JP2004031470A - 単結晶SiCを用いた半導体デバイスと、それを用いた電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】単結晶SiCから構成される半導体素子を有する半導体デバイスを、マイクロパイプ欠陥を克服して高温、高耐圧、高信頼性の特性を活かして実現する。
【解決手段】単結晶SiCから構成されるトランジスタ(半導体素子)1と、トランジスタ1に直列接続された電源回路遮断トランジスタ2と、トランジスタ1に直列接続されたリーク電流検出回路3と、リーク電流検出回路3の出力に基づきOFF信号を生成して電源回路遮断トランジスタ2に出力する電源回路遮断回路4とを備えた回路ブロック5を複数個並列接続して半導体デバイスを構成する。各回路ブロック5のトランジスタ1を小型化してマイクロパイプの数を低減し、リーク電流増加の可能性を小さくするとともに、リーク電流が増大したトランジスタ1は電源回路遮断トランジスタ2により切り離し、半導体デバイスの全体としての動作を維持保証する。
【選択図】 図1
【解決手段】単結晶SiCから構成されるトランジスタ(半導体素子)1と、トランジスタ1に直列接続された電源回路遮断トランジスタ2と、トランジスタ1に直列接続されたリーク電流検出回路3と、リーク電流検出回路3の出力に基づきOFF信号を生成して電源回路遮断トランジスタ2に出力する電源回路遮断回路4とを備えた回路ブロック5を複数個並列接続して半導体デバイスを構成する。各回路ブロック5のトランジスタ1を小型化してマイクロパイプの数を低減し、リーク電流増加の可能性を小さくするとともに、リーク電流が増大したトランジスタ1は電源回路遮断トランジスタ2により切り離し、半導体デバイスの全体としての動作を維持保証する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温半導体素子や光学素子、発光素子などの基板ウエハとして用いられる単結晶SiCから構成された半導体デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
SiC(炭化珪素)は、耐熱性および機械的強度に優れているだけでなく、放射線にも強く、さらに不純物の添加によって電子や正孔の価電子制御が容易である上、広い禁制帯幅を持つために、Si(シリコン)などの既存の半導体材料では実現することができない高温、高周波、耐電圧、および耐環境性を実現することが可能である。この種のSiC基板ウエハは、エピタキシャル成長などの種々の加工を施すことによって一枚のウエハ上に複数のICチップを同時に作製する場合の基板などとして利用される。
【0003】
上記したようなICチップなどの半導体デバイス作製用の基板ウエハとして利用されるSiC単結晶の製造方法として、黒鉛るつぼ内で原料のSiC粉末を昇華させ、その昇華ガスを黒鉛るつぼ内の低温部に再結晶させる昇華再結晶法(レーリー法)、あるいは黒鉛るつぼ内の低温側に種結晶を配置し、原料となるSiCから昇華した昇華ガスを閉鎖空間内で拡散輸送させ、前記種結晶上に再結晶させる改良型昇華再結晶法(改良レーリー法)などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、結晶成長速度の進展、大型単結晶成長が可能なレーリー法や改良レーリー法によって製造されたSiC単結晶においては、半導体デバイスを作製した際の耐圧劣化や漏れ電流などの原因となるマイクロパイプと称される直径数〜数十ミクロンのピンホールの多数個(現状で100本/cm2 程度)が結晶内欠陥として存在し、品質的に問題が多い。特に、高耐圧半導体デバイス作製用基板ウエハとして利用する際、その基板ウエハに存在する多数個の前記マクロパイプが半導体デバイスの作製上の致命的な障害となる。すなわち、例えばレーリー法や改良レーリー法によって製造されたSiC単結晶を基板ウエハとして用い、その上にエピタキシャル層を形成する場合、ウエハに存在するマイクロパイプがエピタキシャル層に継承されて成長してしまい、所定の半導体デバイスを作製することができない。また、作製できたとしても、マイクロパイプがPN接合部に形成されていると、半導体デバイスの使用中においても、その電流、温度による経時的な成長が発生し、リーク電流の経時的な増加特性を示すことになる。
【0005】
したがって、このマイクロパイプ欠陥を有する半導体デバイスは、リーク電流が問題となる回路構成用途に使用することができないという問題があり、上記したように、Siなどの既存の半導体材料に比べて多くの優れた特徴を有しながらも、その実用化が困難になっている。
【0006】
特に、電力変換装置においては、一般的にデバイス端子電圧が高く、大電流かつ高温下での使用条件が多いために、本来はSiCによるトランジスタがその特性上最適であるが、上記のマイクロパイプに起因するリーク電流が大きいために、その優れた特性を活かした用途に使用することが困難であった。
【0007】
本発明は上記の課題を解決するもので、SiC結晶において除外できないマイクロパイプが存在しても、単結晶SiCが有する優れた特性を活かした半導体デバイスを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するために、単結晶SiCから構成される半導体素子と、前記半導体素子のリーク電流を検出するためのリーク電流検出回路と、前記半導体素子に直列接続された電源回路遮断手段と、前記リーク電流の増大に対応して前記電源回路遮断手段により前記半導体素子を遮断する電源回路遮断回路とを備えた回路ブロックを、複数個並列接続して備えた半導体デバイスである。
【0009】
本発明により、特定の半導体素子のリーク電流が増加しても、その半導体素子の回路ブロックのみを切り離すことにより、安定した半導体素子の動作を行わせることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
請求項1に係わる本発明は、単結晶SiCから構成される半導体素子と、前記半導体素子のリーク電流を検出するためのリーク電流検出回路と、前記リーク電流検出回路により検出した前記リーク電流の増大に対応してOFF信号を生成出力する電源回路遮断回路と、前記半導体素子に直列接続されて前記OFF信号により前記半導体素子を遮断する電源回路遮断手段とを備えた回路ブロックを複数個並列接続して設けたことを特徴とする単結晶SiCを用いた半導体デバイスである。
【0011】
本発明において、電源回路遮断回路は、特定の半導体素子のリーク電流が増加した場合、その半導体素子に対応する回路ブロックのみを切り離す。これにより、安定した半導体素子の動作を行わせることができる。
【0012】
請求項2に係わる本発明は、半導体素子に直列接続した個別トランジスタで構成した電源回路遮断手段と、前記半導体素子に直列接続した個別抵抗器で構成したリーク電流検出回路と、前記個別抵抗器に発生した電圧によりリーク電流の大きさを検出し、所定値より大きいリーク電流に対応してOFF信号を前記個別トランジスタに出力する電源回路遮断回路とを備えた回路ブロックを複数個並列接続して設けたことを特徴とする請求項1に係わる単結晶SiCを用いた半導体デバイスである。
【0013】
本発明において、電源回路遮断手段およびリーク電流検出回路は個別部品で構成される。これにより、半導体素子の実動作に適合した設定ができ、安定な動作と設計対応力(設計自由度)とを得ることができる。
【0014】
請求項3に係わる本発明は、単結晶SiCから構成される半導体素子、個別抵抗器で構成されるリーク電流検出回路、個別トランジスタで構成される電源回路遮断手段、および電源回路遮断回路の、一部もしくはすべてが同一の1チップのSiC上に構成されていることを特徴とする請求項2に係わる単結晶SiCを用いた半導体デバイスである。
【0015】
本発明において、半導体素子以外の回路の一部もしくはすべてが同一の1チップSiC上に構成される。これにより、安定した半導体素子の動作を低コストで実現することができる。
【0016】
請求項4に係わる本発明は、請求項1ないし請求項3に係わる半導体デバイスにより電力変換装置を構成する。
【0017】
本発明において、電力変換装置が上記半導体デバイスを用いて構成される。これにより、高温、高耐圧、かつ高信頼性の電力変換装置を実現できる。
【0018】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0019】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1について図面を参照しながら説明する。図1は本実施例における回路ブロックの構成を示す回路図、図2は本実施例の半導体デバイスの構成を示す回路図である。図1および図2において、単結晶SiCから構成されるトランジスタ(半導体素子)1と、トランジスタ1に直列接続された電源回路遮断トランジスタ(電源回路遮断手段)2と、トランジスタ1に直列接続されたリーク電流検出回路3と、リーク電流検出回路3の出力に基づきOFF信号を生成して電源回路遮断トランジスタ2に出力する電源回路遮断回路4とを備えた回路ブロック5を複数個並列接続して半導体デバイスを構成している。
【0020】
上記のように、本実施例の半導体デバイスは、複数個の回路ブロック5を並列接続して構成され、全体として1つのトランジスタ動作を行うものであるが、各回路ブロック5の単結晶SiCから構成されるトランジスタ1を小型化することにより、各トランジスタ1に存在するマイクロパイプの数がそれぞれ減少し、これによりリーク電流が増加する可能性を低減しているとともに、マイクロパイプ欠陥によりトランジスタ1のリーク電流が増加しても、そのトランジスタ1のみを半導体デバイスから切り離すことにより、半導体デバイスの回路全体としては安定したトランジスタ動作を行わせることができる。
【0021】
すなわち、個々の回路ブロック5の電源回路遮断回路4は、対応するトランジスタ1のリーク電流をリーク電流検出回路3により検出し、そのリーク電流が所定値よりも大きいことを検出したときは対応するトランジスタ1が異常リークしていると判断し、OFF信号を生成して対応する電源回路遮断トランジスタ2に出力し、電源回路遮断トランジスタ2は前記OFF信号によりそのトランジスタ1を半導体デバイスから選択的に切り離す。これにより、半導体デバイスの製品としての機能を維持保証することができる。
【0022】
本実施例において、遮断されたトランジスタ1はリーク電流がゼロとなるが、このとき、電源回路遮断回路4はリーク電流がゼロとなってもOFF信号を継続して出力するようなヒステリシス特性などを備えたものとする。また、電源回路遮断トランジスタ2は、OFF信号がない場合には導通状態となるノーマルON動作を行う。
【0023】
なお、トランジスタ1と同様に、他の機能を有する半導体素子、たとえばダイオード、トライアックなども単結晶SiCから構成して実現することができる。また、電源回路遮断トランジスタ2は、ノーマルON動作で使用する回路遮断機能を有すれば他の手段、構成であっても代替できることはいうまでもない。
【0024】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2について説明する。図1および図2に示した各回路ブロック5において、単結晶SiCから構成されるトランジスタ1に直列接続された電源回路遮断トランジスタ2を個別NPNトランジスタで構成するとともに、トランジスタ1に直列接続されたリーク電流検出回路3を個別抵抗器で構成し、電源回路遮断回路4は、前記個別抵抗器の両端電圧を検出し、トランジスタ1のリーク電流に相当する電流値が所定値を超えた場合にトランジスタ1は異常リークしていると判断し、OFF信号を生成して電源回路遮断トランジスタ2に出力する構成としている。半導体デバイスはこの回路ブロック5を複数個並列に設けて構成される。
【0025】
本実施例では、リーク電流検出回路3を構成する抵抗器、および電源回路遮断トランジスタ2をそれぞれディスクリート部品で構成したことにより、検出電流値を任意に設定できるとともに、トランジスタ1の電流値定格に合わせて電源回路遮断トランジスタ2を選定できるために、回路規格(実装面積規模)は大きくなるが、設計対応力があり、安定したトランジスタ動作を行う半導体デバイスを構成することができる。
【0026】
なお、本実施例においても、トランジスタ1と同様に、他の機能を有する半導体素子、たとえばダイオード、トライアックなども単結晶SiCから構成して実現でき、また、電源回路遮断トランジスタ2は、ノーマルON動作で使用する回路遮断機能を有すれば他の手段、構成であっても代替できることはいうまでもない。
【0027】
(実施例3)
以下、本発明の実施例3について説明する。図1に示した回路ブロック5および図2に示した半導体デバイスにおいて、SiCプロセスに集積化回路技術(IC技術)を用い、単結晶SiCから構成されるトランジスタ1と、トランジスタ1に直列接続された電源回路遮断トランジスタ2である個別NPNトランジスタと、トランジスタ1に直列接続されたリーク電流検出回路3と、電源回路遮断回路4とを、同一のSiCチップ上に形成することにより、回路規模(実装面積規模)の小さい回路を構成できるとともに、回路ブロック5間の特性ばらつきが少なく安定したトランジスタ動作を行う半導体デバイスを構成することができる。
【0028】
なお、本実施例においても、トランジスタ1と同様に、他の機能を有する半導体素子、たとえばダイオード、トライアックなども単結晶SiCから構成して実現でき、また、電源回路遮断トランジスタ2は、ノーマルON動作で使用する回路遮断機能を有すれば他の手段、構成であっても代替できることはいうまでもない。
【0029】
(実施例4)
以下、本発明の実施例4について説明する。図1および図2には図示していないが、実施例1ないし実施例3に説明した半導体デバイスにより、いわゆるモータ駆動用インバータや交流電力変換装置などを構成することにより、マイクロパイプに起因するリーク電流が大きいために信頼性の面から使用が困難であった用途においても、高速スイッチングができる高耐圧型デバイスを簡単に構成でき、高温下での使用が可能であるといった利点を備えた電力変換装置を実現することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の半導体デバイスによれば、単結晶SiCから構成される半導体素子と、前記半導体素子のリーク電流を検出するためのリーク電流検出回路と、前記リーク電流検出回路により検出した前記リーク電流の増大に対応してOFF信号を生成出力する電源回路遮断回路と、前記半導体素子に直列接続されて前記OFF信号により前記半導体素子を遮断する電源回路遮断手段とを備えた回路ブロックを複数個並列接続して設けたことを特徴とする単結晶SiCを用いた半導体デバイスとすることにより、単結晶SiCにおいて除外できないマイクロパイプが存在しても回路的に対応することができ、単結晶SiCトランジスタが有する優れた特性を活かした半導体デバイスを構成することが可能となり、また、本発明の半導体デバイスを用いて、SiC半導体が有する高耐圧、低損失、高速スイッチング特性から高効率、小型の電力変換装置を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体デバイスの実施例1ないし実施例3における回路ブロックの構成を示す回路図
【図2】
同実施例における回路ブロックを複数個並列接続して構成した半導体デバイスの構成を示す回路図
【符号の説明】
1 トランジスタ(半導体素子)
2 電源回路遮断トランジスタ(電源回路遮断手段)
3 リーク電流検出回路
4 電源回路遮断回路
5 回路ブロック
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温半導体素子や光学素子、発光素子などの基板ウエハとして用いられる単結晶SiCから構成された半導体デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
SiC(炭化珪素)は、耐熱性および機械的強度に優れているだけでなく、放射線にも強く、さらに不純物の添加によって電子や正孔の価電子制御が容易である上、広い禁制帯幅を持つために、Si(シリコン)などの既存の半導体材料では実現することができない高温、高周波、耐電圧、および耐環境性を実現することが可能である。この種のSiC基板ウエハは、エピタキシャル成長などの種々の加工を施すことによって一枚のウエハ上に複数のICチップを同時に作製する場合の基板などとして利用される。
【0003】
上記したようなICチップなどの半導体デバイス作製用の基板ウエハとして利用されるSiC単結晶の製造方法として、黒鉛るつぼ内で原料のSiC粉末を昇華させ、その昇華ガスを黒鉛るつぼ内の低温部に再結晶させる昇華再結晶法(レーリー法)、あるいは黒鉛るつぼ内の低温側に種結晶を配置し、原料となるSiCから昇華した昇華ガスを閉鎖空間内で拡散輸送させ、前記種結晶上に再結晶させる改良型昇華再結晶法(改良レーリー法)などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、結晶成長速度の進展、大型単結晶成長が可能なレーリー法や改良レーリー法によって製造されたSiC単結晶においては、半導体デバイスを作製した際の耐圧劣化や漏れ電流などの原因となるマイクロパイプと称される直径数〜数十ミクロンのピンホールの多数個(現状で100本/cm2 程度)が結晶内欠陥として存在し、品質的に問題が多い。特に、高耐圧半導体デバイス作製用基板ウエハとして利用する際、その基板ウエハに存在する多数個の前記マクロパイプが半導体デバイスの作製上の致命的な障害となる。すなわち、例えばレーリー法や改良レーリー法によって製造されたSiC単結晶を基板ウエハとして用い、その上にエピタキシャル層を形成する場合、ウエハに存在するマイクロパイプがエピタキシャル層に継承されて成長してしまい、所定の半導体デバイスを作製することができない。また、作製できたとしても、マイクロパイプがPN接合部に形成されていると、半導体デバイスの使用中においても、その電流、温度による経時的な成長が発生し、リーク電流の経時的な増加特性を示すことになる。
【0005】
したがって、このマイクロパイプ欠陥を有する半導体デバイスは、リーク電流が問題となる回路構成用途に使用することができないという問題があり、上記したように、Siなどの既存の半導体材料に比べて多くの優れた特徴を有しながらも、その実用化が困難になっている。
【0006】
特に、電力変換装置においては、一般的にデバイス端子電圧が高く、大電流かつ高温下での使用条件が多いために、本来はSiCによるトランジスタがその特性上最適であるが、上記のマイクロパイプに起因するリーク電流が大きいために、その優れた特性を活かした用途に使用することが困難であった。
【0007】
本発明は上記の課題を解決するもので、SiC結晶において除外できないマイクロパイプが存在しても、単結晶SiCが有する優れた特性を活かした半導体デバイスを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するために、単結晶SiCから構成される半導体素子と、前記半導体素子のリーク電流を検出するためのリーク電流検出回路と、前記半導体素子に直列接続された電源回路遮断手段と、前記リーク電流の増大に対応して前記電源回路遮断手段により前記半導体素子を遮断する電源回路遮断回路とを備えた回路ブロックを、複数個並列接続して備えた半導体デバイスである。
【0009】
本発明により、特定の半導体素子のリーク電流が増加しても、その半導体素子の回路ブロックのみを切り離すことにより、安定した半導体素子の動作を行わせることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
請求項1に係わる本発明は、単結晶SiCから構成される半導体素子と、前記半導体素子のリーク電流を検出するためのリーク電流検出回路と、前記リーク電流検出回路により検出した前記リーク電流の増大に対応してOFF信号を生成出力する電源回路遮断回路と、前記半導体素子に直列接続されて前記OFF信号により前記半導体素子を遮断する電源回路遮断手段とを備えた回路ブロックを複数個並列接続して設けたことを特徴とする単結晶SiCを用いた半導体デバイスである。
【0011】
本発明において、電源回路遮断回路は、特定の半導体素子のリーク電流が増加した場合、その半導体素子に対応する回路ブロックのみを切り離す。これにより、安定した半導体素子の動作を行わせることができる。
【0012】
請求項2に係わる本発明は、半導体素子に直列接続した個別トランジスタで構成した電源回路遮断手段と、前記半導体素子に直列接続した個別抵抗器で構成したリーク電流検出回路と、前記個別抵抗器に発生した電圧によりリーク電流の大きさを検出し、所定値より大きいリーク電流に対応してOFF信号を前記個別トランジスタに出力する電源回路遮断回路とを備えた回路ブロックを複数個並列接続して設けたことを特徴とする請求項1に係わる単結晶SiCを用いた半導体デバイスである。
【0013】
本発明において、電源回路遮断手段およびリーク電流検出回路は個別部品で構成される。これにより、半導体素子の実動作に適合した設定ができ、安定な動作と設計対応力(設計自由度)とを得ることができる。
【0014】
請求項3に係わる本発明は、単結晶SiCから構成される半導体素子、個別抵抗器で構成されるリーク電流検出回路、個別トランジスタで構成される電源回路遮断手段、および電源回路遮断回路の、一部もしくはすべてが同一の1チップのSiC上に構成されていることを特徴とする請求項2に係わる単結晶SiCを用いた半導体デバイスである。
【0015】
本発明において、半導体素子以外の回路の一部もしくはすべてが同一の1チップSiC上に構成される。これにより、安定した半導体素子の動作を低コストで実現することができる。
【0016】
請求項4に係わる本発明は、請求項1ないし請求項3に係わる半導体デバイスにより電力変換装置を構成する。
【0017】
本発明において、電力変換装置が上記半導体デバイスを用いて構成される。これにより、高温、高耐圧、かつ高信頼性の電力変換装置を実現できる。
【0018】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0019】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1について図面を参照しながら説明する。図1は本実施例における回路ブロックの構成を示す回路図、図2は本実施例の半導体デバイスの構成を示す回路図である。図1および図2において、単結晶SiCから構成されるトランジスタ(半導体素子)1と、トランジスタ1に直列接続された電源回路遮断トランジスタ(電源回路遮断手段)2と、トランジスタ1に直列接続されたリーク電流検出回路3と、リーク電流検出回路3の出力に基づきOFF信号を生成して電源回路遮断トランジスタ2に出力する電源回路遮断回路4とを備えた回路ブロック5を複数個並列接続して半導体デバイスを構成している。
【0020】
上記のように、本実施例の半導体デバイスは、複数個の回路ブロック5を並列接続して構成され、全体として1つのトランジスタ動作を行うものであるが、各回路ブロック5の単結晶SiCから構成されるトランジスタ1を小型化することにより、各トランジスタ1に存在するマイクロパイプの数がそれぞれ減少し、これによりリーク電流が増加する可能性を低減しているとともに、マイクロパイプ欠陥によりトランジスタ1のリーク電流が増加しても、そのトランジスタ1のみを半導体デバイスから切り離すことにより、半導体デバイスの回路全体としては安定したトランジスタ動作を行わせることができる。
【0021】
すなわち、個々の回路ブロック5の電源回路遮断回路4は、対応するトランジスタ1のリーク電流をリーク電流検出回路3により検出し、そのリーク電流が所定値よりも大きいことを検出したときは対応するトランジスタ1が異常リークしていると判断し、OFF信号を生成して対応する電源回路遮断トランジスタ2に出力し、電源回路遮断トランジスタ2は前記OFF信号によりそのトランジスタ1を半導体デバイスから選択的に切り離す。これにより、半導体デバイスの製品としての機能を維持保証することができる。
【0022】
本実施例において、遮断されたトランジスタ1はリーク電流がゼロとなるが、このとき、電源回路遮断回路4はリーク電流がゼロとなってもOFF信号を継続して出力するようなヒステリシス特性などを備えたものとする。また、電源回路遮断トランジスタ2は、OFF信号がない場合には導通状態となるノーマルON動作を行う。
【0023】
なお、トランジスタ1と同様に、他の機能を有する半導体素子、たとえばダイオード、トライアックなども単結晶SiCから構成して実現することができる。また、電源回路遮断トランジスタ2は、ノーマルON動作で使用する回路遮断機能を有すれば他の手段、構成であっても代替できることはいうまでもない。
【0024】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2について説明する。図1および図2に示した各回路ブロック5において、単結晶SiCから構成されるトランジスタ1に直列接続された電源回路遮断トランジスタ2を個別NPNトランジスタで構成するとともに、トランジスタ1に直列接続されたリーク電流検出回路3を個別抵抗器で構成し、電源回路遮断回路4は、前記個別抵抗器の両端電圧を検出し、トランジスタ1のリーク電流に相当する電流値が所定値を超えた場合にトランジスタ1は異常リークしていると判断し、OFF信号を生成して電源回路遮断トランジスタ2に出力する構成としている。半導体デバイスはこの回路ブロック5を複数個並列に設けて構成される。
【0025】
本実施例では、リーク電流検出回路3を構成する抵抗器、および電源回路遮断トランジスタ2をそれぞれディスクリート部品で構成したことにより、検出電流値を任意に設定できるとともに、トランジスタ1の電流値定格に合わせて電源回路遮断トランジスタ2を選定できるために、回路規格(実装面積規模)は大きくなるが、設計対応力があり、安定したトランジスタ動作を行う半導体デバイスを構成することができる。
【0026】
なお、本実施例においても、トランジスタ1と同様に、他の機能を有する半導体素子、たとえばダイオード、トライアックなども単結晶SiCから構成して実現でき、また、電源回路遮断トランジスタ2は、ノーマルON動作で使用する回路遮断機能を有すれば他の手段、構成であっても代替できることはいうまでもない。
【0027】
(実施例3)
以下、本発明の実施例3について説明する。図1に示した回路ブロック5および図2に示した半導体デバイスにおいて、SiCプロセスに集積化回路技術(IC技術)を用い、単結晶SiCから構成されるトランジスタ1と、トランジスタ1に直列接続された電源回路遮断トランジスタ2である個別NPNトランジスタと、トランジスタ1に直列接続されたリーク電流検出回路3と、電源回路遮断回路4とを、同一のSiCチップ上に形成することにより、回路規模(実装面積規模)の小さい回路を構成できるとともに、回路ブロック5間の特性ばらつきが少なく安定したトランジスタ動作を行う半導体デバイスを構成することができる。
【0028】
なお、本実施例においても、トランジスタ1と同様に、他の機能を有する半導体素子、たとえばダイオード、トライアックなども単結晶SiCから構成して実現でき、また、電源回路遮断トランジスタ2は、ノーマルON動作で使用する回路遮断機能を有すれば他の手段、構成であっても代替できることはいうまでもない。
【0029】
(実施例4)
以下、本発明の実施例4について説明する。図1および図2には図示していないが、実施例1ないし実施例3に説明した半導体デバイスにより、いわゆるモータ駆動用インバータや交流電力変換装置などを構成することにより、マイクロパイプに起因するリーク電流が大きいために信頼性の面から使用が困難であった用途においても、高速スイッチングができる高耐圧型デバイスを簡単に構成でき、高温下での使用が可能であるといった利点を備えた電力変換装置を実現することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の半導体デバイスによれば、単結晶SiCから構成される半導体素子と、前記半導体素子のリーク電流を検出するためのリーク電流検出回路と、前記リーク電流検出回路により検出した前記リーク電流の増大に対応してOFF信号を生成出力する電源回路遮断回路と、前記半導体素子に直列接続されて前記OFF信号により前記半導体素子を遮断する電源回路遮断手段とを備えた回路ブロックを複数個並列接続して設けたことを特徴とする単結晶SiCを用いた半導体デバイスとすることにより、単結晶SiCにおいて除外できないマイクロパイプが存在しても回路的に対応することができ、単結晶SiCトランジスタが有する優れた特性を活かした半導体デバイスを構成することが可能となり、また、本発明の半導体デバイスを用いて、SiC半導体が有する高耐圧、低損失、高速スイッチング特性から高効率、小型の電力変換装置を構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体デバイスの実施例1ないし実施例3における回路ブロックの構成を示す回路図
【図2】
同実施例における回路ブロックを複数個並列接続して構成した半導体デバイスの構成を示す回路図
【符号の説明】
1 トランジスタ(半導体素子)
2 電源回路遮断トランジスタ(電源回路遮断手段)
3 リーク電流検出回路
4 電源回路遮断回路
5 回路ブロック
Claims (4)
- 単結晶SiCから構成される半導体素子と、前記半導体素子のリーク電流を検出するためのリーク電流検出回路と、前記リーク電流検出回路により検出した前記リーク電流の増大に対応してOFF信号を生成出力する電源回路遮断回路と、前記半導体素子に直列接続されて前記OFF信号により前記半導体素子を遮断する電源回路遮断手段とを備えた回路ブロックを複数個並列接続して設けたことを特徴とする単結晶SiCを用いた半導体デバイス。
- 半導体素子に直列接続した個別トランジスタで構成した電源回路遮断手段と、前記半導体素子に直列接続した個別抵抗器で構成したリーク電流検出回路と、前記個別抵抗器に発生した電圧によりリーク電流の大きさを検出し、所定値より大きいリーク電流に対応してOFF信号を前記個別トランジスタに出力する電源回路遮断回路とを備えた回路ブロックを複数個並列接続して設けたことを特徴とする請求項1記載の単結晶SiCを用いた半導体デバイス。
- 単結晶SiCから構成される半導体素子、個別抵抗器で構成されるリーク電流検出回路、個別トランジスタで構成される電源回路遮断手段、および電源回路遮断回路の、一部もしくはすべてが同一の1チップのSiC上に構成されていることを特徴とする請求項2記載の単結晶SiCを用いた半導体デバイス。
- 請求項1から請求項3いずれか1項記載の半導体デバイスを用いた電力変換装置。
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---|---|---|---|
JP2002182485A JP2004031470A (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | 単結晶SiCを用いた半導体デバイスと、それを用いた電力変換装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2002
- 2002-06-24 JP JP2002182485A patent/JP2004031470A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8384090B2 (en) | 2004-10-04 | 2013-02-26 | Cree, Inc. | Low 1C screw dislocation 3 inch silicon carbide wafer |
US8785946B2 (en) | 2004-10-04 | 2014-07-22 | Cree, Inc. | Low 1C screw dislocation 3 inch silicon carbide wafer |
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