JP2004034733A - 車載電源システム - Google Patents
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Abstract
【課題】非接地系負荷がショートした際でもシャーシに大電流が流れることを防止できる車載電源システムを提供する。
【解決手段】車のシャーシと、全電圧Vの車載用直流電源とを具える。この全電圧Vをm:nに分割してV1=V×m/(m+n)、V2=V×n/(m+n)とし、分割点をシャーシに共通接地する。分圧V1の系統には、一端がシャーシに共通接地される負荷l11、l12…l1mを接続し、分圧V2の系統は、一端がシャーシに共通接地される負荷l21、l22…l2nを接続する。全電圧Vの系統には、シャーシに接地されることのない負荷L1、L2…Lkを接続する。この負荷L1、L2…Lkは、車載電源からの電流が通電される通電部材と、通電部材に対して絶縁されている非通電部材を有する。そして、通電部材と非通電部材とがショートした際にシャーシに電流が流れることのないよう、非通電部材とシャーシとの間を絶縁する。
【選択図】 図1
【解決手段】車のシャーシと、全電圧Vの車載用直流電源とを具える。この全電圧Vをm:nに分割してV1=V×m/(m+n)、V2=V×n/(m+n)とし、分割点をシャーシに共通接地する。分圧V1の系統には、一端がシャーシに共通接地される負荷l11、l12…l1mを接続し、分圧V2の系統は、一端がシャーシに共通接地される負荷l21、l22…l2nを接続する。全電圧Vの系統には、シャーシに接地されることのない負荷L1、L2…Lkを接続する。この負荷L1、L2…Lkは、車載電源からの電流が通電される通電部材と、通電部材に対して絶縁されている非通電部材を有する。そして、通電部材と非通電部材とがショートした際にシャーシに電流が流れることのないよう、非通電部材とシャーシとの間を絶縁する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車載電源システムに関するものである。特に、モーターなどの非接地系負荷がショートした際でもシャーシに大電流が流れることを防止できる車載電源システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現用乗用車の直流電源(バッテリ)の電圧Vは12〜14ボルトであり、車載機器の接地をシャーシにとる際、その直流安全電圧V0(通常55〜65ボルト)に対して十分な安全性を有している。しかし、近年、自動車の機能が高まり、必要とする電源容量が大きくなると、より高電圧の電池を導入することが要望されている。ところが、未だ大半の車載機器がV<V0で動作してシャーシに共通接地できるのに対し、V>V0の車載機器はシャーシに接地をとることができない。その結果、2本線で電源を非接地系にしてゆくか、又は高電圧電池からDC/DCコンバーターでいちいち低圧を作り出してゆく必要がある。さらに、例えば42Vを超えるような高電圧電池が実用化される見通しは現状では乏しく、より高電圧の車載電源システムの構築が望まれている。
【0003】
このような課題を解消するために本発明者は未公開技術である特願2002−5494号(未公開)に記載の技術を提案した。図1は同号の車載電源システムの構成図である。
【0004】
このシステムは全電圧Vの車載用直流電源を具える。この全電圧Vは、V1=V×m/(m+n)、V2=V×n/(m+n)としてm:nに分割され、2つの分圧系統を構成する。そして、この電圧の分割点は、車両のシャーシに共通接地される。
【0005】
ここで、V1の分圧系統には、一端がシャーシに共通接地される負荷l11、l12…l1m(接地系負荷)が接続される。また、V2の分圧系統には、一端がシャーシに共通接地される負荷l21、l22…l2n(接地系負荷)が接続される。そして、Vの全電圧系統には、シャーシに接地されることのない負荷L1、L2…Lk(非接地系負荷)が接続される。
【0006】
電圧Vの全電圧系統を分圧V1、V2の2つの系統に分割し、V<V0(V0はシャーシへ接地可能な直流安全電圧)で動作する機器はシャーシの共通接地をとって各分圧系統で電力を供給する。その際、V1およびV2の分圧を従来の12〜14ボルト以上の電圧とすることで、大容量の車載機器を余裕をもって動作させることができる。また、V>V0の高圧大容量の必要な機器は、V1+V2の全電圧を適切に選択することにより、シャーシに接地されない独立の全電圧系統で電力供給することができる。このように、V<V0で動作する機器については1線で構成する接地系の電源システムにて電力を供給し、V>V0の高圧大容量の必要な機器は、2線で構成する非接地系の電源システムにて電力を供給することで、簡易な構成にて大容量の車載機器に安定して電力供給することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の車載電源システムでは、非接地系負荷がショートした場合、予期しない大電流が流れるおそれがある。このことを非接地系の負荷L1−Lkがモーターである場合を例に説明する。通常、モーターは、コイルの巻かれたステーター又はローターを具えている。コイルにはエナメルなどの絶縁被覆が施され、ステーターやローターとは絶縁されている。ここで、コイルの絶縁被覆が破れてステーター(ローター)とショートすると予期しない大電流が流れる可能性がある。その際、ステーターまたはローターはシャーシと電気的に接続されているため、大電流がシャーシに流れることになる。
【0008】
接地系負荷の場合は、負荷の電源側にヒューズを配し、故障による大電流はヒューズを溶断することで瞬時に遮断することが可能である。ところが、高圧大電流が想定される非接地系負荷の場合、負荷と直列に入ったヒューズには非常に大きな容量が必要で、多少のショートでは遮断することが難しい。
【0009】
従って、本発明の主目的は、非接地系負荷がショートした際でもシャーシに大電流が流れることを防止できる車載電源システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非接地系負荷でショートが起こった場合、大電流がシャーシに流れないように絶縁の仕方に工夫を施したり、非接地系負荷からシャーシへの電流あるいは電源から非接地系負荷への電流を遮断できるように構成することで上記の目的を達成する。
【0011】
すなわち、本発明車載電源システムの第1の構成は、車のシャーシと、全電圧Vの車載用直流電源と、この全電圧Vをm:nに分割してV1=V×m/(m+n)、V2=V×n/(m+n)にすると共に、前記シャーシに共通接地される分割点と、一端がシャーシに共通接地され、分圧V1の系統に接続される負荷l11、l12…l1mと、一端がシャーシに共通接地され、分圧V2の系統に接続される負荷l21、l22…l2nと、シャーシに接続されることなく全電圧Vの系統に接続される負荷L1、L2…Lkと、前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記車載電源からの電流が通電される通電部材と、前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記通電部材に対して絶縁されている非通電部材と、前記通電部材と非通電部材とがショートした際にシャーシに電流が流れることのないよう、前記非通電部材とシャーシとの間を絶縁する絶縁体とを具えることを特徴とする。
【0012】
通常、非接地系の負荷は、車載電源からの電流が通電される通電部材と、この通電部材に対して絶縁されている非通電部材とから構成されている。この非通電部材は、通電部材に対しては絶縁されているが、シャーシとは電気的に接続されている。そのため、故障などにより通電部材と非通電部材との間がショートすれば、シャーシに大電流が流れてしまうことになる。本発明では、上記の非通電部材とシャーシとを絶縁することで、万一、通電部材と非通電部材とがショートしてもシャーシに大電流が流れることを防止することができる。
【0013】
本発明車載電源システムの第2の構成は、車のシャーシと、全電圧Vの車載用直流電源と、この全電圧Vをm:nに分割してV1=V×m/(m+n)、V2=V×n/(m+n)にすると共に、前記シャーシに共通接地される分割点と、一端がシャーシに共通接地され、分圧V1の系統に接続される負荷l11、l12…l1mと、一端がシャーシに共通接地され、分圧V2の系統に接続される負荷l21、l22…l2nと、シャーシに接続されることなく全電圧Vの系統に接続される負荷L1、L2…Lkと、前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記車載電源からの電流が通電される通電部材と、前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記通電部材に対して絶縁されている非通電部材と、前記電圧の分割点とシャーシとの間に電流計と遮断器を具え、前記通電部材と非通電部材とがショートした際、前記電流計で検出される電流が、前記負荷l11、l12…l1mとl21、l22…l2nの作動状態から想定される駆動電流値から所定の値以上はずれる場合に前記遮断器を遮断するように構成したことを特徴とする。
【0014】
この第2の構成でも、第1の構成と同様に、非接地負荷からシャーシへ大電流が流れることを抑制することが課題となっている。ただし、その課題解決手段として、分割点とシャーシとの間に電流計と遮断機を設け、非接地系負荷においてショートが起こった際、電流計の検知する電流値が所定のしきい値を超えると、分割点とシャーシとの接続を遮断する構成を採用している。
【0015】
直流電源には接地系負荷l11、l12…l1mとl21、l22…l2nが接続されているため、正常時においても分割点からシャーシ側にある程度の電流が流れることになる。そこで、接地系負荷l11、l12…l1mとl21、l22…l2nの作動状態から想定される正常な駆動電流値を予め設定しておき、このしきい値を一定以上超える場合に非接地系負荷でショートが起こっていると判断して遮断機の遮断を行う。
【0016】
本発明車載電源システムの第3の構成は、車のシャーシと、全電圧Vの車載用直流電源と、この全電圧Vをm:nに分割してV1=V×m/(m+n)、V2=V×n/(m+n)にすると共に、前記シャーシに共通接地される分割点と、一端がシャーシに共通接地され、分圧V1の系統に接続される負荷l11、l12…l1mと、一端がシャーシに共通接地され、分圧V2の系統に接続される負荷l21、l22…l2nと、シャーシに接続されることなく全電圧Vの系統に接続される負荷L1、L2…Lkと、前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記車載電源からの電流が通電される通電部材と、前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記通電部材に対して絶縁されている非通電部材と、前記非通電部材とシャーシとの間を絶縁する絶縁体と、前記非通電部材とシャーシ間に接続される電流計と、この電流計が電流を検知したときに前記負荷L1、L2…Lkよりも上流側で電流供給を遮断する遮断器とを具えることを特徴とする。
【0017】
第3の構成も、第1の構成と同様に、シャーシへ大電流が流れることを抑制することが課題である。ただし、その課題解決手段として、非接地系負荷でショートが起こったことを電流計で検知して、直ちに直流電源から非接地系負荷への電流供給を遮断する構成を採用した。非通電部材とシャーシとの間に絶縁体を具えている点は第1の構成と同様である。
【0018】
つまり、非通電部材に電流計を接続し、非接地系負荷と直流電源との間に遮断機を設けておく。通電部材と非通電部材との間でショートが起これば、非通電部材に電流が流れ、その電流を電流計で検知できるため、非接地系負荷の上流に位置する遮断機で非接地系負荷への電流供給を遮断することができる。
【0019】
第3の構成によれば、電流計により非通電部材に電流が流れたことを検知するだけで、直ちに通電部材への電流を電源側から遮断できるため、第2の構成と異なり、電流計で検知した電流値が所定のしきい値を超えているかどうかを判断する必要がなく、より簡易な構成とすることができる。
【0020】
本発明における非接地系負荷には、種々の電気機器が考えられる。たとえば、電気自動車における駆動モーターなど、高圧大電流が用いられる電気機器が挙げられる。モーターは、一般にコイルの巻かれたステーターの内側に、回転する磁石(ローター)を具える構成や、コイルの巻かれたローターの外側に、固定された磁石(ステーター)を有する構成が利用される。
【0021】
通電部材は、車載用直流電源からの電流が流される部材であれば特に限定されない。通常は、非接地系負荷における電線・リード線などが通電部材となる。非接地系負荷がモーターの場合、通電部材の一例としてはステーターやローターに巻かれたコイルが挙げられる。
【0022】
非通電部材は非接地系負荷のうち、通電部材に対して絶縁されている箇所であれば、特に限定されない。非接地系負荷がモーターでステーターにコイルが巻かれている場合、ステーター自体が非通電部材の一例となる。また、ローターにコイルが巻かれている場合、ローター自体が非通電部材の一例となる。
【0023】
非通電部材とシャーシとの間を絶縁するには、電気絶縁材として用いられるセラミックス、プラスチックや紙などの絶縁体を両者の間に介在させればよい。例えば、非通電部材がステーターであれば、ステーターと電気的に接続しているモーターケース等とステーターとの間に絶縁体を介在すればよい。また、非通電部材がローターであれば、ローターと電気的に接続しているシャフト等とローターとの間に絶縁体を介在すればよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(電源システムの全体構成)
非接地系負荷でショートが起こった場合にシャーシへ大電流が流れることを抑制する構成を説明する前に、車載電源システムの全体構成と機能を説明する。図1は車載電源システムの概略構成図である。
【0025】
このシステムは全電圧Vの車載用直流電源を具える。この全電圧Vは、V1=V×m/(m+n)、V2=V×n/(m+n)としてm:nに分割され、2つの分圧系統を構成する。そして、この電圧の分割点は、車両のシャーシに共通接地される。図1における接地記号がシャーシである。
【0026】
ここで、V1の分圧系統には、一端がシャーシに共通接地される負荷l11、l12…l1m(接地系負荷)が接続される。また、V2の分圧系統には、一端がシャーシに共通接地される負荷l21、l22…l2n(接地系負荷)が接続される。そして、Vの全電圧系統には、シャーシに接地されることのない負荷L1、L2…Lk(非接地系負荷)が接続される。
【0027】
一部で実用化されつつある高電圧電池であってもシャーシへ接地可能な直流安全電圧V0を考慮して全電圧V=(12〜14)×3=36〜42ボルト程度が当面の対象と考えられている。ところが、エンジンのスターター電源、クーラー電源、4輪電動駆動用モーター電源としては、42ボルトはなお低すぎて、さらなる高電圧化が要望されている。
【0028】
本発明では、V<V0でできるだけ高い電圧のDCバッテリーを2群(V1<V0、V2<V0)設けて直列接続し、その中間点をシャーシに共通接地する。例えば、電池電圧の絶対値をV1=V2=42Vとすると、中間点をシャーシに共通設置することによってV1=+42V、V2=−42Vとなる。これらの各バッテリーから供給される電力は、シャーシ共通接地可能な電圧として各負荷l11〜l1mとl21〜l2nにサプライ線(ワイヤーハーネス)のみの1線で供給され、電源線の多数化、複雑化を回避できる。また、これらのサプライ線(ワイヤーハーネス)とそのコネクター類の絶縁はV1、V2に対応するものでよい。
【0029】
安全上、図1のα面の電力サプライ線は、V0未満のV1、V2の電圧で電力供給するだけであるため、負荷ショート、サプライ線のショート等の場合でも、従来の技術をそのまま適用できる。但し、V1の分圧系統では、その電力サプライ線はプラス電圧に、V2の分圧系統では、その電力サプライ線はマイナス電圧になるので、負荷l11〜l1mまたはl21〜l2nへの接続は、これらの極性を考慮して行われる。
【0030】
一方、これら2群のDCバッテリー(電池)を直列に接続して得られるV=V1+V2の全電圧系統から供給される電力は、シャーシに共通接地されることのない重負荷L1〜Lkに直接供給される。つまり、バッテリサプライ/バッテリリターンの2線により回路が構成される。しかしながら、この場合でもサプライ線(ワイヤーハーネス)とそのコネクター類の絶縁は、結局のところ、アース(シャーシ)に対するものであればよいので、V1、V2に対応するもののままでよい。
【0031】
なお、V1およびV2はV0に対して種々の値を選択できる。例えば、V1≦V0、V2≦V0とし、かつV1+V2≦V0する。V1、V2としては、低圧機器群へ電力供給用として、12〜14ボルトのバッテリーをV1に、36〜42ボルトのバッテリーをV2として、V=48〜56ボルトで使用することが挙げられる。また、V1=V2=36〜42ボルトとして、V=72〜84ボルトとして活用してもよい。
【0032】
(モーターのステーターとシャーシとの絶縁)
上記のような車載電源システムにおいて、非接地系負荷にモーターを用いた場合を例として、非接地系負荷でショートが起きた際に大電流がシャーシに流れることを抑制する構成を説明する。
【0033】
図2は一般的なインナーローター型ブラシレスDCモータの概略構成図である。このモーターは、中心側にローター1となる磁石を具え、その外周にステーター2を具える。ステーター2は、磁石を取り囲むように内周側に突出した複数のポールを有し、各ポールにはエナメル線を巻きつけたコイル3が形成されている。さらに、コイル3とポールとの間には、絶縁材(図示せず)が介在されている。そのため、故障などが起きない限り、通電部材であるコイル3と非通電部材であるステーター2とは絶縁されている。ここでは、ホール素子4を使って磁石の回転位置を検出し、インバータ5にフィードバックしてコイル3への通電を制御する。
【0034】
従来、このようなモーターはモーターケース等をステーターの外周に設けて自動車に搭載される。その際、ステーターとシャーシとは電気的に接続されていた。
【0035】
本発明では、図3に示すように、ステーター2とモーターケース6との間に絶縁体7を介在することで、万一、コイル3とステーター2とがショートしても、ステーター2からモーターケース6を介して電流がシャーシに流れることがないように構成した。この絶縁体7は、コイル3とステーター2とのショート時に予想される電流に対して十分な絶縁耐力を有する材質・厚さのものを選択すればよい。なお、図3において、コイル3とステーター2との間に介在されるのは絶縁材8である。
【0036】
(モーターのローターとシャーシとの絶縁)
次に、ローターにコイルが巻かれているモーターを非接地系負荷に用いた場合を例として、非接地系負荷でショートが起きた際に大電流がシャーシに流れることを抑制する構成を説明する。
【0037】
図4はローター1にコイル3が巻かれているモーターの概略構成図である。このモーターは、コイル3が巻かれたローター1を中心側に具え、その外側にステーター2となる磁石を配している。従来、ローター1の回転軸となるシャフト9はシャーシと電気的に接続されていた。本例では、ローター1とシャフト9との間に絶縁体10を介在することにより、万一、通電部材であるコイル3と非通電部材であるローター1との間がショートしても、シャフト9を介してシャーシに電流が流れることを抑制できる。
【0038】
(電流計と遮断機を用いた構成1)
次に、電流計と遮断機とを用いた本発明システムを図5に基づいて説明する。この車載電源システムは、図1のシステムにおいて、分割点とシャーシとの間に電流計20と遮断機21を設けたものである。
【0039】
既に図1の電源システムに関して説明したように、直流電源には接地系負荷l11、l12…l1mとl21、l22…l2nが接続されている。そのため、分割点とシャーシとの間には、通常時でもある程度の電流が流れる。
【0040】
一方、モーターなどの非接地負荷において通電部材であるコイルと非通電部材であるステーター又はローターとの間がショートすれば、非通電部材とは絶縁されていないシャーシに大電流がながれることになる。その際、分割点からシャーシへも大電流が流れることになるため、この電流を電流計20で検知する。分割点とシャーシとの間には、接地系負荷の作動状態から想定される駆動電流が流れることが許容されているので、この駆動電流値を一定以上超えた場合に前記遮断機21を遮断するように構成する。これにより、万一、非接地系負荷でショートが生じても、シャーシを直流電源系から遮断して大電流がシャーシに流れることを抑制できる。
【0041】
(電流計と遮断機を用いた構成2)
前記の遮断機を用いた構成1では、車載電源システムの分割点とシャーシとの間に電流計と遮断機とを設けたが、その代わりに、非接地系負荷の非通電部材とシャーシの間に電流計を接続すると共に、非接地系負荷より直流電源側において遮断機を設け、電流計で電流が検知された場合、遮断機を遮断して通電部材への電流供給を断つ構成としても良い。
【0042】
この場合、図6に示すように、非通電部材であるステーター2に電流計20を接続したり、図7に示すように、非通電部材であるローター1或いはローターと一体のシャフト9に電流計20を接続すればよい。遮断機は、非接地系負荷L1、L2…Lkよりも直流電源側に設ければよい。図6において、ステーター2とモータケース6との間に絶縁体7を介在させていること、図7において、ローター1とシャフト9との間に絶縁体10を介在させていることはそれぞれ図3、図4の構成と同様である。
【0043】
この構成によれば、通電部材と非通電部材がショートした場合、電流計20が電流を検知するだけで遮断機を切断するため、電流計で検知した電流値が所定のしきい値を超えているかどうかを判断する必要がなく、より簡易な構成とすることができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明車載電源システムによれば、▲1▼非接地系負荷における非通電部材とシャーシとを絶縁する、▲2▼非接地系負荷における通電部材と非通電部材とがショートした際にシャーシと電源とを遮断する、▲3▼非接地系負荷における通電部材と非通電部材とがショートした際に通電部材への電流供給を遮断することで、シャーシに大電流が流れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車載電源システムの概略図である。
【図2】一般的なインナーローター型ブラシレスDCモータの概略構成図である。
【図3】ステーターとモーターケースとの間に絶縁体を介在したモーターの概略構成図である。
【図4】ローターとシャフトとの間に絶縁体を介在したモーターの概略構成図である。
【図5】電流計と遮断機とを用いた本発明システムの概略図である。
【図6】ステーターに電流計を接続したモーターの概略図である。
【図7】ローターのシャフトに電流計を接続したモーターの概略図である。
【符号の説明】
1 ローター
2 ステーター
3 コイル
4 ホール素子
5 インバータ
6 モーターケース
7 絶縁体
8 絶縁材
9 シャフト
10 絶縁体
20 電流計
21 遮断機
【発明の属する技術分野】
本発明は、車載電源システムに関するものである。特に、モーターなどの非接地系負荷がショートした際でもシャーシに大電流が流れることを防止できる車載電源システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現用乗用車の直流電源(バッテリ)の電圧Vは12〜14ボルトであり、車載機器の接地をシャーシにとる際、その直流安全電圧V0(通常55〜65ボルト)に対して十分な安全性を有している。しかし、近年、自動車の機能が高まり、必要とする電源容量が大きくなると、より高電圧の電池を導入することが要望されている。ところが、未だ大半の車載機器がV<V0で動作してシャーシに共通接地できるのに対し、V>V0の車載機器はシャーシに接地をとることができない。その結果、2本線で電源を非接地系にしてゆくか、又は高電圧電池からDC/DCコンバーターでいちいち低圧を作り出してゆく必要がある。さらに、例えば42Vを超えるような高電圧電池が実用化される見通しは現状では乏しく、より高電圧の車載電源システムの構築が望まれている。
【0003】
このような課題を解消するために本発明者は未公開技術である特願2002−5494号(未公開)に記載の技術を提案した。図1は同号の車載電源システムの構成図である。
【0004】
このシステムは全電圧Vの車載用直流電源を具える。この全電圧Vは、V1=V×m/(m+n)、V2=V×n/(m+n)としてm:nに分割され、2つの分圧系統を構成する。そして、この電圧の分割点は、車両のシャーシに共通接地される。
【0005】
ここで、V1の分圧系統には、一端がシャーシに共通接地される負荷l11、l12…l1m(接地系負荷)が接続される。また、V2の分圧系統には、一端がシャーシに共通接地される負荷l21、l22…l2n(接地系負荷)が接続される。そして、Vの全電圧系統には、シャーシに接地されることのない負荷L1、L2…Lk(非接地系負荷)が接続される。
【0006】
電圧Vの全電圧系統を分圧V1、V2の2つの系統に分割し、V<V0(V0はシャーシへ接地可能な直流安全電圧)で動作する機器はシャーシの共通接地をとって各分圧系統で電力を供給する。その際、V1およびV2の分圧を従来の12〜14ボルト以上の電圧とすることで、大容量の車載機器を余裕をもって動作させることができる。また、V>V0の高圧大容量の必要な機器は、V1+V2の全電圧を適切に選択することにより、シャーシに接地されない独立の全電圧系統で電力供給することができる。このように、V<V0で動作する機器については1線で構成する接地系の電源システムにて電力を供給し、V>V0の高圧大容量の必要な機器は、2線で構成する非接地系の電源システムにて電力を供給することで、簡易な構成にて大容量の車載機器に安定して電力供給することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の車載電源システムでは、非接地系負荷がショートした場合、予期しない大電流が流れるおそれがある。このことを非接地系の負荷L1−Lkがモーターである場合を例に説明する。通常、モーターは、コイルの巻かれたステーター又はローターを具えている。コイルにはエナメルなどの絶縁被覆が施され、ステーターやローターとは絶縁されている。ここで、コイルの絶縁被覆が破れてステーター(ローター)とショートすると予期しない大電流が流れる可能性がある。その際、ステーターまたはローターはシャーシと電気的に接続されているため、大電流がシャーシに流れることになる。
【0008】
接地系負荷の場合は、負荷の電源側にヒューズを配し、故障による大電流はヒューズを溶断することで瞬時に遮断することが可能である。ところが、高圧大電流が想定される非接地系負荷の場合、負荷と直列に入ったヒューズには非常に大きな容量が必要で、多少のショートでは遮断することが難しい。
【0009】
従って、本発明の主目的は、非接地系負荷がショートした際でもシャーシに大電流が流れることを防止できる車載電源システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、非接地系負荷でショートが起こった場合、大電流がシャーシに流れないように絶縁の仕方に工夫を施したり、非接地系負荷からシャーシへの電流あるいは電源から非接地系負荷への電流を遮断できるように構成することで上記の目的を達成する。
【0011】
すなわち、本発明車載電源システムの第1の構成は、車のシャーシと、全電圧Vの車載用直流電源と、この全電圧Vをm:nに分割してV1=V×m/(m+n)、V2=V×n/(m+n)にすると共に、前記シャーシに共通接地される分割点と、一端がシャーシに共通接地され、分圧V1の系統に接続される負荷l11、l12…l1mと、一端がシャーシに共通接地され、分圧V2の系統に接続される負荷l21、l22…l2nと、シャーシに接続されることなく全電圧Vの系統に接続される負荷L1、L2…Lkと、前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記車載電源からの電流が通電される通電部材と、前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記通電部材に対して絶縁されている非通電部材と、前記通電部材と非通電部材とがショートした際にシャーシに電流が流れることのないよう、前記非通電部材とシャーシとの間を絶縁する絶縁体とを具えることを特徴とする。
【0012】
通常、非接地系の負荷は、車載電源からの電流が通電される通電部材と、この通電部材に対して絶縁されている非通電部材とから構成されている。この非通電部材は、通電部材に対しては絶縁されているが、シャーシとは電気的に接続されている。そのため、故障などにより通電部材と非通電部材との間がショートすれば、シャーシに大電流が流れてしまうことになる。本発明では、上記の非通電部材とシャーシとを絶縁することで、万一、通電部材と非通電部材とがショートしてもシャーシに大電流が流れることを防止することができる。
【0013】
本発明車載電源システムの第2の構成は、車のシャーシと、全電圧Vの車載用直流電源と、この全電圧Vをm:nに分割してV1=V×m/(m+n)、V2=V×n/(m+n)にすると共に、前記シャーシに共通接地される分割点と、一端がシャーシに共通接地され、分圧V1の系統に接続される負荷l11、l12…l1mと、一端がシャーシに共通接地され、分圧V2の系統に接続される負荷l21、l22…l2nと、シャーシに接続されることなく全電圧Vの系統に接続される負荷L1、L2…Lkと、前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記車載電源からの電流が通電される通電部材と、前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記通電部材に対して絶縁されている非通電部材と、前記電圧の分割点とシャーシとの間に電流計と遮断器を具え、前記通電部材と非通電部材とがショートした際、前記電流計で検出される電流が、前記負荷l11、l12…l1mとl21、l22…l2nの作動状態から想定される駆動電流値から所定の値以上はずれる場合に前記遮断器を遮断するように構成したことを特徴とする。
【0014】
この第2の構成でも、第1の構成と同様に、非接地負荷からシャーシへ大電流が流れることを抑制することが課題となっている。ただし、その課題解決手段として、分割点とシャーシとの間に電流計と遮断機を設け、非接地系負荷においてショートが起こった際、電流計の検知する電流値が所定のしきい値を超えると、分割点とシャーシとの接続を遮断する構成を採用している。
【0015】
直流電源には接地系負荷l11、l12…l1mとl21、l22…l2nが接続されているため、正常時においても分割点からシャーシ側にある程度の電流が流れることになる。そこで、接地系負荷l11、l12…l1mとl21、l22…l2nの作動状態から想定される正常な駆動電流値を予め設定しておき、このしきい値を一定以上超える場合に非接地系負荷でショートが起こっていると判断して遮断機の遮断を行う。
【0016】
本発明車載電源システムの第3の構成は、車のシャーシと、全電圧Vの車載用直流電源と、この全電圧Vをm:nに分割してV1=V×m/(m+n)、V2=V×n/(m+n)にすると共に、前記シャーシに共通接地される分割点と、一端がシャーシに共通接地され、分圧V1の系統に接続される負荷l11、l12…l1mと、一端がシャーシに共通接地され、分圧V2の系統に接続される負荷l21、l22…l2nと、シャーシに接続されることなく全電圧Vの系統に接続される負荷L1、L2…Lkと、前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記車載電源からの電流が通電される通電部材と、前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記通電部材に対して絶縁されている非通電部材と、前記非通電部材とシャーシとの間を絶縁する絶縁体と、前記非通電部材とシャーシ間に接続される電流計と、この電流計が電流を検知したときに前記負荷L1、L2…Lkよりも上流側で電流供給を遮断する遮断器とを具えることを特徴とする。
【0017】
第3の構成も、第1の構成と同様に、シャーシへ大電流が流れることを抑制することが課題である。ただし、その課題解決手段として、非接地系負荷でショートが起こったことを電流計で検知して、直ちに直流電源から非接地系負荷への電流供給を遮断する構成を採用した。非通電部材とシャーシとの間に絶縁体を具えている点は第1の構成と同様である。
【0018】
つまり、非通電部材に電流計を接続し、非接地系負荷と直流電源との間に遮断機を設けておく。通電部材と非通電部材との間でショートが起これば、非通電部材に電流が流れ、その電流を電流計で検知できるため、非接地系負荷の上流に位置する遮断機で非接地系負荷への電流供給を遮断することができる。
【0019】
第3の構成によれば、電流計により非通電部材に電流が流れたことを検知するだけで、直ちに通電部材への電流を電源側から遮断できるため、第2の構成と異なり、電流計で検知した電流値が所定のしきい値を超えているかどうかを判断する必要がなく、より簡易な構成とすることができる。
【0020】
本発明における非接地系負荷には、種々の電気機器が考えられる。たとえば、電気自動車における駆動モーターなど、高圧大電流が用いられる電気機器が挙げられる。モーターは、一般にコイルの巻かれたステーターの内側に、回転する磁石(ローター)を具える構成や、コイルの巻かれたローターの外側に、固定された磁石(ステーター)を有する構成が利用される。
【0021】
通電部材は、車載用直流電源からの電流が流される部材であれば特に限定されない。通常は、非接地系負荷における電線・リード線などが通電部材となる。非接地系負荷がモーターの場合、通電部材の一例としてはステーターやローターに巻かれたコイルが挙げられる。
【0022】
非通電部材は非接地系負荷のうち、通電部材に対して絶縁されている箇所であれば、特に限定されない。非接地系負荷がモーターでステーターにコイルが巻かれている場合、ステーター自体が非通電部材の一例となる。また、ローターにコイルが巻かれている場合、ローター自体が非通電部材の一例となる。
【0023】
非通電部材とシャーシとの間を絶縁するには、電気絶縁材として用いられるセラミックス、プラスチックや紙などの絶縁体を両者の間に介在させればよい。例えば、非通電部材がステーターであれば、ステーターと電気的に接続しているモーターケース等とステーターとの間に絶縁体を介在すればよい。また、非通電部材がローターであれば、ローターと電気的に接続しているシャフト等とローターとの間に絶縁体を介在すればよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(電源システムの全体構成)
非接地系負荷でショートが起こった場合にシャーシへ大電流が流れることを抑制する構成を説明する前に、車載電源システムの全体構成と機能を説明する。図1は車載電源システムの概略構成図である。
【0025】
このシステムは全電圧Vの車載用直流電源を具える。この全電圧Vは、V1=V×m/(m+n)、V2=V×n/(m+n)としてm:nに分割され、2つの分圧系統を構成する。そして、この電圧の分割点は、車両のシャーシに共通接地される。図1における接地記号がシャーシである。
【0026】
ここで、V1の分圧系統には、一端がシャーシに共通接地される負荷l11、l12…l1m(接地系負荷)が接続される。また、V2の分圧系統には、一端がシャーシに共通接地される負荷l21、l22…l2n(接地系負荷)が接続される。そして、Vの全電圧系統には、シャーシに接地されることのない負荷L1、L2…Lk(非接地系負荷)が接続される。
【0027】
一部で実用化されつつある高電圧電池であってもシャーシへ接地可能な直流安全電圧V0を考慮して全電圧V=(12〜14)×3=36〜42ボルト程度が当面の対象と考えられている。ところが、エンジンのスターター電源、クーラー電源、4輪電動駆動用モーター電源としては、42ボルトはなお低すぎて、さらなる高電圧化が要望されている。
【0028】
本発明では、V<V0でできるだけ高い電圧のDCバッテリーを2群(V1<V0、V2<V0)設けて直列接続し、その中間点をシャーシに共通接地する。例えば、電池電圧の絶対値をV1=V2=42Vとすると、中間点をシャーシに共通設置することによってV1=+42V、V2=−42Vとなる。これらの各バッテリーから供給される電力は、シャーシ共通接地可能な電圧として各負荷l11〜l1mとl21〜l2nにサプライ線(ワイヤーハーネス)のみの1線で供給され、電源線の多数化、複雑化を回避できる。また、これらのサプライ線(ワイヤーハーネス)とそのコネクター類の絶縁はV1、V2に対応するものでよい。
【0029】
安全上、図1のα面の電力サプライ線は、V0未満のV1、V2の電圧で電力供給するだけであるため、負荷ショート、サプライ線のショート等の場合でも、従来の技術をそのまま適用できる。但し、V1の分圧系統では、その電力サプライ線はプラス電圧に、V2の分圧系統では、その電力サプライ線はマイナス電圧になるので、負荷l11〜l1mまたはl21〜l2nへの接続は、これらの極性を考慮して行われる。
【0030】
一方、これら2群のDCバッテリー(電池)を直列に接続して得られるV=V1+V2の全電圧系統から供給される電力は、シャーシに共通接地されることのない重負荷L1〜Lkに直接供給される。つまり、バッテリサプライ/バッテリリターンの2線により回路が構成される。しかしながら、この場合でもサプライ線(ワイヤーハーネス)とそのコネクター類の絶縁は、結局のところ、アース(シャーシ)に対するものであればよいので、V1、V2に対応するもののままでよい。
【0031】
なお、V1およびV2はV0に対して種々の値を選択できる。例えば、V1≦V0、V2≦V0とし、かつV1+V2≦V0する。V1、V2としては、低圧機器群へ電力供給用として、12〜14ボルトのバッテリーをV1に、36〜42ボルトのバッテリーをV2として、V=48〜56ボルトで使用することが挙げられる。また、V1=V2=36〜42ボルトとして、V=72〜84ボルトとして活用してもよい。
【0032】
(モーターのステーターとシャーシとの絶縁)
上記のような車載電源システムにおいて、非接地系負荷にモーターを用いた場合を例として、非接地系負荷でショートが起きた際に大電流がシャーシに流れることを抑制する構成を説明する。
【0033】
図2は一般的なインナーローター型ブラシレスDCモータの概略構成図である。このモーターは、中心側にローター1となる磁石を具え、その外周にステーター2を具える。ステーター2は、磁石を取り囲むように内周側に突出した複数のポールを有し、各ポールにはエナメル線を巻きつけたコイル3が形成されている。さらに、コイル3とポールとの間には、絶縁材(図示せず)が介在されている。そのため、故障などが起きない限り、通電部材であるコイル3と非通電部材であるステーター2とは絶縁されている。ここでは、ホール素子4を使って磁石の回転位置を検出し、インバータ5にフィードバックしてコイル3への通電を制御する。
【0034】
従来、このようなモーターはモーターケース等をステーターの外周に設けて自動車に搭載される。その際、ステーターとシャーシとは電気的に接続されていた。
【0035】
本発明では、図3に示すように、ステーター2とモーターケース6との間に絶縁体7を介在することで、万一、コイル3とステーター2とがショートしても、ステーター2からモーターケース6を介して電流がシャーシに流れることがないように構成した。この絶縁体7は、コイル3とステーター2とのショート時に予想される電流に対して十分な絶縁耐力を有する材質・厚さのものを選択すればよい。なお、図3において、コイル3とステーター2との間に介在されるのは絶縁材8である。
【0036】
(モーターのローターとシャーシとの絶縁)
次に、ローターにコイルが巻かれているモーターを非接地系負荷に用いた場合を例として、非接地系負荷でショートが起きた際に大電流がシャーシに流れることを抑制する構成を説明する。
【0037】
図4はローター1にコイル3が巻かれているモーターの概略構成図である。このモーターは、コイル3が巻かれたローター1を中心側に具え、その外側にステーター2となる磁石を配している。従来、ローター1の回転軸となるシャフト9はシャーシと電気的に接続されていた。本例では、ローター1とシャフト9との間に絶縁体10を介在することにより、万一、通電部材であるコイル3と非通電部材であるローター1との間がショートしても、シャフト9を介してシャーシに電流が流れることを抑制できる。
【0038】
(電流計と遮断機を用いた構成1)
次に、電流計と遮断機とを用いた本発明システムを図5に基づいて説明する。この車載電源システムは、図1のシステムにおいて、分割点とシャーシとの間に電流計20と遮断機21を設けたものである。
【0039】
既に図1の電源システムに関して説明したように、直流電源には接地系負荷l11、l12…l1mとl21、l22…l2nが接続されている。そのため、分割点とシャーシとの間には、通常時でもある程度の電流が流れる。
【0040】
一方、モーターなどの非接地負荷において通電部材であるコイルと非通電部材であるステーター又はローターとの間がショートすれば、非通電部材とは絶縁されていないシャーシに大電流がながれることになる。その際、分割点からシャーシへも大電流が流れることになるため、この電流を電流計20で検知する。分割点とシャーシとの間には、接地系負荷の作動状態から想定される駆動電流が流れることが許容されているので、この駆動電流値を一定以上超えた場合に前記遮断機21を遮断するように構成する。これにより、万一、非接地系負荷でショートが生じても、シャーシを直流電源系から遮断して大電流がシャーシに流れることを抑制できる。
【0041】
(電流計と遮断機を用いた構成2)
前記の遮断機を用いた構成1では、車載電源システムの分割点とシャーシとの間に電流計と遮断機とを設けたが、その代わりに、非接地系負荷の非通電部材とシャーシの間に電流計を接続すると共に、非接地系負荷より直流電源側において遮断機を設け、電流計で電流が検知された場合、遮断機を遮断して通電部材への電流供給を断つ構成としても良い。
【0042】
この場合、図6に示すように、非通電部材であるステーター2に電流計20を接続したり、図7に示すように、非通電部材であるローター1或いはローターと一体のシャフト9に電流計20を接続すればよい。遮断機は、非接地系負荷L1、L2…Lkよりも直流電源側に設ければよい。図6において、ステーター2とモータケース6との間に絶縁体7を介在させていること、図7において、ローター1とシャフト9との間に絶縁体10を介在させていることはそれぞれ図3、図4の構成と同様である。
【0043】
この構成によれば、通電部材と非通電部材がショートした場合、電流計20が電流を検知するだけで遮断機を切断するため、電流計で検知した電流値が所定のしきい値を超えているかどうかを判断する必要がなく、より簡易な構成とすることができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明車載電源システムによれば、▲1▼非接地系負荷における非通電部材とシャーシとを絶縁する、▲2▼非接地系負荷における通電部材と非通電部材とがショートした際にシャーシと電源とを遮断する、▲3▼非接地系負荷における通電部材と非通電部材とがショートした際に通電部材への電流供給を遮断することで、シャーシに大電流が流れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】車載電源システムの概略図である。
【図2】一般的なインナーローター型ブラシレスDCモータの概略構成図である。
【図3】ステーターとモーターケースとの間に絶縁体を介在したモーターの概略構成図である。
【図4】ローターとシャフトとの間に絶縁体を介在したモーターの概略構成図である。
【図5】電流計と遮断機とを用いた本発明システムの概略図である。
【図6】ステーターに電流計を接続したモーターの概略図である。
【図7】ローターのシャフトに電流計を接続したモーターの概略図である。
【符号の説明】
1 ローター
2 ステーター
3 コイル
4 ホール素子
5 インバータ
6 モーターケース
7 絶縁体
8 絶縁材
9 シャフト
10 絶縁体
20 電流計
21 遮断機
Claims (5)
- 車のシャーシと、
全電圧Vの車載用直流電源と、
この全電圧Vをm:nに分割して
V1=V×m/(m+n)
V2=V×n/(m+n)
にすると共に、前記シャーシに共通接地される分割点と、
一端がシャーシに共通接地され、分圧V1の系統に接続される負荷l11、l12…l1mと、
一端がシャーシに共通接地され、分圧V2の系統に接続される負荷l21、l22…l2nと、
シャーシに接続されることなく全電圧Vの系統に接続される負荷L1、L2…Lkと、
前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記車載電源からの電流が通電される通電部材と、
前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記通電部材に対して絶縁されている非通電部材と、
前記通電部材と非通電部材とがショートした際にシャーシに電流が流れることのないよう、前記非通電部材とシャーシとの間を絶縁する絶縁体とを具えることを特徴とする車載電源システム。 - 前記非通電部材とシャーシ間に接続される電流計と、
この電流計が電流を検知したときに前記負荷L1、L2…Lkよりも上流側で通電部材への電流供給を遮断する遮断器とを具えることを特徴とする請求項1に記載の車載電源システム。 - 車のシャーシと、
全電圧Vの車載用直流電源と、
この全電圧Vをm:nに分割して
V1=V×m/(m+n)
V2=V×n/(m+n)
にすると共に、前記シャーシに共通接地される分割点と、
一端がシャーシに共通接地され、分圧V1の系統に接続される負荷l11、l12…l1mと、
一端がシャーシに共通接地され、分圧V2の系統に接続される負荷l21、l22…l2nと、
シャーシに接続されることなく全電圧Vの系統に接続される負荷L1、L2…Lkと、
前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記車載電源からの電流が通電される通電部材と、
前記負荷L1、L2…Lkの一部を構成して前記通電部材に対して絶縁されている非通電部材と、
前記電圧の分割点とシャーシとの間に設けられた電流計および遮断器を具え、前記通電部材と非通電部材とがショートした際、前記電流計で検出される電流が、前記負荷l11、l12…l1mとl21、l22…l2nの作動状態から想定される駆動電流値から所定の値以上はずれる場合に前記遮断器を遮断するように構成したことを特徴とする車載電源システム。 - 前記負荷L1、L2…Lkはモーターを含み、
前記非通電部材がモーターを構成するステーターで、
前記通電部材がステーターに巻回されるコイルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車載電源システム。 - 前記負荷L1、L2…Lkはモーターを含み、
前記非通電部材がモーターを構成するローターで、
前記通電部材がローターに巻回されるコイルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車載電源システム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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2002
- 2002-06-28 JP JP2002190448A patent/JP2004034733A/ja active Pending
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