【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧放電ランプ及び当該高圧放電ランプを備えた光源ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、文字、図形などの画像を拡大投影し表示する装置として液晶プロジェクタ等の投射型画像表示装置が普及しつつある。かかる投射型表示装置において、画像をスクリーン上に繊細に投影させるため、光源として輝度が高く、かつ点光源に近いランプが使用されることが望ましい。
【0003】
このような条件を満足するランプとして、電極間距離(アーク長)の短い、いわゆるショートアーク型の高出力高圧放電ランプの開発が活発に進められている。
ところが、こうした電極間距離の短縮化は、ランプ電圧の低下を来たし、その結果、大きなランプ電力を得ようとすると、ランプ電流が非常に大きくなってしまう。このようなランプ電流の増大は、電極材料の蒸発を促進して電極の早期劣化を引き起こし、ひいてはランプの短寿命化を招く。
【0004】
上述の不都合を解消するため、ランプ動作時における水銀蒸気圧(以下、単に「動作圧」という。)を増大させてランプ電圧を上げ、これによりランプ電流の上昇を抑えるようにするのが一般的である。
しかしながら、ショートアーク型の高圧放電ランプにおいて適切なランプ電圧を得るためには、十分に動作圧を高める必要があり、そのような高い動作圧に耐え得るシール構造が必要となる。
【0005】
このようなシール構造の一例として特開平2−148561号公報に開示されている高圧水銀ランプのシール構造を挙げることができる。
図7は、上記公報に開示されている高圧水銀ランプの構成を示す斜視図である。図中100は、石英ガラスからなる略球状の発光部、101は当該発光部100の両端から延在する封止部である。また、102はタングステン製の電極であり、電極軸102bの先端部にコイル102aを付設して構成される。また、103はモリブデン箔、104はモリブデン製の外部リード線であり、電極軸102b、モリブデン箔103、外部リード線104を順次接続して電極組立体105を構成している。
【0006】
この従来例は、発光管を形成するガラスバルブの発光部100を挟んだ両側端部(以下、「側管部」という。)をバーナーで加熱し、モリブデン箔103の部分で気密に封止して封止部101を形成するようになっており(以下、このように溶融させて気密封止することを、「融着封止する」という。)、モリブデン箔103の変形によって石英ガラスとの熱膨張量の差を吸収することができるので、封止部101のガラスにクラックが生じにくく、これにより高耐圧力を得ることができるとしている(このようなシール構造を以下「箔シール構造」という。)。
【0007】
しかしながら、上記のような箔シール構造によれば、封止部101において側管部がモリブデン箔103に密着するため、その部分で扁平に変形せざるを得ない。
図8は、図7のA−A線における矢視方向の概略断面図である。同図に示すように電極軸102bの周面の一部は、側管部108の内壁に密着しているものの、当該側管部108が扁平に変形しているため幅Wが広くなり、非密着部107がどうしても生じる。このように側管部108の断面形状が扁平な楕円形状になると高圧に耐えられなくなる。これは、高い動作圧により側管部108内に発生した応力が、特に、一番曲率の小さくなった107aに集中しやすくなるためであると考えられる。
【0008】
上述のようにショートアーク型の高圧放電ランプにおいて、ランプ電流を増加させないでランプ電力を上げていくためには、動作圧を増加させざるを得ない。特に、ランプ電力を200W以上まで上げていくためには、動作圧が190気圧にも及ぶ場合があり、これに耐える強固なシール構造が必要となるが、上述の箔シール構造では、どうしても応力集中が生じる箇所が存在するため、とてもそのような高圧に耐えることができない。
【0009】
そこで、出願人は、電極軸の基部に円筒状のガラス部材(以下、「ガラス筒」という。)を外挿した状態で融着封止する構成を考案した(以下、このようなシール構造を「ガラス筒シール構造」という。)。
図9は、上記ガラス筒シール構造を有する高圧放電ランプの要部の構成を示す概略斜視図であり、説明の重複を避けるため、図7と同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0010】
同図に示すようにこのガラス筒シール構造においては、側管部108の内径よりやや外径の小さなガラス筒110が電極軸102bに外挿されており、当該ガラス筒110を介して、電極軸102が側管部108に融着封止されて封止部101が形成されるようになっている。なお、同図では、説明の便宜上、封止前のガラス筒110の状態を示しているが、封止後には、側管部108とガラス筒110は一体となって、その境界はほとんどなくなる。
【0011】
このような構成にすることにより電極軸102bの封止部の、特に放電空間に面する部分において側管部108が扁平に潰れることが防止され、上記した応力集中が生じる箇所がなくなるので、耐圧力を大幅に向上させることが可能となる。
しかしながら、上述のようなガラス筒シール構造によれば、製造工程において次のような不都合があった。
【0012】
すなわち、当該ランプの製造工程において、電極軸102bの所定の位置にガラス筒110を外挿し、これを側管部108内に挿入して、電極間距離が予め設計した値になるように電極102の位置を調整する必要があるが、組み立て時、特に側管部108への挿入時において、ガラス筒110が、側管部108内部の壁面に接触して、電極軸102bとガラス筒110の相対的位置がずれるおそれがある。
【0013】
ガラス筒110が電極軸102bに対して正しい位置にないと、内部の放電空間の容積に製品ごとにばらつきが生じ、特に、電極先端方向にガラス筒110がずれると内部の放電空間の容量が小さくなるので、動作圧が設計値より高くなり、あまり望ましくない。
そこで、製造時の封止前においてガラス筒110の位置が電極軸102bに対してずれないようにする位置決め部材(ストッパ)を設けることが必要となる。
【0014】
図10は、このストッパの一例を示すための図である。
同図に示すように、金属製、好ましくは電極軸102bと同じタングステンからなる棒状のストッパ111を予め抵抗溶接などで電極軸102bの所定位置に固着しておき、これにガラス筒110を外挿してその端面をストッパ111に当接させるようにすれば、電極先端方向への位置決めが可能となる。
【0015】
なお、このストッパ111は、封止時において溶融したガラス内に埋没される。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように棒状のストッパ111を使用した場合には、高圧放電ランプの点灯回数が増えるに連れて、特にガラス筒110の当該ストッパ111と接触する部分においてクラックが生じやすいことが判明した。すなわち、ランプ点灯時において放電空間側の封止部の温度は、700℃〜800℃まで上昇するが、ストッパ111の熱膨張率がガラス筒110の熱膨張率よりも大きいため、特にストッパ111の延びる方向に熱応力が発生し、消灯して温度が下降すると反対にストッパ111の方がガラス筒110より大きく収縮する。このような繰り返しによりガラス筒110の上記ストッパ111との接触部が次第に脆弱になり、クラックが発生するのである。
【0017】
一旦クラックが発生すると、高い動作圧により、これが次第に大きくなり、最後には封入ガスが漏出してランプとして使用不可能になり、短寿命となる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、ショートアーク型であっても、高出力で、かつ寿命が長い高圧放電ランプを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る高圧放電ランプは、内部の放電空間に一対の電極が対向配置された発光部と、この発光部に連なり、前記一対の電極の電極軸の一部をそれぞれ封止する一対の封止部と、を有する高圧放電ランプであって、前記電極の電極軸の一部は、これに外挿された管状部材を介して前記封止部に封止されるように構成されると共に、当該封止前において前記管状部材が所定の位置から電極先端方向に変位しないように規制する第1のコイルが、前記電極軸に巻き付けられてなることを特徴としている。
【0019】
これにより、電極軸は、管状部材を介して封止部で封止されるので、この部分が扁平に潰れることがなくなって応力集中が生じる箇所がなくなり、高耐圧性を有するシール構造が得られる。また、この管状部材は、封止前においては、第1のコイルにより電極先端部方向に変位しないように規制されているため、組み立て時に電極軸と管状部材の相対的位置が、特に電極先端部方向にずれないので、精度のよい組み立てが容易に行える。
さらに、第1のコイルがストッパとなることにより、高温時における熱応力の分布が、電極軸周りに均一化し、これにより応力集中の発生が回避されて、クラックの発生が抑えられる。
【0020】
なお、ここで「コイルが電極軸に巻き付けられる」とは、線材を直接電極軸に巻回してコイルを形成する場合と、予め作成したコイルを電極軸に嵌着する場合とを含む概念である。
また、本発明は、前記電極軸の、前記管状部材が外挿される部分の全部もしくは一部に、第2のコイルが巻き付けられており、前記管状部材は、前記第2のコイルを介して前記電極軸に外挿された状態で封止されてなることを特徴としている。
【0021】
このように管状部材を電極軸に第2のコイルを巻き付け、前記管状部材を当該第2のコイルを介して電極軸に外挿した状態で封止することにより、管状部材の溶融物が直接電極軸に接触した状態で封止されることがなくなり、第2のコイルが、電極軸と管状部材の熱膨張量の差によって生じる熱応力の緩衝材となるため、クラックが生じにくくなる。
【0022】
さらに、本発明は、前記第1のコイルの線径は、前記第2のコイルの線径よりも大きいことを特徴とする。
このようにすれば、第1のコイルを1重に巻くだけで管状部材に対する位置規制部材として機能させることができ、製作が容易である。
また、さらに本発明は、前記電極軸の、電極先端と反対側の端部が、前記管状部材より突出されると共に、その突出部分に金属箔を介して外部リード線が接続されており、前記封止前において、前記金属箔の電極軸側の端面が、前記管状部材の端面に当接し、これにより当該管状部材の電極先端と反対方向における位置規制がなされていることを特徴とする。
【0023】
このように電極軸に金属箔を接続すれば、この部分での封止により、さらにシール効果が増す上、この金属箔の端部が管状部材の端面に当接するようにしているので、管状部材の電極先端と反対方向の位置規制が他の規制部材を特に設けることなく容易に行える。
また、本発明に係る光源ユニットは、上記の高圧放電ランプと、当該高圧放電ランプから射出された光を一定の方向に進行させる反射ミラーとを備えることを特徴としている。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る高圧水銀ランプ1の構造を示す図である。
同図に示すように高圧水銀ランプ1は、石英ガラスで形成されたほぼ回転楕円体形状の発光部2とその両端に延在する一対の封止部3、3とからなる発光管10と、封止部3、3内に電極先端部41が発光部2内の放電空間21に突出するようにして融着封止されている電極組立体11、11などからなる。
【0025】
発光部2内部の放電空間21内には、発光物質である水銀、及び始動補助用としてアルゴンなどの希ガスと、ハロゲンサイクルに必要な沃素、臭素などのハロゲン物質が所定の封入圧で封入されている。
なお、本実施の形態において、発光部2の最大径は、13mm程度であり、また、封止部3の外径は6.3mmとしている。
【0026】
図2は、製造時において電極組立体11を、発光管10を形成するガラスバルブにおける封止部形成予定部30に挿入する際の様子を示す図である。同図に示すように電極組立体11は、電極4、モリブデン箔5、モリブデン棒(外部リード線)6を順次抵抗溶接などで接続してなる。電極4は、電極軸43の先端に径の大きな電極先端部41およびコイル部42が設けられてなる。電極先端部41の径が電極軸43よりも大きいのは、この部分の熱容量を大きくして点灯時に溶融・蒸発しにくくして電極の消耗を少なくするためであり、また、コイル部42は放熱作用を有し、電極先端部41が必要以上に高熱になるのを防止する役目を果たす。
【0027】
また、電極軸43の基端部には、ガラス筒7が装着されている。
図3は、上記電極軸43の基端部の拡大図であり、説明の便宜上、ガラス筒7は、その軸穴の位置における縦断面図で示してある。
同図に示すように、電極軸43の基端部の、ガラス筒7が外挿される部分には、熱応力緩衝用コイル45が所定のピッチで巻き付けられており、当該熱応力緩衝用コイル45の電極先端側に隣接するようにして、熱応力緩衝用コイル45より線径が大きな位置決め用コイル44が3巻きで1重に形成されている。
【0028】
図3では、熱応力緩衝用コイル45は、コイル間に隙間なく密に巻き付けられているように見えるが、実際には、微小な隙間があり、この隙間が熱応力の緩和に大きく貢献する。詳しくは後述する。
なお、本実施の形態においては、電極軸43には、径0.43mmのタングステン棒が使用され、電極間距離は、1.6mmに設定される。
【0029】
また、位置決め用コイル44としては、線径が0.18mmのタングステン線が、熱応力緩衝用コイル45としては、線径0.06mmの同じくタングステン線が用いられている。
そして、ガラス筒7は、例えば、石英ガラスや96%シリカガラス製であって外径1.7mm、内径0.6mm、長さ2.5mmのものが使用される。
【0030】
電極軸43の基端部に巻回された熱応力緩衝用コイル45を介してガラス筒7を外挿していくと、その電極先端側の端面が上記位置決め用コイル44に当接して電極先端方向における位置決めがなされる。
他方、モリブデン箔5は、その電極側の端面を上記ガラス筒7の端面に当接させた状態で、電極軸43の端部に接合されており、これによりガラス筒7が、電極先端部と反対方向においても位置決めされるようになっている。
【0031】
図4は、この電極組立体11の概略組立図である。電極4は、電極軸43の先端部にコイル部42を形成して、その先端を例えばレーザ等で溶融して径の大きな電極先端部41を形成してなる。当該電極先端部41から予め設計により求められた距離のところに位置決め用コイル44が巻き付けられ、隣接して細い径の熱応力緩衝用コイル45がほぼガラス筒7の長さだけ巻き付けられる。
【0032】
そして、この電極4の基端部を、ガラス筒7の軸穴71に、コイル44がガラス筒7の端面に当接するまで外挿し、その後、モリブデン箔5を、その端面が、ガラス筒7の上記と反対側の端面に当接した状態で、電極軸43の端部と溶接する。
このようにして形成された電極組立体11を、ガラスバルブの封止部形成予定部30の孔31(図2参照)に挿通し、電極の先端が、適切な位置にくるように調整した後、バーナーで当該封止部形成予定部30を加熱して融着封止する。
【0033】
そして、反対側の封止部形成予定部30にも電極組立体11を挿入して電極間距離を微調整すると共に、放電空間21に水銀や所定の気体を封入した後、バーナーで加熱して融着封止し、当該封止部形成予定部30やモリブデン棒6の不要な部分を切除して図1に示すような高圧水銀ランプ1の完成品を得る。
なお、図1において破線で示しているのは、溶融前のガラス筒7の輪郭であり、融着封止後においては、ガラス筒7は、封止部形成予定部30と溶融して一体となり、その境界はほとんど不明となる。また、組み立て時にストッパとして機能した位置決め用コイル44は、封止時において溶融したガラス内に埋没する。
【0034】
このようなコイル状のストッパを用いることにより、クラックの発生が大幅に抑えられる。すなわち、図10に示すような棒状のストッパ111を使用した場合にクラックが発生しやすいのは、この部分で高温時に発生する熱応力がそのストッパの伸びる方向に偏在し、電極軸周り応力分布が不均一になるためであると考えられ、本実施の形態のように電極軸43にコイル状のストッパとすることにより、熱応力の分布が、電極軸周りに均一化し、これにより応力集中の発生が回避されて、クラックの発生が抑えられるのである。
【0035】
なお、熱応力緩衝用コイル45は、ガラス筒7と電極軸43の周面が直接溶融密着するのを阻止し、これによりガラス筒7にクラックが発生するのを防止する役目を果たす。以下、図5(a)(b)に基づきその原理について説明する。
図5(a)は、熱応力緩衝用コイル45がない場合におけるガラス筒7と電極軸43周面の融着部の様子を示す拡大図である。ここでは、便宜上ガラス筒7は、その断面で示してある。
【0036】
同図の白抜きの矢印により模式的に示すように、電極軸43の熱膨張量がガラス筒7の膨張量よりも大きいため、両者間に熱応力が発生してガラス筒7側に徐々に疲労が蓄積され、点灯回数を重ねると微小なクラック72が発生してしまう。これが成長して、内部の封入ガスが漏出し、あるいは高圧に耐えられず破損してランプとして使用できなくなる。
【0037】
図5(b)は、熱応力緩衝用コイル45が介在する場合における、ガラス筒7と電極軸43周面の融着部の様子を示す拡大図である。同図に示すように熱応力緩衝用コイル45の介在により溶融したガラス材が直接電極軸周面に融着することがなくなる。熱応力緩衝用コイル45には各コイル間に隙間Gが設けられており、電極軸43とガラス筒7の軸方向における熱膨張量の差をこの部分で吸収することができ、両者間に熱応力が発生しにくくなっている。また、熱応力緩衝用コイル45の線径は、電極軸43の径よりも小さいので、熱応力緩衝用コイル45の巻き線方向において熱膨張によって生じる熱応力もそれほど大きくなく、ガラス筒7にクラックを起こさせにくい。
【0038】
なお、熱応力緩衝用コイル45の巻きピッチが大き過ぎると、隙間Gも大きくなり、この部分に溶融したガラスが電極軸の周面に密着するまで入り込んでしまい、その密着部においてクラックが生じるので、熱応力緩衝用コイル45の巻きピッチは、このような不都合が生じない範囲で適当な値が予め実験などにより求められる。
【0039】
図6は、上記高圧水銀ランプ1を組み込んだ光源ユニット200の構成を示す一部切欠き斜視図である。同図に示すように、光源ユニット200は、発光管10の片方の封止部3に口金201が装着されると共に、スペーサ202を介して反射ミラー203のネック部に、発光管10の軸が反射ミラー203の光軸と略一致するように調整された状態で取り付けられて構成される。
【0040】
高圧水銀ランプ1の前方のモリブデン棒6には、反射ミラー203の壁面に穿設された貫通孔206を通過して外側に引き出されたリード線205の端部が接続されると共に、反射ミラー203のネック部側のモリブデン棒6(不図示)は口金201に接続される。当該口金201には、端子204が立設されており、この端子204と上記リード線205を介して高圧水銀ランプ1に電流が供給されるようになっている。
(変形例)
なお、本発明の内容は、上記実施の形態に限定されないのは言うまでもなく、以下のような変形例を考えることができる。
【0041】
▲1▼上記実施の形態においては、位置決め用コイルは、3回巻きであったが、これ以上でも以下であっても構わない。但し、巻き数が3回を超える場合は、その電極軸方向のコイル幅が、融着時に溶融したガラスに覆われる範囲内となるように、巻き数の上限を設定するのが望ましい。3回より少ない場合でも、最低1回巻きであれば、電極軸の軸周りの熱応力分布の均一化は図られる。
【0042】
また、上記のように電極軸の軸周りの熱応力の均一化を徹底するためには、位置決め用コイル44の巻き数は、整数回にする方が望ましい。例えば、巻き数が3回半であると、3回を超えた半回分だけ熱応力が電極軸の軸周りに偏在することになるからである。
なお、位置決め用コイル44の巻き数が複数である場合には、封止後にこれを覆うガラス材に対して、上記熱応力緩衝用コイル45と同様な熱応力緩衝の効果も得ることができる。
【0043】
▲2▼位置決め用コイル44や熱応力緩衝用コイル45は、電極軸43に金属線を直接巻き付けるようにしてもよいし、先にコイルを成形してから、これを電極軸に外嵌するようにしても構わない。
また、位置決め用コイル44の線径は、熱応力緩衝用コイルの線径よりも大きなものを使用して、1重巻きでストッパとして機能するようにした。これによりコイル状ストッパの製作を容易にするようできるが、仮に位置決め用コイル44の線径が熱応力緩衝用コイル45の線径以下であっても、適当な回数だけ重ねて巻くことによりストッパとして機能させることができる。
【0044】
さらには、同じ線材を使用して熱応力緩衝用コイル45と位置決め用コイル44を連続して形成し、位置決め用コイル44の部分のみ2〜3重に巻き重ねるようにしても構わない。
なお、上記の実施の形態においては、位置決め用コイル44の線径を0.18mmとしたが、0.05mm以上で電極軸43の径以下であればよい。当該位置決め用コイル44の線径が、0.05mm未満であると、ストッパとして機能させるためにかなりの回数だけ巻き重ねなければならないので、製造効率が悪くなるし、電極軸43の径を超えると、太くなってコイルを形成しにくくなる上、いくらコイル形状により電極軸43周りの熱応力分布を均一にするといっても、当該位置決め用コイル44自身によって引き起こされる熱応力が無視できない大きさになるからである。
【0045】
▲3▼なお、熱応力緩衝用コイルを設ける範囲は、必ずしもガラス筒が外挿される範囲全てではなく、その一部分だけであってもよく、その限りにおいて熱応力緩衝機能を有する。
▲4▼また、上記実施の形態においては、ガラス筒7として円筒状のものを使用したが、軸に直交する面での断面(横断面)での外形が円形に近ければ、従来の箔シール構造だけの場合よりも集中応力の発生を大幅に防止することができるので、必ずしも横断面の外形が真円である必要はなく、円形に近い適当な断面形状を有する管状部材であれば使用可能である。なお、ランプ点灯時の高熱に耐えるため、この管状部材が、高融点のガラス質材料によって形成されていることが望ましいことはいうまでもない。
【0046】
▲5▼上記実施の形態においては、ガラス筒シール構造と箔シール構造の双方を採用して優れた高耐圧性を得るようにしたが、場合によってはガラス筒シール構造のみであっても構わない。
上述したように箔シール構造も併用している場合には、モリブデン箔5をガラス筒7のストッパとして兼用することができたが、ガラス筒シール構造のみの場合には、ガラス筒7の、電極先端部とは反対の位置に位置決め用コイル44と同様なコイル状ストッパを設けるようにすればよい。
【0047】
また、製造時において、ランプのガラスバルブを垂直に立てて、一方の封止部形成予定部30の開口部を上に向け、その上方から電極組立体11を垂直に下ろして封止部形成予定部30内に挿入して取り付けるようにすれば、必ずしもガラス筒7の電極先端部と反対側の位置にストッパを設ける必要はない。
▲6▼また、本発明は、高圧水銀ランプのみならず、メタルハライドランプなど他の高圧放電ランプ全般に適用可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る高圧放電ランプは、内部の放電空間に一対の電極が対向配置された発光部と、この発光部に連なり、前記一対の電極の電極軸の一部をそれぞれ封止する一対の封止部と、を有する高圧放電ランプであって、
前記電極の電極軸の一部は、これに外挿された管状部材を介して前記封止部に封止されるように構成されると共に、当該封止部の封止前において前記管状部材が所定の位置から電極先端方向に変位しないように規制する第1のコイルが、前記電極軸に巻き付けられている。
【0049】
このように電極軸が管状部材を介して封止部に封止されることにより、この部分で封止部が扁平に潰れることがなくなって応力集中が生じる部分がなくなり、高耐圧性を有するシール構造が得られる。
また、この管状部材は、封止前においては、第1のコイルにより電極先端部方向に変位しないように規制されているため、製造時において、電極軸と管状部材の相対的位置が、特に電極先端部方向にずれなくなり、精度のよい組み立てが容易に行えると共に製品ごとのばらつきがなくなり歩留まりが向上する。
さらに、第1のコイルがストッパとなることにより、高温時における熱応力の分布が、電極軸周りに均一化し、これにより応力集中の発生が回避されて、クラックの発生が抑えられる。
【0050】
そして、このように高耐圧性のシール構造が可能となったため、ショートアーク型で高出力の高圧放電ランプであっても、その動作圧を大幅に増大させてランプ電流を低減させることができ、これによりランプの長寿命化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る高圧水銀ランプの構造を示す図である。
【図2】発光管を形成するガラスバルブの封止部形成予定部に挿入する前の電極組立体の拡大図である。
【図3】上記電極組立体におけるガラス筒の部分の拡大断面図である。
【図4】上記電極組立体の概略組み立て図である。
【図5】(a)、(b)は、ガラス筒を熱応力緩衝用コイルを介して電極軸に装着した場合の効果を示すための比較図である。
【図6】上記高圧水銀ランプを組み込んだ光源ユニットの構成を示す一部切欠き斜視図である。
【図7】従来のモリブデン箔のみのシール構造を有する高圧水銀ランプの構造を示す図である。
【図8】図7のA−A線における矢視断面図である。
【図9】ガラス筒を使用したシール構造を有する高圧放電ランプの要部を示す斜視図である。
【図10】ガラス筒を使用したシール構造において当該ガラス筒を電極軸に対して位置決めするために考えられるストッパの例を示す図である。
【符号の説明】
1 高圧水銀ランプ
2 発光部
3 封止部
4 電極
5 モリブデン箔
6 モリブデン棒
7 ガラス筒
10 発光管
11 電極組立体
30 封止部形成予定部
41 電極先端部
42 コイル部
43 電極軸
44 位置決め用コイル
45 熱応力緩衝用コイル
200 光源ユニット
203 反射ミラー[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a high-pressure discharge lamp and a light source unit including the high-pressure discharge lamp.
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art Recently, projection-type image display devices such as liquid crystal projectors have become widespread as devices for enlarging and displaying images such as characters and figures. In such a projection display device, in order to project an image delicately on a screen, it is desirable to use a lamp having a high luminance and close to a point light source as a light source.
[0003]
As a lamp that satisfies such conditions, development of a so-called short arc type high-output high-pressure discharge lamp with a short distance between electrodes (arc length) has been actively promoted.
However, such a reduction in the distance between the electrodes results in a decrease in the lamp voltage, and as a result, when a large lamp power is to be obtained, the lamp current becomes very large. Such an increase in the lamp current promotes evaporation of the electrode material, causing early deterioration of the electrode, and consequently shortening the life of the lamp.
[0004]
In order to solve the above-mentioned inconvenience, it is common to increase the lamp voltage by increasing the mercury vapor pressure during operation of the lamp (hereinafter, simply referred to as “operating pressure”), thereby suppressing the increase in lamp current. It is.
However, in order to obtain an appropriate lamp voltage in a short arc type high pressure discharge lamp, it is necessary to sufficiently increase the operating pressure, and a seal structure capable of withstanding such a high operating pressure is required.
[0005]
An example of such a seal structure is a seal structure of a high-pressure mercury lamp disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open No. 2-148561.
FIG. 7 is a perspective view showing the configuration of the high-pressure mercury lamp disclosed in the above publication. In the figure, reference numeral 100 denotes a substantially spherical light emitting portion made of quartz glass, and 101 denotes a sealing portion extending from both ends of the light emitting portion 100. Reference numeral 102 denotes an electrode made of tungsten, which is configured by attaching a coil 102a to the tip of an electrode shaft 102b. Reference numeral 103 denotes a molybdenum foil, and reference numeral 104 denotes an external lead wire made of molybdenum. The electrode shaft 102b, the molybdenum foil 103, and the external lead wire 104 are sequentially connected to form an electrode assembly 105.
[0006]
In this conventional example, both end portions (hereinafter, referred to as “side tube portions”) of a glass bulb forming a light emitting tube with a light emitting portion 100 interposed therebetween are heated with a burner and hermetically sealed with a molybdenum foil 103 portion. The sealing portion 101 is formed by welding (hereinafter, such melting and hermetic sealing is referred to as “fusion sealing”). Since the difference in the amount of thermal expansion can be absorbed, cracks are less likely to occur in the glass of the sealing portion 101, whereby a high pressure resistance can be obtained. .)
[0007]
However, according to the above-described foil seal structure, since the side tube portion of the sealing portion 101 is in close contact with the molybdenum foil 103, the portion has to be flatly deformed.
FIG. 8 is a schematic cross-sectional view taken along line AA in FIG. As shown in the drawing, a part of the peripheral surface of the electrode shaft 102b is in close contact with the inner wall of the side tube portion 108, but the side tube portion 108 is deformed flat, so that the width W becomes large, The contact portion 107 is inevitably generated. If the cross-sectional shape of the side tube portion 108 is flat and elliptical as described above, it cannot withstand high pressure. This is considered to be because the stress generated in the side tube portion 108 due to the high operating pressure tends to concentrate particularly on the portion 107a having the smallest curvature.
[0008]
As described above, in the short arc type high pressure discharge lamp, the operating pressure must be increased in order to increase the lamp power without increasing the lamp current. In particular, in order to increase the lamp power to 200 W or more, the operating pressure may reach 190 atm, and a strong seal structure that can withstand this pressure is required. Because there is a place where occurs, it cannot withstand such high pressure very much.
[0009]
Therefore, the applicant has devised a configuration in which a cylindrical glass member (hereinafter, referred to as a “glass cylinder”) is externally inserted and fusion-sealed at the base of the electrode shaft (hereinafter, such a sealing structure is referred to as “sealing structure”). This is called "glass cylinder seal structure.")
FIG. 9 is a schematic perspective view showing the configuration of a main part of a high-pressure discharge lamp having the above-mentioned glass tube sealing structure. To avoid redundant description, the same components as those in FIG. 7 are denoted by the same reference numerals.
[0010]
As shown in the figure, in this glass tube sealing structure, a glass tube 110 having a slightly smaller outer diameter than the inner diameter of the side tube portion 108 is inserted outside the electrode shaft 102b. The sealing portion 101 is formed by fusing and sealing the portion 102 to the side tube portion 108. Although FIG. 2 shows the state of the glass tube 110 before sealing for convenience of description, after sealing, the side tube portion 108 and the glass tube 110 are integrated and the boundary almost disappears.
[0011]
By adopting such a configuration, the side tube portion 108 is prevented from being flattened in a portion of the sealing portion of the electrode shaft 102b, particularly in a portion facing the discharge space, and the above-described location where the stress concentration occurs is eliminated. The pressure can be greatly improved.
However, the above-described glass tube seal structure has the following disadvantages in the manufacturing process.
[0012]
That is, in the manufacturing process of the lamp, the glass tube 110 is extrapolated at a predetermined position of the electrode shaft 102b, and this is inserted into the side tube portion 108 so that the distance between the electrodes becomes a predetermined value. It is necessary to adjust the position of the glass tube 110 at the time of assembly, particularly at the time of insertion into the side tube portion 108, so that the glass tube 110 comes into contact with the wall surface inside the side tube portion 108, and the electrode shaft 102b and the glass tube 110 The target position may be shifted.
[0013]
If the glass tube 110 is not at the correct position with respect to the electrode shaft 102b, the volume of the internal discharge space varies from product to product. In particular, if the glass tube 110 is displaced toward the electrode tip, the capacity of the internal discharge space becomes small. Therefore, the operating pressure becomes higher than the design value, which is not desirable.
Therefore, it is necessary to provide a positioning member (stopper) for preventing the position of the glass cylinder 110 from being shifted with respect to the electrode shaft 102b before sealing at the time of manufacturing.
[0014]
FIG. 10 is a diagram illustrating an example of the stopper.
As shown in the figure, a rod-shaped stopper 111 made of metal, preferably made of the same tungsten as that of the electrode shaft 102b, is fixed to a predetermined position of the electrode shaft 102b in advance by resistance welding or the like, and the glass tube 110 is extrapolated to this. If the end face is brought into contact with the stopper 111, positioning in the direction of the electrode tip becomes possible.
[0015]
The stopper 111 is buried in the molten glass at the time of sealing.
[0016]
[Problems to be solved by the invention]
However, when the rod-shaped stopper 111 was used as described above, it was found that as the number of times the high-pressure discharge lamp was turned on increased, cracks were more likely to occur particularly in the portion of the glass tube 110 that contacts the stopper 111. . That is, the temperature of the sealing portion on the discharge space side rises from 700 ° C. to 800 ° C. when the lamp is turned on. However, since the thermal expansion coefficient of the stopper 111 is larger than that of the glass tube 110, When the thermal stress is generated in the extending direction and the light is turned off to lower the temperature, the stopper 111 contracts more largely than the glass cylinder 110. By such repetition, the contact portion of the glass cylinder 110 with the stopper 111 gradually becomes weak, and cracks occur.
[0017]
Once a crack occurs, it becomes progressively larger due to the high operating pressure, and eventually the gas leaks out, rendering it unusable as a lamp and having a short life.
SUMMARY OF THE INVENTION The present invention has been made in view of the above problems, and has as its object to provide a high-pressure discharge lamp having a high output and a long life even if it is of a short arc type.
[0018]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, a high-pressure discharge lamp according to the present invention includes a light-emitting portion in which a pair of electrodes are arranged in an internal discharge space, and a part of an electrode axis of the pair of electrodes connected to the light-emitting portion. A high-pressure discharge lamp having a pair of sealing portions for sealing, wherein a part of the electrode shaft of the electrode is sealed to the sealing portion via a tubular member extrapolated to the electrode shaft. In addition, a first coil for restricting the tubular member from being displaced from a predetermined position in the electrode tip direction before the sealing is wound around the electrode shaft.
[0019]
As a result, the electrode shaft is sealed by the sealing portion via the tubular member, so that this portion does not collapse flat and there is no place where stress concentration occurs, and a sealing structure having high pressure resistance is obtained. . In addition, since this tubular member is regulated by the first coil so as not to be displaced in the direction of the electrode tip before sealing, the relative position of the electrode shaft and the tubular member during assembly is particularly small, Since there is no deviation in the direction, accurate assembly can be easily performed.
Further, since the first coil serves as a stopper, the distribution of thermal stress at high temperature becomes uniform around the electrode axis, thereby avoiding the occurrence of stress concentration and suppressing the occurrence of cracks.
[0020]
Here, “the coil is wound around the electrode shaft” is a concept that includes a case where the wire is directly wound around the electrode shaft to form a coil, and a case where a previously created coil is fitted to the electrode shaft. .
Further, according to the present invention, a second coil is wound around all or a part of the electrode shaft where the tubular member is extrapolated, and the tubular member is connected to the electrode via the second coil. It is characterized by being sealed in a state of being extrapolated to the electrode shaft.
[0021]
In this manner, the second coil is wound around the electrode shaft of the tubular member, and the tubular member is sealed in a state of being extrapolated to the electrode shaft through the second coil, whereby the molten material of the tubular member is directly applied to the electrode. The second coil is not sealed in a state where it is in contact with the shaft, and the second coil serves as a buffer for thermal stress caused by a difference in the amount of thermal expansion between the electrode shaft and the tubular member.
[0022]
Further, the present invention is characterized in that the wire diameter of the first coil is larger than the wire diameter of the second coil.
With this configuration, the first coil can be made to function as a position regulating member for the tubular member only by winding the coil in a single layer, and the manufacture is easy.
Further, according to the present invention, an end of the electrode shaft opposite to the electrode tip is projected from the tubular member, and an external lead wire is connected to the projected portion via a metal foil, Before sealing, the end face of the metal foil on the electrode axis side abuts on the end face of the tubular member, whereby the position of the tubular member in the direction opposite to the electrode tip is regulated.
[0023]
If the metal foil is connected to the electrode shaft in this manner, the sealing at this portion further enhances the sealing effect, and the end of the metal foil comes into contact with the end face of the tubular member. The position regulation in the direction opposite to the electrode tip can be easily performed without providing any other regulation member.
Further, a light source unit according to the present invention includes the high-pressure discharge lamp described above, and a reflection mirror that causes light emitted from the high-pressure discharge lamp to travel in a certain direction.
[0024]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
FIG. 1 is a diagram showing a structure of a high-pressure mercury lamp 1 according to an embodiment of the present invention.
As shown in FIG. 1, a high-pressure mercury lamp 1 includes an arc tube 10 including a substantially spheroidal light emitting portion 2 made of quartz glass and a pair of sealing portions 3 extending at both ends thereof. In the sealing portions 3, the electrode assemblies 41 are fused and sealed so that the electrode tip portions 41 project into the discharge spaces 21 in the light emitting portion 2.
[0025]
In the discharge space 21 inside the light emitting section 2, mercury as a light emitting substance, a rare gas such as argon for starting assistance, and a halogen substance such as iodine and bromine necessary for a halogen cycle are sealed at a predetermined sealing pressure. ing.
In the present embodiment, the maximum diameter of the light emitting unit 2 is about 13 mm, and the outer diameter of the sealing unit 3 is 6.3 mm.
[0026]
FIG. 2 is a view showing a state where the electrode assembly 11 is inserted into the portion 30 where the sealing portion is to be formed in the glass bulb forming the arc tube 10 during manufacturing. As shown in the figure, the electrode assembly 11 is formed by sequentially connecting the electrode 4, the molybdenum foil 5, and the molybdenum rod (external lead wire) 6 by resistance welding or the like. The electrode 4 has a large-diameter electrode tip 41 and a coil 42 provided at the tip of an electrode shaft 43. The reason why the diameter of the electrode tip portion 41 is larger than that of the electrode shaft 43 is to increase the heat capacity of this portion to make it difficult to melt and evaporate at the time of lighting and to reduce the consumption of the electrode. It has an effect and serves to prevent the electrode tip 41 from becoming unnecessarily hot.
[0027]
The glass cylinder 7 is mounted on the base end of the electrode shaft 43.
FIG. 3 is an enlarged view of the base end portion of the electrode shaft 43. For convenience of explanation, the glass cylinder 7 is shown in a longitudinal sectional view at the position of the shaft hole.
As shown in the figure, a thermal stress buffering coil 45 is wound at a predetermined pitch around the base end of the electrode shaft 43 where the glass tube 7 is extrapolated. The positioning coil 44 having a larger wire diameter than the thermal stress buffering coil 45 is formed as a single winding of three turns so as to be adjacent to the electrode tip side of the electrode.
[0028]
In FIG. 3, the thermal stress buffering coil 45 appears to be tightly wound without any gap between the coils, but actually has a minute gap, and this gap greatly contributes to the relaxation of thermal stress. Details will be described later.
In this embodiment, a tungsten rod having a diameter of 0.43 mm is used for the electrode shaft 43, and the distance between the electrodes is set to 1.6 mm.
[0029]
A tungsten wire having a wire diameter of 0.18 mm is used as the positioning coil 44, and a tungsten wire having a wire diameter of 0.06 mm is used as the thermal stress buffering coil 45.
The glass cylinder 7 is made of, for example, quartz glass or 96% silica glass and has an outer diameter of 1.7 mm, an inner diameter of 0.6 mm, and a length of 2.5 mm.
[0030]
When the glass cylinder 7 is extrapolated through the thermal stress buffering coil 45 wound around the base end of the electrode shaft 43, the end face on the electrode tip side comes into contact with the positioning coil 44 and the electrode tip direction Is performed.
On the other hand, the molybdenum foil 5 is joined to the end of the electrode shaft 43 in a state where the end face on the electrode side is in contact with the end face of the glass cylinder 7, whereby the glass cylinder 7 is connected to the electrode tip. Positioning is performed in the opposite direction.
[0031]
FIG. 4 is a schematic assembly diagram of the electrode assembly 11. The electrode 4 is formed by forming a coil portion 42 at the tip of an electrode shaft 43 and fusing the tip with a laser or the like to form an electrode tip 41 having a large diameter. A positioning coil 44 is wound around the electrode tip 41 at a distance determined in advance by design, and a small-diameter thermal stress buffering coil 45 is wound adjacent to the glass cylinder 7 approximately in length.
[0032]
Then, the base end of the electrode 4 is externally inserted into the shaft hole 71 of the glass tube 7 until the coil 44 comes into contact with the end surface of the glass tube 7, and then the molybdenum foil 5 is inserted into the end of the glass tube 7. It is welded to the end of the electrode shaft 43 in a state of contacting the opposite end face.
After the electrode assembly 11 thus formed is inserted into the hole 31 (see FIG. 2) of the portion 30 for forming the sealing portion of the glass bulb, and adjusted so that the tip of the electrode is at an appropriate position. Then, the portion to be sealed 30 is heated by a burner and sealed by fusion.
[0033]
Then, the electrode assembly 11 is also inserted into the opposite portion 30 where the sealing portion is to be formed, and the distance between the electrodes is finely adjusted. Mercury or a predetermined gas is filled in the discharge space 21 and then heated by a burner. By fusion-sealing, unnecessary portions of the sealing portion forming portion 30 and the molybdenum rod 6 are cut off to obtain a completed high-pressure mercury lamp 1 as shown in FIG.
The broken line in FIG. 1 shows the outline of the glass tube 7 before melting, and after fusion sealing, the glass tube 7 is melted and integrated with the sealing portion forming scheduled portion 30. , Its boundaries are almost unknown. Further, the positioning coil 44 functioning as a stopper during assembly is buried in the molten glass at the time of sealing.
[0034]
By using such a coiled stopper, the occurrence of cracks can be greatly suppressed. That is, when the rod-shaped stopper 111 as shown in FIG. 10 is used, cracks are likely to occur because the thermal stress generated at a high temperature in this portion is unevenly distributed in the direction in which the stopper extends, and the stress distribution around the electrode axis is reduced. It is considered that the distribution of thermal stress is made uniform around the electrode axis by using a coil-shaped stopper on the electrode shaft 43 as in the present embodiment, thereby generating stress concentration. Is avoided, and the occurrence of cracks is suppressed.
[0035]
The thermal stress buffering coil 45 prevents the glass cylinder 7 and the peripheral surface of the electrode shaft 43 from directly melting and adhering to each other, thereby preventing the glass cylinder 7 from cracking. Hereinafter, the principle will be described with reference to FIGS.
FIG. 5A is an enlarged view showing a state of the fusion portion between the glass cylinder 7 and the peripheral surface of the electrode shaft 43 when the thermal stress buffer coil 45 is not provided. Here, the glass cylinder 7 is shown in a cross section for convenience.
[0036]
As schematically shown by the white arrows in the figure, since the thermal expansion of the electrode shaft 43 is larger than the expansion of the glass cylinder 7, thermal stress is generated between the two and gradually toward the glass cylinder 7 side. Fatigue is accumulated, and when the number of times of lighting is increased, minute cracks 72 are generated. This grows, and the sealed gas inside leaks out, or cannot withstand high pressure, and is broken, so that it cannot be used as a lamp.
[0037]
FIG. 5B is an enlarged view showing a state of a fusion portion between the glass cylinder 7 and the peripheral surface of the electrode shaft 43 when the thermal stress buffering coil 45 is interposed. As shown in the figure, the glass material melted by the intervention of the thermal stress buffering coil 45 is not directly fused to the peripheral surface of the electrode shaft. A gap G is provided between the coils of the thermal stress buffering coil 45 so that a difference in the amount of thermal expansion between the electrode shaft 43 and the glass cylinder 7 in the axial direction can be absorbed by this portion. Stress is less likely to occur. Further, since the wire diameter of the thermal stress buffering coil 45 is smaller than the diameter of the electrode shaft 43, the thermal stress generated by thermal expansion in the winding direction of the thermal stress buffering coil 45 is not so large, and the glass tube 7 is cracked. Is difficult to cause.
[0038]
If the winding pitch of the thermal stress buffering coil 45 is too large, the gap G also becomes large, and the molten glass enters this portion until it comes into close contact with the peripheral surface of the electrode shaft, and cracks occur at the contact portion. An appropriate value for the winding pitch of the thermal stress buffering coil 45 is determined in advance by experiments or the like within a range where such inconvenience does not occur.
[0039]
FIG. 6 is a partially cutaway perspective view showing the configuration of a light source unit 200 incorporating the high-pressure mercury lamp 1. As shown in the figure, the light source unit 200 has a base 201 attached to one sealing portion 3 of the arc tube 10, and the axis of the arc tube 10 is attached to the neck portion of the reflection mirror 203 via the spacer 202. The optical axis of the reflecting mirror 203 Abbreviation It is configured to be fitted and adjusted to match.
[0040]
The molybdenum rod 6 in front of the high-pressure mercury lamp 1 is connected to an end of a lead wire 205 that is drawn out through a through hole 206 formed in the wall surface of the reflection mirror 203 and is connected to the reflection mirror 203. Is connected to the base 201. A terminal 204 is provided upright on the base 201, and a current is supplied to the high-pressure mercury lamp 1 via the terminal 204 and the lead wire 205.
(Modification)
It is needless to say that the content of the present invention is not limited to the above embodiment, and the following modified examples can be considered.
[0041]
{Circle around (1)} In the above embodiment, the positioning coil is wound three times, but may be more or less. However, when the number of turns exceeds three, it is desirable to set the upper limit of the number of turns so that the coil width in the electrode axis direction is within the range covered by the glass melted during fusion. Even with less than three turns, if at least one turn, the thermal stress distribution around the electrode axis can be made uniform.
[0042]
Further, in order to make the thermal stress around the electrode axis uniform as described above, it is desirable that the number of turns of the positioning coil 44 be an integral number. For example, if the number of turns is three and a half, the thermal stress is unevenly distributed around the electrode axis by half of the number of turns exceeding three.
When the number of windings of the positioning coil 44 is plural, the same effect of the thermal stress buffering coil 45 as that of the thermal stress buffering coil 45 can be obtained for the glass material covering the sealing coil after sealing.
[0043]
{Circle around (2)} The positioning coil 44 and the thermal stress buffering coil 45 may be configured such that a metal wire is directly wound around the electrode shaft 43, or the coil is formed first, and then this is fitted onto the electrode shaft. It does not matter.
In addition, the diameter of the positioning coil 44 is larger than the diameter of the thermal stress buffering coil, and a single winding is used to function as a stopper. This makes it easy to manufacture the coil-shaped stopper. However, even if the wire diameter of the positioning coil 44 is smaller than the wire diameter of the thermal stress buffering coil 45, the coil-shaped stopper can be formed as a stopper by overlapping and winding an appropriate number of times. Can work.
[0044]
Furthermore, the coil 45 for thermal stress buffering and the coil 44 for positioning may be formed continuously using the same wire, and only the portion of the coil 44 for positioning may be wound twice or three times.
In the above-described embodiment, the wire diameter of the positioning coil 44 is 0.18 mm. However, the wire diameter may be 0.05 mm or more and the diameter of the electrode shaft 43 or less. If the wire diameter of the positioning coil 44 is less than 0.05 mm, it must be wound up a considerable number of times in order to function as a stopper. In addition, it becomes difficult to form a coil due to the increase in thickness, and even though the thermal stress distribution around the electrode axis 43 is made uniform by the coil shape, the thermal stress caused by the positioning coil 44 itself becomes a magnitude that cannot be ignored. Because.
[0045]
{Circle around (3)} The range in which the thermal stress buffering coil is provided is not necessarily the entire range where the glass cylinder is extrapolated, but may be only a part of the range, and the thermal stress buffering function is provided as long as it is provided.
{Circle around (4)} In the above-described embodiment, a cylindrical one is used as the glass cylinder 7. However, if the outer shape in a cross section (transverse cross section) in a plane perpendicular to the axis is close to a circle, a conventional foil seal is used. Since the occurrence of concentrated stress can be largely prevented as compared with the case of the structure alone, the outer shape of the cross section does not necessarily have to be a perfect circle, and any tubular member having an appropriate cross-sectional shape close to a circle can be used It is. Needless to say, in order to withstand high heat when the lamp is turned on, it is desirable that this tubular member is formed of a high melting point vitreous material.
[0046]
{Circle around (5)} In the above embodiment, both the glass tube sealing structure and the foil sealing structure are employed to obtain excellent high pressure resistance. However, in some cases, only the glass tube sealing structure may be used. .
As described above, when the foil sealing structure was also used, the molybdenum foil 5 could be used also as a stopper for the glass tube 7. However, when only the glass tube sealing structure was used, the electrode A coiled stopper similar to the positioning coil 44 may be provided at a position opposite to the tip.
[0047]
Also, at the time of manufacturing, the glass bulb of the lamp is set up vertically, the opening of one of the portions 30 to be sealed is to be turned upward, and the electrode assembly 11 is vertically lowered from above, so that the portion to be sealed is to be formed. If the glass tube 7 is inserted and mounted in the portion 30, it is not always necessary to provide a stopper at a position opposite to the electrode tip of the glass tube 7.
{Circle around (6)} The present invention is applicable not only to high-pressure mercury lamps but also to other high-pressure discharge lamps such as metal halide lamps.
[0048]
【The invention's effect】
As described above, the high-pressure discharge lamp according to the present invention includes a light-emitting portion in which a pair of electrodes are arranged opposite to each other in an internal discharge space, and a portion of the electrode axis of the pair of electrodes, which is connected to the light-emitting portion. A high-pressure discharge lamp having a pair of sealing portions to stop,
A part of the electrode shaft of the electrode is configured to be sealed to the sealing portion via a tubular member extrapolated thereto, and the tubular member is sealed before the sealing portion is sealed. A first coil for restricting displacement from a predetermined position in the direction of the electrode tip is wound around the electrode shaft.
[0049]
Since the electrode shaft is sealed in the sealing portion via the tubular member in this way, the sealing portion does not collapse flatly in this portion, and there is no portion where stress concentration occurs, and a seal having high pressure resistance is provided. The structure is obtained.
In addition, since this tubular member is regulated by the first coil so as not to be displaced in the direction of the electrode tip before sealing, the relative position between the electrode shaft and the tubular member is particularly limited during manufacturing. There is no displacement in the direction of the tip, accurate assembly can be easily performed, and there is no variation among products, so that the yield is improved.
Further, since the first coil serves as a stopper, the distribution of thermal stress at high temperature becomes uniform around the electrode axis, thereby avoiding the occurrence of stress concentration and suppressing the occurrence of cracks.
[0050]
And, since a sealing structure with high pressure resistance has become possible in this way, even in the case of a short arc type, high output high pressure discharge lamp, the operating pressure can be greatly increased to reduce the lamp current, This can extend the life of the lamp.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing a structure of a high-pressure mercury lamp according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is an enlarged view of the electrode assembly before being inserted into a portion where a sealing portion of a glass bulb forming an arc tube is to be formed.
FIG. 3 is an enlarged sectional view of a portion of a glass cylinder in the electrode assembly.
FIG. 4 is a schematic assembly diagram of the electrode assembly.
FIGS. 5 (a) and 5 (b) are comparison diagrams showing the effect when a glass cylinder is mounted on an electrode shaft via a thermal stress buffer coil.
FIG. 6 is a partially cutaway perspective view showing a configuration of a light source unit incorporating the high-pressure mercury lamp.
FIG. 7 is a view showing the structure of a conventional high-pressure mercury lamp having a seal structure made of only molybdenum foil.
8 is a sectional view taken along the line AA in FIG. 7;
FIG. 9 is a perspective view showing a main part of a high-pressure discharge lamp having a sealing structure using a glass tube.
FIG. 10 is a diagram showing an example of a stopper that can be considered for positioning the glass cylinder with respect to an electrode axis in a seal structure using the glass cylinder.
[Explanation of symbols]
1 High-pressure mercury lamp
2 Light emitting unit
3 Sealing part
4 electrodes
5 Molybdenum foil
6 Molybdenum rod
7 Glass tube
10 arc tube
11 Electrode assembly
30 Sealed part formation scheduled part
41 Electrode tip
42 coil
43 Electrode axis
44 Positioning coil
45 Thermal stress buffer coil
200 light source unit
203 reflection mirror