JP2004030460A - 画像処理方法、画像処理プログラム及びそれを記録した記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】撮影対象物を含む所定エリアを撮影した2次元画像の中から撮影対象物の画像を抽出することができる画像処理方法、画像処理プログラム及びそれを記録した記録媒体を提供する。
【解決手段】対象エリアの高さ分布情報データを生成し(S1)、その高さ分布情報データD4を用いて高さが所定の閾値よりも低い領域をマスクするマスク領域を生成する(S2)。ラインセンサ27Nにより取得した画像データD2にマスク領域を重ね合わせ、第1のマスク画像データを生成する(S5)。第1のマスク画像データのマスク領域を所定幅縮退し、第2のマスク画像データを生成する(S7)。そして、第2のマスク画像データから、マスクされていない撮影対象物を抽出する(S8)。
【選択図】 図4
【解決手段】対象エリアの高さ分布情報データを生成し(S1)、その高さ分布情報データD4を用いて高さが所定の閾値よりも低い領域をマスクするマスク領域を生成する(S2)。ラインセンサ27Nにより取得した画像データD2にマスク領域を重ね合わせ、第1のマスク画像データを生成する(S5)。第1のマスク画像データのマスク領域を所定幅縮退し、第2のマスク画像データを生成する(S7)。そして、第2のマスク画像データから、マスクされていない撮影対象物を抽出する(S8)。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理方法、画像処理プログラム及びそれを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、GIS(Geographic Information System)分野において、特に都市部における3次元地図の需要が高まっている。その利用形態としては、カーナビゲーションなどに用いる道路情報、都市災害GISなどが挙げられる。また、電波の伝播解析、氾濫解析等の解析にも詳細かつ精度が高い3次元地図が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そういった3次元地図の作成方法として、対象エリアを上空の異なる視点から撮影した複数の2次元画像を用いて、対象エリアの3次元地図を生成する方法があると発明者は考えた。
【0004】
この方法で3次元地図を生成する場合、複数の2次元画像に写っている同一の撮影対象物の画像を、これらの2次元画像の間で対応(マッチング)させる必要がある。しかしながら、このような2次元画像には、撮影対象物の画像以外にも道路などの地上物の画像が多く含まれている。このため、マッチングに要する計算量が膨大となる。また、様々な種類の地上物の画像が混じっているため、ミスマッチングの発生率も高まる。これらの問題点を回避するためには、2次元画像の中から撮影対象物のみを抽出することが有効である。
【0005】
本発明は、撮影対象物を含む所定エリアを撮影した2次元画像の中から撮影対象物の画像を抽出することができる画像処理方法、画像処理プログラム及びそれを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による画像処理方法は、撮影対象物を含む地上の所定エリアの高さ分布情報を用いて、所定エリアを上空から撮像して得られた2次元画像を処理する画像処理方法であって、高さ分布情報に基づいて、所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも低い部分の領域と、高さが所定の閾値よりも高い部分の領域との境界に関する境界情報を生成する境界生成ステップと、2次元画像に境界情報を重ね合わせて境界画像を生成する境界画像生成ステップと、境界画像生成ステップにより生成された境界画像に基づいて、高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物を2次元画像から抽出する撮影対象物抽出ステップとを備えることを特徴とする。
【0007】
上記した画像処理方法は、所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも低い部分の領域と高い部分の領域との境界に関する境界情報を生成している。そして、境界情報を2次元画像に重ね合わせている。これによって、撮影対象物を含む所定エリアを撮影した2次元画像の中から高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物の画像を抽出することができる。
【0008】
また、画像処理方法は、境界情報を所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも高い部分の領域が所定幅だけ広がるように調整する調整ステップをさらに備えることを特徴としてもよい。これによって、境界情報により定められる、高さが所定の閾値よりも低い部分と撮影対象物の画像とが重なることなく、撮影対象物の画像を好適に抽出することができる。
【0009】
また、画像処理方法は、高さ分布情報を所定の大きさの小エリアごとの情報に分割する分割ステップをさらに備え、境界生成ステップは、分割ステップにより分割された小エリアごとに境界情報を生成することを特徴としてもよい。これによって、標高が変化する所定エリアにおいても境界情報を好適に生成することができる。
【0010】
また、本発明による画像処理プログラムは、上記した画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による記録媒体は、上記した画像処理方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による画像処理方法、画像処理プログラム及びそれを記録する記録媒体の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0013】
図1は、本発明に係る画像処理方法の実施形態を実施する画像処理装置1を説明する図である。画像処理装置1は、ワークステーション、パーソナルコンピュータ等の計算機10、表示装置となるモニタ11、入力装置であるキーボード12、及びマウス13を備えている。なお、計算機10には、内部記録装置としてハードディスクを搭載するとともに、各種の外部記録装置が接続されていてもよい。
【0014】
計算機10の内部あるいは外部の記録装置には、後述する飛翔体に搭載される撮像装置2内のハードディスク21に記録された画像データ及び高さ分布情報データが転送される。この転送は、撮像装置2と画像処理装置1とを無線、有線で接続して行うほか、脱着可能な記録媒体を介して行っても良い。
【0015】
図2は、撮像装置2の構成を説明する図である。撮像装置2は、図2(a)に示されるように、航空機や飛行船、ヘリコプタといった飛翔体3の下部に取り付けられ、飛翔体3の飛行中に上空から撮影対象物を含む地上の所定エリアの2次元画像データを取得するものである。
【0016】
図2(b)は、撮像装置2の構成を示す図である。図2(b)では、飛翔体3の通常の進行方向を左向きとして示している。撮像装置2は、データ処理部20、ハードディスク21、撮影部(カメラ)27、距離測定部28を備えている。
【0017】
撮影部27は、撮影対象物を含む地上の所定エリアの2次元画像データを取得するための装置である。ここで、図3は、撮影部27が上空から下方を撮影する概念を示す図である。ラインセンサ27B、27F、27Nは、複数の画素bを一列に並べて構成されており、飛翔体3の進行に従って連続的に撮影する。また、各ラインセンサは飛翔体3の進行方向に対する垂直方向を長手方向として、所定の間隔をあけて設置されている。また、ラインセンサ27Fの撮影方向ベクトルA1と、ラインセンサ27Nの撮影方向ベクトルA2と、ラインセンサ27Bの撮影方向ベクトルA3とは、ある一点で交わっている。この結果、ラインセンサ27Fは飛翔体3の前寄りの下方の2次元画像データである画像データD1を、ラインセンサ27Nは飛翔体3の直下の2次元画像データである画像データD2を、ラインセンサ27Bは飛翔体3の後ろ寄り下方の2次元画像データである画像データD3をそれぞれ取得することができる。
【0018】
また、図2(b)に示す距離測定部28は、撮像装置2から撮影対象物を含む地上の所定エリア内の複数のポイントまでの距離を測定する装置である。所定エリア内における複数のポイントの密度は、1ポイントの計測につき要する時間を考慮した上で必要な解像度を得るのに適した密度とするとよい。
【0019】
距離測定部28は、レーザプロファイラ28aを備えている。レーザプロファイラ28aは、地上へ向けてレーザを照射し、該レーザが反射して戻るまでの時間を検出することにより、撮影対象物を含む地上の所定エリア内のポイントからの距離を測定する。そして、レーザプロファイラ28aは、測定結果に基づいて撮影対象物を含む地上の所定エリアの高さ分布情報データD4を生成する。この高さ分布情報データD4は、3次元座標値を持つランダム点群データである。なお、レーザプロファイラ28aは、例えば高度3000m上空からの測定で2m程度の解像度となるような密度でポイントを測定するとよい。
【0020】
データ処理部20は、撮影部27により取得された画像データD1〜D3、及び距離測定部28により生成された高さ分布情報データD4を入力する。そして、データ処理部20は、画像データD1〜D3及び高さ分布情報データD4をハードディスク21へ出力する。ハードディスク21は、画像データD1〜D3及び高さ分布情報データD4を記録する。
【0021】
以下、本発明による画像処理方法の実施形態について具体的に説明する。本実施形態による画像処理方法は、画像データD1〜D3及び高さ分布情報データD4を用いて、2次元画像データ間のマッチングにより3次元画像を生成するときなどに、2次元画像データの撮影対象物の画像以外の部分をマスクして撮影対象物の画像を抽出する方法である。
【0022】
図4は、本実施形態による画像処理方法を含む、3次元画像の作成方法を示すフローチャートである。最初のステップS1では、まず、地上へ向けてレーザを照射し、該レーザが反射して戻るまでの時間を検出することにより、撮影対象物を含む地上の所定エリア内の複数のポイントからの距離を測定する。そして、この測定結果から所定エリアの高さ分布に関する高さ分布情報データD4を生成する。この高さ分布情報データD4をモニタ11(図1参照)などに表示させたときの一例を、図7に示す。図7に示す高さ分布情報データD4は濃さが薄い部分ほど、高さがより低い場所を示している。
【0023】
続くステップS2では、ステップS1において生成された高さ分布情報データD4に基づいて、マスク領域画像データを生成する(境界生成ステップ)。ここで、マスク領域画像データとは、道路など、高さが所定の閾値よりも低い部分をマスクするマスク領域の境界情報に関する画像データである。このステップS2に関しては、後に詳述する。
【0024】
ステップS3では、ラインセンサ27F、27N、27Bといった撮像素子を備える撮像装置を用い、上空から撮影対象物を含む所定エリアを撮像して2次元画像データを生成する。そして、画像データD1〜D3といった2次元画像データを、ハードディスク21といった記録装置に一旦記録させた後、計算機10に取り込む。この画像データD1〜D3をモニタ11(図1参照)等に表示させたときの一例を、図8に示す。なお、この図8は画像データD2といった直下視画像を表示させたときの例である。また、図8に示す画像データ表示例は、図7に示した高さ分布情報データD4と同じエリアに関するものである。
【0025】
ステップS4では、画像データD2を所定エリアの地上面と略等しい高さに設定された仮想平面上に投影する。そして、ステップS5では、仮想平面上へ投影された画像データD2にステップS3において生成されたマスク領域画像データを重ね合わせて境界画像である第1のマスク画像データを生成する(境界画像生成ステップ)。これにより、画像データD2に含まれている立体物や樹木、道路などのうち、高さが所定の高さよりも低いものがマスク領域によってマスクされる。
【0026】
ここで、図9は、撮像時のラインセンサ27Nの向き等によって変化する画像座標系(X1,Y1,Z1)と、地上座標系(X,Y,Z)との関係を示す図である。画像座標系(X1,Y1,Z1)はラインセンサ27Nの傾きに応じて傾いているため、撮影対象物Pの画像座標系(X1,Y1,Z1)上の座標p1は地上座標系(X,Y,Z)の座標pとは異なっている。一方、第1のマスク画像データに含まれるマスク領域は距離測定部28によって地上座標系(X,Y,Z)で測定された高さ情報データD4を用いて生成されている。ステップS4では、画像データD2及びマスク領域画像データの座標系を一致させるために、地上面と略等しい高さに設定された仮想平面上に画像データD2を投影している。そして、ステップS5では、地上座標系(X,Y,Z)上で画像データD2にマスク領域画像データを重ね合わせて第1のマスク画像データを生成している。
【0027】
ステップS6では、ステップS5において地上座標系(X,Y,Z)上で生成された第1のマスク画像データを写真座標系(X1,Y1,Z1)に逆投影する。
【0028】
ステップS7では、第1のマスク画像データに含まれているマスク領域を、所定幅だけ縮退させる。すなわち、マスク領域の境界情報を、所定エリアのうち高さが閾値よりも高い部分の領域が所定幅だけ広がるように調整する。こうして、境界情報が調整された第2のマスク画像データを生成する(調整ステップ)。図10は、第2のマスク画像データの一例を示す図である。第2のマスク画像データD5は、撮影対象物画像40と、マスク領域41とを含んでいる。そして、マスク領域41の境界線をマスク領域41が狭まる方向(矢印B)に縮退させて、高さが所定の閾値よりも高い部分(撮影対象物40)の周囲に所定幅のマスクされない部分Cを設ける。すなわちステップS7では、建造物や樹木といった撮影対象物がマスク領域に重ならない程度に所定の幅をあけて撮影対象物がマスク領域に囲まれるようにマスク領域の境界を調整する。
【0029】
図11は、このように生成された第2のマスク画像データの他の例を示す図である。図11に示す第2のマスク画像データは、図7に示した高さ分布情報データD4、及び図8に示した画像データに基づいて生成されている。図11に示すように、建造物や樹木といった撮影対象物が、これらの撮影対象物がマスク領域に重ならない程度の所定の幅をあけてマスク領域に囲まれている。このマスク領域に覆われている部分は、道路や空き地など、高さが閾値よりも低い部分である。
【0030】
ステップS8では、ステップS7において生成された第2のマスク画像データに基づいて、高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物を2次元画像から抽出する(撮影対象物抽出ステップ)。
【0031】
ステップS9では、第2のマスク画像データと、画像データD1もしくはD3とに基づいて撮影対象物の3次元座標を算出する。すなわち、ステップS8によって抽出された、第2のマスク画像データに含まれる撮影対象物の画像と、該撮影対象物と同一の、画像データD1もしくはD3とに含まれる撮影対象物の画像とをこれらの画像データ間で対応(マッチング)させ、各ラインセンサと撮影対象物との位置関係から前方後会法を用いて撮影対象物の3次元座標を算出する。なお、ステップS8によって抽出された撮影対象物についてマッチングを行うことによって、マスク領域によってマスクされている部分は撮影対象物を対応づける処理からは除かれる。
【0032】
ステップS10では、ステップS9において算出された撮影対象物の3次元座標に基づいて、3次元地図を生成する。
【0033】
ここで、ステップS2を詳細に説明する。図5は、ステップS2を詳細に示すフローチャートである。
【0034】
ステップS11では、撮影対象物を含む地上の所定エリアを複数の小エリアに分割する。このとき、小エリアの大きさを、複数の立体物とそれを取り巻く道路が識別できる程度、例えば150m四方に設定するとよい。
【0035】
ステップS12では、所定エリアに関する高さ分布情報データをステップS11において設定された小エリアごとの情報に分割する(分割ステップ)。
【0036】
ステップS13では、各小エリアそれぞれに閾値を設定する。閾値とは、小エリアのうち所定の高さよりも高い部分の領域と低い部分の領域との境界情報を生成するための値である。高さ分布情報データに含まれる高さデータの中で、高頻度の高さは道路や空き地に対応するものと建物や樹木に対応するものとに2極化される傾向がある。そこで、道路や空き地がとり得る高さと建物や樹木がとり得る高さとに高さ分布情報データの内容を分類し、これらの高さの間に存在する低頻度の高さを閾値に設定する。また、各小エリアは、その場所の標高などによって地面の高さが異なる。そういった各小エリアの地面高さに応じて、撮影対象物を識別できる好適な閾値を設定する。
【0037】
図6は、閾値を設定するときの設定方法の一例を示したグラフである。このグラフは、ある小エリアの、各高さごとのピクセル数分布をスムージングしたグラフである。縦軸にピクセル数、横軸に高さを表している。このグラフの中で、左側(高さが低い側)の、ピクセル数が多くなっている箇所の高さは、地上面(道路、空き地など)の高さであると推定できる。また、右側(高さが高い側)の、ピクセル数が多くなっている箇所の高さは、立体物(建造物、樹木など)の高さであると推定できる。そして、この2つの箇所の境目のピクセル数が少なくなっている高さを、閾値として設定する。なお、ピクセル数が多くなっている箇所が3カ所以上存在するときは、最も高さが低い側の箇所を地上面の高さと推定し、その箇所の右側の境目を閾値とするとよい。
【0038】
ステップS14では、ステップS13において小エリアごとに設定された閾値を用い、小エリアの中で高さが閾値よりも高い部分と低い部分との境界を生成して、低い部分を覆うマスク領域を求める。そして、このマスク領域の境界に関する情報を含むマスク領域画像データを生成する。
【0039】
以上のステップS11からステップS14までの処理を、各小エリアがすべて処理されるまで繰り返す(S10)。そして、全ての小エリアが処理されると、マスク領域画像データの生成を終了して、ステップS3へ進む。
【0040】
以上に詳述した、本実施形態による画像処理方法は、以下の効果を有する。すなわち、境界情報生成ステップにおいて、所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも低い部分の領域と高い部分の領域との境界に関する境界情報を含むマスク領域画像データを生成している。そして、マスク領域画像データを2次元画像データに重ね合わせている。これによって、撮影対象物を含む所定エリアを撮影した2次元画像の中から高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物の画像を抽出することができる。
【0041】
また、これによって3次元画像を生成する際にマッチングに要する計算量を減らすことができるとともに、ミスマッチングの発生率を抑えることができる。
【0042】
また、本実施形態による画像処理方法は、境界画像である第1のマスク画像データに含まれる境界情報を調整して、第2のマスク画像データを生成する調整ステップを備えている。そして、撮影対象物抽出ステップが、調整ステップにより生成された第2のマスク画像データに基づいて、高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物を2次元画像から抽出している。画像処理方法はこれらのステップを備えることが好ましく、これによって、境界情報により定められる、高さが所定の閾値よりも低い部分と撮影対象物の画像とが重なることなく、撮影対象物の画像を好適に抽出することができる。
【0043】
また、本実施形態による画像処理方法は、高さ分布情報を所定の大きさの小エリアごとの情報に分割する分割ステップを備えている。そして、境界情報生成ステップは、分割ステップにより分割された小エリアごとに境界情報を含むマスク領域画像データを生成している。画像処理方法はこれらのステップを備えることが好ましく、これによって、閾値を各小エリアごとに設定することができるので、所定エリア内の標高が変化している場合においても境界情報を好適に生成することができる。
【0044】
ここで、上記した実施形態に係る画像処理プログラム、および当該画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(以下、単に記録媒体という)について説明する。ここで、記録媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読み取り装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読み取り装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。このような記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、光ディスク、CD−ROM、コンピュータに内蔵されるメモリなどが該当する。
【0045】
図12は、本発明による記録媒体の構成図である。記録媒体50は、プログラム領域50aを備えている。このプログラム領域50aには、画像処理プログラム51が記録されている。画像処理プログラム51は、撮影対象物を含む地上の所定エリアの高さ分布情報を用いて、所定エリアを上空から撮像して得られた2次元画像に対する処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムである。
【0046】
画像処理プログラム51は、図12に示すように、処理を統括するメインモジュール51aと、高さ分布情報を所定の大きさの小エリアごとの情報に分割する分割処理をコンピュータに実行させる分割モジュール51bと、高さ分布情報に基づいて、所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも低い部分の領域と、高さが所定の閾値よりも高い部分の領域との境界情報を分割処理により分割された小エリアごとに生成する境界生成処理をコンピュータに実行させる境界生成モジュール51cと、2次元画像に境界情報を重ね合わせて境界画像を生成する境界画像生成処理をコンピュータに実行させる境界画像生成モジュール51dと、境界画像に含まれる境界情報を、所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも高い部分の領域が所定幅だけ広がるように調整する調整処理をコンピュータに実行させる調整モジュール51eと、境界画像に基づいて、高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物を2次元画像から抽出する撮影対象物抽出処理をコンピュータに実行させる撮影対象物抽出モジュール51fとを備えて構成される。
【0047】
上記した画像処理プログラムをコンピュータに読みとらせてこれを実行させることにより、前述した画像処理方法が実行される。
【0048】
本発明による画像処理方法、画像処理プログラム及びそれを記録した記録媒体は、上記した実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、図4に示したフローチャートにおいて、マスク領域画像データを生成(ステップ2)した後に画像データを投影(ステップ4)している。マスク領域画像データの生成は、画像データを投影した後に行っても良い。すなわち、画像データを地上座標系に投影して画像データに含まれる各ピクセルごとに高さ情報を持たせ、この高さ情報を持った画像データに基づいて閾値を設定し、マスク領域画像データを生成してもよい。
【0049】
また、ステップS4からステップS7までに用いる画像データとして、上記した画像データD2以外にも、D1やD3を用いることができる。すなわち、飛翔体3の前寄りの下方の画像である画像データD1、飛翔体3の直下の画像である画像データD2、飛翔体3の後ろ寄りの下方の画像である画像データD3のうち、いずれを用いてもよい。
【0050】
【発明の効果】
本発明による画像処理方法、画像処理プログラム及びそれを記録した記録媒体は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも低い部分の領域と高い部分の領域との境界に関する境界情報を生成している。そして、境界情報を2次元画像に重ね合わせている。これによって、撮影対象物を含む所定エリアを撮影した2次元画像の中から高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物の画像を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理方法の実施形態を実施する画像処理装置を説明する図である。
【図2】撮像装置の構成を説明する図である。
【図3】撮影部が上空から下方を撮影する概念を示す図である。
【図4】本発明による画像処理方法を含む、3次元地図作成方法の実施形態を示すフローチャートである。
【図5】図4に示したステップS2を詳細に示すフローチャートである。
【図6】閾値を設定するときの設定方法の一例を示したグラフである。
【図7】高さ分布情報データをモニタ等に表示したときの一例を示す写真である。
【図8】画像データをモニタ等に表示したときの一例を示す写真である。
【図9】撮像時のラインセンサ27Nの向き等によって変化する画像座標系(X1,Y1,Z1)と、地上座標系(X,Y,Z)との関係を示す図である。
【図10】第2のマスク画像データの一例を示す図である。
【図11】第2のマスク画像データの他の例をモニタ等に表示したときを示す写真である。
【図12】本発明による記録媒体の構成図である。
【符号の説明】
1…画像処理装置、10…計算機、11…モニタ、12…キーボード、13…マウス、2…撮像装置、20…データ処理部、21…ハードディスク、27…撮影部、27B、27F、27N…ラインセンサ、28…距離測定部、レーザプロファイラ28a、3…飛翔体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理方法、画像処理プログラム及びそれを記録した記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、GIS(Geographic Information System)分野において、特に都市部における3次元地図の需要が高まっている。その利用形態としては、カーナビゲーションなどに用いる道路情報、都市災害GISなどが挙げられる。また、電波の伝播解析、氾濫解析等の解析にも詳細かつ精度が高い3次元地図が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そういった3次元地図の作成方法として、対象エリアを上空の異なる視点から撮影した複数の2次元画像を用いて、対象エリアの3次元地図を生成する方法があると発明者は考えた。
【0004】
この方法で3次元地図を生成する場合、複数の2次元画像に写っている同一の撮影対象物の画像を、これらの2次元画像の間で対応(マッチング)させる必要がある。しかしながら、このような2次元画像には、撮影対象物の画像以外にも道路などの地上物の画像が多く含まれている。このため、マッチングに要する計算量が膨大となる。また、様々な種類の地上物の画像が混じっているため、ミスマッチングの発生率も高まる。これらの問題点を回避するためには、2次元画像の中から撮影対象物のみを抽出することが有効である。
【0005】
本発明は、撮影対象物を含む所定エリアを撮影した2次元画像の中から撮影対象物の画像を抽出することができる画像処理方法、画像処理プログラム及びそれを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による画像処理方法は、撮影対象物を含む地上の所定エリアの高さ分布情報を用いて、所定エリアを上空から撮像して得られた2次元画像を処理する画像処理方法であって、高さ分布情報に基づいて、所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも低い部分の領域と、高さが所定の閾値よりも高い部分の領域との境界に関する境界情報を生成する境界生成ステップと、2次元画像に境界情報を重ね合わせて境界画像を生成する境界画像生成ステップと、境界画像生成ステップにより生成された境界画像に基づいて、高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物を2次元画像から抽出する撮影対象物抽出ステップとを備えることを特徴とする。
【0007】
上記した画像処理方法は、所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも低い部分の領域と高い部分の領域との境界に関する境界情報を生成している。そして、境界情報を2次元画像に重ね合わせている。これによって、撮影対象物を含む所定エリアを撮影した2次元画像の中から高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物の画像を抽出することができる。
【0008】
また、画像処理方法は、境界情報を所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも高い部分の領域が所定幅だけ広がるように調整する調整ステップをさらに備えることを特徴としてもよい。これによって、境界情報により定められる、高さが所定の閾値よりも低い部分と撮影対象物の画像とが重なることなく、撮影対象物の画像を好適に抽出することができる。
【0009】
また、画像処理方法は、高さ分布情報を所定の大きさの小エリアごとの情報に分割する分割ステップをさらに備え、境界生成ステップは、分割ステップにより分割された小エリアごとに境界情報を生成することを特徴としてもよい。これによって、標高が変化する所定エリアにおいても境界情報を好適に生成することができる。
【0010】
また、本発明による画像処理プログラムは、上記した画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による記録媒体は、上記した画像処理方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による画像処理方法、画像処理プログラム及びそれを記録する記録媒体の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0013】
図1は、本発明に係る画像処理方法の実施形態を実施する画像処理装置1を説明する図である。画像処理装置1は、ワークステーション、パーソナルコンピュータ等の計算機10、表示装置となるモニタ11、入力装置であるキーボード12、及びマウス13を備えている。なお、計算機10には、内部記録装置としてハードディスクを搭載するとともに、各種の外部記録装置が接続されていてもよい。
【0014】
計算機10の内部あるいは外部の記録装置には、後述する飛翔体に搭載される撮像装置2内のハードディスク21に記録された画像データ及び高さ分布情報データが転送される。この転送は、撮像装置2と画像処理装置1とを無線、有線で接続して行うほか、脱着可能な記録媒体を介して行っても良い。
【0015】
図2は、撮像装置2の構成を説明する図である。撮像装置2は、図2(a)に示されるように、航空機や飛行船、ヘリコプタといった飛翔体3の下部に取り付けられ、飛翔体3の飛行中に上空から撮影対象物を含む地上の所定エリアの2次元画像データを取得するものである。
【0016】
図2(b)は、撮像装置2の構成を示す図である。図2(b)では、飛翔体3の通常の進行方向を左向きとして示している。撮像装置2は、データ処理部20、ハードディスク21、撮影部(カメラ)27、距離測定部28を備えている。
【0017】
撮影部27は、撮影対象物を含む地上の所定エリアの2次元画像データを取得するための装置である。ここで、図3は、撮影部27が上空から下方を撮影する概念を示す図である。ラインセンサ27B、27F、27Nは、複数の画素bを一列に並べて構成されており、飛翔体3の進行に従って連続的に撮影する。また、各ラインセンサは飛翔体3の進行方向に対する垂直方向を長手方向として、所定の間隔をあけて設置されている。また、ラインセンサ27Fの撮影方向ベクトルA1と、ラインセンサ27Nの撮影方向ベクトルA2と、ラインセンサ27Bの撮影方向ベクトルA3とは、ある一点で交わっている。この結果、ラインセンサ27Fは飛翔体3の前寄りの下方の2次元画像データである画像データD1を、ラインセンサ27Nは飛翔体3の直下の2次元画像データである画像データD2を、ラインセンサ27Bは飛翔体3の後ろ寄り下方の2次元画像データである画像データD3をそれぞれ取得することができる。
【0018】
また、図2(b)に示す距離測定部28は、撮像装置2から撮影対象物を含む地上の所定エリア内の複数のポイントまでの距離を測定する装置である。所定エリア内における複数のポイントの密度は、1ポイントの計測につき要する時間を考慮した上で必要な解像度を得るのに適した密度とするとよい。
【0019】
距離測定部28は、レーザプロファイラ28aを備えている。レーザプロファイラ28aは、地上へ向けてレーザを照射し、該レーザが反射して戻るまでの時間を検出することにより、撮影対象物を含む地上の所定エリア内のポイントからの距離を測定する。そして、レーザプロファイラ28aは、測定結果に基づいて撮影対象物を含む地上の所定エリアの高さ分布情報データD4を生成する。この高さ分布情報データD4は、3次元座標値を持つランダム点群データである。なお、レーザプロファイラ28aは、例えば高度3000m上空からの測定で2m程度の解像度となるような密度でポイントを測定するとよい。
【0020】
データ処理部20は、撮影部27により取得された画像データD1〜D3、及び距離測定部28により生成された高さ分布情報データD4を入力する。そして、データ処理部20は、画像データD1〜D3及び高さ分布情報データD4をハードディスク21へ出力する。ハードディスク21は、画像データD1〜D3及び高さ分布情報データD4を記録する。
【0021】
以下、本発明による画像処理方法の実施形態について具体的に説明する。本実施形態による画像処理方法は、画像データD1〜D3及び高さ分布情報データD4を用いて、2次元画像データ間のマッチングにより3次元画像を生成するときなどに、2次元画像データの撮影対象物の画像以外の部分をマスクして撮影対象物の画像を抽出する方法である。
【0022】
図4は、本実施形態による画像処理方法を含む、3次元画像の作成方法を示すフローチャートである。最初のステップS1では、まず、地上へ向けてレーザを照射し、該レーザが反射して戻るまでの時間を検出することにより、撮影対象物を含む地上の所定エリア内の複数のポイントからの距離を測定する。そして、この測定結果から所定エリアの高さ分布に関する高さ分布情報データD4を生成する。この高さ分布情報データD4をモニタ11(図1参照)などに表示させたときの一例を、図7に示す。図7に示す高さ分布情報データD4は濃さが薄い部分ほど、高さがより低い場所を示している。
【0023】
続くステップS2では、ステップS1において生成された高さ分布情報データD4に基づいて、マスク領域画像データを生成する(境界生成ステップ)。ここで、マスク領域画像データとは、道路など、高さが所定の閾値よりも低い部分をマスクするマスク領域の境界情報に関する画像データである。このステップS2に関しては、後に詳述する。
【0024】
ステップS3では、ラインセンサ27F、27N、27Bといった撮像素子を備える撮像装置を用い、上空から撮影対象物を含む所定エリアを撮像して2次元画像データを生成する。そして、画像データD1〜D3といった2次元画像データを、ハードディスク21といった記録装置に一旦記録させた後、計算機10に取り込む。この画像データD1〜D3をモニタ11(図1参照)等に表示させたときの一例を、図8に示す。なお、この図8は画像データD2といった直下視画像を表示させたときの例である。また、図8に示す画像データ表示例は、図7に示した高さ分布情報データD4と同じエリアに関するものである。
【0025】
ステップS4では、画像データD2を所定エリアの地上面と略等しい高さに設定された仮想平面上に投影する。そして、ステップS5では、仮想平面上へ投影された画像データD2にステップS3において生成されたマスク領域画像データを重ね合わせて境界画像である第1のマスク画像データを生成する(境界画像生成ステップ)。これにより、画像データD2に含まれている立体物や樹木、道路などのうち、高さが所定の高さよりも低いものがマスク領域によってマスクされる。
【0026】
ここで、図9は、撮像時のラインセンサ27Nの向き等によって変化する画像座標系(X1,Y1,Z1)と、地上座標系(X,Y,Z)との関係を示す図である。画像座標系(X1,Y1,Z1)はラインセンサ27Nの傾きに応じて傾いているため、撮影対象物Pの画像座標系(X1,Y1,Z1)上の座標p1は地上座標系(X,Y,Z)の座標pとは異なっている。一方、第1のマスク画像データに含まれるマスク領域は距離測定部28によって地上座標系(X,Y,Z)で測定された高さ情報データD4を用いて生成されている。ステップS4では、画像データD2及びマスク領域画像データの座標系を一致させるために、地上面と略等しい高さに設定された仮想平面上に画像データD2を投影している。そして、ステップS5では、地上座標系(X,Y,Z)上で画像データD2にマスク領域画像データを重ね合わせて第1のマスク画像データを生成している。
【0027】
ステップS6では、ステップS5において地上座標系(X,Y,Z)上で生成された第1のマスク画像データを写真座標系(X1,Y1,Z1)に逆投影する。
【0028】
ステップS7では、第1のマスク画像データに含まれているマスク領域を、所定幅だけ縮退させる。すなわち、マスク領域の境界情報を、所定エリアのうち高さが閾値よりも高い部分の領域が所定幅だけ広がるように調整する。こうして、境界情報が調整された第2のマスク画像データを生成する(調整ステップ)。図10は、第2のマスク画像データの一例を示す図である。第2のマスク画像データD5は、撮影対象物画像40と、マスク領域41とを含んでいる。そして、マスク領域41の境界線をマスク領域41が狭まる方向(矢印B)に縮退させて、高さが所定の閾値よりも高い部分(撮影対象物40)の周囲に所定幅のマスクされない部分Cを設ける。すなわちステップS7では、建造物や樹木といった撮影対象物がマスク領域に重ならない程度に所定の幅をあけて撮影対象物がマスク領域に囲まれるようにマスク領域の境界を調整する。
【0029】
図11は、このように生成された第2のマスク画像データの他の例を示す図である。図11に示す第2のマスク画像データは、図7に示した高さ分布情報データD4、及び図8に示した画像データに基づいて生成されている。図11に示すように、建造物や樹木といった撮影対象物が、これらの撮影対象物がマスク領域に重ならない程度の所定の幅をあけてマスク領域に囲まれている。このマスク領域に覆われている部分は、道路や空き地など、高さが閾値よりも低い部分である。
【0030】
ステップS8では、ステップS7において生成された第2のマスク画像データに基づいて、高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物を2次元画像から抽出する(撮影対象物抽出ステップ)。
【0031】
ステップS9では、第2のマスク画像データと、画像データD1もしくはD3とに基づいて撮影対象物の3次元座標を算出する。すなわち、ステップS8によって抽出された、第2のマスク画像データに含まれる撮影対象物の画像と、該撮影対象物と同一の、画像データD1もしくはD3とに含まれる撮影対象物の画像とをこれらの画像データ間で対応(マッチング)させ、各ラインセンサと撮影対象物との位置関係から前方後会法を用いて撮影対象物の3次元座標を算出する。なお、ステップS8によって抽出された撮影対象物についてマッチングを行うことによって、マスク領域によってマスクされている部分は撮影対象物を対応づける処理からは除かれる。
【0032】
ステップS10では、ステップS9において算出された撮影対象物の3次元座標に基づいて、3次元地図を生成する。
【0033】
ここで、ステップS2を詳細に説明する。図5は、ステップS2を詳細に示すフローチャートである。
【0034】
ステップS11では、撮影対象物を含む地上の所定エリアを複数の小エリアに分割する。このとき、小エリアの大きさを、複数の立体物とそれを取り巻く道路が識別できる程度、例えば150m四方に設定するとよい。
【0035】
ステップS12では、所定エリアに関する高さ分布情報データをステップS11において設定された小エリアごとの情報に分割する(分割ステップ)。
【0036】
ステップS13では、各小エリアそれぞれに閾値を設定する。閾値とは、小エリアのうち所定の高さよりも高い部分の領域と低い部分の領域との境界情報を生成するための値である。高さ分布情報データに含まれる高さデータの中で、高頻度の高さは道路や空き地に対応するものと建物や樹木に対応するものとに2極化される傾向がある。そこで、道路や空き地がとり得る高さと建物や樹木がとり得る高さとに高さ分布情報データの内容を分類し、これらの高さの間に存在する低頻度の高さを閾値に設定する。また、各小エリアは、その場所の標高などによって地面の高さが異なる。そういった各小エリアの地面高さに応じて、撮影対象物を識別できる好適な閾値を設定する。
【0037】
図6は、閾値を設定するときの設定方法の一例を示したグラフである。このグラフは、ある小エリアの、各高さごとのピクセル数分布をスムージングしたグラフである。縦軸にピクセル数、横軸に高さを表している。このグラフの中で、左側(高さが低い側)の、ピクセル数が多くなっている箇所の高さは、地上面(道路、空き地など)の高さであると推定できる。また、右側(高さが高い側)の、ピクセル数が多くなっている箇所の高さは、立体物(建造物、樹木など)の高さであると推定できる。そして、この2つの箇所の境目のピクセル数が少なくなっている高さを、閾値として設定する。なお、ピクセル数が多くなっている箇所が3カ所以上存在するときは、最も高さが低い側の箇所を地上面の高さと推定し、その箇所の右側の境目を閾値とするとよい。
【0038】
ステップS14では、ステップS13において小エリアごとに設定された閾値を用い、小エリアの中で高さが閾値よりも高い部分と低い部分との境界を生成して、低い部分を覆うマスク領域を求める。そして、このマスク領域の境界に関する情報を含むマスク領域画像データを生成する。
【0039】
以上のステップS11からステップS14までの処理を、各小エリアがすべて処理されるまで繰り返す(S10)。そして、全ての小エリアが処理されると、マスク領域画像データの生成を終了して、ステップS3へ進む。
【0040】
以上に詳述した、本実施形態による画像処理方法は、以下の効果を有する。すなわち、境界情報生成ステップにおいて、所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも低い部分の領域と高い部分の領域との境界に関する境界情報を含むマスク領域画像データを生成している。そして、マスク領域画像データを2次元画像データに重ね合わせている。これによって、撮影対象物を含む所定エリアを撮影した2次元画像の中から高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物の画像を抽出することができる。
【0041】
また、これによって3次元画像を生成する際にマッチングに要する計算量を減らすことができるとともに、ミスマッチングの発生率を抑えることができる。
【0042】
また、本実施形態による画像処理方法は、境界画像である第1のマスク画像データに含まれる境界情報を調整して、第2のマスク画像データを生成する調整ステップを備えている。そして、撮影対象物抽出ステップが、調整ステップにより生成された第2のマスク画像データに基づいて、高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物を2次元画像から抽出している。画像処理方法はこれらのステップを備えることが好ましく、これによって、境界情報により定められる、高さが所定の閾値よりも低い部分と撮影対象物の画像とが重なることなく、撮影対象物の画像を好適に抽出することができる。
【0043】
また、本実施形態による画像処理方法は、高さ分布情報を所定の大きさの小エリアごとの情報に分割する分割ステップを備えている。そして、境界情報生成ステップは、分割ステップにより分割された小エリアごとに境界情報を含むマスク領域画像データを生成している。画像処理方法はこれらのステップを備えることが好ましく、これによって、閾値を各小エリアごとに設定することができるので、所定エリア内の標高が変化している場合においても境界情報を好適に生成することができる。
【0044】
ここで、上記した実施形態に係る画像処理プログラム、および当該画像処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(以下、単に記録媒体という)について説明する。ここで、記録媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読み取り装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読み取り装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。このような記録媒体としては、例えば、磁気ディスク、光ディスク、CD−ROM、コンピュータに内蔵されるメモリなどが該当する。
【0045】
図12は、本発明による記録媒体の構成図である。記録媒体50は、プログラム領域50aを備えている。このプログラム領域50aには、画像処理プログラム51が記録されている。画像処理プログラム51は、撮影対象物を含む地上の所定エリアの高さ分布情報を用いて、所定エリアを上空から撮像して得られた2次元画像に対する処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラムである。
【0046】
画像処理プログラム51は、図12に示すように、処理を統括するメインモジュール51aと、高さ分布情報を所定の大きさの小エリアごとの情報に分割する分割処理をコンピュータに実行させる分割モジュール51bと、高さ分布情報に基づいて、所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも低い部分の領域と、高さが所定の閾値よりも高い部分の領域との境界情報を分割処理により分割された小エリアごとに生成する境界生成処理をコンピュータに実行させる境界生成モジュール51cと、2次元画像に境界情報を重ね合わせて境界画像を生成する境界画像生成処理をコンピュータに実行させる境界画像生成モジュール51dと、境界画像に含まれる境界情報を、所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも高い部分の領域が所定幅だけ広がるように調整する調整処理をコンピュータに実行させる調整モジュール51eと、境界画像に基づいて、高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物を2次元画像から抽出する撮影対象物抽出処理をコンピュータに実行させる撮影対象物抽出モジュール51fとを備えて構成される。
【0047】
上記した画像処理プログラムをコンピュータに読みとらせてこれを実行させることにより、前述した画像処理方法が実行される。
【0048】
本発明による画像処理方法、画像処理プログラム及びそれを記録した記録媒体は、上記した実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、図4に示したフローチャートにおいて、マスク領域画像データを生成(ステップ2)した後に画像データを投影(ステップ4)している。マスク領域画像データの生成は、画像データを投影した後に行っても良い。すなわち、画像データを地上座標系に投影して画像データに含まれる各ピクセルごとに高さ情報を持たせ、この高さ情報を持った画像データに基づいて閾値を設定し、マスク領域画像データを生成してもよい。
【0049】
また、ステップS4からステップS7までに用いる画像データとして、上記した画像データD2以外にも、D1やD3を用いることができる。すなわち、飛翔体3の前寄りの下方の画像である画像データD1、飛翔体3の直下の画像である画像データD2、飛翔体3の後ろ寄りの下方の画像である画像データD3のうち、いずれを用いてもよい。
【0050】
【発明の効果】
本発明による画像処理方法、画像処理プログラム及びそれを記録した記録媒体は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも低い部分の領域と高い部分の領域との境界に関する境界情報を生成している。そして、境界情報を2次元画像に重ね合わせている。これによって、撮影対象物を含む所定エリアを撮影した2次元画像の中から高さが所定の閾値よりも高い撮影対象物の画像を抽出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理方法の実施形態を実施する画像処理装置を説明する図である。
【図2】撮像装置の構成を説明する図である。
【図3】撮影部が上空から下方を撮影する概念を示す図である。
【図4】本発明による画像処理方法を含む、3次元地図作成方法の実施形態を示すフローチャートである。
【図5】図4に示したステップS2を詳細に示すフローチャートである。
【図6】閾値を設定するときの設定方法の一例を示したグラフである。
【図7】高さ分布情報データをモニタ等に表示したときの一例を示す写真である。
【図8】画像データをモニタ等に表示したときの一例を示す写真である。
【図9】撮像時のラインセンサ27Nの向き等によって変化する画像座標系(X1,Y1,Z1)と、地上座標系(X,Y,Z)との関係を示す図である。
【図10】第2のマスク画像データの一例を示す図である。
【図11】第2のマスク画像データの他の例をモニタ等に表示したときを示す写真である。
【図12】本発明による記録媒体の構成図である。
【符号の説明】
1…画像処理装置、10…計算機、11…モニタ、12…キーボード、13…マウス、2…撮像装置、20…データ処理部、21…ハードディスク、27…撮影部、27B、27F、27N…ラインセンサ、28…距離測定部、レーザプロファイラ28a、3…飛翔体。
Claims (5)
- 撮影対象物を含む地上の所定エリアの高さ分布情報を用いて、前記所定エリアを上空から撮像して得られた2次元画像を処理する画像処理方法であって、
前記高さ分布情報に基づいて、前記所定エリアのうち高さが所定の閾値よりも低い部分の領域と、高さが前記所定の閾値よりも高い部分の領域との境界に関する境界情報を生成する境界生成ステップと、
前記2次元画像に前記境界情報を重ね合わせて境界画像を生成する境界画像生成ステップと、
前記境界画像生成ステップにより生成された前記境界画像に基づいて、高さが前記所定の閾値よりも高い前記撮影対象物を前記2次元画像から抽出する撮影対象物抽出ステップと
を備えることを特徴とする画像処理方法。 - 前記境界情報を、前記所定エリアのうち高さが前記所定の閾値よりも高い部分の領域が所定幅だけ広がるように調整する調整ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
- 前記高さ分布情報を所定の大きさの小エリアごとの情報に分割する分割ステップをさらに備え、
前記境界生成ステップは、前記分割ステップにより分割された小エリアごとに前記境界情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とする画像処理プログラム。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像処理方法をコンピュータに実行させる画像処理プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
Priority Applications (1)
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JP2002188576A JP2004030460A (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | 画像処理方法、画像処理プログラム及びそれを記録した記録媒体 |
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Publications (1)
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Country Status (1)
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JP (1) | JP2004030460A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN105526916A (zh) * | 2014-09-29 | 2016-04-27 | 波音公司 | 动态图像遮蔽系统和方法 |
JP2017111814A (ja) * | 2015-12-15 | 2017-06-22 | 株式会社リコー | 堆積物体の認識方法、装置、及び機器による選別システム |
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2002
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JP2017111814A (ja) * | 2015-12-15 | 2017-06-22 | 株式会社リコー | 堆積物体の認識方法、装置、及び機器による選別システム |
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