【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンガ壁構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来のレンガ壁構造は、焼成レンガを、モルタルの目地材を介して、積み上げることで、壁を構築していた。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のレンガ壁構造では、焼成レンガは、重く、壁として高く積み上げるのに、苦労を要していた。また、焼成レンガは、焼成工程を要するため、製作に手間がかかり、コスト高となっていた。
【０００４】
そこで、本発明は、容易に積み上げて壁を構築できると共に、コストダウンを図ることができるレンガ壁構造を提供することを目的とする。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係るレンガ壁構造は、木質系レンガ材を、山土を主成分とする目地材を介して、積み上げたものである。
【０００６】
そして、隣り合う木質系レンガ材の離間寸法を、３０〜５０ｍｍとしている。また、木質系レンガ材の上面と下面の少なくとも一面に、凹溝を設けている。
【０００７】
また、木質系レンガ材が、天然木材、改良木材、天然繊維圧縮素材の内の一つから成る。また、目地材が、山土を主成分とすると共に、天然繊維を混在させている。
【０００８】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
【０００９】
図１の断面平面図、図２の断面右側面図、図３の要部拡大一部破断斜視図に於て、本発明のレンガ壁構造は、木質系レンガ材１を、山土を主成分とする目地材２を介して、積み上げたものである。
【００１０】
本レンガ壁構造は、建築物の外壁や内壁に用いられ、住宅や、温度・湿度の変化を嫌う品物の貯蔵庫などに最適となる。なお、貯蔵庫としては、文化財等の保管倉庫、美術品倉庫、むろ等の農産物貯蔵庫等がある。
【００１１】
木質系レンガ材１は、天然木材、改良木材、天然繊維圧縮素材の内の一つからなり、要するに、木質系レンガ材１は、焼成レンガ以外の有機質素材で製造される。ここで、「天然木材」とは、例えば、杉、松、桧等の針葉樹などの乾燥材をいい、「改良木材」とは、天然木材に樹脂を注入したものをいい、「天然繊維圧縮素材」とは、天然木材の粉砕したもの、又は、天然（植物）繊維を、圧縮して成形した素材をいう。
【００１２】
この木質系レンガ材１は、湿気の吸収・放出の性質と、熱の不伝導の性質と、を有する。具体的に述べると、木質系レンガ材１は、室内の湿気が多くなると吸収し、他方、室内が乾燥すると湿気を放出して、室内の湿度を調整する役割と、室内を断熱する役割と、を担う。
【００１３】
目地材２は、山土を主成分として、粘土、石灰を少量加えると共に、天然繊維を混在させている。具体的に、目地材２は、山土に天然繊維を混入し水をいれて寝かすことで、製造される。ここで、「山土」とは、山の表土（腐葉土）よりも下層の土をいい、真砂土とも呼ばれ、また、「天然繊維」とは、わら、麻等のすさをいう。なお、（消）石灰等を、さらに、混入させてもよく、固まり易くなる。
【００１４】
この目地材２は、湿気の吸収・放出の性質と、熱・音の不伝導の性質と、を有する。具体的に述べると、目地材２は、前記木質系レンガ材１と同様に、室内の湿度を調整する役割と、室内を断熱する役割と、を担い、さらに、室内を遮音する役割を担う。
【００１５】
そして、本実施の形態では、木質系レンガ材１を、表裏二面各々に積み上げている。木質系レンガ材１は、長さＬが ２５０〜 ４００ｍｍで、幅Ｈが９０〜 １００ｍｍで、厚さＤが３０〜６０ｍｍの直方体であり、隣り合う木質系レンガ材１，１の離間寸法Ｗは、３０〜５０ｍｍである。
【００１６】
このように、木質系レンガ材１の長さＬが、従来の焼成レンガの長さ（約 ２１０ｍｍ）に比べて長いのは、壁の強度を向上させるためである。なお、木質系レンガ材１の長さＬを、半分の長さＬ／２としてもよい。
【００１７】
また、離間寸法Ｗを、従来の隣り合う焼成レンガの離間寸法（約１０ｍｍ）に比べて、３０〜５０ｍｍと長くすることで、目地材２を多量に使用して、湿度調整性能・断熱性能・遮音性能を向上させることができ、さらに、壁厚Ａが ２１０〜 ２５０ｍｍと厚くなり、断熱・遮音に一層優れたものとなる。即ち、離間寸法Ｗが３０ｍｍ未満では、目地材２の使用量が少なくなり、湿度調整・断熱・遮音の各性能を期待することができず、離間寸法Ｗが５０ｍｍを越えると、目地材２の使用量が無駄に多くなる欠点がある。
【００１８】
また、木質系レンガ材１の上面と下面の夫々に、木質系レンガ材１の長手方向（長さＬ方向）に沿って、（溝幅７〜１２ｍｍ、溝深さ６〜１０ｍｍの）凹溝３が設けられている。上面の凹溝３と下面の凹溝３とは、夫々、平面視、短手方向（幅Ｈ方向）の左右に配設されている。
【００１９】
この凹溝３により、木質系レンガ材１と目地材２との密着度を高めることができ、特に、短手方向の揺れに強いものとなる。なお、図１と図２に示す符号１０は、両端に引掛部を有する連結金具であって、この連結金具１０の両端の引掛部を、表裏側の木質系レンガ材１，１の凹溝３，３に掛止して、相互に分離しないように連結して、強度アップを図っている。
【００２０】
凹溝３の溝幅は、木質系レンガ材１の幅Ｈの７〜１２％であり、凹溝３の溝深さは、木質系レンガ材１の厚さＤの１０〜２０％であり、小さな横断面となる。
【００２１】
なお、凹溝３は、木質系レンガ材１の上面と下面の少なくとも一面に設ければよく、また、凹溝３の配設位置や数量は、設計変更可能である。
【００２２】
４は、目地材２の表面側を覆う目地仕上げ材である。そして、室内用としては、珪藻土や麦飯石などを成分として含むものや、トルマリン粉末を混入したものや、火山灰（シラス）を混入したものが、好適であって、消臭や空気浄化あるいは吸湿・放湿───調湿───の効果を有し、室内環境を良好とできる。また、室外用（屋外用）の目地仕上げ材４としては、火山灰（シラス）や消石灰や漆喰等を混入したものが好適であって、断熱や遮音と防湿性に優れている。
【００２３】
以上まとめると、本レンガ壁構造は、自然界に普通に存在する「木」と「土」や「わら」等の自然材料からなっているため、高断熱・高遮音・乾湿度調整十分の居住空間を自然に得ることができる。また、現在問題になっているシックハウス症候群の原因物質のホルムアルデヒド等の化学物質を、発生することがない。このように、室内環境を良好にし、健康の増進を図ることができる。
【００２４】
また、「木」は、例えば、山で容易に調達して、簡単に加工することができ、軽量で持ち運びが容易である。そして、「土」は容易に入手できる。従って、誰でも、簡単にレンガ壁を造ることができる。
【００２５】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、木質系レンガ材１の材料として、解体家屋の廃材や、間伐材を利用してもよく、資源の有効利用ができる。また、目地材２の材料として、空気の浄化やマイナスイオンの発生などの性質を有する土や、室内環境に有効な成分を持つ土や、医療（健康）に有効な成分を持つ土等を、用いてもよい。さらに、木質系レンガ材１に、防腐処理を施すようにしてもよく、また、本レンガ壁構造において、壁内に鉄筋等を挿入して、耐震性・耐久性を向上させるようにしてもよい。また、本レンガ壁構造に、棚や窓枠などを取り付けるようにしてもよい。
【００２６】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成されるので、次に記載する効果を奏する。
【００２７】
（請求項１によれば、）木質系レンガ材１は、軽量であるため、容易に積み上げて壁を構築できる。また、木質系レンガ材１は、加工（製造）が容易で、安く入手することができ、さらに、目地材２（山土）も入手しやすいため、全体として、コストダウンを図ることができ、かつ、目地材２の再利用が可能である。
【００２８】
また、住宅の外壁として用いた場合、湿度調整・断熱・遮音の各性能が良好な室内環境を自然に得られることができる。さらに、木質系レンガ材１は、目地材２に埋まっているので、火災に強く、防火性能に優れたものとなる。しかも、将来の取り壊し時において、廃棄が簡単で、公害等の発生がない。
【００２９】
（請求項２によれば、）目地を広くしているため、目地材２を多量に使用でき、湿度調整・断熱・遮音・消臭・防火の各性能の向上を図り、室内環境が一層良好なものとなる。また、壁厚Ａを厚くでき、断熱、遮音に優れたものとなり、さらに、外壁を堅固にし、重量感をもたせ、住宅に安全性と安心感を得ることができる。
（請求項３によれば、）木質系レンガ材１と目地材２との密着度（接着度）を高め、頑丈な構造となる。
【００３０】
（請求項４、５によれば、）安価で入手しやすいものとなるため、一層、コストダウンを図ることができる。また、燃えにくい材質であるため、防火に優れたものとなる。
（請求項５によれば、）天然繊維が「つなぎ」の役目をし、強度、剛性の高い壁となる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の一形態を示す断面平面図である。
【図２】断面右側面図である。
【図３】要部拡大一部破断斜視図である。
【符号の説明】
１ 木質系レンガ材
２ 目地材
３ 凹溝
Ｗ 離間寸法[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a brick wall structure.
[0002]
[Prior art]
In the conventional brick wall structure, fired bricks are piled up via joint materials of mortar to build a wall.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the conventional brick wall structure, fired bricks are heavy, and it has been difficult to pile up high as a wall. In addition, since a fired brick requires a firing step, it takes time and effort to manufacture, and the cost is high.
[0004]
Therefore, an object of the present invention is to provide a brick wall structure that can easily build up a wall and reduce costs.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above-mentioned object, a brick wall structure according to the present invention is obtained by stacking wood-based brick materials via joint materials mainly composed of mountain soil.
[0006]
The spacing between adjacent wooden bricks is 30 to 50 mm. Further, a concave groove is provided on at least one of the upper surface and the lower surface of the wooden brick.
[0007]
The wood-based brick is made of one of natural wood, improved wood, and compressed natural fiber material. In addition, the joint material has mountain soil as a main component and natural fibers mixed therein.
[0008]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail with reference to the drawings showing the embodiments.
[0009]
In the cross-sectional plan view of FIG. 1, the cross-sectional right side view of FIG. 2, and the partially enlarged perspective view of the main part of FIG. 3, the brick wall structure of the present invention is mainly composed of a wooden brick 1 and a mountain soil. Through the joint material 2 described above.
[0010]
The brick wall structure is used for an outer wall or an inner wall of a building, and is most suitable for a house or a storage of goods that do not like changes in temperature and humidity. The storage includes a storage warehouse for cultural properties and the like, a warehouse for works of art, and a storage for agricultural products such as muro.
[0011]
The wood-based brick 1 is made of one of natural wood, improved wood, and compressed natural fiber material. In short, the wood-based brick 1 is made of an organic material other than fired brick. Here, "natural wood" refers to, for example, dry wood such as conifers such as cedar, pine, and cypress. "Improved wood" refers to natural wood infused with a resin. "" Refers to a material obtained by compressing natural wood or compressing natural (plant) fiber.
[0012]
The wood-based brick 1 has a property of absorbing and releasing moisture and a property of not conducting heat. More specifically, the wood-based brick material 1 absorbs when the humidity in the room is increased, and releases moisture when the room is dried to adjust the humidity in the room, and to insulate the room. Carry.
[0013]
The joint material 2 contains mountain soil as a main component, a small amount of clay and lime, and a mixture of natural fibers. Specifically, the joint material 2 is manufactured by mixing natural fibers into mountain soil, adding water, and then laying down. Here, “mountain soil” refers to soil below the mountain topsoil (humus soil) and is also called masago soil, and “natural fibers” refers to straw, hemp and the like. In addition, (consumed) lime and the like may be further mixed, and the lime or the like is easily solidified.
[0014]
The joint material 2 has a property of absorbing and releasing moisture and a property of not conducting heat and sound. More specifically, the joint material 2 has a role of adjusting the humidity in the room, a role of insulating the room, and a role of insulating the room, similarly to the wood-based brick material 1.
[0015]
In this embodiment, the wooden bricks 1 are stacked on each of the front and back surfaces. The wood-based brick 1 is a rectangular parallelepiped having a length L of 250 to 400 mm, a width H of 90 to 100 mm, and a thickness D of 30 to 60 mm. , 30 to 50 mm.
[0016]
The reason why the length L of the wood-based brick 1 is longer than the length of the conventional fired brick (about 210 mm) is to improve the strength of the wall. Note that the length L of the wood-based brick 1 may be half the length L / 2.
[0017]
Further, by increasing the separation dimension W to 30 to 50 mm as compared with the separation dimension (about 10 mm) of the conventional adjacent fired brick, a large amount of joint material 2 is used, and humidity adjustment performance, heat insulation performance, The sound insulation performance can be improved, and the wall thickness A is as thick as 210 to 250 mm, so that the heat insulation and sound insulation are more excellent. That is, if the separation dimension W is less than 30 mm, the amount of the joint material 2 used is reduced, and it is not possible to expect the performance of humidity adjustment, heat insulation, and sound insulation. If the separation dimension W exceeds 50 mm, the joint material 2 There is a disadvantage that the amount of use is wasted.
[0018]
In addition, a concave groove (with a groove width of 7 to 12 mm and a groove depth of 6 to 10 mm) along the longitudinal direction (length L direction) of the wooden brick 1 is provided on each of the upper surface and the lower surface of the wooden brick 1. 3 are provided. The concave groove 3 on the upper surface and the concave groove 3 on the lower surface are respectively disposed on the left and right in the short direction (width H direction) in plan view.
[0019]
Due to the concave grooves 3, the degree of adhesion between the wood-based brick material 1 and the joint material 2 can be increased, and in particular, it is resistant to shaking in the transverse direction. Reference numeral 10 shown in FIGS. 1 and 2 is a connection fitting having hooks at both ends, and the hooks at both ends of the connection fitting 10 are formed by the concave grooves 3 of the wood-based brick materials 1, 1 on the front and back sides. , 3 and are connected so as not to be separated from each other to increase the strength.
[0020]
The groove width of the concave groove 3 is 7 to 12% of the width H of the wooden brick 1, the groove depth of the concave 3 is 10 to 20% of the thickness D of the wooden brick 1, It has a small cross section.
[0021]
The grooves 3 may be provided on at least one of the upper surface and the lower surface of the wooden brick 1, and the position and the number of the grooves 3 can be changed in design.
[0022]
Reference numeral 4 denotes a joint finishing material that covers the surface side of the joint material 2. For indoor use, those containing diatomaceous earth, barley stone, etc. as components, those mixed with tourmaline powder, and those mixed with volcanic ash (silas) are suitable, and are suitable for deodorization, air purification or moisture absorption. It has the effect of moisture release and humidity control, and can improve the indoor environment. As the outdoor (outdoor) joint finishing material 4, a material mixed with volcanic ash (shirasu), slaked lime, plaster, or the like is suitable, and is excellent in heat insulation, sound insulation, and moisture resistance.
[0023]
In summary, the brick wall structure is made of natural materials such as "tree" and "soil" and "straw" which are commonly found in the natural world. Can be obtained naturally. Further, there is no generation of a chemical substance such as formaldehyde which is a causative substance of the sick house syndrome which is a problem at present. As described above, the indoor environment can be improved and health can be improved.
[0024]
In addition, “trees” can be easily procured from a mountain and easily processed, for example, and are lightweight and easy to carry. And "soil" is readily available. Therefore, anyone can easily build a brick wall.
[0025]
It should be noted that the present invention is not limited to the above-described embodiment, and design changes can be made without departing from the spirit of the present invention. For example, as a material of the wood-based brick 1, scrap wood from a dismantled house or thinned wood may be used, so that resources can be effectively used. Examples of the material for the joint material 2 include soil having properties such as air purification and generation of negative ions, soil having a component effective in an indoor environment, and soil having a component effective in medical care (health). May be used. Further, the wood-based brick material 1 may be subjected to an antiseptic treatment, and in the present brick wall structure, a reinforcing bar or the like may be inserted into the wall to improve earthquake resistance and durability. . Further, a shelf, a window frame, or the like may be attached to the brick wall structure.
[0026]
【The invention's effect】
Since the present invention is configured as described above, the following effects can be obtained.
[0027]
Since the wood-based brick 1 is lightweight (according to claim 1), it can be easily stacked to form a wall. Further, the wood-based brick material 1 is easy to process (manufacture) and can be obtained at a low price. Further, since the joint material 2 (mountain soil) is also easily available, the cost can be reduced as a whole, In addition, the joint material 2 can be reused.
[0028]
Further, when used as an outer wall of a house, it is possible to naturally obtain an indoor environment in which the performances of humidity adjustment, heat insulation, and sound insulation are good. Furthermore, since the wood-based brick material 1 is buried in the joint material 2, it is resistant to fire and excellent in fire prevention performance. Moreover, in the event of demolition in the future, disposal is easy and no pollution occurs.
[0029]
Since the joint is widened, the joint material 2 can be used in a large amount, and the humidity control, heat insulation, sound insulation, deodorization, and fire prevention are improved, and the indoor environment is further improved. It becomes something. In addition, the wall thickness A can be increased, and the heat insulation and the sound insulation can be excellent. Further, the outer wall can be made firm and heavy, and the house can have a sense of safety and security.
According to the third aspect, the degree of adhesion (degree of adhesion) between the wood-based brick material 1 and the joint material 2 is increased, resulting in a sturdy structure.
[0030]
(According to Claims 4 and 5) Since it is inexpensive and easily available, the cost can be further reduced. Moreover, since it is a material which is hard to burn, it is excellent in fire prevention.
(According to claim 5), the natural fiber serves as a "connector" and forms a wall having high strength and rigidity.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a sectional plan view showing an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a sectional right side view.
FIG. 3 is an enlarged partial cutaway perspective view of a main part.
[Explanation of symbols]
1 Wood-based brick material 2 Joint material 3 Groove W Separation dimension
