【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、密閉型二次電池電槽として成形される、耐水素透過性および耐衝撃性に優れた樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉛蓄電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池などで知られている二次電池(密閉型二次電池も含む)は、自動車等の車両を筆頭に、各種電気製品、産業機器の動力源として幅広く使われ、近年その需要が大きくなってきている。
この需要と共に、電池本体の性能も向上し、電池電槽自体の小型軽量化と電気容量のアップが進み、電槽自体もデザインの多様化、薄肉軽量化などの形状的な変化に耐えうる樹脂材料への転換が要求され、さらには電池性能を向上させるために機械的強度、耐水素透過性、耐熱性に優れた樹脂材料が要求されている。
従来、この樹脂製二次電池電槽としては、例えば、ABS樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂が成形性、耐熱性の観点から用いられていたが、これら樹脂類は水蒸気透過性、耐水素透過性に劣る欠点があり、二次電池の中や、セパレーターに存在する電解液水分が長期間使用中に、二次電池電槽を透過してしまうため電解液濃度の変化が起こり電池性能の低下がおこるという致命的な問題点を残していた。
【0003】
また、これらABS樹脂や変性ポリフェニレンエーテル樹脂は耐薬品性に劣り、自動車オイルなどの薬品に対して耐性に劣るため自動車用途の二次電池電槽においては長期使用できない欠点を有していた。
これら問題点のもとに、結晶性ポリオレフィン樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂を含む樹脂組成物からなる密閉型二次電池電槽が特開平8−195188号公報で提案され、特開平9−120801号公報にはポリフェニレンエーテル樹脂とポリオレフィン樹脂からなるポリマーアロイを用いた密閉型二次電池電槽が提案され、さらに再公表特許WO97/01600号公報には、結晶性ポリオレフィン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂からなり、該ポリフェニレンエーテル樹脂が結晶性ポリプロピレン樹脂中に特定の形態で分散した樹脂組成物が耐熱クリープ性、耐水蒸気透過性に優れるため二次電池電槽として利用できることが提案され、さらに特開2000−58007号公報には、ポリフェニレンエーテル系樹脂と特定の構造の結晶性ポリプロピレンからなる樹脂組成物が密閉型二次電池用電槽として利用できることが提案されている。
【0004】
また、結晶性ポリプロピレン系樹脂からなる電池電槽用樹脂組成物に関しては特開平6−287364号公報にポリプロピレン系樹脂と特定粒子径を有するタルクからなり成形後の収縮変形量が少ない旨の提案がなされ、特開平8−132468号公報にはポリプロピレン樹脂と微量のタルクからなるポリプロピレン製蓄電池電槽が提案され、特開平11−31483号公報には少なくとも95重量%のポリプロピレンと残量部がプロピレン−エチレン共重合体から成り、結晶化度が55〜65%の組成物で作成した密閉型電気化学式電池電槽の提案がなされ、さらには特開2000−182571号公報にはプロピレンとα−オレフィンブロック共重合体とエチレン・α−オレフィン共重合体を配合した透明性に優れた電池電槽材料が提案されている。
【0005】
しかしながら、これら上記した樹脂組成物で得られる二次電池電槽は、ポリマーアロイ化の際に加える結晶性ポリプロピレン以外の成分が多く、結晶性ポリプロピレンが有する優れたガスバリア性を高いレベルで維持するのが困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の解決課題は、密閉型二次電池電槽材料として耐熱クリープ性を維持させ、成分として高結晶ポリプロピレン系樹脂単体で二次電池電槽を作成した際の欠点である耐水素透過性と脆さ(耐衝撃性に劣る)を克服した材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべく、密閉型二次電池電槽材料として耐水素透過性と耐衝撃性の改良の技術的観点より、(1)マトリックスのポリプロピレン系樹脂との界面相および分散相成分を同時に形成するポリマーを特定高分子量の水添ブロック共重合体とする樹脂成分、または(2)マトリックスのポリプロピレン系樹脂との界面相を形成する水添ブロック共重合体とこの界面相内部に含まれる分散相成分のポリマーを高密度ポリエチレンとする樹脂成分とし、さらに、これらいずれか1種の樹脂成分と特定の無機フィラーを配合した樹脂組成物とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明は、
(a)ポリプロピレン系樹脂100重量部のマトリックス相に対して(b)分散相ポリマーが1〜30重量部の下記(b−1)または(b−2)からなる成分であって、(a)成分と(b)成分との界面を形成する界面相がビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体(c)であり、さらにこれら全ポリマー100重量部に対して、(d)鱗片状フィラー1〜50重量部を含み、かかる鱗片状フィラーがマトリックスのポリプロピレン系樹脂に存在することを特徴とする密閉型二次電池電槽用樹脂組成物。
【0009】
・(b−1)ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなり、該ビニル芳香族化合物の結合量が20〜55重量%であるブロック共重合体を水素添加してなり、かつゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いてポリスチレン換算で測定した数平均分子量が100000以上の水添ブロック共重合体。
・(b−2)密度0.940g/cm3以上である高密度ポリエチレン。
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いる(a)ポリプロピレン系樹脂は、結晶性プロピレンホモポリマーおよび、重合の第一工程で得られる結晶性プロピレンホモポリマー部分と重合の第二工程以降でプロピレン、エチレンおよび/もしくは少なくとも1つの他のα−オレフィン(例えば、ブテン−1、ヘキセン−1等)を共重合して得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分を有する結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体が挙げられる。さらにこれら結晶性プロピレンホモポリマーと結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の混合物の場合もあり、かかる結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体は通常、エチレン含量が1〜30重量%のものである。
【0011】
該ポリプロピレン系樹脂の製造方法は、通常、三塩化チタン触媒または塩化マグネシウムなどの担体に担持したハロゲン化チタン触媒等とアルキルアルミニウム化合物の存在下に、重合温度0〜100℃の範囲で、重合圧力3〜100気圧の範囲で重合して得られる。この際、重合体の分子量を調整するために水素等の連鎖移動剤を添加することも可能であり、また重合方法としてバッチ式、連続式いずれの方法でも可能で、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の溶媒下での溶液重合、スラリー重合等の方法も選択でき、さらには無溶媒下モノマー中での塊状重合、ガス状モノマー中での気相重合方法などが適用できる。また、上記した重合触媒の他に得られるポリプロピレンのアイソタクティシティおよび重合活性を高めるため、第三成分として電子供与性化合物を内部ドナー成分または外部ドナー成分として用いることができる。これらの電子供与性化合物としては公知のものが使用でき、例えば、ε−カプロラクトン、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル、トルイル酸メチルなどのエステル化合物、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリブチルなどの亜リン酸エステル、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどのリン酸誘導体などや、アルコキシエステル化合物、芳香族モノカルボン酸エステルおよび/または芳香族アルキルアルコキシシラン、脂肪族炭化水素アルコキシシラン、各種エーテル化合物、各種アルコール類および/または各種フェノール類などが挙げられる。
【0012】
本発明で供するポリプロピレン系樹脂におけるプロピレン重合体部分の密度は、通常、0.900g/cm3以上であり、耐熱クリープ性、耐水素透過性の改良の観点より、好ましくは0.905g/cm3以上であり、より好ましくは、0.905〜0.925g/cm3であり、最も好ましくは、0.905〜0.915g/cm3である。プロピレン重合体部分の密度の測定方法は、JIS K−7112水中置換法によって、容易に求めることができる。またポリプロピレン系樹脂がプロピレンを主成分としたα−オレフィンとの共重合体である場合は、かかる共重合体をヘキサン等の溶媒を用いて共重合成分を抽出し、残ったプロピレン重合体部分の密度を上記のJIS K−7112水中置換法によって、容易に求めることができる。また、樹脂組成物中のプロピレン重合体部分の密度を知るには、熱キシレンにより組成物全体を溶解し、室温まで冷却し、残渣として残った樹脂組成物をクロロホルム等の水添ブロック共重合体の良溶媒を用いて抽出し、残ったポリプロピレン系樹脂から、上記の分離方法によりプロピレン重合体部分を分離し、 JIS K−7112水中置換法によって求めることができる。
【0013】
また本発明においては、公知となっている結晶核剤を添加し、かかるポリプロピレン系樹脂の密度を高くする事も有効である。結晶核剤としてはポリプロピレン系樹脂の結晶性を向上させるものなら何でも良いが、代表的なものを挙げると、芳香族カルボン酸の金属塩、ソルビトール系誘導体、有機リン酸塩、芳香族アミド化合物等の有機系核剤や、タルク等の無機系核剤を挙げることができる。しかしながら、これらに限定されるものではない。
【0014】
さらに本発明で供するポリプロピレン系樹脂は、そのMFR(JIS K−6758に準拠)が0.1g/10分以上であり、耐熱クリープ性の観点から、好ましくは0.1〜12g/10分であり、より好ましくは0.1 〜10g/10分、最も好ましくは0.1 〜5g/10分である。かかるMFRが0.1g/10分未満では電槽材料とした場合の成形加工性が悪く、かかるMFRが12g/10分以上では成形加工性は良くなるものの耐熱クリープ性能および耐衝撃性が悪化し好ましくない。
【0015】
これら特徴である結晶性ポリプロピレン系樹脂の密度、MFRが上記したものであれば、どのような製造方法で得られるものであってもかまわない。
また、かかる結晶性ポリプロピレン系樹脂は、上記した結晶性ポリプロピレン系樹脂のほかに、該結晶性ポリプロピレン系樹脂とα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とをラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶液状態、スラリー状態で80〜300℃の温度下で反応させることによって得られる公知の変性(該α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体が0.01〜10重量%グラフトまたは付加)結晶性ポリプロピレン系樹脂であってもよく、さらに上記した結晶性ポリプロピレン系樹脂と該変性結晶性ポリプロピレン系樹脂の任意の割合の混合物であってもかまわない。特に無水マレイン酸が結晶性ポリプロピレン100重量部に対して0.01重量部以上付加した変性結晶性ポリプロピレンは、本発明において、下記で示す(d)成分の鱗片状フィラーを結晶性ポリプロピレン中に効率よく分散することができ、積極的に使用できる。
【0016】
次に本発明の樹脂組成物の(b)分散相を形成する(b−1)成分または(b−2)成分について詳細に説明する。
本発明の分散相を形成する(b−1)成分で用いるビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体は、密閉型二次電池電槽としての耐衝撃性を付与するために必要である。これらの(b−1)成分の水添ブロック共重合体の構造は、例えば、A−B−A、A−B−A−B、(A−B−)4−Si、A−B−A−B−A等の構造を有するブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体である。ここで、Aはビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを意味し、Bは共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックを意味し、重合体ブロックAにおけるビニル芳香族化合物の含有量は少なくとも70重量%であり、重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物の含有量は少なくとも70重量%である。
なお、かかる(b−1)成分の水添ブロック共重合体とは上記構造を有するブロック共重合体中の共役ジエン化合物に由来するオレフィン性不飽和結合を55%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下まで水素添加反応により低減化したブロック共重合体である。
【0017】
また、これらのビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、それぞれの重合体ブロックにおける分子鎖中の共役ジエン化合物またはビニル芳香族化合物の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組み合わせでもよく、該ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAは2個以上、該共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは1個以上であり、各重合体ブロックはそれぞれ同一構造であってもよく、異なる構造であってもよい。
【0018】
この重合体ブロックAを構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等のうちから1種または2種以上が選択でき、特にスチレンが好ましい。そして、(b−1)成分として供する水添ブロック共重合体のビニル芳香族化合物の含有量は20〜55重量%であり、好ましくは25〜50重量%、より好ましくは30〜45重量%である。
【0019】
かかるビニル芳香族化合物の量が20重量%以下では電槽の剛性低下が見られ、耐熱クリープも悪化し好ましくなく、また55重量%を超える場合は剛性および耐熱クリープ性に優れるものの電槽としての脆さ(耐衝撃性に劣る)を克服する上で好ましくない。
一方、この重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、特にブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
【0020】
また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、そのブロックにおけるミクロ構造を任意に選ぶことができ、例えば、ブタジエンを主体とする重合体ブロックにおいては、1,2−ビニル結合が2〜90%、好ましくは10〜85%、さらに好ましくは35〜85%である。また、イソプレンを主体とする重合体ブロックにおいては、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量が2〜90%、さらに好ましくは3〜70%である。
【0021】
そして重要な因子として(b−1)成分として用いる水添ブロック共重合体は、上記した構造の他に、密閉型二次電池電槽材料として脆さ(耐衝撃性に劣る)を克服する上で特異的な分子量を保持しなければならない。
すなわち特異的な分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いてポリスチレン換算で測定した数平均分子量が100000以上、より好ましくは130000を有しなければならない。かかる分子量が100000未満の場合、密閉型二次電池電槽材料としての耐衝撃性が低く、耐衝撃性を高めるには非常に多くの水添ブロック共重合体を配合する必要があり、密閉型二次電池電槽材料としてのガスバリア性、耐熱クリープ性を著しく悪化させ好ましくない。
【0022】
言い換えれば、本発明で供する特異的な分子量を有する(b−1)成分の高分子量水添ブロック共重合体は、マトリックスを形成する(a)成分である結晶性ポリプロピレン系樹脂と直接的に好適な界面相を形成するため、(c)成分で規定した水添ブロック共重合体を配合しなくても、(c)成分に相当する界面相が形成される。したがって(b−1)成分の高分子量水添ブロック共重合体だけを(a)成分であるポリプロピレン系樹脂に少量配合することで好適な界面相と分散相を形成し、優れた耐衝撃性を付与する効果をもたらし、結果としてマトリックス成分の結晶性ポリプロピレン系樹脂を多量に配合可能となり、二次電池電槽材料としてガスバリア性と耐熱クリープ性を高いレベルで維持することが可能となる重要な効果を奏するものである。但し、ここでは、(c)成分として更に水添ブロック共重合体を添加することを否定するものではなく、本発明でいうところの界面相としての水添ブロック共重合体が(a)成分と(b)成分との界面に形成されさえすれば添加しても添加しなくても構わないことを意味する。
なお、本発明で供する(b−1)成分として用いる水添ブロック共重合体は、上記した特徴を有するものであればどのような製造方法で得られるものであってもかまわない。
【0023】
また、本発明で用いる(b−1)成分として用いる水添ブロック共重合体は、上記した水添ブロック共重合体のほかに、該水添ブロック共重合体とα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とをラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶液状態、スラリー状態で80〜350℃の温度下で反応させることによって得られる公知の変性(該α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体が0.01〜10重量%グラフトまたは付加)水添ブロック共重合体であってもよく、さらに上記した水添ブロック共重合体と該変性水添ブロック共重合体の任意の割合の混合物であってもかまわない。
【0024】
(b−1)成分として用いる水添ブロック共重合体の好ましい配合量は、1〜30重量部であり、好ましくは3〜15重量部、より好ましくは3〜10重量部である。1重量部未満では耐衝撃性の改良が顕著でなく、また30重量部を超える場合は耐衝撃性の改良が望めるものの、二次電池電槽材料としてのガスバリア性、耐熱クリープ性が悪化し好ましくない。
【0025】
次に本発明で別の分散相を形成する(b−2)高密度ポリエチレンは、(a)成分のマトリックス相を形成する結晶性ポリプロピレン系樹脂中において界面相を形成する後述の水添ブロック共重合体(c)と併用することにより少量で優れた衝撃強度を付与する働きを示し、結果としてマトリックス成分の結晶性ポリプロピレン系樹脂を多量に配合可能となり、二次電池電槽材料としてガスバリア性と耐熱クリープ性を高いレベルで維持することが可能となる重要な効果を奏するものである。
【0026】
本発明で供する(b−2)高密度ポリエチレンは、エチレン単独重合体またはエチレンと、α−オレフィンとの共重合体である。かかるα−オレフィンとしては1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。このエチレン・α−オレフィン共重合体中におけるα−オレフィン含有量は、10モル%以下、好ましくは0.2〜7モル%である。なお、高密度ポリエチレンは、密度(ASTM D 1505)が0.940g/cm3以上であり、メルトフローレート(MFR:ASTM D 1238、190℃、荷重21.2N)が通常0.01〜50g/10分、好ましくは0.1〜30g/10分、さらに好ましくは0.1〜20g/10分である。このような高密度ポリエチレンは、たとえばチーグラー・ナッタ触媒による低圧法、メタロセン系触媒による低圧法、フィリップス法等の中圧法により製造することができる。
【0027】
(b−2)成分として用いる高密度ポリエチレンの好ましい配合量は、1〜30重量部であり、好ましくは3〜15重量部、より好ましくは3〜10重量部である。1重量部未満では耐衝撃性の改良が顕著でなく、また30重量部を超える場合は耐衝撃性の改良が望めるものの、二次電池電槽材料としてのガスバリア性、耐熱クリープ性が悪化し好ましくない。
【0028】
次に本発明の分散相の(b−2)成分である高密度ポリエチレンとマトリックス相の(a)結晶性ポリプロピレン系樹脂との界面相を形成する水添ブロック共重合体(c)は、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックAと共役ジエン化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体、例えば、 A−B−A、A−B−A−B、(A−B−)4−Si、A−B−A−B−A等の構造を有するブロック共重合体を水素添加してなる水添ブロック共重合体である。ここで、Aはビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAを意味し、Bは共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBを意味し、重合体ブロックAにおけるビニル芳香族化合物の含有量は少なくとも70重量%であり、重合体ブロックBにおける共役ジエン化合物の含有量は少なくとも70重量%である。
【0029】
なお、かかる水添ブロック共重合体(c)とは上記構造を有するブロック共重合体中の共役ジエン化合物に由来するオレフィン性不飽和結合を55%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下まで水素添加反応により低減化したブロック共重合体である。
また、これらのビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、それぞれの重合体ブロックにおける分子鎖中の共役ジエン化合物またはビニル芳香族化合物の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組み合わせでもよく、該ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックは2個以上、該共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックは1個以上であり、各重合体ブロックはそれぞれ同一構造であってもよく、異なる構造であってもよい。
【0030】
この重合体ブロックAを構成するビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert−ブチルスチレン、ジフェニルエチレン等のうちから1種または2種以上が選択でき、特にスチレンが好ましい。そして、水添ブロック共重合体(c)のビニル芳香族化合物の含有量は20〜70重量%であり、好ましくは25〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%である。
【0031】
かかるビニル芳香族化合物の量が20重量%以下では二次電池電槽の剛性低下および耐熱クリープ性が悪化し好ましくなく、また70重量%を超える場合は剛性および耐熱クリープ性が向上するものの二次電池電槽としての脆さを克服する上で好ましくない。
一方、この重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、特にブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
【0032】
また、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、そのブロックにおけるミクロ構造を任意に選ぶことができ、例えば、ブタジエンを主体とする重合体ブロックにおいては、1,2−ビニル結合が2〜90%、好ましくは10〜85%、さらに好ましくは35〜85%である。また、イソプレンを主体とする重合体ブロックにおいては、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量が2〜90%、さらに好ましくは3〜70%である。
【0033】
これらの水添ブロック共重合体(c)の分子量は、通常、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いてポリスチレン換算で測定した数平均分子量が20000〜1000000、好ましくは30000〜300000、より好ましくは30000〜200000である。
なお、本発明で供する水添ブロック共重合体(c)は、上記した特徴を有するものであればどのような製造方法で得られるものであってもかまわない。
【0034】
また、本発明で用いる水添ブロック共重合体(c)は、上記した水添ブロック共重合体のほかに、該水添ブロック共重合体とα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とをラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶液状態、スラリー状態で80〜350℃の温度下で反応させることによって得られる公知の変性(該α,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体が0.01〜10重量%グラフトまたは付加)水添ブロック共重合体であってもよく、さらに上記した水添ブロック共重合体と該変性水添ブロック共重合体の任意の割合の混合物であってもかまわない。
【0035】
上記した(a)成分のポリプロピレン系樹脂と(b−2)成分の高密度ポリエチレンとの界面相として用いる水添ブロック共重合体(c)の好ましい配合量は、15重量部以下であり、好ましくは1〜15重量部、より好ましくは1〜10重量部である。1重量部未満では耐衝撃性の改良が顕著でなく、また15重量部を超える場合は耐衝撃性の改良が望めるものの、二次電池電槽材料としてのガスバリア性、耐熱クリープ性が悪化し好ましくない。
【0036】
なお、得られた樹脂組成物の界面相に存在する水添ブロック共重合体の存在、分散相ポリマーの存在、およびポリプロピレン系樹脂中に分散する鱗片状フィラーを確認する方法は、透過型電子顕微鏡を用いて容易に確認し測定できる。例えば、四塩化ルテニウム等の重金属化合物を用いてサンプルを酸化染色し(鱗片状フィラーだけを見る場合は、無染色で可能な場合もある。)、ウルトラミクロトーム等で超薄切片を切り出し、その切片を透過型電子顕微鏡で観察して撮影し、写真(例えば、10000倍またはそれ以上の倍率)として現像し確認することができる。特に本発明で得られる樹脂組成物のマトリックスのポリプロピレン系樹脂の界面相である水添ブロック共重合体はその水添された共役ジエン化合物に起因して、電子顕微鏡によって得た写真では黒く染色された状態で確認される。
【0037】
次に、本発明の(d)成分として用いる鱗片状フィラーとは、平均厚みが0.01〜50μmであり、この厚みに対してアスペクト比(アスペクト比=平均粒径/平均厚み)が3〜10000である鱗片状の無機質フィラーである。この鱗片状フィラーとしては、例えば、フレーク状ガラス(Eガラス、Cガラス、Sガラス等)、マイカ、鱗片状タルク、鱗片状グラファイト、鱗片状シリカ、六方晶窒化ホウ素などが挙げられ、中でも、フレーク状ガラス、鱗片状タルク、鱗片グラファイトが好ましく、さらに好ましくは耐アルカリ性の観点でEガラス成分で構成されるフレーク状ガラス、鱗片状タルクである。
【0038】
なお、さらなる耐アルカリ性の改良の観点より、銅、銀、ニッケル、クロム、もしくはコバルトまたはこれら金属を主成分とする合金により0.01〜5μmの厚みで被覆された鱗片状フィラーを用いても構わない。
本発明で使用する(d)成分の鱗片状フィラーは、上記した(a)〜(c)成分よりなる樹脂組成物100重量部に対して、1〜50重量部、より好ましくは3〜30重量部である。(d)成分が1重量部未満では、得られる樹脂組成物の耐水素透過性の改良効果が見られず、また、50重量部を超える場合は、得られる樹脂組成物の耐水素透過性は顕著に改良が見られるが、衝撃強度の低下が著しく好ましくない。
【0039】
本発明では、上記成分の他に、本発明の特徴および効果を損なわない範囲で必要に応じて他の付加的成分、例えば、酸化防止剤、金属不活性化剤、難燃剤(有機リン酸エステル系化合物、無機リン系化合物、芳香族ハロゲン系難燃剤、シリコーン系難燃剤など)、フッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、三酸化アンチモン等の難燃助剤、耐候(光)性改良剤、スリップ剤、無機または有機の充填材や強化材(ガラス繊維、カーボン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ウィスカー、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ワラストナイト、導電性金属繊維、導電性カーボンブラック等)、各種着色剤、離型剤等を添加してもかまわない。
【0040】
本発明の樹脂組成物の製造方法は、上記した各成分を用いて、(a)〜 (c)成分のポリマー成分と(d)鱗片状フィラーを一緒に溶融混練する方法や、(a)〜(c)成分のポリマー成分を前もって溶融混練した組成物を(d)鱗片状無機フィラーと一緒に溶融混練する方法、押出機の最初のフィード口より(a)〜(c)成分を供給し、溶融状態のこれらの組成物中に押出機の中間口より(d)鱗片状フィラーを供給し溶融混練する方法などの種々の方法が挙げられるが、得られる組成物が本発明の特徴である分散形態を示すのであれば特に限定されるものではない。
【0041】
これらの製造方法に用いられる溶融混練機は、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等が挙げられ、工業的には二軸押出機を用いた溶融混練方法が最も好ましい。この際の溶融混練温度は特に限定されるものではないが、通常200〜380℃の中から任意に選ぶことができる。
【0042】
本発明の密閉型二次電池電槽用樹脂組成物は、二次電池電槽材料、中でも密閉型二次電池用電槽、特にニッケル水素電池電槽に好適に使用できる。成形方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、シート成形、熱成形、回転成形、積層成形等の成形方法が使用できる。
電槽が2つ以上の部品からなる場合は、これら部品を接着、熱溶着、振動溶着などにより接合する。接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂接着剤等が挙げられ、エポキシ樹脂接着剤としては、エポキシ構造を主骨格とする樹脂からなる接着剤であり、主剤と硬化剤からなる二液型が好ましい。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
なお、使用した原料は下記の通りである。
(a)成分のポリプロピレン系樹脂
(a−1)密度=0.910g/cm3、メルトフローレート(230℃,21.2N荷重:以下MFRと略)=0.4g/10分、分子量分布(Mw/Mn)=9.6のポリプロピレン樹脂
(a−2)密度=0.906g/cm3、MFR=2.5g/10分、分子量分布(Mw/Mn)=5.9のポリプロピレン樹脂
(a−3)密度=0.910g/cm3、MFR=9.0/10分、分子量分布(Mw/Mn)=10.3のポリプロピレン樹脂
(a−4)密度=0.902g/cm3、MFR=0.5g/10分、分子量分布(Mw/Mn)=6.2のポリプロピレン樹脂
(a−5)密度=0.908g/cm3、MFR=16.3g/10分、分子量分布(Mw/Mn)=6.1のポリプロピレン樹脂
【0044】
(b−1)成分の水添ブロック共重合体
(b−1−1)ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を持ち、結合スチレン量が43%、ポリブタジエン部分の1,2−ビニル結合量が78%、ポリブタジエン部の水素添加率が99.8%、数平均分子量が216000の水添ブロック共重合体。
(b−1−2)ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエンの構造を持ち、結合スチレン量が53%、ポリブタジエン部分のビニル結合量が42%、ポリブタジエン部の水素添加率が98.9%、数平均分子量が174000の水添ブロック共重合体。
(b−1−3)ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を持ち、結合スチレン量が35%、ポリブタジエン部分の1,2−ビニル結合量が43%、ポリブタジエン部の水素添加率が99.8%、数平均分子量が192000の水添ブロック共重合体。
【0045】
(b−1−4)ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を持ち、結合スチレン量が26%、ポリブタジエン部分のビニル結合量が55%、ポリブタジエン部の水素添加率が99.2%、数平均分子量が130000の水添ブロック共重合体。
(b−1−5)ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエンの構造を持ち、結合スチレン量が53%、ポリブタジエン部分のビニル結合量が43%、ポリブタジエン部の水素添加率が97.4%、数平均分子量が89000の水添ブロック共重合体。
(b−1−6)ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を持ち、結合スチレン量が25%、ポリブタジエン部分のビニル結合量が55%、ポリブタジエン部の水素添加率が99.1%、数平均分子量が91000の水添ブロック共重合体。
【0046】
(b−2)成分のポリエチレン
(b−2−1)密度=0.957g/cm3、メルトフローレート(190℃,21.2N荷重:以下MFRと略)=0.16g/10分の高密度ポリエチレン
(b−2−2)密度=0.969g/cm3、MFR=5g/10分の高密度ポリエチレン
(b−2−3)密度=0.917g/cm3、MFR=0.3g/10分の低密度ポリエチレン
【0047】
(c)成分の水添ブロック共重合体
(c−1)ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を持ち、結合スチレン量が30%、ポリブタジエン部分のビニル結合量が45%、ポリブタジエン部の水素添加率が99.6 %、数平均分子量が51000の水添ブロック共重合体。
(c−2)ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を持ち、結合スチレン量が40%、ポリブタジエン部分のビニル結合量が38%、ポリブタジエン部の水素添加率が99.1%、数平均分子量が115000の水添ブロック共重合体。
【0048】
(d)成分の鱗片状フィラー
(d−1)平均厚み5μm、平均粒径140μm(アスペクト比=28)のフレーク状ガラス(Eガラス組成)をアミノシラン処理したもの。
(d−2)平均粒径7μm、粒度範囲1〜45μmの鱗状グラファイト
(d−3)平均粒径100μm、粒度累積分布において50μm以上の粒度を50%以上含んだ板状タルク
【0049】
なお、物性の評価は次の通りに行った。
(1)耐水素透過性
試験片は1mm厚みのシートを使用し、JIS K7126に記載されているA法(差圧法)に準拠し、40℃、絶乾状態で測定し水素透過率を求めた。水素透過率が小さい値ほど耐水素透過性に優れることを意味する。
(2)Izod衝撃強度
ASTM D256に準じ、厚み3.2mmノッチ付き試験片を23℃にて衝撃強度〔J/m〕測定した。
【0050】
(3)ポリプロピレン系樹脂と分散相界面にある界面相の確認
四塩化ルテニウム等の重金属化合物を用いてサンプルを酸化染色し、ウルトラミクロトーム等で超薄切片を切り出し、その切片を透過型電子顕微鏡で観察して撮影し10000倍の写真にてマトリックスのポリプロピレン系樹脂と分散相との界面に存在する界面相に水添ブロック共重合体が存在するか否か確認した。
(4)ポリプロピレン系樹脂中に存在する鱗片状フィラーの確認
上記、(3)で得られた電子顕微鏡で観察し撮影した写真より、マトリックスのポリプロピレン系樹脂に鱗片状フィラーが存在するか否か確認した。
【0051】
【実施例1〜7、および比較例1〜7】
(a)ポリプロピレン系樹脂、(b−1)水添ブロック共重合体を表1に示した組成で配合し、210〜280℃に設定したベントポート付き二軸押出機(ZSK−40;WERNER&PFLEIDERER社製、ドイツ国)を用いて溶融混練しペレットとして得た。このペレットを用いて240〜250℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度60℃の条件でIzod試験用テストピースを射出成形した。なお、水素透過性に用いる厚さ1mmのテストピースは、260℃に設定した熱プレスにて成形した。
これらのテストピースの物性を測定し、その結果を併せて表1、2に記載した。
【0052】
【実施例8〜14、および比較例8〜14】
(a)ポリプロピレン系樹脂、(b−2)ポリエチレンおよび(c)水添ブロック共重合体を表2に示した組成で配合し、210〜250℃に設定したベントポート付き二軸押出機(ZSK−40;WERNER&PFLEIDERER社製、ドイツ国)を用いて溶融混練しペレットとして得た。このペレットを用いて240〜250℃に設定したスクリューインライン型射出成形機に供給し、金型温度60℃の条件でIzod試験用テストピースを射出成形した。なお、水素透過性に用いる厚さ1mmのテストピースは、260℃に設定した熱プレスにて成形した。これらのテストピースの性能を測定し、その結果を併せて表3、4に記載した。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】
【発明の効果】
本発明の密閉型二次電池電槽用組成物は、従来の耐クリープ性や耐水蒸気透過性に優れる樹脂組成物では達成できなかった特性である耐水素透過性及び耐衝撃性においても優れるという効果を有するため、電池性能の高い密閉型二次電池電槽用として極めて有用である。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a resin composition having excellent hydrogen permeation resistance and impact resistance, which is molded as a sealed secondary battery case.
[0002]
[Prior art]
Secondary batteries (including sealed secondary batteries) known as lead storage batteries, nickel-cadmium batteries, nickel-hydrogen batteries, etc. are used as power sources for various electric products and industrial equipment, mainly in vehicles such as automobiles. It is widely used and its demand has been increasing in recent years.
Along with this demand, the performance of the battery body has also been improved, the battery case itself has been reduced in size and weight, and the electric capacity has been increased, and the resin case itself can withstand dimensional changes such as diversified designs, thinner and lighter weight. Conversion to a material is required, and a resin material having excellent mechanical strength, hydrogen permeation resistance, and heat resistance is required to improve battery performance.
Conventionally, as a resin battery case made of a resin, for example, ABS resin and modified polyphenylene ether resin have been used from the viewpoint of moldability and heat resistance. However, these resins have water vapor permeability and hydrogen permeability resistance. There is an inferior disadvantage, and the electrolyte moisture present in the secondary battery or in the separator will permeate the secondary battery case during long-term use, causing a change in the electrolyte concentration and a decrease in battery performance. That leaves a fatal problem.
[0003]
Moreover, these ABS resins and modified polyphenylene ether resins have poor chemical resistance and poor resistance to chemicals such as automobile oils, and thus have a drawback that they cannot be used for a long time in secondary battery cases for automobiles.
Based on these problems, a sealed secondary battery case made of a resin composition containing a crystalline polyolefin resin and a polyphenylene ether-based resin has been proposed in JP-A-8-195188, and JP-A-9-120801. Has proposed a sealed secondary battery case using a polymer alloy consisting of a polyphenylene ether resin and a polyolefin resin, and further re-published patent WO97 / 01600 discloses a crystalline polyolefin resin and a polyphenylene ether resin, It has been proposed that a resin composition in which a polyphenylene ether resin is dispersed in a specific form in a crystalline polypropylene resin can be used as a secondary battery container because of its excellent heat creep resistance and water vapor transmission resistance, and further JP-A-2000-58007. The gazette states that polyphenylene ether resins and specific structures A resin composition comprising a crystalline polypropylene can be used as the container for a sealed secondary battery has been proposed.
[0004]
Also, regarding a resin composition for a battery case made of a crystalline polypropylene resin, Japanese Patent Application Laid-Open No. 6-287364 proposes that a polypropylene resin and talc having a specific particle diameter have a small amount of shrinkage deformation after molding. JP-A-8-132468 proposes a battery case made of polypropylene comprising a polypropylene resin and a small amount of talc, and JP-A-11-31483 discloses at least 95% by weight of polypropylene and a remaining portion of propylene-containing battery. A sealed electrochemical battery case made of an ethylene copolymer and having a degree of crystallinity of 55 to 65% has been proposed. Further, Japanese Patent Application Laid-Open No. 2000-182571 discloses a propylene and α-olefin block. A battery cell material with excellent transparency, which contains a copolymer and an ethylene / α-olefin copolymer, has been proposed. Have been.
[0005]
However, the secondary battery case obtained with the above-described resin composition has many components other than the crystalline polypropylene to be added at the time of polymer alloying, and maintains the excellent gas barrier property of the crystalline polypropylene at a high level. Was difficult.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
The problem to be solved by the present invention is to maintain a heat-resistant creep property as a sealed secondary battery case material, and to have a hydrogen permeation resistance, which is a drawback when a secondary battery case is made using a high-crystalline polypropylene resin alone as a component. An object of the present invention is to provide a material that overcomes brittleness (poor in impact resistance).
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, the present invention provides (1) an interfacial phase and dispersion of a matrix with a polypropylene resin from the technical viewpoint of improving hydrogen permeation resistance and impact resistance as a material for a sealed secondary battery case. A resin component having a polymer forming a phase component at the same time as a hydrogenated block copolymer having a specific high molecular weight, or (2) a hydrogenated block copolymer forming an interfacial phase with a polypropylene resin as a matrix, and the inside of the interfacial phase. It is possible to solve the above-mentioned problems by using a resin component containing high-density polyethylene as the polymer of the dispersed phase component contained in the resin composition, and further forming a resin composition containing any one of these resin components and a specific inorganic filler. Heading, and led to the present invention.
[0008]
That is, the present invention
(A) 100 parts by weight of a polypropylene-based resin, 100 parts by weight of a matrix phase, (b) 1 to 30 parts by weight of a dispersed phase polymer is a component consisting of the following (b-1) or (b-2); An interface phase forming an interface between the component and the component (b) is composed of at least two polymer blocks A mainly composed of a vinyl aromatic compound and at least one polymer block B mainly composed of a conjugated diene compound. It is a hydrogenated block copolymer (c) obtained by hydrogenating a block copolymer, and further contains (d) 1 to 50 parts by weight of a flaky filler with respect to 100 parts by weight of the total polymer. A resin composition for a sealed secondary battery case, wherein a filler is present in a polypropylene resin as a matrix.
[0009]
(B-1) At least two polymer blocks A mainly composed of a vinyl aromatic compound and at least one polymer block B mainly composed of a conjugated diene compound, and the bonding amount of the vinyl aromatic compound Is a hydrogenated block copolymer obtained by hydrogenating a block copolymer having a content of from 20 to 55% by weight and having a number average molecular weight of 100,000 or more as measured in terms of polystyrene using gel permeation chromatography (GPC).
・ (B-2) Density 0.940 g / cm 3 High density polyethylene that is more than.
[0010]
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
The (a) polypropylene-based resin used in the present invention comprises a crystalline propylene homopolymer and a crystalline propylene homopolymer portion obtained in the first step of polymerization and propylene, ethylene and / or at least one A crystalline propylene-ethylene block copolymer having a propylene-ethylene random copolymer portion obtained by copolymerizing another α-olefin (for example, butene-1, hexene-1 or the like) is exemplified. Further, there may be a mixture of the crystalline propylene homopolymer and the crystalline propylene-ethylene block copolymer, and the crystalline propylene-ethylene block copolymer usually has an ethylene content of 1 to 30% by weight.
[0011]
The method for producing the polypropylene-based resin is usually carried out at a polymerization temperature of 0 to 100 ° C. in the presence of an alkylaluminum compound and a titanium halide catalyst or the like supported on a carrier such as a titanium trichloride catalyst or magnesium chloride. It is obtained by polymerization in the range of 3 to 100 atm. At this time, it is also possible to add a chain transfer agent such as hydrogen to adjust the molecular weight of the polymer, and it is also possible to use a batch method or a continuous method as a polymerization method, butane, pentane, hexane, heptane A method such as solution polymerization or slurry polymerization in a solvent such as octane or octane can be selected, and a bulk polymerization in a monomer without a solvent, a gas phase polymerization in a gaseous monomer, and the like can be applied. In addition to the above polymerization catalyst, an electron-donating compound can be used as an internal donor component or an external donor component as the third component in order to increase the isotacticity and polymerization activity of the obtained polypropylene. As these electron-donating compounds, known compounds can be used, for example, ester compounds such as ε-caprolactone, methyl methacrylate, ethyl benzoate, and methyl toluate; and triphenyl phosphite and tributyl phosphite. Phosphoric acid derivatives such as phosphoric acid esters and hexamethylphosphoric triamide, alkoxy ester compounds, aromatic monocarboxylic acid esters and / or aromatic alkyl alkoxy silanes, aliphatic hydrocarbon alkoxy silanes, various ether compounds, various alcohols And / or various phenols.
[0012]
The density of the propylene polymer portion in the polypropylene resin used in the present invention is usually 0.900 g / cm. 3 From the viewpoint of improving the heat creep resistance and the hydrogen permeation resistance, it is preferably 0.905 g / cm. 3 Or more, more preferably 0.905 to 0.925 g / cm 3 And most preferably 0.905 to 0.915 g / cm 3 It is. The method for measuring the density of the propylene polymer portion can be easily determined by the JIS K-7112 water substitution method. When the polypropylene resin is a copolymer with an α-olefin containing propylene as a main component, the copolymer component is extracted from the copolymer using a solvent such as hexane, and the remaining propylene polymer portion is extracted. The density can be easily obtained by the above-mentioned JIS K-7112 underwater substitution method. Further, to know the density of the propylene polymer portion in the resin composition, the entire composition is dissolved with hot xylene, cooled to room temperature, and the resin composition remaining as a residue is subjected to a hydrogenated block copolymer such as chloroform. The propylene polymer portion is extracted from the remaining polypropylene-based resin by the above-mentioned separation method, and can be determined by JIS K-7112 underwater substitution method.
[0013]
In the present invention, it is also effective to increase the density of the polypropylene resin by adding a known crystal nucleating agent. Any crystal nucleating agent may be used as long as it improves the crystallinity of the polypropylene resin, but typical examples include a metal salt of an aromatic carboxylic acid, a sorbitol derivative, an organic phosphate, and an aromatic amide compound. Organic nucleating agent and inorganic nucleating agent such as talc. However, it is not limited to these.
[0014]
Further, the MFR (based on JIS K-6758) of the polypropylene resin provided in the present invention is 0.1 g / 10 min or more, and preferably 0.1 to 12 g / 10 min from the viewpoint of heat creep resistance. , More preferably 0.1 to 10 g / 10 min, and most preferably 0.1 to 5 g / 10 min. If the MFR is less than 0.1 g / 10 min, the moldability of the battery case material is poor. If the MFR is 12 g / 10 min or more, the moldability is improved, but the heat creep performance and the impact resistance are deteriorated. Not preferred.
[0015]
As long as the density and MFR of the crystalline polypropylene-based resin, which are these characteristics, are as described above, any of the production methods may be used.
Further, such a crystalline polypropylene-based resin, in addition to the above-mentioned crystalline polypropylene-based resin, can be obtained by excluding the crystalline polypropylene-based resin and an α, β-unsaturated carboxylic acid or its derivative in the presence of a radical generator. A known modification obtained by reacting at a temperature of 80 to 300 ° C. in a molten state, a solution state, or a slurry state (0.01 to 10% by weight of the α, β-unsaturated carboxylic acid or a derivative thereof is grafted). Alternatively, it may be a crystalline polypropylene resin, or a mixture of the above-mentioned crystalline polypropylene resin and the modified crystalline polypropylene resin at an arbitrary ratio. Particularly, the modified crystalline polypropylene in which maleic anhydride is added in an amount of 0.01 part by weight or more with respect to 100 parts by weight of the crystalline polypropylene is a compound which is obtained by efficiently adding the flaky filler of the component (d) shown below to the crystalline polypropylene. Can be well dispersed and can be used positively.
[0016]
Next, the component (b-1) or the component (b-2) forming the dispersed phase (b) of the resin composition of the present invention will be described in detail.
From at least two polymer blocks A mainly composed of a vinyl aromatic compound and at least one polymer block B mainly composed of a conjugated diene compound used in the component (b-1) forming the dispersed phase of the present invention. A hydrogenated block copolymer obtained by hydrogenating such a block copolymer is necessary for imparting impact resistance as a sealed secondary battery case. The structure of the hydrogenated block copolymer of the component (b-1) is, for example, ABA, ABAB, (ABB) 4 It is a hydrogenated block copolymer obtained by hydrogenating a block copolymer having a structure such as —Si, ABABA or the like. Here, A means a polymer block mainly composed of a vinyl aromatic compound, B means a polymer block mainly composed of a conjugated diene compound, and the content of the vinyl aromatic compound in the polymer block A is at least. 70% by weight, and the content of the conjugated diene compound in the polymer block B is at least 70% by weight.
In addition, the hydrogenated block copolymer of the component (b-1) means that the olefinic unsaturated bond derived from the conjugated diene compound in the block copolymer having the above structure is 55% or less, preferably 30% or less, More preferably, it is a block copolymer reduced to 10% or less by a hydrogenation reaction.
[0017]
In addition, the polymer block A mainly composed of a vinyl aromatic compound and the polymer block B mainly composed of a conjugated diene compound are formed by distributing a conjugated diene compound or a vinyl aromatic compound in a molecular chain in each polymer block. May be random, tapered (in which the monomer component increases or decreases along the molecular chain), partially block-like or in any combination thereof, and the polymer block A mainly composed of the vinyl aromatic compound is two or more. The number of the polymer blocks B mainly composed of the conjugated diene compound is one or more, and the respective polymer blocks may have the same structure or different structures.
[0018]
As the vinyl aromatic compound constituting the polymer block A, for example, one or more of styrene, α-methylstyrene, vinyltoluene, p-tert-butylstyrene, diphenylethylene and the like can be selected, Particularly, styrene is preferred. The content of the vinyl aromatic compound in the hydrogenated block copolymer serving as the component (b-1) is 20 to 55% by weight, preferably 25 to 50% by weight, more preferably 30 to 45% by weight. is there.
[0019]
When the amount of the vinyl aromatic compound is 20% by weight or less, the rigidity of the battery case is reduced, and the heat creep is deteriorated, which is not preferable. When the amount exceeds 55% by weight, although the rigidity and the heat creep resistance are excellent, the case as a battery case is used. It is not preferable in overcoming brittleness (poor in impact resistance).
On the other hand, as the conjugated diene compound constituting the polymer block B, for example, one or more of butadiene, isoprene, 1,3-pentadiene, 2,3-dimethyl-1,3-butadiene and the like are used. Butadiene, isoprene and combinations thereof are particularly preferred.
[0020]
Further, the polymer block B mainly composed of a conjugated diene compound can arbitrarily select a microstructure in the block. For example, in a polymer block mainly composed of butadiene, 1,2-vinyl bond has 2 to 2 90%, preferably 10-85%, more preferably 35-85%. In the polymer block mainly composed of isoprene, the total amount of 1,2-vinyl bonds and 3,4-vinyl bonds is 2 to 90%, more preferably 3 to 70%.
[0021]
The hydrogenated block copolymer used as the component (b-1) as an important factor overcomes the brittleness (poor in impact resistance) as a material of a closed type secondary battery case in addition to the above-mentioned structure. Must retain a specific molecular weight.
That is, the specific molecular weight means that the number average molecular weight measured by gel permeation chromatography (GPC) in terms of polystyrene must be 100,000 or more, more preferably 130,000. When the molecular weight is less than 100,000, the impact resistance as a material for a closed type secondary battery battery case is low, and it is necessary to incorporate a very large number of hydrogenated block copolymers in order to increase the impact resistance. It is not preferable because the gas barrier property and the heat creep resistance as a material for the secondary battery case are remarkably deteriorated.
[0022]
In other words, the high molecular weight hydrogenated block copolymer of the component (b-1) having a specific molecular weight provided in the present invention is directly suitable for the crystalline polypropylene resin as the component (a) forming the matrix. Therefore, an interface phase corresponding to the component (c) is formed without blending the hydrogenated block copolymer specified in the component (c). Therefore, by blending a small amount of only the high molecular weight hydrogenated block copolymer of the component (b-1) with the polypropylene resin as the component (a), a suitable interface phase and a dispersed phase are formed, and excellent impact resistance is obtained. An important effect that makes it possible to add a large amount of crystalline polypropylene resin as a matrix component and to maintain a high level of gas barrier properties and heat creep resistance as a secondary battery container material. Is played. However, here, it does not deny that a hydrogenated block copolymer is further added as the component (c), and the hydrogenated block copolymer as an interface phase in the present invention is combined with the component (a). (B) It means that addition or non-addition is possible as long as it is formed at the interface with the component.
The hydrogenated block copolymer used as the component (b-1) in the present invention may be obtained by any production method as long as it has the above characteristics.
[0023]
The hydrogenated block copolymer used as the component (b-1) in the present invention may be, in addition to the hydrogenated block copolymer described above, the hydrogenated block copolymer and an α, β-unsaturated carboxylic acid. Or a known modification obtained by reacting the derivative with a derivative thereof in the presence, absence or presence of a radical generator in a molten state, a solution state, or a slurry state at a temperature of 80 to 350 ° C (the α, β-unsaturation). The carboxylic acid or derivative thereof may be a 0.01 to 10% by weight graft or addition) hydrogenated block copolymer, and further, any of the above hydrogenated block copolymer and the modified hydrogenated block copolymer may be used. It may be a mixture of proportions.
[0024]
The preferred blending amount of the hydrogenated block copolymer used as the component (b-1) is 1 to 30 parts by weight, preferably 3 to 15 parts by weight, more preferably 3 to 10 parts by weight. If the amount is less than 1 part by weight, the improvement of the impact resistance is not remarkable, and if it exceeds 30 parts by weight, the improvement of the impact resistance can be expected, but the gas barrier properties and the heat creep resistance as the material of the secondary battery container are deteriorated. Absent.
[0025]
Next, the high-density polyethylene (b-2) that forms another dispersed phase in the present invention is obtained by using a hydrogenated block that forms an interface phase in a crystalline polypropylene resin that forms the matrix phase of the component (a). When used in combination with the polymer (c), it exhibits a function of imparting excellent impact strength with a small amount. As a result, a large amount of a crystalline polypropylene resin as a matrix component can be blended, and as a material for a secondary battery case, it has gas barrier properties. This has an important effect that the heat creep resistance can be maintained at a high level.
[0026]
The high-density polyethylene (b-2) used in the present invention is an ethylene homopolymer or a copolymer of ethylene and an α-olefin. Such α-olefins include 1-butene, 1-pentene, 1-hexene, 4-methyl-1-pentene, 1-octene, 1-decene, 1-dodecene, 1-tetradecene, 1-hexadecene, 1-octadecene, 1-eicosene and the like. The α-olefin content in the ethylene / α-olefin copolymer is 10 mol% or less, preferably 0.2 to 7 mol%. The high density polyethylene has a density (ASTM D 1505) of 0.940 g / cm. 3 The melt flow rate (MFR: ASTM D 1238, 190 ° C, load 21.2N) is usually 0.01 to 50 g / 10 min, preferably 0.1 to 30 g / 10 min, more preferably 0.1. 2020 g / 10 min. Such a high-density polyethylene can be produced by a medium-pressure method such as a low-pressure method using a Ziegler-Natta catalyst, a low-pressure method using a metallocene catalyst, or a Phillips method.
[0027]
The preferred amount of the high-density polyethylene used as the component (b-2) is 1 to 30 parts by weight, preferably 3 to 15 parts by weight, and more preferably 3 to 10 parts by weight. If the amount is less than 1 part by weight, the improvement of the impact resistance is not remarkable, and if it exceeds 30 parts by weight, the improvement of the impact resistance can be expected, but the gas barrier properties and the heat creep resistance as the material of the secondary battery container are deteriorated. Absent.
[0028]
Next, the hydrogenated block copolymer (c) which forms an interface phase between the high-density polyethylene (b-2) component of the dispersed phase of the present invention and the (a) crystalline polypropylene resin of the matrix phase is a vinyl copolymer. A hydrogenated block copolymer obtained by hydrogenating a block copolymer consisting of at least two polymer blocks A mainly composed of an aromatic compound and at least one polymer block B mainly composed of a conjugated diene compound For example, ABA, ABAB, (AB-) 4 It is a hydrogenated block copolymer obtained by hydrogenating a block copolymer having a structure such as —Si, ABABA or the like. Here, A means a polymer block A mainly composed of a vinyl aromatic compound, B means a polymer block B mainly composed of a conjugated diene compound, and the content of the vinyl aromatic compound in the polymer block A. Is at least 70% by weight, and the content of the conjugated diene compound in the polymer block B is at least 70% by weight.
[0029]
In addition, the hydrogenated block copolymer (c) means that the olefinic unsaturated bond derived from the conjugated diene compound in the block copolymer having the above structure is 55% or less, preferably 30% or less, more preferably 10% or less. % Or less by a hydrogenation reaction.
In addition, the polymer block A mainly composed of a vinyl aromatic compound and the polymer block B mainly composed of a conjugated diene compound are formed by distributing a conjugated diene compound or a vinyl aromatic compound in a molecular chain in each polymer block. May be random, tapered (in which the monomer component increases or decreases along the molecular chain), partially block-shaped or in any combination thereof, and two or more polymer blocks mainly composed of the vinyl aromatic compound; The number of the polymer blocks mainly composed of the conjugated diene compound is one or more, and the respective polymer blocks may have the same structure or different structures.
[0030]
As the vinyl aromatic compound constituting the polymer block A, for example, one or more of styrene, α-methylstyrene, vinyltoluene, p-tert-butylstyrene, diphenylethylene and the like can be selected, Particularly, styrene is preferred. The content of the vinyl aromatic compound in the hydrogenated block copolymer (c) is 20 to 70% by weight, preferably 25 to 60% by weight, and more preferably 30 to 50% by weight.
[0031]
When the amount of the vinyl aromatic compound is 20% by weight or less, the rigidity of the secondary battery case is reduced and the heat creep resistance is deteriorated, and when it exceeds 70% by weight, the rigidity and the heat creep resistance are improved. It is not preferable in overcoming the brittleness of the battery case.
On the other hand, as the conjugated diene compound constituting the polymer block B, for example, one or more of butadiene, isoprene, 1,3-pentadiene, 2,3-dimethyl-1,3-butadiene and the like are used. Butadiene, isoprene and combinations thereof are particularly preferred.
[0032]
Further, the polymer block B mainly composed of a conjugated diene compound can arbitrarily select a microstructure in the block. For example, in a polymer block mainly composed of butadiene, 1,2-vinyl bond has 2 to 2 90%, preferably 10-85%, more preferably 35-85%. In the polymer block mainly composed of isoprene, the total amount of 1,2-vinyl bonds and 3,4-vinyl bonds is 2 to 90%, more preferably 3 to 70%.
[0033]
As for the molecular weight of these hydrogenated block copolymers (c), usually, the number average molecular weight measured in terms of polystyrene using gel permeation chromatography (GPC) is 20,000 to 1,000,000, preferably 30,000 to 300,000, more preferably 30,000 to 200,000.
The hydrogenated block copolymer (c) used in the present invention may be obtained by any production method as long as it has the above-mentioned characteristics.
[0034]
In addition, the hydrogenated block copolymer (c) used in the present invention comprises, in addition to the hydrogenated block copolymer described above, the hydrogenated block copolymer and an α, β-unsaturated carboxylic acid or a derivative thereof. A known modification (the α, β-unsaturated carboxylic acid or a derivative thereof) obtained by reacting at a temperature of 80 to 350 ° C. in a molten state, a solution state, or a slurry state in the presence or absence of a radical generator; May be 0.01 to 10% by weight of a graft or addition) hydrogenated block copolymer, and a mixture of the above-mentioned hydrogenated block copolymer and the modified hydrogenated block copolymer in any ratio. It doesn't matter.
[0035]
A preferred blending amount of the hydrogenated block copolymer (c) used as an interface phase between the above-mentioned polypropylene resin (a) and high-density polyethylene (b-2) is 15 parts by weight or less, and Is 1 to 15 parts by weight, more preferably 1 to 10 parts by weight. If the amount is less than 1 part by weight, the improvement of the impact resistance is not remarkable, and if the amount exceeds 15 parts by weight, the improvement of the impact resistance can be expected, but the gas barrier properties and the heat creep resistance as the material of the secondary battery container are deteriorated. Absent.
[0036]
The method for confirming the presence of the hydrogenated block copolymer present in the interface phase of the obtained resin composition, the presence of the disperse phase polymer, and the flaky filler dispersed in the polypropylene-based resin is described by a transmission electron microscope. It can be easily confirmed and measured using. For example, the sample is oxidatively stained using a heavy metal compound such as ruthenium tetrachloride (when only the flaky filler is viewed, it may be possible to do without staining), an ultra-thin section is cut out with an ultramicrotome or the like, and the section is cut out. Can be observed and photographed with a transmission electron microscope, and developed and confirmed as a photograph (for example, a magnification of 10,000 or more). In particular, the hydrogenated block copolymer, which is the interfacial phase of the polypropylene resin of the matrix of the resin composition obtained in the present invention, is dyed black in a photograph obtained by an electron microscope due to the hydrogenated conjugated diene compound. It is confirmed in the state that it was.
[0037]
Next, the flaky filler used as the component (d) of the present invention has an average thickness of 0.01 to 50 μm, and an aspect ratio (aspect ratio = average particle diameter / average thickness) of 3 to 50 μm with respect to this thickness. It is a scale-like inorganic filler of 10,000. Examples of the flaky filler include flaky glass (E glass, C glass, S glass, etc.), mica, flaky talc, flaky graphite, flaky silica, hexagonal boron nitride and the like. Glass, scaly talc, and scaly graphite are preferred, and flake-like glass and scaly talc composed of the E glass component are more preferred from the viewpoint of alkali resistance.
[0038]
From the viewpoint of further improving alkali resistance, a flaky filler coated with copper, silver, nickel, chromium, or cobalt or an alloy containing these metals as a main component at a thickness of 0.01 to 5 μm may be used. Absent.
The scaly filler of the component (d) used in the present invention is 1 to 50 parts by weight, more preferably 3 to 30 parts by weight, based on 100 parts by weight of the resin composition comprising the above components (a) to (c). Department. When the amount of the component (d) is less than 1 part by weight, the effect of improving the hydrogen permeation resistance of the obtained resin composition is not seen, and when it exceeds 50 parts by weight, the hydrogen permeation resistance of the obtained resin composition is poor. Although a remarkable improvement is observed, a decrease in impact strength is not preferable.
[0039]
In the present invention, other than the above components, if necessary, other additional components such as antioxidants, metal deactivators, flame retardants (organic phosphate esters) as long as the characteristics and effects of the present invention are not impaired. Compounds, inorganic phosphorus compounds, aromatic halogen flame retardants, silicone flame retardants, etc.), fluoropolymers, plasticizers (oil, low molecular weight polyethylene, epoxidized soybean oil, polyethylene glycol, fatty acid esters, etc.), Flame retardant aids such as antimony oxide, weather (light) improvers, slip agents, inorganic or organic fillers and reinforcing materials (glass fiber, carbon fiber, polyacrylonitrile fiber, whisker, carbon black, titanium oxide, calcium carbonate , Potassium titanate, wollastonite, conductive metal fibers, conductive carbon black, etc.), various colorants, release agents, etc. It may be.
[0040]
The method for producing the resin composition of the present invention includes a method of melt-kneading the polymer components (a) to (c) and the scaly filler (d) together using the above-described components, and (a) to (b). (C) a method of melt-kneading a composition obtained by previously kneading the polymer component of the component together with (d) a scaly inorganic filler, supplying the components (a) to (c) from the first feed port of an extruder, Various methods such as a method in which (d) a flaky filler is supplied from the intermediate port of an extruder to these melted compositions and melt-kneaded, may be mentioned, and the resulting composition is a dispersion which is a feature of the present invention. There is no particular limitation as long as the form is shown.
[0041]
Melt kneaders used in these production methods include, for example, single-screw extruders, twin-screw extruders, rolls, kneaders, Brabender plastographs, Banbury mixers, and the like. The melt kneading method used is most preferred. The melting and kneading temperature at this time is not particularly limited, but can be arbitrarily selected from the range of usually 200 to 380 ° C.
[0042]
The resin composition for a sealed secondary battery case of the present invention can be suitably used for a secondary battery case material, in particular, a sealed secondary battery case, particularly a nickel-metal hydride battery case. The molding method is not particularly limited, and for example, molding methods such as injection molding, hollow molding, extrusion molding, sheet molding, thermoforming, rotational molding, and lamination molding can be used.
When the battery case is composed of two or more components, these components are joined by bonding, heat welding, vibration welding, or the like. Examples of the adhesive include an epoxy resin adhesive. The epoxy resin adhesive is an adhesive made of a resin having an epoxy structure as a main skeleton, and is preferably a two-pack type made of a main agent and a curing agent.
[0043]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be specifically described with reference to examples.
In addition, the raw materials used are as follows.
(A) Component polypropylene resin
(A-1) Density = 0.910 g / cm 3 Polypropylene resin having a melt flow rate (230 ° C., 21.2 N load: hereinafter abbreviated as MFR) = 0.4 g / 10 min, molecular weight distribution (Mw / Mn) = 9.6
(A-2) Density = 0.906 g / cm 3 , MFR = 2.5 g / 10 min, molecular weight distribution (Mw / Mn) = 5.9 polypropylene resin
(A-3) Density = 0.910 g / cm 3 , MFR = 9.0 / 10 min, molecular weight distribution (Mw / Mn) = 10.3 polypropylene resin
(A-4) Density = 0.902 g / cm 3 , MFR = 0.5 g / 10 min, molecular weight distribution (Mw / Mn) = 6.2 polypropylene resin
(A-5) Density = 0.908 g / cm 3 , MFR = 16.3 g / 10 min, molecular weight distribution (Mw / Mn) = 6.1 polypropylene resin
[0044]
(B-1) Component hydrogenated block copolymer
(B-1-1) Polystyrene-hydrogenated polybutadiene-polystyrene structure having a bound styrene content of 43%, a 1,2-vinyl bond content of the polybutadiene portion of 78%, and a hydrogenation rate of the polybutadiene portion of 99% 0.8%, a hydrogenated block copolymer having a number average molecular weight of 216,000.
(B-1-2) having a structure of polystyrene-hydrogenated polybutadiene-polystyrene-hydrogenated polybutadiene, having a bound styrene content of 53%, a vinyl bond content of the polybutadiene portion of 42%, and a hydrogenation rate of the polybutadiene portion Is a hydrogenated block copolymer having a molecular weight of 98.9% and a number average molecular weight of 174,000.
(B-1-3) Polystyrene-hydrogenated polybutadiene-polystyrene structure, having a bound styrene content of 35%, a 1,2-vinyl bond content of the polybutadiene portion of 43%, and a hydrogenation rate of the polybutadiene portion of 99% .8%, a hydrogenated block copolymer having a number average molecular weight of 192,000.
[0045]
(B-1-4) a polystyrene-hydrogenated polybutadiene-polystyrene structure, the amount of bound styrene is 26%, the amount of vinyl bond in the polybutadiene portion is 55%, the hydrogenation rate of the polybutadiene portion is 99.2%, A hydrogenated block copolymer having a number average molecular weight of 130,000.
(B-1-5) having a structure of polystyrene-hydrogenated polybutadiene-polystyrene-hydrogenated polybutadiene, having a bound styrene content of 53%, a vinyl bond content of the polybutadiene portion of 43%, and a hydrogenation rate of the polybutadiene portion Is 97.4% and a number average molecular weight is 89000.
(B-1-6) a polystyrene-hydrogenated polybutadiene-polystyrene structure having a bound styrene content of 25%, a vinyl bond content of the polybutadiene portion of 55%, a hydrogenation rate of the polybutadiene portion of 99.1%, A hydrogenated block copolymer having a number average molecular weight of 91,000.
[0046]
(B-2) Component polyethylene
(B-2-1) Density = 0.957 g / cm 3 , Melt flow rate (190 ° C., 21.2 N load: hereinafter abbreviated as MFR) = 0.16 g / 10 min.
(B-2-2) Density = 0.969 g / cm 3 , MFR = 5 g / 10 min high density polyethylene
(B-2-3) Density = 0.917 g / cm 3 , MFR = 0.3g / 10min low density polyethylene
[0047]
(C) Component hydrogenated block copolymer
(C-1) having a structure of polystyrene-hydrogenated polybutadiene-polystyrene, having a bound styrene content of 30%, a vinyl bond content of the polybutadiene portion of 45%, a hydrogenation rate of the polybutadiene portion of 99.6%, and a number average A hydrogenated block copolymer having a molecular weight of 51,000.
(C-2) Polystyrene-hydrogenated polybutadiene-polystyrene structure, the amount of bound styrene is 40%, the amount of vinyl bond in the polybutadiene portion is 38%, the hydrogenation rate of the polybutadiene portion is 99.1%, number average A hydrogenated block copolymer having a molecular weight of 115,000.
[0048]
(D) Component flaky filler
(D-1) A glass flake (E glass composition) having an average thickness of 5 μm and an average particle size of 140 μm (aspect ratio = 28) treated with aminosilane.
(D-2) Scale-like graphite having an average particle size of 7 μm and a particle size range of 1 to 45 μm
(D-3) Plate-like talc having an average particle size of 100 μm and a particle size of 50% or more in the particle size cumulative distribution of 50% or more.
[0049]
In addition, evaluation of physical properties was performed as follows.
(1) Hydrogen permeation resistance
The test piece was a sheet having a thickness of 1 mm, and was measured in a completely dry state at 40 ° C. in accordance with the method A (differential pressure method) described in JIS K7126 to determine the hydrogen permeability. The smaller the value of the hydrogen permeability is, the more excellent the hydrogen permeability is.
(2) Izod impact strength
According to ASTM D256, a 3.2 mm-thick notched test piece was measured for impact strength [J / m] at 23 ° C.
[0050]
(3) Confirmation of the interfacial phase at the interface between the polypropylene resin and the dispersed phase
The sample is oxidized and stained using a heavy metal compound such as ruthenium tetrachloride, and ultrathin sections are cut out with an ultramicrotome or the like, and the sections are observed and photographed with a transmission electron microscope. It was confirmed whether or not the hydrogenated block copolymer was present in the interface phase existing at the interface between the polymer and the dispersed phase.
(4) Confirmation of flaky filler present in polypropylene resin
From the photograph observed and photographed with the electron microscope obtained in the above (3), it was confirmed whether or not the scale-like filler was present in the polypropylene resin of the matrix.
[0051]
Examples 1 to 7 and Comparative Examples 1 to 7
(A) a polypropylene-based resin, (b-1) a hydrogenated block copolymer having the composition shown in Table 1, and a twin-screw extruder with a vent port (ZSK-40; WERNER & PFELIDERER, set at 210 to 280 ° C) , Germany) to obtain pellets. The pellets were supplied to a screw in-line injection molding machine set at 240 to 250 ° C, and a test piece for an Izod test was injection-molded at a mold temperature of 60 ° C. The test piece having a thickness of 1 mm used for hydrogen permeability was formed by a hot press set at 260 ° C.
The physical properties of these test pieces were measured, and the results are shown in Tables 1 and 2.
[0052]
Examples 8 to 14 and Comparative Examples 8 to 14
(A) Polypropylene resin, (b-2) polyethylene and (c) hydrogenated block copolymer are blended with the composition shown in Table 2, and a twin-screw extruder (ZSK) with a vent port set at 210 to 250 ° C. -40; WERNER & PFLEIDERER, Germany) to obtain pellets. The pellets were supplied to a screw in-line injection molding machine set at 240 to 250 ° C, and a test piece for an Izod test was injection-molded at a mold temperature of 60 ° C. The test piece having a thickness of 1 mm used for hydrogen permeability was formed by a hot press set at 260 ° C. The performance of these test pieces was measured, and the results are shown in Tables 3 and 4.
[0053]
[Table 1]
[0054]
[Table 2]
[0055]
[Table 3]
[0056]
[Table 4]
[0057]
【The invention's effect】
The composition for a sealed secondary battery battery case of the present invention is said to be excellent in hydrogen permeation resistance and impact resistance, which are characteristics that could not be achieved by a conventional resin composition having excellent creep resistance and water vapor resistance. Since it has an effect, it is extremely useful as a sealed secondary battery case with high battery performance.