JP2004045406A - 帯電量測定装置及び測定方法 - Google Patents

帯電量測定装置及び測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基準粉体の落下による試料膜の機械的なダメージを低減できる、より高精度の帯電量測定装置及び測定方法を提供する。
【解決手段】本発明は、導電性基板1上に試料層2を密接して設けてなる試料板100と、試料板を傾斜状態で保持する試料板傾斜保持手段3と、試料板の試料層にその上方から基準粉体を流しかける粉体供給手段4と、試料板から落下した基準粉体を補集する電気的に絶縁された導電性受容器5と、導電性受容器または試料板の電荷量を測定する電荷測定装置6とからなる帯電量測定装置において、試料板傾斜保持手段3の一部に基準粉体の反射用部材を設ける。そして粉体供給手段から落下した基準粉体を反射用部材に衝突させた後、試料板上に導き試料層上を流下させて帯電量を測定する。これにより試料層に基準粉体が直接落下して衝突することがないので、試料層の機械的なダメージを低減できる。
【選択図】       図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電子写真分野等における接触帯電量を精度よく測定する、固体試料の帯電量測定装置及び測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
物質の帯電現象は、電子写真分野をはじめとする多くの産業分野において有効に用いられている。これらにおいては、対象とする材料の帯電特性を把握することが非常に重要であり、材料の帯電現象、特にそのメカニズムについての研究も盛んに行われている。
帯電量測定は、そのなかでも特に重要な技術であり、材料の形態により、粉体試料の帯電量測定方法(特公昭56−30831号公報、特公昭59−2864号公報)や、板状あるいは膜状試料の帯電量測定方法が提案されている。
特に板状あるいは膜状試料の帯電量測定方法としては、導電性基板上に試料層を密接した試料板を傾斜保持し、これに基準粉体を流しかけることにより発生した電荷を、電荷測定装置により測定する方法(特開平2−126152号公報)が提案されており、簡便で且つ精度がよい帯電量測定方法として有効である。
このような装置での測定においては、試料は溶液または分散液の状態で導電性基板上に塗布して試料層を形成することが多く、また基準粉体としては鉄粉またはフェライトの微粉末が好適に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のような装置による測定においては、基準粉体がノズル開口部より試料基板上に落下するポイントにおいて、測定中の、基準粉体による機械的ダメージにより試料層が削り取られ、基板が露出してしまう場合がある。特に、有機物試料には比較的軟らかいものが多く、その試料層の損傷は顕著である。
このような状態においては、測定される電荷量は、試料と基準粉体との接触・摩擦帯電量に、基板材料と基準粉体とによる接触・摩擦帯電量が混合されたものとなり、試料自体の帯電量の正確な測定ができなくなってしまう。
ここで、基準粉体を流しかける時間や量を低減すれば試料層の損傷も低減できるが、この方法は、発生する電荷量が必然的に小さくなるため、測定精度の点で好ましくない。すなわち、測定精度向上のためには、充分な電荷量を発生させるべく、ある程度の基準粉体の流しかけ量が必要となる。
また、試料層が基準粉体による機械的ダメージを受けても基板が露出しないようにする方法として、試料層を厚く形成することが考えられるが、液相法で試料層を形成する場合、溶媒に対する溶解度が小さい試料も多く、充分な厚みの試料層を形成できないことが多い。
【0004】
この発明は、上述の点に鑑みてなされたものであって、その目的は、
▲1▼従来の傾斜法による帯電量測定装置にみられた、基準粉体の落下による試料膜の機械的なダメージを低減する。
▲2▼基準粉体の落下により試料膜に機械的なダメージが生じた場合にも、試料の帯電量測定への影響を低減する。
▲3▼基準粉体が試料板に到達する前、及び、試料板から離脱した後の過程における、基準粉体の不要な帯電を低減する。
等の課題を達成できる、より高精度の帯電量測定装置及び測定方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するために、第1の手段では、導電性基板上に試料層を密接して設けてなる試料板と、該試料板を傾斜状態で保持する試料板傾斜保持手段と、該試料板の試料層にその上方から基準粉体を流しかける粉体供給手段と、該試料板から落下した基準粉体を補集する電気的に絶縁された導電性受容器と、該導電性受容器または該試料板の電荷量を測定する電荷測定装置とからなる帯電量測定装置において、該基準粉体が導電性材料からなり、更に、該導電性基板と該基準粉体が同一の材料からなる構成とする。
【0006】
第2の手段では、第1の手段の帯電量測定装置において、導電性基板の一部に試料層非形成部を設け、該試料層非形成部に基準粉体を落下させることにより、試料層形成部上に基準粉体を流下させる構成とする。
【0007】
第3の手段では、導電性基板上に試料層を密接して設けてなる試料板と、該試料板を傾斜状態で保持する試料板傾斜保持手段と、該試料板の試料層にその上方から基準粉体を流しかける粉体供給手段と、該試料板から落下した基準粉体を補集する電気的に絶縁された導電性受容器と、該導電性受容器または該試料板の電荷量を測定する電荷測定装置とからなる帯電量測定装置において、該基準粉体が導電性材料からなり、該導電性基板の表面に該基準粉体と同一材料の薄層が形成されている構成とする。
【0008】
第4の手段では、第3の手段の帯電量測定装置において、導電性基板の一部に試料層非形成部を設け、該試料層非形成部に基準粉体を落下させることにより、試料層形成部上に基準粉体を流下させる構成とする。
【0009】
第5の手段では、導電性基板上に試料層を密接して設けてなる試料板と、該試料板を傾斜状態で保持する試料板傾斜保持手段と、該試料板の試料層にその上方から基準粉体を流しかける粉体供給手段と、該試料板から落下した基準粉体を補集する電気的に絶縁された導電性受容器と、該導電性受容器または該試料板の電荷量を測定する電荷測定装置とからなる帯電量測定装置において、上記試料板傾斜保持手段の一部に基準粉体の反射用部材を設ける構成とする(請求項1)。
【0010】
第6の手段では、上記試料板傾斜保持手段の一部に設ける基準粉体の反射用部材の反射面が、凸曲面形状である構成とする(請求項2)。
【0011】
第7の手段では、上記試料板傾斜保持手段の一部に設ける基準粉体の反射用部材の少なくとも反射面が、該基準粉体と同一の材料からなる構成とする(請求項3)。
上記第5または第6または第7の手段の装置を用いた測定方法においては、上記粉体供給手段から落下した基準粉体を上記反射用部材に衝突させた後、上記試料板上に導き試料層上を流下させて帯電量を測定する(請求項4)。
【0012】
第8の手段では、導電性基板上に試料層を密接して設けてなる試料板と、該試料板を傾斜状態で保持する試料板傾斜保持手段と、該試料板の試料層にその上方から基準粉体を流しかける粉体供給手段と、該試料板から落下した基準粉体を補集する電気的に絶縁された導電性受容器と、該導電性受容器または該試料板の電荷量を測定する電荷測定装置とからなる帯電量測定装置において、該粉体供給手段の少なくとも基準粉体と接触する面が、基準粉体と同一の材料からなる構成とする。
【0013】
第9の手段では、導電性基板上に試料層を密接して設けてなる試料板と、該試料板を傾斜状態で保持する試料板傾斜保持手段と、該試料板の試料層にその上方から基準粉体を流しかける粉体供給手段と、該試料板から落下した基準粉体を補集する電気的に絶縁された導電性受容器と、該導電性受容器または該試料板の電荷量を測定する電荷測定装置とからなる帯電量測定装置において、該基準粉体が導電性材料からなり、更に、該導電性受容器の少なくとも内側表面が、該基準粉体と同一の材料からなる構成とする。
【0014】
第10の手段では、導電性基板上に試料層を密接して設けてなる試料板と、該試料板を傾斜状態で保持する試料板傾斜保持手段と、該試料板の試料層にその上方から基準粉体を流しかける粉体供給手段と、該試料板から落下した基準粉体を補集する電気的に絶縁された導電性受容器と、該導電性受容器または該試料板の電荷量を測定する電荷測定装置とからなる帯電量測定装置において、該基準粉体が絶縁性材料からなり、該導電性受容器の内側表面に該基準粉体と同一の材料からなる薄層が形成されている構成とする。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳細に説明する。
先ず、本発明に関連する従来の傾斜法による帯電量測定装置の構成例及び基本的動作を説明する。
この帯電量測定装置は、図1に示すように、導電性基板1の上に試料層2を密接して設けてなる試料板100と、この試料板100を傾斜状態で保持する試料板傾斜保持手段3と、試料板100の試料層2に基準粉体11を流しかける粉体供給手段4と、試料板100の試料層2上を落下した基準粉体11を受ける電気的に絶縁して支持された導電性受容器5と、この導電性受容器5または試料板100の電荷量を測定する電荷測定装置6とを具備している。
【0016】
このような傾斜法による帯電量測定装置では、傾斜配置した試料板100に、その上部から基準粉体11を流しかけると、流下した基準粉体11と試料層2との接触・摩擦により、基準粉体11と試料層2に、それぞれ極性が逆で電荷量の絶対値が等しい電荷が発生し、基準粉体11は帯電した状態で導電性受容器5中に落下する。そして、試料板100を構成する導電性基板1を接地させて導電性受容機5を電荷測定装置6の入力端子に接続するか、または、導電性受容器5を接地させて試料板100の導電性基板1を電荷測定装置6の入力端子に接続することにより、導電性受容器5に落下した基準粉体11の電荷、または、試料板100の電荷が、測定されることになる。
【0017】
本発明に係る帯電量測定装置を含め、このような従来の傾斜法による帯電量測定装置において、試料板100の導電性基板1としては、アルミ、鉄、銅、ステンレス等の金属や合金、樹脂に金属粉やカーボン等の導電性物質を配合したもの、及び、ガラスや樹脂等の絶縁性の基板表面に金属膜を形成したもの等が使用できる。
また、測定する試料としては、有機物、無機物のいずれでもよく、これらを板状あるいは膜状に形成したもの及び粉体を固めた粉体層等である。
試料膜の形成方法としては、試料の溶液あるいは分散液を導電性基板1上に塗布乾燥する方法や、粉体試料を板状もしくは膜状に押し固める方法等が用いられる。
【0018】
試料板傾斜保持手段3としては、試料板100をある所定の角度に保持できるような構造、あるいは、試料板100を任意の角度に調整して保持できるような構造を有し、材質としては、その一部が絶縁性材料で形成され、試料板100の導電性基板1が基準粉体11の導電性受容器5から電気的に絶縁されていればよい。
【0019】
基準粉体11としては、平均粒径が10μm〜1mm程度の無機物、有機物の粉体、例えば、鉄粉、フェライト、樹脂粒子、ガラス粒子等が使用できるが、その形状は、測定精度の点から、なるべく球形に近く、粒径分布がシャープであることが好ましい。
【0020】
粉体供給手段4は、試料板100上に基準粉体11を一定の供給速度で落下させるための基準粉体11の供給手段であって、粉体貯蔵部7と粉体供給管8とからなっている。
その粉体供給管8の開口部付近には、基準粉体11の供給の開始及び停止等を制御するシャッター部材9が設けられており、このシャッター部材9は、電磁力あるいは空気圧を利用した作動装置により作動される。
【0021】
導電性受容器5は、試料板100の試料層2上を落下した基準粉体11を補集するべく、試料板100の下端の下方に配置されており、必要に応じて接地されたり、または、大地と絶縁されて電荷測定装置6に接続される。
【0022】
また、これらの測定系は、密閉容器10内に納めることにより、この密閉容器10内の雰囲気及び圧力等を任意に設定可能とすることもできる。
更に、この密閉容器中の測定系におけるシャッター9の動作等は、密閉容器10の外部から制御可能とすることもできる。
【0023】
以上に説明した従来の傾斜法による帯電量測定装置の構成例及び基本的動作に対し、以下に本発明の特徴を説明する。
【0024】
本発明の第1の特徴は、基準粉体11が導電性基板1と同一の材料からなることである。すなわち、この発明においては、基準粉体11も導電性の材料からなることになる。
前述したように、従来の装置においては、導電性基板1としては、アルミ、鉄、銅、ステンレス等の金属や合金、樹脂に金属粉やカーボン等の導電性物質を配合したもの、及び、ガラスや樹脂等の絶縁性の基板表面に金属膜を形成したもの等が使用できる。従って、本発明においても同様のものが導電性基板1として使用できるが、この場合、基準粉体11も同一の材料からなることや、更に測定の精度の点からも、導電性基板1及び基準粉体11の材料としては、単一の物質からなるもの、あるいは、複数の物質からなるものでは分子レベルで均一に混合されたもの、つまり、単一金属や合金が好ましい。
本発明の帯電量測定装置によれば、試料板100の試料層2が、基準粉体11の落下による機械的ダメージのために損傷し、導電性基板1が露出してしまった場合でも、導電性基板1の材料と基準粉体11の材料とが同一であるので、導電性基板1と基準粉体11とによる接触・摩擦帯電量は原理的にも非常に小さく無視できるレベルとなり、測定対象とする試料と基準粉体11との接触・摩擦帯電量に影響を与えない。
これにより、有機物に多い軟らかい試料、あるいは、測定により得られる帯電量が比較的小さいために多量の基準粉体11の流しかけを必要とする試料等、測定時の試料膜の損傷による導電性基板1の露出の可能性が大きい試料についても、基準粉体11との接触・摩擦帯電量を精度よく測定することが可能となる。
なお、測定される電荷量は、基準粉体11が流下する試料層2の距離あるいは面積にも依存するため、試料板100に対する基準粉体11の落下点の位置は正確に制御されることが望ましい。
【0025】
本発明の第2の特徴は、上述した第1の特徴の帯電量測定装置を用い、導電性基板1の一部に試料層非形成部を設け、この試料層非形成部に基準粉体11を落下させることにより、試料層形成部上に基準粉体11を流下させて帯電量を測定することである。
具体的には、例えば、図2に示すように、導電性基板1に試料層2を形成する際に、部分的に試料層2が形成されていない試料層非形成部12(図2の斜線を施した領域)を設け、この試料層非形成部12に基準粉体11の落下点が位置するように、この試料板100’の配設位置を設定調整する。
本発明の帯電量測定方法では、粉体供給管8から離れた基準粉体11が、先ず、試料層非形成部12に落下して衝突し、その後、傾斜保持された試料板100’上を下方に進み、試料層2が形成されている部分を流下する。
従って、この方法によれば、試料層2に基準粉体11が直接落下して衝突することがないので、基準粉体11による試料層2の機械的ダメージが著しく低減される。
ここで、基準粉体11は、試料層2を流下する前に、導電性基板1に衝突し、更に、この導電性基板1上を流下することになるが、前述したように、導電性基板1の材料と基準粉体11の材料とが同一であるので、両者による接触・摩擦帯電量は原理的にも非常に小さく無視できるレベルであり、測定対象とする試料と基準粉体11との接触・摩擦帯電量に影響を与えない。
なお、測定される電荷量は、基準粉体11が流下する試料層2の距離あるいは面積にも依存するため、試料層2の形成部の距離あるいは面積は正確に制御されることが望ましい。
【0026】
本発明の第3の特徴は、基準粉体11が絶縁性材料からなり、導電性基板1の表面に基準粉体11と同一材料の薄層が形成されていることである。
この発明の帯電量測定装置によれば、試料板100の試料層2が、基準粉体11の落下による機械的ダメージのために損傷し、この試料層2が部分的に消失してしまった場合でも、露出するのは、導電性基板1の表面に形成された、基準粉体11の材料と同一材料により形成された薄層であるので、この薄層と基準粉体11とによる接触・摩擦帯電量は原理的にも非常に小さく無視できるレベルであり、測定対象とする試料と基準粉体11との接触・摩擦帯電量に影響を与えない。
これにより、絶縁材料からなる基準粉体を用いる場合でも、有機物に多い軟らかい試料、あるいは、測定により得られる帯電量が比較的小さいために多量の基準粉体11の流しかけを必要とする試料等、測定時の試料膜の損傷による導電性基板1の露出の可能性が大きい試料についても、基準粉体11との接触・摩擦帯電量を精度よく測定することが可能となる。
ここで、導電性基板1の表面に形成される基準粉体11と同一材料からなる薄層の形成方法は、その対象とする材料により適宜選択されてよく、溶液や分散液を塗布する方法、及び、溶液や分散液の塗布後に更に熱処理を加える方法、あるいは、蒸着法などが公的に用いられる。
【0027】
本発明の第4の特徴は、上述した第3の特徴の帯電量測定装置を用い、表面に基準粉体11と同一材料の薄層が形成された導電性基板1の一部に、試料層非形成部を設け、この試料層非形成部に基準粉体11を落下させることにより、試料層形成部上に基準粉体11を流下させて帯電量を測定することである。
具体的には、例えば、図2に示したように、表面に基準粉体11と同一材料の薄層が形成された導電性基板1に試料層2を形成する際に、部分的に試料層2が形成されていない試料層非形成部12(図2の斜線を施した領域)を設け、この試料層非形成部12に基準粉体11の落下点が位置するように、この試料板100’の配設位置を設定調整する。
本発明の帯電量測定方法では、粉体供給管8から離れた基準粉体11が、先ず、試料層非形成部12に落下して衝突し、その後、傾斜保持された試料板100’上を下方に進み、試料層2が形成されている部分を流下する。
従って、この方法によれば、試料層2に基準粉体11が直接落下して衝突することがないので、基準粉体11による試料層2の機械的ダメージが著しく低減される。
ここで、基準粉体11は、試料層2を流下する前に、導電性基板1の表面に形成された薄層に衝突し、更に、この薄層上を流下することになるが、前述したように、この薄層と基準粉体11とは同一の材料からなるので、両者による接触・摩擦帯電量は原理的にも非常に小さく無視できるレベルであり、測定対象とする試料と基準粉体11との接触・摩擦帯電量に影響を与えない。
【0028】
本発明の第5の特徴は、試料板傾斜保持手段3の一部に、基準粉体11の反射用部材を設けることである。
具体的には、図3に示すように、この反射用部材13は、試料板傾斜保持手段3の所定の位置に設置された試料板100に対し、近接して且つ上方に設置される。
ここで、この反射用部材13の形状及び大きさに対する厳密な制限はなく、要は粉体供給管8から落下した基準粉体11を、この反射用部材13に衝突させた後、試料板100上に確実且つスムーズに供給して、基準粉体11が試料板100上を流下するように設定されればよい。
この発明の帯電量測定装置によれば、試料層2に基準粉体11が直接落下して衝突することがないので、基準粉体11による試料層2の機械的ダメージが著しく低減される。
【0029】
本発明の第6の特徴は、上述した第5の特徴の帯電量測定装置において、試料板傾斜保持手段3の一部に設ける基準粉体11の反射用部材13の反射面を、凸曲面形状に形成したことにある。
前述したように、粉体供給管8から落下した基準粉体11は、反射用部材13の反射面に衝突した後、傾斜保持された試料板100に形成された試料層2上に導かれて流下するが、このときの基準粉体11の流下状態は、反射用部材13の反射面の形状によっても変化する。
すなわち、反射用部材13の反射面が凹面形状の場合には、この反射面に衝突した基準粉体11が比較的凝集した状態で試料板100に到達して流下する傾向があり、これに対し、反射用部材13の反射面が凸面形状の場合には、この反射面に衝突した基準粉体11が比較的分散した状態で試料板100に到達して流下する傾向がある。
従って、測定精度に影響を与える各基準粉体粒子と試料層2との接触状態の均一性は、前者よりも後者の方が良好であり、また、反射用部材13の反射面を凸面形状とした場合には、試料層2に対する機械的ダメージがより分散されることになり、測定精度的にも、反射用部材13の反射面は凸面形状の方が好ましいことになる。
ここで、反射用部材13の反射面の凸面形状の程度(例えば曲率等)は、粉体供給管8からの基準粉体11の供給速度等の条件との兼ね合いにより適切に設定される。
【0030】
本発明の第7の特徴は、上述した第6の特徴の帯電量測定装置において、試料板傾斜保持手段3の一部に設ける基準粉体11の反射用部材13の少なくとも反射面を、基準粉体11と同一の材料で形成したことにある。
前述したように、粉体供給管8から落下した基準粉体11は、反射用部材13の反射面に衝突した後、傾斜保持された試料板100に形成された試料層2上に導かれて流下する。
従って、基準粉体11は、試料層2を流下する前に、導電性基板1表面に形成された層に衝突し更に該層上を流下することになるが、ここで、反射用部材13と基準粉体11とを同一の材料で構成することによって、この両者の衝突による接触・摩擦帯電量を原理的にも非常に小さな無視できるレベルに抑えることができるので、測定対象となる試料と基準粉体11との接触・摩擦帯電量への、上記両者の衝突による影響を回避できる。
【0031】
本発明の第8の特徴8は、粉体供給手段4の少なくとも基準粉体11と接触する面を、基準粉体11と同一の材料で形成したことにある。
基準粉体11は、試料層2に到達する以前の過程において、粉体供給手段4の内部を経由する。
従って、試料層2に到達した基準粉体11は、ある確率で粉体供給手段4と接触していることになる。
この粉体供給手段4との接触により発生する基準粉体11の帯電量は、基準粉体11と試料層2との接触・摩擦帯電量に比べ、粉体供給手段4に対する基準粉体11の接触確率的な観点からも、かなり小さいものであるが、高精度の測定においては無視できないレベルとなり得る。
これに対し、本発明では、粉体供給手段4の少なくとも基準粉体11と接触する面が、基準粉体11と同一の材料で形成されるので、この両者の接触・摩擦帯電量を原理的にも非常に小さな無視できるレベルに抑えることができ、測定対象となる試料と基準粉体11との接触・摩擦帯電量への、上記両者の接触による影響を回避して、高精度の測定が可能となる。
ここで、粉体供給手段4は、その全体を基準粉体11と同一の材料から作成してもよいし、あるいは、他の材料で作成された粉体供給手段本体の基準粉体11が接触する面に、基準粉体11と同一材料からなる層を形成してもよい。
【0032】
本発明の第9の特徴は、基準粉体11が導電性材料からなり、導電性受容器5の少なくとも内側の表面を、基準粉体11と同一の材料で形成したことにある。本発明に係る帯電量測定装置においては、前述したように、基準粉体11の導電性受容器5を電荷測定装置に接続して、試料板100を流下して導電性受容器5中に落下した基準粉体11の電荷を計測することによっても、基準粉体11と試料層2との接触・摩擦帯電量を測定することができる。
この場合、試料板100から落下した基準粉体11は、ある確率で導電性受容器5の内側表面と接触することになる。
これにより発生する帯電量は、基準粉体11と試料層2との接触・摩擦帯電量に比較して、接触確率的な観点からも、かなり小さいものであるが、高精度の測定においては無視できないレベルとなり得る。
本発明においては、導電性受容器5の少なくとも内側の表面が、基準粉体11と同一の材料で形成されるので、この両者の接触・摩擦帯電量を原理的にも非常に小さな無視できるレベルに抑えることができ、測定対象となる試料と基準粉体11との接触・摩擦帯電量への、上記両者の接触による影響を回避して、高精度の測定が可能となる。
【0033】
本発明の第10の特徴は、基準粉体11が絶縁性材料からなり、導電性受容器5の内側表面に、基準粉体11と同一の材料からなる薄層を形成したことにある。
本発明に係る帯電量測定装置においては、前述したように、基準粉体11の導電性受容器5を電荷測定装置に接続して、試料板100を流下して導電性受容器5中に落下した基準粉体11の電荷を計測することによっても、基準粉体11と試料層2との接触・摩擦帯電量を測定することができる。
この場合、試料板100から落下した基準粉体11は、ある確率で導電性受容器5の内側表面と接触することになる。
これにより発生する帯電量は、基準粉体11と試料層2との接触・摩擦帯電量に比較して、接触確率的な観点からも、かなり小さいものであるが、高精度の測定においては無視できないレベルとなり得る。
本発明においては、導電性受容器5の少なくとも内側の表面が、絶縁性材料からなる基準粉体11と同一の絶縁性材料で形成されるので、この両者の接触・摩擦帯電量を原理的にも非常に小さな無視できるレベルに抑えることができ、測定対象となる試料と基準粉体11との接触・摩擦帯電量への、上記両者の接触による影響を回避して、高精度の測定が可能となる。
【0034】
以上、本発明の基本的な構成及び特徴について述べたが、以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0035】
(実施例1)
本実施例で用いた帯電量測定装置の構成図を図1に示す。
本実施例では、試料板100の導電性基板1としてステンレス(SUS316)製のものを用い、この導電性基板1上に樹脂試料をディッピング法により成膜し、基準粉体11として平均粒径60μmの球状のステンレス(SUS316)粒子を用いて、帯電量の測定を行なった。
傾斜保持手段3は、主にPTFEからなり、基準粉体11の導電性受容器5から電気的に絶縁され、試料板100の傾斜角度を0〜90°の範囲で調整可能な構造を有している。
また、本実施例においては、試料板100の傾斜角度は45°とした。
粉体供給手段4は、粉体貯蔵部7と粉体供給管(ノズル)8(ともにステンレス製)からなり、粉体供給管8の一部には、空気圧で作動して、基準粉体11の流しかけの開始、停止を制御できるシャッター部材9を設けた。
試料板100の下方には、導電性受容機5(ステンレス製)を設置した。
試料板100の導電性基板1は、電荷測定装置6に電気的に接続し、また、粉体供給手段4及び粉体受容器5はそれぞれ接地した。
測定は、基準粉体11を1分間流しかけて行なった。
この樹脂試料は、比較的小さな負の帯電を示し、基準粉体11の流しかけ時間に対する試料板100の電荷の変化を示すカーブは、図4に示すように、きれいな直線関係を示した。
また、測定後の試料板100を目視確認したところ、基準粉体100の落下点では、試料層2が損傷し、導電性基板1の露出がみられたが、測定カーブに乱れがなかったことから、基準粉体11と導電性基板1との接触による帯電は、非常に小さく無視できるレベルであって、測定対象である試料と基準粉体11との接触・摩擦帯電量に影響を与えないことがわかる。
【0036】
(比較例1)
実施例1と略同様の構成の装置を用い、実施例1と同様に、基準粉体11を1分間流しかけて測定を行なった。但し、この比較例1では、基準粉体11として平均粒径60μmの球状の鉄粉を用いた点が実施例1と異なる。
試料は、実施例1のものと同一であり、新たに成膜したものであったが、基準粉体11の流しかけ時間に対する試料板100の電荷の変化(測定カーブ)は、実施例1の場合とはかなり異なり、図5に示すように、測定開始後一旦は負帯電方向に電荷量が増大したが、その後減少し、測定終了時には、電荷量が略“0”になるという挙動を示した。
また、測定後の試料板100を目視確認したところ、基準粉体100の落下点では、試料層2が損傷し、導電性基板1の露出がみられたが、その程度は実施例1の場合と同様であった。
この比較例では、基準粉体11と導電性基板1との接触による帯電が比較的大きく、測定中に導電性基板1が露出した時点から、その影響が測定カーブに反映されたことがわかる。
【0037】
(実施例2)
実施例1と同様の構成の装置を用い、実施例1と同様の測定を行なった。
但し、この実施例2では、導電性基板1にディピングにより試料層2を形成する際に、図2に示すように、試料層2を形成しない部分を設け、この部分に基準粉体11を落下させた後に、試料層2の形成部に基準粉体11を流下させて測定を行なった。
ここでは、試料層形成部は、実施例1における基準粉体11の落下点に対し、試料板100上の下流側とすることで、両実施例における試料層2上の基準粉体11の流下距離を等しくした。
試料は実施例1のものと同一であって新たに成膜したものであり、基準粉体11の流しかけ時間も同様に1分とした。
この実施例2における基準粉体11の流しかけ時間に対する試料板100の電荷の変化(測定カーブ)は、実施例1の場合と略同様であった。
また、測定後の試料板100を目視確認したところ、試料層2の大きな損傷は特に見られなかった。
【0038】
(実施例3)
実施例1と略同様の構成の装置を用い、同様の測定を行なった。
但し、この実施例3では、基準粉体11として平均粒径60μmの球状のフェライト粒子を用い、導電性基板1の表面にフェライトの薄層を形成し、その上に試料層2を形成して測定を行なった。
測定は、基準粉体11を1分間流しかけて行なった。
この実施例3における基準粉体11の流しかけ時間に対する試料板100の電荷の変化を示すカーブは、図6に示すように、きれいな直線関係を示した。
なお、この実施例3のように、基準粉体11としてフェライト粒子を用いた場合に得られた試料層2の負帯電量は、基準粉体11としてステンレス粒子を用いた実施例1の場合よりも小さいものであった。
また、測定後の試料板100を目視確認したところ、基準粉体100の落下点では、試料層2が損傷し、導電性基板1の露出がみられたが、測定カーブに乱れがなかったことから、基準粉体11と導電性基板1との接触による帯電は、非常に小さく無視できるレベルであって、測定対象である試料と基準粉体11との接触・摩擦帯電量に影響を与えないことがわかる。
【0039】
(実施例4)
実施例3と同様の構成の装置を用い、実施例3と略同様の測定を行なった。
但し、この実施例4では、基板にディピングにより試料層2を形成する際に、図2に示すように、試料層2を形成しない部分を設け、この部分に基準粉体11を落下させた後に、試料層2の形成部に基準粉体11を流下させて測定を行なった。
ここでは、試料層形成部は、実施例3における基準粉体11の落下点に対し、試料板100上の下流側とすることで、両実施例における試料層2上の基準粉体11の流下距離を等しくした。
試料は実施例3のものと同一であって新たに成膜したものであり、基準粉体11の流しかけ時間も同様に1分とした。
この実施例4における基準粉体11の流しかけ時間に対する試料板100の電荷の変化(測定カーブ)は、実施例3の場合と略同様であった。
また、測定後の試料板100を目視確認したところ、試料層2の大きな損傷は特に見られなかった。
【0040】
(実施例5)
実施例1と略同様の構成の装置を用い、同様の測定を行なった。
但し、この実施例5では、図3に示すように、試料板傾斜保持手段3の一部に基準粉体11の反射用部材(ステンレス製、平板状)13を設け、粉体供給管8から落下した基準粉体11を、この反射用部材13上に衝突させて試料板100上に導き、試料層2上に流下させて測定を行なった。
試料は実施例1のものと同一であって新たに成膜したものであり、基準粉体11の流しかけ時間も同様に1分とした。
この実施例5における基準粉体11の流しかけ時間に対する試料板100の電荷の変化(測定カーブ)は、実施例1の場合と略同様であった。
また、測定後の試料板100を目視確認したところ、試料層2の大きな損傷は特に見られなかった。
【0041】
(実施例6)
実施例5と略同様の構成の装置を用い、同様の測定を行なった。
但し、この実施例6では、基準粉体11の反射用部材13については、その反射面の形状を凸曲面状(半径5mmの球面の一部)とし、粉体供給管8から落下した基準粉体11を、この反射面に衝突させて試料板100上に導き、試料層2上に流下させて測定を行なった。
試料は実施例1のものと同一であって新たに成膜したものであり、基準粉体11の流しかけ時間も同様に1分とした。
この実施例5における基準粉体11の流しかけ時間に対する試料板100の電荷の変化(測定カーブ)は、実施例5の場合と略同様であった。
また、この実施例6では、反射用部材13の反射面に衝突した基準粉体11が比較的分散した状態で試料板100に到達して流下したため、測定後の試料層2の損傷は特に小さかった。
【0042】
(実施例7)
実施例6と略同様の構成の装置を用い、同様の測定を行なった。
但し、この実施例7では、基準粉体11として平均粒径60μmの球状のフェライト粒子を用い、また、基準粉体11の反射用部材13については、その反射面の形状は実施例6の場合と同一であるが、基準粉体11と同じフェライト製のものを用いた。
試料は実施例1のものと同一であって新たに成膜したものであり、基準粉体11の流しかけ時間も同様に1分とした。
この実施例7における基準粉体11の流しかけ時間に対する試料板100の電荷の変化を示すカーブは、基準粉体11としてフェライト粒子を用いた実施例3及び実施例4の場合と略同様であった。
また、この実施例7では、反射用部材13の反射面に衝突した基準粉体11が比較的分散した状態で試料板100に到達して流下したため、測定後の試料層2の損傷は特に小さかった。
更に、この実施例7では、基準粉体11が試料層2に到達する前に、反射用部材13に衝突しているが、基準粉体11と反射用部材13が同一の材料からなるので、この両者の接触による帯電は、非常に小さく無視できるレベルであって、測定対象である試料と基準粉体11との接触・摩擦帯電量に影響を与えないことがわかる。
【0043】
(実施例8)
実施例4と略同様の構成の装置を用い、同様の測定を行なった。
但し、この実施例8では、基準粉体11の粉体供給手段4は全てフェライト製とした。
試料は実施例1のものと同一であって新たに成膜したものであり、基準粉体11の流しかけ時間も同様に1分とした。
この実施例8における基準粉体11の流しかけ時間に対する試料板100の電荷の変化(測定カーブ)は、実施例4の場合とはやや異なり、得られた負帯電量は若干大きいものであった。
そこで、確認のために、実施例4及び本実施例8の両装置構成において、粉体供給管8から落下した基準粉体11をファラデーケージ中に直接1分間補集し、粉体供給手段4と基準粉体11との接触・摩擦帯電量を計測したところ、実施例4の場合、つまり、基準粉体11がフェライト製で、粉体供給手段4がステンレス製の場合には、基準粉体11が負帯電を示し、その電荷量は実施例4で得られた試料層2の帯電量の約4%に相当した。
これに対し、本実施例8の場合、つまり、基準粉体11及び粉体供給手段4がともにフェライト製の場合には、基準粉体11はほとんど帯電しないことが確認された。
この結果、上記両実施例における試料層2の帯電量測定結果の差異は、上述の理由によるものと判断でき、より精密な帯電量測定のためには、粉体供給手段4の少なくとも基準粉体11と接触する面が、基準粉体11と同一の材料からなることの有効性が確認された。
【0044】
(実施例9)
実施例2と略同様の装置を用い、測定を行なった。
但し、この実施例9では、基準粉体11の導電性受容器5を電荷測定装置6の入力端子に電気的に接続し、また、試料板100の導電性基板1は接地して、基準粉体11の帯電量を測定した。
試料は実施例1のものと同様であって新たに成膜したものであり、基準粉体11の流しかけ時間も同様に1分とした。
この実施例9で得られた基準粉体11の流しかけ時間に対する基準粉体11の電荷の変化(測定カーブ)は、実施例2で得られた試料層2の電荷の測定カーブと極性が逆であり絶対値が略等しいという結果を得た。
従って、本実施例9による測定方法によれば、得られた基準粉体11の電荷の極性を反転することにより、試料層2の帯電量を求めることができる。
【0045】
(比較例2)
実施例9と同様の装置を用い、測定を行なった。
但し、この比較例2では、基準粉体11の導電性受容器5として鉄製のものを用いて、基準粉体11の帯電量を測定した。
試料は実施例1のものと同様であって新たに成膜したものであり、基準粉体11の流しかけ時間も同様に1分とした。
原理的には、この測定方法で得られる基準粉体11の帯電量は、試料板100の帯電量とは極性が逆で絶対値が等しいことになる。
しかしながら、この比較例2で得られた試料層2についての電荷の測定カーブと極性は逆になった(実施例9と同様)が、その絶対値については、本比較例2の場合の方が、約5%大きいという結果を得た。
これは、導電性受容器5が鉄製であり、ステンレス製の基準粉体11が導電性受容器5中に落下した際の接触・摩擦により新たに発生した帯電電荷によるものである。
【0046】
(実施例10)
実施例8と略同様の装置を用い、測定を行なった。
但し、この実施例10では、基準粉体11の導電性受容器5として、ステンレス製の容器の内側表面にフェライトの薄層を形成したものを用い、そのステンレス部を電荷測定装置6の入力端子に電気的に接続し、また、試料板100の導電性基板1は接地して、基準粉体11の帯電量を測定した。
試料は実施例1のものと同様であって新たに成膜したものであり、基準粉体11の流しかけ時間も同様に1分とした。
この実施例10で得られた基準粉体11の流しかけ時間に対する基準粉体11の電荷の変化(測定カーブ)は、実施例8で得られた試料層2の電荷の測定カーブと極性が逆であり絶対値が略等しいという結果を得た。
従って、本実施例10による測定方法によれば、得られた基準粉体11の電荷の極性を反転することにより、試料層2の帯電量を求めることができる。
【0047】
(比較例3)
実施例10と同様の装置を用い、測定を行なった。
但し、この比較例3では、基準粉体11の導電性受容器5はステンレス製のものを用いて、基準粉体11の帯電量を測定した。
試料は実施例1のものと同様であって新たに成膜したものであり、基準粉体11の流しかけ時間も同様に1分とした。
原理的には、この測定方法で得られる基準粉体11の帯電量は、試料板100の帯電量とは極性が逆で絶対値が等しいことになる。
しかしながら、この比較例3で得られた基準粉体11の流しかけ時間に対する基準粉体11の電荷の変化(測定カーブ)は、実施例8で得られた試料層2の電荷の測定カーブと極性は逆になった(実施例10と同様)が、その絶対値については、本比較例3の場合の方が、約3%大きいという結果を得た。
これは、導電性受容器5がステンレス製であり、フェライト製の基準粉体11が導電性受容器5中に落下した際の接触・摩擦により新たに発生した帯電電荷によるものである。
【0048】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、従来の傾斜法による装置にみられた、基準粉体の落下による試料膜の機械的なダメージを低減でき、また、基準粉体の落下により試料膜に機械的なダメージが生じた場合にも、試料の帯電量測定への影響を低減でき、更に、基準粉体が試料板に到達する前、及び、試料板から離脱した後の過程における、基準粉体の不要な帯電電荷を低減することができるので、有機物試料に多い比較的軟らかい材料や特に帯電量が小さい材料についても、より高精度の帯電量測定が可能な帯電量測定装置及び測定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が実施される帯電量測定装置の構成例を示す概略図である。
【図2】本発明の帯電量測定装置及び測定方法の実施例の要部を示す概略斜視図である。
【図3】本発明の帯電量測定装置及び測定方法の他の実施例の要部を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の実施例における基準粉体の流しかけ時間に対する試料板の電荷の変化を示す線図である。
【図5】本発明の他の実施例における基準粉体の流しかけ時間に対する試料板の電荷の変化を示す線図である。
【図6】本発明の更に他の実施例における基準粉体の流しかけ時間に対する試料板の電荷の変化を示す線図である。
【符号の説明】
1    導電性基板
2    試料層
3    試料板傾斜保持手段
4    粉体供給手段
5    導電性受容器
6    電荷測定装置
7    粉体貯蔵部
8    粉体供給管
9    シャッター部材
10   密閉容器
11   基準粉体
12   試料層非形成部
13   反射用部材

Claims (4)

  1. 導電性基板上に試料層を密接して設けてなる試料板と、該試料板を傾斜状態で保持する試料板傾斜保持手段と、該試料板の試料層にその上方から基準粉体を流しかける粉体供給手段と、該試料板から落下した基準粉体を補集する電気的に絶縁された導電性受容器と、該導電性受容器または該試料板の電荷量を測定する電荷測定装置とからなる帯電量測定装置において、
    上記試料板傾斜保持手段の一部に基準粉体の反射用部材を設けることを特徴とする帯電量測定装置。
  2. 請求項1記載の帯電量測定装置において、
    上記試料板傾斜保持手段の一部に設ける基準粉体の反射用部材の反射面が、凸曲面形状であることを特徴とする帯電量測定装置。
  3. 請求項1または2記載の帯電量測定装置において、
    上記試料板傾斜保持手段の一部に設ける基準粉体の反射用部材の少なくとも反射面が、該基準粉体と同一の材料からなることを特徴とする帯電量測定装置。
  4. 請求項1または2または3記載の帯電量測定装置を用い、上記粉体供給手段から落下した基準粉体を上記反射用部材に衝突させた後、上記試料板上に導き試料層上を流下させて帯電量を測定することを特徴とする帯電量測定方法。
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