JP2004050377A - ロボットハンド - Google Patents
ロボットハンド Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004050377A JP2004050377A JP2002214271A JP2002214271A JP2004050377A JP 2004050377 A JP2004050377 A JP 2004050377A JP 2002214271 A JP2002214271 A JP 2002214271A JP 2002214271 A JP2002214271 A JP 2002214271A JP 2004050377 A JP2004050377 A JP 2004050377A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- robot hand
- gripping
- frictional force
- fluid pressure
- pressure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Manipulator (AREA)
Abstract
【課題】低摩擦表面を持つ把持対象物でも確実に把持することができるロボットハンドの提供を課題とする。
【解決手段】各フィンガ部材3に、把持対象物Oを把持した場合に、該把持対象物Oとの接触箇所に対して摩擦力を発生させる摩擦力形成機構4を備える構成を採用した。
【選択図】 図3
【解決手段】各フィンガ部材3に、把持対象物Oを把持した場合に、該把持対象物Oとの接触箇所に対して摩擦力を発生させる摩擦力形成機構4を備える構成を採用した。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボットハンドに関し、特に、把持対象物を把持した後のホールドを確実なものとすることができるロボットハンドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地上、宇宙、さらには海底における作業において、ロボットハンドを備えた作業ロボットが広く用いられている。前記ロボットハンドとしては、複数の指部を屈曲可能に連結したフィンガ部材を一対備え、これらフィンガ部材間に把持対象物を挟み込んで把持する構成が一般的となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のロボットハンドは、摩擦係数の高い把持対象物を把持する場合には問題ないものの、金属部品などの低摩擦係数を有する把持対象物を把持する場合に、フィンガ部材間から把持対象物が滑り抜けてしまう問題があった。この問題は、特に、把持対象物を把持した状態のロボットハンドに加速度を与えた場合に生じやすく、ロボットハンドの動きに追従できずに把持対象物が脱落することがあった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低摩擦表面を持つ把持対象物でも確実に把持することができるロボットハンドの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1に記載のロボットハンドは、複数本のフィンガ部材を備え、これらフィンガ部材間に把持対象物を把持するロボットハンドにおいて、前記各フィンガ部材に、前記把持対象物を把持した場合に、該把持対象物との接触箇所に対して摩擦力を発生させる摩擦力形成機構が備えられていることを特徴とする。
上記請求項1に記載のロボットハンドによれば、各フィンガ部材間に把持対象物を挟み込んだ後、摩擦力形成機構を起動させることで、各フィンガ部材及び把持対象物間の接触箇所に摩擦力を付与することができる。
【0006】
請求項2に記載のロボットハンドは、請求項1に記載のロボットハンドにおいて、前記摩擦力形成機構に、前記把持対象物に向かって膨らんで接触する膨張体が備えられていることを特徴とする。
上記請求項2に記載のロボットハンドによれば、膨張体を膨らませて把持対象物に接触させることで、膨張体が把持対象物の表面を圧迫する。
【0007】
請求項3に記載のロボットハンドは、請求項2に記載のロボットハンドにおいて、前記膨張体が、複数設けられ、これら膨張体が、流体圧を供給する共通の第1配管により、互いに連通可能に接続されていることを特徴とする。
上記請求項3に記載のロボットハンドによれば、第1配管に流体圧を供給すると、これに連通する全ての膨張体に流体圧が作用してこれら膨張体を膨張させる。この時の各膨張体は、第1配管によって互いに連通しているため、内部圧力が互いに等しいものとなる。
【0008】
請求項4に記載のロボットハンドは、請求項2に記載のロボットハンドにおいて、前記膨張体が、複数設けられ、これら膨張体に、流体圧を供給する第2配管がそれぞれ個別に接続されていることを特徴とする。
上記請求項4に記載のロボットハンドによれば、各第2配管に流体圧を供給すると、これら第2配管内の流体圧に応じた膨張率で、各膨張体が膨張する。この時、各第2配管内の流体圧を互いに異なるものにすることで、各膨張体の膨張率を互いに異なるものにすることができる。
【0009】
請求項5に記載のロボットハンドは、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のロボットハンドにおいて、前記膨張体の表面に、粘着物が設けられていることを特徴とする。
上記請求項5に記載のロボットハンドによれば、膨張体を膨らませて把持対象物を圧迫すると、この膨張体が粘着物によって把持対象物に貼り付く。
【0010】
請求項6に記載のロボットハンドは、請求項1に記載のロボットハンドにおいて、前記摩擦力形成機構に、摩擦体と、該摩擦体を前記把持対象物に向かって押し付ける射出装置とが備えられていることを特徴とする。
上記請求項6に記載のロボットハンドによれば、射出装置によって摩擦体を把持対象物に向けて押し付けることで、把持対象物の表面を圧迫する。
【0011】
請求項7に記載のロボットハンドは、請求項6に記載のロボットハンドにおいて、前記摩擦体及び前記射出装置が、複数組が設けられ、これら射出装置に、その摩擦体の射出力及び射出ストロークを制御する制御装置が接続されていることを特徴とする。
上記請求項7に記載のロボットハンドによれば、各射出装置により各摩擦体を射出すると、これら射出装置の射出力及び射出ストロークに応じた圧迫力で把持対象物を圧迫する。この時、各射出装置の射出力及び射出ストロークを互いに異なるものにすることで、各摩擦体の圧迫力を互いに異なるものにすることができる。
【0012】
請求項8に記載のロボットハンドは、請求項6または請求項7に記載のロボットハンドにおいて、前記摩擦体の表面に、粘着物が設けられていることを特徴とする。
上記請求項8に記載のロボットハンドによれば、摩擦体で把持対象物を圧迫すると、この摩擦体が粘着物によって把持対象物に貼り付く。
【0013】
請求項9に記載のロボットハンドは、複数本のフィンガ部材を備え、これらフィンガ部材間に把持対象物を把持するロボットハンドにおいて、前記各フィンガ部材に、前記把持対象物を把持した場合に、該把持対象物との接触箇所に対して接着剤を吐出する接着機構が備えられていることを特徴とする。
上記請求項9に記載のロボットハンドによれば、各フィンガ部材間に把持対象物を挟み込んだ後、接着機構を起動させることで、各フィンガ部材及び把持対象物間の接触箇所を接着固定することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のロボットハンドの各実施形態を、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明がこれらのみに限定解釈されるものでないことは勿論である。
まず、図1から図4を参照しながら、本発明の第1実施形態について以下に説明する。
【0015】
図1及び図2に示すように、本実施形態のロボットハンド1は、基部2と、該基部2に接続された2本(複数本)のフィンガ部材3を備え、これらフィンガ部材3間に把持対象物Oを把持する概略構成となっている。
各フィンガ部材3は、それぞれ、3本の指部3a,3b,3c間を関節3d,3eで連結した多関節フィンガ部材であり、関節3fにおいて基部2に連結されている。そして、これらフィンガ部材3は、図示を省略するが、基部2内に内蔵されたモータにより、プーリ及び巻き取り装置及びワイヤを備える駆動力伝達機構を介して駆動され、図1の開いた状態から図2の閉じた状態に動作するようになっている。この閉じる際の各フィンガ部材3は、把持対象物Oの外形になじむように変形するため、各指部3a,3b,3cのそれぞれが把持対象物Oの表面に当接して把持する。なお、各指部3a,3b,3cには、把持対象物Oと接触する把持面(後述)に、低摩擦処理が施されている。これにより、当接した把持対象物Oを弾くことなく各フィンガ部材3間に導き入れることができるようになっている。
【0016】
そして、本実施形態のロボットハンド1は、各フィンガ部材3に、把持対象物Oを把持した後に、該把持対象物Oとの接触箇所に対して摩擦力を発生させる摩擦力形成機構4を備えた点が、特に特徴的となっている。この摩擦力形成機構4は、把持対象物Oに向かって膨らんで接触する膨張体5を複数備えている。
【0017】
図3及び図4に示すように、摩擦力形成機構4は、ガス圧または油圧などの流体圧を蓄えた流体圧源6と、該流体圧源6及び前記各膨張体5間を接続する配管7(第1配管)と、該配管7内の流体圧を測定する圧力センサ8と、配管7内の流体圧を調節する調圧バルブ9(電磁弁)と、該調圧バルブ9を操作する制御装置10とを備えて構成されている。
【0018】
各膨張体5は、前記把持面(以下、把持面3a1,3b1,3c1と称する)に形成された貫通孔3a2,3b2,3c2よりも奥側に引き込まれた状態に収容された、例えば樹脂製の中空体であり、その内部に流体圧を取り込むことで、図4に示す状態に膨張可能となっている。そして、これら膨張体5の表面は、前記把持面3a1,3b1,3c1よりも高い摩擦力を備えているため、接触する把持対象物Oとの間で滑りが生じにくくなっている。
【0019】
配管7は、各膨張体5に流体圧を供給する共通の配管であり、この配管7によって、各膨張体5間が互いに連通可能に接続されている。
制御装置10は、図3に示すように、各フィンガ部材3が把持対象物Oを把持した後、調圧バルブ9を開かせる。すると、図4に示すように、流体圧源6からの流体圧が配管7を介して各膨張体5に供給され、これら膨張体5を同時に膨らませる。この時、制御装置10は、圧力センサ8を介して配管7内の圧力(すなわち、各膨張体5内の圧力)を取り込んで監視し、予め設定された設定圧力値と等しくなった時点で調圧バルブ9を閉じる。
【0020】
このようにして適切な圧で膨らまされた各膨張体5は、前記貫通孔3a2,3b2,3c2より外部に突出するため、把持対象物Oとロボットハンド1との間の接触箇所が、前記把持面3a1,3b1,3c1よりも高い摩擦係数を有する各膨張体5に入れ替わる。なおかつ、各膨張体5の膨張力が把持対象物Oの外周面を周囲より圧迫するため、さらに摩擦力を高める効果を得ることが可能となっている。しかも、各膨張体5は、把持対象物Oの当接箇所の形状になじむように膨らむため、接触面積を稼いで摩擦力のさらなる向上を達成可能としている。
なお、把持対象物Oに対する各膨張体5の固定をさらに強固にする手段として、これら膨張体5の表面に粘着物を予め設けておくようにしても良い。
【0021】
以上説明の本実施形態のロボットハンド1によれば、各フィンガ部材3に摩擦力形成機構4を設けたことにより、各フィンガ部材3及び把持対象物O間の接触箇所に強固な摩擦力を付与することができるので、低摩擦表面を有する把持対象物でも確実に把持することが可能となる。
また、本実施形態のロボットハンド1によれば、各膨張体5を、共通の配管7により加圧可能に連通させることで、各膨張体5の内部圧力を、互いに等しいものにすることができるので、各膨張体5の位置での摩擦力を略均等にすることが可能となる。
【0022】
続いて、図5及び図6を参照しながら、本発明の第2実施形態について以下に説明する。なお、本実施形態は、上記第1実施形態の変形例に相当するので、その相違点のみを説明し、その他については上記第1実施形態と同様であるとして説明を省略する。
【0023】
同図に示すように、本実施形態のロボットハンド(以下、上記第1実施形態のロボットハンド1と区別するために符号11を付して説明する。)は、前記共通の配管7の代わりに、各膨張体5に対してそれぞれ個別に流体圧を供給する複数本の配管12(第2配管)を設けた点が、特に特徴的となっている。
各配管12は、各膨張体5と流体圧源6との間を個別に接続しており、それぞれに、前記圧力センサ8と調圧バルブ9が備えられている。そして、図5に示すように、各フィンガ部材3が把持対象物Oを把持した後、制御装置10が各調圧バルブ9を開かせると、図6に示すように、流体圧源6からの流体圧が各配管12を介して各膨張体5に供給され、これら膨張体5を同時に膨らませる。この時、制御装置10は、各圧力センサ8を介して各配管12内の圧力(すなわち、各膨張体5内の圧力)を取り込んで監視し、予め設定された設定圧力値と等しくなった時点で各調圧バルブ9を閉じる。
【0024】
この時、必要に応じて、各配管12内の流体圧を互いに異なるものにすることで、各膨張体5の膨張率を互いに異なるものにすることができる。これにより、各膨張体5の位置での摩擦力が異なるように微調整することが可能となる。
【0025】
続いて、図7及び図8を参照しながら、本発明の第3実施形態について以下に説明する。なお、本実施形態は、上記第1実施形態の変形例に相当するので、その相違点のみを説明し、その他については上記第1実施形態と同様であるとして説明を省略する。
【0026】
同図に示すように、本実施形態のロボットハンド(以下、上記第1実施形態のロボットハンド1と区別するために符号21を付して説明する。)は、前記摩擦力形成機構4の代わりに、図7に示す摩擦力形成機構22を設けた点が、特に特徴的となっている。
この摩擦力形成機構22は、各指部3a,3b,3cのそれぞれに収容された3つ(複数)の摩擦体23と、これら摩擦体23を把持対象物Oに向かって押し付ける流体圧シリンダ24(射出装置)と、ガス圧または油圧などの流体圧を蓄えた流体圧源25と、該流体圧源25及び前記各流体圧シリンダ24間をそれぞれ個別に接続する複数本の配管26と、これら配管26内の流体圧を測定する圧力センサ27と、各配管26内の流体圧を調節する複数の調圧バルブ28(電磁弁)と、これら調圧バルブ28を操作する制御装置29とを備えて構成されている。
【0027】
各摩擦体23は、前記貫通孔3a2,3b2,3c2よりも奥側に引き込まれた状態に収容された、例えば樹脂製の弾性体であり、それぞれに設けられた流体圧シリンダ24の射出力により、図8に示す状態に突出可能となっている。そして、これら摩擦体23の表面は、前記把持面3a1,3b1,3c1よりも高い摩擦力を備えているため、接触する把持対象物Oとの間で滑りが生じにくくなっている。
【0028】
各配管26は、各摩擦体23と流体圧源25との間を個別に接続しており、それぞれに、前記圧力センサ27と調圧バルブ28が備えられている。そして、図7に示すように、各フィンガ部材3が把持対象物Oを把持した後、制御装置29が各調圧バルブ28を開かせると、図8に示すように、流体圧源25からの流体圧が各配管26を介して各流体圧シリンダ24に供給され、各摩擦体23を把持対象物Oに向けて押し付ける。この時、制御装置29は、各圧力センサ27を介して各配管26内の圧力(すなわち、各流体圧シリンダ24の圧力)を取り込んで監視し、予め設定された設定圧力値と等しくなった時点で各調圧バルブ28を閉じる。
【0029】
このようにして適切な射出力及び射出ストロークをもって射出された各摩擦体23は、前記貫通孔3a2,3b2,3c2より外部に突出するため、把持対象物Oとロボットハンド21との間の接触箇所が、前記把持面3a1,3b1,3c1よりも高い摩擦係数を有する各摩擦体23に入れ替わる。なおかつ、各流体圧シリンダ24の射出力が把持対象物Oの外周面を周囲より圧迫するため、さらに摩擦力を高める効果を得ることが可能となっている。しかも、各摩擦体23は、把持対象物Oの当接箇所の形状になじむように弾性変形するため、接触面積を稼いで摩擦力のさらなる向上を達成可能としている。
【0030】
以上説明の本実施形態のロボットハンド21によれば、上記第1実施形態のロボットハンド1と同様の効果を得ることが可能となる。すなわち、低摩擦表面を有する把持対象物でも確実に把持することが可能となる。
なお、把持対象物Oに対する各摩擦体23の固定をさらに強固にする手段として、これら摩擦体23の表面に粘着物を予め設けておくようにしても良い。
また、必要に応じて、各流体圧シリンダ24の流体圧を互いに異なるものにすることで、各摩擦体23の押し付け力を互いに異なるものにすることができる。これにより、各摩擦体23の位置での摩擦力が異なるように微調整することが可能となる。
また、各流体圧シリンダ24の代わりに、ソレノイドを用いて各摩擦体23を進退させるようにしても良い。
【0031】
続いて、図9及び図10を参照しながら、本発明の第4実施形態について以下に説明する。なお、本実施形態は、上記第1実施形態の変形例に相当するので、その相違点のみを説明し、その他については上記第1実施形態と同様であるとして説明を省略する。
【0032】
同図に示すように、本実施形態のロボットハンド(以下、上記第1実施形態のロボットハンド1と区別するために符号31を付して説明する。)は、前記摩擦力形成機構4の代わりに、図9に示す接着機構32を設けた点が、特に特徴的となっている。
この接着機構32は、前記各指部3a,3b,3cのそれぞれに収容された3つ(複数)のノズル33と、ガス圧または油圧などの流体圧を蓄えた流体圧源34と、該流体圧源34及び各ノズル33間をそれぞれ個別に接続する複数本の配管35と、これら配管35内の流体圧を測定する圧力センサ36と、各配管35内の流体圧を調節する複数の調圧バルブ37(電磁弁)と、これら調圧バルブ37を操作する制御装置38とを備えて構成されている。
【0033】
各ノズル33は、前記貫通孔3a2,3b2,3c2よりも奥側に引き込まれた状態に収容されており、接着剤が充填された溶液室と、該溶液室に連通するとともに、前記把持面3a1,3b1,3c1に向かって形成されたノズル吐出口と、前記溶液室に対して隔膜を隔てて形成され、配管35からの流体圧を取り込む圧力室(以上、図示略)とを備えている。
【0034】
各配管35は、各ノズル33と流体圧源34の間を個別に接続しており、それぞれに、前記圧力センサ36と調圧バルブ37が備えられている。そして、図9に示すように、各フィンガ部材3が把持対象物Oを把持した後、制御装置38が各調圧バルブ37を開かせると、図9に示すように、流体圧源34からの流体圧が各配管35を介して各ノズル33に供給される。すると、流体圧が各ノズル33の前記圧力室に取り込まれ、これらが前記隔壁を介して前記溶液室を圧迫するため、前記各ノズル吐出口から接着剤が把持対象物Oとの接触箇所に向かって吐出される。この時、制御装置38は、各圧力センサ36を介して各配管35内の圧力(すなわち、前記各圧力室内の圧力)を取り込んで監視し、予め設定された設定圧力値と等しくなった時点で各調圧バルブ37を閉じる。
このようにして、把持対象物Oに向かって吐出された接着剤は、把持対象物Oと各指部3a,3b,3cとの間の隙間を埋めて硬化するため、これらの間を接着固定する。
【0035】
以上説明の本実施形態のロボットハンド31によれば、上記第1実施形態のロボットハンド1と同様の効果を得ることが可能となる。すなわち、低摩擦表面を有する把持対象物でも確実に把持することが可能となる。
なお、必要に応じて、前記各圧力室に取り込む流体圧を互いに異なるものにすることで、各ノズル33からの接着剤の吐出量を互いに異なるものにすることができる。
【0036】
なお、上記第1実施形態から第4実施形態では、フィンガ部材3の本数が2本の場合について説明したが、これに限らず、3本以上としても良い。
また、各フィンガ部材3は、3本の指部3a,3b,3cからなるものとしたが、これに限らず、1本または2本、もしくは4本以上としても良い。
【0037】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載のロボットハンドによれば、各フィンガ部材に摩擦力形成機構を設けたことにより、各フィンガ部材及び把持対象物間の接触箇所に摩擦力を付与することができるので、低摩擦表面を有する把持対象物でも確実に把持することが可能となる。
【0038】
また、請求項2に記載のロボットハンドによれば、前記摩擦力形成機構が膨張体を備えることにより、膨張体を膨張させて把持対象物の表面を圧迫することができるため、より高い摩擦力を発生させることが可能となる。したがって、さらに強固に把持対象物を把持することが可能となる。
【0039】
また、請求項3に記載のロボットハンドによれば、前記各膨張体を、共通の第1配管により加圧可能に連通させることで、各膨張体の内部圧力を、互いに等しいものにすることができるので、各膨張体位置での摩擦力を略均等にすることが可能となる。
【0040】
また、請求項4に記載のロボットハンドによれば、前記各膨張体を、それぞれ個別に接続された第2配管により加圧することで、必要に応じて、各膨張体位置での摩擦力を互いに異なるものにすることが可能となる。
【0041】
また、請求項5に記載のロボットハンドによれば、膨張体の表面に粘着物を設けることにより、膨らませた膨張体を把持対象物に貼り付けることができるので、さらに強固に把持対象物を把持することが可能となる。
【0042】
また、請求項6に記載のロボットハンドによれば、前記摩擦力形成機構が摩擦体と射出装置を備えることにより、摩擦体を把持対象物の表面に押し付けて圧迫することができるため、より高い摩擦力を発生させることが可能となる。したがって、さらに強固に把持対象物を把持することが可能となる。
【0043】
また、請求項7に記載のロボットハンドによれば、前記各摩擦体を、それぞれの射出装置により押し出すことで、必要に応じて、各摩擦体位置での摩擦力を互いに異なるものにすることが可能となる。
【0044】
また、請求項8に記載のロボットハンドによれば、摩擦体の表面に粘着物を設けることにより、押し当てた摩擦体を把持対象物に貼り付けることができるので、さらに強固に把持対象物を把持することが可能となる。
【0045】
また、請求項9に記載のロボットハンドによれば、各フィンガ部材に接着機構を設けたことにより、各フィンガ部材及び把持対象物間の接触箇所を確実に固定することができるので、低摩擦表面を有する把持対象物でも確実に把持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロボットハンドの第1実施形態を示す図であって、把持対象物を把持する前の状態を説明する説明図である。
【図2】同ロボットハンドを示す図であって、把持対象物を把持した状態を説明する説明図である。
【図3】同ロボットハンドのフィンガ部材を示す断面図であって、摩擦力形成機構を起動する前の状態を示す説明図である。
【図4】同ロボットハンドのフィンガ部材を示す断面図であって、摩擦力形成機構を起動した状態を示す説明図である。
【図5】本発明のロボットハンドの第2実施形態を示す図であって、摩擦力形成機構を起動する前の状態を示す説明図である。
【図6】同ロボットハンドのフィンガ部材を示す断面図であって、摩擦力形成機構を起動した状態を示す説明図である。
【図7】本発明のロボットハンドの第3実施形態を示す図であって、摩擦力形成機構を起動する前の状態を示す説明図である。
【図8】同ロボットハンドのフィンガ部材を示す断面図であって、摩擦力形成機構を起動した状態を示す説明図である。
【図9】本発明のロボットハンドの第4実施形態を示す図であって、接着機構を起動する前の状態を示す説明図である。
【図10】同ロボットハンドのフィンガ部材を示す断面図であって、接着機構を起動した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1,11,21,31・・・ロボットハンド
3・・・フィンガ部材
4,22・・・摩擦力形成機構
5・・・膨張体
7・・・配管(第1配管)
10,29,38・・・制御装置
12・・・配管(第2配管)
23・・・摩擦体
24・・・流体圧シリンダ(射出装置)
32・・・接着機構
O・・・把持対象物
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロボットハンドに関し、特に、把持対象物を把持した後のホールドを確実なものとすることができるロボットハンドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地上、宇宙、さらには海底における作業において、ロボットハンドを備えた作業ロボットが広く用いられている。前記ロボットハンドとしては、複数の指部を屈曲可能に連結したフィンガ部材を一対備え、これらフィンガ部材間に把持対象物を挟み込んで把持する構成が一般的となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種のロボットハンドは、摩擦係数の高い把持対象物を把持する場合には問題ないものの、金属部品などの低摩擦係数を有する把持対象物を把持する場合に、フィンガ部材間から把持対象物が滑り抜けてしまう問題があった。この問題は、特に、把持対象物を把持した状態のロボットハンドに加速度を与えた場合に生じやすく、ロボットハンドの動きに追従できずに把持対象物が脱落することがあった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、低摩擦表面を持つ把持対象物でも確実に把持することができるロボットハンドの提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1に記載のロボットハンドは、複数本のフィンガ部材を備え、これらフィンガ部材間に把持対象物を把持するロボットハンドにおいて、前記各フィンガ部材に、前記把持対象物を把持した場合に、該把持対象物との接触箇所に対して摩擦力を発生させる摩擦力形成機構が備えられていることを特徴とする。
上記請求項1に記載のロボットハンドによれば、各フィンガ部材間に把持対象物を挟み込んだ後、摩擦力形成機構を起動させることで、各フィンガ部材及び把持対象物間の接触箇所に摩擦力を付与することができる。
【0006】
請求項2に記載のロボットハンドは、請求項1に記載のロボットハンドにおいて、前記摩擦力形成機構に、前記把持対象物に向かって膨らんで接触する膨張体が備えられていることを特徴とする。
上記請求項2に記載のロボットハンドによれば、膨張体を膨らませて把持対象物に接触させることで、膨張体が把持対象物の表面を圧迫する。
【0007】
請求項3に記載のロボットハンドは、請求項2に記載のロボットハンドにおいて、前記膨張体が、複数設けられ、これら膨張体が、流体圧を供給する共通の第1配管により、互いに連通可能に接続されていることを特徴とする。
上記請求項3に記載のロボットハンドによれば、第1配管に流体圧を供給すると、これに連通する全ての膨張体に流体圧が作用してこれら膨張体を膨張させる。この時の各膨張体は、第1配管によって互いに連通しているため、内部圧力が互いに等しいものとなる。
【0008】
請求項4に記載のロボットハンドは、請求項2に記載のロボットハンドにおいて、前記膨張体が、複数設けられ、これら膨張体に、流体圧を供給する第2配管がそれぞれ個別に接続されていることを特徴とする。
上記請求項4に記載のロボットハンドによれば、各第2配管に流体圧を供給すると、これら第2配管内の流体圧に応じた膨張率で、各膨張体が膨張する。この時、各第2配管内の流体圧を互いに異なるものにすることで、各膨張体の膨張率を互いに異なるものにすることができる。
【0009】
請求項5に記載のロボットハンドは、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のロボットハンドにおいて、前記膨張体の表面に、粘着物が設けられていることを特徴とする。
上記請求項5に記載のロボットハンドによれば、膨張体を膨らませて把持対象物を圧迫すると、この膨張体が粘着物によって把持対象物に貼り付く。
【0010】
請求項6に記載のロボットハンドは、請求項1に記載のロボットハンドにおいて、前記摩擦力形成機構に、摩擦体と、該摩擦体を前記把持対象物に向かって押し付ける射出装置とが備えられていることを特徴とする。
上記請求項6に記載のロボットハンドによれば、射出装置によって摩擦体を把持対象物に向けて押し付けることで、把持対象物の表面を圧迫する。
【0011】
請求項7に記載のロボットハンドは、請求項6に記載のロボットハンドにおいて、前記摩擦体及び前記射出装置が、複数組が設けられ、これら射出装置に、その摩擦体の射出力及び射出ストロークを制御する制御装置が接続されていることを特徴とする。
上記請求項7に記載のロボットハンドによれば、各射出装置により各摩擦体を射出すると、これら射出装置の射出力及び射出ストロークに応じた圧迫力で把持対象物を圧迫する。この時、各射出装置の射出力及び射出ストロークを互いに異なるものにすることで、各摩擦体の圧迫力を互いに異なるものにすることができる。
【0012】
請求項8に記載のロボットハンドは、請求項6または請求項7に記載のロボットハンドにおいて、前記摩擦体の表面に、粘着物が設けられていることを特徴とする。
上記請求項8に記載のロボットハンドによれば、摩擦体で把持対象物を圧迫すると、この摩擦体が粘着物によって把持対象物に貼り付く。
【0013】
請求項9に記載のロボットハンドは、複数本のフィンガ部材を備え、これらフィンガ部材間に把持対象物を把持するロボットハンドにおいて、前記各フィンガ部材に、前記把持対象物を把持した場合に、該把持対象物との接触箇所に対して接着剤を吐出する接着機構が備えられていることを特徴とする。
上記請求項9に記載のロボットハンドによれば、各フィンガ部材間に把持対象物を挟み込んだ後、接着機構を起動させることで、各フィンガ部材及び把持対象物間の接触箇所を接着固定することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のロボットハンドの各実施形態を、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明がこれらのみに限定解釈されるものでないことは勿論である。
まず、図1から図4を参照しながら、本発明の第1実施形態について以下に説明する。
【0015】
図1及び図2に示すように、本実施形態のロボットハンド1は、基部2と、該基部2に接続された2本(複数本)のフィンガ部材3を備え、これらフィンガ部材3間に把持対象物Oを把持する概略構成となっている。
各フィンガ部材3は、それぞれ、3本の指部3a,3b,3c間を関節3d,3eで連結した多関節フィンガ部材であり、関節3fにおいて基部2に連結されている。そして、これらフィンガ部材3は、図示を省略するが、基部2内に内蔵されたモータにより、プーリ及び巻き取り装置及びワイヤを備える駆動力伝達機構を介して駆動され、図1の開いた状態から図2の閉じた状態に動作するようになっている。この閉じる際の各フィンガ部材3は、把持対象物Oの外形になじむように変形するため、各指部3a,3b,3cのそれぞれが把持対象物Oの表面に当接して把持する。なお、各指部3a,3b,3cには、把持対象物Oと接触する把持面(後述)に、低摩擦処理が施されている。これにより、当接した把持対象物Oを弾くことなく各フィンガ部材3間に導き入れることができるようになっている。
【0016】
そして、本実施形態のロボットハンド1は、各フィンガ部材3に、把持対象物Oを把持した後に、該把持対象物Oとの接触箇所に対して摩擦力を発生させる摩擦力形成機構4を備えた点が、特に特徴的となっている。この摩擦力形成機構4は、把持対象物Oに向かって膨らんで接触する膨張体5を複数備えている。
【0017】
図3及び図4に示すように、摩擦力形成機構4は、ガス圧または油圧などの流体圧を蓄えた流体圧源6と、該流体圧源6及び前記各膨張体5間を接続する配管7(第1配管)と、該配管7内の流体圧を測定する圧力センサ8と、配管7内の流体圧を調節する調圧バルブ9(電磁弁)と、該調圧バルブ9を操作する制御装置10とを備えて構成されている。
【0018】
各膨張体5は、前記把持面(以下、把持面3a1,3b1,3c1と称する)に形成された貫通孔3a2,3b2,3c2よりも奥側に引き込まれた状態に収容された、例えば樹脂製の中空体であり、その内部に流体圧を取り込むことで、図4に示す状態に膨張可能となっている。そして、これら膨張体5の表面は、前記把持面3a1,3b1,3c1よりも高い摩擦力を備えているため、接触する把持対象物Oとの間で滑りが生じにくくなっている。
【0019】
配管7は、各膨張体5に流体圧を供給する共通の配管であり、この配管7によって、各膨張体5間が互いに連通可能に接続されている。
制御装置10は、図3に示すように、各フィンガ部材3が把持対象物Oを把持した後、調圧バルブ9を開かせる。すると、図4に示すように、流体圧源6からの流体圧が配管7を介して各膨張体5に供給され、これら膨張体5を同時に膨らませる。この時、制御装置10は、圧力センサ8を介して配管7内の圧力(すなわち、各膨張体5内の圧力)を取り込んで監視し、予め設定された設定圧力値と等しくなった時点で調圧バルブ9を閉じる。
【0020】
このようにして適切な圧で膨らまされた各膨張体5は、前記貫通孔3a2,3b2,3c2より外部に突出するため、把持対象物Oとロボットハンド1との間の接触箇所が、前記把持面3a1,3b1,3c1よりも高い摩擦係数を有する各膨張体5に入れ替わる。なおかつ、各膨張体5の膨張力が把持対象物Oの外周面を周囲より圧迫するため、さらに摩擦力を高める効果を得ることが可能となっている。しかも、各膨張体5は、把持対象物Oの当接箇所の形状になじむように膨らむため、接触面積を稼いで摩擦力のさらなる向上を達成可能としている。
なお、把持対象物Oに対する各膨張体5の固定をさらに強固にする手段として、これら膨張体5の表面に粘着物を予め設けておくようにしても良い。
【0021】
以上説明の本実施形態のロボットハンド1によれば、各フィンガ部材3に摩擦力形成機構4を設けたことにより、各フィンガ部材3及び把持対象物O間の接触箇所に強固な摩擦力を付与することができるので、低摩擦表面を有する把持対象物でも確実に把持することが可能となる。
また、本実施形態のロボットハンド1によれば、各膨張体5を、共通の配管7により加圧可能に連通させることで、各膨張体5の内部圧力を、互いに等しいものにすることができるので、各膨張体5の位置での摩擦力を略均等にすることが可能となる。
【0022】
続いて、図5及び図6を参照しながら、本発明の第2実施形態について以下に説明する。なお、本実施形態は、上記第1実施形態の変形例に相当するので、その相違点のみを説明し、その他については上記第1実施形態と同様であるとして説明を省略する。
【0023】
同図に示すように、本実施形態のロボットハンド(以下、上記第1実施形態のロボットハンド1と区別するために符号11を付して説明する。)は、前記共通の配管7の代わりに、各膨張体5に対してそれぞれ個別に流体圧を供給する複数本の配管12(第2配管)を設けた点が、特に特徴的となっている。
各配管12は、各膨張体5と流体圧源6との間を個別に接続しており、それぞれに、前記圧力センサ8と調圧バルブ9が備えられている。そして、図5に示すように、各フィンガ部材3が把持対象物Oを把持した後、制御装置10が各調圧バルブ9を開かせると、図6に示すように、流体圧源6からの流体圧が各配管12を介して各膨張体5に供給され、これら膨張体5を同時に膨らませる。この時、制御装置10は、各圧力センサ8を介して各配管12内の圧力(すなわち、各膨張体5内の圧力)を取り込んで監視し、予め設定された設定圧力値と等しくなった時点で各調圧バルブ9を閉じる。
【0024】
この時、必要に応じて、各配管12内の流体圧を互いに異なるものにすることで、各膨張体5の膨張率を互いに異なるものにすることができる。これにより、各膨張体5の位置での摩擦力が異なるように微調整することが可能となる。
【0025】
続いて、図7及び図8を参照しながら、本発明の第3実施形態について以下に説明する。なお、本実施形態は、上記第1実施形態の変形例に相当するので、その相違点のみを説明し、その他については上記第1実施形態と同様であるとして説明を省略する。
【0026】
同図に示すように、本実施形態のロボットハンド(以下、上記第1実施形態のロボットハンド1と区別するために符号21を付して説明する。)は、前記摩擦力形成機構4の代わりに、図7に示す摩擦力形成機構22を設けた点が、特に特徴的となっている。
この摩擦力形成機構22は、各指部3a,3b,3cのそれぞれに収容された3つ(複数)の摩擦体23と、これら摩擦体23を把持対象物Oに向かって押し付ける流体圧シリンダ24(射出装置)と、ガス圧または油圧などの流体圧を蓄えた流体圧源25と、該流体圧源25及び前記各流体圧シリンダ24間をそれぞれ個別に接続する複数本の配管26と、これら配管26内の流体圧を測定する圧力センサ27と、各配管26内の流体圧を調節する複数の調圧バルブ28(電磁弁)と、これら調圧バルブ28を操作する制御装置29とを備えて構成されている。
【0027】
各摩擦体23は、前記貫通孔3a2,3b2,3c2よりも奥側に引き込まれた状態に収容された、例えば樹脂製の弾性体であり、それぞれに設けられた流体圧シリンダ24の射出力により、図8に示す状態に突出可能となっている。そして、これら摩擦体23の表面は、前記把持面3a1,3b1,3c1よりも高い摩擦力を備えているため、接触する把持対象物Oとの間で滑りが生じにくくなっている。
【0028】
各配管26は、各摩擦体23と流体圧源25との間を個別に接続しており、それぞれに、前記圧力センサ27と調圧バルブ28が備えられている。そして、図7に示すように、各フィンガ部材3が把持対象物Oを把持した後、制御装置29が各調圧バルブ28を開かせると、図8に示すように、流体圧源25からの流体圧が各配管26を介して各流体圧シリンダ24に供給され、各摩擦体23を把持対象物Oに向けて押し付ける。この時、制御装置29は、各圧力センサ27を介して各配管26内の圧力(すなわち、各流体圧シリンダ24の圧力)を取り込んで監視し、予め設定された設定圧力値と等しくなった時点で各調圧バルブ28を閉じる。
【0029】
このようにして適切な射出力及び射出ストロークをもって射出された各摩擦体23は、前記貫通孔3a2,3b2,3c2より外部に突出するため、把持対象物Oとロボットハンド21との間の接触箇所が、前記把持面3a1,3b1,3c1よりも高い摩擦係数を有する各摩擦体23に入れ替わる。なおかつ、各流体圧シリンダ24の射出力が把持対象物Oの外周面を周囲より圧迫するため、さらに摩擦力を高める効果を得ることが可能となっている。しかも、各摩擦体23は、把持対象物Oの当接箇所の形状になじむように弾性変形するため、接触面積を稼いで摩擦力のさらなる向上を達成可能としている。
【0030】
以上説明の本実施形態のロボットハンド21によれば、上記第1実施形態のロボットハンド1と同様の効果を得ることが可能となる。すなわち、低摩擦表面を有する把持対象物でも確実に把持することが可能となる。
なお、把持対象物Oに対する各摩擦体23の固定をさらに強固にする手段として、これら摩擦体23の表面に粘着物を予め設けておくようにしても良い。
また、必要に応じて、各流体圧シリンダ24の流体圧を互いに異なるものにすることで、各摩擦体23の押し付け力を互いに異なるものにすることができる。これにより、各摩擦体23の位置での摩擦力が異なるように微調整することが可能となる。
また、各流体圧シリンダ24の代わりに、ソレノイドを用いて各摩擦体23を進退させるようにしても良い。
【0031】
続いて、図9及び図10を参照しながら、本発明の第4実施形態について以下に説明する。なお、本実施形態は、上記第1実施形態の変形例に相当するので、その相違点のみを説明し、その他については上記第1実施形態と同様であるとして説明を省略する。
【0032】
同図に示すように、本実施形態のロボットハンド(以下、上記第1実施形態のロボットハンド1と区別するために符号31を付して説明する。)は、前記摩擦力形成機構4の代わりに、図9に示す接着機構32を設けた点が、特に特徴的となっている。
この接着機構32は、前記各指部3a,3b,3cのそれぞれに収容された3つ(複数)のノズル33と、ガス圧または油圧などの流体圧を蓄えた流体圧源34と、該流体圧源34及び各ノズル33間をそれぞれ個別に接続する複数本の配管35と、これら配管35内の流体圧を測定する圧力センサ36と、各配管35内の流体圧を調節する複数の調圧バルブ37(電磁弁)と、これら調圧バルブ37を操作する制御装置38とを備えて構成されている。
【0033】
各ノズル33は、前記貫通孔3a2,3b2,3c2よりも奥側に引き込まれた状態に収容されており、接着剤が充填された溶液室と、該溶液室に連通するとともに、前記把持面3a1,3b1,3c1に向かって形成されたノズル吐出口と、前記溶液室に対して隔膜を隔てて形成され、配管35からの流体圧を取り込む圧力室(以上、図示略)とを備えている。
【0034】
各配管35は、各ノズル33と流体圧源34の間を個別に接続しており、それぞれに、前記圧力センサ36と調圧バルブ37が備えられている。そして、図9に示すように、各フィンガ部材3が把持対象物Oを把持した後、制御装置38が各調圧バルブ37を開かせると、図9に示すように、流体圧源34からの流体圧が各配管35を介して各ノズル33に供給される。すると、流体圧が各ノズル33の前記圧力室に取り込まれ、これらが前記隔壁を介して前記溶液室を圧迫するため、前記各ノズル吐出口から接着剤が把持対象物Oとの接触箇所に向かって吐出される。この時、制御装置38は、各圧力センサ36を介して各配管35内の圧力(すなわち、前記各圧力室内の圧力)を取り込んで監視し、予め設定された設定圧力値と等しくなった時点で各調圧バルブ37を閉じる。
このようにして、把持対象物Oに向かって吐出された接着剤は、把持対象物Oと各指部3a,3b,3cとの間の隙間を埋めて硬化するため、これらの間を接着固定する。
【0035】
以上説明の本実施形態のロボットハンド31によれば、上記第1実施形態のロボットハンド1と同様の効果を得ることが可能となる。すなわち、低摩擦表面を有する把持対象物でも確実に把持することが可能となる。
なお、必要に応じて、前記各圧力室に取り込む流体圧を互いに異なるものにすることで、各ノズル33からの接着剤の吐出量を互いに異なるものにすることができる。
【0036】
なお、上記第1実施形態から第4実施形態では、フィンガ部材3の本数が2本の場合について説明したが、これに限らず、3本以上としても良い。
また、各フィンガ部材3は、3本の指部3a,3b,3cからなるものとしたが、これに限らず、1本または2本、もしくは4本以上としても良い。
【0037】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載のロボットハンドによれば、各フィンガ部材に摩擦力形成機構を設けたことにより、各フィンガ部材及び把持対象物間の接触箇所に摩擦力を付与することができるので、低摩擦表面を有する把持対象物でも確実に把持することが可能となる。
【0038】
また、請求項2に記載のロボットハンドによれば、前記摩擦力形成機構が膨張体を備えることにより、膨張体を膨張させて把持対象物の表面を圧迫することができるため、より高い摩擦力を発生させることが可能となる。したがって、さらに強固に把持対象物を把持することが可能となる。
【0039】
また、請求項3に記載のロボットハンドによれば、前記各膨張体を、共通の第1配管により加圧可能に連通させることで、各膨張体の内部圧力を、互いに等しいものにすることができるので、各膨張体位置での摩擦力を略均等にすることが可能となる。
【0040】
また、請求項4に記載のロボットハンドによれば、前記各膨張体を、それぞれ個別に接続された第2配管により加圧することで、必要に応じて、各膨張体位置での摩擦力を互いに異なるものにすることが可能となる。
【0041】
また、請求項5に記載のロボットハンドによれば、膨張体の表面に粘着物を設けることにより、膨らませた膨張体を把持対象物に貼り付けることができるので、さらに強固に把持対象物を把持することが可能となる。
【0042】
また、請求項6に記載のロボットハンドによれば、前記摩擦力形成機構が摩擦体と射出装置を備えることにより、摩擦体を把持対象物の表面に押し付けて圧迫することができるため、より高い摩擦力を発生させることが可能となる。したがって、さらに強固に把持対象物を把持することが可能となる。
【0043】
また、請求項7に記載のロボットハンドによれば、前記各摩擦体を、それぞれの射出装置により押し出すことで、必要に応じて、各摩擦体位置での摩擦力を互いに異なるものにすることが可能となる。
【0044】
また、請求項8に記載のロボットハンドによれば、摩擦体の表面に粘着物を設けることにより、押し当てた摩擦体を把持対象物に貼り付けることができるので、さらに強固に把持対象物を把持することが可能となる。
【0045】
また、請求項9に記載のロボットハンドによれば、各フィンガ部材に接着機構を設けたことにより、各フィンガ部材及び把持対象物間の接触箇所を確実に固定することができるので、低摩擦表面を有する把持対象物でも確実に把持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロボットハンドの第1実施形態を示す図であって、把持対象物を把持する前の状態を説明する説明図である。
【図2】同ロボットハンドを示す図であって、把持対象物を把持した状態を説明する説明図である。
【図3】同ロボットハンドのフィンガ部材を示す断面図であって、摩擦力形成機構を起動する前の状態を示す説明図である。
【図4】同ロボットハンドのフィンガ部材を示す断面図であって、摩擦力形成機構を起動した状態を示す説明図である。
【図5】本発明のロボットハンドの第2実施形態を示す図であって、摩擦力形成機構を起動する前の状態を示す説明図である。
【図6】同ロボットハンドのフィンガ部材を示す断面図であって、摩擦力形成機構を起動した状態を示す説明図である。
【図7】本発明のロボットハンドの第3実施形態を示す図であって、摩擦力形成機構を起動する前の状態を示す説明図である。
【図8】同ロボットハンドのフィンガ部材を示す断面図であって、摩擦力形成機構を起動した状態を示す説明図である。
【図9】本発明のロボットハンドの第4実施形態を示す図であって、接着機構を起動する前の状態を示す説明図である。
【図10】同ロボットハンドのフィンガ部材を示す断面図であって、接着機構を起動した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1,11,21,31・・・ロボットハンド
3・・・フィンガ部材
4,22・・・摩擦力形成機構
5・・・膨張体
7・・・配管(第1配管)
10,29,38・・・制御装置
12・・・配管(第2配管)
23・・・摩擦体
24・・・流体圧シリンダ(射出装置)
32・・・接着機構
O・・・把持対象物
Claims (9)
- 複数本のフィンガ部材を備え、これらフィンガ部材間に把持対象物を把持するロボットハンドにおいて、
前記各フィンガ部材には、前記把持対象物を把持した場合に、該把持対象物との接触箇所に対して摩擦力を発生させる摩擦力形成機構が備えられていることを特徴とするロボットハンド。 - 請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記摩擦力形成機構には、前記把持対象物に向かって膨らんで接触する膨張体が備えられていることを特徴とするロボットハンド。 - 請求項2に記載のロボットハンドにおいて、
前記膨張体は、複数設けられ、
これら膨張体は、流体圧を供給する共通の第1配管により、互いに連通可能に接続されていることを特徴とするロボットハンド。 - 請求項2に記載のロボットハンドにおいて、
前記膨張体は、複数設けられ、
これら膨張体には、流体圧を供給する第2配管がそれぞれ個別に接続されていることを特徴とするロボットハンド。 - 請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のロボットハンドにおいて、
前記膨張体の表面には、粘着物が設けられていることを特徴とするロボットハンド。 - 請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記摩擦力形成機構には、摩擦体と、該摩擦体を前記把持対象物に向かって押し付ける射出装置とが備えられていることを特徴とするロボットハンド。 - 請求項6に記載のロボットハンドにおいて、
前記摩擦体及び前記射出装置は、複数組が設けられ、
これら射出装置には、その摩擦体の射出力及び射出ストロークを制御する制御装置が接続されていることを特徴とするロボットハンド。 - 請求項6または請求項7に記載のロボットハンドにおいて、前記摩擦体の表面には、粘着物が設けられていることを特徴とするロボットハンド。
- 複数本のフィンガ部材を備え、これらフィンガ部材間に把持対象物を把持するロボットハンドにおいて、
前記各フィンガ部材には、前記把持対象物を把持した場合に、該把持対象物との接触箇所に対して接着剤を吐出する接着機構が備えられていることを特徴とするロボットハンド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002214271A JP2004050377A (ja) | 2002-07-23 | 2002-07-23 | ロボットハンド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002214271A JP2004050377A (ja) | 2002-07-23 | 2002-07-23 | ロボットハンド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004050377A true JP2004050377A (ja) | 2004-02-19 |
Family
ID=31936642
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002214271A Withdrawn JP2004050377A (ja) | 2002-07-23 | 2002-07-23 | ロボットハンド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004050377A (ja) |
-
2002
- 2002-07-23 JP JP2002214271A patent/JP2004050377A/ja not_active Withdrawn
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Zhou et al. | A soft-robotic gripper with enhanced object adaptation and grasping reliability | |
JP6912107B2 (ja) | 自給式ロボットグリッパシステム | |
Kalisky et al. | Differential pressure control of 3D printed soft fluidic actuators | |
US8548626B2 (en) | Method and device for manipulating an object | |
KR20100072585A (ko) | 로봇핸드 및 이를 갖춘 인간형 로봇 | |
US20070241578A1 (en) | Expandable finger gripper | |
CA2567842A1 (en) | A method and a device for expanding a body under overpressure | |
US5431089A (en) | Force generating mechanism | |
Wang et al. | A bidirectional soft biomimetic hand driven by water hydraulic for dexterous underwater grasping | |
Li et al. | Passive and active particle damping in soft robotic actuators | |
JP5413965B2 (ja) | グリッパ装置およびその構築モジュール | |
JP2020192630A (ja) | チャック装置の駆動システム及びその制御方法 | |
CN113580177B (zh) | 一种变刚度的仿人手刚柔混合机器人 | |
JP2004050377A (ja) | ロボットハンド | |
Kessens et al. | Versatile passive grasping for manipulation | |
KR102379799B1 (ko) | 백상 액추에이터 시스템, 이것을 사용한 파지 장치, 로봇 핸드, 및, 로봇 핸드의 사용 방법 | |
WO2023086029A2 (en) | Soft robotic modular and reconfigurable actuator | |
Rituraj et al. | Advancements in the control strategy for digital hydraulically driven knee exoskeleton | |
CN111347455A (zh) | 一种摩擦力在线可调的软体手指 | |
CN220593180U (zh) | 一种气控柔性仿生手指 | |
Zhao et al. | Integrated hydraulic-driven wearable robot for knee assistance | |
KR100471213B1 (ko) | 스폿 용접용 로봇 시스템의 용접팁 구동장치 | |
CN116872236A (zh) | 一种集成化仿生软体抓手及抓取机器人 | |
JPS601700Y2 (ja) | 空圧式マツサ−ジ器の流体分配装置 | |
Ahmadian et al. | Carpie: A soft, mechanically-reconfigurable worm robot |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20051004 |