates the catalyst temperature using this characteristic.
[0033]
That is, assuming that the catalyst temperature is t and the exhaust flow rate is Q, a linear relationship such as the following equation (1) is established between the catalyst temperature t and the exhaust flow rate Q from the experimental results shown in FIG.
t = aQ + b (1)
In the above equation, the values a and b can be calculated by using the least squares method from the actual measurement data when the vehicle is traveling. The value a is a map for the intake pipe pressure as shown in FIG. It is stored in the constant storage unit 404 in the
[0034]
The catalyst temperature estimating means 401 is provided with a
Further, the catalyst temperature estimating means 401 is also provided with an exhaust flow rate calculating means 403 for calculating the exhaust flow rate Q, and the exhaust flow rate Q is calculated by the following equation (2) using the engine speed Ne and the volumetric efficiency Ev. It has become.
[0035]
Q = 1/2 × total displacement × (Ne / 60) × Ev (2)
However, the unit of the engine speed Ne is [rpm].
In the above description, the volume efficiency Ev is applied as the engine load L, and the exhaust flow rate Q is calculated based on the volume efficiency Ev. However, in the speed density method (D jetronic method), the volume efficiency Ev (engine load L ) Is obtained from the engine rotational speed Ne and the intake pipe pressure, so that the
[0036]
Further, as the exhaust flow rate detecting means, a sensor for actually detecting the exhaust flow rate Q may be provided in the
As the parameter representing the engine load, any value other than the volume efficiency Ev may be used as long as it has a correlation with the engine load, such as the intake pipe pressure, the intake air amount, the throttle opening, and the target Pe. You may.
[0037]
Returning to FIG. 2 again, the method of estimating the catalyst temperature will be described. As shown in FIG. 2, the catalyst temperature estimating means 401 is provided with an estimated temperature calculating means 405 for calculating an estimated temperature t by calculation. In the temperature calculating means 405, the catalyst temperature t is calculated by the above equation (1).
Further, the catalyst temperature estimating means 401 includes a filter processing means (catalyst temperature correcting means) 406 for performing a filtering process on the catalyst temperature calculated by the catalyst estimated temperature calculating means 405. Then, when the estimated value of the catalyst temperature t is calculated as described above, next, a filtering process is executed, thereby stabilizing the estimated catalyst temperature.
[0038]
Specifically, the
Here, k is a filter constant (gain). Then, the catalyst temperature filter value t 0, which is processed by the
[0039]
The
[0040]
In this case, the correction is performed so that the responsiveness of the catalyst temperature calculated by the estimated catalyst temperature calculating means 405 is higher when the
[0041]
Of course, as described above, “heat reception from the exhaust gas and heat reception by the reaction heat of the
[0042]
For this reason, if the same filter constant k is used when the catalyst temperature rises and when the catalyst temperature falls, a deviation occurs in the temperature estimation, making it difficult to estimate the temperature correctly. This has already been confirmed experimentally. Therefore, in the present embodiment, the filter constant k is set separately when the temperature of the
[0043]
Here, as a method of determining whether the catalyst temperature is increasing or decreasing, it is determined based on the difference between the present value and the previous value of the catalyst temperature t obtained by the above equation (1). may be, may be determined on the basis of the difference between the values of the previous equation (3) in this catalyst temperature t 0 after filtering obtained (n) (n-1). However, the catalyst temperature can be more accurately estimated by determining the filter constant k immediately before each time of the filter processing. Therefore, it is more preferable to make the determination based on the difference between the current value and the previous value of the catalyst temperature t.
[0044]
On the other hand, as described above, the
[0045]
This is because during the rich operation, the amount of fuel is relatively large, so that the fuel is cooled in the cylinder and the exhaust gas temperature is reduced.
Then, during such a rich operation, the second catalyst temperature correction means 408 corrects the catalyst temperature by multiplying the estimated catalyst temperature filtered by the filter processing means 406 by a predetermined value (for example, 0.85). It has become so.
[0046]
The correction in the second catalyst temperature correction means 408 is not limited to the above-described method. For example, even if the catalyst temperature is corrected by changing the values a and b in the above equation (1). Good. In this case, for example, the catalyst temperature is corrected by multiplying the values a and b by a coefficient of 1 or less. The correction may be performed by multiplying the value calculated by the above equation (1) by a predetermined value (for example, 0.85).
[0047]
If it is determined that the estimated (calculated) catalyst temperature is equal to or higher than the predetermined value, the combustion state control means protects the
Further, the
[0048]
Here, the limiting
[0049]
The clip values (upper limit value t MAX , lower limit value t MIN ) may be set differently when the air-fuel ratio is stoichiometric and when the air-fuel ratio is rich. This is because, as described above, cooling by fuel can be expected more in the rich state than in the stoichiometric state, and the temperature of the
[0050]
The
[0051]
This is because, in the decelerating state, the temperature estimation error increases in the above-described temperature estimation equation (1) for the following reasons (1) to (3).
{Circle around (1)} Since the intake air amount and the fuel injection amount are small during deceleration, the combustion state is not as good as during normal operation. For this reason, the exhaust gas temperature and unburned components in the exhaust gas (reacted by the catalyst 30) are different from those in the normal operation, and the catalyst temperature is also different.
{Circle around (2)} During deceleration, the amount of intake air, that is, the amount of exhaust gas is small, and the amount of cooling (removal of heat) by the exhaust gas of the
{Circle around (3)} In particular, during fuel cut, since fuel injection and combustion are not performed, the exhaust gas temperature itself differs from that during normal operation (during combustion), and the catalyst temperature is completely different.
[0052]
In addition to the above (1) to (3), in the deceleration state, the degree of generation of the heat of catalytic reaction is highly dependent on the catalyst temperature. Specifically, since the higher high reactivity activity degree of the
The amount of heat of the carrier (including the wash coat) of the
[0053]
For such a reason, the reaction heat in the
Therefore, in such a deceleration state, in the present embodiment, the estimated catalyst temperature is set to a predetermined value t 1 (for example, 650 ° C.).
[0054]
Although the above description is an example in which the predetermined value t 1 is a fixed value, the predetermined value t 1 is, for example, the catalyst temperature estimated value t at the time of the deceleration state determination [the temperature estimated value calculated by the equation (1)] ] May be set as a map. Further, the predetermined value t 1 catalyst temperature during deceleration state determination, the exhaust gas flow rate, air-fuel ratio among the fuel injection amount and the catalyst support volume (including washcoat), may be mapped corresponding to any one. The catalyst carrier capacity is a constant value among the above-mentioned parameters, and is not a value that fluctuates according to the running state. Therefore, when this catalyst carrier volume is used, it is applied in combination with other parameters.
[0055]
The deceleration state determination means 420 provided in the operation state detection means 450 determines whether the fuel cut control state is established (that is, the accelerator is off, the engine speed Ne is equal to or higher than a predetermined rotation speed, and the catalyst temperature is a predetermined value). Is determined, the fuel cut inhibition control state (that is, the accelerator is off, the engine rotation speed Ne is equal to or higher than a predetermined rotation speed, and the catalyst temperature is equal to or higher than a predetermined value) is determined. the predetermined value t 1 may be set to different values based on. In this case, it is preferable to set the catalyst temperature estimated value during the deceleration fuel cut to a value different from the catalyst temperature estimated value during the fuel cut inhibition control, specifically, a smaller value. This is because during deceleration fuel cut, fuel injection is prohibited and combustion is not performed, so that the exhaust gas temperature differs from the fuel cut prohibition time (during combustion) and the catalyst temperature greatly differs.
[0056]
As described above, if the estimated temperature t of the
[0057]
The threshold T is set to a temperature at which the
Since the catalyst deterioration preventing device according to one embodiment of the present invention is configured as described above, its operation will be described as follows.
[0058]
First, the temperature of the
[0059]
On the other hand, values a and b are set from the intake pipe pressure P based on a map stored in the constant storage unit 404 in advance. Then, in the estimated temperature calculating means 405, the catalyst temperature t is calculated by the above equation (1) using the values a and b and the exhaust gas flow rate Q.
Next, in the filter processing means 406, the filter processing is executed according to the above equation (3), and the catalyst temperature t is stabilized. Then, the catalyst temperature filter value t 0, which is processed by the
[0060]
The filter constant k used in the equation (3) is changed by the filter constant changing unit 407 according to the temperature change state of the
[0061]
If the combustion
[0062]
When the deceleration state is detected or determined by the deceleration
[0063]
FIG. 5 is a diagram showing a comparison between the measured value of the temperature of the
[0064]
If the estimated catalyst temperature t is equal to or higher than the predetermined value T, the combustion
When such deceleration fuel cut is prohibited, that is, when the temperature of the
[0065]
As described above, in the catalyst degradation prevention device according to the embodiment of the present invention, when the temperature of the
[0066]
Further, when such feedback control is prohibited, the fuel is set so that the air-fuel ratio becomes rich or stoichiometric based on the target intake air amount set by the target intake air amount setting means 460 or the actual intake air amount detected by the AFS 18. Since the injection amount is set, there is an advantage that leaning of the air-fuel ratio can be reliably suppressed.
By the way, in the present embodiment, since the temperature of the
[0067]
Further, in the present embodiment, since the exhaust gas flow rate Q is used as a parameter for estimating the temperature of the
[0068]
Further, by performing a filter process on the catalyst temperature, the estimated catalyst temperature can be stabilized, and the accuracy of estimating the catalyst temperature can be further improved.
Further, when the
[0069]
Specifically, the catalyst temperature can be estimated with higher accuracy by setting the filter constant k in accordance with the temperature change state (temperature rise or fall) of the
Further, when the combustion state is a rich air-fuel ratio, the estimated catalyst temperature is corrected to a lower temperature side, so that the temperature drop due to fuel cooling is also taken into account, and it is still possible to estimate the catalyst temperature with high accuracy. It becomes possible.
[0070]
In the deceleration state, the catalyst temperature is set to a value (for example, a predetermined value t 1 = 650 ° C.) set by a method different from the above equation (1), so that the
[0071]
On the other hand, the present invention has an advantage that the catalyst temperature estimated during the normal operation is changed to another value during the deceleration state, so that the catalyst temperature can be estimated with high accuracy even during the deceleration state. is there.
Further, it is judged whether or fuel cut prohibiting control mode is a fuel cut control state during deceleration state, when configured to set the predetermined value t 1 of the catalyst temperature on the basis of this determination result to different values Can estimate the catalyst temperature with higher accuracy even in the deceleration state.
[0072]
The embodiment of the present invention is not limited to the above, and can be variously modified without departing from the gist of the present invention. For example, in the present embodiment, the case where the
[0073]
In the present embodiment, the catalyst temperature estimated according to the engine load and the exhaust flow rate is configured to be differently corrected according to the temperature change state of the catalyst. Alternatively, different corrections may be made to the directly detected catalyst temperature according to the temperature change state of the catalyst. Further, in the present embodiment, a case has been described in which a so-called in-cylinder injection type spark-down type internal combustion engine is applied as the engine 1; however, the engine to which the present invention is applied is not limited to such an engine, but is applied to diesel engines. It may be applied to an engine. Further, in the present embodiment, the case where a three-way catalyst is used as the
[0074]
Further, the method of estimating or detecting the temperature is not limited to the method described in the present embodiment.
[0075]
【The invention's effect】
As described in detail above, according to the catalyst deterioration suppressing device of the present invention, when the temperature of the catalyst is a high temperature state equal to or higher than the predetermined temperature, stopping the fuel supply (deceleration fuel cut) is prohibited and Since the air-fuel ratio feedback control is prohibited, disturbance due to the air-fuel ratio feedback control in an operation region where the linearity of the fuel injection amount with respect to the injector pulse width is inferior can be suppressed, and stable air-fuel ratio control can be performed. There are advantages that can be done. In addition, this has the advantage that lean air-fuel ratio can be suppressed and thermal degradation of the catalyst can be suppressed.
[0076]
Further, according to the catalyst deterioration suppressing device of the present invention, when the fuel supply stop is prohibited, the fuel injection amount is set based on the target intake air amount and the stoichiometric air-fuel ratio. There is an advantage that leaning of the fuel ratio can be reliably suppressed.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic diagram showing an overall configuration of a catalyst deterioration suppressing device according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a schematic block diagram showing a main configuration of a catalyst deterioration suppressing device according to one embodiment of the present invention.
FIG. 3 is a view showing measured data of catalyst temperature obtained in a process of creating a catalyst deterioration suppressing device according to an embodiment of the present invention.
FIG. 4 is an example of a map stored in constant storage means of the catalyst degradation suppressing device according to one embodiment of the present invention.
FIG. 5 is a diagram for explaining the operation and effect of the catalyst deterioration suppressing device according to one embodiment of the present invention.
FIG. 6 is a diagram for explaining a problem of the present invention, and is a diagram showing a relationship between a fuel injection time and a fuel injection amount of an injector.
[Explanation of symbols]
1
20 Exhaust pipe (exhaust passage)
30 catalyst (exhaust purification catalyst)
401 Catalyst temperature estimation means 410 Combustion state control means 410a Fuel supply stop means 410b Fuel supply stop prohibition means 460 Target intake air amount setting means 470 Target air-fuel ratio setting means 480 Fuel injection amount setting means 490 Feedback control prohibition means
Claims (2)
該触媒の温度を検出又は推定する触媒温度推定手段と、
減速走行時に該エンジンヘの燃料供給を停止する燃料供給停止手段と、
該触媒温度推定手段により触媒の温度が所定温度以上の高温状態であると判定されると該燃料供給停止手段による燃料の供給停止を禁止する燃料供給停止禁止手段と、
該エンジンの運転状態に基づき目標吸入空気量を設定する目標吸入空気量設定手段と、
該エンジンの運転状態に基づき目標空燃比を設定する目標空燃比設定手段と、該目標空燃比と該目標吸入空気量とに応じて燃料噴射量を設定するとともに実際の空燃比情報をフィードバックして該目標空燃比となるように燃料噴射量をフィードバック制御する燃料噴射量設定手段と、
該燃料供給停止禁止手段により該燃料供給停止が禁止されている場合には、該燃料噴射量設定手段におけるフィードバック制御を禁止するフィードバック制御禁止手段と
をそなえたことを特徴とする、触媒劣化抑制装置。An exhaust purification catalyst provided in an exhaust passage of the engine to purify harmful substances in the exhaust;
Catalyst temperature estimating means for detecting or estimating the temperature of the catalyst;
Fuel supply stopping means for stopping fuel supply to the engine during deceleration traveling;
Fuel supply stop prohibition means for prohibiting the fuel supply stop means from stopping supply of fuel when the catalyst temperature estimating means determines that the temperature of the catalyst is a high temperature state equal to or higher than a predetermined temperature;
Target intake air amount setting means for setting a target intake air amount based on an operation state of the engine;
A target air-fuel ratio setting means for setting a target air-fuel ratio based on an operation state of the engine; and setting a fuel injection amount according to the target air-fuel ratio and the target intake air amount and feeding back actual air-fuel ratio information. Fuel injection amount setting means for performing feedback control of the fuel injection amount so as to achieve the target air-fuel ratio;
A catalyst deterioration suppressing device, comprising feedback control prohibiting means for prohibiting feedback control in the fuel injection amount setting means when the fuel supply stop is prohibited by the fuel supply stop prohibiting means. .
該燃料供給停止禁止手段により該燃料供給停止が禁止されている場合に、該目標吸入空気量と理論空燃比とに基づいて燃料噴射量を設定する
ことを特徴とする、請求項1記載の触媒劣化抑制装置。The fuel injection amount setting means includes:
The catalyst according to claim 1, wherein when the fuel supply stop is prohibited by the fuel supply stop prohibiting means, a fuel injection amount is set based on the target intake air amount and a stoichiometric air-fuel ratio. Deterioration suppression device.
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